説明

アクティブタグ

【課題】ループ状のアンテナコイルに対向して設けられる導電板に発生する渦電流を低減するアクティブタグを提供する。
【解決手段】非接触認証用のアクティブタグ10は、基板上に設けられた平面ループ状のアンテナ105と、ループ内に設けられた回路106と、ループ外に設けられたボタン型の電池103及び104と、基板上でアンテナ105と交差して回路106と電池103及び404とを接続し、当該交差部分に貫通して穴開けされた電力供給のための導電板101c、102cとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触型の認証システムにおいて用いられ、RFID(無線周波数識別:Radio Frequency Identification)技術を用いて無線により認証通信を行うアクティブタグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、非接触型の認証システムは、個別の認証情報を記憶する応答器としてのRFタグと、その認証情報を非接触で読み取る質問器としてのタグ読取装置とから構成される。
特許文献1には、非接触ICタグ等に用いるアンテナモジュール用磁芯部材、アンテナモジュール及びこれらを備えた携帯情報端末が開示されている。
このアンテナモジュールは、平面内に渦巻き状に巻回されたアンテナコイルに、このアンテナコイルの平面と略平行となるように磁芯部材を挿入して構成されている。これにより、アンテナコイルのインダクタンスを大きくし、通信距離の向上を図っている。
【0003】
このアンテナモジュールを用いて外部のリーダーライタとデータ通信を行う際には、このアンテナモジュールを備えた携帯情報端末をリーダーライタのアンテナ部に近接させる。リーダーライタのアンテナ部から発信された電磁波あるいは高周波磁界が、アンテナモジュールのアンテナコイル内を通過することで、アンテナコイルに電磁波あるいは高周波磁界の強さに応じた誘導電流が発生し、この誘導電流が携帯情報端末が備えるICチップに記録された情報の読出し電圧に変換され、読み出された情報は変調され、アンテナコイルを介してリーダーライタのアンテナ部へ送信される。
【0004】
リーダーライタのアンテナ部から発信された電磁波あるいは高周波磁界が、アンテナモジュールのアンテナコイル内を通過するときに、磁芯部材にも高周波磁界が印加され、磁束の変化に対応して磁芯部材中に渦電流が誘起される。こうして磁芯部材に生じた渦電流は、外部磁場を打ち消す方向に作用するため、アンテナコイルを流れる誘導電流の減少をもたらす。つまり、磁芯部材に発生する渦電流は、アンテナコイルを流れる電流の抵抗成分となり、IC読出し電圧を減少させたり、アンテナコイルから送信される電波の通信距離を短くする等の弊害をもたらす。
【0005】
この問題を解決するため、高周波磁界中において、渦電流が、アンテナコイル側の磁芯部材表面であって、当該アンテナコイルのループ部分に対向する領域に集中して、発生するので、この磁芯部材の表面において、当該アンテナコイルのループ部分に対向する領域に、環状溝を形成する。これにより、発生する渦電流量が低減し、アンテナモジュールの通信距離特性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−50265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
入退室を管理する入退室管理システム等においては、電波の到達距離をより長くするため、RFタグとして、内部に電池を備えたアクティブタグが用いられる。このようなアクティブタグとして、携行の便利さから、薄型カードタイプのものが要望されている。
アクティブタグにおいて、薄型を維持し、かつ、回路要素をカード内に効果的に配置するためには、アンテナのループ内に通信処理回路を配置し、ループ外に電池を配置せざるを得ない。また、この場合に、アンテナの一部分と交差して通信処理回路と電池とを接続する導電板を設けて、電池から導電板を介して通信処理回路へ電力を供給することとなる。
【0008】
アクティブタグを上記のように構成すると、特許文献1の場合と同様に、タグ読取装置のアンテナ部から発信された電磁波が、アクティブタグが有するループ状のアンテナを通過するときに、前記アンテナと交差する導電板に渦電流が発生する。このため、発生した渦電流により、アンテナ特性が劣化するという問題がある。また、この導電板は、その抵抗が小さい方が電力の供給効率が良いので、その面積を大きくすることが望ましいが、その面積を大きくすると、導電板により多くの渦電流が発生し、発生した渦電流により、アンテナ特性が劣化するという問題がある。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するため、ループ状のアンテナコイルに対向して設けられる導電板に発生する渦電流を低減することができるアクティブタグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、基板上に設けられた平面ループ状のアンテナと当該基板上で交差して、ループ内に設けられた第1回路とループ外に設けられた第2回路とを接続し、当該交差部分において貫通して穴開けされた電力供給のための導電板を含む非接触認証用のアクティブタグである。
ここで、前記導電板は、前記交差部分において、長方形状に複数の穴開けがされているとしてもよい。
【0011】
ここで、前記導電板は、前記交差部分における前記アンテナの配置方向と直交する方向に、長方形状に穴開けされているとしてもよい。
ここで、前記導電板は、前記交差部分において、円形状、長円形状又は楕円形状に複数の穴開けがされているとしてもよい。
