説明

アテローム性動脈硬化疾患に関する個人の危険性プロフィールを確認する手段

【課題】心筋梗塞および発作(stroke)などのアテローム性動脈硬化疾患の危険性を、特に現在疾患の徴候または症状がない個人の間で、そして非喫煙者の間で決定するための、診断試験の新たな使用を提供する。さらに、どの個人が、初めてのまたは再発心筋梗塞および発作を予防するために、または急性および慢性心臓血管障害を治療するために設計された、いくつかの治療法から優先的に利益を得るかを、医師が決定するのを補助する診断試験の新たな使用を提供する。
【解決手段】個体の全身性炎症の一定レベルのマーカーを入手することによって個体が将来心筋梗塞を発症する危険度プロフィールを特性決定する方法に関する。更に、個体が将来の心臓血管障害の危険度を減少させる薬剤での処置から利益を得る可能性を評価する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、心筋梗塞および発作(stroke)などのアテローム性動脈硬化疾患の危険性を、特に現在疾患の徴候または症状がない個人の間で、そして非喫煙者の間で決定するための、診断試験の新たな使用を記載する。さらに、本発明は、どの個人が、初めてのまたは再発心筋梗塞および発作を予防するために、または急性および慢性心臓血管障害を治療するために設計された、いくつかの治療法から優先的に利益を得るかを、医師が決定するのを補助する診断試験の新たな使用を記載する。
【0002】
発明の背景
治療におけるかなりの診察にも関わらず、心臓血管疾患は、発展した世界における、罹患率および死亡率の唯一の最も一般的な原因であり続けている。したがって、心筋梗塞および発作などの心臓血管障害の予防は、主要な公衆衛生重要性の分野である。現在、将来の心臓血管障害に関する危険因子がいくつか記載されてきており、そして危険性が高い個人を検出するのに広く臨床的に用いられている。こうしたスクリーニング試験には、総およびHDLコレステロールレベルの評価が含まれる。しかし、多くの心臓血管障害が、外見
上危険性プロフィールが低いまたは中程度である個人で発生しており、そして我々がこうした患者を同定する能力には限りがある。さらに、データの集積により、危険性の高い患者または心臓血管障害を持つことが知られる患者に関して、いくつかの予防的および治療的治療は、異なる患者群において、有益な効果の度合いが異なることが示唆されている。しかし現在、ある治療法がより効果があるかまたはないかを予想できるか決定する診断試験を記載するデータはない。
【0003】
心筋梗塞および虚血性発作などのいくつかの心臓血管障害は、アテローム性動脈硬化症と関連付けられている。アテローム性動脈硬化症の機構はよく理解されていない。アテローム性動脈硬化症の開始および進行に炎症が役割を果たしていると仮説が立てられているが、臨床データは、アテローム性動脈硬化症と関連した心臓血管障害の危険性を、炎症が増加させるのか、または抗炎症療法が減少させるのかを立証していない。
【0004】
C反応性タンパク質は、全身性炎症の根底にあるマーカーである。C反応性タンパク質レベルの上昇は、急性虚血または心筋梗塞の患者の間で記載されており、そして安定しないアンギナで入院している患者の間で、再発虚血の症状出現を予測する。さらに、C反応性
タンパク質の血漿濃度は、症候性狭心症などの健康でない患者の間の心筋梗塞の危険性と関連付けられている。C反応性タンパク質の血漿濃度はまた、アテローム性動脈硬化症の
危険因子を複数持つ喫煙者の間の、致死性冠状動脈性心臓疾患と関連付けられているが、非致死性では関連付けられていない。しかし、C反応性タンパク質レベルは、急性虚血に
続いて増加し、そしてタバコの消費と直接関連しているため、急性疾患集団または危険性が高い集団のこれらの以前の研究で観察された統計的関連が偶然なのか、短期の炎症性変化のためか、または他の危険因子、特に喫煙および高脂血症との相互関係のためなのかは、不確実であった。
【0005】
発明の概要
本発明は、全身性炎症の度合いを決定しそして利用する、新たな診断試験を記載する。これらの新たな試験は広く、(1)心筋梗塞および発作などのアテローム性動脈硬化症お
よび末梢動脈疾患の将来の危険性の予測;および(2)ある個人が、アテローム性動脈硬
化疾患を予防し、および/または治療するよう設計されたある治療法を用いることにより
、多かれ少なかれ利益を得る公算の決定を含む。これらの新たな試験は、一部、以下の発見に基づいている。
【0006】
全身性炎症マーカーレベルの上昇により、将来の心臓血管障害が予測されることが発見されてきている。例えば、外見上健康な非喫煙者において全身性炎症マーカーレベルが上昇していると、心筋梗塞の危険性が増加していることが予測される。別の例として、先行技術における示唆とは逆に、他の点では健康な喫煙者の全身性炎症マーカーレベルが上昇していると、非致死性心筋梗塞の危険性が増加していることが予測される。さらに別の例として、全身性炎症マーカーレベルが上昇していると、将来の発作の可能性が増加していることが予測される。
【0007】
また、ある個人が、将来の心臓血管障害の危険性を減少させる特定の治療薬剤の使用により、多かれ少なかれ利益を得る公算は、個人における全身性炎症レベルの基準値から決定することが可能であることも発見されてきている。
【0008】
さらに、全身性炎症マーカーの予測値は他の予測物質とは独立しており、そして例えば、総コレステロールレベルおよび総コレステロール/HDL比由来の危険因子に対し相加的
である。したがって、全身性炎症マーカーレベルはコレステロールレベルが測定された際に測定されたものを単に再現しているのではない。
【0009】
上述のように、これらの発見が新たな診断試験につながってきている。
したがって、本発明の1つの側面にしたがい、個人が、アテローム性動脈硬化疾患と関
連した心臓血管障害の危険性を減少させる薬剤を用いた治療により利益を受けるであろう公算を評価するための方法が提供される。該薬剤は、抗炎症薬剤、抗血栓薬剤、抗血小板薬剤、フィブリン溶解薬剤、脂質減少薬剤、直接的トロンビン阻害剤、および糖タンパク質IIb/IIIa受容体阻害剤および細胞接着分子に結合し、そして白血球細胞がこうした分
子に接着する能力を阻害する薬剤(例えば、抗細胞接着分子抗体)からなる群より選択されてもよい。(好ましい薬剤はアスピリンである)。該方法を実施するため、個人における全身性炎症マーカーレベルを得る。このレベルをその後、あらかじめ決定された値と比較し、ここであらかじめ決定された値と比較した全身性炎症マーカーレベルが、個人が該薬剤を用いた治療により利益を得るであろう公算を示す。該個人はその後、該薬剤を用いた治療により得るであろう純益に関して特徴付けてもよい。
【0010】
あらかじめ決定された値は、単一の値でも、複数の値でも、単一の範囲でも、または複数の範囲でもよい。したがって、1つの態様において、あらかじめ決定された値は、複数
のあらかじめ決定されたマーカーレベル範囲であり、そして比較段階は、個人のレベルが、あらかじめ決定されたマーカーレベル範囲のどれに属するか決定することを含む。好ましい態様において、該個人は外見上健康である。いくつかの態様において、該個人はまた、非喫煙者でもある。好ましい態様において、全身性炎症マーカーは、C反応性タンパク
質、サイトカインおよび細胞接着分子からなる群より選択される。最も好ましい態様において、全身性炎症マーカーはC反応性タンパク質である。特に有用な結果が、このマーカ
ーで得られている。
【0011】
全身性炎症マーカーがC反応性タンパク質であるとき、好ましいあらかじめ決定された
値は、約1 3/4(1.75) mg/血液lである。他の好ましいあらかじめ決定された値は、約2 mg/血液lである。複数の範囲を使用するとき、複数の範囲の1つが、約1 3/4(1.75) mg/血液l未満であり、そして他の範囲が、約1 3/4(1.75) mg/血液lより上であることが好
ましい。全身性炎症マーカーが細胞接着分子であるsICAM-1であるとき、好ましいあらか
じめ決定された値は、約250 ng/血液mlである。あらかじめ決定された値は、もちろん、
選択された特定のマーカーに依存するであろうし、そして個人が属する患者集団の性質に
さえ依存するであろう。これに関しては以下にさらに詳述する。
【0012】
上述のように、本発明は特に、将来の発作または非致死性心筋梗塞を含む将来の心筋梗塞などの心臓血管障害の、個人における危険性を減少させる薬剤を用いた治療により、どの個人が優先的に利益を受けるであろうかを決定するのに適合している。本発明はまた、例えば、新たな治療により、または副作用の高い危険性プロフィールを持つ既知の治療により、利益を得る可能性が最も高い個人を同定することによって、臨床試験の候補集団および候補薬剤を用いた治療の候補集団の選択も可能にする。したがって、本発明は、候補患者に関し、ある治療の可能と思われる純益を評価する情報を提供する。
【0013】
本発明の他の側面にしたがい、外見上健康な、非喫煙者の個人が将来心筋梗塞を発症させる危険性プロフィールを特徴付けるための方法が提供される。該方法は、該個人の全身性炎症マーカーレベルを得ることを含む。マーカーレベルをその後、あらかじめ決定された値と比較し、そしてあらかじめ決定された値と比較したマーカーレベルに基づき、該個人が将来心筋梗塞を発症させる危険性プロフィールを特徴付ける。本発明の前の側面におけるように、あらかじめ決定された値は、単一の値でも、複数の値でも、単一の範囲でも、複数の範囲でもよい。1つの態様において、あらかじめ決定された値は、複数のあらか
じめ決定されたマーカーレベル範囲であり、そして比較段階は、個人のレベルが、あらかじめ決定されたマーカーレベル範囲のどれに属するか決定することを含む。好ましいマーカー、あらかじめ決定された値などは上述のとおりである。
【0014】
