説明

アプリケーション判別装置及びアプリケーション判別方法

【課題】現時点では未だ普及していないが、将来広く普及する可能性があるアプリケーションを判別すること。
【解決手段】アプリケーション判別装置は、利用履歴情報をユーザから受信し、利用履歴情報を利用して、アプリケーション(アプリ)の特定のカテゴリについて、所定の基準を満たすユーザを判別し、リリース後一定期間内のアプリの中で、所定の基準を満たすユーザによる使用率が所定値以上であるアプリを判別する。所定の基準は、アプリをダウンロードした時点が、リリース後一定期間内であること、ダウンロードした時点において、そのアプリが配信サーバから所定回数以上配信されていないこと、特定のカテゴリのアプリを所定回数以上検索したこと、及び特定のカテゴリのアプリを所定個数以上ダウンロードしたことの内の1つ以上の条件を満たし、かつアプリを利用した回数が所定回数以上であることである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アプリケーション判別装置及びアプリケーション判別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の通信端末は、単に通信を行うだけでなく、様々なアプリケーションをサーバからダウンロードし、実行することができる。通信端末は、具体的には、携帯電話、情報端末、スマートフォン、ノート型パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ等であるが、これらに限定されない。通信端末にダウンロードすることが可能なアプリケーションは、極めて多数存在するので、アプリケーションの提供者(プロバイダ)は、様々なアプリケーションを評価し、適切なアプリケーションをユーザに推薦する必要がある。通信端末のユーザにアプリケーションを推薦することについては、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−157207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アプリケーションを評価する方法として、人気によるランキングを利用する方法や、アプリケーションの評判情報(レビュー)を利用する方法等がある。ランキングやレビューに基づいてアプリケーションを評価する場合、評価する時点において既に広く普及しているアプリケーションが高く評価される傾向がある。したがって、現時点では未だ普及していないが、将来広く普及する可能性がある新着アプリケーションは、低く評価される傾向がある。このため、新着アプリケーションが如何に優れていたとしても、それが広く普及し、優れたアプリケーションによる恩恵を多くのユーザが享受できるようになるまでに、非常に長い時間がかかってしまう問題がある。
【0005】
本発明の課題は、現時点では未だ普及していないが、将来広く普及する可能性があるアプリケーションを判別することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態によるアプリケーション判別装置は、
アプリケーションのダウンロード及び利用履歴に関する利用履歴情報をユーザから受信する受信部と、
前記利用履歴情報を利用して、アプリケーションの特定のカテゴリについて、所定の基準を満たすユーザを判別するユーザ層判別部と、
前記特定のカテゴリに属しかつリリース後一定期間内であるアプリケーションの中で、前記所定の基準を満たすユーザによる使用率が所定値以上であるアプリケーションを判別するアプリケーション判別部と
を有するアプリケーション判別装置である。前記所定の基準は、
アプリケーションをダウンロードした時点が、該アプリケーションのリリース後一定期間内であること、
アプリケーションを配信サーバからダウンロードした時点において、該アプリケーションが該配信サーバから所定回数以上配信されていないこと、
特定のカテゴリのアプリケーションをユーザが所定回数以上検索したこと、及び
特定のカテゴリのアプリケーションをユーザが所定個数以上ダウンロードしたこと
の内の1つ以上の条件を満たし、かつアプリケーションを利用した回数が所定回数以上であることである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一形態によれば、現時点では未だ普及していないが、将来広く普及する可能性があるアプリケーションを判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】通信システムを示す図。
