アクチュエータ
【課題】本発明は、移動部材等に仕上げ加工をしなくても移動部材が駆動軸を摺動する際の抵抗を小さくでき、移動部材を円滑に摺動させることができるアクチュエータの提供を目的とする。
【解決手段】電気機械変換素子である圧電素子2と、四角柱状の駆動軸3と、駆動軸3の外側壁を摺動する移動部材5と、前記駆動軸3を保持した保持部材4とを備えている。移動部材5は、駆動軸3の第1外側壁31を摺動する第1摺動部62と、駆動軸3の第2外側壁32を摺動する第2摺動部63とを備えている。また、第1摺動部62には、凹部64が設けられ、凹部64によって、第2摺動部63に摺動凸部65が区画形成されている。
【解決手段】電気機械変換素子である圧電素子2と、四角柱状の駆動軸3と、駆動軸3の外側壁を摺動する移動部材5と、前記駆動軸3を保持した保持部材4とを備えている。移動部材5は、駆動軸3の第1外側壁31を摺動する第1摺動部62と、駆動軸3の第2外側壁32を摺動する第2摺動部63とを備えている。また、第1摺動部62には、凹部64が設けられ、凹部64によって、第2摺動部63に摺動凸部65が区画形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部品等を駆動させるアクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、光学部品等を駆動させるアクチュエータとして、例えば電圧の印加によって伸縮する圧電素子と、圧電素子の伸縮によって振動する駆動軸と、駆動軸に対して摩擦係合されて当該駆動軸をその軸方向に摺動する移動部材とを備えたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
又、このようなアクチュエータにおいて、移動部材を駆動軸に対して適宜な摩擦力で係合させることが必要なことから、例えば図18に示すようして移動部材aを駆動軸bに組付けたものが従来から実施されている。
【0004】
詳しくは、移動部材aは、コの字状の受容凹部a1を有するものから構成されており、その受容凹部a1に四角柱状の駆動軸bを受容させるとともに、受容凹部a1の第1内側壁a2とその第1内側壁a2に隣接する第2内側壁a3とを摺動部とし、それらを、駆動軸bの被摺動部としての第1外側壁b1、第2外側壁b2夫々に当接させて摺動させるようにしたものである。尚、移動部材aと駆動軸bとの組付けについては、更に後述する。
【0005】
又、移動部材aを、鋳造法の一種であるダイキャスト法で製造すれば受容凹部a1を有する形状に成型できることから移動部材aをダイキャスト法で成型されている場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−219187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、移動部材aをダイキャストで成型したままの状態では、受容凹部a1の第1内側壁a2及び第2内側壁a3の面粗さが大きく、駆動軸bの外側壁b1、b2を摺動する際の抵抗が大きくなって円滑に摺動し難い。そのため、従来、受容凹部a1の第1内側壁a2及び第2内側壁a3を研磨加工等の機械加工を施して仕上げ加工しているが、このような仕上げ加工のために、移動部材aの製作に時間を要してしまっていると共に、製作コストが高くなっている。特に、第1内側壁a2と第2内側壁a3とは、それらによってL字状をなしているため、仕上げ加工に時間を要する。
【0008】
本発明は、移動部材等に仕上げ加工をしなくても移動部材が駆動軸を摺動する際の抵抗を小さくでき、移動部材を円滑に摺動させることができるアクチュエータの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のアクチュエータは、軸方向に伸縮する電気機械変換素子と、その電気機械変換素子に連結され前記電気機械変換素子の伸縮により前記軸方向に振動する駆動軸と、その駆動軸に設けられた被摺動部に摩擦係合して摺動する摺動部を有する移動部材とを備えたアクチュエータであって、前記駆動軸の被摺動部と前記移動部材の摺動部とのいずれか一方又は両方に、当該被摺動部又は摺動部から窪まされるように形成された凹部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、凹部によって、被摺動部と摺動部との接触面積を少なくでき、摺動する際の抵抗を小さくできる。これにより、摺動部を被摺動部に対して円滑に摺動させることができる。従って、例えば駆動軸の被摺動部と移動部材の摺動部を、研磨等の仕上げ加工を不要にすることも可能になり、移動部材の摺動面等を容易に短時間で形成でき、アクチュエータを低コストで製作可能になる。
【0011】
他の一態様では、上述のアクチュエータにおいて、前記凹部が形成された被摺動部と摺動部とのいずれか一方又は両方に、前記凹部によって、少なくとも3つの摺動凸部が区画形成され、前記3つの摺動凸部は、互いに所定の距離を隔てているとともに、それらの夫々の略中心を結ぶ線が三角形をなすように配設されていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、3つの摺動凸部が摺動するため、摺動する際の抵抗を、より小さくでき、摺動部を被摺動部に対して、より円滑に摺動させることができる。また、その際、3つの摺動凸部を結ぶ線が三角形をなすように配設されているため、摺動部を被摺動部に対して常時安定した状態で摺動させることができる。
【0013】
他の一態様では、上述のアクチュエータにおいて、前記駆動軸は、四角柱状のものから構成され、前記被摺動部は、前記駆動軸における互いに隣接した第1外側壁と第2外側壁との2つの外側壁に形成され、前記移動部材は、前記第1外側壁を摺動する第1内側壁と、前記第2外側壁を摺動する第2内側壁とを備え、前記凹部は、前記第1外側壁と第2外側壁と第1内側壁と第2内側壁との少なくとも1つに形成されていることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、凹部を、第1外側壁と第2外側壁と第1内側壁と第2内側壁との少なくとも1つに形成すればよく、駆動軸及び移動部材を、容易に短時間で製作できる。
【0015】
