説明

アミノヒドロキシ樹脂、熱硬化性樹脂およびその製造法

【課題】 優れた耐熱性を有する熱硬化性樹脂の原料として好適に用いることができるアミノヒドロキシ樹脂を提供する。
【解決手段】 アミノ基およびヒドロキシル基で置換された芳香環を主鎖に有するアミノヒドロキシ樹脂、一般式(1)で表される構造を有する前記アミノヒドロキシ樹脂、アミノ基の水素原子がアシル基で置換されたアミノ基とヒドロキシル基とで置換された芳香環を主鎖に有する熱硬化性樹脂、ならびに前記アミノヒドロキシ樹脂とハロゲン化カルボン酸化合物およびエステル化カルボン酸化合物の中から選ばれる少なくとも一種とを縮合反応させてアミド結合を生成することを特徴とする、熱硬化性樹脂の製造法。
【化1】


(式中のArは、芳香族基を示す。Xは、脂肪族基、芳香族基、スルホニル基および酸素原子の中から選ばれる少なくとも1種の基を示す。式中のmは、1以上、4以下の整数を示す。式中のnは、1以上、10000以下の整数を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノヒドロキシ樹脂、熱硬化性樹脂およびその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
フェノール樹脂などに代表される熱硬化性樹脂は、耐熱性、機械的強度、耐湿性などに優れ、電子材料、自動車用部材、接着剤など様々な分野で広く用いられている。しかしながら、特に電子材料分野など、更に厳しい耐熱性を要求されている先端分野における要求全てを満足する材料は、未だ得られていないのが現状である。
【0003】
特に、350℃以上の高温域においても高い熱安定性が要求される先端分野においては、樹脂の熱分解開始温度が350℃よりも低い場合、加熱時の寸法安定性に悪影響を与えたり、高温環境において樹脂より発生した熱分解ガスが、これらの樹脂を用いた製品の品質影響を及ぼすだけでなく、成形用金型などに付着することより、これらの樹脂を用いた成形品の外観不良などの問題を発生する恐れがある。
【0004】
この改善策として、熱的に架橋可能な炭素−炭素3重結合に着目し、樹脂にアセチレン基を導入することで加熱硬化後の樹脂構造を3次元網目状とし、耐熱性を向上させた熱硬化性樹脂に関する技術が開示されている。その例としては、フェノール樹脂にプロパルギルエーテル基を高密度に導入した熱硬化性樹脂に関する技術(例えば、特許文献1参照。)、ポリフェノールにエチニル基を導入した熱硬化性樹脂に関する技術(例えば、特許文献2および特許文献3参照。)などである。しかしながら、これらの熱硬化性樹脂の熱分解開始温度は350℃付近であり、350℃以上の高温域での耐熱性に懸念が残る。
【特許文献1】特表平1−503541号公報(第1−3頁および第8頁)
【特許文献2】特開平9−107984号公報
【特許文献3】特開2000−63499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題は、上記諸問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、優れた耐熱性を有する熱硬化性樹脂の原料として好適に用いることができるアミノヒドロキシ樹脂を提供することにある。
また、本発明の目的は、機械的強度、耐湿性、電気特性および他の諸特性を劣化させることなく、350℃以上においても優れた耐熱性を示す熱硬化性樹脂およびその製造法を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明は、
1. アミノ基およびヒドロキシル基で置換された芳香環を主鎖に有するアミノヒドロキシ樹脂、
2. 前記アミノ基とヒドロキシル基とは、オルト位に位置するものである、第1項に記載のアミノヒドロキシ樹脂、
3. 前記アミノヒドロキシ樹脂は、一般式(1)で表される構造を有するものである第1項乃至第2項に記載のアミノヒドロキシ樹脂、
【化1】

(式中のArは、芳香族基を示す。Xは、脂肪族基、芳香族基、スルホニル基および酸素原子の中から選ばれる少なくとも1種の基を示す。式中のmは、1以上、4以下の整数を示す。式中のnは、1以上、10000以下の整数を示す。)
4. 前記アミノヒドロキシ樹脂は、ダイヤモンドイド構造を有するものである、第1項乃至第3項のいずれかに記載のアミノヒドロキシ樹脂、
5. 前記ダイヤモンドイド構造は、アダマンチル基、ジアマンチル基、トリアマンチル基、テトラマンチル基、ペンタマンチル基、ヘキサマンチル基、ヘプタマンチル基、オクタマンチル基、ノナマンチル基、デカマンチル基およびウンデカマンチル基の中から選ばれる少なくとも1種である、第4項に記載のアミノヒドロキシ樹脂、
6. ヒドロキシル基が保護基により保護されていても良い芳香族ニトロヒドロキシ化合物のニトロ基を還元反応により還元してアミノ基を生成することを特徴とする、アミノヒドロキシ樹脂の製造法、
7. アミノ基の水素原子がアシル基で置換されたアミノ基とヒドロキシル基とで置換された芳香環を主鎖に有する熱硬化性樹脂、
8. 前記アシル基で置換されたアミノ基とヒドロキシル基とは、オルト位に位置するものである、第7項に記載の熱硬化性樹脂、
9. 前記熱硬化性樹脂は、一般式(2)で表される構造を有するものである、第7項乃至第8項に記載の熱硬化性樹脂、
【化2】

(式中のArは、芳香族基を示す。Xは、脂肪族基、芳香族基、スルホニル基および酸素原子の中から選ばれる少なくとも1種の基を示す。Rは有機基を示す。式中のmは、1以上、4以下の整数を示す。式中のnは、1以上、10000以下の整数を示す。)
10. 前記熱硬化性樹脂は、一般式(2)におけるRとして、アセチレン結合を含む基を有するものである、第9項に記載の熱硬化性樹脂、
11. 前記熱硬化性樹脂は、ダイヤモンドイド構造を有するものである、第7項乃至第10項のいずれかに記載の熱硬化性樹脂、
12. 前記ダイヤモンドイド構造は、アダマンチル基、ジアマンチル基、トリアマンチル基、テトラマンチル基、ペンタマンチル基、ヘキサマンチル基、ヘプタマンチル基、オクタマンチル基、ノナマンチル基、デカマンチル基およびウンデカマンチル基の中から選ばれる少なくとも1種である、第11項に記載の熱硬化性樹脂、
13. 第1項乃至第5項のいずれかに記載のアミノヒドロキシ樹脂とハロゲン化カルボン酸化合物およびエステル化カルボン酸化合物の中から選ばれる少なくとも一種とを縮合反応させてアミド結合を生成することを特徴とする、熱硬化性樹脂の製造法、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、優れた耐熱性を有する熱硬化性樹脂の原料として好適に用いることができるアミノヒドロキシ樹脂を提供することができる。
また、本発明によれば、加熱時の熱安定性が飛躍的に向上し、350℃以上の高温域においても優れた耐熱性を示す熱硬化性樹脂を提供できる。また、該熱硬化性樹脂は、前記アミノヒドロキシ樹脂を用いて容易に製造することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、アミノ基およびヒドロキシル基で置換された芳香環を主鎖に有するアミノヒドロキシ樹脂であり、詳しくは、前記アミノ基とヒドロキシル基とは、オルト位に位置するものが挙げられ、この構造を有するものとして、一般式(1)で表される構造を有するものが挙げられる。これらは、熱硬化性樹脂原料として好適に用いることができる。更に詳しくは、例えば、前記アミノヒドロキシ樹脂を、適切な条件下でハロゲン化カルボン酸化合物またはエステル化カルボン酸化合物などと反応させることにより、加熱によりベンゾオキサゾール環に変換可能なベンゾオキサゾール前駆体構造を有する樹脂を得ることができるため、該アミノヒドロキシ樹脂は、熱硬化性樹脂原料として好適に用いることができる。
【0009】
また、本発明は、アミノ基の水素原子がアシル基で置換されたアミノ基とヒドロキシル基とで置換された芳香環を主鎖に有する熱硬化性樹脂であり、詳しくは、前記アシル基で置換されたアミノ基とヒドロキシル基とは、オルト位に位置するものが挙げられ、この構造を有するものとして、一般式(2)で表される構造を有するものが挙げられる。更に具体的には、一般式(2)中のRとしてアセチレン結合を含む基を有するものが挙げられる。また、これらの熱硬化性樹脂は、ベンゾオキサゾール前駆体構造を有し、これを加熱より脱水閉環することにより、ベンゾオキサゾール環が形成される。さらに、アセチレン結合を有することにより加熱による架橋反応によって、3次元化した樹脂構造となり、優れた耐熱性を有する樹脂を得ることができる。
【0010】
また、本発明のアミノヒドロキシ樹脂または熱硬化性樹脂は、ダイヤモンドイド構造を有する場合、前記耐熱性を発現する上に、優れた機械的強度、電気特性を付与することができる。
【0011】