【図2】通信端末の機能ブロック図。
【図3】配信サーバの機能ブロック図。
【図4】利用履歴情報から抽出された情報の一例を示す図。
【図5】実施例における動作例を示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の観点から実施例を説明する。
【0010】
1.イノベーター理論
2.システム
3.通信端末
4.アプリケーション判別装置
5.動作例
【実施例1】
【0011】
<1.イノベーター理論>
本実施例は、イノベーター理論に基づいて、アプリケーションを利用しているユーザをいくつかの層(レイヤ、グループ、タイプ、種類等と呼ばれてもよい)に分類し、ある特定の層で使用率が高いアプリケーションを見出すことで、将来広く普及する可能性があるアプリケーションを判別する。
【0012】
イノベーター理論とは、1962年に米国のスタンフォード大学の社会学者、エベレット・M・ロジャース教授(Everett M.Rogers)により提唱されたイノベーション普及に関する理論である。イノベーター理論では、新製品を購入する又は受け入れる際のユーザ又は消費者の態度に基づいて、ユーザは、講学上、以下の5つの層に分類される。
【0013】
1.イノベーター(Innovators:革新者):
冒険心にあふれ、新しいものを進んで採用するユーザ。市場全体の約2.5%を占める。
【0014】
2.アーリーアダプタ(Early Adopters:初期採用者):
流行に敏感であり、情報収集を自ら行って新製品を購入するか否か(又は受け入れるか否か)を判断するユーザ。製品の機能を重視する傾向がある。他のユーザへの影響力が大きく、オピニオンリーダーとも呼ばれる。市場全体の約13.5%を占める。
【0015】
3.アーリーマジョリティ(Early Majority:前期追随者):
比較的慎重派なユーザ。平均より早くに新しいものを取り入れる。新製品に興味を持っているが、自ら情報収集するには至らない。製品のデザインを重視する傾向がある。ブリッジピープルとも呼ばれる。市場全体の約34.0%を占める。
【0016】
4.レイトマジョリティ(Late Majority:後期追随者):
比較的懐疑的なユーザ。周囲の大多数が使用していることを確認した後で、自分も使用してみる。フォロワーズとも呼ばれる。市場全体の約34.0%を占める。
【0017】
5.ラガード(Laggards:遅滞者):
最も保守的なユーザ。流行や世の中の動きに関心が薄い。新製品が遍く普及するまで採用しない。伝統主義者とも呼ばれる。市場全体の約16.0%を占める。
【0018】
本実施例では、混乱のおそれがない限り、上記のイノベーター及びアーリーアダプタの2つの層を合わせてアーリーアダプタ層と言及することにする。すなわち、本実施例におけるアーリーアダプタ層は、新製品の受け入れが早い上位16.0%のユーザである。
【0019】
イノベーター理論によれば、新製品は、先ずアーリーアダプタ層に広まり、次にアーリーマジョリティ層に広まり、次にレイトマジョリティ層に広まり、最後にラガード層に広まる。したがって、新製品が広く普及するか否かは、先ずアーリーアダプタ層で新製品が受け入れられているか否かにより判別できる。本実施例の場合、新製品とは新しいアプリケーション(新着アプリケーション)であり、受け入れるとは、ダウンロードして何回も使うことである。
【0020】
本実施例は、アーリーアダプタ層で使用率が高いアプリケーションを見出すことで、将来広く普及する可能性があるアプリケーションを判別する。普及する可能性があると判別されたアプリケーションは、例えば、アーリーマジョリティ層のユーザに推薦される。アーリーマジョリティ層のユーザは、新製品に興味を持っているが、自らは情報収集を行わないので、普及する可能性があるアプリケーションをこの層のユーザに推薦することで、普及を促すことができる。なお、「インフルエンサ」と呼ばれるユーザは、他のユーザの消費行動や考え方に大きな影響を及ぼすので、そのようなアプリケーションをインフルエンサに使用してもらうことで、優れたアプリケーションの普及をさらに加速することも考えられる。
【0021】
<2.システム>
図1は、実施例で使用される通信システム1を示す。通信システム1は、通信端末10、移動通信網20、配信サーバ30及びアプリケーション管理サーバ40を有する。通信端末10は、移動通信網20を介して配信サーバ30と通信を行う。配信サーバ30は、本実施例によるアプリケーション判別装置としても機能する。配信サーバ30は必要に応じてアプリケーション管理サーバ40と通信する。アプリケーション管理サーバ40は、プロバイダが提供可能な様々なアプリケーションを有し、配信サーバ30からの要請に応じてアプリケーションを提供する。なお、図示の例ではアプリケーション管理サーバ40が、配信サーバ30とは別のネットワーク要素であるように示されているが、このことは必須ではなく、配信サーバ30の中にアプリケーション管理サーバ40が存在してもよい。