本発明のさらに別の側面にしたがい、個人が、致死性心筋梗塞以外のアテローム性動脈硬化疾患に関連する心臓血管障害を将来発症する危険性プロフィールを特徴付けるための方法が提供される。個人における全身性炎症マーカーレベルを得る。マーカーレベルを、あらかじめ決定された値と比較する。その後、致死性心臓血管事象以外のアテローム性動脈硬化疾患に関連する心臓血管障害を将来は証する危険性プロフィールを、あらかじめ決定された値に比較したマーカーレベルに基づいて特徴付ける。あらかじめ決定された値は上述のとおりでもよい。特徴付けられる個人はいかなる個人でもよいが、好ましくは外見上健康な個人である。外見上健康な個人は喫煙者でも、または非喫煙者でもよい。好ましいマーカーおよびあらかじめ決定された値は上述のとおりである。1つの重要な態様にお
いて、心臓血管障害は発作である。他の重要な態様において、心臓血管障害は非致死性心筋梗塞である。他の重要な態様において、心臓血管障害は末梢動脈疾患である。
【0015】
本発明のさらに別の側面にしたがい、炎症マーカーを、コレステロール分画と共に用い、個人が、アテローム性動脈硬化症と関連する心臓血管障害を将来発症する危険性プロフィールを特徴付ける方法が提供される。個人における全身性炎症マーカーレベルを得る。マーカーレベルを、あらかじめ決定された値と比較し、第一の危険値を確立する。個人におけるコレステロール値もまた得る。個人におけるコレステロールレベルを、第二のあらかじめ決定された値と比較し、第二の危険値を確立する。その後、該個人が、心臓血管障害を発症させる危険性プロフィールを、第一の危険値および第二の危険値の組み合わせに基づいて特徴付ける。ここで、第一の危険値および第二の危険値の組み合わせは、第一および第二の危険値と異なる第三の危険値を確立する。特に重要な態様において、第三の危険値は、第一および第二の危険値のいずれよりも大きい。試験のために好ましい個人、マーカーおよびあらかじめ決定された値は上述のとおりである。心臓血管障害は、アテローム性動脈硬化疾患と関連するいかなる心臓血管障害でもよいが、いくつかの重要な態様において、心臓血管障害は非致死性心筋梗塞または虚血性発作である。
【0016】
本発明はまた、全身性炎症マーカーの検定および説明書、および所望により、検定により決定されるマーカーレベルを、将来心臓血管障害を発症させる危険性、または上述の他の患者判定基準と相関させる数表または色表などの関連資料を含むパッケージを含むキッ
トも意図する。重要な態様において、キットはまた、コレステロールの検定も含む。
【0017】
本発明はまた、心臓血管障害を予防するため、抗炎症療法で被験者を治療する方法も含む。全身性炎症マーカーレベルが正常を越えているが、それ以外は抗炎症薬剤を必要とする症状が見られない被験者に、非アスピリン抗炎症薬剤を投与する。抗炎症薬剤は、被験者が将来心臓血管障害を発症させる危険性を下げるのに有効な量で投与する。好ましい被験者は、慢性関節リウマチ、慢性背痛、自己免疫疾患、などの症状がないなど、現在抗炎症治療を必要としない外見上健康な被験者である。
【0018】
本発明はまた、細胞接着分子に結合し、そして白血球細胞がこうした分子に接着する能力を阻害する薬剤で被験者を治療し、心臓血管障害を予防する方法も含む。こうした薬剤を被験者、好ましくは全身性炎症マーカーレベルが正常を越えているが、それ以外はこうした薬剤を必要とする症状が見られない被験者に投与する。薬剤は、被験者が将来心臓血管障害を発症させる危険性を下げるのに有効な量として投与する。1つの態様において、
被験者は、すでに心臓発作または血管形成術などの心臓血管事象を経験している。本態様において、該薬剤は、さらなる損傷を制限する、またはそれぞれ心筋梗塞後の、そして血管形成術後の再狭窄を予防するのを補助することも可能である。他の重要な態様において、被験者は慢性関節リウマチ、慢性背痛、自己免疫疾患などの症状がないなど、現在抗炎症治療を必要としない、外見上健康な被験者である。
【0019】
本発明のこれらのおよび他の側面は、本発明の詳細な説明と共に、以下により詳細に記載されるであろう。
【0020】
発明の詳細な説明
本発明の主要な基本は、22,000人の外見上健康な男性の間で行われた心臓血管疾患の一次予防における、アスピリンおよびベータ・カロテンの大規模無作為二重盲検プラセボ管理試験である医師健康研究(Physicians' Health Study)から得た証拠である。この試験において、根底にある全身性炎症のマーカーであるC反応性タンパク質の基準値が、多く
の一連の脂質および非脂質危険因子とは独立して、心筋梗塞および発作の将来の危険性を決定することが見出された。特に、C反応性タンパク質の基準値が最も高い個人は、将来
心筋梗塞を発症させる危険性が3倍増加し、そして将来発作を発症させる危険性が2倍増加することが見出された(図1)。
【0021】
さらに、医師健康研究のデータでは、この炎症マーカーと関連付けられる将来の心筋梗塞および発作の危険性は、そうでなければ総コレステロールおよびHDLコレステロールの
通常の評価により決定されてもよいものに対して相加的であるようである。本試験において、C反応性タンパク質の予測値は、致死性事象と共に非致死性事象にも存在し、長期間
にわたり安定しており、そして喫煙者と共に非喫煙者にも存在していた。さらに、本試験のデータは、外見上健康な個人が予防薬アスピリンから期待することが可能な利益の度合いが、C反応性タンパク質の基準値レベルに大部分依存していることを示す。さらに、こ
れらのデータは、アテローム性動脈硬化障害の予防および治療に用いられる他の治療薬剤の利益は、根底にあるC反応性タンパク質のレベルに依存して、異なる可能性があること
を示す。これらのデータはまた、他の炎症マーカーが、心筋梗塞および発作の危険性を決定するのに重要な役割を有するかもしれない可能性を提起する。これが試験された。別の炎症マーカー、可溶性細胞接着分子sICAM-1の血漿レベルに関する本試験から得られたデ
ータは、他の炎症マーカーがアテローム性動脈硬化症の危険性を予測する能力を示す。
【0022】
1つの側面における本発明は、現在疾患の証拠がない個人の間で、心筋梗塞および発作
などのアテローム性動脈硬化症と関連する心臓血管障害の危険性を予測するための炎症マーカーの使用を記載する。したがって、これらのデータは、すでに同定された危険性が高
い集団(喫煙者など)の間の、または安定したおよび安定しない狭心症の患者など症候性虚血患者の間の危険性を予測するのに、C反応性タンパク質などの炎症マーカーを使用す
ることに関する先の観察を、大きく拡張する。実際、C反応性タンパク質および他の急性
期反応物質のレベルが、急性虚血に続いて増加し、そしてタバコの消費と直接関連しているため、急性疾患集団または危険性が高い集団の、以前の研究で観察された統計的関連が偶然なのか、または短期の炎症性変化のためか、または他の危険因子、特に喫煙および高脂血症との相互関係のためなのかは、不確実であった。
【0023】
際立って対照的に、医師健康研究のデータは初めて、炎症マーカーが、現在健康なおよびそうでなければ危険性が低い個人の間の危険性を予測するのに、致死性事象と共に非致死性事象を予測するのに、非喫煙者の間の危険性を予測するのに、そして総およびHDLコ
レステロールのスクリーニングと関連付けられるものに加え危険性を予測するのに有用であることを示している。医師健康試験のデータはまた、初めて、心筋梗塞および発作などのアテローム性動脈硬化事象の危険性を減少させるよう設計された干渉の効能が、根底にある全身性炎症の大きさの測定に基づいた度合いで異なることを示している。
【0024】
本発明は、以下の用語の簡単な説明を参照するとよりよく理解されるであろう。
「アテローム性動脈硬化疾患に関連する心臓血管障害」には、心筋梗塞、発作、狭心症および末梢動脈血管疾患が含まれる。アテローム性動脈硬化疾患に関連する心臓血管障害には、静脈血栓は含まない。
【0025】
「外見上健康な」は本明細書に用いられる際、心筋梗塞などの急性の不都合な心臓血管事象を以前経験しなかった個人(すなわち、最初の不都合な心臓血管事象により、第二の不都合な心臓血管事象の危険性が上昇したのではない個人)を意味する。外見上健康な個人はまた、そうでなければ疾患の症状を示さない。言いかえると、こうした個人は、もし医学的専門家に診察されるなら、健康であると特徴付けられるであろうし、そして疾患の症状がない。
【0026】
「非喫煙」は本明細書に用いられる際、評価時点で喫煙者でない個人を意味する。これは、まったく喫煙したことがない個人も、過去に喫煙したが現在はもう喫煙していない個人も含まれる。
【0027】
心臓血管障害の危険性を減少させる薬剤には、抗炎症薬剤、抗血栓薬剤、抗血小板薬剤、フィブリン溶解薬剤、脂質減少薬剤、直接的トロンビン阻害剤、および糖タンパク質IIb/IIIa受容体阻害剤および細胞接着分子に結合し、そして白血球細胞がこうした分子に
接着する能力を阻害する薬剤(例えば、抗細胞接着分子抗体)からなる群より選択されるものを含む。
【0028】
抗炎症性薬剤には、アルクロフェナック;アルクロメタゾンジプロピオネート;アルゲストンアセトニド;アルファアミラーゼ;アムシナファル;アムシナフィド;アムフェナックナトリウム;アミプリローズ塩酸;アナキンラ;アニロラック;アニトラザフェン;アパゾン;バルサラジド2ナトリウム;ベンダザック;ベノキサプロフェン;ベンジダミ
ン塩酸;ブロメライン類;ブロペラモール;ブデソニド;カルプロフェン;シクロプロフェン;シンタゾン;クリプロフェン;クロベタゾールプロピオネート;クロベタゾンブチレート;クロピラック;クロチカゾンプロピオネート;コルメタゾンアセテート;コルトドキソン;デフラザコルト;デソニド;デソキシメタゾン;デキサメタゾンジプロピオネート;ジクロフェナックカリウム;ジクロフェナックナトリウム;ジフロラゾンジアセテート;ジフルミドンナトリウム;ジフルニサール;ジフルプレドネート;ジフタロン;ジメチルスルホキシド;ドロシノニド;エンドリゾン;エンリモマブ;エノリカムナトリウム;エピリゾール;エトドラック;エトフェナメート;フェルビナック;フェナモール;
