説明

アイアンゴルフクラブヘッドおよびアイアンゴルフクラブ

【課題】バッジ部を備えながら打球音の響き時間の低下を抑制することによって打感を向上することができるアイアンゴルフクラブヘッドおよびアイアンゴルフクラブを提供する。
【解決手段】アイアンゴルフクラブヘッド40は、ヘッド部10と、両側に粘着層を有する両面テープ20と、両面テープ20によってヘッド部10に接着された被着体30とを備えている。ヘッド部10は、フェース面11と、フェース面11の後方に位置するバック面12とを含んでいる。被着体30は、バック面12側に接着されている。両面テープ20は、バック面12と接着される第1の粘着層21と、被着体30と接着される第2の粘着層22と、第1の粘着層21および第2の粘着層22に挟まれた中間層23とを含んでいる。中間層23は、連続発泡体構造を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイアンゴルフクラブヘッドおよびアイアンゴルフクラブに関し、ヘッド部にバッジ部が接着されたアイアンゴルフクラブヘッドおよびアイアンゴルフクラブに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の研究において、アイアンゴルフクラブの打感は打球音の影響を受けることが分かっており、打球音の響き時間が長いと打感が向上し、打球音の響き時間が短いと打感が低下すると感じるゴルファがあることも分かっている。
【0003】
他方、たとえば特開2010−148565号公報(特許文献1)には、バッジ部がバック面に両面粘着テープで接着されたゴルフクラブヘッドが開示されている。この両面粘着テープは粘着層に挟まれた樹脂層を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−148565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記公報のゴルフクラブヘッドでは、両面粘着テープの粘着層に挟まれた樹脂層は気泡を有さないように形成されている。つまり、樹脂層は中実に形成されているため、この樹脂層を打球音が通りにくい。このため、打球音の響き時間が低下する。その結果、打感が低下する。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、バッジ部を備えながら打球音の響き時間の低下を抑制することによって打感を向上することができるアイアンゴルフクラブヘッドおよびアイアンゴルフクラブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のアイアンゴルフクラブヘッドは、ヘッド部と、両側に粘着層を有する両面テープと、両面テープによってヘッド部に接着されたバッジ部とを備えている。ヘッド部は、フェース面と、フェース面の後方に位置するバック面とを含んでいる。バッジ部は、バック面側に接着されている。両面テープは、バック面と接着される第1の粘着層と、バッジ部と接着される第2の粘着層と、第1および第2の粘着層に挟まれた中間層とを含んでいる。中間層は、連続発泡体構造を有している。
【0008】
本発明のアイアンゴルフクラブヘッドでは、中間層が連続発泡体構造を有しているため、打球音が中間層を通りやすい。そのため、打球音の響き時間の低下を抑制することができる。これにより、打感を向上することができる。
【0009】
上記のアイアンゴルフクラブヘッドでは、好ましくは、中間層の厚みが第1および第2の粘着層の厚みよりも厚い。上記のように中間層が連続発泡体構造を有しているため、中間層の厚みが第1および第2の粘着層の厚みよりも厚くても、打球音が中間層を通りやすい。中間層の厚みを第1および第2の粘着層の厚みよりも厚くすることで、両面テープの剛性を向上できる。これにより、打球音の響き時間の低下を抑制しつつ両面テープによってしっかりとバッジ部を保持することができる。
【0010】
上記のアイアンゴルフクラブヘッドでは、好ましくは、連続発泡構造は、ボイドを含んでいる。ボイドは、第1の粘着層から第2の粘着層まで連続的に延びている。このようにボイドが第1の粘着層から第2の粘着層まで連続的に延びているため、打球音がボイドを通って中間層を抜けることができる。このため、打球音が中間層を通りやすい。
【0011】
上記のアイアンゴルフクラブヘッドでは、好ましくは、中間層が、ポリエチレンフォームを含んでいる。ポリエチレンフォームは成形が容易であるため、連続発泡体形状を容易に製造することができる。
【0012】
上記のアイアンゴルフクラブヘッドでは、好ましくは、ヘッド部は、軟鉄を含み、かつ鍛造で製造されている。軟鉄を用いて鍛造により製造されるアイアンゴルフクラブヘッドは打球音がよい。そのため、打球音をよくすることで打感をさらに向上することができる。
