説明

アクロレインの製造方法

【課題】 グリセリン誘導体の脱水反応により、アクロレインを高収率で、安定で操作性の良好な製造する方法を提供する。
【解決手段】 グリセリンの脱水反応において、少なくとも一つの水酸基が保護されたグリセリン(グリセリン誘導体)を含む原料、あるいはグリセリンと、グリセリンの少なくとも一つの水酸基を保護することができる反応剤を含む混合物を原料に用いて、無機酸触媒存在下で脱水反応を行ない、アクロレインを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリセリンの脱水によるアクロレインの製造方法に関し、詳しくは、少なくとも一つの水酸基が保護されたグリセリン誘導体を含む原料を使用して脱水反応を行うアクロレインの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
植物油から製造されるバイオディーゼルは、化石燃料の代替燃料としてだけではなく、二酸化炭素の排出量が少ない点でも注目され、需要の増大が見込まれている。このバイオディーゼルは、一般的には脂肪酸のメチルエステルあるいはエチルエステルであり、植物油脂のエステル交換によってそれらを製造するとグリセリンが副生する。したがって、今後バイオディーゼルの生産量の増大によって大量にグリセリンが副生する場合には、その有効利用を図る必要がある。グリセリンの利用の一態様としては、グリセリンを種々の化学品製造の中間体であるアクロレインを製造するための原料として使用することが挙げられる。
【0003】
グリセリンを酸性物質、あるいは酸触媒の存在下で脱水することによってアクロレインが合成できることは知られている。
例えば、非特許文献1には、粉末状の硫酸水素カリウム、硫酸カリウム、グリセリンからなる混合物を190〜200℃で処理することによりアクロレインが33〜48%の収率で得られることが報告されている。しかしながら、この方法は収率が低く、工業的規模の方法には適していなかった。
また、特許文献1には、ケイソウ土にリン酸を担持させた触媒を炭化水素溶媒中に分散させ、グリセリンを滴下させてアクロレインを72%の収率で生成させた例が記載されている。しかしながら、特許文献1に記載の方法では炭化物の副生量が多く、工業的には不向きであった。
特許文献2には、H値(ハメットの酸度関数)が+2以下である酸性の固体触媒を用い、グリセリン含量10〜40重量%を有するグリセリン/水混合物を、液相中で180〜340℃で、又は気相中で250〜340℃で固定床反応器により反応させるアクロレイン又はアクロレイン水溶液の製造方法が開示されている。しかしながら、特許文献2の方法は固定床触媒を用いた方法であるためグリセリンの転化率が低く、アクロレインの生産性が十分でなかった。
【0004】
最近では、グリセリンを溶媒に溶解又は分散させ、ハメットの酸度関数による酸性度が−5.6〜+3.3である酸性固体触媒の存在下で、グリセリンを脱水してアクロレインを製造する方法も開示されている(特許文献3)。しかしながら、本発明者らの検討によれば、特許文献3に記載されているような良好な収率でアクロレインを得ることはできなかった。また、グリセリンを原料とした場合に触媒として硫酸塩や硫酸水素塩を使用すると、反応の進行に伴い触媒が反応容器に固着する現象が観測されたため、工業的には不向きであることが判明した。
また、無水フタル酸とベンゼンスルホン酸の存在下にグリセリンを加熱してアクロレインを生成する方法も報告されているが(非特許文献2)、アクロレインの収率が低くフタル酸が副生するという問題点があった。
【0005】
従来の方法では、グリセリンを含む基質から脱水反応してアクロレインを製造する際に、工業化に適した方法は、特に収率、製造性等の両立が図れる方法は見出されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第2,558,520号明細書
【特許文献2】特開平6−211724号公報
【特許文献3】特開2006−290815号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Organic Synthesis I,15−18,(1954)「ACROLEIN」
【非特許文献2】Chemishe Berichte, 83, 1950, PP.287-291
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はグリセリンを含む原料から脱水反応により、反応収率に優れ、安定性や操作性の良好なアクロレインの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、少なくとも一つの水酸基が保護されたグリセリン(グリセリン誘導体)を含む原料を、またはグリセリンと、グリセリンの少なくとも一つの水酸基を保護することができる反応剤を含む混合物を原料に用いて、無機酸触媒存在下で脱水反応を行うことにより、副生成物に至る分子間脱水反応が抑制され、高選択的に分子内脱水反応が進行することを見出した。さらに、脱水により生成した水により保護基がはずれ、さらなる脱水等が進行してアクロレインが生成することにより、高収率でアクロレインが得られることを見出し、本願発明に至った。
