説明

アクチュエータ

【課題】内部からの発塵を防止する効果に優れたアクチュエータを提供する。
【解決手段】ハウジング10内に配設された位置決め機構に沿って往復移動するとともに、所定の位置で停止する移動体2を備え、当該移動体の移動経路を成すハウジングのスリット12を塞ぐための可動式のシールベルト16が設けられたアクチュエータAであって、スリットの両端側には、シールベルトの一部を覆うカバーC1が設けられており、当該カバーは、シールベルトとの間に所定の隙間s1を空けて、当該シールベルトと対向している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、製造や検査などで各種の製品を移動するアクチュエータに関し、特に半導体などの精密部品の製造や検査等に用いられるアクチュエータの発塵防止に関する。
【背景技術】
【0002】
かかるアクチュエータは、細長い矩形状の筐体(ハウジング)内に配設された直動案内装置と、当該直動案内装置に案内されて往復移動する移動体と、当該移動体を往復移動させるとともに所定の位置で停止させるための位置決め機構(例えば、ボールねじ機構など)を駆動するための駆動装置とを備えている。なお、直動案内装置には、ハウジングの長手方向に沿って延出したガイドレールと、当該ガイドレールに沿って往復移動可能なスライダとが設けられている。
【0003】
例えば、図5(a)〜(c)及び図6には、2つの直動案内装置(2本のガイドレール4)を配設し、当該2つの直動案内装置に1つの移動体2を設けているとともに、当該移動体2の位置決め機構として、ボールねじ機構を適用したアクチュエータBの構成が一例として示されている。なお、図6には、アクチュエータB全体の構成例が示されているが、同図において、直動案内装置及び位置決め機構(ボールねじ機構)の構成は、その記載を省略している。かかるアクチュエータBにおいて、ボールねじ機構は、2本のガイドレール4の間に、当該ガイドレール4の延出方向に沿って平行に延出したねじ軸(図示しない)と、送りねじとしてのボールナット(図示しない)とを備えており、当該ねじ軸が駆動装置(例えば、モータ)6によって回転する。また、ねじ軸の外周面及びボールナットの内周面には、相互に対向する螺旋状のボール溝(図示しない)がそれぞれ設けられており、当該ねじ軸及びボールナットの双方のボール溝により形成される螺旋状転動空間(図示しない)には、複数のボール(図示しない)が転動自在に配置されている。そして、ボールナットは、ブラケット(図示しない)を介して移動体2に固定され、当該移動体2は、直動案内装置のスライダ8に固定されている。
【0004】
このようなボールねじ機構によれば、モータ6によりねじ軸を回転させると、このときの回転運動が複数のボールに伝達され、これら複数のボールが螺旋状転動空間に沿って循環することにより、ボールナットをねじ軸に沿って往復運動させることができる。これにより、ボールナットに固定された移動体2をスライダ8を介してガイドレール4(ねじ軸)に沿って往復移動させることができるとともに、モータ6を停止することで移動体2を所定の位置で停止させることができる。
【0005】
また、ハウジング10には、その上部(図5(a)の上側部分)に移動体2の移動経路を成すスリット(開口)12が設けられている。なお、図5(a)〜(c)及び図6に示す構成において、ハウジング10は、一例として、上部カバー10s、底部カバー10t、一対の側面部カバー10u、及び一対の端部カバー10vで構成されており、当該上部カバー10s、側面部カバー10u及び端部カバー10vにより、スリット12が構成されている。
この場合、ハウジング10の上部カバー10sは、その幅(図6の矢印w方向の距離)がハウジング10の全体(矩形状の筐体)の幅(図6のwで示す距離)よりも所定の大きさだけ小さく構成されており、側面部カバー10uは、その一端側(上部カバー10s側(図5(a)の上側))が、上部カバー10sに沿って、当該上部カバー10s側へ所定の角度を成して屈曲して構成されている。また、端部カバー10vは、上部カバー10s及び側面部カバー10uの長手方向(図5(a)の左右方向)の両端部にそれぞれ連続して設けられている。
【0006】
このような構成において、上部カバー10sの幅方向(図6の矢印w方向)の両端部、側面部カバー10uの幅方向(図6の矢印w方向)の両端部、及び端部カバー10vの長手方向(図5(a)の左右方向)の両端部で囲まれて成る所定の大きさの開口部として、スリット12が構成されている(図6)。なお、底部カバー10tは、その長手方向(図5(a)の左右方向)の両端部が端部カバー10vと連続するとともに、その幅方向(図6の矢印w方向)の両端部が側面部カバー10uと連続して設けられている。
【0007】
また、移動体2には、その上部(図5(a)上側の部分)に、所定の長さ(図5(a)の左右方向の距離)、所定の幅(図5(b)の上下方向の距離)、及び所定の高さ(図5(a)の上下方向の距離)で突出する凸状部2aが、各ガイドレール4のスライダ8の略上方(図5(a)の上方向)の位置へ設けられている。
この場合、移動体2は、その凸状部2aがスリット12からハウジング10の外部に突出するように、ハウジング10の底部(底部カバー10t(図5(a)の下側の部分))の肉厚に合わせて、直動案内装置のガイドレール4及びスライダ8とともにその高さを設定して構成されている(図5(a))。これにより、移動体2は、その凸状部2aをスリット12からハウジング10の外部(図5(a)の上部)に突出させて、ハウジング10(上部カバー10s及び側面部カバー10u)に接触することなくガイドレール4に沿って往復移動することができる。なお、移動体2は、その凸状部2aの上面が平坦面状を成して形成されており、当該平坦面(ワーク取付面)に取り付けたワーク(図示しない)上に、例えば、半導体ウエハーなどを載置することで、検査等の作業を行うことができる。
【0008】
ところで、上述したように、ハウジング10の上面(図5(a)の上側の面)にスリット12を設けただけでは、当該スリット12によりアクチュエータBの内部が外部に対して常時開放状態となってしまい、アクチュエータBの内部に外部から塵埃が侵入してしまうとともに、アクチュエータBの内部から外部へ塵埃が散出してしまう。
【0009】