【0022】
<3.通信端末>
図2は、通信端末10の機能ブロック図を示す。図2には、通信端末10に備わる様々な機能要素の内、本実施例に特に関連するものが示されている。通信端末10は、配信サーバ30と通信することができ、特に、配信サーバ30からアプリケーションをダウンロードして実行することができる適切な如何なる通信端末でもよい。通信端末10は、移動端末でも固定端末でもよく、具体的には、携帯電話、情報端末、スマートフォン、ノート型パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ等であるが、これらに限定されない。図示の通信端末10は、送受信部202、利用履歴情報管理部204及び表示部206を少なくとも有する。
【0023】
送受信部202は、通信端末10の受信部としての機能及び送信部としての機能を有する。送受信部202は、移動通信網を介して配信サーバからアプリケーション及びその他の信号を受信する。その他の信号には、例えば、ユーザが何らかのアプリケーションをダウンロードすることを促すレコメンド信号が含まれる。また、送受信部202は、移動通信網を介して配信サーバに信号を送信する。送信される信号は、例えば、利用履歴情報を含む。
【0024】
利用履歴情報管理部204は、利用履歴情報を取得及び管理する。利用履歴情報は、一定の頻度で配信サーバに報告されてもよいし、ユーザや配信サーバ等からの要求に応じて報告されてもよい。利用履歴情報を一定の頻度で報告する場合の頻度は、例えば、時間、日、週、月等の適切な如何なる頻度でもよい。配信サーバが最新情報を蓄積すること、及び通信端末10に保存する利用履歴情報の情報量を少なくする等の観点からは、高い頻度で報告されることが望ましい。ネットワークリソースの有効利用の観点からは、必要に応じて報告されることが望ましい。
【0025】
本実施例における利用履歴情報は、アプリケーションの利用履歴に関する情報に加えて、アプリケーションのダウンロードに関する情報を含む。例えば、利用履歴情報は、アプリケーションの名称、アプリケーションのカテゴリ(ジャンル)、アプリケーションがリリースされた日、アプリケーションをダウンロードした日時、その日時においてそのアプリケーションが既に他のユーザにダウンロードされている数、アプリケーションをインストールした日時、アプリケーションを起動した日時、起動回数、アプリケーションを削除した日時、アプリケーションの利用回数、特定のカテゴリのアプリケーションを検索した回数、特定のカテゴリのアプリケーションをダウンロード又はインストールしている総数等を示す情報を含む。これら列挙された情報は一例にすぎず、他の情報が利用履歴情報に含まれてもよい。
【0026】
表示部206は、視覚的なユーザインターフェースの機能を果たす。表示部210は、具体的には、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、有機ELパネル等であるが、これらに限定されない。本実施例における表示部210は、接触感知式の透明パネルを有するタッチスクリーンを実現し、ユーザの指又はスタイラスの動きで画面の表示を制御することができる。表示部210は、文字、図形、記号、静止画像、動画像等を表示することができ、例えば、アプリケーションを表すアイコンが画面上に表示される。
【0027】
なお、表示部210のような視覚的なユーザインターフェースだけでなく、他のユーザインターフェースが、通信端末10に備わっていてもよい。例えば、キーパッド、制御パネル、キーボード、タッチパッド、マウス、トラックボール、マイクロフォン、スピーカ等が通信端末10に備わっていてもよい。
【0028】
<4.アプリケーション判別装置>
