説明

アクリロニトリル共重合体組成物およびアクリロニトリル共重合体の製造方法

【課題】
レトルト食品包装材等に使用されるガスバリア性フィルムの塗工生産性が良好な、有機溶剤を媒体とするアクリロニトリル共重合体組成物を得ることである。
【解決手段】
アクリロニトリル単位を20〜100重量%含むアクリロニトリル共重合体セグメント20〜99重量%と、アクリル共重合体セグメント1〜80重量%を含むアクリロニトリル共重合体と、ケトン系有機溶剤を含有するアクリロニトリル共重合体組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクリロニトリル共重合体組成物に関し、特に、レトルト食品用包装材等に使用されるガスバリア性、耐レトルト性に優れたアクリロニトリル共重合体組成物に関する。さらに、本発明は、アクリロニトリル共重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ニトリル結合(C≡N)は凝集力が高く、ガスバリア性、レトルト性、水蒸気透過性に優れている。アクリロニトリルを使用した高ニトリル含量のアクリル共重合体は、安価でガスバリア性に優れたレトルト食品用包装材等に多く使用されている。
【0003】
レトルト食品用包装材等を製造する場合、コイルコーティング等による塗工により二軸延伸PETなどの基体フィルム上にアクリロニトリル共重合体を含むガスバリア層を形成する方法が均一で欠陥のない塗膜を形成しやすく、生産効率がよい。このためには、アクリロニトリル共重合体が揮散、蒸発性のよい有機溶剤に溶解または欠陥のない連続被膜形成可能な状態で分散、微粒子で乳化していることが望ましい。
【0004】
ところが、ガスバリアフィルムとして望ましいアクリロニトリル単独重合体およびアクリロニトリルを50%以上含有する高ニトリル含量アクリル共重合体は、塗料等コーティング材料に使用される一般的な有機溶剤に不溶であるか、または製造が困難であった。
【0005】
アクリロニトリルを60〜85重量%含むアクリル単量体を乳化重合したアクリロニトリル共重合体5重量%以上と、1,3−共役ジエンを含有する合成ゴムの存在下にアクリロニトリル60〜85重量%を含むアクリル単量体を乳化重合したアクリロニトリルグラフト共重合体とを含むガスバリア性に優るとされるニトリル系樹脂組成物が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1が提案する技術は、水を媒体とする乳化重合で製造されるため、例えば、PETを基体としてコイルコーティング等により連続生産される場合には、塗膜からの水の蒸発がネックとなって生産性が悪化することが懸念される。また、乳化重合により製造されるため、ガスバリア層には乳化重合で製造されたアクリロニトリル共重合体から持ち込まれる乳化剤が多く含まれ、耐湿性、水蒸気透過性が悪化する。さらに、アクリロニトリルを含むポリマーの成膜性が悪く、成膜が十分でない場合にはフィルムにブツが発生し、フィルムの透明性が損なわれる。
【0006】
アクリロニトリル単位を70重量%以上含むアクリル共重合体を構成成分とするガスバリア性フィルムが提案されている(特許文献2参照)。特許文献2で提案されている技術は、水を媒体とする塗剤を使用するため、例えば、ポリエステルフィルムを基体としてコイルコーティング等により連続生産される場合には、塗膜からの水の蒸発がネックとなって生産性が悪化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−148402号公報
【特許文献2】特開2001−88250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、レトルト食品包装材等に使用されるガスバリア性フィルムの塗工生産性が良好なアクリロニトリル共重合体組成物を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、アクリロニトリル単位を20〜100重量%含むアクリロニトリル共重合体セグメント20〜99重量%と、アクリル共重合体セグメント1〜80重量%を含むアクリロニトリル共重合体と、ケトン系有機溶剤を含有するアクリロニトリル共重合体組成物、および、アクリロニトリル単位を20〜100重量%含むアクリロニトリル共重合体セグメント20〜99重量%と、アクリル共重合体セグメント1〜80重量%を含むアクリロニトリル共重合体の製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアクリロニトリル共重合体組成物は、一分子中に、性質の異なるアクリロニトリル共重合体セグメントとアクリル共重合体セグメントを同時に有するため、成膜性、乾燥性、塗膜の平滑性に優れ、基体フィルム上に均一で欠陥のないガスバリア性、レトルト性、水蒸気透過性を有する塗膜を形成する。
【0011】
本発明のアクリロニトリル共重合体組成物は、基体フィルムとして多く使用されるポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン、ポリビニルアルコールなど、または、これらが酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の透明性の高いガスバリア性セラミックスで蒸着処理されたフィルムに対するヌレ性、親和性が高く、良好な接着性と加工性を有する。
【0012】
本発明のアクリロニトリル共重合体の製造方法は、成膜性、乾燥性、塗膜の平滑性に優れ、基体フィルム上に均一で欠陥のないガスバリア性、レトルト性、水蒸気透過性を有する塗膜を形成するアクリロニトリル共重合体を、効率的に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、アクリロニトリル単位を20〜100重量%含むアクリロニトリル共重合体セグメント20〜99重量%と、アクリル共重合体セグメント1〜80重量%を含むアクリロニトリル共重合体と、ケトン系有機溶剤を含有するアクリロニトリル共重合体組成物である。
【0014】
本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、アクリロニトリル共重合体のアクリロニトリル共重合体セグメントは、分子中にアクリロニトリル単位が20〜100重量%含まれ、好ましくは22〜98重量%、より好ましくは25〜95重量%、さらに好ましくは35〜85重量%含まれることが望ましい。
【0015】
本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、アクリロニトリル共重合体のアクリロニトリル共重合体セグメントは、もっとも好ましくは、分子中にアクリロニトリル単位が50〜85重量%含まれることが推奨される。
【0016】
のアクリロニトリル共重合体のアクリロニトリル共重合体セグメント中のアクリロニトリル単位の含有量が20重量%未満では、フィルムに塗布した場合、必要なガスバリア性が得られない。
【0017】
本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、アクリロニトリル共重合体のアクリロニトリル共重合体セグメントにおいて、では、分子中にアクリロニトリル単位が20〜100重量%含ま分子中にアクリロニトリル単位を好ましくは25〜100重量%含むことで、目的とする高性能なハイバリアフィルムがより容易に得られる傾向が見られる。
