説明

アミン液の再生方法

【課題】 熱安定性アミン塩を含むアミン液を簡単な装置と操作で効率よく安価に再生でき、安価なイオン交換樹脂を用いて熱安定性アミン塩を効率よく除去でき、イオン交換樹脂の再生および再生排液処理も安定して高効率で容易に行え、アミンの利用率を高め、再生排液中のアミン量を低くし、効率の良い処理を行う。
【解決手段】 酸性ガスを吸収塔11でアミン液と接触させ酸成分を吸収除去したリッチアミン液を再生塔12で熱分解し、酸性ガスを放出て1次再生したリーンアミン液を中和して吸収塔1に循環させ、その一部をカチオンおよびアニオン交換樹脂層5a、6aに通液し、リーンアミン液に含まれるカチオンおよびアニオンを吸着して2次再生し、吸収塔に循環させる方法において、カチオンおよびアニオン交換樹脂層として、中性塩の除去に使用し全交換容量および中性塩分解容量が低下した使用済の強酸性カチオンおよび強塩基性アニオン交換樹脂を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸成分を吸収したアミン液の再生方法、特にイオン交換樹脂を用いて酸成分を吸収したアミン液を効率的に再生する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
石油精製その他のプロセスでは、硫化水素、炭酸ガス、その他の酸成分を含む酸性ガスが発生する。このような酸性ガスは、ガス精製工程として、吸収塔においてアルカノールアミン等のアミン液(リーンアミン)と接触させることにより酸成分を吸収除去し、精製ガスはプロセスへ送る。酸成分を吸収したアミン液(リッチアミン)は再生塔に導入し、リボイラを熱源として精留することによって、蒸気ストリッピングにより熱分解性のアミン塩を分解して、気散性の酸成分を放出し、アミンを1次再生する。再生されたアミン液(リーンアミン)は吸収塔に循環し、酸成分の吸収除去に使用する。放出された硫化水素、炭酸ガス等の気散性の酸性ガスはそれぞれの回収装置へ送られる。
【0003】
酸性ガスに含まれる酸成分は、硫化水素、炭酸ガスが主成分であるが、この他に硫化カルボニル、シアン化水素、ギ酸、酢酸、シュウ酸、チオシアン酸、チオ硫酸、その他の無機酸等が微量成分として含まれる。これらの酸性ガスに含まれるすべての酸成分が、吸収塔においてアミン液に吸収され、アミン塩となる。再生塔では、硫化水素、炭酸ガスのアミン塩のように熱分解性のアミン塩は熱分解され、分離した硫化水素、炭酸ガス等の気散性の酸性ガスが系外へ放出され、アミンが1次再生される。ところがギ酸、酢酸、シュウ酸、チオシアン酸、チオ硫酸、その他の無機酸等のアミン塩のように熱安定性アミン塩(Heat Stable Amine Salt:以下、HSASと記す場合がある。)は再生塔では分解されず、アミン液中に蓄積する。このような熱安定性アミン塩(HSAS)が蓄積すると、吸収塔におけるアミン液の吸収効率が低下するほか、2〜3重量%になると装置の腐食や運転中の発泡の原因となるので、アミン液からを除去することが要望されている。
【0004】
アミン液からHSASを除去する方法として、アミン液を水酸化ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリで中和する方法がある。この方法は、アミン液にアルカリを注入することにより、アミン塩を分解して、HSASを構成する熱安定性酸成分であるギ酸、酢酸、シュウ酸、チオシアン酸、チオ硫酸、その他の無機酸等の難気散性の弱酸を溶離して、ナトリウム、カリウム等の金属塩を遊離させ、アミン液を再生する。ここで生成する熱安定性酸成分の金属塩は低濃度であれば吸収の障害にならないが、溶解度が低く、溶解度を超えると析出して害を及ぼすため、根本的な処置とはいえない。
【0005】
アミン液からHSASを実質的に除去する方法としてイオン交換法があり、特許文献1(特開平5−294902)には、カチオン交換樹脂層およびアニオン交換樹脂層にアミン液を通液することにより、アミン液中のカチオンおよびアニオンを除去し、アミン液を2次再生することが記載されている。ここではHSASを構成するアミンに結合したアニオンの特性に応じて、I型およびII型の強酸性アニオン交換樹脂層をシリーズに配置してアニオンを除去している。これらの樹脂の再生は、カチオン交換樹脂の再生には硫酸等の酸、アニオン交換樹脂の再生には水酸化ナトリウム等のアルカリを通液することにより樹脂を再生し、アミン液の処理に供している。
【0006】
上記特許文献1を含む従来のアミン液の再生方法は、ガス精製工程の再生塔から硫化水素、炭酸ガス等の気散性の酸性ガスを除去したアミン液(リーンアミン)を、ガス精製工程に付随して設けられたカチオン交換樹脂層およびアニオン交換樹脂層へ通液して、リーンアミン液中のカチオンおよびアニオンを除去することによりリーンアミン液を2次再生している。この場合、高除去率でアミン液中のカチオンおよびアニオンを除去するために、全交換容量、中性塩分解容量等のイオン交換性能の高い新品樹脂を用いて、リーンアミン液を2次再生している。そしてカチオンおよびアニオンを吸着したカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂の再生は、カチオン交換樹脂層、アニオン交換樹脂層へ酸、塩、アルカリ等の再生剤を大量に通液して、高レベル再生を行い、カチオンおよびアニオンの除去率を上げている。
【0007】
