説明

アジピン酸結晶の製造方法

本発明は、アジピン酸結晶の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、特にアジピン酸合成反応媒体から出発する結晶化工程によって得られる、不純物含有率が低い結晶の形でアジピン酸を回収するための方法に関する。本発明に従えば、精製方法は、結晶中に封入された不純物の除去又は移動を促進するために結晶を粉砕する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アジピン酸結晶の製造方法に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、特にアジピン酸合成反応媒体から出発する結晶化工程によって得られる、不純物含有率が低い結晶の形でアジピン酸を回収するための方法に関する。「不純物含有率」という表現は、水以外の不純物の濃度を意味するものとする。
【背景技術】
【0003】
アジピン酸は、中間体化合物として又はある種の製品の特性を変化させるための添加剤として、多くの用途において用いられる主要な化学物質である。
【0004】
これらの用途の中では、ポリマーの製造におけるモノマーとしてのアジピン酸の使用が最も重要である。例えば、アジピン酸は、ポリアミド、特にポリアミド6,6の製造用の主要モノマーの1つであり、また、ポリエステル、ポリエステルフェノール及びポリウレタンの製造にも有用である。
【0005】
これらの用途及び特にポリアミドの製造用のモノマーとしての用途において、アジピン酸は、非常に高い純度、即ち、医薬として用いられる活性化合物に要求される純度と少なくとも同等の純度を有していなければならない。さらに、アジピン酸結晶は、アジピン酸を反応器や貯蔵タンク中に供給する際の良好な流動性並びに貯蔵及び輸送の際の低いケーク化可能性を得るために、所定の物理的特性、特に寸法及び形状特性を有していなければならない。さらに、一般的に「微粉」と称される非常に小さい寸法の結晶の存在は、アジピン酸取扱いの際の衛生上の理由で、最小限に抑えなければならない。
【0006】
アジピン酸は特に、炭化水素、例えばシクロヘキサンの酸化(直接的に又は2工程で)によって合成される。
【0007】
工業的に特によく用いられる方法は、2工程でのシクロヘキサンの酸化方法であり、この方法は、第1工程でシクロヘキサンを酸素で酸化してシクロヘキサノール/シクロヘキサノンの混合物にし、次いでこの混合物を硝酸で酸化してアジピン酸にすることを含む。第1のシクロヘキサンのシクロヘキサノール/シクロヘキサノンへの酸化は、単一の工程で実施することもできるし、2段階で、第1段階において触媒の不在下でシクロヘキシルヒドロペルオキシドを生成させ、次いで第2段階において触媒の存在下でシクロヘキシルヒドロペルオキシドを分解してシクロヘキサノール/シクロヘキサノンにすることによって実施することもできる。
【0008】
アジピン酸はまた、ベンゼンを水素化してシクロヘキセンにし且つ水添してシクロヘキサノールを生成させ、このシクロヘキサノールを硝酸で酸化することによって製造することもできる。
【0009】
これらの合成方法において、アジピン酸は反応媒体中に溶解した形で存在し、この反応媒体は一般的に、水、硝酸並びに多くの合成副生成物、例えばグルタル酸及びコハク酸等のアジピン酸以外の二酸、並びに用いた触媒から及び装置の腐蝕から由来する化合物、特に金属化合物を含む。
【0010】
この反応媒体から、一般的に反応媒体を冷却し且つ/又は濃縮した後に結晶化させることによって、アジピン酸が回収される。このアジピン酸は、(好ましくは水中での)連続的な結晶化によって精製され、次いで含水量を減らして貯蔵及び輸送の間のケーク化や結晶の凝集の問題を防止するために乾燥せしめられる。
【0011】
高い純度を得るために、用いられる方法は、数多くの結晶化工程を、有意の洗浄及び乾燥段階と共に含み、これはエネルギー及び投資コストを消費させる。
【0012】
要求される純度品質のアジピン酸を得るためには、これらの方法は数多くの工程を含み、このことは、プロセスの経済性に悪影響を及ぼし、そして例えば「微粉」が生成することによって結晶の物理的品質にも悪影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
高純度で且つ貯蔵、輸送及び取扱いに適合する物理的特性を有する結晶でこの化合物を得ることを可能にする、より一層良好なアジピン酸精製方法に対する要望が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的で、本発明は、結晶化によるアジピン酸結晶の製造方法であって、高純度であり且つ/又は取扱い、輸送及び貯蔵に適合した物理的特性を有する結晶をより容易に且つより経済性よく得ることを可能にする前記方法を提供する。
