アナログ式メータの読取装置および読取方法
【課題】カメラを用いたアナログ式メータの自動読取において、比較的安価な設備を用いて、指針の影に起因する指示値の誤認識を抑制する。
【解決手段】アナログ式メータ50についての読取装置100は、アナログ式メータ50の表示部を撮像して2次元の画像データを生成するための撮像部110と、表示部の固定面上に線状の可視光を照射する投光部140と、画像データを処理してアナログ式メータ50の指針が指示する指示値を判定するための制御部120とを備える。制御部120は、表示部の仮想線に沿って画像データから抽出した第1の1次元データ、および投光部140から照射された可視光に沿って画像データから抽出した第2の1次元データに基づいて、真の指針と指針の影とを識別することによって、指示値の誤認識を抑制する。
【解決手段】アナログ式メータ50についての読取装置100は、アナログ式メータ50の表示部を撮像して2次元の画像データを生成するための撮像部110と、表示部の固定面上に線状の可視光を照射する投光部140と、画像データを処理してアナログ式メータ50の指針が指示する指示値を判定するための制御部120とを備える。制御部120は、表示部の仮想線に沿って画像データから抽出した第1の1次元データ、および投光部140から照射された可視光に沿って画像データから抽出した第2の1次元データに基づいて、真の指針と指針の影とを識別することによって、指示値の誤認識を抑制する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナログ式メータの読取装置および読取方法に関し、より特定的には、アナログ式メータの自動読取における指針の誤認識を防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電力設備やビル設備などの保守管理を行なうために、設備に取り付けられた計測器の値を収集することが必要とされる。ところが、既存の設備におけるこれらの計測器については、デジタル出力端子を有しないものが多く存在する。このようなデジタル出力端子のない計測器の値については、保守点検時に点検者による計測器のメータの読取作業が必要となる。
【0003】
保守点検者の検針作業およびデータ管理の負担を軽減するために、このような既存の計測器をデジタル出力端子付きのメータに取り替える取り組みも行なわれつつあるが、設備数が多く、対象となる設備のすべてに対応するためには、機器購入、取替工事および現地試験等のために多くのコストが必要となる。また、電力設備などの特定の設備においては、取替工事に伴う設備停止を容易に行なうことができない設備もあり、時間的な制約を受ける場合もある。
【0004】
このような課題への対応として、たとえば、特開2009−75848号公報(特許文献1)のように、既存のアナログ式メータをカメラで撮像し、その撮像データを解析することによってメータの指示値を読取る技術が開発されつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−75848号公報
【特許文献2】特開2003−223693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特開2009−75848号公報(特許文献1)に開示された技術を用いる場合には、アナログ式メータの表示部をカメラで撮像することが必要であるため、一般的には、表示部には照明や太陽光などの光が照射される。
【0007】
可動部であるメータの指針と、固定部である目盛板との間には隙間が設けられているため、照射される光の方向によっては、目盛板に指針の影が投影されてしまう。そうすると、投影された影を指針と誤認識してしまい、メータの指示値が誤って読取られるおそれがある。
【0008】
このような課題に対して、高解像度カメラおよび複雑な画像解析技術を採用することで、真の指針と影とを適切に識別することは可能であるが、このような手法においては、高価な機器が必要であり、かつ処理されるデータ量が多くなるために伝送や処理に時間を要する。そのため、多くの既存設備に対してこのような高価な設備を適用することはコスト等の観点から困難な場合が多い。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、カメラを用いたアナログ式メータの自動読取において、比較的安価な設備を用いて、指針の影に起因する指示値の誤認識を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるアナログ式メータの読取装置は、投光部と、撮像部と、制御部とを備え、固定面と固定面に沿って計測量に応じて変位する可動部とを有する表示部を含むアナログ式メータの指示値を読取る。撮像部は、表示部を撮像して2次元の画像データを生成する。制御部は、撮像部が表示部に対して対向する方向と所定の角度を有する方向から、計測対象範囲において可動部が変位しても撮像部から見て可動部と重なるように投光部から固定面上に線状の光が照射された場合に、照射された線状の光に沿って画像データから抽出した第1の1次元データに基づいて演算された可動部の第1の候補位置、および、画像データに基づいて演算された可動部の第2の候補位置を比較することによって、可動部が指示する指示値を判定する。
【0011】
好ましくは、制御部は、第1の1次元データを構成する複数の画素の輝度信号に少なくとも基づいて、第1の1次元データのうちで可動部に対応する第1の画素を判別するとともに、第2の1次元データを構成する複数の画素の輝度信号に少なくとも基づいて、第2の1次元データのうちで可動部に対応する第2の画素を判別する。そして、制御部は、第1および第2の画素を比較することによって可動部が指示する指示値を判定する。
【0012】
好ましくは、制御部は、第1および第2の1次元データの各々について、対応する1次元データを構成する複数の輝度信号の最大値,最小値および平均値に基づいてしきい値を算出するとともに、算出されたしきい値を基準にして可動部に対応する画素を判別する。
【0013】
好ましくは、制御部は、判別された第1の画素のうちで第2の画素と対応する画素を、可動部に対応する画素として認識し、認識された画素に対応する指示値を可動部が指示する指示値であると判定する。
【0014】
好ましくは、第2の候補位置は、計測対象範囲において可動部が変位しても、撮像部から見て可動部と重なるように固定面上に予め設定された仮想線に沿って画像データから抽出した第2の1次元データに基づいて演算される。
【0015】
好ましくは、アナログ式メータは、指針である可動部が回転中心の周りに回動する指針式メータである。そして、仮想線および線状の光は、回転中心を中心とする円弧および多角形のいずれかである。
【0016】
好ましくは、アナログ式メータは、指針である可動部が回転中心の周りに扇状の動作範囲内を動作する指針式メータである。そして、仮想線および線状の光は、扇状の動作範囲を横切る直線および曲線のいずれかである。
【0017】
好ましくは、読取装置は、制御部で判定された指示値をデータ収集装置に送信するための通信部をさらに備える。
【0018】
本発明によるアナログ式メータについての読取方法は、固定面と固定面に沿って計測量に応じて変位する可動部とを有する表示部を含むアナログ式メータについての読取方法であって、撮像部が表示部に対して正対する方向と所定の角度を有する方向から、計測対象範囲において可動部が変位しても撮像部から見て可動部と重なるように、固定面上に線状の光を照射するステップと、撮像部により表示部を撮像して2次元の画像データを生成するステップと、照射された線状の光に沿って画像データから第1の1次元データを抽出するとともに、抽出された第1の1次元データに基づいて可動部の第1の候補位置を演算するステップと、画像データに基づいて可動部の第2の候補位置を演算するステップと、第1および第2の候補位置に基づいて、可動部が指示する指示値を判定するステップとを備える。
【0019】
第2の候補位置を演算するステップは、計測対象範囲において可動部が変位しても、撮像部から見て可動部と重なるように固定面上に予め設定された仮想線に沿って画像データから第2の1次元データを抽出するとともに、抽出された第2の1次元データに基づいて第2の候補位置を演算する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、カメラを用いたアナログ式メータの自動読取において、比較的安価な設備を用いて、指針の影に起因する指示値の誤認識を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施の形態1に従うアナログ式メータの読取装置を備えた読取システムの全体ブロック図である。
【図2】指針式メータを撮像した画像の第1の例を示す図である。
【図3】指針式メータを撮像した画像の第2の例を示す図である。
【図4】指針式メータにおける照射光の影響を説明するための図である。
【図5】光が照射された場合における指針式メータを撮像したときの画像の例を示す図である。
【図6】実施の形態1による読取装置における指針の識別手法を説明するための図である。
【図7】実施の形態1を適用した場合の、図2の指針式メータを撮像した画像の例を示す図である。
【図8】実施の形態1を適用した場合の、図3の指針式メータを撮像した画像の例を示す図である。
【図9】実施の形態1において、読取装置で実行される指針の識別処理を説明するための図である。
