説明

アクリロニトリル化合物の結晶およびその製造方法

【課題】 (E)−2−(4−tert−ブチルフェニル)−2−シアノ−1−(1、3、4−トリメチルピラゾール−5−イル)ビニル=2、2-ジメチルプロピオナートの結晶、その製造方法およびそれを含有する懸濁状組成物を提供する。
【解決手段】 (E)−2−(4−tert−ブチルフェニル)−2−シアノ−1−(1、3、4−トリメチルピラゾール−5−イル)ビニル=2、2-ジメチルプロピオナートの低融点晶または高融点晶。該低融点晶および分散媒を含有する保存安定性の良好な懸濁状組成物。該高融点晶および分散媒を含有する保存安定性の良好な懸濁状組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(E)−2−(4−tert−ブチルフェニル)−2−シアノ−1−(1、3、4−トリメチルピラゾール−5−イル)ビニル=2、2-ジメチルプロピオナート(一般名:シエノピラフェン。以下、化合物Aと称する。)の結晶、その製造方法およびそれを含有する懸濁状組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化合物Aは公知であり、殺虫、殺ダニ活性を有することが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−201280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、化合物Aの新規な結晶およびその製造方法を提供することである。本発明のもう一つの目的は、化合物Aを含有する保存安定性の向上した懸濁状組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは鋭意検討した結果、化合物Aの新規な結晶を見出した。また、それら結晶を特定の重量比率で含有する化合物Aを用いて懸濁状組成物を調製した場合に、該懸濁状組成物の保存安定性が著しく向上することを見出した。
【0006】
即ち、本発明は下記〔1〕から〔15〕に関するものである。
【0007】
〔1〕 粉末X線回折において回折角2θ=8.52、10.08、11.84、13.12に特徴的ピークを有する(E)−2−(4−tert−ブチルフェニル)−2−シアノ−1−(1、3、4−トリメチルピラゾール−5−イル)ビニル=2、2-ジメチルプロピオナートの低融点晶。
【0008】
〔2〕 粉末X線回折において回折角2θ=4.72、8.92、9.76、22.32に特徴的ピークを有する(E)−2−(4−tert−ブチルフェニル)−2−シアノ−1−(1、3、4−トリメチルピラゾール−5−イル)ビニル=2、2-ジメチルプロピオナートの高融点晶。
【0009】
〔3〕 (E)−2−(4−tert−ブチルフェニル)−2−シアノ−1−(1、3、4−トリメチルピラゾール−5−イル)ビニル=2、2-ジメチルプロピオナートの溶液を調製し、それを冷却して晶析させる上記〔2〕記載の高融点晶の製造方法。
【0010】
〔4〕 高融点晶または該高融点晶と低融点晶との混合物の懸濁液を調製し、該懸濁液を静置または撹拌する上記〔1〕記載の低融点晶の製造方法。
【0011】
〔5〕 (E)−2−(4−tert−ブチルフェニル)−2−シアノ−1−(1、3、4−トリメチルピラゾール−5−イル)ビニル=2、2-ジメチルプロピオナートの溶液を調製し、それを冷却することによる晶析の段階で、低融点晶を種晶として加える上記〔1〕記載の低融点晶の製造方法。
【0012】
〔6〕 (E)−2−(4−tert−ブチルフェニル)−2−シアノ−1−(1、3、4−トリメチルピラゾール−5−イル)ビニル=2、2-ジメチルプロピオナートの溶液を調製し、それを冷却することによる晶析の段階で、低融点晶を種晶として加え、その後静置または撹拌する上記〔1〕記載の低融点晶の製造方法。
【0013】
〔7〕 高融点晶もしくは該高融点晶と低融点晶との混合物またはそれらの懸濁液に、熱を加える上記〔1〕記載の低融点晶の製造方法。
【0014】
〔8〕 高融点晶または該高融点晶と低融点晶との混合物の懸濁液を湿式粉砕する上記〔1〕記載の低融点晶の製造方法。
【0015】
〔9〕 高融点晶または該高融点晶と低融点晶との混合物を乾式粉砕する上記〔1〕記載の低融点晶の製造方法。
【0016】
〔10〕 上記〔1〕記載の低融点晶および分散媒を含有する懸濁状組成物。
【0017】
〔11〕 上記〔1〕記載の低融点晶、界面活性剤および分散媒として水を含有する水性懸濁状組成物。
【0018】
〔12〕 上記〔2〕記載の高融点晶および分散媒を含有する懸濁状組成物。
【0019】
〔13〕 上記〔2〕記載の高融点晶、界面活性剤および分散媒として水を含有する水性懸濁状組成物。
【0020】
〔14〕 低融点晶の含有率が50〜100重量%である(E)−2−(4−tert−ブチルフェニル)−2−シアノ−1−(1、3、4−トリメチルピラゾール−5−イル)ビニル=2、2-ジメチルプロピオナートおよび分散媒を含有する上記〔10〕または〔11〕記載の懸濁状組成物。
【0021】
〔15〕 高融点晶の含有率が99.9〜100重量%である(E)−2−(4−tert−ブチルフェニル)−2−シアノ−1−(1、3、4−トリメチルピラゾール−5−イル)ビニル=2、2-ジメチルプロピオナートおよび分散媒を含有する上記〔12〕または〔13〕記載の懸濁状組成物。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、化合物Aの結晶形を制御することが可能となる。また、本発明の化合物Aを含有する懸濁状組成物は保存安定性が良好であり、経時的に化合物Aの懸濁粒子が成長することが抑制され、その結果、化合物Aの懸濁粒子の成長に起因する殺虫、殺ダニ活性の低下の問題も生じない。
【発明を実施するための形態】
【0023】
化合物Aの低融点晶と高融点晶の特徴を第1表に示す。
【0024】

