説明

アクタガルジン誘導体

本開示は、式(II)の化合物、それを含む薬学的組成物、ならびに、微生物感染症、特にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症の処置のための、本化合物および組成物の使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ある種の新規化合物、それを含む薬学的組成物、ならびに、微生物感染症、特にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MRSA)感染症の処置のための、本化合物および組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
微生物を含む天然源より多くの抗菌化合物が同定された。多くの場合、抗菌化合物は複雑な化学構造、特に複雑な立体化学構造を有する。
【0003】
アクタガルジンは、アクチノプラネス・ガルバジネンシス(Actinoplanes garbadinensis)より調製される天然物であり、特に猩紅熱および連鎖球菌性咽頭炎感染症を引き起こすストレプトコッカス ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)に対する抗菌性(例えばEP0195359号(特許文献1)参照)を有する。EP0195359号の公開から22年間、新たな抗生物質が求められていたにもかかわらず、アクタガルジンから誘導される抗生物質は認可および販売されてこなかった。
【0004】
最近、デオキシアクタガルジンBに基づく化合物の新たなファミリーがWO 2007/083112号(特許文献2)に開示された。デオキシアクタガルジンBはA. リグリアエ(A. liguriae)より調製され、アクタガルジンと区別されるいくつかの特徴を有する。
【0005】
最小阻止濃度(MIC)などの、標準試験で測定される場合のMRSAに対するアクタガルジンの活性は、試験される菌株に応じて約32μg/mLの高さであることがある。したがってアクタガルジンはMRSAに対して低度〜中程度の活性しか有さない。これは、MIC値が高くなるほど化合物が有する抗菌活性が低くなるためである。
【0006】
最小阻止濃度(MIC)などの、標準試験で測定される場合のMRSAに対するデオキシアクタガルジンBの活性は、試験される菌株に応じて約32μg/mLの高さの活性を有することがある。したがってデオキシアクタガルジンはMRSAに対して低度〜中程度の活性しか有さない。
【0007】
MRSAは、ヒトおよび動物における処置困難な感染症の原因となる細菌である。MRSAと呼ばれる黄色ブドウ球菌の特定の菌株は、ペニシリンおよびセファロスポリンを含むβ-ラクタムと呼ばれる抗生物質の大きな群に耐性がある。
【0008】
この菌株はメディアで著しく注目を受け、「スーパーバグ(superbug)」との烙印を押された。開放創の患者、侵襲的装置を包含する術式を受ける患者、および免疫系が弱体化した患者は、特に入院中に感染症になる危険性が最も高い。感染症は伝染性が高く、病棟で同定される場合、除染されるまで病棟は閉鎖されることがある。
【0009】
したがって、MRSAに対する活性を有する抗菌化合物が特に有用である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】EP0195359
【特許文献2】WO 2007/083112
【発明の概要】
【0011】
MRSAに対する活性を有するある種の新規化合物が現在同定された。
【0012】
したがって一局面では、式(I)の化合物が提供される:

式中、
R1は、それが結合している炭素ならびにα-窒素およびα-カルボニルと一緒になってアミノ酸残基となり;
R2は、それが結合している炭素ならびにα-窒素およびα-カルボニルと一緒になってアミノ酸残基となり;
Wは、-OHまたは-XNR3R4であり;
Xは、結合またはアミノ酸残基であり;
R3は、HまたはC1〜6アルキルであり、;
R4は、H、C1〜6アルキル、-RA-L-Ar1であるか、あるいは
R3は、R4、およびそれらが結合している窒素と一緒になって、N、OまたはSより選択されるさらなるヘテロ原子(例えば1個、2個または3個のさらなるヘテロ原子)を含んでもよい5員または6員複素環基を形成し、この複素環基はY-Ar1で置換されており;
RAは、結合、-C0〜9アルキルC6〜10アリール、-C0〜9アルキルC5〜11ヘテロアリール、-C1〜9ヘテロアルキルC5〜11ヘテロアリール、-C0〜9アルキルC3〜6シクロアルキル、-C1〜9ヘテロアルキルC5〜11複素環または-C0〜9アルキルC5〜11複素環基であり;
Lは直鎖状または分岐状のC0〜15アルキル鎖であって、ここで1個または複数の炭素(例えば2個または3個)はN、OまたはSより独立して選択されるヘテロ原子で代替されていてもよく、このアルキル鎖は1個または複数(例えば1個または2個)のオキソ基またはニトロ基で置換されていてもよく、但しヘテロ原子は-NR3R4基のNに直接結合せず;
Yは直鎖状または分岐状のC0〜15アルキル鎖であって、ここで1個または複数の炭素(例えば2個または3個)はN、OまたはSより独立して選択されるヘテロ原子で代替されていてもよく、このアルキル鎖は1個または複数(例えば1個または2個)のオキソ基またはニトロ基で置換されていてもよく;
Ar1は、1個もしくは2個のNO2基、または1〜5個(例えば2個、3個もしくは4個)のハロゲン基、または1個もしくは2個のC1〜3ハロアルキル基、あるいはその組み合わせで置換されているフェニルであり;
R5は、それが結合している炭素ならびにα-窒素およびα-カルボニルと一緒になってアミノ酸残基となり;
Zは、H、C1〜6アルキル、アミノ酸残基または-RB-Q-Ar2であり;
RBは、結合、-C0〜9アルキルC6〜10アリール、-C0〜9アルキルC5〜11ヘテロアリール、-C0〜9アルキルC3〜6シクロアルキル、-C0〜9アルキルC5〜11複素環であり;
Qは直鎖状または分岐状のC0〜15アルキル鎖であって、ここで1個または複数の炭素(例えば2個または3個)はN、OまたはSより独立して選択されるヘテロ原子で代替されていてもよく、このアルキル鎖は1個または複数(例えば1個または2個)のオキソ基またはニトロ基で置換されていてもよく;
Ar2は、1個もしくは2個のNO2基または1〜5個(例えば2個、3個もしくは4個)のハロゲン基、あるいはその組み合わせで置換されているフェニルであり;
pは、0または1であり;および
断片:



または後者のE異性体であり、式(I)の化合物は少なくともAr1基またはAr2基を含む。
【0013】
本開示の化合物は、標準試験で測定される場合のMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、例えばR33、12232、R36、R34、R39、R37、R31、R40、W71、W74、W82、W96、W97、W98および/またはW99に対する活性、例えばMICを有する。
【0014】
さらに本化合物は、標準試験で測定される場合のメチシリン感受性黄色ブドウ球菌、例えばG15、G20、G22、G23、G28、G30、G31、G32、G33、G35、G12、G26、G29、SH1000および/または8325-4に対する活性、例えばMICを有する。
【0015】
一態様では、本開示の化合物は有利なことに、8μg/mL以下、例えば4または2μg/mLで、MRSAの1つまたは複数の菌株に対する活性を有し、この活性は親アクタガルジンまたはデオキシアクタガルジンB化合物に対して少なくとも2倍、例えば3倍または4倍の活性の増加を表す。
【0016】
これは特に驚くべきことである。というのも、「親」化合物から誘導される化合物は親化合物、例えばデオキシアクタガルジンB N-[1-(1-メチル-4-ピペリジニル)ピペラジン]モノカルボキサミドよりも劣る活性を有し、デオキシアクタガルジンB N-[1-(3-ジメチルアミノプロピル)ピペラジン]モノカルボキサミドは、約64μL/mLという黄色ブドウ球菌R33およびSH1000株に対するMICを有し、すなわちそれらがMRSAに対する低い活性を有するためである。理論に拘束されることは望まないが、本開示の化合物を特徴づける特異的に置換されたフェニル部分が、本明細書で観察される特殊な特性に著しく寄与すると考えられる。
【0017】
本開示の化合物は、いくつかの微生物、例えば本明細書で列挙される微生物に対する活性を有し、これにより広域抗生物質としての使用に好適になり得る。例えば、本開示の化合物は一般に、標準試験で測定される場合のバンコマイシン中等度耐性黄色ブドウ球菌、例えばV99、MI、Mu3、26、Mu50、2、NJ株、ならびに/あるいはバンコマイシン感受性または耐性腸球菌(enterococci)、例えばE. フェカリス(E. faecalis)7754422、GRL05022、GRL05023、GRL05024、GRL05026、GRL05027、GRL05029、GRL05030、GRL05031、GRL05032、GRL05033、GRL05034、GRL05035、7757400、9758512および/もしくは7791220またはE. フェシウム(E. faecium)7865229、19579、7662769、7634337、7865532、9709024、9710577、9704998および/もしくは7860190に対する抗菌活性、例えばMICを有する。
【0018】
したがって本開示の化合物は、黄色ブドウ球菌に対する活性を有し、さらにまたは代わりに腸球菌ならびに/またはS. ピオゲネスおよび/もしくはストレプトコッカス ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)に対する活性を有し得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(ATCC 33591)のマウス菌血症モデルにおける実施例1aの化合物の活性を、(接種後の)経時的な累積生存率の関数として示す。▲は実施例1の化合物を表し、■はバンコマイシンを表し、×は媒体を表す。実施例1aの化合物およびバンコマイシンは皮下投与した(いずれも3mg/Kg)。
【図2】5、10、20、30、40mg/Kgで2時間後および14時間後に投薬された実施例1aの化合物およびバンコマイシンの静脈内投与の有効性を、好中球減少マウス-(MRSA)メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(ATCC 33591)の、分離してホモジナイズした大腿筋における26時間の時点でのCFU/Kgに関する評価によって示す。
【図3】マウスにおける実施例1aの化合物の血漿中半減期の決定を示す。雄CD-1マウスでの静脈内投薬後、実施例1aの化合物の血漿中濃度(mg/mL)を10、20、30、60、120および240分後に決定した。
【図4】デオキシアクタガルジンBのHPLCクロマトグラムである。
【図5】実施例1反応混合物のHPLCクロマトグラムである。
【図6】精製後の実施例1のHPLCクロマトグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
詳細な説明
本開示の文脈でのアルキルは直鎖または分岐鎖アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチルまたはt-ブチルを意味する。
【0021】
本明細書で使用する複素環基とは、O、NおよびSより選択される1個または複数のヘテロ原子を含む飽和または部分不飽和環(すなわち非芳香族単環式または二環式環)、例えばピロリン(特に1、2または3-ピロリン)、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピラゾリン(特に2または3-ピラゾリン)、2-イミダゾリン、ピラゾリジン、イミダゾリジン、3-ジオキソラン、チアゾリジン、イソオキサゾリジン、ピラン(特に2Hまたは4H-ピラン)、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン、ピペリジン、1,4-オキサジン、1,4-ジオキシン、ピペラジン、モルホリン、1,4-ジオキサンなどの5員または6員複素環基のことである。C5〜11複素環などの本明細書で使用する定義において、ヘテロ原子が環内の炭素原子を代替可能であり、したがってC5〜11複素環および5〜11員複素環が互換的に使用されると理解される。複素環の他の定義も同様に解釈される。複素環は炭素または窒素を通じて連結可能である。
【0022】
本明細書で使用するシクロアルキルとは、飽和または部分不飽和炭素環、すなわち非芳香族炭素環、例えばシクロプロピル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルを意味する。
【0023】
本明細書で使用するヘテロアリールとは、O、NまたはSより選択される1個または複数のヘテロ原子を含む芳香族炭素環であって、一方または両方の環が芳香族である二環式系を含む炭素環、例えばピロール、フラン、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、トリアゾール、オキサジアゾール、フラザン、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、1H-ピロリジン、インドリジン、インドール、イソインドール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、インドリン、イソインドリン、ベンゾチオフェン、インダゾール、ベンゾイミダゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、クロマン、イソクロマン、クロメン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジンまたはフタラジンなどの5〜11員ヘテロアリールを意味する。C5〜11ヘテロアリールなどの本明細書で使用する定義において、ヘテロ原子が環内の炭素原子を代替可能であり、したがってC5〜11ヘテロアリールおよび5〜11員ヘテロアリールが互換的に使用されると理解される。ヘテロアリールの他の定義も同様に解釈される。ヘテロアリールは適宜炭素または窒素、特に炭素を通じて結合可能である。
【0024】
本明細書で使用するハロゲンとはフルオロ、クロロまたはブロモ、例えばフルオロまたはクロロを意味する。
【0025】
本明細書で使用するハロアルキルとは、1〜6個のハロゲン原子、例えば1〜5個のハロゲンを有するアルキル基、例えばパーハロアルキル、特にパーフルオロアルキル、より具体的には-CCl2CCl3、CCl3、-CF2CF3または-CF3を意味する。
【0026】
本明細書で使用するヘテロアルキルとは、1個または複数の炭素(例えば2個または3個)がN、OまたはSより独立して選択されるヘテロ原子で代替されていてもよい直鎖状または分岐状のC0〜15アルキル鎖であって、このアルキル鎖は1個または複数(例えば1個または2個)のオキソ基またはニトロ基で置換されていてもよい。
【0027】
炭素がO、NまたはSより選択されるヘテロ原子で代替されている飽和または不飽和の分岐状または非分岐状アルキル鎖に関して、ヘテロ原子が一級、二級もしくは三級炭素、すなわち-CH3、-CH2-、-CH-、または分岐状炭素基を技術的に適宜代替可能であることは、当業者には明らかであろう。
【0028】
一態様では、Ar1は1個もしくは2個のNO2基または1〜5個(例えば2個、3個もしくは4個)のハロゲン基、あるいはその組み合わせで置換されているフェニルである。
【0029】
一態様では、R1は、それが結合している炭素ならびにα-窒素およびα-カルボニルと一緒になって天然アミノ酸となる。
【0030】
一態様では、R1は、それが結合している炭素ならびにα-窒素およびα-カルボニルと一緒になって、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファンおよびチロシンより選択されるアミノ酸残基、例えばフェニルアラニン、バリン、ロイシンまたはイソロイシン、例えばバリン、ロイシンまたはイソロイシン、特にバリンとなる。
【0031】
一態様では、R2は、それが結合している炭素ならびにα-窒素およびα-カルボニルと一緒になって天然アミノ酸となる。
【0032】
一態様では、R2は、それが結合している炭素ならびにα-窒素およびα-カルボニルと一緒になって、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファンおよびチロシンより選択されるアミノ酸残基、例えばフェニルアラニン、バリン、ロイシンまたはイソロイシン、例えばバリン、ロイシンまたはイソロイシン、特にロイシンとなる。
【0033】
一態様では、R1はバリンであり、R2はロイシンである。
【0034】
一態様では、R1はイソロイシンであり、R2はバリンである。
【0035】
一態様では、Xは結合である。Xが結合である場合、-NR3R4の窒素がカルボニルの炭素に直接結合していると理解すべきである。
【0036】
代替的な態様では、Xはアラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファンおよびチロシンより例えば選択される天然アミノ酸、例えばアルギニンである。
【0037】
一態様では、R3はHである。代替的な態様では、R3はメチル、エチル、プロピルまたはブチルである。
【0038】
一態様では、R4はHである。代替的な態様では、R4はメチル、エチル、プロピルまたはブチルである。一態様では、R4がHまたはC1〜6アルキルである場合、Zは-RB-Q-Ar2である。代替的な態様では、R4は-RA-L-Ar1である。
【0039】
R4が-RA-L-Ar1である場合、Zは例えばH、C1〜6アルキルまたはアミノ酸残基であり得る。代替的な態様では、R4は-RA-L-Ar1であり、Zは-RB-Q-Ar2である。
【0040】
別の代替的な態様では、R3およびR4は、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OおよびSより選択されるさらなるヘテロ原子(例えば1個、2個または3個)を含んでもよい5員または6員複素環基、例えばピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、例えばピペラジンまたはピペリジンを形成する。
【0041】
一態様では、RAは結合、-C0〜9アルキルC6〜10アリール、-C0〜9アルキルC5〜11ヘテロアリール、-C0〜9アルキルC3〜6シクロアルキルまたは-C0〜9アルキルC5〜11複素環基である。
【0042】
一態様では、RAは結合である。RAが結合である場合、LまたはAr1が適宜-NR3R4の窒素に直接結合していると理解される。
【0043】
一態様では、RAはC0〜9アルキルC6〜10アリール、例えばC1アルキル-、C2アルキル-、C3アルキル-、C4アルキル-、C5アルキル-、C6アルキル-、C7アルキル-またはC8アルキル-フェニルまたはナフチル、特にフェニルである。C0を使用する場合、C6〜10アリールは-NR3R4の窒素に直接結合している。
【0044】
代替的な態様では、RAはC0〜9アルキルC5〜11ヘテロアリール、C0〜9アルキルC3〜6シクロアルキルまたは-C0〜9アルキルC5〜11複素環基である。
【0045】
代替的な態様では、RAはC0〜9アルキルC5〜11ヘテロアリール、例えばC1アルキル-、C2アルキル-、C3アルキル-、C4アルキル-、C5アルキル-、C6アルキル-、C7アルキル-またはC8アルキル-ピロール、フラン、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、トリアゾール、オキサジアゾール、フラザン、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、1H-ピロリジン、インドリジン、インドール、イソインドール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、インドリン、イソインドリン、ベンゾチオフェン、インダゾール、ベンゾイミダゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、クロマン、イソクロマン、クロメン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジンまたはフタラジンより例えば選択されるヘテロアリールである。
【0046】
一態様では、RAはC0〜9アルキルC3〜6シクロアルキル、例えばC1アルキル-、C2アルキル-、C3アルキル-、C4アルキル-、C5アルキル-、C6アルキル-、C7アルキル-またはC8アルキル-シクロプロピル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルより選択されるC3〜6シクロアルキルである。C0を使用する場合、C3〜6シクロアルキルは-NR3R4の窒素に直接結合している。
【0047】
一態様では、RAは-C0〜9アルキルC5〜11複素環基、例えばC1アルキル-、C2アルキル-、C3アルキル-、C4アルキル-、C5アルキル-、C6アルキル-、C7アルキル-またはC8アルキル-ピロリン(例えば1、2または3-ピロリン)、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピラゾリン(例えば2または3-ピラゾリン)、2-イミダゾリン、ピラゾリジン、イミダゾリジン、3-ジオキソラン、チアゾリジン、イソオキサゾリジン、ピラン(例えば2Hまたは4H-ピラン)、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン、ピペリジン、1,4-オキサジン、1,4-ジオキシン、ピペラジン、モルホリンおよび1,4-ジオキサンより例えば選択される複素環基である。C0を使用する場合、C5〜11複素環は-NR3R4の窒素に直接結合している。
【0048】
RAは明らかに結合基であり、したがって、それがシクロアルキル、複素環、ヘテロアリールまたはアリールなどの環を含む場合、LAr1は環を経由して結合可能である。
【0049】
一態様でのLはC0である。LがC0である場合、Ar1は-NR3R4の窒素に直接結合可能である。あるいは、LがC0である場合、Ar1はRAに結合可能である。
【0050】
代替的な態様では、Lは直鎖状または分岐状、例えば直鎖状のC1〜9アルキル鎖であって、1個または複数、例えば1個の炭素はO、NおよびSより選択されるヘテロ原子、例えばNで代替されていてもよく、かつオキソ(例えば1個または2個)で置換されていてもよい。例えば、Lは、いずれの炭素もヘテロ原子で代替されていない、例えば鎖が任意的な置換基を有さない、直鎖状のC1〜3アルキル鎖(例えばC1アルキル)である。
【0051】
あるいは、Lは直鎖状のC6〜9アルキル鎖であって、ここで1個の炭素はNなどのヘテロ原子で代替され、このアルキル鎖は1個のオキソ置換基、特に-(CH2)iNH(CH2)jまたは-(CH2)kNHC(O)-を有してもよく、ここでiは1〜12の整数であり、jは0または1であり、kは1〜14の整数であり、例えば-CH2CH2CH2NHCH2-または-CH2CH2CH2NHC(O)-である。
【0052】
一態様では、L中のヘテロ原子は、-NR3R4の窒素とは少なくとも2個の炭素原子で隔てられている。
【0053】
一態様では、YはC0である。YがC0である場合、Ar1は関連性のある複素環基に直接結合している。
【0054】
代替的な態様では、Yは直鎖状または分岐状、例えば直鎖状のC1〜5アルキル鎖(例えばC2、C3またはC4鎖、例えばC4アルキル鎖)であって、ここで1個または複数、例えば1個の炭素はO、NおよびSより選択されるヘテロ原子、例えばNで代替されていてもよく、かつオキソ(例えば1個または2個のオキソ置換基、特に炭素上)で置換されていてもよく、例えば-CH2-または-CH2CH2NHC(O)-である。
【0055】
一態様では、Ar1は、1個、2個、3個、4個または5個のハロゲン基、例えば2-クロロ、3-クロロ、4-クロロ、2-フルオロ、3-フルオロ、4-フルオロなどの1個のハロゲン基; ジ-フルオロ、ジ-クロロ、ジ-ブロモ(例えば2,3; 2,4; 2,5; 2,6; 3,4; 3,5ハロ)などの2個のハロゲン基; またはトリ-フルオロもしくはトリ-クロロなどの3個のハロゲン基; 特に4-クロロ、3,5ジ-クロロ、3,4ジ-クロロ、2,4ジ-クロロ、3,5ジ-フルオロ、3,4ジ-フルオロ、2,4-ジ-フルオロ、2-フルオロ4-ブロモ、特に4-クロロ、3,5ジ-クロロ、3,4ジ-クロロ、2,4-ジ-クロロもしくは2,4-ジ-フルオロで置換されているフェニルである。
【0056】
代替的な態様では、Ar1は、1個または2個のニトロ基、例えば2,3; 2,4; 2,5; 2,6; 3,4; 3,5ジ-ニトロ、例えば2-ニトロ、3-ニトロ、4-ニトロ、3,5-ニトロ、3,4-ニトロまたは2,4-ニトロで置換されているフェニルである。
【0057】
一態様では、Ar1は、1個、2個、3個または4個のハロゲンおよび1個または2個のニトロ基で置換されているフェニルであり、但しフェニルは多くとも5個の置換基しか有さない。
【0058】
代替的な態様では、Ar1は、1個または2個のハロアルキル基、例えば2-ハロアルキル、3-ハロアルキル、4-ハロアルキル、3,5ジ-ハロアルキル、3,4ジ-ハロアルキル、2,4-ジ-ハロアルキルで置換されているフェニルであって、特にハロアルキルが-CF3であるフェニルである。
【0059】
一態様では、断片-NR3R4は-ピペラジニル(CH2)nフェニルであり、フェニルは例えば上記定義の通り、1個もしくは2個のNO2基または1〜5個(例えば2個、3個もしくは4個)のハロゲン基で置換され、nは0または1である。
【0060】
一態様では、断片-NR3R4は-ピペラジニル(CH2)nフェニルであり、フェニルは例えば上記定義の通り、1個もしくは2個のハロアルキル基で置換され、nは0または1である。
【0061】
一態様では、断片-NR3R4は4位において-CH2フェニルで置換されている-ピペラジニルであり、後者はNO2、クロロおよびブロモより選択される1個または2個の基を有する。
【0062】
一態様では、断片-NR3R4は4位において-CH2フェニルで置換されている-ピペラジニルであって、フェニルがNO2、クロロおよびブロモより選択される1個または2個の基で置換され、特に骨格がアクタガルジンである-ピペラジニルではない。
【0063】
一態様では、化合物はアクタガルジン[4-(4'-ブロモベンジル)ピペラジン]モノカルボキサミド、アクタガルジン[4-(4'-クロロベンジル)ピペラジン]モノカルボキサミドまたはアクタガルジン[4-(4'-ニトロベンジル)ピペラジン]モノカルボキサミドではない。
【0064】
一局面では、断片-NR3R4は-ピペラジニルCH2CH2NHC(O)フェニルであり、フェニルは例えば上記定義の通りの1個もしくは2個のNO2基または1〜5個(例えば2個、3個もしくは4個)のハロゲン基で置換される。
【0065】
一局面では、断片-NR3R4は-ピペラジニルCH2CH2NHC(O)フェニルであり、フェニルは例えば上記定義の通り、1個もしくは2個のハロアルキル基で置換される。
【0066】
一態様では、R5はアラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファンおよびチロシンより例えば選択される天然アミノ酸残基、例えばフェニルアラニン、バリン、ロイシンまたはイソロイシン、特にバリンまたはロイシンである。
【0067】
一態様では、ZはH、C1〜6アルキル、例えばメチル、エチル、プロピルもしくはブチル、またはアラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファンおよびチロシンより例えば選択されるアミノ酸残基、例えばアラニンもしくはセリンである。
【0068】
一態様では、ZはHまたはala、例えばHである。一態様では、Zはフェニルアラニンである。
【0069】
代替的な態様では、Zは-RB-Q-Ar2である。
【0070】
一態様では、RBは結合である。RBが結合である場合、QまたはAr2が適宜1位のアミノ酸の末端窒素に直接結合していると理解される。
【0071】
代替的な態様では、RBはC0〜9アルキルC6〜10アリール、例えばC1アルキル-、C2アルキル-、C3アルキル-、C4アルキル-、C5アルキル-、C6アルキル-、C7アルキル-またはC8アルキル-フェニルまたはナフチル、特にフェニルである。C0を使用する場合、C6〜10アリールは1位のアミノ酸の末端窒素に直接結合している。
【0072】
代替的な態様では、RBは-C0〜9アルキルC5〜10ヘテロアリール、例えばC1アルキル-、C2アルキル-、C3アルキル-、C4アルキル-、C5アルキル-、C6アルキル-、C7アルキル-またはC8アルキル-ヘテロアリールであり、ヘテロアリールはピロール、フラン、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、トリアゾール、オキサジアゾール、フラザン、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、1H-ピロリジン、インドリジン、インドール、イソインドール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、インドリン、イソインドリン、ベンゾチオフェン、インダゾール、ベンゾイミダゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、クロマン、イソクロマン、クロメン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジンまたはフタラジンより例えば選択される。C0を使用する場合、C5〜10ヘテロアリールは1位のアミノ酸の末端窒素に直接結合している。
【0073】
一態様では、RBは-C0〜9アルキルC3〜6シクロアルキル、例えばC1アルキル-、C2アルキル-、C3アルキル-、C4アルキル-、C5アルキル-、C6アルキル-、C7アルキル-またはC8アルキル-C3〜6シクロアルキルであり、シクロアルキルはシクロプロピル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルより選択される。C0を使用する場合、C3〜6シクロアルキルは1位のアミノ酸の末端窒素に直接結合している。
【0074】
一態様では、RBはC0〜9アルキルC5〜11複素環基、例えばC1アルキル-、C2アルキル-、C3アルキル-、C4アルキル-、C5アルキル-、C6アルキル-、C7アルキル-またはC8アルキル-複素環基であり、複素環基はピロリン(例えば1、2または3-ピロリン)、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピラゾリン(例えば2または3-ピラゾリン)、2-イミダゾリン、ピラゾリジン、イミダゾリジン、3-ジオキソラン、チアゾリジン、イソオキサゾリジン、ピラン(例えば2Hまたは4H-ピラン)、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン、ピペリジン、1,4-オキサジン、1,4-ジオキシン、ピペラジン、モルホリンおよび1,4-ジオキサンより例えば選択される。C0を使用する場合、C5〜11複素環は1位のアミノ酸の末端窒素に直接結合している。
【0075】
一態様でのQはC0である。QがC0である場合、Ar2が1位のアミノ酸の末端窒素に直接結合可能であると理解される。
【0076】
代替的な態様では、Qは、直鎖状または分岐状、例えば直鎖状のC1〜9アルキル鎖であって、1個または複数、例えば1個の炭素がO、NおよびSより選択されるヘテロ原子、例えばNで代替されていてもよく、かつオキソで置換されていてもよい。例えば、Qは、いずれの炭素もヘテロ原子で代替されていない、特に鎖が任意的な置換基を有さない、直鎖状のC1〜3アルキル鎖(例えばC1アルキル)である。
【0077】
あるいは、Qは直鎖状のC6〜9アルキル鎖であって、ここで1個の炭素はNなどのヘテロ原子で代替され、このアルキル鎖は1個のオキソ置換基、特に-(CH2)fNH(CH2)gまたは-(CH2)hNHC(O)-を有してもよく、ここでfは1〜12の整数であり、gは0または1であり、kは1〜14の整数であり、例えば-CH2CH2CH2NHCH2-または-CH2CH2CH2NHC(O)-である。
【0078】
一態様では、Ar2は、1個、2個、3個、4個または5個、例えば2個のハロゲン基、例えばジ-フルオロ、ジ-クロロまたはジ-ブロモ、特に4-クロロ、3,5-ジ-クロロ、3,4ジ-クロロ、2,4-ジ-クロロまたは2,4-ジ-フルオロで置換されているフェニルである。代替的な態様では、Ar2は、1個または2個のニトロ基、例えば4-ニトロ、3,5-ニトロ、3,4-ニトロまたは2,4-ニトロで置換されているフェニルである。
【0079】
一態様では、pは0である。一態様では、pは1である。
【0080】
一態様では、断片:



である。
【0081】
代替的な態様では、断片:



である。
【0082】
一態様では、Wは-OHである。
【0083】
一態様では、少なくともAr1基またはAr2基を含む式(II)の化合物が提供され、R1、R2、R3、R4、R5、Zおよびpは上記定義の通りである。

【0084】
一態様では、式(III)を有する化合物が提供され、R1、R2、Z、YAr1およびpは式(I)の化合物について上記定義の通りであり、式(III)の化合物は少なくともAr1基またはAr2基を含む。

【0085】
一態様では、式(IV)の化合物が提供され、R1、R2、R3、Z、LおよびAr1は式(I)の化合物について上記定義の通りであり、式(IV)の化合物は少なくともAr1基またはAr2基を含む。

【0086】
本開示の各種局面を以下の項1〜64に示す。
【0087】
項1
一局面では、上記定義の式(I)の化合物が提供され、
R1は、それが結合している炭素ならびにα-窒素およびα-カルボニルと一緒になってアミノ酸残基となり、
R2は、それが結合している炭素ならびにα-窒素およびα-カルボニルと一緒になってアミノ酸残基となり、
Wは、-OHまたは-XNR3R4であり、
Xは、結合またはアミノ酸残基であり、
R3は、HまたはC1〜6アルキルであり、
R4は、H、C1〜6アルキル、-RA-L-Ar1であるか、あるいは
R3は、R4、およびそれらが結合している窒素と一緒になって、N、OまたはSより選択されるさらなるヘテロ原子を含んでもよい5員または6員複素環基を形成し、この複素環基はYAr1で置換されており、
RAは、結合、C0〜9アルキルC6〜10アリール、-C0〜9アルキルC5〜11ヘテロアリール、-C0〜9アルキルC3〜6シクロアルキル、-C0〜9アルキルC5〜11複素環基であり、
Lは直鎖状または分岐状のC0〜15アルキル鎖であって、ここで1個または複数の炭素(例えば2個または3個)はN、OまたはSより独立して選択されるヘテロ原子で代替されていてもよく、このアルキル鎖中の炭素は1個または複数のオキソ基またはニトロ基で置換されていてもよく、但しヘテロ原子は-NR3R4基のNに直接結合せず;
Yは直鎖状または分岐状のC0〜15アルキル鎖であって、ここで1個または複数の炭素(例えば2個または3個)はN、OまたはSより独立して選択されるヘテロ原子で代替されていてもよく、このアルキル鎖中の炭素は1個または複数のオキソ基またはニトロ基で置換されていてもよく;
Ar1は、1個もしくは2個のNO2基、または1〜5個、例えば2個、3個もしくは4個のハロゲン基で置換されているフェニルであり;
R5は、それが結合している炭素ならびにα-窒素およびα-カルボニルと一緒になってアミノ酸となり、
Zは、H、C1〜6アルキル、アミノ酸残基または-RB-Q-Ar2であり;
RBは、結合、-C0〜9アルキルC6〜10アリール、-C0〜9アルキルC5〜10ヘテロアリール、-C0〜9アルキルC3〜6シクロアルキル、-C0〜9アルキルC5〜10ヘテロシクリルであり;
Qは直鎖状または分岐状のC0〜15アルキル鎖であって、ここで1個または複数の炭素(例えば2個または3個)はN、OまたはSより独立して選択されるヘテロ原子で代替されていてもよく、このアルキル鎖中の炭素は1個または複数のハロゲン基、オキソ基またはニトロ基で置換されていてもよく、
Ar2は、1個もしくは2個のNO2基、または1〜5個、例えば2個、3個もしくは4個のハロゲン基で置換されているフェニルであり;
pは0または1であり;および
断片:



または後者のE異性体であり、但し式(I)の化合物は少なくともAr1基またはAr2基を含む。
【0088】
項2
一局面では、R1が、それが結合している炭素ならびにα-窒素およびα-カルボニルと一緒になって、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファンおよびチロシンより選択されるアミノ酸残基となる、項1記載の式(I)の化合物が提供される。
【0089】
項3
一局面では、R1が、それが結合している炭素ならびにα-窒素およびα-カルボニルと一緒になって、フェニルアラニン、バリン、ロイシンまたはイソロイシンとなる、項2記載の式(I)の化合物が提供される。
【0090】
項4
一局面では、R1が、それが結合している炭素ならびにα-窒素およびα-カルボニルと一緒になって、バリン、ロイシンまたはイソロイシンとなる、項3記載の式(I)の化合物が提供される。
【0091】
項5
一局面では、R2が、それが結合している炭素ならびにα-窒素およびα-カルボニルと一緒になって、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファンおよびチロシンより選択されるアミノ酸残基となる、項1〜4のいずれか一項記載の式(I)の化合物が提供される。
【0092】
項6
一局面では、R2が、それが結合している炭素ならびにα-窒素およびα-カルボニルと一緒になって、フェニルアラニン、バリン、ロイシンまたはイソロイシンとなる、項5記載の式(I)の化合物が提供される。
【0093】
項7
一局面では、R2が、それが結合している炭素ならびにα-窒素およびα-カルボニルと一緒になって、バリン、ロイシンまたはイソロイシンとなる、項6記載の式(I)の化合物が提供される。
【0094】
項8
一局面では、Xが結合である、項1〜7のいずれか一項記載の式(I)の化合物が提供される。
【0095】
項9
一局面では、Xが、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファンおよびチロシンより選択されるアミノ酸残基である、項1〜7のいずれか一項記載の式(I)の化合物が提供される。
【0096】
項10
一局面では、Xがアルギニンである、項9記載の式(I)の化合物が提供される。
【0097】
項11
一局面では、R3がHである、請求項1〜10のいずれか一項記載の式(I)の化合物が提供される。
【0098】
項12
一局面では、R3が、メチル、エチル、プロピルまたはブチルである、項1〜10のいずれか一項記載の式(I)の化合物が提供される。
【0099】
項13
一局面では、R4がHである、項1〜12のいずれか一項記載の式(I)の化合物が提供される。
【0100】
項14
一局面では、R4が、メチル、エチル、プロピルまたはブチルである、項1〜12のいずれか一項記載の式(I)の化合物が提供される。
【0101】
項15
一局面では、R4が-RA-L-Ar1である、項1〜12のいずれか一項記載の式(I)の化合物が提供される。
【0102】
項16
一局面では、R3およびR4が、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OまたはSより選択されるさらなるヘテロ原子を含んでもよい5員または6員複素環基を形成する、項1〜12のいずれか一項記載の式(I)の化合物が提供される。
【0103】
項17
一局面では、複素環基が、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンより選択される、項16記載の式(I)の化合物が提供される。
【0104】
項18
一局面では、R1、R2、Z、YAr1およびpが、式(I)の化合物について上記定義の通りである上記定義の式(III)を有する、項17記載の化合物が提供される。
【0105】
項19
一局面では、RAが結合である、項15記載の式(I)の化合物が提供される。
【0106】
項20
一局面では、RAが-C0〜9アルキルC6〜10アリールである、項15記載の式(I)の化合物が提供される。
【0107】
項21
一局面では、-C6〜10アリールがフェニルまたはナフチルである、項20記載の式(I)の化合物が提供される。
【0108】
項22
一局面では、RAが-C0〜9アルキルC5〜11ヘテロアリールである、項15記載の式(I)の化合物が提供される。
【0109】
項23
一局面では、RAが-C0〜9アルキルC5〜11複素環である、項15記載の式(I)の化合物が提供される。
【0110】
項24
一局面では、RAがC0〜9アルキルC3〜6シクロアルキルである、項15記載の式(I)の化合物が提供される。
【0111】
項25
一局面では、R1、R2、R3、Z、LおよびAr1が、式(I)の化合物について上記定義の通りである上記定義の式(IV)を有する、項15記載の化合物が提供される。
【0112】
項26
一局面では、LがC0である、項15および19〜25のいずれか一項記載の式(I)の化合物が提供される。
【0113】
項27
一局面では、Lは直鎖状または分岐状のC1〜9アルキル鎖であって、ここで1個または複数、例えば1個の炭素はO、NおよびSより選択されるヘテロ原子で代替されていてもよい、項15および19〜25のいずれか一項記載の式(I)の化合物が提供される。
【0114】
項28
一局面では、Lは-(CH2)iNH(CH2)jであって、ここでiは1〜12の整数であり、jは0または1である、例えば-(CH2)3NHCH2-である、項15および19〜25記載の式(I)の化合物が提供される。
【0115】
項29
一局面では、YがC0である、項16、17または18記載の式(I)の化合物が提供される。
【0116】
項30
一局面では、Yは直鎖状または分岐状のC1〜5アルキル鎖であって、ここで1個または複数、例えば1個の炭素はO、NおよびSより選択されるヘテロ原子で代替されていてもよく、このアルキル鎖中の炭素はオキソで置換されていてもよい、項16、17または18記載の式(I)の化合物が提供される。
【0117】
項31
一局面では、Yが、-CH2-または-CH2CH2NHC(O)-である、項30記載の式(I)の化合物が提供される。
【0118】
項32
一局面では、Ar1が、1個、2個、3個、4個または5個のハロゲン基で置換されているフェニルである、項15〜31のいずれか一項記載の式(I)の化合物が提供される。
【0119】
項33
一局面では、ハロゲン基が、モノまたはジ-フルオロ、モノ-またはジ-クロロおよびジ-ブロモより選択される、項32記載の式(I)の化合物が提供される。
【0120】
項34
一局面では、基が、4-クロロ、3,5-ジ-クロロ、3,4-ジ-クロロ、2,4-ジ-クロロおよび2,4-ジ-フルオロより選択される、項33記載の式(I)の化合物が提供される。
【0121】
項35
一局面では、-NR3R4が、nが0または1である-ピペラジニル(CH2)nフェニル、または前記ハロゲン基で置換されている-ピペラジニルCH2CH2NHC(O)フェニルである、項32〜34のいずれか一項記載の式(I)の化合物が提供される。
【0122】
項36
一局面では、Ar1が、1個または2個のニトロ基で置換されているフェニルである、項15〜31のいずれか一項記載の式(I)の化合物が提供される。
【0123】
項37
一局面では、ニトロ基が、4-ニトロ、3,5-ジ-ニトロ、3,4-ジ-ニトロおよび2,4-ジ-ニトロより選択される、項36記載の式(I)の化合物が提供される。
【0124】
項38
一局面では、-NR3R4が、nが0または1である-ピペラジニル(CH2)nフェニル、または前記ニトロ基で置換されている-ピペラジニルCH2CH2NHC(O)フェニルである、項36または37記載の式(I)の化合物が提供される。
【0125】
項39
一局面では、R5が、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファンおよびチロシンより例えば選択されるアミノ酸残基である、項1〜38のいずれか一項記載の式(I)の化合物が提供される。
【0126】
項40
一局面では、R5が、フェニルアラニン、バリン、ロイシンまたはイソロイシンである、項39記載の式(I)の化合物が提供される。
【0127】
項41
一局面では、ZがHである、項1〜40のいずれか一項記載の式(I)の化合物が提供される。
【0128】
項42
一局面では、Zが、メチル、エチル、プロピルまたはブチルである、項1〜40のいずれか一項記載の式(I)の化合物が提供される。
【0129】
項43
一局面では、Zが、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファンおよびチロシンより選択されるアミノ酸残基である、項1〜40のいずれか一項記載の式(I)の化合物が提供される。
【0130】
項44
一局面では、アミノ酸が、アラニンまたはセリンである、項43記載の式(I)の化合物が提供される。
【0131】
項45
一局面では、Zが-RB-Q-Ar2である、項1〜40のいずれか一項記載の式(I)の化合物が提供される。
【0132】
項46
一局面では、RBが結合である、項45記載の式(I)の化合物が提供される。
【0133】
項47
一局面では、RBがC0〜9アルキルC6〜10アリールである、項45記載の式(I)の化合物が提供される。
【0134】
項48
一局面では、C6〜10アリールがフェニルである、項47記載の式(I)の化合物が提供される。
【0135】
項49
一局面では、RBが-C0〜9アルキルC5〜10ヘテロアリールである、項45記載の式(I)の化合物が提供される。
【0136】
項50
一局面では、RBが-C0〜9アルキルC3〜6シクロアルキルである、項45記載の式(I)の化合物が提供される。
【0137】
項51
一局面では、RBがC0〜9アルキルC5〜11複素環である、項45記載の式(I)の化合物が提供される。
【0138】
項52
一局面では、QがC0である、項45〜51のいずれか一項記載の式(I)の化合物が提供される。
【0139】
項53
一局面では、Qが直鎖状または分岐状、例えば直鎖状のC1〜9アルキル鎖であって、ここで1個または複数、例えば1個の炭素がO、NおよびSより選択されるヘテロ原子で代替されていてもよい、項45〜51のいずれか一項記載の式(I)の化合物が提供される。
【0140】
項54
一局面では、Ar2が、1個、2個、3個、4個または5個のハロゲン基で置換されているフェニルである、項45〜53のいずれか一項記載の式(I)の化合物が提供される。
【0141】
項55
一局面では、Ar2が、1個または2個のニトロ基で置換されているフェニルである、項45〜53のいずれか一項記載の式(I)の化合物が提供される。
【0142】
項56
一局面では、pが0である、項1〜55のいずれか一項記載の式(I)の化合物が提供される。
【0143】
項57
一局面では、pが1である、項1〜55のいずれか一項記載の式(I)の化合物が提供される。
【0144】
項58
一局面では、断片:



である、項1〜57のいずれか一項記載の式(I)の化合物が提供される。
【0145】
項59
項1〜58のいずれか一項記載の式(I)の化合物と薬学的に許容される賦形剤とを含む薬学的組成物も提供される。
【0146】
項60
一局面では、処置における使用のための、項1〜58のいずれか一項記載の化合物または項59記載の組成物が提供される。
【0147】
項61
一局面では、抗菌剤としての使用のための、項1〜58のいずれか一項記載の化合物または項59記載の組成物が提供される。
【0148】
項62
MRSAを含む黄色ブドウ球菌、フェカリス、E. フェシウム、S. ピオゲネス、S. ニューモニエおよび/またはクロストリジウム ディフィシル(C. difficile)などの微生物感染症の処置における使用のための、項60または61に記載の化合物または組成物も提供される。
【0149】
項63
一局面では、治療有効量の項1〜58のいずれか一項記載の化合物または項59記載の組成物を、それを必要とする患者に投与する段階を含む処置方法が提供される。
【0150】
項64
一局面では、微生物感染症であるMRSAなどの黄色ブドウ球菌感染症、E. フェカリス、S. ピオゲネス、S. ニューモニエおよび/またはクロストリジウム ディフィシルの処置である、項63記載の方法が提供される。
【0151】
一態様では、式(II)の化合物が提供される:

式中、R1、R2、R3、R4、R5およびpは式(I)の化合物について上記定義の通りであり、Zは、H、C1〜6アルキルまたはアミノ酸であり、例えばZはHまたはala、特にHである。
【0152】
一態様では、Ar1は、1個もしくは2個のNO2基、または1〜5個、例えば2個、3個もしくは4個のハロゲン基、あるいはその組み合わせで置換されているフェニルである。
【0153】
式(II)の化合物の一態様では、-XNR3R4がピペラジン-YAr1である式(III)の化合物が提供される。
【0154】
式(II)または(III)の化合物の一態様では、YはC0である。
【0155】
式(II)または(III)の化合物の一態様では、Yは-CH2-である。
【0156】
式(II)または(III)の化合物の一態様では、YはC2〜12アルキル鎖であって、ここで1個または複数の炭素(例えば1〜3個、例えば2個)はN、OまたはSより独立して選択されるヘテロ原子で代替されていてもよく、このアルキル鎖は1個または複数(例えば1個または2個)のオキソ基またはニトロ基で置換されていてもよく、例えばYは-CH2CH2NHC(O)-、-CH2CH2CH2NHC(O)-または-CH2CH2NHCH2-であり、特にYは-CH2CH2NHC(O)-、-CH2CH2NHCH2-である。
【0157】
一態様では、-XNR3R4は、クロロ、ブロモまたはフルオロより選択される1個または2個の置換基を有するベンジルで4位において置換されているピペラジンではない。
【0158】
一態様では、式(II)の化合物は式(IV)の化合物である:

式中、R1、R2、R3、LおよびAr1は式(II)の化合物について上記定義の通りであり、ZはH、C1〜6アルキルまたはアミノ酸であり、例えばZはHまたはala、特にHである。
【0159】
式(II)もしくは(IV)の化合物、または薬学的に許容されるその塩の一態様では、
R1は、それが結合している炭素ならびにα-窒素およびα-カルボニルと一緒になってアミノ酸残基となり;
R2は、それが結合している炭素ならびにα-窒素およびα-カルボニルと一緒になってアミノ酸残基となり;
Xは結合またはアミノ酸残基であり;
R3はHまたはC1〜6アルキルであり;
R4はH、C1〜6アルキル、-RA-L-Ar1であり、あるいはR3は、R4、およびそれらが結合している窒素と一緒になって、N、OまたはSより選択されるさらなるヘテロ原子を含んでもよい5員または6員複素環基であって、YAr1で置換されている複素環基を形成し;
RAは結合、-C0〜9アルキルC6〜10アリール、-C0〜9アルキルC5〜11ヘテロアリール、-C0〜9アルキルC3〜6シクロアルキルまたは-C0〜9アルキルC5〜11複素環であり;
Lは直鎖状または分岐状のC0〜15アルキル鎖であって、ここで1個または複数の炭素はN、OまたはSより独立して選択されるヘテロ原子で代替されていてもよく、このアルキル鎖は1個または複数のオキソ基またはニトロ基で置換されていてもよく、但しヘテロ原子は-NR3R4基のNに直接結合せず;
Yは直鎖状または分岐状のC0〜15アルキル鎖であって、ここで1個または複数の炭素はN、OまたはSより独立して選択されるヘテロ原子で代替されていてもよく、このアルキル鎖は1個または複数のオキソ基またはニトロ基で置換されていてもよく;
Ar1は1個もしくは2個のNO2基または1〜5個、例えば2個、3個もしくは4個のハロゲン基または1個もしくは2個のC1〜3ハロアルキル基、あるいはその組み合わせで置換されているフェニルであり;
R5は、それが結合している炭素ならびにα-窒素およびα-カルボニルと一緒になってアミノ酸残基となり;
ZはH、C1〜6アルキル、アミノ酸残基であり;
pは0または1であり;および
断片:



または後者のE異性体である。
【0160】
式(II)または(IV)の化合物のある種の態様では、RAは結合、-C0〜9アルキルC5〜11ヘテロアリール、-C0〜9アルキルC3〜6シクロアルキルまたは-C0〜9アルキルC5〜11複素環である。
【0161】
式(II)、(III)または(IV)の化合物のある種の態様では、Ar1はジ-ニトロフェニルまたはジ-ハロフェニル、例えば:
3,5-ジ-クロロフェニル、3,4-ジ-クロロフェニル、2,4-ジ-クロロフェニル、3,5-ジ-フルオロフェニル、3,4-ジ-フルオロフェニルまたは2,4-ジ-フルオロフェニル、あるいは
3,5-ジ-ニトロフェニル、3,4-ジ-ニトロフェニルまたは2,4-ジ-ニトロフェニルである。
【0162】
式(II)、(III)または(IV)の化合物のある種の態様では、LはC0である。
【0163】
式(II)、(III)または(IV)の化合物のある種の態様では、Lは直鎖状または分岐状のC1〜9アルキル鎖であって、ここで1個または複数、例えば1個の炭素はO、NおよびSより選択されるヘテロ原子で代替されていてもよく、例えば、Lは直鎖状のアルキル鎖である。
【0164】
式(II)、(III)または(IV)の化合物のある種の態様では、Lは、-(CH2)iNH(CH2)jであって、ここでiは1〜12の整数であり、jは0または1であり、例えば-(CH2)2NHCH2-、-(CH2)3NHCH2-、-(CH2)4NHCH2-、-(CH2)5NHCH2-、-(CH2)6NHCH2-、-(CH2)7NHCH2-および-(CH2)8NHCH2-より選択される。
【0165】
式(II)、(III)または(IV)の化合物のある種の態様では、Lは直鎖状のC1〜15アルキル鎖であって、ここで1個または2個の炭素はN、OまたはSより独立して選択されるヘテロ原子で代替されていてもよく、このアルキル鎖は1個または2個のオキソ基で置換されていてもよく、例えば-(CH2)3NHCO-、-(CH2)3NH(CH2)3NHCH2-および-(CH2)7NHSO2-より選択される。
【0166】
一態様では、式(I)または(II)の化合物は以下より選択される:
デオキシアクタガルジンB (3,5-ジクロロベンジルアミン)モノカルボキサミド;
アクタガルジン (3,5-ジクロロベンジルアミン)モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB 19-[4-(4'-ニトロフェニル)ピペラジン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB 19-[4-(4'-クロロフェニル)ピペラジン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [2,4-ジクロロベンジルアミン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [4-(3',5'-ジクロロベンジル)ピペラジン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [4-(2'-フルオロ-4'-ブロモベンジル)-ピペラジン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [4-(4'-ニトロベンジル)ピペラジン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [4-ブロモベンジルアミン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [4-(3',4'-ジクロロフェニル)ピペラジン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [3-(3',5'-ジクロロベンジルアミノ)-1-プロピルアミン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [7-(3',5'-ジクロロベンジルアミノ)-1-ヘプチルアミン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [4-(2'-(3'',5''-ジクロロベンジルアミノ)エチル)-ピペラジン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [1-(4-クロロフェニル)ピペラジン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB (2,4-ジフルオロベンジルアミン)モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB 19-[4-(2'-(3'',5''-ジニトロベンズアミド)-エチル)-ピペラジン]モノカルボキサミド;
V15Fアクタガルジン (3,5-ジクロロベンジルアミン)モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [3-(3',5'-ジクロロベンズアミド)-プロピルアミン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB 19-[4-(3',5'-ジクロロベンジルアミノメチル)-ベンジル]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [3-(3'-(3'',5''-ジクロロベンジルアミノ)-プロピルアミノ)プロピルアミン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB (2,5-ジクロロベンジルアミン)モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB (3,4-ジクロロベンジルアミン)モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB (2-クロロベンジルアミン)モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB (3-クロロベンジルアミン)モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB (4-クロロベンジルアミン)モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB (2,6-ジクロロベンジルアミン)モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [6-(2',4',6'-トリクロロベンゼンスルホンアミド)-ヘキシルアミン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [5-(3',5'-ジクロロベンジルアミノ)-ペンチルアミン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [2-(3',5'-ジクロロベンジルアミノ)エチルアミン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [6-(3',5'-ジクロロベンジルアミノ)-ヘキシルアミン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [8-(3',5'-ジクロロベンジルアミノ)-オクチルアミン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [3-(2'-アミノメチル-4'-(2'',4''-ジクロロフェニル)-フラニル)プロピルアミン]モノカルボキサミド; および
デオキシアクタガルジンB [3-(2'-アミノメチル-4'-(2''-ニトロ-4''-クロロフェニル)-フラニル)プロピルアミン]モノカルボキサミド。
【0167】
一態様では、式(Ia)の化合物とNHR3R4基とを反応させる工程によって、式(II)の化合物を調製する方法が提供される:

式中、
R1は、それが結合している炭素ならびにα-窒素およびα-カルボニルと一緒になってアミノ酸残基となり;
R2は、それが結合している炭素ならびにα-窒素およびα-カルボニルと一緒になってアミノ酸残基となり;
Wは、-OH、または未反応C末端を有するアミノ酸であり;
R5は、それが結合している炭素ならびにα-窒素およびα-カルボニルと一緒になってアミノ酸残基となり;
Zは、H、C1〜6アルキル、アミノ酸残基であり;
pは、0または1であり;および
断片:



または後者のE異性体である。
【0168】
本開示の化合物は、薬学的に許容される塩の形態であり得るものであり、かつ/または薬学的に許容される塩として投与することができる。好適な塩に関する概説はBerge et al., J. Pharm. ScL, 1977, 66, 1-19を参照。
【0169】
典型的には、薬学的に許容される塩は、所望の塩または塩基を適宜使用して容易に調製することができる。塩は、溶液から析出させて濾取することができ、あるいは溶媒の蒸発により回収することができ、例えば、式(I)の化合物を好適な溶媒、例えばメタノールなどのアルコールに溶解させることができ、酸を同一の溶媒または別の好適な溶媒中に加えることができる。次に得られた酸付加塩を直接、またはジイソプロピルエーテルもしくはヘキサンなどの低極性溶媒の付加により析出させ、濾過により単離することができる。
【0170】
式(I)の化合物が2個以上の塩基性基を含有する場合、ビス塩またはトリス塩も形成可能でありかつ本開示に係る塩であるということを、当業者は認識するであろう。
【0171】
好適な付加塩は、無毒の塩を形成する無機酸または有機酸より形成され、例としてはラクトビオン酸塩、マンデル酸塩((S)-(+)-マンデル酸塩、(R)-(-)-マンデル酸塩および(R,S)-マンデル酸塩を含む)、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、グルタミン酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、グルコン酸塩、コハク酸塩、エチルコハク酸塩(4-エトキシ-4-オキソ-ブタン酸塩)、ピルビン酸塩、シュウ酸塩、オキサロ酢酸塩、糖酸塩、安息香酸塩、グリコール酸塩、グルクロン酸塩、アルキルもしくはアリールスルホン酸塩(例えばメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩またはp-トルエンスルホン酸塩)、メシル酸塩ならびにイセチオン酸塩がある。
【0172】
薬学的に許容される塩基塩としてはアンモニウム塩、ナトリウムおよびカリウムの塩などのアルカリ金属塩、カルシウムおよびマグネシウムの塩などのアルカリ土類金属塩、ならびにイソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミンおよびN-メチル-D-グルカミンなどの一級、二級および三級アミンの塩を含む有機塩基との塩が挙げられる。
【0173】
塩を使用して、本開示の化合物の溶解度を最適化することができる。
【0174】
多くの有機化合物が、それらがその中で反応するかまたはそれらがそこから析出もしくは結晶化される溶媒と複合体を形成し得ることを、有機化学の当業者は認識するであろう。これらの複合体は「溶媒和物」として知られている。例えば、水との複合体は「水和物」として知られている。式(I)の化合物の溶媒和物は本開示の範囲内である。本開示の化合物の塩は溶媒和物(例えば水和物)を形成し得るものであり、本開示はすべてのそのような溶媒和物も含む。
【0175】
本明細書で使用する「プロドラッグ」という用語は、医療効果を有するその活性形態に例えば血中の加水分解により体内で変換される化合物を意味する。薬学的に許容されるプロドラッグはT. Higuchi and V. Stella, "Prodrugs as Novel Delivery Systems", Vol. 14 of the A.C.S. Symposium Series; Edward B. Roche, ed., "Bioreversible Carriers in Drug Design", American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987; およびD. Fleisher, S. Ramon and H. Barbra "Improved oral drug delivery: solubility limitations overcome by the use of prodrugs", Advanced Drug Delivery Reviews (1996) 19(2) 115-130に記載されており、いずれも参照により本明細書に組み入れられる。
【0176】
プロドラッグとは、そのようなプロドラッグを患者に投与する際に式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物をインビボで放出する任意の共有結合担体のことである。プロドラッグは一般に、修飾が日常的操作またはインビボのいずれかで開裂されて親化合物を生じさせるように官能基を修飾することで調製される。プロドラッグとしては例えば、患者に投与される際に開裂してヒドロキシ基、アミン基またはスルフヒドリル基を形成する任意の基にヒドロキシ基、アミン基またはスルフヒドリル基が結合している本開示の化合物が挙げられる。したがってプロドラッグの代表例としては、式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物のアルコール、スルフヒドリルおよびアミン官能基のギ酸および安息香酸誘導体が挙げられる(がそれに限定されない)。さらに、カルボン酸(-COOH)の場合、メチルエステル、エチルエステルなどのエステルを使用することができる。エステルは、それ自体で活性であり得るものであり、かつ/またはヒト体内のインビボ条件下で加水分解性であり得る。好適な薬学的に許容されるインビボ加水分解性エステル基としては、ヒト体内で容易に分解されて親化合物またはその塩を残すものが挙げられる。
【0177】
本開示に係る化合物に対する以後の言及は、式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物とそれらの薬学的に許容される塩および誘導体との両方を含む。文脈が別途具体的に示さない限り、式(I)の化合物に対する言及は本発明の範囲内の他の化合物を含む。
【0178】
立体異性体に関して、式(I)、(Ia)、(II)、(III)および(IV)の化合物は2個以上の不斉炭素原子を有する。図示する一般式(I)、(II)、(III)または(IV)において、実線の楔形の結合は、その結合が紙の平面の上方にあることを示す。破線の結合は、その結合が紙の平面の下方にあることを示す。
【0179】
式(I)、(Ia)、(II)、(III)または(IV)の化合物中の置換基も1個または複数の不斉炭素原子を有し得ると認識される。
【0180】
構造(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物は個々の鏡像異性体またはジアステレオマーとして生じ得る。すべてのそのような異性体形態はその混合物を含めて本開示内に含まれる。
【0181】
ジアステレオ異性体またはシスおよびトランス異性体の分離は慣習的な技術、例えば分別結晶化、クロマトグラフィーまたはHPLCにより実現することができる。また薬剤の立体異性体混合物は、対応する光学的に純粋な中間体から、または好適なキラル支持体を使用する対応する混合物のHPLCなどによる分割により、または対応する混合物と好適な光学活性酸もしくは塩基とを適宜反応させることで形成されるジアステレオ異性体塩の分別結晶化により調製することができる。
【0182】
本明細書に記載の式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物はその互変異性形態、例えばケト/エノール互変異性体にも及ぶ。
【0183】
式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物は結晶形態または非晶質形態であり得る。さらに、構造(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物の結晶形態の一部は多形として存在し得るものであり、いずれの形態も本開示に含まれる。
【0184】
別の局面では、本発明は、有効成分としての本開示の化合物または薬学的に許容されるその誘導体と薬学的に許容される賦形剤、希釈剤および/または担体との組み合わせを含む、治療における、特に抗菌化合物による寛解に対して感受性のある状態に罹患しているヒトまたは動物対象の処置における使用のための薬学的組成物を提供する。
【0185】
別の局面では、本発明は、治療有効量の本開示の化合物と薬学的に許容される賦形剤、希釈剤および/または担体(その組み合わせを含む)とを含む薬学的組成物を提供する。
【0186】
さらに、本開示の化合物または薬学的に許容されるその誘導体と薬学的に許容される賦形剤、希釈剤および/または担体とを一緒に混合する工程を含む、薬学的組成物を調製する方法が本開示により提供される。
【0187】
本開示の化合物は、ヒト医学または獣医学における使用に好都合な任意の方法での投与用に調剤することができ、したがって本開示は、ヒト医学または獣医学における使用に適応した本開示の化合物を含む薬学的組成物をその範囲内に含む。そのような組成物は、1つまたは複数の好適な賦形剤、希釈剤および/または担体の助けによる慣習的な使用のために提示することができる。治療用に許容される賦形剤、希釈剤および担体は薬学分野で周知であり、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co. (A. R. Gennaro edit. 1985)に記載されている。薬学的賦形剤、希釈剤および/または担体の選択は、意図する投与経路および標準的薬務に関して選択することができる。薬学的組成物は、賦形剤、希釈剤および/もしくは担体として、またはそれに加えて、任意の好適な結合剤、潤滑剤、懸濁化剤、コーティング剤、可溶化剤を含み得る。
【0188】
保存料、安定剤、色素、さらには調味料を薬学的組成物中に与えることができる。保存料の例としては安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、およびp-ヒドロキシ安息香酸エステルが挙げられる。酸化防止剤および懸濁化剤も使用可能である。
【0189】
いくつかの態様では、本開示の薬剤はシクロデキストリンとの組み合わせで使用することもできる。シクロデキストリンは、薬物分子と包接錯体および非包接錯体を形成することが知られている。薬物-シクロデキストリン錯体の形成は、薬物分子の溶解度、溶解速度、バイオアベイラビリティおよび/または安定性を修正することができる。一般に薬物-シクロデキストリン錯体は、大部分の剤形および投与経路に有用である。薬物との直接錯体化の代わりとして、シクロデキストリンを補助添加剤として、例えば担体、希釈剤または可溶化剤として使用することができる。α-、β-およびγ-シクロデキストリンが最も一般的に使用され、好適な例はWO 91/11172号、WO 94/02518号およびWO 98/55148号に記載されている。
【0190】
湿式微粉砕などの公知の微粉砕手順を使用して本開示の化合物を微粉砕することで、錠剤形成および他の調剤種類に適した粒径を得ることができる。本発明の化合物の微粉化(ナノ粒子状)製剤は当技術分野で公知の方法により調製することができる。例えば国際特許出願第WO 02/00196号(SmithKline Beecham)を参照。
【0191】
投与(送達)用経路としては経口(例えば乾燥散剤/易流動性粒子状製剤、錠剤、カプセル剤として、または経口摂取溶液剤もしくは懸濁液剤として)、直腸、頬側および舌下の1つまたは複数が挙げられるがそれに限定されない。本開示の組成物は、非経口、経口、頬側、直腸、局所、移植片、眼部、経鼻または尿生殖器用に特に調剤される形態のものを含む。本発明の一局面では、薬剤は経口送達され、したがって薬剤は経口送達に好適な形態である。
【0192】
いくつかの場合では、粘膜(例えば吸入用の経鼻スプレー剤もしくはエアロゾル剤として)、経鼻、胃腸、脊髄内、腹腔内、筋肉内、静脈内、子宮内、眼内、皮内、頭蓋内、気管内、膣内、側脳室内、脳内、皮下、眼部(硝子体内もしくは前房内を含む)を含む局所、非経口(例えば注射用形態による)または経皮経路で本開示の化合物を送達することが可能であり得る。
【0193】
異なる送達系に応じて異なる組成/調剤上の要件が存在し得る。例としては、ミニポンプを使用してまたは粘膜経路で、例えば吸入用の経鼻スプレー剤もしくはエアロゾル剤または経口摂取溶液剤として送達されるように、あるいは、例えば静脈内、筋肉内または皮下経路での送達のために注射用形態で組成物を調剤する形で非経口送達されるように、本開示の薬学的組成物を調剤することができる。あるいは、両方の経路で送達されるように製剤を設計することもできる。適切であれば、薬学的組成物を吸入により投与するか、坐薬もしくはペッサリー剤の形態で投与するか、ローション剤、溶液剤、クリーム剤、軟膏剤もしくは粉剤の形態で局所投与するか、皮膚パッチ剤の使用により投与するか、デンプンもしくはラクトースなどの賦形剤を含有する錠剤の形態で、または単独もしくは賦形剤との混合物のカプセル剤もしくはオビュール剤(ovules)として、または調味料もしくは着色料を含有するエリキシル剤、溶液剤もしくは懸濁液剤の形態で経口投与することができ、あるいは、それらを非経口注射、例えば静脈内、筋肉内または皮下注射することもできる。
【0194】
非経口投与では、本組成物は滅菌水溶液剤の形態で最善に使用することができ、滅菌水溶液剤は他の物質、例えばその溶液剤を血液と等張性にするために十分な塩または単糖を含有し得る。頬側または舌下投与では、本組成物は、慣習的に調剤可能な錠剤または舐剤の形態で投与することができる。本開示の化合物を非経口投与する場合、そのような投与の例としては薬剤の静脈内、動脈内、腹腔内、くも膜下腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内もしくは皮下投与および/または点滴技術を使用する投与のうち1つまたは複数が挙げられる。
【0195】
本開示の化合物は、調味料または着色料を含有し得る即時放出、遅延放出、調節放出、持続放出、パルス放出または制御放出用途の錠剤、カプセル剤、オビュール剤、エリキシル剤、溶液剤または懸濁液剤の形態で投与する(例えば経口または局所)ことができる。
【0196】
本開示の化合物は、経口または頬側投与に好適な形態で、例えば、調味料および着色料を任意的に有する溶液剤、ゲル剤、シロップ剤、洗口剤もしくは懸濁液剤、または使用前に水もしくは他の好適な媒体を用いて構成される乾燥散剤の形態で、ヒトまたは獣医学用に提示することもできる。
【0197】
錠剤、カプセル剤、舐剤、パステル剤、丸剤、巨丸剤、散剤、ペースト剤、顆粒剤、ビュレット剤またはプレミックス製剤などの固体組成物も使用可能である。経口用固体および液体組成物は当技術分野で周知の方法に従って調製することができる。そのような組成物は、固体または液体形態であり得る1つまたは複数の薬学的に許容される担体および賦形剤も含有し得る。
【0198】
錠剤は、結晶セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウムおよびグリシン、マンニトール、アルファ化デンプン、コーンスターチ、ジャガイモデンプンなどの賦形剤、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウムおよびある種の複合ケイ酸塩などの崩壊剤、ならびにポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、スクロース、ゼラチンおよびアラビアゴムなどの造粒結合剤を含有し得る。
【0199】
さらに、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリルおよびタルクなどの潤滑剤が含まれ得る。
【0200】
同様の種類の固体組成物をゼラチンまたはHPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)カプセル中の充填剤として使用することもできる。この点で好ましい賦形剤としては結晶セルロース、ラクトース、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、およびマンニトール、アルファ化デンプン、コーンスターチ、ジャガイモデンプンまたは高分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。懸濁液剤および/またはエリキシル剤では、薬剤と各種甘味料または調味料、着色剤または色素、乳化剤および/または懸濁液剤、ならびに水、エタノール、プロピレングリコールおよびグリセリンならびにその組み合わせなどの希釈剤とを組み合わせることができる。
【0201】
1つまたは複数の式(I)の化合物および担体を各々含む粉末(単独のまたは選択された充填剤とのブレンドとしての医薬の)あるいは液体でカプセル剤を充填することができる。カプセル剤を粉末で充填する場合、式(I)の化合物および/または担体を微粉砕または微粒子化して、適切な粒径を有する材料を与えることができる。
【0202】
錠剤またはカプセル剤として経口投与する場合、本開示の化合物を例えば腸溶コーティングでコーティングすることができる。胃腸管内での制御された溶解を可能にするRohm Pharma Polymersより入手可能なEUDRAGIT(登録商標)フィルムなどの薄いフィルムで例えば錠剤またはカプセル剤を適宜コーティングすることができる。フィルムは、EUDRAGIT(登録商標)E 100 (アミノアルキルメタクリレート共重合体)などのカチオン性ポリマーまたはEUDRAGIT(登録商標)L (メタクリル酸共重合体)およびEUDRAGIT Sなどのアニオン性アクリルポリマーとして入手可能である。
【0203】
EUDRAGIT(登録商標)RL (アミノメタクリレート共重合体)およびEUDRAGIT(登録商標)RSなどの透過性アクリルポリマーも入手可能である。
【0204】
これらのコーティング製剤は、タルク、シリコーン消泡乳濁液、ポリエチレングリコールなどの最適な成分を含む水性分散液剤として調製することができる。あるいは、コーティング製剤を有機ポリマー溶液として調製することもできる。
【0205】
あるいは、Colorconより入手可能なOPADRY(登録商標)(Surelease(登録商標))コーティング系を使用して錠剤をコーティングすることもできる。水性系は最大15%w/wのOPADRY(登録商標)を一般に含む。有機溶媒系は最大5%w/wのOPADRY(登録商標)を一般に含む。
【0206】
コーティングは公知の技術、例えば以下により調製することができる。1. 所要量のOPADRY(登録商標)フィルムコーティング系を秤量する、2. 所要量の水または他の溶媒を秤量して混合容器に入れる、3. 容器の中心かつ容器の底のできるだけ近くに混合プロペラを置いて、空気を液体中に引き込まずに渦を形成するように溶媒を攪拌する、4. 着実かつ速やかにOPADRY(登録商標)粉末を渦に加えて液体表面上の粉末浮遊を回避する、5. 必要であれば渦を維持するために攪拌機速度を増加させる、および6. すべての粉末成分を加えた後で混合機速度を減少させ、混合を約45分間続ける。
【0207】
錠剤コーティング機を使用して公知の技術でコーティングを塗布することができる。
【0208】
塗布されるコーティングの厚さは、所要の効果に応じて一般に5〜35ミクロンの範囲、例えば10〜30ミクロン、より具体的には10または20ミクロンである。
【0209】
あるいは、錠剤またはカプセル剤を別のカプセル(好ましくはCapsugel(登録商標)などのHPMCカプセル)に適宜充填することで、カプセル中錠剤またはカプセル中カプセル剤のいずれかの構成を与えることができ、この構成は、患者に投与される際に胃腸管内の制御された溶解を生じさせ、それにより腸溶コーティングと同様の効果を与える。
【0210】
したがって一局面では、本開示は、式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物の固体投薬製剤であって、例えば腸溶コーティングを有する製剤を提供する。
【0211】
別の局面では、本開示は、保護カプセルを外層として含む、例えばカプセル中錠剤またはカプセル中カプセル剤としての固体投薬製剤を提供する。腸溶コーティングは、非コーティング製剤に比べて改善された安定性プロファイルを示すことができる。
【0212】
とはいえ、式(I)の化合物はインビボでの胃酸または腸内酵素による分解に対して特に感受性があるというわけではないと考えられる。
【0213】
また本開示の化合物は、獣医学において、有効成分の溶液、懸濁液または分散液などの液体飲薬の形態で、薬学的に許容される担体または賦形剤と共に経口投与することができる。
【0214】
本発明の化合物は、ヒト医学もしくは獣医学で使用される慣習的な坐薬基剤を例えば含有する坐薬、または慣習的なペッサリー基剤を例えば含有するペッサリー剤としても例えば調剤することができる。
【0215】
一態様では、製剤は、吸入を含む局所投与用製剤として提供される。
【0216】
好適な吸入用製剤としては吸入用散剤、噴霧剤ガスを含有する調量エアロゾル剤、または噴霧剤ガスを含まない吸入用溶液剤が挙げられる。活性物質を含有する本開示に係る吸入用散剤は、上述の活性物質のみ、または上述の活性物質と生理学的に許容される賦形剤との混合物からなり得る。
【0217】
これらの吸入用散剤は単糖(例えばグルコースもしくはアラビノース)、二糖(例えばラクトース、サッカロース、マルトース)、オリゴ糖および多糖(例えばデキストラン)、多価アルコール(例えばソルビトール、マンニトール、キシリトール)、塩(例えば塩化ナトリウム、炭酸カルシウム)またはこれら同士の混合物を含み得る。単糖または二糖が好ましく使用され、ラクトースまたはグルコースの使用は特にそれらの水和物の形態であるがそれに限定されない。
【0218】
肺内での沈着用の粒子は、10ミクロン未満、例えば1〜9ミクロン、好適には0.1〜5μm、特に好ましくは1〜5μmの粒径を必要とする。活性物質(すなわち本開示に係る化合物)の粒径。
【0219】
吸入用エアロゾル剤の調製に使用可能な噴霧剤ガスは当技術分野で公知である。好適な噴霧剤ガスはn-プロパン、n-ブタンまたはイソブタンなどの炭化水素、ならびにメタン、エタン、プロパン、ブタン、シクロプロパンまたはシクロブタンの塩素化および/またはフッ素化誘導体などのハロ炭化水素より選択される。上記噴霧剤ガスはそれ自体でまたはその混合物として使用可能である。
【0220】
特に好適な噴霧剤ガスは、TG11、TG12、TG134aおよびTG227より選択されるハロゲン化アルカン誘導体である。上述のハロゲン化炭化水素のうち、TG134a (1,1,1,2-テトラフルオロエタン)およびTG227 (1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン)ならびにその混合物が、本発明の製剤中での使用に好適である。
【0221】
噴霧剤ガス含有吸入用エアロゾル剤は、共溶媒、安定剤、表面活性薬(界面活性剤)、酸化防止剤、潤滑剤およびpHを調整するための手段などの他の成分を含有してもよい。すべてのこれらの成分は当技術分野で公知である。
【0222】
本発明に係る噴霧剤ガス含有吸入用エアロゾル剤は、最大5重量%の活性物質を含有し得る。本開示に係るエアロゾル剤は、0.002〜5重量%、0.01〜3重量%、0.015〜2重量%、0.1〜2重量%、0.5〜2重量%または0.5〜1重量%の活性物質を例えば含有し得る。
【0223】
本開示の化合物は他の治療薬との組み合わせで使用することもできる。したがってさらなる局面では、本開示は、式(I)、(II)、(III)もしくは(IV)の化合物または薬学的に許容されるその誘導体をさらなる治療薬と共に含む組み合わせを提供する。組み合わせは、例えば式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物とバンコマイシン、β-ラクタム(セファロスポリンなどの)、アミノグリコシド、マクロライド、テトラサイクリン、リポペプチド、オキサゾリジノンなどの抗生物質および/またはステロイドなどの抗炎症薬との組み合わせであり得る。組み合わせは、共製剤(co-formulation)として与えることができ、あるいは同時送達または逐次送達用の別々の製剤として単純に一緒に包装することもできる。
【0224】
組み合わせの化合物のすべてを同一経路で投与する必要はないと理解すべきである。したがって、治療薬が2つ以上の有効成分を含む場合、それらの成分を異なる経路で投与することができる。
【0225】
そのような組み合わせの個々の成分は、別々のまたは組み合わせた薬学的製剤として任意の好都合な経路で逐次投与または同時投与することができる。
【0226】
投与が逐次である場合、本開示の化合物または第2の治療薬のいずれかを最初に投与することができる。投与が同時である場合、組み合わせを同一のまたは異なる薬学的組成物として投与することができる。
【0227】
上記で言及する組み合わせは、薬学的製剤の形態での使用のために好都合に提示することができ、したがって、上記定義の組み合わせを薬学的に許容される担体または賦形剤と共に含む薬学的製剤は、本開示のさらなる局面を構成する。
【0228】
同一製剤中で組み合わせる場合、2つの化合物は安定でかつ互いにおよび製剤の他の成分と相溶性でなければならないと認識される。別々に調剤する場合、そのような化合物について当技術分野で公知のように任意の好都合な製剤としてそれらを与えることができる。
【0229】
本組成物は0.01〜99%の活性物質を含有し得る。例えば局所投与では、本組成物は0.01〜10%、より好ましくは0.01〜1%の活性物質を一般に含有する。
【0230】
本開示の化合物または薬学的に許容されるその誘導体を、同一の疾患状態に対して活性な第2の治療薬との組み合わせで使用する場合、各化合物の用量は、その化合物を単独で使用する場合に使用される用量と同一であっても異なっていてもよい。適切な用量を当業者は容易に認識するであろう。処置における使用に必要な本開示の化合物の量が、処置される状態の性質ならびに患者の年齢および状態によって変動し、最終的には付き添いの医師または獣医の裁量であるということも認識されるであろう。
【0231】
典型的には、個々の対象に最も好適な実際の投与量は医師が決定する。任意の特定個人の特定の用量レベルおよび投与頻度は変動し得るものであり、使用する具体的な化合物の活性、その化合物の代謝安定性および作用時間、年齢、体重、全身の健康、性別、食事、投与様式および投与時間、排泄速度、薬物組み合わせ、特定の状態の重症度、ならびに治療を経る個人を含む種々の要因に依存する。
【0232】
ヒトに対する経口および非経口投与では、薬剤の一日投与量レベルは単一用量または分割用量であり得る。全身投与では、成人のヒトの処置に使用する一日量は2〜100mg/Kg体重、好ましくは5〜60mg/Kg体重の範囲であり、これを例えば投与経路および患者の状態に応じて1日1〜4用量で投与することができる。組成物が投与単位を含む場合、各単位は100mg〜1gの有効成分を含有することが好ましい。処置期間は、恣意的な日数というよりむしろ応答速度により決定される。
【0233】
一態様では、処置レジメンを1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21日間またはそれ以上続ける。
【0234】
先に記載のように、本開示の化合物をヒトおよび/または動物の処置または予防に使用することができる。
【0235】
一態様では、式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物は、皮膚感染症、特に細菌皮膚および軟部組織感染症の処置に有用である。
【0236】
一局面では、本開示は、例えば菌血症、肺炎、および手術創を含む軟部組織の微生物感染症などの微生物感染症、特にMRSA感染症を含むブドウ球菌感染症の処置のための治療における式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物の使用を提供する。
【0237】
一態様では、式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物は、E. フェカリスおよびE. フェシウム感染症を含む腸球菌感染症、例えば皮膚および皮膚構造感染症、心内膜炎、尿路感染症および敗血症の処置に有用である。
【0238】
一態様では、式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物は、S. ピオゲネス感染症、例えば膿痂疹、丹毒および蜂巣炎、咽喉感染症、猩紅熱ならびに急性糸球体腎炎などの皮膚感染症の処置に有用である。
【0239】
一態様では、式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物は、S. ニューモニエ感染症、例えば肺炎、急性副鼻腔炎、中耳炎、髄膜炎、菌血症、骨髄炎、化膿性関節炎および心内膜炎の処置に有用である。
【0240】
一局面では、式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物を細菌過剰症候群を制御するために使用する。過剰症候群(BOS)は、上部胃腸管および/または腸の下部における通常は少ない細菌コロニー形成が著しく増加する場合に生じる。
【0241】
一局面では、本開示は、例えば特に式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物の経口送達によるクロストリジウム ディフィシル感染症、特にそれに関連する下痢、または本明細書に記載の1つもしくは複数の微生物感染症などの微生物感染症の処置のための治療における式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物の使用を提供する。
【0242】
一局面では、IBS(過敏性腸症候群)の予防、処置または維持のための式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物の使用が提供される。例えばRifaximin Treatment for Symptoms of Irritable Bowel Syndrome. Andrea L. Fumi and Katherine Trexler, The Annals of Pharmacotherap, 2008, 4, 408を参照。
【0243】
一態様では、式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物は潰瘍性大腸炎の処置に有用であり、処置はその再発を予防するための予防的処置を含む。本化合物はステロイド不応性潰瘍性大腸炎の処置に特に好適であり得る。例えばsteroid-refractory ulcerative colitis treated with corticosteroids, metronidazole and vancomycin: a case report J. Miner, M. M Gillan, P. Alex, M Centola, BMC Gastroenterology 2005, 5:3を参照。
【0244】
本開示の化合物は長期の処置に特に有用である。
【0245】
一局面では、処置または予防、例えば本明細書に記載の徴候のいずれか1つの処置または予防における使用のための、式(I)、(II)、(III)もしくは(IV)の化合物またはそれを含む組成物が提供される。
【0246】
一局面では、上記定義の徴候の1つまたは複数用の医薬の製造のための、式(I)、(II)、(III)もしくは(IV)の化合物またはそれを含む組成物が提供される。
【0247】
一局面では、例えば本明細書に記載の感染症/疾病または疾患の処置のために、治療有効量の式(I)、(II)、(III)もしくは(IV)の化合物またはそれを含有する薬学的組成物を、それを必要とする患者(ヒトまたは動物)に投与する段階を含む、処置方法が提供される。
【0248】
本明細書の文脈では「含む(comprising)」は「含む(including)」として解釈すべきである。
【0249】
ある種の要素を含む本発明の局面は、関連性のある要素「からなる」かまたはそれ「から本質的になる」代替的な態様にも及ぶように意図されている。
【0250】
技術的に適切である場合は態様を組み合わせることができ、したがって本開示は、本明細書に示す態様のすべての順列/組み合わせに及ぶ。
【0251】
式(I)の化合物について示される優先性は、技術的に適宜、本明細書に開示される本発明の他の化合物にも同等に適用され得る。
【実施例】
【0252】
以下の実施例の各々では、図示される実体はC末端を通じてDABまたはアクタガルジン実体に結合しており、したがって図示される具体的な置換基は式(I)の化合物中のXNR3R4に対応する。
【0253】
実施例1:
デオキシアクタガルジンB (3,5-ジクロロベンジルアミン)モノカルボキサミド

デオキシアクタガルジンB [DAB] (200mg)、3,5-ジクロロベンジルアミン(38mg)およびジイソプロピルエチルアミン(35μL)を乾燥ジメチルホルムアミド(1mL)に溶解させた。ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス-ピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP) (84mg)の乾燥DMF (2mL)溶液を小分けして加えた。反応後に分析hplcを行い(表1参照)、出発原料が消費されるまでPyBOPを加えた(図4および5)。
(表1)ランチビオティック(例えばアクタガルジン、アクタガルジンBまたはデオキシ-アクタガルジンB)およびジアミノアルカン誘導体化生成物の分離用の分析HPLC条件
カラム: Zorbax 5μ C18(2) 150 x 4.6 mm
移動相A: 20mMリン酸カリウム緩衝液pH 7.0中30%アセトニトリル
移動相B: 20mMリン酸カリウム緩衝液pH 7.0中65%アセトニトリル
流量: 1mL/分
勾配:
時間0分 100% A 0% B
時間10分 0% A 100% B
時間11分 0% A 100% B
時間11.2分 100% A 0% B
サイクル時間 15分
注入容積: 10μL
検出: 210nm
【0254】
粗反応混合物を30%メタノール水溶液に注ぎ、得られた溶液をVarian Bond Elut C18カラム(30g)上に添加した。次にカラムを50%、60%、70%、80%、90%メタノール水溶液で順次洗浄し、所望の材料の大部分は70%画分中に溶出された(図6)。シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離液ジクロロメタン:エタノール:アンモニア 10:8:1)により、210nmの紫外線による純度90%超の材料を得た。収量107mg(50%)。(M+2H)+2の質量計算値1015.5、実測値1015.57。[M+H+Na]+2の計算値1026、実測値1025.32
【0255】
表2に記載の条件を使用して試料をLC-MSで分析した。
(表2)ランチビオティック(例えばデオキシ-アクタガルジンB)および誘導体化生成物の分析用のLC/MS条件
カラム: Zorbax 5μ C18(2) 150 x 4.6 mm
移動相A: 10%アセトニトリル、0.1%ギ酸
移動相B: 90%アセトニトリル、0.1%ギ酸
流量: 1mL/分
勾配:
時間0分 100% A 0% B
時間10分 0% A 100% B
時間11分 0% A 100% B
時間11.1分 100% A 0% B
サイクル時間 15分
注入容積: 20μL
質量分析計パラメータ
イオン化 エレクトロスプレー+ve
質量範囲 250〜1500mu
キャピラリー電圧 3.10KV
コーン電圧 40V
スキマーレンズオフセット 5V
イオンエネルギー 1.4V
【0256】
カラムクロマトグラフィー後の実施例1の化合物を50%メタノール水溶液中N-メチル-D-グルカミン1.2当量で処理した。得られた溶液の蒸発により生成物を白色固体として得た。その生成物を本明細書では実施例1aと呼ぶ。
【0257】
実施例2:
アクタガルジン (3,5-ジクロロベンジルアミン)モノカルボキサミド

実施例1について記載の手順に従ってアクタガルジンおよび3,5-ジクロロベンジルアミンよりアクタガルジン(3,5-ジクロロベンジルアミン)モノカルボキサミドを調製した。収率8%。[M+2H]+2の計算値1023.5、実測値1023.7
【0258】
実施例3:
デオキシアクタガルジンB 19-[4-(4'-ニトロフェニル)ピペラジン]モノカルボキサミド

実施例1について記載の手順を利用してデオキシアクタガルジンBおよび4-ニトロフェニル-ピペラジンよりデオキシアクタガルジンB [4-(4'-ニトロフェニル)ピペラジン]モノカルボキサミドを調製した。収率73%。[M+2H]+2の計算値1031.5、実測値1031.9
【0259】
実施例4:
デオキシアクタガルジンB 19-[4-(4'-クロロフェニル)ピペラジン]モノカルボキサミド

実施例1について記載の手順を利用してデオキシアクタガルジンBおよび4-クロロフェニル-ピペラジンよりデオキシアクタガルジンB 19-[4-(4'-クロロフェニル)ピペラジン]モノカルボキサミドを調製した。収率95%。[M+2H]+2の計算値1026.0、実測値1026.2
【0260】
実施例5:
デオキシアクタガルジンB [2,4-ジクロロベンジルアミン]モノカルボキサミド

実施例1について記載の手順を利用してデオキシアクタガルジンBおよび2,4-ジクロロベンジルアミンよりデオキシアクタガルジンB (2,4-ジクロロベンジルアミン)モノカルボキサミドを調製した。収率86%。[M+2H]+2の計算値1015.5、実測値1015.1
【0261】
実施例6:
デオキシアクタガルジンB [4-(3',5'-ジクロロベンジル)ピペラジン]モノカルボキサミド

実施例1について記載の手順を利用してデオキシアクタガルジンBおよび4-(3',5'-ジクロロベンジル)ピペラジンよりデオキシアクタガルジンB [4-(3',5'-ジクロロベンジル)ピペラジン]モノカルボキサミドを調製した。収率80%。[M+2H]+2の計算値1050.0、実測値1050.3
【0262】
実施例7:
デオキシアクタガルジンB [4-(2'-フルオロ-4'-ブロモベンジル)ピペラジン]モノカルボキサミド

実施例1について記載の手順を利用してデオキシアクタガルジンBおよび4-(2'-フルオロ-4'-ブロモベンジル)ピペラジンよりデオキシアクタガルジンB [4-(2'-フルオロ-4'-ブロモベンジル)ピペラジン]モノカルボキサミドを調製した。収率83%。(M+2H)+2の質量計算値1064.5、実測値1063.7
【0263】
実施例8:
デオキシアクタガルジンB [4-(4'-ニトロベンジル)ピペラジン]モノカルボキサミド

実施例1について記載の手順を利用してデオキシアクタガルジンBおよび4-(4'-ニトロベンジル)ピペラジンよりデオキシアクタガルジンB 19-[4-(4'-ニトロベンジル)ピペラジン]モノカルボキサミドを調製した。収率88%。(M+2H)+2の質量計算値1004.0、実測値1003.6
【0264】
実施例9:
デオキシアクタガルジンB [4-ブロモベンジルアミン]モノカルボキサミド

実施例1について記載の手順を利用してデオキシアクタガルジンBおよび4-ブロモベンジルアミンよりデオキシアクタガルジンB [4-ブロモベンジルアミン]モノカルボキサミドを調製した。収率92%。(M+2H)+2の質量計算値1021、実測値1022.6
【0265】
実施例10:
デオキシアクタガルジンB [4-(3',4'-ジクロロフェニル)ピペラジン]モノカルボキサミド

実施例1について記載の手順を利用してデオキシアクタガルジンBおよび4-(3',4'-ジクロロフェニル)ピペラジンよりデオキシアクタガルジンB [4-(3',4'-ジクロロフェニル)ピペラジン]モノカルボキサミドを調製した。収率33%。[M+2H]+2の計算値1043.0、実測値1043.5
【0266】
実施例11:
デオキシアクタガルジンB [3-(3',5'-ジクロロベンジルアミノ)-1-プロピルアミン]モノカルボキサミド

水素化ホウ素ナトリウム(0.26g)のジクロロメタン懸濁液を酢酸(1.6ml)で処理し、15分間攪拌した。N-Boc-1,3-ジアミノプロパン(0.2g)および3,5-ジクロロベンズアルデヒド(0.61g)のジクロロメタン(10mL)溶液を加え、混合物を室温で20時間攪拌した。次に混合物を炭酸水素ナトリウム水溶液と酢酸エチルとの間で分配した。有機溶液を蒸発させ、残渣をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーで精製して3-(3',5'-ジクロロベンジルアミノ)-1N-(t-ブトキシカルボニル)-プロピルアミンを白色固体として得た。
【0267】
精製物を90%トリフルオロ酢酸(4mL)に溶解させ、室温で3時間攪拌した。トリフルオロ酢酸を減圧除去し、混合物の間で分配された残渣を次に炭酸水素ナトリウム水溶液と酢酸エチルとの間で分配した。有機抽出物を乾燥させ(MgSO4)、蒸発させてN-(3',5'-ジクロロベンジル)-1,3-ジアミノプロパンを白色固体として得た。
【0268】
デオキシアクタガルジンB (1.0g)、N-(3',5'-ジクロロベンジル)-1,3-ジアミノプロパン(0.34g)およびジイソプロピルエチルアミン(0.32ml)の乾燥ジメチルホルムアミド(5ml)溶液に、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス-ピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP) (0.52g)の乾燥ジメチルホルムアミド(2mL)溶液を、反応が完了したと分析hplc(表1と同様の条件)で測定されるまで小分けして加えた。実施例1の化合物について記載のようにカップリング生成物を精製した。収率33%。[M+2H]+2の計算値1043.0、実測値1043.49。
【0269】
実施例12:
デオキシアクタガルジンB [7-(3',5'-ジクロロベンジルアミノ)-1-ヘプチルアミン]モノカルボキサミド

実施例11について記載のようにデオキシアクタガルジンB、N-Boc-1,7-ジアミノヘプタンおよび3,5-ジクロロベンズアルデヒドより調製した。収率35%。[M+2H]+2の計算値1072.0、実測値1073.0
【0270】
実施例13:
デオキシアクタガルジンB [4-(2'-(3'',5''-ジクロロベンジルアミノ)エチル)ピペラジン]モノカルボキサミド

実施例11について記載のようにデオキシアクタガルジンB、N-(2-アミノエチル)-ピペラジンおよび3,5-ジクロロベンズアルデヒドより調製した。収率15%。[M+2H]+2の計算値1071.5、実測値1072.3
【0271】
実施例14:
デオキシアクタガルジンB [1-(4-クロロフェニル)ピペラジン]モノカルボキサミド

実施例1について記載の手順を利用してデオキシアクタガルジンBおよび1-(4-クロロフェニル)ピペラジンよりデオキシアクタガルジンB [1-(4-クロロフェニル)ピペラジン]モノカルボキサミドを調製した。収率21%。[M+H]+の計算値2051、実測値2052.8
【0272】
実施例15:
デオキシアクタガルジンB (2,4-ジフルオロベンジルアミン)モノカルボキサミド

実施例1について記載の手順を利用してデオキシアクタガルジンBおよび2,4-ジフルオロベンジルアミンよりデオキシアクタガルジンB (2,4-ジフルオロベンジルアミン)モノカルボキサミドを調製した。収率31%。[M+H]+の計算値2000.39、実測値1999.5
【0273】
実施例16:
デオキシアクタガルジンB 19-[4-(2'-(3'',5''-ジニトロベンズアミド)-エチル)-ピペラジン]モノカルボキサミド

実施例1について記載の手順を利用してデオキシアクタガルジンBおよび4-(2'-(3'',5''-ジニトロベンズアミド)-エチル)-ピペラジンよりデオキシアクタガルジンB 19-[4-(2'-(3'',5''-ジニトロベンズアミド)-エチル)-ピペラジン]モノカルボキサミドを調製した。収率20%。
【0274】
実施例17:
V15Fアクタガルジン (3,5-ジクロロベンジルアミン)モノカルボキサミド

実施例1について記載の手順を利用してV15Fアクタガルジンおよび3,5-ジクロロベンジルアミンよりV15Fアクタガルジン(3,5-ジクロロベンジルアミン)モノカルボキサミドを調製した。収率39%。[M+Na H]+2の計算値1058.5、実測値1059。V15Fアクタガルジンでは、環内のバリン15がフェニルアラニンで代替されている。
【0275】
実施例18:
デオキシアクタガルジンB [3-(3',5'-ジクロロベンズアミド)プロピルアミン]モノカルボキサミド

実施例1について記載の手順を利用してデオキシアクタガルジンBおよび3-(3',5'-ジクロロベンズアミド)-プロピルアミンよりデオキシアクタガルジンB [3-(3',5'-ジクロロベンズアミド)-プロピルアミン]モノカルボキサミドを調製した。収率61%。[M+Na+H]+2の計算値1062、実測値1062
【0276】
実施例19:
デオキシアクタガルジンB [4-(3',5'-ジクロロベンジルアミノメチル)ベンジル]モノカルボキサミド

実施例1について記載の手順を利用してデオキシアクタガルジンBおよび4-(3',5'-ジクロロベンジルアミノメチル)-ベンジルアミンよりデオキシアクタガルジンB 19-[4-(3',5'-ジクロロベンジルアミノメチル)-ベンジル]モノカルボキサミドを調製した。収率37%。[M+2H]+2の計算値1075、実測値1076。
【0277】
実施例20:
デオキシアクタガルジンB [3-(3'-(3'',5''-ジクロロベンジルアミノ)プロピルアミノ)プロピルアミン]モノカルボキサミド

実施例1について記載の手順を利用してデオキシアクタガルジンBおよび3-(3'-(3'',5''-ジクロロベンジルアミノ)プロピルアミノ)プロピルアミンよりデオキシアクタガルジンB [3-(3'-(3'',5''-ジクロロベンジルアミノ)-プロピルアミノ)プロピルアミン]モノカルボキサミドを調製した。収率22%。[M+2H]+2の計算値1072.5、実測値1073
【0278】
実施例21:
デオキシアクタガルジンB (2,5-ジクロロベンジルアミン)モノカルボキサミド

実施例1について記載の手順を利用してデオキシアクタガルジンBおよび2,5-ジクロロベンジルアミンよりデオキシアクタガルジンB (2,5-ジクロロベンジルアミン)モノカルボキサミドを調製した。収率57%。[M+Na+2H]+2の計算値1026.5、実測値1026.8
【0279】
実施例22:
デオキシアクタガルジンB (3,4-ジクロロベンジルアミン)モノカルボキサミド

実施例1について記載の手順を利用してデオキシアクタガルジンBおよび3,4-ジクロロベンジルアミンよりデオキシアクタガルジンB (3,4-ジクロロベンジルアミン)モノカルボキサミドを調製した。収率41%。[M+Na+H]+2の計算値1026.5、実測値1026.2
【0280】
実施例23:
デオキシアクタガルジンB (2-クロロベンジルアミン)モノカルボキサミド

実施例1について記載の手順を利用してデオキシアクタガルジンBおよび2-クロロベンジルアミンよりデオキシアクタガルジンB (2-クロロベンジルアミン)モノカルボキサミドを調製した。収率50%。[M+Na+H]+2の計算値1009.5、実測値1009.6
【0281】
実施例24:
デオキシアクタガルジンB (3-クロロベンジルアミン)モノカルボキサミド

実施例1について記載の手順を利用してデオキシアクタガルジンBおよび3-クロロベンジルアミンよりデオキシアクタガルジンB (3-クロロベンジルアミン)モノカルボキサミドを調製した。収率62%。[M+Na+H]+2の計算値1009.5、実測値1009.4
【0282】
実施例25:
デオキシアクタガルジンB (4-クロロベンジルアミン)モノカルボキサミド

実施例1について記載の手順を利用してデオキシアクタガルジンBおよび4-クロロベンジルアミンよりデオキシアクタガルジンB (4-クロロベンジルアミン)モノカルボキサミドを調製した。収率40%。[M+Na+H]+2の計算値1009.5、実測値1009.9
【0283】
実施例26:
デオキシアクタガルジンB (2,6-ジクロロベンジルアミン)モノカルボキサミド

実施例1について記載の手順を利用してデオキシアクタガルジンBおよび2,6-ジクロロベンジルアミンよりデオキシアクタガルジンB (2,6-ジクロロベンジルアミン)モノカルボキサミドを調製した。収率57%。[M+Na+H]+2の計算値1026.5、実測値1026.2
【0284】
実施例27:
デオキシアクタガルジンB [6-(2',4',6'-トリクロロベンゼンスルホンアミド)ヘキシルアミン]モノカルボキサミド

実施例1について記載の手順を利用してデオキシアクタガルジンBおよび6-(2',4',6'-トリクロロベンゼンスルホンアミド)-ヘキシルアミンよりデオキシアクタガルジンB [6-(2',4',6'-トリクロロベンゼンスルホンアミド)-ヘキシルアミン]モノカルボキサミドを調製した。収率73%。[M+2H]+2の計算値2213、実測値2212.8
【0285】
実施例28:
デオキシアクタガルジンB [5-(3',5'-ジクロロベンジルアミノ)-ペンチルアミン]モノカルボキサミド

実施例1について記載の手順を利用してデオキシアクタガルジンBおよび5-(3',5'-ジクロロベンジルアミノ)-ペンチルアミンよりデオキシアクタガルジンB [5-(3',5'-ジクロロベンジルアミノ)-ペンチルアミン]モノカルボキサミドを調製した。収率36%。[M+2H]+2の計算値1058.0、実測値1059.0
【0286】
実施例29:
デオキシアクタガルジンB [2-(3',5'-ジクロロベンジルアミノ)エチルアミン]モノカルボキサミド

実施例1について記載の手順を利用してデオキシアクタガルジンBおよび2-(3',5'-ジクロロベンジルアミノ)エチルアミンよりデオキシアクタガルジンB [2-(3',5'-ジクロロベンジルアミノ)エチルアミン]モノカルボキサミドを調製した。収率51%。[M+2H]+2の計算値1037.0、実測値1038.0
【0287】
実施例30:
デオキシアクタガルジンB [6-(3',5'-ジクロロベンジルアミノ)-ヘキシルアミン]モノカルボキサミド

実施例1について記載の手順を利用してデオキシアクタガルジンBおよび6-(3',5'-ジクロロベンジルアミノ)-ヘキシルアミンよりデオキシアクタガルジンB [6-(3',5'-ジクロロベンジルアミノ)-ヘキシルアミン]モノカルボキサミドを調製した。収率51%。[M+2H]+2の計算値1065.0、実測値1065.8
【0288】
実施例31:
デオキシアクタガルジンB [8-(3',5'-ジクロロベンジルアミノ)オクチルアミン]モノカルボキサミド

実施例1について記載の手順を利用してデオキシアクタガルジンBおよび8-(3',5'-ジクロロベンジルアミノ)-オクチルアミンよりデオキシアクタガルジンB [8-(3',5'-ジクロロベンジルアミノ)-オクチルアミン]モノカルボキサミドを調製した。収率63%。[M+2H]+2の計算値1079、実測値1080。
【0289】
実施例32:
デオキシアクタガルジンB [3-(2'-アミノメチル-4'-(2'',4''-ジクロロフェニル)-フラニル)プロピルアミン]モノカルボキサミド

実施例1について記載の手順を利用してデオキシアクタガルジンBおよび3-(2'-アミノメチル-4'-(2'',4''-ジクロロフェニル)-フラニル)プロピルアミンよりデオキシアクタガルジンB [3-(2'-アミノメチル-4'-(2'',4''-ジクロロフェニル)-フラニル)プロピルアミン]モノカルボキサミドを調製した。収率11%。[M+2H]+2の計算値1077、実測値1079。
【0290】
実施例33:
デオキシアクタガルジンB [3-(2'-アミノメチル-4'-(2''-ニトロ-4''-クロロフェニル)-フラニル)プロピルアミン]モノカルボキサミド

実施例1について記載の手順を利用してデオキシアクタガルジンBおよび[3-(2'-アミノメチル-4'-(2''-ニトロ-4''-フェニル)-フラニル)プロピルアミンよりデオキシアクタガルジンB [3-(2'-アミノメチル-4'-(2''-ニトロ-4''-クロロフェニル)-フラニル)プロピルアミン]モノカルボキサミドを調製した。収率11%。[M+2H]+2の計算値1084、実測値1083.5。
【0291】
実施例34:
本発明の化合物の抗菌活性は以下のとおり。