本発明において、一般式(1)および一般式(2)中のArで表される芳香族基としては、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、ビナフチルジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ビフェニルジイル基、ビフェニレンジイル基、フルオレンジイル基、ビフェニルフルオレンジイル基およびピリジンジイル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの基中の水素原子は、脂肪族基、芳香族基およびフッ素原子で置換されていても良い。前記水素原子と置換される脂肪族基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基などのアルキル基:、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基およびブトキシ基などのアルコキシ基:、ビニル基、プロペニル基およびブテニル基などのアルケニル基:、エチニル基、プロピニル基およびブチニル基などのアルキニル基:、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ジアマンチル基およびビアダマンチル基などの脂環式脂肪族基:、などが挙げられ、前記水素原子と置換される芳香族基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基およびナフトキシ基:、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、前記水素原子と置換される脂肪族基および芳香族基中の水素原子はフッ素原子で置換されていても良い。
【0012】
本発明において、一般式(1)および一般式(2)中のXで表される基としては、脂肪族基、芳香族基、スルホニル基および酸素原子の中から選ばれる少なくとも1種の基であり、前記脂肪族基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基およびブチレン基などのアルキレン基:、ビニレン基、プロペニレン基およびブテニレン基などのアルケニレン基:、エチニレン基、プロピニレン基およびブチニレン基などのアルキニレン基:、などが挙げられ、前記芳香族基としては、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、ビフェニルジイル基、フルオレンジイル基、ビフェニルフルオレンジイル基およびピリジンジイル基、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの基中の水素原子は、脂肪族基、芳香族基およびフッ素原子で置換されていても良い。前記水素原子と置換してもよい脂肪族基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基などのアルキル基:、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基およびブトキシ基などのアルコキシ基:、ビニル基、プロペニル基およびブテニル基などのアルケニル基:、エチニル基、プロピニル基およびブチニル基などのアルキニル基:、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ジアマンチル基およびビアダマンチル基などの脂環式脂肪族基:、などが挙げられ、前記水素原子と置換してもよい芳香族基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基およびナフトキシ基:、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、前記水素原子と置換してもよい脂肪族基および芳香族基中の水素原子はフッ素原子で置換されていても良い。
【0013】
本発明において、一般式(2)中のRで表される有機基としては、脂肪族基および芳香族基の中から選ばれる少なくとも1種の基であり、前記脂肪族基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基などのアルキル基:、ビニル基、プロペニル基およびブテニル基などのアルケニル基:、エチニル基、プロピニル基およびブチニル基などのアルキニル基:、などが挙げられ、前記芳香族基としては、例えば、フェニル基、ナフタレン基、ビフェニル基、フルオレニル基、ビフェニルフルオレニル基、ピリジル基、キノリル基、キノキサリル基およびベンゾトリアゾール基、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、Rで表される基は、アセチレン結合を含む基であることが好ましく、このような基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、エチニルオキシ基、プロピニルオキシ基、ブチニルオキシ基、ペンチニルオキシ基、ヘキシニルオキシ基、ヘプチニルオキシ基、オクチニルオキシ基、エチニルフェニル基、フェニルエチニルフェニル基、ナフチルエチニルフェニル基、アダマンチルエチニルフェニル基、エチニルナフチル基、フェニルエチニルナフチル基、ナフチルエチニルナフチル基、アダマンチルエチニルナフチル基、エチニルアダマンチル基、フェニルエチニルアダマンチル基、ナフチルエチニルアダマンチル基およびアダマンチルエチニルアダマンチル基、などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの基中の水素原子は、脂肪族基、芳香族基およびフッ素原子で置換されていても良い。前記水素原子と置換してもよい脂肪族基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基などのアルキル基:、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基およびブトキシ基などのアルコキシ基:、ビニル基、プロペニル基およびブテニル基などのアルケニル基:、エチニル基、プロピニル基およびブチニル基などのアルキニル基:、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ジアマンチル基およびビアダマンチル基などの脂環式脂肪族基:、などが挙げられ、前記水素原子と置換してもよい芳香族基としては、例えば、フェニル基、フェニル基、フェノキシ基およびナフトキシ基:、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、前記水素原子と置換してもよい脂肪族基および芳香族基中の水素原子はフッ素原子で置換されていても良い。
【0014】
本発明において、ダイヤモンドイド構造としては、アダマンタン構造を最小単位とする構造を有するものであり、具体的には、アダマンチル基、ジアマンチル基、トリアマンチル基、テトラマンチル基、ペンタマンチル基、ヘキサマンチル基、ヘプタマンチル基、オクタマンチル基、ノナマンチル基、デカマンチル基およびウンデカマンチル基などの多環式骨格構造を有する基、が挙げられ、更には、前記多環式骨格構造を有する基を複数個有する基が挙げられ、例えば、ビアダマンチル基、テルアダマンチル基、アダマンチルフェニル基、ジアマンチルフェニル基、トリアマンチルフェニル基、テトラマンチルフェニル基、ペンタマンチルフェニル基、ヘキサマンチルフェニル基、ヘプタマンチルフェニル基、オクタマンチルフェニル基、ノナマンチルフェニル基、デカマンチルフェニル基、ウンデカマンチルフェニル基、アダマンチルオキシ基、ジアマンチルオキシ基、トリアマンチルオキシ基、テトラマンチルオキシ基、ペンタマンチルオキシ基、ヘキサマンチルオキシ基、ヘプタマンチルオキシ基、オクタマンチルオキシ基、ノナマンチルオキシ基、デカマンチルオキシ基およびウンデカマンチルオキシ基、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの内、アダマンチル基、ジアマンチル基、トリアマンチル基、テトラマンチル基、ペンタマンチル基、ヘキサマンチル基、ヘプタマンチル基、オクタマンチル基、ノナマンチル基、デカマンチル基およびウンデカマンチル基が好ましい。前記ダイヤモンドイド構造は、一般式(1)および(2)において、Ar、XおよびRで表される基の水素原子に置換されていてもよい。前記ダイヤモンドイド構造中の水素原子は、脂肪族基、芳香族基およびフッ素原子で置換されていても良い。前記水素原子と置換してもよい脂肪族基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基などのアルキル基:、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基およびブトキシ基などのアルコキシ基:、ビニル基、プロペニル基およびブテニル基などのアルケニル基:、エチニル基、プロピニル基およびブチニル基などのアルキニル基:、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ジアマンチル基およびビアダマンチル基などの脂環式脂肪族基:、などが挙げられ、前記水素原子と置換してもよい芳香族基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基およびナフトキシ基:、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、前記水素原子と置換してもよい脂肪族基および芳香族基中の水素原子はフッ素原子で置換されていても良い。
【0015】