【0010】
即ち、本発明の第一の要旨は、グリセリンの脱水によりアクロレインを製造するに際し、少なくとも一つの水酸基が保護されたグリセリン誘導体を含む原料が、無機酸触媒存在下で脱水反応することを特徴とするアクロレインの製造方法に存する。
また本発明の第二の要旨は、グリセリンの脱水反応によりアクロレインを製造するに際し、グリセリンと、グリセリンの少なくとも一つの水酸基を保護することができる反応剤を含む混合物を、無機酸触媒存在下で脱水反応することを特徴とするアクロレインの製造方法に存する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の製造方法によれば、少なくとも一つの水酸基が保護されたグリセリン誘導体を含む原料、またはグリセリンと、グリセリンの少なくとも一つの水酸基を保護することができる反応剤を含む混合物を原料に用いて、無機酸触媒存在下で脱水反応を行うことにより、効率よくアクロレインを製造することが出来る。
また、副反応である分子間脱水反応が抑制されて分子内脱水反応の選択性が向上し、主な副生成物であるポリグリセリンの生成および触媒への付着が抑制されることにより触媒活性が長時間に渡り維持されるため、安定的にアクロレインを製造することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を更に詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例であり、これらの内容に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0013】
本発明にかかるアクロレインの製造方法は上記の通り、グリセリンの脱水によりアクロレインを製造するに際し、少なくとも一つの水酸基が保護されたグリセリン誘導体を含む原料または、グリセリンと、グリセリンの少なくとも一つの水酸基を保護することができ
る反応剤を含む混合物を原料に用いて、無機酸触媒存在下で脱水反応することを特徴とするアクロレインの製造方法である。
本発明の構成成分について以下具体的に述べる。
【0014】
<原料>
本発明の本質的な特徴は、少なくとも一つの水酸基が保護されたグリセリン(以下、グリセリン誘導体ということがある)を含む原料を、反応原料として脱水反応に使用することである。
グリセリンは3つの水酸基を有しているため、分子内脱水反応によりアクロレインを製造する場合、副反応として起こる分子間脱水反応によりポリグリセリンが副生する。ポリグリセリンの生成はアクロレインの収率の低下や、選択性の低下だけでなく、触媒への付着により、触媒活性の低下および製造性の低下を引き起こすことになる。グリセリンの水酸基を保護した場合、フリーの水酸基の数が減少するため、このような望ましくない分子間脱水反応は起こりにくくなる。また、水酸基を嵩高い置換基で保護することにより分子同士が近づきにくくなり、分子間脱水反応が抑制されることが考えられる。分子間脱水反応が抑制されて選択的に分子内脱水反応が進行することにより、アクロレインの生産性が向上するだけでなく、ポリグリセリンの生成および触媒への付着が抑制されて触媒活性を長時間に渡り維持することができる。
【0015】
本発明では少なくとも一つの水酸基が保護されたグリセリン(グリセリン誘導体)を含む原料を反応原料として使用する。
グリセリン誘導体を含む原料とは、下記詳述の通り、前記グリセリン誘導体を少なくとも一成分として含むものであれば特に限定はされないが、例えばグリセリンとグリセリン誘導体の混合物や、複数のグリセリン誘導体の混合物、あるいはその後の脱水反応を阻害しない限りそれ以外の成分を含んでいてもよい。
グリセリンの水酸基の保護に用いる保護基に関しては、グリセリンの水酸基を化学修飾してグリセリンの分子間脱水反応を抑制するものであればその種類は特に限定されない。少なくともグリセリンの一つの水酸基が保護されたグリセリン誘導体としては、通常各種のアセタール体、ケタール体やエステル体等が挙げられる。
【0016】
エステル体としては、例えば炭酸エステル体、カルボン酸エステル体、カルボン酸チオエステル体、リン酸エステル体、硫酸エステル体、硝酸エステ ル体、ホウ酸エステル体
などが挙げられる。このうち、好ましくは安価で脱離 基として優れるカルボン酸からな
るカルボン酸エステル体が好適に用いられる。
カルボン 酸エステル体としては、その種類は特に限定されないが、好ましくは飽和脂