他の一態様では、上述のアクチュエータにおいて、前記第1外側壁は、前記第2外側壁よりも面積が大きく、前記第1内側壁は、前記第2内側壁よりも面積が大きく、前記第1外側壁と第1内側壁とのいずれか一方又は両方に、前記凹部によって、少なくとも3つの第1摺動凸部が区画形成され、前記3つの第1摺動凸部は、互いに所定の距離を隔てているとともに、それらの夫々の略中心を結ぶ線が三角形をなすように配設され、前記第2外側壁と第2内側壁とのいずれか一方又は両方に、前記凹部によって、少なくとも1つの第2摺動凸部が区画形成されていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、例えば面積の大きい第1外側壁と第1内側壁とのいずれか一方又は両方に、3つの第1摺動凸部を区画形成し、面積の小さい第2外側壁と第2内側壁とのいずれか一方又は両方に1つの第2摺動凸部を区画形成するようにすれば、摺動する際の抵抗を、より一層、小さくできるとともに、摺動部を被摺動部に対して常時安定した状態で摺動させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、仕上げ加工をしなくても移動部材が駆動軸を摺動する際の抵抗を小さくでき、移動部材を円滑に摺動させることができるアクチュエータを提供し得たものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態のアクチュエータの平面図である。
【図2】第1実施形態のアクチュエータの分解斜視図である。
【図3】第1実施形態のアクチュエータの移動部材における移動部材本体と第1押圧板と第1付勢部材との分解斜視図である。
【図4】第1実施形態のアクチュエータの移動部材における移動部材本体と第2付勢部材との分解斜視図である。
【図5】図1のV−V線断面図である。
【図6】第1実施形態のアクチュエータの移動部材本体の底面図である。
【図7】第2実施形態のアクチュエータの駆動軸と移動部材との組付け状態を表した断面図である。
【図8】第3実施形態のアクチュエータの駆動軸と移動部材との組付け状態を表した断面図である。
【図9】第3実施形態のアクチュエータの移動部材本体の底面図である。
【図10】第4実施形態のアクチュエータの駆動軸と移動部材との組付け状態を表した断面図である。
【図11】第4実施形態のアクチュエータの移動部材本体の底面図である。
【図12】第5実施形態のアクチュエータの駆動軸と移動部材との組付け状態を表した断面図である。
【図13】第5実施形態のアクチュエータの移動部材本体の底面図である。
【図14】第6実施形態のアクチュエータの駆動軸と移動部材との組付け状態を表した断面図である。
【図15】第6実施形態のアクチュエータの移動部材本体の底面図である。
【図16】第7実施形態のアクチュエータの駆動軸と移動部材との組付け状態を表した断面図である。
【図17】第7実施形態のアクチュエータの駆動軸の平面図である。
【図18】従来例のアクチュエータの駆動軸と移動部材との組付け状態を表した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明のアクチュエータの第1実施形態の平面図、図2は、第1実施形態のアクチュエータの分解斜視図、図3は、第1実施形態のアクチュエータの移動部材における移動部材本体と第1押圧板と第1付勢部材との分解斜視図である。また、図4は、第1実施形態のアクチュエータの移動部材における移動部材本体と第2付勢部材との分解斜視図、図5は、図1のV−V線断面図である。
【0020】
第1実施形態のアクチュエータ1は、電気機械変換素子である圧電素子2と、圧電素子2に連結された駆動軸3と、圧電素子2及び駆動軸3を保持した保持部材4と、駆動軸3を移動する移動部材5とを備えている。
【0021】
圧電素子2は、複数の圧電層が積層されるようにして四角柱状体に形成されたものから構成されている。そして、電圧が印加されることによって、その軸方向(図1のX−X方向)に伸縮する。
【0022】
駆動軸3は、四角柱状体(直方体)から構成されており、図2の上側の第1外側壁31と、その第1外側壁31と隣接して直交し第1外側壁31よりも面積の小さいた第2外側壁32及び第3外側壁33と、それらの第2外側壁32及び第3外側壁33夫々と隣接して直交した第4外側壁34とを備えている。これらの外側壁31〜34は、移動部材5が摺動する被摺動部を構成する。
【0023】
このように構成された駆動軸3の軸方向の第1端3aの端面は、上記圧電素子2の軸方向の第1端2aの端面に連結されている。
【0024】
保持部材4は、上記駆動軸3の第1端3a及び圧電素子2の第1端2aを受容する軸受容部40を備えている。この軸受容部40は、図2に示すように上方が開放されたコの字状を呈するものから構成されている。
【0025】
そして、このように構成された保持部材4の軸受容部40に、図1に示すように駆動軸3の第1端3aが圧電素子2の第1端2aとともに受容される。そして、この状態で、接着剤によって、駆動軸3の第1端3aと圧電素子2の第1端2aとの夫々の端面同士が接着されるとともに、駆動軸3の外側壁32〜34と保持部材4の内側壁とが接着され、更に、圧電素子2の外側壁と保持部材4の内側壁とが接着される。これにより、駆動軸3及び圧電素子2が保持部材4に接着剤を介して保持される。
【0026】
このように圧電素子2と駆動軸3とを保持した保持部材4の下端は、例えば支持部材8(図1に2点鎖線で示す)に支持され、その支持部材8が小型カメラやレーザーモジュールなどの光学装置内に取り付けられることによりこのアクチュエータ1が光学装置に装着される。
【0027】
次に、移動部材5について説明する。この実施形態の移動部材5は、図2に示すように移動部材本体6と、2つの押圧板71、72と、2つの付勢部材81、82とを備えている。
【0028】
移動部材本体6は、図5に示すように、駆動軸3を受容する正面視でコの字状の受容凹部61を備えている。この受容凹部61は、受容した駆動軸3の第1外側壁31と対向して摺動する第1摺動部62と、第1摺動部62よりも面積が小さく駆動軸3の第2外側壁32と対向して摺動する第2摺動部63とを備えている。
【0029】
第1摺動部62には、図5、図6に示すように第1摺動部62から所定の深さで窪まされるようにして、上記受容した駆動軸3の軸方向に延ばされた4つの凹部64が設けられている。そして、これらの互いに隣接する2つの凹部64、64によって、その間に、受容した駆動軸3の軸方向に延ばされた3つの四角柱状の第1摺動凸部65が区画形成されている。
【0030】
