説明

アクリル酸及び/又はメタクリル酸を含有する液体の精留分離方法

付加的に低分子アルデヒド及びアセトンを含有する、アクリル酸、メタクリル酸又はこれらの混合物を含有する液体を精留分離する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸の含有率が液体IIの全量に対して少なくとも10質量%であり、かつアクリル酸及び/又はメタクリル酸の他にアクロレイン及び/又はメタクロレインもアセトンも液体II中に含まれるアクリル酸及び/又はメタクリル酸の量に対して5質量%以下の全量で含有し、但し液体II中に含まれるアクロレインと液体II中に含まれるアセトンとの質量比は3.5とは異なり、かつアクリル酸及び/又はメタクリル酸を含有する別の液体Iにアクロレイン又はメタクロレインを純物質として添加せずに生じさせた液体IIの精留分離方法に関する。
【0002】
アクリル酸及びメタクリル酸は、それ自体でも又はそのエステルの形でも、特に種々の用途、例えば接着剤としての使用、超吸水性材料としての使用のためのポリマーの製造にとって特に重要であり、かつ特に、液相中でラジカル重合への高い傾向を示す。アクリル酸及び/又はメタクリル酸を含有する液体の安全な貯蔵は、それ自体は低温で重合阻害剤の添加下でのみ可能である。とりわけ、アクリル酸及びメタクリル酸は、3もしくは4個のC原子を含有する前駆化合物、例えばアルカン、アルカノール、アルケン及び/又はアルケナールの不均一系触媒による部分気相酸化により(又はこれらの混合物から)得られる。アクリル酸は、有利には、プロパン、プロペン及び/又はアクロレインの不均一系触媒による部分気相酸化により得られる。メタクリル酸は、有利には、t−ブタノール、イソブテン、イソブタン、イソブチルアルデヒド及び/又はメタクロレインの不均一系触媒による部分気相酸化により得られる。しかし、出発化合物としては、実際のC3/C4−出発化合物がこの不均一系触媒による部分気相酸化の間に最初に中間的に形成されるものも考えられる。例示として、t−ブタノールのメチルエステルが挙げられる。
【0003】
この場合、挙げられた出発ガスは、一般に不活性ガス、例えば窒素、CO2、他の飽和炭化水素、CO、希ガス(He、Arなど)及び/又は水蒸気で希釈され、酸素との混合物として、高められた温度(慣用的には、200〜400もしくは450℃)で、並びに場合により常圧を上回るまで高められた圧力で、好ましくは遷移金属(例えば、Mo、Fe及びBi、又はMo及びV、又はMo及びPを含有する)混合酸化物触媒上に通され、そして酸化的にアクリル酸及び/又はメタクリル酸に変換される(例えば、DE−A4405059、EP−A253409、EP−A092097、DE−A4431949、EP−A990636、EP−A1106598、EP−A1192987、EP−A529853、EP−A1350784、DE−A19855913及びDE−A10101695及びこれらの文献中に引用された従来技術を参照のこと)。
【0004】
一般に、アクリル酸の製造は、C4−前駆物質から出発するメタクリル酸の製造とは別個にC3−前駆物質から実施する。しかし、C3−前駆物質とC4−前駆物質とからの混合物から出発する場合、アクリル酸及びメタクリル酸を、気相触媒による部分酸化により混合物として製造することもできる。
【0005】
不均一系触媒による部分気相酸化の過程において進行する並行反応及び後続の数多くの反応のために、かつ併用されるべき不活性希釈ガス及び粗製アルカン、粗製アルカノール、粗製アルケン及び/又は粗製アルケナール(例えば、DE−A10245585、WO01/96270及びWO03/011804(例えば、ポリマーグレード又はケミカルグレードのプロピレンの使用)を参照のこと)中に含まれる不純物のために、アクリル酸及び/又はメタクリル酸が不均一系触媒による部分気相酸化の範囲において得られるだけでなく、アクリル酸及び/又はメタクリル酸及び不活性希釈ガスの他に、標的生成物として望まれるアクリル酸及び/又はメタクリル酸から除去しなければならない副生物を有する反応ガス混合物も得られる。
【0006】
慣用的には、このアクリル酸及び/又はメタクリル酸の、この不均一系触媒による部分気相酸化の反応ガス混合物からの分離は、最初にベースの分離においてアクリル酸及び/又はメタクリル酸を気相から液相に変換することにより実施する。
【0007】
このことは、例えば不均一系触媒による部分気相酸化の生成ガス混合物を、直接及び/又は間接冷却によりもたらすことができる凝縮段階に供することにより実施することができる。好ましくは、この凝縮段階は、分留により実施する(例えば、DE−A19924532、DE−A19924533、DE−A19740253、DE−A19627847及びDE−A10332758を参照のこと)。
【0008】
代替的に、アクリル酸及び/又はメタクリル酸の凝縮相への変換は、これらを不均一系触媒による部分気相酸化の反応ガス混合物から、好適な吸収剤中に吸収させることによってもできる(例えば、US2004/0242826、DE−A19606877、DE−A19631645、EP−A982289、EP−A982288、EP−A982287、EP−A792867、EP−A784046、DE−A10336386、DE−A4308087、DE−A2136396、EP−A648732(特に、実施例)、EP−A1125912、EP−A1212280を参照のこと)。
