説明

ろ過カートリッジ

本発明は、入口領域(10)と出口開口部(20)とがベース領域に配置されているろ過カートリッジ(1)、特に吸込みろ過カートリッジに関する。この出口開口部(20)は、流出チャンバ(2a)の下部部分に、又はこの流出チャンバ(2a)の下方に位置しているバイパスを介して入口領域(10)に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ろ過カートリッジ、特に請求項1の前提部による吸込みろ過カートリッジに関する。ろ過カートリッジの入口領域と出口開口部とが、このろ過カートリッジの底部領域に配置され、ろ過カートリッジ(was)は、また、この底部に隣接している下降流チャンバと上昇流チャンバとの下部部分に側面の入口又は出口を有している。
【背景技術】
【0002】
吸込みろ過カートリッジは、飲料、例えばホットドリンクの、例えばコーヒーメーカなどのような吸込みポンプが設けられている自動販売機の水容器内で用いられる。この吸込みろ過カートリッジの入口及び出口開口部は、これらがなければ完全に閉じられているカートリッジのハウジングの底部領域に位置している。座部部材は、出口開口部に調節されて、装置の水容器内に配置される。出口開口部は、別の構成要素でもよく、水容器に形成されてもよい。この座部部材は、ろ過された水が水容器から出てくることができる出口開口部も有している。この座部部材は、この座部部材内に挿入される吸込みろ過カートリッジを受容する役割を果たす。
【0003】
水容器の出口開口部が装置の吸込みポンプに接続されるという事実のために、ろ過される水は、この水容器から吸込まれ、カートリッジ内の複数又は単一のろ材を通過し、ろ過された状態で出口開口部に達する。
【0004】
WO 99/01220から、水入口開口部が底部に配置され、ろ材を通る水のための路が上昇流に設けられている、吸込みろ過カートリッジが既知である。さらに、底部に位置している水容器の抽出コネクタへ水を下方に案内するために下降流路が設けられている。この場合、活性炭とイオン交換体とを有するろ過手段の混合物は、動作中、ろ水タンクのいかなる圧縮にも対抗して、浮上している。
【0005】
下降流路は、吸込みろ過カートリッジの内部の中央に配置され、この結果、吸込みろ過カートリッジの底部コネクタも中央にあることができる。この場合、入口開口部は、吸込みろ過カートリッジに円形に配置されている。
【0006】
飲料の自動販売機の位置で見出される水質と、選ばれたコーヒーブランドとによっては、特定の状況では、完全に脱炭素処理された(entkarbonisiertes)水は、香りの発生のために最適ではないかもしれず、機械部品が損傷受けることさえあるかもしれない。脱炭素処理が調整されていない場合、最悪の場合には、金属の構成部品の腐食が生じうる。この場合、結果は、高いメインテナンスと修理とのコストである。
【0007】
DE 44 22 709 A1から、通常の未処理の水を通流させて作動させることもできる、水のろ過並びに/もしくは水の脱石灰を含む、ろ過装置、特にろ過カートリッジが既知である。この装置には、中空のボディの長手方向の軸の方向に延びる壁により互いに分離されている少なくとも2つのチャンバが設けられている。これらチャンバの一方は、1つのろ過手段で充填されているが、他のチャンバは、他のろ過手段を受容し、又は空でもよい。上方の入口領域には、処理される水がそれぞれのチャンバに流入することを可能とするために、これらチャンバの開口部に整列させることができる開口部を備えた調整リングが設けられている。代わりに、複数の出口開口部を調節装置を備えた装置の下方領域に配置することもできる。
【0008】
処理される水の流れを、栓から重力又は圧力により発生させることができる。このように、吸込みろ過カートリッジの問題ではない。したがって、この場合、どんな場合にも、入口及び出口開口部は、バイパスの場合に空のチャンバが設けられなければいけないように、ろ過装置の対向する側に配置されている。
【0009】
制限された水容器内で用いられなければならず、この結果、それぞれがコンパクトにデザインされる吸込みろ過カートリッジにとって、このようなバイパス装置は、適切ではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、所望の炭素処理レベル(Karbonisierungsgrad)をそれぞれの生水の質に調節することができるろ過カートリッジ、特に吸込みろ過カートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、出口開口部が、上昇流チャンバ並びに/もしくは下降流チャンバの下部部分に、又はこの上昇流チャンバ並びに/もしくは下降流チャンバの下方に配置されているバイパスを介して入口領域に接続されているろ過カートリッジ、特に吸込みろ過カートリッジで達成される。