【0018】
本発明のアクリロニトリル共重合体では、もっとも好ましくは、アクリロニトリル共重合体セグメント中のアクリロニトリル単位の含有量が50〜85重量%のとき、ガスバリア性、レトルト性、水蒸気透過性などの諸性能が一段と優れたものとなる傾向が見られる。
【0019】
本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、アクリロニトリル共重合体が、アクリロニトリル単位を20〜100重量%含むアクリロニトリル共重合体セグメントとアクリル共重合体セグメントを有することで、両セグメント相互の非相溶性に基づく相分離構造が適度に保持され、分子中にアクリロニトリル単位を20〜100重量%含むアクリロニトリル共重合体セグメントのガスバリア性、耐レトルト性、水蒸気透過性などの優れた機能が強調されて発現される。本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、また、同時に、一分子中にアクリロニトリル共重合体セグメントとアクリル共重合体セグメントが有機的に結合した構造を有することで、均一で全光線透過率が高く、ヘイズが小さい透明性の高いガスバリアフィルムが製造できる。
【0020】
アクリロニトリル単位を20〜100重量%含むアクリロニトリル共重合体と、アクリル共重合体の単純混合物は、相溶性が乏しく、均一で全光線透過率が高く、基体フィルム上に塗布した場合、ヘイズが小さい透明性の高いガスバリアフィルムとは、ならない。
【0021】
本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、アクリロニトリル共重合体は、アクリロニトリル単位を20〜100重量%含むアクリロニトリル共重合体セグメントを20〜99重量%含み、好ましくは、25〜98重量%、より好ましくは、25〜97重量%含むのが望ましい。本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、アクリロニトリル単位を20〜100重量%含むアクリロニトリル共重合体セグメントの含有量が20重量%未満の場合には、期待する十分なガスバリア性、耐レトルト性が発揮されない。アクリロニトリル単位を20〜100重量%含むアクリロニトリル共重合体セグメントの含有量が99重量%を超える場合には、アクリロニトリル共重合体を製造する際にブツの発生が見られ、ゲル化等を起こしやすくなり、アクリロニトリル共重合体を有機溶剤中で沈殿、分離、ゲル化などを起こすことなく安定化するのが困難となる。
【0022】
本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、アクリロニトリル共重合体セグメントは、アクリロニトリルを20〜100重量%含むアクリル単量体が使用される。本発明のアクリロニトリル共重合体では、アクリロニトリル共重合体セグメントは、好ましくは、分子鎖末端にラジカル重合可能な(メタ)アクリロイル基を有する分子中にアクリロニトリル単位を20〜100重量%含むアクリルマクロモノマーであってもよい。
【0023】
本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、アクリロニトリル共重合体セグメントに使用されるアクリル単量体として、アクリロニトリル、および、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などのカルボキシル基含有アクリル単量体、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの水酸基含有アクリル単量体、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチルグリシジル、ビニルベンジルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有アクリル単量体、N−ビニル−2−ピロリドン、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、2−メタクリロイルオキシエチルエチレンウレア、ジメチルアミノエチルメタクリレートなどの窒素原子含有アクリル単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベンジル、イソボルニルアクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベンジル、イソボルニルメタクリレート、トリフルオロエチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル酸(フルオロ)アルキルエステル、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレートなどのジシクロペンテニル基を有するアクリル単量体、スチレン、酢酸ビニルなどのビニル化合物などが例示される。本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、アクリル単量体は単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。
【0024】
本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、アクリロニトリル共重合体セグメントに使用されるアクリロニトリル以外のアクリル単量体として、より好ましくは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチルなどのアルキル基の炭素原子数が1〜8個の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジルなどの架橋性官能基を有するアクリル単量体が使用されるのが望ましい。本発明のアクリロニトリル共重合体では、アクリロニトリル以外のアクリル単量体としてアルキル基の炭素原子数が1〜8個の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジルが使用されるとき、アクリロニトリルとの共重合性がよく、均一で緻密な塗膜を形成し、基体フィルムとの親和性、付着性が向上し、ガスバリア性、耐レトルト性が向上する傾向が見られる。
【0025】
本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、アクリロニトリル共重合体セグメントに使用されるアクリロニトリル以外のアクリル単量体として、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジルが使用されるとき、架橋剤として、例えば、メタキシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのポリイソシアネート化合物、分子中にイソシアネート基とアルコキシシラン基を併有するシランカップリング剤、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、メタキシレンジアミンなどのポリアミン化合物を使用することにより、ガスバリア性、水蒸気透過性などの性質が一段と向上する傾向が見られる。さらにまた、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムなどのガスバリア性セラミックスへの接着性が大きく改善、向上する傾向が見られる。