フェンブフェン;フェンクロフェナック;フェンクロラック;フェンドサール;フェンピパロン;フェンチアザック;フラザロン;フルアザコルト;フルフェナミン酸;フルミゾール;フルニソリドアセテート;フルニキシン;フルニキシンメグルミン;フルオコルチンブチル;フルオロメトロンアセテート;フルクアゾン;フルルビプロフェン;フルレトフェン;フルチカゾンプロピオネート;フラプロフェン;フロブフェン;ハルシノニド;ハロベタゾールプロピオネート;ハロプレドンアセテート;イブフェナック;イブプロフェン;イブプロフェンアルミニウム;イブプロフェンピコノール;イロニダップ;インドメタシン;インドメタシンナトリウム;インドプロフェン;インドキソール;イントラゾール;イソフルプレドンアセテート;イソキセパック;イソキシカム;ケトプロフェン;ロフェミゾール塩酸;ロルノキシカム;ロテプレドノールエタボネート;メクロフェナメートナトリウム;メクロフェナミン酸;メクロリゾンジブチレート;メフェナム酸;メザラミン;メセクラゾン;メチルプレドニゾロン;スレプタネート;モルニフルメート;ナブメトン;ナプロキセン;ナプロキセンナトリウム;ナプロキソール;ニマゾン;オルサラジンナトリウム;オルゴテイン;オルパノキシン;オキサプロジン;オキシフェンブタゾン;パラニリン塩酸;ペントサンポリ硫酸ナトリウム;フェンブタゾンナトリウムグリセレート;ピルフェニドン;ピロキシカム;ピロキシカムシンナメート;ピロキシカムオラミン;ピルプロフェン;プレドナゼート;プリフェロン;プロドリン酸;プロクアゾン;プロキサゾール;クエン酸プロキサゾール;リメキソロン;ロマザリット;サルコレックス;サルナセジン;サルサレート;サリシレート類;塩化サンギナリウム;セクラゾン;セルメタシン;スドキシカム;スリンダック;スプロフェン;タルメタシン;タルニフルメート;タロサレート;テブフェロン;テニダップ;テニダップナトリウム;テノキシカム;テシカム;テシミド;テトリダミン;チオピナック;チキソコルトルピバレート;トルメチン;トルメチンナトリウム;トリクロニド;トリフルミデート;ジドメタシン;グルココルチコイド類;ゾメピラックナトリウムが含まれる。
【0029】
抗血栓および/またはフィブリン溶解薬剤には、プラスミノーゲン(プレカリクレイン、キニノーゲン類、因子XII、XIIIa、プラスミノーゲンプロアクチベーター、および組織プラスミノーゲンアクチベーター[TPA]との相互作用を介しプラスミンに)、ストレプト
キナーゼ;ウロキナーゼ;アニソイル化(Anisoylated)プラスミノーゲン・ストレプト
キナーゼアクチベーター複合体;プロウロキナーゼ;(Pro-UK);rTPA(アルテプラーゼまたはアクチバーゼ;rは組換え体(recombinant)を示す);rPro-UK;アボキナーゼ;
エミナーゼ;スレプターゼアナグレリド塩酸;ビバリルジン;ダルテパリンナトリウム;ダナパロイドナトリウム;ダゾキシベン塩酸;エフェガトラン硫酸;エノキサパリンナトリウム;イフェトロバン;イフェトロバンナトリウム;チンザパリンナトリウム;レタプラーゼ;トリフェナグレル;ワーファリン;デキストラン類が含まれる。
【0030】
抗血小板薬剤には、クロプリドグレル;スルフィンピラゾン;アスピリン;ジピリダモール;クロフィブレート;ピリジノールカルバメート;PGE;グルカゴン;抗セロトニン
薬剤類;カフェイン;テオフィリンペントキシフィリン;チクロピジン;アナグレリドが含まれる。
【0031】
脂質減少薬剤には、ゲムフィブロジル;コリスチラミン;コレスチポル;ニコチン酸;プロブコールロバスタシン;フルバスタチン;シンバスタチン;アトルバスタチン;パラバスタチン;シリバスタチンが含まれる。
【0032】
直接的トロンビン阻害剤には、ヒルジン、ヒルゲン、ヒルログ、アガトロバン、PPACK
、トロンビンアプタマーが含まれる。
糖タンパク質IIb/IIIa受容体阻害剤は、抗体および非抗体両方であり、そして制限さ
れるわけではないが、レオプロ(アブシキサマブ)、ラミフィバン、チロフィバンを含む。
【0033】
1つの好ましい薬剤はアスピリンである。
本発明の方法の実施において、個人において全身性炎症マーカーレベルを得ることが必要とされる。全身性炎症マーカーは、当業者によく知られている。全身性炎症マーカーは、C反応性タンパク質、サイトカイン類、および細胞接着分子からなる群より選択される
ことが好ましい。サイトカイン類は当業者によく知られており、そしてヒトインターロイキン1-17を含む。細胞接着分子は当業者によく知られており、そしてインテグリン類、ICAM-1、ICAM-3、BL-CAM、LFA-2、VCAM-1、NCAM、およびPECAMを含む。好ましい接着分子は可溶性細胞間接着分子(sICAM-1)である。
【0034】
個人に関する全身性炎症マーカーレベルは、当業に認められるいかなる方法によって得てもよい。典型的には、該レベルは、体液中、例えば血液、リンパ液、唾液、尿などの中のマーカーレベルを測定することにより決定される。該レベルは、ELISAにより、または
免疫検定またはマーカーの存在を測定する他の慣用技術により、測定してもよい。慣用方法には、患者の体液試料を測定のため商業的な実験室に送ることを含む。
【0035】
本発明はまた、個人に関するマーカーレベルをあらかじめ決定された値と比較することを含む。あらかじめ決定された値はさまざまな型であってもよい。中央値および平均値のような、単一のカットオフ値でもよい。ある定義された群の危険性が他の定義された群の危険性の倍であるような、比較群に基づいて確立されてもよい。例えば、試験集団が均等に(または不均等に)、危険性が低い群、中程度の危険性の群および危険性が高い群のような群、または、最も低い四分位が危険性が最も低い個人であり、最も高い四分位が危険性が最も高い個人であるような四分位に分割されるなど、範囲であってもよい。
【0036】
あらかじめ決定された値は、選択された特定の集団に依存してもよい。例えば、外見上健康な非喫煙者集団(検出可能な疾患がなく、そして心臓血管障害歴を持たない)は、喫煙者集団または以前心臓血管障害を経験した構成員の集団が持つであろうものとは、全身性炎症マーカーの「正常」範囲が異なるであろう。したがって、選択されるあらかじめ決定された値は、個人が属するカテゴリーを考慮してもよい。適切な範囲およびカテゴリーは、当業者により、ルーチンの実験以上のものを行わず選択することが可能である。
【0037】
細胞接着分子に結合し、そして白血球がこうした分子に接着する能力を阻害する薬剤には、ポリペプチド薬剤が含まれる。こうしたポリペプチドには、慣用方法にしたがい調製されるポリクローナルおよびモノクローナル抗体が含まれる。こうした抗体はすでに当業者に知られており、そして他のこうした抗体と共に抗ICAM-1抗体が含まれる。重要なことに、当業によく知られるように、抗体分子の小さい一部分、パラトープのみが抗体がそのエピトープに結合するのに関与している(一般的には、Clark, W.R. (1986) The Experimental Foundations of Modern Immunology, Wiley & Sons, Inc., New York; Roitt, I. (1991) Essential Immunology, 7thEd., Blackwell Scientific Publications, Oxfordを参照されたい)。例えば、pFc'およびFc領域は、完全なカスケードのエフェクターであるが、抗原結合には関与していない。pFc'領域が酵素で切断された、またはpFc'領域を持たずに産生された、F(ab')2断片と称される抗体は、本来の(intact)抗体の抗原結合部位
を両方とも保持している。同様に、Fc領域が酵素で切断された、またはFc領域を持たずに産生された、Fab断片と称される抗体は、本来の抗体分子の抗原結合部位の1つを保持している。さらに続けて、Fab断片は、共有結合した抗体軽鎖およびFdと示される抗体重鎖の
一部からなる。Fd断片は抗体特異性の主要な決定因子であり(単一のFd断片は、抗体特異性を改変することなく最大10個の異なる軽鎖と結合することが可能である)、そしてFd断片は、単離されてもエピトープ結合能を保持する。
【0038】
当業によく知られるように、抗体の抗原結合部分の中に、抗原のエピトープと直接相互
作用する相補性決定領域(CDR)、およびパラトープの三次構造を維持する枠組み構造領
域(Fr)がある(一般的には、Clar, 1986; Roitt, 1991を参照されたい)。IgG免疫グロブリンの重鎖Fd断片および軽鎖の両方に、それぞれ3つの相補性決定領域(CDR1からCDR3
)により分離された4つの枠組み構造領域(FR1からFR4)がある。CDR、特にCDR3領域、そしてより詳細には重鎖CDR3は、抗体特異性について主として原因となる。
【0039】
哺乳類抗体の非CDR領域を、もとの抗体のエピトープ特異性を維持したまま、同種また
は異種抗体の同様の領域と置き換えてもよいことは、現在当業でよく立証されている。これは、非ヒトCDRをヒトFRおよび/またはFc/pFc'領域に共有結合させ、機能する抗体を
産生した、「ヒト化」抗体の開発および使用において最も明白に示されている。したがって、例えばPCT国際公開WO 92/04381はヒト化マウスRSV抗体の産生および使用を解説して
おり、この中で、マウスFR領域の少なくとも一部がヒト起源のFR領域と置き換えられている。抗原結合能力を持つ本来の抗体の断片を含む、こうした抗体は、しばしば「キメラ」抗体と呼ばれる。
【0040】
したがって、一般の当業者には明白であろうように、本発明はまた、F(ab')2、Fab、FvおよびFd断片;Fcおよび/またはFrおよび/またはCDR1および/またはCDR2および/または軽鎖CDR3領域が相同なヒトまたは非ヒト配列と置き換えられているキメラ抗体;FRおよび/またはCDR1および/またはCDR2および/または軽鎖CDR3領域が相同なヒトまたは非ヒト配列と置き換えられているキメラF(ab')2断片抗体;FRおよび/またはCDR1および/ま