しかしながらリーンアミン液の2次再生は、全アミン液について行う必要はなく、吸収塔へ循環するリーンアミン液のうち一部のアミン液を分流して2次再生し、2次再生したアミン液を循環するリーンアミン液に混合する操作を繰返せば、次第にリーンアミン液の不純物が除去され、吸収特性に優れたアミン液を酸性ガスの除去に用いることができる。このため高除去率で不純物を除去しなくても、相当程度に不純物を除去できれば、次第にリーンアミン液の不純物が除去され、吸収特性に優れたアミン液が得られる。またHSASは弱酸塩なので、全交換容量、中性塩分解容量等のイオン交換性能の高い樹脂を用いなくても、処理ができる場合があり、安価な処理が求められている。
【0008】
また一般にイオン交換では、除去対象のイオンがリークする貫流点において通液を停止し、再生に移るが、このような再生方法を採用すると、回収すべきアミンが再生排液中に移行し、アミンの歩留まりが悪くなるとともに、再生排液の処理が困難になり、処理コストが高くなるという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平5−294902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、熱安定性アミン塩を含むアミン液を簡単な装置と操作で効率よく安価に再生することができるとともに、安価なイオン交換樹脂を用いて熱安定性アミン塩を効率よく除去することができ、イオン交換樹脂の再生および再生排液処理も安定して高効率で容易に行うことができ、またアミンの利用率を高め、再生排液中のアミン量を低くし、効率の良い処理を行うことが可能なアミン液の再生方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、次のアミン液の再生方法である。
(1)酸成分を含む酸性ガスを吸収塔においてアミン液と接触させることにより酸成分を吸収除去してリッチアミン液を生成する吸収工程と、
酸成分を吸収したリッチアミン液を再生塔において熱分解し、気散性の酸性ガスを放出させることにより、リッチアミン液を1次再生してリーンアミン液を生成させるアミン1次再生工程と、
リーンアミン液をアルカリで中和することにより、蓄積した熱安定性リーンアミン塩を分解して、難気散性の弱酸の塩を遊離させ、リーンアミン液を吸収塔に循環させるアミン液の中和工程と、
リーンアミン液の一部をカチオン交換樹脂層およびアニオン交換樹脂層に通液し、リーンアミン液に含まれるカチオンおよび熱安定性アミン塩を構成するアニオンを交換吸着してリーンアミン液を2次再生し、吸収塔に循環させるアミン2次再生工程とを含む方法において、
アミン2次再生工程におけるカチオン交換樹脂層およびアニオン交換樹脂層として、中性塩の除去に使用した強酸性カチオン交換樹脂および強塩基性アニオン交換樹脂であって、全交換容量および中性塩分解容量が低下した使用済カチオン交換樹脂を充填したカチオン交換樹脂層、ならびに全交換容量および中性塩分解容量が低下した使用済アニオン交換樹脂を充填したアニオン交換樹脂層を用いることを特徴とするアミン液の再生方法。
(2)カチオン交換樹脂層の貫流点におけるリーンアミン液の通液量を100%としたとき、リーンアミン液の通液量が103〜106%となる時点でカチオン交換樹脂層の再生を行い、アニオン交換樹脂層の貫流点において、アニオン交換樹脂層の再生を行うことを特徴とする上記(1)記載の方法。
(3)カチオン交換樹脂層およびアニオン交換樹脂層として、使用済のカチオン交換樹脂および使用済のアニオン交換樹脂を充填した着脱交換式のカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを含むイオン交換装置を設け、
再生済のカチオン交換樹脂を充填したカチオン交換ユニットおよび再生済のアニオン交換樹脂を充填したアニオン交換ユニットを前記イオン交換装置に装着し、前記リーンアミン液を通液してリーンアミン液に含まれるカチオンおよび熱安定性アミン塩を構成するアニオンを吸着除去してアミン液を2次再生し、
カチオンおよびアニオンを吸着したカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを前記イオン交換装置から脱着し、再生済のカチオン交換樹脂を充填したカチオン交換ユニットおよび再生済のアニオン交換樹脂を充填したアニオン交換ユニットと交換して、
アミン液の2次再生を続行する
ことを特徴とする上記(1)または(2)記載の方法。
(4)カチオンおよびアニオンを吸着したカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットをイオン交換装置から脱着し、
脱着したカチオン交換ユニットのカチオン交換樹脂およびアニオン交換ユニットのアニオン交換樹脂を樹脂再生装置で再生する
ことを特徴とする上記(3)記載の方法。
【0012】
本発明において、再生の対象となるアミン液は、石油精製その他のプロセスで発生する硫化水素、炭酸ガス、その他の酸成分を含む酸性ガスから酸成分を吸収除去し、ガスを精製するために吸収液として用いられるアミン液である。このようなアミン液としては、一般に石油精製その他のプロセスのガス精製工程において用いられているアルカノールアミン、その他のアミン液がある。その具体例としては、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、ジグリコールアミン(DGA)およびメチルジエタノールアミン(MDEA)、ジイソプロパノールアミン(DIPA)等のアルカノールアミンが一般に用いられるが、他のアミンであってもよい。これらのアミン液は通常15〜55重量%の水溶液として用いられる。
