説明

アイソトープ生産システム及びサイクロトロン

【課題】加速チェンバーから望ましくない気体粒子を除去する改良型の真空システムを提供すること。
【解決手段】加速チェンバーを囲繞するヨーク体部を有するマグネットヨークを含むサイクロトロンを提供する。本サイクロトロンはさらに、荷電粒子を所望の経路に沿って導くための磁場を発生させるためのマグネットアセンブリを含む。このマグネットアセンブリは加速チェンバー内に配置される。この磁場は加速チェンバーを通りかつマグネットヨーク内部を伝播するが、この磁場の一部分はマグネットヨークの外部に漏洩磁場として逃げ出る。本サイクロトロンはさらに、ヨーク体部に結合された真空ポンプを含む。この真空ポンプは、加速チェンバー内に真空を導入するように構成されている。このマグネットヨークは、真空ポンプが75ガウスを超える磁場を受けないように寸法設定している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、本出願と同時に提出した「ISOTOPE PRODUCTION SYSTEM AND CYCLOTRON HAVING REDUCED MAGNETIC STRAY FIELDS」と題する整理番号:236099(553−1442US)の特許出願並びに「ISOTOPE PRODUCTION SYSTEM AND CYCLOTRON HAVING A MAGNET YOKE WITH A PUMP ACCEPTANCE CAVITY」と題する整理番号:236098(553−1441US)の特許出願(これらはいずれも参照によりその全体を組み込むものとする)に開示した主題に関連する主題を含む。
【0002】
本発明の実施形態は全般的にはサイクロトロンに関し、またさらに詳細には放射性アイソトープの生産に使用されるサイクロトロンに関する。
【背景技術】
【0003】
放射性アイソトープ(放射性核種ともいう)は、医学的な治療、撮像及び研究に関する幾つかの用途、並びに医学関連でないその他の用途を有する。放射性アイソトープを生産するシステムは典型的には、荷電粒子のビームを加速し該ビームをターゲット材料内に導いてアイソトープを生成するサイクロトロンなどの粒子加速器を含む。サイクロトロンは電場及び磁場を用いて粒子を加速しこれを加速チェンバー内部のうずまき様の軌道に沿って導く。サイクロトロンの使用において、加速させた粒子と相互作用する可能性がある望ましくない気体粒子を除去するために加速チェンバーは真空化される。例えば加速させる粒子が負の水素イオン(H-)である場合、加速チェンバー内部の水素ガス分子(H2)または水分子が水素イオンから弱結合の電子を引きはがす可能性がある。イオンがこの電子を引きはがされると、イオンが中性の粒子に変わり、加速チェンバー内部の電場及び磁場の影響をもはや受けなくなる。この中性の粒子は回収不能に失われ、また加速チェンバー内部に望ましくない別の反応を生じさせることもあり得る。
【0004】
加速チェンバーの真空状態を維持するために、サイクロトロンはチェンバーに流体結合させた真空システムを用いている。しかし従来の真空システムは、品質や特性が望ましくないことがあった。例えば従来の真空システムは、大型でありかつ広い空間を必要とする可能性がある。このことは、特にサイクロトロン及び真空システムを元々大型のシステムを用いるように設計されていない病室で使用しなければならない場合において問題となることがある。さらに既存の真空システムでは、多数のポンプ(様々なタイプのポンプを含む)、バルブ、パイプ、クランプなど幾つかの構成要素を相互接続させるのが典型的である。真空システムを有効に動作させるためには、各構成要素を(例えば、センサや計器を介して)監視しこれらの構成要素の幾つかを個別に制御することが必要となることがある。さらに、幾つかの構成要素を相互接続させると、部品の損傷や摩耗のために漏れが生じることがある界面や領域が多くなることがある。このことによって、真空システムのメンテナンスが高コストになりかつ時間がかかることになりかねない。
【0005】
上記のことに加えて、従来の真空システムでは拡散ポンプを用いることがある。例えば周知の真空システムの1つでは、幾つかの拡散ポンプが加速チェンバーに流体結合されている。これらの拡散ポンプは作用流体(例えば、オイル)を用い、このオイルを沸騰させて蒸気にしこの蒸気をジェットアセンブリを通るように導くことによって真空を生成している。しかし拡散ポンプ内部のオイルは、サイクロトロンの加速チェンバー内に逆流(backstream)することがある。こうなると気体粒子を除去する真空システムの能力が低下し、これによりサイクロトロンの効率にマイナスの影響を及ぼすことがある。さらに、加速チェンバー内部のオイルによって放電が誘発され、電場を発生させるためにサイクロトロンが使用する電気構成要素が損傷することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5463291号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、加速チェンバーから望ましくない気体粒子を除去する改良型の真空システムが必要とされている。さらに、周知の真空システムと比べて必要なスペースをより小さくし、必要なメンテナンスをより少なくし、より複雑でなくし、あるいはコストをより低くした真空システムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
加速チェンバーを囲繞するヨーク体部を有するマグネットヨークを含む一実施形態によるサイクロトロンを提供する。本サイクロトロンはさらに、荷電粒子を所望の経路に沿って導くための磁場を発生させるためのマグネットアセンブリを含む。このマグネットアセンブリは加速チェンバー内に配置される。磁場は、加速チェンバーを通りかつマグネットヨーク内部を伝播するが、この磁場の一部分はマグネットヨークの外部に漏洩磁場として逃げ出る。本サイクロトロンはさらに、ヨーク体部に直に結合された真空ポンプを含む。この真空ポンプは、加速チェンバー内に真空を導入するように構成されている。このマグネットヨークは、真空ポンプが75ガウスを超える磁場を受けないように寸法設定している。
【0009】
加速チェンバーを囲繞するヨーク体部を有するマグネットヨークを含む別の実施形態によるサイクロトロンを提供する。本サイクロトロンはさらに、荷電粒子を所望の経路に沿って導くための磁場を発生させるためのマグネットアセンブリを含む。このマグネットアセンブリは加速チェンバー内に配置される。磁場は、加速チェンバーを通りかつマグネットヨーク内部を伝播するが、この磁場の一部分はマグネットヨークの外部に漏洩磁場として逃げ出る。本サイクロトロンはさらに、ヨーク体部に直に結合された真空ポンプを含む。この真空ポンプは、加速チェンバー内に真空を導入するように構成されている。この真空ポンプは真空を生成するために回転式ファンを有する無流体ポンプである。
【0010】
加速チェンバーを囲繞するヨーク体部を有するマグネットヨークを含むさらに別の実施形態によるアイソトープ生産システムを提供する。本アイソトープ生産システムはさらに、荷電粒子を所望の経路に沿って導くための磁場を発生させるためのマグネットアセンブリを含む。このマグネットアセンブリは加速チェンバー内に配置される。磁場は、加速チェンバーを通りかつマグネットヨーク内部を伝播するが、この磁場の一部分はマグネットヨークの外部に漏洩磁場として逃げ出る。本アイソトープ生産システムはさらに、ヨーク体部に直に結合された真空ポンプを含む。この真空ポンプは、加速チェンバー内に真空を導入するように構成されている。このマグネットヨークは、真空ポンプが75ガウスを超える磁場を受けないように寸法設定している。本アイソトープ生産システムはさらに、アイソトープを生成するために荷電粒子を受け取るように位置決めされたターゲットシステムを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施形態に従って形成したアイソトープ生産システムのブロック図である。
【図2】一実施形態に従って形成したサイクロトロンの側面図である。
【図3】図2に示したサイクロトロンの底部分の側面図である。
【図4】図2に示したサイクロトロンで使用し得る真空ポンプ及びターボ分子ポンプの側面図である。
【図5】図2に示したサイクロトロンで使用し得るヨーク体部の一部分の斜視図である。
