説明

アテローム性動脈硬化症の治療

本発明は以下のアミノ酸配列を含む化合物の使用に関する。該化合物は、アミノ酸配列:X1X2X3X4X5X6X7X8(式中、X1はC以外のアミノ酸、X2はC以外のアミノ酸、X3はC以外のアミノ酸、X4はC以外のアミノ酸、X5はC以外のアミノ酸、X6は存在しないか、またはC以外のアミノ酸、X7は存在しないか、またはC以外のアミノ酸、X8は存在しないか、またはC以外のアミノ酸であり、該X1X2X3X4X5X6X7X8は、コレステロールエステル転送タンパク(CETP)の5-マー、6-マー、7-マーまたは8-マーポリペプチドフラグメント、またはCETPエピトープでなく、またはこれらを含まない)で示され、天然CETP糖タンパクに特異的な抗体への結合能を有する、アテローム性動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症の危険疾患およびアテローム性動脈硬化症の続発症の予防および治療のための手段を提供するために使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアテローム性動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症の危険疾患およびアテローム性動脈硬化症の続発症の予防及び治療に関する。
【背景技術】
【0002】
抹消動脈閉塞性疾患、冠状動脈性心臓病、および脳卒中発作のようなアテローム性動脈硬化症の続発症は、未だ、米国、ヨーロッパ、及びアジアの大部分における主要な死因である。
【0003】
ウィルヒョーの見解では、動脈壁への脂質沈着は、脂質の変換および酸性ムコ多糖類の複合体形成により生じると彼が考える血中脂質により引き起こされる変化である。この動脈の “傷害”により、彼は、動脈の内膜および中膜における脂質の蓄積およびアテローム性動脈硬化病変の進行を説明している。
【0004】
1973年に提唱され、1986年および1993年に修正されたロスの仮説“傷害反応”は今日、一般に認知されている。ロスは、アテローム性動脈硬化症の進行は、増殖因子、サイトカインおよび細胞相互作用の複合相互反応を特徴とする、動脈血管壁の慢性進行性炎症と考える。さらに、該仮説はまた、ウィルヒョーの脂肪説とロキタンスキーの血栓説との融合でもある。
【0005】
“傷害反応” 説によると、内皮の“傷害”が該疾患の初期原因であり、一連の細胞間相互作用を誘発する内皮機能不全を引き起こし、結果としてアテローム性動脈硬化病変の形成となる。危険因子はこのような“傷害”を促進するので、外因性および内因性影響はアテローム性動脈硬化症と統計的に著しく相関があると言及されている。例えば、LDLの増加および変性、Lp(a)、動脈性高血圧、糖尿病および高ホモシステイン血症は、これら内皮-損傷因子の最も重大なものに挙げられる。
【0006】
内皮は堅いものではないが、むしろ非常に強いバリアーであるため、リポタンパクの透過性増加に加えて複数の分子変化が内皮機能不全の経過に起こる。該分子変化は単球、T-リンパ球および内皮細胞の相互作用に決定的影響を有する。E、LおよびPタイプのセレクチン、インテグリン、ICMA-1、VCAM-1および血小板-内皮-細胞接着分子-1の内皮接着分子の発現により、管腔側に単球およびT-リンパ球が接着する。ついで、MCP-1、インターロイキン-8、PDGF、M-CSFおよびオステオポンチンにより白血球の内皮外への移動が媒介される。
【0007】
いわゆるスカベンジャー受容体により、内膜中にあるマクロファージおよび単球は、侵入したLDL粒子を取り込むことができ、コレステロールエステルの小胞として細胞質に溜める。このように形成された泡沫細胞は、主に固まって血管内膜に蓄積し、幼少期に既に見られる“脂肪線条”の症状となる。
【0008】
LDLは低密度リポタンパクであり、脂肪分解酵素の異化効果により、トリグリセリドリッチのVLDL粒子から合成される。内皮細胞および中膜の平滑筋細胞上でダメージを与えるという特性に加え、さらにLDLは、単球の走化性効果を有し、遺伝子増幅により、内皮細胞のMCSFおよびMCP-1の発現を増加する。LDLとは対照に、HDLはいわゆるHDLc複合体構造のもと、アポタンパクEを介してマクロファージからコレステロールエステルを取り除く。SR-B1レセプターの相互作用により、これらのコレステロールエステル-運搬粒子はそれぞれ、肝細胞または副腎皮質細胞に結合することができ、胆汁酸およびステロイドの合成に用いるコレステロールを運搬することができる。このメカニズムはコレステロール逆転送と呼ばれ、HDLの保護機能を示す。
【0009】
活性化マクロファージは、HLA-DRを介して抗原を与えることができ、その結果、CD4およびCD8リンパ球を活性化し、結果として、IFN-ガンマおよびTNF-アルファのようなサイトカインの分泌を刺激し、さらに、炎症反応を増大する。
【0010】
該疾患の更なる経過においては、中膜の平滑筋細胞が、炎症により変性した内膜部に侵入して増殖し始める。これにより、このステージでの媒介的な病変が形成される。該媒介的な病変から始まり、進行性で複雑な該病変は、時間をかけて進行し、内腔側にコラーゲンリッチの壊死性コア、細胞堆積、およびフィブリンキャップを特徴とする。細胞数およびリポイド部分が継続して増大した場合、内皮内で裂けて、表面が血栓性となる。このような裂け目での血小板の接着および活性化により、サイトカイン、増殖因子、およびトロンビンを含む顆粒が放出される。マクロファージのタンパク分解酵素はフィブリンキャップの不安定化に関与し、ついには、プラーク破裂を招き、続いて、血栓症、血管の狭窄および終末血管の急性虚血を招く。
【0011】
さまざまな危険因子が、アテローム性動脈硬化病変の形成に関与している。高リポタンパク血症、動脈性高血圧およびニコチンの濫用は、この点において、特に重大である。
【0012】
家族性高コレステロール血症は総コレステロールおよびLDLコレステロールの過剰増加を含む疾患である。それは、最も一般的な単一の遺伝子的遺伝性代謝性疾患に属す。中等度のヘテロ接合型は、頻度1:500で発生し、ホモ接合型は1:100万で、明らかに希である。家族性高コレステロール血症の原因は、染色体19の短腕上にあるLDLレセプター遺伝子の変異である。これらの変異は欠失、挿入、または点変異である。家族性高コレステロール血症のリポタンパクの特徴的所見は、ほぼ正常のトリグリセリドおよびVLDL濃度での総コレステロールおよびLDLコレステロールの増加である。大抵、HDLは低い。表現型の上では、フレッドリクソンによるIIAa型-高リポタンパク血症である。ヘテロ接合型においては、総コレステロールが正常値の2から3倍に増加し、ホモ接合型では5から6倍に増加する。