第1表
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
DSCによる融解ピーク 結晶形状 特徴的粉末X線回折ピーク
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
低融点晶 103−106℃ 板状 2θ=8.52、10.08、
11.84、13.12
高融点晶 107−110℃ 柱状 2θ=4.72、8.92、
9.76、22.32
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
第1表に示したDSCによる融解ピークと粉末X線回折ピークの測定条件は以下の通りである。
〔DSC測定〕(空気中で測定)
機種名:エスアイアイ・ナノテクノロジー製 DSC 6200
比較物質:アルミナ
サンプルパン:アルミニウム
サンプリング速度:0.5秒
昇温速度:3.0℃/分
〔粉末X線回折〕
装置:MX Labo(マックサイエンス社製)
X線源:Cu
電圧:40kV
電流:30mA
データ範囲:2θ=3〜60deg
サンプリング間隔:0.04deg
スキャン速度:4.8deg/min

化合物Aの高融点晶は、以下の方法で製造することができる。化合物Aを溶媒に加温して溶解し、得られた溶液を除々に冷却して結晶化させることにより化合物Aの高融点晶が得られる。溶媒としては、化合物Aに対して不活性な溶媒であればよく、例えば、ジエチルエ−テル、メチル−t−ブチルエ−テル、テトラヒドロフラン、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、エチレングリコ−ルジメチルエ−テル、エチレングリコ−ルジエチルエ−テル、エチレングリコ−ルジブチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジエチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジブチルエ−テル、トリエチレングリコ−ルジメチルエ−テル、1,4−ジオキサン等のエ−テル類、メタノ−ル、エタノ−ル、1−プロパノ−ル、2−プロパノ−ル、1−ブタノ−ル、2−ブタノ−ル、イソブタノ−ル、2−メチル−2−プロパノ−ル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、i−プロピルセロソルブ、ジエチレングリコ−ルモノメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルモノエチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルモノブチルエ−テル、シクロヘキサノ−ル、ベンジルアルコ−ル等のアルコ−ル類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラヒドロナフタリン等の芳香族炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素等の尿素類、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含イオウ系極性溶媒、ピリジン、2−ピコリン、3−ピコリン、4−ピコリン、5−エチル−2−ピコリン等のピリジン類などを用いることができる。これらの溶媒の中では、脂肪族炭化水素類または芳香族炭化水素類が好ましく、ヘプタンまたはトルエンが特に好ましい。化合物Aを溶媒に溶解させる温度は、通常30〜100℃である。冷却する速度は、通常0.1〜20℃/時である。
【0025】
化合物Aの低融点晶は、以下の方法で製造することができる。
【0026】
(1)懸濁液法:
化合物Aの高融点晶を溶媒に仕込み、得られた懸濁液を一定時間静置または撹拌することにより、化合物Aの低融点晶が得られる。溶媒としては、上記した高融点晶の製造で用いる溶媒を用いることができる。これらの溶媒の中では、脂肪族炭化水素類または芳香族炭化水素類が好ましく、ヘプタン、キシレンまたはトルエンが特に好ましい。静置または攪拌時の懸濁液の温度は通常−20〜100℃である。純度の高い低融点晶を得るためには静置または攪拌時間は長い程よく、通常1時間以上静置または攪拌する。
【0027】
また、高融点晶から低融点晶への転化速度を大きくするためには、化合物Aの高融点晶の懸濁液に低融点晶を加えて、一定時間静置または撹拌するとよい。この場合、通常1時間以上静置または攪拌する。
【0028】
(2)晶析法:
化合物Aを溶媒に加温して溶解し、得られた溶液を徐々に冷却する。冷却の途中で化合物Aの低融点晶を少量加えることにより結晶化を開始させる。その後、徐々に温度を下げることにより、化合物Aの低融点晶が得られる。溶媒としては、上記した高融点晶の製造で用いる溶媒を用いることができる。これらの溶媒の中では、脂肪族炭化水素類または芳香族炭化水素類が好ましく、ヘプタン、キシレンまたはトルエンが特に好ましい。化合物Aを溶媒に溶解させる温度は、通常20〜100℃である。化合物Aの低融点晶を加える時の溶液温度は、通常30〜70℃である。冷却する速度は、通常0.1〜20℃/時である。
【0029】
(3)晶析法+懸濁液法:
上記晶析法において、化合物Aの低融点晶と高融点晶の混合物が得られた場合には、得られた懸濁液を一定時間静置または撹拌することにより、高融点晶が低融点晶に転化して純度の高い低融点晶を得られる。
【0030】
(4)加熱法:
化合物Aの高融点晶または高融点晶と低融点晶の混合物を加熱することにより、低融点晶に転移させることができる。加温方法としては、高温不活性気体と接触による方法、加熱装置が装着された混合機で混合する方法が挙げられる。また、化合物Aの高融点晶または高融点晶と低融点晶の混合物の懸濁液を加熱することによっても、低融点晶に転化させることができる。
【0031】
(5)湿式粉砕法:
化合物Aの高融点晶または高融点晶と低融点晶の混合物の懸濁液を湿式粉砕することにより、低融点晶に転化させることができる。湿式粉砕機としては、インラインミルまたはビーズミル等を用いることができる。
【0032】
(6)乾式粉砕法:
化合物Aの高融点晶または高融点晶と低融点晶の混合物を乾式粉砕することにより、低融点晶に転化させることができる。乾式粉砕機としては、ハンマーミル、ピンミル、ジェットミル、ボールミルまたはロールミル等を用いることができる。
【0033】
次に、本発明の化合物Aの低融点晶または高融点晶を含有する懸濁状組成物(以下、本発明組成物と称する。)について詳しく説明する。
【0034】
本発明組成物は、その分散媒として水または化合物Aが溶解し難い有機液体を用いることができる。該有機液体としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールおよびイソプロパノール等のアルコール類、ブチルセロソルブ等のエーテル、シクロヘキサノン等のケトン、γ−ブチロラクトン等のエステル、N−メチルピロリドンおよびN−オクチルピロリドン等の酸アミド、キシレン、アルキルベンゼン、フェニルキシリルエタンおよびアルキルナフタレン等の芳香族炭化水素、マシン油、ノルマルパラフィン、イソパラフィンおよびナフテン等の脂肪族炭化水素、ケロシン等の芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素の混合物、大豆油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油、綿実油およびヒマシ油等の油脂が挙げられる。
【0035】
化合物Aの低融点晶または高融点晶の含有量は、本発明組成物100重量部に対して、通常0.1〜50重量部、より好ましくは1〜30重量部である。
【0036】
化合物Aの低融点晶を含有する懸濁状組成物は、化合物Aの懸濁粒子の経時的な成長が抑制される。また、低融点晶の含有率が50〜100重量%である化合物Aを含有する懸濁状組成物も、化合物Aの懸濁粒子の経時的な成長が抑制される。
【0037】
化合物Aの高融点晶を含有する懸濁状組成物は、化合物Aの懸濁粒子の経時的な成長が抑制される。また、高融点晶の含有率が99.9〜100重量%である化合物Aを含有する懸濁状組成物も、化合物Aの懸濁粒子の経時的な成長が抑制される。
【0038】
本発明組成物は、化合物A以外に、更にもう1種以上の公知の農薬、例えば除草剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、抗ウイルス剤、植物成長調節剤、殺菌剤、共力剤、誘引剤および忌避剤などを含有することもでき、この場合には一層優れた防除効果を示すことがある。公知の農薬として、特に好ましいものは、殺菌剤、殺バクテリア剤、殺線虫剤、殺ダニ剤及び殺虫剤である。具体的にその一般名を例示すれば以下の通りである。
【0039】
殺菌剤:アシベンゾラール(acibenzolar)、アムプロピルホス(ampropyfos)、アニラジン(anilazine)、アザコナゾール(azaconazole)、アゾキシストロビン(azoxystrobin)、ベナラキシル(benalaxyl)、ベノダニル(benodanil)、ベノミル(benomyl)、ベンザマクリル(benzamacril)、ビナパクリル(binapacryl)、ビフェニル(biphenyl)、ビテルタノール(bitertanol)、ベトキサジン(bethoxazine)、ボルドー液(bordeaux mixture)、ブラストサイジン−S(blasticidin-S)、ブロモコナゾール(bromoconazole)、