このような塵埃の侵入や散出を防止するための対策として、例えば、特許文献1には、スリットによる開口を塞ぐ可動式のシールベルトを設けたアクチュエータの構成が一例として示されている。例えば、図5(a)〜(c)及び図6に示す構成において、アクチュエータBには、移動体2の移動方向(図5(a)の左右方向)の両端部に上下2つずつ、合計4つのプーリ14が、軸受(図示しない)を介して回転自在に設けられており、当該プーリ14と移動体2との間に所定の幅及び所定の長さのシールベルト16を架けてスリット12による開口を塞いでいる。この場合、シールベルト16は、その一端が移動体2の一端側(図5(a)の右側)に固定され、その他端が一端側(図5(a)の右側)のプーリ14を経てアクチュエータBの一端側(図5(a)の右側)で折り返し、当該アクチュエータBの他端側(図5(a)の左側)に至り、さらに他端側(図5(a)の左側)のプーリ14を経て再度折り返し、移動体2の他端側(図5(a)の左側)に固定されている。
【0010】
この場合、ハウジング10には、その底部(底部カバー10t(図5(a)の下側の部分))にシールベルト16を収容するための貫通孔(シールベルト収容孔)18が設けられている。図5(a)に示す構成において、シールベルト収容孔18は、一例として、その長さが一端側(図3(a)の右下側)のプーリ14から他端側(図5(a)の左下側)のプーリ14までの距離と略同一の所定の長さであって、その内周部がシールベルト16に接触しない所定の大きさを成す角孔として構成されている。
なお、図5(a)〜(c)及び図6に示す構成において、アクチュエータBには、移動体2の凸状部2aの数(2つ)に合わせて、2つのスリット12が設けられているとともに、プーリ14一式、シールベルト16及びシールベルト収容孔18も、それぞれ2つずつ設けられている。
【0011】
これにより、シールベルト16は、可動ループを形成し、移動体2の移動に伴ってプーリ14に案内されながら移動体2と同一の移動方向へ、スリット12による開口を塞いだ状態で移動する。この結果、アクチュエータBの外部から内部への塵埃の侵入及び内部から外部への塵埃の散出を防止することができる。なお、図5(a)〜(c)及び図6に示す構成において、スリット12を形成する上部カバー10s及び側面部カバー10uには、相互の対向部(図5(b)において、上部カバー10sの下端部、側面部カバー10uの上端部)に、移動体2の移動方向(図5(b),(c)の左右方向)に沿った一対のシール溝20s,20uが形成されている。そして、シールベルト16は、その両側縁(図5(b)の上側の縁及び下側の縁)が、これらのシール溝20s,20uの中に収容されるように位置付けることで、移動体2の移動方向(シール溝20s,20uの形成方向(図5(b),(c)の左右方向))に沿って案内されるとともに、そのシール性能の向上が図られている。
【0012】
また、図5(a)〜(c)及び図6に示す構成において、アクチュエータBには、吸引機構(図示しない)へ連結され、当該アクチュエータBの内気を吸引して減圧し、その内部を負圧に保つための吸引口32がハウジング10に設けられている。このように、吸引機構によりアクチュエータBの内部を負圧に保つことによっても、当該アクチュエータBの内部から外部へ塵埃が散出することを防止している。この場合、一例として、ハウジング10には、その長手方向(図5(a)の左右方向)の一端側(モータ6側(図5(a)の左側))の端部、及び他端側(モータ6とは反対側(図5(a)の右側))の側面部の2箇所に、吸引機構(図示しない)へ連結された連結部材(例えば、連結チューブや連結管など)の吸引口32が設けられており、吸引機構(図示しない)は、当該2箇所の吸引口32からアクチュエータBの内気を吸引している。
【0013】
なお、ハウジング10には、一例として、一端側(モータ6側(図5(a)の左側))の端部カバー10vの端部(図5(a)の左端部)、及び一方側(図5(b)の下側)の側面部カバー10uの端部(図5(b)の右端部)に、所定の大きさの内径を成して当該ハウジング10の内側(図5(a)の左側及び図5(b)の上側)から外側(図5(a)の右側及び図5(b)の下側)までを貫通する貫通孔10aが形成されており、当該貫通孔10aには、吸引機構(図示しない)との接続用の環状部材(貫通孔側接続部材)70が設けられている。また、吸引機構(図示しない)へ連結された連結部材(吸引チューブ30)の先端部には、当該貫通孔10aとの接続用の環状部材(吸引機構側接続部材)72が設けられている。
【0014】
このような構成において、例えば、貫通孔側接続部材70の外周部に所定の螺旋状溝(雌ねじ部(図示しない))を形成するとともに、吸引機構側接続部材72の内周部に当該螺旋状溝(雌ねじ部)と螺合する所定の螺旋状溝(雄ねじ部(図示しない))を形成し、当該両螺旋状溝(雌ねじ部と雄ねじ部)を螺合させることで、ハウジング10(端部カバー10v及び側面部カバー10u)の貫通孔10aと吸引機構(図示しない)の吸引チューブ30とを接続して連結させることができる。これにより、ハウジング10の内部において開口する吸引口32が構成されている。
なお、図6には、アクチュエータB全体の構成例が示されているが、同図においては、吸引チューブ30及び吸引口32の記載を省略している。
【0015】
また、ハウジング10には、シールベルト16の移動方向(図5(a)の左右方向)の両端側に、当該シールベルト16を覆うカバー(シールベルトカバー)C3が設けられている。この場合、かかるシールベルトカバーC3は、ハウジング10の一端側(図5(a)の右上側)のプーリ14の上方(図5(a)の上側)、及び他端側(図5(a)の左上側)のプーリ14の上方(図5(a)の上側)へ位置付けられている。また、シールベルトカバーC3は、プーリ14の幅(図5(b)の上下方向の距離)及び径(長さ)(図5(b)の左右方向の距離、図5(a),(c)の上下方向の距離)よりも僅かに大きな矩形状を成す平板として構成されている。さらに、シールベルトカバーC3は、その内面(図5(a),(c)の下側の面)が、シールベルト16の外表面(シールベルト16がアクチュエータBの外部に露出する面(図5(a),(c)の上側の面))16aとの間に所定の隙間s2を空けた状態で当該シールベルト16と対向するように、ハウジング10の端部カバー10vへ固定されている。
なお、図5(a)〜(c)及び図6に示す構成において、アクチュエータBには、各シールベルト16の移動方向(図5(a)の左右方向)の両端側に1つずつ、合計4つのシールベルトカバーC3が設けられている。
【0016】
このような構成によれば、吸引機構(図示しない)によって吸引口32からアクチュエータBの内気を吸引すると、アクチュエータBの外部から内部へ吸引された外気(アクチュエータBの設置場所の空気(雰囲気))は、吸引口32から吸引チューブ30を経て、吸引機構(図示しない)へ至る経路で流動し、アクチュエータBの外部へ排出される。この結果、アクチュエータBの内部から外部への塵埃の散出を防止することができ、アクチュエータBの内部からの発塵を防止する効果を高めることができる。
【0017】