たはCDR2および/または軽鎖CDR3領域が相同なヒトまたは非ヒト配列と置き換えられているキメラFab断片抗体;およびFRおよび/またはCDR1および/またはCDR2領域が相同なヒ
トまたは非ヒト配列と置き換えられているキメラFd断片抗体も提供する。本発明は、いわゆる一本鎖抗体も含む。
【0041】
したがって、本発明は、特異的に細胞接着分子と結合する、非常に多くの大きさおよび型のポリペプチドを含む。これらのポリペプチドはまた、抗体技術以外の供給源からも得てもよい。例えば、こうしたポリペプチド結合薬剤は、容易に溶液中に、固定化型で、またはファージディスプレイライブラリーとして調製することが可能な、縮重ペプチドライブラリーより提供されてもよい。1つまたはそれ以上のアミノ酸を含むペプチドのコンビ
ナトリアルライブラリーもまた、作成してもよい。さらに、ペプチドおよび非ペプチド合成部分のライブラリーも作成してもよい。
【0042】
ファージディスプレイは、本発明にしたがい有用である結合ペプチドを同定するのに、特に効果的である可能性がある。簡潔には、ファージライブラリーを調製し(例えば、m13、fdまたはラムダファージを使用)、慣用技術を用いて4から約80アミノ酸残基の挿入物をディスプレイさせる。挿入物は例えば、完全な縮重または偏向系列(biased array)に相当してもよい。その後、細胞接着分子に結合する、ファージ保有挿入物を選択することができる。この過程を、細胞接着分子に結合するファージの再選択を何サイクルか行うことにより繰り返してもよい。過程を繰り返すことにより、ファージが保有する特定の配列の濃縮につながる。DNA配列解析を行い、発現されたポリペプチドの配列を同定してもよ
い。細胞接着分子に結合する配列の最小直線部分を決定してもよい。最小直線部分のすべてに加え、その上流または下流に1つまたはそれ以上の付加的な縮重残基を持つ部分を含
む挿入物の部分を含む偏向ライブラリーを用いて、この過程を繰り返してもよい。酵母ツーハイブリッドスクリーニング法もまた、細胞接着分子に結合するポリペプチドを同定するのに用いてもよい。したがって、細胞接着分子、またはその断片を、ファージディスプレイライブラリーを含むペプチドライブラリーをスクリーニングし、細胞接着分子のペプチド結合パートナーを同定しそして選択するのに用いてもよい。
【0043】
好ましい体液は血液であり、そして好ましいマーカーはC反応性タンパク質である。C反
応性タンパク質に関し、外見上健康な非喫煙者の集団の1つの重要なカットオフ値は、1.75 mg/l(中央値)である。C反応性タンパク質の他の重要なカットオフ値は、2.0 mg/l(
最も高い危険性の四分位)である。危険性を特徴付ける中で、多くのあらかじめ決定された値を確立してもよい。C反応性タンパク質を使用する好ましい態様において、上述の、
そして以下の実施例にさらに詳述するカットオフ値は、健康でない個人または喫煙者でC
反応性タンパク質レベルが研究された先行技術で示されたものより、驚くほど低い。
【0044】
現在、C反応性タンパク質検定用の試薬を産生する商業的供給源がある。これらには、
制限されるわけではないが、Abbot Pharmaceuticals(イリノイ州アボットパーク)、CalBiochem(カリフォルニア州サンディエゴ)およびBehringwerke(ドイツ・マールブルグ
)が含まれる。炎症性サイトカインおよび細胞接着分子測定の商業的供給源には、制限されるわけではないが、R & D Systems(ミネソタ州ミネアポリス)、Genzyme(マサチューセッツ州ケンブリッジ)およびImmunotech(メイン州ウェストブルック)が含まれる。
【0045】
好ましい態様において、本発明は、本発明に基づいて選択されたあらかじめ決定された値に特異的な、そしてこのあらかじめ毛徹底された値に関し適切な感度を有する新規キットまたは検定を提供する。したがって、好ましいキットは、説明書または検定の結果に基づき危険性を特徴付ける印刷資料と共に、例えば異なるカットオフ値、特定のカットオフ値で異なる感度を含むことにより、現在商業的に入手可能なものとは異なるであろう。
【0046】
上述のように本発明は、個人が将来の心臓血管障害の危険性を減少させる薬剤を用いた治療により利益を受けるであろう公算を評価する方法を提供する。本方法は患者治療に、そしてまた新たな治療法の臨床開発に重要な暗示を有する。医師は、患者に対する予想される純益に基づいて、患者治療の治療措置を選択する。純益は、利益に対する危険性の比率から得られる。本発明は干渉により利益を受ける可能性がより高い、ある個人の選択を可能にし、それによって医師が治療措置を選択するのを補助する。これには、より高い危険性プロフィールの薬剤を使用する際、予想される利益の可能性が増加している場合が含まれる可能性がある。同様に、臨床研究者は、臨床試験のため、純益を得る可能性が高い集団を選択したいと望む。本発明は、臨床研究者がこうした集団を選択するのを補助することも可能である。臨床研究者が現在、本発明を臨床試験の参加判定基準を決定するのに使用するであろうことが期待される。
【0047】
本発明の他の驚くべき側面において、全身性炎症マーカーが、将来の不都合な心臓血管障害の既知の予測物質とは独立した、予測値を有することが発見されている。したがって、本発明は、以前他の予測物質を用いて行われることが可能であった測定を、単に再現することに関してはいない。その代わり、全身性炎症マーカーは、先行技術の予測物質に付加的である。これは図2および3に例示され、この中で本発明のデータを解析し、総コレステロールレベルおよびC反応性タンパク質レベル両方を考慮に入れ、個人の危険性プロフ
ィールを特徴付けている。図2は、総コレステロールおよびC反応性タンパク質の高、中および低三分位と関連付けた将来の心筋梗塞の相対危険性を示す。図3は同様に、総コレス
テロール:HDL比およびC反応性タンパク質の高、中および低三分位と関連付けた将来の心筋梗塞の相対危険性を示す。非常に明白なように、危険性は相加的である。
【0048】
本発明はまた、心臓血管障害を予防するため、被験者を抗炎症療法で治療する方法を含む。非アスピリン抗炎症薬剤を、全身性炎症マーカーレベルが正常レベルより高い以外は抗炎症薬剤を必要とする症状を持たない被験者に投与する。抗炎症薬剤は有効量投与する。
【0049】
有効量は、医学的に望ましい結果を提供するに十分な抗炎症薬剤の投薬量である。有効量は、治療される特定の疾患、治療される被験者の年齢および身体状態、症状の重症度、
治療期間、(あるとすれば)同時に行われる療法の性質、投与の特定の経路および医療実施者の知識および経験の範囲内の同様の要因により異なるであろう。例えば、有効量は、個人が有する全身性炎症マーカーレベルの異常な上昇の度合いに依存する可能性がある。本発明の抗炎症薬剤を使用し、心臓血管障害を予防することは、すなわち、これらを、心臓血管障害を発症させる危険性がある被験者に予防的に使用することであると理解されなくてはならない。したがって、有効量は、心臓血管障害の発症の危険性を下げる、遅らせる、または完全に予防することが可能な量である。薬剤が細胞接着分子に結合し、そして白血球がこうした分子に接着するのを阻害するものである場合、該薬剤は予防的に用いても良いし、または、例えば心筋梗塞後または血管形成術後など、急性環境で用いてもよい。薬剤が急性環境で使用される際、こうした不都合な事象により典型的に生じる1つまた
はそれ以上の医学的に望ましくない結果を予防するのに用いられることが認識されるであろう。心筋梗塞の場合には、薬剤は心筋梗塞の結果発症する心臓血管組織への損傷を制限するのに用いてもよく、そして再狭窄の場合には、遮断の再発を阻害する、予防するまたは遅らせるのに有効な量で使用してもよい。どちらの場合でも、これは白血球の浸潤および損傷を受けた組織への白血球の移動を阻害し、白血球がさらなる損傷および/または損傷に関連した合併症を生じさせる可能性があるのを阻害するのに十分な量である。
【0050】
一般的に、活性化合物の用量は、1日0.01 mg/kgから1日1000 mg/kgであろう。50から500 mg/kgの範囲の用量で、好ましくは経口で、そして1日1回または数回の投与が適切であ
ろうと期待される。より低い用量は、静脈内投与など投与の他の形により生じるであろう。適用した最初の用量で被験者の反応が不充分である場合、より高い用量(または異なる、より局所的な運搬経路による事実上のより高い用量)を、患者の耐性が許容する量まで使用してもよい。化合物の適切な全身レベルを達成するために、1日複数の投与を意図し
てもよい。
【0051】
投与される際、本発明の薬剤調製物は、薬学的に許容される量および薬学的に許容される組成物で適用される。こうした調製物は、慣例的に塩、緩衝剤、保存剤、適合性の(compatible)キャリアー、および所望により他の治療剤を含んでもよい。医薬品に使用する際、塩は薬学的に許容されなければならないが、薬学的に許容されない塩もまた、その薬学的に許容される塩を調製するのに便宜的に用いてもよく、そして本発明の範囲から除外されない。こうした薬理学的および薬学的に許容される塩には、制限されるわけではないが、以下の酸から調製されるものが含まれる:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、サリチル酸、クエン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸、およびそれらに匹敵するものである。また、薬学的に許容される塩は、ナトリウム、カリウムまたはカルシウム塩など、アルカリ金属またはアルカリ土類塩として調製されてもよい。
【0052】
抗炎症薬剤は、所望により薬学的に許容されるキャリアーと組み合わせてもよい。「薬学的に許容されるキャリアー」という用語は、本明細書で用いられる際、1つまたはそれ