【0026】
本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、アクリロニトリル共重合体セグメントに使用されるアクリロニトリル以外のアクリル単量体として、さらにより好ましくは、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルが使用され、架橋剤として、好ましくは、メタキシレンジイソシアネートと3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどの分子中にイソシアネート基、アミノ基とアルコキシシラン基を有するシランカップリング剤が併有されるとき、ガスバリア性、水蒸気透過性などの性質が一段と向上する傾向が見られる。さらにまた、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムなどのガスバリア性セラミックスへの接着性が大きく改善、向上する傾向が見られる。
【0027】
本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、アクリロニトリル共重合体セグメントに使用されるアクリロニトリル以外のアクリル単量体として、さらにより好ましくは、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルが使用されるとき、有機溶剤中でのアクリロニトリル共重合体の製造が容易となり、ブツの発生、凝集、ゲル化等を起こしにくくなる傾向が見られる。また、本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、有機溶剤を媒体とするアクリロニトリル共重合体の安定性が良好となり、貯蔵経時で分離、粘度上昇、ゲル化等を起こしにくくなる傾向が見られる。
【0028】
本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、アクリロニトリル共重合体セグメントに使用されるアクリロニトリル以外のアクリル単量体として、さらにより好ましくは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルが使用されるとき、アクリロニトリル共重合体のガラス転移温度の調節が容易となり、アクリロニトリル共重合体セグメント分子中にアクリロニトリル単位を50重量%以上含む高ニトリル含量のアクリロニトリル共重合体が容易に設計、製造できる傾向が見られる。同時に、本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、アクリロニトリル共重合体セグメントに使用されるアクリロニトリル以外のアクリル単量体として、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルが使用されるとき、好ましく調節されたガラス転移温度により均一で欠陥のない塗膜を形成しやすくなる傾向が見られる。
【0029】
本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、アクリロニトリル共重合体セグメントとして好ましく使用される分子鎖末端にラジカル重合可能な(メタ)アクリロイル基を有する分子中に20〜100重量%のアクリロニトリル単位を含むアクリルマクロモノマーとして、「アロンマクロマーAN−6」(アクリロニトリル(25%)−スチレン(75%)共重合体のマクロモノマー)、「アロンマクロマーAN−6S」(アクリロニトリル(25%)−スチレン(75%)共重合体のマクロモノマーの50%トルエン溶液)(以上、東亞合成(株)社のマクロモノマー)などが例示される。本発明のアクリロニトリル共重合体では、アクリロニトリル共重合体セグメントとして使用される分子鎖末端にラジカル重合可能な(メタ)アクリロイル基を有する分子中に20重量%以上のアクリロニトリル単位を含むアクリルマクロモノマーは単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。
【0030】
本発明のアクリロニトリル共重合体組成物は、ケトン系有機溶剤を含む。
【0031】
本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、ケトン系有機溶剤として、アセトン、メチルアセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、メシチルオキシド、ホロン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノンなどが例示される。本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、ケトン系有機溶剤は、単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。
【0032】
本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、アクリロニトリル共重合体を製造するために、および、塗工作業性を良好とするために、ケトン系有機溶剤が使用される。本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、使用するケトン系有機溶剤量は、アクリロニトリル共重合体の製造に支障がなく、塗工作業性が良好である量である。
【0033】
本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、使用する有機溶剤量は、アクリロニトリル共重合体の濃度が、好ましくは、5〜60重量%、より好ましくは、10〜50重量%、さらに好ましくは、10〜45重量%となるように使用されるのが望ましい。本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、使用する有機溶剤量が、アクリロニトリル共重合体濃度が5〜60重量%となるように使用されれば、アクリロニトリル共重合体の製造、塗工作業に何らの問題がなく、均一で、欠点のないガスバリアフィルムが製造できる傾向が見られる。
【0034】
本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、アクリロニトリル共重合体は、好ましくは、アクリロニトリル共重合体セグメントを幹ポリマー、アクリル共重合体セグメントを枝ポリマーとするグラフト共重合体を含むことが望ましい。または、本発明のアクリロニトリル共重合体組成物は、アクリロニトリル共重合体は、好ましくは、アクリル共重合体セグメントを幹ポリマー、アクリロニトリル共重合体セグメントを枝ポリマーとするグラフト共重合体を含むことが望ましい。
【0035】