しかしながら、特に、移動体2を高速で移動させる必要がある場合など、なお、僅かにアクチュエータBの内部から外部へ塵埃が散出してしまう場合があり、非常に高い清浄度(クリーン度)が要求される特別な条件下(例えば、半導体などの精密機器の製造や検査を行うため、限りなく無塵状態に保つ必要のあるクリーンルーム内など)での使用には、必ずしも十分に対応することができなくなってしまう虞がある。
【特許文献1】実開平7−7837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、このような課題を解決するためになされており、その目的は、内部からの発塵を防止する効果に優れたアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
このような目的を達成するために、本発明のアクチュエータには、ハウジング内に配設された位置決め機構に沿って往復移動するとともに、所定の位置で停止する移動体が備えられ、当該移動体の移動経路を成すハウジングのスリットを塞ぐための可動式のシールベルトが設けられている。このような構成において、スリットの両端側には、シールベルトの一部を覆うカバーが設けられており、当該カバーは、シールベルトとの間に所定の隙間を空けて、当該シールベルトと対向している。
この場合、カバーは、ハウジングと一体を成して設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、シールベルトとの間のベンチュリ機能を高めたシールベルトを設けることで、内部からの発塵を防止する効果に優れたアクチュエータを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係るアクチュエータについて、添付図面を参照して説明する。なお、その際、上述した従来のアクチュエータB(図5(a)〜(c)及び図6)と同一若しくは類似の構成については、図面上で同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0022】
図1(a),(b)には、本発明の第1実施形態に係るアクチュエータAが示されている。かかるアクチュエータAには、ハウジング10内に配設されたガイドレール4に沿ってスライダ8が移動する直動案内装置と、当該直動案内装置に案内されて往復移動する移動体2と、当該移動体2を往復移動及び所定の位置で停止させるための位置決め機構と、当該位置決め機構を駆動するための駆動装置とが備えられている(図5(a)〜(c)及び図6参照)。この場合、アクチュエータAのハウジング10は、一例として、その内部に直動案内装置、位置決め機構及び駆動装置を配設可能な所定のスペースを有する細長い矩形状を成して構成されている(同図参照)。
【0023】
本実施形態においては、直動案内装置として、2本のガイドレール4がハウジング10の長手方向に沿って延出しており、当該ガイドレール4には、各ガイドレール4に沿って往復移動可能なスライダ8が2つずつ、合計4つ設けられている。この場合、アクチュエータAには、一例として、各ガイドレール4の2つのスライダ8に固定されるとともに、2本のガイドレール4にスライダ8を介して跨った状態で、1つの移動体2が設けられている(図5(a)及び図6参照)。
【0024】
なお、直動案内装置として配設するガイドレール4の本数は、特に限定されず、例えば、1本のみであってもよいし、3本以上であってもよい。また、各ガイドレール4に設けるスライダ8の数は、特に限定されず、例えば、1つのみであってもよいし、3つ以上であってもよい。さらに、複数のガイドレール4を配設する場合、各ガイドレール4に設けるスライダ8の数は、全てのガイドレール4において同数でなくともよい。なお、スライダ8に固定する移動体2の数は、特に限定されず、例えば、各スライダ8に1つずつであってもよいし、2つ以上であってもよい。また、複数のスライダ8を設ける場合、各スライダ8に固定する移動体2の数は、全てのスライダ8において同数でなくともよい。
【0025】
さらにまた、直動案内装置は、ガイドレール4に沿ってスライダ8を往復移動させることが可能な機構であればよく、その形式は特に限定されない。例えば、直動案内装置として、軌道溝を転動可能な複数の転動体(玉やころ)を備えた直動軸受、カムフォロア及びローラフォロアや、すべり軸受、空気軸受等の静圧軸受などを任意に選択して適用することができる。
【0026】
また、本実施形態においては、一例として、位置決め機構には、ボールねじ機構(図示しない)が適用され、当該ボールねじ機構のねじ軸(図示しない)を駆動する(回転する)ための駆動装置には、モータ6が適用されている。これにより、移動体2をガイドレール4(ねじ軸)に沿って往復移動及び位置決めしている。なお、位置決め機構としては、移動体2を往復移動させるとともに、所定の位置で停止させることができる機構であれば特に限定されず、ボールねじ機構の他、例えば、リニアモータ機構やベルト機構などを適用することもできる。
【0027】
また、アクチュエータAには、移動体2の移動経路を成すスリット(開口)12が、ハウジング10の上部(図1(b)の上側部分)に形成されている。本実施形態において、スリット12は、一例として、移動体2の2つの凸状部2aの移動経路をそれぞれ成すように、2つ形成されている(図6参照)。なお、ハウジング10に形成するスリット12の数は、例えば、移動体2(凸状部2a)の数やその移動経路の数などに応じて任意に設定されるため、ここでは特に限定しない。
【0028】
この場合、アクチュエータAには、当該スリット12を塞ぐための可動式のシールベルト16が設けられている。本実施形態において、シールベルト16は、一例として、2つのスリット12による開口を塞ぐため、各スリット12に1本ずつ、合計2本設けられている(図6参照)。なお、アクチュエータAに設けるシールベルト16の本数は、スリット12による開口の数に応じて任意に設定されるため、ここでは特に限定しない。また、各シールベルト16は、所定の材質、長さ及び幅の1本のベルト素材で構成してもよいし、複数のベルト素材を連結して構成してもよい。
【0029】
また、アクチュエータAには、その内気を吸引するための吸引口32が、ハウジング10に設けられている。本実施形態においては、一例として、アクチュエータAには、ハウジング10の長手方向の一端側(モータ6側)の端部、及び他端側(モータ6とは反対側)の側面部の2箇所に、それぞれ1つずつ(合計2つ)吸引口32が設けられている(図5(a)参照)。
【0030】
この場合、吸引口32は、連結部材(吸引チューブ30)を介して、所定の吸引機構(図示しない)と連結されており、当該吸引機構によって、アクチュエータAの内気を吸引することで、当該アクチュエータAの内部を減圧するとともに、負圧に保つことができる。なお、吸引機構(図示しない)は、アクチュエータAの内部からその内気を連続的あるいは断続的に吸引することができる機構であれば特に限定されず、吸引機構として、例えば、各種の吸引装置や吸引ポンプなどを適用することができる。