以上の、ヒトに投与するのに適した、適合性の固体または液体賦形剤(filler)、希釈剤または被包基質を意味する。「キャリアー」という用語は、天然または合成の有機または無機成分であって、これと共に活性成分を組み合わせ、適用を容易にする前記成分を意味する。薬剤組成物の構成要素もまた、望ましい薬剤効能を実質的に損なうであろう相互作用がないような様式で、本発明の分子と、そして互いに、共に混合することが可能である。
【0053】
薬剤組成物はまた、塩中の酢酸;塩中のクエン酸;塩中のホウ酸;および塩中のリン酸を含む、適切な緩衝剤を含んでもよい。
薬剤組成物はまた、所望により、塩化ベンザルコニウム;クロロブタノール;パラベン類およびチメロサールなどの適切な保存剤を含んでもよい。
【0054】
非経口投与に適した組成物は、便宜的に、好ましくはレシピエントの血液と等張である、抗炎症薬剤の無菌水溶液調製物を含む。この水溶液調製物は、適切な分散または湿潤剤および懸濁剤を用いた既知の方法にしたがい、製剤化してもよい。無菌注射可能調製はまた、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液のような、非毒性非経口許容希釈剤または溶剤中の無菌注射可能溶液または懸濁物であってもよい。使用されてもよい許容される賦形剤(vehicle)および溶剤の中には、水、リンガー溶液、および等張塩化ナトリウム溶液があ
る。さらに、無菌不揮発性油を溶剤または懸濁溶媒として便宜的に用いる。この目的のため、合成モノまたはジグリセリド類を含め、いかなる刺激のない不揮発性油を用いてもよい。さらに、オレイン酸などの脂肪酸を注射可能調製物中に用いてもよい。経口、皮下、静脈内、筋内などの投与に適したキャリアー製剤化は、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co.,ペンシルバニア州イーストンに見ることが可能である。
【0055】
さまざまな経口経路が利用可能である。選択される特定の様式は、もちろん、選択される特定の薬剤、治療される症状の重症度および治療効能に必要とされる投薬量に依存するであろう。本発明の方法は、一般的に言って、医学的に許容されるいかなる投与様式、すなわち、臨床的に許容されない副作用を起こすことなく活性化合物の有効レベルを産生するいかなる様式を用いて実施してもよい。こうした投与様式には、経口、直腸、局所、鼻、皮膚間、または非経口経路を含む。「非経口」という用語は、皮下、静脈内、筋内、または注入を含む。静脈内または筋内経路は、長期治療および予防措置には特に適してはいる分けではない。しかし、これらは緊急事態には好まれる可能性がある。経口投与は、患者に便利であると共に投薬計画にも便利であるため、予防治療には好まれるであろう。
【0056】
薬剤組成物は、便宜的に、単位投薬型で提供されてもよく、そして薬剤業によく知られるいかなる方法により調製してもよい。すべての方法は、抗炎症薬剤を1つまたはそれ以
上の付属成分を構成するキャリアーと共にする段階を含む。一般的に、組成物は均一にそして密接に抗炎症薬剤を液体キャリアー、細かく砕かれた固体キャリアー、または両方と共にし、そしてその後必要であれば製品を成形することにより調製される。
【0057】
経口投与に適した組成物は、それぞれ抗炎症薬剤をあらかじめ決定された量含む、カプセル、錠剤、薬用ドロップ(lozenge)などの分離単位として提供されてもよい。他の組
成物には、シロップ、エリキシル剤(elixir)または乳剤などの、水溶液または非水溶液中の懸濁物を含む。
【0058】
他の運搬系は、時間放出、遅延放出または持続放出運搬系を含んでもよい。こうした系は、抗炎症薬剤投与の繰り返しを避け、被験者および医師の便利性を増すことが可能である。多くの種類の放出運搬系が利用可能であり、そして当業者に知られている。これらには、ポリ(ラクチド-グリコリド)、コポリオキサレート、ポリカプロラクトン類、ポリ
エステルアミド類、ポリオルトエステル類、ポリヒドロキシブチル酸、およびポリ無水物類などのポリマー基本系が含まれる。薬剤を含む前述のポリマーの微小カプセルが、例えば、米国特許第5,075,109号に記載されている。運搬系にはまた、非ポリマー系も含まれ
る。すなわち、コレステロール、コレステロールエステルなどのステロールおよびモノ、ジおよびトリグリセリド類などの脂肪酸または中性脂肪を含む脂質;ヒドロゲル放出系;シラスティック(sylastic)系;ペプチドに基づく系;ワックスコーティング;慣用結合剤および賦形剤(excipient)を用いた圧縮錠剤;一部融合した移植物;およびそれらに
匹敵するものである。特定の例には、制限されるわけではないが(a)抗炎症薬剤が、米
国特許第4,452,775号、第4,667,014号、第4,748,034号および第5,239,660号に記載されるもののようなマトリックス内に含まれる型である侵食系および(b)米国特許第3,832,253号および第3,854,480号に記載されるようなポリマーから調節された速度で活性構成要素
が浸透する放散系が含まれる。さらに、ポンプを基本とするハードウェア運搬系を使用してもよく、これらのいくつかは移植に適合している。
【0059】
長期持続放出移植物の使用は、慢性疾患の治療に特に適している可能性がある。本明細書に使用される際、長期放出は、移植物が少なくとも30日間、そして好ましくは60日間、活性成分の治療レベルを運搬するよう構築されそして配置されていることを意味する。長期持続放出移植物は一般の当業者によく知られ、そして上述の放出系のいくつかを含む。
【実施例】
【0060】
研究構成
医師健康研究は、心臓血管疾患および癌の一次予防におけるアスピリンおよびベータ・カロテンの無作為二重盲検プラセボ管理2×2階乗試験である。
【0061】
被験者採用
1982年に、総数22,071の心筋梗塞、発作、一過性虚血性発作、または癌の病歴がない40から84歳の米国男性医師を4つの治療群の1つに割り当てた:隔日325 mgのアスピリン(バファリン、Bristol-Myersにより提供)、隔日50 mgのベータ・カロテン(ルロチン、BASF社により提供)、両方投与、またはどちらも無投与。医師健康研究のアスピリン成分は1988年1月25日に最初に終了した。これは主にアスピリン群の初めての心筋梗塞の危険性に
おいて、統計的に極端な44%の減少が見られたためである1。ベータ・カロテン成分は、
計画された終了時点1995年12月31日まで続けられた2
【0062】
無作為化の前に、1982年8月および1984年12月の間の、すべての被験者に活性アスピリ
ンを投与する16週間の追い込み期間中、潜在的に適した参加者に、基準血液試料を提供するよう頼んだ。血液採取の説明書と共にEDTAバキュテーナー(vacutainer)管を含む血液収集キットを参加者に送った。EDTA試験管に血液を抜き取り、試験管を遠心分離し、そして(提供された保冷パックと共に)血漿を一晩の急送で送り返すよう参加者に頼んだ。返送された標本を分注し、そして-80℃に保存した。医師健康試験の22,071人の参加者の14,916人(68%)が基準血漿試料を提供した。試験の14年の期間にわたり、保管中の標本が
不注意に融解されたことはなかった。
【0063】
終点確認およびコントロールの選択
すべての報告された心筋梗塞、発作および静脈血栓の症例に関し、病院の記録(そして致死性事象に関しては死亡証明書および検死報告書)を要請した。報告された事象を確認または誤りを証明するため、標準化した判定基準を用いて医師の委員により記録を再検討した。終点を再検討する委員は治療割り当てに関し盲検化された。
【0064】
報告された心筋梗塞は、事象が世界保健機関の症状判定基準に適したうえ、酵素の上昇または特徴的な心電図変化が見られた場合確認された。無症状の心筋梗塞は、日付が正確でない可能性があるため含まなかった。冠状動脈疾患による死は、検死報告書、症状、死の状況および冠状動脈疾患の病歴に基づいて確認された。報告された発作は、24時間以上または死ぬまで持続した突然のまたは迅速な発症の神経学的損失を示す医学的記録に基づき確認した。発作は、虚血性または出血性に分類した。確認された発作の95%以上で、コンピュータ連動断層撮影が入手可能であった。報告された深部静脈血栓は、陽性静脈造影研究または陽性超音波研究の文書添付により確認された;超音波を伴わないインピーダンスプレスチモグラフまたはドップラー試験によってのみ証拠提出された深部静脈血栓は確認されなかった。報告された肺塞栓症は、陽性血管造影、または正常換気と共に少なくとも2つの部分の灌流損傷を示す、完全な換気灌流スキャンにより確証された。
【0065】
適切な基準血漿試料を提供し、そして無作為化後に確認された心筋梗塞、発作または静脈血栓を経験した各参加者を、1人のコントロールと対にした。コントロールは、基準血
漿試料を提供し、そして症例が報告された時点で心臓血管疾患を報告していない参加医師
であった。コントロールは、年齢(±1年)、喫煙習慣(現在、過去またはまったくない
)および無作為化からの時間(6か月間隔)の適合判定基準を満たした研究参加者から無
作為に選択した。これらの方法を用い、我々は543の症例および543のコントロールを、この予測的入れ子(nested)症例・コントロール方式で評価した。
【0066】
血漿試料の収集および実験室解析
それぞれの症例およびコントロールに関し、基準点で収集し、そして保存した血漿を融解し、そして精製タンパク質およびポリクローナル抗タンパク質抗体(Calbiochem)に基づいた酵素結合免疫吸着検定(ELISA)を使用し、C反応性タンパク質に関し検定した3
簡潔には、抗体を用い、マイクロタイタープレートのウェルをコーティングし、そしてビオチン化C反応性タンパク質に加え患者血漿を検定緩衝液(0.1%Tween-20および1%ウシ
血清アルブミンを含むリン酸緩衝生理食塩水)で1:700に希釈する。競合後、過剰量を洗い落とし、そしてビオチン化タンパク質の量をアビジンペルオキシダーゼ(Vectastatin
、Vector Laboratories、カリフォルニア州バーリンゲーム)を添加することにより評価