ここで、前記第2回路は、電力を供給する電源を含み、当該導電板を介して、前記第1回路へ電力を供給するとしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
この構成によると、平面ループ状のアンテナと交差し、第1回路と第2回路とを接続する導電板において、アンテナとの当該交差部分において貫通して穴開けされているので、貫通孔により、導電板において渦電流の発生を抑制することができる。この結果、電力の供給効率を良くするため、導電板の面積を大きくする場合であっても、アンテナ特性の劣化を防ぐことができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】アクティブタグ10の分解平面図である。
【図2】アクティブタグ10の分解斜視図である。
【図3】アクティブタグ10aの分解平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.実施の形態
本発明の一の実施の形態としての非接触型の認証システム(図示していない)について説明する。
認証システムは、個別の認証情報を記憶する応答器としてのアクティブタグ10と、その認証情報を非接触で読み取る質問器としてのタグ読取装置(図示していない)とから構成される。
【0015】
非接触認証用のアクティブタグ10は、図1及び図2に示すように、底部107と蓋部108との間に、接続体101、102、ボタン型の電池103、104、平面ループ状のアンテナ105及び回路106が挟持されて構成されている。
アンテナ105は、絶縁被覆された導線を複数回、平面上でループ状に券回して構成されたスパイラルアンテナ(ループ状の平面コイルアンテナとも呼ぶ。)である。その両端は、それぞれ、回路106に接続されている。
【0016】
回路106は、アクティブタグ10に固有の認証情報を記憶し、質問器であるタグ読取装置の指示により、タグ読取装置に対して、認証情報を出力する等、応答器としての処理を行う。回路106は、アンテナ105の両端に接続され、電源端子(図示していない)及びグランド端子(図示していない)を備える。
接続体101は、電池103及び104の正極と回路106とを接続するためのステンレス鋼、銅、アルミニウム等を材料とする導体であり、端子板101a、接続板101b、導電板101c及び接続板101dから構成されている。
【0017】
底部107には、アンテナ105が配置され、アンテナ105のループ内部において、回路106が配置されている。また、底部107に凹状に設けられた電池孔109には、その底面に端子板101aが載置され、電池103及び104の正極が端子板101aに接触する態様で、電池孔109に電池103及び104が収容及び保持されている。
接続板101bは、端子板101aと導電板101cとを接続し、導電板101cは、アンテナ105との間に絶縁層を挟んで、アンテナ105上において橋架され、接続板101dは、導電板101cと回路106が有する電源端子とを接続する。
【0018】
また、接続体102は、電池103及び104の負極と回路106とを接続するためのステンレス鋼、銅、アルミニウム等を材料とする導体であり、端子板102a、接続板102b、導電板102c及び接続板102dから構成されている。
端子板102aが電池孔109に収容された電池103及び104の負極に接触し、電池孔109の淵間を架け渡す態様で、端子板102aが設けられている。
【0019】
接続板102bは、端子板102aと導電板102cとを接続し、導電板102cは、アンテナ105との間に絶縁層を挟んで、アンテナ105上において橋架され、接続板102dは、導電板102cと回路106が有するグランド端子とを接続する。
導電板101cには、アンテナ105との交差部分において、アンテナ105の導線の配置方向と直交する方向に、導電板101cを貫通して、長方形状に複数の穴開けがされている。言い換えると、導電板101cは、接続板101bとの接続部を開始点として、櫛歯状に、複数の矩形帯状板に分岐する。これらの複数の矩形帯状板は、それぞれ平行し、アンテナ105との間に絶縁層を挟んで、アンテナ105と交差する態様で、アンテナ105上に設けられる。アンテナ105との交差が終了する位置において、複数の矩形帯状板は、集結して一つの接続部を形成し、当該接続部において、接続板101dと接続する。導電板101cは、電力の供給効率を良くするため、一定の面積を有する。
【0020】
このように、導電板101cには、アンテナ105との交差部分において、導電板101cを貫通して、穴開けがされている。タグ読取装置のアンテナ部から発信された電磁波が、アクティブタグ10が有するループ状のアンテナ105を通過するときに、これらの穴により、導電板101cにおいて渦電流の発生を抑制することができる。
また、導電板102cは、導電板101cと同様の形状を有している。導電板102cには、アンテナ105との交差部分において、アンテナ105の導線の配置方向と直交する方向に、導電板102cを貫通して、長方形状に複数の穴開けがされている。導電板102cも、導電板101cと同様に、一定の面積を有する。
【0021】
このように、導電板102cには、アンテナ105との交差部分において、導電板102cを貫通して、穴開けがされている。タグ読取装置のアンテナ部から発信された電磁波が、アクティブタグ10が有するループ状のアンテナ105を通過するときに、これらの穴により、導電板102cにおいて渦電流の発生を抑制することができる。
2.その他の変形例
(1)変形例としてのアクティブタグ10aについて、図3を用いて説明する。
【0022】
図3に示すアクティブタグ10aは、アクティブタグ10が備える導電板101c及び102cに代えて、導電板101e及び102eを備えている。