【0012】
前記バイパスの断面積は、調節可能に実現されていることが好ましい。
【0013】
この調節可能なバイパスは、生水の全体が前記入口開口部から前記出口開口部に直接流入するようにサイズが取られていることが好ましい。このバイパスは、生水のわずか50%が前記出口開口部にそらされることができるようにデザインされていることが好ましい。
【0014】
このバイパスを用いて、前記カートリッジの性能を調節することができ、この結果、香りと飲料機械とのために最適の水を取ることができる。
【0015】
加えて、前記バイパスを前記下降流チャンバの下部部分又はこの下降流チャンバの下方に配置すると、追加的なスペースが必要なく、この結果、既知のろ過カートリッジ、特に吸込みろ過カートリッジの水平方向の寸法を維持することができるという好都合な点を有する。
【0016】
前記出口開口部には、出口スリーブが設けられ、前記入口領域が円形にこの出口スリーブを囲んでいることが好ましい。
【0017】
好ましい実施形態では、前記出口スリーブには、少なくとも1つの回転する調節リングが設けられている。
【0018】
第1の変形例によると、前記出口スリーブには、少なくとも1つの第1の開口部が設けられている。前記調節リングには、前記出口スリーブと接触している円筒状部分が設けられており、この部分に閉鎖部材が設けられ、又はこの部分に前記第1の開口部に整列させることができる少なくとも1つの第2の開口部が設けられていることが好ましい。この場合、組合された前記第1及び第2の開口部は、バイパス開口部を形成する。このバイパスを実現するために、追加的な複数のパイプ、ホース又はチャンバは、必要ない。
【0019】
前記調節リングを回転させることにより、前記出口スリーブの第1の開口部の断面積を、追加された量の未処理の生水を、制御された方法で調節して、前記ろ過カートリッジ内のろ過手段により処理された水に加えることができるように、調整することができる。このようなバイパスを用いて、前記ろ過カートリッジの性能を、香りのために最良で、飲料の自動販売機のために最良の水を提供できるような水質に調節することができる。
【0020】
加えて、一体化されたバイパスにより、前記ろ過カートリッジの容量が増加する。水質に基づいて比較的低い性能が必要である場合、それは調整可能であり、前記ろ過カートリッジは、比較的長い期間にわたって同じレベルにソフト化する(enthaertet)。
【0021】
加えて、前記調節リングの第2の開口部は、前記出口スリーブの第1の開口部以上であることが好都合である。
【0022】
前記調節リングの円筒部分は、前記出口スリーブの外部に封止するように接触していることが好ましい。このように、前記第1の開口部が閉じられている場合、生水が意図せず、特に前記調節リングと出口スリーブとの間の前記調節リングの第2の開口部を介して、前記出口開口部に到達しうることが防止される。
【0023】
第2の変形例は、前記下降流チャンバの底面壁の少なくとも1つのバイパス開口部を提供する。このバイパス開口部が、前記調節リングに配置されている閉鎖部材により閉じられ、このバイパス開口部を通って流れる生水の量を、この調節リングを回転させることにより調節することができることは好ましい。
【0024】
前記閉鎖部材は、調節リングに配置されている円弧形状のカラーであってもよく、前記下降流チャンバの底面壁に封止するように接触していることは好ましい。
【0025】
閉鎖部材の代わりに、上記第1の変形例に類似して、前記カラーには、前記下降流チャンバの底面壁の開口部に整列させることができる1つ以上の第2の開口部が設けられていてもよい。
【0026】
上記第1の変形例と違って、生水は、前記出口スリーブに直接到達せず、むしろ前記下降流チャンバの内部に案内され、この結果、この生水もろ過されることができる。
【0027】
どれだけの生水が前記下降流チャンバの内部空間(Innenraum)内に案内されるのかを、バイパス開口部を囲んでいる起立部の長さにより規定することができる。したがって、前記下降流チャンバの下部部分は、既にろ過された水と前記バイパス開口部を介して導入された生水とにより一緒に(gemeinsam)用いられる。