【0013】
本発明においてガス精製工程は、石油精製その他のプロセスにおいて発生する硫化水素、炭酸ガス、その他の酸成分を含む酸性ガスを精製する工程であり、酸性ガスを吸収させる吸収工程と、アミン1次再生工程とからなる。吸収工程は酸成分を含む酸性ガスを吸収塔においてアミン液と接触させることにより酸成分を吸収除去してリッチアミン液を生成する工程であり、アミン1次再生工程は酸成分を吸収したアミン液を再生塔において熱分解することによりアミン液を再生してリーンアミン液を生成する工程である。吸収塔および再生塔としては、それぞれ充填塔、その他の従来より用いられている気−液接触塔が用いられる。
【0014】
吸収工程は、吸収塔において酸性ガスとアミン液(リーンアミン)とを分散状態で、例えば向流式に接触させることにより、酸成分をアミン液に吸収させて被処理ガスから除去し、リッチアミン液を生成する。精製ガスはプロセスへ送られる。ここでは熱分解性のアミン塩を形成する硫化水素、炭酸ガス等の気散性のガスも、熱安定性アミン塩(HSAS)を形成するギ酸、酢酸、シュウ酸、チオシアン酸、チオ硫酸、無機酸等の難気散性のガスも吸収され、熱分解性のアミン塩および熱安定性アミン塩を形成する。この場合、アミンを構成する窒素原子の非共有電子対にプロトンが配位結合するため、「プロトン化(protonate)」が起こるとされているが、このとき酸を構成する対イオン(アニオン)はイオン結合するため、酸成分がアミン液に吸収される。
【0015】
アミン1次再生工程では、酸成分を吸収したアミン液を再生塔において熱分解することによりアミン液を1次再生してリーンアミン液を生成する。熱分解は、酸成分を吸収したアミン液(リッチアミン)を再生塔に導入し、リボイラを熱源として精留することによって、蒸気ストリッピングにより硫化水素、炭酸ガスのアミン塩のような熱分解性のアミン塩は熱分解され、分離する硫化水素、炭酸ガス等の気散性の酸成分を放出する。これによりアミンを1次再生してリーンアミン液が生成し、リーンアミン液は吸収塔に循環して酸成分の吸収が行われる。分離した硫化水素、炭酸ガス等の気散性の酸性ガスは系外へ放出されるが、ギ酸、酢酸、シュウ酸、チオシアン酸、チオ硫酸、その他の無機酸等の非気散性の酸成分のアミン塩のような熱安定性アミン塩(HSAS)は再生塔では分解されず、アミン液中に蓄積した状態で吸収塔に循環する。
【0016】
このようなHSASはアミン液中で低濃度であれば、吸収酸成分の吸収は可能であるが、アミン液中に蓄積すると、吸収塔におけるアミン液の吸収効率が低下するほか、2〜3重量%になると装置の腐食や運転中の発泡の原因となるので、アミン液からHSASを除去することが行われている。アミン液からHSASを除去するために、中和工程において、アミン液を水酸化ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリで中和することにより、蓄積した熱安定性リーンアミン塩を分解して、難気散性の弱酸の塩を遊離させ、リーンアミン液を吸収塔に循環させる。この工程では、アミン液にアルカリを注入して中和することにより、脱プロトン化(deprotonate)し、HSASを構成する熱安定性の酸成分であるギ酸、酢酸、シュウ酸、チオシアン酸、チオ硫酸、その他の無機酸等の難気散性の弱酸を溶離して、ナトリウム、カリウム等の金属塩を遊離させ、アミン液を再生する。ここで生成する熱安定性酸成分の金属塩は低濃度であれば吸収の障害にならないが、溶解度が低く、溶解度を超えると析出して害を及ぼすため、根本的な処置とはいえない。
【0017】
アミン液からHSASを構成する非気散性の酸成分を除去してアミン液を2次再生するために、本発明ではアミン2次再生工程として、リーンアミン液の一部をカチオン交換樹脂層およびアニオン交換樹脂層に通液し、リーンアミン液に含まれるカチオンおよび熱安定性アミン塩を構成するアニオンを交換吸着により除去してリーンアミン液を2次再生し、吸収塔に循環させる。このアミン2次再生工程では、リーンアミン液に含まれるカチオンとして、中和に用いられたアルカリ成分であるナトリウム、カリウム等のほかに、吸収工程において持ち込まれた他のカチオンがカチオン交換樹脂層に交換吸着される。カチオン交換により酸性化するため、アニオンの一部はアミンに吸着されるが、アミンに吸着されたアニオンも、吸着されないで液中に残留するアニオンも、アニオン交換樹脂層を通過する際、アニオン交換樹脂層に交換吸着される。このようなアミン2次再生工程において、リーンアミン液中のHSASは除去され、2次再生されたリーンアミン液は吸収塔に循環される。アミン2次再生工程は吸収塔へ循環するリーンアミン液の一部を分流して行われるが、この分流は中和工程の前後どちらでも良い。
【0018】
アミン2次再生工程におけるカチオン交換樹脂層およびアニオン交換樹脂層としては、中性塩の除去に使用した強酸性カチオン交換樹脂および強塩基性アニオン交換樹脂であって、全交換容量および中性塩分解容量が低下した使用済カチオン交換樹脂を充填したカチオン交換樹脂層、ならびに全交換容量および中性塩分解容量が低下した使用済アニオン交換樹脂を充填したアニオン交換樹脂層を用いる。このような使用済樹脂としては、純水、特に超純水製造などの水処理において、中性塩の除去に用いた使用済樹脂が好ましい。
