説明

アナログメモリ回路および映像信号処理装置

【課題】 特に高温時にアナログメモリ回路の出力信号に発生するノイズを抑える。
【解決手段】 順次選択される複数のメモリブロックと非反転入力に所定の基準電圧が印加される演算増幅器とを備え、メモリブロックは、アナログ信号を電荷量として記憶し第1および第2の出力信号線間に並列に接続される複数のメモリ単位と、第1の出力信号線を演算増幅器の反転入力に接続する第1のスイッチ回路と、第2の出力信号線を演算増幅器の出力に接続する第2のスイッチ回路とをそれぞれ有し、選択されているメモリブロックは、第1および第2のスイッチ回路がオンとなり複数のメモリ単位のうち何れか1つを順次選択して記憶されているアナログ信号を出力し、選択されていないメモリブロックは、選択されているメモリブロックの複数のメモリ単位のうちいずれも選択されていない間第1のスイッチ回路がオンとなる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナログメモリ回路および映像信号処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばアナログテレビジョン放送における映像信号(ビデオ信号)は、輝度信号Yおよび色信号Cが合成された複合映像信号(コンポジット映像信号)となっている。そのため、複合映像信号を処理する一般的な映像信号処理装置は、複合映像信号を遅延させるためのアナログメモリ回路と、当該遅延された複合映像信号を用いて輝度信号Yおよび色信号Cを分離するY/C分離回路とを含んでいる。
【0003】
特許文献1の図3では、映像信号処理装置に用いられるアナログメモリ回路として、映像信号のような高周波成分を含む信号の処理に好適な構成例が開示されている。当該アナログメモリ回路は、各メモリ単位が、キャパシタと、書き込み時にキャパシタの両端を入力信号線に接続するスイッチング素子と、読み出し時にキャパシタの両端を出力信号線に接続するスイッチング素子とを含んで構成されている。また、入力信号線および出力信号線は、それぞれ入力側および出力側の演算増幅器(オペアンプ)に接続されている。
【0004】
また、特許文献2の図1では、アナログメモリに含まれるメモリ単位(特許文献2においてはスイッチト・キャパシタ部)を複数のメモリブロックに分割し、選択されていないメモリブロックと出力側の演算増幅器との接続を遮断する構成例が開示されている。
【0005】
このようにして、出力側の演算増幅器に同時に接続されるメモリ単位の数を減少させることによって、各メモリ単位に含まれるスイッチング素子の寄生容量の影響を抑制することができる。
【特許文献1】特開2007−36872号公報
【特許文献2】特開2008−85651号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記特許文献2の図1と同様に、上記特許文献1の図3に示されているアナログメモリ回路に含まれるメモリ単位を複数のメモリブロックに分割すると、図5のような構成となる。なお、図5においては、特徴となる読み出し動作に必要な部分が抽出されており、書き込み動作に必要な、入力側の演算増幅器、入力信号線、および入力信号線に接続されるスイッチング素子などの構成は省略するものとする。また、図5においては、出力信号線L1、L2、L11、L12、L21、L22、L31、およびL32の電圧をそれぞれ保持するためのキャパシタC1、C2、C11、C12、C21、C22、C31、およびC32が追加されている。
【0007】
しかしながら、図5に示したアナログメモリ回路では、例えばメモリブロック1の出力信号線L11およびL12がアナログスイッチS11およびS12によって同時に遮断されている間、出力信号線L11の電圧V1はリーク電流によって次第に下降してしまう。そのため、再びアナログスイッチS11およびS12がオンとなると、出力信号線L11の電圧V1と、出力側の演算増幅器OPの反転入力に接続されている出力信号線L1の電圧との差によって、最初のメモリ単位M11の読み出し時に演算増幅器OPの出力信号OUTにノイズが発生する。そして、当該ノイズは、Y/C分離回路などを介して伝達され、CRT(Cathode Ray Tube:陰極線管)に出力される映像に白い斜線が発生する原因となる。また、リーク電流は温度の上昇に応じて大きくなるため、特に高温時に当該ノイズの影響が顕著になる。
【0008】