【0013】
臨床的には、家族性高コレステロール血症は初期冠状動脈硬化として現れる。一般的に、ヘテロ接合の男性では、第一症状の冠状動脈性心臓病(CHD)が、30代から40代の間に発症する。女性では、その平均10年後である。罹患男性の50%が、冠状動脈硬化症の結果、50歳前に死亡する。さらに、著しく上昇したLDL濃度、また低下したHDL濃度は、アテローム性動脈硬化症の急速な進行に関与する。アテローム性の変化は、また、大動脈、頸動脈、および末梢動脈のような心臓外血管にも現れる。該疾患のホモ接合型では、冠状動脈硬化症が、幼児期にすでに現れる。最初の心筋梗塞は、大抵10代より前に起こり、多くの患者の場合、20歳より前に死亡する。黄色腫の発生は、血清コレステロール値および該疾患の期間に依存する。
【0014】
20歳以上のヘテロ接合型患者の約75%に、腱黄色腫が発生する。ほぼ100%のホモ接合型患者が、皮膚および腱の黄色腫を有する。また、眼瞼上および角膜内に脂質沈着が発生する(黄色板腫; アーチ状リポイド)。しかしながら、これらは、コレステロール値は正常であるため、高コレステロール症の特異的兆候ではない。
【0015】
更に、FHに伴い、急性関節炎症および腱滑膜炎がしばしば発生する。
【0016】
個々のリポタンパクに含まれる、脂質およびタンパク(いわゆるアポタンパク)の大部分はそれぞれ異なるので、それらサイズおよび密度は異なる。タンパク部が増加し、脂質部が減少すると、密度は上がる。密度の違いにより、それらを超遠心分離法によって、異なる画分に分けることができる。これに基づき、リポタンパクを主要な群: カイロミクロン、超低密度リポタンパク(VLDL)、中間密度リポタンパク(IDL)、低密度リポタンパク(LDL)、高密度リポタンパク(HDL)、リポタンパク(a)(Lp(a))に分類する。
【0017】
リポタンパクのうち、アテローム性動脈硬化症の可能性が高いのは、主として、LDL、Lp(a)およびVLDLである。LDLの密度はd=約1.006-1.063 g/mlである。その中心は、エステル型コレステロール分子からなる。この高い疎水性コアは、リン脂質、非エステル型コレステロールおよび単一アポB100分子のエンベロープで囲まれている。さらに、アポタンパクEがLDL粒子の表面にある。
【0018】
LDLの機能は、コレステロールの抹消組織への運搬である。これはアポタンパクB-100を介して行われ、LDLレセプターによって細胞内に取り込まれる。フラミンガム研究、多危険因子介入試験およびホワイトホール研究のような、包括的な疫学的研究において、血清コレステロール値と冠状動脈性心臓病の発生との正相関が示された。LDLコレステロール値が160mg/dlより高い場合は、心血管系疾患の罹患リスクが高い。
【0019】
LDLコレステロール値に加え、また血管保護作用を有するHDLコレステロール値は、心疾患のリスク因子評価の上で、重要な役割を果たす。35mg/dlより低い値はリスク増加に関与する。
【0020】
VLDLは低密度(d=0.94-1.006g/ml)および高トリグリセリド含量のリポタンパクである。実質的には、VLDLは、アポタンパクCおよび若干のアポタンパクB-100およびEを含む。カイロミクロンとは異なり、VLDLは食事性脂質から構成されないが、肝臓で内因的に合成されたトリグリセリドから合成され、血液中に分泌される。トリグリセリドは、カイロミクロンと同様に、アポタンパクC-II-活性化リポタンパク-リパーゼより加水分解され、遊離脂肪酸は筋肉や脂肪組織に供給される。残ったコレステロール-リッチVLDL レムナントは、密度が高いため、中間密度リポタンパクと呼ばれる。
【0021】
リポタンパク(a)(Lp(a))の密度は1.05から1.12 g/mlで、その組成はLDLに似ている。アポタンパクB-100に加えて、そのタンパク部は、Lp(a)の特徴であるアポタンパク(a)から成る。今のところ、Lp(a)の生理および機能はあまり知られていない。アポタンパク(a)分子は、プラスミノーゲンと高い配列相同性を有するため、Lp(a)は、アテローム性プラーク上の血栓の形成を促進し、また、アテローム性作用を有すると考えられる。
【0022】
Lp(a)はアテローム性動脈硬化病変において、アポタンパクBとともに発見された。遡及的研究により、Lp(a)増加とCHDとの相関関係が示された。同様に、多数の前向き研究のメタ分析により、Lp(a)がCHD発生の独立危険因子であることが示された。15と35mg/dlの間が正常値とされている。今までのところ、Lp(a)は、ダイエットにも薬物にも影響されない。それ故、治療方法は、いっそう危険因子を減らすことに限られる。特に、LDLコレステロールを下げることが、Lp(a)の心血管系疾患のリスクを下げるようである。
【0023】
さらに、アテローム性動脈硬化症の発症において、病態生理学的には、凝固因子が原因と考えられる。疫学的所見により、血漿中のフィブリノゲン濃度と冠状動脈性心臓病の進行、主として心筋梗塞との相関関係があることが示唆された。これに関連して、フィブリノゲン値の増加(>300 mg/dl)は、心疾患の独立した指標であり危険因子であることが明らかになった。さらに、組織プラスミノーゲンアクチベータインヒビターtPA-Iの高濃度は、CHDの発生と関係がある。
【0024】
高トリグリセリド血症と心臓発作のリスクの関係はその都度異なり、血中脂質上昇の原因に依存する。トリグリセリドが独立危険因子であるか否かの議論があるが、それが冠状動脈性心臓病発症に重要な役割を果たしていることは明白である。該疾患の発生率は、高LDLコレステロール値および高トリグリセリド値を示す患者に最も高い。
【0025】