【0015】
本発明は、少なくとも1回の結晶化による精製工程及び少なくとも1回の結晶の分離回収工程を含む、アジピン酸の溶液からアジピン酸結晶を製造する方法を提供するものである。
【0016】
本発明に従えば、このアジピン酸結晶を製造する方法は、前記結晶を前記分離回収工程の前に粉砕する段階を含む。
【0017】
本発明の方法は、結晶化工程と分離回収工程との間にいくつかの中間工程、例えば濾過、再パルプ化(repulpage、再スラリー化、再懸濁)、洗浄等を含むのが一般的である。本発明の意味内で、「結晶化による精製工程及びアジピン酸結晶の分離回収工程」という表現は、結晶化段階及び分離回収段階の両方並びにすべての中間の段階をも含むものとする。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の方法の1つの有利な実施形態に従えば、結晶化による精製工程及びアジピン酸結晶の分離回収工程は、次の工程を含む:
・結晶化媒体の外部循環ループを随意に含む晶出装置中で、アジピン酸の溶液を冷却し且つ/又は濃縮することにより結晶化させる段階;
・随意としての、例えば濾過による生成した結晶を分離する段階;
・随意としての、アジピン酸が飽和した液状媒体中で結晶を再パルプ化させる段階;
・結晶を分離回収し、随意に結晶を洗浄する段階。
【0019】
「結晶の分離回収工程(又は段階)」という表現は、この方法の内の、アジピン酸結晶を新たな精製工程又は乾燥工程に供給する前に回収することを可能にする工程(又は段階)を意味するものとする。言い換えれば、もしもこの方法が『結晶化による精製及びアジピン酸結晶の分離回収』の工程を1回だけ実施する場合には、結晶の分離回収工程(又は段階)は乾燥前の最後の工程となるであろう。もしもこの方法が『結晶化による精製及びアジピン酸結晶の分離回収』の工程を複数回連続的に実施する場合には、「結晶の分離回収工程(又は段階)」とは、(最後の精製のための)乾燥前の最後の工程又は新たな『結晶化による精製及びアジピン酸結晶の分離回収』の工程の前の中間の工程(最後の精製の前の精製)を意味することができる。
【0020】
結晶化段階は、1つの晶出装置を用いて実施することもでき、直列に配置した複数個の晶出装置を用いて実施することもできる。
【0021】
「再パルプ化段階」という表現は、本発明においては、液状媒体、例えばアジピン酸が飽和した溶液中に結晶を懸濁又は分散させることを意味するものとする。
【0022】
「結晶粉砕段階」という表現は、アジピン酸結晶が多かれ少なかれ壊される(破砕・崩壊される)段階を意味するものとする。粉砕は、結晶中に捕捉された不純物、例えば結晶中に封入された結晶化液体又は結晶化母液等の、例えば洗浄により又は再パルプ化若しくは濾過段階において除去し又は移動させる(どかす)ことができなかったものを、放出又は移動させる効果を有する。(より明瞭にするために、結晶化液体又は結晶化母液を結晶化水又は結晶化母水と称するが、これは、アジピン酸の結晶化を実施するために用いられる液体として水を使用することに本発明の範囲を限定するものではない。)
【0023】
これらの結晶化母水又は結晶化水は、結晶化媒体中に存在する副生成物や不純物を含有するので、結晶の粉砕はアジピン酸精製方法の最後においてこれらの不純物をより一層低濃度にすることを可能にする。
【0024】
結晶の粉砕は一般的に、湿潤した結晶又は水(有利にはアジピン酸が飽和した水)のような液体中に懸濁させた結晶に直接機械的力を加えることによって、得られる。この粉砕を達成するために好適な方法は、例えば撹拌、破砕、押潰しのような固体状生成物を粉砕するための任意の標準的方法である。
【0025】
有利には、結晶の分離回収工程(又は段階)は、任意の好適な方法、例えば沈降分離、濾過、遠心分離等によって実施することができる。通常用いられる方法は、ロータリーフィルターであり、また、遠心乾燥機と称される装置を用いて実施される遠心分離も用いられる。分離回収工程において、結晶は多かれ少なかれ効果的な洗浄操作に付される。これらの洗浄操作の目的は、特に結晶の表面に存在する母水を除去することである。
【0026】
アジピン酸結晶を製造するための本方法は、バッチ式態様で実施することもでき、連続式で実施することもできる。
【0027】
本発明の1つの好ましい実施形態に従えば、アジピン酸の溶液はアジピン酸の水溶液である。
【0028】
1つの実施形態に従えば、『結晶化による精製及びアジピン酸結晶の分離回収』の工程を1回だけ実施する場合には、結晶の分離回収段階の前に、次の媒体:
・晶出装置中に含まれていて随意としての晶出装置外のループ中を循環する結晶の懸濁液(粉砕された結晶を含むこの懸濁液は、晶出装置中に再循環させる):
・随意としての再パルプ化段階の媒体中に含有される結晶;
・随意としての再パルプ化段階の後の湿潤した結晶:
の内の少なくとも1つに対して粉砕段階を実施する。
【0029】
別の実施形態に従えば、『結晶化による精製及びアジピン酸結晶の分離回収』の工程を少なくとも2回連続的に実施する場合に、結晶の分離回収段階の前に、
・最後の『結晶化による精製及びアジピン酸結晶の分離回収』の工程の前の工程の内の少なくとも1つにおいて、並びに/又は
・最後の『結晶化による精製及びアジピン酸結晶の分離回収』の工程の間に、
次の媒体:
・・晶出装置中に含まれていて随意としての晶出装置外のループ中を循環する結晶の懸濁液(粉砕された結晶を含むこの懸濁液は、晶出装置中に再循環させる):
・・随意としての再パルプ化段階の媒体中に含有される結晶;
・・随意としての再パルプ化段階の後の湿潤した結晶:
の内の少なくとも1つに対して、
粉砕段階を実施する。
【0030】
本発明の1つの好ましい実施形態に従えば、アジピン酸結晶を製造するための本方法は、少なくとも2回の連続的な結晶化による精製工程を含む。
【0031】
1回目の結晶化による精製工程は、合成反応媒体中に存在するアジピン酸から出発して実施される。例えば、この反応媒体を随意に水を蒸発させることによって濃縮してから冷却することによって、アジピン酸の結晶化を達成することができる。この結晶化は、連続式で又はバッチ式で運転される晶出装置を用いて実施することができる。
【0032】
1回目の結晶化段階の際に得られた結晶は、例えば濾過によって、母水から分離される。この実施形態においては、次いで、再パルプ化工程において結晶を例えばアジピン酸飽和水溶液等の液体中に分散させた後に、水をできるだけ多く取り除くための濾過/遠心乾燥工程に供給する。この最後の濾過/遠心乾燥工程は、上記の分離回収工程に相当する。この最後の濾過/遠心乾燥工程の間又はこの工程の前に、結晶表面上に存在する母水又は結晶化水のできるだけ多くを除去し又は移動させ且つ不純物を含有しない水に置き換えるために、結晶を洗浄する。
【0033】
この1回目の精製工程において得られたアジピン酸は、「工業等級アジピン酸」と称される。実際、これらの結晶は依然として結晶中に捕捉された不純物(特に封入母水)をある程度の量で含む。これらの封入物は、洗浄又は再パルプ化操作によって減少させたり移動させたりすることができなかったものである。
【0034】
本発明の1つの実施形態に従えば、1回目の『結晶化による精製及び結晶の分離回収』の工程の際に、結晶を粉砕したり結晶の懸濁液(例えば再パルプ化操作の際の結晶の懸濁液)中で機械的力(強い撹拌)を加えたりすることによって、結晶を粉砕する。また、結晶の懸濁液の外部循環路中にポンプ等の粉砕手段を配置することによってこの粉砕を実施することもできる。粉砕は、結晶を再パルプ化工程に供給する前に、分離工程において実施することもできる。
【0035】
本発明の別の実施形態に従えば、晶出装置は、結晶化媒体の外部循環ループを含み、その中に粉砕装置が配置される。この実施形態においては、粉砕された結晶を晶出装置中に再循環させることによって、結晶化媒体のシーディング(ensemencement、種晶)を実施することが可能になる。結晶化の分野においてよく知られているように、シーディングは得られる結晶の形状を制御し且つ変化させることを可能にする。
【0036】
また、再パルプ化及び遠心乾燥の後に回収された結晶の処理工程において、この結晶粉砕段階を提供することも可能である。この実施形態においては、再パルプ化させ、一度遠心乾燥させ、随意に洗浄した結晶を、アジピン酸飽和液体(有利にはアジピン酸飽和水)中に分散させる。この分散体に対して、結晶の粉砕を実施する。こうして粉砕されたアジピン酸結晶は、最終分離回収工程において、任意の既知の方法、例えば濾過によって回収され、好ましくはこれらの結晶を洗浄する。例えば、1回目の再パルプ化段階及び1回目の濾過による分離段階の後に回収された結晶に対して、結晶粉砕段階を実施し、この粉砕された結晶を次いで、新たな再パルプ化に付した後に、分離回収段階において回収する。
【0037】
有利には、所定の純度のアジピン酸結晶を得るために、1回目の『結晶化による精製及び結晶の分離回収』の工程において、アジピン酸結晶の粉砕を実施する。しかしながら、上記のものと同様の実施形態に従って、その後の別の結晶化工程において、特に高純度のアジピン酸を得ることを可能にする結晶化工程において、結晶粉砕段階を提供することも可能である。
【0038】