ブピリメート(bupirimate)、ブチオベート(buthiobate)、カルシウムポリスルフィド(calcium polysulfide)、キャプタフォール(captafol)、キャプタン(captan)、カッパーオキシクロリド(copper oxychloride)、カルプロパミド(carpropamid)、カルベンダジン(carbendazim)、カルボキシン(carboxin)、キノメチオネート(chinomethionat)、クロベンチアゾン(chlobenthiazone)、クロルフェナゾール(chlorfenazol)、クロロネブ(chloroneb)、クロロタロニル(chlorothalonil)、クロゾリネート(chlozolinate)、クフラネブ(cufraneb)、
シモキサニル(cymoxanil)、シプロコナゾール(cyproconazol)、シプロジニル(cyprodinil)、シプロフラム(cyprofuram)、デバカルブ(debacarb)、ジクロロフェン(dichlorophen)、ジクロブトラゾール(diclobutrazol)、ジクロフラニド(dichlofluanid)、ジクロメジン(diclomezine)、ジクロラン(dicloran)、ジエトフェンカルブ(diethofencarb)、ジクロシメット(diclocymet)、ジフェノコナゾール(difenoconazole)、ジフルメトリン(diflumetorim)、ジメチリモール(dimethirimol)、
ジメトモルフ(dimethomorph)、ジニコナゾール(diniconazole)、ジニコナゾール−M(diniconazole-M)、ジノカップ(dinocap)、ジフェニルアミン(diphenylamine)、ジピリチオン(dipyrithione)、ジタリムホス(ditalimfos)、ジチアノン(dithianon)、ドデモルフ(dodemorph)、ドジン(dodine)、ドラゾクソロン(drazoxolon)、エデフェノホス(edifenphos)、エポキシコナゾール(epoxiconazole)、エタコナゾール(etaconazole)、エチリモル(ethirimol)、エトリジアゾール(etridiazole)、ファモキサゾン(famoxadone)、フェナリモル(fenarimol)、フェブコナゾール(febuconazole)、フェンフラム(fenfuram)、
フェンピクロニル(fenpiclonil)、フェンプロピジン(fenpropidin)、フェンプロピモルフ(fenpropimorph)、フェンチン(fentin)、フェルバン(ferbam)、フェリムゾン(ferimzone)、フルアジナム(fluazinam)、フルジオキソニル(fludioxonil)、フルオロイミド(fluoroimide)、フルキンコナゾール(fluquinconazole)、フルシラゾール(flusilazole)、フルスルファミド(flusulfamide)、フルトラニル(flutolanil)、フルトリアフォール(flutriafol)、フォルペット(folpet)、フォセチル−アルミニウム(fosetyl-aluminium)、フベリダゾール(fuberidazole)、フララキシル(furalaxyl)、フェナミドン(fenamidone)、フェンヘキサミド(fenhexamid)、
グアザチン(guazatine)、ヘキサクロロベンゼン(hexachlorobenzene)、ヘキサコナゾール(hexaconazole)、ヒメキサゾール(hymexazol)、イマザリル(imazalil)、イミベンコナゾール(imibenconazole)、イミノクタジン(iminoctadine)、イプコナゾール(ipconazole)、イプロベンホス(iprobenfos)、イプロジオン(iprodione)、イソプロチオラン(isoprothiolane)、イプロバリカルブ(iprovalicarb)、
カスガマイシン(kasugamycin)、クレソキシム−メチル(kresoxim-methyl)、マンカッパー(mancopper)、マンゼブ(mancozeb)、マンネブ(maneb)、メパニピリム(mepanipyrim)、メプロニル(mepronil)、メタラキシル(metalaxyl)、メトコナゾール(metconazole)、メチラム(metiram)、メトミノストロビン(metominostrobin)、ミクロブタニル(myclobutanil)、ナバム(nabam)、ニッケルビス(ジメチルジチオカーバメート)(nickel bis(dimethyldithiocarbamate))、ニトロタール−イソプロピル(nitrothal-isopropyl)、ヌアリモル(nuarimol)、オクチリノン(octhilinone)、オフレース(ofurace)、オキサジキシル(oxadixyl)、オキシカルボキシン(oxycarboxin)、オキポコナゾールフマール酸塩(oxpoconazole fumarate)、
ペフラゾエート(pefurzoate)、ペンコナゾール(penconazole)、ペンシクロン(pencycuron)、フタライド(phthalide)、ピペラリン(piperalin)、ポリオキシン(polyoxins)、プロベナゾール(probenazole)、プロクロラズ(prochloraz)、プロシミドン(procymidone)、プロパモカルブ塩酸塩(propamocarb hydrochloride)、プロピコナゾール(propiconazole)、プロピネブ(propineb)、ピラゾホス(pyrazophos)、ピリフェノックス(pyrifenox)、ピリメタニル(pyrimethanil)、ピロキロン(pyroquilon)、キノキシフェン(quinoxyfen)、キントゼン(quintozene)、
硫黄(sulfur)、スピロキサミン(spiroxamine)、テブコナゾール(tebuconazole)、テクナゼン(tecnazene)、テトラコナゾール(tetraconazole)、チアベンダゾール(thiabendazole)、チフルザミド(thifluzamide)、チオファネート−メチル(thiophanate-methyl)、チラム(thiram)、トルクロホス−メチル(tolclofos-methyl)、トリルフラニド(tolylfluanid)、
トリアジメホン(triadimefon)、トリアジメノール(toriadimenol)、トリアゾキシド(triazoxide)、トリシクラゾール(tricyclazole)、トリデモルフ(tridemorph)、トリフルミゾール(triflumizole)、トリホリン(triforine)、トリチコナゾール(triticonazole)、バリダマイシン(validamycin)、ビンクロゾリン(vinclozolin)、ジネブ(zineb)、ジラム(ziram)、オキシン銅(oxine-copper)。
【0040】
殺バクテリア剤:ストレプトマイシン(streptomycin)、オキシテトラサイクリン(oxytetracycline)、オキソリニックアシド(oxolinic acid)。
【0041】
殺線虫剤:アルドキシカルブ(aldoxycarb)、フォスチアゼート(fosthiazate)、フォスチエタン(fosthietan)、オキサミル(oxamyl)、フェナミホス(fenamiphos)。
【0042】
殺ダニ剤:アミトラズ(amitraz)、ブロモプロピレート(bromopropylate)、チノメチオネート(chinomethionat)、クロロベンジラート(chlorobezilate)、クロフェンテジン(clofentezine)、サイヘキサチン(cyhexatine)、ジコフォール(dicofol)、ジエノクロール(dienochlor)、エトキサゾール(etoxazole)、フェナザキン(fenazaquin)、フェンブタチンオキシド(fenbutatin oxide)、フェンプロパトリン(fenpropathrin)、フェンプロキシメート(fenproximate)、ハルフェンプロックス(halfenprox)、ヘキシチアゾックス(hexythiazox)、ミルベメクチン(milbemectin)、プロパルギット(propargite)、ピリダベン(pyridaben)、ピリミジフェン(pyrimidifen)、テブフェンピラド(tebufenpyrad)。
【0043】
殺虫剤:アバメクチン(abamectin)、アセフェート(acephate)、アセタミピリド(acetamipirid)、アジンホス−メチル(azinphos-methyl)、ベンジオカルブ(bendiocarb)、ベンフラカルブ(benfuracarb)、ベンスルタップ(bensultap)、ビフェントリン(bifenthrin)、ブプロフェジン(buprofezin)、ブトカルボキシン(butocarboxim)、カルバリル(carbaryl)、カルボフラン(carbofuran)、カルボスルファン(carbosulfan)、カルタップ(cartap)、クロルフェナピル(chlorfenapyr)、クロルピリホス(chlorpyrifos)、クロルフェンビンホス(chlorfenvinphos)、クロルフルアズロン(chlorfluazuron)、クロチアニジン(clothianidin)、クロマフェノジド(chromafenozide)、クロピリホス−メチル(chlorpyrifos-methyl)、シフルトリン(cyfluthrin)、ベータ−シフルトリン(beta-cyfluthrin)、シペルメトリン(cypermethrin)、シロマジン(cyromazine)、