【0019】
従来法では、カチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂としては、いずれも新品の樹脂が用いられていたが、本発明では性能の低下した使用済樹脂を用いる。
従来用いられていた新品の強酸性カチオン交換樹脂は、カチオン交換基としてスルホン酸基を有し、全交換容量1.9〜2.5meq/mL−樹脂、中性塩分解容量1.9〜2.0meq/mL−樹脂のものであり、また新品の強塩基性アニオン交換樹脂は、アニオン交換基として4級アンモニウム基を有し、全交換容量1.2〜1.4meq/mL−樹脂、中性塩分解容量1.2〜1.4meq/mL−樹脂のものであるが、アミン液の2次再生には、性能が低下した樹脂でも良いことがわかった。このため本発明では、中性塩の除去に使用し、性能が低下した使用済樹脂を用いる。
【0020】
従来リーンアミン液の2次再生には、全交換容量、中性塩分解容量等のイオン交換性能の高い新品樹脂を用いて、高除去率でアミン液中のカチオンおよびアニオンを除去していたが、リーンアミン液の2次再生は、全アミン液について行う必要はなく、吸収塔へ循環するリーンアミン液のうち一部のアミン液を分流して2次再生し、2次再生したアミン液を循環するリーンアミン液に混合する操作を繰返せば、次第にリーンアミン液の不純物が除去され、吸収特性に優れたアミン液を酸性ガスの除去に用いることができる。このため高除去率で不純物を除去しなくても、相当程度に不純物を除去できれば、次第にリーンアミン液の不純物が除去され、吸収特性に優れたアミン液が得られる。
【0021】
すなわち従来は、アミン液中に存在するナトリウム、カリウム等の強カチオンであるアルカリ金属イオンを除去するために、スルホン酸基を交換基とする強酸性カチオン交換樹脂を用い、またアニオンの特性に応じて、4級アミンまたはアルカノールアミンのような4級アンモニウム基を交換基とするI型およびII型の強塩基性アニオン交換樹脂を用いていたが、上記のようにリーンアミン液の2次再生は必ずしも高除去率で不純物を除去しなくても、相当程度に不純物を除去できればよく、また除去対象とするHSASは弱酸の塩であるため、全交換容量や中性塩分解容量は高くなくても目的を達成できることがわかった。このため本発明では、使用により全交換容量や中性塩分解容量は低下した使用済の樹脂を用いても、効率的な処理を行うことができる。
【0022】
本発明で用いる使用済のカチオン交換樹脂は、全交換容量1.0〜1.9meq/mL−樹脂、好ましくは1.5〜1.9meq/mL−樹脂、中性塩分解容量1.0〜1.9meq/mL−樹脂、好ましくは1.5〜1.9meq/mL−樹脂であり、使用済のアニオン交換樹脂は、全交換容量0.6〜1.2meq/mL−樹脂、好ましくは0.8〜1.2meq/mL−樹脂、中性塩分解容量0.6〜1.2meq/mL−樹脂、好ましくは0.7〜1.2meq/mL−樹脂で、いずれも新品の好ましくは50〜95%、悪くても50〜85%の全交換容量および中性塩分解容量を有するものが使用でき、使用の初めから終わりに至る任意の時点において、このような性能を有していれば良い。
【0023】
新品の強酸性カチオン交換樹脂は、カチオン交換基としてスルホン酸基を有し、高い全交換容量および中性塩分解容量を有するが、使用に伴って強酸性のスルホン酸基が脱落し、カルボン酸基のような弱酸性の交換基が形成されることにより、全交換容量および中性塩分解容量が低下する。また新品の強塩基性アニオン交換樹脂は、アニオン交換基として4級アミンまたはアルカノールアミンのような4級アミノ基を有し、高い全交換容量および中性塩分解容量を有するが、使用に伴って強塩基性の4級アミノ基が脱落し、2または3級アミノ基のような弱塩基性の交換基が形成されることにより、全交換容量および中性塩分解容量が低下する。
【0024】
純水、特に超純水製造などの水処理において、中性塩の除去を行うには、全交換容量および中性塩分解容量が高い樹脂を用いる必要があるが、リーンアミン液に含まれるカチオンは弱塩基の塩であるため、全交換容量および中性塩分解容量が低下した使用済カチオン交換樹脂であっても十分に除去できることがわかった。またリーンアミン液に含まれるアニオンは弱塩基であり、カチオン交換後は弱酸になるため、全交換容量および中性塩分解容量が低下した使用済アニオン交換樹脂であっても十分に除去できる。カチオン交換樹脂としてはH型、アニオン交換樹脂としてはOH型の樹脂を用いるのが好ましい。
【0025】
アミン液からHSASを構成する非気散性の酸成分を除去してアミン液を2次再生するためには、再生塔に付随して、外部再生した使用済のカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂を充填して、それぞれの樹脂層を形成した着脱交換式のカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを含む複数のイオン交換装置を設け、これらのイオン交換装置から離れた場所に、カチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを集結し、充填されたカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂を集中的に再生する再生センターとしての樹脂再生装置および再生排液処理装置を設けるのが好ましい。ここで「複数の」の意味は、分散して存在する複数の再生塔に付随して複数のイオン交換装置が設けられることを意味しており、それぞれの再生塔には1つのイオン交換装置が設けられていてもよい。イオン交換装置には、メカニカルフィルタ、活性炭吸着塔等の他の処理装置が設けられていてもよい。