肪族カルボン酸エステル体が用いられ、具体的には酢酸エステル体、プロピオン酸エステル体、酪酸エステル体等が挙げられる。より好ましくは、安価で脱離基として優れていることから、酢酸エステル体(アセチン)、プロピオン酸エステル体(プロピオニン)が好適に用いられ、さらに好ましくは、脱水反応によるアクロレイン製造時にカルボン酸の回収が容易であることから酢酸エステル体が好適に用いられる。
具体的な化合物の例としては、酢酸エステル体としてモノアセチン、ジアセチン、プロピオン酸エステル体としてモノプロピオニン、ジプロピオニンなどが挙げられる。
【0017】
グリセリン誘導体におけるグリセリンの三つの水酸基のうち、どの水酸基が保護されているかについては特に限定されない。また、グリセリンの複数の水酸基が同一の置換基で保護されていても、異なった置換基で保護されていてもかまわない。
グリセリン誘導体を含む原料におけるグリセリンの三つの水酸基のうち保護されている割合は、全水酸基の平均として通常0.1個以上3個以下、好ましくは0.5個以上2.5個以下、特に好ましくは1個以上、2個以下である。
水酸基の保護されている割合はグリセリンやグリセリン誘導体を数種類混合して調節する
こともできる。例えば、グリセリンの三つの水酸基が保護された化合物であるトリアセチン等のトリエステルとグリセリンをモル比2:1で混合すれば、平均として2個の水酸基が保護されたこととなる。 この場合、 トリエステルとグリセリンを混合した液をもってグリセリン誘導体を含むグリセリン原料として用いてもよいし、予め酸触媒等を用いてエステル交換した後の組成物をもってグリセリン誘導体を含むグリセリン原料として用いてもよい。
グリセリンの三つの水酸基が保護された化合物の例としては、具体的には上記の各種のアセタール体、ケタール体、エステル体の他、天然油脂(成分)である椰子油等のトリグリセリド等があげられる。
【0018】
上記グリセリン誘導体は一種単独で又は二種以上を混合して使用することができる。また、混合物として販売されている市販品を使用することもできる。
上記グリセリン誘導体は、市販品を購入してそのまま使用することできるし、公知の方法によって製造することもできる。
グリセリン誘導体の製造法は特に限定しないが、系内、例えば脱水反応器の前あるいは脱水反応器内でグリセリン誘導体を合成して脱水反応に使用しても良い。
【0019】
例えば、アセタール体はグリセリンとアルデヒド、ケタール体はグリセリンとケトンを反応させることにより合成することができる。
アセタール体を調製する際のアルデヒドとしては、特に限定されるものではないが、具体的にはホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、アクロレイン、ブチルアルデヒド等が挙げられ、ケタール体を調製する際のケトンとしては、特に限定されるものではないが、具体的にはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−sec−ブチルケトン、メチル−t−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシル ケトン、メチル−2−フリルケトン、ジエチルケトン、エチル−n−プロピルケトン、ジ−n−ヘキシルベンジルケトン、アセトフェノン、n−ブチロフェノン、ベンゾイン等が挙げられる。
これらのアセタール体、ケタール体であるグリセリン誘導体の中では、好ましくは合成のしやすさからグリセリン1分子とアルデヒドあるいはケトンが反応して生成する5員環(ジオキソラン骨格)あるいは6員環構造(ジオキサン骨格)のアセタール体、ケタール体が好適に用いられる。一例をあげれば、グリセリンとアセトンの反応で得られる2,2−ジメチルジオキソラン−4−メタノールや2,2−ジメチル−5−ヒドロキシジオキサンである。
【0020】
グリセリン誘導体のうちエステル体はグリセリンと対応する酸および酸無水物を反応させることによって合成できる。例えば、グリセリンに炭酸を反応させれば炭酸エステル体、リン酸を反応させればリン酸エステル体、カルボン酸を反応させればカルボン酸エステル体が生成する。また、グリセリンとエステルとを反応させてエステル交換によりグリセリン誘導体を合成することもできる。
これらのグリセリン誘導体の中では、脱水反応によるアクロレインの収率が高いことからエステル体が好ましく、カルボン酸エステル体がより好ましく、安価で脱離基として優れていることから酢酸エステル体(アセチン)、プロピオン酸エステル体(プロピオニン)がさらに好ましく、脱水反応によるアクロレインの製造時にカルボン酸の回収が比較的容易であることから酢酸エステル体が最も好ましい。
【0021】
脱水反応によるアクロレインの製造に際して、これらのグリセリン誘導体はそのまま使用することも、水等に溶解させて水溶液または水分散液として用いることもできる。水溶液または水分散液として用いる場合のグリセリン誘導体と水との比率は、特に限定されるものではないが、水に対してグリセリン誘導体が1重量%以上であることが好ましく、1