シハロトリン(cyhalothrin)、ラムダ−シハロトリン(lambda-cyhalothrin)、デルタメトリン(deltamethrin)、ジアフェンチウロン(diafenthiuron)、ダイアジノン(diazinon)、ジアクロデン(diacloden)、ジフルベンズロン(diflubenzuron)、ジメチルビンホス(dimethylvinphos)、ジオフェノラン(diofenolan)、ジスルフォトン(disulfoton)、ジメトエート(dimethoate)、EPN、エスフェンバレレート(esfenvalerate)、エチオフェンカルブ(ethiofencarb)、エチプロール(ethiprole)、エトフェンプロックス(etofenprox)、エトリムホス(etrimfos)、フェニトロチオン(fenitrothion)、フェノブカルブ(fenobucarb)、フェノキシカーブ(fenoxycarb)、フェンプロパトリン(fenpropathrin)、フェンバレレート(fenvalerate)、フィプロニル(fipronil)、フルシトリネート(flucythrinate)、フルフェノクスウロン(flufenoxuron)、フルフェンプロックス(flufenprox)、タウ−フルバリネート(tau-fluvalinate)、ホノホス(fonophos)、フォルメタネート(formetanate)、フォルモチオン(formothion)、フラチオカルブ(furathiocarb)、
ハロフェノジド(halofenozide)、ヘキサフルムロン(hexaflumuron)、ヒドラメチルノン(hydramethylnon)、イミダクロプリド(imidacloprid)、イソフェンホス(isofenphos)、インドキサカルブ(indoxacarb)、イソプロカルブ(isoprocarb)、イソキサチオン(isoxathion)、ルフェヌウロン(lufenuron)、マラチオン(malathion)、メタルデヒド(metaldehyde)、メタミドホス(methamidophos)、メチダチオン(methidathion)、メタクリホス(methacrifos)、メタルカルブ(metalcarb)、メソミル(methomyl)、メソプレン(methoprene)、メトキシクロール(methoxychlor)、メトキシフェノジド(methoxyfenozide)、モノクロトホス(monocrotophos)、ムスカルーレ(muscalure)、ニテンピラム(nitenpyram)、オメトエート(omethoate)、オキシデメトン−メチル(oxydemeton-methyl)、オキサミル(oxamyl)、
パラチオン(parathion)、パラチオン−メチル(parathion-methyl)、ペルメトリン(permethrin)、フェントエート(phenthoate)、フォキシム(phoxim)、ホレート(phorate)、ホサロン(phosalone)、ホスメット(phosmet)、ホスファミドン(phosphamidon)、ピリミカルブ(pirimicarb)、ピリミホス−メチル(pirimiphos-methyl)、プロフェノホス(profenofos)、ピメトロジン(pymetrozine)、ピラクロホス(pyraclofos)、ピリプロキシフェン(pyriproxyfen)、ロテノン(rotenone)、スルプロホス(sulprofos)、シラフルオフェン(silafluofen)、スピノサド(spinosad)、スルホテップ(sulfotep)、テブフェノジド(tebfenozide)、テフルベンズロン(teflubenzuron)、テフルトリン(tefluthorin)、テルブホス(terbufos)、テトラクロロビンホス(tetrachlorvinphos)、チオジカルブ(thiodicarb)、チアメトキサム(thiamethoxam)、チオファノックス(thiofanox)、チオメトン(thiometon)、トルフェンピラド(tolfenpyrad)、トラロメスリン(tralomethrin)、トリクロルホン(trichlorfon)、トリアズロン(triazuron)、トリフルムロン(triflumuron)、バミドチオン(vamidothion)。
【0044】
本発明組成物では、必要に応じて界面活性剤を加えることも可能である。それらの界面活性剤としては、以下の(A)、(B)、(C)、(D)および(E)が挙げられる。
【0045】
(A)ノニオン性界面活性剤:
(A−1)ポリエチレングリコール型界面活性剤:例えば、ポリオキシエチレンアルキル(例えばC8〜18)エーテル、アルキルナフトールのエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレン(モノまたはジ)アルキル(例えばC8〜12)フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(モノまたはジ)アルキル(例えばC8〜12)フェニルエーテルのホルマリン縮合物、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)フェニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)ベンジルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレン(モノ、ジまたはトリ)ベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテルのポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、アルキル(例えばC8〜18)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテル、アルキル(例えばC8〜12)フェニルポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテル、ポリオキシエチレンビスフェニルエーテル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸(例えばC8〜18)モノエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸(例えばC8〜18)ジエステル、ポリオキシエチレンソルビタン(モノ、ジまたはトリ)脂肪酸(例えばC8〜18)エステル、グリセロール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、ヒマシ油エチレンオキサイド付加物、硬化ヒマシ油エチレンオキサイド付加物、アルキル(例えばC8〜18)アミンエチレンオキサイド付加物および脂肪酸(例えばC8〜18)アミドエチレンオキサイド付加物等。
【0046】
(A−2)多価アルコール型界面活性剤:例えば、グリセロール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸(例えばC8〜18)エステル、ソルビタン(モノ、ジまたはトリ)脂肪酸(例えばC8〜18)エステル、ショ糖脂肪酸エステル、多価アルコールアルキルエーテル、アルキルグリコシド、アルキルポリグリコシドおよび脂肪酸アルカノールアミド等。
【0047】
(A−3)アセチレン系界面活性剤:例えば、アセチレングリコール、アセチレンアルコール、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物およびアセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物等。
【0048】
(B)アニオン性界面活性剤:
(B−1)カルボン酸型界面活性剤:例えば、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリマレイン酸、ポリ無水マレイン酸、マレイン酸または無水マレイン酸とオレフィン(例えばイソブチレンおよびジイソブチレン等)との共重合物、アクリル酸とイタコン酸の共重合物、メタアクリル酸とイタコン酸の共重合物、マレイン酸または無水マレイン酸とスチレンの共重合物、アクリル酸とメタアクリル酸の共重合物、アクリル酸とアクリル酸メチルエステルとの共重合物、アクリル酸と酢酸ビニルとの共重合物、アクリル酸とマレイン酸または無水マレイン酸の共重合物、ポリオキシエチレンアルキル(例えばC8〜18)エーテル酢酸、N−メチル−脂肪酸(例えばC8〜18)サルコシネート、樹脂酸および脂肪酸(例えばC8〜18)等のカルボン酸、並びにそれらカルボン酸の塩。
【0049】
(B−2)硫酸エステル型界面活性剤:例えば、アルキル(例えばC8〜18)硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル(例えばC8〜18)エーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレン(モノまたはジ)アルキル(例えばC8〜12)フェニルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレン(モノまたはジ)アルキル(例えばC8〜12)フェニルエーテルのポリマーの硫酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)フェニルフェニルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)ベンジルフェニルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテルのポリマーの硫酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーの硫酸エステル、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステル、硫酸化脂肪酸および硫酸化オレフィン等の硫酸エステル、並びにそれら硫酸エステルの塩。