【0028】
この一緒に用いられる領域には、バイパス水(Bypasswasser)を脱塩素化するための活性炭の層(Schuettung)が設けられてもよい。層の素材のタイプと形式とによって、例えばフリースを有する分離層が前記層に設けられてもよい。場合によっては、この分離層上に(darueber)配置され、例えばイオン交換体から形成されているろ過手段とのいかなる混合も防止するためである。
【0029】
前記下降流チャンバの内部のこの一緒に用いられる領域は、また、液体を通過させることができない中間の床により分離されていてもよい。底部とこの中間の床との間に形成されているチャンバ内には、ろ材、特に活性炭フリースが配置されてもよい。
【0030】
本発明の他の実施形態では、内向きで、第1の下方のスナップ位置から第2の上方のスナップ位置へ転じられることができ、この逆も可能である、周囲を囲むスナップ式のリムが前記出口開口部に設けられている場合に、前記ろ過カートリッジを固定するために、前記出口スリーブを、前記調節リングで好都合に用いることもできる。
【0031】
それぞれの座部部材は、前記ろ過カートリッジの出口開口部に係合し、前記ろ過カートリッジが下に位置した場合、前記スナップ式のリムを前記第1の下方のスナップ位置から前記第2の上方のスナップ位置に動かし、前記スナップ式のリムが封止しクランプするように接触する少なくとも1つのアクチュエータを有する接続スリーブにより特徴付けられる。
【0032】
前記アクチュエータは、前記接続スリーブに配置されている円形の肩部であることが好ましい。
【0033】
前記下方のスナップ位置にある前記スナップ式のリムを備えた吸込みろ過カートリッジは、前記座部部材に上から置かれ、このスナップ式のリムが上向きに転じ、この結果、この座部部材の接続スリーブに係合するまで下に押される。この座部部材は、このスナップ式のリムが転じた場合に、前記接続スリーブの端部で封止するように前記吸込みろ過カートリッジに接触し固定するように、このスナップ式のリムに調整されている。この転じることは、前記ろ過カートリッジが所定の封止位置に達してことを操作者に知らせる。このように、操作者による誤った位置付けは防止される。
【0034】
前記ろ過カートリッジを取外すためには、このろ過カートリッジは、上方に引き出される。これにより、前記スナップ式のリムはその下方のスナップ位置に転じる。
【0035】
前記スナップ式のリムの反転の過程により、径方向の力が前記出口スリーブに作用し、前記第2の上方のスナップ位置での広がりと、場合によっては、クランプ力の減少とがもたらされる。この場合、調節リングは、また、前記出口スリーブにとって安定化機能で作用する。
【0036】
前記スナップ式のリムは、前記出口スリーブの底部端に接続されていることが好ましい。
前記スナップ式のリムは、フィルムリンクを介して接続されていてもよい。
前記スナップ式のリムは、径方向内向きに延びている平坦な端部ストリップであることが好ましい。
前記端部ストリップは、リングとして実現されていることが好ましい。
【0037】
前記スナップ式のリムは、2つの安定位置、すなわち、下方の位置と上方の位置とで安定する。このスナップ式のリムの中間の位置は、不安定な位置であり、この位置からその張力に基づいてこのスナップ式のリムは、いずれかの位置に転じる。このスナップ式のリムが弾性プラスチックからなることは、好都合である。
【0038】
前記調節リングには、前記出口開口部内に突出し、前記スナップ式のリムが前記第1の下方のスナップ位置で接触する、角度が付けられたカラーが設けられていることが好都合である。このことにより、前記スナップ式のリムのとっての規定された初期位置が保障される。
【0039】
前記調節リングは、前記出口スリーブに封止するように配置されていることが好ましい。これにより、特に第1の開口部が閉じられている場合、生水が意図せず前記調節リングと出口スリーブとの間の第2の開口部を介して出口開口部に入りうることが防止される。
【0040】
前記上昇流チャンバと下降流チャンバとの両方には、少なくとも1つのろ過手段が設けられていてもよい。前記上昇流チャンバに流動層が設けられ、前記下降流チャンバに充填層が設けられていることが好都合であることが示された。
【0041】