0〜90重量%であることがより好ましい。この比率を大きくすると粘調なグリセリン誘導体を扱いやすくすることができるが、大きくしすぎるとアクロレインの生産性が悪くなる。
【0022】
<グリセリンの少なくとも一つの水酸基を保護することができる反応剤>
本発明ではグリセリンと、グリセリンの少なくとも一つの水酸基を保護することができる反応剤(以下、単に反応剤ということがある)との混合物を反応原料として使用することもできる。
具体的には、前記グリセリン誘導体、例えばアセタール体、ケタール体、エステル体等を反応系内で生じるような反応剤をグリセリンと混合して反応系に導入する、あるいは反応剤をグリセリンとともに反応系中に導入し、無機酸触媒と接触させることにより、前記グリセリン誘導体を含む原料を、反応原料として脱水反応に使用するのと同じ効果が得られる。
例えば、水酸基を保護する反応剤として、カルボン酸をグリセリンと混合した状態で、あるいはグリセリンと反応剤を別に系内に導入し、反応系内でグリセリンのカルボン酸エステルを生成させた後に脱水することにより、グリセリンだけを反応させる場合に比べて副生成物に至る分子間脱水反応が抑制され、高収率でアクロレインが得られる。
【0023】
グリセリンの少なくとも一つの水酸基を保護することができる反応剤は、前記誘導体を生ずるような反応剤であれば特に限定されないが、具体的にはアセタール体、ケタール体、エステル体等を形成しうる反応剤であり、前述のアセタール体を調製する際に用いるアルデヒド、前記ケタール体を調製する際に用いるケトン、前記エステル体を調製する際に用いる酸、酸無水物などが好ましい。より好ましくは酸あるいは酸無水物であり、さらに好ましくはカルボン酸あるいはカルボン酸無水物であり、特に好ましくはカルボン酸である。
カルボン酸の種類としては通常、飽和脂肪族カルボン酸であり、好ましくはプロピオン酸、酢酸、ギ酸、特に好ましくはプロピオン酸、酢酸である。これらの反応剤は複数を用いてもかまわない。
【0024】
<触媒>
本発明で用いる無機酸触媒は特に限定されないが、ハメットの酸度関数による酸性度H 値が、−5.6〜+3.3の酸性固体触媒が好適に用いられる。Studies in surface science and catalysis, Vol. 51, 1989 : “New solid acids and bases, their catalytic properties” K. Tanabe et al. 第2章、特に5〜9頁に記載されているような結晶 性物質、例えば(i)天然又は合成のケイ酸塩系物質、例えば特にモルデナイトやZSM−5のようなゼオライト、モンモリロナイトのような粘土鉱物;(ii)一塩基性、二塩基性又は多塩基性の無機酸、イソポリ酸又はヘテロポリ酸やその酸性塩、あるいはそれらで被覆された担体材料、例えば酸化物又はケイ酸塩系物質、例えばAl,TiO;(iii)酸化物、含水酸化物、複合酸化物又は混合酸化物、例えばγ―Al及びZnO/Al混合酸化物;(iV)金属硫酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸金属塩、金属リン酸塩、金属硝酸塩又は金属塩化物を例示することができる。
【0025】
中でも、高収率でアクロレインが製造できることから、粘土鉱物、ヘテロポリ酸、金属硫酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸金属塩が好ましく、反応器への触媒の固着がなく高収率でアクロレインが得られることから、モンモリロナイトがより好ましい。モンモリロナイトは酸洗浄やイオン交換により適宜酸性度を調節した後に、触媒として用いることができる。中でも、高収率でアクロレインが得られることから、アルミニウム交換モンモリロナイト、ニッケル交換モンモリロナイトが好ましく、アルミニウム交換モンモリロナイトがより好ましい。
これらの触媒は一種単独で又は二種以上を混合して使用することができる。
またこれらの触媒は市販品を購入することができるし、公知の方法によって製造することもできる。
【0026】
<グリセリン誘導体を含む原料の脱水反応方法>
本発明による方法は液相中または気相中で実施することができる。液相中で本発明の脱水反応を実施する場合、用いる溶媒あるいは液状媒体は特に限定されないが、温度が200℃以上でも安定であるものが好ましい。具体的には、流動パラフィン、パラフィンワックス、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ヘキサデカン等の炭素数10〜20程度の飽和炭化水素化合物、ジベンジル、スルホラン、シリコーンオイル等が挙げられ、中でも流動パラフィン、パラフィンワックス、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ヘキサデカン等の炭素数12〜16の飽和炭化水素化合物、ジベンジル等の芳香族炭化水素化合物が特に好ましい。