【0013】
上記のアイアンゴルフクラブヘッドでは、好ましくは、連続発泡構造は、MIL規格R6130Cに規定された吸水率が5%を超えるように構成されている。このため、打球音が中間層を通りやすい。
【0014】
本発明のアイアンゴルフクラブは、シャフトと、シャフトの一方端に取り付けられたグリップと、シャフトのグリップと反対側の他方端に取り付けられた上述のアイアンゴルフクラブヘッドとを備えている。これにより、打球音の響き時間の低下を抑制することによって打感を向上できるアイアンゴルフクラブを得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明のアイアンゴルフクラブヘッドおよびアイアンゴルフクラブによれば、バッジ部を備えながら打球音の響き時間の低下を抑制することによって打感を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態におけるアイアンゴルフクラブヘッドの概略背面図である。
【図2】本発明の一実施の形態におけるアイアンゴルフクラブヘッドの概略正面図である。
【図3】本発明の一実施の形態における両面テープの概略正面図である。
【図4】本発明の一実施の形態における両面テープおよびバッジ部の概略側面図である。
【図5】本発明の一実施の形態における両面テープの概略斜視図である。
【図6】本発明の一実施の形態におけるアイアンゴルフクラブの概略正面図である。
【図7】比較例1〜3および本発明例のA補正音圧割合と響き時間割合との関係を示す図である。
【図8】比較例1〜6および本発明例のA補正音圧と響き時間との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態について図に基づいて説明する。
最初に本発明の一実施の形態のアイアンゴルフクラブヘッドの構成について説明する。
【0018】
図1〜図3を参照して、アイアンゴルフクラブヘッド40は、ヘッド部10と、両面テープ20と、バッジ部30とを主に有している。バッジ部30は、両面テープ20によってヘッド部10に接着されている。
【0019】
ヘッド部10は、打球面であるフェース面11とを有している。フェース面11に複数の溝部12が形成されている。複数の溝部(スコアライン)12は、フェース面11を縦断する方向に略等間隔で形成されており、フェース面11を横断する方向に直線状に形成されている。
【0020】
ヘッド部10は、シャフトが接続されるホーゼル部も有している。ヘッド部10は、フェース面11の周囲に位置するトップエッジ部、トゥ部、ソール部、ヒール部も有している。トップエッジ部はホーゼル部からトゥ部に至るヘッド部10本体の上端縁部を構成する部分である。ソール部は、ヘッド部10本体の底部を構成する部分である。トゥ部はホーゼル部から離れた側のトップエッジ部とソール部とを接続する部分である。ヒール部はホーゼル部下端からソール部に至る部分である。
【0021】
ヘッド部10は、フェース面11の後方(背面)に位置するバック面13を有している。バック面13には2つのキャビティが形成されており、それぞれのキャビティにはキャビティ立ち面14が形成されている。なお、キャビティは1つ形成されていてもよい。ヘッド部10は、たとえばJIS規格S25Cを含む素材を用いて作製することができる。また、ヘッド部10の材料としては、ばね鋼、マレージング鋼、ステンレス鋼などが適用され得る。ヘッド部10は、鍛造で製造されていてもよい。
【0022】
バッジ部30は、両面テープ20によってバック面13側に接着されている。接着を容易にするため、両面テープ20とバック面13との間に少量の接着剤が塗布されていてもよい。バッジ部30は、ソール部側のキャビティ立ち面14に囲まれた領域に両面テープ20によって貼り付けられている。バッジ部20の材料としては、アルミニウム、ステンレス、真鍮、ABS、ニッケル、マグネシウムなどが適用され得る。バッジ部20は、たとえばJIS規格SUS304を含む素材を用いて作製することができる。
【0023】
両面テープ20は、バッジ部30の外周形状にほぼ相似する外周形状を有している。
図4を参照して、両面テープ20の一方面側にはバッジ部30が装着されている。両面テープ20の他方側がバック面13に接着される。両面テープ20は、バッジ部30の外周を内側に約1mmオフセットした大きさを有している。
【0024】
図5を参照して、両面テープ20は、第1の粘着層21と、第2の粘着層22と、中間層23とを主に有している。なお、両面テープ20は接着前にはライナー24も有している。このライナー24は接着時には取り外される。
【0025】
