説明

アニーリング用治具

【課題】パーフルオロアルコキシアルカン材製の製品をアニーリングを行う際の腐食が無く、汚れや変形及び傷を最小限に抑えることができるアニーリング用治具を提供すること。
【解決手段】嵌合部(接続部)21を有するパーフルオロアルコキシアルカン材製の製品20をアニーリングする際に用いるアニーリング用治具10において、嵌合部21に嵌合する治具本体(第1円柱部)11を備え、治具本体11はポリテトラフルオロエチレン材製とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製品のアニーリングに用いるアニーリング用治具に関し、特に樹脂製品の形状を高精度に維持できる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形によって製造された樹脂製品は、成形時に内部残留ひずみが発生することがある。この内部残留ひずみを除去するため、数時間から半日程度のアニーリング処理が行われる(例えば、特許文献1参照)。この際、熱によって樹脂製品が変形し、例えば嵌合によって接続される部分の形状精度(例えば真円度)が低下し、シール性が失われる虞があった。このため、金属材の治具を精度が必要な部分に取り付けることで、形状精度を高めることが行われていた。
【特許文献1】特開2005−247643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したアニーリング用治具では、次のような問題があった。すなわち、金属材の治具であると、アニーリングの際に樹脂から腐食性ガスが発生し、治具が腐食したり、膨張率の違いにより変形したり、樹脂の熱収縮により、治具との摩擦抵抗が大きくなり樹脂製品に傷が付く虞があった。また、錆によって樹脂製品20に汚れが付着する虞があった。
【0004】
そこで本発明は、アニーリングを行う際の腐食がなく、汚れや変形及び傷を最小限に抑えることができるアニーリング用治具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明のアニーリング用治具は次のように構成されている。
【0006】
嵌合部を有するパーフルオロアルコキシアルカン材製の製品をアニーリングする際に用いるアニーリング用治具において、上記嵌合部に嵌合する治具本体を備え、上記治具本体はポリテトラフルオロエチレン材製であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、アニーリングを行う際の腐食がなく、汚れや変形を最小限に抑えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は本発明の一実施の形態に係るアニーリング用治具10及びこのアニーリング用治具10を用いてアニーリング処理される樹脂製品20を示す斜視図である。
【0009】
アニーリング用治具10は、後述する接続部21の内径に嵌合する第1円柱部(治具本体)11と、この第1円柱部11よりも大径の第2円柱部12とを備えている。アニーリング用治具10は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)材製である。
【0010】
樹脂製品20には、他の樹脂製品(不図示)が嵌合接続されるための接続部(嵌合部)21が形成されている。樹脂製品20はPFA(パーフルオロアルコキシアルカン)材製である。
【0011】
このように構成されたアニーリング用治具10は、図2に示すように、第1円柱部11が樹脂製品20の接続部21の内径側に嵌合される。この状態でアニーリング処理が行われる。PFA材製の樹脂製品20のアニーリング処理は300℃以下で行われる。PFAとPTFEとは膨張率がほぼ等しい。
【0012】
PFA製の樹脂製品20はアニーリング処理中に腐食ガスを発生する。このとき、PTFEはこの腐食ガスによって腐食されない。また、PTFEは300℃以上でも変形せず、またPFAとPTFEとは膨張率がほぼ等しいため、形状精度が低下することはない。PTFEは発ガス性が無いため、樹脂製品20の品質に悪影響を与えない。さらに、PTFEは表面平滑性があるため、滑りが良く樹脂製品20に傷をつけないという利点がある。また、金属製の治具を用いたときに発生する錆による汚れも発生しない。
【0013】
上述したように、本実施の形態に係るアニーリング用治具10によれば、樹脂製品20としてPFA材のものを用いた場合であっても、アニーリング時に腐食性ガスが発生してもアニーリング用治具10は腐食されず、また高温によっても変形しないため、樹脂製品20の接続部21の形状精度を保ちながら、残留応力を除去し熱収縮をさせ、形状を安定化することができる。このため、シール性を維持することができる。さらに、アニーリング用治具10からガスが発生することがなく、また、表面平滑性により樹脂製品20の品質を高く保つことができる。
【0014】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した例では、円筒部分を有する樹脂製品に適用するため、円柱状の治具を用いたが、樹脂製品に嵌合する形状であればこれに限られない。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態に係るアニーリング用治具及び樹脂製品を示す斜視図。
【図2】同アニーリング用治具を樹脂製品に嵌合した状態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0016】
10…アニーリング用治具、11…第1円柱部(治具本体)、12…第2円柱部、20…樹脂製品、21…接続部(嵌合部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
嵌合部を有するパーフルオロアルコキシアルカン材製の製品をアニーリングする際に用いるアニーリング用治具において、
上記嵌合部に嵌合する治具本体を備え、上記治具本体はポリテトラフルオロエチレン材製であることを特徴とするアニーリング用治具。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−196641(P2007−196641A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−21192(P2006−21192)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(000140890)ミライアル株式会社 (74)
【Fターム(参考)】