【0026】
カチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂を充填して、それぞれの樹脂層を形成した着脱交換式のカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットは、カチオン交換塔およびアニオン交換塔として機能する容器内に樹脂を収容し、容器ごと移送して配管を接続、分離するだけで装着、脱着ができるものが好ましいが、カチオン交換塔およびアニオン交換塔は現地に設置し、そのカチオン交換塔およびアニオン交換塔内に、移送したカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを装着、脱着する形式のものでもよい。
【0027】
アミン液の2次再生は、再生した前記使用済カチオン交換樹脂層およびアニオン交換樹脂層に、前記HSASを含むリーンアミン液を分流して通液すると、カチオン交換樹脂層では、リーンアミン液に含まれるカリウムイオン等のカチオンが交換吸着されて除去される。このときカチオンは弱酸塩となっているため、性能低下した使用済カチオン交換樹脂層でも十分に除去される。アミンも吸着されるが、他のカチオンが交換吸着されるとアミンは順次溶出する。カチオンの除去により、HSASを構成するアニオンは弱酸として遊離し、あるいはアミンに結合するが、いずれの場合も、アニオン交換樹脂層に交換吸着されて除去される。こうしてアミン液の2次再生が行われ、2次再生されたアミン液(リーンアミン液)は吸収塔へ循環する。
【0028】
着脱交換式のカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを含む複数のイオン交換装置を用いてアミン液の2次再生を行う場合は、前記樹脂再生装置で再生したカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂を充填したカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを前記複数のイオン交換装置に移送してそれぞれ装着し、装着したカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットに、前記HSASを含むリーンアミン液を分流して通液する。ここではカチオン交換ユニットでは、リーンアミン液に含まれる金属イオン等のカチオンがカチオン交換樹脂に交換吸着されて除去される。このときアミンも吸着されるが、他のカチオンが交換吸着されるとアミンは溶出する。アニオン交換ユニットでは、アニオン交換樹脂の中性塩分解能によりHSASが分解され、HSASを構成するアニオンが交換吸着されて除去される。こうしてアミン液の2次再生が行われ、2次再生されたアミン液(リーンアミン液)は吸収塔へ循環する。
【0029】
アミン液の2次再生を継続すると、それぞれのカチオン交換樹脂層およびアニオン交換樹脂層では、アミン液に含まれるHSASの組成、濃度等に応じて、それぞれの樹脂が飽和に達し、樹脂に再生が必要になる。樹脂が飽和に達して再生に移る時点は、一般的には樹脂層を通過する処理液の電気伝導率を測定し、電気伝導率が急上昇する時点、すなわちイオンがリークする貫流点において処理を終了し、再生に移るのが一般的である。ところがカチオン交換樹脂層では、貫流点においてカチオンがリークする時点では、カチオン交換樹脂層には多量のアミンが吸着された状態になっているので、この時点でカチオン交換樹脂層を再生すると、アミンが再生排液中に排出され、アミンの歩留まりが低下するとともに、再生排液の処理が困難になるという問題点がある。
【0030】
このような点を改善するためには、カチオン交換樹脂層の貫流点におけるリーンアミン液の通液量を100%としたとき、リーンアミン液の通液量が103〜106%、好ましくは104〜105%となる時点でカチオン交換樹脂層の通液を停止し、再生を行うのが好ましい。この場合でも、アニオン交換樹脂層は貫流点において通液を停止し、再生を行うことができる。カチオン交換樹脂層の貫流点後も通液することにより、カチオン交換樹脂層に吸着されたアミンの殆どが流出し、アミンの歩留まりが高くなるとともに、再生排液の処理が容易になる。カチオン交換樹脂層の貫流点後も通液すると、カチオンは処理液中に流出し、吸収塔に循環するが、上記範囲のカチオンの循環は許容される。ただしリーンアミン液の通液量が106%、好ましくは105%を超える場合には、アニオン交換樹脂層の貫流点の判定が困難になるため、上記範囲となる時点でカチオン交換樹脂層の通液を停止して再生を行うと、アニオン交換樹脂層の貫流点の判定が容易であり、アニオン交換樹脂層の再生を正確に行うことができるため好ましい。
【0031】