両方のろ過チャンバにろ過手段が備えられていることの有利な点は、前記吸込みろ過カートリッジの高さ全体にわたって延びる従来技術の複数の下降並びに/もしくは上昇パイプ(Fall- bzw. Steigrohre)を省くことができるという事実にある。前記上昇流チャンバ内の流動層は、わずかな圧力損失しか引き起こさない。
【0042】
前記出口スリーブ並びに/もしくは調節リングが、好ましくは、前記第1の開口部の下方に設けられ、少なくとも1つの封止用隆起がどんな意図しないバイパスも防止されるように周囲に延びていることは好ましい。
【0043】
以下では、本発明の例示的な実施形態が図面を用いてより詳細に説明される。吸込みろ過カートリッジは、本発明によるろ過カートリッジにとっての例として説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
図1には、吸込みろ過カートリッジが側面図で示されている。この吸込みろ過カートリッジ1は、下降流(Abstroem)チャンバ2aを備えた中央のハウジング部分2と、このハウジング部分2に横から取り付けられているハウジング部分3とを有している。これらハウジング部分2、3のずらされた配置は、水容器の狭い幅で、上昇流及び下降流チャンバを大きな容積で実現できるという目的を果たす。
【0045】
吸込みろ過カートリッジ1は、前記水容器(図示されていない)の出口開口部で又はこの出口開口部内に位置している座部部材30に支持されている。吸込みポンプ(これも図示されていない)は、前記出口開口部に接続される。動作中、水は、前記水容器から吸込みろ過カートリッジ1に吸込まれ、この出口開口部を介して取り除かれる。座部部材30は、前記水容器の一体的な構成要素であってもよい。この座部部材30は、位置付け部材32が環状に配置され以下で詳細に説明されるベースプレート31を有している。
【0046】
図2a、図2bは、座部部材30が取り付けられた吸込みろ過カートリッジ1に沿った垂直な断面を示している。中央のハウジング部分2の中には、ろ材から形成された充填層で満たすことができる下降流チャンバ2aがある。上昇流(aufstroem)チャンバ3aは、ろ材から形成された流動層(Wirbelbett)を有することができる底面壁3bを備えた、取り付けられているハウジング部分3内に位置している。この上昇流チャンバ3aは、下降流チャンバ2aから垂直に配置された分離壁6により分離されている。ここで図示されている実施形態では、分離壁6は、下降流挿入体9の周囲の壁の構成要素である。この下降流挿入体9には、追加して中心に配置された床グリッド8を備えた底面壁7が設けられている。両方のチャンバ2a、3aは、吸込みろ過カートリッジ1の上方領域に配置されている接続チャンバ4を介して接続開口部5に接続されている。
【0047】
入口領域10が、円形の通路12として形成されている、吸込みろ過カートリッジ1の下部部分に配置されている。この円形の通路12は、中央の、及び取り付けられたハウジング2、3から下向きに突出している円形の壁11と、下降流チャンバ2aの出口開口部20を囲んでいる出口スリーブとにより形成されている。この円形の通路12は、底面壁3bのグリッド13を介して上昇流チャンバ3a内に流入している(muendet)。このグリッド13には、入口開口部14が設けられている。
【0048】
出口スリーブ21には、入口領域10並びに/もしくは円形の通路12を出口開口部20と接続する第1の開口部25が設けられている。これは、出口スリーブ21の周囲部分に渡って分布して配置されているスロット形状の複数の開口部25を呈する。出口スリーブ21の下方端には、閉じた円形のスナップ方式のリム22が、出口開口部20の中へと径方向内向きに突出しているフィルムリンク23を介して接合されている。出口スリーブ21の外部壁には、円筒状部分51と、内側に向かった角度で傾斜しているカラー52とを有している調節リング50が配置されている。円筒状部分51には、複数の第2の開口部53が配置されている(図4も見よ)。これら第2の開口部53を、調節リング50を第1の開口部25に対して回転させることにより整列させることができる。第1及び第2の開口部25、53は、共に、バイパス開口部を形成している。
【0049】
座部部材30には、その出口開口部37を囲んでいる接続スリーブ33が設けられ、この接続スリーブ33は、下部部分33aと直径が小さい部分33bとを有している。傾斜して上方を向いている円形の肩部35が、これら2つの部分33a、33bの間に配置され、スナップ式のリム22のためのアクチュエータを形成している。複数のバー34が、上方の部分33bで出口開口部37を横断している。
