説明

まぶしタイプのノンフライから揚げ用ミックス粉

【課題】フライすることなくオーブンで焼成してもフライしたときと同様な外観と食感のフライ様食品を製造できるミックス粉を提供すること。
【解決手段】ノンフライから揚げ用ミックス粉中、目開き350μmを通過する粒度のドライパン粉を30質量部以上80質量部以下、目開き8000μmを通過し700μmに残留する粒度のドライパン粉を5質量部以上30質量部以下及び油脂10質量部以上20質量部以下含むノンフライから揚げ用ミックス粉である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、まぶしタイプのノンフライから揚げ用ミックス粉に関する。
【背景技術】
【0002】
から揚げは、具材をバッターやブレッダーで被覆してフライした食品であるが、フライ油を使用するため油の後処理など調理が煩雑なため、フライせずにオーブンや電子レンジで加熱してから揚げ様の食品を製造することが行われている。
パン粉を使用したノンフライから揚げミックス粉として、例えば、24メッシュより細かい粒度のパン粉に、常温で固体又は半固体状を呈する植物油または脂肪を加熱、溶解して加え、これに、さらに穀粉及び/又は澱粉類、粘着剤、調味料、香辛料、着色料を混合、解砕して成るノンフライから揚げ粉ミックスが知られている(例えば特許文献1参照)。
また、小麦粉由来の焼成粉砕物、潮解性食品素材、熱凝固性食品素材、油脂および膨張剤を含有することを特徴とするノンフライ唐揚げ用ミックスが知られており、小麦粉由来の焼成粉砕物としてパン粉が挙げられている。
この小麦粉由来の焼成粉砕物の好ましい粒度は粒径1〜4mmである(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭54−98346号公報
【特許文献2】特開2003−284518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のノンフライ用唐揚げ粉では外観の凹凸感が弱い点や食感がべちゃつきやすい点などの課題があった。
本発明は、フライすることなくオーブンで焼成しても従来品に比べ、よりフライしたときと同様な外観と食感のフライ様食品を製造できるミックス粉を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は前記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、従来からノンフライから揚げ用粉で使用されているパン粉に着目し、その粒度を限定することにより、ノンフライでもフライしたような外観、食感を有するから揚げ様食品を製造できることを見出し本発明を完成するに至った。
従って、本発明は、ノンフライから揚げ用ミックス粉中、目開き350μmを通過する粒度のドライパン粉を30質量部以上80質量部以下、目開き8000μmを通過し700μmに残留する粒度のドライパン粉を5質量部以上30質量部以下及び油脂10質量部以上20質量部以下含むノンフライから揚げ用ミックス粉である。
【発明の効果】
【0006】
本発明のノンフライから揚げ用ミックス粉を使用したから揚げ様食品は、ノンフライでもフライしたような外観、食感を有する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のノンフライから揚げ用ミックス粉とは、鶏肉などの食材にこれをまぶしてオーブンで加熱し、から揚げ様食品を調製するためのミックス粉をいう。
本発明のノンフライから揚げ用ミックス粉は、ノンフライから揚げ用ミックス粉100質量部中、目開き350μmを通過する粒度のドライパン粉(以下「細粒パン粉」ともいう。)を30質量部以上80質量部以下、目開き8000μmを通過し700μmに残留する粒度のドライパン粉(以下「粗粒パン粉」ともいう。)を5質量部以上30質量部以下及び油脂10質量部以上20質量部を必須成分とし、これに必要に応じて、澱粉、穀粉、植物性蛋白、粉乳、卵粉、塩、調味料、香辛料、膨張剤、乳化剤、色素など従来のノンフライから揚げ用ミックス粉に使用されている副資材を配合することができる。
本発明のノンフライから揚げ用ミックス粉の特徴は、パン粉をその粒度により2種類に区別して使用しているところである。
従来のノンフライから揚げ用ミックス粉では、パン粉の粒度は前記のとおり「24メッシュより細かい粒度」や「粒径1〜4mm」など1つの範囲にあるものを使用していた。
本発明のノンフライから揚げ用ミックス粉では、細粒パン粉と粗粒パン粉を使用しその配合量と油脂の配合量を限定することによりノンフライでもフライしたような外観、食感を有するから揚げ様食品を製造できる。
【0008】
本発明で使用するパン粉は、ドライパン粉であり、生パン粉は使用できない。
ドライパン粉の製造方法は特に限定されず、クラッカーパン粉、日本式パン粉、電極式パン粉、焙焼式パン粉などを使用することができる。
細粒パン粉の配合量は、ノンフライから揚げ用ミックス粉100質量部中30質量部以上80質量部以下である。
細粒パン粉の配合量が30質量部未満では、粉をふいたような外観となり好ましくない。
細粒パン粉の配合量が80質量部を超えると、表面の凹凸感がなくなり、食感もカリッとせず好ましくない。
粗粒パン粉の配合量は、ノンフライから揚げ用ミックス粉100質量部中5質量部以上30質量部以下である。
粗粒パン粉の配合量が5質量部未満では表面の凹凸感がなくなり、食感もカリッとせず好ましくない。
粗粒パン粉の配合量が30質量部を超えると、表面の凹凸感が多くなりすぎ、から揚げのように見えず好ましくない。
【0009】
本発明で使用する油脂は従来のノンフライから揚げ用ミックス粉に使用できる油脂であれば特に限定されない。
例えば、大豆油、パーム油、ヤシ油、パーム核油、コーン油、こめ油、綿実油、ごま油、ベニバナ油、ひまわり油、落花生油、オリーブ油、あまに油、ひまし油、バター、牛脂、豚脂、魚油などを挙げることができる。
これらを原料としたサラダ油、乳化油脂、硬化油脂、分別油等も使用することができる。
また、これらの油脂を適宜組み合わせて使用することもできる。
油脂の配合量は、ノンフライから揚げ用ミックス粉100質量部中10質量部以上20質量部である。
油脂の配合量が10質量部未満では、食感がカリッとせず、しなしなした食感となり好ましくない。
油脂の配合量が20質量部を超えると、衣に油分が残り、べちゃべちゃした食感となり好ましくない。
【0010】
ノンフライから揚げ用ミックス粉は、細粒パン粉、粗粒パン粉及び油脂並びに必要に応じて前記副資材を混合して得ることができる。
混合方法は従来のノンフライから揚げ用ミックス粉を製造する場合に使用する混合方法であれば特に限定はなく、通常の粉体混合装置、例えば、V型ミキサー、リボンミキサーなどを使用することができる。
【0011】
以下、本発明のノンフライから揚げ用ミックス粉を使用したから揚げ様食品の製造方法について説明する。
本発明のノンフライから揚げ用ミックス粉は従来のまぶしタイプのから揚げ粉と同様に食材にまぶして使用することができる。
まぶす量は食材により適宜調製し、これをオーブンで焼成すればから揚げ様食品を得ることができるので非常に簡便である。
【実施例】
【0012】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜4、比較例1〜2]粗粒パン粉の影響
表1に示す配合割合の原料を均等になるように混合しノンフライから揚げ用ミックス粉を得た。
表中単位は質量部である。
硬化油脂はパーム油を原料とした硬化油脂を使用した。
鶏モモ切り身(平均重量25g)100質量部に対して、前記ノンフライから揚げ用ミックス粉約5質量部をまぶし、これを150℃のオーブンで15分間加熱し、から揚げ様食品を得た。
【0013】
【表1】