【0050】
(B−3)スルホン酸型界面活性剤:例えば、パラフィン(例えばC8〜22)スルホン酸、アルキル(例えばC8〜12)ベンゼンスルホン酸、アルキル(例えばC8〜12)ベンゼンスルホン酸のホルマリン縮合物、クレゾールスルホン酸のホルマリン縮合物、α−オレフィン(例えばC8〜16)スルホン酸、ジアルキル(例えばC8〜12)スルホコハク酸、リグニンスルホン酸、ポリオキシエチレン(モノまたはジ)アルキル(例えばC8〜12)フェニルエーテルスルホン酸、ポリオキシエチレンアルキル(例えばC8〜18)エーテルスルホコハク酸ハーフエステル、ナフタレンスルホン酸、(モノまたはジ)アルキル(例えばC1〜6)ナフタレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、(モノまたはジ)アルキル(例えばC1〜6)ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、クレオソート油スルホン酸のホルマリン縮合物、アルキル(例えばC8〜12)ジフェニルエーテルジスルホン酸、イゲポンT(商品名)、ポリスチレンスルホン酸およびスチレンスルホン酸とメタアクリル酸の共重合物等のスルホン酸、並びにそれらスルホン酸の塩。
【0051】
(B−4)燐酸エステル型界面活性剤:例えば、アルキル(例えばC8〜12)燐酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル(例えばC8〜18)エーテル燐酸エステル、ポリオキシエチレン(モノまたはジ)アルキル(例えばC8〜12)フェニルエーテル燐酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)アルキル(例えばC8〜12)フェニルエーテルのポリマーの燐酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)フェニルフェニルエーテル燐酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)ベンジルフェニルエーテル燐酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテル燐酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテルのポリマーの燐酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーの燐酸エステル、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールイミンおよび縮合燐酸(例えばトリポリリン酸等)等の燐酸エステル、並びにそれら燐酸エステルの塩。
【0052】
上記の(B−1)〜(B−4)における塩の対イオンとしては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウムおよびカリウム等)、アルカリ土類金属(カルシウムおよびマグネシウム等)、アンモニウムおよび各種アミン(例えばアルキルアミン、シクロアルキルアミンおよびアルカノールアミン等)等が挙げられる。
【0053】
(C)カチオン性界面活性剤:
例えば、アルキルアミン、アルキル4級アンモニウム塩、アルキルアミンのエチレンオキサイド付加物およびアルキル4級アンモニウム塩のエチレンオキサイド付加物等。
【0054】
(D)両性界面活性剤:
(D−1)ベタイン型界面活性剤:例えば、アルキル(例えばC8〜18)ジメチルアミノ酢酸ベタイン、アシル(例えばC8〜18)アミノプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキル(例えばC8〜18)ヒドロキシスルホベタインおよび2−アルキル(例えばC8〜18)−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインが挙げられる
(D−2)アミノ酸型界面活性剤:例えば、アルキル(例えばC8〜18)アミノプロピオン酸、アルキル(例えばC8〜18)アミノジプロピオン酸およびN−アシル(例えばC8〜18)−N‘−カルボキシエチル−N‘−ヒドロキシエチルエチレンジアミンが挙げられる。
【0055】
(D−3)アミンオキシド型界面活性剤:例えば、アルキル(例えばC8〜18)ジメチルアミンオキシドおよびアシル(例えばC8〜18)アミノプロピルジメチルアミンオキシド等が挙げられる。
【0056】
(E)その他の界面活性剤:
(E−1)シリコン系界面活性剤:例えば、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体およびポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体等が挙げられる。
【0057】
(E−2)フッ素系界面活性剤:例えば、パーフルオロアルケニルベンゼンスルホン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルケニルポリオキシエチレンエーテル、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエーテルおよびパーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0058】
これらの界面活性剤は単独でまたは2種以上混合して使用することができ、混合する場合の比も自由に選択できる。本発明組成物中の該界面活性剤の含有量は適宜選択できるが、本発明組成物100重量部に対して0.1〜20重量部の範囲が好ましい。
【0059】
本発明組成物には、更に各種補助剤を含有させることができる。使用できる補助剤としては、増粘剤、有機溶剤、凍結防止剤、消泡剤、防菌防黴剤および着色剤等があり、下記のものが挙げられる。
【0060】
増粘剤としては、特に制限はなく、有機、無機の天然物、合成品および半合成品を用いることができ、例えば、ザンサンガム(キサンタンガム)、ウェランガムおよびラムザンガム等のヘテロ多糖類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウムおよびポリアクリルアミド等の水溶性高分子化合物、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ベントナイト、ラポナイトおよび合成スメクタイト等のスメクタイト系粘土鉱物等を例示することができる。これらの増粘剤は一種または二種以上混合してもよく、混合する場合の比も自由に選択できる。これらの増粘剤はそのまま添加してもよく、またあらかじめ水に分散させたものを添加しても良い。また、本発明組成物中の含有量も自由に選択することができる。
【0061】
有機溶剤としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールおよびイソプロパノール等のアルコール類、ブチルセロソルブ等のエーテル、シクロヘキサノン等のケトン、γ−ブチロラクトン等のエステル、N−メチルピロリドンおよびN−オクチルピロリドン等の酸アミド、キシレン、アルキルベンゼン、フェニルキシリルエタンおよびアルキルナフタレン等の芳香族炭化水素、マシン油、ノルマルパラフィン、イソパラフィンおよびナフテン等の脂肪族炭化水素、ケロシン等の芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素の混合物、大豆油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油、綿実油およびヒマシ油等の油脂が挙げられる。
【0062】
凍結防止剤としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコールおよびプロピレングリコール、グリセリン等を用いることができる。好ましくはプロピレングリコール、グリセリンである。また、本発明組成物中の含有量も自由に選択することができる。
【0063】
更にシリコーン系エマルジョン等の消泡剤、防菌防黴剤および着色剤等を配合してもよい。
【0064】
本発明組成物の製造方法は、特に限定されるものではないが、分散媒に前述の各成分を加え、攪拌機により混合して得られる。また、必要に応じて、農薬活性成分、界面活性剤およびその他補助剤は、それぞれ単独もしくは混合して乾式および湿式粉砕機により微粉砕してもよい。
【0065】
乾式粉砕は、ハンマーミル、ピンミル、ジェットミル、ボールミルまたはロールミル等で行うことができる。湿式粉砕による微粉砕は、インラインミルまたはビーズミル等の湿式粉砕機により行うことができる。
【0066】
本発明組成物は、例えば原液または水で50〜5000倍程度に希釈して、噴霧機などを用いて作物や樹木またはそれが生育する土壌に散布する方法、空中からヘリコプターなどを使用して、原液または水で2〜100倍程度に希釈して散布する方法で施用することができる。
【実施例】
【0067】
次に実施例をあげ本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中のDSC測定(示差走査熱量測定)は、以下に示す測定条件で行った。
〔DSC測定〕(空気中で測定)
機種名:エスアイアイ・ナノテクノロジー製 DSC 6200
比較物質:アルミナ
サンプルパン:アルミニウム
サンプリング速度:0.5秒
昇温速度:3.0℃/分

