説明

アジュバントを含む乳化可能な濃縮物

本発明は、オイルアジュバント、及び除草活性を有する2−[4[(5−クロロ−3−フルオロピリジン−2−イルオキシ)−フェノキシ]−プロピオン酸誘導体から成る群から選択される少なくとも1つのメンバー、及びキノリン誘導体緩和剤を含む安定な乳化可能な濃縮物に関し、そして除草剤としてのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルアジュバント、及び除草活性を有する2−[4[(5−クロロ−3−フルオロピリジン−2−イルオキシ)−フェノキシ]プロピオン酸誘導体から成る群から選択される少なくとも1つのメンバー、及びキノリン誘導体緩和剤を含む安定で乳化可能な濃縮物に関する。
【0002】
本発明は、これらの乳化可能な濃縮物から調製される、有用植物の作物中の、特にトウモロコシ及び穀草類の作物中のイネ科植物(grass)及び雑草を制御するための除草組成物にも関し、そして有用植物の作物中の雑草を制御する上でのこのような組成物の使用にも関する。
【背景技術】
【0003】
殺虫組成物の生物活性及び/又はスプレー(spray)特性を改善するためのアジュバントの使用は周知である。しかし、例えば活性成分又は解毒剤などの殺虫製剤に有用ないくつかの成分は、化学的に不安定であるか又は制限された化学的安定性を有している。これらの安定性の問題は、殺虫濃縮物の製剤において、殺虫濃縮物を製剤する能力を制限し、そしてアジュバントなどの付加的成分の使用を制限し得る。
【0004】
制限された化学的安定性を有する成分を含む、化学的に安定した製剤が必要とされている。さらに、タンク−ミックス(tank−mix)成分としてこれらのアジュバントを加えなければならないことを避けるために、「ビルト−イン(built−in)」のアジュバントを含む殺虫濃縮物が望まれている。
【0005】
乳化可能な濃縮物(EC)製剤は慣用的に、活性成分、水によるECの希釈において乳化剤として働く1又は複数の界面活性剤、及び水と非混和性の溶媒を含む。慣用的なEC製剤のための典型的な溶媒は芳香族炭化水素である。これらの溶媒は、水中で非常に低い溶解性を有し、そして広い範囲の活性成分を溶解する高い能力を有している。
【0006】
溶媒の存在により、ECとして製剤された多くの殺虫剤は、水和剤(WP)、水分散性顆粒(WG)又は懸濁濃縮物(SC)として製剤された同様の殺虫剤と比較して、高い程度の組織性及び高い全体的な活性などの利点を有している。
【0007】
観察される成分の組み合わせの有効性は、使用されている個々の成分の量から予測されるよりも顕著に高いこと(相乗作用)が時々あり得る。活性成分の有効性は、しばしばアジュバントなどの他の成分の添加により向上させることができる。
【0008】
消費者によるこれらのアジュバントの取り扱い及び投薬の容易性及び安全性の増大を考慮し、そして不必要な包装材料を避けることを考慮して、このようなアジュバントを既に含む濃縮製剤の開発が望まれている。
【0009】
米国特許第6,566,308号は、水混和性極性非プロトン性溶媒を用いて安定化したEC製剤を開示している。
【発明の開示】
【0010】
発明の概要
1つの実施態様において、本発明は、
a) 除草有効量の、少なくとも1つの除草剤;
b) 任意で、除草剤拮抗作用に対して有効な量の、少なくとも1つの緩和剤;
c) 5〜80重量%、好ましくは25〜70重量%の、少なくとも1つのオイルアジュバント(ここで、このオイルアジュバントは、植物の若しくは動物由来のオイル、又はミネラルオイル、それらのアルキルエステル又はそれらのオイルの混合物及びオイル誘導体を含む);
d) アジュバントの存在下において溶液中のAI及び緩和剤を保持するのに十分な量の、少なくとも1つの水非混和性溶媒;及び
e) 製剤が水に加えられた際に水中油型エマルジョンを形成するのに十分な量の、乳化界面活性剤系;
を含む乳化可能な濃縮物(EC)に関する。
ただし、a)は除草有効量の、少なくとも1つの式I化合物
【化1】

{ここで、Halはハロゲンであり
Qは、酸素又は硫黄であり、
Rは、水素、アルカリ金属イオン、又は第4級C1−C4−アルキルアンモニウム基、直鎖又は分岐鎖であるC1−C6−アルキル基(非置換であるか、又はハロゲン、シアノ、C1−C4−アルコキシ、C1−C4−アルキルカルボニル、C1−C4−アルコキシカルボニル、カルバモイル若しくはジ−C1−C4−アルキルカルバモイルによって置換される)、C3−C6−シクロアルキル基、直鎖又は分岐鎖であるC3−C6−アルケニル基(非置換であるか、又はハロゲンによって置換される)、直鎖又は分岐鎖であるC3−C6−アルキニル基(非置換であるか、又はハロゲンによって置換される)、
1つの基
【化2】

(ここで、R1及びR2は別々に、それぞれC1−C4−アルキル基であり、又は共に4−員環若しくは5−員環のメチレン鎖を形成し、それはC1−C4−アルキルによって置換することができる)}を含んで成り;そして/あるいは
b)は、除草剤拮抗作用に対して有効な量の、少なくとも1つのキノリン誘導体緩和剤を含み;
ここで、乳化可能な濃縮物は、蒸留水中で1%濃度まで希釈した場合、4.5〜8.0、好ましくは5.0〜7.0の範囲のpHを有し;且つ
ここで、乳化可能な濃縮物は、2.5%未満、好ましくは2.0%未満の水を含む。
【0011】
本発明の乳化可能な濃縮物を適量の水で希釈して水中油型エマルジョンを形成することにより得ることのできる選択性殺虫組成物を提供することも、本発明の対象である。
【0012】
有用植物の作物中の雑草を選択的に制御する方法を提供することは、本発明の別の対象である。この方法は、有用植物、それらの種子若しくは苗木又はそれらの作物領域を、本発明の殺虫組成物を用いて処理することを含む。
【0013】
本発明の取り扱いの利点は、肥料との優れた親和性、低い粘土、及び結晶化若しくは相分離を伴わない低温での安定性を含む。
【0014】
本発明のこれらの及び他の目的及び特徴は、下記の詳細な説明から、そして添付した特許請求の範囲から、より明らかになる。
【0015】
好ましい実施態様の詳細な説明