本発明のアミノヒドロキシ樹脂としては、これらの内、一般式(1)で表される構造を有する化合物として、例えば、ポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシフェニレンメチレン)、ポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシフェニレン−フェニルメチレン)、ポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシフェニレン−(1−アダマンチル)メチレン)、ポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシフェニレン−(3−ビアダマンチル)メチレン)、ポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシフェニレン−(1−ジアマンチル)メチレン)、ポリ(4−(1−アダマンチル)−2−アミノ−1−ヒドロキシフェニレンメチレン)、ポリ(4−(1−アダマンチル)−2−アミノ−1−ヒドロキシフェニレン−フェニルメチレン)、ポリ(4−(1−アダマンチル)−2−アミノ−1−ヒドロキシフェニレン−(1−アダマンチル)メチレン)、ポリ(4−(1−アダマンチル)−2−アミノ−1−ヒドロキシフェニレン−(3−ビアダマンチル)メチレン)、ポリ(4−(1−アダマンチル)−2−アミノ−1−ヒドロキシフェニレン−(1−ジアマンチル)メチレン)、ポリ(2,5−ジアミノ−1,4−ジヒドロキシフェニレンメチレン)、ポリ(2,5−ジアミノ−1,4−ジヒドロキシフェニレン−フェニルメチレン)、ポリ(2,5−ジアミノ−1,4−ジヒドロキシフェニレン−(1−アダマンチル)メチレン)、ポリ(2,5−ジアミノ−1,4−ジヒドロキシフェニレン−(3−ビアダマンチル)メチレン)、ポリ(2,5−ジアミノ−1,4−ジヒドロキシフェニレン−(1−ジアマンチル)メチレン)、ポリ(3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジイルメチレン)、ポリ(3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルジイルメチレン)、ポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシナフタレンジイルメチレン)、ポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシナフタレンジイル−フェニルメチレン)、ポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシナフタレンジイル−(1−アダマンチル)メチレン)、ポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシナフタレンジイル−(3−ビアダマンチル)メチレン)、ポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシナフタレンジイル−(1−ジアマンチル)メチレン)、ポリ(9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンジイルメチレン)、ポリ(9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンジイル−フェニルメチレン)、ポリ(9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンジイル−(1−アダマンチル)メチレン)、ポリ(9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンジイル−(3−ビアダマンチル)メチレン)およびポリ(9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンジイル−(1−ジアマンチル)メチレン)などのポリ(アリーレンメチレン)構造を有する化合物:、ポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシフェニレンビニレン)、ポリ(2,5−ジアミノ−1,4−ジヒドロキシフェニレンビニレン)、ポリ(3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジイルビニレン)、ポリ(3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルジイルビニレン)、ポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシナフタレンジイルビニレン)およびポリ(9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンジイルビニレン)などのポリ(アリーレンビニレン)構造を有する化合物:、ポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシフェニレンエチニレン)、ポリ(2,5−ジアミノ−1,4−ジヒドロキシフェニレンエチニレン)、ポリ(3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジイルエチニレン)、ポリ(3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルジイルエチニレン)、ポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシナフタレンジイルエチニレン)およびポリ(9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンジイルエチニレン)などのポリ(アリーレンエチニレン)構造を有する化合物:、ポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシフェニレンエーテル)、ポリ(2,5−ジアミノ−1,4−ジヒドロキシフェニレンエーテル)、ポリ(3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジイルエーテル)、ポリ(3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルジイルエーテル)、ポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシナフタレンジイルエーテル)およびポリ(9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンジイルエーテル)などのポリ(アリーレンエーテル)構造を有する化合物:、ポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシフェニレンスルホニル)、ポリ(2,5−ジアミノ−1,4−ジヒドロキシフェニレンスルホニル)、ポリ(3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジイルスルホニル)、ポリ(3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルジイルスルホニル)、ポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシナフタレンジイルスルホニル)およびポリ(9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンジイルスルホニル)などのポリ(アリーレンスルホニル)構造を有する化合物:、ポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシフェニレン)、ポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシフェニレンフェニレン)、ポリ(2,5−ジアミノ−1,4−ジヒドロキシフェニレン)、ポリ(3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジイル)、ポリ(3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルジイル)、ポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシナフタレンジイル)およびポリ(9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンジイル)などのポリ(アリーレン)構造を有する化合物:、などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
