説明

アデノウイルス血清14型に対するワクチン

本発明は、弱毒生血清14型アデノウイルス、および、該弱毒生血清14型アデノウイルスを用いて哺乳動物において血清14型アデノウイルスに対する免疫応答を誘導する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
本発明は、国立衛生研究所により授与された認可番号第R43 AI062176−01 A2号のもとでの政府支援と共に為された。連邦政府は、本発明について特定の権利を有する。
【0002】
電子的に提出された資料の参照による組み込み
コンピューターで読み取り可能なヌクレオチド/アミノ酸配列リストが、参照により、その全体として本明細書に組み込まれ、当該配列リストは、本明細書と同時に提出され、かつ、2008年12月11日に作成された「704107_ST25.TXT」という名前の一つの1137バイトのASCII(Text)ファイルとして識別されるものである。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
ヒトにおけるアデノウイルス血清14型(Ad14)による感染は、ほとんど報告されていない。近年、Ad14は、健康な若年成人を含むヒトにおいて、重度の、時には致命的な呼吸器疾患を引き起こし得る新たなアデノウイルス血清型となった(Centers for Disease Control and Prevention, Morb. Mortal. Wkly. Rep., 56(45): 1181-84 (2007)、およびMetzgar et al., J. Infectious Diseases, 196: 1465-73 (2007)を参照)。2006年5月、ニューヨークの生後12日の乳児が、Ad14感染によって引き起こされた呼吸器疾患により死亡した。
【0004】
2007年2月以来、アデノウイルス感染に関連する呼吸器疾患の症例の発生が、テキサス州のラックランド空軍基地(LAFB)における基礎軍事訓練生(basic military trainees)の間で報告された。LAFBから得られた423の呼吸器標本のうち、268(63%)がアデノウイルス検査で陽性であり、268のうち118(44%)について血清型が調べられ、血清型を調べられたうちの106(90%)がAd14であった。
【0005】
2007年5月、ワシントン州の養護施設の3人の居住者が、Ad14検査に陽性であった。これらの患者は、重度の肺炎のため、集中治療および人工呼吸器が必要であった。2007年4月始めに、17人の患者が、重度の肺炎のためにオレゴンの病院に収容されたことが報告された。これらの患者のうち15人のサンプルが、Ad14検査に陽性であった。オレゴン州公衆衛生局はその後、2006年11月から2007年4月までに31人の患者のサンプルがAd14に陽性であることを確認した。オレゴン州は、全部で7件のAd14に関連する死亡を報告した。Ad14の発生は他には、サウスカロライナ州において報告されている。
【0006】
上述したAd14陽性患者のうち53人(38%)が入院し、これには、集中治療室(ICU)に収容された24人(17%);死亡した9人(5%)の患者が含まれる。4つの州全てから単離されたAd14は、完全なヘキソンおよびファイバー遺伝子の配列データで同一であった。しかしながら、これらの分離株は、基準となるAd14株(すなわち、DeWitt株)(Van Der Veen et al, Am. J. Hyg., 65: 119-129 (1957))とは異なっており、これは、合衆国における新たなAd14バリアントの発生および拡大を示唆していた(Centers for Disease Control and Prevention, Morb. Mortal. Wkly. Rep., 56(45): 1181-84 (2007)を参照)。
【0007】
したがって、Ad14の発生株を効果的に標的するワクチンおよび免疫方法が必要である。本発明は、そのような方法を提供する。
【発明の概要】
【0008】
発明の要旨
本発明は、哺乳動物において血清14型アデノウイルスに対する免疫応答を誘導する方法を提供する。該方法は、哺乳動物に弱毒生血清14型アデノウイルスを投与することを含み、該投与で血清14型アデノウイルスに対する免疫応答が該哺乳動物において誘導される。
【0009】
本発明はまた、弱毒生血清14型アデノウイルス、および、そのような弱毒生血清14型アデノウイルスを含む組成物(例えば、ワクチン)を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の詳細な説明
本発明は、哺乳動物において血清14型アデノウイルスに対する免疫応答を誘導する方法を提供する。アデノウイルスは、36kbの二本鎖DNAを含む、中型(90〜100nm)で非エンベロープ型の二十面体ウイルスである。ヒトへの感染を引き起こし得る49種の免疫学的に異なるアデノウイルス型が存在する:サブグループA(例えば、血清12型、18型および31型)、サブグループB(例えば、血清3型、7型、11型、14型、16型、21型、34型、35型および50型)、サブグループC(例えば、血清2型および5型)サブグループD(例えば、血清8型、9型、10型、13型、15型、17型、19型、20型、22〜30型、32型、33型、36〜39型および42〜48型)、サブグループE(例えば、血清4型)、サブグループF(例えば、血清40型および41型)、および未分類のサブグループ(例えば、血清49型および51型)。野生型血清14型アデノウイルスは、GenBankアクセッション番号AY803294として寄託されている。血清14型アデノウイルスの新規循環株である1968Tについても記述されている。
【0011】
アデノウイルスは最も一般には呼吸器疾患を引き起こすが、様々な他の疾患(胃腸炎、結膜炎、膀胱炎、および発疹の疾患など)もまた引き起こし得る。アデノウイルス感染により引き起こされる呼吸器疾患の症状は、通常の風邪症候群から、肺炎、クループおよび気管支炎までわたる。免疫系不全の患者は、アデノウイルス感染の重度の合併症に特に罹患しやすい。急性呼吸器疾患(ARD)は、第2次世界大戦中に軍隊入隊者の間で最初に認識され、混雑状態および緊張状態の間のアデノウイルス感染によって引き起こされ得る。
【0012】
本発明は、哺乳動物に弱毒生血清14型アデノウイルスを投与することを含む。弱毒生血清14型アデノウイルスは高力価で産生でき、複製する細胞および複製しない細胞に効率的に送り込むことができる。弱毒生血清14型アデノウイルスは染色体外にとどまるため、ランダムな挿入突然変異および標的細胞の遺伝型の永続的変化の危険性が排除される。
【0013】
本明細書で用いる場合、用語「生(live)」は、細胞への進入能力を保持しており、かつ、例えば破壊(例えば、超音波処理)、変性(例えば、加熱または溶媒の使用)または架橋(例えば、ホルマリン架橋を介する)によって、物理的に不活性化されていないアデノウイルスを意味する。本明細書で用いる場合、用語「弱毒(弱毒化、attenuated)」は、病原性が低減されたアデノウイルスを意味する。弱毒化は、当該分野で公知の様々な方法を使用して達成できる。例えば、動物、卵、または組織培養物中のウイルスの連続継代は、様々な突然変異の獲得をもたらし得る。そのような突然変異は、例えば、哺乳動物(例えば、ヒト細胞)におけるウイルスの複製を妨げることによって、または、ウイルスの複製能力を排除はしないが低減させ、哺乳動物細胞において病気を誘導することなく複製し得るようにすることによって、病原性の低減をもたらし得る。
【0014】
本発明の弱毒生血清14型アデノウイルスは、該アデノウイルスゲノムの1以上の領域の補完を必要とし得、該領域は、例えば少なくとも1つの複製に必須な遺伝子機能の欠損(すなわち、弱毒生血清14型アデノウイルスが、典型的な宿主細胞、特には、本発明の方法の過程において弱毒生血清14型アデノウイルスによって感染された哺乳動物の宿主細胞において複製しないような欠損)の結果として、複製のために必要とされるものである。このようなアデノウイルスはまた、当該技術分野において「複製欠損型」アデノウイルスとも呼ばれる。本明細書で用いる場合、遺伝子、遺伝子機能、遺伝子、またはゲノム領域の欠損は、アデノウイルスゲノムの遺伝物質の突然変異または欠失であって、全体的または部分的に核酸配列が突然変異または欠失された遺伝子の機能を、消失または減弱させる(例えば、遺伝子産物の機能が、少なくとも約2倍、5倍、10倍、20倍、30倍または50倍低減されるなど)のに十分であるようなものとして定義される。遺伝子領域全体の欠失は、複製に必須な遺伝子機能の破壊のためには必要とされないことがしばしばである。しかしながら、アデノウイルスゲノム中の十分なスペースが1以上のトランスジーンのために必要である場合には、遺伝子領域の大部分の除去が所望され得る。遺伝物質の欠失が好ましいが、付加または置換による遺伝物質の突然変異もまた、遺伝子機能を破壊するために適切である。複製に必須な遺伝子機能とは、複製(例えば、増殖)のために必要とされる遺伝子機能であり、例えば、アデノウイルス初期領域(例えば、E1、E2およびE4領域)、後期領域(例えば、L1〜L5領域)、ウイルスのパッケージングに関与する遺伝子(例えば、IVa2遺伝子)、およびウイルス関連RNA(例えば、VA−RNA1および/またはVA−RNA−2)によってコードされている。
【0015】
弱毒生血清14型アデノウイルスは、増殖のために、高々、該アデノウイルスゲノムのE1、E2AおよびE4領域の補完を必要とするものであることが望ましい。したがって、増殖のために、弱毒生血清14型アデノウイルスは、高々、(a)E1領域、(b)E2A領域、(c)E4領域、(d)E1およびE2A領域、(e)E1およびE4領域、(f)E2AおよびE4領域、または(g)E1、E2AおよびE4領域の補完を必要とし得る。好ましくは、弱毒生血清14型アデノウイルスは、増殖のために、高々、該アデノウイルスゲノムのE1および/またはE4領域の補完を必要とする。
【0016】
弱毒生血清14型アデノウイルスは、E1、E2Aおよび/またはE4領域以外のアデノウイルスゲノムの部分において欠失および/または突然変異を含み得る。例えば、弱毒生血清14型アデノウイルスはまた、国際特許出願公開WO 00/00628において議論されているように主要後期プロモーター(MLP)において、複製に必須な遺伝子機能を含まないE3領域(例えば、E3領域のXbaI欠失)において、および/または、複製に必須な遺伝子機能を含むが、増殖のためにE1、E2Aおよび/またはE4以外の領域の補完を必要としないような領域において、欠失および/または突然変異を有し得る。