着脱交換式のカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを含む複数のイオン交換装置を用いてアミン液の2次再生を行う場合は、分散して設けられた複数のイオン交換装置において、それぞれのカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットにより行われるが、それぞれのカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットでは、アミン液に含まれるHSASの組成、濃度等に応じて、異なる時期に樹脂が飽和に達し、異なる時期に樹脂に再生が必要になる。再生の必要性は単発的に発生し、その都度再生を行い、再生排液を処理するのは困難であるので、再生の必要が生じた時点で、カチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを再生センターとしての樹脂再生装置に集結し、充填されたカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂を樹脂再生装置で集中的に再生することができる。
【0032】
この場合のカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂の再生は、それぞれのカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットで樹脂が飽和に達し、再生の必要が生じた時点で、カチオンおよびアニオンを吸着したカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットをそれぞれのイオン交換装置から脱着して樹脂再生装置に回収し、回収したカチオン交換ユニットのカチオン交換樹脂およびアニオン交換ユニットのアニオン交換樹脂を樹脂再生装置で再生することができる。カチオン交換ユニットとアニオン交換ユニットは、それぞれの再生の必要が生じた時点で別々に交換してもよく、この場合、再生済のカチオン交換樹脂またはアニオン交換樹脂を充填したカチオン交換ユニットまたはアニオン交換ユニットをそれぞれ交換を行い、飽和したカチオン交換ユニットまたはアニオン交換ユニットを樹脂再生装置へ回収することができる。
【0033】
樹脂再生装置は、カチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂を充填したカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットをそのまま、樹脂再生装置の配管に接続、分離するだけで装着、脱着し、ユニット単位で樹脂の再生を行う形式のもので再生する場合は、向流再生を行って交換帯を乱さないで再生効率を高くすることができる。また複数のカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットからカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂を抜出して専用の樹脂再生塔へ導入し、混合樹脂を再生するように構成したもので再生する場合は、多くのユニットの樹脂を集めて一度に再生することができるが、樹脂の抜出、再充填が必要になる。
【0034】
樹脂再生装置におけるカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂の再生は、樹脂再生装置にカチオン交換ユニット、アニオン交換ユニットを装着し、または専用の樹脂再生塔へ樹脂を導入し、再生剤を注入して行う。カチオン交換樹脂の再生剤としては、塩酸、硫酸等の鉱酸が使用でき、アニオン交換樹脂の再生剤としては、水酸化ナトリウム等のアルカリ、あるいはこれと食塩、塩化カリウム等の塩との組合せなど、公知のものが使用できる。再生の操作は逆洗、薬注、押出、洗浄など一般のイオン交換樹脂の再生と同様の工程で行われるが、場合によっては一部の工程、例えば逆洗の工程を省略することもできる。ユニットの状態で再生した場合は、再生後そのまま交換用のユニットとしてイオン交換装置の設置場所へ移送することができるが、専用の樹脂再生塔で再生した場合は、再生後樹脂をユニットに充填してイオン交換装置の設置場所へ移送することができる。
【0035】
樹脂再生装置において発生する再生排液は再生排液処理装置で処理することができる。再生排液処理装置は再生センターとしての樹脂再生装置に付随して、イオン交換装置から離れた場所に設置する。再生排液処理装置は、発生する再生排液の組成、濃度、性状等に応じて、適した処理方式の装置が選ばれる。再生排液は金属塩等の通常の塩のほか、ギ酸、酢酸、シュウ酸、チオシアン酸、チオ硫酸等の難分解性のCOD成分、BOD成分を含む。このような再生排液は単発的に発生すると処理が困難であるが、多数のユニットを集めて集中的に再生を行うことにより、実質的に継続して再生排液を発生させることができる。
【0036】
このように再生センターとしての樹脂再生装置に付随して再生排液処理装置を設置することにより、再生排液処理装置へ排液を連続的に供給して連続した処理を行うことができる。このため再生排液処理装置としては、処理操作が容易で、処理効率が高い生物処理が採用できるが、これとともに、あるいはこれに替えて酸化剤による化学的な分解処理等の生物処理以外の処理方法を採用することもできる。いずれの場合も、カチオン交換樹脂の再生排液とアニオン交換樹脂の再生排液を混合して中和し、あるいはさらに酸またはアルカリを注入してpH調整する装置、あるいはこれにより析出物が発生する場合には、固液分離装置を設けることもできる。
【0037】