【図10】実施の形態1において、読取装置で実行されるアナログ式メータの指示値判定制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】実施の形態2において、読取装置で実行されるアナログ式メータの指示値判定制御処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0023】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に従うアナログ式メータの読取装置100,100A,100Bを備えた読取システム10の全体ブロック図である。
【0024】
図1を参照して、読取システム10は、読取装置100,100A,100Bと、データ収集装置200とを備える。
【0025】
読取装置は、読取対象のアナログ式メータに対してそれぞれ設けられ、読取られたデータは通信によりデータ収集装置200に伝達される。図1においては、読取システム10が、3つの読取装置100,100A,100Bを備える構成を例として説明するが、読取装置の数はこれに限られず、読取対象のメータの数に応じて適宜設けられる。なお、以降の説明においては、理解を容易にするために、アナログ式メータ50の指示値を読取るための読取装置100を例としてその詳細を説明する。また、図1においては、読取装置100A,100Bの詳細構成は図示されていないが、主要な構成要素は読取装置100と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0026】
読取装置100は、アナログ式メータを撮像するための撮像部110と、撮像された2次元の画像データを処理するための制御部120と、処理されたデータを中央装置であるデータ収集装置200に伝達するための通信部130と、アナログ式メータ50に所定の光を照射するように構成された投光部140とを備える。
【0027】
撮像部110は、カメラ本体部112と、A/D(Analog-to-digital)変換部114とを含む。
【0028】
カメラ本体部112は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサまたはCOMS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどを含んで構成され、読取対象のアナログ式メータ50を撮影可能な位置に配置される。カメラ本体部112は、予め定められた一定時間ごと、またはデータ収集装置200からの指示に従ったタイミングで、アナログ式メータを撮像する。そして、カメラ本体部112は、撮像した2次元のアナログ形式の画像データをA/D変換部114へ出力する。
【0029】
A/D変換部114は、カメラ本体部112から受けたアナログ形式の画像データをデジタル形式に変換し、変換後のデジタル形式の画像データを制御部120へ出力する。
【0030】
制御部120は、記憶部122と、データ生成部124と、判定部126とを含み、A/D変換部114から出力された画像データを処理する。
【0031】
記憶部122は、A/D変換部114から出力された2次元の画像データを、内部バッファあるいは記憶装置(いずれも図示せず)に記憶する。
【0032】
データ生成部124は、アナログ式メータの指示値の読取りを容易にするために、記憶部122に記憶された2次元の画像データから1次元データを生成する。実施の形態1においては、後述するように2つの経路に沿った少なくとも2つの1次元データを生成する。ここで1次元データとしては、画像データの輝度信号や色差信号が含まれる。
【0033】
判定部126は、データ生成部124で生成された、2つの経路に沿った複数の1次元データを受ける。判定部126は、受信した1次元データの各々について、それに含まれる信号の大きさに基づいて、指針式メータの指針に対応する画素位置の候補を判別する。そして、判定部126は、複数の1次元データで判別された候補となる画素位置の比較から、より確からしいと推定される指針に対応する画素位置を決定する。その後、判定部126は、最終的に決定された画素位置に対応する指針の指示値を判定し、判定結果を記憶部122へ記憶する。
【0034】
通信部130は、予め定められたタイミング、あるいは、データ収集装置200からの要求を受けたタイミングで、記憶部122に記憶された指針の指示値に関するデータを取得し、通信回線を介してデータ収集装置200へ送信する。
【0035】
ここで、通信回線は、電気的または光学的配線を用いた有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。また、本システム専用の通信回線であってもよいし、たとえば、電話回線やインターネットなどの公共の通信ネットワークを利用してもよい。
【0036】
データ収集装置200は、たとえばパーソナルコンピュータやサーバなどを含んで構成され、通信部210と、制御部220と、表示装置230と、入出力装置240と、記憶装置250とを含む。
【0037】
通信部210は、各読取装置における通信部(たとえば、通信部130)と通信回線を介してデータの送受信を行なう。
【0038】
表示装置230は、代表的にはディスプレイモニタであり、各読取装置の状態や、記憶装置250に記憶された各種のデータを表示する。
【0039】
入出力装置240は、キーボード、マウス、ジョイスティック、タッチパネルなどを含んで構成され、ユーザからの操作信号を制御部220へ伝達する。
【0040】
記憶装置250は、各読取装置から送信されたメータの指示値に関するデータ、および機器の状態や異常の有無やその履歴などのデータを記憶する。
【0041】
制御部220は、ユーザからの操作信号および受信されるデータを処理し、表示装置230、記憶装置250などの周辺機器を制御する。また、制御部220は、読取システム10の全体の管理を行なう。
【0042】
図2は、指針式メータを撮像した画像300を模式的に示した図である。図2のアナログ式メータは、指針が回転中心の周りに円弧状に回動するタイプのメータであり、図2においては、温度計のメータを例として示す。
【0043】
図2を参照して、指針式メータの表示部310は、数値および目盛などが記載された文字盤320と、測定された温度を指示するための指示針330とを含む。なお、図2および以降の指針式メータを示す図においては、説明を容易にするために、指針が1つの場合を例として説明するが、たとえば、図2の温度計の場合には、温度計が経験した最大温度を指示するデマンド針や、警報器への警報信号の出力レベルを設定するための警報設定針などの、他の複数の指針を含んでもよい。
【0044】
一般的に、アナログ式メータは、可動部が計測量に応じて固定面に沿って変位することによって計測量を表示するものである。図2の指針式メータの場合は、固定面である文字盤に沿って可動部である指針が回転中心回りに回転する。1次元データの抽出は、計測対象範囲における可動部(指針)の可動範囲を考慮して行なわれる。具体的には、まず、可動部が計測対象範囲のどの位置に変位しても、図1のカメラ本体部112から見て、可動部と重なるような仮想線を固定面上に設定する。次に、図1のデータ生成部124において、2次元の画像データから予め設定された仮想線に対応する1次元データを抽出する。
【0045】
図2の場合、仮想線340は、指示針330が回動する回転中心を中心とする円弧状に設定される。これにより、計測対象範囲で、仮想線340は指示針330と交差するので、仮想線340に対応する1次元データに基づいて指示針330の指示値を読取ることができる。また、仮想線340を円弧状に設定することによって、仮想線340上の各点と指示針330が指示する指示値との対応関係が正比例の関係になるので、指示針330の指示値の読取りが容易になる。
【0046】
また、円弧の半径RADは、文字盤320の文字の影響を受けないように、仮想線340が文字盤320の文字と重ならないように設定される。なお、仮想線340は必ずしも円弧上である必要はなく、文字盤320の文字と重ならないような形状であれば、どのような形状に変更してもよい。たとえば、仮想線340は四角形であってもよい。また、文字盤320の文字と指示針330とが異なる色に着色されている場合には、仮想線340は文字盤の文字の位置に関係なく設定することも可能である。
【0047】
また、図2の画像データ300は、図1のカメラ本体部112のレンズを指針式メータ50の表示部310に正対させて、表示部310を撮像したものである。これに対して、斜め方向から表示部310を撮像すると、実際の文字盤320上では円弧上であった仮想線340が、撮像された画像300上では楕円状に扁平するとともに、長軸および短軸の方向が画像300の上下および左右方向から角変位する。したがって、表示部310に正対した位置からのずれ量に応じて、撮像された画像300で、仮想線340の位置および形状を補正する必要がある。たとえば、実際の文字盤320上で特定の3点を予め定め、画像300上においてその特定の3点に対応する画素の位置を調べることによって、仮想線340の補正量を決定することができる。
【0048】
図3は、指針式メータの他の例の画像300Aを示す図である。図3の指針式メータは、図2の指針式メータと同様に、その表示部310Aが、文字盤320Aと、指示針330Aとを含む。図3の指針式メータにおいては、指示針330は、回転中心に対して扇形に動作する。そして、文字盤320Aの目盛は、指示針330の扇形の動作領域の弦に平行な直線上に記載されている。このような指針式メータにおいては、図2における仮想線340に対応する仮想線340Aは、目盛と平行な直線に設定される。あるいは、仮想線340Bのように、扇形の円弧の形状としてもよい。