【0017】
E1領域に関して、弱毒生血清14型アデノウイルスは、E1A領域の全体もしくは部分および/またはE1B領域の全体もしくは部分を欠失してもよく、例えば、E1AおよびE1B領域の各々について、複製に必須な遺伝子機能を少なくとも1つ欠失し、複製のために、該アデノウイルスゲノムのE1A領域およびE1B領域の補完を必要とし得る。弱毒生血清14型アデノウイルスがE1欠損である場合、アデノウイルスゲノムは、(アデノウイルス血清14型ゲノム(GenBankアクセッション番号AY803294)に基づいて、)ヌクレオチド465から500(例えば、ヌクレオチド488)の間の任意のヌクレオチドにて開始し、ヌクレオチド2,900から2,950(例、ヌクレオチド2,925)の間の任意のヌクレオチドにて終了する欠失を含み得る。欠失ヌクレオチド部分を規定する終点は、正確に決定することが困難であり得、典型的には、弱毒生血清14型アデノウイルスの性質には有意に影響を与えないであろう(すなわち、上述のヌクレオチド番号の各々は、+/−1、2、3、4、5、または10もしくは20ヌクレオチドにさえもなり得る)。
【0018】
E2A領域に関して、弱毒生血清14型アデノウイルスは、E2A領域の完全な欠失を含まないことが好ましく、欠失は、約230塩基対未満の長さであることが好ましい。一般に、アデノウイルスのE2A領域は、DBP(DNA結合タンパク質)をコードしており、これはDNA複製に必要なポリペプチドである。DBPは、ウイルスの血清型に応じて、473から529アミノ酸から構成されている。DBPは、広がったNtドメインを有する球形のCtからなる長楕円として存在する、非対称タンパク質であると考えられている。Ctドメインは、核酸に結合し、亜鉛に結合し、かつDNA鎖伸長のレベルでDNA合成に機能するというDBPの能力に関与していることが、研究により示唆されている。しかしながら、Ntドメインは、転写および転写後の両方のレベルで後期遺伝子発現において機能すると考えられており、該タンパク質の効率的な核局在に関与し、そしてまた、それ自体の発現の増強にも関係し得る。Ntドメイン中のアミノ酸2から38の間の欠失は、この領域がDBPの機能に重要であることを示唆した(Brough et al, Virology, 196: 269-281 (1993))。DBPのCt領域をコードするE2A領域の欠失は、ウイルスの複製に影響しないが、DBPのNtドメインのアミノ酸2から38をコードするE2A領域の欠失は、ウイルスの複製を阻害する。弱毒生血清14型アデノウイルスは、アデノウイルスゲノムのE2A領域のこの部分を含むことが好ましい。特に、例えば、E2A領域の保持すべき所望の部分は、E2A領域の5’末端によって規定されるアデノウイルスゲノムのE2A領域の部分である。アデノウイルスゲノムのこの部分が弱毒生血清14型アデノウイルスに含まれることが望ましく、それは、この部分は、所望のウイルス増殖レベルを提供するようには現存のE2A補完細胞株において補完されないためである。
【0019】
E4領域に関して、弱毒生血清14型アデノウイルスは、E4領域の全体または一部を欠失し得る。望ましくは、弱毒生血清14型アデノウイルスは、E4領域のオープンリーディングフレーム(ORF)6の欠失または突然変異を含み、これは、弱毒生血清14型アデノウイルスの増殖のために必要な唯一のE4領域の部分であると考えられている。
【0020】
本発明の一つの実施形態では、弱毒生血清14型アデノウイルスは、E1およびE4領域の各々について全体または部分を欠失しているアデノウイルスゲノムを含み(すなわち、弱毒生血清14型アデノウイルスは、E1/E4欠損型アデノウイルスである)、好ましくは、E4領域のコード領域全体がアデノウイルスゲノムから欠失されている。換言すれば、E4領域の全てのオープンリーディングフレーム(ORF)が除去されている。別の実施形態では、弱毒生血清14型アデノウイルスは、E1領域全体の欠失によって、および、E4領域の一部の欠失によって、複製欠損型になっている。弱毒生血清14型アデノウイルスのE4領域は、ネイティブなE4プロモーター、ポリアデニル化配列、および/または右側の逆方向末端反復(ITR)を保持し得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、例えば、E1領域の1以上の遺伝子機能およびE4領域の1以上の遺伝子機能について補完を必要とする弱毒生血清14型アデノウイルスは、E1領域のみの1以上の遺伝子機能について補完が必要な弱毒生血清14型アデノウイルスによって達成されるのと同様のウイルス増殖を補完細胞株において提供するために、スペーサー配列を含み得る。該スペーサー配列は、所望の長さの任意のヌクレオチド配列(単数または複数)を含み得、少なくとも約15塩基対(例えば、約15塩基対から約12,000塩基対)、好ましくは約100塩基対から約10,000塩基対、より好ましくは約500塩基対から約8,000塩基対、さらにより好ましくは約1,500塩基対から約6,000塩基対、最も好ましくは約2,000から約3,000塩基対の長さの配列などである。スペーサーエレメント配列は、コーディングまたはノンコーディング、アデノウイルスに対してネイティブまたは非ネイティブ、血清グループBのアデノウイルスに対してネイティブまたは非ネイティブ、および、該アデノウイルスゲノム(すなわち、血清14型アデノウイルス)に関してネイティブまたは非ネイティブであり得るが、欠損領域について複製に必須の機能を回復させない。スペーサーエレメントは、弱毒生血清14型アデノウイルスのいずれの領域に位置してもよいが、好ましくは、スペーサーは、アデノウイルスゲノムのE1領域またはE4領域に位置する。アデノウイルスベクターにおけるスペーサーの使用は、米国特許第5,851,806号に記載されている。
【0022】
弱毒生血清14型アデノウイルスは、複製(すなわち、増殖)のために、高々、該アデノウイルスゲノムのE1、E2Aおよび/またはE4領域の複製に必須な遺伝子機能の補完を必要とすることが好ましいが、弱毒生血清14型アデノウイルスは、増殖のために他の補完が必要とされるような他の欠損を有することが可能である。特に、弱毒生血清14型アデノウイルスが複製欠損型を維持し、かつ、例えば、補完細胞、および/または、破壊された複製に必須な遺伝子機能をコードする外因性DNA(例えば、ヘルパーアデノウイルス)を使用して増殖され得る限り、アデノウイルスゲノムは、実施者によって所望される1以上の複製に必須な遺伝子機能を破壊するために改変され得る。これに関して、弱毒生血清14型アデノウイルスは、アデノウイルスゲノムの初期領域のみについて、アデノウイルスゲノムの後期領域のみについて、アデノウイルスゲノムの初期および後期領域の両方について、または、アデノウイルスの全ての遺伝子について(すなわち、高キャパシティーアデノベクター(HC−Ad)、Morsy et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA, 95: 7876-7871 (1998), Chen et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA, 94: 1645-1650 (1997)、および Kochanek et al., Hum. Gene Ther., 10: 2451-2459 (1999)を参照)、複製に必須な遺伝子機能が欠損され得る。複製欠損型アデノウイルスの一般的な作製については、米国特許第5,837,511号、第5,851,806号、第6,127,175号、第6,482,616号および第7,195,896号;米国特許出願公開2001/0043922 A1、2002/0004040 A1、2002/0110545 A1および2004/0161848 A1;ならびに、国際特許出願公開WO 94/28152、WO 95/02697、WO 95/16772、WO 95/34671、WO 96/22378、WO 97/12986、WO 97/21826およびWO 03/022311において開示されている。
【0023】
弱毒生血清14型アデノウイルスは、典型的には、弱毒生血清14型アデノウイルスには存在しないがウイルス増殖のために必要とされる遺伝子機能を提供する補完細胞株中で、高力価の弱毒生血清14型アデノウイルスストックを作製するために適切なレベルにて、産生されるであろう。補完細胞株は、アデノウイルスの増殖のために必要とされる遺伝子機能をコードするアデノウイルス核酸配列を、細胞ゲノム中に組み込んで含むことが望ましい。好ましい細胞株は、弱毒生アデノウイルスに存在しない、少なくとも1つ、好ましくは全ての、複製に必須な遺伝子機能を補完する。補完細胞株は、(例えば、アデノウイルスアンプリコンの増殖を可能にするための)全てのアデノウイルス機能を含む、初期領域、後期領域、ウイルスパッケージング領域、ウイルスに関連するRNA領域、またはこれらの組み合わせによってコードされる少なくとも1つの複製に必須な遺伝子機能における欠損を補完できる。最も好ましくは、補完細胞株は、アデノウイルスゲノムのE1領域の少なくとも1つの複製に必須な遺伝子機能(例えば、2以上の複製に必須な遺伝子機能)における欠損を、特には、E1AおよびE1B領域の各々について複製に必須な遺伝子機能における欠損を、補完する。加えて、補完細胞株は、アデノウイルスゲノムのE2(特に、アデノウイルスDNAポリメラーゼおよび末端タンパク質に関して)および/またはE4領域の少なくとも1つの複製に必須な遺伝子機能における欠損を補完できる。望ましくは、E4領域における欠損を補完する細胞は、E4−ORF6遺伝子配列を含み、E4−ORF6タンパク質を産生する。このような細胞は、少なくともORF6を含み、かつアデノウイルスゲノムのE4領域の他のORFは含まないことが望ましい。該細胞株は、弱毒生血清14型アデノウイルスとオーバーラップしない様式で補完遺伝子を含み、それにより、アデノウイルスゲノムが細胞のDNAと組換えを起こす可能性を最小化し、そして実質的には排除するというさらなる特徴を有することが好ましい。したがって、弱毒生血清14型アデノウイルスストックにおいて、複製可能なアデノウイルス(RCA)の存在が、回避まではされなくとも最小にされ、それゆえ、特定の治療目的、特にワクチン接種の目的のために好適となる。弱毒生血清14型アデノウイルスストックにおいてRCAがないことで、非補完細胞における血清14型アデノウイルスの複製が回避される。このような補完細胞株の構築は、Sambrook et al., Molecular Cloning, a Laboratory Manual, 3rd edition, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N. Y. (2001)およびAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates and John Wiley & Sons, New York, N.Y. (1994)に記載されたものなど、標準的な分子生物学技術および細胞培養技術を伴う。