驚いたことに、1又は複数の除草活性成分及び少なくとも1つのオイルアジュバントを含む改良された安定なEC製剤は、1又は複数の水非混和性溶媒を使用し、またその製剤を水に加えた際に水中油型エマルジョンを形成するのを可能にする乳化界面活性剤系を使用し、そしてECのpH及び含水率を調整することによって生成できることが見出された。
【0016】
従って、本発明は、
a) 除草有効量の、好ましくは1〜30重量%の、少なくとも1つの除草剤;
b) 任意で、除草剤拮抗作用に対して有効な量の、少なくとも1つの緩和剤;
c) 5〜80重量%、好ましくは25〜70重量%の、少なくとも1つのオイルアジュバント(ここで、このオイルアジュバントは、植物の若しくは動物由来のオイル、又はミネラルオイル、それらのアルキルエステル又はそれらのオイルの混合物及びオイル誘導体を含む);
d) アジュバントの存在下において溶液中のAI及び緩和剤を保持するのに十分な量の、好ましくは5〜70重量%の、より好ましくは25〜60重量%の、少なくとも1つの水非混和性溶媒;及び
e) 製剤が水に加えられた際に水中油型エマルジョンを形成するのに十分な量の、好ましくは1〜30重量%の、乳化界面活性剤系;
を含む乳化可能な濃縮物に関する。
ただし、a)は除草有効量の、少なくとも1つの式Iの化合物
【化3】

{ここで、Halはハロゲンであり
Qは、酸素又は硫黄であり、
Rは、水素、アルカリ金属イオン、又は第4級C1−C4−アルキルアンモニウム基、直鎖又は分岐鎖であるC1−C6−アルキル基(非置換であるか、又はハロゲン、シアノ、C1−C4−アルコキシ、C1−C4−アルキルカルボニル、C1−C4−アルコキシカルボニル、カルバモイル若しくはジ−C1−C4−アルキルカルバモイルによって置換される)、C3−C6−シクロアルキル基、直鎖又は分岐鎖であるC3−C6−アルケニル基(非置換であるか、又はハロゲンによって置換される)、直鎖又は分岐鎖であるC3−C6−アルキニル基(非置換であるか、又はハロゲンによって置換される)、
1つの基
【化4】

(ここで、R1及びR2は別々に、それぞれC1−C4−アルキル基であり、又は共に4−員環若しくは5−員環のメチレン鎖を形成し、それはC1−C4−アルキルによって置換することができる)}を含んで成り;そして/あるいは
b)は、除草剤拮抗作用に対して有効な量の、少なくとも1つのキノリン誘導体緩和剤を含み;
ここで、乳化可能な濃縮物は、蒸留水中で1%濃度まで希釈した場合、4.5〜8.0、好ましくは5.0〜7.0の範囲のpHを有し;且つ
ここで、乳化可能な濃縮物は、2.5%未満、好ましくは2.0%未満の水を含む。
【0017】
本発明の乳化可能な濃縮物における使用に適した除草剤としては、PSII阻害剤、PSI阻害剤、ALS阻害剤、HPPD阻害剤、ACCase阻害剤、細胞分裂阻害剤、PDS阻害剤、脂質代謝阻害剤及びPPGO阻害剤が挙げられる。本発明の乳化可能な濃縮物における使用に対して好ましいクラスの除草剤は、ADCCase阻害剤及び細胞分裂阻害剤を含む。好ましい除草剤としては、本明細書中に記載の式Iの化合物、クロジナホップ、シハロホップ、ジクロホップ、フェノキサプロップ、フェノキサプロップ−P、フルアジホップ、ハロキシホップ、プロパキザホップ、キザロホップ、キザロホップ−P、及び農業上許容される塩及びシハロホップ−ブチル、ジクロホップ−メチル、フェノキサプロップ−エチル、フェノキサプロップ−P−エチル、フルアジホップ−ブチル、フルアジホップ−P−ブチル、ハロキシホップ−エトチル、ハロキシホップ−P−メチル、キザロホップ−エチル、キザロホップ−P−エチル及びキザロホップ−P−テフリルなどのそれらのエステルを含むアリールオキシフェノキシプロピオン酸除草剤;アロキシジム、ブトロキシジム、クレトジム、シクロキシジム、セトキシジム、テプラロキシジム及びトラルコキシジムを含むシクロヘキサンジオンオキシム除草剤;ジフェナミド、ナプロパミド、ナプロアニリド、アセトクロール、アラクロール、ブタクロール、ジメタクロール、ジメテナミド、ジメテナミド−P、フェントラザミド、メタザクロール、メトラクロール、ペトキサミド、プレチラクロール、プロパクロール、プロピソクロール、S−メトラクロール、テニルクロール、フルフェナセト及びメフェナセトなどのアセトアミド除草剤が挙げられる。本明細書中で用いられているように、アセトアミドという用語は、2以上のアセトアミドの混合物及びアセトアミドの光学異性体の混合物を含む。例えば、(S)−2−クロロ−N−(2−エチル−6−メチルフェニル)−N−(2−メトキシ−1−メチルエチル)アセトアミド対(R)−2−クロロ−N−(2−エチル−6−メチルフェニル)−N−(2−メトキシ−1−メチルエチル)アセトアミドの比率が、50〜100%対50〜0%、好ましくは70〜100%対30〜0%、そしてより好ましくは80〜100%対20〜0%の範囲である、メトラクロールの(R)及び(S)異性体の混合物;及びピノキサデン。
【0018】
これらの化合物は当業界において知られており、「The Pesticide Manual」(第12版、British Crop Protection Council)、又は他のすぐに入手可能な資料において説明されている。
【0019】
特に好ましい除草剤は式Iの化合物を含み、ここで、Halは塩素、Qは酸素、及びRはC3−C6−アルキニル基、好ましくはプロピニル基である。式Iの範囲内で好ましい化合物は、一般にクロジナホップ−プロパルギルと呼ばれており、例えば米国特許第4,713,109号で説明されている。本明細書中で用いられているように、クロジナホップ及びクロジナホップ−プロパルギルという用語は、式Iの化合物の(R)及び(S)異性体の混合物を含み、ここで、Halは塩素、Qは酸素、及びRはプロピニル基であり、そして(R)対(S)の比率は50〜100%対50〜0%、好ましくは80〜100%対20〜0%、そしてより好ましくは90〜100%対10〜0%の範囲である。
【0020】
式Iの化合物において、様々な置換基は光学異性及び/又は立体異性に寄与しうる。全てのこのようなラセミ混合物及び異性体は、本発明の範囲内に含まれている。
【0021】
本明細書中で用いられているように、「除草有効量」という用語は、植物の成長を抑制又は変える除草化合物の量を意味する。
【0022】
乳化可能な濃縮物は、除草剤拮抗作用に対して有効な量、例えば、除草剤に対する有益な作物の植物毒性反応をある程度中和する量の、少なくとも1つの緩和剤を含むことができる。本発明の乳化可能な濃縮物における使用に適した緩和剤としては、キノリン誘導体;ベノキサコール;ジクロルミド;フェンクロラゾール−エチル;フェンクロリム;フルラゾール;フルクソフェニム;フリラゾール;イソキサジフェン−エチル;メフェンピル;メフェンピルのアルカリ金属、アルカリ土類金属、スルホニウム又はアンモニウムカチオン;メフェンピル−ジエチル及びオキサベトリニルが挙げられる。
【0023】
本発明の成分b)としての使用に適切なキノリン誘導体は、米国特許第4,902,340号及び同第5,102,445号において教示されているものを含み、それらの内容は本明細書中で引用文献として組み入れられている。好ましいキノリン誘導体としては、クロキントセット;クロキントセットのアルカリ金属、アルカリ土類金属、スルホニウム又はアンモニウムカチオン;及びクロキントセット−メキシルが挙げられる。特に好ましいキノリン誘導体はクロキントセット−メキシルである。
【0024】
本発明の実施態様において、好ましくは、クロジナホップ−プロパルギルは、緩和剤であるクロキントセット−メキシルと共に使用される。これらの混合物は、例えば、米国特許第4,881,966号において説明されている。これらの混合物は、乳化可能な濃縮物の形態で商業的に入手可能である。
【0025】
乳化可能な濃縮物はさらに、製剤中で可溶性であるか又は完全に混和性であり、そして蒸留水中で1%濃度まで希釈した場合に4.5〜8.0の範囲のpHを有する乳化可能な濃縮物を得るのに十分な量において約1〜8のpKaを有する弱酸又は弱塩基を含むことができる。好ましい酸性成分としては、酢酸などの有機酸、及び乳化剤としても機能することができる酸性界面活性剤が挙げられる。
【0026】
好ましいオイルアジュバントは、ミネラルオイル又は例えばカノーラオイル、オリーブオイル若しくはヒマワリオイルなどの植物由来のオイル、乳化植物油、例えばメチル誘導体などの植物由来のオイルのアルカリエステル、又は魚油若しくは牛脂などの動物由来のオイルを含む。
【0027】
植物油のエステルは、アルカノールを用いたエステル化又は対応する植物油のエステル交換により、中鎖脂肪酸から得られるアルキルエステルである。好ましいこれらの植物油の脂肪酸は、5〜20個、特に8〜18個の炭素原子を有する。好ましい実施態様において、使用される植物油のメチルエステルは、カノーラオイルのメチルエステルである。
【0028】
特に好ましいオイルアジュバントは、高級脂肪酸(C8〜C22)のアルキルエステル、特に、C12〜C18の脂肪酸のメチル誘導体を含み、例えばラウリン酸、パルミチン酸及びオレイン酸のメチルエステルである。これらのエステルは、メチルラウリン酸塩(CAS−111−82−0)、メチルパルミチン酸塩(CAS−112−39−0)及びメチルオレイン酸塩(CAS−112−62−9)として知られている。
【0029】
オイルアジュバントの適用及び作用は、それらと、非イオン性、アニオン性又はカチオン性の界面活性剤などの界面活性化剤とを混ぜ合わせることにより改善することができる。
【0030】
製剤を水に加えた場合にECが水中油型エマルジョンを形成するのを可能にする乳化可能な濃縮物系は、典型的には2以上の界面活性剤の混合物である。それらの少なくとも1つは非イオン性界面活性剤であり、そして任意にそれらの少なくとも1つはアニオン性界面活性剤である。
【0031】
適切な界面活性化合物は、説明した式Iの活性成分の性質に依存して、非イオン性、カチオン性及び/又はアニオン性界面活性剤、並びに優れた乳化、分散及び湿潤特性を有する界面活性剤の混合物である。適切なアニオン性、非イオン性及びカチオン性界面活性剤の例は、例えば、米国特許第6,063,732号の5段目1行から6段目2行において羅列されており、それらの内容は本明細書中において引用文献として組み込まれている。
【0032】
さらに、特に、「Mc Cutcheon's Detergents and Emulsifiers Annual」(MC出版社、ニュージャージー州、リッジウッド、1981年)、Stache, H., 「Tensid−Taschenbuch」(カール ハンサー出版社、ミュンヘンNienna、1981年) 及び M. and J. Ash, 「Encyclopedia of Surfactants」(第I巻〜第III巻、ケミカル出版社、ニューヨーク、1980〜1981年)で説明されている製剤技術において、通例使用される界面活性剤は、本発明に従った除草組成物の調製に対しても適切である。
【0033】
本発明における使用に適したアニオン性界面活性剤は、当業界において知られた任意のものであることができる。アニオン性界面活性剤は、ポリアリールフェノールポリアルコキシエーテル硫酸塩及び/又はリン酸塩;C8-18アルコールポリアルコキシエーテルリン酸塩、カルボン酸塩、及び/又はクエン酸塩;アルキルベンゼンスルホン酸;脂肪酸を含むC8-20アルキルカルボン酸塩;C8-20アルコール硫酸塩;C8-20アルコールリン酸塩モノエステル及びジエステル;C8-20アルコール及び(C8-20アルキル)フェノールポリオキシエチレンエーテルカルボン酸塩、硫酸塩及びスルホン酸塩;C8-20アルコール及び(C8-20アルキル)フェノールポリオキシエチレンリン酸塩モノエステル及びジエステル;C8-20アルキルベンゼンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩及びホルムアルデヒドのそれらの縮合物;リグノスルホン酸塩;C8-20アルキルスルホコハク酸塩及びスルホスクシンアミド酸塩;C8-20アシルグルタミン酸塩、サルコシネート、イセチオン酸塩及びタウリン酸塩;水溶性石鹸及びそれらの混合物であることができる。
【0034】
典型的なポリアリールフェノールポリアルコキシエーテル硫酸塩及びリン酸塩としては、ポリアリールフェノールポリエトキシエーテル硫酸塩及びリン酸塩、ポリアリールフェノールポリプロポキシエーテル硫酸塩及びリン酸塩、ポリアリールフェノールポリ(エトキシ/プロポキシ)エーテル硫酸塩及びリン酸塩、並びにそれらの塩が挙げられる。「アリール」という用語は、例えば、フェニル、トリル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニル、スチリル、ピリジル、キノリニル、及びそれらの混合物が挙げられる。典型的なポリアリールフェノールポリエトキシエーテル硫酸塩及びリン酸塩としては、ジスチリルフェノールポリエトキシエーテル硫酸塩及びリン酸塩、並びにトリスチリルフェノールポリエトキシエーテル硫酸塩及びリン酸塩が挙げられる。ポリアリールフェノールポリアルコキシエーテル硫酸塩及びリン酸塩のアルコキシル化(例えば、エトキシル化)の程度は、約1〜約50、好ましくは約2〜約40、より好ましくは約5〜約30であることができる。商業的に入手可能なポリアリールフェノールポリアルコキシエーテル硫酸塩及びリン酸塩としては、例えば、SOPROPHOR(登録商標)4D384(ロディア社,ニュージャージー州、クランベリー)(トリスチリルフェノール(EO)16硫酸アンモニウム塩)、SOPROPHOR(登録商標)3D33(ロディア社,ニュージャージー州、クランベリー)(トリスチリルフェノール(EO)16リン酸塩遊離酸)、SOPROPHOR(登録商標)FLK(ロディア社,ニュージャージー州、クランベリー)(トリスチリルフェノール(EO)16リン酸塩カリウム塩)及びSOPROPHOR(登録商標)RAM/384(ロディア社,ニュージャージー州、クランベリー)(ポリエトキシル化オレイルアミンで中和したトリスチリルフェノールポリエトキシル化エーテル硫酸塩)が挙げられる。他の実施態様においては、ポリアリールフェノールポリアルコキシエーテル硫酸塩及びリン酸塩は、スチリルフェノールポリエトキシエーテル硫酸塩及びリン酸塩などのモノ−アリールフェノールポリアルコキシエーテル硫酸塩及びリン酸塩であることができる。
【0035】
典型的なC8-18アルコールポリエトキシエーテルリン酸塩、カルボン酸塩及びクエン酸塩としては、STEPFAC(登録商標)8180(ステパン社、イリノイ州、ノースフィールド)(トリデシルアルコール(EO)3リン酸塩)、STEPFAC(登録商標)8181(ステパン社、イリノイ州、ノースフィールド)(トリデシルアルコール(EO)6リン酸塩)、STEPFAC(登録商標)8182(ステパン社、イリノイ州、ノースフィールド)(トリデシルアルコール(EO)12リン酸塩)、EMCOL(登録商標)CN−6(CKウィトゥコ社、コネチカット州、グリニッジ)(トリデシルアルコール(EO)6カルボン酸塩)が挙げられる。C8-18アルコールポリエトキシエーテルリン酸塩、カルボン酸塩及びクエン酸塩のエトキシル化の程度は、約1〜約25、好ましくは約1〜約20であることができる。
【0036】
典型的なアルキルベンゼンスルホン酸及びその塩としては、ドデシルベンゼンスルホン酸、及びドデシルベンゼンスルホン酸を含むアルキルベンゼンスルホン酸の金属(例えば、ナトリウム又はカルシウム)塩、アンモニア塩又はアミン塩が挙げられる。中和されたアミンとしては、第一級アミン、ジアミン、トリアミン及びアルカノールアミンが挙げられる。
【0037】
付加的な好ましいアニオン性界面活性剤としては、(C8-12アルキル)フェノールポリオキシエチレンエーテル硫酸塩、並びに(C8-12アルキル)フェノールポリオキシエチレンリン酸塩モノエステル及びジエステルなどが、それぞれ一価の対イオンを伴ったものが挙げられる。1つの実施態様においては、(C8-12アルキル)フェノールポリオキシエチレンエーテル硫酸塩又は(C8-12アルキル)フェノールポリオキシエチレンリン酸塩のための一価の対イオンは、プロトン化されたポリオキシエチレンC12-20アルキルアミン界面活性剤である。さらに具体的には、ノニルフェノールポリオキシエチレンエーテル硫酸塩、ノニルフェノールポリオキシエチレンリン酸塩のポリオキシエチレン獣脂アミン塩、及びこのようなノニルフェノールポリオキシエチレンリン酸塩とポリオキシエチレン獣脂アミンとの混合物である。
【0038】
適切な水溶性石鹸は、高級脂肪酸(C10〜C22)のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩又は置換されたアンモニウム塩(例えば、オレイン酸又はステアリン酸のナトリウム塩又はカリウム塩)、或いは、特にココナツ油または獣油から得られる天然の脂肪酸混合物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又は置換されたアンモニウム塩である。さらなる適切な石鹸は、脂肪酸メチルタウリン塩である。
【0039】
アニオン性界面活性剤は、任意に塩基性化合物で中和される。塩基性化合物は、アニオン性界面活性剤を中和できるのであれば、当業界で知られている任意のものであることができる。塩基性化合物としては、例えば、無機塩基、C8-18アルキルアミンポリアルコキシレート、アルカノールアミン、アルカノールアミド、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0040】
典型的な無機塩基としては、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、及びこれらの混合物が挙げられる。C8-18アルキルアミンポリアルコキシレートは、例えばC8-18アルキルアミンポリプロポキシレートおよび/またはC8-18アルキルアミンポリエトキシレートであることができる。典型的なC8-18アルキルアミンポリアルコキシレートとしては、獣脂アミンポリアルコキシレート、ココアミンポリアルコキシレート、オレイルアミンポリアルコキシレート、及びステアリルアミンポリアルコキシレートなどが挙げられる。C8-18アルキルアミンポリエトキシレートは、1モルにつきエチレンオキシドを約2〜約50モル、より好ましくは1モルにつきエチレンオキシドを約2〜約20モル有することができる。典型的なC8-18アルキルアミンポリエトキシレートとしては、獣脂アミンエトキシレート(2モルのEO又は8モルのEO)、ココアミンエトキシレート、オレイルアミンエトキシレート、及びステアリルアミンエトキシレートが挙げられる。典型的なアルカノールアミンとしては、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンが挙げられる。典型的なアルカノールアミドとしては、オレイン酸ジエタノールアミド及びリノール酸ジエタノールアミド、並びに他のC8-18脂肪酸のジエタノールアミドが挙げられる。
【0041】
アニオン性界面活性剤は、1又は複数の塩基性化合物を用いて滴定曲線の変曲点まで中和することができる。変曲点のpHは、使用する成分の酸の強度と塩基の強度によって異なるが、一般的に約pH4〜約pH9、好ましくは約pH5〜約pH7の範囲内になることが、当業者であれば理解できよう。例えば本発明の組成物は、ポリアリールフェノールポリアルコキシエーテル硫酸塩、ポリアリールフェノールポリアルコキシエーテルリン酸塩、C8-18アルコールポリアルコキシエーテルリン酸塩、C8-18アルコールポリアルコキシエーテルカルボン酸塩、C8-18アルコールポリアルコキシエーテルクエン酸塩、及び/又はアルキルベンゼンスルホン酸のうちの少なくとも1つを、1又は複数の塩基性化合物を用いて滴定曲線の変曲点まで中和したものを含むことができる。様々なアニオン性界面活性剤を中和するのに用いる塩基性化合物は、同じでも異なっていてもよい。
【0042】
さらに他の実施態様においては、本発明の組成物は、少なくとも2つのアニオン性界面活性剤の混合物を含んでいる。そのアニオン性界面活性剤の選択は、ポリアリールフェノールポリアルコキシエーテル硫酸塩、ポリアリールフェノールポリアルコキシエーテルリン酸塩、脂肪酸を含む酸C8-20アルキルカルボン酸塩、C8-20アルコール硫酸塩、C8-20アルコールリン酸モノエステル及びジエステル、C8-20アルコール及び(C8-20アルキル)フェノールポリオキシエチレンエーテルカルボン酸塩、硫酸塩及びスルホン酸塩、C8-20アルコール及び(C8-20アルキル)フェノールポリオキシエチレンリン酸モノエステル及びジエステル、C8-20アルキルベンゼンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩及びそのホルムアルデヒド濃縮物、リグノスルホン酸塩、C8-20アルキルスルホコハク酸塩及びスルホスクシンアミド酸塩、及び/又はC8-20アシルグルタミン酸塩、サルコシン酸塩、イセチオン酸塩及びタウリン酸塩を、1又は複数の塩基性化合物を用いて滴定曲線の変曲点まで中和したものの中から行なう。さまざまなアニオン性界面活性剤を中和するのに用いる塩基性化合物は、同じでも異なっていてもよい。
【0043】
中和するとき、アニオン性界面活性剤と塩基性化合物は、好ましくは約1:1の比で使用する。1つの塩基性化合物を用いて1又は複数のアニオン性界面活性剤を中和することができる。他の実施態様では、複数の塩基性化合物を用いて1又は複数のアニオン性界面活性剤を中和することができる。
【0044】
典型的な非イオン性界面活性剤としては、エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマー;エチレンオキシド−ブチレンオキシドブロックコポリマー;エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマーのC2-6アルキル付加化合物;エチレンオキシド−ブチレンオキシドブロックコポリマーのC2-6アルキル付加化合物;ポリプロピレングリコール;ポリエチレングリコール;ポリアリールフェノールポリエトキシエーテル;ポリアルキルフェノールポリエトキシエーテル;(脂肪族)炭化水素部分にグリコールエーテル基を3〜30個及び炭素原子を8〜20個含み、そしてアルキルフェノールのアルキル部分に炭素原子を6〜18個含む、脂肪族若しくは脂環式アルコールの又は飽和若しくは不飽和脂肪酸及びアルキルフェノールのポリグリコールエーテル誘導体;ポリオキシエチレンソルビタンのモノ(C12-20アルキル)エステル、ジ(C12-20アルキル)エステル及びトリ(C12-20アルキル)エステル;アルコキシル化された植物油;アルコキシル化されたアセチレンジオール;アルキルポリグリコシド並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0045】
エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマーは、アルキル又はアルキルフェノールエーテル塩基(例えば、ブチルエーテル、メチルエーテル、プロピルエーテル、エチルエーテル、又はこれらの混合物)を含むことができる。商業的に入手可能な非イオン性界面活性剤としては、例えば、TOXIMUL(登録商標)8320(ステパン社、イリノイ州、ノースフィールド)(EO/POブロックコポリマーのブチルエーテル誘導体)、WITCONOL(登録商標)NS−500LQ(CKウィトゥコ社、コネチカット州、グリニッジ)(EO/POブロックコポリマーのブチルエーテル誘導体)、及びWITCONOL(登録商標)NS−108LQ(CKウィトゥコ社、コネチカット州、グリニッジ)(EO/POブロックコポリマーのノニルフェノールエーテル誘導体)などがある。
【0046】
他の適切な非イオン性界面活性剤は、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの重付加化合物、エチレンジアミノポリプロピレングリコール並びにアルキル部分に炭素原子を1〜10個有するアルキルポリプロピレングリコールを含む、水溶性の20〜250個のエチレングリコールエーテル群であり、これらの物質は通常プロピレングリコール単位毎に1〜5個のエチレングリコール単位を含む。非イオン性界面活性剤の例は、ノニルフェノールポリエトキシエタノール、植物油ポリグリコールエーテル、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの重付加化合物、トリブチルフェノキシポリエトキシエタノール、オクチルフェノキシポリエトキシエタノールである。ポリオキシエチレンソルビタントリオレイン酸などのポリオキシエチレンソルビタンの脂肪酸エステルが好ましい。
【0047】
好ましくは、本発明の界面活性剤系はアニオン性界面活性剤及び1又は2つの非イオン性界面活性剤からなる。
【0048】
カチオン性界面活性剤としては、好ましくは、N置換基として少なくとも1つのC8〜C22アルキルラジカルを備え、そしてさらなる置換基として置換されていない又はハロゲン化された低級アルキルラジカル、ベンジルラジカル若しくはヒドロキシ−低級アルキルラジカルを備える第四級アンモニウム塩である。この塩は、好ましくは、ハロゲン化物、メチル硫酸塩又はエチル硫酸塩の形態であり、例えば、ステアリルトリメチルアンモニウム塩化物又はベンジルビス(2-クロロエチル)エチルアンモニウム臭化物である。
【0049】
界面活性剤の量は、組成物のために選択した具体的な活性成分、並びに望ましいその活性成分の絶対量および相対量に依存する。本明細書中で示したクラス又は具体的例から選択した安定化系成分の適切な量は、定型的な実験により決めることができる。この試験では、組成物を20〜25℃で24時間にわたって保管した後に相分離、沈殿又は凝集が実質的に表れず、或いは、好ましい実施態様では、上記の温度範囲よりも広い温度範囲でより長期間にわたって保管した後に相分離、沈殿又は凝集が実質的に表れない。典型的には、全体としての組成物中における全界面活性剤の総濃度は、約1重量%〜約30重量%であり、なお対イオンが存在している場合には、その対イオンの重量を除く。
【0050】
組成物に存在する界面活性剤の相対量を計算する際には、界面活性剤とともに供給される水又は他の希釈剤の重量がわかっているのであれば、その重量を除くべきである。例えば、CKウィトゥコ社のWITCONATE(登録商標)79Sは、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン塩を52%含む。WITCONATE(登録商標)79Sを1%含んでいる組成物では、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン塩の濃度は0.52%と計算されるはずである。
【0051】
適切な水非混和性溶媒は、好ましくは、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、ジアルキレングリコールジアルキルエーテル、ケトン、酢酸のアルキルエステル又はそれらの混合物から成る群から選択される。
【0052】
ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ミネラルオイル又はケロシン又は置換されたナフタレン、モノアルキル化芳香族化合物及びポリアルキル化芳香族化合物の混合物などの、芳香族炭化水素及び脂肪族炭化水素は、登録された商標であるSolvesso(登録商標)及びShellsol(登録商標)及びPetrol Spezial(登録商標)の下で商業的に入手可能である。好ましいケトンは、アセトフェノンを含む。酢酸の代表的なアルキルエステルとしては、EXXATE(登録商標)800(エクソンモービルケミカル社、テキサス、ヒューストンから入手可能)などのEXXATE(登録商標)流動体が挙げられる。
【0053】
本発明の緩和剤は、意図された目的に依存して、栽培植物の種子材料を前処理するのに用いることができ(種子又は苗木をドレッシングする)、或いは播種の前又は後に土壌中に組み入れることができる。しかし、この緩和剤は、植物の発芽の後に、単独で又は除草剤及びオイルアジュバントと共に使用することもできる。従って、緩和剤による植物又は種子の処理は、原理上は、除草剤を使用する時期とは独立して行うことができる。しかし、植物の処理は、除草剤、オイルアジュバント及び緩和剤を同時に使用することにより実施することもできる。除草剤との関係での緩和剤の使用の程度は、使用方法に大きく依存する。緩和剤と除草剤を混合したタンク混合物を用いるか又は緩和剤と除草剤の別々の使用によってなされるフィールド処理の場合、除草剤対緩和剤の比率は、一般的に、100:1から1:10、好ましくは20:1から1:1である。フィールド処理の場合、一般的に使用される緩和剤の緩和剤/haは、0.001から1.0kgであり、好ましくは0.001から0.25kgである。
【0054】
水中油型エマルジョンを形成するために、適量の水に本発明の乳化可能な濃縮物を希釈することにより得られる選択性除草組成物を提供することも、本発明の対象である。
【0055】
有用植物の作物中の雑草を選択的に制御するための方法を提供することは、本発明の別の対象である。この方法は、有用植物、それらの種子若しくは苗木又はそれらの作物領域を本発明の除草組成物で処理することを含んで成る。
【0056】
好ましくは、本発明のECは、一般的に消費者が希釈組成物を使用する、濃縮形態であることができる。この組成物は、活性成分(a.i)が0.01%になる濃度まで希釈することができる。この組成物は、典型的には、約0.006〜0.6kg a.i/haの活性成分を供給するのに十分な量において使用される。
【0057】
本発明の組成物は、例えば、発芽前散布、発芽後散布及び種子ドレッシングなどの農業において慣用的に用いられる全ての使用方法に対して適している。好ましくは、本発明の組成物は、雑草の発芽後制御に対して使用される。
【0058】
本発明の組成物は、特に、穀草類、セイヨウアブラナ、甜菜、サトウキビ、プランテーション作物、コメ、トウモロコシ及びダイズなどの有用植物の作物中の雑草を制御するのに適している。特に好ましい作物は、トウモロコシ、コメ、ダイズ及び小麦又は大麦などの穀草類である。「作物」には、育種又は遺伝子操作の慣用的方法の結果、除草剤又は除草剤のクラスに対する耐性を有した作物も含むことが理解される。本発明の組成物において使用される成分は、当業者に知られた様々な方法、様々な濃度で使用することができる。除草組成物が使用される程度は、制御される雑草の具体的種類、必要とされる制御の程度、及びタイミング及び使用方法に依存するだろう。
【0059】
作物領域は、栽培植物が既に栽培されている土地又は栽培植物の種子が播種された土地の領域であり、そして栽培植物の栽培が意図されている土地の領域でもある。
【0060】
制御される雑草は、双子葉草又は、好ましくは単子葉草のいずれかであることができる。例えば、単子葉草である、カラスムギ属(Avena)、コヌカグサ属(Agrostis)、クサヨシ属(Phalaris)、ロリウム属(Lolium)、ブロームス属(Bromus)、スズメノテッポウ属(Alopecurus)、エイコログサ属(Setaria)、メヒシバ属(Digitaria)、ブラキアリア属(Brachiaria)、ヒエ属(Echinochloa)、キビ属(Panicum)、モロコシ属(Sorghum hal./bic.)、ツノアイアシ属(Rottboellia)、シペラス属(Cyperus)、ブラキアリア属(Brachiaria)、ヒエ属(Echinochloa)、シルプス属(Scirpus)、ミズアオイ属(Monochoria)及びサギタリア属(Sagittaria)、並びに双子葉草であるシナピス属(Sinapis)、アカザ属(Chenopodium)、ハコベ属(Stellaria)、ヤエムグラ属(Galium)、スミレ属(Viola)、ベロニカ属(Veronica)、マトリカリア属(Matricaria)、ケシ属(Papaver)、ナス属(Solanum)、アブティロン属(Abutilon)、シダ属(Sida)、オナモミ属(Xanthium)、アマランツス属(Amaranthus)、イポメア属(Ipomoea)及びクリサンセマム属(Chrysanthemum)がある。
【0061】
補助除草剤、殺菌剤、殺虫剤、ダニ駆除剤及び線虫駆除剤などの他の活性成分は、乳化可能な濃縮物中に存在することができ、又は乳化可能な濃縮物と共にタンク−ミックスパートナー(tank−mix partner)として加えることができる。
【0062】
これらの組成物は、化学安定剤、粘性調整剤、増粘剤、結合剤、粘着付与剤、肥料及び消泡剤などの他の助剤も含むことができる。
【0063】
適した安定剤としては、エポキシド化ダイズ油などのエポキシド化動物油又は植物油が挙げられる。
【0064】
代表的な消泡剤は、シリカ、ポリジアルキルシロキサン、特にポリジメチルシロキサン、フルオロ脂肪族エステル又はペルフルオロアルキルホスホン酸/ペルフルオロアルキルホスホン酸又はそれらの塩及びそれらの混合物である。ポリジメチルシロキサンが好ましい。
【0065】
本発明のより明確な理解のために、具体的実施例が下記で説明される。これらの実施例は単なる例示であり、決して本発明の範囲及び基礎的原理を限定するものと理解してはならない。実際に、以下の実施例及び前述の説明から、本明細書中に示しそして説明したものに付加した本発明の様々な改良が、当業者に対して明らかになる。
【実施例】
【0066】
試験サンプルの調製
本発明の組成物の安定性における水の影響を実証するために、下記の表1に示される比率(重量%)で、クロジナホップ−プロパルギル、クロキントセット−メキシル、Atplus(登録商標)300F界面活性剤混合物及び水を、メチル化菜種油及びExxate800の混合物中に溶解することにより、一連の乳化可能な濃縮物製剤を調製した。水中で1%濃度まで希釈した際の組成物のpHを、pH電極により測定した。
【0067】
乳化可能な濃縮物の組成物のサンプルを70℃の温度で保管し、そしてクロジナホップ−プロパルギル及びクロキントセット−メキシル成分の濃度を、当業界で既知のガスクロマトグラフィー技術により、長い期間測定した。これらの測定に基づいて、各成分の半減期を算出することができた。
【表1】

【0068】
表1の半減期のデータは、組成物の水分含量が保管中の活性成分の化学的安定性に強く影響することを示している。水分含量が約3%未満に維持されている場合に、活性成分の最適な化学的安定性が観察された。
【0069】
本発明の組成物の安定性におけるpHの影響を実証するために、下記の表2に示される比率(重量%)で、クロジナホップ−プロパルギル、クロキントセット−メキシル、Atplus(登録商標)300F界面活性剤、AgRHOSpec 6713、Bio−Soft S−101及び水を、メチル化菜種油、アセトフェノン及びExxate800の混合物中に溶解することにより、乳化可能な濃縮物製剤を調製した。組成物は、水中で1%濃度まで希釈した際に、様々な範囲のpH値を示した。
【表2】

【0070】
乳化可能な濃縮物の組成物のサンプルを70℃の温度で保管し、そしてクロジナホップ−プロパルギル及びクロキントセット−メキシル成分の濃度を、当業界で既知のガスクロマトグラフィー技術により、長い期間測定した。これらの測定に基づいて、各成分の半減期を算出することができた。
【0071】
表2のデータは、組成物のpHが保管中の活性成分の化学的安定性に強く影響することを示している。pHが約4.5〜8に維持されている場合に、活性成分の最適な化学的安定性が観察された。
【0072】
本発明のほんのわずかの典型的実施態様を上記で詳細に説明したが、当業者は、本発明の新規の教示及び利点から大きく逸脱することなく、典型的実施態様において多くの改良が可能であるであることを、容易に理解するだろう。従って、以下の特許請求の範囲で規定される本発明の範囲内に、全てのこれらの改良が含まれることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳化可能な濃縮物であって:
a) 除草有効量の、好ましくは1〜30重量%の、少なくとも1つの除草剤;
b) 任意で、除草剤拮抗作用に対して有効な量の、少なくとも1つの緩和剤;
c) 5〜80重量%、好ましくは25〜70重量%の、少なくとも1つのオイルアジュバントであって、植物の若しくは動物由来のオイル、又はミネラルオイル、それらのアルキルエステル又はそれらのオイルの混合物及びオイル誘導体を含んで成るオイルアジュバント;
d) 前記アジュバントの存在下において溶液中のAI及び緩和剤を保持するのに十分な量の、好ましくは5〜70重量%の、より好ましくは25〜60重量%の、少なくとも1つの水非混和性溶媒;及び
e) 製剤が水に加えられた際に水中油型エマルジョンを形成するのに十分な量の、好ましくは1〜30重量%の、乳化界面活性剤系;
を含んで成る前記乳化可能な濃縮物。
ただし、a)は除草有効量の、少なくとも1つの式Iの化合物
【化1】

{式中、Halはハロゲンであり
Qは、酸素又は硫黄であり、
Rは、水素、アルカリ金属イオン、又は第4級C1−C4−アルキルアンモニウム基、直鎖又は分岐鎖であるC1−C6−アルキル基であって、非置換であるか、又はハロゲン、シアノ、C1−C4−アルコキシ、C1−C4−アルキルカルボニル、C1−C4−アルコキシカルボニル、カルバモイル若しくはジ−C1−C4−アルキルカルバモイルによって置換されるC1−C6−アルキル基、C3−C6−シクロアルキル基、直鎖又は分岐鎖であるC3−C6−アルケニル基であって、非置換であるか、又はハロゲンによって置換されるC3−C6−アルケニル基、直鎖又は分岐鎖であるC3−C6−アルキニル基であって、非置換であるか、又はハロゲンによって置換されるC3−C6−アルキニル基、
1つの基
【化2】

(式中、R1及びR2は別々に、それぞれC1−C4−アルキル基であり、又は共に4−員環若しくは5−員環のメチレン鎖を形成し、それはC1−C4−アルキルによって置換することができる)}を含んで成り;そして/あるいは
b)は、除草剤拮抗作用に対して有効な量の、少なくとも1つのキノリン誘導体緩和剤を含んで成り;
ここで、乳化可能な濃縮物は、蒸留水中で1%濃度まで希釈した場合、4.5〜8.0、好ましくは5.0〜7.0の範囲のpHを有し;且つ
ここで、乳化可能な濃縮物は、2.5%未満、好ましくは2.0%未満の水を含む。
【請求項2】
除草有効量の式Iの化合物を含んで成る、請求項1に記載の乳化可能な濃縮物。
【請求項3】
前記式Iの化合物がクロジナホップ−プロパルギルである、請求項2に記載の乳化可能な濃縮物。
【請求項4】
前記オイルアジュバントが植物油のメチルエステルを含んで成る、請求項1に記載の乳化可能な濃縮物。
【請求項5】
前記オイルアジュバントがカノーラオイルのメチルエステルを含んで成る、請求項3に記載の乳化可能な濃縮物。
【請求項6】
前記乳化界面活性剤系が少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含んで成る、請求項1に記載の乳化可能な濃縮物。
【請求項7】
キノリン誘導体;ベノキサコール;ジクロルミド;フェンクロラゾール−エチル;フェンクロリム;フルラゾール;フルクソフェニム;フリラゾール;イソキサジフェン−エチル;メフェンピル;メフェンピルのアルカリ金属、アルカリ土類金属、スルホニウム又はアンモニウムカチオン;メフェンピル−ジエチル及びオキサベトリニルから成る群から選択されるb)の少なくとも1つの緩和剤を含んで成る、請求項1に記載の乳化可能な濃縮物。
【請求項8】
前記緩和剤がキノリン誘導体を含んで成る、請求項7に記載の乳化可能な濃縮物。
【請求項9】
前記キノリン誘導体が、クロキントセット;クロキントセットのアルカリ金属、アルカリ土類金属、スルホニウム又はアンモニウムカチオン;及びクロキントセット−メキシルか成る群から選択される少なくとも1つのメンバーを含んで成る、請求項8に記載の乳化可能な濃縮物。
【請求項10】
前記緩和剤がクロキントセット−メキシルを含んで成る、請求項9に記載の乳化可能な濃縮物。
【請求項11】
前記除草剤がクロキントセット−メキシルを含んで成り、且つ前記緩和剤がクロキントセット−メキシルを含んで成る、請求項1に記載の乳化可能な濃縮物。
【請求項12】
前記pHが5.0〜7.0の範囲である、請求項1に記載の乳化可能な濃縮物。
【請求項13】
前記水分含量が2.0重量%未満である、請求項1に記載の乳化可能な濃縮物。
【請求項14】
補助除草剤、殺菌剤、殺虫剤、ダニ駆除剤及び線虫駆除剤から成る群から選択される少なくとも1つのメンバーをさらに含んで成る、請求項1に記載の乳化可能な濃縮物。
【請求項15】
化学安定剤、粘性調整剤、増粘剤、結合剤、粘着付与剤、肥料及び消泡剤から成る群から選択される少なくとも1つのメンバーをさらに含んで成る、請求項1に記載の乳化可能な濃縮物。
【請求項16】
請求項1に記載の乳化可能な濃縮物を適量の水で希釈し水中油型エマルジョンを形成することにより得られる除草組成物。
【請求項17】
補助除草剤、殺菌剤、殺虫剤、ダニ駆除剤、及び線虫駆除剤から成る群から選択される少なくとも1つのメンバーをさらに含んで成る、請求項16に記載の除草組成物。
【請求項18】
有用植物の作物中の雑草を選択的に制御するための方法であって、有用植物、それらの種子若しくは苗木又はそれらの作物領域を、請求項16に記載の除草組成物用いて処理することを含んで成る方法。
【請求項19】
前記有用植物の作物が、トウモロコシ、穀草類、コメ及びダイズから成る群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記有用植物の作物が穀草類である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記有用植物の作物がコムギ又はオオムギである、請求項20に記載の方法。

【公表番号】特表2007−511537(P2007−511537A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540008(P2006−540008)
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/038414
【国際公開番号】WO2005/048706
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(500584309)シンジェンタ パーティシペーションズ アクチェンゲゼルシャフト (352)
【Fターム(参考)】