アクティブ燃焼制御のための可変容量2連式弁装置
【課題】燃焼不安定性の程度を変える調整のため燃料圧力の範囲を所定の範囲内に保ちながら、燃焼不安定性を緩和する高い周波数で素早く動作する方法を提供する。
【解決手段】ガスタービンの燃焼安定性を制御する方法であって、ガスタービン・エンジンの燃焼室に供給される燃料流に対して互いに並列に配置する一対の脈動弁部を準備し、周期的燃焼不安定性に関係する圧力波の振幅および周波数を検出し、圧力波の大きさを減少するため圧力波に関して燃料脈動の振幅、周波数および第1の位相シフトを選択し、選択された振幅を一対の脈動弁部の各脈動弁413a、413bで第2の相対位相シフトに変換し、選択された振幅、周波数および第1の位相シフトの燃料脈動を発生するため燃焼不安定性について検出した圧力波に関して互いに選択した周波数および第2の相対位相シフトで運転するように、一対の脈動弁部の各脈動弁413a、413bに指令を与える過程を含む。
【解決手段】ガスタービンの燃焼安定性を制御する方法であって、ガスタービン・エンジンの燃焼室に供給される燃料流に対して互いに並列に配置する一対の脈動弁部を準備し、周期的燃焼不安定性に関係する圧力波の振幅および周波数を検出し、圧力波の大きさを減少するため圧力波に関して燃料脈動の振幅、周波数および第1の位相シフトを選択し、選択された振幅を一対の脈動弁部の各脈動弁413a、413bで第2の相対位相シフトに変換し、選択された振幅、周波数および第1の位相シフトの燃料脈動を発生するため燃焼不安定性について検出した圧力波に関して互いに選択した周波数および第2の相対位相シフトで運転するように、一対の脈動弁部の各脈動弁413a、413bに指令を与える過程を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガスタービン・エンジンへの燃料流を動的に調整する弁装置に関する。特に、本発明は燃焼安定性を維持するため燃焼不安定性を伴う条件を外して燃料を供給し、燃焼プロセスを制御するため燃焼装置への燃料流を高い周波数に調整し、ある変調した振幅に変えるのに適する。
【0002】
なお、本出願は2007年8月24日に出願された米国特許出願番号第60/966,013号に対する優先権の利益を請求する。本明細書の開示は参照してここにその全体を取り入れる。
【背景技術】
【0003】
本発明は特に液体燃料または気体燃料で動力を発生する航空機ガスタービン・エンジンおよび工業用ガスタービン・エンジンに利用することができる。本発明の航空機燃焼用途は推力増強燃焼と共に主燃焼を含む。
【0004】
ガスタービン・エンジンでは、不安定燃焼は排出量を下げることを求められるエンジンの設計において主な制限事項である。ガスタービン・エンジンの排出量の減少を図るうえで希薄条件で発生する不安定な燃焼は前進の大きな妨げになっている。燃焼不安定性は燃焼プロセスで発熱状態が変化し、その結果大きい圧力脈動が発生することに由来する。これは燃焼器音と位相が揃ったとき、発生する音波を強め、熱−音響不安定性を起こすことになる。
【0005】
燃焼不安定性を制御するため現時点で使用される方法は燃焼域の一部の燃空比を変えること、燃焼器ライナの物理的形状の変更あるいは燃料噴射器およびドーム・スワーラーの空気旋回強さの変更のような事実上主に受け身の対策である。受け身の対策は設計を進める過程で必ずしも採用されるとは限られず、新エンジン設計の導入では、エンジンを設計変更した最初の試験中に遅延によるコスト上昇と共に、価格的に最も高価であることが判明した。しばしば、燃焼不安定性を抑制する必要があることで、エンジン最適化を中止する譲歩を迫られ、特にエンジン開発過程でこうした譲歩が遅れて発生したときには、エンジン性能を制限しなければならない。
【0006】
現時点でこれらの受け身の対策で解決できない燃焼不安定性はエンジン・コントローラをプログラムすることでその発生を防ぐことになる。このエンジンの調整はエンジンが不安定な燃焼に陥る、知られたこれらの条件で運転するのを防ぐために静止エンジン試験および飛行試験の間、航空機エンベロープ・マップと同じ位置に発生する不安定性を巡って実施する。
【0007】
最近では、たとえばコーンウェルらにより出願された米国特許出願公開第2007/0119147号明細書に開示されるような燃焼不安定性を制御するためにアクティブ制御方法が使用される。この明細書の開示は参照してここにその全体を取り入れる。たとえば、燃料を噴射し、そのときの有害な音波とは位相を相違させて燃焼する音波消去技術が知られている。これは音響圧力波の振幅、周波数および位相を感知し、その後、燃料が周波数は同じであるが、そのときの音波と位相の合わない膨張燃焼ガスとなるように位相を相違させて燃料噴射を制御する方法でなし遂げる。この過程では、燃焼は音響波を強めるのではなく、実際にそのときの音波を消去することができる。
【0008】
この技術の発展の主な限界は周波数および振幅を高速で変えるように燃料を調整し、必要な10億サイクルを乗り切るだけの弁が存在しないことである。最近、コーンウェルらにより出願された米国特許出願公開第2007/0151252号明細書には高速弁が開示される。この明細書の開示は参照してここにその全体を取り入れる。この弁は過大な電力消費もなく、高い周波数で弁を開閉できる、固有振動数で共振させることで、1000Hzあるいはそれ以上の周波数の必要な速度を得ることができる。これらの弁はある一定した固有振動数で開閉するが、弁の開放位置および全閉位置で固定することで、調整周波数を変える。また、これらの弁は固定位置ではその固有振動数から下げ固定したままで運転することができる。
【0009】
従来の弁の主な制限とは単一の弁が流量に比例しないことである。弁前後の圧力降下は流量の変化に応じて変わらなければならず、燃料調整の大きさを変えるためにディジタル弁配置を用いた多数の弁が使用されねばならない。しかしながら、先に参照したコーンウェルらの弁(特許出願公開第2007/0151252号参照)はその時点で中立位置、すなわちディジタル弁の幾つかのビットが開放あるいは全閉位置に固定できない位置では1ビット毎に1ビット位置を変えるようにしたとき、多くの振動サイクルを必要とする。
開放あるいは全閉位置のどちらにも固定されないとき、ディジタル弁のビットを固定するのに取ることのできるサイクル数は磁気強度、すなわちコイル電流の大きさと、その弁の固有振動数に応じて望ましい振動周波数とによって左右される。この時間的遅れは燃焼装置の不安定性をもたらす周波数が弁の固有振動数に近づかない場合、あるいは電力消費が一段と増し、コイルからの大量の熱を逃がす必要がある、強い磁力が利用できない場合、制御をより困難にする。出願人は原理的要求として燃料調整が平均燃料量を変えないことであることを理解する。これは燃料供給圧力を変えることが同時に平均燃料量を変えることになるので、調整量を変えるのにこれを使用しないようにするためである。調整量を変える過程で仮に平均燃料量が変化するならば、燃焼不安定性は燃料流量が変化したまま、通常の値と別の特性を示して推移するため事実上安定した制御が不可能になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
米国特許出願公開第2007/0151252号明細書に開示される弁は燃料の調整量を調整する必要な能力を獲得するためディジタル弁技術を使用する。精密な流量制御のために使用するディジタル弁は連続した各弁のポートが以前のビットの流量と比べ2倍の能力を有する、多くの弁(またはビット)を組み合わせる方法で構成される。これらのビットは事実上開放または全閉状態だけからなる2連式である。2ビット弁は合計4つの状態に合わせて両方のビットが閉じた場合に無効状態に加えて3つの流動状態を有する。4ビット弁は16の状態を有し、8ビット弁は256の状態を有する。この多くのビットは増加量について全ての状態で最小ビットのポートが対応し得る、多様な状態を生じるため2進数を扱うのと同様な方法で開きまたは閉じる。
【0011】
したがって、出願人は不安定性の程度を変える調整のため燃料圧力の範囲をある範囲内に保ちながら、燃焼不安定性を緩和する高い周波数で素早く動作する弁装置および方法を提供することは有利であると理解する。本発明はこれらの要求に対する解決策を与える。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は平均流量を変えることなく、脈動弁が運転できるどの周波数でも無限の動的な調整量を得るため米国特許出願公開第2007/0151252号明細書に開示される弁のような2個の脈動弁を使用する、新規で有用な方法に向けられる。本発明の上記目的は周波数および変調振幅の双方を変えることのできる高速弁の大きさ、重さおよびコストを減少することである。
【0013】
本発明の一態様に従って燃焼安定性制御能力を有するガスタービン・エンジンの燃焼安定性を制御する方法が提供される。この方法はガスタービン・エンジンの燃焼室に供給される燃料流に対して互いに並列に配置する、少なくとも一対の脈動弁部を準備し、周期的燃焼不安定性に関係する圧力波の振幅および周波数を検出し、圧力波の大きさを減少するため圧力波に関して燃料脈動の振幅、周波数および第1の位相シフトを選択し、選択された振幅を少なくとも一対の脈動弁部の各脈動弁で第2の相対位相シフトに変換し、選択された振幅、周波数および第1の位相シフトの燃料脈動を発生するため燃焼不安定性について検出した圧力波に関してお互いに選択した周波数および第2の相対位相シフトで運転するように、少なくとも一対の脈動弁部の各脈動弁に指令を与える過程を含む。当然、一対の脈動弁部よりも多数の脈動弁部が互いに並列に準備され、互いに並列に配置された偶数の弁が並ぶ。本発明に従うこの複数の一対の脈動弁は、好ましくは本発明方法に従い同時に制御する。
【0014】
圧力波に関してこの第1の位相シフトは望ましいどのような状態にもなるが、本発明の一態様によれば、これは180°である。理論的に求めた最適の第1の位相シフトは180°であるが、手段および制御の時間的遅れのため測定値した最適の第1の位相シフトは180°と異なる。本発明に従って、制御装置はその装置自身の固有の遅れに合わせて制御するように適応される。指令として選択される周波数は0から約1000Hzの間であるが、より好ましくは、周波数は約50から1000Hzの間である。
【0015】
ある選択した振幅を発生するため複数の脈動弁部が運転できる位相シフトを決定するように位相変換過程は選択される振幅を予めプログラムしたマップと比較することを含む。これに代えて、またはこれに付加して位相変換過程はある選択される振幅を発生するため複数の脈動弁が運転できる位相シフトを計算することを含む。
【0016】
本発明の一態様に従って、圧力波の振幅および周波数を検出する過程はガスタービン・エンジンの複数の箇所に接続して設けられる1個ないしそれ以上のセンサによってなし遂げられる。本発明に従って、制御アルゴリズムは燃焼不安定性の程度を最小にするため最適の位相角および振幅を決定することができる。最適の位相角からの僅かなずれは安定性制御のためにそれと同じ程度の調整を必要とする。最適の位相シフトからの大きいずれは燃焼不安定性を強める。
【0017】
一態様に従って、少なくとも1個の脈動弁部は燃料源からの燃料を初期燃料流量で受け取る入口部および燃料を初期燃料流量または検出される燃焼条件によって調整された燃料流量で燃料ノズルに供給する出口部を有する弁ハウジングと、入口部と出口部とを結ぶように弁ハウジング内に形成され、弁ハウジングを通過する燃料を導く第1の燃料通路と、弁ハウジング内に配置され、弁ハウジングの出口部と流体連通して形成される第2の燃料通路を有する弁軸と、この弁軸に回転可能に設けられ、燃料を出口部に供給するため第1の燃料通路からの燃料が弁軸の第2の燃料通路に流入する、磁気的に固定する第1の固定位置と、第1の燃料通路からの燃料が弁軸の第2の燃料通路に流入するのを阻止する、磁気的に固定する第2の固定位置との間を往復移動する弁ロータと、検出される燃焼条件に応じて燃料ノズルに分配される燃料流量を調整するため弁ロータを第1および第2の固定位置に交互に固定する電磁手段と、弁ロータを一方の磁気的に固定する位置から他方の磁気的に固定する位置に交互に移動させるバネ手段とを備える。
【0018】
本発明の別の態様に従って、ガスタービン・エンジンの燃料量を制御する弁組み立て体は燃料を受け取り、運ぶように構成され、適応される供給管と、供給管と流体連通し、燃料流に対して互いに並列に配置される複数の脈動弁部とを備える。好ましい実施例に従って、2個の脈動弁部が設けられる。この弁組み立て体はさらにある量の燃料を燃料噴射器の少なくとも1個の燃料回路に導くように構成され、適応される各脈動弁部の出口部と流体連通している単一の供給管を備える。この供給管は燃料流を複数の燃料噴射器に分配する中間マニホールドによって燃料噴射器に直接供給するように構成され、適応される。これに代えて、弁組み立て体はそれぞれ脈動弁部の出口部と流体連通している複数の供給管と、燃料を燃料噴射器の少なくとも1個の燃料回路に導くように構成され、適応される、それぞれの管とを備えることができる。各供給管は燃料を複数の燃料噴射器に分配する中間マニホールドによって燃料噴射器に直接供給するように構成され、適応される。
【0019】
上記の態様に従って、少なくとも1個の脈動弁部は燃料源からの燃料を初期燃料流量で受け取る入口部および燃料を初期燃料流量または検出される燃焼条件によって調整された燃料流量で燃料ノズルに供給する出口部を有する弁ハウジングと、入口部と出口部とを結ぶように弁ハウジング内に形成され、弁ハウジングを通過する燃料を導く第1の燃料通路と、弁ハウジング内に配置され、弁ハウジングの出口部と流体連通して形成される第2の燃料通路を有する弁軸と、この弁軸に回転可能に設けられ、燃料を出口部に供給するため第1の燃料通路からの燃料が弁軸の第2の燃料通路に流入する、磁気的に固定する第1の固定位置と、第1の燃料通路からの燃料が弁軸の第2の燃料通路に流入するのを阻止する、磁気的に固定する第2の固定位置との間を往復移動する弁ロータと、検出される燃焼条件に応じて燃料ノズルに分配される燃料流量を調整するため弁ロータを第1および第2の固定位置に交互に固定する電磁手段と、弁ロータを一方の磁気的に固定する位置から他方の磁気的に固定する位置に交互に移動させるバネ手段とを備える。このバネ手段は少なくとも1個の弁ロータと動作可能に組み合わされるねじりバネを備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の装置および方法は、たとえばコーンウェルらにより出願された米国特許出願公開第2007/0119147号明細書に記載されるアクティブ燃焼制御装置と組み合わせるのが特に有用である。この明細書の開示は参照してここにその全体を取り入れる。好ましくは、このアクティブ燃焼制御装置はガスタービン・エンジンの燃焼室内の熱−音響燃焼不安定性を減少するように設計される。この例では、開示される弁組み立て体は燃料脈動の広範囲にわたって実効ある周波数を与え、同時に振幅を変えながら、検出した燃焼不安定性に応じて約1000Hzよりも高い周波数で個別の燃料噴射器に供給する燃料流を脈動させ、または調整するために使用することができる。本発明に従って、弁の脈動部はこの目的に適するいずれかの脈動弁を用いるが、本発明の好ましい態様によれば、弁はコーンウェルらにより出願された米国特許出願公開第2007/0151252号明細書に記載の脈動弁に基づく。この明細書の開示は参照してここにその全体を取り入れる。