このような再生排液処理装置で再生排液を処理する際、発生するカチオン交換樹脂の再生排液とアニオン交換樹脂の再生排液を貯留槽へ導入することにより混合中和して均質化し、その一部を必要によりpH調節して生物処理装置等へ導入して生物処理等を行うことにより、無害化することができる。生物処理装置としては活性汚泥処理等の好気性生物処理装置が好ましいが、嫌気性生物処理装置でもよい。酸化剤による化学的な分解処理装置としては、過酸化水素系酸化剤、塩素系酸化剤等の酸化剤による化学的な分解処理装置が使用できる。このほか凝集沈殿処理等の他の処理装置を採用することもできる。
【0038】
生物処理装置では、活性汚泥のような生物汚泥が生成すると、連続して基質が供給されないと生物の活性が低下するが、上記のように連続して再生排液を供給することにより、生物活性を維持することができる。酸化剤による化学的な分解処理、その他の処理の場合でも、被処理液の発生が途絶えると処理が行えなくなるか、あるいは効率が低下するが、上記のように連続して再生排液を供給することにより、他の処理の場合でも、安定して処理を行うことができる。
【0039】
酸成分を含む酸性ガスを吸収塔においてアミン液と接触させることにより酸成分を吸収除去してリッチアミン液を生成し、酸成分を吸収したアミン液を再生塔において熱分解することによりアミン液を1次再生してリーンアミン液を生成し、リーンアミン液をイオン交換装置に通液して、リーンアミン液に含まれるカチオンおよび熱安定性アミン塩を構成するアニオンを吸着除去してアミン液を2次再生する場合、イオン交換樹脂は飽和するまで用いるため、樹脂の再生間隔は長時間、例えば週単位あるいは月単位となる。このような長時間間隔で再生を行うことは、再生および再生排液処理を行うこと自体が突発的事項であるため困難であるほか、再生排液処理を突発的に行うことにより処理の安定性を確保できないという問題点があり、特に生物処理では生物活性を維持できないという問題点がある。
【0040】
このような場合に排液処理を効果的に行うためには、イオン交換樹脂の再生および再生排液処理を継続して行えるように、再生センターとして樹脂再生装置を設置し、これに付随して再生排液処理装置を設置し、分散して存在するガス精製装置としての吸収塔および再生塔には、カチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを装着および脱着できるイオン交換装置を設置することができる。そしてこれらの装置間でカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを行き来させ、イオン交換装置においてアミン液に含まれるカチオンおよびアニオンをそれぞれカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットに吸着させて再生センターへ集結させ、再生センターとしての樹脂再生装置で集結した樹脂をほぼ連続的に再生し、これに付随して設けられた再生排液処理装置で再生排液を連続的に処理することにより、再生および再生排液処理操作をルーチン化して、再生排液処理を効率的に行うとともに、処理の安定性を確保し、生物処理では生物活性を高く維持して処理効率を高くすることができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、酸成分を含む酸性ガスを吸収塔においてアミン液と接触させることにより酸成分を吸収除去してリッチアミン液を生成する吸収工程と、酸成分を吸収したリッチアミン液を再生塔において熱分解し、気散性の酸性ガスを放出させることにより、リッチアミン液を1次再生してリーンアミン液を生成させるアミン1次再生工程と、リーンアミン液をアルカリで中和することにより、蓄積した熱安定性リーンアミン塩を分解して、難気散性の弱酸の塩を遊離させ、リーンアミン液を吸収塔に循環させるアミン液の中和工程と、リーンアミン液の一部をカチオン交換樹脂層およびアニオン交換樹脂層に通液し、リーンアミン液に含まれるカチオンおよび熱安定性アミン塩を構成するアニオンを交換吸着してリーンアミン液を2次再生し、吸収塔に循環させるアミン2次再生工程とを含む方法において、アミン2次再生工程におけるカチオン交換樹脂層およびアニオン交換樹脂層として、中性塩の除去に使用した強酸性カチオン交換樹脂および強塩基性アニオン交換樹脂であって、全交換容量および中性塩分解容量が低下した使用済カチオン交換樹脂を充填したカチオン交換樹脂層、ならびに全交換容量および中性塩分解容量が低下した使用済アニオン交換樹脂を充填したアニオン交換樹脂層を用いてアミン液を再生するようにしたので、熱安定性アミン塩を含むアミン液を簡単な装置と操作で効率よく安価に再生することができるとともに、安価なイオン交換樹脂を用いて熱安定性アミン塩を効率よく除去することができ、イオン交換樹脂の再生および再生排液処理も安定して高効率で容易に行うことができ、またアミンの利用率を高め、再生排液中のアミン量を低くし、効率の良い処理を行うことができる。
【0042】
またカチオン交換樹脂層の貫流点におけるリーンアミン液の通液量を100%としたとき、リーンアミン液の通液量が103〜106%となる時点でカチオン交換樹脂層の再生を行い、アニオン交換樹脂層の貫流点において、アニオン交換樹脂層の再生を行うことにより、カチオン交換樹脂層に吸着されたアミンの殆どを流出させて、アミンの歩留まりを高くするとともに、再生排液の処理を容易にすることができ、またアニオン交換樹脂層の貫流点の判定が容易であり、アニオン交換樹脂層の再生を正確に行うことができる。
【0043】