図3は、配信サーバ30の機能ブロック図を示す。配信サーバ30は、ユーザにアプリケーションを推薦及び提供する機能に加えて、以下で説明するアプリケーション判別装置としても機能する。アプリケーション判別装置としての機能が、配信サーバ30に備わっていることは必須ではなく、アプリケーション判別装置が配信サーバ30とは別個に存在してもよい。ただし、配信サーバもアプリケーション判別装置もユーザの利用履歴情報を使用するので、アプリケーション判別装置としての機能が、配信サーバ30に備わっていることが好ましい。図3には、配信サーバ30に備わる様々な機能要素の内、アプリケーション判別装置に特に関連するものが示されている。配信サーバ30は、アプリケーション管理サーバ40に記憶されているアプリケーションを検索し、移動通信網20を介して通信端末10のユーザにアプリケーションを推薦し、ユーザからの指示に応じてアプリケーションを提供する。図示の配信サーバ30は、送受信部302、利用履歴情報格納部304、利用履歴情報管理部306、ユーザ層判別部308及びアプリケーション判別部310を少なくとも有する。
【0029】
送受信部302は、配信サーバ30の受信部としての機能及び送信部としての機能を有する。送受信部302は、移動通信網20を介して通信端末10からの信号を受信する。受信する信号には、例えば、上記の利用履歴情報が含まれる。利用履歴情報は、配信サーバ30に接続されている複数の通信端末各々から受信される。送受信部302は、ユーザに推薦することに決まったアプリケーションについて、そのアプリケーションのダウンロードを勧めるレコメンド信号を作成し、ユーザに送信する。
【0030】
利用履歴情報格納部304は、配信サーバ30で使用されるパラメータ、計算結果及びその他の情報を格納することに加えて、本実施例では、特に、各ユーザから受信した利用履歴情報を格納する。
【0031】
利用履歴情報管理部306は、利用履歴情報格納部304に格納されている情報から、ユーザ層を判別するための情報を抽出、作成及び管理する。例えば、ある1人のユーザの利用履歴情報から、アプリケーション名、アプリケーションのカテゴリ(ジャンル)、アプリケーションがリリースされた日、アプリケーションをダウンロードした日、アプリケーションを削除した日、アプリケーションをダウンロードした日時においてそのアプリケーションが既にいくつダウンロードされていたかを示す数、及びアプリケーションの利用回数の情報を、例えば図4に示すようにして管理する。この情報をどのように利用するかについては後述する。
【0032】
ユーザ層判別部308は、利用履歴情報管理部306が管理している情報を利用して、ユーザが所定の基準に合致するか否かにしたがって、そのユーザがイノベーター理論におけるどの層に該当するかを判別する。層の判別は、アプリケーションのカテゴリ毎に行われる。所定の基準としては、適切な如何なる基準が使用されてもよい。本実施例では、特に、アーリーアダプタ層に該当するユーザを判別することが重要である。上述したように、アーリーアダプタ層(イノベーター及びアーリーアダプタ双方を含む)のユーザは、自ら情報を収集し、新規で機能的に優れたアプリケーションを早期に受け入れる傾向がある。したがって、例えば、以下の条件パラメータの1つ以上を使用して所定の基準を規定することができる。
【0033】
(条件パラメータ1)
特定のカテゴリのアプリケーションがリリースされた後、ユーザがそのアプリケーションをダウンロードした時点までの期間。アーリーアダプタ層に該当するユーザは、新着アプリケーションに興味を有する。したがって、この期間が短いほど、ユーザは、アーリーアダプタ層に該当しやすい。逆に、この期間が長くなるほど、そのユーザは、アーリーマジョリティ層、レイトマジョリティ層及びラガード層に該当しやすい。例えば、その期間が2週間未満ならば、そのユーザはアーリーアダプタ層に該当する候補となり、その期間が2週間以上6週間未満ならば、そのユーザはアーリーマジョリティ層に該当する候補となり、その期間が6週間以上10週間未満ならば、そのユーザはレイトマジョリティ層に該当する候補となり、その期間が10週間以上ならば、そのユーザはラガード層に該当する候補になると判断してもよい。これらの数値例は便宜的な一例にすぎず、適切な如何なる数値が使用されてもよい。
【0034】
(条件パラメータ2)
特定のカテゴリのアプリケーションをユーザが配信サーバ30からダウンロードした時点において、そのアプリケーションを配信サーバ30が既に配信した回数(他ユーザがダウンロードした回数)。この配信回数は、アプリケーションの新しさに関連し、ダウンロードしたアプリケーションが新しいほど、その時点で過去に配信されている配信回数は少ない。したがって、その配信回数が少ないほど、そのユーザはアーリーアダプタ層に該当しやすく、逆に、その配信回数が多いほど、そのユーザは、アーリーマジョリティ層、レイトマジョリティ層及びラガード層に該当しやすい。例えば、配信回数が5000個未満ならば、そのユーザはアーリーアダプタ層に該当する候補となり、配信回数が5000個以上15000個未満ならば、そのユーザはアーリーマジョリティ層に該当する候補となり、配信回数が15000個以上25000個未満ならば、そのユーザはレイトジョリティ層に該当する候補となり、配信回数が25000個以上ならば、そのユーザはラガード層に該当する候補になると判断してもよい。これらの数値例も便宜的な一例にすぎず、適切な如何なる数値が使用されてもよい。