【0021】
本発明の装置および方法はまたエンジンの排出物を抑制し、特性を向上し、運転効率を最大化することを意図する。この例では、本発明の弁組み立て体は燃焼器の温度パターン要因と共に、安定性を制御し、これによってホットスポットを抑制し、望ましくない燃焼条件が検出されたならば、これを減少するため個別の燃料噴射器への燃料量を調整し、あるいは制御するように使用することができる。
【0022】
任意ではあるが、ここに述べる弁組み立て体はまたエンジンの健全性を維持するため全時間にわたり燃料量を限定して動的に調整し、ガスタービン・エンジンを自己調整するように使用することができる。本発明に従って、弁を開放または全閉に固定する時間周期を調整することで、平均流量を制御することが可能である。これはサイクル周期を変えない方法を使用する。弁がサイクル周期を一定に保ち、全閉時間よりもさらに長く開放状態に固定したときには、平均流量が増加する。一方、弁が開放状態に固定した時間よりもさらに長く全閉状態に固定したときには、平均流量が減少する、もう1つの状態が起こる。エンジン運転条件が不安定性を生じない状態で、1基あるいはそれ以上の燃料噴射器の平均流量を変える必要があるとき、本発明に従ってこの弁は燃焼不安定性を起こさない、初期周波数で運転することができる。初期周波数はそのときの燃焼器の音響モードまたは高調波とは一致しない周波数である。たとえば、周波数が低いときは効率差が最大になるようなパターン要因制御の目的に合ったより望ましい平均流量へのシフトを考慮する。弁の固有振動数に一致する最大周波数付近での運転では、デューティ・サイクルは開放時間の50%だけ、そして全閉時間の50%だけである。したがって、本技術に従って、平均流量へのシフトはこの最大周波数付近では行わない。しかしながら、供用中、エンジンは長時間にわたりアクティブ燃焼制御を行うことを必要としないので、この操作は重要な制約とはならない。代表的な航空機ガスタービン・エンジンの場合、アクティブ燃焼制御を必要とするときの不安定な周波数は、典型的には700Hzよりも小さい。したがって、この弁が安定性制御に狙いを定めて最大弁周波数付近で運転する必要がある場合、エンジン安定性は温度パターン要因制御の全範囲で優先する必要がある。パターン要因制御の不調によってもたらされるエンジンの障害は少しだけパターンのずれた短い周期の挙動には影響されない障害のみの累積となり、上述した制限は重要ではない。これに代えて、このパターン要因制御は高速調整弁と並列に配置する独立した低速調整弁を用いて実施することもできる。
【0023】
ここに開示される弁組み立て体が、たとえば主燃料およびパイロット燃料を使用する2段燃料噴射器を含む、多様な燃料噴射器と組み合わせて使用できることは予め見通す。この例では、パイロット燃料流は燃焼条件を制御するため主燃料流よりも高い周波数を保つように調整し、または脈動させる。これに代えて、パイロット燃料流および主燃料流はそれぞれ協働して操作する脈動弁によって制御する。
【0024】
出願人は本発明による装置、方法および弁組み立て体が燃焼技術分野以外の各種装置または工程において比較的高い周波数で燃料流を調整し、または脈動させるのに容易に利用できると理解する。しかしながら、本発明の好ましい態様に従って、この弁組み立て体、装置および方法はガスタービン・エンジンと組み合わせて使用する。
【0025】
ガスタービン・エンジンは、典型的には、たとえばタービン入口温度、圧縮機速度および圧力、燃焼器への総燃料量、排気ガス温度および圧力、燃焼器火炎の熱−化学特性、燃焼不安定性を表わす振動圧力の変化、さらに幾つかの例では、燃料をエンジンの燃焼室に供給する、1基ないしそれ以上の燃料噴射器における燃料量を含む、運転条件を検出するセンサを備える。エンジンはまたこのようなセンサ、さらにはエンジン運転パラメータを望ましい値に修正するため制御装置からの指令で駆動されるアクチュエータからのデータを利用する制御装置を備える。とりわけ、このアクチュエータは燃料調節弁を備える。
【0026】
本発明の弁装置、方法および装置は、特にガスタービン・エンジンの燃焼室内の熱−音響燃焼不安定性を減少する際に使用するのに適する。この方法は、特に工業用ガスタービン・エンジン、民間航空機、軍用航空機および同様な手段における燃焼を含む、燃焼過程において使用するのに適合する。
【0027】
類似する符号が本発明の類似する特徴または態様を表わす、図面を参照すると、図1に弁組み立て体を制御し、本発明方法を実施するように適応されるアクティブ燃焼制御装置を備えるガスタービン10が示される。この燃焼制御装置は符号100で指定される。図8ないし図13は、下記により詳細に説明されるように、燃焼制御装置100の制御態様を示す。
【0028】
一般に、ガスービン・エンジン10は圧縮機12と、圧縮機12よりも下流に置かれる燃焼室14と、燃焼室14よりも下流に配置されるガスタービン(図示せず)とを備える。燃焼室14は円筒状の外側燃焼器ライナまたはケーシング14aと、環状の内側燃燃焼器ライナ14bとを備える。当業者は、たとえば缶形燃焼器のような別の燃焼室にも本発明を適用できることを容易に理解する。
【0029】
燃焼制御装置100は図示のようにガスタービン・エンジン10の外側ケーシング14aにそれぞれ装着される、霧化燃料を燃焼室14の内側燃焼器ライナ14bに吹き出す複数の機器装備燃料噴射器110を備える。下記により詳細に説明されるように、燃焼制御装置100の複数の燃料噴射器110は、好ましくは燃焼室14内の火炎の熱化学特性、振動圧力の変化および噴射器自身を通過する燃料量の検出を容易にするために所定の方法で装備される。また、下記により詳細に説明されるように、運転中、燃焼噴射器110に供給される燃料量を調節するため燃料調整用弁部112が各燃料噴射器110に動作可能に組み合わされる。
【0030】
図1に示されるように、燃料は個別の燃料噴射器110、より正確にいえば、それと組むそれぞれの燃料調整用弁部112に分配マニホールド18によって分配される。本発明の一態様に従って、分配マニホールド18はディジタル電子制御装置(FADEC)ユニットである、電子エンジン制御装置20で計量した所定量の燃料を受け取る。この電子エンジン制御装置20はガスタービン・エンジンの外部または内部に装着した多様なセンサからの入力(たとえば、エンジン運転温度および圧力、シャフト速度およびトルク、エンジン周囲の環境条件など)を受け取り、特定のエンジン用途に合わせて開発されたソフトウエア制御法則に基づいて主燃料計量弁(図示せず)の弁位置を決める指令を与える。このソフトウエア制御法則は出力を最大化し、ある一定の出力指令と運転条件の設定値とを求め、安全な運転域でガスタービン・エンジンを駆動するように書かれる。電子エンジン制御装置20はガスタービン・エンジンに接続して設けられる他の制御装置と共に燃焼制御装置100と協働することができる。
【0031】
図2を参照すると、燃焼室14の外周域に周方向に配置された複数の機器装備燃料噴射器110a−110hが示される。この配置では、燃焼特性が各燃料噴射器110a−110hと組む検出手段を使って燃焼室14の外周域を一部だけに限定した方法で監視され、検出される。それゆえ、ある基準値と比較する燃焼室14のある特定した位置の燃焼特性を検出し、または測定する例では、燃焼器のその特定位置に対応する箇所ないしそれ以上の燃焼器の燃料圧力、したがって流量を燃焼またはエンジンの調子を安定させるために各燃料噴射器と組み合わせる弁12によって調整することができる。図示の実施例、そして任意に構成する本発明に従う別の実施例では、弁または弁要素は燃料噴射器110a−110hの本体に一体に組み合わせことができる。これに代えて、弁または弁要素は燃料噴射器と一体にせず、燃料噴射器の近くに配置してもよい。さらに、これに代えて、ある一部だけの弁部を燃焼噴射器と一体に、あるいはその近くに配置し、一方他の弁部を燃料噴射器から距離をおいて配置してもよい。
【0032】
当業者は図2に示される燃料噴射器の数が単に図示の目的のためであり、どのような意味でも開示を限定するものでないことを理解すべきである。さらに、1基よりも多くの機器装備燃料噴射器が単一の弁または一対の弁と組み合わせることができることは予め見通す。
【0033】
したがって、図2に示される各燃料噴射器110a−110hがそれぞれの燃料調整用弁部112を備え、そして特定の装置では単一または複数の弁を備えながら、特定の燃料調整用弁部112あるいは一組みの弁が多重燃料噴射器、たとえば燃焼室14のある特定の象限または領域に置く各燃料噴射器に供給する燃料を調整するように構成することができる。この実施例では、1組みの弁は、典型的には4、5または6基の燃料噴射器に送る燃料を調整するように適応される。したがって、燃料を独立した弁組み立て体または弁部112から多重燃料噴射器に分配するため分配マニホールド18のようなマニホールドが使用される。
【0034】
図3に示される代替的噴射器の配置では、ガスタービン・エンジン10に設けられる何基かの燃料噴射器が一体の弁部112を装備し、それを使って独立して燃料を調整し、何基かの燃料噴射器は一体の弁部を装備せず、または独立して燃料を調整しないように構成される。特に、燃料噴射器110a、110b、110c、110dは本発明の原理に従って運転するため燃料調整用弁部112を備える。対照的に、燃料噴射器120a、120b、120c、120dは弁部を装備せず、それに代わって機器装備燃料噴射器によって霧化燃料を燃焼室14に供給するため従来の方法で構成される。このような配置では、燃焼特性は燃焼室14のある一定の燃焼域または象限だけを監視し、検出することができる。この配置が多くのエンジン用途における燃焼を動的に制御するのに十分であることは予め見通す。また、この配置では、ある一定の燃焼域または象限内の燃焼特性がその燃焼域または象限と組み合わせる1基ないしそれ以上の機器装備燃料噴射器に送られる燃料流を調整して動的に制御される。これは図示されるような燃料調整用弁部112または弁を有する機器装備燃料噴射器を使用し、または燃料調整用弁部または弁を1基よりも多くの機器装備燃料噴射器と組み合わせてなし遂げることができる。
【0035】
当業者は燃料噴射器110の周方向位置および/または燃料噴射器110の数がエンジンの構成および用途によって変えることができることを容易に理解する。実際、ある一定のエンジン用途が単一の機器装備燃料噴射器110だけを必要とし、一方エンジンの残りの燃料噴射器は従来の方法で運転するように構成することができる。
【0036】
本発明方法を使用するためアクティブ燃焼制御装置100の各機器装備燃料噴射器110は各燃料噴射器において燃料量を監視する質量流量センサを備える。この質量流量センサは本発明の一態様に従って、13790hPa(200psig)から103425hPa(1500psig)までの系統圧力で動作するように構成され、適応される。また、このセンサは燃料量の25%から100%までの範囲およびノズルへの平均流量の約±20%の調整を扱うように設計される。燃料噴射器内の質量流量センサの位置はノズルを通過する流量を正確に検出するように位置決めされる限り、変えることができる。
【0037】
先に述べたように、少なくとも1基の燃料噴射器110、望まれるのであれば全部の燃料噴射器は燃料圧力、したがって燃料噴射器110への燃料流量を動的圧力センサ、火炎センサまたは他のセンサのようなセンサで検出した燃焼不安定性に応じて調整するように構成され、適応される燃料調整用弁部112を備える。特に、燃料調整用弁部112は平均流量の約±20%、約1000Hzまでの周波数で検出した燃焼不安定性に比例して燃料流を調整するように構成される。
【0038】
コーンウェルらにより出願された米国特許出願公開第2007/0151252号明細書は燃料制御装置100の機器装備燃料噴射器110と組み合わせて使用する高速燃料調整用弁の3つの実施例を開示する。これに代えて、開放および全閉位置だけを有する、単純な2連式弁および電気機械式比例弁を米国特許出願公開第2007/0151252号明細書に記載の弁のような弁装置と組み合わせて代用し、または使用してもよい。
【0039】
機器装備燃料噴射器110への燃料流を調整するため弁アクチュエータと本発明のアクティブ燃焼制御装置100とを組み合わせ、使用することは本発明の範囲内である。たとえば、これは電磁作動式磁気ひずみ弁アクチュエータ、圧電式弁アクチュエータ、空洞圧電燃料調整を利用する弁アクチュエータ、MIMS形アクチュエータ(熱、流体または機械的増幅器)、電力計形弁アクチュエータおよび回転形弁アクチュエータを含む。
【0040】
本発明の方法および装置に従って、弁はガスタービン・エンジンにおいて燃料を動的に調整し、異なる状態に変換する過程で使用する。上記したように、この弁は適するいずれかの手段によるが、好ましくは電気機械式駆動動作による手段を用いて駆動される。この弁は比例動作が可能だけでなく、素早く動作する脈動弁を備える必要がある。しかしながら、コーンウェルらにより出願された米国特許出願公開第2007/0151252号明細書に記載される弁あるいはこの変形である弁は本発明に従って比例弁および/または脈動弁として使用することができる。特に、コーンウェルらの弁は連続して燃料量を発生し、比例弁として十分に機能を果たすことができる。
【0041】
これに付加して、流量を制御するため本発明の装置に独立した比例弁を組み合わせることができ、本発明の脈動弁と直列に、あるいは並列に配置し、並列配置の燃料回路および/または燃料噴射器に流れる燃料流を調整する。
【0042】
使用においては、先に述べたセンサから得られるデータを利用しながら、電子エンジン制御装置20が燃料噴射器110a−110hと組み合わせた1個ないしそれ以上の弁を操作し、弁前後の圧力降下、したがって燃料量を調整する。したがって、センサから得られる検出値によって燃焼不安定性が指示された場合、その燃焼不安定性を改善するためそれぞれの弁を操作して燃料圧力を調整する。弁が比例制御できる場合、この弁は特定の範囲の質量流量を生じさせる圧力降下が発生するように調整でき、したがって増加する流量を調整することが可能である。さらに、電子エンジン制御装置20で燃焼不安定性を検出したとき、これを抑え込むため1個ないしそれ以上の脈動弁を操作して燃料をある望ましい周波数で脈動させる。
【0043】
1基ないしそれ以上の燃料噴射器110a−110hは単一または複数の燃料回路から燃料を供給する。たとえば、各燃料噴射器への燃料は共通の燃料供給回路あるいは独立した主およびパイロット燃料回路によって供給される。これらの各燃料回路から、さらには主およびパイロット燃料回路を通して燃料噴射器に流入する燃料流は噴射器内に備えられる独立した弁を使って調整する。これに代えて、1個ないしそれ以上の弁を下記に説明されるように、燃料噴射器に燃料を導く管と接続し、あるいは多数の燃料噴射器に燃料を供給するマニホールドと接続して燃料噴射器に近づけて配置してもよい。