一方、第2摺動部63は、この第1実施形態では、駆動軸3の第2外側壁32の略全体に当接して摺動するように、平面状に形成されている。
【0031】
また、このように構成された移動部材本体6は、この実施形態では、ダイキャストにより成形されており、上記第1摺動部62及び第2摺動部63は、その成形により形成されている。
【0032】
押圧板71、72は、駆動軸3の第3外側壁33に当接して摺動する第1押圧板71と、駆動軸3の第4外側壁34に当接して摺動する第2押圧板72とを備えている。
【0033】
第1押圧板71は、図2、図3に示すように一対の突片71aを備えている。そして、これらの突片71aが、図5に示すように移動部材本体6に設けられた突片嵌挿溝69に嵌挿されて、上記第2摺動部63と退行及び接近する方向に移動可能とされている。
【0034】
第2押圧板72は、図2に示すように係止片72aを備えている。そして、この係止片72aが、図5に示すように移動部材本体6に設けられた係止片嵌挿溝66に嵌挿されて、上記第1摺動部62と退行及び接近する方向に移動可能とされている。
【0035】
付勢部材81、82は、図2、図4及び図5に示すようにコイルバネからなる第1付勢部材81と、正面視でM字状を呈する第2付勢部材82とを備えている。
【0036】
第1付勢部材81は、その第1端が移動部材本体6に設けられたバネ収納部67の内壁に当接するとともに、第2端が第1押圧板71に当接された状態でバネ収納部67に収納されている。これにより、第1押圧板71が上記第2摺動部63側に押圧されて駆動軸3の第3外側壁33に当接するとともに、駆動軸3の第2外側壁32が第2摺動部63に押圧されている。
【0037】
第2付勢部材82は、図2、図4に示すように、その両端に、移動部材本体6の両端夫々に係止される係止部としての係止孔82aを備え、その中間部に、第2押圧板72を押圧する押圧部82bを備えている。
【0038】
そして、図5に示すように係止孔82aが移動部材本体6の両端夫々に設けられた係止突片68に係止され、その状態で押圧部82bが第2押圧板72を上記第1摺動部62側に押圧して駆動軸3の第4外側壁34に当接させるとともに、駆動軸3の第1側壁31が第1摺動部62に押圧されている。
【0039】
又、このように構成された移動部材5には、例えば光学装置に装着される際にレンズ(図示せず)が移動部材5と共に可動するように連結される。
【0040】
以上のように構成された第1実施形態のアクチュエータ1は、圧電素子2に矩形波を与えることで、駆動軸3を軸方向(X−X方向)に振動させるとともに、電圧上昇時(伸長時)と下降時(圧縮時)とで振動速度差が生じるように略三角波状に変位させる。又、矩形波のデューティ比を変えることで、駆動軸3の振動速度を制御する。そして、この駆動軸3の振動によって移動部材5の第1摺動部62と第2摺動部63との夫々が駆動軸3の第1外側壁31と第2外側壁32との夫々を軸方向に摺動する。
【0041】
その際、移動部材5の第1摺動部62は、3つの摺動凸部65が駆動軸3の第1外側壁31を摺動する。これにより、摺動する際の抵抗が、例えば第1摺動部62の全体が第1外側壁31に当接して摺動する場合に比して小さいため、円滑に摺動できる。従って、摺動凸部65を、ダイキャストで成型した状態のままで、研磨加工等の仕上げ加工を施さなくてもよいものにでき、第1摺動部62を容易に形成でき、アクチュエータ1を低コストで製作できる。
【0042】
次に、第2実施形態のアクチュエータ200について、図7に基づいて説明する。第2実施形態のアクチュエータ200における第2摺動部263に、第2摺動部263から所定の深さで窪まされるようにして、受容した駆動軸203の軸方向に延ばされた2つの凹部264が設けられている。
【0043】
そして、これらの2つの凹部264、264によって、その間に、受容した駆動軸203の軸方向に延ばされた四角柱状の摺動凸部265が区画形成されている。その他は、先の第1実施形態のものと同構成を採っている。
【0044】
このように構成すれば、移動部材205の第2摺動部263も、摺動凸部265が駆動軸203の第2外側壁232を摺動し、その摺動する際の抵抗が、例えば先の第1実施形態のように第2摺動部63の全体が第2外側壁32に当接して摺動する場合に比して小さくなるため、移動部材205を、より一層、円滑に摺動させることができる。
【0045】
次に、第3実施形態のアクチュエータ300について、図8、図9に基づいて説明する。第3実施形態のアクチュエータ300における移動部材305の第1摺動部362には、先の第1実施形態のものと同様に、第1摺動部362から所定の深さで窪まされるようにして形成された凹部364が設けられており、凹部364によって3つの四角柱状の摺動凸部365が区画形成されているが、この第3実施形態の摺動凸部365は、その軸方向の長さが第1摺動部362の長さの半分程度のものから構成されている。
【0046】
より詳しくは、摺動凸部365の内の両側の2つは、第1摺動部362における軸方向(図9のX−X)の第1端から、軸方向の略中央まで延ばされている。他の1つは、第1摺動部362における駆動軸3の軸方向の第2端から、軸方向の略中央まで延ばされており、3つの摺動凸部365の軸方向の中心を結ぶ線が三角形になるように配設されている。
【0047】
このように構成すれば、第1摺動部362を、例えば第1実施形態の第1摺動部62に比して駆動軸303の第1外側壁331を摺動する際の摺動抵抗を小さくでき、より一層、円滑に摺動させることができるとともに、第1摺動部362が駆動軸303の第1外側壁331を安定した状態で摺動することができる。
【0048】
次に、第4実施形態のアクチュエータ400について、図10、図11に基づいて説明する。第4実施形態のアクチュエータ400の移動部材405における第1摺動部462及び第2摺動部463の夫々には、先の第3実施形態と同様に、凹部464によって、摺動凸部465が区画形成されているが、この第4実施形態における摺動凸部465は、夫々、断面半円形状の半円柱状のものから構成されている。その他は、先の第3実施形態のものと同構成を採っている。
【0049】
このように構成すれば、第1摺動部462と第2摺動部463とを、例えば第3実施形態の第1摺動部362に比して駆動軸403の第1外側壁431と第2外側壁432との夫々を摺動する際の摺動抵抗を小さくでき、より一層、円滑に摺動させることができる。
【0050】