本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、アクリロニトリル共重合体セグメントを幹ポリマー、アクリル共重合体セグメントを枝ポリマーとするグラフト共重合体は、好ましくは、アクリロニトリル共重合体セグメント(幹ポリマー)を形成するアクリロニトリルを20〜100重量%含むアクリル単量体と、アクリル共重合体セグメント(枝ポリマー)となる分子鎖末端にラジカル重合可能な(メタ)アクリロイル基を有するアクリルマクロモノマーを使用するのが望ましい。
【0036】
本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、アクリル共重合体セグメントを幹ポリマー、アクリロニトリル共重合体セグメントを枝ポリマーとするグラフト共重合体は、好ましくは、アクリル共重合体セグメント(幹ポリマー)となるアクリル単量体と、アクリロニトリル共重合体セグメント(枝ポリマー)となる分子鎖末端にラジカル重合可能な(メタ)アクリロイル基を有する分子中にアクリロニトリル単位を20〜100重量%含むアクリルマクロモノマーを使用するのが望ましい。
【0037】
本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、アクリル共重合体セグメントにはアクリル単量体が使用される。本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、アクリル共重合体セグメントは、好ましくは、分子鎖末端にラジカル重合可能な(メタ)アクリロイル基を有するアクリルマクロモノマーであってもよい。
【0038】
本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、アクリル共重合体セグメントに好ましく使用される分子鎖末端にラジカル重合可能な(メタ)アクリロイル基を有するアクリルマクロモノマーとして、好ましくは、「アロンマクロマーAA−6」(ポリメタクリル酸メチルマクロモノマー)、「アロンマクロマー45%AA−6」(ポリメタクリル酸メチルマクロモノマーの45%トルエン溶液)、「アロンマクロマーAB−6」(ポリアクリル酸n−ブチルマクロモノマー)、「アロンマクロマーAS−6」(ポリスチレンマクロモノマー)、「アロンマクロマーAS−6S」(ポリスチレンマクロモノマーの50%トルエン溶液)(以上、東亞合成(株)社のアクリルマクロモノマー)などが例示される。本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、これらのアクリルマクロモノマーは単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。
【0039】
本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、分子鎖末端に(メタ)アクリロイル基を有するアクリルマクロモノマーのなかで、「アロンマクロマーAA−6」(ポリメタクリル酸メチルマクロモノマー)、「アロンマクロマー45%AA−6」(ポリメタクリル酸メチルマクロモノマーの45%トルエン溶液)、「アロンマクロマーAB−6」(ポリアクリル酸n−ブチルマクロモノマー)、「アロンマクロマーAS−6」(ポリスチレンマクロモノマー)、「アロンマクロマーAS−6S」(ポリスチレンマクロモノマーの50%トルエン溶液)はアクリル共重合体セグメントとして使用される。
【0040】
本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、アクリロニトリル共重合体を架橋し、強靱でガスバリア性や耐レトルト性、水蒸気透過性をより向上するために、好ましくは、硬化剤が使用される。本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、硬化剤として、好ましくは、トリレンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのポリイソシアネート、および、分子中にイソシアネート基とアルコキシシラン基を併有するシランカップリング剤、メタキシレンジアミン、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ化合物、および、分子中にアミノ基とアルコキシシラン基を併有するシランカップリング剤を使用するのが望ましい。本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、硬化剤は単独で使用しても、2種類以上の混合物であってもよい。
【0041】
本発明の第一のアクリロニトリル共重合体の製造方法は、アクリロニトリル単位を20〜100重量%含むアクリロニトリル共重合体セグメント20〜99重量%と、アクリル共重合体セグメント1〜80重量%を含むアクリロニトリル共重合体の製造方法であって、ケトン系有機溶剤を含む有機溶剤中で、分子鎖末端に(メタ)アクリロイル基を有するアクリルマクロモノマーの存在下、アクリロニトリルを20〜100重量%含むアクリル単量体をラジカル重合するアクリロニトリル共重合体の製造方法である。
【0042】
本発明の第一のアクリロニトリル共重合体の製造方法、第二のアクリロニトリル共重合体の製造方法とも、ケトン系有機溶剤を含む有機溶剤を使用する。
【0043】
本発明の第一のアクリロニトリル共重合体の製造方法では、ケトン系有機溶剤として、好ましくは、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系有機溶剤を使用する。
【0044】
本発明の第一のアクリロニトリル共重合体の製造方法では、アクリロニトリル共重合体を製造する際に使用するケトン系有機溶剤以外の有機溶剤として、例えば、エチルアルコール、n−ブチルアルコール、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルプロピレングリコール(以後、プロピレングリコールモノメチルエーテルとも言う)、ブチルプロピレングリコール(以後、プロピレングリコールモノブチルエーテルともいう)、エチレングリコールモノメチルエーテル(以後、メチルセロソルブとも言う)、エチレングリコールモノエチルエーテル(以後、エチルセロソルブとも言う)、エチレングリコールモノブチルエーテル(以後、ブチルセロソルブとも言う)などの有機溶剤を使用し、好ましくは、エチルアルコール、n−ブチルアルコール、メチルプロピレングリコール、エチルプロピレングリコール、ブチルプロピレングリコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、N−メチルピロリドンなどの極性溶剤を使用することが推奨される。本発明のアクリロニトリル共重合体の製造方法では、極性溶剤が使用されることにより、アクリロニトリル共重合体が有機溶剤中に微粒子で乳化される傾向が見られ、成膜性が向上し、均一で平滑性に優れた塗膜形成が容易になる傾向が見られる。
【0045】