【0024】
弱毒生血清14型アデノウイルスを産生するための補完細胞株としては、293細胞(例えば、Graham et al., J. Gen. Virol, 36, 59-72 (1977)に記載されている)、PER.C6細胞(例えば、国際特許出願公開WO 97/00326、ならびに米国特許第5,994,128号および第6,033,908号)、ならびに293−ORF6細胞(例えば、国際特許出願公開WO 95/34671、米国特許第7,195,896号およびBrough et al., J. Virol., 71: 9206-9213 (1997))が挙げられるが、これらに限定されない。さらなる補完細胞は、例えば、米国特許第6,677,156号および第6,682,929号ならびに国際特許出願公開WO 03/20879に記載されている。場合によっては、細胞ゲノムは、その遺伝子産物が弱毒生血清14型アデノウイルスの全ての欠損を補完するような核酸配列を含む必要はない。弱毒生血清14型アデノウイルスにおいて欠失している1以上の複製に必須な遺伝子機能は、ヘルパーウイルスによって供給され得、該ヘルパーウイルスとしては、例えば、所望の弱毒生血清14型アデノウイルスの複製のために必要とされる1以上の必須遺伝子機能をトランスに供給する弱毒生血清14型アデノウイルスである。ヘルパーウイルスはしばしば、感染性のヘルパーウイルスのパッケージングを妨げるように操作される。例えば、アデノウイルスゲノムのE1領域の1以上の複製に必須な遺伝子機能は補完細胞によって提供され、一方、アデノウイルスゲノムのE4領域の1以上の複製に必須な遺伝子機能はヘルパーウイルスによって提供される。
【0025】
複製に必須な遺伝子機能をコードするアデノウイルス配列の改変(例えば、欠失、突然変異または置換)に加えて、アデノウイルスゲノムは、改変がさもなければ複製に必須な遺伝子機能を含むアデノウイルスゲノムの領域においてであるとしても良性または非致死性である改変(すなわち、アデノウイルスを複製欠損型にしないような改変、あるいは、望ましくは、ウイルス機能および/またはウイルスタンパク質の産生に悪影響を与えないような改変)を含み得る。そのような改変は、通常、DNA操作により生じ、あるいは、弱毒生血清14型アデノウイルスの構築を促進するように機能する。例えば、アデノウイルスゲノムにおける制限酵素部位の除去または導入は有利であり得る。そのような良性の突然変異は、しばしば、ウイルス機能に対する検出可能な悪影響を何ら有さない。
【0026】
同様に、弱毒生血清14型アデノウイルスのコートタンパク質は、潜在的な宿主細胞上の受容体に対してアデノウイルスの結合特異性または認識を変更させるように、操作され得る。アデノウイルスについて、そのような操作としては、アデノウイルスコートタンパク質(例えば、ファイバー、ペントンまたはヘキソン)領域の欠失、コートタンパク質の部分への様々なネイティブまたは非ネイティブのリガンドの挿入などを挙げることができる。コートタンパク質を操作することで、弱毒生血清14型アデノウイルスによって感染される細胞の範囲を広げること、または、特定の細胞型への弱毒生血清14型アデノウイルスの標的化を可能とすることができる。
【0027】
宿主細胞への生来的な結合(細胞受容体へのファイバータンパク質の生来的な結合など)を変更させるための任意の好適な技術を用いることができる。例えば、細胞への生来的な結合を除去するために、異なるファイバー長を利用することができる。これは、任意には、ペントンベースまたはファイバーノブへの結合配列の付加を介して達成することができる。この結合配列の付加は、二重特異的または多重特異的な結合配列を介して、直接的または間接的のいずれかで為され得る。代替的な実施形態では、アデノウイルスファイバータンパク質を改変してファイバーシャフト内のアミノ酸の個数を減少させ、それによって「短シャフト型」ファイバー(例えば、米国特許第5,962,311号に記載されている)を作製してもよい。短シャフト型アデノウイルスファイバー遺伝子を含むアデノウイルスを使用することで、細胞表面受容体へのアデノウイルスファイバーの結合のレベルまたは効率が低減され、細胞表面受容体へのアデノウイルスペントンベースの結合が上昇するため、所与の細胞へのアデノウイルスの結合特異性が上昇する。あるいは、短シャフト型ファイバーを含む弱毒生血清14型アデノウイルスを使用することで、ペントンベースまたはファイバーノブのいずれかへの非ネイティブなアミノ酸配列の導入による、所望の細胞表面受容体へのアデノウイルスの標的化が可能となる。
【0028】
さらに別の実施形態では、生来的な基質の結合に関連するアミノ酸残基をコードする核酸残基を変更、追加または欠失して(例えば、国際特許出願公開WO 00/15823、Einfeld et al., J Virol., 75(23): 11284-11291 (2001)、およびvan Beusechem et al., J. Virol., 76(6): 2753-2762 (2002)を参照)、当該突然変異された核酸残基を組み込んだ(またはそれによってコードされるファイバータンパク質を有する)弱毒生血清14型アデノウイルスがその生来的な基質に結合する能力が少なくなるようにすることができる。これに関して、Ad14に対する生来的な細胞受容体は、まだ明確には決定されていない。最近の研究では、Ad14に対する生来的な細胞受容体はCD46細胞表面タンパク質であることが示唆されている(例えば、Sakurai et al., Current Gene Therapy, 7(4): 229-238 (2007)、およびMarttila et al., J. Virol., 79: 14429-14436 (2005)を参照)。さらには、Ad14は、CD46に加えて、未だ同定されていない別の受容体に結合し得るという証拠がある(Tuve et al., J. Virol., 80: 12109-12120 (2006)を参照)。いずれにおいても、弱毒生血清14型アデノウイルスの生来的な細胞結合部位(アデノウイルスファイバータンパク質のノブドメイン、およびアデノウイルスペントンベースに位置するArg−Gly−Asp(RGD)配列など)はそれぞれ、除去または破壊され得る。
【0029】
ノブと生来的な細胞受容体との間の相互作用を仲介または補助するファイバータンパク質の任意の好適なアミノ酸残基(単数または複数)は、ファイバータンパク質が三量体化できる限りにおいて、突然変異または除去され得る。同様に、ファイバータンパク質が三量体化する能力を保持する限りにおいて、ファイバーノブに対してアミノ酸が付加され得る。好適な残基としては、ファイバーノブドメインの露出されたループ(例えば、ABループ、DEループ、FGループおよびHIループなど)内のアミノ酸が挙げられる。
【0030】
ペントンベースとインテグリンとの間の相互作用を仲介または補助するペントンベースタンパク質の任意の好適なアミノ酸残基(単数または複数)は、突然変異または除去され得る。好適な残基としては、例えば、Ad14ペントンベースタンパク質の超可変領域内に位置するRGDアミノ酸配列モチーフが挙げられる。ペントンベースタンパク質における生来的なインテグリン結合部位もまた、アデノウイルスペントンベースタンパク質をコードする核酸配列内またはそれに隣接するようにDNA配列を挿入することなどによって、ネイティブなRGDモチーフをコードする核酸配列を改変することにより破壊して、当該ネイティブなRGDアミノ酸配列がインテグリン受容体への結合のためにコンフォメーション的にアクセスできないようにすることができる。
【0031】
弱毒生血清14型アデノウイルスは、それら各々の生来的な細胞結合部位に結合しないようなファイバータンパク質およびペントンベースタンパク質を含み得る。代替的には、弱毒生血清14型アデノウイルスは、それら各々の生来的な細胞結合部位に結合するが、対応する野生型コートタンパク質よりも親和性が低いような、ファイバータンパク質およびペントンベースタンパク質を含む。改変されたアデノウイルスファイバータンパク質およびペントンベースタンパク質が、同じ血清型の未改変のアデノウイルスファイバータンパク質およびペントンベースタンパク質よりも、少なくとも約5倍、10倍、20倍、30倍、50倍または100倍低い親和性で、それら各々の生来的な細胞結合部位に結合する場合には、弱毒生血清14型アデノウイルスは、生来的な細胞結合部位への結合の減少を示す。
【0032】
弱毒生血清14型アデノウイルスはまた、生来的な細胞受容体以外の細胞受容体などの基質(すなわち、リガンド)に結合する非ネイティブなアミノ酸配列を含むキメラコートタンパク質を含み得る。キメラなアデノウイルスコートタンパク質の非ネイティブなアミノ酸配列により、キメラコートタンパク質を含む弱毒生血清14型アデノウイルスが、当該非ネイティブなアミノ酸配列を有さない対応するアデノウイルスによっては天然には感染されない宿主細胞(すなわち、対応する野生型アデノウイルスによっては感染されない宿主細胞)に結合し、かつ望ましくは感染すること、当該非ネイティブなアミノ酸配列を有さない対応するアデノウイルスよりも高い親和性で、対応する野生型アデノウイルスによって天然に感染される宿主細胞に結合すること、または、標的化されていない細胞よりも高い親和性で特定の標的細胞に結合することが可能となる。「非ネイティブな」アミノ酸配列には、アデノウイルスコートタンパク質には天然には存在しないアミノ酸配列、または、アデノウイルスコートに見出されるが、キャプシド内の非生来的な場所に位置しているアミノ酸配列が包含され得る。「優先的に結合する」とは、非ネイティブなアミノ酸配列が、例えばαvβ3インテグリンなどの受容体に対して、非ネイティブなリガンドが例えばαvβ1インテグリンなどの異なる受容体に対して結合するよりも、少なくとも約3倍よりも高い親和性(例えば、少なくとも約5倍、10倍、15倍、20倍、25倍、35倍、45倍または50倍よりも高い親和性)で結合することを意味する。