S. ニューモニエを除き、感受性試験は、50μg/mL Ca2+を補足したミュラー ヒントン培地中にて、連続2倍希釈で行った。S. ピオゲネスの感受性試験は、50μg/mL Ca2+を補足したブレインハートインフュージョン培地中にて、連続2倍希釈で行った。
【0292】
実施例35:
マウス菌血症モデルにおける化合物のインビボ有効性
体重24±2gの6匹の雄CD-1 (Crl.)由来マウスの群を使用した。5%ムチンを含有するBHI培地0.5mL中、LD90〜100のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌ATCC 33591 (1.1 x 107 CFU/マウス)をマウスに腹腔内(IP)接種した。実施例1aの化合物およびバンコマイシンを15% HPβCD/4.4%グルコース/0.5mM KH2PO4 (pH 5.0)に1、3、5、10および20mg/Kgの用量で溶解させ、皮下(SC)投与して、細菌接種の0、2および24時間後の時点で動物を試験した。投薬量は5mL/Kgとした。死亡率を毎日1回、7日間記録した。各化合物のED50を非線形回帰により決定した。
【0293】
実施例1aの化合物は、3、5、10および20mg/Kg x 3、皮下投与で、マウスにおける黄色ブドウ球菌(メチシリン耐性)に対し、推定ED50値1.07mg/Kgで、有意な抗菌効果(少なくとも50%の生存率増加)に関連することが実証された。
【0294】
同時にバンコマイシンは、3、5、10および20mg/Kg x 3、皮下投与で、マウスにおける黄色ブドウ球菌(メチシリン耐性)に対し、推定ED50値 3.0mg/Kgで、有意な抗菌効果を示した。用量3mg/Kgでの生存率データを図1に図で要約する。
【0295】
実施例1aの化合物を3mg/Kg投与されたマウスは100%の生存率を示した。
【0296】
実施例36:
好中球減少性マウス大腿部感染モデルにおける化合物の有効性
細菌組織感染症の処置における本発明の化合物のインビボ有効性を、好中球減少性マウス大腿部モデルを使用して評価した。図2を参照のこと。
【0297】
体重24±2gの6匹の雄ICRマウスの群を使用した。シクロホスファミドの2回の腹腔内注射により試験動物を免疫抑制した。1回目の注射は感染4日前(-4日目)に150mg/Kg、2回目は感染1日前(-1日目)に100mg/Kgとした。0日目、滅菌PBS(pH 7.4) 100μLに懸濁したメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA、ATCC 33591)を、マウス1匹あたり1.15 x 105 CFU、個々の動物に、試験動物の右大腿部に筋肉内(IM)接種した。大腿部感染の2時間後および14時間後に用量8mL/Kgで媒体および試験物質を静脈内(IV)投与した。実施例1a(化合物I)およびバンコマイシンを15%ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン/4.4%グルコース/1mMリン酸カリウム緩衝液(pH 7.0)に溶解し、用量5、10、20、30および40mg/Kgで投与した。接種の26時間後、各試験マウスの右大腿部の筋肉を収集した。処置なしの別の群より、接種の2時間後に右大腿部の筋肉を、基礎となるCFUの決定のために収集した。次に取り出した筋肉組織をPBS (pH 7.4) 3〜4mL中で、セラミックモルタルを用いて均質化した。0.1mLのホモジネートを連続10倍希釈に使用し、CFU決定のために1.5% Bacto寒天を含むミュラー ヒントン培地上にプレーティングした。
【0298】
実施例1aの化合物は、5、10、20、30および40mg/Kg x 2で静脈内投薬すると、10mg/kg以上で1000倍を超えるCFU/gの減少をもたらす有意な抗菌効果に関連することが実証された。同時に、バンコマイシンも30mg/kg以上で100倍を超えるCFU/gの減少を伴う有意な抗菌効果を示したが、実施例1aについて観察された1000倍を超える減少には達しなかった。結果を図2に図で表す。図2の実施例1という表示は実施例1aの化合物を指す。
【0299】
実施例37
マウスにおける本発明の化合物のインビボ血漿中半減期
マウスにおける実施例1aのインビボ半減期を、静脈内投薬後の様々な時点でのその血漿中濃度の測定により決定した。18匹の7〜9週齢の雄CD-1マウスに、実施例1aの15%ヒドロキシル-プロピル-β-シクロデキストリン/4.4%グルコース/1mMリン酸カリウム(pH=7.6)中3.2mg/mL溶液を用量9.3mL/Kgで静脈内投薬した。血漿試料を、投薬後10、20、30、60、120および240分の時点に各時点で3匹の動物より試料採取することで得た。血漿中の実施例1aの濃度をLC-MS定量化により決定した。
【0300】
図3に要約するデータは、実施例1aがマウスにおいて約2時間の血漿中半減期を有することを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)の化合物または薬学的に許容されるその塩:

R1は、それが結合している炭素ならびにα-窒素およびα-カルボニルと一緒になってアミノ酸残基となり;
R2は、それが結合している炭素ならびにα-窒素およびα-カルボニルと一緒になってアミノ酸残基となり;
Xは、結合またはアミノ酸残基であり;
R3は、HまたはC1〜6アルキルであり、;
R4は、H、C1〜6アルキル、-RA-L-Ar1であるか、あるいは
R3は、R4、およびそれらが結合している窒素と一緒になって、N、OまたはSより選択されるさらなるヘテロ原子を含んでもよい5員または6員複素環基を形成し、該複素環基はYAr1で置換されており;
RAは、結合、-C0〜9アルキルC6〜10アリール、-C0〜9アルキルC5〜11ヘテロアリール、-C1〜9ヘテロアルキルC5〜11ヘテロアリール、-C0〜9アルキルC3〜6シクロアルキル、-C1〜9ヘテロアルキルC5〜11複素環または-C0〜9アルキルC5〜11複素環であり;
Lは直鎖状または分岐状のC0〜15アルキル鎖であって、ここで1個または複数の炭素はN、OまたはSより独立して選択されるヘテロ原子で代替されていてもよく、該アルキル鎖は1個または複数のオキソ基またはニトロ基で置換されていてもよく、但しヘテロ原子は-NR3R4基のNに直接結合せず;
Yは直鎖状または分岐状のC0〜15アルキル鎖であって、ここで1個または複数の炭素はN、OまたはSより独立して選択されるヘテロ原子で代替されていてもよく、該アルキル鎖は1個または複数(例えば1個または2個)のオキソ基またはニトロ基で置換されていてもよく;
Ar1は、1個もしくは2個のNO2基、または1〜5個、例えば2個、3個もしくは4個のハロゲン基、または1個もしくは2個のC1〜3ハロアルキル基、あるいはその組み合わせで置換されているフェニルであり;
R5は、それが結合している炭素ならびにα-窒素およびα-カルボニルと一緒になってアミノ酸残基となり;
Zは、H、C1〜6アルキル、アミノ酸残基であり;
pは、0または1であり;および
断片:



または後者のE異性体である。
【請求項2】
断片:



である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Zが、Hまたはalaである、請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
ZがHである、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
Ar1が、1個もしくは2個のNO2基、または1〜5個、例えば2個、3個もしくは4個のハロゲン基、またはその組み合わせで置換されているフェニルである、請求項1〜4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項6】
式(III)の化合物である、請求項1〜5のいずれか一項記載の化合物:

式中、Z、R1、R2、p、YAr1およびpは式(II)の化合物について上記定義の通りである。
【請求項7】
YがC0である、請求項1〜6のいずれか一項記載の化合物。
【請求項8】
Yが-CH2-である、請求項1〜6のいずれか一項記載の化合物。
【請求項9】
YがC2〜12アルキル鎖であって、ここで1個または複数の炭素(例えば1個、2個または3個)はN、OまたはSより独立して選択されるヘテロ原子で代替されていてもよく、該アルキル鎖は1個または複数(例えば1個または2個)のオキソ基またはニトロ基で置換されていてもよい、請求項1〜6のいずれか一項記載の化合物。
【請求項10】
Yが、-CH2CH2NHC(O)-、-CH2CH2CH2NHC(O)-または-CH2CH2NHCH2-である、請求項8記載の化合物。
【請求項11】
式(IV)の化合物である、請求項1〜5のいずれか一項記載の化合物:

式中、R1、R2、R3、p、Z、LおよびAr1は式(II)の化合物について上記定義の通りである。
【請求項12】
Ar1が、ジ-ニトロフェニルまたはジ-ハロフェニルである、請求項1〜11のいずれか一項記載の化合物。
【請求項13】
Ar1が、3,5-ジ-クロロフェニル、3,4-ジ-クロロフェニル、2,4-ジ-クロロフェニル、3,5-ジ-フルオロフェニル、3,4-ジ-フルオロフェニルまたは2,4-ジ-フルオロフェニルより選択される、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
Ar1が、3,5-ジ-ニトロフェニル、3,4-ジ-ニトロフェニルまたは2,4-ジ-ニトロフェニルより選択される、請求項12記載の化合物。
【請求項15】
LがC0である、請求項1〜5および11〜14のいずれか一項記載の化合物。
【請求項16】
Lが直鎖状または分岐状のC1〜9アルキル鎖であって、ここで1個または複数、例えば1個の炭素はO、NおよびSより選択されるヘテロ原子で代替されていてもよい、請求項1〜5および11〜14のいずれか一項記載の化合物。
【請求項17】
Lが直鎖状のアルキル鎖である、請求項16記載の化合物。
【請求項18】
LがCH2である、請求項11〜14および17のいずれか一項記載の化合物。
【請求項19】
Lが-(CH2)iNH(CH2)jであり、式中iが1〜12の整数であり、jが0または1である、請求項1〜5および11〜14のいずれか一項記載の化合物。
【請求項20】
-(CH2)2NHCH2-、-(CH2)3NHCH2-、-(CH2)4NHCH2-、-(CH2)5NHCH2-、-(CH2)6NHCH2-、-(CH2)7NHCH2-および-(CH2)8NHCH2-より選択される、請求項19記載の化合物。
【請求項21】
Lが直鎖状のC115アルキル鎖であって、ここで1個または2個の炭素はN、OまたはSより独立して選択されるヘテロ原子で代替されていてもよく、該アルキル鎖は1個または2個のオキソ基で置換されていてもよい、請求項1〜5および11〜14のいずれか一項記載の化合物。
【請求項22】
-(CH2)3NHCO-、-(CH2)3NH(CH2)3NHCH2-および-(CH2)7NHSO2-より選択される、請求項21記載の化合物。
【請求項23】
R3がHである、請求項12〜22のいずれか一項記載の化合物。
【請求項24】
R1が、valまたはileである、請求項1〜23のいずれか一項記載の化合物。
【請求項25】
R2が、leuまたはvalである、請求項1〜24のいずれか一項記載の化合物。
【請求項26】
以下より選択される、請求項1記載の化合物:
デオキシアクタガルジンB (3,5-ジクロロベンジルアミン)モノカルボキサミド;
アクタガルジン (3,5-ジクロロベンジルアミン)モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB 19-[4-(4'-ニトロフェニル)ピペラジン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB 19-[4-(4'-クロロフェニル)ピペラジン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [2,4-ジクロロベンジルアミン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [4-(3',5'-ジクロロベンジル)ピペラジン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [4-(2'-フルオロ-4'-ブロモベンジル)-ピペラジン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [4-(4'-ニトロベンジル)ピペラジン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [4-ブロモベンジルアミン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [4-(3',4'-ジクロロフェニル)ピペラジン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [3-(3',5'-ジクロロベンジルアミノ)-1-プロピルアミン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [7-(3',5'-ジクロロベンジルアミノ)-1-ヘプチルアミン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [4-(2'-(3'',5''-ジクロロベンジルアミノ)エチル)-ピペラジン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [1-(4-クロロフェニル)ピペラジン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB (2,4-ジフルオロベンジルアミン)モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB 19-[4-(2'-(3'',5''-ジニトロベンズアミド)-エチル)-ピペラジン]モノカルボキサミド;
V15Fアクタガルジン (3,5-ジクロロベンジルアミン)モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [3-(3',5'-ジクロロベンズアミド)-プロピルアミン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB 19-[4-(3',5'-ジクロロベンジルアミノメチル)-ベンジル]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [3-(3'-(3'',5''-ジクロロベンジルアミノ)-プロピルアミノ)プロピルアミン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB (2,5-ジクロロベンジルアミン)モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB (3,4-ジクロロベンジルアミン)モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB (2-クロロベンジルアミン)モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB (3-クロロベンジルアミン)モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB (4-クロロベンジルアミン)モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB (2,6-ジクロロベンジルアミン)モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [6-(2',4',6'-トリクロロベンゼンスルホンアミド)-ヘキシルアミン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [5-(3',5'-ジクロロベンジルアミノ)-ペンチルアミン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [2-(3',5'-ジクロロベンジルアミノ)エチルアミン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [6-(3',5'-ジクロロベンジルアミノ)-ヘキシルアミン]モノカルボキサミド
デオキシアクタガルジンB [8-(3',5'-ジクロロベンジルアミノ)-オクチルアミン]モノカルボキサミド
デオキシアクタガルジンB [3-(2'-アミノメチル-4'-(2'',4''-ジクロロフェニル)-フラニル)プロピルアミン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [3-(2'-アミノメチル-4'-(2''-ニトロ-4''-クロロフェニル)-フラニル)プロピルアミン]モノカルボキサミド;
デオキシアクタガルジンB [3-(2'-アミノメチル-4'-(2'',4''-ジクロロフェニル)-フラニル)プロピルアミン]モノカルボキサミド; および
デオキシアクタガルジンB [3-(2'-アミノメチル-4'-(2''-ニトロ-4''-クロロフェニル)-フラニル)プロピルアミン]モノカルボキサミド。
【請求項27】
請求項1〜26のいずれか一項記載の化合物と薬学的に許容される賦形剤とを含む、組成物。
【請求項28】
処置における使用のための、請求項1〜26のいずれか一項記載の化合物または請求項27記載の組成物。
【請求項29】
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の処置における使用のための、請求項28記載の化合物または組成物。
【請求項30】
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌の処置のための、請求項29記載の化合物または組成物。
【請求項31】
治療有効量の、請求項1〜26のいずれか一項記載の化合物または請求項27記載の組成物を投与する段階を含む、患者を処置する方法。
【請求項32】
処置が、黄色ブドウ球菌による感染症の処置である、請求項31記載の患者を処置する方法。
【請求項33】
黄色ブドウ球菌がメチシリン耐性である、請求項32記載の患者を処置する方法。
【請求項34】
式(Ia)の化合物とNHR3R4基とを反応させる工程によって、式(II)の化合物を調製する方法:

式中、
R1は、それが結合している炭素ならびにα-窒素およびα-カルボニルと一緒になってアミノ酸残基となり;
R2は、それが結合している炭素ならびにα-窒素およびα-カルボニルと一緒になってアミノ酸残基となり;
Wは、-OH、または未反応(すなわち遊離)C末端を有するアミノ酸であり;
R5は、それが結合している炭素ならびにα-窒素およびα-カルボニルと一緒になってアミノ酸残基となり;
Zは、H、C1〜6アルキル、アミノ酸残基であり;
pは、0または1であり;および
断片:



または後者のE異性体である。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−516883(P2012−516883A)
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548763(P2011−548763)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000188
【国際公開番号】WO2010/089544
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(508215762)ノヴァクタ バイオシステムズ リミティッド (6)
【Fターム(参考)】