アクチュエータ装置
【課題】大きな始動トルクを発生させることができ、且つ効率の低下を抑えたアクチュエータ装置を提供する。
【解決手段】アクチュエータ装置は、界磁部1または界磁部1の内側に配置される電機子部2の何れか一方からなる固定子と、他方からなり固定子に対して回転する回転子とを備え、回転子に設けた回転軸周りのトルクを出力する。界磁部1は、2つの異磁極が電機子部2を間にして向かい合うように形成された永久磁石11,11を備え、電機子部2は、永久磁石11,11との間で磁力を作用させる一対の磁極部21b,21bが両端部に形成された鉄心21と、鉄心21の中央部に巻回されて一対の磁極部21b,21bを励磁する巻線22とを備える。そして、最大トルクを発生させる位置を挟んで両方向90度よりも小さい範囲内で上記回転子の回転を規制するストッパーが設けられている。
【解決手段】アクチュエータ装置は、界磁部1または界磁部1の内側に配置される電機子部2の何れか一方からなる固定子と、他方からなり固定子に対して回転する回転子とを備え、回転子に設けた回転軸周りのトルクを出力する。界磁部1は、2つの異磁極が電機子部2を間にして向かい合うように形成された永久磁石11,11を備え、電機子部2は、永久磁石11,11との間で磁力を作用させる一対の磁極部21b,21bが両端部に形成された鉄心21と、鉄心21の中央部に巻回されて一対の磁極部21b,21bを励磁する巻線22とを備える。そして、最大トルクを発生させる位置を挟んで両方向90度よりも小さい範囲内で上記回転子の回転を規制するストッパーが設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
限定角度の往復回転運動を実現するためには、汎用の回転モータと減速機とを組み合わせた駆動機構を採用するのが通例であり、このような駆動機構は従来から提供されている。この駆動機構は、回転モータ自体には高い出力トルクを要求することなく、小型で安価な回転モータを使用する機構であり、減速機を構成する減速ギアの段数や減速比などを調整することで、回転モータの出力を所望のトルクに増幅できるようになっている。
【0003】
しかしながら、このような駆動機構では、減速機による機械的損失(例えば、歯車の噛合いや軸受の磨耗など)が当該駆動機構の効率に大きく影響し、例えばモータ効率が70%、減速機効率が60%の場合には、駆動機構としての効率は42%まで低下してしまう。
【0004】
そこで、効率の低下を抑えるために、減速機を持たない構造のアクチュエータ装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。このアクチュエータ装置は、それぞれ異磁極に着磁され、向かい合う形で配置される2個1組の永久磁石、および、上記両永久磁石間の磁路を形成する円筒状のヨークからなる回転子と、固定子鉄心および当該固定子鉄心に巻回される巻線からなる固定子とで構成され、固定子と回転子との間で作用する磁気力により固定子に対して回転子を回転させることで、所望の出力トルクが得られるようになっている。
【特許文献1】特開平9−163708号公報(段落[0007]−段落[0014]、及び、第1図−第7図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に示したアクチュエータ装置では、減速機を持たない構造であるため、効率の低下を抑えることができるものではあるが、非通電状態から通電させた際の始動トルクが小さいため、例えば負荷トルクが大きい場合には回転子が正常に回転しない虞があった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、大きな始動トルクを発生させることができ、且つ効率の低下を抑えたアクチュエータ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、界磁部または当該界磁部の内側に配置される電機子部の何れか一方からなる固定子と、他方からなり固定子に対して回転する回転子とを備え、回転子に設けた回転軸周りのトルクを出力するアクチュエータ装置において、界磁部は、永久磁石を具備し回転軸の周方向において2つの異磁極が並べて設けられるロータを備え、電機子部は、ロータとの間で磁力を作用させる一対の磁極部が両端部に形成された鉄心と、当該鉄心の中央部に巻回されて一対の磁極部を励磁する巻線とを備え、最大トルクを発生させる位置を挟んで両方向90度よりも小さい範囲内で回転子の回転を規制するストッパーを設けることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、ストッパーは弾性材料からなることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、ロータは、永久磁石を2つ具備するとともに、当該2つの永久磁石の外側に配置されて両永久磁石間の磁路を形成する筒状のヨークを具備し、当該ヨークは、各永久磁石が配置されない部位に、当該ヨークの径方向における厚みを厚くするように径方向内側に向かって突出する凸部が設けられることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、ロータの各磁極は、当該各磁極の磁極中心と、回転子の回転中心とを通る各直線が一直線上に並ばないように、それぞれ設けられることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、一対の磁極部を互いに異なる大きさに形成することを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、最大トルクを発生させる位置にロータの各磁極が位置する状態において、電機子部の巻線と対向する部位に各磁極が配置されないように、ロータが具備する永久磁石を複数に分割して配置することを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、鉄心は、当該鉄心の中央部に全周に渡って形成された凹所を備え、巻線は、当該凹所内で巻回されることを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明は、電機子部が固定子を構成し、界磁部が回転子を構成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、回転子の回動範囲を、最大トルクを発生させる位置を挟んで両方向90度よりも小さい範囲内に設定することによって、始動トルクを大きくすることができるので、負荷トルクが大きい場合でも回転子を確実に回転させることができ、その結果高性能なアクチュエータ装置を提供できる。また、減速機を持たない構造であるため、減速機による機械的損失がなく、高効率のアクチュエータ装置を実現できる。さらに、巻線スペースを必要とする電機子部を界磁部の内側に配置することによって、界磁部の径が大きくなり、界磁部を回転させるアウターロータ型の場合には、大きな回転トルクを発生させることができる。また、鉄心に巻回する巻線が1巻線の場合には、巻線作業や組立作業が容易になるという効果がある。
【0016】
非励磁状態では、界磁部をストッパー側に押し付けるコギングトルクが発生するため、このコギングトルクにより始動トルクが低下することになるが、請求項2の発明によれば、ストッパーを弾性材料で形成することによって、上記コギングトルクがストッパーからの反力により低減されることになり、その結果始動トルクの低下を抑えることができる。また、ストッパーを弾性材料で形成することによって、ストッパーへの衝突音を低減できるとともに、衝突時の衝撃を和らげることができるので、機械寿命を延ばすこともできる。さらに、コギングトルクが作用する場合に比べて出力トルクを小さくすることができるので、低出力の駆動回路を用いることができ、その結果コストダウンを図ることができるという効果がある。
【0017】