【0044】
本発明に従って、複数の脈動弁が本発明に従い設計される燃料装置と共に設けられる。たとえば、一態様に従いパイロット燃料流が第1の脈動弁によって調整され、一方主燃料流が第2の脈動弁で調整される。さらに、異なる実施例が下記に詳しく説明される。
【0045】
この燃料圧力制御装置、弁および方法は、特にコーンウェルらにより出願された米国特許出願公開第2007/0119147号明細書に記載されるアクティブ燃焼制御装置と共に使用するのに有用である。この明細書の開示は参照してここにその全体を取り入れる。好ましくは、このアクティブ燃焼制御装置はガスタービン・エンジンの燃焼室内の一部で起こる熱−音響燃焼不安定性を減少するように設計される。この例では、開示される弁組み立て体は脈動させる燃料の圧力をある値に調整しながら、同時に検出した燃焼不安定性に比例して約1000Hzよりも高い周波数で個別の燃料噴射器に流れる燃料流を脈動させ、または調整するように使用される。この脈動弁は適するいずれかの脈動弁であるが、これはコーンウェルらにより出願された米国特許出願公開第2007/0151252号明細書に記載される脈動弁組み立て体に基づく。
【0046】
本発明の弁装置、装置および方法はまたエンジンの排出物を低減し、エンジンの動力を改善し、運転効率を最大化することを意図する。この例では、本発明の弁組み立て体は燃焼器の温度パターン要因と共に、燃焼安定性を制御するため個別の燃料噴射器に流れる燃料流を動的に調整するように使用し、この結果、ホットスポットを抑制し、検出した他の望ましくない運転条件を減少することができる。
【0047】
ここに開示される弁組み立て体は、たとえば主およびパイロット燃料流を有する2段燃料噴射器を含む、多様な形式の燃料噴射器と共に使用することができる。この例では、パイロット燃料流は燃焼条件を制御するため主燃料流よりも高い周波数に調整され、または脈動させる。
【0048】
図4ないし図7は各燃料噴射器110に並列に配置される複数の脈動弁部413a、413bによって燃料を供給する、本発明に従う弁配置の実施例を示す。この弁組み立て体は燃料噴射器と一体化した同じハウジング内部または主燃料分配マニホールドと燃料噴射器との間に独立して設けられる。
【0049】
図4は脈動弁部413a、413bが燃料流と並列に並ぶ共通のハウジング440内に設けられる、本発明に従う最も簡素な弁部112の配置を示す。燃料は分配マニホールド118から弁部112に供給され、続いて燃料噴射器110に送られる。内部の供給管445および分配管447は、運転中、燃料が流動する内部流体通路を与える。
【0050】
燃料流は脈動弁413a、413bのうち、どちらか一方を単独に用い、または双方を組み合わせ、協働するように調整する。したがって、本発明の好ましい態様によれば、ある範囲の燃料流周波数および振幅を与えるためコントローラから指令を出力するときには、2個の弁は協働して機能するが、2個の弁のうち、バックアップとして役立つ、1個の弁を除いて、別の1個の弁を単独に働く脈動弁として使用してもよい。この弁部はまた弁組み立て体112の全寿命期間を延ばすため双方の弁を交替で使用し、一方だけ休ませることも可能である。
【0051】
ある燃焼安定性条件では、脈動弁413a、413bが比例制御によって流動を制御できる場合があり、制御装置によって双方の脈動弁うち、一方について燃料流が望ましい値になるように設定する。これに代えて、燃料流制御全体は、たとえば分配マニホールド118よりも前の図示した弁部112の外部で行うようにしてもよい。1個ないしそれ以上の脈動弁413a、413bは燃焼不安定性を検出したならば、燃焼安定性を促進し、維持するため制御装置を用いて操作し、制御することができる。この制御装置は、好ましくは、運転中、ある一定の平均流量を維持するため脈動弁部413a、413bを操作するように構成される。これに代えて、脈動弁部413a、413bは燃料流量を瞬間的に増減するように使用することができる。
【0052】
過剰な燃焼不安定性のない、運転条件のもとでは脈動弁部413a、413bは中立(たとえば、部分開放)位置に保持する。あるいは1個の弁を開いたままとし、別の1個の弁を全閉にすることができる。一方、先に述べたように、たとえば直列に配置される独立した弁によって燃料制御を行いながら、双方の弁を完全に開放することもできる。これに代えて、1個ないしそれ以上の脈動弁が燃料流を比例制御できる場合、1個の脈動弁についてもう1個の弁を静止位置(閉止、部分開放または全閉)に保ちながら、流量を調整するため使用することができる。これに代えて、広範な質量流量で燃料を供給するため2つの弁は協働して運転し、流動条件の大きな変化に対応させる。この運転は特に燃焼不安定性が発生した場合に有利で、下記に詳細に説明されるように、周波数を望ましい値に保ちながら、流量を増加し、燃料脈動中、位相をある選択した値を保って運転することができる。
【0053】
2個の脈動弁部413a、413bが共に運転しているとき、燃料量が最大化し、燃料脈動の制御が実現する。これは、たとえば燃焼不安定性と共に、要求を満たす高出力という、条件を必要とする。脈動弁部413a、413bの運転中、燃料脈動は制御装置からからの指令によりある間隔で発生させる。この指令間隔は位相を合わせ、または相違させて検出した燃焼不安定性を最も抑え込むのに望ましい量による。
【0054】
図4ないし図7に示されるように、燃料は燃料噴射器のノズルにかけて全通路を使うように各脈動弁部413a、413bを分かれて流動し、直接燃料噴射器に吹き出す。これに代えて、それぞれの弁部を通過する燃料は、図4の実施例に示されるように、1基の燃料噴射器に供給する中間マニホールドに弁内を通過した流量分を合流させ、あるいは図7に示されるように、複数の燃料噴射器に供給する分配マニホールドに同様に合流させることができる。重さを軽減し、スペースを節約する目的で中間マニホールドを経由して燃料を複数の燃料噴射器に供給する単一の脈動弁について、図5の実施例に関連して下記に詳しく述べるように、個別の燃料噴射器を対象に行う脈動燃料制御と組み合わせて使用するならば、望ましいことが判明している。
【0055】
上述したように、燃料の脈動する間、全時間にわたり燃料を指令どおり平均流量に維持することが望ましい。したがって、弁部112に燃料を導く供給管445または弁部112からの燃料を導く分配管447のどちらかに流量計を配置し、弁部112を通過する燃料量を軽量する流量センサが設けられる。図4では流量計480の位置が点線で示される。これに代えて、各弁部から与えられる燃料量についてさらに正確に検出するには弁部に燃料を導く供給管または弁の1個から燃料を導く管に流量計を配置して得ることができる。具体例として、たとえば図5の実施例では、任意の手段としての流量計580を配置している。
【0056】
図5は本発明に従う弁装置500の代替的実施例を示す。この弁装置500においては単一の燃料噴射器に燃料を供給する複数の脈動弁部513aと並列に共通の分配マニホールド58に燃料を供給する単一の脈動弁部513bが配置される。この図示の例では、燃料は共通の分配マニホールド58で発生し、この燃料が分配マニホールド58と組み合わせた複数脈動弁513aと単一の脈動弁部513bとに分配される。もちろん、必要であれば、分配マニホールド58への燃料流を制御するため1個よりも多数の脈動弁を設けることができる。
【0057】
先に述べたように、それぞれの脈動弁部513aおよび脈動弁部513bから分配マニホールド58を通して燃料噴射器110に分配される燃料は燃焼噴射器110を経て独立した燃料回路で分離したまま燃焼器の各ノズルに達する。これに代えて、燃料流は燃料噴射器110の手前または内部において燃料噴射器の単一の燃料回路(たとえば、主燃料回路)を通して合流させることができる。したがって、望まれるのであれば、図2ないし図7に示される燃料分配のための配置はいずれも、たとえば燃料噴射器110のパイロット燃料回路への燃料に限って燃料を供給する方法で従来の燃料分配装置と並列に配置して使用することもできる。
【0058】
図5の弁装置500では、図1ないし図3に示されるような一体化ができない場合、脈動弁部513aの配置は、好ましくは周波数の高い燃料脈動が燃料装置内で減衰するのを避けるため燃料噴射器110に近づける。これと同様に、分配マニホールド58、そして燃料噴射器110に近づけて脈動弁部513bを配置するのは減衰を抑制するために有利であり、より好ましい。
【0059】
この弁装置500の操作は図4の実施例の操作に類似する。しかしながら、弁装置500の実施例では、直ちに理解できるように、脈動弁部513bを通過する燃料をそれぞれの燃料噴射器110に同じように分配することができる。弁装置の運転中、制御装置と組み合わせた流量計580が適切な量の燃料を燃料噴射器110に供給し、望ましい燃料流量を維持するため脈動弁が開閉しているか、否かを確かめるべく流量を検出し、設定値と比較する。これに代えて、またはこれに付加して、直接燃料量を検出する代わりに流量計に代わる脈動弁部513a、513bに設置する燃料圧力センサおよび/または弁位置センサからの信号に基づいて制御装置で燃料流量を計算するように構成し、適応してもよい。
【0060】
弁装置600を図式的に示す図6の実施例では、燃料が各燃料噴射器110に複数の脈動弁部413a、413bによって供給される。この脈動弁部413a、413bは、図示のように、共通のハウジング610内に設けられるか、またはそれぞれの燃料噴射器110の本体部と一体に設けるか、もしくは並列に、独立して設けられる。したがって、望まれるのでれば、他方の弁部から独立して一方の弁部だけを燃料噴射機器の本体内に設けることもできる。どの配置を取るにしても、燃料脈動が燃料装置内で減衰するのを最小にするため脈動弁部413a、413bを燃料噴射器110に近づけて配置することが好ましい。
【0061】
もちろん、燃料量に関して、各脈動弁部413a、413bから供給される燃料は燃料噴射器110の手前、またはその内部で中間マニホールドに結ばれる。あるいは燃料は燃料噴射器110を経てノズルまで独立した経路で流すことができる。また、2個の脈動弁部413a、413bを図示するが、これはより有利な働きを得るために本実施例、そして他の実施例でもより多くの脈動弁を使用することができる。
【0062】
図7はガスタービン・エンジン内で使用するのに適する、簡素化した弁装置700を示す。弁装置700は燃料を複数の燃料噴射器110に供給する中間マニホールド78と接続している複数の脈動弁部413a、413bを備える。この簡素である弁装置700は、特に小形のエンジンおよび/または据付けスペースが少ないエンジンに適する。図示のように、脈動弁部413a、413bは他の実施例と同様に共通のハウジング610内に設けられる。これに代えて、脈動弁部はエンジン内部およびエンジン周りのスペースの節約のために単独に設けることもできる。上述したように、好ましくは脈動弁部413a、413bは可能な限り、燃料噴射器110に近づけて配置する。したがって、分配マニホールド78の存在のため分配マニホールド78により近づけるように各脈動弁部413を設置することが好ましい。望まれるのであれば、冗長性を目的として、あるいは燃料噴射器110への燃料流を増加し、もしくは燃料流量を増加し、または2段または同期動作の脈動弁を用いて燃料脈動の大きさを増すために分配マニホールド78と結ぶように、脈動弁部413a、413bと組む第2の脈動弁部を並列に設けてもよい。
【0063】
図8は本発明に従う脈動弁部413a、413bが並列に配置される弁装置800を図式的に示す。図8では、機器要素間の電気信号の流れを実線の矢印で、燃料流を点線の矢印で表わす。図示のように、燃料は従来の典型的な燃料制御から離れないことを求められる燃料制御装置825によって脈動弁部413a、413bに供給される。流量センサ880は、図示のように、脈動弁部413a、413bから燃料を導く単一の管の出口で燃料量を検出するように設けられる。代替手段として、上述したように、流量を検出する装置および/または流量センサの設置が考えられる。
【0064】
燃料は脈動弁部413a、413bから燃料噴射器110へ、さらに燃焼器14まで流動する。多様なセンサが1基なしそれ以上の制御ユニットと交信する。特に、温度フィードバック信号がガスタービン・エンジン温度センサ887から電子エンジン制御装置20に伝送される。動的安定性コントローラ821は燃焼不安定性の検出を容易にするため、たとえば光学火炎センサ883および圧力センサ885のような多様なセンサから出力される情報を受け取る。もちろん、エンジン全体にわたりより正確に運転条件を決定し、および/または冗長性を与えるため種類の異なる多くのセンサを備えることができる。
【0065】
電子エンジン制御装置20は、たとえば燃焼安定性制御(コントローラ821)および燃料制御(コントローラ823)を含む、他の制御と協調してエンジンの運転を制御する。この電子燃料コントローラ823は安定性コントローラ821、そして電子エンジン制御装置20から情報を受け取るように構成され、適応される。電子燃料コントローラ823はまた適切な燃料出力を与え、燃焼安定性を促進するため安定性要求および出力要求情報に応じる、あるプログラムに従って比例弁414と脈動弁413とを操作するように構成され、適応される。もちろん、これ以外の、たとえばアクティブ・パターン要因制御装置のような制御装置または制御機構もこの弁装置800と組み合わせることができる。アクティブ・パターン要因制御では、この弁装置800は燃焼器の出口で温度を検出し、この情報に基づいて、たとえば望ましい箇所の燃料温度を変化させるように燃料噴射器への燃料量を増減して調整するように適応させるセンサ手段で増加することができる。
【0066】
さらに、本発明に従う脈動弁を利用してガスタービン・エンジンへの燃料供給を部分制御することができる。特に、図5および図6の実施例のような例では、同じ装置が2基ないしそれ以上設けられる場合、1組みの独立した弁を使って、あるいは図7の実施例と同様な弁を備える場合、各燃料噴射器を1組みの弁だけを使って運転しながら、1組みの弁を全閉したまま、一部の燃料噴射器の運転を休止することができる。
【0067】
本発明に従って、上述した弁を制御する方法および装置が提供される。これはどちらか一方の弁を通過する燃料流だけでなく、燃焼安定性を抑え込むのに有効である2つの流れが1つになった燃料流を発生するため個別の弁の調整能力を結合させる増強および消去原理を利用する。
【0068】
たとえば、本発明に従って、同じ方向(同一位相で、位相シフト0°)に同時に開き、閉じるように操作する同一サイズの2個の弁により燃料を調整してもよく、弁の1個だけ単独で利用する場合よりも流量を増加した状態で利用することで、ポート面積を2倍に増加する。2個の同じ弁をその極限で反対方向(完全に位相を相違させ、同時に位相シフト180°変換)に切り換えて同時に運転する場合、明らかな調整も、脈動もなく、あるいは別な方法で質量流量の固定状態が発生する。