【0009】
この場合、吸収剤としては、例えば水、水溶液及び有機溶剤が挙げられる。この場合、有機吸収剤としては、沸点が標準条件(1バール)でアクリル酸及び/又はメタクリル酸の沸点を上回り、かつ好ましくは比較的疎水性であり、反応水の共吸収を実質的に防ぐものが好ましい。
【0010】
かかる好適な有機吸収剤は、例えば、70〜75質量%のジフェニルエーテルと25〜30質量%のジフェニルとの混合物、並びに0.1〜25質量%のo−ジメチルフタレートと75〜99.9質量%の上述のジフェニルエーテル/ジフェニル混合物との混合物である(例えば、DE−A4308087及びDE−A2136396を参照のこと)。
【0011】
無論、例えばEP−A784046並びにDE−A4436243に記載されているように、吸収及び凝縮を組み合わせても適用することができる。
【0012】
この凝縮物又は吸収質から、低沸点副成分を目的に応じてガス、例えば窒素又は空気を用いた脱着及び/又はストリッピングにより除去することができる。引き続いて、このアクリル酸及び/又はメタクリル酸を任意の純度で残留凝縮相から精留分離の順序を介して除去することができる。無論、このアクリル酸及び/又はメタクリル酸の精留分離をこの吸収質もしくは凝縮物から直接行うこともできる。気相から凝縮相への変換を、これがアクリル酸及び/又はメタクリル酸を比較的希釈形(例えば、30質量%の程度までのみ又は20質量%の程度までのみ、又は10質量%の程度までのみ)で有するように実施する場合、従来技術は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を、直接得られた凝縮相から好適な抽出剤を用いた抽出により前記抽出剤中に濃縮し(脱着及び/又はストリッピングの前又は後)(例えば、ドイツ民主共和国の特許文献54354及びEP−A312191を参照のこと)、次いでのこの抽出物から出発するアクリル酸及び/又はメタクリル酸の精留分離を行うことをも推奨している。
【0013】
液相を吸収剤として使用した場合、最初の精留分離工程は、共沸剤を用いた水の凝縮相からの除去であってよい(例えば、US2004/0242286、EP−A695736、EP−A778255、EP−A1041062、EP−A1070700を参照のこと)。
【0014】
上述の方法様式の欠点は、不均一系触媒による気相部分酸化の反応ガス混合物が、実質的に不可避的に依然としてアクリル酸及び/又はメタクリル酸の前駆体アルデヒド、すなわちアクロレイン及び/又はメタクロレインの残留物を含有することである。このことは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸の気相中の不均一系触媒による触媒酸化的製造が常に前駆体としての相応の前駆体アルデヒドを介して進行するという事実に起因する(例えば、JP−A7−10802を参照のこと)。
【0015】
このことは、例えばDE−A19539295によれば、アクリル酸及びメタクリル酸両方の重合の傾向が、最小量のそれらの前駆体アルデヒド(ppm範囲)の存在下でさえ実質的に増加する限り不利である。このことは、特に不利である。それというのも、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を含有する上述の凝縮相は、通常、一般的に、少量の相応の前駆体アルデヒドをも有するからであり(部分酸化に使用される原料の不純物に応じて、両方の前駆体アルデヒド、すなわちアクロレイン及びメタクロレインはアクリル酸の場合及びメタクリル酸の場合の両方に含まれることがある)、これは、特に精留の熱負荷下で、メタクリル酸及び/又はアクリル酸の他にアクロレイン及び/又はメタクロレインをも含有する液体の精留分離を不所望なポリマー形成のためにしばしば中断しなければならない原因である。
【0016】
この対策として、従来技術においては、不均一系触媒による気相部分酸化の条件も、アクリル酸及び/又はメタクリル酸の気相から液相への変換及びこの後者の後続の精留分離の前処理も、精留処理されるべきアクリル酸及び/又はメタクリル酸を含有する液体が可能な限り少量のアクロレイン及び/又はメタクリロレインならびに可能な限り少量のその他のアルデヒド性副生物、例えばホルムアルデヒド、グリオキサール、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド及びクロトンアルデヒド(これらは全て同様に重合促進作用を有する;但し、前駆体アルデヒドは(その物理的性質によっても)量及び作用に関して最も重要である)を含有するように実施することを推奨している。これに関して好適に選択されるべき影響量は、多金属酸化物触媒の選択、原料の選択、反応温度の選択、変換率の選択、反応ガス混合物における希釈度の選択、吸収剤の選択、吸収条件の選択などである。
【0017】
しかしながら、上述の全ての手段は欠点を有する。特に、純粋な原料は比較的高価である。
【0018】
アルデヒド性前駆化合物の目的生成物アクリル酸及び/又はメタクリル酸への高い変換率は、慣用的に、CO2及びH2Oへの完全燃焼の割合の増大を伴うことが必要である。脱着及び/又は低沸点ストリッピングにより生ずるアルデヒド含有率の減少は、通常はアクリル酸及び/又はメタクリル酸の損失を惹起する。高選択性多金属酸化物触媒は、一般に、その製造などにおいて比較的高価である。