本発明において、一般式(2)で表される構造を有する熱硬化性樹脂としては、例えば、一般式(2)中のRが前記有機基の内、エチニルフェニル基の例としては、ポリ(2−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1−ヒドロキシフェニレンメチレン)、ポリ(2−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1−ヒドロキシフェニレン−フェニルメチレン)、ポリ(2−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1−ヒドロキシフェニレン−(1−アダマンチル)メチレン)、ポリ(2−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1−ヒドロキシフェニレン−(3−ビアダマンチル)メチレン)、ポリ(2−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1−ヒドロキシフェニレン−(1−ジアマンチル)メチレン)、ポリ(4−(1−アダマンチル)−2−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1−ヒドロキシフェニレンメチレン)、ポリ(4−(1−アダマンチル)−2−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1−ヒドロキシフェニレン−フェニルメチレン)、ポリ(4−(1−アダマンチル)−2−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1−ヒドロキシフェニレン−(1−アダマンチル)メチレン)、ポリ(4−(1−アダマンチル)−2−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1−ヒドロキシフェニレン−(3−ビアダマンチル)メチレン)、ポリ(4−(1−アダマンチル)−2−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1−ヒドロキシフェニレン−(1−ジアマンチル)メチレン)、ポリ(2,5−ビス(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1,4−ジヒドロキシフェニレンメチレン)、ポリ(2,5−ビス(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1,4−ジヒドロキシフェニレン−フェニルメチレン)、ポリ(2,5−ビス(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1,4−ジヒドロキシフェニレン−(1−アダマンチル)メチレン)、ポリ(2,5−ビス(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1,4−ジヒドロキシフェニレン−(3−ビアダマンチル)メチレン)、ポリ(2,5−ビス(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1,4−ジヒドロキシフェニレン−(1−ジアマンチル)メチレン)、ポリ(3,3’−ビス(4−エチニルベンゾイル)アミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジイルメチレン)、ポリ(3,3’−ビス(4−エチニルベンゾイル)アミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルジイルメチレン)、ポリ(2−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1−ヒドロキシナフタレンジイルメチレン)、ポリ(2−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1−ヒドロキシナフタレンジイル−フェニルメチレン)、ポリ(2−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1−ヒドロキシナフタレンジイル−(1−アダマンチル)メチレン)、ポリ(2−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1−ヒドロキシナフタレンジイル−(3−ビアダマンチル)メチレン)、ポリ(2−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1−ヒドロキシナフタレンジイル−(1−ジアマンチル)メチレン)、ポリ(9,9−ビス(3−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンジイルメチレン)、ポリ(9,9−ビス(3−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンジイル−フェニルメチレン)、ポリ(9,9−ビス(3−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンジイル−(1−アダマンチル)メチレン)、ポリ(9,9−ビス(3−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンジイル−(3−ビアダマンチル)メチレン)およびポリ(9,9−ビス(3−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンジイル−(1−ジアマンチル)メチレン)などのポリ(アリーレンメチレン)構造を有する化合物:、ポリ(2−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1−ヒドロキシフェニレンビニレン)、ポリ(2,5−ビス(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1,4−ジヒドロキシフェニレンビニレン)、ポリ(3,3’−ビス(4−エチニルベンゾイル)アミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジイルビニレン)、ポリ(3,3’−ビス(4−エチニルベンゾイル)アミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルジイルビニレン)、ポリ(2−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1−ヒドロキシナフタレンジイルビニレン)およびポリ(9,9−ビス(3−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンジイルビニレン)などのポリ(アリーレンビニレン)構造を有する化合物:、ポリ(2−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1−ヒドロキシフェニレンエチニレン)、ポリ(2,5−ビス(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1,4−ジヒドロキシフェニレンエチニレン)、ポリ(3,3’−ビス(4−エチニルベンゾイル)アミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジイルエチニレン)、ポリ(3,3’−ビス(4−エチニルベンゾイル)アミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルジイルエチニレン)、ポリ(2−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1−ヒドロキシナフタレンジイルエチニレン)およびポリ(9,9−ビス(3−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンジイルエチニレン)などのポリ(アリーレンエチニレン)構造を有する化合物:、ポリ(2−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1−ヒドロキシフェニレンエーテル)、ポリ(2,5−ビス(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1,4−ジヒドロキシフェニレンエーテル)、ポリ(3,3’−ビス(4−エチニルベンゾイル)アミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジイルエーテル)、ポリ(3,3’−ビス(4−エチニルベンゾイル)アミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルジイルエーテル)、ポリ(2−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1−ヒドロキシナフタレンジイルエーテル)およびポリ(9,9−ビス(3−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンジイルエーテル)などのポリ(アリーレンエーテル)構造を有する化合物:、ポリ(2−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1−ヒドロキシフェニレンスルホニル)、ポリ(2,5−ビス(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1,4−ジヒドロキシフェニレンスルホニル)、ポリ(3,3’−ビス(4−エチニルベンゾイル)アミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジイルスルホニル)、ポリ(3,3’−ジ(4−エチニルベンゾイル)アミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルジイルスルホニル)、ポリ(2−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1−ヒドロキシナフタレンジイルスルホニル)およびポリ(9,9−ビス(3−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンジイルスルホニル)などのポリ(アリーレンスルホニル)構造を有する化合物:、ポリ(2−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1−ヒドロキシフェニレン)、ポリ(2−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1−ヒドロキシフェニレンフェニレン)、ポリ(2,5−ビス(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1,4−ジヒドロキシフェニレン)、ポリ(3,3’−ビス(4−エチニルベンゾイル)アミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジイル)、ポリ(3,3’−ビス(4−エチニルベンゾイル)アミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルジイル)、ポリ(2−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−1−ヒドロキシナフタレンジイル)およびポリ(9,9−ビス(3−(4−エチニルベンゾイル)アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンジイル)などのポリ(アリーレン)構造を有する化合物:、などが挙げられ、一般式(2)中のRが前記有機基の内、フェニルエチニルフェニル基の例としては、例えば、ポリ(1−ヒドロキシ−2−(4−(フェニルエチニル)ベンゾイル)アミノフェニレンメチレン)、ポリ(1−ヒドロキシ−2−(4−(フェニルエチニル)ベンゾイル)アミノフェニレン−(1−アダマンチル)メチレン)、ポリ(1−ヒドロキシ−2−(4−(フェニルエチニル)ベンゾイル)アミノフェニレンビニレン)、ポリ(1−ヒドロキシ−2−(4−(フェニルエチニル)ベンゾイル)アミノフェニレンエチニレン)、ポリ(1−ヒドロキシ−2−(4−(フェニルエチニル)ベンゾイル)アミノフェニレンエーテル)、ポリ(1−ヒドロキシ−2−(4−(フェニルエチニル)ベンゾイル)アミノフェニレンスルホニル)、ポリ(1−ヒドロキシ−2−(4−(フェニルエチニル)ベンゾイル)アミノフェニレン):、などが挙げられ、一般式(2)中のRが前記有機基の内、アダマンチルエチニルフェニル基の例としては、例えば、ポリ(2−(4−(1−アダマンチルエチニル)ベンゾイル)アミノ−1−ヒドロキシフェニレンメチレン)、ポリ(2−(4−(1−アダマンチルエチニル)ベンゾイル)アミノ−1−ヒドロキシフェニレン−(1−アダマンチル)メチレン)、ポリ(2−(4−(1−アダマンチルエチニル)ベンゾイル)アミノ−1−ヒドロキシフェニレンビニレン)、ポリ(2−(4−(1−アダマンチルエチニル)ベンゾイル)アミノ−1−ヒドロキシフェニレンエチニレン)、ポリ(2−(4−(1−アダマンチルエチニル)ベンゾイル)アミノ−1−ヒドロキシフェニレンエーテル)、ポリ(2−(4−(1−アダマンチルエチニル)ベンゾイル)アミノ−1−ヒドロキシフェニレンスルホニル)、ポリ(2−(4−(1−アダマンチルエチニル)ベンゾイル)アミノ−1−ヒドロキシフェニレン):、などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
本発明のアミノヒドロキシ樹脂は、芳香族ニトロヒドロキシ化合物のニトロ基を還元反応により還元してアミノ基を生成することにより合成することができるが、この合成法に限定されない。
【0018】
本発明の一般式(1)で表される構造を有するアミノヒドロキシ樹脂は、例えば、以下のルートによって合成することができる。
まず、出発原料として、一般式(3)で表される構造を有する芳香族ニトロヒドロキシ化合物を、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノールおよびN,N−ジメチルホルムアミドなどの適当な溶媒に分散または溶解させたものを、水素雰囲気下でパラジウム−活性炭または白金−活性炭などで処理するか、または、上記溶媒に塩酸または硫酸を添加した酸性条件下で、スズあるいは塩化スズなどで処理することにより、前記芳香族ニトロヒドロキシ化合物のニトロ基を還元してアミノ基を生成することにより、一般式(1)で表される構造を有するアミノヒドロキシ樹脂が得られる。前記一般式(3)で表される構造を有するニトロヒドロキシ化合物のヒドロキシル基は、ニトロ基の還元反応時に脱保護可能な保護基、例えば、ベンジル基など、で保護されていても良い。
【化3】

(式中のArは、芳香族基を示す。Xは、脂肪族基、芳香族基、スルホニル基および酸素原子の中から選ばれる少なくとも1種の基を示す。式中のmは、1以上、4以下の整数を示す。式中のnは、1以上、10000以下の整数を示す。)
【0019】
前記反応において、溶媒の使用量としては、特には限定されないが、前記芳香族ニトロヒドロキシ化合物に対して、1重量倍以上、200重量倍以下が好ましく、より好ましくは、1重量倍以上、50重量倍以下、更に好ましくは、5重量倍以上、50重量倍以下である。また、水素雰囲気下における水素圧としては、15psi以上、1000psi以下が好ましく、より好ましくは、15psi以上、500psi以下、更に好ましくは、15psi以上、300psi以下が好ましい。前記パラジウム−活性炭または白金−活性炭の使用量としては、前記芳香族ニトロヒドロキシ化合物のヒドロキシル基に対して、0.001当量倍以上、0.5当量倍以下が好ましく、より好ましくは、0.001当量倍以上、0.1当量倍以下、更に好ましくは、0.001当量倍以上、0.05当量倍以下である。前記スズまたは塩化スズの使用量としては、前記芳香族ニトロヒドロキシ化合物のヒドロキシル基に対して、1当量倍以上、50当量倍以下が好ましく、更に好ましくは、1当量倍以上、10当量倍以下である。前記塩酸または硫酸の使用量としては、前記スズまたは塩化スズの使用量に対して、1当量倍以上、10当量倍以下が好ましい。また、反応温度としては、0℃以上、150℃以下が好ましく、より好ましくは、0℃以上、100℃以下、更に好ましくは0℃以上、50℃以下である。反応時間としては、それぞれの化合物が有する反応の活性度によるため、特に限定しないが、1時間以上、50時間以下が好ましい。
【0020】
本発明において、一般式(3)で表される構造を有する芳香族ニトロヒドロキシ化合物としては、芳香族ヒドロキシ化合物とアルデヒド化合物との重合体をニトロ化することにより、または芳香族ニトロヒドロキシ化合物とアルデヒド化合物とを重合することにより得られるポリ(アリーレンメチレン)構造を有する化合物、例えば、ポリ(1−ヒドロキシ−2−ニトロフェニレンメチレン)、ポリ(1−ヒドロキシ−2−ニトロフェニレン−フェニルメチレン)、ポリ(1−ヒドロキシ−2−ニトロフェニレン−(1−アダマンチル)メチレン)、ポリ(1−ヒドロキシ−2−ニトロフェニレン−(3−ビアダマンチル)メチレン)、ポリ(1−ヒドロキシ−2−ニトロフェニレン−(1−ジアマンチル)メチレン)、ポリ(4−(1−アダマンチル)−1−ヒドロキシ−2−ニトロフェニレンメチレン)、ポリ(4−(1−アダマンチル)−1−ヒドロキシ−2−ニトロフェニレン−フェニルメチレン)、ポリ(4−(1−アダマンチル)−1−ヒドロキシ−2−ニトロフェニレン−(1−アダマンチル)メチレン)、ポリ(4−(1−アダマンチル)−1−ヒドロキシ−2−ニトロフェニレン−(3−ビアダマンチル)メチレン)、ポリ(4−(1−アダマンチル)−1−ヒドロキシ−2−ニトロフェニレン−(1−ジアマンチル)メチレン)、ポリ(1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジニトロフェニレンメチレン)、ポリ(1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジニトロフェニレン−フェニルメチレン)、ポリ(1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジニトロフェニレン−(1−アダマンチル)メチレン)、ポリ(1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジニトロフェニレン−(3−ビアダマンチル)メチレン)、ポリ(1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジニトロフェニレン−(1−ジアマンチル)メチレン)、ポリ(4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジニトロビフェニルジイルメチレン)、ポリ(4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジニトロジフェニルエーテルジイルメチレン)、ポリ(1−ヒドロキシ−2−ニトロナフタレンジイルメチレン)、ポリ(1−ヒドロキシ−2−ニトロナフタレンジイル−フェニルメチレン)、ポリ(1−ヒドロキシ−2−ニトロナフタレンジイル−(1−アダマンチル)メチレン)、ポリ(1−ヒドロキシ−2−ニトロナフタレンジイル−(3−ビアダマンチル)メチレン)、ポリ(1−ヒドロキシ−2−ニトロナフタレンジイル−(1−ジアマンチル)メチレン)、ポリ(9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)フルオレンジイルメチレン)、ポリ(9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)フルオレンジイル−フェニルメチレン)、ポリ(9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)フルオレンジイル−(1−アダマンチル)メチレン)、ポリ(9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)フルオレンジイル−(3−ビアダマンチル)メチレン)、ポリ(9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)フルオレンジイル−(1−ジアマンチル)メチレン):、などや、ジハロゲン化芳香族ヒドロキシ化合物と芳香族ジビニル化合物との重合体をニトロ化することにより、またはジハロゲン化芳香族ニトロヒドロキシ化合物と芳香族ジビニル化合物とを重合することにより得られるポリ(アリーレンビニレン)構造を有する化合物、例えば、ポリ(1−ヒドロキシ−2−ニトロフェニレンビニレン)、ポリ(1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジニトロフェニレンビニレン)、ポリ(4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジニトロビフェニルジイルビニレン)、ポリ(4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジニトロジフェニルエーテルジイルビニレン)、ポリ(1−ヒドロキシ−2−ニトロナフタレンジイルビニレン)およびポリ(9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)フルオレンジイルビニレン):、などや、ジハロゲン化芳香族ヒドロキシ化合物と芳香族ジエチニル化合物との重合体をニトロ化することにより、またはジハロゲン化芳香族ニトロヒドロキシ化合物と芳香族ジエチニル化合物とを重合することにより得られるポリ(アリーレンエチニレン)構造を有する化合物、例えば、ポリ(1−ヒドロキシ−2−ニトロフェニレンエチニレン)、ポリ(1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジニトロフェニレンエチニレン)、ポリ(4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジニトロビフェニルジイルエチニレン)、ポリ(4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジニトロジフェニルエーテルジイルエチニレン)、ポリ(1−ヒドロキシ−2−ニトロナフタレンジイルエチニレン)およびポリ(9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)フルオレンジイルエチニレン):、などや、芳香族ヒドロキシ化合物の重合体をニトロ化することにより、または芳香族ニトロヒドロキシ化合物を重合することにより得られるポリ(アリーレンエーテル)構造を有する化合物、例えば、ポリ(1−ヒドロキシ−2−ニトロフェニレンエーテル)、ポリ(1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジニトロフェニレンエーテル)、ポリ(4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジニトロビフェニルジイルエーテル)、ポリ(4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジニトロジフェニルエーテルジイルエーテル)、ポリ(1−ヒドロキシ−2−ニトロナフタレンジイルエーテル)およびポリ(9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)フルオレンジイルエーテル):、などや、芳香族ヒドロキシスルホニルクロリド化合物の重合体をニトロ化することにより、または芳香族ヒドロキシニトロスルホニルクロリド化合物を重合することにより得られるポリ(アリーレンスルホニル)構を有する化合物、例えば、ポリ(1−ヒドロキシ−2−ニトロフェニレンスルホニル)、ポリ(1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジニトロフェニレンスルホニル)、ポリ(4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジニトロビフェニルジイルスルホニル)、ポリ(4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジニトロジフェニルエーテルジイルスルホニル)、ポリ(1−ヒドロキシ−2−ニトロナフタレンジイルスルホニル)およびポリ(9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)フルオレンジイルスルホニル):、などや、ジハロゲン化芳香族ヒドロキシ化合物のニッケル触媒による重合で得た重合体のニトロ化、またはジハロゲン化芳香族ニトロヒドロキシ化合物のニッケル触媒による重合、または、ジハロゲン化芳香族ヒドロキシ化合物と芳香族ジボロン酸化合物のパラジウム触媒による重合で得た重合体のニトロ化、またジハロゲン化芳香族ニトロヒドロキシ化合物と芳香族ジボロン酸化合物のパラジウム触媒による重合などで得られるポリ(アリーレン)構造を有する化合物、例えば、ポリ(1−ヒドロキシ−2−ニトロフェニレン)、ポリ(1−ヒドロキシ−2−ニトロフェニレンフェニレン)、ポリ(1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジニトロフェニレン)、ポリ(4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジニトロビフェニルジイル)、ポリ(4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジニトロジフェニルエーテルジイル)、ポリ(1−ヒドロキシ−2−ニトロナフタレンジイル)およびポリ(9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)フルオレンジイル):、などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの化合物中のヒドロキシル基は、ニトロ基の還元反応時に、脱保護可能なベンジル基などの保護基で保護されていても良い。
【0021】
本発明の熱硬化性樹脂は、本発明のアミノヒドロキシ樹脂と、ハロゲン化カルボン酸化合物およびエステル化カルボン酸化合物の中から選ばれる少なくとも一種とを縮合反応させて、アミド結合を生成することにより合成することができるが、この合成法に限定されない。
【0022】
本発明の一般式(2)で表される構造を有する熱硬化性樹脂は、例えば、以下のルートによって合成することができる。
【0023】
本発明の一般式(2)で表される構造を有する熱硬化性樹脂は、一般式(1)で表される構造を有するアミノヒドロキシ樹脂と、ハロゲン化カルボン酸化合物またはエステル化カルボン酸化合物とを縮合反応させてアミド結合を生成することにより得ることができるが、更に詳しくは、まず、一般式(1)で表される構造を有するアミノヒドロキシ樹脂を、適当な溶媒に溶解、或いは懸濁させ、ハロゲン化カルボン酸化合物またはエステル化カルボン酸化合物を添加し、混合して、反応させる。このとき、一般式(1)で表される構造を有するアミノヒドロキシ樹脂と、ハロゲン化カルボン酸化合物またはエステル化カルボン酸化合物の仕込みは、同時に一括で行なっても良い。また、一般式(1)で表される構造を有するアミノヒドロキシ樹脂および、ハロゲン化カルボン酸化合物またはエステル化カルボン酸化合物は、固体のまま添加しても、予め適当な溶媒に溶解させて添加してもよい。
【0024】
前記ハロゲン化カルボン酸化合物またはエステル化カルボン酸化合物としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、シクロヘキサンカルボン酸、アダマンタンカルボン酸、ビアダマンチルカルボン酸、ジアマンチルカルボン酸、トリアマンチルカルボン酸、安息香酸、ナフタレンカルボン酸、アダマンタンカルボン酸、ビアマンタンカルボン酸、ジアマンタンカルボン酸、エチニル安息香酸、プロピニル安息香酸、フェニルエチニル安息香酸、ビスフェニルエチニル安息香酸、ナフチルエチニル安息香酸、アダマンチルエチニル安息香酸、ビアダマンチルエチニル安息香酸、ジアマンチルエチニル安息香酸、トリアマンチルエチニル安息香酸、テトラアマンチルエチニル安息香酸、エチニルナフタレンカルボン酸、プロピニルナフタレンカルボン酸、フェニルエチニルナフタレンカルボン酸、ビスフェニルエチニルナフタレンカルボン酸、ナフチルエチニルナフタレンカルボン酸およびアダマンチルエチニルナフタレンカルボン酸、などのカルボン酸化合物の塩化物、臭化物、ヨウ化物、メチルエステル化物、フェニルエステル化物、ピリジルエステル化物、キノリルエステル化物、キノキサリルエステル化物およびベンゾトリアゾールエステル化物、などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、また2種類以上を組み合わせて使用してもよい。これらの基中の水素原子は、脂肪族基、芳香族基およびフッ素原子で置換されていても良い。前記水素原子と置換してもよい脂肪族基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基などのアルキル基:、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基およびブトキシ基などのアルコキシ基:、ビニル基、プロペニル基およびブテニル基などのアルケニル基:、エチニル基、プロピニル基およびブチニル基などのアルキニル基:、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ジアマンチル基およびビアダマンチル基などの脂環式脂肪族基:、などが挙げられ、前記水素原子と置換してもよい芳香族基としては、例えば、フェニル基、フェニル基、フェノキシ基およびナフトキシ基:、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、前記水素原子と置換してもよい脂肪族基および芳香族基中の水素原子はフッ素原子で置換されていても良い。