【0069】
脈動弁を通過して生じる燃料流は、実験によれば、最小質量流量と最大質量流量との間を振動する、実質的には正弦波で現われる。2個(またはそれ以上)の脈動弁の燃料流を効果的に重ね合わせ、弁操作で行う相対位相シフトによって脈動効果を強め、あるいは消去することができる。
【0070】
ゼロ位相シフトの場合、全ての弁からの流れは同時に流れ、このとき、燃料脈動の大きさは2倍になる。脈動する燃料流が1つに合流し、完全に位相がずれた場合、燃料流の変化により互いに打ち消し合い、たとえば、図10に示されるように、望ましい平均流量では本質的に平らな流れになる。2つの正弦波の相対位相が双方の位相の揃った状態から180°ずれた状態へとシフトしたとき、調整位相範囲は最大からゼロ調整まで無限に変わる。
【0071】
図9を参照すると、30°の位相シフトで2つの正弦波を重ね、第3の正弦波を発生させる流動のグラフが示される。一定の位相シフトを持つ同じ周波数の2つの正弦波の加算を記述する数学的表記は次の数式で表わすことができる。
【0072】
sinωt+sin(ωt+φ)=2 sin(ωt+φ/2) cosφ/2
ここで、φは2つの正弦波間の相対位相シフトであり、ωは正弦波の周波数であり、tは時間を表わす。一般に、重ね合わせた波は相対位相シフトφが0°から180°に変化する間に1と0との間で値が変動する、波の振幅がコサインφ/2の関数として減少しながら、2つの波の位相シフトの1/2だけシフトする。位相シフトφがゼロであるとき、新たに生じた正弦波は寄与する波と位相の揃った2倍の振幅になる。図示のように、1の流量値は2の値を有する各弁ビットの最大流量と共に、1個の弁の平均流量を表わす例として使用される。したがって、2ビットの流量を合わせた最大値は4である。ただし、ビット1およびビット2からの流れが僅かに位相がずれるのて、この例の流動で達成される最大流量は4よりも小さくなる。もちろん、図示の特定の値は代表的な値であり、本発明を単に図解による理解のために示すものである。
【0073】
図10は同じ振幅および周波数を有する2つの波を重ねた際に得られる位相シフトと振幅・位相の変化との関係を示すグラフである。この平均流量は弁を開放に固定した時間が全閉に固定した時間に等しい場合に同じデューティ・サイクルに合わせて全ての位相シフトを得るために等しい。
【0074】
得られる波の振幅はφが0°から180°まで変化する間に1と0との間で値が変動する、コサインφ/2の関数として減少する。しかしながら、この変化はコサイン関数の非直線性のため非直線になる。
【0075】
したがって、本発明に従って、図8の動的安定性コントローラ821のような安定性コントローラは望ましい燃料脈動周波数および振幅を得るのに必要な弁脈動の位相シフトを記憶または計算するようにプログラムする。
【0076】
たとえば、比較的程度が大きい燃焼不安定性に陥る場合、燃焼不安定性を効果的に最小にする流量で燃料を脈動させ、燃焼不安定性を抑え込むことが望ましい。1個の弁だけでは供給する最大流量が十分でない場合、本発明では、燃料流量を平均流量の2倍まで見込むように構成する。
【0077】
程度が比較的小さい燃焼不安定性の場合、それぞれ違いのある不安定性に相応しくない運転を行わないため不相応に大きく脈動させず、燃焼不安定性を過度に改善しない。したがって、燃料脈動の大きさはその脈動の位相差を増加することで、ある平均流量に近い流量で最小化する。
【0078】
図8の動的安定性コントローラ821のような安定性コントローラは必要に応じて望ましい燃料脈動周波数および振幅を得るために必要な弁脈動の位相シフトに加えて必要な質量流量を記憶し、または計算するようにプログラムすることができる。したがって、動的安定性コントローラはエンジンに接続して設けられるセンサからの情報を受け取り、検出される不安定性を押さえ込むのに必要な燃料調整の振幅および位相を計算する。動的安定性コントローラ821は望ましい燃料流の振幅および位相、さらに必要であれば、相対位相シフトを生じるため電子燃料コントローラ823のような別のコントローラを介して直接または間接的に1個ないしそれ以上の弁部413a、413bを制御する。
【0079】
さらに、多くの脈動弁を設ける場合、流動条件をさらに変えることができる。たとえば、4個の脈動弁を使用する場合には1個の脈動弁の流量の最大4倍の流量を発生させることが可能である。高速流を要求される用途では、慣性モーメントが半径の4乗に比例して増加し、ポート面積が開口(コーンウェルの弁ではロータで閉じられる)の半径に比例して増加するので、2個以上の弁を使用することが望ましい。したがって、弁の直径を2倍まで大きくすれば、16倍以上の磁気力が必要になる。磁気断面は半径に比例して大きくなり、必要な磁力を得るまでは磁束密度が飽和しないという、磁性材料を見出せない場合には設計が束縛される。したがって、物理的および材料上の特性により1000Hzで脈動する弁を得るには最大ロータ直径は約9〜12mmまでに限定される。本発明に従って、同じ大きさの同数の弁を使用することは望ましい。非対称消去法の適用では、奇数の弁または流量を同等にしない弁のどちらによっても、たとえばφ/2のような位相シフトを得る単純な1次関数にならない。4倍の流量の4個の弁を脈動弁部、さらには6個、8個およびより多数の脈動弁部などの場合にも同様である。同数の脈動弁部が、たとえば1〜100の間で弁部を2個ずつ増加し、有利に設けることが考えられる。
【0080】
図11は位相シフトと振幅との関係を示す。図から明らかなように、振幅は位相シフトが0で最大になり、180°の位相シフトでは最小になる。図にはピーク振幅が記入される(流量は平均流量ではない)。上述したように、この例で使用される平均流量は任意であり、ある特定のエンジン設計条件に基づいて用途に合わせて変えられる。付言すると、位相シフトと燃料圧力との関係は相対位相シフトと振幅との関係を表わすグラフに類似している。
【0081】
本発明に従って、装置および方法は一方の弁が開放位置まで動かず、他方の弁が全閉位置まで動かず、あるいは双方の弁が中間位置に動かないことで、電力の損失が発生するような障害に陥った場合には、脈動のない平均流量を発生させる単に平均流量を維持するように構成され、適応される。したがって、米国特許出願公開第2007/0151252号明細書に記載される弁を使用する場合、この配置は燃焼不安定性および他のエンジン運転パラメータを制御するため中立位置には動かない、弁ビットを利用して引き続き運転することができる。
【0082】
図12は100Hzの周波数の脈動弁を作動して形成される波形を厳密に表わす波形図である。特に、この周波数での燃料脈動は完全な正弦波として発生しないが、間に入る直線状の傾きと共に、丸みのある連続した振動として発生する。丸み付けて描いた最大値と最小値とは弁をそれぞれ固定位置または全閉位置に固定した全時間で、一方高速の最大値から最小値への変化はロータが動作中であるときの流量の変化を表わす。ロータ位置が矩形に近づく運動するのに関係なく、流量を表わす線は流体の慣性と圧縮性とによって僅かに正弦波状の線を描く。高い振動周波数で生じる圧力の高まりで燃料の圧縮性効果も無視できない。
【0083】
さらに、別の実施例では、1000Hzの固有振動数を有し、100Hzの周波数で運転する弁が提供される。この弁は全時間のうち、90%は開放位置または全閉位置に留まり、残り10%は移動のために要する時間となる。この機械的運動は燃料流動をより長時間最大流量および最小流量に維持する場合に波形がさらに一段と矩形に近づく。また、慣性と圧縮性と有する燃料は弁の動作に瞬間的に応答できない。弁が200Hzよりも高い周波数で運転しているとき、燃料流の波形は完全な正弦波にかなり近づくことが実験的に確認された。
【0084】
図12に示される曲線のような不完全な正弦波は高次の奇数高調波になる。矩形の周期波は不定数の奇数高調波として正確に表わすことができる。1次高調波は矩形波周波数である。より高次の振幅は、図13に示されるように、次数が増加したとき、短時間のうちに減少する。
【0085】
本発明に使用するのに適する好ましい弁はここに説明されるように高次の奇数高調波を発生するが、こうした弁は燃料圧力および燃焼応答の双方の基本波周波数よりも振幅がかなり小さいことが観察された。2次高調波を発生することで、燃焼プロセスの応答をさらに高速にできるが、これは実験的に観察されてない。幾分矩形を呈する正弦波を高速フーリエ変換(FFT)で解析したときの観察結果から、完全な正弦波と比べて実際の波形が劣ることも予測される。たとえば、図13は図12に示される不完全な形の正弦波をFFTで解析したときのスペクトルの強さを示す。図13では、3次、5次、7次の高調波が観察されるが、周波数100Hzの1次高調波よりも振幅は著しく小さい。
【0086】
本発明に従って、火炎安定性制御能力を有するガスタービン・エンジンの燃焼安定性を制御する方法が提供される。この方法は次の過程を含む。
【0087】
a)ガスタービン・エンジンの燃焼室に供給される燃料流に対して互いに並列に配置する、少なくとも一対の脈動弁部を準備し、
b)周期的燃焼不安定性に関係する圧力波の振幅および周波数を検出し、
c)圧力波の大きさを減少するため圧力波に関して燃料脈動の振幅、周波数および第1の位相シフトを選択し、
d)選択された振幅を前記少なくとも一対の脈動弁部の各脈動弁で第2の相対位相シフトに変換し、
e)選択された振幅、周波数および第1の位相シフトの燃料脈動を発生するため燃焼不安定性について検出した圧力波に関してお互いに選択した周波数および第2の相対位相シフトで運転するように、少なくとも一対の脈動弁部の各脈動弁に指令を与える。
【0088】
一般に、ここに説明され、図面に示した特定の弁は限定されない、具体例を示すためで、本発明および添付の請求の範囲はこれらの弁だけに限るように解釈すべきでない。さらに、本発明の装置、弁装置および方法は好ましい実施例を説明しているが、当業者は本発明の本質と範囲とから離れることなく、変更および変形がなし得ることを容易に理解する。特に、一実施例において説明した特定の態様についてここに説明した他の実施例にも適用できることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】図1は本発明の装置および方法と共に使用するのに適する機器装備燃料噴射器を備えるガスタービン・エンジンの一部を切断して示す側面図である。
【図2】図2は複数の機器装備燃料噴射器を示す、図1のガスタービン・エンジンの燃焼室を通る図1の2−2線に沿う断面図である。
【図3】図3はある一部の燃料噴射器が脈動弁を備え、残りの燃料噴射器が脈動弁を装備しない、異なる燃料噴射器に配置を示す、ガスタービン・エンジンの燃焼室を通る図1の2−2線に沿う断面図である。
【図4】図4は単一の比例弁部と単一の脈動弁部とが並列に配置される、本発明による弁配置を示す図式系統図である。
【図5】図5は単一の比例弁がそれぞれの燃料噴射器だけに燃料を供給する複数の脈動弁部と並列に配置される、本発明による弁配置を示す図式系統図である。
【図6】図6は各燃料噴射器が比例弁部と脈動弁部とを備える、図4と同様に単一の比例弁部と単一の脈動弁部とが並列に配置される、本発明による弁配置を示す図式系統図である。
【図7】図7は複数の燃料噴射器が1個の脈動弁部と1個の比例弁部とから燃料を受け取る、図4と同様に単一の比例弁部と単一の脈動弁部とが並列に配置される、本発明による弁配置を示す図式系統図である。
【図8】図8は通過する燃料流と互いに並列に配置される一対の2連式弁を有する本発明による装置の図式系統図である。
【図9】図9は第3の正弦波を発生する、30°の相対位相シフトを有する2つの正弦波の重ね合わせ例を示すグラフである。
【図10】図10は同じ振幅、周波数を有し、平均流量が全ての位相シフトに対して等しい、2つの波から得られる波の位相シフトと振幅・位相の変化との関係を示すグラフである。
【図11】図11は位相シフトと振幅との関係を示すグラフである。
【図12】図12は図13に示される出力を発生するために使用される周波数100Hzの形の整わない矩形正弦波の波形図である。
【図13】図13は高次高調波の低い振幅を示す、図12の周波数100Hzの矩形正弦波のスペクトルの強さを示すグラフである。
【符号の説明】
【0090】
10… ガスタービン・エンジン
14… 燃焼室
18、58、78、118… 分配マニホールド
100… 燃焼制御装置
110… 燃料噴射器
112… 弁部
413a、413b、513a、513b… 脈動弁部
500、600、700、800… 弁装置
【技術分野】
【0001】
本発明はガスタービン・エンジンへの燃料流を動的に調整する弁装置に関する。特に、本発明は燃焼安定性を維持するため燃焼不安定性を伴う条件を外して燃料を供給し、燃焼プロセスを制御するため燃焼装置への燃料流を高い周波数に調整し、ある変調した振幅に変えるのに適する。
【0002】
なお、本出願は2007年8月24日に出願された米国特許出願番号第60/966,013号に対する優先権の利益を請求する。本明細書の開示は参照してここにその全体を取り入れる。
【背景技術】
【0003】
本発明は特に液体燃料または気体燃料で動力を発生する航空機ガスタービン・エンジンおよび工業用ガスタービン・エンジンに利用することができる。本発明の航空機燃焼用途は推力増強燃焼と共に主燃焼を含む。
【0004】
ガスタービン・エンジンでは、不安定燃焼は排出量を下げることを求められるエンジンの設計において主な制限事項である。ガスタービン・エンジンの排出量の減少を図るうえで希薄条件で発生する不安定な燃焼は前進の大きな妨げになっている。燃焼不安定性は燃焼プロセスで発熱状態が変化し、その結果大きい圧力脈動が発生することに由来する。これは燃焼器音と位相が揃ったとき、発生する音波を強め、熱−音響不安定性を起こすことになる。
【0005】
燃焼不安定性を制御するため現時点で使用される方法は燃焼域の一部の燃空比を変えること、燃焼器ライナの物理的形状の変更あるいは燃料噴射器およびドーム・スワーラーの空気旋回強さの変更のような事実上主に受け身の対策である。受け身の対策は設計を進める過程で必ずしも採用されるとは限られず、新エンジン設計の導入では、エンジンを設計変更した最初の試験中に遅延によるコスト上昇と共に、価格的に最も高価であることが判明した。しばしば、燃焼不安定性を抑制する必要があることで、エンジン最適化を中止する譲歩を迫られ、特にエンジン開発過程でこうした譲歩が遅れて発生したときには、エンジン性能を制限しなければならない。
【0006】
現時点でこれらの受け身の対策で解決できない燃焼不安定性はエンジン・コントローラをプログラムすることでその発生を防ぐことになる。このエンジンの調整はエンジンが不安定な燃焼に陥る、知られたこれらの条件で運転するのを防ぐために静止エンジン試験および飛行試験の間、航空機エンベロープ・マップと同じ位置に発生する不安定性を巡って実施する。
【0007】