【0050】
吸込みろ過カートリッジ1を座部部材30に位置させる場合、スナップ式のリム22が、円形の肩部35により把持され、第2のスナップ位置へと上方に転じる。この第2のスナップ位置では、このスナップ式のリム22は、接続スリーブ33の部分33bに封止しクランプするように接触し、この結果、吸込みろ過カートリッジ1を固定する。所望のクランプ力が生じるために、部分33bの外径は、第2のスナップ位置では、スナップ式のリム22の内径よりもわずかに大きい。追加的な閉鎖部材は、必要ない。
【0051】
前記水容器が満たされ、並びに/もしくは吸込みポンプのスイッチが切られている場合、吸込みろ過カートリッジは、浮上できない(aufschwimmen)。したがって、吸込みろ過カートリッジ1のための追加的な固定又は留め手段は、必要ない。
【0052】
座部部材30には、複数の位置付け部材32が設けられ、これら位置付け部材は、高く延びているセンタリング部材32aとスペーサ32bとを有している。吸込みろ過カートリッジ1の円形の壁11は、ベースプレート31と円形の壁11との間の中間のスペースを介して、生水が吸込みろ過カートリッジ内に流れ込むことができるように、前記複数のスペーサで支持されている。この結果、複数の入口通路36が、位置付け部材32の間に形成されている(図2bを見よ)。
【0053】
図3では、吸込みろ過カートリッジ1は、スナップ式のリム22が調節リング50のカラー52に支持されるその下方のスナップ位置を取って示されている。調節リング50と出口スリーブ21との間の隙間を封止するために、この調節リング50には、円筒状部分51に取り囲む封止用隆起24が設けられている。
【0054】
図4には、吸込みろ過カートリッジ1の下部部分が、拡大されて斜視図で示されている。回転する調節リング50には、複数の第1の開口部25に対向して位置する複数の第2の開口部53が設けられている。この調節リング50を回転させることにより、これら第2の開口部53を第1の開口部25と整列させることができる。これら開口部25、53の重なりのレベルに応じて、より多くの又はより少ない生水を入口領域10から出口開口部20に直接案内することができる。
【0055】
座部部材30が図5では斜視図で示されている。接続スリーブ33が複数の位置付け部材32の環により囲まれていることが認められる。
【0056】
図6は、前記バイパス開口部に関する他の例示的な実施形態による吸込みろ過カートリッジ1の下部部分を示している。上述の実施形態と違い、この場合は、好ましくは底面壁21aの複数の穴として実現される、少なくとも1つのバイパス開口部26が、出口スリーブ21を円形の壁11と接続している。この底面壁21aは、図2a、図2b、図3及び図4にも、下降流挿入物9の底面壁7がこの底面壁21aに載せられて示されている。図6に示されている実施形態では、底面壁7は、底面壁21aが底部で下降流チャンバ2aを閉鎖するように省かれている。複数のバイパス開口部26(図6では1つだけのバイパス開口部26が示されている)を介して円形の通路12内に流入する生水は、出口開口部37内に直接案内されず、液体が浸透できる中間の床7aが底面壁21aから離間して設けられている下降流チャンバ2aの内部に案内される。中間の床7aの浸透性は、中心領域7’に限定されている。この中間の床7aにより、他のチャンバ60が、下降流チャンバ2aの下部部分に分離されている。このチャンバ60の内部では、複数の起立部27がバイパス開口部26を迂回して配置されている。生水は、これら起立部27を介して上向きにガイドされ、中間の床7aの浸透させることができない円形の領域7’’により偏向される。チャンバ60内には、複数の針15により保持されるろ材、例えばフリースが、配置されてもよい。
【0057】
バイパス開口部26を閉鎖し並びに/もしくは開放するために、調節リング50には、上端にこの調節リング50に形成されている閉鎖部材54が設けられている。意図しないバイパスを防止するために、この閉鎖部材54は、図7に認められるように円弧形状のカラーを有している。調節リング50を回転させることにより、バイパス開口部26を開放し、又は閉鎖することができる。
【0058】