導電板101eにおいては、アンテナ105との交差部分において、複数の点がランダムに選択され、それぞれの点を中心として、ランダムに選択された直径を有する円形状に、導電板101eを貫通して、複数の穴開けがされている。また、それぞれの点を中心として、ランダムに選択された長径及び短径を有する長円形状に、導電板101eを貫通して、複数の穴開けがされているとしてもよい。また、ランダムに選択された複数の点のうちの、2点を焦点として、ランダムに選択された長径及び短径を有する楕円形状に、導電板101eを貫通して、複数の穴開けがされているとしてもよい。また、それぞれの点を重心とする多角形状に、導電板101eを貫通して、複数の穴開けがされているとしてもよい。また、その他の形状により、導電板101eを貫通して、複数の穴開けがされているとしてもよい。
【0023】
導電板102eにおいても、導電板101eと同様に、複数の穴開けがされている。
このように、導電板101eには、アンテナ105との交差部分において、導電板101eを貫通して、円形状、長円形状、楕円形状、多角形状又はその他の形状に、穴開けがされているので、これらの穴により、導電板101eにおいて渦電流の発生を抑制することができる。導電板102eにおいても同様である。
【0024】
また、導電板101eにおいては、アンテナ105との交差部分において、行列状に配された格子点が選択され、それぞれの点を中心として、予め定められた直径を有する円形状に、導電板101eを貫通して、複数の穴開けがされているとしてもよい。ここで、円形状に代えて、長円形状、楕円形状、多角形状又はその他の形状に、穴開けがされているとしてもよい。
【0025】
(2)アクティブタグ10は、電池103及び104に代えて、処理回路を備え、当該処理回路は、電力供給源としての電池を含むとしてもよい。
また、アクティブタグ10は、電池103及び104に代えて、処理回路を備え、当該処理回路は、電力供給源としての電池に接続されているとしてもよい。
(3)上記の実施の形態及び上記の変形例を組み合わせるとしてもよい。
【0026】
3.まとめ
本発明の一態様である非接触認証用のアクティブタグは、基板上に設けられた平面ループ状のアンテナと、前記ループ内に設けられた第1回路と、前記ループ外に設けられた第2回路と、前記基板上で前記アンテナと交差して前記第1回路と前記第2回路とを接続し、当該交差部分に貫通して穴開けされた電力供給のための導電板とを備える。
【0027】
この態様によると、前記導電板において、当該交差部分において貫通して穴開けされているので、貫通孔により、導電板において渦電流の発生を抑制することができる。この結果、電力の供給効率を良くするため、導電板の面積を大きくする場合であっても、アンテナ特性の劣化を防ぐことができるという優れた効果を奏する。
ここで、前記導電板は、前記交差部分において、長方形状に複数の穴開けがされているとしてもよい。
【0028】
この構成によると、長方形状の貫通孔により、渦電流が断ち切られて、アンテナ特性の劣化を防ぐことができる。
前記導電板は、前記交差部分における前記アンテナの配置方向と直交する方向に、長方形状に穴開けされているとしてもよい。
この構成によると、長方形状の貫通孔により、渦電流が断ち切られて、アンテナ特性の劣化を防ぐことができる。
【0029】
ここで、前記導電板は、前記交差部分において、円形状、長円形状又は楕円形状に複数の穴開けがされているとしてもよい。
この構成によると、円形状、長円形状又は楕円形状の貫通孔により、渦電流が断ち切られて、アンテナ特性の劣化を防ぐことができる。
ここで、前記第2回路は、電力を供給する電源を含み、当該導電板を介して、前記第1回路へ電力を供給するとしてもよい。
【符号の説明】
【0030】
10、10a アクティブタグ
101 接続体
101a 端子板
101b 接続板
101c 導電板
101d 接続板
101e 導電板
102 接続体
102a 端子板
102b 接続板
102c 導電板
102d 接続板
102e 導電板
103、104 電池
105 アンテナ
106 回路
107 底部
108 蓋部
109 電池孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に設けられた平面ループ状のアンテナと当該基板上で交差して、ループ内に設けられた第1回路とループ外に設けられた第2回路とを接続し、当該交差部分において貫通して穴開けされた電力供給のための導電板
を含む非接触認証用のアクティブタグ。
【請求項2】
前記導電板は、前記交差部分において、長方形状に複数の穴開けがされている
ことを特徴とする請求項1に記載のアクティブタグ。
【請求項3】
前記導電板は、前記交差部分における前記アンテナの配置方向と直交する方向に、長方形状に穴開けされている
ことを特徴とする請求項2に記載のアクティブタグ。
【請求項4】
前記導電板は、前記交差部分において、円形状、長円形状又は楕円形状に複数の穴開けがされている
ことを特徴とする請求項1に記載のアクティブタグ。
【請求項5】
前記第2回路は、電力を供給する電源を含み、当該導電板を介して、前記第1回路へ電力を供給する
ことを特徴とする請求項1に記載のアクティブタグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−114309(P2013−114309A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257462(P2011−257462)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】