〔参考例〕化合物Aの製造
3−オキソ−2−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(1,3,4−トリメチルピラゾール−5−イル)プロピオニトリル456g(1.47モル)とキシレン2738gを10L反応フラスコに入れて70℃に昇温し、68〜71℃/10〜13kPaで減圧下において脱塩化水素しながら還流下塩化ピバロイル534g(4.43モル)を10時間かけて滴下した。そのまま3時間反応させた後、過剰の塩化ピバロイルを除くために塩化ピバロイルとキシレンとの混合物2181gを70℃で減圧下において留去した。70℃の温水456gを投入後、2.7%炭酸水素ナトリウム水溶液228gを滴下した。
【0068】
水層を分液した後、70℃の温水456gで洗浄し、水層を分液してキシレン溶液を得た。液体クロマトグラフィー定量分析で、このキシレン中には、化合物Aが555g(収率95.6%)含まれていることが判明した。
【0069】

〔実施例1〕 高融点晶の製造
上記参考例で得られた化合物Aのキシレン溶液からキシレンを90℃で留去した後、ヘプタン1141gを投入し、70℃から徐々に冷却して結晶化させた。0℃で1時間熟成の後ろ過し、化合物Aの結晶を得た。サンプル重量4.58mgで行ったDSC測定では得られた結晶は108.5℃にピークトップを有する吸熱ピ−クを示し、それ以外の温度では吸熱ピークを示さず、高融点晶であることが確認された。
【0070】