【図6】図2に示したサイクロトロンで使用し得るマグネット及びヨークアセンブリの平面図である。
【図7A】サイクロトロンの底部分についてその中で受ける磁場を示している正面断面図である。
【図7B】サイクロトロンの底部分についてその中で受ける磁場を示している正面断面図である。
【図8】別の実施形態に従って形成したアイソトープ生産システムの斜視図である。
【図9】図6に示したアイソトープ生産システムで使用し得る代替的なサイクロトロンの側面断面図である。
【図10A】ポンプ受け容れ(PA)キャビティを通過して広がる面に沿ったPAキャビティ内部で受ける磁場を表したグラフである。
【図10B】ポンプ受け容れ(PA)キャビティを通過して広がる面に沿ったPAキャビティ内部で受ける磁場を表したグラフである。
【図10C】ポンプ受け容れ(PA)キャビティを通過して広がる面に沿ったPAキャビティ内部で受ける磁場を表したグラフである。
【図10D】ポンプ受け容れ(PA)キャビティを通過して広がる面に沿ったPAキャビティ内部で受ける磁場を表したグラフである。
【図10E】ポンプ受け容れ(PA)キャビティを通過して広がる面に沿ったPAキャビティ内部で受ける磁場を表したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、一実施形態に従って形成したアイソトープ生産システム100のブロック図である。システム100は、イオン源システム104、電場システム106、磁場システム108及び真空システム110を含む幾つかのサブシステムを有するサイクロトロン102を含む。サイクロトロン102の使用中において、イオン源システム104を通じて荷電粒子がサイクロトロン102内部に配置される、またはこの中に注入される。磁場システム108及び電場システム106は、荷電粒子の粒子ビーム112を生成する際に互いに協働するような対応する場を生成する。この荷電粒子は加速されサイクロトロン102内部で所定の経路に沿って導かれる。システム100はさらに、抽出システム115とターゲット材料116を含んだターゲットシステム114とを有する。
【0013】
アイソトープの生成のために、サイクロトロン102によって粒子ビーム112が抽出システム115を通りビーム輸送経路117に沿いかつターゲットシステム114の中まで導かれ、これにより粒子ビーム112は対応するターゲットエリア120に配置されたターゲット材料116上に入射する。システム100は、別々のターゲット材料116A〜Cを配置させている複数のターゲットエリア120A〜Cを有することがある。粒子ビーム112が異なるターゲット材料116上に入射するように粒子ビーム112に対してターゲットエリア120A〜Cをシフトさせるためにシフト用デバイスまたはシステム(図示せず)を用いることがある。シフト過程の間も同様に真空を維持させることがある。別法としてサイクロトロン102及び抽出システム115が粒子ビーム112を1つの経路だけに沿って導くのではなく、異なるターゲットエリア120A〜Cのそれぞれに対する一意の経路に沿って粒子ビーム112を導くことがある。
【0014】
上述したサブシステムのうちの1つまたは幾つかを有するアイソトープ生産システム及び/またはサイクロトロンの例は、米国特許第6,392,246号、同第6,417,634号、同第6,433,495号及び同第7,122,966号並びに米国特許出願第2005/0283199号(そのいずれも、参照によりその全体を組み入れるものとする)に記載されている。追加の例はさらに、米国特許第5,521,469号、同第6,057,655号並びに米国特許出願第2008/0067413号及び第2008/0258653号(そのいずれも、参照によりその全体を組み入れるものとする)で提供される。
【0015】
システム100は、医学的な撮像、研究及び治療のみならず、科学的な研究や解析など医学関連でないその他の用途に関しても使用し得る放射性アイソトープ(放射性核種ともいう)を生産するように構成されている。核医学(NM)撮像や陽電子放出断層(PET)撮像などの医学的目的で用いられる場合に、その放射性アイソトープをトレーサと呼ぶこともある。一例としてシステム100は、18-アイソトープを液体形態で、11CアイソトープをCO2として、また13NアイソトープをNH3として作製するために陽子を発生させることがある。これらのアイソトープの作製に用いられるターゲット材料116は、濃縮18Oの水、天然の142ガス、及び16Oの水とすることがある。システム100はさらに、15Oガス(酸素、二酸化炭素及び一酸化炭素)並びに15O標識した水を生成するために重陽子を発生させることもある。
【0016】
幾つかの実施形態ではそのシステム100は1-テクノロジーを用いると共に荷電粒子をビーム電流が概ね10〜30μAの低エネルギー(例えば、約7.8MeV)にしている。こうした実施形態では、負の水素イオンが加速されてサイクロトロン102を通りかつ抽出システム115内まで導かれる。この負の水素イオンは次いで、抽出システム115の引きはがしフォイル(図示せず)に当たり、これにより電子対が除去されて粒子を正イオン(1+)にする。しかし代替的な実施形態では、その荷電粒子を1+2+及び3He+などの正イオンとすることがある。こうした代替的な実施形態では、抽出システム115は、ターゲット材料116の方向に粒子ビームを導く電場を発生させる静電偏向器を含むことがある。
【0017】
システム100は、異なるシステムの様々な構成要素に冷却用流体や作用流体を輸送し対応する構成要素が発生させた熱を吸収する冷却システム122を含むことがある。システム100はさらに、技師が様々なシステム及び構成要素の動作を制御するために使用し得る制御システム118を含むことがある。制御システム118は、サイクロトロン102及びターゲットシステム114の近傍にあるいはこれらから離して配置させた1つまたは複数のユーザインタフェースを含むことがある。図1には図示していないがシステム100はさらに、サイクロトロン102及びターゲットシステム114のための1つまたは複数の放射シールドを含むことがある。
【0018】
システム100は、医学的撮像や治療で使用するための個別の用量などアイソトープを所定の量またはロットで生産することがある。上に掲げた例示的なアイソトープ形態に関するシステム100の生産能力は、18-では20μAにおいて約10分未満で50mCi、11CO2では30μAにおいて約30分未満で300mCi、また13NH3では20μAにおいて約10分未満で100mCiとなることがある。
【0019】
さらにシステム100は、限られたスペース内部に保持できるようなサイズ、形状及び重量をシステム100が有するように周知のアイソトープ生産システムに関して低減したスペースを使用することがある。例えばシステム100は、病院や臨床設定など元々は粒子加速器向けに建てられていない既存の部屋の内部に収容されることがある。このため、サイクロトロン102、抽出システム115、ターゲットシステム114並びに冷却システム122の1つまたは複数の構成要素は、限られたスペース内に収容できるようなサイズ及び形状とした共通のハウジング124内部に保持されることがある。一例では、ハウジング124が利用する総体積を2m3とすることがある。ハウジング124に関する可能な寸法は、最大幅2.2m、最大高さ1.7m及び最大奥行1.2mを含むことがある。ハウジングとその内部にあるシステムの合成重量は概ね10000kgであることがある。ハウジング124は、ポリエチレン(PE)及び鉛から製作されると共に、サイクロトロン102からの中性子束及びガンマ線を減衰させるように構成された厚さを有することがある。例えばハウジング124は、中性子束を減衰させるハウジング124の所定の部分に沿って少なくとも約100mmの厚さ(サイクロトロン102を囲繞する内表面とハウジング124の外表面の間で計測)を有することがある。
【0020】
システム100は、荷電粒子を所定のエネルギーレベルまで加速するように構成されることがある。例えば、本明細書に記載した幾つかの実施形態は、概ね18MeV以下のエネルギーまで荷電粒子を加速する。別の実施形態ではそのシステム100は、概ね16.5MeV以下のエネルギーまで荷電粒子を加速する。具体的な実施形態ではそのシステム100は、概ね9.6MeV以下のエネルギーまで荷電粒子を加速する。さらに具体的な実施形態ではそのシステム100は、概ね7.8MeV以下のエネルギーまで荷電粒子を加速する。