有利には、最初の精製工程において粉砕工程を含む本発明の方法の実施形態(特に工業等級のアジピン酸を製造するためのもの)は、粉砕工程なしの方法より高純度のアジピン酸を得ることを可能にする。かくして、「精製等級アジピン酸」と通常称される高純度のアジピン酸を製造するための第2工程又は最終工程は、標準的な方法によって得られるものと同等の純度のアジピン酸を得ることが望まれる場合には、より少ない高効率についての要望がある(avec besoin d'efficacite moins elevee)精製方法であり得る。同様に、この精製方法は、結晶の形状及び寸法に対して悪影響が少ないものであることができる。従って、本発明の方法は、非常に高純度のアジピン酸を製造すること、又は標準的方法で得られるものと同等の純度だが特に微粉含有量が低く、結晶のケーク化可能性を低減させることができるアジピン酸を製造することを可能にする。
【0039】
不純物の濃度又はアジピン酸の純度を測定するためには、グルタル酸及びコハク酸の濃度を測定し、硝酸イオンの濃度をも測定する。
【0040】
本発明のその他の詳細及び利点は、以下の単に例示及び指標として与えた実施例に鑑みて、より一層明らかになるだろう。
【実施例】
【0041】
例1:比較例
【0042】
シクロヘキサノール/シクロヘキサノン混合物の硝酸酸化方法から得られた反応媒体は、アジピン酸を約24重量%含有する。この媒体は、水、硝酸、酸化反応から由来する各種化合物、硝酸イオン並びに用いた触媒及び装置の腐蝕から由来する金属イオンを含む。
【0043】
この媒体を晶出装置に供給した。25℃付近の温度に冷却することによって、アジピン酸の結晶化を達成した。結晶化された固体を濾過によって結晶化母水から分離した。
【0044】
こうして回収された結晶を、「再パルプ化」と称される工程で25℃の温度においてアジピン酸飽和水中に懸濁させた。こうして処理された結晶を濾過器に供給した。回収された結晶は、437μmの平均寸法を有していた。
【0045】
こうして濾過された結晶を、アジピン酸飽和水を供給することによって充分洗浄して、結晶の周囲に存在する結晶化水を完全に移動させた。この洗浄方法は、結晶中に存在する封入物中には含有されない不純物を除去することを可能にした。
【0046】
回収された結晶を分析して、グルタル酸、コハク酸及び硝酸イオンの濃度を測定した。
【0047】
水中に希釈することによってサンプルを調製した後の液相クロマトグラフィーによってグルタル酸及びコハク酸の含有量並びに硝酸イオンの含有量を得て、同じ条件下での外部標準と比較した。用いた装置は、C18 ODS2タイプのカラムを、電気伝導度検出器又は分光検出器又はUV検出器(特に硝酸イオンについて)と共に含むものだった。溶出液は無機又は有機酸の希水溶液だった。
【0048】
得られた結果は次の通りだった。
・硝酸イオン:723ppm
・コハク酸:159ppm
・グルタル酸:202ppm
【0049】
例2:本発明
【0050】
例1を繰り返した。再パルプ化工程において存在する結晶を、再パルプ化分散体中に入れたULTRA-TURRAX装置を用いた粉砕操作に付した。
【0051】
例1に記載した方法に従って濾過及び洗浄操作の後に回収された結晶は、次の不純物濃度を有していた。
・硝酸イオン:283ppm
・コハク酸:70ppm
・グルタル酸:82ppm
【0052】
回収された結晶は、120μmの平均寸法を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1回の結晶化による精製工程及び少なくとも1回のアジピン酸結晶の分離回収工程を含む、アジピン酸の溶液からアジピン酸結晶を製造する方法であって、
前記アジピン酸結晶を前記分離回収工程の前に粉砕段階に付すことを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
前記の結晶化による精製工程及びアジピン酸結晶の分離回収工程が次の工程:
・結晶化媒体の外部循環ループを随意に含む晶出装置中で、アジピン酸の溶液を冷却し且つ/又は濃縮することにより結晶化させる段階;
・随意としての、生成した結晶を分離する段階;
・随意としての、アジピン酸が飽和した液状媒体中で結晶を再パルプ化させる段階;
・結晶を分離回収し、随意に結晶を洗浄する段階:
を含むこと、並びに
結晶化による精製及びアジピン酸結晶の分離回収の工程を1回実施する場合には、結晶の分離回収段階の前に次の媒体:
・晶出装置中に含まれていて随意としての晶出装置外のループ中を循環する結晶の懸濁液(粉砕された結晶を含むこの懸濁液は、晶出装置中に再循環させる):
・随意としての再パルプ化段階の媒体中に含有される結晶;
・随意としての再パルプ化段階の後の湿潤した結晶:
の内の少なくとも1つに対して粉砕段階を実施し、
結晶化による精製及びアジピン酸結晶の分離回収の工程を少なくとも2回連続的に実施する場合には、結晶の分離回収段階の前に、最後の結晶化による精製及びアジピン酸結晶の分離回収の工程の前の工程の内の少なくとも1つにおいて、並びに/又は最後の結晶化による精製及びアジピン酸結晶の分離回収の工程の間に、次の媒体:
・晶出装置中に含まれていて随意としての晶出装置外のループ中を循環する結晶の懸濁液(粉砕された結晶を含むこの懸濁液は、晶出装置中に再循環させる):
・随意としての再パルプ化段階の媒体中に含有される結晶;
・随意としての再パルプ化段階の後の湿潤した結晶:
の内の少なくとも1つに対して粉砕段階を実施すること
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記のアジピン酸の溶液がアジピン酸の水溶液であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記アジピン酸がシクロヘキサノール/シクロヘキサノン混合物又はシクロヘキサノールの硝酸酸化によって合成されたものであることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記アジピン酸がシクロヘキサンの分子状酸素による酸化によって合成されたものであることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも2回の連続的なアジピン酸の結晶化による精製工程を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
1回目の結晶化による精製工程が、
・晶出装置中でアジピン酸の溶液を冷却し且つ/又は濃縮することにより結晶化させる段階;
・生成した結晶を分離する段階;
・アジピン酸が飽和した液状媒体中で前記結晶を再パルプ化させる段階;
・前記結晶を分離回収し、随意に結晶を洗浄する段階;
を含み、且つ、
・結晶の分離回収段階の前に結晶に対して粉砕段階を実施する:
ことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記の結晶粉砕段階を、再パルプ化媒体中に含有される結晶に対して実施することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記の結晶粉砕段階を、再パルプ化段階の前又は後の湿潤結晶に対して実施することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記のアジピン酸結晶の粉砕を、晶出装置中に含有されて該晶出装置外部のループ中を循環する結晶の懸濁液に対して実施し、粉砕された結晶を含有するこの懸濁液を晶出装置中に再循環することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
1回目の再パルプ化段階及び続いての1回目の濾過による分離段階の後に回収された結晶に対して前記の結晶粉砕段階を実施し、粉砕された結晶を分離回収段階において回収する前に新たな再パルプ化に付すことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記の結晶の分離回収を濾過又は遠心乾燥によって実施することを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
分離した結晶を1回以上の洗浄操作に付すことを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記の結晶の粉砕を機械的撹拌、破砕及び押潰しによって実施することを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2012−530095(P2012−530095A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515426(P2012−515426)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【国際出願番号】PCT/EP2010/057924
【国際公開番号】WO2010/145961
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(508076598)ロディア オペレーションズ (98)
【氏名又は名称原語表記】RHODIA OPERATIONS
【住所又は居所原語表記】40 rue de la Haie Coq F−93306 Aubervilliers FRANCE
【Fターム(参考)】