次に、第5実施形態のアクチュエータ500について、図12、図13に基づいて説明する。第5実施形態のアクチュエータ500の移動部材505における第1摺動部562及び第2摺動部563の夫々には、先の第4実施形態と同様に、凹部564によって、摺動凸部565が区画形成されているが、この第5実施形態の摺動凸部565は、夫々、半球状のものから構成されている。
【0051】
また、これらの摺動凸部565は、その両側の2つは、第1摺動部362における軸方向(図のX−X)の第1端に、互いに距離を持って配設されている。他の1つは、第1摺動部362における軸方向の第2端であって、上記両側の2つのほぼ中央に配設され、3つの摺動凸部565の中心を結ぶ線が三角形になるようになっている。その他は、先の第4実施形態のものと同構成を採っている。
【0052】
このように構成した第5実施形態によれば、第1摺動部562及び第2摺動部563を、例えば第4実施形態の第1摺動部462及び第2摺動部463よりも、駆動軸503の第1外側壁531と第2外側壁532との夫々を摺動する際の摺動抵抗を更に小さくでき、より一層、円滑に摺動させることができる。
【0053】
次に、第6実施形態のアクチュエータ600について、図14、図15に基づいて説明する。第6実施形態のアクチュエータ600の移動部材605における第1摺動部662及び第2摺動部663の夫々には、先の第4実施形態と同様に、凹部664によって、摺動凸部665が区画形成されているが、この第6実施形態の摺動凸部665は、夫々、円錐状のものから構成されている。その他は、先の第5実施形態のものと同構成を採っている。
【0054】
このように構成した第6実施形態においても、第1摺動部662及び第2摺動部663を、例えば第4実施形態の第1摺動部462及び第2摺動部463よりも、駆動軸603の第1外側壁631と第2外側壁632との夫々を摺動する際の摺動抵抗を更に小さくでき、より一層、円滑に摺動させることができる。
【0055】
尚、第6実施形態において、摺動凸部665を、三角錐、四角錐等の角錐状のものから構成してもよく、適宜変更できる。
【0056】
次に、第7実施形態のアクチュエータ700について、図16、図17に基づいて説明する。第7実施形態のアクチュエータ700における移動部材705の第1摺動部762及び第2摺動部763は、凹部を有しない平滑面に形成されているが、駆動軸703の第1外側壁731に、その第1外側壁731から所定の深さで、軸方向に沿う凹部763が設けられている。
【0057】
そして、互いに隣接する2つの凹部763、763によって、それらの間に、軸方向に沿う3つの第1被摺動凸部765が区画形成されている。その他は、先の第1実施形態のものと同構成を採っている。
【0058】
このように構成した第7実施形態においても、移動部材705の第1摺動部762と駆動軸703の第1外側壁731との接触面積を少なくでき、移動部材705の第1摺動部762が駆動軸703の第1外側壁731を摺動する際の抵抗を小さくでき、円滑に摺動させることができる。尚、この第7実施形態において、駆動軸703の第2外側壁732に凹部を設け、凹部によって、軸方向に沿う1または複数の被摺動凸部が区画形成するようにしてもよい。
【0059】
尚、上記実施形態では、凹部によって、移動部材の第1摺動部または第2摺動部、或いは駆動軸の第1外側壁または第2外側壁に、摺動凸部を区画形成したが、この形態のものに限らず、適宜変更できる。
【0060】
例えば凹部によって、移動部材の第1摺動部と駆動軸の第1外側壁との接触面積、或いは移動部材の第2摺動部と駆動軸の第2外側壁との接触面積を、全体が接触した場合の接触面積よりも少なくなるものであればよい。従って、凹部を、移動部材の第1摺動部と第2摺動部と駆動軸の第1外側壁と第2外側壁との少なくとも1つの一部に設ければよい。
【0061】
また、摺動凸部の数量や形状は、上記実施形態のものに限らず、適宜変更でき、例えば摺動凸部を、移動部材の第1摺動部に1つ設け、第2摺動部に2つ以上、設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1、200、300、400、500、600、700 アクチュエータ
2 圧電素子(電気機械変換素子)
3、203、303、403、503、603、703 駆動軸
4 保持部材
5 移動部材
31、231、331、431、531、631、731 第1外側壁(被摺動部)
32、232、332、432、532、632、732 第2外側壁(被摺動部)
62、262、362、462、562、662、762 第1摺動部
63、263、363、463、563、663、763 第2摺動部
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部品等を駆動させるアクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、光学部品等を駆動させるアクチュエータとして、例えば電圧の印加によって伸縮する圧電素子と、圧電素子の伸縮によって振動する駆動軸と、駆動軸に対して摩擦係合されて当該駆動軸をその軸方向に摺動する移動部材とを備えたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
又、このようなアクチュエータにおいて、移動部材を駆動軸に対して適宜な摩擦力で係合させることが必要なことから、例えば図18に示すようして移動部材aを駆動軸bに組付けたものが従来から実施されている。
【0004】
詳しくは、移動部材aは、コの字状の受容凹部a1を有するものから構成されており、その受容凹部a1に四角柱状の駆動軸bを受容させるとともに、受容凹部a1の第1内側壁a2とその第1内側壁a2に隣接する第2内側壁a3とを摺動部とし、それらを、駆動軸bの被摺動部としての第1外側壁b1、第2外側壁b2夫々に当接させて摺動させるようにしたものである。尚、移動部材aと駆動軸bとの組付けについては、更に後述する。
【0005】