【0014】
[実施例5〜8、比較例3〜4]細粒パン粉の影響
実施例1において、ノンフライから揚げ用ミックス粉の配合を表2に示す割合に変更した以外は実施例1と同様にして、から揚げ様食品を得た。
表中単位は質量部である。
【0015】
【表2】

【0016】
[実施例9〜10、比較例5〜6]油脂の影響
実施例1において、ノンフライから揚げ用ミックス粉の配合を表3に示す割合に変更した以外は実施例1と同様にして、から揚げ様食品を得た。
表中単位は質量部である。
【0017】
【表3】

【0018】
[評価]
常温3時間保管後パネラー10名により、以下の評価基準によりから揚げ様食品の評価を行った。
外観
5 点・・・自然な感じの凸凹があり、唐揚げとして非常によい外観である。
4 点・・・自然な感じの凸凹があり、唐揚げとしてよい外観である。
3 点・・・普通。
2 点・・・凹凸が少ない又は凹凸が多く、唐揚げとして不自然な外観である
1 点・・・凹凸がほとんど無い又は凹凸が非常に多く唐揚げとして非常に不自然な外観である。
食感
5 点・・・ 非常にカリッとしてクリスピーである。
4 点・・・ カリッとしてクリスピーである。
3 点・・・ 普通。
2 点・・・ ややしなしなした食感で歯切れが悪い。
1 点・・・ べちゃべちゃした食感で歯切れが悪い。
得られた評価結果を表4に示す。
【0019】
【表4】

【0020】
実施例1〜10で得られたから揚げ様食品はいずれも満足できる品質であった。
比較例1〜6で得られたから揚げ様食品は外観又は食感のいずれかが劣り満足できる品質ではなかった。
なお、比較例2は、食感はよかったものの外観がパン粉による凹凸が目立ちすぎるため唐揚げらしい食品には仕上がらず満足できる品質ではなかった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノンフライから揚げ用ミックス粉中、目開き350μmを通過する粒度のドライパン粉を30質量部以上80質量部以下、目開き8000μmを通過し700μmに残留する粒度のドライパン粉を5質量部以上30質量部以下及び油脂10質量部以上20質量部以下含むノンフライから揚げ用ミックス粉。


【公開番号】特開2012−80817(P2012−80817A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229488(P2010−229488)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(000231637)日本製粉株式会社 (144)
【Fターム(参考)】