コレステロールエステル転送タンパク(CETP)は、リポタンパク間の天然脂肪およびリン脂質の転送に関与し、HDLの血漿濃度を下方制御する、安定した血漿糖タンパクである。CETP脂質転送活性の阻害はすでに、HDL血漿値の増加させるための治療的なアプローチとして提案されている。血漿中のCETP活性の欠損がHDL値を増加することを示唆する、多くの証拠がある。さらに、CETPは、コレステロールエステルをHDLからLDLおよびVLDLに転送することで、HDL濃度を下げる。
【0026】
ウサギおよびハムスターでの動物実験において、抗-CETPモノクローナル抗体、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはCETP阻害剤によるCETPの一時的阻害により、HDL値は増加した。アテローム性動脈硬化症のウサギ動物モデルにおいてアンチセンスオリゴヌクレオチドでのCETP阻害を継続したところ、HDL値は増加し、さらに、アテローム性動脈硬化病変は減少した。ヘテロ接合遺伝子欠損型の家族性高コレステロール血症患者の血漿CETP値は健常者の2倍であり、ホモ接合型遺伝子欠損型では、実に3倍である。
【0027】
US 5 512 548およびWO 93/011782において、ポリペプチドおよびそれらのアナログが、HDLからVLDLおよびLDLへのコレステロールエステルの転送を触媒するCETPを阻害することができ、それ故、患者に投与した場合、抗アテローム性動脈硬化活性を有すると言及されている。これらの文献によると、該CETPポリペプチド阻害剤は様々な起源のアポリポタンパクC-Iに由来し、特にアミノ酸36までのN-末端フラグメントがCETP阻害剤として特定される。
【0028】
また、US 5 880 095 Aにおいて、CETP-結合ペプチドは、個体内のCETP活性を阻害することが開示されている。該CETP-抑制性タンパクは豚アポリポタンパクC-IIIのN-末端フラグメントを含む。
【0029】
US 2004/0087481およびUS 6 410 022 B1において、CETP-特異的免疫反応の誘導により、例えば、アテローム性動脈硬化症のような心疾患の治療および予防に、ペプチドを使用しうることが開示されている。これらのペプチドは、CETPに由来しないヘルパーT細胞エピトープ、および少なくとも一つのCETP由来のB-細胞エピトープを含み、後者から直接に生成される。該ヘルパーT細胞エピトープは破傷風トキソイドから有利に生成され、少なくとも一つのCETPのB-細胞エピトープと共有結合する。該有機体に適合しないヘルパーT細胞エピトープを使用することで、個体内の抗体を誘導することができ、該抗体は少なくとも一つのCETP-B-細胞エピトープを含むペプチド部分に対する抗体である。
【0030】
さらに最近では、CETPに関してのワクチンのアプローチが既に提案されている。従って、例えば、抗原としてコレステロールエステル転送に関与するCETPのペプチドを含むワクチンをウサギに処置した。該免疫ウサギはCETP活性が低下し、リポタンパク値は、HDL値は上昇し、LDL値が低下した。さらに、また、アテローム性動脈硬化症モデルの被検動物においては、対照動物と比較して、アテローム性動脈硬化病変が減少した。
【0031】
昨年末に、アメリカのバイオテクノロジー会社Avantにより、ワクチンCETi-1について行われた、第二相臨床試験結果が刊行された(BioCentury Extra For Wednesday, October 22, 2003)。この第二相臨床試験において、先行する第一相臨床試験と同様に、疑わしい副作用はなく大変良好な安全性が示され、基本的に抗-CETPワクチン接種アプローチによる副作用はないとの結果が示された。一方、効能に関しては、Avantワクチンは、偽薬処理と比較して著しく良好なHDL値の増加は無く、期待はずれなものであった。
【0032】
CETi-1ワクチンの問題は、内在性抗原を使用したことである。ヒト免疫システムは、内在性分子の多くに対して-CETP対して以外にも-自己抗体が生成されないことが重要であるため、ヒト免疫システムは、内在性構造に対して耐性である。従って、CETi-1ワクチンは明らかに十分な効果に達しておらず、その課題は内在的耐性を破壊することである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
以上より、本発明の目的は、免疫システムにより異物と見なされることで、自己寛容を破壊しないように選ばれる、抗-CETPワクチンの抗原の提供である。
【0034】
さらに、本発明は前記目的のCETPミモトープを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0035】
本発明において、CETPミモトープは、望ましくは、アミノ酸配列がCETPまたはCETPフラグメントのアミノ酸配列と全く異なる抗原ポリペプチドである。この点において、本発明のミモトープは、1以上の非天然アミノ酸 (すなわち20個の“古典的”アミノ酸からではなく)を含み、または完全に該非天然アミノ酸の組み合わせたものである。さらに、抗-CETP抗体を誘導する本発明の抗原は、Dアミノ酸若しくはLアミノ酸、またはDLアミノ酸の組み合わせから成り、任意に、さらに修飾、閉環または誘導体化によって変化されていてもよい。適当な抗-CETP-抗体-誘導抗原は、市販のペプチドライブラリーから入手できる。好ましくは、これらのペプチドは少なくとも5アミノ酸、特に少なくとも8アミノ酸の長さのものであり、好ましい長さは11までであり、好ましくは14または20アミノ酸までである。しかしながら、本発明においては、より長いペプチドも抗-CETP-抗体-誘導抗原としてよく用いられ得る。
【0036】
前記CETP-ミモトープ(すなわち抗-CETP-抗体-誘導抗原)の調製にはまた当然に、ファージライブラリー、ペプチドライブラリーが適当である。これらは、例えば多用な構造を得るのに、コンビナトリアルケミストリーを用いて生成し、または、ハイスループット・スクリーニング技術を用いて得られる(表示: A Laboratory Manual by Carlos F. Barbas (Editor), et al.; Willats WG Phage display: practicalities and prospects. Plant Mol. Biol. 2002 Dec.; 50(6):837-54)。
(http://www.microcollections.de/showpublications.php#).