【0025】
前記一般式(2)で表される構造を有する熱硬化性樹脂の生成反応において、前記溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、ジクロロメタン、クロロホルムおよびジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
また、反応を促進するために、トリエチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミドおよびピリジンなどの塩基を添加しても良い。
反応に使用される原料のモル比は、一般式(1)で表される構造を有するアミノヒドロキシ樹脂のヒドロキシル基に対して、ハロゲン化カルボン酸化合物またはエステル化カルボン酸化合物が、1当量倍以上、2当量倍以下であることが望ましく、好ましくは、1当量倍以上、1.5当量倍以下、更に好ましくは、1当量倍以上、1.1当量倍以下である。
【0026】
前記反応における反応温度としては、それぞれの化合物が有する反応の活性度によるため、特に限定しないが、ハロゲン化カルボン酸化合物を用いる場合は、−80℃以上、100℃以下が望ましく、好ましくは、溶媒の凝固点以上、30℃以下である。更に好ましくは、−10℃以上、10℃以下である。カルボン酸エステル化物を用いる場合は、0℃以上、150℃以下が望ましく、好ましくは、50℃以上、150℃以下である。前記上限値以上では、ハロゲン化カルボン酸化合物またはエステル化カルボン酸化合物が、一般式(1)で表されるアミノヒドロキシ樹脂のヒドロキシル基と反応する恐れがある。
また、反応時間としては、それぞれの化合物が有する反応の活性度や反応温度により、適宜決定すれば良いが、5分間以上、7日間以下が望ましく、好ましくは、10分間以上、24時間以下である。
上記の条件で反応させて得られる生成物は、水、ヘキサンおよびメタノールなどの反応生成物が溶解しない溶媒に、反応液を滴下あるいは注入して反応生成物を析出させ、析出物を濾過や遠心分離法などにより、溶液から分離して得ることができる。また、一般式(1)で表される構造を有するアミノヒドロキシ樹脂と、ハロゲン化カルボン酸化合物またはエステル化カルボン酸化合物を過不足なく反応させる場合、反応生成物が溶解する適当な溶媒中で反応を行い、反応終了後に、生成した塩などの不溶物が存在する場合には、それを除去し、目的物のみが溶解している状態の反応液を、そのまま目的の用途に用いても構わない。
【実施例】
【0027】
以下に本発明を説明するために実施例を示すが、これによって本発明を限定するものではない。
【0028】
得られた化合物は特性評価のため、元素分析を行った。また、熱硬化性樹脂については熱重量分析、比誘電率測定および弾性率測定も行った。各測定条件は次のとおりとした。
[試験方法]
(1)元素分析: 炭素および水素はPERKIN ELMER社製2400型を用いて測定した。
(2)熱重量分析: セイコ−インスツルメンツ(株)製TG/DTA6200型を用いて、200mL/分の乾燥窒素気流下、昇温速度+10℃/分の条件により、室温から370℃まで昇温後、370℃で30分間保持した際の重量減少量を測定した。
(3)比誘電率: 日本エス・エス・エム(株)製自動水銀プローブCV測定装置SSM495を用いて、温度22℃、湿度45%の雰囲気下において、得られた化合物を熱硬化させて作製した皮膜(膜厚1μm)の比誘電率を測定した。皮膜は、測定用試料とN−メチルピロリドンからなるコーティングワニスをスピンコート法により均一な膜厚とした後、150℃で10分間加熱乾燥させ、更に、窒素を流入して酸素濃度を100ppm以下に制御したオーブンを用いて、350℃で60分間加熱したものを用いた。
(4)弾性率:エリオニクス(株)製ENT−1100を用いて、温度22℃、湿度50%の雰囲気下で、得られた化合物より作製した膜厚30μmの皮膜の弾性率を測定した。皮膜は、上記比誘電率測定用試料と同様にして作製した。
【0029】
[実施例1]
300mLナスフラスコに、ポリ(1−ヒドロキシ−2−ニトロフェニレンメチレン)9.0g、10%パラジウム活性炭0.10g、N,N−ジメチルホルムアミド50mLおよび撹拌子を投入した後、フラスコ内部を水素ガスで置換した。フラスコ内部の水素圧を50psiに保ちながら、20℃で24時間攪拌した後、反応液を濾過した。濾液をイオン交換水1.0Lに投入し、固体を再沈殿させて回収した。得られた固体は、イオン交換水1.0L中で1時間攪拌洗浄を2回行い、室温で2日間減圧乾燥することにより、ポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシフェニレンメチレン)を6.5g得た。
以下に、元素分析の結果を示す。これらのデータは、得られた化合物が目的物であることを示している。
元素分析:理論値(/%):C,69.41;H,5.82;N,11.56;O,13.21、実測値(/%):C,67.81;H,5.56;N,10.95
【0030】
[実施例2]
実施例1において、ポリ(1−ヒドロキシ−2−ニトロフェニレンメチレン)9.0gをポリ(1−ヒドロキシ−2−ニトロフェニレン−(1−アダマンチル)メチレン)9.0gとした以外は、実施例1と同様にして、ポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシフェニレン−(1−アダマンチル)メチレン)7.2gを得た。
以下に、元素分析の結果を示す。これらのデータは、得られた化合物が目的物であることを示している。
元素分析:理論値(/%):C,79.96;H,8.29;N,5.49;O,6.27、実測値(/%):C,78.08;H,7.96;N,6.18
【0031】
[実施例3]
実施例1において、ポリ(1−ヒドロキシ−2−ニトロフェニレンメチレン)9.0gをポリ(1−ヒドロキシ−2−ニトロフェニレン−フェニルメチレン)9.0gとした以外は、実施例1と同様にして、ポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシフェニレン−フェニルメチレン)7.0gを得た。
以下に、元素分析の結果を示す。これらのデータは、得られた化合物が目的物であることを示している。
元素分析:理論値(/%):C,79.16;H,5.62;N,7.10;O,8.11、実測値(/%):C,79.17;H,5.64;N,8.27
【0032】
[実施例4]
実施例1において、ポリ(1−ヒドロキシ−2−ニトロフェニレンメチレン)9.0gをポリ(1−ヒドロキシ−2−ニトロフェニレンエーテル)9.0gとした以外は、実施例1と同様にして、ポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシフェニレンエーテル)6.8gを得た。
以下に、元素分析の結果を示す。これらのデータは、得られた化合物が目的物であることを示している。
元素分析:理論値(/%):C,58.54;H,4.09;N,11.38;O,25.99、実測値(/%):C,56.53;H,4.86;N,11.91
【0033】
[実施例5]
実施例1において、ポリ(1−ヒドロキシ−2−ニトロフェニレンメチレン)9.0gをポリ(1−ヒドロキシ−2−ニトロフェニレンスルホニル)9.0gとした以外は、実施例1と同様にして、ポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシフェニレンスルホニル)6.5gを得た。
以下に、元素分析の結果を示す。これらのデータは、得られた化合物が目的物であることを示している。
元素分析:理論値(/%):C,42.10;H,2.94;N,8.18;O,28.04;S,18.73、実測値(/%):C,43.96;H,3.00;N,8.47
【0034】
[実施例6]
実施例1で得たポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシフェニレンメチレン)2.4g、および脱水N−メチルピロリドン15mLを乾燥窒素雰囲気下で溶解させた後、0℃まで冷却した。ここに、4−フェニルエチニル安息香酸塩化物4.8g、続けてトリエチルアミン2.0gを、いずれも温度が5℃以上に上がらないように注意しながら、ゆっくりと添加した。添加後、25℃で5時間攪拌した後、反応液を濾過した。濾液をイオン交換水1.0Lに投入し、固体を再沈殿させて回収した。得られた固体は、イオン交換水1.0L中で1時間攪拌洗浄を2回行い、50℃で2日間減圧乾燥することにより、ポリ(1−ヒドロキシ−2−(4−(フェニルエチニル)ベンゾイル)アミノフェニレンメチレン)5.4gを得た。
以下に、各種測定の結果を示す。これらのデータは、得られた化合物が目的物であることを示している。
元素分析:理論値(/%):C,81.21;H,4.65;N,4.30;O,9.83、実測値(/%):C,78.31;H,4.79;N,4.35
熱重量減少量(/wt%):0.5
比誘電率:2.9
弾性率(/GPa):5.7
【0035】
[実施例7]