溶媒あるいは液状媒体の使用量は特に限定されないが、反応収率の観点から使用する触媒重量当たり好ましくは1重量倍以上であり、より好ましくは5重量倍であり、50重量倍以下が好ましく、30重量倍以下がより好ましい。
【0027】
グリセリンと反応剤を導入する場合、導入するグリセリンと反応剤との量比は使用する反応剤の種類にもよって異なるので一概には言えないが、反応剤のグリセリンに対するモル比として通常0.1以上、好ましくは0.5以上、特に好ましくは1以上であり、通常10以下、好ましくは5以下、特に好ましくは3以下である。
水酸基を保護する反応剤の量が少なすぎるとグリセリン水酸基の保護される割合が少なくなり、得られる効果は小さくなる。一方多すぎると未反応の反応剤の割合が増して、脱水反応後に分離回収する反応剤の量が増すため効率的ではない。
グリセリンと反応剤の導入方法は特に限定されないが、液相で反応を実施する場合にはグリセリンと反応基質をあらかじめ混合して溶液とし、それを脱水反応器に導入する方法が好適に用いられる。
【0028】
反応温度は、従来のグリセリンの脱水反応の条件がそのまま適用できる。180℃以上が好ましく、200〜300℃がより好ましい。反応温度が低すぎると分子内脱水反応が起こりにくくなりアクロレインの収率が低下する。反応温度が高すぎると副反応が進行し副生成物が生じる可能性がある。
【0029】
グリセリン誘導体を含む原料の脱水反応は不活性ガス雰囲気下が行うことが好ましく、圧力は減圧下、常圧下または加圧下の条件で実施することができる。
【0030】
グリセリン誘導体を含む原料の反応系内への供給方法としては、連続的に供給する方法が好ましい。供給速度に特に制限はないが、対触媒重量当たりの供給速度((原料供給速度)/(触媒重量))は、0.1〜20mmol/g(cat)・hrが好ましく、1.0〜10mmol/g(cat)・hrがより好ましく、1.0〜5.0mmol/g(cat)・hrがさらに好ましい。この量が少なすぎるとアクロレインの生産性が低下し、多すぎると触媒活性が経時的に低下することがある。
グリセリンと反応剤を供給する場合は、その反応系内への供給方法、供給速度については上記と同様である。この際の原料供給速度はグリセリンの供給速度をいう。
【0031】
本発明の方法においては、アクロレインの生成機構として、グリセリン誘導体の脱水により水が生成し、生成した水により保護基がはずれ、さらに脱水等が進行してアクロレインが生成する。
また、グリセリン誘導体を脱水反応器の前、あるいは脱水反応器内で生成させるためにグリセリンとグリセリンの水酸基を保護する反応剤を導入する場合、水酸基を保護する反応剤をグリセリンと混合した状態で導入してもよいし、あるいはグリセリンと水酸基を保
護する反応剤を各々別々に反応器に導入して反応器内で混合してもよいが、この場合のアクロレインの生成機構としては、グリセリンの水酸基と反応剤との反応によって生成する水により、脱水反応器の前あるいは脱水反応器内ですでに生成していたグリセリン誘導体の保護基がはずれ、さらに脱水等が進行してアクロレインが生成する機構が含まれる。
【0032】
液相反応によってグリセリン誘導体を脱水してアクロレインを製造する場合、反応温度が十分に高ければ沸点の低いアクロレインは速やかに液相から脱離するため、逐次的な反応が回避される。反応後は生成物中のアクロレインを分離し、必要によっては精製することができる。
また、未反応の反応剤や生成したアクロレインと 同時に生成した保護基由来の生成物
や水は回収して再利用することができる。グリセリン誘導体を連続的に供給して連続的にアクロレインを製造する場合、長時間の反応によって触媒が劣化することがある。その場合は劣化した触媒を溶媒と共にパージし、新しい触媒を溶媒に混合して反応容器中に投入すれば良い。本発明の方法により液相中で脱水反応を行って連続的にアクロレインを製造する場合、気相中で脱水反応を行う場合に比べて触媒の活性低下が起こりにくいので、アクロレインの生産性が上がり触媒コストを低減することができる。
【0033】
<アクロレインの用途>
本発明の方法により得られるアクロレインは、既に公知の方法により、アクロレインから誘導されるアクリル酸、アクリロニトリル、プロピレン、1,3−プロパンジオール、アリルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩等の製造原料として使用可能である。従って、上記アクロレインの製造方法は、これらのアクロレイン誘導体の製造方法中に取り入れることができる。その際、本発明のグリセリン誘導体の脱水反応による生成物を分離せずに直接これらの製造プロセスの原料として導入してもよく、アクロレインや副生成物の全て、あるいは一部を分離あるいは精製した後に導入することもできる。
【実施例】
【0034】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。
【0035】
<収率算出方法>