【0021】
図2は、一実施形態に従って形成したサイクロトロン200の側面図である。サイクロトロン200は、加速チェンバー206を囲繞するヨーク体部204を有するマグネットヨーク202を含む。ヨーク体部204は、その間に延びる厚さがT1である相対する側面208及び210を有し、またさらにその間に延びる長さがLである上端部及び底端部212及び214を有する。ヨーク体部204は、側面208及び210を上端部及び底端部212及び214に対して接合させる遷移領域またはコーナー216〜219を含むことがある。より具体的には、上端部212はコーナー216及び217によってそれぞれ側面210及び208に接合されており、また底端部はコーナー219及び218によってそれぞれ側面210及び208に接合されている。この例示的実施形態では、ヨーク体部204は実質的に円形の断面を有しており、このためその長さLはヨーク体部204の直径を意味することがある。ヨーク体部204は、鉄から製造されると共に、サイクロトロン200を動作させたときに所望の磁場を発生させるようなサイズ及び形状とさせることがある。
【0022】
図2に示すようにヨーク体部204は、加速チェンバー206をその間に画定している対向するヨーク区画228及び230に分割することができる。ヨーク区画228及び230は、マグネットヨーク202の中間面232に沿って互いに隣接して位置決めされるように構成されている。図示したようにサイクロトロン200は、中間面232が水平プラットフォーム220と直角に延びるように(重力に対して)垂直方向に向けることがある。プラットフォーム220は、サイクロトロン200の重量を支えるように構成されており、これは例えば部屋の床やセメントの厚板とすることができる。サイクロトロン200はヨーク区画228と230(及び、対応する側面210と208のそれぞれ)の間でこれを通って水平に延びる中心軸236を有している。中心軸236は、ヨーク体部204の中心を通って中間面232と垂直に延びている。加速チェンバー206は、中間面232と中心軸236の交点に配置された中央領域238を有する。幾つかの実施形態ではその中央領域238は加速チェンバー206の幾何学中心にある。図のようにマグネットヨーク202は、中心軸236の上を延びる上側部分231と中心軸236の下を延びる下側部分233とを含む。
【0023】
ヨーク区画228及び230は、中間面232を横断して加速チェンバー206内部で互いに対向する極248と250のそれぞれを含む。極248及び250は極ギャップGPによって互いに分離されることがある。極248は極頂部252を含み、かつ極250はこの極頂部252と対面した極頂部254を含む。極248及び250並びに極ギャップGPは、サイクロトロン200の動作時に所望の磁場が生成されるようなサイズ及び形状としている。例えば、幾つかの実施形態では、その極ギャップGPを3cmとすることがある。
【0024】
サイクロトロン200はさらに、加速チェンバー206の内部またはこの近傍に配置させたマグネットアセンブリ260を含む。マグネットアセンブリ260は、極248及び250によって荷電粒子が所望の経路に沿って導かれるような磁場の生成を容易にするように構成されている。マグネットアセンブリ260は、距離D1の位置で中間面232を横断して互いから離間させた対向する1対のマグネットコイル264及び266を含む。マグネットコイル264及び266は例えば、銅合金の抵抗性コイルとすることがある。別法として、マグネットコイル264及び266をアルミニウム合金とすることがある。このマグネットコイルは実質的に円形とし中心軸236の周りに延びるようにすることがある。ヨーク区画228及び230によって、対応するマグネットコイル264及び266のそれぞれを受け容れるようなサイズ及び形状としたマグネットコイルキャビティ268及び270のそれぞれを形成させることがある。さらに図2に示したようにサイクロトロン200は、マグネットコイル264及び266を加速チェンバー206から分離させかつマグネットコイル264及び266の適所での保持を容易にするチェンバー壁272及び274を含むことがある。
【0025】
加速チェンバー206は、中心軸236の周りをうずまき状に取り巻きかつ実質的に中間面232に沿ったまま維持した所定の湾曲した経路に沿った荷電粒子(例えば、1H-イオン)のその中での加速を可能にするように構成されている。この荷電粒子は当初中央領域238の近傍に位置決めされる。サイクロトロン200を稼働させると、荷電粒子の経路は中心軸236の周りを回ることがある。図示した実施形態では、サイクロトロン200はイソクロナス・サイクロトロンであり、またこのために荷電粒子の軌道は中心軸236の周りで湾曲した部分とより直線的な部分とを有する。しかし本明細書に記載した実施形態はイソクロナス・サイクロトロンに限定されるものではなく、別のタイプのサイクロトロン及び粒子加速器を含む。図2に示すように、荷電粒子が中心軸236の周りを回る際に、荷電粒子は加速チェンバー206の上側部分231では紙面から突き出てくるようになり、かつ加速チェンバー206の下側部分233では紙面に入り込むようになることがある。荷電粒子が中心軸236の周りを回ると、荷電粒子の軌道と中央領域238の間に延びる半径Rが増大する。荷電粒子が軌道に沿った所定の箇所に達すると、荷電粒子は抽出システム(図示せず)内にまたはこれを通るように導かれかつサイクロトロン200から出るように導かれる。
【0026】
加速チェンバー206は、粒子ビーム112の形成前及び形成中は真空状態とすることがある。例えば、粒子ビームを生成する前の加速チェンバー206の圧力は概ね1×10-7ミリバールとすることがある。粒子ビームを起動させて中央領域238に配置させたイオン源(図示せず)内にH2ガスを流しているとき、加速チェンバー206の圧力は概ね2×10-5ミリバールとすることがある。このためサイクロトロン200は、中間面232の近傍とし得る真空ポンプ276を含むことがある。真空ポンプ276は、ヨーク体部204の端部214から半径方向外方に突き出した部分を含むことがある。より詳細には以下で検討することにするが、真空ポンプ276は加速チェンバー206を真空化するように構成したポンプを含むことがある。
【0027】
幾つかの実施形態ではそのヨーク区画228及び230は、加速チェンバー206に(例えば、修復やメンテナンスの目的で)アクセスできるように互いに向かう移動並びに互いから離れる移動を可能とさせることがある。例えばヨーク区画228及び230は、ヨーク区画228及び230と並んで延びるヒンジ(図示せず)によって接合させることがある。対応するヨーク区画(複数のこともある)をヒンジの軸の周りでピボットさせることによって、ヨーク区画228と230のいずれかまたはこの両方を開くことができる。別の例ではそのヨーク区画228及び230は、ヨーク区画の一方をもう一方から直線状に離れるように横方向に動かすことによって互いから分離させることができる。しかし代替的な実施形態ではそのヨーク区画228及び230は、一体に形成させることや、加速チェンバー206が(例えば、マグネットヨーク202の加速チェンバー206内まで繋がった穴または開口部を通して)アクセスを受けたときに互いの封止を維持させることがある。代替的な実施形態ではそのヨーク体部204は、分割を均等としない区画を有することがあり、かつ/または3つ以上の区画を含むことがある。例えばそのヨーク体部は、マグネットヨーク504に関連して図8に示すように3つの区画を有することがある。
【0028】
加速チェンバー206は、中間面232に沿いかつこれの周りで実質的に対称に延びる形状を有することがある。例えばその加速チェンバー206は実質的に円盤状とすると共に、極頂部252と254の間に画定される内側空間領域241と、チェンバー壁272と274の間に画定される外側空間領域243と、を含むことがある。サイクロトロン200の動作時における粒子の軌道は空間領域241の内部にあることがある。加速チェンバー206はさらに、真空ポンプ276の方向に繋がる通路P1(図3参照)など、空間領域243から半径方向外方に繋がった通路を含むことがある。
【0029】