【0049】
次に、このような読取システムにおける問題点を、図4を用いて説明する。図4を参照して、上記のような読取システムにおいては、カメラ本体部112によりアナログ式メータ50を撮像する必要があるので、一般的に、メータの表示部には太陽光や照明光などの光源400から光が照らされる。アナログ式メータ50においては、通常、目盛などが記載された文字盤52と指示針54との間には多少の隙間が設けられている。そうすると、表示部を照らす光400によって、文字盤52上に指示針54の影56が投影される。
【0050】
そして、光400とカメラ本体部112との位置関係によっては、指示針54の影56が、文字盤52上の真の指示針54からずれた位置に投影される場合がある。特に、たとえば、文字盤52が白地であり、指示針54が黒色に着色されているような場合には、画像データにおいて、真の指示針54と影56とが区別しにくくなる。
【0051】
このような場合に、カメラ本体部112で撮像される画像データの例を図5に示す。図5に示されるように、指示針330とは異なった位置に、あたかも他の指示針であるかのような影350が画像データ上に現れ得る。そうすると、仮想線340に沿って生成した1次元データにおいて、真の指示針330の画素の位置および影350の画素の位置に、指示針の候補になり得るデータが生じることとなり、指示値を誤認識してしまうおそれがある。
【0052】
そこで、実施の形態1における読取装置においては、メータの表示部を照らす光とは異なる光源を用いて、メータの表示部における真の指示針とその影とを識別する識別処理を行なう。
【0053】
図6は、実施の形態1における真の指示針とその影とを識別するための構成を説明するための図である。図6は、アナログ式メータ50の側面方向から見たときの機器配置の概略図である。
【0054】
図6を参照して、読取装置100に含まれる投光部140は、たとえばレーザやLED(Light Emitting Diode)、あるいは赤外線などの光であり、カメラ本体部112によって検知可能な線状の光が照射可能な光源である。投光部140は、カメラ本体部112が読取対象のアナログ式メータ50に対向する方向と所定の角度を有する方向から、アナログ式メータ50の文字盤52へ光を照射するように設置される。図6においては、投光部140は、カメラ本体部112の下方に配置され、アナログ式メータ50に正対する方向に対して仰角θの方向にレーザ光LGTが照射される。
【0055】
図2の例に示したようなアナログ式メータでは、たとえば、図7に示すように、レーザ光LGTの軌跡360が仮想線340と同心円となるように照射される。
【0056】
このとき、図6において、指示針54は、文字盤52よりもカメラ本体部112に近い位置にあるので、指示針54上に現れるレーザ光LGTの軌跡R20は、文字盤52上に現れるレーザ光LGTの軌跡R10とは、ずれた位置となる。
【0057】
これをカメラ本体部112で撮像したときの画像データで見た場合、図7のように、影350の位置におけるレーザ光LGTの軌跡R10は、文字盤320上におけるレーザ光LGTの軌跡360の円周と一致するが、指示針330におけるレーザ光LGTの軌跡R20は、文字盤320上におけるレーザ光LGTの軌跡360の円周とは異なる位置となる。すなわち、文字盤320上におけるレーザ光LGTの軌跡360に沿って見た場合、真の指示針330の位置ではレーザ光が検出されず、影350の位置ではレーザ光が検出されることになる。これによって、文字盤320上におけるレーザ光LGTの軌跡360となるべき円弧に沿った1次元データでは、真の指示針330の位置における輝度信号、色差信号、および/またはその両方が、他の部分のものとは異なった値となり得る。したがって、仮想線340に沿って生成された1次元データと、投光部140から照射された光に沿って生成された1次元データとを比較することにより、真の指示針330とその影350とを識別することが容易となる。
【0058】
また、図3に示したようなアナログ式メータの場合においても、図8のように、投光部140からのレーザ光LGTを、直線状の仮想線340A(あるいは扇形の仮想線340B)に平行に照射し、その照射されたレーザ光の軌跡360Aに沿った1次元データを生成することによって、真の指示針330Aとその影350Aとを識別することができる。
【0059】
このように、メータの表示部を照らす光とは異なる光源を用いて、メータの表示部における真の指示針とその影とを識別する識別処理を行なうことで、高価な高解像度カメラや複雑な画像解析技術を採用することなく、比較的安価に、指示針の影に起因する指示値の誤認識を抑制することが可能となる。
【0060】
図9は、実施の形態1において生成された1次元データの例を示す図である。図9の上段は仮想線に沿って生成された1次元データの輝度信号を示し、下段は投光部140からのレーザ光に沿って生成された1次元データの輝度信号を示している。また、図9の横軸は、1次元データに沿った画素番号が示されており、この画素の位置がメータの指示値に対応している。たとえば、図2における温度計のメータの例においては、画素番号の「150」が50℃を示しており、画素番号の「100」が40℃を示す。
【0061】
図9を参照して、上段の通常光による仮想線に沿った1次元データにおいては、画素番号がN1およびN2の位置における輝度信号が、所定のしきい値TH1より大きくなっており、この画素番号の位置に指示針が存在する可能性のある候補位置として判定される。
【0062】
一方、下段の投光部140からのレーザ光に沿った1次元データにおいては、画素番号N1におけるレーザ光の輝度信号が、所定のしきい値TH2を下回っており、この位置においてはレーザ光が検出されていない。その一方で、画素番号N2においては、輝度信号の低下は見られず、レーザ光が検出されている。すなわち、図7および図8で説明したように、画素番号N1が真の指示針に対応する画素位置であり、画素番号N2が指示針の影に対応する画素位置として識別することができる。
【0063】
なお、上記のしきい値TH1,TH2の設定手法の詳細については、特開2009−75848号公報(特許文献1)等に記載されているので繰り返さないが、たとえば、生成した1次元データを構成する複数の画素の輝度信号について最大値MAX、最小値MINおよび平均値AVEを算出し、これらの値を用いて式(1)によりしきい値THを算出するようにしてもよい。
【0064】
TH=(MAX−MIN)・K1+AVE … (1)
ここで、K1は耐ノイズ性に影響を与える係数であり、指針や文字盤の色、照射光の条件等に基づいて設定される。
【0065】
また、図9は輝度信号に基づいて判定を行なう例について示したが、たとえば、投光部から照射されるレーザ光が赤色レーザのような特定の色を有する場合には、輝度信号に代えて、あるいは輝度信号に加えて色差信号を用いることにより、より正確に指示針の画素位置を特定することが可能となり得る。
【0066】
図10は、実施の形態1において、読取装置で実行される指示値判定制御処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【0067】
図1および図10を参照して、ステップ(以下、ステップをSと略す。)100において、投光部140からレーザ光がアナログ式メータ50に照射される。
【0068】
次に、S110にて、カメラ本体部112によりメータの表示部が撮像される。そして、撮像された2次元の画像データがA/D変換部114にてデジタルデータに変換されるとともに(S120)、変換されたデータが記憶部122に記憶される(S130)。
【0069】
S140にて、データ生成部124によって、記憶部122に記憶された画像データに基づいて仮想線に沿った輝度信号の1次元データが生成される。そして、生成された1次元データを用いて、判定部126によって、指示針の候補となる画素位置IMG1(n)が推定される。
【0070】
さらに、S150にて、データ生成部124によって、記憶部122に記憶された画像データに基づいて投光部140から照射されたレーザ光の文字盤上の軌跡に沿った輝度信号の1次元データが生成される。そして、生成された1次元データを用いて、判定部126によって、指示針の候補となる画素位置IMG2(n)が推定される。
【0071】
次に、S160にて、判定部126によって、推定された画素位置IMG1(n),IMG2(n)を比較することによって、より確からしいと思われる画素位置を真の指示針の位置として判定する。
【0072】
その後、S170にて、判定部126によって、判定された画素位置が対応する指示値に変換され、変換された指示値が記憶部122に記憶される。
【0073】
そして、S180にて、所定のタイミングにおいて、通信部130によって、記憶部122に記憶された指示値に関するデータが、データ収集装置200へ送信される。
【0074】
以上のような処理に従って制御を行なうことによって、カメラを用いたアナログ式メータの自動読取において、真の指針とその影とを識別することが可能となる。本明細書で開示された手法においては、高解像度カメラおよび複雑な画像解析技術が不要であるので、比較的安価な設備を用いて、指針の影に起因する指示値の誤認識を抑制することができる。