【0019】
代替的に、従来技術においては、アルデヒド性副成分を、アミン基を有する化合物を用いた精留前処理により化学結合させることが推奨されている(例えば、EP−A312191、DE−A2207184、DE−A19539295、EP−A270999、DE−A19634614などを参照のこと)。
【0020】
しかしながら、これらの方法様式の欠点は、付加的な物質を必要とすることである。
【0021】
EP−A1041062においては、最初に、アクリル酸のC3−前駆化合物(特にプロピレン、アクロレイン及び/又はプロパン)からの気相触媒酸化的製造の際においてもメタクリル酸のC4−前駆化合物(特にイソブテン、メタクロレイン、t−ブタノール、イソブチルアルデヒド、イソブタン及び/又はt−ブタノールのメチルエーテル)からの気相触媒酸化的製造においても不可避的に形成される更なる副成分の役割が言及されている。この副成分はアセトンである。
【0022】
EP−A1041062並びに付属の異議文書(Einspruchsakte)の教示によれば、このアセトンは前駆体アルデヒドのアクロレイン及び/又はメタクロレインと同じ作用を有すると仮定されている。すなわち、アセトンの存在が不所望にアクリル酸及び/又はメタクリル酸のラジカル重合への傾向を、アクロレイン及び/又はメタクロレインと同様に凝縮相中で促進することが推定される。この場合、これに関して、アセトンと前駆体アルデヒドとの相乗相互作用さえ考えられる。
【0023】
しかし、このEP−A1041062に、これに応じて有意な実験的調査を含まない。アセトン及びC2〜C4−アルデヒド(特にアクロレイン及びメタクロレイン)の全量を、精留分離前に極めて顕著に低下させ、そしてかかる共同の低下の作用を確認することが単に推奨されているにすぎない。
【0024】
大規模な自社試験において、驚くべきことに、アセトンが、特に前駆体アルデヒドの存在下で、凝縮相中において、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のラジカル重合への傾向の促進作用を有するのではなく、むしろ多くの場合上述の内容においてアセトンは重合阻害作用の原因となり得ることを目下のところ見出した。
【0025】
これに応じて本発明によれば、アクリル酸及び/又はメタクリル酸の含有率が液体IIの全量に対して少なくとも10質量%であり、かつメタクリル酸及び/又はアクリル酸の他にアクロレイン及び/又はメタクロレインもアセトンも液体II中に含まれるアクリル酸及び/又はメタクリル酸の全量に対して5質量%以下の全量で含有し、但し液体II中に含まれるアクロレインと液体II中に含まれるアセトンとの質量比は3.5とは異なり、かつアクリル酸及び/又はメタクリル酸を含有する別の液体Iにアクロレイン又はメタクロレインを純物質として添加せずに生じさせた液体IIの改善された精留分離方法において、液体IIを精留塔中に通し、但しこの液体IIは、この液体II中に含まれるアクロレイン及びメタクロレインの全量に対して少なくとも10質量%のアセトンを含有することを特徴とする方法を見出した。
【0026】
本発明によれば、好ましくは、精留塔に供給される液体IIは、これに含まれるアクロレイン及びメタクロレインの全量に対して、少なくとも15質量%、有利には少なくとも20質量%、より有利には少なくとも25質量%、良好には少なくとも30質量%、更に良好には少なくとも35質量%、好ましくは少なくとも40質量%、特に好ましくは少なくとも45質量%、殊に好ましくは少なくとも50質量%のアセトンを含有する。
【0027】
すなわち、精留塔に供給される液体IIは、本発明にかかる方法のおいては、これに含まれるアクロレイン及びメタクロレインの全量に対して、少なくとも55質量%、又は少なくとも60質量%、又は少なくとも65質量%、又は少なくとも70質量%、又は少なくとも75質量%、又は少なくとも80質量%、又は少なくとも85質量%、又は少なくとも90質量%、又は少なくとも95質量%、又は少なくとも100質量%以上(例えば、少なくとも110質量%、又は少なくとも120質量%、又は少なくとも130質量%、又は少なくとも140質量%、又は少なくとも150質量%、又は少なくとも170質量%、又は少なくとも200質量%、又は少なくとも300質量%)のアセトンを含有してよい。
【0028】
一般に、本発明にかかる方法においては、精留塔に供給される液体IIは、これに含まれるアクロレイン及びメタクロレインの全量に対して、1000質量%以下、しばしば900質量%以下、多くの場合800質量%以下、頻繁に700質量%以下、部分的に600質量%以下、時折500質量%以下、環境によって400質量%以下のアセトンを含有する。
【0029】
このことはとりわけ、アセトンが、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のC3−及び/又はC4−前駆化合物の関連する部分酸化の範囲内で副生物として大量に形成されないことに帰する。外部の(すなわち、所望のアクリル酸及び/又はメタクリル酸をもたらす不均一系触媒による部分気相酸化それ自体から生じない)アセトンを液体II中に添加せずに本発明にかかる方法を実現するために、特に、部分気相酸化についても生成ガス混合物それ自体に含まれるアクリル酸及び/又はメタクリル酸の凝縮相への変換についても範囲条件の綿密な選択が要求される。