【0033】
弱毒生血清14型アデノウイルスは、野生型アデノウイルスコートタンパク質よりも効率的に免疫細胞に結合する能力をキメラコートタンパク質に付与するような非ネイティブなアミノ酸配列を含むキメラコートタンパク質を含み得る。特に、弱毒生血清14型アデノウイルスは、免疫細胞、好ましくは抗原提示細胞(樹状細胞、単球およびマクロファージなど)による弱毒生血清14型アデノウイルスの取り込みを促進させる非ネイティブなアミノ酸配列を含むキメラなアデノウイルスファイバータンパク質を含み得る。好ましい実施形態では、弱毒生血清14型アデノウイルスは、樹状細胞への弱毒生血清14型アデノウイルスの導入効率を増加させるRGDモチーフ(CRGDC(配列番号:1)、CXCRGDCXC(配列番号:2)(ここで、Xは任意のアミノ酸を表す)、およびCDCRGDCFC(配列番号:3)が挙げられるが、これらに限定されない)を含むアミノ酸配列(例えば、非ネイティブなアミノ酸配列)を含むキメラファイバータンパク質を含む。RGDモチーフまたは任意の非ネイティブなアミノ酸配列は、アデノウイルスのファイバーノブ領域、理想的にはアデノウイルスのノブの露出されたループ(HIループなど)に挿入されることが好ましい。非ネイティブなアミノ酸配列はまた、アデノウイルスファイバータンパク質のC末端に、任意にはスペーサー配列を介して、付加され得る。スペーサー配列は、100から200のアミノ酸を含むことが好ましく、意図された機能を有し得る(しかし、それが必要なわけではない)。
【0034】
非ネイティブなアミノ酸配列は、任意には、接着タンパク質、ケモカイン受容体、補体受容体、共刺激タンパク質、サイトカイン受容体、高レベルの抗原提示分子、ホーミングタンパク質、マーカータンパク質、抗原取り込みのための受容体、シグナル伝達タンパク質、ウイルス受容体などの、樹状細胞の表面に典型的に見出されるタンパク質を認識し得る。樹状細胞におけるそのような潜在的なリガンド結合部位の例としては、αvβ3インテグリン、αvβ5インテグリン、2A1、7回膜貫通型(7TM)受容体、CD1、CD11a、CD11b、CD11c、CD21、CD24、CD32、CD4、CD40、CD44バリアント、CD46、CD49d、CD50、CD54、CD58、CD64、ASGPR、CD80、CD83、CD86、Eカドヘリン、インテグリン、M342、MHC−I、MHC−II、MIDC−8、MMR、OX62、p200−MR6、p55、S100、TNF−Rなどが挙げられる。樹状細胞が標的化される場合、非ネイティブなアミノ酸配列は、例えば、CD−40(二重)特異的な抗体断片またはCD40Lポリペプチド由来のドメインなどによって、CD40細胞表面タンパク質を認識することが好ましい。
【0035】
非ネイティブなアミノ酸配列は、任意には、ホスファチジルセリン受容体、ビトロネクチン受容体、インテグリン、接着受容体、シグナル伝達および/または炎症に関与する受容体、マーカー、サイトカイン誘導のための受容体、病原体の攻撃によって上方制御される受容体、B型スカベンジャー受容体システインリッチ(SRCR)スーパーファミリーのメンバー、シアル酸結合受容体、Fc受容体ファミリーのメンバー、B7−1およびB7−2表面分子、リンパ球受容体、白血球受容体、抗原提示分子などのマクロファージ細胞の表面に典型的に見出されるタンパク質を認識し得る。好適なマクロファージ表面の標的タンパク質の例としては、以下に限定されないが、ヘパリン硫酸プロテオグリカン、αvβ3インテグリン、αvβ5インテグリン、B7−1、B7−2、CD11c、CD13、CD16、CD163、CD1a、CD22、CD23、CD29、Cd32、CD33、CD36、CD44、CD45、CD49e、CD52、CD53、CD54、CD71、CD87、CD9、CD98、Ig受容体、Fc受容体タンパク質(例えば、Fcα、Fcγ、Fcεのサブタイプなど)、葉酸受容体b、HLAクラスI、シアロアドヘシン、シグレック5およびトル様受容体2(TLR2)が挙げられる。
【0036】
非ネイティブなアミノ酸配列は、インテグリンおよび他の接着分子、補体受容体、インターロイキン受容体、食細胞受容体、免疫グロブリン受容体、活性化マーカー、トランスフェリン受容体、スカベンジャー受容体システインリッチ(SRCR)スーパーファミリーのメンバー、成長因子受容体、セレクチン、MHC分子、TNF受容体およびTNF−R関連因子などのB細胞の表面に典型的に見出されるタンパク質を認識し得る。典型的なB細胞表面タンパク質の例としては、βグリカン、B細胞抗原受容体(BAC)、B7−2、B細胞受容体(BCR)、C3d受容体、CD1、CD18、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD35、CD40、CD5、CD6、CD69、CD69、CD71、CD79a/CD79b二量体、CD95、エンドグリン、Fas抗原、ヒトIg受容体、Fc受容体タンパク質(例えば、Fca、Fcg、Fcεのサブタイプなど)、IgM、gp200−MR6、成長ホルモン受容体(GH−R)、ICAM−1、ILT2、CD85、MHCクラスIおよびII分子、トランスフォーミング成長因子受容体(TGF−R)、α4β7インテグリンおよびαvβ3インテグリンが挙げられる。
【0037】
別の実施形態では、弱毒生血清14型アデノウイルスは、特定の真核細胞型に対して選択的でないキメラのウイルスコートタンパク質を含み得る。キメラコートタンパク質は、内部コートタンパク質配列内へのもしくはその代替としての非ネイティブなアミノ酸配列の挿入、または、コートタンパク質のN末端もしくはC末端への非ネイティブなアミノ酸配列の付加によって、野生型コートタンパク質とは異なる。例えば、約5から約9個のリジン残基(好ましくは7個のリジン残基)を含むリガンドが、アデノウイルスファイバータンパク質のC末端に、非機能的なスペーサー配列を介して連結される。この実施形態では、キメラのウイルスコートタンパク質は、米国特許第6,465,253号および国際特許出願公開WO 97/20051に記載されているものなど、野生型ウイルスコートよりも広範な真核細胞に効率的に結合する。
【0038】
弱毒生血清14型アデノウイルスが潜在的な宿主細胞を認識する能力は、コートタンパク質の遺伝子操作をせずに、すなわち二重特異的な分子の使用を通じて、改変され得る。例えば、アデノウイルスを、ペントンベース結合ドメインおよび特定の細胞表面結合部位に選択的に結合するドメインを含む二重特異的な分子と複合体化させることにより、特定の細胞型への弱毒生血清14型アデノウイルスの標的化が可能となる。同様に、非遺伝的な手段を通じて、アデノウイルス粒子の表面に抗原をコンジュゲート化することができる。
【0039】
非ネイティブなアミノ酸配列を任意のアデノウイルスコートタンパク質のいずれかにコンジュゲート化して、キメラのアデノウイルスコートタンパク質を形成することができる。それゆえ、例えば、非ネイティブなアミノ酸配列は、ファイバータンパク質、ペントンベースタンパク質、ヘキソンタンパク質、タンパク質IX、VIまたはIIIaなどに、コンジュゲート化、挿入または連結され得る。このようなタンパク質を用いるための方法は、当該分野において周知である(例えば、米国特許第5,543,328号;第5,559,099号;第5,712,136号;第5,731,190号;第5,756,086号;第5,770,442号;第5,846,782号;第5,962,311号;第5,965,541号;第5,846,782号;第6,057,155号;第6,127,525号;第6,153,435号;第6,329,190号;第6,455,314号;第6,465,253号;第6,576,456号;第6,649,407号;第6,740,525号、第6,951,755号、および国際特許出願公開WO 96/07734、WO 96/26281、WO 97/20051、WO 98/07877、WO 98/07865、WO 98/40509、WO 98/54346、WO 00/15823、WO 01/58940およびWO 01/92549を参照)。キメラのアデノウイルスコートタンパク質は、当該分野で公知の標準的なDNA組換え技術を使用して作製することができる。好ましくは、キメラのアデノウイルスコートタンパク質をコードする核酸配列は、アデノウイルスゲノム内に位置し、野生型アデノウイルスにおいてコートタンパク質の発現を調節するプロモーターに作動可能に連結される。代替的には、キメラのアデノウイルスコートタンパク質をコードする核酸配列は、アデノウイルスゲノム内に位置し、キメラコートタンパク質の効率的な発現のために必要とされる遺伝的エレメントを含む発現カセットの一部となる。
【0040】