【0075】
なお、上述のように、上記の実施の形態においては、指針が1つの場合を例として説明したが、色がそれぞれ異なる複数の指針を有するアナログ式メータにおいても、実施の形態1の技術を適用して複数の指針の影による影響を排除することができる。その場合には、輝度信号に加えて色差信号を用いることによって、得られた1次元データにおける、各々の指針の画素位置を特定することが容易となる。
【0076】
[実施の形態2]
実施の形態1においては、仮想線に沿って抽出した1次元データから演算される指針の候補位置と、投光部から照射された光に沿って抽出した1次元データから演算される指針の候補位置とを比較することによって、真の指針とその影とを識別する構成について説明した。しかしながら、投光部から照射された光に沿って抽出した1次元データから演算される指針の候補位置と比較する他方の候補位置については、上述のような手法に限られず、その他の手法を用いて候補位置を演算する場合においても、本願で提示した技術が適用可能である。
【0077】
たとえば、特開2003−223693号公報(特許文献2)に開示されるように、2次元の画像データから指針部の画像を抽出した抽出データと、指針の位置が特定された基準画像データとのパターンマッチングによって候補位置を演算するようにしてもよい。パターンマッチングの具体的な手法については、特開2003−223693号公報(特許文献2)に開示されているためここでは繰り返さないが、このようなパターンマッチングにおいても、撮像された画像データの二値化処理において、指針の影の部分が誤認識される場合がある。そのため、上述のような投光部から照射された光を用いた候補位置と比較して真の指針とその影とを識別することが有効である。
【0078】
この場合には、図1におけるデータ生成部124において、上記の抽出データおよび基準画像データが生成される。そして、判定部126において、これらのデータをパターンマッチングすることによって指針の候補位置が演算されるとともに、その演算された候補位置が投光部から照射された光に沿って抽出した1次元データから演算される指針の候補位置と比較され、その比較結果に基づいて真の指針による指示値が判定される。
【0079】
図11は、実施の形態2において、読取装置で実行されるアナログ式メータの指示値判定制御処理を説明するためのフローチャートである。
【0080】
図1および図11を参照して、S300において、投光部140からレーザ光がアナログ式メータ50に照射される。
【0081】
次に、S310にて、カメラ本体部112によりメータの表示部が撮像される。そして、撮像された2次元の画像データがA/D変換部114にてデジタルデータに変換されるとともに(S320)、変換されたデータが記憶部122に記憶される(S330)。
【0082】
S340にて、データ生成部124によって、記憶部122に記憶された画像データに基づいて指針部分を示すデータ(抽出データ)が抽出されるとともに、この抽出データと比較するための基準画像データが生成される。そして、これらのデータを用いて、判定部126によって、指示針の候補位置POS1(n)が推定される。
【0083】
さらに、S350にて、データ生成部124によって、記憶部122に記憶された画像データに基づいて投光部140から照射されたレーザ光の文字盤上の軌跡に沿った輝度信号の1次元データが生成される。そして、生成された1次元データを用いて、判定部126によって、指示針の候補位置POS2(n)が推定される。
【0084】
次に、S360にて、判定部126によって、推定された候補位置POS1(n),POS2(n)を比較することによって、より確からしいと思われる真の指示針の位置を判定する。
【0085】
その後、S370にて、判定部126によって、判定された候補位置が対応する指示値に変換され、変換された指示値が記憶部122に記憶される。
【0086】
そして、S380にて、所定のタイミングにおいて、通信部130によって、記憶部122に記憶された指示値に関するデータが、データ収集装置200へ送信される。
【0087】
以上のような処理に従って制御を行なうことによって、パターンマッチングを用いたアナログ式メータの自動読取において、真の指針とその影とを識別することが可能となる。
【0088】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0089】
10 読取システム、50 アナログ式メータ、52,320,320A 文字盤、54 指示針、56,350,350A 影、100,100A,100B 読取装置、110 撮像部、112 カメラ本体部、114 A/D変換部、120,220 制御部、122 記憶部、124 データ生成部、126 判定部、130,210 通信部、140 投光部、200 データ収集装置、230 表示装置、240 入出力装置、250 記憶装置、300,300A 画像、310,310A 表示部、330,330A 指示針、340,340A,340B 仮想線、360,360A 軌跡、400 光源、LGT レーザ光。
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナログ式メータの読取装置および読取方法に関し、より特定的には、アナログ式メータの自動読取における指針の誤認識を防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電力設備やビル設備などの保守管理を行なうために、設備に取り付けられた計測器の値を収集することが必要とされる。ところが、既存の設備におけるこれらの計測器については、デジタル出力端子を有しないものが多く存在する。このようなデジタル出力端子のない計測器の値については、保守点検時に点検者による計測器のメータの読取作業が必要となる。
【0003】
保守点検者の検針作業およびデータ管理の負担を軽減するために、このような既存の計測器をデジタル出力端子付きのメータに取り替える取り組みも行なわれつつあるが、設備数が多く、対象となる設備のすべてに対応するためには、機器購入、取替工事および現地試験等のために多くのコストが必要となる。また、電力設備などの特定の設備においては、取替工事に伴う設備停止を容易に行なうことができない設備もあり、時間的な制約を受ける場合もある。
【0004】
このような課題への対応として、たとえば、特開2009−75848号公報(特許文献1)のように、既存のアナログ式メータをカメラで撮像し、その撮像データを解析することによってメータの指示値を読取る技術が開発されつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−75848号公報
【特許文献2】特開2003−223693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特開2009−75848号公報(特許文献1)に開示された技術を用いる場合には、アナログ式メータの表示部をカメラで撮像することが必要であるため、一般的には、表示部には照明や太陽光などの光が照射される。
【0007】
可動部であるメータの指針と、固定部である目盛板との間には隙間が設けられているため、照射される光の方向によっては、目盛板に指針の影が投影されてしまう。そうすると、投影された影を指針と誤認識してしまい、メータの指示値が誤って読取られるおそれがある。
【0008】
このような課題に対して、高解像度カメラおよび複雑な画像解析技術を採用することで、真の指針と影とを適切に識別することは可能であるが、このような手法においては、高価な機器が必要であり、かつ処理されるデータ量が多くなるために伝送や処理に時間を要する。そのため、多くの既存設備に対してこのような高価な設備を適用することはコスト等の観点から困難な場合が多い。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、カメラを用いたアナログ式メータの自動読取において、比較的安価な設備を用いて、指針の影に起因する指示値の誤認識を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるアナログ式メータの読取装置は、投光部と、撮像部と、制御部とを備え、固定面と固定面に沿って計測量に応じて変位する可動部とを有する表示部を含むアナログ式メータの指示値を読取る。撮像部は、表示部を撮像して2次元の画像データを生成する。制御部は、撮像部が表示部に対して対向する方向と所定の角度を有する方向から、計測対象範囲において可動部が変位しても撮像部から見て可動部と重なるように投光部から固定面上に線状の光が照射された場合に、照射された線状の光に沿って画像データから抽出した第1の1次元データに基づいて演算された可動部の第1の候補位置、および、画像データに基づいて演算された可動部の第2の候補位置を比較することによって、可動部が指示する指示値を判定する。
【0011】
好ましくは、制御部は、第1の1次元データを構成する複数の画素の輝度信号に少なくとも基づいて、第1の1次元データのうちで可動部に対応する第1の画素を判別するとともに、第2の1次元データを構成する複数の画素の輝度信号に少なくとも基づいて、第2の1次元データのうちで可動部に対応する第2の画素を判別する。そして、制御部は、第1および第2の画素を比較することによって可動部が指示する指示値を判定する。
【0012】