さらに図2に示したように、ヨーク体部204はヨーク体部204のエンベロープ207を画定する外部表面205を有する。エンベロープ207は、外部表面205により画定されるヨーク体部204の全体形状と、僅かなキャビティ、切り出し部、窪みを除けば概ね同等の形状を有する(例証を目的として、図2ではエンベロープ207をヨーク体部204より大きく示している)。例えばエンベロープ207の一部分を端部214の外部表面205により画定される面に沿って延びる破線で示している。図2に示すようにエンベロープ207の断面は、側面208及び210の外部表面205、端部212及び214、並びにコーナー216〜219によって画定された八角形である。さらに詳細には以下で検討することにするがこのヨーク体部204は、構成要素やデバイスのエンベロープ207内への貫通を可能にする通路、切り出し部、窪み、キャビティその他を形成することがある。
【0030】
さらに極248及び250(またより具体的には、極頂部252及び254)は荷電粒子が所望の経路に沿って導かれているその間にある空間領域241で分離されることがある。マグネットコイル264及び266も空間領域243によって分離されることがある。具体的にはチェンバー壁272及び274は、その間に空間領域243を有することがある。さらに、空間領域243の周辺は、加速チェンバー206の周辺も画定している壁面354によって画定されることがある。壁面354は、中心軸236の周りに周回方向に延びることがある。図示したように空間領域241は、中心軸236に沿って極ギャップGP(図3)に等しい距離だけ延びており、また空間領域243は中心軸236に沿って距離D1だけ延びている。
【0031】
図2に示すように空間領域243は中心軸236の周りで空間領域241を囲繞する。空間領域241及び243は一体となって加速チェンバー206を形成することがある。したがって図示した実施形態ではサイクロトロン200は、単に空間領域241を囲繞しこれによりサイクロトロンの加速チェンバーとして空間領域243を画定するだけの別のタンクや壁は含んでいない。より具体的には真空ポンプ276は空間領域243を通して空間領域241に流体結合されている。空間領域241に入る気体は、空間領域241から空間領域243を通って真空化されることがある。真空ポンプ276は空間領域243に流体結合させている。
【0032】
図3は、サイクロトロン200の、より具体的には下側部分233の拡大側面断面図である。ヨーク体部204は、加速チェンバー206上に直接開いたポート278を画定することがある。真空ポンプ276は、ポート278の位置でヨーク体部204に直に結合されることがある。ポート278は、望ましくない気体粒子をそこを通って流入させる真空ポンプ276内への入口または開口部を提供する。ポート278は、ポート278を通過する気体粒子に対する所望のコンダクタンスが与えられるような形状(並びに、サイクロトロン200に関する別の要因や寸法)とすることがある。例えばポート278は、円形、正方形様、あるいは別の幾何学形状を有することがある。
【0033】
真空ポンプ276は、ヨーク体部204により形成されるポンプ受け容れ(PA)キャビティ282の内部に位置決めされる。PAキャビティ282は、加速チェンバー206に流体結合されると共に加速チェンバー206の空間領域243上に開いており、また通路P1を含むことがある。PAキャビティ282内部に位置決めされると、真空ポンプ276の少なくとも一部分はヨーク体部204のエンベロープ207(図2)の内部に来る。真空ポンプ276は、中央領域238または中心軸236から中間面232に沿って半径方向外方に突き出ることがある。真空ポンプ276の突き出しは、ヨーク体部204のエンベロープ207を超えることも超えないこともある。一例として真空ポンプ276は、加速チェンバー206とプラットフォーム220の間に配置させること(すなわち、真空ポンプ276が加速チェンバー206の直ぐ下側に配置されること)がある。別の実施形態ではその真空ポンプ276はさらに、別の箇所で中央領域238から中間面232に沿って半径方向外方に突き出ることがある。例えば真空ポンプ276は、図2の加速チェンバー206の上側や後ろ側とすることがある。代替的な実施形態ではその真空ポンプ276は、側面208と210のうちの一方から中心軸236と平行な方向で突き出ることがある。さらに、図3には真空ポンプ276を1つだけ示しているが、代替的な実施形態では複数の真空ポンプを含むことがある。さらにヨーク体部204は、追加的なPAキャビティを有することがある。
【0034】
より具体的には真空ポンプ276はポート278の位置でヨーク体部204に直に結合され、ヨーク体部204とプラットフォーム220の間に重力方向GFを基準とした向きで位置決めされることがある。真空ポンプ276は、真空ポンプ276の長手方向軸299が重力方向GFで延びる(すなわち、GFと長手方向軸299が互いに平行に延びる)ように方向付けされることがある。代替的な実施形態ではその真空ポンプ276の長手方向軸299は重力方向GFに対して角度θを形成することがある。角度θは例えば、10度を超えることがある。別の実施形態ではその角度θは約90度である。別の実施形態ではその角度θは90度を超えている。図示したように角度θは、重力方向に沿って延びる軸と中心軸236が形成する面に沿って回転する(すなわち、角度θは紙面に出入するように延びる軸の周りに回転する)ことがある。しかしこの角度θはまた、中間面232に沿って回転させることもある。このため真空ポンプ276は長手方向軸299が中間面232に沿って半径方向で中心部分238の方向に延びるように方向付けされることがある。
【0035】
具体的な実施形態ではその真空ポンプ276は、ターボ分子ポンプまたは無流体真空ポンプである。オイル拡散ポンプを用いる周知の真空システムは、オイルが加速チェンバー内に漏れ入ることがあるため上述のような角度θに方向付けできないことがある。しかし本明細書に記載したポンプのうちの幾つか(例えば、ターボ分子ポンプ)では、加速チェンバー206内に漏れ入るような流体を必要としないため、ヨーク体部204に直に結合されると共に、10度を超える角度θで方向付けすることができる。さらにこうしたポンプは、90度または少なくとも部分的に倒立状態となった角度θに方向付けされることがある。
【0036】
真空ポンプ276は、タンク壁280とその中に保持された真空またはポンプアセンブリ283とを含む。タンク壁280は、PAキャビティ282内部に収容されかつその中にポンプアセンブリ283が保持されるようなサイズ及び形状としている。例えばタンク壁280は、サイクロトロン200からプラットフォーム220まで延びるような実質的に円形の断面を有することがある。別法としてそのタンク壁280は、別の断面形状を有することがある。タンク壁280はポンプアセンブリ283が有効に動作できるようにその内部に十分な空間を備えることがある。壁面354は開口部356を画定することがあり、またヨーク区画228及び230はポート278の近傍にある対応するリム部分286及び288を形成することがある。リム部分286及び288は、開口部356からポート278まで延びる通路P1を画定することがある。ポート278は通路P1及び加速チェンバー206上に開くと共に、直径D2を有する。開口部356は直径D5を有する。直径D2及びD5は、サイクロトロン200が放射性アイソトープ生産の際に所望の効率で動作できるように構成されることがある。例えば直径D2及びD5は、極ギャップGPを含む加速チェンバー206のサイズ及び形状、並びにポンプアセンブリ283の動作コンダクタンスに基づかせることがある。具体的な一例ではその直径D2は約250mm〜約300mmとすることがある。
【0037】
ポンプアセンブリ283は、サイクロトロン200が放射性アイソトープ生産について所望の動作効率を得られるように加速チェンバー206を有効に真空化させる1つまたは複数のポンプデバイス284を含むことがある。ポンプアセンブリ283は、1つまたは複数の運動量輸送(momentum−transfer)タイプのポンプ、正変位タイプのポンプ及び/または別のタイプのポンプを含むことがある。例えばポンプアセンブリ283は、拡散ポンプ、イオンポンプ、極低温(cryogenic)ポンプ、ロータリーベイン(rotary vane)または粗引き(roughing)ポンプ、及び/またはターボ分子ポンプを含むことがある。ポンプアセンブリ283はさらに、1つのタイプのポンプを複数台を含むことや、異なるタイプを用いたポンプの組み合わせを含むことがある。ポンプアセンブリ283はまた、上述のポンプに関する異なる特徴やサブシステムを用いた混成ポンプを有することもある。図3に示すようにポンプアセンブリ283はまた、空気を周辺の大気中に放出できるようにロータリーベインまたは粗引きポンプ285に対して直列に流体結合させることがある。