〔実施例2〕 高融点晶の懸濁液を撹拌することによる低融点晶の製造
化合物Aの高融点晶2gとヘプタン5gを試験管に量りとり、得られた懸濁液を−5℃で236時間撹拌した。内溶液を0.2mlサンプリングし、吸引ろ過後10分間風乾し、DSCを測定したところ(サンプル量4.35mg)104.0℃にピークトップを有する吸熱ピ−クを示し、それ以外の温度では吸熱ピークを示さず、懸濁液中の結晶が低融点晶であることが確認された。
【0071】

〔実施例3〕 高融点晶と低融点晶の混合物の懸濁液を撹拌することによる低融点晶の製造
化合物Aの高融点晶10gとヘプタン25gをフラスコに量りとり、生じた懸濁液を撹拌し内温を20℃に調整した。次いでこの懸濁液へ同温度で化合物Aの低融点晶1gを添加、20℃にて撹拌した。添加直後、撹拌22時間にそれぞれ内溶液をサンプリングし、前項と同様にDSCを測定したところ、低融点晶及び高融点晶由来の2つの吸熱ピークが観測された。以下にその分析結果を示す(ピーク面積比は各測定時点における低融点晶:高融点晶を示す。)。
【0072】
添加直後(サンプル量4.82mg)
ピークトップ 104.7℃、108.6℃
ピーク面積比 7:93
撹拌22時間(サンプル量3.74mg)
ピークトップ 105.3℃、108.1℃
ピーク面積比 58:42
さらに撹拌を継続し、撹拌27時間で内溶液をサンプリングしDSCを測定したところ(サンプル量3.87mg)105.5℃にピークトップを有する吸熱ピ−クを示し、それ以外の温度では吸熱ピークを示さず、懸濁液中の結晶分が低融点晶であることが確認された。
【0073】

〔実施例4〕 晶析による低融点晶の製造
100mlフラスコへ、化合物Aの高融点晶10g、ヘプタン25g加え、70℃で加熱撹拌し、結晶を全て溶解させた。徐々に冷却し、内温52℃において、化合物Aの低融点晶0.1gを加えたところ結晶化が始まりスラリーとなった。徐々に温度を下げ、0℃に到達した時点で内容液を0.2mlサンプリングし、吸引ろ過した。0.5mlのヘプタンで洗浄後、10分間風乾したのち、DSCを測定したところ(サンプル量4.36mg)104.5℃にピークトップを有する吸熱ピ−クを示し、それ以外の温度では吸熱ピークを示さず、懸濁液中の結晶分が低融点晶であることが確認された。
【0074】

〔実施例5〕 晶析と懸濁液の攪拌を組み合わせた方法による低融点晶の製造
100mlフラスコへ、化合物Aの高融点晶10g、ヘプタン25g加え、70℃で加熱撹拌し、結晶を全て溶解させた。徐々に冷却し、内温48℃において、化合物Aの低融点晶0.3gを加えたところ結晶化が始まりスラリーとなった。徐々に温度を下げ0℃に到達した時点で内容液を0.2mlサンプリングし吸引ろ過した。0.5mlのヘプタンで洗浄後、10分間風乾したのち、DSCを測定したところ(サンプル量5.16mg)以下の測定結果が得られた(ピーク面積比は実施例3と同意)。
【0075】
ピークトップ 105.5℃、108.5℃
ピーク面積比 67:33
さらに0℃で16時間撹拌を継続した後、内容液を0.2mlサンプリングし、上記の処理を行いDSCを測定したところ、104.5℃にピークトップを有する吸熱ピ−クを示し、それ以外の温度では吸熱ピークを示さず、懸濁液中の結晶分が低融点晶であることが確認された。
【0076】