キメラのアデノウイルスコートタンパク質のコートタンパク質部分は、非ネイティブなアミノ酸配列が付加される全長のアデノウイルスコートタンパク質であり得るか、あるいは、例えば内部またはC末端および/もしくはN末端において切断されたものであり得る。どのように改変(非ネイティブなアミノ酸の存在を含む)されるにせよ、キメラコートタンパク質は、アデノウイルスのキャプシドに組み込めることが好ましい。非ネイティブなアミノ酸配列がファイバータンパク質に連結される場合、ウイルスタンパク質間またはファイバー単量体間の相互作用を妨げないことが好ましい。したがって、非ネイティブなアミノ酸配列は、それ自体オリゴマー化ドメインでないことが好ましく、それは、そのようなものはアデノウイルスファイバーの三量体化ドメインと好ましくない相互作用をし得るためである。好ましくは、非ネイティブなアミノ酸配列はビリオンタンパク質に付加され、かつ、基質、細胞表面受容体または免疫細胞に容易に露出され(例えば、アデノウイルスタンパク質のNまたはC末端において、基質に面する残基に連結する、ペプチドスペーサー上に位置させる、など)、非ネイティブなアミノ酸配列を最大に露出させるような様式で組み込まれる。理想的には、非ネイティブなアミノ酸配列は、ファイバータンパク質のC末端においてアデノウイルスファイバータンパク質に組み込まれる(かつ、スペーサーを介して連結される)か、あるいは、ファイバーの露出されたループ(例えば、HIループ)に組み込まれて、キメラコートタンパク質を生成する。非ネイティブなアミノ酸配列がペントンベースの一部に連結されるかまたはそれを置換する場合、基質、細胞表面受容体または免疫細胞との接触を確実にするために、超可変領域内であることが好ましい。非ネイティブなアミノ酸配列がヘキソンに連結される場合、超可変領域内であることが好ましい(Crawford-Miksza et al., J. Virol., 70(3): 1836-44 (1996))。非ネイティブなアミノ酸がpIXの一部に連結されるかまたはそれを置換する場合、pIXのC末端内であることが好ましい。スペーサー配列を使用して、アデノウイルス粒子の表面から遠ざかるように非ネイティブなアミノ酸配列を伸ばすことは、非ネイティブなアミノ酸配列が受容体への結合のためにより利用可能となる点、および、非ネイティブなアミノ酸配列とアデノウイルスファイバー単量体との間のいかなる立体相互作用も低減され得る点で有利であり得る。
【0041】
非ネイティブなアミノ酸配列の細胞受容体への結合親和性は、任意の好適なアッセイによって決定でき、様々なアッセイが公知であって、アデノウイルスコートタンパク質中に組み込むための非ネイティブなアミノ酸配列の選択に有用である。望ましくは、宿主細胞の形質導入レベルが、相対的な結合効率の決定に利用される。すなわち、例えば、細胞表面上にαvβ3インテグリンを提示している宿主細胞(例えば、MDAMB435細胞)が、キメラコートタンパク質を有する弱毒生血清14型アデノウイルスおよび非ネイティブなアミノ酸配列を有さない対応するアデノウイルスに曝露され得、次いで、相対的な結合親和性を決定するために、形質導入効率が比較され得る。同様に、細胞表面上にαvβ3インテグリンを提示している宿主細胞(例えば、MDAMB435細胞)および細胞表面上に主にαvβ1を提示している宿主細胞(例えば、293細胞)の両方が、キメラコートタンパク質を有する弱毒生血清14型アデノウイルスに曝露され得、次いで、結合親和性を決定するために、形質導入効率が比較され得る。
【0042】
(例えば、特定の改変細胞型内での精製または増殖を促進するための)他の実施形態では、非ネイティブなアミノ酸(例えば、リガンド)は、細胞表面タンパク質以外の化合物に結合し得る。すなわち、リガンドは、血液および/またはリンパ液媒介性タンパク質(例えば、アルブミン)、ポリアミノ酸などの合成ペプチド配列(例えば、ポリリジン、ポリヒスチジンなど)、人工的なペプチド配列(例えば、FLAG)、およびRGDペプチド断片(Pasqualini et al, J. Cell. Biol., 130: 1189 (1995))に結合し得る。リガンドは、プラスチック(例えば、Adey et al., Gene, 156: 27 (1995))、ビオチン(Saggio et al., Biochem. J., 293: 613 (1993))、DNA配列(Cheng et al., Gene, 171: 1 (1996)およびKrook et al., Biochem. Biophys., Res. Commun., 204: 849 (1994))、ストレプトアビジン(Geibel et al., Biochemistry, 34: 15430 (1995)およびKatz, Biochemistry, 34: 15421 (1995))、ニトロストレプトアビジン(Balass et al., Anal. Biochem., 243: 264 (1996))、ヘパリン(Wickham et al., Nature Biotechnol., 14: 1570-73 (1996))およびその他の基質など、非ペプチド性基質にさえも結合し得る。
【0043】
アデノウイルスの改変については、米国特許第5,543,328号;第5,559,099号;第5,712,136号;第5,731,190号;第5,756,086号;第5,770,442号;第5,846,782号;第5,871,727号;第5,885,808号;第5,922,315号;第5,962,311号;第5,965,541号;第6,057,155号;第6,127,525号;第6,153,435号;第6,329,190号;第6,455,314号;第6,465,253号;第6,576,456号;第6,649,407号;第6,740,525号,第6,951,755号および第7,195,896号;米国特許出願公報2003/0099619 A1、ならびに国際特許出願WO 96/07734、WO 96/26281、WO 97/20051、WO 98/07865、WO 98/07877、WO 98/40509、WO 98/54346、WO 00/15823、WO 01/58940およびWO 01/92549に記載されている。
【0044】
典型的には、アデノウイルスゲノムの全体または部分を除去することにより、生じる弱毒生血清14型アデノウイルスは、アデノウイルスキャプシド内にパッケージングされる能力を保持しつつ、異種核酸配列の挿入を受け入れることが可能である。しかしながら、好ましい実施形態では、弱毒生血清14型アデノウイルスは異種核酸配列を含まない。すなわち、弱毒生血清14型アデノウイルスは、好ましくは、アデノウイルスゲノムのE1、E2Aおよび/またはE4領域、ならびに任意にはE3領域の全体または部分の欠失を有するが、アデノウイルスゲノムの欠失された領域のいずれかに挿入された異種核酸配列は含まない。
【0045】
しかしながら、他の実施形態では、アデノウイルスから欠失された1以上の領域への1以上の異種核酸配列の挿入が適切であり得る。これに関して、異種核酸配列は、アデノウイルスゲノムのE1領域、E2A領域および/またはE4領域、ならびに任意にはE3領域に位置し得る。実際、その位置が異種核酸配列の発現を妨げないかまたは弱毒生血清14型アデノウイルスのパッケージングを阻害しない限り、異種核酸配列は、アデノウイルスゲノムの任意の場所に挿入され得る。アデノウイルス中に挿入され得るあらゆる種類の核酸配列(例えば、DNA、RNAおよびcDNA)が、本発明に関連して使用され得る。好ましくは、異種核酸配列はDNAであり、そして好ましくはタンパク質をコードする(すなわち、1以上のタンパク質をコードする1以上の核酸配列である)。
【0046】
異種核酸配列は、抗原をコードし得る。「抗原」は、哺乳動物において免疫応答を誘導する分子である。「免疫応答」は例えば、抗体産生および/または免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞)の活性化を引き起こし得る。本発明の文脈における抗原は、任意のタンパク性分子の任意のサブユニット、断片またはエピトープを含み得、これらとしては、理想的には哺乳動物における免疫応答を誘発し、好ましくは防御免疫を導くような、ウイルス、細菌、寄生虫、真菌、原生動物、プリオン、細胞または細胞外由来のタンパク質またはペプチドが挙げられる。「エピトープ」は、抗体または抗原受容体によって認識される抗原上の配列を意味する。エピトープはまた、当該分野において、「抗原決定基」とも呼ばれている。
【0047】
異種核酸配列は、弱毒生血清14型アデノウイルスによって誘発される免疫応答を増強または改変させる免疫系刺激因子をコードし得る。免疫系刺激因子の例としては、サイトカイン、リポ多糖、二本鎖RNA、トル様受容体(TLR)および補体タンパク質(例えば、CD46)が挙げられる。好ましくは、異種核酸配列はサイトカインをコードする。「サイトカイン」は、特定の細胞(例えば、炎症性白血球およびある種の非白血球細胞)によって分泌され、免疫、炎症および造血の制御などにより、細胞間メディエーターとして働く非抗体タンパク質として当該分野において知られている。サイトカインは、一般には、内分泌よりむしろ傍分泌または自己分泌の様式で局所的に作用する。サイトカインは、リンホカイン(リンパ球により作られるサイトカイン)、モノカイン(単球により作られるサイトカイン)、ケモカイン(走化性活性を有するサイトカイン)およびインターロイキン(ある白血球により作られて他の白血球に作用するサイトカイン)に分類され得る。サイトカインは当該分野で公知の任意の好適なサイトカインであってよく、それらとしては、以下に限定されないが、インターフェロン(例えば、IFNアルファ、IFNベータ、IFNデルタ、IFNオメガ、IFNタウおよびIFNガンマ)、インターロイキン、RANTES、MCP−1、MIP−1α、MIP−1β、顆粒球単球コロニー刺激因子(GM−CSF)および腫瘍壊死因子(TNF)アルファが挙げられる。
【0048】
弱毒生血清14型アデノウイルスが1以上の異種核酸配列を含む場合、各異種核酸配列は、例えばプロモーターを変更可能な発現カセットの部分として、1以上のプロモーターおよび/またはエンハンサーエレメントに作動可能に連結される(すなわち、これらの転写制御下となる)ことが望ましい。配列を作動可能に連結するための技術は、当該分野で周知である。異種核酸配列の十分な発現が達成される限り、本発明の文脈では、任意のプロモーターまたはエンハンサー配列を使用できる。好ましくは、プロモーターは、弱毒生血清14型アデノウイルスの天然に生じるプロモーターから得られておらず、それに由来せず、またはそれに基づいていないという点で、異種のプロモーターである。これに関して、プロモーターは、例えば、ウイルスプロモーターまたは細胞プロモーターであり得る。さらに、プロモーターは、構成的、誘導性(例えば、放射線、光、化学療法または薬物で誘導可能)または組織特異的であり得る。好適なプロモーターが当該分野で公知である(例えば、国際特許出願公開WO 2007/027860を参照)。
【0049】
本発明の方法では、弱毒生血清14型アデノウイルスは、好ましくは、哺乳動物(例えば、ヒト)に投与され、血清14型アデノウイルス粒子が免疫応答を誘導する。弱毒生血清14型アデノウイルスは、血清14型アデノウイルスによって感染され得る任意の哺乳動物に投与され得る。好ましくは、弱毒生血清14型アデノウイルスはヒトに投与される。免疫応答は、液性免疫応答、細胞性免疫応答であり得、あるいは望ましくは、液性および細胞性免疫の組み合わせであり得る。理想的には、免疫応答は、血清14型アデノウイルスでのその後の攻撃の際の防御を提供する。しかしながら、本発明の文脈では、防御免疫は必要ではない。本発明の方法はさらに、抗体産生および回収のために使用され得る。
【0050】
弱毒生血清14型アデノウイルスの投与は、哺乳動物において免疫応答を誘導するための複数ステップのレジメンの一つの構成要素であり得る。特に、本発明の方法は、プライムブースト免疫レジメンの1つの分流を示し得る。したがって、本発明の方法は、哺乳動物に対して、(a)弱毒生血清14型アデノウイルスの投与に先立ってプライミング組成物を投与すること、および/または、(b)弱毒生血清14型アデノウイルスの投与後にブースティング組成物を投与することを含み得る。
【0051】
プライミングおよびブースティング組成物は、本明細書に記載されるような任意の好適な抗原を含み得る(例えば、不活性化ウイルス、タンパク質、ペプチドまたはエピトープ配列)。好ましくは、プライミングおよびブースティング組成物は、遺伝子導入ベクターを含む。任意の遺伝子導入ベクターを、プライミング組成物またはブースティング遺伝子組成物において用いることができ、それらとしては、以下に限定されないが、プラスミド、レトロウイルス、アデノ随伴ウイルス、ワクシニアウイルス、ヘルペスウイルス、アルファウイルスまたはアデノウイルスが挙げられる。理想的には、遺伝子導入ベクターは、プラスミド、アルファウイルスまたはアデノウイルスベクターである。プライミング組成物およびブースティング組成物は、本発明の弱毒生血清14型アデノウイルスを含んでもよく、あるいは、弱毒生血清14型アデノウイルスとは異なる遺伝子導入ベクターを含んでもよい。好ましくは、プライミング組成物およびブースティング組成物は各々、本発明の弱毒生血清14型アデノウイルスを含む。換言すれば、本発明の方法は、弱毒生血清14型アデノウイルスの複数回の投与を伴うことが望ましい。プライミング組成物および/またはブースティング組成物は、免疫を維持するために好適な任意の時間枠(例えば、弱毒生血清14型アデノウイルスの投与の、少なくとも約1週間、2週間、4週間、8週間、12週間、16週間またはそれよりも前または後)で与えられ得る。加えて、プライミング組成物および/またはブースティング組成物は、特定の免疫レジメンの過程で複数回投与され得る。例えば、免疫レジメンは、プライミング組成物の2回以上(例えば、2回、3回、5回またはそれより多く)の投与、その後で弱毒生血清14型アデノウイルスの単回投与、その後でブースティング組成物の2回以上(例えば、2回、3回、5回またはそれより多く)の投与を含み得る。当然、場合によっては、本発明の弱毒生血清14型アデノウイルスの投与は、強力な防御的免疫応答を誘導するのに十分であり得る。これに関しては、プライミングおよび/またはブースティングのレジメンは必要ないかもしれない。
【0052】
プライミング/ブースティングのレジメンの効果を最大化するために、プライミング組成物および/またはブースティング組成物は、抗原をコードする異種核酸配列を含む遺伝子導入ベクターを含み得る。代替的には、免疫応答は、抗原自体(例えば、抗原性タンパク質、不活性化された病原体など)の投与によって、プライミングまたはブースティングされ得る。例えば、免疫応答は、不活性化された(例えば、熱殺菌または化学的に不活性化された)弱毒化血清14型アデノウイルス、あるいは不活性化された野生型血清14型アデノウイルスの投与によって、プライミングおよび/またはブースティングされ得る。
【0053】
弱毒生血清14型アデノウイルスを哺乳動物に送達するために任意の投与経路を使用できる。実際、弱毒生血清14型アデノウイルスを投与するために1つよりも多くの経路を使用できるが、特定の経路が、他の経路よりも迅速かつより効果的な反応を提供し得る。好ましくは、弱毒生血清14型アデノウイルスは、筋肉内注射を通じて投与される。1用量の弱毒生血清14型アデノウイルスはまた、体腔内への適用または注入、皮膚を通じた吸収(例えば、経皮パッチを介して)、吸入、摂取、組織への局所的な適用、または、例えば静脈、腹膜もしくは動脈内投与を通じて非経口的に投与され得る。弱毒生血清14型アデノウイルスはまた、粒子衝突(例えば、遺伝子銃)によってインビボに投与され得る。
【0054】
哺乳動物に投与される弱毒生血清14型アデノウイルスの用量は、標的組織の大きさ、任意の副作用の程度、特定の投与経路などを含む多くの要素に依存するであろう。用量は、理想的には、「有効量」の弱毒生血清14型アデノウイルスを含み、すなわち、哺乳動物において所望の免疫応答を誘発する弱毒生血清14型アデノウイルスの用量である。所望の免疫応答は、抗体の産生、その後の攻撃に対する防御、免疫寛容、免疫細胞活性化などを引き起こし得る。単回用量の弱毒生血清14型アデノウイルスは、少なくとも約1×10粒子(粒子単位ともいう)の弱毒生血清14型アデノウイルスを含むことが望ましい。用量は、好ましくは少なくとも約1×10粒子(例えば、約1×10〜1×1012粒子)、より好ましくは少なくとも約1×10粒子、より好ましくは少なくとも約1×10粒子(例えば、約1×10〜1×1011粒子)、最も好ましくは少なくとも約1×10粒子(例えば、約1×10〜1×1010粒子)の弱毒生血清14型アデノウイルスである。望ましくは、用量は、約1×1014粒子以下、好ましくは約1×1013粒子以下、さらにより好ましくは約1×1012粒子以下、さらにより好ましくは約1×1011粒子以下、最も好ましくは約1×1010粒子以下(例えば、約1×10粒子以下)を含む。換言すれば、単回用量の弱毒生血清14型アデノウイルスは、例えば、約1×10粒子単位(pu)、2×10pu、4×10pu、1×10pu、2×10pu、4×10pu、1×10pu、2×10pu、4×10pu、1×10pu、2×10pu、4×10pu、1×1010pu、2×1010pu、4×1010pu、1×1011pu、2×1011pu、4×1011pu、1×1012pu、2×1012puまたは4×1012puの弱毒生血清14型アデノウイルスを含み得る。
【0055】
望ましくは、弱毒生血清14型アデノウイルスは、組成物中、好ましくは医薬的に許容される(例えば、生理学的に許容される)組成物中で投与され、該組成物は、担体、好ましくは医薬的に許容される(例えば、生理学的に許容される)担体および弱毒生血清14型アデノウイルスを含む。任意の好適な担体を本発明の文脈では用いることができ、そのような担体は当該分野で周知である。担体の選択は、部分的には、組成物が投与される特定の部位および組成物を投与するために用いられる特定の方法によって決定されるであろう。理想的には、組成物は、複製能力を有するアデノウイルスを含まないことが好ましい。組成物は、任意には、無菌であるか、あるいは本発明の弱毒生血清14型アデノウイルス以外は無菌であり得る。
【0056】
組成物のために好適な剤形としては、水性および非水性の溶液、抗酸化剤、緩衝液および静菌剤を含有し得る等張無菌溶液、ならびに、懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤および保存剤を含み得る水性および非水性の無菌懸濁液が挙げられる。該剤形は、単位用量または複数回用量で密封された容器(アンプルおよびバイアルなど)で提示され得、また、使用の直前に無菌性液体担体(例えば、水)の添加のみを必要とするフリーズドライの(凍結乾燥された)状態で保管され得る。即時性の溶液および懸濁液は、先に説明したような無菌性の粉末、顆粒および錠剤から調製できる。好ましくは、担体は、緩衝化された生理食塩水である。より好ましくは、本発明の方法で使用するための弱毒生血清14型アデノウイルスは、投与前のダメージから弱毒生血清14型アデノウイルスを保護するように製剤化された組成物で投与される。例えば、組成物は、ガラス製品、シリンジまたは注射針などの、アデノウイルスを調製、保管または投与するために使用される器具でのアデノウイルスの減小を低減するように製剤化され得る。組成物は、弱毒生血清14型アデノウイルスの光感受性および/または温度感受性を減少させるように製剤化され得る。そのために、組成物は、例えば上述したようなものなどの医薬的に許容される液体担体、ならびに、ポリソルベート80、L−アルギニン、ポリビニルピロリドン、トレハロースおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される安定剤を含むことが好ましい。このような組成物の使用は、弱毒生血清14型アデノウイルスの保存期間を延長させ、投与を促進させ、かつ本発明の方法の効率を向上させるであろう。アデノウイルス含有組成物の製剤化は、例えば、米国特許第6,225,289号、米国特許第6,514,943号および国際特許出願公開WO 00/34444にさらに記載されている。
【0057】
弱毒生血清14型アデノウイルスは、経口投与のために製剤化できる。経口投与のために好適な製剤としては、(a)液体溶液(水、生理食塩水またはオレンジジュースなどの希釈剤に溶解した有効量の弱毒生血清14型アデノウイルスなど)、(b)カプセル剤、サシェ剤または錠剤(各々、固形物または顆粒として、所定量の弱毒生血清14型アデノウイルスを含む)、(c)適当な液体の懸濁液、および(d)好適な乳液が挙げられる。錠剤形態は、ラクトース、マンニトール、コーンスターチ、ポテトスターチ、微結晶性セルロース、アカシア、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、および他の賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、保存剤、香味剤、および医薬的に適合性の賦形剤のうち、1つ以上を含み得る。ロゼンジ形態は、香味料(通常、ショ糖およびアカシアまたはトラガカント)中の弱毒生血清14型アデノウイルス、ならびに、ゼラチンおよびグリセリンなどの不活性基剤中に弱毒生血清14型アデノウイルスを含むか、または、弱毒生血清14型アデノウイルスに加えて、当該分野で公知であるような賦形剤を含有する、ショ糖およびアカシア、乳化剤、ゲル剤などを含むトローチを含み得る。
【0058】
弱毒生血清14型アデノウイルスは、単独でまたは他の好適な構成成分と組み合わせて、吸入を介して投与されるエアロゾル製剤とされ得る。これらのエアロゾル製剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などの加圧を許容する噴射剤中に入れることができる。これらは、ネブライザーまたはアトマイザー中など、加圧されない調合物用の医薬としても製剤化され得る。