【0030】
好ましくは、アセトンの相対的濃縮を、有利にプロパンもしくはイソブテンから出発する適切に2段階で実施されるアクリル酸−及び/又はメタクリル酸前駆化合物の部分酸化のための多金属酸化物触媒の巧拙な選択により達成することができる。これに関して当業者にとっては相応の選択のために取り組まれる少数の試験で十分である。高められた反応温度は、一般にアセトン形成を促進する。これと同じことが、反応ガス出発混合物中のそれぞれの前駆体化合物の増大する含有率、並びに適用された不活性希釈ガスの低い比熱に当てはまる。更に、触媒床(本発明により、有利には触媒固定床)のそれぞれの前駆体化合物での負荷を、≧120Nl/l・h、もしくは≧130Nl/l・h、もしくは≧140Nl/l・h、もしくは≧150Nl/l・h、もしくは≧160Nl/l・hで選択することが有利である。一般に、上述の触媒固定床の負荷は、≦300Nl/l・h、しばしば≦250Nl/l・h、多くの場合≦200Nl/l・hである。
【0031】
アクリル酸の製造をプロピレンから出発する場合、最初の反応段階(プロピレンからアクロレイン)において、好ましくはMo、Bi及びFeを含有する多金属酸化物触媒を使用する。かかる触媒は、特にEP−A015565、EP−A575897、 DE−A19746210及びDE−A19855913のそれぞれに挙げられている。これらの多金属酸化物触媒は、イソブテンからのメタクロレインの気相触媒による酸化的製造の第1の酸化段階にも同様に好適である。第2の酸化段階(アクロレインからアクリル酸)においては、有利にはMo及びVを含有する多金属酸化物触媒を使用する。かかる触媒は、特にDE−A10046925、DE−A19815281、DE−A4335973、EP−A714700、EP−A668104、DE−A19736105、DE−A19740493及びDE−A19528646のそれぞれに挙げられている。
【0032】
本発明によれば、有利には、第2の酸化段階(アクロレインからアクリル酸)におけるアクロレイン変換率は、99.0〜99.9モル%、好ましくは99.3〜99.9モル%、特に好ましくは99.6〜99.9モル%である。
【0033】
上述の最大値は、例えば、第2の反応段階が、DE−A102004021764もしくはDE−A102004021763による少なくとも1つの後反応器を含む場合に達成することができる。代替的に、これらの文献に挙げられた従来技術による変法を適用することができる。
【0034】
第1の酸化段階におけるプロピレン変換率は、有利には≧94モル%で、かつ≦99モル%で選択する。DE−A2526238、EP−A092097、EP−A058927、DE−A4132263、DE−A4132684及びDE−A4022212からは、第2の酸化段階「メタクロレインからメタクリル酸」のための多金属酸化物触媒(好ましくはMo及びPを含有)を得ることができる。
【0035】
確かに、本発明にかかる方法に好適な液体IIを生じさせるために、この文献において既に選択された有機吸収剤を使用して、部分酸化の反応ガス混合物の気相からのアクリル酸及び/又はメタクリル酸を凝縮相に変換することも可能である。しかしながら、本発明によれば、好ましくは、この凝縮相への変換を、反応ガス混合物(それ自体、分離作用を示す内部構造物を収容した分離塔中を上昇する)の分留凝縮及び/又は水もしくは水溶液中への吸収(好ましくは向流で)により実施する。
【0036】
このことは、アセトンが水(これは向流する凝縮反応水及び/又は吸収の目的で導入された向流する外部水もしくは外部水溶液(これらは少なくとも80質量%まで、好ましくは少なくとも90質量%まで、特に好ましくは少なくとも95質量%まで水からなる)であることが望ましい)に特に高度な親和性を有することによる。少量の水性吸収剤は、本発明により好ましい。それというのも、これらはアセトンの相対的濃縮を高めるからである。
【0037】
本発明によれば、有利な水性吸収剤量は、例えば反応ガス混合物1Nm3当たり5〜10リットルであってよい。
【0038】
例えば、水性吸収剤としては:
アクリル酸0.1〜5質量%、
酢酸0.1〜10質量%、及び
水80〜99.8質量%
を含有する水溶液(本方法から得てよい)が好適である。
【0039】
アセトンの相対的濃縮の範囲においては、本発明によれば、分離作用を示す内部構造物を収容した分離塔の頂部で、その中を上昇する反応ガス混合物に向流する水相が60〜90℃の温度を有する場合に更に有利である。これ未満の温度は、本発明によりアセトンの吸収質中への相対的濃縮の範囲においてあまり好ましくない。
【0040】
このアセトンの更なる相対的濃縮は、得られた水性吸収質を、空気、窒素及び/又は他の不活性ガスを用いた脱着及び/又はストリッピングに好適な条件下で供することにより生じさせることができる。その際、このために使用される、分離作用を示す内部構造物を収容した分離塔中の底部温度も頂部温度も高すぎないことが有利である。本発明によれば、有利には、上述の温度は50〜75℃である。更に、本発明による範囲においては、この場合に適用される頂部圧力を低すぎずに選択すると有利である。好ましい頂部圧力は、600ミリバール〜1バールである。