第1の粘着層21および第2の粘着層22は、たとえばアクリル系の材質より形成されている。第1の粘着層21はバック面13に接着される。第2の粘着層22は、バッジ部30に接着される。中間層23は第1の粘着層21および第2の粘着層22に挟まれている。中間層23は、連続発泡体構造を有している。連続発泡体構造では、発泡体内の各気泡が連続気泡構造を有している。
【0026】
連続気泡構造は、MIL規格R6130Cに記載される試験方法により、吸水率が5%を超えるように構成されている。
【0027】
連続発泡構造はボイド25を有している。ボイド25は連続発泡構造に含まれる空洞部分である。ボイド25は、第1の粘着層21から第2の粘着層22まで連続的に延びていてもよい。
【0028】
中間層23の厚みは、第1の粘着層21の厚みおよび第2の粘着層22の厚みよりも厚くてもよい。
【0029】
中間層23は、たとえばポリエチレンフォームからなっていてもよい。また中間層23をポリエチレンフォームを含んでいてもよい。
【0030】
アイアンゴルフクラブヘッド40は、両面テープ20によりバッジ部30が接着されたアイアンゴルフクラブヘッド40の響き時間が、両面テープ20およびバッジ部30を有していないヘッド部10単体での響き時間の50%以上となることが好ましい。
【0031】
アイアンゴルフクラブヘッド40は、両面テープ20によりバッジ部30が接着されたアイアンゴルフクラブヘッド40のA補正音圧(A−Weight)が、両面テープ20およびバッジ部30を有していないヘッド部10単体でのA補正音圧の95%以上となることが好ましい。
【0032】
また、ヘッド部10にはめっきが施されていてもよい。めっきは、たとえば、Ni(ニッケル)−Cr(クロム)めっきであってもよい。
【0033】
図6を参照して、アイアンゴルフクラブヘッド40にシャフト51およびグリップ52を組み合わせることでアイアンゴルフクラブ50が構成される。アイアンゴルフクラブ50は、シャフトと51、シャフト51の一方端に取り付けられたグリップ52と、シャフト51のグリップ52と反対側の他方端に取り付けられたアイアンゴルフクラブヘッド40とを有している。なお、シャフト51およびグリップ52は周知のものを採用可能である。
【0034】
次に、本発明の一実施の形態の作用効果について説明する。
本発明の一実施の形態のアイアンゴルフクラブヘッド40では、中間層23が連続発泡体構造を有しているため、打球音が中間層を通りやすい。そのため、打球音の響き時間の低下を抑制することができる。これにより、打感を向上することができる。
【0035】
本発明の一実施の形態のアイアンゴルフクラブヘッド40では、中間層23の厚みが第1の粘着層21および第2の粘着層22の厚みよりも厚いことが好ましい。中間層23が連続発泡体構造を有しているため、中間層23の厚みが第1の粘着層21および第2の粘着層22の厚みよりも厚くても、打球音が中間層23を通りやすい。中間層23の厚みを第1の粘着層21および第2の粘着層22の厚みよりも厚くすることで、両面テープ20の剛性を向上できる。これにより、打球音の響き時間の低下を抑制しつつ両面テープ20によってしっかりとバッジ部30を保持することができる。
【0036】
本発明の一実施の形態のアイアンゴルフクラブヘッド40では、連続発泡構造はボイド25を含んでおり、ボイド25は第1の粘着層21から第2の粘着層22まで連続的に延びている。ボイド25が第1の粘着層21から第2の粘着層22まで連続的に延びているため、打球音がボイド25を通って中間層23を抜けることができる。このため、打球音が中間層を通りやすい。
【0037】
本発明の一実施の形態のアイアンゴルフクラブヘッド40では、中間層23が、ポリエチレンフォームを含んでいる。ポリエチレンフォームは成形が容易であるため、連続発泡体形状を容易に製造することができる。
【0038】
本発明の一実施の形態のアイアンゴルフクラブヘッド40では、ヘッド部10は、軟鉄を含み、かつ鍛造で製造されている。軟鉄を用いて鍛造により製造されるアイアンゴルフクラブヘッド40は打球音がよい。そのため、打球音をよくすることで打感をさらに向上することができる。
【0039】
本発明の一実施の形態のアイアンゴルフクラブヘッド40では、連続発泡構造は、MIL規格R6130Cに規定された吸水率が5%を超えるように構成されている。このため、打球音が中間層を通りやすい。
【0040】
本発明の一実施の形態のアイアンゴルフクラブ50では、上述のアイアンゴルフクラブヘッド40を備えていることにより、打球音の響き時間の低下を抑制することによって打感を向上できるアイアンゴルフクラブ50を得ることができる。
【実施例】
【0041】