する。その後、製造者により決定されたタンパク質濃度を用い、精製されたタンパク質を標準として用いる。C反応性タンパク質検定は、世界保健機関の第一国際参考標準を用い
て標準化し、そして0.5から2.5 mg/lの間の標準参考範囲で0.08 ug/μlまでの感度を有する。総およびHDLコレステロール、トリグリセリド、リポタンパク質(a)、総血漿ホモシステイン、フィブリノーゲン、D-二量体、および内因性組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)抗原を測定するのに使用される方法は、別に記載されている4-8
【0067】
体系的な偏向の可能性を減少させ、そして検定間の変動を減少させるため、対の中で症例の位置を無作為に変化させ、盲検対で血液標本を解析した。検定間のC反応性タンパク
質の変動の平均係数は4.2%だった。
【0068】
統計解析
基準危険因子の平均または比率を症例およびコントロールに関し計算した。平均におけるすべての差異の有意性は、スチューデントt検定を使用して試験し、比率におけるすべ
ての差異の有意性は、カイ二乗統計量を用いて試験した。C反応性タンパク質レベルは非
対称であるため、中央値レベルはコンピューターで計算し、そして症例およびコントロールの間の中央値のすべての差異の有意性はウィルコクソン順位和検定を用いて評価した。C反応性タンパク質の幾何学的平均もまた対数変換しほぼ正規分布にした後、コンピュー
ターで計算した。傾向に関する試験を用い、C反応性タンパク質のレベルの増加と将来の
血管疾患の危険性とのすべての関係を、サンプルをコントロール値の分布により定めた四分位数に分けた後、評価した。適合する変数を説明する条件付ロジスティック回帰モデルを用い、そして無作為化治療割り当て、体重指数、糖尿病、高血圧歴および冠状動脈疾患の両親の病歴をコントロールし、調節した推定値を得た。同様のモデルを使用して、総およびHDLコレステロール、トリグリセリド、リポタンパク質(a)、tPA抗体、D-二量体お
よびホモシステインの測定基準レベルを調節してもよい。アスピリンがこれらの関係に影響するかを評価するため、無作為化アスピリン割り当ての終結した日である1988年1月25
日以前に起こった、すべての心筋梗塞事象に関し解析を繰り返した。すべてのP値は両側
(two-tailed)であり、信頼区間は95%レベルで計算した。
【0069】
結果
表1は、実験協力者に特有のベースラインを示す。予想通り、後に心筋梗塞を発症した
者は、血管病でなかった者よりも、高血圧症、高脂血症の履歴または冠状動脈疾患の親の履歴を有すると考えられた。同様に、後に発作を発症した者は、高血圧である可能性がより高い。適合させるために、症例および対照において年齢および喫煙は同様であった。
【0070】
【表1】

【0071】
ベースラインC反応性タンパク質の幾何平均および中央値レベルは、後に何等かの血管
症状を示した者の間で、示さなかった者と比較して有意に高かった(P<0.001)。症例と対照との間の差は、後に心筋梗塞を発症した者で最大であったが(1.51 mg/リットル対1.13 mg/リットル,P<0.001)、発作についても(P=0.03)、特に、虚血性病因の者に
ついても有意であった(P=0.02)。対照的に、C反応性タンパク質レベルは、後に静脈血栓症を発症した者の間でほとんど増加しなかった(P=0.34)(表2)。
【0072】
【表2】

【0073】
始めて心筋梗塞を発症する相対危険度は、ベースラインC反応性タンパク質の四分位数
それぞれの増加とともに有意に増加し(四分位数にわたるトレンドのP<0.001)、最高の四分位数の者は、最低の者よりもほぼ3倍高い将来の心筋梗塞の危険度を有した(相対危
険度=2.9,95パーセント信頼区間1.8〜4.6,P<0.001)(表3)。同様に、最高のベースラインC反応性タンパク質レベルの者は、将来虚血性発作を発症する危険度が2倍であった(相対危険度=1.9,95パーセント信頼区間1.1〜3.3,P=0.02)。静脈血栓症については、有意の関係が認められなかった。非致命的結果に限定された分析での知見は同様であった。
【0074】
【表3】

【0075】
C反応性タンパク質のベースラインレベルの増加が、後期血栓症よりもむしろ初期血栓
症に関係していたかどうか評価するために、本発明者は、何年もの追跡による心筋梗塞の分析を重ねた。C反応性タンパク質の最高の四分位数に関係した将来の心筋梗塞の相対危
険度(最低の四分位数と比較される)は、最初の2年以内の追跡中に見られた症状につい
ての2.4から実験追跡までの6年間またはそれ以上に見られた症状についての3.2までの範
囲であった(表4)。同様に、C反応性タンパク質の一つの四分位数に関係した将来の心筋梗塞の相対危険度は、長期間にわたって安定であった(図4)。
【0076】
【表4】

【0077】
喫煙者は、非喫煙者よりも有意に高いC反応性タンパク質の中央値レベルを有した(2.20 mg/リットル対1.19 mg/リットル,P<0.001)。喫煙状態ごとに適合させるために、
本発明者は、喫煙による混乱の可能性を最小限にした。しかしながら、効果変更について評価するために、本発明者は、群を非喫煙者に限定して分析を繰返した。表3で示された
ように、非喫煙者の間での将来の心筋梗塞の相対危険度は、C反応性タンパク質の四分位
数それぞれの増加とともに有意に増加した(Pトレンド<0.001)。同様に、心筋梗塞の危険度に対するC反応性タンパク質の長期効果は、実際上、非喫煙者の間で一致した(表4)。
【0078】
C反応性タンパク質と心筋梗塞との間の関係は、体重指数、糖尿病、高血圧症、早発冠
状動脈疾患の家族履歴、総コレステロール、HDLコレステロール、トリグリセリド類、リ
ポタンパク質(a)、tPA抗原、D-二量体、フィブリノーゲンまたはホモシステインについて調整された分析でほとんど変化しなかった(表5)。
【0079】
【表5】

【0080】
心筋梗塞に対するアスピリンの有益な効果がベースラインC反応性タンパク質レベルに
よって異なったかどうか評価するために、本発明者は、無作為のアスピリン処置の終了日である1988年1月25日以前に見られた症状についてこれら分析を繰返した。
【0081】
アスピリンかまたはプラシーボに無作為に割当てられた協力者についてのC反応性タン
パク質の四分位数それぞれの増加とともに増加した将来心筋梗塞を発症する危険度、およ
び心筋梗塞の発症率は、C反応性タンパク質の四分位数全部についてアスピリン群でより
低かった(図5)。しかしながら、心筋梗塞の予防に対するアスピリンの有益な効果の大
きさは、ベースラインC反応性タンパク質レベルに直接的な関係があった。具体的に、無
作為のアスピリン割当ては、最高の四分位数のベースラインC反応性タンパク質レベルの
協力者の中での心筋梗塞の危険度の大きな且つ統計学的に有意の減少に関係した(危険度減少=55.7パーセント,P=0.02)。しかしながら、最低の四分位数のベースラインC反応性タンパク質レベルの協力者の間では、アスピリンに関係した危険度の減少ははるかに小さく、もはや統計学的に有意ではなかった(危険度減少=13.9パーセント,P=0.77)。
これら効果は、アスピリンの明らかな利点が、炎症危険度の四分位数それぞれの減少とともに大きさが減少したように、四分位数にわたって直線状であった(図5)。この知見は
、他の冠状動脈危険因子について更に調整後に本質的に未変化のままであり、アスピリン群への割当てとベースラインC反応性タンパク質レベルとの相互作用(対数変換された連
続変数として処理される)は統計的に有意であった(P=0.048)。
【0082】
Physician HealthStudy からのデータも、C-RPなどの炎症の測定値が、全身性アテローム性動脈硬化症のもう一つの臨床症状である末梢動脈疾患を発症する将来の危険度を予測することを示している。例えば、2.0 mg/リットルを越えるC-RPのベースラインレベルの者は、より低いレベルの者が将来末梢動脈疾患を発症する危険度の2倍であった。更に、
これらデータにおいて、外科的介入を必要とするのに充分に重症の末梢動脈疾患を発症する危険度は、C-RPの最高のベースラインレベルの者で4倍増加した。
【0083】
C反応性タンパク質が、コレステロールレベルに関係したものに加えて危険度を予測す
るものでありうるかどうか評価するために、一連の積重ねの分析を更に行なった。これに関して、C反応性タンパク質は、総コレステロールのレベルが低い者でも高い者でも、そ
して総コレステロール対HDLコレステロール比が低い者でも高い者でも、将来の心筋梗塞
の危険度を予測することが判った。最後に、C反応性タンパク質の作用がコレステロール
の作用に相加的であるかどうか研究するために、本発明者は、実験対象がコレステロール、更にはC反応性タンパク質の三分位数(低、中または高)を特徴とする更に別の分析を
行なった。実験対象が総コレステロール対HDLコレステロール比の三分位数を特徴とする
同様の分析を行なった。図2および3で示されたように、C反応性タンパク質に関係した心
筋梗塞の危険度は、脂質パラメーター単独の危険度に相加的であると考えられる。
【0084】
試験された集団の実際のC反応性レベルを図6のグラフで示す。対数正規化C反応性タン
パク質レベルを図7で示すが、これは、本実験集団での正規ベル状曲線分布を明示してい
る。平均C反応性タンパク質は1.75で、標準偏差は2.2であった。対数C反応性タンパク質
の平均は約0.1で、標準偏差は約1であった。全身性炎症のもう一つのマーカーである可溶性細胞間接着分子(sICAM-1)の将来心臓血管病を引き起こす相対能力も評価された。表6は、s-ICAM-1のベースラインレベルによる将来の心筋梗塞の相対危険度(RR)を示す。統計学的に有意の関係が認められた。s-ICAMと心筋梗塞との間の関係も、体重指数、糖尿病、早発冠状動脈疾患の家族履歴、高脂血症、および高血圧症履歴について調整された分析でほとんど変化しない。
【0085】
【表6】

【0086】
考察
これら期待されるデータは、見掛上健康な者の間でのベースラインC反応性タンパク質
レベルが、最初の心筋梗塞および虚血性発作の危険度を予測することを示している。更に、C反応性タンパク質に関係した動脈血栓症の危険度は長期間にわたって安定であって、
喫煙、体重指数、血圧、総およびHDLコレステロール、トリグリセリド、リポタンパク質
(a)、tPA抗原、D-二量体、フィブリノーゲンまたはホモシステインを含めた他の因子によって変更されなかった。これらデータにおいて、C反応性タンパク質に関係した将来の
心筋梗塞の危険度は、総コレステロールかまたは総コレステロール対HDLコレステロール
比に関係した危険度に相加的であると考えられる。対照的に、最初の心筋梗塞の危険度を減少させる場合のアスピリンの利点は、C反応性タンパク質レベルの減少とともに有意に
減少し、この薬剤が抗炎症性も抗血小板性も有するような興味を引く知見であった。最後に、静脈血栓塞栓症については有意の関係がなく、血管危険度と炎症の関係が動脈循環に限定されるかもしれないことを示唆した。本発明者はまた、将来の心筋梗塞の危険度と全身性炎症のもう一つの尺度sICAM-1との間に有意の関係を認めた。
【0087】
血液試料はベースラインで集められたので、本発明者は、急性虚血がC反応性タンパク
質レベルに影響を与える可能性を除外することができる。更に、認められた統計学的に有意の関係は非喫煙者の間にもあり、血管危険度に対するC反応性タンパク質の作用が単純
にタバコ消費の結果ではないことを示した。9,10 したがって、見掛上健康な者の間で
の心筋梗塞および発作の将来の危険度にベースラインC反応性タンパク質レベルを関連さ
せた本発明者の期待されるデータは、急性疾病患者12、症候性冠状動脈疾患の患者11または主としてタバコ消費による高危険度の者の実験からの先の知見をますます拡大する。9
更に、これらデータにおいて、C反応性タンパク質の作用は、多数の脂質および非脂質
危険因子とは無関係であった。
【0088】
C反応性タンパク質がアテローム性動脈硬化症に関係する機序は不明である。Chlamydia
pnuemoniae、Heliobacter pylori、Herpes simplex ウイルスまたはサイトメガロウイルスに先に感染することが、C反応性タンパク質によって検出される慢性炎症の原因である
かもしれない。13-19 C反応性タンパク質が、アテローム性動脈硬化症プラーク中へのマ
クロファージおよび単球の補充に関係した細胞性サイトカインであるインターロイキン-620の代わりであることも考えられる。21 更に、C反応性タンパク質は、血液凝固の開始
において重要な膜糖タンパク質である組織因子を単球に発現させることができる。22 最後に、喫煙に従属的な気管支炎症は、C反応性タンパク質を血管危険度に関係させた先の
実験で見られた関係の原因であるということを仮定した。9 これに関して、C反応性タンパク質の作用が非喫煙者の中に存在するという本発明者の知見は、気管支炎症をあまり適当でない機序にしている。更に、C反応性タンパク質の作用が長期間にわたって安定であ
るという知見は、凝血への急性作用が考えられないことを示唆する。
【0089】
C反応性タンパク質およびアスピリンの相互関係に関する本発明者のデータは、慎重に
考慮すべき価値がある。Physicians' HealthStudy では、アスピリンは最初の心筋梗塞の危険度を44パーセントまで減少させた。1 本知見は、最初の心筋梗塞に対するアスピリ
ンの作用が、最高のベースラインC反応性タンパク質レベルの者の中で最大であったこと
、およびこの炎症マーカーの濃度の減少とともにその利点の大きさが有意に減少したことを示している。
【0090】
いくつかの結論を得ることができる。第一に、見掛上健康な者の中で、C反応性タンパ
ク質によって評価される炎症のベースラインレベルは、最初の心筋梗塞および虚血性発作の危険度を、他の危険因子とは無関係に予測する。第二に、ベースラインC反応性タンパ
ク質レベルは、アテローム性動脈硬化症とは概して関係がない血管症状である静脈血栓症と無関係である。第三に、C反応性タンパク質は、不安定狭心症の患者について従来示さ
れているような短期マーカーでないだけでなく、6年後またはそれ以上で見られる症状に
ついても、危険度の長期マーカーではない。この知見は、炎症作用が慢性経過によって媒介されると考えられることを示唆し、ベースラインで検出されない急性疾患が、認められた作用の原因であるという可能性を排除する。第四に、これらデータは、C反応性タンパ
ク質の評価が、総コレステロールおよび総コレステロール対HDLコレステロール比のレベ
ルによって規定される評価に加えて、アテローム性動脈硬化症危険度を予測する本発明者の能力に加わることができることを示唆する。最後に、アスピリンの利点は、潜伏性炎症によって変更されると考えられる。
【0091】
【表7−1】

【0092】
【表7−2】

【0093】
【表7−3】

【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】図1は、C反応性タンパク質の基準値レベルにしたがった研究集団における、初めての心筋梗塞の相対危険性を示すグラフである。すべての研究被験者および/または非喫煙者に関し、データを示している。
【図2】図2は、総コレステロールおよびC反応性タンパク質の高、中および低三分位数(tertile)と関連付けた将来の心筋梗塞の相対危険性を示すグラフである。
【図3】図3は、総コレステロール:HDLコレステロール比およびC反応性タンパク質の高、中および低の三分位数と関連付けた将来の心筋梗塞の相対危険性を示すグラフである。
【図4】図4は、数年の追跡研究による、基準値C反応性タンパク質のそれぞれの増加する四分位数(quartile)と関連付けた、初めての心筋梗塞の相対危険性(および95%信頼区間)を示すグラフである。
【図5】図5は、アスピリンまたはプラセボ療法に無作為に割り当てることにより階層化した、C反応性タンパク質の基準値と関連付けた初めての心筋梗塞の相対危険性を示すグラフである。解析は、医師健康研究(Physicians' Health Study)のアスピリン成分を非盲検化する以前に起こった事象に限る。アスピリン使用と関連付けられる心筋梗塞の危険性の減少は、C反応性タンパク質の第一の(最も低い)四分位では13.9%であり、第二の四分位では33.4%であり、第三の四分位では46.3%であり、第四の(最も高い)四分位では55.7%であった。
【図6】図6は、実施例1において研究された集団におけるC反応性タンパク質レベルの分布を示すグラフである。
【図7】図7は、図6のC反応性タンパク質レベルを対数正規化した際、発生する正常なベル型曲線分布を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
見掛上健康な非喫煙個体が将来心筋梗塞を発症する危険度プロフィールを特性決定する方法であって、該個体の全身性炎症の一定レベルのマーカーを入手し、 該マーカーレベルを所定の値と比較し、そして 所定の値との比較した該マーカーレベルに基づいて、該個体が将来心筋梗塞を発症する危険度プロフィールを特性決定するすることを含む上記方法。
【請求項2】
所定の値が複数の所定のマーカーレベル範囲であり、前記比較工程が、該個体レベルが達する該所定のマーカーレベル範囲を決定することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
全身性炎症のマーカーが、C反応性タンパク質、サイトカインおよび細胞接着分子から成る群より選択される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
全身性炎症のマーカーがC反応性タンパク質である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
所定の値が血中の約1 3/4mg/lまたはそれ以上である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
所定の値が血中の約2.0mg/lである請求項4に記載の方法。
【請求項7】
所定のマーカーレベルが複数の所定のマーカーレベル範囲であり、該複数の一つが血中の約1.75mg/l未満であり、該範囲のもう一つが血中の約1.75mg/lであり、そして前記比較工程が、該個体レベルが達する該複数の所定のマーカーレベル範囲を決定することを含む請求項4に記載の方法。
【請求項8】
全身性炎症のマーカーが可溶性細胞間接着分子(sICAM−1)である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
所定の値が血中の約250ng/mlまたはそれ以上である請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ある個体が将来、致命的な心筋梗塞以外のアテローム性動脈硬化症に関係した心臓血管障害を発症する危険度プロフィールを特性決定する方法であって、該個体の全身性炎症の一定レベルのマーカーを入手し、 該マーカーレベルを所定の値と比較し、そして 所定の値との比較した該マーカーレベルに基づいて、該個体が将来、致命的な心筋梗塞以外のアテローム性動脈硬化症に関係した心臓血管障害を発症する危険度プロフィールを特性決定するすることを含む上記方法。
【請求項11】
所定の値が複数の所定のマーカーレベル範囲であり、前記比較工程が、該個体レベルが達する該所定のマーカーレベル範囲を決定することを含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記個体が見掛上健康な非喫煙個体である請求項10に記載の方法。
【請求項13】
全身性炎症のマーカーが、C反応性タンパク質、サイトカインおよび細胞接着分子から成る群より選択される請求項10に記載の方法。
【請求項14】
全身性炎症のマーカーがC反応性タンパク質である請求項10に記載の方法。
【請求項15】