又、移動部材aを、鋳造法の一種であるダイキャスト法で製造すれば受容凹部a1を有する形状に成型できることから移動部材aをダイキャスト法で成型されている場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−219187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、移動部材aをダイキャストで成型したままの状態では、受容凹部a1の第1内側壁a2及び第2内側壁a3の面粗さが大きく、駆動軸bの外側壁b1、b2を摺動する際の抵抗が大きくなって円滑に摺動し難い。そのため、従来、受容凹部a1の第1内側壁a2及び第2内側壁a3を研磨加工等の機械加工を施して仕上げ加工しているが、このような仕上げ加工のために、移動部材aの製作に時間を要してしまっていると共に、製作コストが高くなっている。特に、第1内側壁a2と第2内側壁a3とは、それらによってL字状をなしているため、仕上げ加工に時間を要する。
【0008】
本発明は、移動部材等に仕上げ加工をしなくても移動部材が駆動軸を摺動する際の抵抗を小さくでき、移動部材を円滑に摺動させることができるアクチュエータの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のアクチュエータは、軸方向に伸縮する電気機械変換素子と、その電気機械変換素子に連結され前記電気機械変換素子の伸縮により前記軸方向に振動する駆動軸と、その駆動軸に設けられた被摺動部に摩擦係合して摺動する摺動部を有する移動部材とを備えたアクチュエータであって、前記駆動軸の被摺動部と前記移動部材の摺動部とのいずれか一方又は両方に、当該被摺動部又は摺動部から窪まされるように形成された凹部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、凹部によって、被摺動部と摺動部との接触面積を少なくでき、摺動する際の抵抗を小さくできる。これにより、摺動部を被摺動部に対して円滑に摺動させることができる。従って、例えば駆動軸の被摺動部と移動部材の摺動部を、研磨等の仕上げ加工を不要にすることも可能になり、移動部材の摺動面等を容易に短時間で形成でき、アクチュエータを低コストで製作可能になる。
【0011】
他の一態様では、上述のアクチュエータにおいて、前記凹部が形成された被摺動部と摺動部とのいずれか一方又は両方に、前記凹部によって、少なくとも3つの摺動凸部が区画形成され、前記3つの摺動凸部は、互いに所定の距離を隔てているとともに、それらの夫々の略中心を結ぶ線が三角形をなすように配設されていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、3つの摺動凸部が摺動するため、摺動する際の抵抗を、より小さくでき、摺動部を被摺動部に対して、より円滑に摺動させることができる。また、その際、3つの摺動凸部を結ぶ線が三角形をなすように配設されているため、摺動部を被摺動部に対して常時安定した状態で摺動させることができる。
【0013】
他の一態様では、上述のアクチュエータにおいて、前記駆動軸は、四角柱状のものから構成され、前記被摺動部は、前記駆動軸における互いに隣接した第1外側壁と第2外側壁との2つの外側壁に形成され、前記移動部材は、前記第1外側壁を摺動する第1内側壁と、前記第2外側壁を摺動する第2内側壁とを備え、前記凹部は、前記第1外側壁と第2外側壁と第1内側壁と第2内側壁との少なくとも1つに形成されていることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、凹部を、第1外側壁と第2外側壁と第1内側壁と第2内側壁との少なくとも1つに形成すればよく、駆動軸及び移動部材を、容易に短時間で製作できる。
【0015】
他の一態様では、上述のアクチュエータにおいて、前記第1外側壁は、前記第2外側壁よりも面積が大きく、前記第1内側壁は、前記第2内側壁よりも面積が大きく、前記第1外側壁と第1内側壁とのいずれか一方又は両方に、前記凹部によって、少なくとも3つの第1摺動凸部が区画形成され、前記3つの第1摺動凸部は、互いに所定の距離を隔てているとともに、それらの夫々の略中心を結ぶ線が三角形をなすように配設され、前記第2外側壁と第2内側壁とのいずれか一方又は両方に、前記凹部によって、少なくとも1つの第2摺動凸部が区画形成されていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、例えば面積の大きい第1外側壁と第1内側壁とのいずれか一方又は両方に、3つの第1摺動凸部を区画形成し、面積の小さい第2外側壁と第2内側壁とのいずれか一方又は両方に1つの第2摺動凸部を区画形成するようにすれば、摺動する際の抵抗を、より一層、小さくできるとともに、摺動部を被摺動部に対して常時安定した状態で摺動させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、仕上げ加工をしなくても移動部材が駆動軸を摺動する際の抵抗を小さくでき、移動部材を円滑に摺動させることができるアクチュエータを提供し得たものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態のアクチュエータの平面図である。
【図2】第1実施形態のアクチュエータの分解斜視図である。
【図3】第1実施形態のアクチュエータの移動部材における移動部材本体と第1押圧板と第1付勢部材との分解斜視図である。
【図4】第1実施形態のアクチュエータの移動部材における移動部材本体と第2付勢部材との分解斜視図である。
【図5】図1のV−V線断面図である。
【図6】第1実施形態のアクチュエータの移動部材本体の底面図である。
【図7】第2実施形態のアクチュエータの駆動軸と移動部材との組付け状態を表した断面図である。
【図8】第3実施形態のアクチュエータの駆動軸と移動部材との組付け状態を表した断面図である。
【図9】第3実施形態のアクチュエータの移動部材本体の底面図である。
【図10】第4実施形態のアクチュエータの駆動軸と移動部材との組付け状態を表した断面図である。
【図11】第4実施形態のアクチュエータの移動部材本体の底面図である。
【図12】第5実施形態のアクチュエータの駆動軸と移動部材との組付け状態を表した断面図である。
【図13】第5実施形態のアクチュエータの移動部材本体の底面図である。
【図14】第6実施形態のアクチュエータの駆動軸と移動部材との組付け状態を表した断面図である。
【図15】第6実施形態のアクチュエータの移動部材本体の底面図である。
【図16】第7実施形態のアクチュエータの駆動軸と移動部材との組付け状態を表した断面図である。
【図17】第7実施形態のアクチュエータの駆動軸の平面図である。