また、吸引口32は常時開口状態であってもよいし、例えば、タイマーなどにより開口状態と閉口状態とを所定間隔や所定時間により切り替えるようにしてもよい。なお、貫通孔側接続部材70及び吸引機構側接続部材72としては、例えば、各種の継手(隔壁ユニオン)などを適用すればよい。
【0031】
また、ハウジング10のスリットの両端側には、シールベルト16の一部を覆うカバー(シールベルトカバー)C1が設けられている(図1(a),(b)には、一例として、スリット12の右端側に設けられたシールベルトカバーC1を示す)。この場合、シールベルトカバーC1は、シールベルト16との間に所定の隙間s1を空けて、当該シールベルトと対向している。すなわち、シールベルトカバーC1は、ハウジング10のスリット12の両端側で、その内面(図1(b)の下側の面)C1aがシールベルト16の外表面(シールベルト16がアクチュエータAの外部に露出する面(図1(b)の上側の面))16aとの間に所定の隙間s1を空けた状態で、当該シールベルト16を所定の範囲で覆うように位置付けられている。
なお、隙間s1の大きさ(幅(図1(a)の上下方向の距離)や高さ(図1(b)の上下方向の距離)など)は、例えば、ハウジング10及びスリット12の大きさやシールベルト16の幅や長さなどに応じて任意に設定されるため、ここでは特に限定しない。
【0032】
本実施形態において、シールベルトカバーC1は、一例として、2つのスリット12の両端側(移動体2の移動方向の両端側)に1つずつ、合計4つ設けられている。なお、図1(a),(b)には、一方のスリット12の一端側に設けられたシールベルトカバーC1の構成のみを示すが、当該一方のスリット12の他端側、及び他方のスリット12の両端側にも同様構成のシールベルトカバーC1がそれぞれ1つずつ設けられている。このため、以下においては、図1(a),(b)に示すシールベルトカバーC1(一方のスリット12の一端側に設けられたシールベルトカバーC1)を例にとって、その構成について説明する。
【0033】
かかるシールベルトカバーC1は、平板状を成しているとともに、その幅(図1(a)の上下方向の距離)がプーリ14の幅(同図同一方向の距離)よりも僅かに大きく、その長さ(図1(a),(b)の左右方向の距離)が当該プーリ14の径(長さ)(同図同一方向の距離)よりも所定の距離だけ大きな(長い)矩形状を成して構成されている。なお、図1(a),(b)に示す構成において、シールベルトカバーC1は、一例として、上述した大きさを成す1つの平板状に構成しているが、例えば、上述した従来と同様構成のシールベルトカバーC3に所定の大きさのカバー構成体を連結し、その全体の大きさをシールベルトカバーC1と同様の大きさ(幅及び長さ)を成すように構成してもよい。
【0034】
ここで、図1(a),(b)に示す構成においては、例えば、シールベルト16が移動体2の移動に伴って、アクチュエータAの内部から外部へ引き出される場合、当該シールベルト16は、その移動方向をスリット12の一端側(図1(a),(b)の右端側)で、垂直方向(図1(b)の上下方向)から水平方向(移動体2の移動方向(図1(b)の左右方向))へ、プーリ14によって転換している(図1(b)参照)。この場合、シールベルトカバーC1は、シールベルト16が、その移動方向を垂直方向(図1(b)の上下方向)から水平方向(図1(b)の左右方向)へ方向転換する部分(転換部16r)の全体を覆っている。
さらに、シールベルトカバーC1は、転換部16rに加えて、シールベルト16が、転換部16rから移動体2の移動方向に所定距離だけ移動する部分(例えば、図1(b)の左側へ所定距離だけ移動する部分(移動部16g))の全体も覆っている。
【0035】
また、別の捉え方をすると、シールベルト16が移動体2の移動に伴って、アクチュエータAの外部から内部へ引き込まれる場合、当該シールベルト16は、その移動方向をスリット12の一端側(図1(a),(b)の右端側)で、水平方向(移動体2の移動方向(図1(b)の左右方向))から垂直方向(図1(b)の上下方向)へ、プーリ14によって転換している(図1(b)参照)。この場合、シールベルトカバーC1は、シールベルト16が、その移動方向を水平方向(図1(b)の左右方向)から垂直方向(図1(b)の上下方向)へ方向転換する部分(転換部16r)の全体を覆っている。
さらに、シールベルトカバーC1は、転換部16rに加えて、シールベルト16が、移動体2の移動方向に沿って転換部16rまで所定距離だけ移動する部分(例えば、図1(b)の右側へ所定距離だけ移動する部分(移動部16g))の全体も覆っている。
【0036】
なお、転換部16r及び移動部16gの大きさ(幅(図1(b)の上下方向の距離)及び長さ(図1(b)の左右方向の距離))は、例えば、ハウジング10及びスリット12の大きさやシールベルト16の幅や長さなどに応じて任意に設定されるため、ここでは特に限定しない。また、図1(a),(b)に示す構成においては、シールベルトカバーC1は、シールベルト16を転換部16r及び移動部16gの範囲で覆っているとともに、スリット12の両端側(移動体2の移動方向の両端側)の開口部を所定の範囲(当該移動部16gの大きさに相当する範囲)で塞いでいる。
【0037】
また、シールベルトカバーC1は、シールベルト16を転換部16r及び移動部16gの範囲で覆うように、ハウジング10の上部カバー10s、側面部カバー10u及び端部カバー10vの外表面(図1(a)に示されている面)の所定位置に固定されている。なお、シールベルトカバーC1の固定方法は、特に限定されず、例えば、シールベルトカバーC1及びハウジング10の各カバー10s,10u,10vに、相互に係合する凹凸状を成す所定の係合部を設け、当該係合部を嵌合させて、固定すればよい。また、このような嵌合固定の他、シールベルトカバーC1は、例えば、接着剤によって接合させてもよいし、締結部材(ボルトなど)によって締結させてもよい。また、例えば、ハウジング10の上部カバー10s、側面部カバー10u及び端部カバー10vに、シールベルトカバーC1の輪郭に略沿った内郭を有する所定の取付穴を設けて嵌合させてもよい。
また、シールベルトカバーC1は、例えば、その断面形状が長方形を成す平板状や、ハウジング10のスリット12に嵌合する所定の凸状部をその底面(図1(b)の下側の面)の所定位置に設けた断面形状がT形状を成す平板状などに構成すればよい。
【0038】