所定の値が血中の約1 3/4mg/lである請求項13に記載の方法。
【請求項16】
所定の値が血中の約2.0mg/lである請求項13に記載の方法。
【請求項17】
所定のマーカーレベルが複数の所定のマーカーレベル範囲であり、該複数の一つが血中の約1.75mg/l未満であり、該範囲のもう一つが血中の約1.75mg/lであり、そして前記比較工程が、該個体レベルが達する該複数の所定のマーカーレベル範囲を決定することを含む請求項13に記載の方法。
【請求項18】
全身性炎症のマーカーが可溶性細胞間接着分子(sICAM−1)である請求項10に記載の方法。
【請求項19】
所定の値が血中の約250ng/mlまたはそれ以上である請求項18に記載の方法。
【請求項20】
心臓血管障害が発作である請求項10〜19に記載の方法。
【請求項21】
心臓血管障害が非致命的心筋梗塞である請求項10〜19に記載の方法。
【請求項22】
ある個体が将来、アテローム性動脈硬化症に関係した心臓血管障害を発症する危険度プロフィールを特性決定する方法であって、該個体の全身性炎症の一定レベルのマーカーを入手し、 該マーカーレベルを所定の値と比較して第一危険度値を決定し、 該個体のコレステロールのレベルを入手し、該コレステロールレベルを所定の値と比較して第二危険度値を決定し、そして 第一危険度値および第二危険度値の組合せに基づいて、該個体が将来心臓血管障害を発症する危険度プロフィールを特性決定することを含み、ここにおいて、第一危険度値および第二危険度値の組合せが、該第一および第二危険度値とは異なった第三危険度値を決定する上記方法。
【請求項23】
所定の値が複数の所定のマーカーレベル範囲であり、前記比較工程が、該個体レベルが達する該所定のマーカーレベル範囲を決定することを含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記個体が見掛上健康な非喫煙個体である請求項22に記載の方法。
【請求項25】
全身性炎症のマーカーが、C反応性タンパク質、サイトカインおよび細胞接着分子から成る群より選択される請求項22に記載の方法。
【請求項26】
全身性炎症のマーカーがC反応性タンパク質である請求項22に記載の方法。
【請求項27】
所定の値が血中の約1 3/4mg/lである請求項26に記載の方法。
【請求項28】
所定の値が血中の約2.0mg/lである請求項26に記載の方法。
【請求項29】
所定のマーカーレベルが複数の所定のマーカーレベル範囲であり、該複数の一つが血中の約1.75mg/l未満であり、該範囲のもう一つが血中の約1.75mg/lであり、そして前記比較工程が、該個体レベルが達する該複数の所定のマーカーレベル範囲を決定することを含む請求項26に記載の方法。
【請求項30】
全身性炎症のマーカーが可溶性細胞間接着分子(sICAM−1)である請求項22に記載の方法。
【請求項31】
所定の値が血中の約250ng/mlまたはそれ以上である請求項30に記載の方法。
【請求項32】
心臓血管障害が発作である請求項22〜31に記載の方法。
【請求項33】
心臓血管障害が非致命的心筋梗塞である請求項22〜31に記載の方法。
【請求項34】
第三危険度値が、第一および第二危険度値のどちらよりも大きい請求項22〜31に記載の方法。
【請求項35】
ある個体が、アテローム性動脈硬化症に関係した心臓血管障害の危険度を減少させる薬剤での処置から利益を得る可能性を評価する方法であって、該薬剤は、抗炎症薬、抗血栓薬、抗血小板薬、フィブリン溶解薬、脂質減少薬、直接トロンビン阻害薬および糖タンパク質IIb/IIIa受容体阻害薬から成る群より選択され、 該個体の全身性炎症の一定レベルのマーカーを入手し、そして該マーカーレベルを所定の値と比較し、ここにおいて、所定の値と比較した全身性炎症のマーカーレベルは、該個体が該薬剤での処理から利益を得るかどうか示すものであり、そして該個体が該比較に基づいて該処置から利益を得ることが可能かどうか特性決定することを含む上記方法。
【請求項36】
所定の値が複数の所定のマーカーレベル範囲であり、前記比較工程が、該個体レベルが達する該所定のマーカーレベル範囲を決定することを含む請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記個体が見掛上健康な非喫煙個体である請求項35に記載の方法。
【請求項38】
全身性炎症のマーカーが、C反応性タンパク質、サイトカインおよび細胞接着分子から成る群より選択される請求項35に記載の方法。
【請求項39】
全身性炎症のマーカーがC反応性タンパク質である請求項35に記載の方法。
【請求項40】
所定の値が血中の約1 3/4mg/lまたはそれ以上である請求項39に記載の方法。
【請求項41】
所定の値が血中の約2.0mg/lまたはそれ以上である請求項39に記載の方法。
【請求項42】
所定のマーカーレベルが複数の所定のマーカーレベル範囲であり、該複数の一つが血中の約1.75mg/l未満であり、該範囲のもう一つが血中の約1.75mg/lであり、そして前記比較工程が、該個体レベルが達する該複数の所定のマーカーレベル範囲を決定することを含む請求項39に記載の方法。
【請求項43】
全身性炎症のマーカーが可溶性細胞間接着分子(sICAM−1)である請求項35に記載の方法。
【請求項44】
所定の値が血中の約250ng/mlまたはそれ以上である請求項43に記載の方法。
【請求項45】
心臓血管障害が発作である請求項35〜44に記載の方法。
【請求項46】
心臓血管障害が心筋梗塞である請求項35〜44に記載の方法。
【請求項47】
薬剤がアスピリンである請求項35〜44に記載の方法。
【請求項48】
心臓血管障害の危険度を減少させるために対象を処置する方法であって、将来心臓血管障害を発症する対象の危険度を低下させる有効量の非アスピリン抗炎症薬を選択し、そして正常より高いレベルの全身性炎症のマーカーを有する対象に投与することを含む上記方法。
【請求項49】
対象が、抗炎症薬を要求する症状が他にない請求項48に記載の方法。
【請求項50】
対象が見掛上健康である請求項48に記載の方法。
【請求項51】
薬剤が、アルコフェナク;ジプロピオン酸アルクロメタゾン;アルゲストンアセトフェニド;アルファアミラーゼ;アムシナファル;アムシナフィド;アムフェナクナトリウム;塩酸アミプリロース;アナキンラ;アニロラク;アニトラザフェン;アパゾン;バルサラジドニナトリウム;ベンダザク;ベノキサプロフェン;塩酸ベンジタミン;ブロメライン類;ブロペラモル;ブデソニド;カルプロフェン;シクロプロフェン;シンタゾン;クリプロフェン;プロピオン酸クロベタゾール;酪酸クロベタゾン;クロピラク;プロピオン酸クロチカゾン;酢酸コルメタゾン;コルトドキソン;デフラザコート;デソニド;デスオキシメタゾン;ジプロピオン酸デキサメタゾン;ジクロフェナクカリウム;ジクロフェナクナトリウム;二酢酸ジフロラゾン;ジフルミドンナトリウム;ジフルニサル;ジフルプレドネート;ジフタロン;ジメチルスルホキシド;ドロシノニド;エンドリソン;エンリモマブ;エノリカムナトリウム;エピリゾール:エトドラク;エトフェナメート;フェルビナク;フェナモル;フェンブフェン;フェンクロフェナク;フェンクロラク;フェンドサル;フェンピパロン;フェンチアザク;フラザロン;フルアザコート;フルフェナム酸;フルミゾール;酢酸フルニソリド;フルニキシン;フルニキシンメグルミン;フルオコルチンブチル;酢酸フルオロメトロン;フルキアゾン;フルルビプロフェン;フルレトフェン;プロピオン酸フルティカゾン;フラプロフェン;フロブフェン;ハルシノニド;プロピオン酸ハロベタゾール;酢酸ハロプレドン;イブフェナク;イブプロフェン;イブプロフェンアルミニウム;イブプロフェンピコノール;イロニダプ;インドメタシン;インドメタシンナトリウム:インドブロフェン;インドキソール;イントラゾール;酢酸イソフルブレドン;イソキセパク;イソキシカム;ケトブロフェン;塩酸ロフェミゾール;ロルノキシカム;ロテブレドノールエタボネート;メクロフェナム酸ナトリウム;メクロフェナム酸;二酪酸メクロリゾン;メフェナム酸;メサラミン;メセクラゾン;メチルプロドニゾロンスレプタネート;モルニフルメート;ナブメトン;ナプロキセン;ナブロキセンナトリウム;ナプロキソール;ニマゾン;オルサラジンナトリウム;オルゴテイン;オルパノキシン;オキサプロジン;オキシフェンブタゾン;塩酸パラニリン;ペントーザンポリ硫酸ナトリウム;フェンブタゾングリセリン酸ナトリウム;ピルフェニドン;ピロキシカム;ケイ皮酸ピロキシカム;ピロキシカムオラミン;ピルプロフェン;プレドナゼート;プリフェロン;プロドール酸;プロキナゾン;プロキサゾール;クエン酸プロキサゾール;リメキソロン;ロマザリト;サルコレクス;サルナセジン;サルサラート;塩化サンギナリウム;セクラゾン;セルメタシン;スドキシカム;スリンダク;スプロフェン;タルメタシン;タルニフルメート;タロサラート;テブフェロン;テニダプ;テニダプナトリウム;テノキシカム;テシカム;テシミド;テトリダミン;チオピナク;ピバル酸チキソコルトール;トルメチン:トルメチンナトリウム;トリクロニド;トリフルミデート;ジドメタシン;グルココルチコイド類;ゾメビラックナトリウムから成る群より選択される請求項48〜50のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−36996(P2013−36996A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−172186(P2012−172186)
【出願日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【分割の表示】特願2007−279272(P2007−279272)の分割
【原出願日】平成10年4月2日(1998.4.2)
【出願人】(501368643)ザ・ブリガーム・アンド・ウーメンズ・ホスピタル・インコーポレーテッド (10)
【Fターム(参考)】