最近では、たとえばコーンウェルらにより出願された米国特許出願公開第2007/0119147号明細書に開示されるような燃焼不安定性を制御するためにアクティブ制御方法が使用される。この明細書の開示は参照してここにその全体を取り入れる。たとえば、燃料を噴射し、そのときの有害な音波とは位相を相違させて燃焼する音波消去技術が知られている。これは音響圧力波の振幅、周波数および位相を感知し、その後、燃料が周波数は同じであるが、そのときの音波と位相の合わない膨張燃焼ガスとなるように位相を相違させて燃料噴射を制御する方法でなし遂げる。この過程では、燃焼は音響波を強めるのではなく、実際にそのときの音波を消去することができる。
【0008】
この技術の発展の主な限界は周波数および振幅を高速で変えるように燃料を調整し、必要な10億サイクルを乗り切るだけの弁が存在しないことである。最近、コーンウェルらにより出願された米国特許出願公開第2007/0151252号明細書には高速弁が開示される。この明細書の開示は参照してここにその全体を取り入れる。この弁は過大な電力消費もなく、高い周波数で弁を開閉できる、固有振動数で共振させることで、1000Hzあるいはそれ以上の周波数の必要な速度を得ることができる。これらの弁はある一定した固有振動数で開閉するが、弁の開放位置および全閉位置で固定することで、調整周波数を変える。また、これらの弁は固定位置ではその固有振動数から下げ固定したままで運転することができる。
【0009】
従来の弁の主な制限とは単一の弁が流量に比例しないことである。弁前後の圧力降下は流量の変化に応じて変わらなければならず、燃料調整の大きさを変えるためにディジタル弁配置を用いた多数の弁が使用されねばならない。しかしながら、先に参照したコーンウェルらの弁(特許出願公開第2007/0151252号参照)はその時点で中立位置、すなわちディジタル弁の幾つかのビットが開放あるいは全閉位置に固定できない位置では1ビット毎に1ビット位置を変えるようにしたとき、多くの振動サイクルを必要とする。
開放あるいは全閉位置のどちらにも固定されないとき、ディジタル弁のビットを固定するのに取ることのできるサイクル数は磁気強度、すなわちコイル電流の大きさと、その弁の固有振動数に応じて望ましい振動周波数とによって左右される。この時間的遅れは燃焼装置の不安定性をもたらす周波数が弁の固有振動数に近づかない場合、あるいは電力消費が一段と増し、コイルからの大量の熱を逃がす必要がある、強い磁力が利用できない場合、制御をより困難にする。出願人は原理的要求として燃料調整が平均燃料量を変えないことであることを理解する。これは燃料供給圧力を変えることが同時に平均燃料量を変えることになるので、調整量を変えるのにこれを使用しないようにするためである。調整量を変える過程で仮に平均燃料量が変化するならば、燃焼不安定性は燃料流量が変化したまま、通常の値と別の特性を示して推移するため事実上安定した制御が不可能になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
米国特許出願公開第2007/0151252号明細書に開示される弁は燃料の調整量を調整する必要な能力を獲得するためディジタル弁技術を使用する。精密な流量制御のために使用するディジタル弁は連続した各弁のポートが以前のビットの流量と比べ2倍の能力を有する、多くの弁(またはビット)を組み合わせる方法で構成される。これらのビットは事実上開放または全閉状態だけからなる2連式である。2ビット弁は合計4つの状態に合わせて両方のビットが閉じた場合に無効状態に加えて3つの流動状態を有する。4ビット弁は16の状態を有し、8ビット弁は256の状態を有する。この多くのビットは増加量について全ての状態で最小ビットのポートが対応し得る、多様な状態を生じるため2進数を扱うのと同様な方法で開きまたは閉じる。
【0011】
したがって、出願人は不安定性の程度を変える調整のため燃料圧力の範囲をある範囲内に保ちながら、燃焼不安定性を緩和する高い周波数で素早く動作する弁装置および方法を提供することは有利であると理解する。本発明はこれらの要求に対する解決策を与える。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は平均流量を変えることなく、脈動弁が運転できるどの周波数でも無限の動的な調整量を得るため米国特許出願公開第2007/0151252号明細書に開示される弁のような2個の脈動弁を使用する、新規で有用な方法に向けられる。本発明の上記目的は周波数および変調振幅の双方を変えることのできる高速弁の大きさ、重さおよびコストを減少することである。
【0013】
本発明の一態様に従って燃焼安定性制御能力を有するガスタービン・エンジンの燃焼安定性を制御する方法が提供される。この方法はガスタービン・エンジンの燃焼室に供給される燃料流に対して互いに並列に配置する、少なくとも一対の脈動弁部を準備し、周期的燃焼不安定性に関係する圧力波の振幅および周波数を検出し、圧力波の大きさを減少するため圧力波に関して燃料脈動の振幅、周波数および第1の位相シフトを選択し、選択された振幅を少なくとも一対の脈動弁部の各脈動弁で第2の相対位相シフトに変換し、選択された振幅、周波数および第1の位相シフトの燃料脈動を発生するため燃焼不安定性について検出した圧力波に関してお互いに選択した周波数および第2の相対位相シフトで運転するように、少なくとも一対の脈動弁部の各脈動弁に指令を与える過程を含む。当然、一対の脈動弁部よりも多数の脈動弁部が互いに並列に準備され、互いに並列に配置された偶数の弁が並ぶ。本発明に従うこの複数の一対の脈動弁は、好ましくは本発明方法に従い同時に制御する。
【0014】
圧力波に関してこの第1の位相シフトは望ましいどのような状態にもなるが、本発明の一態様によれば、これは180°である。理論的に求めた最適の第1の位相シフトは180°であるが、手段および制御の時間的遅れのため測定値した最適の第1の位相シフトは180°と異なる。本発明に従って、制御装置はその装置自身の固有の遅れに合わせて制御するように適応される。指令として選択される周波数は0から約1000Hzの間であるが、より好ましくは、周波数は約50から1000Hzの間である。
【0015】
ある選択した振幅を発生するため複数の脈動弁部が運転できる位相シフトを決定するように位相変換過程は選択される振幅を予めプログラムしたマップと比較することを含む。これに代えて、またはこれに付加して位相変換過程はある選択される振幅を発生するため複数の脈動弁が運転できる位相シフトを計算することを含む。
【0016】
本発明の一態様に従って、圧力波の振幅および周波数を検出する過程はガスタービン・エンジンの複数の箇所に接続して設けられる1個ないしそれ以上のセンサによってなし遂げられる。本発明に従って、制御アルゴリズムは燃焼不安定性の程度を最小にするため最適の位相角および振幅を決定することができる。最適の位相角からの僅かなずれは安定性制御のためにそれと同じ程度の調整を必要とする。最適の位相シフトからの大きいずれは燃焼不安定性を強める。
【0017】
一態様に従って、少なくとも1個の脈動弁部は燃料源からの燃料を初期燃料流量で受け取る入口部および燃料を初期燃料流量または検出される燃焼条件によって調整された燃料流量で燃料ノズルに供給する出口部を有する弁ハウジングと、入口部と出口部とを結ぶように弁ハウジング内に形成され、弁ハウジングを通過する燃料を導く第1の燃料通路と、弁ハウジング内に配置され、弁ハウジングの出口部と流体連通して形成される第2の燃料通路を有する弁軸と、この弁軸に回転可能に設けられ、燃料を出口部に供給するため第1の燃料通路からの燃料が弁軸の第2の燃料通路に流入する、磁気的に固定する第1の固定位置と、第1の燃料通路からの燃料が弁軸の第2の燃料通路に流入するのを阻止する、磁気的に固定する第2の固定位置との間を往復移動する弁ロータと、検出される燃焼条件に応じて燃料ノズルに分配される燃料流量を調整するため弁ロータを第1および第2の固定位置に交互に固定する電磁手段と、弁ロータを一方の磁気的に固定する位置から他方の磁気的に固定する位置に交互に移動させるバネ手段とを備える。
【0018】
本発明の別の態様に従って、ガスタービン・エンジンの燃料量を制御する弁組み立て体は燃料を受け取り、運ぶように構成され、適応される供給管と、供給管と流体連通し、燃料流に対して互いに並列に配置される複数の脈動弁部とを備える。好ましい実施例に従って、2個の脈動弁部が設けられる。この弁組み立て体はさらにある量の燃料を燃料噴射器の少なくとも1個の燃料回路に導くように構成され、適応される各脈動弁部の出口部と流体連通している単一の供給管を備える。この供給管は燃料流を複数の燃料噴射器に分配する中間マニホールドによって燃料噴射器に直接供給するように構成され、適応される。これに代えて、弁組み立て体はそれぞれ脈動弁部の出口部と流体連通している複数の供給管と、燃料を燃料噴射器の少なくとも1個の燃料回路に導くように構成され、適応される、それぞれの管とを備えることができる。各供給管は燃料を複数の燃料噴射器に分配する中間マニホールドによって燃料噴射器に直接供給するように構成され、適応される。
【0019】
上記の態様に従って、少なくとも1個の脈動弁部は燃料源からの燃料を初期燃料流量で受け取る入口部および燃料を初期燃料流量または検出される燃焼条件によって調整された燃料流量で燃料ノズルに供給する出口部を有する弁ハウジングと、入口部と出口部とを結ぶように弁ハウジング内に形成され、弁ハウジングを通過する燃料を導く第1の燃料通路と、弁ハウジング内に配置され、弁ハウジングの出口部と流体連通して形成される第2の燃料通路を有する弁軸と、この弁軸に回転可能に設けられ、燃料を出口部に供給するため第1の燃料通路からの燃料が弁軸の第2の燃料通路に流入する、磁気的に固定する第1の固定位置と、第1の燃料通路からの燃料が弁軸の第2の燃料通路に流入するのを阻止する、磁気的に固定する第2の固定位置との間を往復移動する弁ロータと、検出される燃焼条件に応じて燃料ノズルに分配される燃料流量を調整するため弁ロータを第1および第2の固定位置に交互に固定する電磁手段と、弁ロータを一方の磁気的に固定する位置から他方の磁気的に固定する位置に交互に移動させるバネ手段とを備える。このバネ手段は少なくとも1個の弁ロータと動作可能に組み合わされるねじりバネを備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の装置および方法は、たとえばコーンウェルらにより出願された米国特許出願公開第2007/0119147号明細書に記載されるアクティブ燃焼制御装置と組み合わせるのが特に有用である。この明細書の開示は参照してここにその全体を取り入れる。好ましくは、このアクティブ燃焼制御装置はガスタービン・エンジンの燃焼室内の熱−音響燃焼不安定性を減少するように設計される。この例では、開示される弁組み立て体は燃料脈動の広範囲にわたって実効ある周波数を与え、同時に振幅を変えながら、検出した燃焼不安定性に応じて約1000Hzよりも高い周波数で個別の燃料噴射器に供給する燃料流を脈動させ、または調整するために使用することができる。本発明に従って、弁の脈動部はこの目的に適するいずれかの脈動弁を用いるが、本発明の好ましい態様によれば、弁はコーンウェルらにより出願された米国特許出願公開第2007/0151252号明細書に記載の脈動弁に基づく。この明細書の開示は参照してここにその全体を取り入れる。
【0021】
本発明の装置および方法はまたエンジンの排出物を抑制し、特性を向上し、運転効率を最大化することを意図する。この例では、本発明の弁組み立て体は燃焼器の温度パターン要因と共に、安定性を制御し、これによってホットスポットを抑制し、望ましくない燃焼条件が検出されたならば、これを減少するため個別の燃料噴射器への燃料量を調整し、あるいは制御するように使用することができる。
【0022】
任意ではあるが、ここに述べる弁組み立て体はまたエンジンの健全性を維持するため全時間にわたり燃料量を限定して動的に調整し、ガスタービン・エンジンを自己調整するように使用することができる。本発明に従って、弁を開放または全閉に固定する時間周期を調整することで、平均流量を制御することが可能である。これはサイクル周期を変えない方法を使用する。弁がサイクル周期を一定に保ち、全閉時間よりもさらに長く開放状態に固定したときには、平均流量が増加する。一方、弁が開放状態に固定した時間よりもさらに長く全閉状態に固定したときには、平均流量が減少する、もう1つの状態が起こる。エンジン運転条件が不安定性を生じない状態で、1基あるいはそれ以上の燃料噴射器の平均流量を変える必要があるとき、本発明に従ってこの弁は燃焼不安定性を起こさない、初期周波数で運転することができる。初期周波数はそのときの燃焼器の音響モードまたは高調波とは一致しない周波数である。たとえば、周波数が低いときは効率差が最大になるようなパターン要因制御の目的に合ったより望ましい平均流量へのシフトを考慮する。弁の固有振動数に一致する最大周波数付近での運転では、デューティ・サイクルは開放時間の50%だけ、そして全閉時間の50%だけである。したがって、本技術に従って、平均流量へのシフトはこの最大周波数付近では行わない。しかしながら、供用中、エンジンは長時間にわたりアクティブ燃焼制御を行うことを必要としないので、この操作は重要な制約とはならない。代表的な航空機ガスタービン・エンジンの場合、アクティブ燃焼制御を必要とするときの不安定な周波数は、典型的には700Hzよりも小さい。したがって、この弁が安定性制御に狙いを定めて最大弁周波数付近で運転する必要がある場合、エンジン安定性は温度パターン要因制御の全範囲で優先する必要がある。パターン要因制御の不調によってもたらされるエンジンの障害は少しだけパターンのずれた短い周期の挙動には影響されない障害のみの累積となり、上述した制限は重要ではない。これに代えて、このパターン要因制御は高速調整弁と並列に配置する独立した低速調整弁を用いて実施することもできる。
【0023】
ここに開示される弁組み立て体が、たとえば主燃料およびパイロット燃料を使用する2段燃料噴射器を含む、多様な燃料噴射器と組み合わせて使用できることは予め見通す。この例では、パイロット燃料流は燃焼条件を制御するため主燃料流よりも高い周波数を保つように調整し、または脈動させる。これに代えて、パイロット燃料流および主燃料流はそれぞれ協働して操作する脈動弁によって制御する。
【0024】
出願人は本発明による装置、方法および弁組み立て体が燃焼技術分野以外の各種装置または工程において比較的高い周波数で燃料流を調整し、または脈動させるのに容易に利用できると理解する。しかしながら、本発明の好ましい態様に従って、この弁組み立て体、装置および方法はガスタービン・エンジンと組み合わせて使用する。
【0025】
ガスタービン・エンジンは、典型的には、たとえばタービン入口温度、圧縮機速度および圧力、燃焼器への総燃料量、排気ガス温度および圧力、燃焼器火炎の熱−化学特性、燃焼不安定性を表わす振動圧力の変化、さらに幾つかの例では、燃料をエンジンの燃焼室に供給する、1基ないしそれ以上の燃料噴射器における燃料量を含む、運転条件を検出するセンサを備える。エンジンはまたこのようなセンサ、さらにはエンジン運転パラメータを望ましい値に修正するため制御装置からの指令で駆動されるアクチュエータからのデータを利用する制御装置を備える。とりわけ、このアクチュエータは燃料調節弁を備える。