図7には、吸込みろ過カートリッジ1の出口開口部20の底面斜視図が示されている。カラー52には、操作者に調節リング50の現在位置を示す複数のマーキング55が設けられている。操作者は、この調節リング50をひだ(コルゲーション)を介して回転させることができ、この結果、この操作者は、出口開口部20内に偏向される液体の所望の量を調整することができる。加えて、閉鎖部材54が、調節リング50の円弧形状のカラーとして示されている。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】取付けられた座部部材を有している吸込みろ過カートリッジの斜視図である。
【図2a】取付けられた座部部材を備えたろ過カートリッジを示す、図1に沿った垂直断面図である。
【図2b】図2aに示されている吸込みろ過カートリッジの出口領域の拡大図である。
【図3】座部部材を備えていない、図1、図2a及び図2bに示されている吸込みろ過カートリッジに沿った垂直断面図である。
【図4】図1乃至3に示されている吸込みろ過カートリッジの下部部分の部分的に断面の拡大斜視図である。
【図5】図1、図2a及び図2bに示されている座部部材の平面斜視図である。
【図6】他の実施形態による吸込みろ過カートリッジの下部領域の拡大断面図である。
【図7】吸込みろ過カートリッジの出口開口部の底面斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
1…吸込みろ過カートリッジ、 2…中央のハウジング部分、 2a…下降流チャンバ、 3…取付けられたハウジング部分、 3a…上昇流チャンバ、 3b…底面壁、 4…接続チャンバ、 5…接続開口部、 6…分離壁、 7…底面壁、 7’…浸透できる領域、 7’’…浸透できない領域、 7a…中間の床、 8…底部グリッド、 9…下降流挿入体、 10…入口領域、 11…円形の壁、 12…出口スリーブ、 13…グリッド、 14…入口開口部、 15…針、 20…出口開口部、 21a…底面壁、 21…出口スリーブ、 22…スナップ式のリム、 23…フィルムリンク、 24…封止用隆起、 25…第1の開口部、 26…バイパス開口部、 27…起立部、 30…座部部材、 31…ベースプレート、 32…位置付け部材、 32a…センタリング部材、 32b…スペーサ、 33…接続スリーブ、 33a…下部部分、 33b…上部部分、 34…バー、 35…円形の肩部、 36…入口通路、 37…出口開口部、 50…調節リング、 51…円筒状部分、 52…カラー、 53…第2の開口部、 54…閉鎖部材、 55…マーキング、 60…チャンバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部部分で互いに接続されている、少なくとも1つの上昇流チャンバ(3a)と少なくとも1つの下降流チャンバ(2a)とを備えているろ過手段と、上流の入口開口部(14)の下流の少なくとも1つの入口領域(10)と、出口開口部(20)とを具備し、前記入口領域と出口開口部とは、底部領域に配置されている、ろ過カートリッジ(1)、特に吸込みろ過フィルタにおいて、前記出口開口部(20)は、前記上昇流チャンバ(3a)並びに/もしくは下降流チャンバ(2a)の下部部分に、又はこの上昇流チャンバ(3a)並びに/もしくは下降流チャンバ(2a)の下方に配置されているバイパスを介して前記入口領域(10)に接続されることを特徴とするろ過カートリッジ(1)。
【請求項2】
前記バイパスの断面積は、調節可能であることを特徴とする請求項1に係るろ過カートリッジ(1)。
【請求項3】
前記出口開口部(20)には、出口スリーブ(21)が設けられ、前記入口領域(10)は、円形にこの出口スリーブ(21)を囲んでいることを特徴とする請求項1又は2に係るろ過カートリッジ(1)。
【請求項4】
前記出口スリーブ(21)には、少なくとも1つの回転する調節リング(50)が設けられていることを特徴とする請求項3に係るろ過カートリッジ(1)。
【請求項5】
前記出口スリーブ(21)には、少なくとも1つの第1の開口部(25)が設けられていることを特徴とする請求項3又は4に係るろ過カートリッジ。
【請求項6】
前記調節リングには、前記出口スリーブと接触している円筒状部分が設けられ、この部分に閉鎖部材が設けられ、又はこの部分に前記第1の開口部に整列させることができる少なくとも1つの第2の開口部が設けられていることを特徴とする請求項4又は5に係るろ過カートリッジ(1)。
【請求項7】
前記調節リング(50)の第2の開口部(53)は、前記出口スリーブ(21)の第1の開口部以上であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1に係るろ過カートリッジ(1)。