本発明の第一のアクリロニトリル共重合体の製造方法では、アクリロニトリルを20〜100重量%含むアクリル単量体におけるアクリロニトリル以外の単量体として、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などのカルボキシル基含有アクリル単量体、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの水酸基含有アクリル単量体、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチルグリシジル、ビニルベンジルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有アクリル単量体、N−ビニル−2−ピロリドン、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、2−メタクリロイルオキシエチルエチレンウレア、ジメチルアミノエチルメタクリレートなどの窒素原子含有アクリル単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベンジル、イソボルニルアクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベンジル、イソボルニルメタクリレート、トリフルオロエチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル酸(フルオロ)アルキルエステル、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレートなどのジシクロペンテニル基を有するアクリル単量体、スチレン、酢酸ビニルなどのビニル化合物などが例示される。
【0046】
本発明の第一のアクリロニトリル共重合体の製造方法では、好ましくは、重合温度50〜120℃で、より好ましくは60〜90℃である。
【0047】
本発明の第一のアクリロニトリル共重合体の製造方法では、好ましくは、重合開始剤として、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどの有機過酸化物、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などの有機アゾ系重合開始剤を使用し、より好ましくは、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどの有機過酸化物を使用される。
【0048】
本発明の第一のアクリロニトリル共重合体の製造方法では、アクリロニトリル共重合体セグメントを幹ポリマー、アクリル共重合体セグメントを枝ポリマーとするグラフト共重合体は、好ましくは、ケトン系有機溶剤を含む有機溶剤中で、分子鎖末端にラジカル重合可能な(メタ)アクリロイル基を有するアクリルマクロモノマーの存在下に、アクリロニトリル共重合体セグメントに使用されるアクリロニトリルを20〜100重量%含むアクリル単量体をラジカル重合することで製造される。
【0049】
本発明の第二のアクリロニトリル共重合体の製造方法は、アクリロニトリル単位を20〜100重量%含むアクリロニトリル共重合体セグメント20〜99重量%と、アクリル共重合体セグメント1〜80重量%を含むアクリロニトリル共重合体の製造方法であって、ケトン系有機溶剤を含む有機溶剤中で、分子中にアクリロニトリル単位を20〜100重量%含む分子鎖末端に(メタ)アクリロイル基を有するアクリルマクロモノマーの存在下、アクリル単量体をラジカル重合するアクリロニトリル共重合体の製造方法である。
【0050】
本発明の第二のアクリロニトリル共重合体の製造方法では、好ましくは、アクリル共重合体セグメントを幹ポリマー、アクリロニトリル共重合体セグメントを枝ポリマーとするグラフト共重合体は、分子鎖末端にラジカル重合可能な(メタ)アクリロイル基を有する分子中にアクリロニトリル単位を20〜100重量%含むアクリルマクロモノマーの存在下に、アクリル共重合体セグメントに使用されるアクリル単量体をラジカル重合することで製造される。
【0051】
本発明の第二のアクリロニトリル共重合体の製造方法では、ケトン系有機溶剤として、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系有機溶剤を使用する。
【0052】
本発明の第二のアクリロニトリル共重合体組成物の製造方法では、ケトン系有機溶剤以外の有機溶剤として、酢酸エチル、酢酸ブチル、1,4−ジオキサン、ジメチルカーボネート、N−メチルピロリドン、メチルプロピレングリコール、エチルプロピレングリコール、ブチルプロピレングリコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどの、比較的低沸点で、揮散性がよく、極性が高い有機溶剤が推奨される。本発明の第二のアクリロニトリル共重合体組成物の製造方法では、有機溶剤は単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。
【0053】
本発明の第二のアクリロニトリル共重合体組成物の製造方法では、好ましくは、重合温度50〜120℃で、より好ましくは60〜90℃で、重合開始剤として、好ましくは、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどの有機過酸化物、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などの有機アゾ系重合開始剤を使用し、より好ましくは、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどの有機過酸化物を使用する。
【0054】
本発明の第二のアクリロニトリル共重合体の製造方法では、分子中にアクリロニトリル単位を20〜100重量%含む分子鎖末端に(メタ)アクリロイル基を有するアクリルマクロモノマーにおけるアクリロニトリル単位以外の構造単位として、好ましくは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ターシャリーブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ターシャリーブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどのアルキル基の炭素原子数が1〜8個の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、スチレンなどのラジカル重合可能なビニル単量体が例示される。本発明の第二のアクリロニトリル共重合体の製造方法では、ラジカル重合可能なビニル単量体は単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。
【0055】
本発明のアクリロニトリル共重合体組成物は、アクリロニトリル単位を20〜100重量%含むアクリロニトリル共重合体セグメントは、アクリル共重合体セグメントの作用により、ケトン系有機溶剤を含む有機溶剤中に、安定に溶解、乳化、可溶化、または、分散された形態で存在する。したがって、本発明のアクリロニトリル共重合体組成物では、アクリロニトリル共重合体セグメントが高アクリロニトリル含量であっても、有機溶剤中に凝集等の不具合を起こすことなく安定に溶解、乳化、可溶化、分散して存在し、これから製造されるガスバリアフィルム用コーティング剤は均一で欠陥のない透明性に優れたガスバリアフィルムを与える。
【実施例】
【0056】
以下に実施例で本発明の詳細を説明する。なお、以下の実施例では、評価方法、測定方法等を次の通りとした。
【0057】
1)外観