【0035】
(条件パラメータ3)
特定のカテゴリのアプリケーションを検索した回数。この回数は、ユーザの情報収集能力及び操作能力の高さに関連し、検索回数が多いほど、ユーザの情報収集能力や操作能力は高くなる傾向がある。アーリーアダプタ層に該当するユーザは、新着アプリケーションに対する情報収集能力が高く、端末を操作する能力も高い。したがって、検索回数が多いほど、そのユーザはアーリーアダプタ層に該当しやすい。逆に、検索回数が少ないほど、そのユーザは、アーリーマジョリティ層、レイトマジョリティ層及びラガード層に該当しやすい。例えば、1週間のような一定期間内の検索回数が200回以上ならば、そのユーザはアーリーアダプタ層に該当する候補となり、検索回数が200回未満120回以上ならば、そのユーザはアーリーマジョリティ層に該当する候補となり、検索回数が120回未満40回以上ならば、そのユーザはレイトジョリティ層に該当する候補となり、検索回数が40回未満ならば、そのユーザはラガード層に該当する候補になると判断してもよい。これらの数値例も便宜的な一例にすぎず、適切な如何なる数値が使用されてもよい。
【0036】
(条件パラメータ4)
特定のカテゴリのアプリケーションをダウンロードした累積個数。この累積個数は、ユーザが保有しているアプリケーションの総数であり、ユーザの情報収集能力の高さに関連し、累積個数が多いほど、ユーザの情報収集能力は高くなる傾向がある。アーリーアダプタ層に該当するユーザは、新規のアプリケーションに対する情報収集能力が高く、多くのアプリケーションを保有している。したがって、保有数、すなわち累積個数が多いほど、そのユーザはアーリーアダプタ層に該当しやすい。さらに、保有数、すなわち累積個数が多いほど、そのユーザは、将来有望なアプリケーションを保有している可能性が高い。逆に、累積個数が少ないほど、そのユーザは、アーリーマジョリティ層、レイトマジョリティ層及びラガード層に該当しやすい。例えば、累積個数が100個以上ならば、そのユーザはアーリーアダプタ層に該当する候補となり、累積個数が100個未満50個以上ならば、そのユーザはアーリーマジョリティ層に該当する候補となり、累積個数が50個未満20個以上ならば、そのユーザはレイトジョリティ層に該当する候補となり、累積個数が20個未満ならば、そのユーザはラガード層に該当する候補になると判断してもよい。これらの数値例も便宜的な一例にすぎず、適切な如何なる数値が使用されてもよい。
【0037】
(条件パラメータ5)
特定のカテゴリのアプリケーションを利用した回数。利用回数は、ユーザの端末操作能力の高さに関連し、利用回数が多いほど、ユーザの端末操作能力は高くなる傾向がある。アーリーアダプタ層に該当するユーザは、端末操作能力が高く、優れた機能を有する新規のアプリケーションに興味を有する。したがって、利用回数が多いほど、そのユーザはアーリーアダプタ層に該当しやすい。逆に、利用回数が少ないほど、そのユーザは、アーリーマジョリティ層、レイトマジョリティ層及びラガード層に該当しやすい。例えば、1週間のような単位時間当たりの利用回数が75回以上ならば、そのユーザはアーリーアダプタ層に該当する候補となり、利用回数が75回未満45回以上ならば、そのユーザはアーリーマジョリティ層に該当する候補となり、利用回数が45回未満15回以上ならば、そのユーザはレイトジョリティ層に該当する候補となり、利用回数が15回個未満ならば、そのユーザはラガード層に該当する候補となると判断してもよい。これらの数値例も便宜的な一例にすぎず、適切な如何なる数値が使用されてもよい。
【0038】
ユーザ層判別部308は、上記の条件パラメータ1−5の内の1つ以上を利用して又は他の条件パラメータを使用して所定の基準を規定し、ユーザが所定の基準に合致するか否かを判別することで、そのユーザが属する層を判別することができる。判別対象の多数のユーザが、アーリーアダプタ層、アーリーマジョリティ層、レイトマジョリティ層及びラガード層の4つ(イノベーター層を区別する場合は5つ)に分類されることは必須ではなく、例えば、アーリーアダプタ層とそれ以外の層に2分するだけでもよい。あるいは、アーリーマジョリティ層とレイトマジョリティ層を一緒にし、判別対象の多数のユーザが、アーリーアダプタ層、ラガード層及びそれ以外の層の3つに分類されてもよい。
