説明

アダマンチル(メタ)アクリレート類の製造方法

【課題】微細加工用の化学増幅型フォトレジスト樹脂やLED封止剤などの高機能性ポリマー原料として有用なアダマンチル(メタ)アクリレート類の製造方法を提供する。
【解決手段】アダマンタノール類と(メタ)アクリル酸類を反応させて、アダマンチル(メタ)アクリレート類を製造する方法において、粗アダマンチル(メタ)アクリレート類の温度を20〜40℃にし、且つ熱媒と粗アダマンチル(メタ)アクリレート類との温度差を10℃以下にして乾燥することを特徴とするアダマンチル(メタ)アクリレート類の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子工業用、耐熱性樹脂等の高機能性樹脂原料として用いられるアダマンチル(メタ)アクリレート類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アダマンチル基を持つモノマーは、一般に電子工業用、耐熱性樹脂等の高機能性樹脂原料として使用されているが、近年、特に半導体の製造において、その優れた透明性、ドライエッチング耐性が注目され、ArFエキシマレーザーなどの紫外線領域におけるフォトレジスト材料として用いられている。
【0003】
電子工業用の薬品類は、各種不純物を極力低減化した高純度薬品が使用されており、フォトレジスト用モノマーとして用いられるアダマンチル(メタ)アクリレート類も同様に高純度化が要求されている。具体的には、金属不純物類、ハロゲン類、原料や生成物に起因するオリゴマー類等の重合物、その重合物を抑制するために添加される重合禁止剤などを含む有機不純物類の低減化が挙げられる。
【0004】
この理由として、レジストポリマーは、通常3元系乃至はそれ以上の繰返しモノマーユニットで構成されることが多く、その中に特定物質のホモポリマーが含まれることは、半導体製造工程中のリソグラフィ工程において製造歩留まりに直接影響を与えるため、低減化されることが好ましいからである。特にアダマンチル(メタ)アクリレート類を製造する時に生成するアダマンチル基を含む重合物は、モノマー類似構造となり分離精製が困難なため、その生成自体を抑制する製造方法、条件を見出すことが必要となっている。
【0005】
アダマンチル(メタ)アクリレートを製造する方法として、濃硫酸やp−トルエンスルホン酸等の酸触媒を反応触媒としてアダマンタノール類と(メタ)アクリル酸類を用いて製造する方法がある(例えば特許文献1〜6参照)。この方法で得られたアダマンチル(メタ)アクリレート類に対し、金属不純物を除去やハロゲン類を低減化する方法など高純度化のために各種の工夫がなされているが、オリゴマーを含む重合物等の有機不純物の低減化に関し、特に製造工程中で生成する重合物の抑制に関しては不十分であった。
【0006】
他方、(メタ)アクリル酸クロライド類や無水(メタ)アクリル酸類とアダマンタノール類を用いて製造する方法、ジハロゲン化アダマンタンを精製し、エステル化を行う際の重合物生成を抑制する方法など多くの製造方法がある(例えば特許文献7〜8参照)。しかし、各方法ともそれぞれ問題を抱えており、例えばハロゲン法で得た原料を使用する場合は、ハロゲン類の混入で重合が却って促進され収率が低下するなど経済的に好ましくなく、更には最終工程である乾燥処理において有効な重合物抑制方法について検討された例は無かった。
【0007】
また、反応や精製の各製造工程で発生する重合物などの副反応を抑制することに対して、重合禁止剤の使用は一般に良く知られた手段である。しかし、フォトレジスト用モノマーの製造に対し重合禁止剤を多量に使用するとそれ自体が製品中に残存して純度低下を招き、更には製品の着色やレジストポリマー合成時に反応速度が変化する等の問題から使用量や種類が制限されているため、それだけでは有効な手段になり得ていない。
【0008】
この様に、半導体製造に用いられる高純度アダマンチル(メタ)アクリレート類を製造する際にオリゴマーを含む重合物の生成抑制について有効な手段が無く、更なる高純度化の要求に対し解決策が望まれていた。
【0009】
【特許文献1】特開2001−106650号公報
【特許文献2】特開2001−354619号公報
【特許文献3】特公平7−61980号公報
【特許文献4】特開2000−119220号公報
【特許文献5】特許第3507024号公報
【特許文献6】特開2002−226436号公報
【特許文献7】特開2005−75798号公報
【特許文献8】特開2005−104964号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、従来の製造技術における問題点を解決し、製造工程における重合物生成を抑制することで電子工業用材料として相応しい高純度アダマンチル(メタ)アクリレート類を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、アダマンタノール類と(メタ)アクリル酸類を反応させてアダマンチル(メタ)アクリレート類を製造する工程において、粗アダマンチル(メタ)アクリレート類を特定の条件で乾燥させることにより、重合物生成が抑制され、製品中に有機不純物量が少ないアダマンチル(メタ)アクリレート類が得られることを見出した。
【0012】
即ち、本発明は、アダマンタノール類と(メタ)アクリル酸類を反応させて、アダマンチル(メタ)アクリレート類を製造する方法において、粗アダマンチル(メタ)アクリレート類の温度を20〜40℃にし、且つ熱媒と粗アダマンチル(メタ)アクリレート類との温度差を10℃以下にして乾燥することを特徴とするアダマンチル(メタ)アクリレート類の製造方法に関するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明において対象となるアダマンチル(メタ)アクリレート類は、下記一般式で表される。
【0014】
【化1】

(式中、R1〜R4は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、ハロゲン基、炭素数1〜3までのアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシルキ基、ヒドロキシアルキル基、ハロゲン元素を含む炭素数1〜3のアルキル基またはエーテル構造を有する炭素数1〜3のアルキル基を示し、R5は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す)。
【0015】
上記アダマンチル(メタ)アクリレート類として、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−アダマンチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレート、3,5−ジヒドロキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレート、3,5,7−トリヒドロキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレート、3,5−ジメチル−7−ヒドロキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレート、3−メトキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレート、3−エトキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシメチル−1−アダマンチル(メタ)アクリレート、3−シアノ−1−アダマンチル(メタ)アクリレート等が例示されるが、この他にもアダマンチルジ(メタ)アクリレート、アダマンチルトリ(メタ)アクリレート、アダマンチルテトラ(メタ)アクリレートやそれらに置換基を含むアダマンチル(メタ)アクリレート類に対して用いることができる。
【0016】
本発明の(メタ)アクリル酸類には、アクリル酸及びメタクリル酸が含まれる。アダマンタノール類と(メタ)アクリル酸類との反応では、硫酸やパラトルエンスルホン酸等の酸触媒が用いられる。反応に用いる有機溶媒としては、特に水との相溶性が低く、アダマンチル(メタ)アクリレートの溶解性が高く、反応に不活性な溶媒を用いることが好ましい。具体的にはヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が挙げられ、これらの溶媒は単独でも2種以上の混合した系でも使用することができる。更に、精製工程についても目的とする各アダマンチル(メタ)アクリレート類の性質により、アルカリによる洗浄、蒸留、抽出、晶析、再結晶などの操作を1つ以上組み合わせて選択する事ができる。
【0017】
本発明の粗アダマンチル(メタ)アクリレート類の乾燥は、被処理物の温度が20〜40℃の範囲、好ましくは25〜35℃の範囲で制御されなければならない。攪拌等の混合により粗アダマンタン(メタ)アクリレート類が均一な状態に保たれていれば、温度も均一であるが、静置された状態で乾燥された場合のように乾燥時にアダマンタン(メタ)アクリレート類に温度むらが生じている場合は、高温部分を指す。この範囲より高い温度で乾燥処理を実施すると、アダマンチル基を含むオリゴマー類の様な重合物が増加し、品質に影響を与えるため好ましくない。一方、低い場合には、乾燥の進行が十分ではなく、効率的ではない。温度範囲がこの範囲であれば温度を段階的あるいは連続的に変化させて乾燥することもできる。
【0018】
温度制御に際しては、熱媒と被処理物の温度差が10℃以下とする。温度差については、熱媒温度が設定温度に到達後から、前述の範囲内に制御するものとし、乾燥開始直後の熱媒の昇温工程では、この範囲から外れていても差し支えない。ここで、熱媒温度が被処理物温度より10℃を超えて高い場合は、接触面で局所加熱が起こり、重合物が増加する。一方、熱媒温度が被処理物温度よりも低く、その差が10℃を超える場合は、乾燥効率が著しく低下する。
【0019】
乾燥の温度以外の条件については特に制限はなく、圧力は常圧、真空下のどちらでもよく、常圧の場合は閉鎖系、開放系のいずれでもよい。また、乾燥を効率的に進めるために空気または窒素、アルゴンといった不活性ガス、あるいは前述のガスを任意の割合で混合したガスを流すこともできる。真空下の場合の圧力に制限はなく、除去すべき溶剤の種類および乾燥装置能力を考慮し、任意に決めることができる。乾燥時間については、目的物の材料特性、乾燥方法、使用する乾燥装置により変化するため、目的物の用途により所望される乾燥度を考慮して適宜選択されなければならない。乾燥の終点としては、乾燥温度で1時間あたりのアダマンチル(メタ)アクリレート類の重量変化率が1%以下、好ましくは0.2%以下、更に好ましくは0.02%以下となった時点とすることを目安とする。
【0020】
本発明では、乾燥中のアダマンチル(メタ)アクリレート類の重合を抑制するため、重合禁止剤を使用する。重合禁止剤とは反応、精製、乾燥の各工程において、目的物質の重合を防止するために少量添加する物質の総称であり、本発明で使用される重合禁止剤として、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、p−メトキシフェノール、テトラメチルピペリジン、ジフェニルピクリルヒドラジン、ニトロソベンゼン、m−ジニトロベンゼン、ニトロソフェノール、フェノチアジン、ピクリン酸、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアンモニウム、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム、p−フェニルジアミンヒドロキノンなどを使用することができ、好ましくはヒドロキノン、メチルヒドロキノンなどのヒドロキノン類やp−メトキシフェノールなどのフェノール類である。また、これらのフェノール類重合禁止剤を使用する際に重合禁止助剤として併用される酸素を併用しても良い。また、重合禁止剤はガスクロマトグラフィーや液クロマトグラフィーなど簡便な分析で濃度の定量ができる化合物を選択することが、最終製品の品質管理の点で好ましい。
【0021】
重合禁止剤の量は、乾燥前のアダマンチル(メタ)アクリレート類に対して0.0005〜0.01重量%の範囲に制限される。使用量がこの値より小さい場合、重合禁止剤の効果が十分に発揮できず、一方、使用量が多い場合は、製品中への残留による純度低下や着色といった問題を発生させるので好ましくない。
【0022】
重合禁止剤の添加方法に制限はなく、直接添加、アダマンチル(メタ)アクリレート類と予め混合したマスターバッチ添加、溶液での添加等が挙げられる。添加するタイミングについては、乾燥前に実施する各工程中、乾燥直前でもよい。乾燥前の分析において、アダマンチル(メタ)アクリレート類に対して0.0005〜0.01重量%の範囲であれば差し支えないため、一度過剰に添加し、乾燥前の工程で過剰分の重合禁止剤を取り除き、所定の濃度に重合禁止剤を調整する方法もとることができる。
【0023】
また、本発明で用いる乾燥機の種類は特に制限はなく、コニカルドライヤー、ドラムドライヤー、フィルタードライヤー、円錐型リボン攪拌乾燥器、円錐型スクリュー攪拌乾燥器、二軸攪拌乾燥器、振動乾燥器などの材料攪拌型乾燥装置や箱形乾燥器、真空凍結乾燥器などの材料静置型乾燥装置、真空バンド、通気バンド、トンネル台車などの材料移送型乾燥装置を、目的物の性状、製造スケールを勘案し適宜選択することが出来る。この中で、材料攪拌型乾燥装置を用いる場合は、攪拌による剪断発熱で温度が上昇し重合物を生成することがあるため、攪拌速度を遅くして乾燥を行う必要がある。
【0024】
本発明ではアダマンチル(メタ)アクリレート類中の金属含有量が100ppb以下とする。これ以上金属が多い場合、アダマンチル(メタ)アクリレート類が重合性モノマーであることから、残存金属による重合が促進し、有機不純物が生成する。金属低減の目的で、無機酸での洗浄を実施してもよく、無機イオンを除去する目的で純水洗浄を続けて行っても良い。これら洗浄回数に制限はなく、各洗浄工程を複数回繰り返すこともできる。洗浄は固体状態、水との相溶性が低い溶媒を用いれば溶液状態のいずれでも実施することができる。使用する純水については、金属が少なければ少ないほど良いが、電気伝導度10mS/m以下であれば十分である。残存金属の分析については、原子吸光分析、誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS)、蛍光X線分析が可能であるが、中でも精度よく分析できるのは原子吸光分析、ICP−MSである。
【0025】
用いる乾燥装置の材質は、目的物と接触する部分においてステンレススチール、ハステロイ、グラスライニング、テフロン(登録商標)ライニングなどの材質であることが好ましい。その中でステンレススチールやハステロイを用いる場合、金属不純物の汚染を抑制する目的で、電解研磨などの研磨処理や酸処理などの表面処理を施こすことが好適である。また、フィルタードライヤーなど、固液分離機能を持つ乾燥装置においては濾布が使用されているが、これについてはポリプロピレン、テフロン(登録商標)、ポリエステル、ナイロンなどが好適に使用されるが、使用する有機溶剤に対して溶解あるいは膨潤しない材質であれば特に限定はしない。
【実施例】
【0026】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何らの制限を受けるものではない。なお、実施例において、重合禁止剤の定量はガスクロマトグラフィー、残存金属の定量はICP−MSにて、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートの純度の評価は液体クロマトグラフィーにて、重合物の評価はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)にてそれぞれ実施し、さらに、重合物の評価は目的物をメタノール/ヘキサン重量比10:1の混合溶媒に完全溶解させ、目視により透明性を判断する溶解性試験にて評価を行った。
【0027】
参考例1
攪拌機、温度計、Dean−Stark水分離器、ジムロート冷却器、ガス吹込み管をつけた2Lの5つ口ジャケット付きセパラブルフラスコに1,3−アダマンタンジオール84.0g、メタクリル酸124.1g、p−メトキシフェノール0.38g、濃硫酸1.2g、溶媒としてトルエン750mlを仕込み、少量の空気を流しながら還流下(110℃)で5hr反応を行い、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートを含む反応液851gを得た。この反応液に水450gと25重量%NaOH水溶液105gを液温35〜45℃の範囲でpH12.0まで攪拌しながら添加した。静置後、下層のアルカリを分離し、上層に残った反応液を純水で、洗浄水のpHが7になるまで水洗を繰り返した。
【0028】
実施例1
参考例1で得られた反応液を0.5重量%希硫酸200g、純水200gで1回ずつ洗浄後に濃縮晶析し、フィルタードライヤーにて固液分離を行った。分離後の乾燥前の湿粉を採取し分析した結果、重合禁止剤は検出されなく、残存金属が合計で80ppb検出された。その後、この湿粉を被処理物35℃、熱媒温水温度40℃、真空度5.3kPaの条件下で、撹拌翼回転数3rpmにて真空乾燥を行い、純度99.6%の3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート(白色結晶)を得た。得られた結晶に対してGPC測定を実施したところ、オリゴマーを含む重合物含有量は0.07重量%であり、メタノール/ヘキサン重量比10:1の混合溶媒による溶解性試験の結果、溶液は無色透明であった。
【0029】
実施例2
参考例1で得られた反応液を実施例1と同様に0.5重量%希硫酸200g、純水200gで1回ずつ洗浄後に、重合禁止剤としてp−メトキシフェノールを添加後濃縮晶析し、フィルタードライヤーにて固液分離を行った。湿粉を分析した結果、p−メトキシフェノールが0.005重量%、残存金属は合計で70ppbそれぞれ検出された。その後、この湿粉を被処理物25℃、熱媒温度35℃、常圧にて窒素を3Nm3/Hrで流通させながら乾燥を行い、純度99.4%の3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート(白色結晶)を得た。得られた結晶について、オリゴマーを含む重合物含有量は0.03重量%であり、溶解性試験の結果、溶液は無色透明であった。
【0030】
実施例3
参考例1で得られた反応液に、硫酸および純水洗浄を実施することなく、重合禁止剤としてp−メトキシフェノールを添加後に濃縮晶析を行い、フィルタードライヤーにて固液分離を行った。湿粉を分析した結果、p−メトキシフェノールが0.005重量%、残存金属は合計で300ppbそれぞれ検出された。その後、この湿粉を被処理物30℃、熱媒温度30℃、真空度8.0kPaの条件にて、真空乾燥を行い、純度99.4%の3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート(白色結晶)を得た。得られた結晶について、オリゴマーを含む重合物含有量は0.08重量%であり、溶解性試験の結果、溶液は無色透明であった。
【0031】
比較例1
実施例1と同様の操作を経て、湿粉を得た。乾燥前の湿粉を分析した結果、p−メトキシフェノールが0.006重量%、残存金属は合計で90ppbそれぞれ検出された。その後、この湿粉を被処理物45℃、熱媒温度50℃、常圧にて窒素を3Nm3/Hrで流通させながら乾燥を行い、純度99.2%の3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート(白色結晶)を得た。得られた結晶について、オリゴマーを含む重合物含有量は0.16重量%であり、溶解性試験の結果、溶液は僅かに白濁した。
【0032】
比較例2
参考例1で得られた反応液について、純水100gで3回洗浄後、重合禁止剤としてp−メトキシフェノールを添加後に濃縮晶析を行い、フィルタードライヤーにて固液分離を行った。湿粉を分析した結果、p−メトキシフェノールが0.005重量%、残存金属は合計で100pbそれぞれ検出された。その後、この湿粉を被処理物35℃、熱媒温度50℃、真空度5.3kPaにて乾燥を行い、純度99.3%の3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート(白色結晶)を得た。得られた結晶について、オリゴマーを含む重合物含有量は0.15重量%であり、溶解性試験の結果、溶液は僅かに白濁した。
【0033】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アダマンタノール類と(メタ)アクリル酸類を反応させて、アダマンチル(メタ)アクリレート類を製造する方法において、粗アダマンチル(メタ)アクリレート類の温度を20〜40℃にし、且つ熱媒と粗アダマンチル(メタ)アクリレート類との温度差を10℃以下にして乾燥することを特徴とするアダマンチル(メタ)アクリレート類の製造方法。
【請求項2】
重合禁止剤がアダマンチル(メタ)アクリレート類に対し、0.0005〜0.01重量%含まれることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
重合禁止剤がフェノール類又はヒドロキノン類から選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項2記載の製造方法。
【請求項4】
アダマンチル(メタ)アクリレート類中の金属含有量が100ppb以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。

【公開番号】特開2009−29728(P2009−29728A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−193177(P2007−193177)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】