アクリロニトリル共重合体を100mLガラスビンに80mLとり、色、透明性、分離、沈殿を目視判定した。
【0058】
2)加熱残分(%)
JIS K 5407:1997にしたがって加熱残分を測定した。なお、測定は140℃で30時間加熱乾燥し行った。
【0059】
3)分子量
アクリロニトリル共重合体の重量平均分子量、数平均分子量を「HLC−8220GPCシステム」(東ソー(株)社のGPC装置)を使用し、キャリアにテトラヒドロフラン(THF)を使用し、分子量標準としてポリスチレン・スタンダードを使用して測定した。
【0060】
4)貯蔵安定性
アクリロニトリル共重合体を100mLガラスビンにとり、密栓して23℃で1ヶ月間静置した。分離、沈殿、増粘の程度を目視判定し、製造初期と変化がみられないものを合格とした。
【0061】
5)付着性
5−1)PETフィルムへの付着性
「ルミラーP60」(東レ(株)社製2軸延伸ポリエステルフィルム、厚み12μm)に乾燥膜厚が2μmになるようアクリロニトリル共重合体を含む塗料を塗布し、100℃で1分間乾燥した後、200℃で10秒間熱処理した。23℃で1週間養生した。この試験片を、JIS K 5400にしたがい、碁盤目テープ法で試験した。塗膜が剥がれなかった場合を合格(○)、少しでもはがれが見られる場合は不合格(×)とした。
【0062】
5−2)アルミニウム合金への付着性
JIS A−1100Pアルミニウム板をイソプロピルアルコールで脱脂した後、乾燥膜厚が2μmになるようアクリロニトリル共重合体を含む塗料を塗布し、100℃で1分間乾燥した後、23℃で1週間養生した。この試験片を、JIS K 5400にしたがい、碁盤目テープ法で試験した。塗膜が剥がれなかった場合を合格(○)、少しでもはがれが見られる場合は不合格(×)とした。
【0063】
6)全光線透過率(%)
「ルミラー P60」(東レ(株)社製2軸延伸ポリエステルフィルム、厚み12μm)に乾燥膜厚が1μmになるようアクリロニトリル共重合体を含む塗料を塗布し、100℃で1分間乾燥した後、200℃で10秒間熱処理し、試験用フィルムを作製した。このフィルムを使用しJIS K 6782にしたがって全光線透過率を測定した。全光線透過率が75%以上で合格(○)、それ以下の場合は不合格(×)とした。
【0064】
7)ヘイズ(%)
「ルミラー P60」(東レ(株)社製2軸延伸ポリエステルフィルム、厚み12μm)に乾燥膜厚が1μmになるようアクリロニトリル共重合体を含む塗料を塗布し、100℃で1分間乾燥した後、200℃で10秒間熱処理し、試験用フィルムを作製した。このフィルムを使用しJIS K 6782にしたがって測定した。ヘイズが10%以下の場合を合格(○)、それ以上は不合格(×)とした。
【0065】
8)酸素透過度(cc/m/day/atm)
「ルミラー P60」(東レ(株)社製2軸延伸ポリエステルフィルム、厚み12μm)に乾燥膜厚が2μmになるようアクリロニトリル共重合体を含む塗料を塗布し、100℃で1分間乾燥した後、200℃で10秒間熱処理し、23℃で1週間養生した。
【0066】
この塗装フィルムを使用し、JIS K 7126にしたがい、「OX−TRAN 2/21」(MOCON社製酸素透過率測定装置)を使用し、20℃、相対湿度85%の条件で酸素透過率を測定した。酸素透過度が110cc/m/day/atm以下のものを合格と判断した。
【0067】
実施例1
攪拌機、温度計、モノマー滴下装置、窒素ガス吹き込み口、コンデンサーを備えた500mL四つ口フラスコに、窒素ガスを吹き込みながら表1(1)のメチルエチルケトンを134.9g仕込んだ。以後のアクリロニトリル共重合体製造工程では、継続して窒素ガスを吹き込んだ。表1(2)のアクリル共重合体セグメントとして使用する「アロンマクロマーAA−6」(ポリメタクリル酸メチルマクロモノマー)(東亞合成(株)社の製品)を3.0gフラスコに仕込んだ。
【0068】
80℃(還流温度)に昇温し、表1(3)のアクリロニトリル共重合体セグメントに使用するアクリル単量体であるアクリロニトリル92.0g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル5.0g(混合モノマー中のアクリロニトリル含有量は、表1(3)B中のアクリロニトリル含有量(重量%)=94.8%)(アクリロニトリル共重合体に占めるアクリロニトリル共重合体セグメントの割合は、表1中(3)B/(A+B)(重量%)=97.0%)、および、メチルプロピレングリコール(プロピレングリコールモノメチルエーテルともいう)89.9g、重合開始剤である表1(4)の「パーブチルO」(日本油脂(株)社の重合開始剤(有機過酸化物)、t−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキサノエート)1.9gのモノマー、重合開始剤混合物をフラスコに3時間で滴下した。
【0069】
滴下終了後、2時間後に(5)の「パーブチルO」0.19g、メチルプロピレングリコール1.9gの混合物を添加し、3時間後に(6)の「パーブチルO」0.19g、メチルプロピレングリコール1.9gの混合物を、4時間後に(7)の「パーブチルO」0.19g、メチルプロピレングリコール1.9gの混合物を添加し、添加終了後さらに80℃で3時間重合を行い実施例1のアクリロニトリル共重合体G−1を製造した。
【0070】
アクリロニトリル共重合体G−1は、わずかに黄色みがある乳濁外観をしており、加熱残分30.6%で、貯蔵安定性も良好であった。アクリロニトリル共重合体G−1は、高アクリロニトリル含有量であるにもかかわらず、製造中に凝集、フラスコ壁やコンデンサーへのポリマーの析出、異常な発熱等のトラブルなく製造できた。
【0071】
表1に、実施例のアクリロニトリル共重合体G−1〜G−6の組成、特性値などを示した。表1中、(1)は、重合に使用した有機溶剤であるメチルエチルケトン、(2)にアクリル共重合体セグメントとして使用した分子鎖末端に(メタ)アクリロイル基を有するアクリルマクロモノマーである「アロンマクロマーAA−6」(ポリメタクリル酸メチルマクロモノマー;数平均分子量6000)(東亞合成(株)社の製品)、アクリル共重合体セグメントの使用量(重量%)、アクリル共重合体セグメント中のアクリロニトリル含有量を示した。表1中、(3)にアクリロニトリル共重合体セグメントに使用したアクリロニトリルを含むアクリル単量体、アクリロニトリル共重合体に占めるアクリロニトリル共重合体セグメントの割合であるB/(A+B)(重量%)、アクリロニトリル共重合体セグメント(B)中のアクリロニトリル含有量(重量%)を示した。また、表1中、(4)(5)(6)(7)には、アクリロニトリル共重合体を製造するために使用した重合開始剤である「パーブチルO」(日本油脂(株)社の重合開始剤(有機過酸化物)、t−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキサノエート)、および、希釈用の有機溶剤であるメチルプロピレングリコールを示した。(8)に製造したアクリロニトリル共重合体の特性(外観、加熱残分、貯蔵安定性)を示した。
【0072】
【表1】

【0073】
実施例2〜実施例6
表1に示した通り組成等を変える以外は、実施例1と同様にして実施例2〜実施例6のアクリロニトリル共重合体G−2〜G−6を製造した。アクリロニトリル共重合体G−2〜G−6の特性値等を表1(8)に示した。