【0037】
さらに、本発明において、また、核酸(“アプタマー”)に基づく抗-CETP-抗体-誘導抗原も使用され、これもまた、様々な(オリゴヌクレオチド) ライブラリー (2-180の核酸残基を有する) (例えば Burgstaller et al., Curr. Opin. Drug Discov. Dev. 5(5) (2002), 690-700; Famulok et al., Acc. Chem. Res. 33 (2000), 591-599; Mayer et al., PNAS 98 (2001), 4961-4965, 等)から見いだされる。核酸に基づく抗-CETP-抗体-誘導抗原において、例えば、天然のホスホジエステル化合物により、または、ホスホロチオエート、合成または化学的変化(例えばPNAとして)によって、該核酸骨格は構成され、本発明において、その塩基は、主として、U、T、A、C、G、HおよびmCが使用される。本発明において使用されるヌクレオチドの2'-残基は、望ましくはH、OH、F、Cl、NH2、O-メチル、O-エチル、O-プロピルまたはO-ブチルであり、該核酸は異なった修飾がなされる。すなわちそれらがオリゴヌクレオチド合成に通常に使用される場合、保護基を有することとなる。従って、アプタマー-に基づく-CETP-抗体-誘導抗原はまた、本発明の範囲において好ましい抗-CETP-抗体-誘導抗原である。
【0038】
更なる態様において、本発明は以下のアミノ酸配列:
X1X2X3X4X5X6X7X8
式中、
X1はC以外のアミノ酸であり、
X2はC以外のアミノ酸であり、
X3はC以外のアミノ酸であり、
X4はC以外のアミノ酸であり、
X5はC以外のアミノ酸であり、
X6は存在しないか、またはC以外のアミノ酸であり、
X7は存在しないか、またはC以外のアミノ酸であり、
X8は存在しないか、またはC以外のアミノ酸であり、
を含む化合物であって、ただし該X1X2X3X4X5X6X7X8は、コレステロールエステル転送タンパク(CETP)またはCETP-エピトープの5-マー、6-マー、7-マー若しくは8-マーポリペプチドフラグメントでなく、またはこれらを含まない、天然CETP糖タンパクに特異的な抗体に対する結合能力を有する化合物のアテローム性動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症の危険疾患、およびアテローム性動脈硬化症の続発症の予防および治療のための手段を提供するための使用。
【0039】
特に好ましい化合物は、既知のCETP-エピトープの特異的ミモトープであり、特にCETPアミノ酸配列の131-142、451-476、184-260、261-331、332-366、367-409および410-450のアミノ酸、特に、FGFPEHLLVDFLQSLSまたはCDSGRVRTDAPDで規定されるエピトープに対するものである。
【0040】
全CEPT配列(未処理前駆体):

10 20 30 40 50 60
| | | | | |
MLAATVLTLA LLGNAHACSK GTSHEAGIVC RITKPALLVL NHETAKVIQT AFQRASYPDI

70 80 90 100 110 120
| | | | | |
TGEKAMMLLG QVKYGLHNIQ ISHLSIASSQ VELVEAKSID VSIQNVSVVF KGTLKYGYTT

130 140 150 160 170 180
| | | | | |
AWWLGIDQSI DFEIDSAIDL QINTQLTCDS GRVRTDAPDC YLSFHKLLLH LQGEREPGWI

190 200 210 220 230 240
| | | | | |
KQLFTNFISF TLKLVLKGQI CKEINVISNI MADFVQTRAA SILSDGDIGV DISLTGDPVI

250 260 270 280 290 300
| | | | | |
TASYLESHHK GHFIYKNVSE DLPLPTFSPT LLGDSRMLYF WFSERVFHSL AKVAFQDGRL

310 320 330 340 350 360
| | | | | |
MLSLMGDEFK AVLETWGFNT NQEIFQEVVG GFPSQAQVTV HCLKMPKISC QNKGVVVNSS

370 380 390 400 410 420
| | | | | |
VMVKFLFPRP DQQHSVAYTF EEDIVTTVQA SYSKKKLFLS LLDFQITPKT VSNLTESSSE

430 440 450 460 470 480
| | | | | |
SIQSFLQSMI TAVGIPEVMS RLEVVFTALM NSKGVSLFDI INPEIITRDG FLLLQMDFGF

490
|
PEHLLVDFLQ SLS
【0041】
本発明(ミモトープ)における該化合物の好ましい長さは、5から15アミノ酸である。この化合物は、単離(ペプチド)構造のワクチン中に存在し、または、医薬品担体物質またはポリペプチド、脂質若しくは糖鎖構造のような他の分子と結合し、または複合体を形成する。望ましくは、本発明の該ミモトープは、(最小)長さ5および15の間、6および12、特に9および11の間のアミノ酸残基を有する。該ミモトープは、また一方、非-特異的リンカーまたはキャリヤー、特にペプチドリンカーまたはタンパクキャリヤーと(共有または非-共有)結合する。さらに、該ペプチドリンカーまたはタンパクキャリヤーは、ペルパーT細胞エピトープから成り、またはこれを含む。
【0042】
好ましくは、医薬的に許容しうるキャリヤーは、KLH、破傷風トキソイド、アルブミン-結合タンパク、牛血清アルブミン、デンドリマー(MAP; Biol. Chem. 358: 581)、並びに(Singh et al., Nat. Biotech. 17 (1999), 1075-1081 (特にその文献の表1))、および(O'Hagan et al., Nature Reviews, Drug Discovery 2 (9) (2003), 727-735 (特にそこに記載されるendogenous immuno-potentiating compounds and delivery systems))に記載のアジュバンド物質、またはその混合物である。さらに、該ワクチン組成物は水酸化アルミニウムを含む。
【0043】
本化合物(ミモトープ)および医薬的に許容しうるキャリヤーを含むワクチンは、適当な使用方法、例えば鼻腔内、経口、皮下等へのi.v.、i.p.、i.m.により、および適当な送達手段(O'Hagan et al., Nature Reviews, Drug Discovery 2 (9), (2003), 727-735)おいて投与される。主として、該ワクチンは、本発明にかかる化合物を0.1ngから10mg、望ましくは10ngから1mg、特に100ngから100μg、または別法として、例えば100fmolから10μmol、望ましくは10pmolから1μmol、特に100pmolから100nmol含む。主として、該ワクチンはまた、補助剤、例えば バッファー、安定剤等を含む。