【0026】
本発明の弁装置、方法および装置は、特にガスタービン・エンジンの燃焼室内の熱−音響燃焼不安定性を減少する際に使用するのに適する。この方法は、特に工業用ガスタービン・エンジン、民間航空機、軍用航空機および同様な手段における燃焼を含む、燃焼過程において使用するのに適合する。
【0027】
類似する符号が本発明の類似する特徴または態様を表わす、図面を参照すると、図1に弁組み立て体を制御し、本発明方法を実施するように適応されるアクティブ燃焼制御装置を備えるガスタービン10が示される。この燃焼制御装置は符号100で指定される。図8ないし図13は、下記により詳細に説明されるように、燃焼制御装置100の制御態様を示す。
【0028】
一般に、ガスービン・エンジン10は圧縮機12と、圧縮機12よりも下流に置かれる燃焼室14と、燃焼室14よりも下流に配置されるガスタービン(図示せず)とを備える。燃焼室14は円筒状の外側燃焼器ライナまたはケーシング14aと、環状の内側燃燃焼器ライナ14bとを備える。当業者は、たとえば缶形燃焼器のような別の燃焼室にも本発明を適用できることを容易に理解する。
【0029】
燃焼制御装置100は図示のようにガスタービン・エンジン10の外側ケーシング14aにそれぞれ装着される、霧化燃料を燃焼室14の内側燃焼器ライナ14bに吹き出す複数の機器装備燃料噴射器110を備える。下記により詳細に説明されるように、燃焼制御装置100の複数の燃料噴射器110は、好ましくは燃焼室14内の火炎の熱化学特性、振動圧力の変化および噴射器自身を通過する燃料量の検出を容易にするために所定の方法で装備される。また、下記により詳細に説明されるように、運転中、燃焼噴射器110に供給される燃料量を調節するため燃料調整用弁部112が各燃料噴射器110に動作可能に組み合わされる。
【0030】
図1に示されるように、燃料は個別の燃料噴射器110、より正確にいえば、それと組むそれぞれの燃料調整用弁部112に分配マニホールド18によって分配される。本発明の一態様に従って、分配マニホールド18はディジタル電子制御装置(FADEC)ユニットである、電子エンジン制御装置20で計量した所定量の燃料を受け取る。この電子エンジン制御装置20はガスタービン・エンジンの外部または内部に装着した多様なセンサからの入力(たとえば、エンジン運転温度および圧力、シャフト速度およびトルク、エンジン周囲の環境条件など)を受け取り、特定のエンジン用途に合わせて開発されたソフトウエア制御法則に基づいて主燃料計量弁(図示せず)の弁位置を決める指令を与える。このソフトウエア制御法則は出力を最大化し、ある一定の出力指令と運転条件の設定値とを求め、安全な運転域でガスタービン・エンジンを駆動するように書かれる。電子エンジン制御装置20はガスタービン・エンジンに接続して設けられる他の制御装置と共に燃焼制御装置100と協働することができる。
【0031】
図2を参照すると、燃焼室14の外周域に周方向に配置された複数の機器装備燃料噴射器110a−110hが示される。この配置では、燃焼特性が各燃料噴射器110a−110hと組む検出手段を使って燃焼室14の外周域を一部だけに限定した方法で監視され、検出される。それゆえ、ある基準値と比較する燃焼室14のある特定した位置の燃焼特性を検出し、または測定する例では、燃焼器のその特定位置に対応する箇所ないしそれ以上の燃焼器の燃料圧力、したがって流量を燃焼またはエンジンの調子を安定させるために各燃料噴射器と組み合わせる弁12によって調整することができる。図示の実施例、そして任意に構成する本発明に従う別の実施例では、弁または弁要素は燃料噴射器110a−110hの本体に一体に組み合わせことができる。これに代えて、弁または弁要素は燃料噴射器と一体にせず、燃料噴射器の近くに配置してもよい。さらに、これに代えて、ある一部だけの弁部を燃焼噴射器と一体に、あるいはその近くに配置し、一方他の弁部を燃料噴射器から距離をおいて配置してもよい。
【0032】
当業者は図2に示される燃料噴射器の数が単に図示の目的のためであり、どのような意味でも開示を限定するものでないことを理解すべきである。さらに、1基よりも多くの機器装備燃料噴射器が単一の弁または一対の弁と組み合わせることができることは予め見通す。
【0033】
したがって、図2に示される各燃料噴射器110a−110hがそれぞれの燃料調整用弁部112を備え、そして特定の装置では単一または複数の弁を備えながら、特定の燃料調整用弁部112あるいは一組みの弁が多重燃料噴射器、たとえば燃焼室14のある特定の象限または領域に置く各燃料噴射器に供給する燃料を調整するように構成することができる。この実施例では、1組みの弁は、典型的には4、5または6基の燃料噴射器に送る燃料を調整するように適応される。したがって、燃料を独立した弁組み立て体または弁部112から多重燃料噴射器に分配するため分配マニホールド18のようなマニホールドが使用される。
【0034】
図3に示される代替的噴射器の配置では、ガスタービン・エンジン10に設けられる何基かの燃料噴射器が一体の弁部112を装備し、それを使って独立して燃料を調整し、何基かの燃料噴射器は一体の弁部を装備せず、または独立して燃料を調整しないように構成される。特に、燃料噴射器110a、110b、110c、110dは本発明の原理に従って運転するため燃料調整用弁部112を備える。対照的に、燃料噴射器120a、120b、120c、120dは弁部を装備せず、それに代わって機器装備燃料噴射器によって霧化燃料を燃焼室14に供給するため従来の方法で構成される。このような配置では、燃焼特性は燃焼室14のある一定の燃焼域または象限だけを監視し、検出することができる。この配置が多くのエンジン用途における燃焼を動的に制御するのに十分であることは予め見通す。また、この配置では、ある一定の燃焼域または象限内の燃焼特性がその燃焼域または象限と組み合わせる1基ないしそれ以上の機器装備燃料噴射器に送られる燃料流を調整して動的に制御される。これは図示されるような燃料調整用弁部112または弁を有する機器装備燃料噴射器を使用し、または燃料調整用弁部または弁を1基よりも多くの機器装備燃料噴射器と組み合わせてなし遂げることができる。
【0035】
当業者は燃料噴射器110の周方向位置および/または燃料噴射器110の数がエンジンの構成および用途によって変えることができることを容易に理解する。実際、ある一定のエンジン用途が単一の機器装備燃料噴射器110だけを必要とし、一方エンジンの残りの燃料噴射器は従来の方法で運転するように構成することができる。
【0036】
本発明方法を使用するためアクティブ燃焼制御装置100の各機器装備燃料噴射器110は各燃料噴射器において燃料量を監視する質量流量センサを備える。この質量流量センサは本発明の一態様に従って、13790hPa(200psig)から103425hPa(1500psig)までの系統圧力で動作するように構成され、適応される。また、このセンサは燃料量の25%から100%までの範囲およびノズルへの平均流量の約±20%の調整を扱うように設計される。燃料噴射器内の質量流量センサの位置はノズルを通過する流量を正確に検出するように位置決めされる限り、変えることができる。
【0037】
先に述べたように、少なくとも1基の燃料噴射器110、望まれるのであれば全部の燃料噴射器は燃料圧力、したがって燃料噴射器110への燃料流量を動的圧力センサ、火炎センサまたは他のセンサのようなセンサで検出した燃焼不安定性に応じて調整するように構成され、適応される燃料調整用弁部112を備える。特に、燃料調整用弁部112は平均流量の約±20%、約1000Hzまでの周波数で検出した燃焼不安定性に比例して燃料流を調整するように構成される。
【0038】
コーンウェルらにより出願された米国特許出願公開第2007/0151252号明細書は燃料制御装置100の機器装備燃料噴射器110と組み合わせて使用する高速燃料調整用弁の3つの実施例を開示する。これに代えて、開放および全閉位置だけを有する、単純な2連式弁および電気機械式比例弁を米国特許出願公開第2007/0151252号明細書に記載の弁のような弁装置と組み合わせて代用し、または使用してもよい。
【0039】
機器装備燃料噴射器110への燃料流を調整するため弁アクチュエータと本発明のアクティブ燃焼制御装置100とを組み合わせ、使用することは本発明の範囲内である。たとえば、これは電磁作動式磁気ひずみ弁アクチュエータ、圧電式弁アクチュエータ、空洞圧電燃料調整を利用する弁アクチュエータ、MIMS形アクチュエータ(熱、流体または機械的増幅器)、電力計形弁アクチュエータおよび回転形弁アクチュエータを含む。
【0040】
本発明の方法および装置に従って、弁はガスタービン・エンジンにおいて燃料を動的に調整し、異なる状態に変換する過程で使用する。上記したように、この弁は適するいずれかの手段によるが、好ましくは電気機械式駆動動作による手段を用いて駆動される。この弁は比例動作が可能だけでなく、素早く動作する脈動弁を備える必要がある。しかしながら、コーンウェルらにより出願された米国特許出願公開第2007/0151252号明細書に記載される弁あるいはこの変形である弁は本発明に従って比例弁および/または脈動弁として使用することができる。特に、コーンウェルらの弁は連続して燃料量を発生し、比例弁として十分に機能を果たすことができる。
【0041】
これに付加して、流量を制御するため本発明の装置に独立した比例弁を組み合わせることができ、本発明の脈動弁と直列に、あるいは並列に配置し、並列配置の燃料回路および/または燃料噴射器に流れる燃料流を調整する。
【0042】
使用においては、先に述べたセンサから得られるデータを利用しながら、電子エンジン制御装置20が燃料噴射器110a−110hと組み合わせた1個ないしそれ以上の弁を操作し、弁前後の圧力降下、したがって燃料量を調整する。したがって、センサから得られる検出値によって燃焼不安定性が指示された場合、その燃焼不安定性を改善するためそれぞれの弁を操作して燃料圧力を調整する。弁が比例制御できる場合、この弁は特定の範囲の質量流量を生じさせる圧力降下が発生するように調整でき、したがって増加する流量を調整することが可能である。さらに、電子エンジン制御装置20で燃焼不安定性を検出したとき、これを抑え込むため1個ないしそれ以上の脈動弁を操作して燃料をある望ましい周波数で脈動させる。
【0043】
1基ないしそれ以上の燃料噴射器110a−110hは単一または複数の燃料回路から燃料を供給する。たとえば、各燃料噴射器への燃料は共通の燃料供給回路あるいは独立した主およびパイロット燃料回路によって供給される。これらの各燃料回路から、さらには主およびパイロット燃料回路を通して燃料噴射器に流入する燃料流は噴射器内に備えられる独立した弁を使って調整する。これに代えて、1個ないしそれ以上の弁を下記に説明されるように、燃料噴射器に燃料を導く管と接続し、あるいは多数の燃料噴射器に燃料を供給するマニホールドと接続して燃料噴射器に近づけて配置してもよい。
【0044】
本発明に従って、複数の脈動弁が本発明に従い設計される燃料装置と共に設けられる。たとえば、一態様に従いパイロット燃料流が第1の脈動弁によって調整され、一方主燃料流が第2の脈動弁で調整される。さらに、異なる実施例が下記に詳しく説明される。
【0045】
この燃料圧力制御装置、弁および方法は、特にコーンウェルらにより出願された米国特許出願公開第2007/0119147号明細書に記載されるアクティブ燃焼制御装置と共に使用するのに有用である。この明細書の開示は参照してここにその全体を取り入れる。好ましくは、このアクティブ燃焼制御装置はガスタービン・エンジンの燃焼室内の一部で起こる熱−音響燃焼不安定性を減少するように設計される。この例では、開示される弁組み立て体は脈動させる燃料の圧力をある値に調整しながら、同時に検出した燃焼不安定性に比例して約1000Hzよりも高い周波数で個別の燃料噴射器に流れる燃料流を脈動させ、または調整するように使用される。この脈動弁は適するいずれかの脈動弁であるが、これはコーンウェルらにより出願された米国特許出願公開第2007/0151252号明細書に記載される脈動弁組み立て体に基づく。
【0046】
本発明の弁装置、装置および方法はまたエンジンの排出物を低減し、エンジンの動力を改善し、運転効率を最大化することを意図する。この例では、本発明の弁組み立て体は燃焼器の温度パターン要因と共に、燃焼安定性を制御するため個別の燃料噴射器に流れる燃料流を動的に調整するように使用し、この結果、ホットスポットを抑制し、検出した他の望ましくない運転条件を減少することができる。
【0047】
ここに開示される弁組み立て体は、たとえば主およびパイロット燃料流を有する2段燃料噴射器を含む、多様な形式の燃料噴射器と共に使用することができる。この例では、パイロット燃料流は燃焼条件を制御するため主燃料流よりも高い周波数に調整され、または脈動させる。
【0048】
図4ないし図7は各燃料噴射器110に並列に配置される複数の脈動弁部413a、413bによって燃料を供給する、本発明に従う弁配置の実施例を示す。この弁組み立て体は燃料噴射器と一体化した同じハウジング内部または主燃料分配マニホールドと燃料噴射器との間に独立して設けられる。
【0049】
図4は脈動弁部413a、413bが燃料流と並列に並ぶ共通のハウジング440内に設けられる、本発明に従う最も簡素な弁部112の配置を示す。燃料は分配マニホールド118から弁部112に供給され、続いて燃料噴射器110に送られる。内部の供給管445および分配管447は、運転中、燃料が流動する内部流体通路を与える。
【0050】
燃料流は脈動弁413a、413bのうち、どちらか一方を単独に用い、または双方を組み合わせ、協働するように調整する。したがって、本発明の好ましい態様によれば、ある範囲の燃料流周波数および振幅を与えるためコントローラから指令を出力するときには、2個の弁は協働して機能するが、2個の弁のうち、バックアップとして役立つ、1個の弁を除いて、別の1個の弁を単独に働く脈動弁として使用してもよい。この弁部はまた弁組み立て体112の全寿命期間を延ばすため双方の弁を交替で使用し、一方だけ休ませることも可能である。
【0051】
ある燃焼安定性条件では、脈動弁413a、413bが比例制御によって流動を制御できる場合があり、制御装置によって双方の脈動弁うち、一方について燃料流が望ましい値になるように設定する。これに代えて、燃料流制御全体は、たとえば分配マニホールド118よりも前の図示した弁部112の外部で行うようにしてもよい。1個ないしそれ以上の脈動弁413a、413bは燃焼不安定性を検出したならば、燃焼安定性を促進し、維持するため制御装置を用いて操作し、制御することができる。この制御装置は、好ましくは、運転中、ある一定の平均流量を維持するため脈動弁部413a、413bを操作するように構成される。これに代えて、脈動弁部413a、413bは燃料流量を瞬間的に増減するように使用することができる。