【0041】
上述の様式により達せられるアセトンの相対的濃縮が十分でない場合(更なる濃縮可能性が低温でかつ低すぎない圧力での前精留に存在する場合)、本発明により処理されるべき液体に付加的にアセトンを添加してよい。この手段は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸の分離の更なる過程において望まれるアセトンの分離が精留により容易に達成可能である限り比較的懸念されない。
【0042】
すなわち、純粋なアクリル酸及び/又は純粋なメタクリル酸(しばしば「精製アクリル酸(glacial acrylic acid)」もしくは「精製メタクリル酸(glacial methacrylic acid)」)を達成するために必要な分離段階の数は、本発明にかかる方法においては、増大しない(通常、上述の純粋な酸は、≧99.8質量%のアクリル酸及び/又はメタクリル酸を含有する)。
【0043】
本発明にかかる方法では、特に、純粋なアクリル酸にアクロレイン及びアセトンを純粋物質(通常純度≧99.8質量%)として添加せずに生じさせた液体IIを適用可能であることが重要である。
【0044】
更に、本発明にかかる方法は、純粋なメタクリル酸にメタクロレイン及びアセトンを純粋物質として添加せずに生じさせた液体IIに適用することができる。
【0045】
特に、本発明にかかる方法は、液体IIに、これに含まれるアクロレイン及びメタクロレインの全量とこれに含まれるアセトンの全量との比が0.95〜1.07でない場合にも、適用することができる。
【0046】
また、本発明にかかる方法は、含まれるアクロレインとアセトアルデヒドとの質量比が10:1でなく、かつ12:1でないか又は10:1〜12:1でない液体IIに適用することができる。このことは、特に、液体IIにおいて、含まれるアクロレインと含まれるアセトンとの質量比が同時に(又は唯一)5:1もしくは3.5:1でないか又は同時に(又は唯一)3.5:1〜5:1でない場合に当てはまる。
【0047】
本発明にかかる方法は、特に、アクリル酸及び/又はメタクリル酸の含有率が、液体IIの全量に対して≧20質量%、又は≧30質量%、又は≧40質量%、又は≧50質量%、又は≧60質量%、又は≧70質量%、又は≧80質量%、又は≧90質量%、又は≧95質量%、又は≧98質量%である液体IIに適用することができる。
【0048】
一般に、本発明により処理されるべき液体IIのアクリル酸及び/又はメタクリル酸の含有率は、≦99質量%である。
【0049】
すなわち、本発明にかかる方法は、液体IIの全量に対して20〜65質量%、又は30〜65質量%、又は40〜65質量%、又は50〜65質量%のアクリル酸及び/又はメタクリル酸を含有する液体IIに好適である。
【0050】
しかし、液体IIの全量に対して70〜95質量%、又は72〜90質量%、又は75〜85質量%のアクリル酸及び/又はメタクリル酸を含有を含有する液体IIにも好適である。
【0051】
特に、本発明にかかる方法は、含水率が、液体IIの全量に対して30質量%未満か又はこれより多い(又は30質量%である)(水を含有する)液体IIに好適である。すなわち、本発明にかかる方法は、上述のような含水率が5〜28質量%、又は10〜25質量%、又は15〜20質量%である液体IIに適用することができる。しかし、上述のような含水率が32〜85質量%、又は35〜80質量%、又は40〜75質量%、又は45〜70質量%、又は50〜65質量%、又は55〜60質量%である液体IIにも適用することができる。しかし、上述の液体IIは、水に代えて、70〜75質量%のジフェニルエーテルと25〜30質量%のジフェニルとの混合物を含有してよい。無論、かかる水の代理物は、70〜75質量%のジフェニルエーテルと25〜30質量%のジフェニルとからの混合物、並びにこの混合物に対して0.1〜25質量%のジメチルフタレートであってもよい。
【0052】
更に、かかる水の代理物として、水と共沸剤、例えばヘプタン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、キシレン又はこれらの共沸剤の混合物とからの混合物も挙げられる。
【0053】
一般に、本発明により処理されるべき液体IIは、この液体II中に含まれるアクリル酸及び/又はメタクリル酸の量に対して、少なくとも10質量ppmのアクロレイン及び/又はメタクロレインを含有する。しばしば、本発明にかかる方法における上述のアクロレイン及び/又はメタクロレインの含有量は、少なくとも20質量ppm、又は少なくとも30質量ppm、又は少なくとも40質量ppm、又は少なくとも50質量ppm、又は少なくとも60質量ppm、又は少なくとも70質量ppm、又は少なくとも80質量ppm、又は少なくとも90質量ppm、又は少なくとも100質量ppmである。
【0054】