【図18】従来例のアクチュエータの駆動軸と移動部材との組付け状態を表した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明のアクチュエータの第1実施形態の平面図、図2は、第1実施形態のアクチュエータの分解斜視図、図3は、第1実施形態のアクチュエータの移動部材における移動部材本体と第1押圧板と第1付勢部材との分解斜視図である。また、図4は、第1実施形態のアクチュエータの移動部材における移動部材本体と第2付勢部材との分解斜視図、図5は、図1のV−V線断面図である。
【0020】
第1実施形態のアクチュエータ1は、電気機械変換素子である圧電素子2と、圧電素子2に連結された駆動軸3と、圧電素子2及び駆動軸3を保持した保持部材4と、駆動軸3を移動する移動部材5とを備えている。
【0021】
圧電素子2は、複数の圧電層が積層されるようにして四角柱状体に形成されたものから構成されている。そして、電圧が印加されることによって、その軸方向(図1のX−X方向)に伸縮する。
【0022】
駆動軸3は、四角柱状体(直方体)から構成されており、図2の上側の第1外側壁31と、その第1外側壁31と隣接して直交し第1外側壁31よりも面積の小さいた第2外側壁32及び第3外側壁33と、それらの第2外側壁32及び第3外側壁33夫々と隣接して直交した第4外側壁34とを備えている。これらの外側壁31〜34は、移動部材5が摺動する被摺動部を構成する。
【0023】
このように構成された駆動軸3の軸方向の第1端3aの端面は、上記圧電素子2の軸方向の第1端2aの端面に連結されている。
【0024】
保持部材4は、上記駆動軸3の第1端3a及び圧電素子2の第1端2aを受容する軸受容部40を備えている。この軸受容部40は、図2に示すように上方が開放されたコの字状を呈するものから構成されている。
【0025】
そして、このように構成された保持部材4の軸受容部40に、図1に示すように駆動軸3の第1端3aが圧電素子2の第1端2aとともに受容される。そして、この状態で、接着剤によって、駆動軸3の第1端3aと圧電素子2の第1端2aとの夫々の端面同士が接着されるとともに、駆動軸3の外側壁32〜34と保持部材4の内側壁とが接着され、更に、圧電素子2の外側壁と保持部材4の内側壁とが接着される。これにより、駆動軸3及び圧電素子2が保持部材4に接着剤を介して保持される。
【0026】
このように圧電素子2と駆動軸3とを保持した保持部材4の下端は、例えば支持部材8(図1に2点鎖線で示す)に支持され、その支持部材8が小型カメラやレーザーモジュールなどの光学装置内に取り付けられることによりこのアクチュエータ1が光学装置に装着される。
【0027】
次に、移動部材5について説明する。この実施形態の移動部材5は、図2に示すように移動部材本体6と、2つの押圧板71、72と、2つの付勢部材81、82とを備えている。
【0028】
移動部材本体6は、図5に示すように、駆動軸3を受容する正面視でコの字状の受容凹部61を備えている。この受容凹部61は、受容した駆動軸3の第1外側壁31と対向して摺動する第1摺動部62と、第1摺動部62よりも面積が小さく駆動軸3の第2外側壁32と対向して摺動する第2摺動部63とを備えている。
【0029】
第1摺動部62には、図5、図6に示すように第1摺動部62から所定の深さで窪まされるようにして、上記受容した駆動軸3の軸方向に延ばされた4つの凹部64が設けられている。そして、これらの互いに隣接する2つの凹部64、64によって、その間に、受容した駆動軸3の軸方向に延ばされた3つの四角柱状の第1摺動凸部65が区画形成されている。
【0030】
一方、第2摺動部63は、この第1実施形態では、駆動軸3の第2外側壁32の略全体に当接して摺動するように、平面状に形成されている。
【0031】
また、このように構成された移動部材本体6は、この実施形態では、ダイキャストにより成形されており、上記第1摺動部62及び第2摺動部63は、その成形により形成されている。
【0032】
押圧板71、72は、駆動軸3の第3外側壁33に当接して摺動する第1押圧板71と、駆動軸3の第4外側壁34に当接して摺動する第2押圧板72とを備えている。
【0033】
第1押圧板71は、図2、図3に示すように一対の突片71aを備えている。そして、これらの突片71aが、図5に示すように移動部材本体6に設けられた突片嵌挿溝69に嵌挿されて、上記第2摺動部63と退行及び接近する方向に移動可能とされている。
【0034】
第2押圧板72は、図2に示すように係止片72aを備えている。そして、この係止片72aが、図5に示すように移動部材本体6に設けられた係止片嵌挿溝66に嵌挿されて、上記第1摺動部62と退行及び接近する方向に移動可能とされている。
【0035】
付勢部材81、82は、図2、図4及び図5に示すようにコイルバネからなる第1付勢部材81と、正面視でM字状を呈する第2付勢部材82とを備えている。
【0036】
第1付勢部材81は、その第1端が移動部材本体6に設けられたバネ収納部67の内壁に当接するとともに、第2端が第1押圧板71に当接された状態でバネ収納部67に収納されている。これにより、第1押圧板71が上記第2摺動部63側に押圧されて駆動軸3の第3外側壁33に当接するとともに、駆動軸3の第2外側壁32が第2摺動部63に押圧されている。
【0037】
第2付勢部材82は、図2、図4に示すように、その両端に、移動部材本体6の両端夫々に係止される係止部としての係止孔82aを備え、その中間部に、第2押圧板72を押圧する押圧部82bを備えている。
【0038】
そして、図5に示すように係止孔82aが移動部材本体6の両端夫々に設けられた係止突片68に係止され、その状態で押圧部82bが第2押圧板72を上記第1摺動部62側に押圧して駆動軸3の第4外側壁34に当接させるとともに、駆動軸3の第1側壁31が第1摺動部62に押圧されている。
【0039】
又、このように構成された移動部材5には、例えば光学装置に装着される際にレンズ(図示せず)が移動部材5と共に可動するように連結される。
【0040】
以上のように構成された第1実施形態のアクチュエータ1は、圧電素子2に矩形波を与えることで、駆動軸3を軸方向(X−X方向)に振動させるとともに、電圧上昇時(伸長時)と下降時(圧縮時)とで振動速度差が生じるように略三角波状に変位させる。又、矩形波のデューティ比を変えることで、駆動軸3の振動速度を制御する。そして、この駆動軸3の振動によって移動部材5の第1摺動部62と第2摺動部63との夫々が駆動軸3の第1外側壁31と第2外側壁32との夫々を軸方向に摺動する。
【0041】
その際、移動部材5の第1摺動部62は、3つの摺動凸部65が駆動軸3の第1外側壁31を摺動する。これにより、摺動する際の抵抗が、例えば第1摺動部62の全体が第1外側壁31に当接して摺動する場合に比して小さいため、円滑に摺動できる。従って、摺動凸部65を、ダイキャストで成型した状態のままで、研磨加工等の仕上げ加工を施さなくてもよいものにでき、第1摺動部62を容易に形成でき、アクチュエータ1を低コストで製作できる。
【0042】
次に、第2実施形態のアクチュエータ200について、図7に基づいて説明する。第2実施形態のアクチュエータ200における第2摺動部263に、第2摺動部263から所定の深さで窪まされるようにして、受容した駆動軸203の軸方向に延ばされた2つの凹部264が設けられている。
【0043】
そして、これらの2つの凹部264、264によって、その間に、受容した駆動軸203の軸方向に延ばされた四角柱状の摺動凸部265が区画形成されている。その他は、先の第1実施形態のものと同構成を採っている。
【0044】
このように構成すれば、移動部材205の第2摺動部263も、摺動凸部265が駆動軸203の第2外側壁232を摺動し、その摺動する際の抵抗が、例えば先の第1実施形態のように第2摺動部63の全体が第2外側壁32に当接して摺動する場合に比して小さくなるため、移動部材205を、より一層、円滑に摺動させることができる。
【0045】
次に、第3実施形態のアクチュエータ300について、図8、図9に基づいて説明する。第3実施形態のアクチュエータ300における移動部材305の第1摺動部362には、先の第1実施形態のものと同様に、第1摺動部362から所定の深さで窪まされるようにして形成された凹部364が設けられており、凹部364によって3つの四角柱状の摺動凸部365が区画形成されているが、この第3実施形態の摺動凸部365は、その軸方向の長さが第1摺動部362の長さの半分程度のものから構成されている。
【0046】
より詳しくは、摺動凸部365の内の両側の2つは、第1摺動部362における軸方向(図9のX−X)の第1端から、軸方向の略中央まで延ばされている。他の1つは、第1摺動部362における駆動軸3の軸方向の第2端から、軸方向の略中央まで延ばされており、3つの摺動凸部365の軸方向の中心を結ぶ線が三角形になるように配設されている。
【0047】
このように構成すれば、第1摺動部362を、例えば第1実施形態の第1摺動部62に比して駆動軸303の第1外側壁331を摺動する際の摺動抵抗を小さくでき、より一層、円滑に摺動させることができるとともに、第1摺動部362が駆動軸303の第1外側壁331を安定した状態で摺動することができる。
【0048】
次に、第4実施形態のアクチュエータ400について、図10、図11に基づいて説明する。第4実施形態のアクチュエータ400の移動部材405における第1摺動部462及び第2摺動部463の夫々には、先の第3実施形態と同様に、凹部464によって、摺動凸部465が区画形成されているが、この第4実施形態における摺動凸部465は、夫々、断面半円形状の半円柱状のものから構成されている。その他は、先の第3実施形態のものと同構成を採っている。
【0049】
このように構成すれば、第1摺動部462と第2摺動部463とを、例えば第3実施形態の第1摺動部362に比して駆動軸403の第1外側壁431と第2外側壁432との夫々を摺動する際の摺動抵抗を小さくでき、より一層、円滑に摺動させることができる。
【0050】
次に、第5実施形態のアクチュエータ500について、図12、図13に基づいて説明する。第5実施形態のアクチュエータ500の移動部材505における第1摺動部562及び第2摺動部563の夫々には、先の第4実施形態と同様に、凹部564によって、摺動凸部565が区画形成されているが、この第5実施形態の摺動凸部565は、夫々、半球状のものから構成されている。
【0051】
また、これらの摺動凸部565は、その両側の2つは、第1摺動部362における軸方向(図のX−X)の第1端に、互いに距離を持って配設されている。他の1つは、第1摺動部362における軸方向の第2端であって、上記両側の2つのほぼ中央に配設され、3つの摺動凸部565の中心を結ぶ線が三角形になるようになっている。その他は、先の第4実施形態のものと同構成を採っている。
【0052】
このように構成した第5実施形態によれば、第1摺動部562及び第2摺動部563を、例えば第4実施形態の第1摺動部462及び第2摺動部463よりも、駆動軸503の第1外側壁531と第2外側壁532との夫々を摺動する際の摺動抵抗を更に小さくでき、より一層、円滑に摺動させることができる。
【0053】
次に、第6実施形態のアクチュエータ600について、図14、図15に基づいて説明する。第6実施形態のアクチュエータ600の移動部材605における第1摺動部662及び第2摺動部663の夫々には、先の第4実施形態と同様に、凹部664によって、摺動凸部665が区画形成されているが、この第6実施形態の摺動凸部665は、夫々、円錐状のものから構成されている。その他は、先の第5実施形態のものと同構成を採っている。
【0054】
このように構成した第6実施形態においても、第1摺動部662及び第2摺動部663を、例えば第4実施形態の第1摺動部462及び第2摺動部463よりも、駆動軸603の第1外側壁631と第2外側壁632との夫々を摺動する際の摺動抵抗を更に小さくでき、より一層、円滑に摺動させることができる。
【0055】
尚、第6実施形態において、摺動凸部665を、三角錐、四角錐等の角錐状のものから構成してもよく、適宜変更できる。
【0056】
次に、第7実施形態のアクチュエータ700について、図16、図17に基づいて説明する。第7実施形態のアクチュエータ700における移動部材705の第1摺動部762及び第2摺動部763は、凹部を有しない平滑面に形成されているが、駆動軸703の第1外側壁731に、その第1外側壁731から所定の深さで、軸方向に沿う凹部763が設けられている。
【0057】
そして、互いに隣接する2つの凹部763、763によって、それらの間に、軸方向に沿う3つの第1被摺動凸部765が区画形成されている。その他は、先の第1実施形態のものと同構成を採っている。
【0058】
このように構成した第7実施形態においても、移動部材705の第1摺動部762と駆動軸703の第1外側壁731との接触面積を少なくでき、移動部材705の第1摺動部762が駆動軸703の第1外側壁731を摺動する際の抵抗を小さくでき、円滑に摺動させることができる。尚、この第7実施形態において、駆動軸703の第2外側壁732に凹部を設け、凹部によって、軸方向に沿う1または複数の被摺動凸部が区画形成するようにしてもよい。