好ましくは、制御部は、第1および第2の1次元データの各々について、対応する1次元データを構成する複数の輝度信号の最大値,最小値および平均値に基づいてしきい値を算出するとともに、算出されたしきい値を基準にして可動部に対応する画素を判別する。
【0013】
好ましくは、制御部は、判別された第1の画素のうちで第2の画素と対応する画素を、可動部に対応する画素として認識し、認識された画素に対応する指示値を可動部が指示する指示値であると判定する。
【0014】
好ましくは、第2の候補位置は、計測対象範囲において可動部が変位しても、撮像部から見て可動部と重なるように固定面上に予め設定された仮想線に沿って画像データから抽出した第2の1次元データに基づいて演算される。
【0015】
好ましくは、アナログ式メータは、指針である可動部が回転中心の周りに回動する指針式メータである。そして、仮想線および線状の光は、回転中心を中心とする円弧および多角形のいずれかである。
【0016】
好ましくは、アナログ式メータは、指針である可動部が回転中心の周りに扇状の動作範囲内を動作する指針式メータである。そして、仮想線および線状の光は、扇状の動作範囲を横切る直線および曲線のいずれかである。
【0017】
好ましくは、読取装置は、制御部で判定された指示値をデータ収集装置に送信するための通信部をさらに備える。
【0018】
本発明によるアナログ式メータについての読取方法は、固定面と固定面に沿って計測量に応じて変位する可動部とを有する表示部を含むアナログ式メータについての読取方法であって、撮像部が表示部に対して正対する方向と所定の角度を有する方向から、計測対象範囲において可動部が変位しても撮像部から見て可動部と重なるように、固定面上に線状の光を照射するステップと、撮像部により表示部を撮像して2次元の画像データを生成するステップと、照射された線状の光に沿って画像データから第1の1次元データを抽出するとともに、抽出された第1の1次元データに基づいて可動部の第1の候補位置を演算するステップと、画像データに基づいて可動部の第2の候補位置を演算するステップと、第1および第2の候補位置に基づいて、可動部が指示する指示値を判定するステップとを備える。
【0019】
第2の候補位置を演算するステップは、計測対象範囲において可動部が変位しても、撮像部から見て可動部と重なるように固定面上に予め設定された仮想線に沿って画像データから第2の1次元データを抽出するとともに、抽出された第2の1次元データに基づいて第2の候補位置を演算する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、カメラを用いたアナログ式メータの自動読取において、比較的安価な設備を用いて、指針の影に起因する指示値の誤認識を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施の形態1に従うアナログ式メータの読取装置を備えた読取システムの全体ブロック図である。
【図2】指針式メータを撮像した画像の第1の例を示す図である。
【図3】指針式メータを撮像した画像の第2の例を示す図である。
【図4】指針式メータにおける照射光の影響を説明するための図である。
【図5】光が照射された場合における指針式メータを撮像したときの画像の例を示す図である。
【図6】実施の形態1による読取装置における指針の識別手法を説明するための図である。
【図7】実施の形態1を適用した場合の、図2の指針式メータを撮像した画像の例を示す図である。
【図8】実施の形態1を適用した場合の、図3の指針式メータを撮像した画像の例を示す図である。
【図9】実施の形態1において、読取装置で実行される指針の識別処理を説明するための図である。
【図10】実施の形態1において、読取装置で実行されるアナログ式メータの指示値判定制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】実施の形態2において、読取装置で実行されるアナログ式メータの指示値判定制御処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0023】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に従うアナログ式メータの読取装置100,100A,100Bを備えた読取システム10の全体ブロック図である。
【0024】
図1を参照して、読取システム10は、読取装置100,100A,100Bと、データ収集装置200とを備える。
【0025】
読取装置は、読取対象のアナログ式メータに対してそれぞれ設けられ、読取られたデータは通信によりデータ収集装置200に伝達される。図1においては、読取システム10が、3つの読取装置100,100A,100Bを備える構成を例として説明するが、読取装置の数はこれに限られず、読取対象のメータの数に応じて適宜設けられる。なお、以降の説明においては、理解を容易にするために、アナログ式メータ50の指示値を読取るための読取装置100を例としてその詳細を説明する。また、図1においては、読取装置100A,100Bの詳細構成は図示されていないが、主要な構成要素は読取装置100と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0026】
読取装置100は、アナログ式メータを撮像するための撮像部110と、撮像された2次元の画像データを処理するための制御部120と、処理されたデータを中央装置であるデータ収集装置200に伝達するための通信部130と、アナログ式メータ50に所定の光を照射するように構成された投光部140とを備える。
【0027】
撮像部110は、カメラ本体部112と、A/D(Analog-to-digital)変換部114とを含む。
【0028】
カメラ本体部112は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサまたはCOMS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどを含んで構成され、読取対象のアナログ式メータ50を撮影可能な位置に配置される。カメラ本体部112は、予め定められた一定時間ごと、またはデータ収集装置200からの指示に従ったタイミングで、アナログ式メータを撮像する。そして、カメラ本体部112は、撮像した2次元のアナログ形式の画像データをA/D変換部114へ出力する。
【0029】
A/D変換部114は、カメラ本体部112から受けたアナログ形式の画像データをデジタル形式に変換し、変換後のデジタル形式の画像データを制御部120へ出力する。
【0030】
制御部120は、記憶部122と、データ生成部124と、判定部126とを含み、A/D変換部114から出力された画像データを処理する。
【0031】
記憶部122は、A/D変換部114から出力された2次元の画像データを、内部バッファあるいは記憶装置(いずれも図示せず)に記憶する。
【0032】
データ生成部124は、アナログ式メータの指示値の読取りを容易にするために、記憶部122に記憶された2次元の画像データから1次元データを生成する。実施の形態1においては、後述するように2つの経路に沿った少なくとも2つの1次元データを生成する。ここで1次元データとしては、画像データの輝度信号や色差信号が含まれる。
【0033】
判定部126は、データ生成部124で生成された、2つの経路に沿った複数の1次元データを受ける。判定部126は、受信した1次元データの各々について、それに含まれる信号の大きさに基づいて、指針式メータの指針に対応する画素位置の候補を判別する。そして、判定部126は、複数の1次元データで判別された候補となる画素位置の比較から、より確からしいと推定される指針に対応する画素位置を決定する。その後、判定部126は、最終的に決定された画素位置に対応する指針の指示値を判定し、判定結果を記憶部122へ記憶する。
【0034】
通信部130は、予め定められたタイミング、あるいは、データ収集装置200からの要求を受けたタイミングで、記憶部122に記憶された指針の指示値に関するデータを取得し、通信回線を介してデータ収集装置200へ送信する。
【0035】
ここで、通信回線は、電気的または光学的配線を用いた有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。また、本システム専用の通信回線であってもよいし、たとえば、電話回線やインターネットなどの公共の通信ネットワークを利用してもよい。
【0036】
データ収集装置200は、たとえばパーソナルコンピュータやサーバなどを含んで構成され、通信部210と、制御部220と、表示装置230と、入出力装置240と、記憶装置250とを含む。
【0037】
通信部210は、各読取装置における通信部(たとえば、通信部130)と通信回線を介してデータの送受信を行なう。
【0038】
表示装置230は、代表的にはディスプレイモニタであり、各読取装置の状態や、記憶装置250に記憶された各種のデータを表示する。
【0039】
入出力装置240は、キーボード、マウス、ジョイスティック、タッチパネルなどを含んで構成され、ユーザからの操作信号を制御部220へ伝達する。
【0040】
記憶装置250は、各読取装置から送信されたメータの指示値に関するデータ、および機器の状態や異常の有無やその履歴などのデータを記憶する。
【0041】
制御部220は、ユーザからの操作信号および受信されるデータを処理し、表示装置230、記憶装置250などの周辺機器を制御する。また、制御部220は、読取システム10の全体の管理を行なう。