多くの場合、上述のアクロレイン及び/又はメタクロレインの含有量は、少なくとも150質量ppm、又は少なくとも250質量ppm、又は少なくとも300質量ppm、又は少なくとも400質量ppm、又は少なくとも500質量ppmである。しかしながら一般に、本発明により処理されるべき液体II中のアクロレイン及び/又はメタクロレインの上述の含有量は、≦20000質量ppm、多くの場合≦15000質量ppm、しばしば≦10000質量ppm、頻繁に≦7500質量ppm、もしくは≦5000質量ppmである。
【0055】
すなわち、本発明により処理されるべき液体IIのアクロレイン及び/又はメタクロレイン並びにアセトンの全含有量は、その全質量に対して、多くの場合≧10質量ppm〜≦4質量%、又は≧20質量ppm〜≦3質量%、又は≧30質量ppm〜≦2.5質量%、又は≧40質量ppm〜≦2質量%、又は≧50質量ppm〜≦1.5質量%、又は≧75質量ppm〜≦1質量%、又は≧100質量ppm〜≦0.5質量%である。
【0056】
本発明により処理されるべき液体IIは、アクロレイン及び/又はメタクロレインの他に、付加的に他のアルデヒド、例えばベンズアルデヒド及びフルフラールを含有してよい。液体IIのベンズアルデヒド及び/又はフルフラール(フルフラール−2、フルフラール−3)の含有量は、液体II中に含まれるアクリル酸及び/又はメタクリル酸の量に対して、それぞれ10質量ppm〜10000質量ppm、もしくは20質量ppm〜5000質量ppm、もしくは50〜3000質量ppmであってよい。
【0057】
本発明にかかる方法における液体IIは、付加的に更に低級アルデヒド、例えばホルムアルデヒド、グリオキサール、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド及びクロトンアルデヒドを含有してもよい。この場合、これらの量の割合は、上述の大きさと比較可能な大きさであってよい。
【0058】
本発明にかかる方法において反応塔に反応塔に供給される液体IIは、有利には、これに含まれるアルデヒドの全量に対して、少なくとも10質量%、又は少なくとも15質量%、有利には少なくとも20質量%、より有利には少なくとも25質量%、良好には少なくとも30質量%、更に良好には少なくとも35質量%、好ましくは少なくとも40質量ppm、特に好ましくは少なくとも45質量%、殊に好ましくは少なくとも50質量%のアセトンを含有する。しかしながら慣用的には、上述のアセトン含有率は、500質量%以下である。この場合、このアルデヒド含有率を、例えば、液体IIにこのアルデヒドに選択的に化学結合する作用物質を添加することにより集中的に低下させることができる。
【0059】
無論、本明細書中に言及したアクリル酸及び/又はメタクリル酸が液相中に含まれる全ての工程段階は、重合阻害剤の存在下で実施する。かかる重合阻害剤としては、特にヒドロキノン、フェノチアジン(PTZ)、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)並びにN−オキシル−ラジカル(US−A2004/0242826を参照のこと)が挙げられる。
【0060】
最後のものの中では、とりわけ4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル及び2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−N−オキシル(もしくはこれらの混合物)が好ましい。
【0061】
上述の重合阻害剤は、それぞれそれ自体又は種々の混合物としても使用することができる。慣用的には、これらは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を含有する液相の質量に対して100〜5000、好ましくは200〜1000質量ppmの全量で使用する。しかし無論、上述の重合阻害剤は、他の重合阻害剤系の成分としても使用することもできる。一般に、本発明にかかる精留の範囲においては、分子酸素も重合阻害剤として併用する。より簡単には、このことは、空気流を精留塔に導通させることにより可能である。
【0062】
本発明にかかる方法においては、液体IIの他に、還流液体を精留塔中で重合阻害することができる。
【0063】
アクリル酸及び/又はメタクリル酸の濃縮は、本発明にかかる液体IIの精留分離においては、精留塔の頂部でも底部でも実施することができる。しかし無論、精留塔の上方部、下方部又は中央部中でアクリル酸及び/又はメタクリル酸を濃縮して含有する留分を取り出すこともできる。
【0064】
本発明にかかる方法において精留塔中に通常に収容される分離作用を示す内部構造物は、本発明にかかる方法において、分離塔中で分離作用を示す熱交換及び酸素交換のための表面を増大するという目的を遂行する。かかる内部構造物としては、例えば充填物、塔充填物及び/又は物質交換トレイが挙げられる。最後のものは、例えば、シーブトレイ(強制式シーブトレイ(Zwangssiebboden)又はデュアルフロー(Dual-Flow)トレイ(噴霧式多孔トレイ))及び/又は泡鐘トレイであってよい。
【0065】
降下液体と上昇蒸気との間に平衡が存在する物質交換トレイは、理論段と称される。この概念は、向流精留に好適な分離作用を示す他の全ての内部構造物に適用することができる(例えば、充填物及び塔充填堆積物)。
【0066】
従って、本明細書においては、適切に殊に一般に理論分離段と称する。この場合、理論分離段は、熱力学的平衡に応じて濃縮作用を示す空間単位と規定される。