生成物の分析はTCD検出器を有するGC(検出器温度:200℃、カラム:(ジ−エルサイエンス株式会社 Tenax TA(60−80メッシュ)充填)1/8φ×3.5m、キャリヤーガス:ヘリウム)を用いて行った。アクロレイン収率は内部標準物質とアクロレインのピーク面積比を用い、以下の方法で算出した。
アクロレイン収率[%]=生成アクロレイン量[mol]/導入グリセリン誘導体量[mol]×100
(アクロレイン収率[%]=生成アクロレイン量[mol]/(導入グリセリン量およびま
たはグリセリン誘導体量[mol])×100)
【0036】
<触媒調製>
合成例1:
モンモリロナイトK10(SIGMA−ALDRICH製)22.0gを220mLの 1N硝酸アルミニウム9水和物水溶液にて80℃で2時間処理した後に、室温まで放冷した。濾過により固体を回収し、再度1N硝酸アルミニウム9水和物水溶液(220mL)にて80℃で2時間処理した後に室温まで放冷し、濾過により固体を回収した。この操作をさらに一度繰り返した。水洗(220mLの脱塩水を用いた濁洗浄を3回繰り返す)、 80℃にて乾燥、さらに280℃にて乾燥してアルミニウム交換モンモリロナイト触
媒とした。
【0037】
合成例2:
硝酸アルミニウム9水和物の代わりに硝酸ニッケル6水和物を使用した以外は実施例1と全く同様の方法でニッケル交換モンモリロナイト触媒を調製した。
【0038】
合成例3:
7.75gのH3PW12O40・26H2Oを脱塩水に溶解し10mlの溶液とした。この溶液にシリカ担体(富士シリシア製 キャリアクトQ15 75−500μm)10.0gを加えて含浸させた後、窒素流通下に160℃まで3時間かけて昇温し、160℃にて1時間乾燥させシリカ担持リンタングステン酸アルミニウム(40wt%)触媒とした。
【0039】
合成例4:
7.69gのH3PW12O40・26H2Oおよび0.861gの硝酸アルミニウム9水和物を脱塩水に溶解し10mlの溶液とした。この溶液にシリカ担体(富士シリシア製 キャリアクトQ15 75−500μm)10.0gを加えて含浸させた後、窒素流通下に160℃まで3時間かけて昇温し、160℃にて1時間乾燥させた。さらに空気流通下にて300℃にて2時間焼成してシリカ担持リンタングステン酸アルミニウム(40wt%)触媒とした。
【0040】
合成例5:
33.48gのH3PW12O40・26H2Oおよび3.75gの硝酸アルミニウム9水和物を25mlの脱塩水に溶解し、攪拌しながら110℃のオイルバス中にて蒸発乾固させた。得られた固体を空気流通下に160℃にて1時間乾燥、さらに空気流通下に300℃にて4時間焼成してリンタングステン酸アルミニウム触媒とした。
【0041】
合成例6:
H−ZSM5(ZEOLYST,Si/Al=50)を550℃まで1.5時間かけて昇温し、550℃で5時間乾燥させてH−ZSM5触媒とした。
【0042】
<グリセリン誘導体の脱水反応>
実施例1
クライゼンヘッドを備えた100mL四つ口フラスコにテトラデカン(東京化成社製、50mL)及び合成例1で得たアルミニウム交換モンモリロナイト(2g)を仕込み、窒素流通下(20mL/min)にて油浴を用いて220℃まで30分で昇温、油浴温度が安定したところでシリンジポンプを用いてモノアセチン(東京化成社製、グリセリン、モノアセチン、ジアセチン、トリアセチンの混合物。モノアセチン含有量は>40%であり、全てのグリセリン水酸基のうちエステルを形成している割合はモノアセチン相当、以下同じ)を2mL/h(17.9mmol/hr)の供給速度で連続供給した。クライゼンヘッドの外壁を120℃に保温し、流通窒素とともに留出してくる揮発成分を保温ガスサンプラーに通じ定期的(1時間毎)にサンプリングしてGCに導入して分析した。反応時間2〜6時間の各時間に得られたアクロレインの収率を平均し、表1中の平均収率として示した。また、最高収率は反応時間2〜6時間中最も高いアクロレイン収率を最高収率として示した。6時間反応後、反応に添加した触媒の容器への固着は見られなかった。
【0043】
実施例2
モノアセチンの代わりにジアセチン(東京化成社製)を使用した以外は実施例1と全く同様にして反応を行った。6時間反応後、反応に添加した触媒の固着は見られなかった。反応結果を表1に示した。
【0044】
比較例1
モノアセチンの代わりにグリセリン(純正化学社製)を使用した以外は実施例1と全く
同様にして反応を行った。結果を表1に示した。
【0045】
実施例3
アルミニウム交換モンモリロナイトの使用量を5gにした以外は実施例1と全く同様にして反応を行った。6時間反応後、反応に添加した触媒の固着は見られなかった。結果を表1に示した。
【0046】
実施例4
テトラデカンの代わりに流動パラフィン(キシダ化学社製)を使用し、反応温度を270℃にした以外は実施例3と全く同様にして反応を行った。6時間反応後、反応に添加した触媒の固着は見られなかった。結果を表1に示した。
【0047】
実施例5