【0039】
アプリケーション判別部310は、アプリケーション層のユーザによる新着アプリケーションの使用率を算出し、使用率が高いアプリケーションを判別する。特定のアプリケーションの使用率は、次のように算出されてもよい:
[使用率]=[アーリーアダプタ層に属し、特定の新着アプリケーションを使用しているユーザの数]/[アーリーアダプタ層に属するユーザの総数]
アプリケーション判別部310は、使用率が所定値以上(例えば、30%以上)であるアプリケーションを抽出又は判別する。アーリーアダプタ層のユーザは、新着アプリケーションに興味を有し、機能面を重視する傾向がある。したがって、アーリーアダプタ層のユーザの多くが使用している新着アプリケーションは、機能的に優れ、将来、広く普及する可能性が高い。アプリケーション判別部310による判別結果を様々なユーザに通知することで、そのアプリケーションの普及を促すことができる。このため、判別結果は、送受信部302に通知され、送受信部302は、判別されたアプリケーションを推薦するレコメンド信号を、例えば、アーリーマジョリティ層のユーザ、及び/又はアーリーアダプタ層以外の層のユーザに送信する。さらに、アーリーアダプタ層のユーザの中で、判別されたアプリケーションを使用していないユーザに対して、そのようなレコメンド信号が送信されてもよい。市場の34%に及ぶほど多くの割合を占めるアーリーマジョリティ層のユーザは、新着アプリケーションに興味を持っているが、自ら情報収集するには至らないことが多いので、この層のユーザに、優れた新着アプリケーションを推薦することで、その新着アプリケーションの普及を効率的に促すことができる。なお、推薦する際のレコメンド信号は、アプリケーションの説明に加えて、そのアプリケーションを使用したユーザによるコメントを含んでもよい。
【0040】
<5.動作例>
図5は、実施例における動作例を示すシーケンス図である。図示の動作例は、通信端末10と、アプリケーション判別装置として機能する配信サーバ30により行われる。
【0041】
ステップS51において、通信端末10は、利用履歴情報管理部204により利用履歴情報を生成する。利用履歴情報は、アプリケーションの利用履歴に関する情報に加えて、アプリケーションのダウンロードに関する情報を含む。例えば、利用履歴情報は、アプリケーションの名称、アプリケーションのカテゴリ、アプリケーションがリリースされた日、アプリケーションをダウンロードした日時、その日時においてそのアプリケーションが既に他のユーザにダウンロードされている数、アプリケーションをインストールした日時、アプリケーションを起動した日時、起動回数、アプリケーションを削除した日時、アプリケーションの利用回数、特定のカテゴリのアプリケーションを検索した回数、特定のカテゴリのアプリケーションをダウンロード又はインストールしている総数等を示す情報を含む。これら列挙された情報は一例にすぎず、他の情報が利用履歴情報に含まれてもよい。利用履歴情報は、通信端末10から配信サーバ30へ報告される。報告は、一定の頻度で行われてもよいし、ユーザや配信サーバ等からの要求に応じて報告されてもよい。利用履歴情報を一定の頻度で報告する場合の頻度は、例えば、時間、日、週、月等の適切な如何なる頻度でもよい。
【0042】
ステップS52において、配信サーバ30の利用履歴情報管理部306は、イノベーター理論によるユーザ層を判別するのに必要な情報を、利用履歴情報から抽出し、ユーザ層判別部308に通知する。ユーザ層を判別するのに必要な情報は、ユーザ層判別部308が使用する所定の基準に依存して決定される。所定の基準は、上述した条件パラメータ1−5の内の1つ以上により規定することができる。本動作例の場合、条件パラメータ1、2及び5を用いて所定の基準が規定される。条件パラメータ1は、特定のカテゴリのアプリケーションがリリースされた後、ユーザがそのアプリケーションをダウンロードした時点までの期間である。条件パラメータ2は、特定のカテゴリのアプリケーションをユーザが配信サーバからダウンロードした時点において、そのアプリケーションが配信サーバから既に配信された回数である。条件パラメータ5は、特定のカテゴリのアプリケーションを利用した回数である。
【0043】