【0038】
さらにポンプアセンブリ283は、換気バルブ、計器、封止、オイル、排出パイプを含む追加的なポンプ、タンクやチェンバー、コンジット、ライナー、バルブなど気体粒子を除去するための別の構成要素を含むことがある。さらにポンプアセンブリ283は、冷却システムを含むことや、冷却システムに接続されることがある。さらにポンプアセンブリ283全体をPAキャビティ282の内部(すなわち、エンベロープ207の内部)に収容することがあり、あるいは別法として、構成要素のうちの1つまたは幾つかのみをPAキャビティ282の内部に配置させることがある。この例示的実施形態ではポンプアセンブリ283は、少なくとも部分的にPAキャビティ282の内部に配置させた少なくとも1つの運動量輸送タイプの真空ポンプ(例えば、拡散ポンプまたはターボ分子ポンプ)を含む。
【0039】
図のように真空ポンプ276は、加速チェンバー206内部の圧力センサ312と連絡可能に結合されることがある。加速チェンバー206が所定の圧力に達すると、ポンプデバイス284を自動的に作動させる、あるいは自動的に停止させることができる。図示していないが、加速チェンバー206またはPAキャビティ282内部に追加的なセンサを存在させることがある。
【0040】
図4は、一実施形態に従って形成した真空ポンプ276(図2)として使用し得るターボ分子ポンプ376の側面図を表している。ターボ分子ポンプ376は、ヨーク体部204に直に結合される(すなわち、ヨーク体部に対する結合は、ヨーク体部204から離れてPAキャビティを出るように延びるコンジットやダクトを介さない)ことがある。ターボ分子ポンプ376は、中心軸290に沿ってマグネットヨークのポート378とプラットフォーム375の間を延びることがある。ターボ分子ポンプ376は、回転式ファン305と動作可能に結合させた電動機302を含む。回転式ファン305は、回転子ブレード304と固定子ブレード306の1段または複数段を含むことがある。各回転子ブレード304及び固定子ブレード306は、中心軸290に沿って延びる回転軸291から半径方向外方に突き出ている。使用時にターボ分子ポンプ376はコンプレッサと同様に動作する。回転子ブレード304、固定子ブレード306及び回転軸291は、中心軸290の周りに回転する。通路P2に沿って流れる気体粒子は、ポート378を通ってターボ分子ポンプ376に入ると共に、最初に1組の回転子ブレード304に当たる。回転子ブレード304は、気体粒子が加速チェンバー206(図3)などのサイクロトロンの加速チェンバーから遠ざるように押される形状としている。固定子ブレード306は対応する回転子ブレード304に隣接して位置決めされると共に、さらに加速チェンバーから遠ざけるように気体粒子を押している。この過程はファン305の回転子及び固定子ブレード304及び306の残りの段にわたって継続させ、加速チェンバーから離れてターボ分子ポンプ376の底部領域392に向かう方向に空気の流れを動かしている(矢印Fによってこの流れの方向を示す)。気体粒子がターボ分子ポンプ376の底部領域392に達すると、気体粒子は排出管またはコンジット308と通ってターボ分子ポンプ376から押し出されることがある。排出管308は加速チェンバーから除去される空気をタンク壁380から突き出たアウトレット310を通って導く。アウトレット210は、ロータリーベインまたは粗引きポンプ(図示せず)に流体結合させることがある。
【0041】
図5は、ヨーク区画228の分離斜視図であり、また極248、コイルキャビティ268及び真空ポンプ276(図2)のポート278(図2)に繋がる通路P1をより詳細に表している。X、Y及びZ軸は、図5のヨーク区画228の向きを示している。中間面232はX軸及びY軸によって形成される。中心軸236はZ軸に沿って延びている。ヨーク区画228は、図2に示した長さLに等しい直径D3を含む実質的に円形の体部を有する。ヨーク区画228は、リング部分321の内部に画定された側面開放型(open−sided)キャビティ320を含む。リング部分321は、中心軸236の周りに延びると共に側面開放型キャビティ320の周辺を画定する内表面322を有する。さらにヨーク区画228は、リング部分321の周りに延びる外部表面326を有する。リング部分321の半径方向厚T2は内表面322と外部表面326の間で画定される。
【0042】
図示したように極248は、側面開放型キャビティ320の内部に配置される。リング部分321及び極248は互いに同軸性であると共に、その中を通って延びる中心軸236を有する。極248及び内表面322によって、これらの間にコイルキャビティ268の少なくとも一部分が画定される。幾つかの実施形態ではそのヨーク区画228は、リング部分321に沿って延びると共に放射状線237及び239によって画定される面と平行な係合用表面324を含む。係合用表面324は、ヨーク区画228及び230を中間面232(図2)に沿って互いに係合させたときに、ヨーク区画230の対向する係合用表面(図示せず)と係合するように構成されている。
【0043】
図のようにヨーク区画228は、通路P1及びPAキャビティ282(図3)を部分的に画定するヨーク窪み330を含むことがある。ヨーク区画230は、ヨーク体部204(図2)によって通路P1及びPAキャビティ282が形成されるように同様の形状としたヨーク窪み340(図6参照)を有することがある。ヨーク窪み330は、ヨーク体部204が完全に形成されたときに真空ポンプ276を受け容れられるような形状としている。例えばヨーク窪み330は、形状を矩形とすると共にヨーク区画228内まで中心軸236の方向に奥行D4を延ばすことができる切り出し部341を有することがある。この切り出し部341はさらに、ヨーク区画228の弧部分に沿って延びる幅W1を有することがある。さらにヨーク区画228は、ポート278(図3)または通路P1を部分的に画定する棚状部分349を形成することがある。棚状部分349及び切り出し部341を含む窪み330は、サイクロトロン200(図2)の動作時における磁場に対する影響が最小または無影響となるようなサイズ及び形状とすることがある。
【0044】
一実施形態では、粒子と相互作用し得る表面322及び別の任意の表面の全部または一部分を、銅でめっきしている。銅めっきしたこの表面は、多孔性の鉄表面に関する影響を低減するように構成されている。一実施形態では、真空ポンプ276の内部表面は銅めっき処理を含むことがある。さらに銅めっきした内部表面は表面抵抗を低減するように構成されることがある。
【0045】
図示していないが、ヨーク区画228の半径方向厚T2を通って延びる追加的な穴、開口部または通路を存在させることがある。例えば、半径方向厚T2を通って延びるようなRFフィードスルーや別の電気接続を存在させることがある。さらに、粒子ビームがサイクロトロン200(図2)から出る箇所であるビーム出口チャンネルを存在させることがある。さらに、加速チェンバー206内部の構成要素を冷却するために冷却システム(図示せず)に半径方向厚T2を通って延びるコンジットを有させることがある。
【0046】
図示した実施形態ではサイクロトロン200は、磁極248の極頂部252が山部331〜334及び谷部336〜339を含む扇形からなる配列を形成しているようなイソクロナス・サイクロトロンである。以下でより詳細に検討することにするが、山部331〜334及び谷部336〜339は極250(図2)の対応する山部及び谷部と相互作用し、荷電粒子の経路を集束させるための磁場を発生させる。
【0047】
図6は、ヨーク区画230の平面図である。ヨーク区画230は、ヨーク区画228(図2)に関連して記載したのと同様の構成要素及び特徴を有することがある。例えばヨーク区画230は、磁極250をその内部に配置させて有する側面開放型キャビティ420を画定するリング部分421を含む。リング部分421は、ヨーク区画228の係合用表面324(図5)を係合するように構成された係合用表面424を含むことがある。図のように、ヨーク区画230はヨーク窪み340を含む。ヨーク体部204(図2)を完全に形成させたときに、切り出し部341(図5)及び切り出し部345の組み合わせによってPAキャビティ282、真空ポート278及び通路P1が形成される。PAキャビティ282は、真空ポンプ276をその内部に収容できかつ真空ポート278を円形とし得るように実質的に立方体またはボックスの形状とさせることがある。しかし代替的な実施形態では、そのPAキャビティ282及びポート278は別の形状を有することがある。
【0048】
極250の極頂部254は、山部431〜434と谷部436〜439とを含む。ヨーク区画230はさらに、半径方向内方で互いの方向に及び極250の中心444の方向に延びる無線周波数(RF)電極440及び442を含む。RF電極440及び442は、ステム445及び447のそれぞれから延び出る中空のディー441及び443のそれぞれを含む。ディー441及び443は、谷部436及び438のそれぞれの内部に配置させている。ステム445及び447はリング部分421の内表面422に結合させることがある。図のようにヨーク区画230は、極250及び内表面422の周りに配列させた複数のインターセプションパネル471〜474を含むことがある。インターセプションパネル471〜474は、加速チェンバー206内部で遺失の粒子を捕獲するように位置決めされている。インターセプションパネル471〜474はアルミニウムを含むことがある。ヨーク区画230はさらに、同じくアルミニウムを含み得るビームスクレイパー481〜484を含むことがある。
【0049】
RF電極440及び442は、図1を参照して記載した電場システム106などのRF電極システムを形成することがあり、RF電極440及び442によって加速チェンバー206(図2)内部の荷電粒子が加速される。RF電極440及び442は互いに協働して、所定の周波数(例えば、100MHz)に同調させた誘導性素子と容量性素子を含む共振系を形成する。RF電極システムは、1つまたは複数の増幅器と連絡した発振器を含むことがある高周波発電機(図示せず)を有することがある。RF電極システムはRF電極440と442の間に交番する電気ポテンシャルを生成しており、これにより荷電粒子が加速される。
【0050】
図7A及び7Bは、底部分233が受ける磁場を示しているサイクロトロン200(図2)の底部分233の断面図である。図7AはX軸及びY軸により形成される中間面232(図2)に沿って得たものであり、また図7BはY軸及びZ軸により形成される面に沿って得たものである。例証を目的として、真空ポンプ276(図2)を図示していない。しかし真空ポンプ276は、ターボ分子ポンプ、非拡散ポンプ、回転式ファンを有する無流体ポンプを含む上で検討した真空ポンプのうちのいずれとすることもできる。サイクロトロン200の動作時に、サイクロトロン200が発生させた磁場は所望の領域から逃れて磁場を望まない領域に入ることがある。こうした磁場のことは一般に「漏洩磁場」と呼んでいる。図7A及び7Bは、PAキャビティ282に影響を及ぼす漏洩磁場を表している。これらの漏洩磁場は磁場方向線Bで示している。PAキャビティ282内部の磁場は、2つの成分を含むことがある。すなわち、真空ポート278を通ってPAキャビティ282内まで貫通する極248と250の間(または、極頂部252と254の間)に生じる磁場(磁場方向線BPOLESで示す)と、PAキャビティ282を通って戻される反対方向に導かれた磁場(磁場方向線BRETURNで示す)と、である。磁場方向線BPOLES及びBRETURNがさらに真空ポート278より遠くに延びるに従って、対応した磁場の大きさは低下する。さらにBPOLESとBRETURNは互いに反対方向に導かれた磁場であり、PAキャビティ282内部で受ける磁場の大きさがさらに低下することがある。
【0051】
図7A及び7Bに示したようサイクロトロン200は、PAキャビティ282内部に漏洩磁場を生じさせるような平均磁場を極248と250の間に発生させるように構成されることがある。こうした実施形態ではその真空ポンプ276は依然として、少なくとも部分的にPAキャビティ282の内部に、かつ/または少なくとも部分的にヨーク体部204のエンベロープ207の内部に位置決めされることがある。例えばPAキャビティ282内部に生じる漏洩磁場は、真空ポンプ276がPAキャビティ282内部で有効に動作できるように低減または制限させることがある。本明細書で使用する場合に、PAキャビティ282の内部及び/またはエンベロープ207の内部に位置決めされていながら「有効に動作する」ことには、真空ポンプ276が商業的に妥当な期間にわたって動作することを含む。例えば真空ポンプ276は、大きな損傷を受けたり真空ポンプ276の交換を必要とせずに数年にわたって動作することができる。
【0052】
ヨーク体部204及びPAキャビティ282の寸法は、PAキャビティ282内部で受ける磁場が所定の値を超えないように構成させることがある。より具体的には、奥行D4、ヨーク体部204の厚さT2、幅W1(図7A)、幅W2(図7B)、並びに真空ポート278の直径D2のうちの1つまたは幾つかを、PAキャビティ282内部の磁場が所定の値を超えないようなサイズ及び形状とすることがある。例えば奥行D4は厚さT2の半分(1/2)より大きくすることがある。さらにヨーク体部204は、例えば厚さT2と奥行D4の差とし得る厚さT3を有するリム390を画定することがある。直径D2及び厚さT3は、所定のレベルのコンダクタンスを可能とするのみならず、PAキャビティ282内部で受ける磁場を所定の値まで低下させられるようなサイズ及び形状とさせることがある。一実施形態ではその厚さT2は概ね200mmであり、奥行D4は150mmを超えることがあり、また直径D2は概ね300mmである。しかし、ヨーク体部204の上述の寸法は単に例示であって限定の意図ではない。代替的な実施形態ではヨーク体部204の寸法を別の値とすることがある。
【0053】
このためサイクロトロン200は、真空ポンプ276が受ける磁場の大きさが所定の値を超えないように構成させることがある。例えば、極248と250の間の平均磁場を少なくとも1テスラとすることがあり、また真空ポンプ276が受ける磁場を約75ガウス未満とすることがある。さらに詳細には、極248と250の間の平均磁場を少なくとも1テスラとすることがあり、また真空ポンプ276が受ける磁場を約50ガウス未満とすることがある。別の実施形態では、極248と250の間の平均磁場を少なくとも1.5テスラとすることがあり、また真空ポンプ276が受ける磁場を約75ガウス未満とすることがあり、あるいは約50ガウス未満とすることがある。さらに詳細には、極248と250の間の平均磁場が1テスラまたは1.5テスラのときに、真空ポンプ276が受ける磁場を約30ガウス未満とすることがある。
【0054】
真空ポンプ276(例えば、ターボ分子ポンプ)は真空ポート278と直接結合させることがある。しかし真空ポンプ276は、PAキャビティ282の中に(すなわち、加速チェンバー206から離して)真空ポンプ276の真空ポート278からの離間をより大きくするような距離で位置決めすることがある。幾つかの実施形態では、真空ポート278の位置で受ける磁場は真空ポンプ276が有効に動作できるような所定の値を超えることがある。しかしこうした実施形態では、真空ポンプ276の電動機や回転式ファンなどその動作構成要素は、これらの動作構成要素が受ける磁場によって真空ポンプ276の有効な動作が妨げられないように真空ポンプ276の内部に配置されることがある。
【0055】
さらに代替的な実施形態ではそのPAキャビティ282は、その内部に位置決めされて真空ポンプ276を囲繞するシールドを有することがある。このシールドは、真空ポンプ276が受ける磁場を減衰させるために使用されることがある。
【0056】
図10A〜10Eは、PAキャビティを通過した広がる面に沿ってPAキャビティ内部で受ける磁場を表したグラフである。具体的には図10A〜10Eは、ヨーク体部の幾何学中心から(すなわち、図5に示すようなX軸に沿い)かつPAキャビティの幅または直径に沿った(すなわち、図5に示すようにYまたはZ軸に沿った)離れた距離でPAキャビティが受ける磁場を表している。図10A〜10EのPAキャビティは、加速チェンバーの近傍の開口部からポートまで延びた通路P1(図3)と同様の通路を有する。図10A〜10Eでは、開口部は250mmの直径を有しかつポートは300mmの直径を有する。図10Aはメジアン面232(図2)またはXY面(図5)などのメジアン面に沿った磁場の大きさを表しており、図10BはXY面内の磁場のz成分を表しており、図10CはYZ面に沿った磁場の大きさを表しており、図10DはYZ面内の磁場のz成分を表しており、図10EはYZ面内の磁場のy成分を表している。
【0057】
図10A〜10Eに示したようにPAキャビティ内部の磁場は、PAキャビティを貫通する及びこの中まで貫通する極間の磁場からの成分とヨーク体部の材料(例えば、鉄)ではなくPAキャビティを通る経路をとる反対方向に導かれたヨーク磁場の成分という2つの成分を含む。図10A〜10Eは、磁場の大きさ並びにポートを通る直交する2つの面(メジアン面z=0及び対称面x=0)内の支配的磁場成分を表している。
【0058】
図8は、一実施形態に従って形成したアイソトープ生産システムの斜視図である。システム500は病院や臨床設定内で使用されるように構成されており、またシステム100(図1)及びサイクロトロン200(図2〜6)で使用されるのと同様の構成要素及びシステムを含むことがある。システム500は、患者に使用される放射性アイソトープが作成されるサイクロトロン502及びターゲットシステム514を含むことがある。サイクロトロン502は、サイクロトロン502を作動させたときに荷電粒子が所定の経路に沿って移動する加速チェンバー533を画定している。サイクロトロン502は使用時に、荷電粒子を所定のまたは希望するビーム経路536に沿って加速すると共に、この粒子をターゲットシステム514のターゲットアレイ532に導いている。ビーム経路536は加速チェンバー533からターゲットシステム514内まで延びており、これを破線で示している。
【0059】
図9はサイクロトロン502の断面図である。図示したようにサイクロトロン502は、サイクロトロン200(図2)と同様の特徴及び構成要素を有する。しかしサイクロトロン502は、互いに挟み合された3つの区画528〜530を備えることがあるようなマグネットヨーク504を含む。より具体的にはこのサイクロトロン502は、ヨーク区画528と530の間に配置されたリング区画529を含む。リングとヨーク区画528〜530を図のように互いに重ね合わせたときに、ヨーク区画528及び530は中間面534を横断して互いに対面すると共に、マグネットヨーク504の加速チェンバー506をその中に画定する。図示したようにリング区画529は、真空ポンプ576のポート578に続く通路P3を画定することがある。真空ポンプ576は、真空ポンプ276(図2)と同様の特徴及び構成要素を有することがあり、またこれをターボ分子ポンプ376(図4)などのターボ分子ポンプとすることがある。
【0060】
図8に戻るとシステム500は、互いに対面するように開いた状態にした移動可能な隔壁552及び554を含むシュラウドまたはハウジング524を含むことがある。図8に示すように、隔壁552と554の両方を開放位置としている。ハウジング524は放射のシールドを容易にする材料を含むことがある。例えばハウジングは、ポリエチレンを含むこと、また任意選択では鉛を含むことがある。閉じているときに隔壁554は、ターゲットシステム514のターゲットアレイ532及びユーザインタフェース558を覆うことがある。隔壁552は閉じたときにサイクロトロン502を覆うことがある。
【0061】
図のようにサイクロトロン502のヨーク区画528は開放位置と閉鎖位置の間で移動可能とすることがある(図8は開放位置を表しており、また図9は閉鎖位置を表している)。ヨーク区画528は、ヨーク区画528に対して扉や蓋のようにスイング式で開くこと並びに加速チェンバー533に対するアクセスを提供することを可能とさせるようにヒンジ(図示せず)に対して取り付けられることがある。さらにヨーク区画530(図9)は、開放位置と閉鎖位置の間で移動可能とさせることや、リング区画529(図9)に対して封止させるかリング区画529(図9)と一体に形成させることがある。
【0062】
さらに真空ポンプ576は、リング区画529のポンプチェンバー562及びハウジング524の内部に配置されることがある。ポンプチェンバー562は、隔壁552及びヨーク区画528が開放位置にあるときにアクセスを受けることができる。図示したように真空ポンプ576は、ポート578の中心を通って水平支持体520から延びる垂直軸が中央領域538と交差するようにして加速チェンバー533の中央領域538の下側に配置されている。図のようにヨーク区画528及びリング区画529は、シールド窪み560を有することがある。このシールド窪み560を通ってビーム経路536が延びている。
【0063】
本明細書に記載した実施形態は、医学用途の放射性アイソトープの生成に限定するように意図しておらず、別のアイソトープを生成することや別のターゲット材料を使用することもあり得る。さらに図示した実施形態では、サイクロトロン200は垂直向きのイソクロナス・サイクロトロンである。しかし代替的な実施形態は、別の種類のサイクロトロンや別の向き(例えば、水平方向)を含むことがある。
【0064】
上の記述は例示であって限定でないことを理解されたい。例えば上述の実施形態(及び/または、その態様)は、互いに組み合わせて使用することができる。さらに、具体的な状況や材料を本発明の教示に適応させるように本趣旨を逸脱することなく多くの修正を実施することができる。本明細書内に記載した材料の寸法及びタイプが本発明のパラメータを規定するように意図していても、これらは決して限定ではなく実施形態の例示にすぎない。上の記述を検討することにより当業者には別の多くの実施形態が明らかとなろう。本発明の範囲はしたがって、添付の特許請求の範囲、並びに本請求範囲が規定する等価物の全範囲を参照しながら決定されるべきである。添付の特許請求の範囲では、「を含む(including)」や「ようになった(in which)」という表現を「を備える(comprising)」や「であるところの(wherein)」という対応する表現に対する平易な英語表現として使用している。さらに添付の特許請求の範囲では、「第1の」、「第2の」及び「第3の」その他の表現を単にラベル付けのために使用しており、その対象に対して数値的な要件を課すことを意図したものではない。さらに、添付の特許請求の範囲の限定は手段プラス機能形式で記載しておらず、また35 U.S.C.§112、第6パラグラフに基づいて解釈されるように意図したものでもない(ただし、本特許請求の範囲の限定によって「のための手段(means for)」の表現に続いて追加的な構造に関する機能排除の記述を明示的に用いる場合を除く)。
【0065】
この記載では、本発明(最適の形態を含む)を開示するため、並びに当業者による任意のデバイスやシステムの製作と使用及び組み込んだ任意の方法の実行を含む本発明の実施を可能にするために例を使用している。本発明の特許性のある範囲は本特許請求の範囲によって規定していると共に、当業者により行われる別の例を含むことができる。こうした別の例は、本特許請求の範囲の文字表記と異ならない構造要素を有する場合や、本特許請求の範囲の文字表記と実質的に差がない等価的な構造要素を有する場合があるが、本特許請求の範囲の域内にあるように意図したものである。
【符号の説明】
【0066】
100 アイソトープ生産システム
102 サイクロトロン
104 イオン源システム
106 電場システム
108 磁場システム
110 真空システム
112 荷電粒子ビーム
114 ターゲットシステム
115 抽出システム
116 ターゲット材料
117 ビーム輸送経路
118 制御システム
120 ターゲットエリア
122 冷却システム
124 ハウジング
200 サイクロトロン
202 マグネットヨーク
204 ヨーク体部
205 外部表面
206 加速チェンバー
207 エンベロープ
208 側面
210 側面
212 上端部
214 底端部
216 コーナー
217 コーナー
218 コーナー
219 コーナー
220 プラットフォーム
228 ヨーク区画
230 ヨーク区画
231 上側部分
232 中間面
233 下側部分
236 中心軸
237 放射状線
238 中央領域
239 放射状線
241 内側空間領域
243 外側空間領域
248 極
250 極
252 極頂部
254 極頂部
260 マグネットアセンブリ
264 マグネットコイル
266 マグネットコイル
268 マグネットコイルキャビティ
270 マグネットコイルキャビティ
272 チェンバー壁
274 チェンバー壁
276 真空ポンプ
278 ポート
280 タンク壁
282 ポンプ受け容れ(PA)キャビティ
283 真空またはポンプアセンブリ
284 ポンプデバイス
285 ロータリーベインまたは粗引きポンプ
286 リム部分
288 リム部分
290 中心軸
291 回転軸
299 長手方向軸
302 電動機
304 回転子ブレード
305 回転式ファン
306 固定子ブレード
308 排出管、コンジット
310 アウトレット
320 側面開放型キャビティ
321 リング部分
322 内表面
324 係合用表面
326 外部表面
330 ヨーク窪み
331〜334 山部
336〜339 谷部
340 ヨーク窪み
341 切り出し部
349 棚状部分
354 壁面
356 開口部
375 プラットフォーム
376 ターボ分子ポンプ
378 マグネットヨークのポート
380 タンク壁
390 リム
421 リング部分
422 内表面
431〜434 山部
436〜439 谷部
440 RF電極
441 中空のディー
442 RF電極
443 中空のディー
444 中心
445 ステム
447 ステム
471〜474 インターセプションパネル
481〜484 ビームスクレイパー
500 アイソトープ生産システム
502 サイクロトロン
504 マグネットヨーク
506 加速チェンバー
514 ターゲットシステム
520 水平支持体
524 シュラウドまたはハウジング
528 ヨーク区画
529 リング区画
530 ヨーク区画
532 ターゲットアレイ
533 加速チェンバー
534 中間面
536 ビーム経路
538 中央領域
552 隔壁
554 隔壁
558 ユーザインタフェース
560 シールド窪み
562 ポンプチェンバー
576 真空ポンプ
578 ポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速チェンバーを囲繞するヨーク体部を有するマグネットヨークと、
加速チェンバー内に配置された荷電粒子を所望の経路に沿って導くための磁場を発生させるためのマグネットアセンブリであって、該磁場は加速チェンバーを通りかつマグネットヨーク内部を伝播しており、該磁場の一部分はマグネットヨークの外部に漏洩磁場として逃げ出るマグネットアセンブリと、
ヨーク体部に直に結合されている、加速チェンバー内に真空を導入するように構成された真空ポンプであって、前記マグネットヨークは該真空ポンプが75ガウスを超える磁場を受けないように寸法設定されている真空ポンプと、
を備えるサイクロトロン。
【請求項2】
前記マグネットヨークは真空ポンプが50ガウスを超える磁場を受けないような寸法設定としている、請求項1に記載のサイクロトロン。
【請求項3】
前記ヨーク体部は荷電粒子が所望の経路に沿って導かれる空間をその間に有する相対する極頂部を備えており、該極頂部間の平均磁場強度は少なくとも1テスラである、請求項1に記載のサイクロトロン。
【請求項4】
前記真空ポンプは真空を生成するために回転式ファンを有する無流体ポンプである、請求項1に記載のサイクロトロン。
【請求項5】
前記ヨーク体部は加速チェンバーに流体結合されたポンプ受け容れ(PA)キャビティを形成しており、前記真空ポンプは該PAキャビティ内に位置決めされている、請求項1に記載のサイクロトロン。
【請求項6】
前記真空ポンプはターボ分子ポンプである、請求項1に記載のサイクロトロン。
【請求項7】
前記ヨーク体部は該ヨーク体部のエンベロープを画定する外部表面を有しており、前記真空ポンプが該エンベロープ内部に少なくとも部分的に配置されている、請求項1に記載のサイクロトロン。
【請求項8】
前記マグネットヨークはヨーク体部によって形成されたポンプ受け容れ(PA)キャビティを含み、前記真空ポンプが該PAキャビティの内部に位置決めされており、ヨーク体部は磁気アセンブリが発生させた磁場を基準として真空ポンプが受ける磁場が50ガウスを超えないように寸法設定されている、請求項1に記載のサイクロトロン。
【請求項9】
前記真空ポンプはヨーク体部に直に隣接して結合されており、該真空ポンプが受ける磁場が50ガウスを超えない、請求項1に記載のサイクロトロン。
【請求項10】
前記真空ポンプは重力方向を基準として10度を超える角度を形成する長手方向軸に沿って方向付けされている、請求項1に記載のサイクロトロン。
【請求項11】
前記真空ポンプは重力方向を基準として10度を超える角度を形成する長手方向軸の周りに回転するファンを含むターボ分子ポンプである、請求項1に記載のサイクロトロン。
【請求項12】
加速チェンバーを囲繞するヨーク体部を有するマグネットヨークと、
加速チェンバー内に配置された荷電粒子を所望の経路に沿って導くための磁場を発生させるためのマグネットアセンブリであって、該磁場は加速チェンバーを通りかつマグネットヨーク内部を伝播しており、該磁場の一部分はマグネットヨークの外部に漏洩磁場として逃げ出るマグネットアセンブリと、
ヨーク体部に直に結合されている、加速チェンバー内に真空を導入するように構成された真空ポンプであって、真空を生成するために回転式ファンを有する無流体ポンプとした真空ポンプと、
を備えるサイクロトロン。
【請求項13】
前記マグネットヨークは真空ポンプが50ガウスを超える磁場を受けないような寸法設定としている、請求項12に記載のサイクロトロン。
【請求項14】
前記ヨーク体部は荷電粒子が所望の経路に沿って導かれる空間をその間に有する相対する極頂部を備えており、該極頂部間の平均磁場強度は少なくとも1テスラである、請求項12に記載のサイクロトロン。
【請求項15】
前記ヨーク体部は加速チェンバーに流体結合されたポンプ受け容れ(PA)キャビティを形成しており、前記真空ポンプは該PAキャビティの内部に位置決めされている、請求項12に記載のサイクロトロン。
【請求項16】
前記真空ポンプはターボ分子ポンプである、請求項12に記載のサイクロトロン。
【請求項17】
前記マグネットヨークはヨーク体部によって形成されたポンプ受け容れ(PA)キャビティを含み、前記真空ポンプが該PAキャビティ内に位置決めされており、ヨーク体部は磁気アセンブリが発生させた磁場を基準として真空ポンプが受ける磁場が50ガウスを超えないように寸法設定されている、請求項12に記載のサイクロトロン。
【請求項18】
加速チェンバーを囲繞するヨーク体部を有するマグネットヨークと、
加速チェンバー内に配置された荷電粒子を所望の経路に沿って導くための磁場を発生させるためのマグネットアセンブリであって、該磁場は加速チェンバーを通りかつマグネットヨーク内部を伝播しており、該磁場の一部分はマグネットヨークの外部に漏洩磁場として逃げ出るマグネットアセンブリと、
ヨーク体部に直に結合されている、加速チェンバー内に真空を導入するように構成された真空ポンプであって、前記マグネットヨークは該真空ポンプが75ガウスを超える磁場を受けないように寸法設定されている真空ポンプと、
アイソトープを生成するための荷電粒子を受け取るように位置決めされたターゲット容器と、
を備えるアイソトープ生産システム。
【請求項19】
前記マグネットヨークは真空ポンプが50ガウスを超える磁場を受けないような寸法設定としている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記真空ポンプは真空を生成するために回転式ファンを有する無流体ポンプである、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記真空ポンプはターボ分子ポンプである、請求項18に記載のシステム。
【請求項22】
前記ヨーク体部は荷電粒子が所望の経路に沿って導かれる空間をその間に有する相対する極頂部を備えており、該極頂部間の平均磁場強度は少なくとも1テスラである、請求項18に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【公表番号】特表2012−526356(P2012−526356A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−509816(P2012−509816)
【出願日】平成22年3月22日(2010.3.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/028090
【国際公開番号】WO2010/129100
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】