【0042】
図2は、指針式メータを撮像した画像300を模式的に示した図である。図2のアナログ式メータは、指針が回転中心の周りに円弧状に回動するタイプのメータであり、図2においては、温度計のメータを例として示す。
【0043】
図2を参照して、指針式メータの表示部310は、数値および目盛などが記載された文字盤320と、測定された温度を指示するための指示針330とを含む。なお、図2および以降の指針式メータを示す図においては、説明を容易にするために、指針が1つの場合を例として説明するが、たとえば、図2の温度計の場合には、温度計が経験した最大温度を指示するデマンド針や、警報器への警報信号の出力レベルを設定するための警報設定針などの、他の複数の指針を含んでもよい。
【0044】
一般的に、アナログ式メータは、可動部が計測量に応じて固定面に沿って変位することによって計測量を表示するものである。図2の指針式メータの場合は、固定面である文字盤に沿って可動部である指針が回転中心回りに回転する。1次元データの抽出は、計測対象範囲における可動部(指針)の可動範囲を考慮して行なわれる。具体的には、まず、可動部が計測対象範囲のどの位置に変位しても、図1のカメラ本体部112から見て、可動部と重なるような仮想線を固定面上に設定する。次に、図1のデータ生成部124において、2次元の画像データから予め設定された仮想線に対応する1次元データを抽出する。
【0045】
図2の場合、仮想線340は、指示針330が回動する回転中心を中心とする円弧状に設定される。これにより、計測対象範囲で、仮想線340は指示針330と交差するので、仮想線340に対応する1次元データに基づいて指示針330の指示値を読取ることができる。また、仮想線340を円弧状に設定することによって、仮想線340上の各点と指示針330が指示する指示値との対応関係が正比例の関係になるので、指示針330の指示値の読取りが容易になる。
【0046】
また、円弧の半径RADは、文字盤320の文字の影響を受けないように、仮想線340が文字盤320の文字と重ならないように設定される。なお、仮想線340は必ずしも円弧上である必要はなく、文字盤320の文字と重ならないような形状であれば、どのような形状に変更してもよい。たとえば、仮想線340は四角形であってもよい。また、文字盤320の文字と指示針330とが異なる色に着色されている場合には、仮想線340は文字盤の文字の位置に関係なく設定することも可能である。
【0047】
また、図2の画像データ300は、図1のカメラ本体部112のレンズを指針式メータ50の表示部310に正対させて、表示部310を撮像したものである。これに対して、斜め方向から表示部310を撮像すると、実際の文字盤320上では円弧上であった仮想線340が、撮像された画像300上では楕円状に扁平するとともに、長軸および短軸の方向が画像300の上下および左右方向から角変位する。したがって、表示部310に正対した位置からのずれ量に応じて、撮像された画像300で、仮想線340の位置および形状を補正する必要がある。たとえば、実際の文字盤320上で特定の3点を予め定め、画像300上においてその特定の3点に対応する画素の位置を調べることによって、仮想線340の補正量を決定することができる。
【0048】
図3は、指針式メータの他の例の画像300Aを示す図である。図3の指針式メータは、図2の指針式メータと同様に、その表示部310Aが、文字盤320Aと、指示針330Aとを含む。図3の指針式メータにおいては、指示針330は、回転中心に対して扇形に動作する。そして、文字盤320Aの目盛は、指示針330の扇形の動作領域の弦に平行な直線上に記載されている。このような指針式メータにおいては、図2における仮想線340に対応する仮想線340Aは、目盛と平行な直線に設定される。あるいは、仮想線340Bのように、扇形の円弧の形状としてもよい。
【0049】
次に、このような読取システムにおける問題点を、図4を用いて説明する。図4を参照して、上記のような読取システムにおいては、カメラ本体部112によりアナログ式メータ50を撮像する必要があるので、一般的に、メータの表示部には太陽光や照明光などの光源400から光が照らされる。アナログ式メータ50においては、通常、目盛などが記載された文字盤52と指示針54との間には多少の隙間が設けられている。そうすると、表示部を照らす光400によって、文字盤52上に指示針54の影56が投影される。
【0050】
そして、光400とカメラ本体部112との位置関係によっては、指示針54の影56が、文字盤52上の真の指示針54からずれた位置に投影される場合がある。特に、たとえば、文字盤52が白地であり、指示針54が黒色に着色されているような場合には、画像データにおいて、真の指示針54と影56とが区別しにくくなる。
【0051】
このような場合に、カメラ本体部112で撮像される画像データの例を図5に示す。図5に示されるように、指示針330とは異なった位置に、あたかも他の指示針であるかのような影350が画像データ上に現れ得る。そうすると、仮想線340に沿って生成した1次元データにおいて、真の指示針330の画素の位置および影350の画素の位置に、指示針の候補になり得るデータが生じることとなり、指示値を誤認識してしまうおそれがある。
【0052】
そこで、実施の形態1における読取装置においては、メータの表示部を照らす光とは異なる光源を用いて、メータの表示部における真の指示針とその影とを識別する識別処理を行なう。
【0053】
図6は、実施の形態1における真の指示針とその影とを識別するための構成を説明するための図である。図6は、アナログ式メータ50の側面方向から見たときの機器配置の概略図である。
【0054】
図6を参照して、読取装置100に含まれる投光部140は、たとえばレーザやLED(Light Emitting Diode)、あるいは赤外線などの光であり、カメラ本体部112によって検知可能な線状の光が照射可能な光源である。投光部140は、カメラ本体部112が読取対象のアナログ式メータ50に対向する方向と所定の角度を有する方向から、アナログ式メータ50の文字盤52へ光を照射するように設置される。図6においては、投光部140は、カメラ本体部112の下方に配置され、アナログ式メータ50に正対する方向に対して仰角θの方向にレーザ光LGTが照射される。
【0055】
図2の例に示したようなアナログ式メータでは、たとえば、図7に示すように、レーザ光LGTの軌跡360が仮想線340と同心円となるように照射される。
【0056】
このとき、図6において、指示針54は、文字盤52よりもカメラ本体部112に近い位置にあるので、指示針54上に現れるレーザ光LGTの軌跡R20は、文字盤52上に現れるレーザ光LGTの軌跡R10とは、ずれた位置となる。
【0057】
これをカメラ本体部112で撮像したときの画像データで見た場合、図7のように、影350の位置におけるレーザ光LGTの軌跡R10は、文字盤320上におけるレーザ光LGTの軌跡360の円周と一致するが、指示針330におけるレーザ光LGTの軌跡R20は、文字盤320上におけるレーザ光LGTの軌跡360の円周とは異なる位置となる。すなわち、文字盤320上におけるレーザ光LGTの軌跡360に沿って見た場合、真の指示針330の位置ではレーザ光が検出されず、影350の位置ではレーザ光が検出されることになる。これによって、文字盤320上におけるレーザ光LGTの軌跡360となるべき円弧に沿った1次元データでは、真の指示針330の位置における輝度信号、色差信号、および/またはその両方が、他の部分のものとは異なった値となり得る。したがって、仮想線340に沿って生成された1次元データと、投光部140から照射された光に沿って生成された1次元データとを比較することにより、真の指示針330とその影350とを識別することが容易となる。
【0058】
また、図3に示したようなアナログ式メータの場合においても、図8のように、投光部140からのレーザ光LGTを、直線状の仮想線340A(あるいは扇形の仮想線340B)に平行に照射し、その照射されたレーザ光の軌跡360Aに沿った1次元データを生成することによって、真の指示針330Aとその影350Aとを識別することができる。
【0059】
このように、メータの表示部を照らす光とは異なる光源を用いて、メータの表示部における真の指示針とその影とを識別する識別処理を行なうことで、高価な高解像度カメラや複雑な画像解析技術を採用することなく、比較的安価に、指示針の影に起因する指示値の誤認識を抑制することが可能となる。
【0060】
図9は、実施の形態1において生成された1次元データの例を示す図である。図9の上段は仮想線に沿って生成された1次元データの輝度信号を示し、下段は投光部140からのレーザ光に沿って生成された1次元データの輝度信号を示している。また、図9の横軸は、1次元データに沿った画素番号が示されており、この画素の位置がメータの指示値に対応している。たとえば、図2における温度計のメータの例においては、画素番号の「150」が50℃を示しており、画素番号の「100」が40℃を示す。
【0061】
図9を参照して、上段の通常光による仮想線に沿った1次元データにおいては、画素番号がN1およびN2の位置における輝度信号が、所定のしきい値TH1より大きくなっており、この画素番号の位置に指示針が存在する可能性のある候補位置として判定される。
【0062】
一方、下段の投光部140からのレーザ光に沿った1次元データにおいては、画素番号N1におけるレーザ光の輝度信号が、所定のしきい値TH2を下回っており、この位置においてはレーザ光が検出されていない。その一方で、画素番号N2においては、輝度信号の低下は見られず、レーザ光が検出されている。すなわち、図7および図8で説明したように、画素番号N1が真の指示針に対応する画素位置であり、画素番号N2が指示針の影に対応する画素位置として識別することができる。
【0063】
なお、上記のしきい値TH1,TH2の設定手法の詳細については、特開2009−75848号公報(特許文献1)等に記載されているので繰り返さないが、たとえば、生成した1次元データを構成する複数の画素の輝度信号について最大値MAX、最小値MINおよび平均値AVEを算出し、これらの値を用いて式(1)によりしきい値THを算出するようにしてもよい。
【0064】
TH=(MAX−MIN)・K1+AVE … (1)
ここで、K1は耐ノイズ性に影響を与える係数であり、指針や文字盤の色、照射光の条件等に基づいて設定される。
【0065】
また、図9は輝度信号に基づいて判定を行なう例について示したが、たとえば、投光部から照射されるレーザ光が赤色レーザのような特定の色を有する場合には、輝度信号に代えて、あるいは輝度信号に加えて色差信号を用いることにより、より正確に指示針の画素位置を特定することが可能となり得る。
【0066】
図10は、実施の形態1において、読取装置で実行される指示値判定制御処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【0067】
図1および図10を参照して、ステップ(以下、ステップをSと略す。)100において、投光部140からレーザ光がアナログ式メータ50に照射される。
【0068】
次に、S110にて、カメラ本体部112によりメータの表示部が撮像される。そして、撮像された2次元の画像データがA/D変換部114にてデジタルデータに変換されるとともに(S120)、変換されたデータが記憶部122に記憶される(S130)。
【0069】
S140にて、データ生成部124によって、記憶部122に記憶された画像データに基づいて仮想線に沿った輝度信号の1次元データが生成される。そして、生成された1次元データを用いて、判定部126によって、指示針の候補となる画素位置IMG1(n)が推定される。
【0070】
さらに、S150にて、データ生成部124によって、記憶部122に記憶された画像データに基づいて投光部140から照射されたレーザ光の文字盤上の軌跡に沿った輝度信号の1次元データが生成される。そして、生成された1次元データを用いて、判定部126によって、指示針の候補となる画素位置IMG2(n)が推定される。
【0071】
次に、S160にて、判定部126によって、推定された画素位置IMG1(n),IMG2(n)を比較することによって、より確からしいと思われる画素位置を真の指示針の位置として判定する。
【0072】
その後、S170にて、判定部126によって、判定された画素位置が対応する指示値に変換され、変換された指示値が記憶部122に記憶される。
【0073】
そして、S180にて、所定のタイミングにおいて、通信部130によって、記憶部122に記憶された指示値に関するデータが、データ収集装置200へ送信される。
【0074】
以上のような処理に従って制御を行なうことによって、カメラを用いたアナログ式メータの自動読取において、真の指針とその影とを識別することが可能となる。本明細書で開示された手法においては、高解像度カメラおよび複雑な画像解析技術が不要であるので、比較的安価な設備を用いて、指針の影に起因する指示値の誤認識を抑制することができる。
【0075】
なお、上述のように、上記の実施の形態においては、指針が1つの場合を例として説明したが、色がそれぞれ異なる複数の指針を有するアナログ式メータにおいても、実施の形態1の技術を適用して複数の指針の影による影響を排除することができる。その場合には、輝度信号に加えて色差信号を用いることによって、得られた1次元データにおける、各々の指針の画素位置を特定することが容易となる。
【0076】
[実施の形態2]
実施の形態1においては、仮想線に沿って抽出した1次元データから演算される指針の候補位置と、投光部から照射された光に沿って抽出した1次元データから演算される指針の候補位置とを比較することによって、真の指針とその影とを識別する構成について説明した。しかしながら、投光部から照射された光に沿って抽出した1次元データから演算される指針の候補位置と比較する他方の候補位置については、上述のような手法に限られず、その他の手法を用いて候補位置を演算する場合においても、本願で提示した技術が適用可能である。
【0077】
たとえば、特開2003−223693号公報(特許文献2)に開示されるように、2次元の画像データから指針部の画像を抽出した抽出データと、指針の位置が特定された基準画像データとのパターンマッチングによって候補位置を演算するようにしてもよい。パターンマッチングの具体的な手法については、特開2003−223693号公報(特許文献2)に開示されているためここでは繰り返さないが、このようなパターンマッチングにおいても、撮像された画像データの二値化処理において、指針の影の部分が誤認識される場合がある。そのため、上述のような投光部から照射された光を用いた候補位置と比較して真の指針とその影とを識別することが有効である。
【0078】
この場合には、図1におけるデータ生成部124において、上記の抽出データおよび基準画像データが生成される。そして、判定部126において、これらのデータをパターンマッチングすることによって指針の候補位置が演算されるとともに、その演算された候補位置が投光部から照射された光に沿って抽出した1次元データから演算される指針の候補位置と比較され、その比較結果に基づいて真の指針による指示値が判定される。
【0079】
図11は、実施の形態2において、読取装置で実行されるアナログ式メータの指示値判定制御処理を説明するためのフローチャートである。
【0080】
図1および図11を参照して、S300において、投光部140からレーザ光がアナログ式メータ50に照射される。
【0081】
次に、S310にて、カメラ本体部112によりメータの表示部が撮像される。そして、撮像された2次元の画像データがA/D変換部114にてデジタルデータに変換されるとともに(S320)、変換されたデータが記憶部122に記憶される(S330)。
【0082】
S340にて、データ生成部124によって、記憶部122に記憶された画像データに基づいて指針部分を示すデータ(抽出データ)が抽出されるとともに、この抽出データと比較するための基準画像データが生成される。そして、これらのデータを用いて、判定部126によって、指示針の候補位置POS1(n)が推定される。
【0083】
さらに、S350にて、データ生成部124によって、記憶部122に記憶された画像データに基づいて投光部140から照射されたレーザ光の文字盤上の軌跡に沿った輝度信号の1次元データが生成される。そして、生成された1次元データを用いて、判定部126によって、指示針の候補位置POS2(n)が推定される。
【0084】
次に、S360にて、判定部126によって、推定された候補位置POS1(n),POS2(n)を比較することによって、より確からしいと思われる真の指示針の位置を判定する。
【0085】
その後、S370にて、判定部126によって、判定された候補位置が対応する指示値に変換され、変換された指示値が記憶部122に記憶される。
【0086】
そして、S380にて、所定のタイミングにおいて、通信部130によって、記憶部122に記憶された指示値に関するデータが、データ収集装置200へ送信される。
【0087】
以上のような処理に従って制御を行なうことによって、パターンマッチングを用いたアナログ式メータの自動読取において、真の指針とその影とを識別することが可能となる。
【0088】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0089】
10 読取システム、50 アナログ式メータ、52,320,320A 文字盤、54 指示針、56,350,350A 影、100,100A,100B 読取装置、110 撮像部、112 カメラ本体部、114 A/D変換部、120,220 制御部、122 記憶部、124 データ生成部、126 判定部、130,210 通信部、140 投光部、200 データ収集装置、230 表示装置、240 入出力装置、250 記憶装置、300,300A 画像、310,310A 表示部、330,330A 指示針、340,340A,340B 仮想線、360,360A 軌跡、400 光源、LGT レーザ光。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定面と前記固定面に沿って計測量に応じて変位する可動部とを有する表示部を含むアナログ式メータについての読取装置であって、
投光部と、
前記表示部を撮像して2次元の画像データを生成するための撮像部と、
前記撮像部が前記表示部に対して対向する方向と所定の角度を有する方向から、計測対象範囲において前記可動部が変位しても前記撮像部から見て前記可動部と重なるように前記投光部から前記固定面上に線状の光が照射された場合に、照射された前記線状の光に沿って前記画像データから抽出した第1の1次元データに基づいて演算された前記可動部の第1の候補位置、および、前記画像データに基づいて演算された前記可動部の第2の候補位置を比較することによって、前記可動部が指示する指示値を判定するための制御部とを備える、アナログ式メータの読取装置。