実施例6において、実施例1で得たポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシフェニレンメチレン)2.4gを実施例2で得たポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシフェニレン−(1−アダマンチル)メチレン)5.1gに、4−フェニルエチニル安息香酸塩化物4.8gを4−(1−アダマンチル)エチニル安息香酸塩化物6.0gとした以外は、実施例6と同様にして、ポリ(2−(4−(1−アダマンチルエチニル)ベンゾイル)アミノ−1−ヒドロキシフェニレン−(1−アダマンチル)メチレン)9.0gを得た。
以下に、各種測定の結果を示す。これらのデータは、得られた化合物が目的物であることを示している。
元素分析:理論値(/%):C,83.52;H,7.59;N,2.71;O,6.18、実測値(/%):C,81.62;H,7.76;N,3.05
熱重量減少量(/wt%):1.0
比誘電率:2.6
弾性率(/GPa):6.4
【0036】
[実施例8]
実施例6において、実施例1で得たポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシフェニレンメチレン)2.4gを実施例3で得たポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシフェニレン−フェニルメチレン)3.9gとした以外は、実施例6と同様にして、ポリ(1−ヒドロキシ−2−(4−(フェニルエチニル)ベンゾイル)アミノフェニレン−フェニルメチレン)6.8gを得た。
以下に、各種測定の結果を示す。これらのデータは、得られた化合物が目的物であることを示している。
元素分析:理論値(/%):C,83.77;H,4.77;N,3.49;O,7.97、実測値(/%):C,84.09;H,5.07;N,4.01
熱重量減少量(/wt%):1.0
比誘電率:3.0
弾性率(/GPa):6.3
【0037】
[実施例9]
実施例6において、実施例1で得たポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシフェニレンメチレン)2.4gを実施例4で得たポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシフェニレンエーテル)2.5gとした以外は、実施例6と同様にして、ポリ(1−ヒドロキシ−2−(4−(フェニルエチニル)ベンゾイル)アミノフェニレンエーテル)5.4gを得た。
以下に、各種測定の結果を示す。これらのデータは、得られた化合物が目的物であることを示している。
元素分析:理論値(/%):C,77.05;H,4.00;N,4.28;O,14.66、実測値(/%):C,78.25;H,3.29;N,4.82
熱重量減少量(/wt%):0.6
比誘電率:2.8
弾性率(/GPa):5.8
【0038】
[実施例10]
実施例6において、実施例1で得たポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシフェニレンメチレン)2.4gを実施例5で得たポリ(2−アミノ−1−ヒドロキシフェニレンスルホニル)3.4gとした以外は、実施例6と同様にして、ポリ(1−ヒドロキシ−2−(4−(フェニルエチニル)ベンゾイル)アミノフェニレンスルホニル)6.3gを得た。
以下に、各種測定の結果を示す。これらのデータは、得られた化合物が目的物であることを示している。
元素分析:理論値(/%):C,67.19;H,3.49;N,3.73;O,17.05;S,8.54、実測値(/%):C,68.54;H,3.81;N,3.80
熱重量減少量(/wt%):1.1
比誘電率:3.0
弾性率(/GPa):5.3
【0039】
(比較例1)
[アセチレン基を有し、且つ、ヒドロキシアミド構造を有さない樹脂の合成]
ポリ(ヒドロキシフェニレンメチレン)22g、臭化プロパルギル51g、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム1.5g、テトラヒドロフラン120mLを、乾燥窒素雰囲気下、50℃で撹拌しながら、水酸化カリウム61gをイオン交換水60mLに溶解させたものを加えた。反応液を60℃で6時間した。反応液を減圧下で加熱し、臭化プロパルギルとテトラヒドロフランを除去した。析出固体を酢酸エチル200mLで抽出し、有機層をイオン交換水500mLで2回洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下で濃縮したものをメタノール2.0Lに投入し、ポリマーを再沈殿させて回収した。析出固体を60℃で減圧乾燥させることで、ポリ((2−プロピノキシ)フェニレンメチレン)を15g得た。
以下に、得られた化合物の各種測定結果を示す。
熱重量減少量(/wt%):4.3
比誘電率:3.6
弾性率(/GPa):5.0
【0040】
(比較例2)
3−エチニルフェノール5.0gとメタノール10mLを室温で撹拌しながら、西洋ワサビペルオキシダーゼ2.0gをpH=7のリン酸緩衝液10mLを加えた。続けて、5重量%過酸化水素29mLを3時間かけて滴下し、更に室温で3時間撹拌した。析出物を反応液より遠心分離し、メタノール50mL及びイオン交換水50mL中で撹拌し、洗浄した。得られた固体を減圧乾燥させることで、ポリ((3−エチニル−1−ヒドロキシ)フェニレン)を3.3g得た。
以下に、得られた化合物の各種測定結果を示す。
熱重量減少量(/wt%):8.7
比誘電率:4.0
弾性率(/GPa):5.0
【0041】
以上から明らかな様に、本発明により提供されるアミノヒドロキシ樹脂は、耐熱性に優れる熱硬化性樹脂原料として好適に用いることができることが確認された。また、本発明により提供される熱硬化性樹脂は、370℃においても耐熱性に優れることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明により提供されるアミノヒドロキシ樹脂は、優れた耐熱性を有する熱硬化性樹脂の原料として好適に用いることができる。さらに、本発明により提供される、熱によりベンゾオキサゾール環を形成可能なヒドロキシアミド構造を有する熱硬化性樹脂は、350℃以上の高温域においても優れた耐熱性を示す樹脂として、高温での材料プロセスを必要とする分野などにおいて好適に用いることが可能である。用途として、電子材料、自動車用部材、エンジニアリング材料、構造部材、接着剤、塗膜形成材料、絶縁材料、酸化防止材料、記録材料などに好適に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ基およびヒドロキシル基で置換された芳香環を主鎖に有するアミノヒドロキシ樹脂。
【請求項2】
前記アミノ基とヒドロキシル基とは、オルト位に位置するものである、請求項1記載のアミノヒドロキシ樹脂。
【請求項3】
前記アミノヒドロキシ樹脂は、一般式(1)で表される構造を有するものである請求項1乃至2記載のアミノヒドロキシ樹脂。
【化1】

(式中のArは、芳香族基を示す。Xは、脂肪族基、芳香族基、スルホニル基および酸素原子の中から選ばれる少なくとも1種の基を示す。式中のmは、1以上、4以下の整数を示す。式中のnは、1以上、10000以下の整数を示す。)
【請求項4】
前記アミノヒドロキシ樹脂は、ダイヤモンドイド構造を有するものである、請求項1乃至3のいずれかに記載のアミノヒドロキシ樹脂。
【請求項5】
前記ダイヤモンドイド構造は、アダマンチル基、ジアマンチル基、トリアマンチル基、テトラマンチル基、ペンタマンチル基、ヘキサマンチル基、ヘプタマンチル基、オクタマンチル基、ノナマンチル基、デカマンチル基およびウンデカマンチル基の中から選ばれる少なくとも1種である、請求項4記載のアミノヒドロキシ樹脂。
【請求項6】
ヒドロキシル基が保護基により保護されていても良い芳香族ニトロヒドロキシ化合物のニトロ基を還元反応により還元してアミノ基を生成することを特徴とする、アミノヒドロキシ樹脂の製造法。
【請求項7】
アミノ基の水素原子がアシル基で置換されたアミノ基とヒドロキシル基とで置換された芳香環を主鎖に有する熱硬化性樹脂。
【請求項8】
前記アシル基で置換されたアミノ基とヒドロキシル基とは、オルト位に位置するものである、請求項7記載の熱硬化性樹脂。
【請求項9】
前記熱硬化性樹脂は、一般式(2)で表される構造を有するものである、請求項7乃至8記載の熱硬化性樹脂。
【化2】

(式中のArは、芳香族基を示す。Xは、脂肪族基、芳香族基、スルホニル基および酸素原子の中から選ばれる少なくとも1種の基を示す。Rは有機基を示す。式中のmは、1以上、4以下の整数を示す。式中のnは、1以上、10000以下の整数を示す。)
【請求項10】
前記熱硬化性樹脂は、一般式(2)におけるRとして、アセチレン結合を含む基を有するものである、請求項9記載の熱硬化性樹脂。
【請求項11】
前記熱硬化性樹脂は、ダイヤモンドイド構造を有するものである、請求項7乃至10のいずれかに記載の熱硬化性樹脂。
【請求項12】
前記ダイヤモンドイド構造は、アダマンチル基、ジアマンチル基、トリアマンチル基、テトラマンチル基、ペンタマンチル基、ヘキサマンチル基、ヘプタマンチル基、オクタマンチル基、ノナマンチル基、デカマンチル基およびウンデカマンチル基の中から選ばれる少なくとも1種である、請求項11記載の熱硬化性樹脂。
【請求項13】
請求項1乃至5のいずれかに記載のアミノヒドロキシ樹脂とハロゲン化カルボン酸化合物およびエステル化カルボン酸化合物の中から選ばれる少なくとも一種とを縮合反応させてアミド結合を生成することを特徴とする、熱硬化性樹脂の製造法。