利用履歴情報管理部306は、一例として、図4に示すようにして情報を管理する。図4は、ある1人のユーザXの利用履歴情報から抽出及び作成された情報例を示す。ユーザXが使用しているアプリケーションが、カテゴリ毎に並べられている。アプリケーションA1−A3は、仕事効率化のカテゴリのアプリケーションである。アプリケーションB1、B2は、電子書籍のカテゴリのアプリケーションである。アプリケーションC1、C2は、ゲームのカテゴリのアプリケーションである。さらに、アプリケーション毎に、公開日(アプリケーションがリリースされた日)、導入日(ダウンロードした日)、削除日(削除した日)、導入時のDL数(ダウンロードした時点で既に配信されている回数)及び利用回数(アプリケーションを利用した回数)が管理されている。これらの情報から、条件パラメータ1、2、5に関連する数値が抽出される。例えば、「公開日」から「導入日」までの期間は、条件パラメータ1(アプリケーションがリリースされて以来、ダウンロードするまでの期間)に関連する。「導入時のDL数」は、条件パラメータ2(ダウンロードした時点において、既に配信している回数)に関連する。「利用回数」は、条件パラメータ5(アプリケーションを利用した回数)に関連する。
【0044】
ステップS53において、ユーザ層判別部308は、所定の基準を使用して、アプリケーションのカテゴリ毎に、ユーザがどの層に属するかを判別する。特定のカテゴリのアプリケーションに関し、所定の基準は、(1)条件パラメータ1が2週間以内である又は(2)条件パラメータ2が5000個未満である場合であって、(3)条件パラメータ5が75回以上であった場合、そのユーザは、そのカテゴリにおけるアーリーアダプタ層に該当する。一例として、(1)条件パラメータ1が2週間以内であるユーザに、1ポイントの得点が付与され、(2)条件パラメータ2が5000個未満であるユーザにも、1ポイントの得点が付与され、ポイントを獲得したユーザの中で、(3)条件パラメータ5が75回以上であるか否かに応じて、ユーザがアーリーアダプタ層に該当するか否かが判別されてもよい。さらに、条件パラメータの数値を緩和することで、アーリーマジョリティ層、レイトマジョリティ層及びラガード層のユーザが判別されてもよい。アーリーアダプタ層に該当するユーザの情報は、アプリケーション判別部310に通知される。
【0045】
ステップS54において、アプリケーション判別部310は、アーリーアダプタ層の中で、新着アプリケーションの使用率を算出し、使用率の高いアプリケーションが判別される。使用率は、上述したように、
[使用率]=[アーリーアダプタ層に属し、特定の新着アプリケーションを使用しているユーザの数]/[アーリーアダプタ層に属するユーザの総数]
により算出されてもよい。なお、アプリケーションが新着であるか否かは、リリース日から現在までの日数が、所定の期間内であるか否かにより判別されてもよい。この所定の期間は、条件パラメータ1と同じでもよいし、異なっていてもよい。同じである場合、所定の基準は、(1)−(3)の全ての条件を満たすことと等しくなる。
【0046】
アプリケーション判別部310は、使用率が所定値以上(例えば、30%以上)であるアプリケーションを抽出又は判別する。図示されてはいないが、判別結果は、送受信部302に通知され、送受信部302は、判別されたアプリケーションを推薦するレコメンド信号を、例えば、アーリーマジョリティ層のユーザ、及び/又はアーリーアダプタ層以外の層のユーザに送信する。さらに、アーリーアダプタ層のユーザの中で、判別されたアプリケーションを使用していないユーザに対して、そのようなレコメンド信号が送信されてもよい。
【0047】
本実施例によれば、アーリーアダプタ層のユーザの多くが使用している新着アプリケーションが何であるかを適切に判別できる。このような新着アプリケーションは、機能的に優れ、将来、広く普及する可能性が高い。したがって、このような新着アプリケーションが存在することを、様々なユーザに通知することで、そのアプリケーションの普及を促すことができる。特に、アーリーマジョリティ層のユーザは、新着アプリケーションに興味がありかつ市場の34%もの多くの割合を占め、アプリケーションの普及拡大に中心的な役割を果たす。したがって、そのような新着アプリケーションの存在を、アーリーマジョリティ層のユーザに通知することが有益である。
【0048】