そのため、リーク電流による各メモリブロックの出力信号線の電圧の下降を抑制する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した課題を解決する主たる本発明は、順次選択される複数のメモリブロックと、非反転入力に所定の基準電圧が印加される演算増幅器と、を備え、前記メモリブロックは、アナログ信号を電荷量として記憶し、第1および第2の出力信号線間に並列に接続される複数のメモリ単位と、前記第1の出力信号線を前記演算増幅器の反転入力に接続する第1のスイッチ回路と、前記第2の出力信号線を前記演算増幅器の出力に接続する第2のスイッチ回路と、をそれぞれ有し、前記複数のメモリブロックのうち選択されているメモリブロックは、前記第1および第2のスイッチ回路がオンとなり、前記複数のメモリ単位のうち何れか1つを順次選択して記憶されているアナログ信号を出力し、前記複数のメモリブロックのうち選択されていないメモリブロックは、前記選択されているメモリブロックの前記複数のメモリ単位のうちいずれも選択されていない間、前記第1のスイッチ回路がオンとなることを特徴とするアナログメモリ回路である。
【0010】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、リーク電流による各メモリブロックの出力信号線の電圧の下降を抑制し、特に高温時にアナログメモリ回路の出力信号に発生するノイズを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0013】
===映像信号処理装置全体の概略構成および動作===
以下、図3を参照して、本発明が適用される映像信号処理装置全体の概略構成について説明する。
【0014】
図3に示されている映像信号処理装置は、アンテナ1、チューナ2、フィルタ3、IF(Intermediate Frequency:中間周波数)変換回路4、メモリ回路5、Y/C分離回路6、信号処理回路7、およびCRT8が順次接続されており、例えばアナログテレビジョン放送の受信に用いられる。
【0015】
メモリ回路5は、例えば、同様の構成となっているアナログメモリ回路51および52が直列に接続されている。IF変換回路4の出力信号は、アナログメモリ回路51に入力され、アナログメモリ回路51および52の出力信号は、それぞれV1h信号およびV2h信号としてメモリ回路5から出力されている。
【0016】
Y/C分離回路6は、例えば加算回路61および減算回路62を含んで構成されている。V1h信号およびV2h信号は、ともに加算回路61および減算回路62に入力され、加算回路61および減算回路62の出力信号は、それぞれ輝度信号Yおよび色信号CとしてY/C分離回路6から出力されている。
【0017】
次に、映像信号処理装置全体の動作について説明する。
アンテナ1によって受信されたアナログテレビジョン放送信号は、チューナ2、フィルタ3、およびIF変換回路4において順次処理され、所望のチャンネルに対応する複合映像信号に変換されたうえで、メモリ回路5のアナログメモリ回路51に入力される。
【0018】
メモリ回路5のアナログメモリ回路51および52は、いずれも、入力される複合映像信号を、1水平走査線分順次記憶して入力順に出力することによって、1H(1水平走査期間)だけ遅延させる。したがって、アナログメモリ回路52から出力されるV2h信号は、アナログメモリ回路51から出力されるV1h信号に対して1Hだけ遅延されている。
【0019】
メモリ回路5に入力される複合映像信号は、輝度信号Yに色信号Cが重畳されており、色信号Cは、図4に示すように、1Hごとに位相が180°ずれている。一般的に、隣り合う水平走査線の輝度信号Yおよび色信号Cは近似している場合が多いため、Y/C分離回路6の加算回路61は、V1h信号と、V1h信号に対して1Hだけ遅延されたV2h信号とを加算することによって、色信号Cを除去し、輝度信号Yを出力する。また、減算回路62は、V1h信号とV2h信号とを減算することによって、輝度信号Yを除去し、色信号Cを出力する。そして、輝度信号Yおよび色信号Cは、信号処理回路7において輪郭補正などの後処理をされたうえで、CRT8に映像として表示される。
【0020】
===アナログメモリ回路の構成===
前述したように、メモリ回路5のアナログメモリ回路51および52は、同様の構成となっており、以下、図1を参照して、本発明の一実施形態におけるアナログメモリ回路の構成について説明する。なお、図5と同様に、図1においても、読み出し動作に必要な部分が抽出されており、キャパシタC1、C2、C11、C12、C21、C22、C31、およびC32は、それぞれ出力信号線L1、L2、L11、L12、L21、L22、L31、およびL32の電圧を保持するものとする。
【0021】
図1に示されているアナログメモリ回路は、それぞれ3個のメモリ単位を有するメモリブロック1ないし3、演算増幅器OP、およびインバータ(反転回路)INVを含んで構成されている。なお、例えば、水平走査周波数15.734kHzの複合映像信号を、色副搬送波周波数の4倍である14.318MHzのドットクロック(サンプリングクロック)でサンプリングする場合、後述するように、複合映像信号を1水平走査線分記憶するアナログメモリ回路は、910個+1個のメモリ単位を有する必要があるが、本実施形態においては、説明の便宜上、3×3個のメモリ単位で示すこととする。
【0022】
メモリブロック1は、本実施形態では、例えばメモリ単位M11ないしM13、AND回路(論理積回路)A1、および、トランスミッションゲートなどを用いたアナログスイッチS11ないしS13で構成されている。メモリ単位M11ないしM13は、それぞれ、キャパシタQと、読み出し時にキャパシタQの両端をそれぞれ出力信号線L11およびL12に接続するスイッチング素子T1およびT2とを含んで構成されている。なお、図5と同様に、図1においても、書き込み時にキャパシタQの両端を入力信号線に接続するスイッチング素子は省略するものとする。また、AND回路A1には、2値信号R0の反転信号および2値信号R3が入力され、AND回路A1の出力信号は、アナログスイッチS13の制御入力に入力されている。そして、アナログスイッチS11およびS13は、いずれも出力信号線L1およびL11を接続し、アナログスイッチS12は、出力信号線L2およびL12を接続し、アナログスイッチS11およびS12の制御入力には、いずれも2値信号R1が入力されている。
【0023】
メモリブロック2は、本実施形態では、例えばメモリ単位M21ないしM23、AND回路A2、および、アナログスイッチS21ないしS23で構成されている。メモリ単位M21ないしM23は、メモリ単位M11ないしM13と同様の構成となっており、出力信号線L21およびL22間に並列に接続されている。また、AND回路A2には、2値信号R0の反転信号および2値信号R1が入力され、AND回路A2の出力信号は、アナログスイッチS23の制御入力に入力されている。そして、アナログスイッチS21およびS23は、いずれも出力信号線L1およびL21を接続し、アナログスイッチS22は、出力信号線L2およびL22を接続し、アナログスイッチS21およびS22の制御入力には、いずれも2値信号R2が入力されている。
【0024】
メモリブロック3は、本実施形態では、例えばメモリ単位M31ないしM33、AND回路A3、および、アナログスイッチS31ないしS33で構成されている。メモリ単位M31ないしM33は、メモリ単位M11ないしM13と同様の構成となっており、出力信号線L31およびL32間に並列に接続されている。また、AND回路A3には、2値信号R0の反転信号および2値信号R2が入力され、AND回路A3の出力信号は、アナログスイッチS33の制御入力に入力されている。そして、アナログスイッチS31およびS33は、いずれも出力信号線L1およびL31を接続し、アナログスイッチS32は、出力信号線L2およびL32を接続し、アナログスイッチS31およびS32の制御入力には、いずれも2値信号R3が入力されている。
【0025】
演算増幅器OPの反転入力は、出力信号線L1に接続され、非反転入力には、基準電圧Vrefが印加されている。また、演算増幅器OPの出力は、出力信号線L2に接続されるとともに、当該アナログメモリ回路の出力となっている。
【0026】
===アナログメモリ回路の動作===
まず、本実施形態のアナログメモリ回路が、入力される複合映像信号を1Hだけ遅延させて出力する基本的な動作について説明するため、アナログスイッチS13、S23、およびS33の動作を省略して説明する。なお、この場合の動作は、図5に示した一般的な複数のメモリブロックを有するアナログメモリ回路の動作と同様であり、図6に、各メモリ単位の書き込み動作および読み出し動作のタイミングと、2値信号R1、R2、およびR3との関係を示す。また、本実施形態において、アナログスイッチS11、S12、S21、S22、S31、およびS32は、いずれも制御入力がハイ・レベルの間オンとなり、ロー・レベルの間オフとなるものとする。
【0027】
本実施形態のアナログメモリ回路は、ドットクロックに同期して、例えば図6(A)に示すように、M11、M12、M13、M21、M22、M23、M31、M32、M33、M11…の順に、書き込み動作および読み出し動作を行うメモリ単位をそれぞれ選択する。なお、複数のメモリ単位が同時に選択された状態とならないよう、各選択期間の間にいずれのメモリ単位も選択されていない非選択期間が挿入されている。
【0028】