アルミニウム交換モンモリロナイトの代わりに合成例2で得られたニッケル交換モンモリロナイトを使用した以外は実施例1と全く同様にして反応を行った。結果を表1に示した。
【0048】
実施例6
アルミニウム交換モンモリロナイトの代わりにモンモリロナイトK10(SIGMA−ALDRICH社製)を使用した以外は実施例1と全く同様にして反応を行った。6時間反応後、反応に添加した触媒の固着は見られなかった。結果を表1に示した。
【0049】
実施例7
アルミニウム交換モンモリロナイトの代わりにモンモリロナイトK10(SIGMA−ALDRICH社製)を使用した以外は実施例4と全く同様にして反応を行った。6時間反応後、反応に添加した触媒の固着は見られなかった。結果を表1に示した。
【0050】
実施例8
モノアセチンの代わりにジアセチン(東京化成社製)を使用した以外は実施例7と全く同様にして反応を行った。6時間反応後、反応に添加した触媒の固着は見られなかった。結果を表1に示した。
【0051】
比較例2
モノアセチンの代わりにグリセリンを使用した以外は実施例7と全く同様にして反応を行った。結果を表1に示した。
【0052】
実施例9
アルミニウム交換モンモリロナイトの代わりに合成例3で得られたシリカ担持リンタングステン酸(40wt%)を使用した以外は実施例1と全く同様にして反応を行った。結果を表1に示した。
【0053】
実施例10
アルミニウム交換モンモリロナイトの代わりに合成例4で得られたシリカ担持リンタングステン酸アルミニウム(40wt%)を使用した以外は実施例1と全く同様にして反応を行った。結果を表1に示した。
【0054】
実施例11
アルミニウム交換モンモリロナイトの代わりに合成例5で得られたリンタングステン酸アルミニウムを使用した以外は実施例1と全く同様にして反応を行った。結果を表1に示した。
【0055】
実施例12
アルミニウム交換モンモリロナイトの代わりにトリフルオロメタンスルホン酸ランタン(>98.0%、東京化成社製)を使用した以外は実施例1と全く同様にして反応を行った。結果を表1に示した。
【0056】
実施例13
アルミニウム交換モンモリロナイトの代わりに合成例6で得られたH−ZSM5を使用した以外は実施例1と全く同様にして反応を行った。結果を表1に示した。
【0057】
比較例3
クライゼンヘッドを備えた100mL四つ口フラスコに流動パラフィン(キシダ化学社製、30g)及び硫酸水素カリウム(3g)を仕込み、窒素流通下(20mL/min)にて油浴を用いて200℃まで30minで昇温、油浴温度が安定したところでシリンジポンプを用いてグリセリン(純正化学社製)を4.76mL/hの供給量で連続供給した。クライゼンヘッドの外壁を120℃に保温し、流通窒素とともに留出してくる揮発成分を保温ガスサンプラーに通じ定期的(1時間毎)にサンプリングしてGCに導入して分析した。結果を表1に示す。
6時間経過後、触媒の多くが反応容器の器壁に固着した。
【0058】
【表1】

【0059】
(実施例16)
グリセリン(純正化学社製)16.48g(0.179mol)および酢酸(関東化学社製)10.75g(0.179mol)を混合し、グリセリン/酢酸=1/1(mol/mol)の混合溶液を事前に調製した。重量/体積比より、この混合溶液の密度は1.18g/mLであった。クライゼンヘッドを備えた100mL四つ口フラスコに流動パラフィン(キシダ化学社製、50mL)及びモンモリロナイトK10(5g)を仕込み、窒素流通下(20mL/min)にて油浴を用いて240℃まで30分で昇温、油浴温度が安定したところでシリンジポンプを用いてグリセリン/酢酸=1/1(mol/mol)
の混合溶液を2.30mL/h(17.9mmol/h)の供給速度で連続供給した。クライゼンヘッドの外壁を120℃に保温し、流通窒素とともに留出してくる揮発成分を保温ガスサンプラーに通じ定期的(1時間毎)にサンプリングしてGCに導入して分析した。反応時間2〜6時間の各時間に得られたアクロレインの収率を平均し、表2中の平均収率として示した。また、最高収率は反応時間2〜6時間中最も高いアクロレイン収率を最高収率として示した。6時間反応後、反応に添加した触媒の容器への固着は見られなかった。
【0060】
(実施例17)
反応温度を260℃に変更した以外は実施例16と全く同様にして反応を行った。6時間反応後、反応に添加した触媒の固着は見られなかった。反応結果を表2に示した。
【0061】
(実施例18 )
グリセリン(純正化学社製)16.48g(0.179mol)および酢酸(関東化学社製)21.50g(0.358mol)を混合し、グリセリン/酢酸=1/2(mol/mol)の混合溶液を事前に調製した。重量/体積比より、この混合溶液の密度は1.15g/mLであった。混合溶液のフィード量(供給速度)を3.31mL/h(17.9mmol/h)にした以外は実施例16と全く同様にして反応を行った。反応結果を表2に示した。
【0062】
(実施例19)