【0052】
過剰な燃焼不安定性のない、運転条件のもとでは脈動弁部413a、413bは中立(たとえば、部分開放)位置に保持する。あるいは1個の弁を開いたままとし、別の1個の弁を全閉にすることができる。一方、先に述べたように、たとえば直列に配置される独立した弁によって燃料制御を行いながら、双方の弁を完全に開放することもできる。これに代えて、1個ないしそれ以上の脈動弁が燃料流を比例制御できる場合、1個の脈動弁についてもう1個の弁を静止位置(閉止、部分開放または全閉)に保ちながら、流量を調整するため使用することができる。これに代えて、広範な質量流量で燃料を供給するため2つの弁は協働して運転し、流動条件の大きな変化に対応させる。この運転は特に燃焼不安定性が発生した場合に有利で、下記に詳細に説明されるように、周波数を望ましい値に保ちながら、流量を増加し、燃料脈動中、位相をある選択した値を保って運転することができる。
【0053】
2個の脈動弁部413a、413bが共に運転しているとき、燃料量が最大化し、燃料脈動の制御が実現する。これは、たとえば燃焼不安定性と共に、要求を満たす高出力という、条件を必要とする。脈動弁部413a、413bの運転中、燃料脈動は制御装置からからの指令によりある間隔で発生させる。この指令間隔は位相を合わせ、または相違させて検出した燃焼不安定性を最も抑え込むのに望ましい量による。
【0054】
図4ないし図7に示されるように、燃料は燃料噴射器のノズルにかけて全通路を使うように各脈動弁部413a、413bを分かれて流動し、直接燃料噴射器に吹き出す。これに代えて、それぞれの弁部を通過する燃料は、図4の実施例に示されるように、1基の燃料噴射器に供給する中間マニホールドに弁内を通過した流量分を合流させ、あるいは図7に示されるように、複数の燃料噴射器に供給する分配マニホールドに同様に合流させることができる。重さを軽減し、スペースを節約する目的で中間マニホールドを経由して燃料を複数の燃料噴射器に供給する単一の脈動弁について、図5の実施例に関連して下記に詳しく述べるように、個別の燃料噴射器を対象に行う脈動燃料制御と組み合わせて使用するならば、望ましいことが判明している。
【0055】
上述したように、燃料の脈動する間、全時間にわたり燃料を指令どおり平均流量に維持することが望ましい。したがって、弁部112に燃料を導く供給管445または弁部112からの燃料を導く分配管447のどちらかに流量計を配置し、弁部112を通過する燃料量を軽量する流量センサが設けられる。図4では流量計480の位置が点線で示される。これに代えて、各弁部から与えられる燃料量についてさらに正確に検出するには弁部に燃料を導く供給管または弁の1個から燃料を導く管に流量計を配置して得ることができる。具体例として、たとえば図5の実施例では、任意の手段としての流量計580を配置している。
【0056】
図5は本発明に従う弁装置500の代替的実施例を示す。この弁装置500においては単一の燃料噴射器に燃料を供給する複数の脈動弁部513aと並列に共通の分配マニホールド58に燃料を供給する単一の脈動弁部513bが配置される。この図示の例では、燃料は共通の分配マニホールド58で発生し、この燃料が分配マニホールド58と組み合わせた複数脈動弁513aと単一の脈動弁部513bとに分配される。もちろん、必要であれば、分配マニホールド58への燃料流を制御するため1個よりも多数の脈動弁を設けることができる。
【0057】
先に述べたように、それぞれの脈動弁部513aおよび脈動弁部513bから分配マニホールド58を通して燃料噴射器110に分配される燃料は燃焼噴射器110を経て独立した燃料回路で分離したまま燃焼器の各ノズルに達する。これに代えて、燃料流は燃料噴射器110の手前または内部において燃料噴射器の単一の燃料回路(たとえば、主燃料回路)を通して合流させることができる。したがって、望まれるのであれば、図2ないし図7に示される燃料分配のための配置はいずれも、たとえば燃料噴射器110のパイロット燃料回路への燃料に限って燃料を供給する方法で従来の燃料分配装置と並列に配置して使用することもできる。
【0058】
図5の弁装置500では、図1ないし図3に示されるような一体化ができない場合、脈動弁部513aの配置は、好ましくは周波数の高い燃料脈動が燃料装置内で減衰するのを避けるため燃料噴射器110に近づける。これと同様に、分配マニホールド58、そして燃料噴射器110に近づけて脈動弁部513bを配置するのは減衰を抑制するために有利であり、より好ましい。
【0059】
この弁装置500の操作は図4の実施例の操作に類似する。しかしながら、弁装置500の実施例では、直ちに理解できるように、脈動弁部513bを通過する燃料をそれぞれの燃料噴射器110に同じように分配することができる。弁装置の運転中、制御装置と組み合わせた流量計580が適切な量の燃料を燃料噴射器110に供給し、望ましい燃料流量を維持するため脈動弁が開閉しているか、否かを確かめるべく流量を検出し、設定値と比較する。これに代えて、またはこれに付加して、直接燃料量を検出する代わりに流量計に代わる脈動弁部513a、513bに設置する燃料圧力センサおよび/または弁位置センサからの信号に基づいて制御装置で燃料流量を計算するように構成し、適応してもよい。
【0060】
弁装置600を図式的に示す図6の実施例では、燃料が各燃料噴射器110に複数の脈動弁部413a、413bによって供給される。この脈動弁部413a、413bは、図示のように、共通のハウジング610内に設けられるか、またはそれぞれの燃料噴射器110の本体部と一体に設けるか、もしくは並列に、独立して設けられる。したがって、望まれるのでれば、他方の弁部から独立して一方の弁部だけを燃料噴射機器の本体内に設けることもできる。どの配置を取るにしても、燃料脈動が燃料装置内で減衰するのを最小にするため脈動弁部413a、413bを燃料噴射器110に近づけて配置することが好ましい。
【0061】
もちろん、燃料量に関して、各脈動弁部413a、413bから供給される燃料は燃料噴射器110の手前、またはその内部で中間マニホールドに結ばれる。あるいは燃料は燃料噴射器110を経てノズルまで独立した経路で流すことができる。また、2個の脈動弁部413a、413bを図示するが、これはより有利な働きを得るために本実施例、そして他の実施例でもより多くの脈動弁を使用することができる。
【0062】
図7はガスタービン・エンジン内で使用するのに適する、簡素化した弁装置700を示す。弁装置700は燃料を複数の燃料噴射器110に供給する中間マニホールド78と接続している複数の脈動弁部413a、413bを備える。この簡素である弁装置700は、特に小形のエンジンおよび/または据付けスペースが少ないエンジンに適する。図示のように、脈動弁部413a、413bは他の実施例と同様に共通のハウジング610内に設けられる。これに代えて、脈動弁部はエンジン内部およびエンジン周りのスペースの節約のために単独に設けることもできる。上述したように、好ましくは脈動弁部413a、413bは可能な限り、燃料噴射器110に近づけて配置する。したがって、分配マニホールド78の存在のため分配マニホールド78により近づけるように各脈動弁部413を設置することが好ましい。望まれるのであれば、冗長性を目的として、あるいは燃料噴射器110への燃料流を増加し、もしくは燃料流量を増加し、または2段または同期動作の脈動弁を用いて燃料脈動の大きさを増すために分配マニホールド78と結ぶように、脈動弁部413a、413bと組む第2の脈動弁部を並列に設けてもよい。
【0063】
図8は本発明に従う脈動弁部413a、413bが並列に配置される弁装置800を図式的に示す。図8では、機器要素間の電気信号の流れを実線の矢印で、燃料流を点線の矢印で表わす。図示のように、燃料は従来の典型的な燃料制御から離れないことを求められる燃料制御装置825によって脈動弁部413a、413bに供給される。流量センサ880は、図示のように、脈動弁部413a、413bから燃料を導く単一の管の出口で燃料量を検出するように設けられる。代替手段として、上述したように、流量を検出する装置および/または流量センサの設置が考えられる。
【0064】
燃料は脈動弁部413a、413bから燃料噴射器110へ、さらに燃焼器14まで流動する。多様なセンサが1基なしそれ以上の制御ユニットと交信する。特に、温度フィードバック信号がガスタービン・エンジン温度センサ887から電子エンジン制御装置20に伝送される。動的安定性コントローラ821は燃焼不安定性の検出を容易にするため、たとえば光学火炎センサ883および圧力センサ885のような多様なセンサから出力される情報を受け取る。もちろん、エンジン全体にわたりより正確に運転条件を決定し、および/または冗長性を与えるため種類の異なる多くのセンサを備えることができる。
【0065】
電子エンジン制御装置20は、たとえば燃焼安定性制御(コントローラ821)および燃料制御(コントローラ823)を含む、他の制御と協調してエンジンの運転を制御する。この電子燃料コントローラ823は安定性コントローラ821、そして電子エンジン制御装置20から情報を受け取るように構成され、適応される。電子燃料コントローラ823はまた適切な燃料出力を与え、燃焼安定性を促進するため安定性要求および出力要求情報に応じる、あるプログラムに従って比例弁414と脈動弁413とを操作するように構成され、適応される。もちろん、これ以外の、たとえばアクティブ・パターン要因制御装置のような制御装置または制御機構もこの弁装置800と組み合わせることができる。アクティブ・パターン要因制御では、この弁装置800は燃焼器の出口で温度を検出し、この情報に基づいて、たとえば望ましい箇所の燃料温度を変化させるように燃料噴射器への燃料量を増減して調整するように適応させるセンサ手段で増加することができる。
【0066】
さらに、本発明に従う脈動弁を利用してガスタービン・エンジンへの燃料供給を部分制御することができる。特に、図5および図6の実施例のような例では、同じ装置が2基ないしそれ以上設けられる場合、1組みの独立した弁を使って、あるいは図7の実施例と同様な弁を備える場合、各燃料噴射器を1組みの弁だけを使って運転しながら、1組みの弁を全閉したまま、一部の燃料噴射器の運転を休止することができる。
【0067】
本発明に従って、上述した弁を制御する方法および装置が提供される。これはどちらか一方の弁を通過する燃料流だけでなく、燃焼安定性を抑え込むのに有効である2つの流れが1つになった燃料流を発生するため個別の弁の調整能力を結合させる増強および消去原理を利用する。
【0068】
たとえば、本発明に従って、同じ方向(同一位相で、位相シフト0°)に同時に開き、閉じるように操作する同一サイズの2個の弁により燃料を調整してもよく、弁の1個だけ単独で利用する場合よりも流量を増加した状態で利用することで、ポート面積を2倍に増加する。2個の同じ弁をその極限で反対方向(完全に位相を相違させ、同時に位相シフト180°変換)に切り換えて同時に運転する場合、明らかな調整も、脈動もなく、あるいは別な方法で質量流量の固定状態が発生する。
【0069】
脈動弁を通過して生じる燃料流は、実験によれば、最小質量流量と最大質量流量との間を振動する、実質的には正弦波で現われる。2個(またはそれ以上)の脈動弁の燃料流を効果的に重ね合わせ、弁操作で行う相対位相シフトによって脈動効果を強め、あるいは消去することができる。
【0070】
ゼロ位相シフトの場合、全ての弁からの流れは同時に流れ、このとき、燃料脈動の大きさは2倍になる。脈動する燃料流が1つに合流し、完全に位相がずれた場合、燃料流の変化により互いに打ち消し合い、たとえば、図10に示されるように、望ましい平均流量では本質的に平らな流れになる。2つの正弦波の相対位相が双方の位相の揃った状態から180°ずれた状態へとシフトしたとき、調整位相範囲は最大からゼロ調整まで無限に変わる。
【0071】
図9を参照すると、30°の位相シフトで2つの正弦波を重ね、第3の正弦波を発生させる流動のグラフが示される。一定の位相シフトを持つ同じ周波数の2つの正弦波の加算を記述する数学的表記は次の数式で表わすことができる。
【0072】
sinωt+sin(ωt+φ)=2 sin(ωt+φ/2) cosφ/2
ここで、φは2つの正弦波間の相対位相シフトであり、ωは正弦波の周波数であり、tは時間を表わす。一般に、重ね合わせた波は相対位相シフトφが0°から180°に変化する間に1と0との間で値が変動する、波の振幅がコサインφ/2の関数として減少しながら、2つの波の位相シフトの1/2だけシフトする。位相シフトφがゼロであるとき、新たに生じた正弦波は寄与する波と位相の揃った2倍の振幅になる。図示のように、1の流量値は2の値を有する各弁ビットの最大流量と共に、1個の弁の平均流量を表わす例として使用される。したがって、2ビットの流量を合わせた最大値は4である。ただし、ビット1およびビット2からの流れが僅かに位相がずれるのて、この例の流動で達成される最大流量は4よりも小さくなる。もちろん、図示の特定の値は代表的な値であり、本発明を単に図解による理解のために示すものである。
【0073】
図10は同じ振幅および周波数を有する2つの波を重ねた際に得られる位相シフトと振幅・位相の変化との関係を示すグラフである。この平均流量は弁を開放に固定した時間が全閉に固定した時間に等しい場合に同じデューティ・サイクルに合わせて全ての位相シフトを得るために等しい。
【0074】
得られる波の振幅はφが0°から180°まで変化する間に1と0との間で値が変動する、コサインφ/2の関数として減少する。しかしながら、この変化はコサイン関数の非直線性のため非直線になる。
【0075】
したがって、本発明に従って、図8の動的安定性コントローラ821のような安定性コントローラは望ましい燃料脈動周波数および振幅を得るのに必要な弁脈動の位相シフトを記憶または計算するようにプログラムする。
【0076】
たとえば、比較的程度が大きい燃焼不安定性に陥る場合、燃焼不安定性を効果的に最小にする流量で燃料を脈動させ、燃焼不安定性を抑え込むことが望ましい。1個の弁だけでは供給する最大流量が十分でない場合、本発明では、燃料流量を平均流量の2倍まで見込むように構成する。
【0077】
程度が比較的小さい燃焼不安定性の場合、それぞれ違いのある不安定性に相応しくない運転を行わないため不相応に大きく脈動させず、燃焼不安定性を過度に改善しない。したがって、燃料脈動の大きさはその脈動の位相差を増加することで、ある平均流量に近い流量で最小化する。
【0078】
図8の動的安定性コントローラ821のような安定性コントローラは必要に応じて望ましい燃料脈動周波数および振幅を得るために必要な弁脈動の位相シフトに加えて必要な質量流量を記憶し、または計算するようにプログラムすることができる。したがって、動的安定性コントローラはエンジンに接続して設けられるセンサからの情報を受け取り、検出される不安定性を押さえ込むのに必要な燃料調整の振幅および位相を計算する。動的安定性コントローラ821は望ましい燃料流の振幅および位相、さらに必要であれば、相対位相シフトを生じるため電子燃料コントローラ823のような別のコントローラを介して直接または間接的に1個ないしそれ以上の弁部413a、413bを制御する。