【0059】
弱毒生血清14型アデノウイルスは、局所投与のために製剤化され得る。局所製剤としては、例えば、軟膏、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、ドロップ剤、坐剤、スプレー剤、液剤および粉末剤が挙げられる。従来の医薬担体、水剤、粉末剤、油性基材、増粘剤などが、必要であるかまたは望ましいこともあり得る。
【0060】
弱毒生血清14型アデノウイルスは、スポンジ、生体適合性の網、機械的リザーバーまたは機械的インプラントなどの、制御性または持続性の放出を可能とする器具内または器具上に投与され得る。インプラント(例えば、米国特許第5,443,505号を参照)および器具(例えば、米国特許第4,863,457号を参照)(埋め込み可能な器具(例えば、ポリマー組成物を含む機械的リザーバーまたはインプラントまたは器具)など)は、弱毒生血清14型アデノウイルスの投与のために特に有用であり得る。弱毒生血清14型アデノウイルスはまた、持続放出製剤の形態で投与され得(例えば、米国特許第5,378,475号を参照)、該製剤は、例えば、ゲルフォーム、ヒアルロン酸、ゼラチン、コンドロイチン硫酸、ポリリン酸エステル(ビス−2−ヒドロキシエチル−テレフタレート(BHET)など)および/またはポリ乳酸−グリコール酸を含む。
【0061】
組成物はまた、形質導入効率を増強させるためにも製剤化できる。さらに、当業者は、弱毒生血清14型アデノウイルスが、他の治療的または生物学的に活性の物質と共に組成物中に存在し得ることを理解するだろう。例えば、弱毒生血清14型アデノウイルスのインビボ投与に関連する腫張および炎症を低減するために、イブプロフェンまたはステロイドなどの炎症を制御する因子を組成物の部分とすることができる。さらに、免疫系刺激因子またはアジュバント(例えば、インターロイキン、リポ多糖および二本鎖RNA)を投与して、弱毒生血清14型アデノウイルスに対する任意の免疫応答を増強または改変できる。抗生物質(すなわち、殺菌剤および殺真菌剤)が、既存の感染を治療するためおよび/または将来的な感染の危険性を低減するために存在し得る。
【0062】
以下の実施例により本発明をさらに説明するが、当然ながら、それらが本発明の範囲を何らかの点で限定しているものとは解釈してはならない。
【実施例】
【0063】
実施例1
本実施例は、弱毒生血清14型アデノウイルスの構築および特徴付けを示す。
【0064】
弱毒生血清14型アデノウイルスのコンストラクトは、アデノウイルスベクターアセンブリ用の細菌の組換え系を使用して全ゲノムプラスミドから作製される(Campos et al., Hum. Gene Ther., 15(11): 1125-1130 (2004))。簡潔に述べれば、該系は、E.coli内での一対のプラスミド(すなわち、シャトルプラスミドおよびベースプラスミド)間の相同組換えを利用する。シャトルプラスミドは、E1領域の近くのアデノウイルス配列によって隣接されるE1領域の欠失を含む。ベースプラスミドは、欠失を所望する位置において、選択マーカーと共に完全なアデノウイルスベクターゲノムを含む。組換えは、シャトルプラスミドおよびベースプラスミドの相同配列間で生じる。所望の組換えプラスミドは、E1欠失を含むアデノウイルスゲノムからなる。
【0065】
組換え能力を有する(Rec+)E.coli株BJDE3を、制限酵素消化により線状化したシャトルおよびベースプラスミドの混合物で形質転換し、選択培地にプレーティングする。次いで、所望の組換えクローンを、標準的なプラスミドDNA抽出、制限酵素解析および配列決定により同定する。得られたプラスミド(pAd14nrと呼ぶ)をPmeIで消化してプラスミド骨格から組換えAd14nrゲノム(rAd14nr)を切り出し、293−ORF6細胞をトランスフェクションする。プラスミドのトランスフェクション後、得られたアデノウイルスを連続継代および塩化セシウム勾配での精製により増幅する。
【0066】
精製したアデノウイルスを、いくつかのアッセイを使用して特徴付ける。具体的には、感染性粒子および全粒子の力価を決定し、rAd14nrの遺伝的安定性/完全性をPCR解析およびDNA配列決定によって確認し、各ストックを、複製能力を有するアデノウイルス(RCA)の存在について試験する。
【0067】
Ad14nrの収率を、10リットル培養までの3回の連続増幅で評価する。Ad14nrの収率は、1リットル当たり少なくとも1×1013粒子単位(pu)であると予測される。ウイルスストックが最終的には商用規模のバイオリアクターにまで増幅できることを保証するために、Ad14nrの10回の連続継代の間に、遺伝的構造の完全性(Genetic Structural Integrity)(GSI)について試験する。欠失したE1領域に隣接するプライマーオリゴヌクレオチドを用い、PCRを使用してAd14nrのE1領域で生じる任意の変化について調べる。Ad14nrの安定性を、日常的な保存温度で試験する。Ad5ベースのベクターの安定性が、−20℃で5年にわたって、および4℃で6ヶ月にわたって示された。同様の安定性が、Ad35ベクターについて観察された。Ad14nrストックの安定性を、−20℃、4℃および25℃で少なくとも3ヶ月間試験する。試験された時点は、1日目、7日目および14日目ならびに4週目、8週目および12週目である。安定性試験は、プラーク形成アッセイおよび粒子測定を使用して行う。
【0068】
本実施例は、弱毒生血清14型アデノウイルスの製造および特徴付けの方法を示している。
【0069】
実施例2
本実施例は、哺乳動物における弱毒生血清14型アデノウイルスに対する免疫応答を測定するための方法を示す。
【0070】
Ad14nrの免疫原性をマウスモデルおよび霊長類モデルにおいて試験する。具体的には、Ad14nrを実施例1に記載されるように調製し、精製する。10匹のBalb/cマウスを3つの投与量群(すなわち、1×10pu、1×10puおよび1×1010pu)の各々に割り当てる。HIVエンベロープタンパク質gp140Bの断片の発現カセットを含むE1欠失型の血清14型アデノウイルス(Ad14gp140B)をポジティブコントロールとし、E1欠失型のAd5ベクターをネガティブコントロールとする。0日目にマウスに適当なアデノウイルスを注入し、中和抗体価について特定の時点(すなわち、0日目、1日目、3日目、7日目、14日目および21日目)でアッセイする。
【0071】
霊長類の免疫原性試験は、Ad5ベースのワクチンについてヒトにおいて免疫原性であってかつ耐用性良好であることが知られている用量で、霊長類において免疫応答が強力であることを確認することにフォーカスする。これに関して、2匹のカニクイザルを、2つの投与量群(1×1010puおよび1×1011pu)の各々に割り当てる。0日目にサルにAd14nrを注入し、中和抗体価について特定の時点(すなわち、0日目、1日目、3日目、7日目、14日目および21日目)でアッセイする。
【0072】
感染された軍隊入隊者における抗体の存在を評価するために使用される中和抗体価アッセイ(Morb. Mortal. Wkly. Rep., 56(45): 1181-1184 (2007))を上述の免疫原性実験に使用する。定量的血清比色マイクロ中和化(SN)試験も使用する。これは元々、経口生ワクチンの評価のために、アデノウイルス4型および7型のために開発および検証されたものである(Lyons et al., Vaccine, 26(23): 2890-2898 (2008))。試験前に、各血清標本を56±2℃で30±2分間不活性化させる。必要な範囲をカバーするために2倍希釈を用いて、6ウェル/希釈の群で血清標本を試験する。ネガティブおよびポジティブ参照の血清を同時に試験する。接種ウイルス用量を、各アッセイにおいて、6ウェル/用量を用いて2分の1ログ用量で滴定する。各ウェルは、100組織培養感染量TCID50(±0.7log10)の適当な血清型のアデノウイルスを含む。1時間のインキュベーション後、20,000±2,000個のA549細胞/mlを含む100μlを添加する。7日後、細胞をニュートラルレッド液とともにインキュベーションして染色し、機械洗浄し、次いで酸アルコールを用いて固定する。プレートのブランクを差し引いて、550nmにてプレートを読み取る。多重比較のためにボンフェローニ補正をしてANOVAを使用して統計をとる。
【0073】
本実施例は、哺乳動物における弱毒生血清14型アデノウイルスの免疫原性を試験するための方法を示している。
【0074】
実施例3
本実施例は、哺乳動物において弱毒生血清14型アデノウイルスに対する免疫応答を誘導する方法を示す。
【0075】
欠失したE1領域に挿入されたHIVエンベロープの断片(gp140B)の発現カセットを含む、1x10puのE1欠失型の血清14型アデノウイルスを、マウスに1回または2回注入した。血清を6週目に採取し、DeWitt株と新規Ad14野生型ウイルスである1968Tとの両方について中和アッセイにて評価した。アデノウイルスの2回目の(すなわち、ブーストの)投与を受けた動物について、アデノウイルスを6週目に投与し、血清を4週間後にサンプリングした。アデノウイルスの単回投与後に、大きな力価の中和抗体が誘導され、これはアデノウイルスの2回目の投与でさらに増加した。
【0076】
これらの結果は、トランスジーンを欠く弱毒生血清14型アデノウイルスが、Ad14のDeWitt株および1968T株の両方に対して反応性の中和抗体を高力価で産生することを強く示唆している。
【0077】
実施例4
本実施例は、哺乳動物における弱毒生血清14型アデノウイルスの安全性を決定する方法を示す。
【0078】
Ad14nrの耐用性を、高用量のAd14nrで行われる体重測定を用いて、マウスにおいて評価する。実験は以下の通りに行う。
動物:1群あたり、10匹の雌および10匹の雄のBalb/cマウス
用量群:1×1010pu Ad14nr、1×1011pu Ad14nr、1×1010pu Ad5null、1×1011pu Ad5null、および処方緩衝液(formulation buffer)のみ
経路:筋肉内および静脈内
エンドポイント:注射後21日間、毎日の体重測定