【0074】
アクリロニトリル共重合体G−2〜G−6は、わずかに黄色みがある乳濁外観をしており、貯蔵安定性も良好であった。アクリロニトリル共重合体組成物G−2〜G−6は高アクリロニトリル含有量であるにもかかわらず、製造中に凝集、フラスコ壁やコンデンサーへのポリマーの析出、異常な発熱等のトラブルなく製造できた。
【0075】
実施例7
攪拌機、温度計、モノマー滴下装置、窒素ガス吹き込み口、コンデンサーを備えた500mL四つ口フラスコに、窒素ガスを吹き込みながら表2(1)のメチルエチルケトンを108.1g仕込んだ。以後のアクリロニトリル共重合体製造工程では、継続して窒素ガスを吹き込んだ。表1(2)のアクリロニトリル共重合体セグメントとして使用する「アロンマクロマーAN−6S」(東亞合成(株)社のポリスチレン(75%)−アクリロニトリル(25%)共重合体マクロモノマー;数平均分子量6000で50%トルエン溶液)を50.0gフラスコに仕込んだ。(アクリロニトリル共重合体セグメント中のアクリロニトリル含有量は、表2(2)B中のアクリロニトリル含有量(重量%)=25.0)である。)
【0076】
80℃(還流温度)に昇温し、表2(3)のアクリル共重合体セグメントに使用するアクリル単量体であるメタクリル酸メチル40.0g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル35.0g(混合モノマー中のアクリロニトリル含有量は、表2(3)A中のアクリロニトリル含有量(重量%)=0.0%)(アクリロニトリル共重合体に占めるアクリロニトリル共重合体セグメントの割合は、表2中(3)B/(A+B)(重量%)=25.0%)、および、重合開始剤である表2(4)の「パーブチルO」(日本油脂(株)社の重合開始剤(有機過酸化物)、t−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキサノエート)1.5gのモノマー、重合開始剤混合物をフラスコに3時間で滴下した。
【0077】
実施例1と同様の方法で、滴下終了後、2時間後、3時間後、4時間後に、(5)、(6)、(7)の「パーブチルO」0.15g、メチルエチルケトン5.0gの混合物を添加し、添加終了後さらに80℃で3時間重合を行い実施例1のアクリロニトリル共重合体G−7を製造した。
【0078】
アクリロニトリル共重合体G−7は、無色透明な外観で、加熱残分40.6%で、貯蔵安定性も良好であった。重量平均分子量は4.8万、数平均分子量は2.2万であった。アクリロニトリル共重合体G−7は高アクリロニトリル含有量であるにもかかわらず、着色がなく、透明性も良好であった。また、製造中に凝集、フラスコ壁やコンデンサーへのポリマーの析出、異常な発熱等のトラブルなく製造できた。
【0079】
表2に、実施例のアクリロニトリル共重合体G−7〜G−10の組成、特性値などを示した。表2中、(1)は、重合に使用した有機溶剤であるメチルエチルケトン、メチルプロピレングリコール、(2)にアクリロニトリル共重合体セグメントとして使用した分子鎖末端に(メタ)アクリロイル基を有するアクリルマクロモノマーである「アロンマクロマーAN−6S」(アクリロニトリル(25%)−スチレン(75%)共重合体のマクロモノマーの50%トルエン溶液)(東亞合成(株)社のマクロモノマー)、アクリロニトリル共重合体セグメントの使用量(重量%)、アクリロニトリル共重合体セグメント中のアクリロニトリル含有量を示した。表2中、(3)にアクリル共重合体セグメントに使用したアクリル単量体、アクリロニトリル共重合体に占めるアクリロニトリル共重合体セグメントの割合であるB/(A+B)(重量%)、アクリル共重合体セグメント(A)中のアクリロニトリル含有量(重量%)を示した。また、表2中、(4)(5)(6)(7)には、アクリロニトリル共重合体を製造するために使用した重合開始剤である「パーブチルO」(日本油脂(株)社の重合開始剤(有機過酸化物)、t−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキサノエート)、および、希釈用の有機溶剤であるメチルエチルケトンを示した。(8)に製造したアクリロニトリル共重合体の特性(外観、加熱残分、貯蔵安定性を示した。
【0080】
【表2】

【0081】
実施例8〜実施例10
表2に示した通り組成等を変える以外は、実施例7と同様にして実施例8〜実施例10のアクリロニトリル共重合体G−8〜G−10を製造した。アクリロニトリル共重合体G−8〜G−10の特性値等を表2(8)に示した。
【0082】
アクリロニトリル共重合体G−8〜G−10は、無色透明な乳濁外観をしており、貯蔵安定性も良好であった。アクリロニトリル共重合体組成物G−8〜G−10はアクリロニトリル共重合体セグメントを多量含んでいるのも係わらず、製造中に凝集、フラスコ壁やコンデンサーへのポリマーの析出、異常な発熱等のトラブルなく製造できた。
【0083】
比較例1
攪拌機、温度計、モノマー滴下装置、窒素ガス吹き込み口、コンデンサーを備えた500mL四つ口フラスコに、窒素ガスを吹き込みながら表3(1)のメチルエチルケトンを131.1g仕込んだ。以後のアクリロニトリル共重合体製造工程では、継続して窒素ガスを吹き込んだ。表4(2)の「アロンマクロマーAA−6」(東亞合成(株)社のポリメタクリル酸メチルマクロモノマー)を0.5gフラスコに仕込んだ。80℃(還流温度)に昇温し、表4(3)のアクリロニトリル共重合体セグメントに使用するアクリル単量体であるアクリロニトリル49.5g、メタクリル酸メチル50.0g(混合モノマー中のアクリロニトリル含有量は、表3(3)B中のアクリロニトリル含有量(重量%)=49.7%)(アクリロニトリル共重合体に占めるアクリロニトリル共重合体セグメントの割合は、表3中(3)B/(A+B)(重量%)=99.5%)、(4)の「パーブチルO」(日本油脂(株)社の重合開始剤(有機過酸化物)、t−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキサノエート)3.0gのモノマー、重合開始剤混合物をフラスコに3時間で滴下した。滴下終了後、2時間後、3時間後、4時間後に、(5)、(6)、(7)の「パーブチルO」0.30g、メチルエチルケトン5.0gの混合物を添加し、添加終了後さらに80℃で3時間重合を行い比較例1のアクリロニトリル共重合体G−11の製造を試みた。
【0084】
アクリロニトリル共重合体G−11は、表3(3)のアクリロニトリル共重合体セグメントに使用するアクリル単量体滴下中に白濁、ポリマーがフラスコ壁に析出して製造できなかった。
【0085】
アクリロニトリル共重合体G−11の製造では、アクリロニトリル共重合体に占めるアクリル共重合体セグメントとなる分鎖末端に(メタ)アクリロイル基を有するアクリルマクロモノマーの使用量が0.5重量%と少ないために、アクリロニトリル共重合体製造時の重合安定化ができなかったためである。
【0086】