【0079】
さらに、多くの脈動弁を設ける場合、流動条件をさらに変えることができる。たとえば、4個の脈動弁を使用する場合には1個の脈動弁の流量の最大4倍の流量を発生させることが可能である。高速流を要求される用途では、慣性モーメントが半径の4乗に比例して増加し、ポート面積が開口(コーンウェルの弁ではロータで閉じられる)の半径に比例して増加するので、2個以上の弁を使用することが望ましい。したがって、弁の直径を2倍まで大きくすれば、16倍以上の磁気力が必要になる。磁気断面は半径に比例して大きくなり、必要な磁力を得るまでは磁束密度が飽和しないという、磁性材料を見出せない場合には設計が束縛される。したがって、物理的および材料上の特性により1000Hzで脈動する弁を得るには最大ロータ直径は約9〜12mmまでに限定される。本発明に従って、同じ大きさの同数の弁を使用することは望ましい。非対称消去法の適用では、奇数の弁または流量を同等にしない弁のどちらによっても、たとえばφ/2のような位相シフトを得る単純な1次関数にならない。4倍の流量の4個の弁を脈動弁部、さらには6個、8個およびより多数の脈動弁部などの場合にも同様である。同数の脈動弁部が、たとえば1〜100の間で弁部を2個ずつ増加し、有利に設けることが考えられる。
【0080】
図11は位相シフトと振幅との関係を示す。図から明らかなように、振幅は位相シフトが0で最大になり、180°の位相シフトでは最小になる。図にはピーク振幅が記入される(流量は平均流量ではない)。上述したように、この例で使用される平均流量は任意であり、ある特定のエンジン設計条件に基づいて用途に合わせて変えられる。付言すると、位相シフトと燃料圧力との関係は相対位相シフトと振幅との関係を表わすグラフに類似している。
【0081】
本発明に従って、装置および方法は一方の弁が開放位置まで動かず、他方の弁が全閉位置まで動かず、あるいは双方の弁が中間位置に動かないことで、電力の損失が発生するような障害に陥った場合には、脈動のない平均流量を発生させる単に平均流量を維持するように構成され、適応される。したがって、米国特許出願公開第2007/0151252号明細書に記載される弁を使用する場合、この配置は燃焼不安定性および他のエンジン運転パラメータを制御するため中立位置には動かない、弁ビットを利用して引き続き運転することができる。
【0082】
図12は100Hzの周波数の脈動弁を作動して形成される波形を厳密に表わす波形図である。特に、この周波数での燃料脈動は完全な正弦波として発生しないが、間に入る直線状の傾きと共に、丸みのある連続した振動として発生する。丸み付けて描いた最大値と最小値とは弁をそれぞれ固定位置または全閉位置に固定した全時間で、一方高速の最大値から最小値への変化はロータが動作中であるときの流量の変化を表わす。ロータ位置が矩形に近づく運動するのに関係なく、流量を表わす線は流体の慣性と圧縮性とによって僅かに正弦波状の線を描く。高い振動周波数で生じる圧力の高まりで燃料の圧縮性効果も無視できない。
【0083】
さらに、別の実施例では、1000Hzの固有振動数を有し、100Hzの周波数で運転する弁が提供される。この弁は全時間のうち、90%は開放位置または全閉位置に留まり、残り10%は移動のために要する時間となる。この機械的運動は燃料流動をより長時間最大流量および最小流量に維持する場合に波形がさらに一段と矩形に近づく。また、慣性と圧縮性と有する燃料は弁の動作に瞬間的に応答できない。弁が200Hzよりも高い周波数で運転しているとき、燃料流の波形は完全な正弦波にかなり近づくことが実験的に確認された。
【0084】
図12に示される曲線のような不完全な正弦波は高次の奇数高調波になる。矩形の周期波は不定数の奇数高調波として正確に表わすことができる。1次高調波は矩形波周波数である。より高次の振幅は、図13に示されるように、次数が増加したとき、短時間のうちに減少する。
【0085】
本発明に使用するのに適する好ましい弁はここに説明されるように高次の奇数高調波を発生するが、こうした弁は燃料圧力および燃焼応答の双方の基本波周波数よりも振幅がかなり小さいことが観察された。2次高調波を発生することで、燃焼プロセスの応答をさらに高速にできるが、これは実験的に観察されてない。幾分矩形を呈する正弦波を高速フーリエ変換(FFT)で解析したときの観察結果から、完全な正弦波と比べて実際の波形が劣ることも予測される。たとえば、図13は図12に示される不完全な形の正弦波をFFTで解析したときのスペクトルの強さを示す。図13では、3次、5次、7次の高調波が観察されるが、周波数100Hzの1次高調波よりも振幅は著しく小さい。
【0086】
本発明に従って、火炎安定性制御能力を有するガスタービン・エンジンの燃焼安定性を制御する方法が提供される。この方法は次の過程を含む。
【0087】
a)ガスタービン・エンジンの燃焼室に供給される燃料流に対して互いに並列に配置する、少なくとも一対の脈動弁部を準備し、
b)周期的燃焼不安定性に関係する圧力波の振幅および周波数を検出し、
c)圧力波の大きさを減少するため圧力波に関して燃料脈動の振幅、周波数および第1の位相シフトを選択し、
d)選択された振幅を前記少なくとも一対の脈動弁部の各脈動弁で第2の相対位相シフトに変換し、
e)選択された振幅、周波数および第1の位相シフトの燃料脈動を発生するため燃焼不安定性について検出した圧力波に関してお互いに選択した周波数および第2の相対位相シフトで運転するように、少なくとも一対の脈動弁部の各脈動弁に指令を与える。
【0088】
一般に、ここに説明され、図面に示した特定の弁は限定されない、具体例を示すためで、本発明および添付の請求の範囲はこれらの弁だけに限るように解釈すべきでない。さらに、本発明の装置、弁装置および方法は好ましい実施例を説明しているが、当業者は本発明の本質と範囲とから離れることなく、変更および変形がなし得ることを容易に理解する。特に、一実施例において説明した特定の態様についてここに説明した他の実施例にも適用できることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】図1は本発明の装置および方法と共に使用するのに適する機器装備燃料噴射器を備えるガスタービン・エンジンの一部を切断して示す側面図である。
【図2】図2は複数の機器装備燃料噴射器を示す、図1のガスタービン・エンジンの燃焼室を通る図1の2−2線に沿う断面図である。
【図3】図3はある一部の燃料噴射器が脈動弁を備え、残りの燃料噴射器が脈動弁を装備しない、異なる燃料噴射器に配置を示す、ガスタービン・エンジンの燃焼室を通る図1の2−2線に沿う断面図である。
【図4】図4は単一の比例弁部と単一の脈動弁部とが並列に配置される、本発明による弁配置を示す図式系統図である。
【図5】図5は単一の比例弁がそれぞれの燃料噴射器だけに燃料を供給する複数の脈動弁部と並列に配置される、本発明による弁配置を示す図式系統図である。
【図6】図6は各燃料噴射器が比例弁部と脈動弁部とを備える、図4と同様に単一の比例弁部と単一の脈動弁部とが並列に配置される、本発明による弁配置を示す図式系統図である。
【図7】図7は複数の燃料噴射器が1個の脈動弁部と1個の比例弁部とから燃料を受け取る、図4と同様に単一の比例弁部と単一の脈動弁部とが並列に配置される、本発明による弁配置を示す図式系統図である。
【図8】図8は通過する燃料流と互いに並列に配置される一対の2連式弁を有する本発明による装置の図式系統図である。
【図9】図9は第3の正弦波を発生する、30°の相対位相シフトを有する2つの正弦波の重ね合わせ例を示すグラフである。
【図10】図10は同じ振幅、周波数を有し、平均流量が全ての位相シフトに対して等しい、2つの波から得られる波の位相シフトと振幅・位相の変化との関係を示すグラフである。
【図11】図11は位相シフトと振幅との関係を示すグラフである。
【図12】図12は図13に示される出力を発生するために使用される周波数100Hzの形の整わない矩形正弦波の波形図である。
【図13】図13は高次高調波の低い振幅を示す、図12の周波数100Hzの矩形正弦波のスペクトルの強さを示すグラフである。
【符号の説明】
【0090】
10… ガスタービン・エンジン
14… 燃焼室
18、58、78、118… 分配マニホールド
100… 燃焼制御装置
110… 燃料噴射器
112… 弁部
413a、413b、513a、513b… 脈動弁部
500、600、700、800… 弁装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)燃料流を受け取り、運ぶように構成され、適応される供給管と、
b)前記供給管と流体連通し、燃料流に対して互いに並列に配置される少なくとも一対の脈動弁部と、
を備えるガスタービン・エンジンの燃料流を制御する弁組み立て体。
【請求項2】
2個の脈動弁部が設けられる請求項1記載の弁組み立て体。
【請求項3】
さらに、少なくとも一対の脈動弁部の出口部とそれぞれ流体連通し、燃料流を燃料噴射器の少なくとも1個の燃料回路に導くように構成され、適応される単一の供給管を備える請求項1記載の弁組み立て体。
【請求項4】
前記供給管が燃料流を複数の燃料噴射器に分配する中間マニホールドによって直接燃料噴射器に供給するように構成され、適応される請求項3記載の弁組み立て体。
【請求項5】
さらに、複数の燃料管がそれぞれ前記脈動弁部の出口部と流体連通しており、前記複数の供給管が燃料流を燃料噴射器の少なくとも1個の燃料回路に導くように構成され、適応される請求項1記載の弁組み立て体。
【請求項6】
前記複数の供給管が燃料流を複数の燃料噴射器に分配する中間マニホールドによって直接燃料噴射器に供給するように構成され、適応される請求項5記載の弁組み立て体。
【請求項7】
前記少なくとも1個の脈動弁部が、
a)燃料源からの燃料を初期燃料流量で受け取る入口部および燃料を初期燃料流量または検出される燃焼条件によって調整された燃料流量で燃料ノズルに供給する出口部を有する弁ハウジングと、
b)前記入口部と前記出口部とを結ぶように前記弁ハウジング内に形成され、前記弁ハウジングを通過する燃料を導く第1の燃料通路と、
c)前記弁ハウジング内に配置され、前記弁ハウジングの前記出口部と流体連通して形成される第2の燃料通路を有する弁軸と、
d)前記弁軸に回転可能に設けられ、燃料を前記出口部に供給するため前記第1の燃料通路からの燃料が前記弁軸の前記第2の燃料通路に流入する、磁気的に固定する第1の固定位置と、前記第1の燃料通路からの燃料が前記弁軸の前記第2の燃料通路に流入するのを阻止する、磁気的に固定する第2の固定位置との間を往復移動する弁ロータと、
e)検出される燃焼条件に応じて燃料ノズルに分配される燃料流量を調整するため前記弁ロータを前記第1および第2の固定位置に交互に固定する電磁手段と、
f)前記弁ロータを磁気的に固定する位置から他方の磁気的に固定する位置に交互に移動させるバネ手段と、
を備える請求項1記載の弁組み立て体。
【請求項8】
前記バネ手段が少なくとも1個の弁ロータと動作可能に組み合わされるねじりバネを備える請求項1記載の弁組み立て体。
【請求項1】
a)燃料流を受け取り、運ぶように構成され、適応される供給管と、
b)前記供給管と流体連通し、燃料流に対して互いに並列に配置される少なくとも一対の脈動弁部と、
を備えるガスタービン・エンジンの燃料流を制御する弁組み立て体。
【請求項2】
2個の脈動弁部が設けられる請求項1記載の弁組み立て体。
【請求項3】
さらに、少なくとも一対の脈動弁部の出口部とそれぞれ流体連通し、燃料流を燃料噴射器の少なくとも1個の燃料回路に導くように構成され、適応される単一の供給管を備える請求項1記載の弁組み立て体。
【請求項4】
前記供給管が燃料流を複数の燃料噴射器に分配する中間マニホールドによって直接燃料噴射器に供給するように構成され、適応される請求項3記載の弁組み立て体。
【請求項5】
さらに、複数の燃料管がそれぞれ前記脈動弁部の出口部と流体連通しており、前記複数の供給管が燃料流を燃料噴射器の少なくとも1個の燃料回路に導くように構成され、適応される請求項1記載の弁組み立て体。
【請求項6】
前記複数の供給管が燃料流を複数の燃料噴射器に分配する中間マニホールドによって直接燃料噴射器に供給するように構成され、適応される請求項5記載の弁組み立て体。
【請求項7】
前記少なくとも1個の脈動弁部が、
a)燃料源からの燃料を初期燃料流量で受け取る入口部および燃料を初期燃料流量または検出される燃焼条件によって調整された燃料流量で燃料ノズルに供給する出口部を有する弁ハウジングと、
b)前記入口部と前記出口部とを結ぶように前記弁ハウジング内に形成され、前記弁ハウジングを通過する燃料を導く第1の燃料通路と、
c)前記弁ハウジング内に配置され、前記弁ハウジングの前記出口部と流体連通して形成される第2の燃料通路を有する弁軸と、
d)前記弁軸に回転可能に設けられ、燃料を前記出口部に供給するため前記第1の燃料通路からの燃料が前記弁軸の前記第2の燃料通路に流入する、磁気的に固定する第1の固定位置と、前記第1の燃料通路からの燃料が前記弁軸の前記第2の燃料通路に流入するのを阻止する、磁気的に固定する第2の固定位置との間を往復移動する弁ロータと、
e)検出される燃焼条件に応じて燃料ノズルに分配される燃料流量を調整するため前記弁ロータを前記第1および第2の固定位置に交互に固定する電磁手段と、
f)前記弁ロータを磁気的に固定する位置から他方の磁気的に固定する位置に交互に移動させるバネ手段と、
を備える請求項1記載の弁組み立て体。
【請求項8】
前記バネ手段が少なくとも1個の弁ロータと動作可能に組み合わされるねじりバネを備える請求項1記載の弁組み立て体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−68226(P2013−68226A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−278840(P2012−278840)
【出願日】平成24年12月21日(2012.12.21)
【分割の表示】特願2008−213564(P2008−213564)の分割
【原出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(591150029)デラヴァン・インコーポレーテッド (19)
【氏名又は名称原語表記】DELAVAN INCORPORATED
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年12月21日(2012.12.21)
【分割の表示】特願2008−213564(P2008−213564)の分割
【原出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(591150029)デラヴァン・インコーポレーテッド (19)
【氏名又は名称原語表記】DELAVAN INCORPORATED
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