【0079】
予備的な生体分布を21日目にモニタリングする。生体分布は、Ad14nrおよびAd5nullの欠失したE1領域に特異的な定量的PCR(qPCR)アッセイを用いて行う。モニタリングされる組織としては、肝臓、脾臓、腎臓、脳、生殖腺、心臓、肺、および注射部位が挙げられる。これらの組織の解析は、耐用性と関連する組織におけるアデノウイルスの蓄積を同定し、将来的な毒性試験の際に考慮される必要があり得る。上述の生体分布試験の開始前に、Ad14nrのqPCRアッセイを開発して試験する。
【0080】
A14ゲノムの特異的な検出のために好適なプライマーセットは、実施例1に記載のE1領域の欠失を解析するために用いられるものと同様である。ゲノムの定量のためのqPCR法は、当該分野で日常的に使用されている。これらの実験の文脈で使用されるqPCRアッセイの特異性、アッセイ内精度および正確性は、GLP試験の一部として評価された後、IND提出でFDAに提出されている(Althea Report第J106−001号、第J106−002号)。このアッセイは、アデノウイルスベクターコンストラクトのコピー数の定量に好適であることが見出された。定量のためのqPCRの各実行について、妥当であると考えられる以下の許容基準を満たさなければならない:(1)標準曲線の相関係数(r)は0.980でなければならない、(2)ネガティブ抽出コントロールは検出限界より低くなければならない、および(3)鋳型なしのコントロールは増幅を示してはならない。このアッセイの検出の下限は10コピー/サンプルであることが見出され、また、定量の下限は50コピー/サンプルである。
【0081】
本実施例は、哺乳動物における弱毒生血清14型アデノウイルスの安全性を決定する方法を記述している。
【0082】
本明細書で挙げた、刊行物、特許出願および特許を含む全ての参照文献は、各参照文献が参照したことにより組み込まれることが個々的かつ具体的に示され、また本明細書にその全体が示されているのと同程度まで、参照したことにより本明細書に組み込まれる。
【0083】
本発明を説明する文脈における(特に、特許請求の範囲の文脈における)用語「一つの(a)」および「一つの(an)」および「該(the)」および同様の指示詞の使用は、本明細書中に別段の指示があるか、または文脈と明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含するものと解釈されるべきである。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」および「含む(containing)」は、別段の言及がない限り、オープン・エンドの用語(すなわち、「含むが、これ(ら)に限定されない」という意味)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書に別段の指示がない限り、当該範囲内の各個別の値を個々的に言及する簡易的な方法として機能することを単に意図しており、各個別の値は、本明細書に個々的に列挙されたかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載された全ての方法は、本明細書に別段の指示があるか、または文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で行なうことができる。本明細書で与えた任意のおよび全ての例、または例示的な言葉(例えば、「など(such as)」)の使用は、本発明をより明らかにすることを単に意図しており、別段の主張がない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中のいかなる言葉使いも、主張されていない任意の構成要素が本発明の実施に必須のものであると示しているものと解釈してはならない。
【0084】
本発明の好ましい実施形態を、本発明者らが知っている本発明を実施するための最良の形態を含めて、本明細書に記載している。それらの好ましい実施形態の変形は、上記の記載を読めば、当業者に明らかとなり得る。本発明者らは、当業者がこのような変形を適宜用いることを予期しており、また、本発明者らは、本明細書に具体的に記載されたのとは別のやり方で本発明が実施されることを意図している。したがって、本発明は、適用法によって許容される限り、本明細書に添付の特許請求の範囲に挙げられた事項のあらゆる改変および均等物を包含する。さらには、本明細書に別段の指示がないか、または文脈と明らかに矛盾しない限り、あらゆる可能な変形での上述した構成要素の任意の組み合わせが、本発明に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物において血清14型アデノウイルスに対する免疫応答を誘導する方法であって、該方法は、該哺乳動物に弱毒生血清14型アデノウイルスを投与することを含み、該投与で血清14型アデノウイルスに対する免疫応答が該哺乳動物において誘導される、前記方法。
【請求項2】
前記弱毒生血清14型アデノウイルスが、増殖のために、高々、該アデノウイルスゲノムのE1領域、E2A領域および/またはE4領域の補完を必要とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記弱毒生血清14型アデノウイルスが、増殖のために、該アデノウイルスゲノムのE2A領域の補完を必要としない、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記弱毒生血清14型アデノウイルスが、増殖のために、該アデノウイルスゲノムのE1領域の補完を必要とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記弱毒生血清14型アデノウイルスが、E1領域の全体または部分を欠失したアデノウイルスゲノムを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記弱毒生血清14型アデノウイルスが、増殖のために、該アデノウイルスゲノムのE4領域の補完を必要とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記弱毒生血清14型アデノウイルスが、E4領域の全体または部分を欠失したアデノウイルスゲノムを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記弱毒生血清14型アデノウイルスが、E3領域の全体または部分を欠失したアデノウイルスゲノムを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記弱毒生血清14型アデノウイルスが、異種核酸配列を含まない、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記哺乳動物に対する弱毒生血清14型アデノウイルスの投与前に、該哺乳動物にプライミング組成物を投与することを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記プライミング組成物が、弱毒生血清14型アデノウイルスを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記哺乳動物に対する前記弱毒生血清14型アデノウイルスの投与後に、該哺乳動物にブースティング組成物を投与することを含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記ブースティング組成物が、弱毒生血清14型アデノウイルスを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記哺乳動物がヒトである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
弱毒生血清14型アデノウイルス。
【請求項16】
前記弱毒生血清14型アデノウイルスが、増殖のために、高々、該アデノウイルスゲノムのE1領域、E2A領域および/またはE4領域の補完を必要とする、請求項15に記載の弱毒生血清14型アデノウイルス。
【請求項17】
前記弱毒生血清14型アデノウイルスが、増殖のために、該アデノウイルスゲノムのE2A領域の補完を必要としない、請求項15または16に記載の弱毒生血清14型アデノウイルス。
【請求項18】
前記弱毒生血清14型アデノウイルスが、増殖のために、該アデノウイルスゲノムのE1領域の補完を必要とする、請求項15〜17のいずれか1項に記載の弱毒生血清14型アデノウイルス。
【請求項19】
前記弱毒生血清14型アデノウイルスが、E1領域の全体または部分を欠失したアデノウイルスゲノムを含む、請求項15〜18のいずれか1項に記載の弱毒生血清14型アデノウイルス。
【請求項20】
前記弱毒生血清14型アデノウイルスが、増殖のために、該アデノウイルスゲノムのE4領域の補完を必要とする、請求項15〜19のいずれか1項に記載の弱毒生血清14型アデノウイルス。
【請求項21】
前記弱毒生血清14型アデノウイルスが、E4領域の全体または部分を欠失したアデノウイルスゲノムを含む、請求項20に記載の弱毒生血清14型アデノウイルス。
【請求項22】
前記弱毒生血清14型アデノウイルスが、E3領域の全体または部分を欠失したアデノウイルスゲノムを含む、請求項15〜21のいずれか1項に記載の弱毒生血清14型アデノウイルス。
【請求項23】
前記弱毒生血清14型アデノウイルスが、異種核酸配列を含まない、請求項15〜22のいずれか1項に記載の弱毒生血清14型アデノウイルス。
【請求項24】
請求項15〜23のいずれか1項に記載の弱毒生血清14型アデノウイルスおよび医薬的に許容される担体を含む、組成物。

【公表番号】特表2011−505837(P2011−505837A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538163(P2010−538163)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/086452
【国際公開番号】WO2009/076542
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(500129085)ジェンベク、インコーポレイティッド (13)
【出願人】(510163916)アメリカ合衆国 (1)
【Fターム(参考)】