【0067】
液体IIの精留塔中への供給は、理論分離段の全数に対して(かつ下方から上方へ見て)、この精留塔の下方3分の1中でも上方3分の1中でも実施することができる。これに対応して、精留塔の中部の下方又は上方でも実施することができる。無論、液体IIの精留塔中への供給は、塔頂部で頂部生成物取出部の下方で実施することができる。
【0068】
本発明により適切には、液体IIの精留塔中への供給位置の上方で、本発明にかかる方法においては、少なくとも2つ、もしくは少なくとも4つ、もしくは少なくとも6つ、もしくは少なくとも8つ、もしくは少なくとも10つ、もしくは少なくとも12つの理論分離段が存在する。
【0069】
原則的に、液体IIの精留塔中への供給は、本発明にかかる方法においては、精留塔の底部中に直接実施することができる。還流比は、本発明にかかる方法においては、広範囲で変動してよい。これは例えば、2:1(取出量に対して2倍の還流)又はこれより大きいか又は小さくてよい。
【0070】
好ましくは、本発明にかかる方法は、減圧で実施する。本発明によれば、特に好適な頂部圧力は、≦500ミリバール、特に好ましくは10〜500ミリバール、しばしば10〜200ミリバール、好ましくは10〜190ミリバールもしくは150ミリバールまでである。精留塔にわたる圧力損失は、本発明にかかる方法のおいては、有利には300〜100、又は250〜150ミリバールである。
【0071】
精留塔の底部中の温度は、本発明にかかる方法においては、適切には50〜230℃、好ましくは70〜210℃、もしくは90〜190℃又は110〜170℃である。
【0072】
精留塔中の供給位置Zにおける液体IIは、本発明にかかる方法においては、80%を上回るまで、好ましくは85%を上回るまで、又は90%を上回るまで、又は95%を上回るまで、又は99%を上回るまでの全容量が凝縮相として存在する物質流と解されることが望ましい。
【0073】
慣用的には、本発明にかかる方法は、例えば、文献DE−A10347664及びDE−A10300816中に記載されている精留方法のとおりに実施することができる。本発明にかかる方法において分離されたアクリル酸及び/又はメタクリル酸は、本発明にかかる方法に引き続くポリマー製造方法においてかかるポリマー中にラジカル重合により導入されてよい。
【0074】
実施例
A)アクリル酸含有率>99.8質量%及びアルデヒド/ケトン含有率<10質量ppmである、それぞれ0.5mlの4つの差異のない試料を新たに準備した(蒸留、次いで凍結)。それぞれの試料を、25質量ppmのフェノチアジンを添加することにより重合阻害した。次いで、アセトン及び/又はアクロレインの添加により、以下の個々の試料の含有率に調整した:
試料1:添加せず;
試料2:アクロレイン1000質量ppm;
試料3:アクロレイン10000質量ppm;
試料4:アクロレイン1000質量ppm及びアセトン1000質量ppm。
【0075】
空気雰囲気下で、それぞれの試料を1.8mlのガラスアンプル中に移した。完了直後に、これらのアンプルを120℃で空冷乾燥棚中で回転させつつ貯蔵して完全な混合を確保した。
【0076】
次いで、それぞれの試料の完全な重合までの時間Tを視覚的に記録する。
【0077】
この試験順を3回繰り返し、かつこの場合以下のT値(分)が得られた:
【表1】

【0078】
B) A)に対応するように、メタクリル酸含有率>99.8質量%及びアルデヒド/ケトン含有率>10質量ppmである、それぞれ0.5mlの4つの差異のない試料を新たに準備した。それぞれの4つの試料を、10質量ppmのフェノチアジンを添加することにより重合阻害した。アセトン及び/又はメタクロレインの添加により、以下の個々の試料の含有率に調整した:
試料1:添加せず;
試料2:メタクロレイン10000質量ppm;
試料3:アセトン400質量ppm;
試料4:メタクロレイン1000質量ppm+アセトン1000質量ppm。
【0079】
次いで、A)において記載したように、それぞれの試料の完全重合までの時間T(分)を測定した。この試験順を同様に3回繰り返し、かつこの場合以下のT値(分)が得られた:
【表2】

【0080】
C)以下の精留試験を実施した:
I.頂部計量供給
使用された精留装置は:
− 250mlの容量を有する3口フラスコ;
− 21cmの長さまで環境に対して真空断熱された長さ32cmのVigreux塔;
− 3口フラスコの加熱用の油浴;
− 頂部計量供給の目的のための供給キャピラリーを有するニードルバルブ;
− 空気の計量供給の目的のための、3口フラスコ中において液相中に突出したキャピラリー;
− 頂部温度測定のための熱電対及び底部温度測定のための温度計;
を有した。
【0081】
A)のとおりに、アクリル酸含有率>99.8質量%を有する及びアルデヒド/ケトン含有率<10質量ppmを有する100gのアクリル酸を新たなに準備し(蒸留;次いで凍結)、次いで100質量ppmのフェノチアジン(PTZ)を添加し、そしてこの3口フラスコ中に装入した。
【0082】
更に、100質量ppmのフェノチアジンが添加された、60gの同じアクリル酸に、種々の量のアクロレイン、アセトン及び/又はアセトアルデヒドをドープした。
【0083】