請求項3の発明によれば、永久磁石が配置されない部位に凸部を設けることによって、当該凸部では磁路の断面積が大きくなり、その結果磁束密度が低下して磁気飽和が軽減されるので、磁気効率が改善されて高効率のアクチュエータ装置を実現できる。また、各永久磁石は、凸部と凸部の間に形成される凹部に配置されることになるから、組立時における永久磁石の位置決めが容易になるという効果がある。
【0018】
請求項4の発明によれば、界磁部の磁極位置に応じて発生トルクがピークとなる回転角度位置が変わる特性を利用することによって、トルク特性を要求特性に沿って設計することができ、その結果電機子部を過度に励磁して局所的なトルク不足を補う必要がなく、通電損失を減らして高効率化を図ることができる。また、例えば外側の界磁部を回転させるアウターロータ型の場合、界磁部を構成する永久磁石が2部品であれば、重りを用いて界磁部の重心を回転中心に一致させることによって、偏心の影響を受けることなく界磁部を回転させることができ、さらに永久磁石が1部品であれば、着磁配向を考慮して磁極を形成することによって、上記重りも不要になるという効果がある。
【0019】
請求項5の発明によれば、一対の磁極部を互いに異なる大きさに形成することによって、請求項4と同様に発生トルクがピークとなる回転角度位置を変えることができ、その結果電機子部を過度に励磁して局所的なトルク不足を補う必要がなく、通電損失を減らして高効率化を図ることができる。また、アウターロータ型の場合には、回転子である界磁部が偏心の影響を受けることなく、界磁部を構成する永久磁石が2部品の場合であっても重りが不要であるという効果がある。
【0020】
請求項6の発明によれば、回転に伴う発生トルク特性を所望に設計できるため、電機子部の過度な励磁が不要になり、その結果通電損失を減らして高効率化を図ることができる。また、永久磁石の体積を減らして軽量化できるため、慣性モーメントを小さくでき、その結果起動時の動作遅延を改善することができるという効果がある。
【0021】
請求項7の発明によれば、巻線を凹所内で巻回することによって、当該巻線が鉄心の端面から外側に張り出すことがないから、電機子部を小型化することができ、その結果小型のアクチュエータ装置を実現できる。また、凹所を設けることでコイルボビンレスが可能であり、巻線長も短くできるため銅損を低減できるという効果がある。
【0022】
例えば内側の電機子部を回転させるインナーロータ型の場合には、接触子が必要であることから摺動接触に伴う損失が発生し、また長期信頼性も懸念されるが、請求項8の発明によれば、外側の界磁部側を回転させているので上記損失は発生せず、高効率のアクチュエータ装置を実現できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に本発明に係るアクチュエータ装置の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明に係るアクチュエータ装置は、例えば電気錠などの駆動装置として用いられる。なお、従来のモータでは、長時間の連続運転を想定した巻線の温度上昇を見積もり、線径などを設定する必要があるが、以下に説明するアクチュエータ装置は、数秒以下の短時間で動作完了する用途を想定しているため、通電に伴う銅損が小さく、発熱量が小さい。したがって、線径の小さい巻線を使用することができ、従来のモータに比べて巻線が装置全体に占める割合が小さくなり、結果的に小型化ができるものである。
【0024】
(実施形態1)
図1は実施形態1のアクチュエータ装置を示しており、界磁部1と、界磁部1の内側に配置される電機子部2とを備えている。なお、本実施形態では、内側に配置される電機子部2に対して外側に配置される界磁部1を回転させる所謂アウターロータ型の場合について説明する。すなわち、本実施形態では、電機子部2が固定子を構成し、界磁部1が回転子を構成している。
【0025】
界磁部1は、回転軸(図1(b)中の紙面に垂直な方向の軸)の径方向に着磁された弧状の永久磁石11を2個備えるとともに、これらの永久磁石11,11の外側に配置されて両永久磁石11,11間の磁路を形成する円筒状のヨーク12を備えている。なお、上記の永久磁石11,11は、電機子部2を間にして向かい合うように配置されており、各永久磁石11は互いに異磁極が対向する形になっている。ここにおいて、永久磁石11の着磁方向には、例えば図3(a)に示すように回転軸の径方向に着磁する所謂ラジアル着磁や、図3(b)に示すようにパラレル方向(水平方向)に着磁する所謂パラレル着磁などがあり、以下の説明ではラジアル着磁された永久磁石11を用いた場合について説明するが、パラレル着磁された永久磁石11であってもよい。
【0026】
また、上記ヨーク12には、両永久磁石11,11が配置されない部位(図1(b)中の上下位置)に、当該ヨーク12の径方向における厚みを厚くするように径方向内側に向かって突出する凸部12a,12aがそれぞれ設けられている。したがって、上記各永久磁石11,11は、両凸部12a,12aの間に形成された2組の凹部にそれぞれ固着されるようになっており、組立時における永久磁石11,11の位置決めが容易になるという利点がある。ここに、本実施形態では、上述した2つの永久磁石11,11と、ヨーク12によりロータが構成されている。
【0027】
一方、電機子部2は、上述の各永久磁石(ロータ)11,11との間で磁力を作用させる一対の磁極部21b,21bが両端部(図1(b)中の上下両端部)に形成された円柱状の鉄心21と、この鉄心21の中央部に巻回されて上記磁極部21b,21bを励磁する巻線22とを備えている。なお、本実施形態では、図2(a)に示すように鉄心21の中央部に全周に渡って凹所21aが凹設されており、上述の巻線22はこの凹所21a内で巻回されるようになっている。したがって、鉄心21に巻線22を巻回した状態では、図2(b)に示すように巻線22が鉄心21の端面から外側に張り出すことがないから、電機子部2を小型化することができ、その結果小型のアクチュエータ装置を実現できる。また、凹所21aを設けることでコイルボビンレスが可能であり、巻線長も短くできるため銅損を低減できる。なお、本実施形態では、巻線22が1巻線のコイルからなり、巻線22に流れる電流の向きを切り替えることによって、各磁極部21bへの励磁方向が逆転するようになっている。また、本実施形態のアクチュエータ装置は、上記巻線22に励磁電流を供給する駆動回路(図示せず)を備えており、この駆動回路から出力される矩形波電圧が巻線22に印加されると巻線22に励磁電流が流れ、その結果鉄心21の両磁極部21b,21bが磁化されて、界磁部1の各永久磁石11との作用により当該界磁部1が正回転または逆回転するようになっている。
【0028】
ここにおいて、本実施形態では、上述の各永久磁石11,11は回転軸を中心として対称位置に配置され、また各磁極部21b,21bはともに同じ大きさに形成されている。すなわち、各永久磁石11の磁極中心と、回転子(界磁部1)の回転中心とを通る各直線が一直線上に並ぶように、各永久磁石11が配置されている。
【0029】
次に、本実施形態のアクチュエータ装置の動作について図4および図5に基づいて説明する。なお、以下の説明において、図4(a)中の左側の永久磁石11では内側がN極、外側がS極となるように着磁され、また右側の永久磁石11では内側がS極、外側がN極となるように着磁されているものとして説明する(図中の矢印は着磁方向を示す。)。また、図5中のx点(回転角0度)とy点(回転角180度)は、界磁部1の各永久磁石11と各磁極部21bとが対向するように回転させた位置(磁気平衡点)であって、始動トルクが最小となる位置であり、図5中のz点(回転角90度)は、各永久磁石11と巻線22とが対向するように上記x点またはy点から90度回転させた位置であって、始動トルクが最大となる位置である。
【0030】
まず、図4(a)に示す状態(図5中のa点)から巻線22に順方向の電流を流すと、右ねじの法則により上向きの磁界が発生し、図中の上側の磁極部21bがN極に磁化されるとともに、下側の磁極部21bがS極に磁化される。すると、界磁部1には反時計回り(図4(a)中のA方向)の始動トルクTbが発生し(図5中のb点)、電機子部2に対して界磁部1が反時計回りに回転する。なおこのとき、界磁部1が回転する際の負荷トルクが上記始動トルクTbよりも小さいトルクであることが前提となる。そして、図4(b)の位置まで回転すると、この位置に設けられたストッパー(図示せず)により界磁部(回転子)1の回転が規制され(図5中のc点)、この状態で鉄心21への励磁を停止すると、界磁部1はこの位置で停止する(図5中のd点)。
【0031】
次に、図4(c)に示す状態(図5中のd点)から巻線22に逆方向の電流を流すと、右ねじの法則により下向きの磁界が発生し、図中の上側の磁極部21bがS極に磁化されるとともに、下側の磁極部21bがN極に磁化される。すると、界磁部1には時計回り(図4(c)中のB方向)の始動トルクTeが発生し(図5中のe点)、電機子部2に対して界磁部1が時計回りに回転する。そして、図4(d)の位置まで回転すると、この位置に設けられたストッパー(図示せず)により界磁部1の回転が規制され(図5中のf点)、この状態で鉄心21への励磁を停止すると、界磁部1はこの位置で停止する(図5中のa点)。なお、本実施形態では、上述したように各永久磁石11を回転軸を中心として対象位置に配置し、さらに鉄心21の各磁極部21bを同じ大きさに形成しているので、上記始動トルクTb=Teとなる。ここにおいて、本実施形態では、例えば界磁部1のヨーク12に設けた突起(図示せず)と、本アクチュエータ装置が収納される機器側に設けた2個1組の突起受け(図示せず)とで上記ストッパーが構成され、各突起受けを上述した角度内(最大トルクを発生させる位置から両方向90度よりも小さい範囲内)に設けることによって、界磁部1が上記角度内で回動自在に回転できるようになっている。
【0032】
而して、本実施形態のアクチュエータ装置では、界磁部(回転子)1の回動範囲を最大トルクを発生させるz点(磁気平衡点であるx点またはy点から90度回転させた点)を挟んで両方向90度よりも小さい範囲内に設定しているので、回転始動トルク(本実施形態ではトルクTb,Te)を大きくすることができる。したがって、負荷トルクが大きい場合でも、界磁部(回転子)1を確実に回転させることができ、その結果高性能なアクチュエータ装置を提供できる。また、減速機を持たない構造であるため、減速機による機械的損失がなく、高効率のアクチュエータ装置を実現できる。さらに、巻線スペースを必要とする電機子部2を界磁部1の内側に配置することによって、界磁部1の径が大きくなり、界磁部1を回転させるアウターロータ型の場合には、大きな回転トルクを発生させることができる。また、本実施形態のように鉄心21に巻回する巻線22が1巻線の場合には、巻線作業や組立作業が容易になるという利点がある。さらに、内側に配置した電機子部2を回転させるインナーロータ型の場合には、接触子が必要であることから摺動接触に伴う損失が発生し、また長期信頼性も懸念されるが、本実施形態のようにアウターロータ型の場合には、外側の界磁部1側を回転させているので上記損失は発生せず、高効率のアクチュエータ装置を実現できる。
【0033】
ここにおいて、界磁部1が図5中のa点またはd点にある状態(非励磁状態)では、厳密にはトルクはゼロではなく、界磁部1の永久磁石11と電機子部2の鉄心21の作用によって所謂コギングトルク(図5中の実線K参照)が生じるが、このコギングトルクは磁気安定位置(例えば図5中のx点またはy点)に向かうように作用する。ここに、図6は可動域が90度の場合における正転動作時のトルク特性であり、図中の実線L,M,Nは、それぞれ巻線22に3200AT,2500AT,2000ATの電流を流した場合のトルク特性を示し、図中の実線Oはコギングトルクを示している。本図によれば、始動時には磁気安定点(図中の0度の位置)に向かうように、すなわち始動トルクと反対方向(図6中の矢印P方向)にコギングトルクが作用し、その結果始動トルクの低下を招く。したがって、始動トルクの低下を抑えるためには、上記コギングトルクを小さくすることが求められる。そこで、本実施形態では、上記ストッパーを弾性材料で形成し、当該ストッパーからの反力によって上記コギングトルクを低減することで、始動トルクの低下が抑えられるようになっている。また、ストッパーを弾性材料で形成することによって、ストッパーへの衝突音を低減できるとともに、衝突時の衝撃を和らげることができるので、機械寿命を延ばすこともできる。さらに、コギングトルクが作用する場合に比べて出力トルクを小さくすることができるので、低出力の駆動回路を用いることができ、その結果コストダウンを図ることができる。
【0034】
ここで、図7は、図4(b)に示す状態(すなわち、順方向に励磁されている状態)における主磁路を示しており、このとき界磁部1と電機子部2の磁界が強め合うことで、破線Cの経路で最大の磁束量が発生する。合わせて、ヨーク12においても、両永久磁石11,11間にある部位の磁束密度が最大となり、磁気飽和を起こす虞があるが、本実施形態ではこの部分に径方向内側に向かって突出する凸部12aを設けているので、磁路の断面積が大きくなり、その結果磁束密度が低下して磁気飽和が軽減されるので、磁気効率が改善されて高効率のアクチュエータ装置を実現できる。なお、永久磁石11内の矢印は、各永久磁石11の着磁方向を示している。ここにおいて、ヨーク12は、図8に示すように凸部12aがないものであってもよいが、上述のような磁気飽和を考慮すると、図1(b)に示すように凸部12aを設けるのが好ましい。
【0035】
次に、図10は本実施形態のアクチュエータ装置の他の例を示しており、本例では各永久磁石11を、それぞれ2つの永久磁石11a,11bに分割した点で図1に示したアクチュエータ装置と異なっている。それ以外の点は図1に示したアクチュエータ装置と同様であり、同一の構成要素には同一の符号を付して説明は省略する。
【0036】
本例では、各永久磁石11が巻線22に対向するように界磁部1を回転させた状態(すなわち、最大トルクを発生させる位置に回転させた状態)において、それぞれ巻線22に対向する部位に磁極が配置されないように、上記各永久磁石11を永久磁石11a,11bに分割して配置している。なお、図中の矢印は、各永久磁石11a,11bの着磁方向を示している。
【0037】
而して、本例によれば、各永久磁石11をそれぞれ分割することによって、永久磁石11の体積を減らして軽量化できるため、慣性モーメントを小さくでき、その結果起動時の動作遅延を改善することができる。また、後述のように各永久磁石11a,11bの配置位置に応じて、回転に伴う発生トルク特性を所望に設計できるため、電機子部2の過度な励磁が不要になり、その結果通電損失を減らして高効率化を図ることができる。
【0038】
なお、本実施形態では、各永久磁石11を2つに分割した場合について説明したが、分割数は本実施形態に限定されるものではなく、最大トルクを発生させる位置に回転させた状態において、巻線22に対向する部位に磁極が配置されていなければ3つ以上に分割してもよい。
【0039】
また、本実施形態では、鉄心21の中央部に全周に渡って凹所21aを設けており、この場合鉄心21の体積が減少することによって磁気飽和を起こす可能性があるが、例えば98に示すように巻線22をコイルボビン(図示せず)を介して鉄心21の表面に巻回するように構成することで、磁気飽和を防止することができる。
【0040】
(実施形態2)
本発明に係るアクチュエータ装置の実施形態2について図11〜図14に基づいて説明する。上述の実施形態1では、各永久磁石11を上記回転軸を中心として対称位置に配置し、さらに鉄心21の各磁極部21bを同じ大きさに形成しているが、本実施形態では、各永久磁石11を非対称位置に配置したり、各磁極部21bを互いに異なる大きさに形成している。なお、それ以外の構成については実施形態1と同様であり、同一の構成要素には同一の符号を付して説明は省略する。
【0041】
図11(a)は本実施形態の一例であり、各永久磁石11が回転軸を中心として非対称位置に配置されている。すなわち、本例では、各永久磁石11の磁極中心と、回転中心Pとを通る各直線D,Eが一直線状に並ばないように、各永久磁石11が配置されている。なお、図中の矢印は、各永久磁石11の着磁方向を示している。
【0042】
ここで、図12は永久磁石11の具体的な配置例であり、図13はこれらに対応するトルク特性を示している。図12(a)では、θa=45度、θb=30度に設定されており、各永久磁石11を上側に偏心させている。また、図12(b)では、θa=45度、θb=60度に設定されており、各永久磁石11を下側に偏心させている。
【0043】
図13中の破線Hは、θa=θb=45度、つまり各永久磁石11を対称に配置した場合のトルク特性であり、また実線Iは図12(a)の場合、二点鎖線Jは図12(b)の場合のトルク特性である。このグラフから、永久磁石11を偏心、つまり磁極を偏心させることによって、おなじ機械角(回転角)でも出力トルクが異なることが分かる。
【0044】
而して、本実施形態によれば、上述のように界磁部1の磁極位置に応じて発生トルクがピークとなる回転角度位置が変わる特性を利用することによって、トルク特性を要求特性に沿って設計することができ、その結果電機子部2を過度に励磁して局所的なトルク不足を補う必要がなく、通電損失を減らして高効率化を図ることができる。
【0045】
なお、本実施形態のように2部品からなる永久磁石11,11を偏心させた場合には、界磁部1の重心が回転中心からずれることになるが、例えば重り(図示せず)を用いて界磁部1の重心を回転中心に一致させることによって、偏心の影響を受けることなく界磁部1を回転させることができる。また、図11(b)に示すように永久磁石11が1部品からなる場合には、上記重りは不要になる。なお、この場合、図11(b)に示すように一方の磁極の磁極中心と回転中心Pとを通る直線Fと、他方の磁極の磁極中心と回転中心とを通る直線Gとが一直線状に並ばないように、各磁極を着磁すればよい。なお、図中の矢印は、永久磁石11に形成された各磁極の着磁方向を示している。
【0046】
次に、図14は本実施形態のアクチュエータ装置の他の例を示しており、上述のアクチュエータ装置では、界磁部(回転子)1を構成する永久磁石11を偏心させているが、本例では電機子部(固定子)2を構成する鉄心21の各磁極部21bを互いに異なる大きさに形成しており、それ以外の構成は同様であるから、同一の構成要素には同一の符号を付して説明は省略する。
【0047】
図14に示す例では、上側の磁極部21bが下側の磁極部21bよりも小さくなっている。すなわち、上下の磁極部21bの大きさを互いに異なる大きさとすることによって、鉄心21側の磁極を片側に偏心させているのである。
【0048】
而して、本例によれば、一対の磁極部21b,21bを互いに異なる大きさに形成することによって、鉄心21側に生じる磁極を偏心させることができ、その結果発生トルクがピークとなる回転角度位置を変えることができるので、電機子部2を過度に励磁して局所的なトルク不足を補う必要がなく、通電損失を減らして高効率化を図ることができる。また、本例のように固定子を構成する鉄心21を偏心させた場合には、回転子である界磁部1は偏心の影響を受けることなく、永久磁石11が2部品からなる場合でも重りが不要であるという利点がある。
【0049】
なお、上述の実施形態1,2では、電機子部2が固定子であって、界磁部1が回転子であるアクチュエータ装置について説明したが、逆に電機子部2が回転子であって、界磁部1が固定子であるアクチュエータ装置であってもよい。また、実施形態1,2では、1巻線からなる巻線22を用い、励磁方向に応じて巻線22に流す電流の方向を切り替えているが、例えば巻線22は2巻線のものであってもよく、励磁方向に応じて電流を流す巻線を切り替えるようにしてもよい。さらに、上述したストッパーの位置は、最大トルクを発生させる位置を挟んで両方向90度よりも小さい範囲内であれば、商品仕様などに応じて適宜設定すればよい。
【0050】
また、実施形態1では、永久磁石11が2個の場合について説明したが、本実施形態で説明した図11(b)に示すような1部品で構成し、各磁極の磁極中心と回転中心とを通る各直線が一直線上に並ぶように(すなわち、各磁極を対称位置に配置)、各磁極を着磁するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施形態1のアクチュエータ装置の回転子および固定子を示し、(a)は断面斜視図、(b)は正面から見た断面図である。
【図2】同上の鉄心を示し、(a)は巻線を巻回する前の斜視図、(b)は巻線を巻回した後の斜視図である。
【図3】(a)(b)は永久磁石の着磁方向を示す断面図である。
【図4】(a)〜(d)は同上の回転子の動作を説明する説明図である。
【図5】同上の回転子の動作を説明するグラフである。
【図6】同上の回転子に作用する励磁トルクとコギングトルクとを示すグラフである。
【図7】同上の回転子および固定子に発生する磁束を説明する説明図である。
【図8】同上の他の回転子および固定子の正面から見た断面図である。
【図9】同上のさらに他の回転子および固定子の断面斜視図である。
【図10】同上のさらにまた他の回転子および固定子の正面から見た断面図である。
【図11】(a)は実施形態2のアクチュエータ装置の回転子および固定子の正面から見た断面図、(b)は同上に用いられる他の永久磁石の正面から見た断面図である。
【図12】(a)(b)は同上の回転子を構成する永久磁石の具体的な配置例である。
【図13】同上の回転子の回転角と出力トルクの関係を示す関係図である。
【図14】同上の他の回転子および固定子の正面から見た断面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 界磁部(回転子)
2 電機子部(固定子)
11 永久磁石
21 鉄心
21b 磁極部
22 巻線
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
限定角度の往復回転運動を実現するためには、汎用の回転モータと減速機とを組み合わせた駆動機構を採用するのが通例であり、このような駆動機構は従来から提供されている。この駆動機構は、回転モータ自体には高い出力トルクを要求することなく、小型で安価な回転モータを使用する機構であり、減速機を構成する減速ギアの段数や減速比などを調整することで、回転モータの出力を所望のトルクに増幅できるようになっている。
【0003】
しかしながら、このような駆動機構では、減速機による機械的損失(例えば、歯車の噛合いや軸受の磨耗など)が当該駆動機構の効率に大きく影響し、例えばモータ効率が70%、減速機効率が60%の場合には、駆動機構としての効率は42%まで低下してしまう。
【0004】
そこで、効率の低下を抑えるために、減速機を持たない構造のアクチュエータ装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。このアクチュエータ装置は、それぞれ異磁極に着磁され、向かい合う形で配置される2個1組の永久磁石、および、上記両永久磁石間の磁路を形成する円筒状のヨークからなる回転子と、固定子鉄心および当該固定子鉄心に巻回される巻線からなる固定子とで構成され、固定子と回転子との間で作用する磁気力により固定子に対して回転子を回転させることで、所望の出力トルクが得られるようになっている。
【特許文献1】特開平9−163708号公報(段落[0007]−段落[0014]、及び、第1図−第7図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に示したアクチュエータ装置では、減速機を持たない構造であるため、効率の低下を抑えることができるものではあるが、非通電状態から通電させた際の始動トルクが小さいため、例えば負荷トルクが大きい場合には回転子が正常に回転しない虞があった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、大きな始動トルクを発生させることができ、且つ効率の低下を抑えたアクチュエータ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、界磁部または当該界磁部の内側に配置される電機子部の何れか一方からなる固定子と、他方からなり固定子に対して回転する回転子とを備え、回転子に設けた回転軸周りのトルクを出力するアクチュエータ装置において、界磁部は、永久磁石を具備し回転軸の周方向において2つの異磁極が並べて設けられるロータを備え、電機子部は、ロータとの間で磁力を作用させる一対の磁極部が両端部に形成された鉄心と、当該鉄心の中央部に巻回されて一対の磁極部を励磁する巻線とを備え、最大トルクを発生させる位置を挟んで両方向90度よりも小さい範囲内で回転子の回転を規制するストッパーを設けることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、ストッパーは弾性材料からなることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、ロータは、永久磁石を2つ具備するとともに、当該2つの永久磁石の外側に配置されて両永久磁石間の磁路を形成する筒状のヨークを具備し、当該ヨークは、各永久磁石が配置されない部位に、当該ヨークの径方向における厚みを厚くするように径方向内側に向かって突出する凸部が設けられることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、ロータの各磁極は、当該各磁極の磁極中心と、回転子の回転中心とを通る各直線が一直線上に並ばないように、それぞれ設けられることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、一対の磁極部を互いに異なる大きさに形成することを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、最大トルクを発生させる位置にロータの各磁極が位置する状態において、電機子部の巻線と対向する部位に各磁極が配置されないように、ロータが具備する永久磁石を複数に分割して配置することを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、鉄心は、当該鉄心の中央部に全周に渡って形成された凹所を備え、巻線は、当該凹所内で巻回されることを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明は、電機子部が固定子を構成し、界磁部が回転子を構成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、回転子の回動範囲を、最大トルクを発生させる位置を挟んで両方向90度よりも小さい範囲内に設定することによって、始動トルクを大きくすることができるので、負荷トルクが大きい場合でも回転子を確実に回転させることができ、その結果高性能なアクチュエータ装置を提供できる。また、減速機を持たない構造であるため、減速機による機械的損失がなく、高効率のアクチュエータ装置を実現できる。さらに、巻線スペースを必要とする電機子部を界磁部の内側に配置することによって、界磁部の径が大きくなり、界磁部を回転させるアウターロータ型の場合には、大きな回転トルクを発生させることができる。また、鉄心に巻回する巻線が1巻線の場合には、巻線作業や組立作業が容易になるという効果がある。
【0016】
非励磁状態では、界磁部をストッパー側に押し付けるコギングトルクが発生するため、このコギングトルクにより始動トルクが低下することになるが、請求項2の発明によれば、ストッパーを弾性材料で形成することによって、上記コギングトルクがストッパーからの反力により低減されることになり、その結果始動トルクの低下を抑えることができる。また、ストッパーを弾性材料で形成することによって、ストッパーへの衝突音を低減できるとともに、衝突時の衝撃を和らげることができるので、機械寿命を延ばすこともできる。さらに、コギングトルクが作用する場合に比べて出力トルクを小さくすることができるので、低出力の駆動回路を用いることができ、その結果コストダウンを図ることができるという効果がある。
【0017】
請求項3の発明によれば、永久磁石が配置されない部位に凸部を設けることによって、当該凸部では磁路の断面積が大きくなり、その結果磁束密度が低下して磁気飽和が軽減されるので、磁気効率が改善されて高効率のアクチュエータ装置を実現できる。また、各永久磁石は、凸部と凸部の間に形成される凹部に配置されることになるから、組立時における永久磁石の位置決めが容易になるという効果がある。
【0018】
請求項4の発明によれば、界磁部の磁極位置に応じて発生トルクがピークとなる回転角度位置が変わる特性を利用することによって、トルク特性を要求特性に沿って設計することができ、その結果電機子部を過度に励磁して局所的なトルク不足を補う必要がなく、通電損失を減らして高効率化を図ることができる。また、例えば外側の界磁部を回転させるアウターロータ型の場合、界磁部を構成する永久磁石が2部品であれば、重りを用いて界磁部の重心を回転中心に一致させることによって、偏心の影響を受けることなく界磁部を回転させることができ、さらに永久磁石が1部品であれば、着磁配向を考慮して磁極を形成することによって、上記重りも不要になるという効果がある。
【0019】
請求項5の発明によれば、一対の磁極部を互いに異なる大きさに形成することによって、請求項4と同様に発生トルクがピークとなる回転角度位置を変えることができ、その結果電機子部を過度に励磁して局所的なトルク不足を補う必要がなく、通電損失を減らして高効率化を図ることができる。また、アウターロータ型の場合には、回転子である界磁部が偏心の影響を受けることなく、界磁部を構成する永久磁石が2部品の場合であっても重りが不要であるという効果がある。
【0020】
請求項6の発明によれば、回転に伴う発生トルク特性を所望に設計できるため、電機子部の過度な励磁が不要になり、その結果通電損失を減らして高効率化を図ることができる。また、永久磁石の体積を減らして軽量化できるため、慣性モーメントを小さくでき、その結果起動時の動作遅延を改善することができるという効果がある。
【0021】
請求項7の発明によれば、巻線を凹所内で巻回することによって、当該巻線が鉄心の端面から外側に張り出すことがないから、電機子部を小型化することができ、その結果小型のアクチュエータ装置を実現できる。また、凹所を設けることでコイルボビンレスが可能であり、巻線長も短くできるため銅損を低減できるという効果がある。
【0022】
例えば内側の電機子部を回転させるインナーロータ型の場合には、接触子が必要であることから摺動接触に伴う損失が発生し、また長期信頼性も懸念されるが、請求項8の発明によれば、外側の界磁部側を回転させているので上記損失は発生せず、高効率のアクチュエータ装置を実現できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に本発明に係るアクチュエータ装置の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明に係るアクチュエータ装置は、例えば電気錠などの駆動装置として用いられる。なお、従来のモータでは、長時間の連続運転を想定した巻線の温度上昇を見積もり、線径などを設定する必要があるが、以下に説明するアクチュエータ装置は、数秒以下の短時間で動作完了する用途を想定しているため、通電に伴う銅損が小さく、発熱量が小さい。したがって、線径の小さい巻線を使用することができ、従来のモータに比べて巻線が装置全体に占める割合が小さくなり、結果的に小型化ができるものである。
【0024】
(実施形態1)
図1は実施形態1のアクチュエータ装置を示しており、界磁部1と、界磁部1の内側に配置される電機子部2とを備えている。なお、本実施形態では、内側に配置される電機子部2に対して外側に配置される界磁部1を回転させる所謂アウターロータ型の場合について説明する。すなわち、本実施形態では、電機子部2が固定子を構成し、界磁部1が回転子を構成している。
【0025】
界磁部1は、回転軸(図1(b)中の紙面に垂直な方向の軸)の径方向に着磁された弧状の永久磁石11を2個備えるとともに、これらの永久磁石11,11の外側に配置されて両永久磁石11,11間の磁路を形成する円筒状のヨーク12を備えている。なお、上記の永久磁石11,11は、電機子部2を間にして向かい合うように配置されており、各永久磁石11は互いに異磁極が対向する形になっている。ここにおいて、永久磁石11の着磁方向には、例えば図3(a)に示すように回転軸の径方向に着磁する所謂ラジアル着磁や、図3(b)に示すようにパラレル方向(水平方向)に着磁する所謂パラレル着磁などがあり、以下の説明ではラジアル着磁された永久磁石11を用いた場合について説明するが、パラレル着磁された永久磁石11であってもよい。
【0026】
また、上記ヨーク12には、両永久磁石11,11が配置されない部位(図1(b)中の上下位置)に、当該ヨーク12の径方向における厚みを厚くするように径方向内側に向かって突出する凸部12a,12aがそれぞれ設けられている。したがって、上記各永久磁石11,11は、両凸部12a,12aの間に形成された2組の凹部にそれぞれ固着されるようになっており、組立時における永久磁石11,11の位置決めが容易になるという利点がある。ここに、本実施形態では、上述した2つの永久磁石11,11と、ヨーク12によりロータが構成されている。
【0027】
一方、電機子部2は、上述の各永久磁石(ロータ)11,11との間で磁力を作用させる一対の磁極部21b,21bが両端部(図1(b)中の上下両端部)に形成された円柱状の鉄心21と、この鉄心21の中央部に巻回されて上記磁極部21b,21bを励磁する巻線22とを備えている。なお、本実施形態では、図2(a)に示すように鉄心21の中央部に全周に渡って凹所21aが凹設されており、上述の巻線22はこの凹所21a内で巻回されるようになっている。したがって、鉄心21に巻線22を巻回した状態では、図2(b)に示すように巻線22が鉄心21の端面から外側に張り出すことがないから、電機子部2を小型化することができ、その結果小型のアクチュエータ装置を実現できる。また、凹所21aを設けることでコイルボビンレスが可能であり、巻線長も短くできるため銅損を低減できる。なお、本実施形態では、巻線22が1巻線のコイルからなり、巻線22に流れる電流の向きを切り替えることによって、各磁極部21bへの励磁方向が逆転するようになっている。また、本実施形態のアクチュエータ装置は、上記巻線22に励磁電流を供給する駆動回路(図示せず)を備えており、この駆動回路から出力される矩形波電圧が巻線22に印加されると巻線22に励磁電流が流れ、その結果鉄心21の両磁極部21b,21bが磁化されて、界磁部1の各永久磁石11との作用により当該界磁部1が正回転または逆回転するようになっている。
【0028】
ここにおいて、本実施形態では、上述の各永久磁石11,11は回転軸を中心として対称位置に配置され、また各磁極部21b,21bはともに同じ大きさに形成されている。すなわち、各永久磁石11の磁極中心と、回転子(界磁部1)の回転中心とを通る各直線が一直線上に並ぶように、各永久磁石11が配置されている。
【0029】
次に、本実施形態のアクチュエータ装置の動作について図4および図5に基づいて説明する。なお、以下の説明において、図4(a)中の左側の永久磁石11では内側がN極、外側がS極となるように着磁され、また右側の永久磁石11では内側がS極、外側がN極となるように着磁されているものとして説明する(図中の矢印は着磁方向を示す。)。また、図5中のx点(回転角0度)とy点(回転角180度)は、界磁部1の各永久磁石11と各磁極部21bとが対向するように回転させた位置(磁気平衡点)であって、始動トルクが最小となる位置であり、図5中のz点(回転角90度)は、各永久磁石11と巻線22とが対向するように上記x点またはy点から90度回転させた位置であって、始動トルクが最大となる位置である。
【0030】
まず、図4(a)に示す状態(図5中のa点)から巻線22に順方向の電流を流すと、右ねじの法則により上向きの磁界が発生し、図中の上側の磁極部21bがN極に磁化されるとともに、下側の磁極部21bがS極に磁化される。すると、界磁部1には反時計回り(図4(a)中のA方向)の始動トルクTbが発生し(図5中のb点)、電機子部2に対して界磁部1が反時計回りに回転する。なおこのとき、界磁部1が回転する際の負荷トルクが上記始動トルクTbよりも小さいトルクであることが前提となる。そして、図4(b)の位置まで回転すると、この位置に設けられたストッパー(図示せず)により界磁部(回転子)1の回転が規制され(図5中のc点)、この状態で鉄心21への励磁を停止すると、界磁部1はこの位置で停止する(図5中のd点)。
【0031】
次に、図4(c)に示す状態(図5中のd点)から巻線22に逆方向の電流を流すと、右ねじの法則により下向きの磁界が発生し、図中の上側の磁極部21bがS極に磁化されるとともに、下側の磁極部21bがN極に磁化される。すると、界磁部1には時計回り(図4(c)中のB方向)の始動トルクTeが発生し(図5中のe点)、電機子部2に対して界磁部1が時計回りに回転する。そして、図4(d)の位置まで回転すると、この位置に設けられたストッパー(図示せず)により界磁部1の回転が規制され(図5中のf点)、この状態で鉄心21への励磁を停止すると、界磁部1はこの位置で停止する(図5中のa点)。なお、本実施形態では、上述したように各永久磁石11を回転軸を中心として対象位置に配置し、さらに鉄心21の各磁極部21bを同じ大きさに形成しているので、上記始動トルクTb=Teとなる。ここにおいて、本実施形態では、例えば界磁部1のヨーク12に設けた突起(図示せず)と、本アクチュエータ装置が収納される機器側に設けた2個1組の突起受け(図示せず)とで上記ストッパーが構成され、各突起受けを上述した角度内(最大トルクを発生させる位置から両方向90度よりも小さい範囲内)に設けることによって、界磁部1が上記角度内で回動自在に回転できるようになっている。
【0032】
而して、本実施形態のアクチュエータ装置では、界磁部(回転子)1の回動範囲を最大トルクを発生させるz点(磁気平衡点であるx点またはy点から90度回転させた点)を挟んで両方向90度よりも小さい範囲内に設定しているので、回転始動トルク(本実施形態ではトルクTb,Te)を大きくすることができる。したがって、負荷トルクが大きい場合でも、界磁部(回転子)1を確実に回転させることができ、その結果高性能なアクチュエータ装置を提供できる。また、減速機を持たない構造であるため、減速機による機械的損失がなく、高効率のアクチュエータ装置を実現できる。さらに、巻線スペースを必要とする電機子部2を界磁部1の内側に配置することによって、界磁部1の径が大きくなり、界磁部1を回転させるアウターロータ型の場合には、大きな回転トルクを発生させることができる。また、本実施形態のように鉄心21に巻回する巻線22が1巻線の場合には、巻線作業や組立作業が容易になるという利点がある。さらに、内側に配置した電機子部2を回転させるインナーロータ型の場合には、接触子が必要であることから摺動接触に伴う損失が発生し、また長期信頼性も懸念されるが、本実施形態のようにアウターロータ型の場合には、外側の界磁部1側を回転させているので上記損失は発生せず、高効率のアクチュエータ装置を実現できる。
【0033】
ここにおいて、界磁部1が図5中のa点またはd点にある状態(非励磁状態)では、厳密にはトルクはゼロではなく、界磁部1の永久磁石11と電機子部2の鉄心21の作用によって所謂コギングトルク(図5中の実線K参照)が生じるが、このコギングトルクは磁気安定位置(例えば図5中のx点またはy点)に向かうように作用する。ここに、図6は可動域が90度の場合における正転動作時のトルク特性であり、図中の実線L,M,Nは、それぞれ巻線22に3200AT,2500AT,2000ATの電流を流した場合のトルク特性を示し、図中の実線Oはコギングトルクを示している。本図によれば、始動時には磁気安定点(図中の0度の位置)に向かうように、すなわち始動トルクと反対方向(図6中の矢印P方向)にコギングトルクが作用し、その結果始動トルクの低下を招く。したがって、始動トルクの低下を抑えるためには、上記コギングトルクを小さくすることが求められる。そこで、本実施形態では、上記ストッパーを弾性材料で形成し、当該ストッパーからの反力によって上記コギングトルクを低減することで、始動トルクの低下が抑えられるようになっている。また、ストッパーを弾性材料で形成することによって、ストッパーへの衝突音を低減できるとともに、衝突時の衝撃を和らげることができるので、機械寿命を延ばすこともできる。さらに、コギングトルクが作用する場合に比べて出力トルクを小さくすることができるので、低出力の駆動回路を用いることができ、その結果コストダウンを図ることができる。
【0034】
ここで、図7は、図4(b)に示す状態(すなわち、順方向に励磁されている状態)における主磁路を示しており、このとき界磁部1と電機子部2の磁界が強め合うことで、破線Cの経路で最大の磁束量が発生する。合わせて、ヨーク12においても、両永久磁石11,11間にある部位の磁束密度が最大となり、磁気飽和を起こす虞があるが、本実施形態ではこの部分に径方向内側に向かって突出する凸部12aを設けているので、磁路の断面積が大きくなり、その結果磁束密度が低下して磁気飽和が軽減されるので、磁気効率が改善されて高効率のアクチュエータ装置を実現できる。なお、永久磁石11内の矢印は、各永久磁石11の着磁方向を示している。ここにおいて、ヨーク12は、図8に示すように凸部12aがないものであってもよいが、上述のような磁気飽和を考慮すると、図1(b)に示すように凸部12aを設けるのが好ましい。
【0035】
次に、図10は本実施形態のアクチュエータ装置の他の例を示しており、本例では各永久磁石11を、それぞれ2つの永久磁石11a,11bに分割した点で図1に示したアクチュエータ装置と異なっている。それ以外の点は図1に示したアクチュエータ装置と同様であり、同一の構成要素には同一の符号を付して説明は省略する。
【0036】
本例では、各永久磁石11が巻線22に対向するように界磁部1を回転させた状態(すなわち、最大トルクを発生させる位置に回転させた状態)において、それぞれ巻線22に対向する部位に磁極が配置されないように、上記各永久磁石11を永久磁石11a,11bに分割して配置している。なお、図中の矢印は、各永久磁石11a,11bの着磁方向を示している。
【0037】
而して、本例によれば、各永久磁石11をそれぞれ分割することによって、永久磁石11の体積を減らして軽量化できるため、慣性モーメントを小さくでき、その結果起動時の動作遅延を改善することができる。また、後述のように各永久磁石11a,11bの配置位置に応じて、回転に伴う発生トルク特性を所望に設計できるため、電機子部2の過度な励磁が不要になり、その結果通電損失を減らして高効率化を図ることができる。
【0038】
なお、本実施形態では、各永久磁石11を2つに分割した場合について説明したが、分割数は本実施形態に限定されるものではなく、最大トルクを発生させる位置に回転させた状態において、巻線22に対向する部位に磁極が配置されていなければ3つ以上に分割してもよい。
【0039】
また、本実施形態では、鉄心21の中央部に全周に渡って凹所21aを設けており、この場合鉄心21の体積が減少することによって磁気飽和を起こす可能性があるが、例えば98に示すように巻線22をコイルボビン(図示せず)を介して鉄心21の表面に巻回するように構成することで、磁気飽和を防止することができる。
【0040】
(実施形態2)
本発明に係るアクチュエータ装置の実施形態2について図11〜図14に基づいて説明する。上述の実施形態1では、各永久磁石11を上記回転軸を中心として対称位置に配置し、さらに鉄心21の各磁極部21bを同じ大きさに形成しているが、本実施形態では、各永久磁石11を非対称位置に配置したり、各磁極部21bを互いに異なる大きさに形成している。なお、それ以外の構成については実施形態1と同様であり、同一の構成要素には同一の符号を付して説明は省略する。
【0041】
図11(a)は本実施形態の一例であり、各永久磁石11が回転軸を中心として非対称位置に配置されている。すなわち、本例では、各永久磁石11の磁極中心と、回転中心Pとを通る各直線D,Eが一直線状に並ばないように、各永久磁石11が配置されている。なお、図中の矢印は、各永久磁石11の着磁方向を示している。
【0042】
ここで、図12は永久磁石11の具体的な配置例であり、図13はこれらに対応するトルク特性を示している。図12(a)では、θa=45度、θb=30度に設定されており、各永久磁石11を上側に偏心させている。また、図12(b)では、θa=45度、θb=60度に設定されており、各永久磁石11を下側に偏心させている。
【0043】
図13中の破線Hは、θa=θb=45度、つまり各永久磁石11を対称に配置した場合のトルク特性であり、また実線Iは図12(a)の場合、二点鎖線Jは図12(b)の場合のトルク特性である。このグラフから、永久磁石11を偏心、つまり磁極を偏心させることによって、おなじ機械角(回転角)でも出力トルクが異なることが分かる。
【0044】
而して、本実施形態によれば、上述のように界磁部1の磁極位置に応じて発生トルクがピークとなる回転角度位置が変わる特性を利用することによって、トルク特性を要求特性に沿って設計することができ、その結果電機子部2を過度に励磁して局所的なトルク不足を補う必要がなく、通電損失を減らして高効率化を図ることができる。
【0045】
なお、本実施形態のように2部品からなる永久磁石11,11を偏心させた場合には、界磁部1の重心が回転中心からずれることになるが、例えば重り(図示せず)を用いて界磁部1の重心を回転中心に一致させることによって、偏心の影響を受けることなく界磁部1を回転させることができる。また、図11(b)に示すように永久磁石11が1部品からなる場合には、上記重りは不要になる。なお、この場合、図11(b)に示すように一方の磁極の磁極中心と回転中心Pとを通る直線Fと、他方の磁極の磁極中心と回転中心とを通る直線Gとが一直線状に並ばないように、各磁極を着磁すればよい。なお、図中の矢印は、永久磁石11に形成された各磁極の着磁方向を示している。
【0046】
次に、図14は本実施形態のアクチュエータ装置の他の例を示しており、上述のアクチュエータ装置では、界磁部(回転子)1を構成する永久磁石11を偏心させているが、本例では電機子部(固定子)2を構成する鉄心21の各磁極部21bを互いに異なる大きさに形成しており、それ以外の構成は同様であるから、同一の構成要素には同一の符号を付して説明は省略する。
【0047】
図14に示す例では、上側の磁極部21bが下側の磁極部21bよりも小さくなっている。すなわち、上下の磁極部21bの大きさを互いに異なる大きさとすることによって、鉄心21側の磁極を片側に偏心させているのである。
【0048】
而して、本例によれば、一対の磁極部21b,21bを互いに異なる大きさに形成することによって、鉄心21側に生じる磁極を偏心させることができ、その結果発生トルクがピークとなる回転角度位置を変えることができるので、電機子部2を過度に励磁して局所的なトルク不足を補う必要がなく、通電損失を減らして高効率化を図ることができる。また、本例のように固定子を構成する鉄心21を偏心させた場合には、回転子である界磁部1は偏心の影響を受けることなく、永久磁石11が2部品からなる場合でも重りが不要であるという利点がある。
【0049】
なお、上述の実施形態1,2では、電機子部2が固定子であって、界磁部1が回転子であるアクチュエータ装置について説明したが、逆に電機子部2が回転子であって、界磁部1が固定子であるアクチュエータ装置であってもよい。また、実施形態1,2では、1巻線からなる巻線22を用い、励磁方向に応じて巻線22に流す電流の方向を切り替えているが、例えば巻線22は2巻線のものであってもよく、励磁方向に応じて電流を流す巻線を切り替えるようにしてもよい。さらに、上述したストッパーの位置は、最大トルクを発生させる位置を挟んで両方向90度よりも小さい範囲内であれば、商品仕様などに応じて適宜設定すればよい。
【0050】
また、実施形態1では、永久磁石11が2個の場合について説明したが、本実施形態で説明した図11(b)に示すような1部品で構成し、各磁極の磁極中心と回転中心とを通る各直線が一直線上に並ぶように(すなわち、各磁極を対称位置に配置)、各磁極を着磁するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施形態1のアクチュエータ装置の回転子および固定子を示し、(a)は断面斜視図、(b)は正面から見た断面図である。
【図2】同上の鉄心を示し、(a)は巻線を巻回する前の斜視図、(b)は巻線を巻回した後の斜視図である。
【図3】(a)(b)は永久磁石の着磁方向を示す断面図である。
【図4】(a)〜(d)は同上の回転子の動作を説明する説明図である。
【図5】同上の回転子の動作を説明するグラフである。
【図6】同上の回転子に作用する励磁トルクとコギングトルクとを示すグラフである。
【図7】同上の回転子および固定子に発生する磁束を説明する説明図である。
【図8】同上の他の回転子および固定子の正面から見た断面図である。
【図9】同上のさらに他の回転子および固定子の断面斜視図である。
【図10】同上のさらにまた他の回転子および固定子の正面から見た断面図である。
【図11】(a)は実施形態2のアクチュエータ装置の回転子および固定子の正面から見た断面図、(b)は同上に用いられる他の永久磁石の正面から見た断面図である。
【図12】(a)(b)は同上の回転子を構成する永久磁石の具体的な配置例である。
【図13】同上の回転子の回転角と出力トルクの関係を示す関係図である。
【図14】同上の他の回転子および固定子の正面から見た断面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 界磁部(回転子)
2 電機子部(固定子)
11 永久磁石
21 鉄心
21b 磁極部
22 巻線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
界磁部または当該界磁部の内側に配置される電機子部の何れか一方からなる固定子と、他方からなり前記固定子に対して回転する回転子とを備え、前記回転子に設けた回転軸周りのトルクを出力するアクチュエータ装置において、前記界磁部は、永久磁石を具備し前記回転軸の周方向において2つの異磁極が並べて設けられるロータを備え、前記電機子部は、前記ロータとの間で磁力を作用させる一対の磁極部が両端部に形成された鉄心と、当該鉄心の中央部に巻回されて前記一対の磁極部を励磁する巻線とを備え、最大トルクを発生させる位置を挟んで両方向90度よりも小さい範囲内で前記回転子の回転を規制するストッパーを設けることを特徴とするアクチュエータ装置。
【請求項2】
前記ストッパーは弾性材料からなることを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ装置。
【請求項3】
前記ロータは、前記永久磁石を2つ具備するとともに、当該2つの永久磁石の外側に配置されて両永久磁石間の磁路を形成する筒状のヨークを具備し、当該ヨークは、前記各永久磁石が配置されない部位に、当該ヨークの径方向における厚みを厚くするように径方向内側に向かって突出する凸部が設けられることを特徴とする請求項1または2の何れか1項に記載のアクチュエータ装置。
【請求項4】
前記ロータの各磁極は、当該各磁極の磁極中心と、前記回転子の回転中心とを通る各直線が一直線上に並ばないように、それぞれ設けられることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のアクチュエータ装置。
【請求項5】
前記一対の磁極部を互いに異なる大きさに形成することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のアクチュエータ装置。
【請求項6】
最大トルクを発生させる位置に前記ロータの各磁極が位置する状態において、前記電機子部の巻線と対向する部位に前記各磁極が配置されないように、前記ロータが具備する前記永久磁石を複数に分割して配置することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のアクチュエータ装置。
【請求項7】
前記鉄心は、当該鉄心の中央部に全周に渡って形成された凹所を備え、前記巻線は、当該凹所内で巻回されることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のアクチュエータ装置。
【請求項8】
前記電機子部が前記固定子を構成し、前記界磁部が前記回転子を構成することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のアクチュエータ装置。
【請求項1】
界磁部または当該界磁部の内側に配置される電機子部の何れか一方からなる固定子と、他方からなり前記固定子に対して回転する回転子とを備え、前記回転子に設けた回転軸周りのトルクを出力するアクチュエータ装置において、前記界磁部は、永久磁石を具備し前記回転軸の周方向において2つの異磁極が並べて設けられるロータを備え、前記電機子部は、前記ロータとの間で磁力を作用させる一対の磁極部が両端部に形成された鉄心と、当該鉄心の中央部に巻回されて前記一対の磁極部を励磁する巻線とを備え、最大トルクを発生させる位置を挟んで両方向90度よりも小さい範囲内で前記回転子の回転を規制するストッパーを設けることを特徴とするアクチュエータ装置。
【請求項2】
前記ストッパーは弾性材料からなることを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ装置。
【請求項3】
前記ロータは、前記永久磁石を2つ具備するとともに、当該2つの永久磁石の外側に配置されて両永久磁石間の磁路を形成する筒状のヨークを具備し、当該ヨークは、前記各永久磁石が配置されない部位に、当該ヨークの径方向における厚みを厚くするように径方向内側に向かって突出する凸部が設けられることを特徴とする請求項1または2の何れか1項に記載のアクチュエータ装置。
【請求項4】
前記ロータの各磁極は、当該各磁極の磁極中心と、前記回転子の回転中心とを通る各直線が一直線上に並ばないように、それぞれ設けられることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のアクチュエータ装置。
【請求項5】
前記一対の磁極部を互いに異なる大きさに形成することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のアクチュエータ装置。
【請求項6】
最大トルクを発生させる位置に前記ロータの各磁極が位置する状態において、前記電機子部の巻線と対向する部位に前記各磁極が配置されないように、前記ロータが具備する前記永久磁石を複数に分割して配置することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のアクチュエータ装置。
【請求項7】
前記鉄心は、当該鉄心の中央部に全周に渡って形成された凹所を備え、前記巻線は、当該凹所内で巻回されることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のアクチュエータ装置。
【請求項8】
前記電機子部が前記固定子を構成し、前記界磁部が前記回転子を構成することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のアクチュエータ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−154690(P2010−154690A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331356(P2008−331356)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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