表3に、比較例のアクリロニトリル共重合体G−11〜G−15の組成、特性値などを示した。表3中、(1)は重合に使用した有機溶剤であるメチルエチルケトン、(2)にアクリル共重合体セグメントとして使用した分子鎖末端に(メタ)アクリロイル基を有するアクリルマクロモノマーである「アロンマクロマーAA−6」(ポリメタクリル酸メチルマクロモノマー;数平均分子量6000)(東亞合成(株)社の製品)、「アロンマクロマーAN−6S」(東亞合成(株)社のポリスチレン(75%)−アクリロニトリル(25%)共重合体マクロモノマー;数平均分子量6000で50%トルエン溶液)、アクリル共重合体セグメントの使用量(重量%)、アクリル共重合体セグメント中のアクリロニトリル含有量を示した。表3中、(3)にアクリロニトリル共重合体セグメントに使用したアクリロニトリルを含むアクリル単量体、アクリロニトリル共重合体に占めるアクリロニトリル共重合体セグメントの割合であるB/(A+B)(重量%)、アクリロニトリル共重合体セグメント(B)中のアクリロニトリル含有量(重量%)を示した。また、表3中、(4)(5)(6)(7)には、アクリロニトリル共重合体を製造するために使用した重合開始剤である「パーブチルO」(日本油脂(株)社の重合開始剤(有機過酸化物)、t−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキサノエート)、および、希釈用の有機溶剤であるメチルエチルケトンを示した。(8)に製造したアクリロニトリル共重合体の特性(外観、加熱残分、貯蔵安定性、重量平均分子量、数平均分子量)を示した。
【0087】
比較例2〜比較例5
表3に示した通り組成等を変える以外は、比較例1と同様にして比較例2〜比較例5のアクリロニトリル共重合体G−12〜G−15の製造を試みた。しかしながら、比較例2のアクリロニトリル共重合体G−12の製造では、アクリロニトリル共重合体に占めるアクリル共重合体セグメントとなる分鎖末端に(メタ)アクリロイル基を有するアクリルマクロモノマーの使用量が85重量%と多すぎるために、アクリロニトリル共重合体製造時の重合安定化ができず、高粘度となってゲル化し、製造できなかった。アクリロニトリル共重合体G−13〜G−15の特性値等を表3(8)に示した。
【0088】
比較例3のアクリロニトリル共重合体G−13は、アクリロニトリル共重合体セグメントに含まれるアクリロニトリル単位が14.3%と少なく、比較例4のアクリロニトリル共重合体G−14は、分子鎖末端に(メタ)アクリロイル基を有する分子中に20重量%以上のアクリロニトリル単位を含むアクリルマクロモノマーである「アロンマクロマーAN−6S」(東亞合成(株)社のポリスチレン(75%)−アクリロニトリル(25%)共重合体マクロモノマー;数平均分子量6000で50%トルエン溶液)をアクリロニトリル共重合体セグメントと見なし、使用しているが、使用量が15重量%と斗少なくなっている。比較例5のアクリル共重合体G−15は、アクリロニトリル共重合体にアクリロニトリルが使用されていない。
【0089】
比較例3、4、5のアクリロニトリル共重合体G−13、14、15は、塗料等に使用される、いわゆる一般的なアクリル樹脂であり、製造中に凝集、フラスコ壁やコンデンサーへのポリマーの析出、異常な発熱等のトラブルなく製造できた。
【0090】
【表3】

【0091】
表4に実施例1〜実施例10のアクリロニトリル共重合体G−1〜G10を使用した塗料の試験結果を示した。
【0092】
ここで、試験に使用した塗料は、アクリロニトリル共重合体G−1〜G10をメチルエチルケトン/メチルプロピレングリコール(=80/20重量%)の混合溶剤で、加熱残分が15%となるよう希釈し、これに3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランを加熱残分の0.5重量%になるよう添加し、さらにメタキシレンジイソシアネートをメタキシレンジイソシアネートのNCO基とアクリロニトリル共重合体G−1〜G10の水酸基のモル数比(NCOインデックス)が1.0/1.0となるよう添加し、攪拌、混合した塗料を使用した。
【0093】
表4に示した通り、アクリロニトリル共重合体セグメント量が多いアクリロニトリル共重合体G−1〜G−6を使用した塗料は、全ての試験において優秀な性能を発揮した。ことさら、ガスバリア性(酸素透過度)では、このままで食品の長期保存が可能なレベルのガスバリア性を有していた。アクリロニトリル共重合体G−1〜G−6を使用した塗料は、簡単な製造方法で透明性の高いガスバリアフィルムが製造可能であり、工業的に極めて魅力的なものとなった。
【0094】
【表4】

【0095】
表5に、比較例3〜比較例5のアクリロニトリル共重合体G−13〜G−15を使用した塗料の試験結果を示した。アクリロニトリル共重合体G−11、G−12は製造できなかったため、試験を行うことができなかった。
【0096】
ここで、試験に使用した塗料は、アクリロニトリル共重合体G−13〜G15をメチルエチルケトン/メチルプロピレングリコール(=80/20重量%)の混合溶剤で、加熱残分が15%となるよう希釈し、攪拌、混合した塗料を使用した。
【0097】
表5に示した通り、いずれの塗料も、期待すべきガスバリア性(酸素透過度)は、基体フィルム(「”ルミラー“ P60」(東レ(株)社製2軸延伸ポリエステルフィルム、厚み12μm))の酸素透過度(約150)に比し大差なく、改善されていなかった。
【0098】
表5に示した通り、アクリロニトリル共重合体G−13を使用した塗料は透明性(全光線透過率)以外の試験項目は評価に値しないものであった。とくに、中途半端にアクリロニトリル共重合体セグメントにアクリロニトリルを含むため(14.3%)、塗膜に濁りが発生しヘイズが悪化した。
【0099】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリロニトリル単位を20〜100重量%含むアクリロニトリル共重合体セグメント20〜99重量%と、アクリル共重合体セグメント1〜80重量%を含むアクリロニトリル共重合体と、ケトン系有機溶剤を含有するアクリロニトリル共重合体組成物。
【請求項2】
アクリロニトリル単位を20〜100重量%含むアクリロニトリル共重合体セグメント20〜99重量%と、アクリル共重合体セグメント1〜80重量%を含むアクリロニトリル共重合体の製造方法であって、ケトン系有機溶剤を含む有機溶剤中で、分子鎖末端に(メタ)アクリロイル基を有するアクリルマクロモノマーの存在下、アクリロニトリルを20〜100重量%含むアクリル単量体をラジカル重合するアクリロニトリル共重合体の製造方法。
【請求項3】
アクリロニトリル単位を20〜100重量%含むアクリロニトリル共重合体セグメント20〜99重量%と、アクリル共重合体セグメント1〜80重量%を含むアクリロニトリル共重合体の製造方法であって、ケトン系有機溶剤を含む有機溶剤中で、分子中にアクリロニトリル単位を20〜100重量%含む分子鎖末端に(メタ)アクリロイル基を有するアクリルマクロモノマーの存在下、アクリル単量体をラジカル重合するアクリロニトリル共重合体の製造方法。

【公開番号】特開2010−241991(P2010−241991A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93752(P2009−93752)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(000187046)東レ・ファインケミカル株式会社 (153)
【Fターム(参考)】