【請求項8】
前記調節リング(50)は、前記出口スリーブ(21)に封止するように接触することを特徴とする請求項5又は6のろ過カートリッジ(1)。
【請求項9】
少なくとも1つのバイパス開口部(26)が、前記下降流チャンバ(2a)の底面壁(7、21a)に配置されていることを特徴とする請求項4乃至8のいずれか1に係るろ過カートリッジ。
【請求項10】
起立部(27)が、前記下降流チャンバ(2a)で、前記バイパス開口部(26)を囲んで配置されていることを特徴とする請求項9に係るろ過カートリッジ。
【請求項11】
前記調節リング(50)には、前記底面壁(7、21a)の底部に接触する閉鎖部材(54)が設けられていることを特徴とする請求項9又は10に係るろ過カートリッジ。
【請求項12】
前記閉鎖部材(54)は、円弧形状のカラーであることを特徴とする請求項11に係るろ過カートリッジ。
【請求項13】
前記下降流チャンバ(2a)には、液体を通すことができる中間の床(7a)が設けられていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1に係るろ過カートリッジ。
【請求項14】
前記出口開口部(20)には、内側を向き、第1の下方のスナップ位置から第2の上方のスナップ位置に転じることができ、その逆も可能である、周囲を囲むスナップ式のリム(22)が設けられていることを特徴とする請求項3乃至13に係るろ過カートリッジ(1)。
【請求項15】
前記スナップ式のリム(22)は、前記出口スリーブ(21)の底部端で接続されていることを特徴とする請求項14に係るろ過カートリッジ(1)。
【請求項16】
前記スナップ式のリム(22)は、フィルムリンク(23)を介して接続されていることを特徴とする請求項14又は15に係るろ過カートリッジ(1)。
【請求項17】
前記スナップ式のリム(22)は、径方向内側に延びている平坦な端部ストリップであることを特徴とする請求項14乃至16のいずれか1に係るろ過カートリッジ(1)。
【請求項18】
前記調節リング(50)には、前記出口開口部(20)に突出している傾斜したカラー(52)が設けられ、前記スナップ式のリム(22)は、その第1の下方のスナップ位置でこのカラーに接触することを特徴とする請求項10乃至17のいずれか1に係るろ過カートリッジ(1)。
【請求項19】
前記調節リング(50)は、前記出口スリーブ(21)に封止するように接触していることを特徴とする請求項4乃至18のいずれか1に係るろ過カートリッジ(1)。
【請求項20】
前記上昇流チャンバ(3a)と下降流チャンバ(2a)との両方には、少なくとも1つのろ過手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至19のいずれか1に係るろ過カートリッジ(1)。
【請求項21】
前記上昇流チャンバ(3a)には、流動層(4)が設けられ、前記下降流チャンバ(2a)には、充填層(5)が設けられていることを特徴とする請求項20に係るろ過カートリッジ(1)。
【請求項22】
ろ材が、前記底面壁(7、21a)と中間の床(7a)との間に形成されるチャンバ(60)内に配置されることを特徴とする請求項17乃至19のいずれか1に係るろ過カートリッジ。
【請求項23】
前記チャンバ(60)内のろ材は、活性炭フリースであることを特徴とする請求項20に係るろ過カートリッジ。
【請求項24】
前記出口スリーブ(21)並びに/もしくは調節リング(50)には、その周囲に延びている少なくとも1つの封止用隆起(24)が設けられていることを特徴とする請求項3乃至23のいずれか1に係るろ過カートリッジ。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−515629(P2008−515629A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536070(P2007−536070)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010915
【国際公開番号】WO2006/040121
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(599055784)ブリタ ゲーエムベーハー (18)
【Fターム(参考)】