〔実施例6〜16〕
以下で「部」とあるのは、全て重量部を意味する。
1.粉砕スラリーの調整
水23.4部にリグニンスルホン酸ナトリウム(パールレックスNP 日本製紙ケミカル(株)製)1.5部、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(エパンU−103 第一工業製薬(株)製)2.0部、プロピレングリコール12部、シリコーン系消泡剤0.1部を溶解させ、これにロジングリセリンエステル(ソルポール7518 東邦化学(株)製)1.0部及び、化合物Aの高融点晶と低融点晶を合計で30.0部を分散させ0.8−1.2mmφガラスビーズ200gを用いてレディミル(アイメックス(株)製)で湿式粉砕し、粉砕スラリー70部を得た。
【0077】
第2表に示したとおり、化合物Aに含有される高融点晶と低融点晶の重量比率を任意に変化させた。
【0078】

2.分散媒の調製
水29.85部にキサンタンガム(ケルザンASX)0.1部、プロクセルGXL 0.05部の順に分散させ分散媒30部を得た。
【0079】

3.水性懸濁農薬組成物の調製
上記粉砕スラリー70部と分散媒30部を混合して均一な水性懸濁状農薬組成物100部を得た。
【0080】
得られた水性懸濁状農薬組成物の製造直後と、更にこれらを50ml容のバイアル瓶にいれ、40℃の恒温槽で14日間保存した後の粒子径を測定した。また、平均粒径測定は以下に示す測定条件で行った。
【0081】

〔平均粒径測定〕
機種名:ベックマンコールター社製 粒度分布測定機LS−13320
測定法:レーザ回折散乱法

結果を第2表に示す。但し、「%」は重量%を意味する。
【0082】

第2表
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
低融点晶 高融点晶 平均粒子径
含有率 含有率 製造直後 40℃×14日後
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
実施例6 0% 100% 1.1μm 1.4μm
実施例7 0.001% 99.999% 0.9μm 1.1μm
実施例8 0.01% 99.99% 0.9μm 1.1μm
実施例9 0.1% 99.9% 0.9μm 1.3μm
実施例10 1% 99% 0.9μm 5.1μm
実施例11 10% 90% 1.0μm 3.9μm
実施例12 30% 70% 1.0μm 2.3μm
実施例13 50% 50% 1.0μm 1.8μm
実施例14 70% 30% 1.1μm 1.5μm
実施例15 90% 10% 1.1μm 1.4μm
実施例16 100% 0% 1.1μm 1.4μm
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明によれば、化合物Aの低融点晶と高融点晶を製造することが可能となる。また、該結晶形を含有する懸濁状組成物は、保存安定性が良好であり、害虫やダニの防除に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末X線回折において回折角2θ=8.52、10.08、11.84、13.12に特徴的ピークを有する(E)−2−(4−tert−ブチルフェニル)−2−シアノ−1−(1、3、4−トリメチルピラゾール−5−イル)ビニル=2、2-ジメチルプロピオナートの低融点晶。
【請求項2】
粉末X線回折において回折角2θ=4.72、8.92、9.76、22.32に特徴的ピークを有する(E)−2−(4−tert−ブチルフェニル)−2−シアノ−1−(1、3、4−トリメチルピラゾール−5−イル)ビニル=2、2-ジメチルプロピオナートの高融点晶。
【請求項3】
(E)−2−(4−tert−ブチルフェニル)−2−シアノ−1−(1、3、4−トリメチルピラゾール−5−イル)ビニル=2、2-ジメチルプロピオナートの溶液を調製し、それを冷却して晶析させる請求項2記載の高融点晶の製造方法。
【請求項4】
高融点晶または該高融点晶と低融点晶との混合物の懸濁液を調製し、該懸濁液を静置または撹拌する請求項1記載の低融点晶の製造方法。
【請求項5】
(E)−2−(4−tert−ブチルフェニル)−2−シアノ−1−(1、3、4−トリメチルピラゾール−5−イル)ビニル=2、2-ジメチルプロピオナートの溶液を調製し、それを冷却することによる晶析の段階で、低融点晶を種晶として加える請求項1記載の低融点晶の製造方法。
【請求項6】
(E)−2−(4−tert−ブチルフェニル)−2−シアノ−1−(1、3、4−トリメチルピラゾール−5−イル)ビニル=2、2-ジメチルプロピオナートの溶液を調製し、それを冷却することによる晶析の段階で、低融点晶を種晶として加え、その後静置または撹拌する請求項1記載の低融点晶の製造方法。
【請求項7】
高融点晶もしくは該高融点晶と低融点晶との混合物またはそれらの懸濁液に、熱を加える請求項1記載の低融点晶の製造方法。
【請求項8】
高融点晶または該高融点晶と低融点晶との混合物の懸濁液を湿式粉砕する請求項1記載の低融点晶の製造方法。
【請求項9】
高融点晶または該高融点晶と低融点晶との混合物を乾式粉砕する請求項1記載の低融点晶の製造方法。
【請求項10】
請求項1記載の低融点晶および分散媒を含有する懸濁状組成物。
【請求項11】
請求項1記載の低融点晶、界面活性剤および分散媒として水を含有する水性懸濁状組成物。
【請求項12】
請求項2記載の高融点晶および分散媒を含有する懸濁状組成物。
【請求項13】
請求項2記載の高融点晶、界面活性剤および分散媒として水を含有する水性懸濁状組成物。
【請求項14】
低融点晶の含有率が50〜100重量%である(E)−2−(4−tert−ブチルフェニル)−2−シアノ−1−(1、3、4−トリメチルピラゾール−5−イル)ビニル=2、2-ジメチルプロピオナートおよび分散媒を含有する請求項10または11記載の懸濁状組成物。
【請求項15】
高融点晶の含有率が99.9〜100重量%である(E)−2−(4−tert−ブチルフェニル)−2−シアノ−1−(1、3、4−トリメチルピラゾール−5−イル)ビニル=2、2-ジメチルプロピオナートおよび分散媒を含有する請求項12または13記載の懸濁状組成物。

【公開番号】特開2012−97000(P2012−97000A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−124210(P2009−124210)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【Fターム(参考)】