以下、本発明の実施例について説明する。なお、上記と同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰り返さない場合がある。
【0042】
図7および図8を参照して、A補正音圧(A−Weight:A−wt)と響き時間との関係について説明する。
【0043】
A補正音圧および響き時間の測定は次のように行った。実験室内において振り子式ネジハンマーでスコアラインのソール部側から3本目と4本目との間の打点15(図2参照)を打撃し、その音を録音した。音圧および響き時間はヘッド単体について測定した。測定器はTASCAM HD-P2を使用した。ソフトウエアはBruel & Kjar Sound Quality Type 7698を使用した。マイクはBruel & Kjar Microphone Type 4190を使用した。マイク電源はBruel & Kjar Microphone Type 2804を使用した。キャリブレーターはBruel & Kjar Sound Level Calibrator Type 4231を使用した。打点15とマイクとの距離は20cmとし、測定時間は−0.2〜1.8秒とし、窓関数は「Rectangular」とした。ここで瞬時音圧の最大時刻が0秒である。それぞれ3球録音し音圧が中間の値を採用した。響き時間は、音圧が0.05Paを最後に切るまでの時間で算出した。ただし、実際に打撃音を聞いた感覚から0.05Paを超えていてもノイズと見なせる部分については除外した。
【0044】
続いて、比較例1〜比較例6および本発明例の構成について説明する。比較例1はバッジ部30が接着されておらず両面テープ20も貼り付けられていない。比較例2〜比較例6および本発明例では同様のバッジ部30が、それぞれ構成が異なる両面テープ20で接着されている。
【0045】
より具体的には、比較例2〜比較例6および本発明例では中間層23の構造、材質および厚さがそれぞれ異なっている。なお、比較例2〜比較例6および本発明例では第1の粘着層21および第2の粘着層22はそれぞれアクリル系の材質で形成されている。
【0046】
比較例2の中間層23は、アクリルフォームで形成されている。比較例2の中間層23の厚みは、0.8mmである。
【0047】
比較例3の中間層23は、不織布で形成されている。比較例3の中間層23の厚みは、0.12mmである。
【0048】
比較例4の中間層23は、アクリルフォームで形成されており、独立発泡体構造を有している。独立発泡体構造は、独立発泡体構造では、発泡体内の各気泡が独立気泡構造を有している。独立気泡構造は、MIL規格R6130C(MIL−R6130C)に規定されたスポンジを特定条件下で水中に沈め、吸水率が5%以下のものである。比較例2の中間層23の厚みは、1.0mmである。
【0049】
比較例5の中間層23は、アクリルフォームで形成されている。比較例5の中間層23の厚みは、1.2mmである。
【0050】
比較例6の中間層23は、アクリルフォームで形成されており、ほぼ無発泡の独立発泡体構造を有している。比較例6の中間層の厚みは1.0mmである。
【0051】
本発明例の中間層23は、ポリエチレンフォームで形成されており、独立発泡体構造を有している。本発明例の中間層23の厚みは、1.1mmである。
【0052】
図7および表1を参照して、本発明例の響き時間割合(%)は比較例1の51.03%となった。比較例2の響き時間割合は比較例1の38.94%となった。比較例3の響き時間割合は比較例1の42.35%となった。本発明例は、比較例1および比較例2に比べて響き時間の低下を抑制できることがわかった。
【0053】
【表1】

【0054】
また、本発明例のA補正音圧割合(%)は、比較例1の99.48%となった。比較例2のA補正音圧割合は比較例1の94.49%となった。比較例3のA補正音圧割合は比較例1の94.96%となった。本発明例は、比較例1および比較例2に比べてA補正音の低下を抑制できることがわかった。
【0055】
図8および表2を参照して、比較例1の響き時間(秒)は0.725秒となった。比較例2の響き時間は0.282秒となった。比較例3の響き時間は0.307秒となった。比較例4の響き時間は0.230秒となった。比較例5の響き時間は0.184秒となった。比較例6の響き時間は0.226秒となった。本発明例の響き時間は0.370秒となった。本発明例は、比較例2〜比較例6に比べて響き時間の低下を抑制できることがわかった。
【0056】
【表2】

【0057】
また、比較例1のA補正音圧(dB)は70.9dBとなった。比較例2のA補正音圧は67.0dBとなった。比較例3のA補正音圧は67.3dBとなった。比較例4のA補正音圧は67.2dBとなった。比較例5のA補正音圧は66.8dBとなった。比較例6の補正音圧は67.7となった。本発明例のA補正音圧は70.5dBとなった。本発明例は、比較例2〜比較例6に比べてA補正音圧の低下を抑制できることがわかった。
【0058】
さらに、本願発明者等は、上記の効果を確認すべく、比較例1〜比較例6および本発明例のアイアンゴルフクラブヘッド40を備えたアイアンゴルフクラブ50をそれぞれ作製し、それぞれについて3名の被験者(被験者A〜C)による試打試験を行った。
【0059】
【表3】

【0060】
表3を参照して、表中の○は打感が良いことを示し、△は打感が普通であることを示し、×は打感が悪いことを示している。表3に示すとおり、試打試験を行ったすべての被験者が比較例1および本発明例のアイアンゴルフクラブ50の打感が良好であると判定した。一方、比較例2では被験者Bは打感が普通であると判定したが、被験者AおよびCは打感が悪いと判定した。また、比較例3〜5では被験者A〜Cとも打感が悪いと判定した。また、比較例6では被験者Cは打感が普通であると判定し、被験者AおよびBは打感が悪いと判定した。このことからも、本発明例ではバッジ部30を備えながら打球音の響き時間の低下を抑制することによって打感を向上することができることがわかった。
【0061】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、ヘッド部にバッジ部が接着されたアイアンゴルフクラブヘッドおよびアイアンゴルフクラブに特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0063】
10 ヘッド部、11 フェース面、12 溝部、13 バック面、14 キャビティ立ち面、15 打点、20 両面テープ、21 第1の粘着層、22 第2の粘着層、23 中間層、24 ライナー、25 ボイド、30 バッジ部、40 アイアンゴルフクラブヘッド、50 アイアンゴルフクラブ、51 シャフト、52 グリップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド部と、
両側に粘着層を有する両面テープと、
前記両面テープによって前記ヘッド部に接着されたバッジ部とを備え、
前記ヘッド部は、
フェース面と、
前記フェース面の後方に位置するバック面とを含み、
前記バッジ部は、前記バック面側に接着されており、
前記両面テープは、
前記バック面と接着される第1の粘着層と、
前記バッジ部と接着される第2の粘着層と、
前記第1および第2の粘着層に挟まれた中間層とを含み、
前記中間層は、連続発泡体構造を有している、アイアンゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記中間層の厚みが前記第1および第2の粘着層の厚みよりも厚い、請求項1に記載のアイアンゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記連続発泡構造は、ボイドを含み、
前記ボイドは、前記第1の粘着層から前記第2の粘着層まで連続的に延びている、請求項1または2に記載のアイアンゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記中間層が、ポリエチレンフォームを含む、請求項1〜3のいずれかに記載のアイアンゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記ヘッド部は、軟鉄を含み、かつ鍛造で製造された、請求項1〜4のいずれかに記載のアイアンゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記連続発泡構造は、MIL規格R6130Cに記載される試験方法により、吸水率が5%を超えるように構成されている、請求項1〜5のいずれかに記載のアイアンゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
シャフトと、
前記シャフトの一方端に取り付けられたグリップと、
前記シャフトの前記グリップと反対側の他方端に取り付けられた請求項1〜6のいずれかに記載のアイアンゴルフクラブヘッドとを備えた、アイアンゴルフクラブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−213455(P2012−213455A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79420(P2011−79420)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005935)美津濃株式会社 (239)
【Fターム(参考)】