反応温度を260℃に変更した以外は実施例18と全く同様にして反応を行った。6時間反応後、反応に添加した触媒の固着は見られなかった。反応結果を表2に示した。
【0063】
(実施例20)
反応温度を270℃に変更した以外は実施例18と全く同様にして反応を行った。6時間反応後、反応に添加した触媒の固着は見られなかった。反応結果を表2に示した。
【0064】
(実施例21)
グリセリン(純正化学社製)16.48g(0.179mol)およびプロピオン酸(キシダ化学社製)13.26g(0.179mol)を混合し、グリセリン/プロピオン酸=1/1(mol/mol)の混合溶液を事前に調製した。重量/体積比より、この混合溶液の密度は1.13g/mLであった。混合溶液のフィード量(供給速度)を2.64mL/h(17.9mmol/h)にした以外は実施例16と全く同様にして反応を行った。反応結果を表2に示した。
【0065】
(実施例22)
反応温度を270℃に変更した以外は実施例21と全く同様にして反応を行った。6時間反応後、反応に添加した触媒の固着は見られなかった。反応結果を表2に示した。
【0066】
(実施例23)
グリセリン(純正化学社製)16.48g(0.179mol)およびプロピオン酸(キシダ化学社製)26.51g(0.358mol)を混合し、グリセリン/プロピオン酸=1/2(mol/mol)の混合溶液を事前に調製した。重量/体積比より、この混合溶液の密度は1.09g/mLであった。混合溶液のフィード量(供給速度)を3.95mL/h(17.9mmol/h)にした以外は実施例22と全く同様にして反応を行った。反応結果を表2に示した。
【0067】
【表2】

【0068】
(実施例24)
クライゼンヘッドを備えた100mL四つ口フラスコにグリセリン(純正化学社製)0.2molおよびトリアセチン(東京化成社製)0.1molを入れ混合した。触媒としてモンモリロナイトK10(SIGMA−ALDRICH社製)1gを仕込み、窒素流通下(15mL/min)にて油浴を用いて次のように昇温した。110℃まで30分で昇温させた後、210℃まで4hで25℃/hで直線的に昇温し、210℃で2h保持した後、降温した。クライゼンヘッドの外壁を120℃に保温し、昇温開始から流通窒素とともに留出してくる揮発成分についてGCを用いて分析し、留出してくる揮発成分として得られたアクロレインを定量した。昇温開始から210℃で2h保持した後に降温を開始するまでの間に得られたアクロレインは合計で65mmolであった。反応に添加した触媒の固着は見られなかった。
【0069】
(比較例4)
グリセリン0.2molとトリアセチン0.1molの混合物の代わりにグリセリン0.3molを使用した以外は実施例24と全く同様にして反応を行った。昇温開始から210℃で2h保持した後に降温を開始するまでの間に得られたアクロレインは合計で0.5mmolであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリセリンの脱水によりアクロレインを製造するに際し、少なくとも一つの水酸基が保護されたグリセリン誘導体を含む原料を、無機酸触媒存在下で脱水反応することを特徴とするアクロレインの製造方法。
【請求項2】
該グリセリン誘導体が、エステル体、アセタール体、及びケタール体からなる群より選ばれるいずれか一種以上であることを特徴とする請求項1に記載のアクロレイン製造方法。
【請求項3】
該グリセリン誘導体が、カルボン酸エステル体である請求項1または2に記載のアクロレイン製造方法。
【請求項4】
該カルボン酸エステル体が、飽和脂肪族カルボン酸エステル体である請求項3に記載のアクロレイン製造方法。
【請求項5】
グリセリンの脱水反応によりアクロレインを製造するに際し、グリセリンと、グリセリンの少なくとも一つの水酸基を保護することができる反応剤を含む混合物を、無機酸触媒存在下で脱水反応することを特徴とするアクロレインの製造方法。
【請求項6】
グリセリンの少なくとも一つの水酸基を保護することができる反応剤が、グリセリンに対するモル比で0.1以上の割合で導入することを特徴とする請求項5に記載のアクロレイン製造方法。
【請求項7】
グリセリンの少なくとも一つの水酸基を保護することができる反応剤がカルボン酸、であることを特徴とする請求項5または6に記載のアクロレイン製造方法。
【請求項8】
該無機酸触媒が、粘土鉱物である請求項1〜7のいずれか1項に記載のアクロレイン製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法によりアクロレインを製造する工程を有するアクロレイン誘導体の製造方法。

【公開番号】特開2009−275039(P2009−275039A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−98466(P2009−98466)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】