100℃の浴温で、この3口フラスコ中で87℃の温度を達成した。133ミリバールの減圧の適用において、装入されたアクリル酸は83℃(気相の温度)の頂部温度で蒸留した。2:1の還流比に調節した(取出量に対して2倍の還流)。取り出されたアクリル酸の量を、ドープされたアクリル酸での頂部計量供給により補充した。
【0084】
この精留を、それぞれ60分にわたって連続的に操作した。次いで、それぞれ形成されたポリマーの量を秤量した。ポリマーの形成は、塔底及び塔頂において確認された。
【0085】
使用されたドーピングに依存して、以下の第1表に列記した結果が得られた:
第1表
【表3】

【0086】
II.塔中部計量供給
I.による試験を繰り返したが、但し供給キャピラリーを塔中部まで通した。
【0087】
使用されたドーピングに依存して、以下の第2表に列記した結果が得られた:
第2表
【表4】

【0088】
III.ドープされた底部装入物
I.による試験を繰り返した。しかしI.とは異なり、装入物に一緒にドープした。
【0089】
適用された装入物ドーピング及び/又は頂部供給物ドーピングに依存して、以下の第3表に列記した結果が得られた:
第3表
【表5】

【0090】
米国特許仮出願番号60/675087号(出願日2005年4月27日)は、本願において参照をもって開示されたものとする。
【0091】
上記の教示に関して、本発明の多様な変更および変化が可能である。
【0092】
従って、本発明は、特許請求の範囲内で、ここでの特定の記載とは異なるような構成から出発することもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル酸及び/又はメタクリル酸の含有率が液体IIの全量に対して少なくとも10質量%であり、かつメタクリル酸及び/又はアクリル酸の他にアクロレイン及び/又はメタクロレインもアセトンも液体II中に含まれるアクリル酸及び/又はメタクリル酸の量に対して5質量%以下の全量で含有し、但し液体II中に含まれるアクロレインと液体II中に含まれるアセトンとの質量比は3.5とは異なり、かつアクリル酸及び/又はメタクリル酸を含有する別の液体Iにアクロレイン又はメタクロレインを純物質として添加せずに生じさせた液体IIの精留分離方法において、液体IIを精留塔中に通し、但しこの液体IIは、この液体IIに含まれるアクロレイン及びメタクロレインの全量に対して少なくとも10質量%のアセトンを含有することを特徴とする方法。
【請求項2】
精留塔中に通される液体IIが、この液体II中に含まれるアクロレイン及びメタクロレインの全量に対して少なくとも20質量%のアセトンを含有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
精留塔中に通される液体IIが、この液体II中に含まれるアクロレイン及びメタクロレインの全量に対して少なくとも30質量%のアセトンを含有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
液体IIのアクリル酸及び/又はメタクリル酸の含有率が20〜99質量%であることを特徴とする、請求項1から3までの何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
液体IIのアクリル酸及び/又はメタクリル酸の含有率が20〜65質量%、又は70〜95質量%であることを特徴とする、請求項1から3までの何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
液体IIが水を含有することを特徴とする、請求項1から5までの何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
液体IIが水を30質量%より多く含有することを特徴とする、請求項1から6までの何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
液体IIが5〜≦30質量%の水を含有することを特徴とする、請求項1から6までの何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
液体IIが重合阻害剤として少なくとも1種のN−オキシル−ラジカルを添加されて含有することを特徴とする、請求項1から8までの何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
精留分離方法にポリマーの製造方法が引き続き、該方法において、精留分離されたアクリル酸及び/又はメタクリル酸をかかるポリマー中にラジカル重合により導入することを特徴とする、請求項1から9までの何れか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2008−539201(P2008−539201A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−508220(P2008−508220)
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【国際出願番号】PCT/EP2006/061843
【国際公開番号】WO2006/114428
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】