【0059】
尚、上記実施形態では、凹部によって、移動部材の第1摺動部または第2摺動部、或いは駆動軸の第1外側壁または第2外側壁に、摺動凸部を区画形成したが、この形態のものに限らず、適宜変更できる。
【0060】
例えば凹部によって、移動部材の第1摺動部と駆動軸の第1外側壁との接触面積、或いは移動部材の第2摺動部と駆動軸の第2外側壁との接触面積を、全体が接触した場合の接触面積よりも少なくなるものであればよい。従って、凹部を、移動部材の第1摺動部と第2摺動部と駆動軸の第1外側壁と第2外側壁との少なくとも1つの一部に設ければよい。
【0061】
また、摺動凸部の数量や形状は、上記実施形態のものに限らず、適宜変更でき、例えば摺動凸部を、移動部材の第1摺動部に1つ設け、第2摺動部に2つ以上、設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1、200、300、400、500、600、700 アクチュエータ
2 圧電素子(電気機械変換素子)
3、203、303、403、503、603、703 駆動軸
4 保持部材
5 移動部材
31、231、331、431、531、631、731 第1外側壁(被摺動部)
32、232、332、432、532、632、732 第2外側壁(被摺動部)
62、262、362、462、562、662、762 第1摺動部
63、263、363、463、563、663、763 第2摺動部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に伸縮する電気機械変換素子と、その電気機械変換素子に連結され前記電気機械変換素子の伸縮により前記軸方向に振動する駆動軸と、その駆動軸に設けられた被摺動部に摩擦係合して摺動する摺動部を有する移動部材とを備えたアクチュエータであって、
前記駆動軸の被摺動部と前記移動部材の摺動部とのいずれか一方又は両方に、当該被摺動部又は摺動部から窪まされるように形成された凹部が設けられていることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
前記凹部が形成された被摺動部と摺動部とのいずれか一方又は両方に、前記凹部によって、少なくとも3つの摺動凸部が区画形成され、
前記3つの摺動凸部は、互いに所定の距離を隔てているとともに、それらの夫々の略中心を結ぶ線が三角形をなすように配設されていることを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記駆動軸は、四角柱状のものから構成され、
前記被摺動部は、前記駆動軸における互いに隣接した第1外側壁と第2外側壁との2つの外側壁に形成され、
前記移動部材は、前記第1外側壁を摺動する第1内側壁と、前記第2外側壁を摺動する第2摺動部とを備え、
前記凹部は、前記第1外側壁と第2外側壁と第1摺動部と第2摺動部との少なくとも1つに形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記第1外側壁は、前記第2外側壁よりも面積が大きく、
前記第1摺動部は、前記第2摺動部よりも面積が大きく、
前記第1外側壁と第1摺動部とのいずれか一方又は両方に、前記凹部によって、少なくとも3つの第1摺動凸部が区画形成され、
前記3つの第1摺動凸部は、互いに所定の距離を隔てているとともに、それらの夫々の略中心を結ぶ線が三角形をなすように配設され、
前記第2外側壁と第2摺動部とのいずれか一方又は両方に、前記凹部によって、少なくとも1つの第2摺動凸部が区画形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項1】
軸方向に伸縮する電気機械変換素子と、その電気機械変換素子に連結され前記電気機械変換素子の伸縮により前記軸方向に振動する駆動軸と、その駆動軸に設けられた被摺動部に摩擦係合して摺動する摺動部を有する移動部材とを備えたアクチュエータであって、
前記駆動軸の被摺動部と前記移動部材の摺動部とのいずれか一方又は両方に、当該被摺動部又は摺動部から窪まされるように形成された凹部が設けられていることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
前記凹部が形成された被摺動部と摺動部とのいずれか一方又は両方に、前記凹部によって、少なくとも3つの摺動凸部が区画形成され、
前記3つの摺動凸部は、互いに所定の距離を隔てているとともに、それらの夫々の略中心を結ぶ線が三角形をなすように配設されていることを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記駆動軸は、四角柱状のものから構成され、
前記被摺動部は、前記駆動軸における互いに隣接した第1外側壁と第2外側壁との2つの外側壁に形成され、
前記移動部材は、前記第1外側壁を摺動する第1内側壁と、前記第2外側壁を摺動する第2摺動部とを備え、
前記凹部は、前記第1外側壁と第2外側壁と第1摺動部と第2摺動部との少なくとも1つに形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記第1外側壁は、前記第2外側壁よりも面積が大きく、
前記第1摺動部は、前記第2摺動部よりも面積が大きく、
前記第1外側壁と第1摺動部とのいずれか一方又は両方に、前記凹部によって、少なくとも3つの第1摺動凸部が区画形成され、
前記3つの第1摺動凸部は、互いに所定の距離を隔てているとともに、それらの夫々の略中心を結ぶ線が三角形をなすように配設され、
前記第2外側壁と第2摺動部とのいずれか一方又は両方に、前記凹部によって、少なくとも1つの第2摺動凸部が区画形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−120254(P2012−120254A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265003(P2010−265003)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】
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