ここで、あるドットクロックのタイミングで、メモリ単位M11が書き込み動作を行うメモリ単位として選択された場合、当該メモリ単位M11は、入力信号線に接続されるスイッチング素子(不図示)がオンとなり、入力される複合映像信号の電圧に応じた電荷がキャパシタQに蓄積される。また、同じタイミングで、次に書き込み動作を行うべきメモリ単位、すなわち、メモリ単位M12が読み出し動作を行うメモリ単位として選択され、当該メモリ単位M12は、出力信号線L11およびL12にそれぞれ接続されるスイッチング素子T1およびT2がオンとなる。そして、ハイ・レベルの2値信号R1によってアナログスイッチS11およびS12がオンとなっているため、演算増幅器OPの反転入力および出力間にメモリ単位M12のキャパシタQが接続され、演算増幅器OPの出力からキャパシタQに蓄積されている電荷に応じた電圧が出力される。なお、2値信号R1、R2、およびR3は、それぞれメモリブロック1、2、および3に対応し、例えば図6(B1)、(C1)、および(D1)に示すように、対応するメモリブロックが有する各メモリ単位の読み出し動作期間を含む期間にハイ・レベルとなり、他のメモリブロックが有する各メモリ単位の読み出し動作期間を含む期間にロー・レベルとなる。
【0029】
次のドットクロックのタイミングでは、メモリ単位M12に対して書き込み動作が、メモリ単位M13に対して読み出し動作が行われ、ハイ・レベルの2値信号R1によって演算増幅器OPにメモリ単位M13のキャパシタQが接続される。さらに次のドットクロックのタイミングでは、メモリ単位M13に対して書き込み動作が、メモリ単位M21に対して読み出し動作が行われ、ハイ・レベルの2値信号R2によって演算増幅器OPにメモリ単位M21のキャパシタQが接続される。以下同様に、選択されたメモリ単位に対して書き込み動作および読み出し動作が繰り返される。
【0030】
このようにして、ドットクロックに同期して、1個のメモリ単位および当該メモリ単位の次のメモリ単位を、それぞれ書き込み動作および読み出し動作を行うメモリ単位として順次選択することによって、当該アナログメモリ回路の出力信号は、入力信号に対して遅延される。前述したように、水平走査周波数15.734kHzの複合映像信号に対して14.318MHzのドットクロックを用いて、910個+1個のメモリ単位で順次書き込み動作および読み出し動作を行う場合、各メモリ単位の読み出し動作は、書き込み動作の910クロック後、すなわち、1H後に行われ、入力された複合映像信号は1Hだけ遅延されて出力される。
【0031】
図5に示したようなアナログスイッチS13、S23、およびS33を有しないアナログメモリ回路では、各メモリブロックは、他のメモリブロックのメモリ単位が読み出し動作を行っている間、対応する2値信号がロー・レベルとなるため、演算増幅器OPとの接続が遮断される。例えば、メモリブロック1は、メモリ単位M13の読み出し動作終了からメモリ単位M11の読み出し動作開始までの間遮断され、その間出力信号線L11の電圧V1は、理想的には一定に保たれるが、実際には、図6(B2)に示すように、リーク電流によって次第に下降する。そのため、再びアナログスイッチS11およびS12がオンとなると、演算増幅器OPの反転入力に接続されている出力信号線L1の電圧が下降し、例えば図6(E)に示すように、メモリブロック1の最初のメモリ単位M11の読み出し動作に対して、演算増幅器OPの出力信号OUTの電圧が上昇してしまう。また、当該電圧上昇によって、Y/C分離回路6においてV1h信号およびV2h信号を加算して得られる輝度信号Yの電圧も上昇し、CRT8に出力される映像に白い斜線が発生してしまう。
【0032】
本実施形態のアナログメモリ回路では、アナログスイッチS13、S23、およびS33を用いることによって、上記の出力信号線の電圧の下降を抑制している。以下、図1および図2を参照して、本実施形態におけるアナログメモリ回路の動作について、アナログスイッチS13、S23、およびS33の動作を中心に説明する。なお、本実施形態において、アナログスイッチS13、S23、およびS33は、いずれも制御入力がハイ・レベルの間オンとなり、ロー・レベルの間オフとなるものとする。
【0033】
メモリブロック1のアナログスイッチS13は、例えば図2(B2)に示すように、メモリブロック3のアナログスイッチS31およびS32がオンとなる(2値信号R3がハイ・レベルである)期間中の、いずれのメモリ単位も読み出し動作を行っていない(2値信号R0がロー・レベルである)非選択期間にオンとなる。なお、2値信号R0として、例えば、各メモリ単位のスイッチング素子T1およびT2をオンするための制御信号の論理和を用いることができる。また、アナログスイッチS13がオンとなると、出力信号線L11が出力信号線L1に接続され、例えば図2(B3)に示すように、下降した出力信号線L11の電圧V1が上昇する。
【0034】
メモリブロック2のアナログスイッチS23は、例えば図2(C2)に示すように、メモリブロック1のアナログスイッチS11およびS12がオンとなる(2値信号R1がハイ・レベルである)期間中の非選択期間にオンとなる。また、アナログスイッチS23がオンとなると、出力信号線L21が出力信号線L1に接続され、例えば図2(C3)に示すように、下降した出力信号線L21の電圧V2が上昇する。
【0035】
メモリブロック3のアナログスイッチS33は、例えば図2(D2)に示すように、メモリブロック2のアナログスイッチS21およびS22がオンとなる(2値信号R2がハイ・レベルである)期間中の非選択期間にオンとなる。また、アナログスイッチS33がオンとなると、出力信号線L31が出力信号線L1に接続され、例えば図2(D3)に示すように、下降した出力信号線L31の電圧V3が上昇する。
【0036】
このようにして、いずれのメモリ単位も読み出し動作を行っていない非選択期間に、現在演算増幅器OPに接続されているメモリブロックの次に接続されるべきメモリブロックのアナログスイッチS13、S23、またはS33をオンすることによって、例えば図2(E)に示すように、各メモリブロックの最初のメモリ単位の読み出し動作に対する演算増幅器OPの出力信号OUTの電圧上昇を抑制することができる。なお、図2においては、電圧V1、V2、およびV3は、それぞれアナログスイッチS13、S23、およびS33の1回目のオンによって下降前の電圧まで上昇しているが、実際には、非選択期間が短時間であるため、複数回のオンによって徐々に上昇する場合もある。また、リーク電流が大きい場合には、電圧V1、V2、およびV3が下降前の電圧まで回復しない場合もある。
【0037】
前述したように、図1に一部を示した、複数のメモリブロックを有するアナログメモリ回路において、読み出し動作を行うメモリ単位を有するメモリブロックは、2本の出力信号線を演算増幅器OPの反転入力および出力に接続し、それ以外のメモリブロックは、いずれのメモリ単位も読み出し動作を行っていない非選択期間に、一方の出力信号線を演算増幅器OPの反転入力に接続することにより、当該一方の出力信号線の電圧の下降を抑制し、各メモリブロックの最初のメモリ単位の読み出し動作に対する演算増幅器OPの出力信号OUTの電圧上昇を抑制することができる。
【0038】
また、次に2本の出力信号線が演算増幅器OPに接続されるべきメモリブロックのみ、非選択期間に一方の出力信号線を演算増幅器OPの反転入力に接続することにより、非選択期間に接続される容量を最小限にし、下降した出力信号線の電圧を効率よく回復させるとともに、メモリ単位の読み出し動作に与え得る影響を抑制することができる。
【0039】
また、図3に示した映像信号処理装置において、図1に一部を示したアナログメモリ回路を用いて複合映像信号を遅延し、Y/C分離回路6に入力することによって、CRT8に出力される映像に白い斜線が発生するのを防止することができる。
【0040】
なお、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るととともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0041】
上記実施形態では、図3に示したように、Y/C分離回路6には、メモリ回路5のアナログメモリ回路51および52からそれぞれ出力されるV1h信号およびV2h信号が入力されているが、これに限定されるものではない。メモリ回路5がアナログメモリ回路51のみを有し、Y/C分離回路6には、IF変換回路4の出力信号と、1Hだけ遅延されたアナログメモリ回路51の出力信号とを入力してもよい。また、Y/C分離回路6にIF変換回路の出力信号、V1h信号、およびV2h信号を入力し、当該3信号のうち相関の強い2信号を用いて輝度信号Yおよび色信号Cを生成してもよい。さらに、当該3信号を用いて3ラインY/C分離方式としてもよい。
【0042】
上記実施形態では、メモリブロック1、2、および3は、それぞれ非選択期間にオンとなるアナログスイッチS13、S23、およびS33を有する構成となっているが、これに限定されるものではない。例えば、アナログスイッチS13を用いる代わりに、アナログスイッチS11の制御入力にAND回路A1の出力信号および2値信号R1の論理和となる信号を入力する構成としてもよい。
【0043】
上記実施形態では、現在演算増幅器OPに接続されているメモリブロックの次に接続されるべきメモリブロックのみ、非選択期間にアナログスイッチS13、S23、またはS33がオンとなる構成となっているが、これに限定されるものではない。例えば、アナログスイッチS13、S23、およびS33制御入力にいずれも2値信号R0の反転信号を入力し、非選択期間にアナログスイッチS13、S23、およびS33がいずれもオンとなる構成としてもよい。しかしながら、接続される出力信号線の本数が増加すると、寄生容量を含めて、接続される容量も増加し、下降した出力信号線の電圧を上昇させるのにより時間がかかるため、非選択期間にオンとなるアナログスイッチは、最小限に抑えることが望ましい。また、非選択期間に1個のアナログスイッチのみをオンする場合、再び出力信号線の電圧が下降するのを最小限にするため、上記実施形態のように、次に演算増幅器OPに接続されるべきメモリブロックのアナログスイッチS13、S23、またはS33をオンすることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態におけるアナログメモリ回路の構成の一部を示す回路ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるアナログメモリ回路の動作を説明する図である。
【図3】本発明が適用される映像信号処理装置全体の概略構成を示すブロック図である。
【図4】V1h信号およびV2h信号における色信号Cの関係を示す模式図である。
【図5】一般的な複数のメモリブロックを有するアナログメモリ回路の構成例の一部を示す回路ブロック図である。
【図6】一般的な複数のメモリブロックを有するアナログメモリ回路の動作を説明する図である。
【符号の説明】
【0045】
1 アンテナ
2 チューナ
3 フィルタ
4 IF(中間周波数)変換回路
5 メモリ回路
6 Y/C分離回路
7 信号処理回路
8 CRT(陰極線管)
51、52 アナログメモリ回路
61 加算回路
62 減算回路
C1、C2、C11、C12、C21、C22、C31、C32 キャパシタ
OP 演算増幅器(オペアンプ)
INV インバータ(反転回路)
A1 AND回路(論理積回路)
S11、S12、S13 アナログスイッチ
M11、M12、M13 メモリ単位
A2 AND回路(論理積回路)
S21、S22、S23 アナログスイッチ
M21、M22、M23 メモリ単位
A3 AND回路(論理積回路)
S31、S32、S33 アナログスイッチ
M31、M32、M33 メモリ単位
T1、T2 スイッチング素子
Q キャパシタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
順次選択される複数のメモリブロックと、
非反転入力に所定の基準電圧が印加される演算増幅器と、
を備え、
前記メモリブロックは、
アナログ信号を電荷量として記憶し、第1および第2の出力信号線間に並列に接続される複数のメモリ単位と、
前記第1の出力信号線を前記演算増幅器の反転入力に接続する第1のスイッチ回路と、
前記第2の出力信号線を前記演算増幅器の出力に接続する第2のスイッチ回路と、
をそれぞれ有し、
前記複数のメモリブロックのうち選択されているメモリブロックは、前記第1および第2のスイッチ回路がオンとなり、前記複数のメモリ単位のうち何れか1つを順次選択して記憶されているアナログ信号を出力し、
前記複数のメモリブロックのうち選択されていないメモリブロックは、前記選択されているメモリブロックの前記複数のメモリ単位のうちいずれも選択されていない間、前記第1のスイッチ回路がオンとなることを特徴とするアナログメモリ回路。
【請求項2】
前記選択されていないメモリブロックのうち、前記選択されているメモリブロックの次に選択されるべきメモリブロックが有する前記第1のスイッチ回路のみがオンとなることを特徴とする請求項1に記載のアナログメモリ回路。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のアナログメモリ回路を含み、第1の映像信号を遅延して第2の映像信号を出力するメモリ回路と、
前記第1および第2の映像信号から輝度信号および色信号を分離して出力する分離回路と、
前記輝度信号および色信号を処理する信号処理回路と、
を有することを特徴とする映像信号処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−41420(P2010−41420A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−202223(P2008−202223)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(506227884)三洋半導体株式会社 (1,155)
【Fターム(参考)】