【0044】
アテローム性動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症の危険疾患およびアテローム性動脈硬化症の続発症の予防および治療のための本発明のワクチン組成物に特に適するのは、天然CETP糖タンパクに対して特異的な抗体への結合能を有するペプチドを含み、以下の一般式に含まれる分子であることが分かった。
該一般式は、
X1X2X3X4X5X6X7X8であり、
式中、
X1はいずれかのアミノ酸であるか、または存在しない、望ましくはA、L、I、または存在せず、ただし、X1が存在しない場合はX6が存在する、
X2はD、G、A、N、L、V、QまたはI、特にL、V、QまたはIであり、
X3はH、P、KまたはR、特にKまたはRであり、
X4はいずれかのアミノ酸(C以外の)であり、特にW、N、S、G、H、Y、DまたはEであり、
X5はH、S、T、P、KまたはR、特にKまたはRであり、
X6は存在しないか、またはN、F、H、L、V若しくはI、特にL、V若しくはIであり、
X7は存在しないか、またはW、L、V、I、F、N、P若しくはG、特にP若しくはGであり、
X8は存在しないか、またはC以外のいずれかのアミノ酸である。
【0045】
これらの分子は、望ましくは大ペプチド分子の一部としてここに記載する該一般的ペプチド配列を含み、またはこの分子から成るペプチドである。特に望ましくは、ALKNKLP、ALKSKIP、AVKGKLP、ALKHKIP、ALKHKVP、ALKNKIP、ALKGKIP、ALKYKLP、ALKDKLP、ALKDKVP、AAQKDKVP、LKLHHGTPFQFN、SLPPDHWSLPVQ、QQQLGRDTFLHLまたはTNHWPNIQDIGGの群から選ばれる1以上のペプチドである。
【0046】
有利な効果を有するペプチドについては、上記式は以下のように定義づけられる(当然ながら、常にCETP/CETPフラグメントへの特異的結合能を有するという条件のもと):
X1がA、LまたはI、特にAであり、
X2がL、V、QまたはIであり、
X3がKまたはRであり、
X4がいずれかのアミノ酸(C以外)、特にN、S、G、H、Y、DまたはEであり、
X5がKまたはRであり、
X6が存在しないか、またはL、V若しくはIであり、
X7が存在しないか、またはP若しくはGであり、
X8が存在しないか、またはC以外のいずれかのアミノ酸である。
【0047】
更なる態様において、本発明は、天然CETPまたはCETPフラグメントに特異的な抗体に結合する化合物の単離方法に関する。該方法は以下の工程を含む。:
- 以下のアミノ酸配列:
X1X2X3X4X5X6X7X8
式中、
X1はC以外のアミノ酸であり、
X2はC以外のアミノ酸であり、
X3はC以外のアミノ酸であり、
X4はC以外のアミノ酸であり、
X5はC以外のアミノ酸であり、
X6は存在しないか、またはC以外のアミノ酸であり、
X7は存在しないか、またはC以外のアミノ酸であり、
X8は存在しないか、またはC以外のアミノ酸であり、
を含むペプチドであって、該X1X2X3X4X5X6X7X8が、コレステロールエステル転送タンパク(CETP)またはCETP-エピトープの5-マー、6-マー、7-マーまたは8-マーポリペプチドフラグメントでなく、またはこれらを含まないペプチド化合物ライブラリーを作成する工程、
- 前記ペプチドライブラリーを該抗体と接触させる工程、および
- ペプチドライブラリーの該抗体と結合するものを単離する。
【0048】
前記方法は、本発明のCETPミモトープの調製においても成功することが明らかとなった。天然CETPまたはCETPフラグメントに特異的な抗体は、当該技術分野において詳細に言及され、また市販もされている(例えば US 6,410,022または6,555,113)。
【0049】
これらのペプチドは、好ましくは、個別化形態にあるもの、すなわち個別化ペプチドとして、特に、例えばMULTIPINTM ペプチド技術を用いて行われる、固体表面に固定化した形態で前記ライブラリーで提供される。また、該ライブラリーはペプチド混合物として得られ、前記抗体に結合した後、抗体-ペプチド複合体を単離する。別法としては、該抗体を固定化し、その後、ペプチドライブラリー(懸濁液中または溶液中)を固定化した抗体と接触させる。
【0050】
望ましくは、スクリーニングする抗体 (またはペプチドライブラリーの内容物)は、該抗体の、または該ライブラリーのペプチドと結合する際の該抗体:ペプチド複合体の、検出または単離を可能とする適当なマーカーを含む。適当なマーカーシステム(i.a. ビチオン化、蛍光、放射能、磁気性マーカー、発色マーカー、二次抗体)は、当該技術分野にける当業者にとって、容易に実行可能である。
【0051】
該ライブラリーは、天然に存在するCETP配列を除いて構成されなければならない。この配列を有するワクチン摂取は、本発明から明確に除外されるためである。
【0052】
本発明によるさらに適当なエピトープ単離技術は、例えばWO 03/020750に記載されるようなファージ-ペプチドライブラリーにおけるスクリーニングである。
【0053】
本発明はまた、ALKNKLP、ALKSKIP、AVKGKLP、ALKHKIP、ALKHKVP、ALKNKIP、ALKGKIP、ALKYKLP、ALKDKLP、ALKDKVP、AAQKDKVP、LKLHHGTPFQFN、SLPPDHWSLPVQ、QQQLGRDTFLHLまたはTNHWPNIQDIGGの群から選ばれる少なくとも一つのペプチドを含む抗原を含む、アテローム性動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症の危険疾患およびアテローム性動脈硬化症の続発症の予防および治療のためのワクチンに関する。本発明の他のペプチドに加えて、これらのペプチドは、医薬組成物、特にアテローム性動脈硬化症ワクチンのための医薬組成物の製造への使用に、特に適している。
【0054】
これらの配列は完全な人工CETP-ミモトープである。ワクチン接種の目的のため、該ペプチドは、適当なキャリヤーと結合(共有または非−共有)し、他の化合物または分子、例えばアジュバンド、ペプチドまたはタンパクキャリヤー等と組み合わせてペプチド化合物または複合体として得られ、適当な方法で投与される(例えば、O'Hagan et al., Nature Reviews, Drug Discovery 2 (9) (2003), 727-735.)。
【0055】
最後に、本発明はまた、アテローム性動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症の危険疾患およびアテローム性動脈硬化症の続発症の予防および治療のための手段を製造するためのCETPミモトープの使用に関する。この点において、本発明のCETPミモトープは、ペプチド構造 (創作的に選択されたライブラリーペプチドのような)、または(例えばアプタマーのような)他の構造(例えば核酸に基づく)を含む。それらが、ほぼ天然配列に対応する天然CETPに対する抗体への親和性(少なくとも50%の結合親和力)を有し、さらに“自己−構造”を含まないことが本質である。
【0056】
本発明を以下の実施例においてさらに詳細に説明するが、これらに制限されない。
【実施例】
【0057】
高密度リポタンパク(HDLs)中のコレステロールの血漿濃度と冠状動脈性心臓病(CHD)の進行との間には、強い逆相関がある(非特許文献1)。従って、CHDのリスクは、HDLs低下により高まる。CHDの33%の患者がHDLsの血漿値が低いが、現在、HDLsの血漿濃度を上げる効果的な治療はない。ダイエットおよび適度な運動も効果はなく(非特許文献2)、スタチンはHDLを最低5から7%上昇させるにすぎず(非特許文献3)、ナイアシンは副作用を有し、法令遵守の点から、その使用は制限を受ける(非特許文献4)。
【0058】
血漿HDL値を上昇させるため、CETP活性阻害による治療的アプローチが提案された(非特許文献5)。CETPは、リポタンパク間の天然脂肪およびリン脂質の転送を促進し、血漿HDL濃度を調節する血漿糖タンパクである(非特許文献6)。CETP活性の阻害により、様々な要因により血漿HDL濃度が上昇すると期待される。CETPは、HDLsからVLDLsおよびLDLsへコレステリルエステルを移すことでHDL濃度を下げる(非特許文献5)。ウサギおよびハムスターにおいて、モノクローナル抗体(非特許文献7、8)、小分子(非特許文献9)、またはアンチセンスオリゴヌクレオチド(非特許文献10)によるCETPの一過性阻害により、HDLは上昇する。アテローム性動脈硬化症のウサギモデルにおいて、アンチセンスヌクレオチドによる持続性CETP阻害により、血漿HDLは増加し、アテローム性動脈硬化病変は減少した(非特許文献11)。CETP-遺伝子組み換えマウス(非特許文献12)およびラット(非特許文献13)は血漿HDL減少を示す。CETP活性が低下したヒトでは、血漿HDLが上昇する(非特許文献14)。
【0059】
最近では、ワクチンによるアプローチが提案されている(非特許文献15)。ウサギを、天然脂肪転送機能に重要であるCETP部分を含むヒトCETP-由来ペプチドで免疫した。ワクチンを投与されたウサギは、CETP活性が低下し、リポタンパク分析結果は、LDL濃度が低下し、HDL濃度は上昇した。さらに、CETP-ワクチン摂取ウサギのアテローム性動脈硬化病変は、対照動物と比較して、小さくなった。
【0060】
上述した抗-CETPワクチンアプローチの問題は、該ワクチン処方は自己ペプチドを含み、それ故、自己抗原に対する自己寛容を打破する必要がある。本発明は、ワクチン接種に使用しうるCETPミモトープについて言及する: 該ミモトープはCETPに対する抗体の合成を誘導する。該CETPミモトープは、自己配列を有さず、それ故、寛容を打破する必要がない。よって、抗-CETP抗体反応の誘導が著しく促進される。該ミモトープはモノクローナル抗体(mAb)および(市販の)ペプチドライブラリー(例えば非特許文献16による)により特定される。抗-CETPモノクローナル抗体はCETP活性を中和するのに使用される。このmAbは、天然脂肪転送活性に必要なCETPのC-末端26アミノ酸内の配列を検出する(非特許文献18)。
【0061】
CETPは476アミノ酸の糖タンパクである。該タンパクの以下の部分が免疫原性であることが言及されている
アミノ酸131−142 (非特許文献19)
アミノ酸451−476 (非特許文献20、21)
アミノ酸184−260 (非特許文献22)
アミノ酸261−331 (非特許文献22)
アミノ酸332−366 (非特許文献22)
アミノ酸367−409 (非特許文献22)
アミノ酸410−450 (非特許文献22)
【0062】
上述のCETP内の該部分を検出する阻害および非-阻害抗体は、ミモトープを検出するのに使用し得る。
【0063】
配列
【0064】
ミモトープ同定に使用したモノクローナル抗体により、CETP-由来アミノ酸配列FGFPEHLLVDFLQSLS (= オリジナルエピトープ)を検出した。
【0065】
該ミモトープの望ましい長さは、5から15 アミノ酸である。ミモトープ配列を決定するため、ELISA法には二つの異なるライブラリーを使用する。
【0066】
ライブラリー 1: この7マーライブラリーは、以下の配列のペプチドを含む(アミノ酸位置 1から7):
位置1: Cを除く全天然aa(19が可能)
位置2: Cを除く全天然aa(19が可能)
位置3: Cを除く全天然aa(19が可能)
位置4: Cを除く全天然aa(19が可能)
位置5: Cを除く全天然aa(19が可能)
位置6: Cを除く全天然aa(19が可能)
位置7: Cを除く全天然aa(19が可能)
【0067】
7マーペプチドのALKNKLP、ALKSKIP、AVKGKLP、ALKHKIP、ALKHKVP、ALKNKIP、ALKGKIP、ALKYKLP、ALKDKLP、およびALKDKVPは、モノクローナル抗体により検出されるミモトープの例である。
【0068】
ライブラリー 2: この8マー ライブラリーは以下の配列のペプチドを含む(アミノ酸位置 1から8):
位置1: Cを除く全天然aa(19が可能)
位置2: Cを除く全天然aa(19が可能)
位置3: Cを除く全天然aa(19が可能)
位置4: Cを除く全天然aa(19が可能)
位置5: Cを除く全天然aa(19が可能)
位置6: Cを除く全天然aa(19が可能)
位置7: Cを除く全天然aa(19が可能)
位置8: Cを除く全天然aa(19が可能)
【0069】
8マーペプチドのAAQKDKVPは、モノクローナル抗体により検出されるミモトープの例である。
【0070】
ミモトープ同定に使用した別のモノクローナル抗体により、CETP-由来アミノ酸配列CDSGRVRTDAPD(= オリジナルエピトープ)を検出する。
【0071】
ワクチン接種に使用するミモトープは、免疫原性の構造、例えばキャリヤーと結合して投与されなければならない。
【非特許文献1】Gordon et al 1989: “High-density lipoprotein: the clinical implications of recent studies” N Engl J Med 321:1311
【非特許文献2】Stefanick et al 1998: “Effects of diets and exercise in men and postmenopausal women with low levels of HDL cholesterol and high levels of LDL cholesterol” N Engl J Med 339:12
【非特許文献3】Schonfeld et al 1998: “Role of 3-hydroxy-3-methylglutaryl coenzyme A reductase inhibitors (“statins”) in familial combined hyperlipidemia” Am J Cardiol 81:43B
【非特許文献4】King et al 1994: “Evaluation of effects of unmodified niacin on fasting and postprandial plasma lipids in normolipidemic men with hypoalphalipoproteinemia” Am J Med 97:323
【非特許文献5】Tall 1993: “Plasma cholesteryl ester transfer protein” J Lipid Res 34:1255
【非特許文献6】Barter et al 1994: “Cholesteryl ester transfer protein: its role in plasma lipid transport” Clin Exp Pharmacol Physiol 21:663
【非特許文献7】Whitlock et al 1989: “Monoclonal antibody inhibition of cholesteryl ester transfer protein activity in the rabbit: effects on lipoprotein composition and high density lipoprotein cholesteryl ester metabolism” J Clin Invest 84:129
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【非特許文献10】Sugano et al 1996: “Changes in plasma lipoprotein cholestrol levels by antisense oligodeoxynucleotides against cholesteryl ester transfer protein in cholesterol-fed rabbits” J Biol Chem 271:19080
【非特許文献11】Sugano et al 1998: “Effect of antisense oligonucleotides against cholesteryl ester transfer protein on the development of atherosclerosis in cholesterol-fed rabbits” J Biol Chem 273:5033
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【非特許文献14】Koizumi et al 1985: “Deficiency of serum cholesteryl-ester transfer protein activity in patients with familial hyperal-phalipoproteinaemia” Atherosclerosis 58:175
【非特許文献15】Rittershaus et al 2000: “Vaccine-induced antibodies inhibit CETP activity in vivo and reduce aortic lesions in a rabbit model of atherosclerosis” Arterioscler Thromb Vasc Biol 20:2106
【非特許文献16】Reineke et al. 2002: “Identification of distinct antibody epitopes and mimotopes from a peptide array of 5520 randomly generated sequences” J Immunol Methods 267:37
【非特許文献17】Swenson et al 1989: “Mechanism of cholesteryl ester transfer protein inhibition by a neutralizing monoclonal antibody and mapping of the monoclonal antibody epitope” J Biol Chem 264:14318
【非特許文献18】Wang et al 1992: “Identification of a sequence within the C-terminal 26 amino acids of cholesteryl ester transfer protein responsible for binding a neutralizing monoclonal antibody and necessary for neutral lipid transfer activity” J Biol Chem 267:17487
【非特許文献19】Thomas et al 1996: “Mouse monoclonal antipeptide antibodies specific for cholesteryl ester transfer protein (CETP) ” Hybridoma 15(5):359
【非特許文献20】Hesler et al 1988: “Monoclonal antibodies to the Mr 74,000 cholesteryl ester transfer protein neutralize all of the cholesteryl ester and triglyceride transfer activities in human plasma J Biol Chem 258:11751
【非特許文献21】Swenson et al 1989: “Mechanism of cholesteryl ester transfer protein inhibition by a neutralizing monoclonal antibody and mapping of the monoclonal antibody epitope” J Biol Chem 264:14318
【非特許文献22】Roy et al 1996: “Structure-function relationships of human cholesteryl ester transfer protein: analysis using monoclonal antibodies” J Lipid Res 37:22

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のアミノ酸配列:
X1X2X3X4X5X6X7X8
式中、
X1はC以外のアミノ酸であり、
X2はC以外のアミノ酸であり、
X3はC以外のアミノ酸であり、
X4はC以外のアミノ酸であり、
X5はC以外のアミノ酸であり、
X6は存在しないか、またはC以外のアミノ酸であり、
X7は存在しないか、またはC以外のアミノ酸であり、
X8は存在しないか、またはC以外のアミノ酸であり、
を含む化合物であって、ただし、該X1X2X3X4X5X6X7X8は、コレステロールエステル転送タンパク(CETP)の5-マー、6-マー、7-マーまたは8-マーポリペプチドフラグメント、またはCETP-エピトープでなく、またはこれらを含まない、天然CETP糖タンパクに特異的な抗体への結合能を有する化合物の、アテローム性動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症の危険疾患およびアテローム性動脈硬化症の続発症の予防および治療のための手段を提供するための使用。
【請求項2】
該化合物が、CETP-アミノ酸配列の131−142、451−476、184−260、261−331、332−366、367−409または410−450のアミノ酸、特にFGFPEHLLVDFLQSLSまたはCDSGRVRTDAPDで規定されるエピトープから選ばれるCETP-エピトープのCETP-ミモトープであることを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項3】
該化合物が、5から15アミノ酸残基を含むポリペプチドであることを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項4】
該化合物が医薬的に許容しうるキャリヤー、望ましくは、KLH、および任意に水酸化アルミニウムと結合していることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の使用。
【請求項5】
該化合物を0.1ngから10mg、望ましくは10ngから1mg、特に100ngから10μgを含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の使用。
【請求項6】
該化合物が以下のペプチドを含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の使用:
ALKNKLP、ALKSKIP、AVKGKLP、ALKHKIP、ALKHKVP、ALKNKIP、ALKGKIP、ALKYKLP、ALKDKLP、ALKDKVP、AAQKDKVP、LKLHHGTPFQFN、SLPPDHWSLPVQ、QQQLGRDTFLHLまたはTNHWPNIQDIGG。
【請求項7】
天然CETPまたはCETP-フラグメントに特異的な抗体に結合する化合物の、以下の工程:
- 以下のアミノ酸配列:
X1X2X3X4X5X6X7X8
式中、
X1はC以外のアミノ酸であり、
X2はC以外のアミノ酸であり、
X3はC以外のアミノ酸であり、
X4はC以外のアミノ酸であり、
X5はC以外のアミノ酸であり、
X6は存在しないか、またはC以外のアミノ酸であり、
X7は存在しないか、またはC以外のアミノ酸であり、
X8は存在しないか、またはC以外のアミノ酸であり、
を含むペプチドであって、該X1X2X3X4X5X6X7X8は、コレステロールエステル転送タンパク(CETP)の5-マー、6-マー、7-マーまたは8-マーポリペプチドフラグメントまたはCETP-エピトープでなく、またはこれらを含まない、ペプチド化合物ライブラリーを作成する工程、
- 前記ペプチドライブラリーを該抗体と接触させる工程、および、
- ペプチドライブラリーの中から、該抗体と結合する化合物を単離する工程、
を含む単離方法。
【請求項8】
前記ライブラリー中のこれらのペプチドが、個別化形態にある、特に固体表面に固定化されていることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
該抗体が、ライブラリーのペプチドに結合したときその検出または単離を可能とする適当なマーカーを含むことを特徴とする請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
アテローム性動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症の危険疾患およびアテローム性動脈硬化症の続発症の予防および治療のためのワクチンであって、
下記一般式:
X1X2X3X4X5X6X7X8
式中、
X1はいずれかのアミノ酸であるかまたは存在しない、望ましくはA、L、Iまたは存在せず、ただし、X1が存在しないときはX6が存在する、
X2は、D、G、A、N、L、V、QまたはI、特にL、V、QまたはIであり、
X3は、H、P、KまたはR、特にKまたはRであり、
X4は、いずれかのアミノ酸(C以外)、特にW、N、S、G、H、Y、DまたはEであり、
X5は、H、S、T、P、KまたはR、特にKまたはRであり、
X6は存在しないか、または、N、F、H、L、V若しくはI、特にL、V若しくはIであり、
X7は存在しないか、または、W、L、V、I、F、N、P若しくはG、特にP若しくはGであり、
X8は存在しないか、または、C以外のいずれかのアミノ酸であり、
特に、ALKNKLP、ALKSKIP、AVKGKLP、ALKHKIP、ALKHKVP、ALKNKIP、ALKGKIP、ALKYKLP、ALKDKLP、ALKDKVP、AAQKDKVP、LKLHHGTPFQFN、SLPPDHWSLPVQ、QQQLGRDTFLHLまたはTNHWPNIQDIGGの群から選ばれるペプチドである、
天然CETP糖タンパクに特異的な抗体に対する結合能を有する、少なくとも一つのペプチドを有する抗原を含むワクチン。
【請求項11】
アテローム性動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症の危険疾患およびアテローム性動脈硬化症の続発症の予防および治療のための手段を提供するCETP-ミモトープの使用。

【公表番号】特表2008−512427(P2008−512427A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530713(P2007−530713)
【出願日】平成17年9月8日(2005.9.8)
【国際出願番号】PCT/EP2005/054445
【国際公開番号】WO2006/029982
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(506083604)アフィリス・フォルシュングス−ウント・エントヴィックルングス・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (12)
【氏名又は名称原語表記】AFFIRIS Forschungs− und Entwicklungs GmbH
【Fターム(参考)】