以上のような構成によれば、吸引機構(図示しない)によって吸引口32からアクチュエータAの内気を吸引すると、シールベルトカバーC1とシールベルト16との間(隙間s1)には吸引圧がかかり、当該隙間s1から外気(アクチュエータAの設置場所の空気(雰囲気))がアクチュエータAの内部へ吸引される。この時、隙間s1が絞りの役目を果たすため、アクチュエータAの内部へ吸引される雰囲気(吸気)は、当該隙間s1を通過する際の流動速度が大きくなる。すなわち、当該吸気に対して、いわゆるベンチュリ効果が作用し、アクチュエータAの雰囲気を当該アクチュエータAの外部から内部へ強力に吸引することができる。
【0039】
本実施形態においては、シールベルトカバーC1は、シールベルト16の所定範囲(転換部16r及び移動部16g)を、隙間s1を空けた状態で覆っているため、シールベルトカバーC1とシールベルト16との間(隙間s1)は、その長さ(図1(b)の左右方向の距離)が転換部16rの長さ(同図同一方向の距離)に加えて、移動部16gの長さ(同図同一方向の距離)でも確保されている。このため、隙間s1の長さを充分確保することができ、アクチュエータAの内部へ吸引される雰囲気(吸気)が隙間s1を通過する際、当該吸気に対して作用するベンチュリ効果を大きくすることができる。
【0040】
ここで、例えば、図5(a)〜(c)に示す従来の構成では、シールベルト16は、移動部16g(図1(a),(b)参照)の範囲において、その両側縁(図5(b)の上側の縁及び下側の縁)の上下面(外表面16a及びこれと反対側の面)がシール溝20s,20uとの間に隙間s1以下程度の微小隙間を有しているか、あるいは隙間がない状態とされている。これに対し、転換部16r(図1(a),(b)参照)の範囲においては、シールベルト16の上面(外表面16a)がシールベルトカバーC3との間に微小隙間(隙間s2)を有しているに過ぎない。このため、かかる従来の構成では、特に、移動体2が高速で移動する場合に、スリット12とシールベルトカバーC3との境界部分の隙間s2から僅かに外部へ塵埃が散出してしまい、厳しいクリーン度の要求に応えるには十分とはいえないことが試験の結果、判明した。
【0041】
そこで、本実施形態に係るアクチュエータAでは、転換部16rの範囲に加えて(転換部16rの範囲からさらに延長して)、シールベルト16の両側縁(図1(a)の上側の縁及び下側の縁)の上下面(外表面16a及びこれと反対側の面(内面)16b)がシール溝20s,20uとの間に隙間s1以下程度の微小隙間を有しているか、あるいは隙間がない状態とされている移動部16gの範囲においても、シールベルト16の上面(外表面16a)がシールベルトカバーC1との間に微小隙間(隙間s1)を有する構成としている。なお、図1(b)には、一例として、シールベルト16の上面(外表面16a)が、シール溝20u(20s)との間に微小隙間(隙間s1)を有し、シールベルト16の下面(内面16b)が、シール溝20u(20s)と接触した状態(シール溝20u(20s)との間に隙間がない状態)の構成を示しているが、シールベルト16とシール溝20s,20uとの位置関係は、これに限定されるものではない。
【0042】
これにより、例えば、移動体2が高速で移動する場合であっても、スリット12とシールベルトカバーC1との境界部分から塵埃が直接外部へ散出することを、有効に防止することが可能となった。すなわち、アクチュエータA内の塵埃は、シールベルト16を伝って転換部16rを越え、さらに移動部16gに沿った微小隙間(隙間s1)部分を通り抜けない限り、スリット12とシールベルトカバーC1との境界部分から直接外部へ散出されることはなく、吸引機構(図示しない)による内気の吸引とも相俟って、当該境界部分からの塵埃の外部への直接散出を、有効かつ確実に防止することが可能となった。
【0043】
この結果、アクチュエータAの内部から外部への塵埃の散出を確実に防止することができ、アクチュエータAの内部からの発塵を防止する効果を格段に向上させることができる。これにより、例えば、半導体などの精密機器の製造や検査を行うため、限りなく無塵状態に保つ必要のあるクリーンルーム内であっても、アクチュエータAを使用することができる。
【0044】
なお、シールベルトカバーの形状、大きさ及び数などは、例えば、ハウジング10の大きさやシールベルト16及びスリット12の数などに応じて任意に設定されるため、ここでは特に限定しない。例えば、上述した本実施形態に係るシールベルトC1の他、図2(a),(b)に示す第2実施形態、図3(a),(b)に示す第3実施形態、及び図4に示す第4実施形態などのような各種の形状、大きさ及び数を成してシールベルトカバーを構成することができる。
【0045】
例えば、図2(a),(b)に示す本発明の第2実施形態において、シールベルト16を覆うカバー(シールベルトカバー)C2は、一例として、スリット12の両端側(移動体2の移動方向の両端側)に1つずつ、合計2つ設けられている。なお、図2(a),(b)には、スリット12の一端側に設けられたシールベルトカバーC2の構成のみを示すが、スリット12の他端側にも同様構成のシールベルトカバーC2が1つ設けられている。このため、以下においては、図2(a),(b)に示すシールベルトカバーC2(スリット12の一端側に設けられたシールベルトカバーC2)を例にとって、その構成について説明する。
【0046】
かかるシールベルトカバーC2は、その幅(図2(a)の上下方向の距離)がハウジング10の端部カバー10vの幅と略同一を成し、その長さ(図2(a)の左右方向の距離)がシールベルト16の転換部16rから移動部16gまでの長さより若干大きな平板状を成して構成されている。また、シールベルトカバーC2は、その内面(図2(b)の下側の面)C2aの所定範囲(転換部16r及び移動部16gの大きさに相当する範囲)が、2つのシールベルト16の外表面(図2(b)の上側の面)16aとの間に所定の隙間s1を空けた状態で、当該シールベルト16と対向するように位置付けられている。なお、隙間s1の大きさ(幅(図2(a)の上下方向の距離)や高さ(図2(b)の上下方向の距離)など)は、例えば、ハウジング10及びスリット12の大きさやシールベルト16の幅や長さなどに応じて任意に設定されるため、ここでは特に限定しない。
【0047】
このような構成により、シールベルトカバーC2は、ハウジング10のスリット12の一端側で、2つのシールベルト16の所定範囲(転換部16r及び移動部16gの範囲)を、隙間s1を空けた状態で覆うだけでなく、当該所定範囲を含めた、当該ハウジング10の上部の一端側の端部全体を覆っている(図2(a),(b))。さらに、シールベルトカバーC2は、スリット12の一端側で、その開口部を所定の範囲(移動部16gの大きさに相当する範囲)で塞いでいる。
また、シールベルトカバーC2は、シールベルト16を転換部16r及び移動部16gの範囲で覆うとともに、端部カバー10vと所定角度(図2(b)では略直角)を成して連続するように、ハウジング10の上部カバー10s及び側面部カバー10uの外表面(図2(a)に示されている面)の所定位置に固定されている。なお、シールベルトカバーC2の固定方法は、特に限定されず、例えば、接着剤によって接合させてもよいし、締結部材(ボルトなど)によって締結させてもよい。また、例えば、ハウジング10の上部カバー10s、側面部カバー10u及び端部カバー10vに、シールベルトカバーC2の輪郭に略沿った内郭を有する所定の取付穴を設けて嵌合させてもよい。
【0048】
なお、図2(a),(b)に示す構成においては、一例として、シールベルトカバーC2は、その幅方向(図2(a)の上下方向)の両端部の移動体2側(例えば、図2(a)の左側)の角部を所定の大きさの矩形状に切り欠いて構成されている。この場合、当該角部は、移動部16gの長さ(図2(a)の左右方向の距離)と略同一の長さ(同図同一方向の距離)を成すとともに、所定の幅(図2(a)の上下方向の距離)を成す矩形状に切り欠かれている。ただし、シールベルトカバーC2は、このように当該角部を切り欠かず、例えば、全体形状が所定の大きさの長方形を成すように構成してもよい。
また、シールベルトカバーC2は、例えば、その断面形状が長方形を成す平板状や、ハウジング10の各スリット12に嵌合する所定の2つの凸状部をその底面(図2(b)の下側の面)の所定位置に設けた平板状などに構成すればよい。
【0049】
以上のような構成によれば、上述した第1実施形態に係るシールベルトカバーC1と同様に、シールベルトカバーC2は、シールベルト16の所定範囲(転換部16r及び移動部16g)を、隙間s1を空けた状態で覆っているため、シールベルトカバーC2とシールベルト16との間(隙間s1)は、その長さ(図2(b)の左右方向の距離)が転換部16rの長さ(同図同一方向の距離)に加えて、移動部16gの長さ(同図同一方向の距離)でも確保されている。このため、隙間s1の長さを充分確保することができ、吸引機構(図示しない)によって吸引口32からアクチュエータAの内気を吸引した場合、アクチュエータAの内部へ吸引される雰囲気(吸気)が隙間s1を通過する際、当該吸気に対して作用するベンチュリ効果を大きくすることができる。
【0050】
この結果、アクチュエータAの内部から外部への塵埃の散出を確実に防止することができ、アクチュエータAの内部からの発塵を防止する効果を格段に向上させることができる。これにより、例えば、半導体などの精密機器の製造や検査を行うため、限りなく無塵状態に保つ必要のあるクリーンルーム内であっても、アクチュエータAを使用することができる。
【0051】
また、図3(a),(b)に示す本発明の第3実施形態、及び図4に示す本発明の第4実施形態において、ハウジング10には、シールベルト16を所定範囲(転換部16rの範囲)で覆うために、上述した従来と同様構成のシールベルトカバーC3が設けられている。この場合、ハウジング10には、2本のシールベルト16の移動方向(図3(a),(b)及び図4の左右方向)の両端側に1つずつ、合計4つのシールベルトカバーC3が設けられており、各シールベルトカバーC3は、その内面(図3(b)の下側の面)C3aがシールベルト16の外表面(図3(b)の上側の面)16aとの間に所定の隙間s1を空けた状態で、当該シールベルト16と対向するように位置付けられている。なお、図3(a),(b)及び図4には、一方のシールベルト16の移動方向の一端側に設けられたシールベルトカバーC3の構成のみを示す。
【0052】
また、シールベルトカバーC3は、シールベルト16を転換部16rの範囲で覆うように、ハウジング10の端部カバー10vの外表面(図3(a)に示されている面)の所定位置に固定されている。なお、シールベルトカバーC3の固定方法は、特に限定されず、例えば、接着剤によって接合させてもよいし、締結部材(ボルトなど)によって締結させてもよい。また、例えば、ハウジング10の端部カバー10vに、シールベルトカバーC3の輪郭に略沿った内郭を有する所定の取付穴を設けて嵌合させてもよい。
また、シールベルトカバーC3は、例えば、その断面形状が長方形を成す平板状や、ハウジング10の端部カバー10vの取付穴に嵌合する所定の凸状部をその底面(図3(b)の下側の面)の所定位置に設けた断面形状がT形状を成す平板状などに構成すればよい。
【0053】
なお、第3実施形態においては、シールベルト16を転換部16rの範囲で覆うシールベルトカバーC3に加えて、シールベルト16を所定範囲(移動部16gの範囲)で覆うために、ハウジング10の上部カバー10s及び側面部カバー10uに所定の突出部(上部カバー突出部sd及び側面部カバー突出部ud)が設けられている。
この場合、上部カバー10sの上部カバー突出部sd、及び側面部カバー10uの側面部カバー突出部udは、ハウジング10(上部カバー10s及び側面部カバー10u)と一体を成したシールベルトカバーとして構成されており、その内面(図3(b)の下側の面)uda(sda)が、シールベルト16の外表面(図3(b)の上側の面)16aとの間に所定の隙間s1を空けた状態で、当該シールベルト16と対向するように位置付けられている。なお、隙間s1の大きさ(幅(図3(a)の上下方向の距離)や高さ(図3(b)の上下方向の距離)など)は、例えば、ハウジング10及びスリット12の大きさやシールベルト16の幅や長さなどに応じて任意に設定されるため、ここでは特に限定しない。
【0054】
本実施形態において、ハウジング10の上部カバー10sには、移動部16gの長さ(図3(a),(b)の左右方向の距離)と略同一の長さ(同図同一方向の距離)で一対の側面部カバー10uの方向へ所定距離(図3(a)の上下方向の距離)だけそれぞれ突出した突出部(上部カバー突出部sd)が、その長手方向(図3(a),(b)の左右方向)の両端部に、一対の側面部カバー10u側へ各1つずつ、合計4つ設けられている。なお、図3(a),(b)には、上部カバー10sの長手方向(図3(a),(b)の左右方向)の一端部(図3(a),(b)の右端部)において、一方(図3(a),(b)の下方)の側面部カバー10uの方向へ突出した上部カバー突出部sdの構成のみを示す。
【0055】
また、ハウジング10の一対の側面部カバー10uには、移動部16gの長さ(図3(a),(b)の左右方向の距離)と略同一の長さ(同図同一方向の距離)で上部カバー10sの方向へ所定距離(図3(a)の上下方向の距離)だけそれぞれ突出した突出部(側面部カバー突出部ud)が、その長手方向(図3(a),(b)の左右方向)の両端部に各1つずつ、合計4つ設けられている。なお、図3(a),(b)には、一方(図3(a),(b)の下方)の側面部カバー10uの長手方向(図3(a),(b)の左右方向)の一端部(図3(a),(b)の右端部)において、上部カバー10sの方向へ突出した側面部カバー突出部udの構成のみを示す。
【0056】
本実施形態において、上部カバー突出部sdと側面部カバー突出部udは、移動部16gの幅(図3(a)の上下方向の距離)の略中間位置で、それぞれの端部(図3(a)においては、上部カバー突出部sdの下端部と側面部カバー突出部udの上端部)に沿って相互に当接するように、その突出距離(図3(a)の上下方向の距離)を所定距離に設定して構成されている。このような構成によれば、ハウジング10は、上部カバー10sの上部カバー突出部sdと側面部カバー10uの側面部カバー突出部udが、各スリット12の両端側(移動体2の移動方向の両端側)において、シールベルト16を所定範囲(移動部16gの範囲)で覆うことができる。
【0057】
なお、図3(a),(b)に示す構成においては、上部カバー突出部sdと側面部カバー突出部udとの当接部は、一例として、シールベルト16の移動方向(図3(a),(b)の左右方向)と平行な直線状を成して構成したが、例えば、シールベルト16の移動方向(図3(a),(b)の左右方向)に対して所定の角度で傾斜する斜線状を成して構成してもよいし、曲線状などを成して構成してもよい。また、上部カバー突出部sd及び側面部カバー突出部udは、シールベルト16を所定範囲(移動部16gの範囲)で覆うことが可能であればよく、その形状、大きさ及び数などは、例えば、ハウジング10の大きさやシールベルト16及びスリット12の数などに応じて任意に設定されるため、ここでは特に限定しない。
【0058】
また、本実施形態において、上部カバー10sの上部カバー突出部sdと側面部カバー10uの側面部カバー突出部udは、シールベルト16を移動部16gの範囲で覆っているとともに、スリット12の両端側(移動体2の移動方向の両端側)の開口部を所定の範囲(当該移動部16gの大きさに相当する範囲)で塞いでいる。すなわち、本実施形態において、ハウジング10のスリット12は、上部カバー10s、側面部カバー10u、上部カバー突出部sd及び側面部カバー突出部udで囲まれて成る所定の大きさの開口部として構成され、その両端部の所定範囲(移動部16gの大きさに相当する範囲)が、当該上部カバー突出部sd及び側面部カバー突出部udによって塞がれた状態になっている。
【0059】
また、図4に示す本発明の第4実施形態においては、シールベルト16を所定範囲(転換部16rの範囲)で覆うシールベルトカバーC3に加えて、シールベルト16を所定範囲(移動部16gの範囲)で覆うために、ハウジング10の上部カバー10sに所定の突出部(上部カバー突出部sd)が設けられている。この場合、上部カバー10sの上部カバー突出部sdは、ハウジング10(上部カバー10s)と一体を成したシールベルトカバーとして構成されており、その内面(図3(b)の下側の面)sdaが、シールベルト16の外表面(図3(b)の上側の面)16aとの間に所定の隙間s1を空けた状態で、当該シールベルト16と対向するように位置付けられている。なお、隙間s1の大きさ(幅(図4の上下方向の距離)や高さ(図3(b)の上下方向に相当する距離)など)は、例えば、ハウジング10及びスリット12の大きさやシールベルト16の幅や長さなどに応じて任意に設定されるため、ここでは特に限定しない。
【0060】
すなわち、本実施形態において、ハウジング10は、上部カバー10sに上部カバー突出部sdのみを設け、上述した側面部カバー10uの側面部カバー突出部ud(図3(a)参照)を省略して構成されている。この場合、ハウジング10の上部カバー10sには、移動部16gの長さ(図4の左右方向の距離)と略同一の長さ(同図同一方向の距離)で一対の側面部カバー10uの方向へ所定距離(図4の上下方向の距離)だけそれぞれ突出した突出部(上部カバー突出部sd)が、その長手方向(図4の左右方向)の両端部に、一対の側面部カバー10u側へ各1つずつ、合計4つ設けられている。なお、図4には、上部カバー10sの長手方向(図4の左右方向)の一端部(図4の右端部)において、一方(図4の下方)の側面部カバー10uの方向へ突出した上部カバー突出部sdの構成のみを示す。
【0061】
本実施形態において、上部カバー突出部sdは、側面部カバー10uの端部(図4においては、上端部)に沿って当接するように、その突出距離(図4の上下方向の距離)を所定距離に設定して構成されている。このような構成によれば、ハウジング10は、上部カバー10sの上部カバー突出部sdが、各スリット12の両端側(移動体2の移動方向の両端側)において、シールベルト16を所定範囲(移動部16gの範囲)で覆うことができる。
【0062】
なお、本実施形態においては、上部カバー10sの上部カバー突出部sdは、シールベルト16を移動部16gの範囲で覆っているとともに、スリット12の両端側(移動体2の移動方向の両端側)の開口部を所定範囲(当該移動部16gの大きさに相当する範囲)で塞いでいる。すなわち、本実施形態において、ハウジング10のスリット12は、上部カバー10s、側面部カバー10u、及び上部カバー突出部sdで囲まれて成る所定の大きさの開口部として構成され、その両端部の所定範囲(移動部16gの大きさに相当する範囲)が、当該上部カバー突出部sdによって塞がれた状態になっている。
【0063】
なお、本実施形態において、ハウジング10は、上部カバー10sに上部カバー突出部sdのみを設け、側面部カバー10uの側面部カバー突出部ud(図3(a)参照)を省略して構成したが、上部カバー10sの上部カバー突出部sdを省略し、側面部カバー10uに側面部カバー突出部udのみを設けて構成してもよい。
この場合、ハウジング10の側面部カバー10uには、移動部16gの長さ(図4の左右方向の距離)と略同一の長さ(同図同一方向の距離)で上部カバー10sの方向へ所定距離(図4の上下方向の距離)だけそれぞれ突出した突出部(側面部カバー突出部ud)を、その長手方向(図4の左右方向)の両端部に各1つずつ、合計4つ設ければよい。また、側面部カバー突出部udは、上部カバー10sの端部(図4においては、下端部)に沿って当接するように、その突出距離(図4の上下方向の距離)を所定距離に設定して構成すればよい。このような構成によれば、ハウジング10の側面部カバー10uは、側面部カバー突出部udが、各スリット12の両端側(移動体2の移動方向の両端側)において、シールベルト16を所定範囲(移動部16gの範囲)で覆うことができる。
【0064】
また、上述した第3実施形態及び第4実施形態において、ハウジング10には、上部カバー10s及び側面部カバー10uをそれぞれ設け、当該上部カバー10s及び側面部カバー10uに上部カバー突出部sdや側面部カバー突出部udを設けたが、例えば、ハウジング10の上部カバー10s及び側面部カバー10uを、上部カバー突出部sd及び側面部カバー突出部udとともに一体的に構成してもよい。この場合、ハウジング10のスリット12は、当該一体構成されたハウジング10のカバーに所定の大きさの開口を形成し、その両端部が所定範囲(移動部16gの大きさに相当する範囲)で塞がれた状態となるように構成すればよい。
【0065】
以上のような構成によれば、シールベルトカバーC3、上部カバー突出部sd及び側面部カバー突出部udは、シールベルト16の所定範囲(転換部16r及び移動部16g)を、隙間s1を空けた状態で覆っているため、シールベルトカバーC3、上部カバー突出部sd及び側面部カバー突出部udとシールベルト16との間(隙間s1)は、その長さ(図3(a),(b)及び図4の左右方向の距離)が転換部16rの長さ(同図同一方向の距離)に加えて、移動部16gの長さ(同図同一方向の距離)でも確保されている。このため、隙間s1の長さを充分確保することができ、吸引機構(図示しない)によって吸引口32からアクチュエータAの内気を吸引した場合、アクチュエータAの内部へ吸引される雰囲気(吸気)が隙間s1を通過する際、当該吸気に対して作用するベンチュリ効果を大きくすることができる。
【0066】
この結果、アクチュエータAの内部から外部への塵埃の散出を確実に防止することができ、アクチュエータAの内部からの発塵を防止する効果を格段に向上させることができる。これにより、例えば、半導体などの精密機器の製造や検査を行うため、限りなく無塵状態に保つ必要のあるクリーンルーム内であっても、アクチュエータAを使用することができる。
【0067】
なお、上述した第1実施形態〜第4実施形態においては、各アクチュエータAにおいて、同一のシールベルトカバーC1、シールベルトカバーC2、上部カバー突出部sd及び側面部カバー突出部udを設けたが、アクチュエータAは、これらを任意に組み合わせて設けて構成してもよい。例えば、アクチュエータAは、ハウジング10のスリット12の一端側(移動体2の移動方向の一端側)にシールベルトカバーC1を設け、他端側にシールベルトカバーC2を設けて構成してもよい。また、例えば、アクチュエータAは、ハウジング10のスリット12の一端側(移動体2の移動方向の一端側)に上部カバー突出部sd及び側面部カバー突出部udを設け、他端側に上部カバー突出部sdのみを設けて構成してもよい。
【0068】
また、上述した第1実施形態〜第4実施形態においては、吸引機構(図示しない)によって吸引口32からアクチュエータAの内気を吸引して減圧し、当該アクチュエータAを負圧状態に維持することで、アクチュエータAの内部から外部への塵埃の散出の防止を図ったが、例えば、アクチュエータAの外部から内部への塵埃の侵入の防止を図る場合であっても、上述した各実施形態によれば、優れた塵埃の侵入防止効果を発揮することができる。
【0069】
この場合、例えば、所定の吸入機構(図示しない)などにより、アクチュエータAの内部へ空気の吸入圧を加えることで、当該アクチュエータAの内気を加圧し、その内部を正圧状態に維持すればよい。すなわち、吸入機構(図示しない)によってアクチュエータAの内部へ空気を吸入すると、シールベルトカバーC1などとシールベルト16との間(隙間s1)には吸出圧がかかり、当該隙間s1から当該アクチュエータAの内気が外部へ吸出される。この時、隙間s1が絞りの役目を果たすため、アクチュエータAの外部へ吸出される当該アクチュエータAの内気(排気)は、当該隙間s1を通過する際の流動速度が大きくなる。すなわち、当該排気に対して、いわゆるベンチュリ効果が作用し、アクチュエータAの内気を当該アクチュエータAの内部から外部へ強力に吸出することができる。
この結果、アクチュエータAの外部から内部への塵埃の侵入を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1実施形態に係るアクチュエータの構成を示す図であって、(a)は、シールベルトカバーの構成を説明するための要部平面図、(b)は、シールベルトカバー近傍の拡大断面図。
【図2】本発明の第2実施形態に係るアクチュエータの構成を示す図であって、(a)は、シールベルトカバーの構成を説明するための要部平面図、(b)は、シールベルトカバー近傍の拡大断面図。
【図3】本発明の第3実施形態に係るアクチュエータの構成を示す図であって、(a)は、シールベルトカバーの構成を説明するための要部平面図、(b)は、シールベルトカバー近傍の拡大断面図。
【図4】本発明の第4実施形態に係るアクチュエータの構成を示す図であって、シールベルトカバーの構成を説明するための要部平面図。
【図5】従来のアクチュエータの構成例を示す図であって、(a)は、全体を示す縦断面図、(b)は、シールベルトカバーの構成を説明するための要部平面図、(c)は、シールベルトカバー近傍の拡大断面図。
【図6】従来のアクチュエータの全体構成例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0071】
2 移動体
4 ガイドレール
6 駆動装置
8 スライダ
10 ハウジング
10s 上部カバー
10t 底部カバー
10u 側面部カバー
10v 端部カバー
12 スリット
14 プーリ
16 シールベルト
16a シールベルト外表面
16b シールベルト内面
16g 移動部
16r 転換部
20s,20u シール溝
30 吸引チューブ
32 吸引口
A,B, アクチュエータ
C1,C2,C3 シールベルトカバー
s1 シールベルト−シールベルトカバー間の隙間
sd 上部カバー突出部
sda 上部カバー突出部内面
ud 側面部カバー突出部
uda 側面部カバー突出部内面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内に配設された位置決め機構に沿って往復移動するとともに、所定の位置で停止する移動体を備え、当該移動体の移動経路を成すハウジングのスリットを塞ぐための可動式のシールベルトが設けられたアクチュエータであって、
スリットの両端側には、シールベルトの一部を覆うカバーが設けられており、当該カバーは、シールベルトとの間に所定の隙間を空けて、当該シールベルトと対向していることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
カバーは、ハウジングと一体を成して設けられていることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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