【請求項2】
前記第2の候補位置は、前記計測対象範囲において前記可動部が変位しても、前記撮像部から見て前記可動部と重なるように前記固定面上に予め設定された仮想線に沿って前記画像データから抽出した第2の1次元データに基づいて演算される、請求項1に記載のアナログ式メータの読取装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1の1次元データを構成する複数の画素の輝度信号に少なくとも基づいて、前記第1の1次元データのうちで前記可動部に対応する第1の画素を判別するとともに、前記第2の1次元データを構成する複数の画素の輝度信号に少なくとも基づいて、前記第2の1次元データのうちで前記可動部に対応する第2の画素を判別し、前記第1および第2の画素を比較することによって前記可動部が指示する指示値を判定する、請求項2に記載のアナログ式メータの読取装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1および第2の1次元データの各々について、対応する1次元データを構成する複数の輝度信号の最大値,最小値および平均値に基づいてしきい値を算出するとともに、算出された前記しきい値を基準にして前記可動部に対応する画素を判別する、請求項3に記載のアナログ式メータの読取装置。
【請求項5】
前記制御部は、判別された前記第2の画素のうちで前記第1の画素と対応する画素を、前記可動部に対応する画素として認識し、認識された画素に対応する指示値を前記可動部が指示する指示値であると判定する、請求項4に記載のアナログ式メータの読取装置。
【請求項6】
前記アナログ式メータは、指針である前記可動部が回転中心の周りに回動する指針式メータであり、
前記仮想線および前記線状の光は、前記回転中心を中心とする円弧および多角形のいずれかである、請求項2〜5のいずれか1項に記載のアナログ式メータの読取装置。
【請求項7】
前記アナログ式メータは、指針である前記可動部が回転中心の周りに扇状の動作範囲内を動作する指針式メータであり、
前記仮想線および前記線状の光は、前記扇状の動作範囲を横切る直線および曲線のいずれかである、請求項2〜5のいずれか1項に記載のアナログ式メータの読取装置。
【請求項8】
前記第2の候補位置は、前記画像データから抽出された前記可動部を表わす抽出データと、前記可動部の位置が特定された基準画像データとのパターンマッチングにより演算される、請求項1に記載のアナログ式メータの読取装置。
【請求項9】
前記読取装置は、
前記制御部で判定された前記指示値をデータ収集装置に送信するための通信部をさらに備える、請求項1に記載のアナログ式メータの読取装置。
【請求項10】
固定面と前記固定面に沿って計測量に応じて変位する可動部とを有する表示部を含むアナログ式メータについての読取方法であって、
撮像部が前記表示部に対して正対する方向と所定の角度を有する方向から、計測対象範囲において前記可動部が変位しても前記撮像部から見て前記可動部と重なるように、前記固定面上に線状の光を照射するステップと、
前記撮像部により前記表示部を撮像して2次元の画像データを生成するステップと、
照射された前記線状の光に沿って前記画像データから第1の1次元データを抽出するとともに、抽出された前記第1の1次元データに基づいて前記可動部の第1の候補位置を演算するステップと、
前記画像データに基づいて前記可動部の第2の候補位置を演算するステップと、
前記第1および第2の候補位置に基づいて、前記可動部が指示する指示値を判定するステップとを備える、アナログ式メータの読取方法。
【請求項11】
前記第2の候補位置を演算するステップは、前記計測対象範囲において前記可動部が変位しても、前記撮像部から見て前記可動部と重なるように前記固定面上に予め設定された仮想線に沿って前記画像データから第2の1次元データを抽出するとともに、抽出された前記第2の1次元データに基づいて前記第2の候補位置を演算する、請求項10に記載のアナログ式メータの読取方法。
【請求項1】
固定面と前記固定面に沿って計測量に応じて変位する可動部とを有する表示部を含むアナログ式メータについての読取装置であって、
投光部と、
前記表示部を撮像して2次元の画像データを生成するための撮像部と、
前記撮像部が前記表示部に対して対向する方向と所定の角度を有する方向から、計測対象範囲において前記可動部が変位しても前記撮像部から見て前記可動部と重なるように前記投光部から前記固定面上に線状の光が照射された場合に、照射された前記線状の光に沿って前記画像データから抽出した第1の1次元データに基づいて演算された前記可動部の第1の候補位置、および、前記画像データに基づいて演算された前記可動部の第2の候補位置を比較することによって、前記可動部が指示する指示値を判定するための制御部とを備える、アナログ式メータの読取装置。
【請求項2】
前記第2の候補位置は、前記計測対象範囲において前記可動部が変位しても、前記撮像部から見て前記可動部と重なるように前記固定面上に予め設定された仮想線に沿って前記画像データから抽出した第2の1次元データに基づいて演算される、請求項1に記載のアナログ式メータの読取装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1の1次元データを構成する複数の画素の輝度信号に少なくとも基づいて、前記第1の1次元データのうちで前記可動部に対応する第1の画素を判別するとともに、前記第2の1次元データを構成する複数の画素の輝度信号に少なくとも基づいて、前記第2の1次元データのうちで前記可動部に対応する第2の画素を判別し、前記第1および第2の画素を比較することによって前記可動部が指示する指示値を判定する、請求項2に記載のアナログ式メータの読取装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1および第2の1次元データの各々について、対応する1次元データを構成する複数の輝度信号の最大値,最小値および平均値に基づいてしきい値を算出するとともに、算出された前記しきい値を基準にして前記可動部に対応する画素を判別する、請求項3に記載のアナログ式メータの読取装置。
【請求項5】
前記制御部は、判別された前記第2の画素のうちで前記第1の画素と対応する画素を、前記可動部に対応する画素として認識し、認識された画素に対応する指示値を前記可動部が指示する指示値であると判定する、請求項4に記載のアナログ式メータの読取装置。
【請求項6】
前記アナログ式メータは、指針である前記可動部が回転中心の周りに回動する指針式メータであり、
前記仮想線および前記線状の光は、前記回転中心を中心とする円弧および多角形のいずれかである、請求項2〜5のいずれか1項に記載のアナログ式メータの読取装置。
【請求項7】
前記アナログ式メータは、指針である前記可動部が回転中心の周りに扇状の動作範囲内を動作する指針式メータであり、
前記仮想線および前記線状の光は、前記扇状の動作範囲を横切る直線および曲線のいずれかである、請求項2〜5のいずれか1項に記載のアナログ式メータの読取装置。
【請求項8】
前記第2の候補位置は、前記画像データから抽出された前記可動部を表わす抽出データと、前記可動部の位置が特定された基準画像データとのパターンマッチングにより演算される、請求項1に記載のアナログ式メータの読取装置。
【請求項9】
前記読取装置は、
前記制御部で判定された前記指示値をデータ収集装置に送信するための通信部をさらに備える、請求項1に記載のアナログ式メータの読取装置。
【請求項10】
固定面と前記固定面に沿って計測量に応じて変位する可動部とを有する表示部を含むアナログ式メータについての読取方法であって、
撮像部が前記表示部に対して正対する方向と所定の角度を有する方向から、計測対象範囲において前記可動部が変位しても前記撮像部から見て前記可動部と重なるように、前記固定面上に線状の光を照射するステップと、
前記撮像部により前記表示部を撮像して2次元の画像データを生成するステップと、
照射された前記線状の光に沿って前記画像データから第1の1次元データを抽出するとともに、抽出された前記第1の1次元データに基づいて前記可動部の第1の候補位置を演算するステップと、
前記画像データに基づいて前記可動部の第2の候補位置を演算するステップと、
前記第1および第2の候補位置に基づいて、前記可動部が指示する指示値を判定するステップとを備える、アナログ式メータの読取方法。
【請求項11】
前記第2の候補位置を演算するステップは、前記計測対象範囲において前記可動部が変位しても、前記撮像部から見て前記可動部と重なるように前記固定面上に予め設定された仮想線に沿って前記画像データから第2の1次元データを抽出するとともに、抽出された前記第2の1次元データに基づいて前記第2の候補位置を演算する、請求項10に記載のアナログ式メータの読取方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−104032(P2012−104032A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253949(P2010−253949)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【Fターム(参考)】
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