以上本発明は特定の実施例を参照しながら説明されてきたが、それらは単なる例示に過ぎず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。例えば、本発明は、将来普及する可能性がある有望なアプリケーションを発見する適切な如何なる通信システムに適用されてもよい。発明の理解を促すため具体的な数値例を用いて説明がなされたが、特に断りのない限り、それらの数値は単なる一例に過ぎず適切な如何なる値が使用されてもよい。発明の理解を促すため具体的な数式を用いて説明がなされたが、特に断りのない限り、それらの数式は単なる一例に過ぎず適切な如何なる数式が使用されてもよい。実施例又は項目の区分けは本発明に本質的ではなく、2以上の項目に記載された事項が必要に応じて組み合わせて使用されてよいし、ある項目に記載された事項が、別の項目に記載された事項に(矛盾しない限り)適用されてよい。説明の便宜上、本発明の実施例に係る装置は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウェアで、ソフトウェアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。ソフトウェアは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、EPROM、EEPROM、レジスタ、ハードディスク(HDD)、リムーバブルディスク、CD−ROM、データベース、サーバその他の適切な如何なる記憶媒体に用意されてもよい。本発明は上記実施例に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変形例、修正例、代替例、置換例等が本発明に包含される。
【符号の説明】
【0049】
1 通信システム
10 通信端末
20 移動通信網
202 送受信部
204 利用履歴情報管理部
206 表示部
30 配信サーバ(アプリケーション判別装置)
302 送受信部
304 利用履歴情報格納部
306 利用履歴情報管理部
308 ユーザ層判別部
310 アプリケーション判別部
40 アプリケーション管理サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプリケーションのダウンロード及び利用履歴に関する利用履歴情報をユーザから受信する受信部と、
前記利用履歴情報を利用して、アプリケーションの特定のカテゴリについて、所定の基準を満たすユーザを判別するユーザ層判別部と、
前記特定のカテゴリに属しかつリリース後一定期間内であるアプリケーションの中で、前記所定の基準を満たすユーザによる使用率が所定値以上であるアプリケーションを判別するアプリケーション判別部と
を有し、前記所定の基準は、
アプリケーションをダウンロードした時点が、該アプリケーションのリリース後一定期間内であること、
アプリケーションを配信サーバからダウンロードした時点において、該アプリケーションが該配信サーバから所定回数以上配信されていないこと、
特定のカテゴリのアプリケーションをユーザが所定回数以上検索したこと、及び
特定のカテゴリのアプリケーションをユーザが所定個数以上ダウンロードしたこと
の内の1つ以上の条件を満たし、かつアプリケーションを利用した回数が所定回数以上であることである、アプリケーション判別装置。
【請求項2】
前記アプリケーション判別部により検索されたアプリケーションを推薦するレコメンド信号を、前記所定の基準に合致するユーザ以外のユーザに送信する送信部をさらに有する、請求項1記載のアプリケーション判別装置。
【請求項3】
アプリケーションのダウンロード及び利用履歴に関する利用履歴情報をユーザから受信し、
前記利用履歴情報を利用して、アプリケーションの特定のカテゴリについて、所定の基準を満たすユーザを判別し、
前記特定のカテゴリに属しかつリリース後一定期間内であるアプリケーションの中で、前記所定の基準を満たすユーザによる使用率が所定値以上であるアプリケーションを判別するステップ
を有し、前記所定の基準は、
アプリケーションをダウンロードした時点が、該アプリケーションのリリース後一定期間内であること、
アプリケーションを配信サーバからダウンロードした時点において、該アプリケーションが該配信サーバから所定回数以上配信されていないこと、
特定のカテゴリのアプリケーションをユーザが所定回数以上検索したこと、及び
特定のカテゴリのアプリケーションをユーザが所定個数以上ダウンロードしたこと
の内の1つ以上の条件を満たし、かつアプリケーションを利用した回数が所定回数以上であることである、アプリケーション判別方法。
【請求項4】
前記所定の基準を満たすユーザによる使用率が所定値以上である前記アプリケーションを推薦するレコメンド信号を、前記所定の基準に合致するユーザ以外のユーザに送信する、請求項3記載のアプリケーション判別方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate