説明

はしご及びはしごに使用する樋保護具

【課題】屋根に立て掛けたときに軒先及び樋を変形損傷することのないはしごを提供する。
【解決手段】はしご1における支柱9に案内支持されて上下動自在なスライダ13に、屋根17上に載置可能な屋根載置部材19を備え、この屋根載置部材19の下面に、軒先端21に当接可能なストッパ23を備え、かつ前記スライダ13を、前記支柱9に沿って上下動するためのスライダ上下動手段25を備えており、前記屋根載置部材19に、屋根に備えた固定部へ連結自在な連結具を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低層住宅における屋根にかけるはしご及びはしごを掛ける際に、屋根の軒先に設けられた雨樋を保護するための樋保護具に関する。
【背景技術】
【0002】
低層住宅の屋根に登る場合、一般的にはしごが使用されている。この際、はしごは屋根の軒先に当接して立て掛けるものであるから、屋根の軒先に設けられている雨樋にはしごが当接し、雨樋を変形損傷することがある。そこで、はしごを屋根に掛けるとき、雨樋を保護するための保護具が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平6−71898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特許文献1に記載の保護具100は、図4に示すように、屋根101の上面に載置自在な係止片103に、下端部に円筒部105を備えたL状の取付片107を備え、かつ梯子109を側止めする側止用突片111を両側に備えた基片113を前記係止片103に一体的に備えた構成である。
【0004】
前記保護具100の使用に際しては、前記係止片103を屋根101上に載置し、かつ円筒部105を樋115の内部に当接するように予め取り付け、その後に梯子109を側止用突片111の間の部分にかけるものである。そして、梯子109を掛けたときの梯子109の重みは、屋根101に載置した係止片103と樋115の内側部に当接した円筒部105によって支えるものである。
【0005】
上記構成によれば、梯子109が樋115に直接当接することはないので、樋115が変形されるようなことはないものの、屋根101に対する保護具100を予め取り付けるときには、梯子109は使用することができないものであり、この点において問題がある。また、円筒部105が樋115の内側部に当接する構成であることにより、例えば樋115の修繕時には使用することが難しいという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述のごとき問題に鑑みてなされたもので、はしごにおける支柱に案内支持されて上下動自在なスライダに、屋根上に載置可能な屋根載置部材を備え、この屋根載置部材の下面に、軒先端に当接可能なストッパを備え、かつ前記スライダを、前記支柱に沿って上下動するためのスライダ上下動手段を備えていることを特徴とするものである。
【0007】
また、上はしごと下はしごとを備えて伸縮可能なはしごであって、前記上はしごの上端側に、屋根上に載置可能な屋根載置部材を一体的に備え、この屋根載置部材の下面に、軒先端に当接可能なストッパを備えていることを特徴とするものである。
【0008】
また、前記はしごにおいて、前記屋根載置部材に、屋根に備えた固定部へ連結自在な連結具を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
また、屋根にはしごを立て掛ける際に軒先の樋を保護するための樋保護具であって、はしごにおける支柱に移動自在に係合する摺動係合部を両側に備えたスライダを備え、このスライダに、屋根上に載置可能な屋根載置部を備え、この屋根載置部の下面に、軒先端に当接可能なストッパを備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、はしごを軒先に立て掛けるときに、はしごの支柱に沿って前記軒先よりも高く上昇させておいたスライダを下降し、スライダに備えた屋根載置部材を屋根上に載置し、かつ前記屋根載置部材の下面に備えたストッパを軒先端に当接することによってスライダが屋根に取付けられた状態となり、はしごはこのスライダを介して軒先に立てかけることになる。したがって軒先及び樋にはしごが直接当接するようなことがなく、軒先及び樋の保護を図ることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1に概念的,概略的に示すように、本発明の実施形態に係るはしご1は、滑り止め用の脚具3を下端部に備えた下はしご5と、この下はしご5に伸縮可能に支持された上はしご7とを備えている。上記上はしご7及び下はしご5は、左右両側の長い支柱9の間に踏棧11を適宜間隔に備えている。なお、この種のはしご1は公知であるから、はしご1のさらに詳細な構成及びその作用についての説明は省略する。
【0012】
前記はしご1を屋根に立て掛けるとき、樋を変形損傷することなく立て掛けることのできる樋保護具12がはしご1に備えられている。より詳細には、前記上はしご7における両側の支柱9には、スライダ13が上下動自在に案内支持されている。前記樋保護具12における上記スライダ13は両側の前記支柱9の間隔寸法にほぼ等しい長さであって、このスライダ13の長手方向(左右方向)の両側部には、前記支柱9の左右方向の外方から前記支柱9の一部を抱き込む態様でもって支柱9に摺動自在に係合した係合摺動部15が備えられている。
【0013】
さらに、前記スライダ13には、図2に示すように、屋根上に載置可能な板状の屋根載置部材(屋根載置部)19が備えられており、この屋根載置部材19の下面には、前記屋根17における軒先端21に当接可能なストッパ23を備えている。前記樋保護具12における前記屋根載置部材19を屋根17上に載置したとき、屋根17に対して屋根載置部材19が面接触するように、前記係合摺動部15と支柱9との係合部には、支柱9の長手方向に対して直交する方向すなわち前記踏棧11の長手方向の軸心回りのスライダ13の多少の回動を許容する遊隙(間隙)が設けられている。
【0014】
したがって、はしご1の傾斜角が変化することによって、屋根17とはしご1とのなす角度が多少変化する場合であっても、前記屋根載置部材19を屋根17に対して常に面接触状態に載置することができ、屋根17に対する応力集中を回避することができるものである。
【0015】
前記はしご1における支柱9に沿って前記樋保護具12を上下動するためのスライダ上下動手段25が備えられている。より詳細には、はしご1における最上部の踏棧11には滑車27が取付けてあり、この滑車27に掛回したロープ29の一端部は前記スライダ13に連結してあり、ロープ29の他端部は、はしご1の下端部付近に延設してある。
【0016】
したがって、ロープ29の他端部側を引っ張ることにより、樋保護具12におけるスライダ13をはしご1の支柱9に沿って上方向へ移動することができ、前記ロープ29の引っ張りを緩めることにより、スライダ13は支柱9に沿って自重により下降するものである。すなわち、ロープ29を操作することにより、樋保護具12を上下動することができるものである。
【0017】
そして、ロープ29の一部をはしご1の適宜位置へ結び固定することにより、前記樋保護具12を適宜高さ位置に固定することができるものである。
【0018】
以上のごとき構成において、はしご1を屋根17に立て掛ける場合、前記ロープ29を操作して前記樋保護具12を、屋根17の軒先よりも多少高い位置に予め上昇しておき、はしご1を前記軒先に立て掛けるとき、前記樋保護具12を下降して前記屋根載置部材19を軒先の上面に載置し、はしご1を立て掛けると、屋根載置部材19の下面に備えたストッパ23が軒先端21に当接する。このように、前記屋根載置部材19が軒先上に載置され、ストッパ23が軒先端21に当接したとき、はしご1における支柱9はスライダ13を介在した状態において屋根17に立て掛けられるものであり、軒先端21の下側に設けてある樋31から離れた状態にある。
【0019】
したがって、はしご1を屋根17に立て掛けたとき、軒先端21や前記樋31を変形損傷するようなことがないものである。また、はしご1が樋31に接触するとこなく離れた状態にあるので、樋31の修繕に際しても何等の問題を生じることなく容易に修繕することができるものである。
【0020】
前記構成より理解されるように、屋根17に対するはしご1の立て掛け位置を変更する場合には、樋保護具12もはしご1と一体的に移動することができるので、屋根17に対するはしご1の立て掛け位置を所望の位置にすることができるものである。
【0021】
ところで、本発明は、前述したごとき実施形態のみに限るものではなく、適宜の変更を行うことにより、他の構成でもって実施可能である。すなわち、前記説明においては、上はしごと下はしごを備えて伸縮自在なはしごの場合について説明したが、伸縮することのないはしごにも実施可能である。また、はしご1を屋根17に立て掛けたときの安全性の向上を図るために、屋根17に備えられた雪止めなどの固定部に対して前記樋保護具12を連結固定するための、例えばチェーン,ロープ等の連結具を、樋保護具12の一部であるスライダ13,屋根載置部材19等に備えていることが望ましいものである。
【0022】
また、前記構成においては、はしご1に対して樋保護具12が上下動する構成の場合について説明したが、上はしごと下はしごとを備えて伸縮自在なはしごの場合には、上はしごの上端側に樋保護具12を一体的に備えた構成とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係るはしごの全体的構成を概念的,概略的に示した斜視説明図である。
【図2】はしごを軒先に立て掛けた状態を示す説明図である。
【図3】樋保護具と軒先との関係を示す説明図である。
【図4】従来の保護具の説明図である。
【符号の説明】
【0024】
1 はしご
9 支柱
12 樋保護具
13 スライダ
15 係合摺動部
17 屋根
19 屋根載置部材
21 軒先端
23 ストッパ
25 スライダ上下動手段
27 滑車
29 ロープ
31 樋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
はしごにおける支柱に案内支持されて上下動自在なスライダに、屋根上に載置可能な屋根載置部材を備え、この屋根載置部材の下面に、軒先端に当接可能なストッパを備え、かつ前記スライダを、前記支柱に沿って上下動するためのスライダ上下動手段を備えていることを特徴とするはしご。
【請求項2】
上はしごと下はしごとを備えて伸縮可能なはしごであって、前記上はしごの上端側に、屋根上に載置可能な屋根載置部材を一体的に備え、この屋根載置部材の下面に、軒先端に当接可能なストッパを備えていることを特徴とするはしご。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のはしごにおいて、前記屋根載置部材に、屋根に備えた固定部へ連結自在な連結具を備えていることを特徴とするはしご。
【請求項4】
屋根にはしごを立て掛ける際に軒先の樋を保護するための樋保護具であって、はしごにおける支柱に移動自在に係合する摺動係合部を両側に備えたスライダを備え、このスライダに、屋根上に載置可能な屋根載置部を備え、この屋根載置部の下面に、軒先端に当接可能なストッパを備えていることを特徴とする樋保護具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−41218(P2009−41218A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−205263(P2007−205263)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(597128897)株式会社 高千穂 (11)
【Fターム(参考)】