カチオン交換樹脂層およびアニオン交換樹脂層として、使用済のカチオン交換樹脂および使用済のアニオン交換樹脂を充填した着脱交換式のカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを含むイオン交換装置を設け、 再生済のカチオン交換樹脂を充填したカチオン交換ユニットおよび再生済のアニオン交換樹脂を充填したアニオン交換ユニットを前記イオン交換装置に装着し、前記リーンアミン液を通液してリーンアミン液に含まれるカチオンおよび熱安定性アミン塩を構成するアニオンを吸着除去してアミン液を2次再生し、カチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを交換して、アミン液の2次再生を続行することにより、熱安定性アミン塩を含むアミン液を簡単な装置と操作で効率よく再生することができるとともに、熱安定性アミン塩から生成する難分解性成分を吸着したイオン交換樹脂を交換して効率的にアミン液の再生を行うことができ、難分解性成分を吸着したイオン交換樹脂を再生する場合でも、イオン交換樹脂の再生および再生排液処理を安定して高効率で容易に行うことができる。
【0044】
カチオンおよびアニオンを吸着したカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットをイオン交換装置から脱着し、脱着したカチオン交換ユニットのカチオン交換樹脂およびアニオン交換ユニットのアニオン交換樹脂を樹脂再生装置で再生することにより、熱安定性アミン塩を含むアミン液を簡単な装置と操作で効率よく再生することができるとともに、熱安定性アミン塩から生成する難分解性成分を吸着したイオン交換樹脂を効果的に再生することができ、再生排液処理も安定して高効率で容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施形態の全体の処理装置のフロー図である。
【図2】実施形態のガス精製装置およびイオン交換装置のフロー図である。
【図3】実施形態の樹脂再生装置および再生排液処理装置のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明の実施形態を図面により説明する。図1は全体の処理装置のフロー図、図2はガス精製装置およびイオン交換装置のフロー図、図3は樹脂再生装置および再生排液処理装置のフロー図である。図1ないし図3において、1はガス精製装置、2はイオン交換装置、3は樹脂再生装置、4は再生排液処理装置、5はカチオン交換ユニット、6はアニオン交換ユニットである。
【0047】
図1において、ガス精製装置1は石油精製その他のプロセスに設けられるもので、複数のガス精製装置1が各地に分散して設けられている。複数のガス精製装置1に付随して複数のイオン交換装置2がそれぞれ1:1対応で設けられているが、1つのガス精製装置1に複数のイオン交換装置2が設けられていてもよい。これらのイオン交換装置2から離れた場所に、再生センターとして1つの樹脂再生装置3が設けられ、これに付随して1つの再生排液処理装置4が設けられている。複数のイオン交換装置2と樹脂再生装置3間には、着脱交換式のカチオン交換ユニット5およびアニオン交換ユニット6が行き来するように移送され、イオン交換装置2に装着してアミン液に含まれるカチオンおよびアニオンをそれぞれカチオン交換ユニット5およびアニオン交換ユニット6に吸着させた後、脱着して樹脂再生装置3へ移送して樹脂を再生するように構成されている。カチオン交換ユニット5には、図2、3に示すように、使用済カチオン交換樹脂を充填してカチオン交換樹脂層5aが形成され、アニオン交換ユニット6には、使用済アニオン交換樹脂を充填してアニオン交換樹脂層6aが形成されている。
【0048】
図2において、ガス精製装置1は吸収塔11および再生塔12がラインL1、L2により、ポンプP1、P2および熱交換器13、14を介して連絡している。吸収塔11および再生塔12は内部に充填層15、16を備え、気−液接触により吸収及び再生を行うように構成されている。吸収塔11にはラインL3、L4が連絡しており、ラインL3から入る酸成分を含む酸性ガスを充填層15において、ラインL2から入るリーンアミン液と接触させ、これにより酸成分を吸収除去して精製ガスをラインL4からプロセスへ返送し、生成するリッチアミン液をラインL1から再生塔12へ送るように構成されている。再生塔12ではリボイラ17で蒸気加熱することにより、ラインL1から入るリッチアミン液を蒸気ストリッピングし、硫化水素、炭酸ガスのアミン塩のような熱分解性のアミン塩を分解して酸成分を放出し、アミンを1次再生してリーンアミン液を生成し、リーンアミン液をラインL2から吸収塔11に循環するように構成されている。ラインL2にはラインL10が連絡し、炭酸カリウム等のアルカリを注入して、リーンアミン液を中和するように構成されている。
【0049】
イオン交換装置2は、ラインL2におけるラインL10の前後からバイパス路を形成するように分岐するラインL8、L9に接続する支持枠台21にカップリング1a、1b、1c・・・・が設けられ、カップリング1bと1c、1dと1e・・・を接続するラインL11、L12、L13が設けられており、カップリング2a、2b、2c・・・・を有する着脱交換式のメカニカルフィルタユニット22、活性炭ユニット23、カチオン交換ユニット5およびアニオン交換ユニット6がカップリング1a、1b、1c・・・・を介して着脱可能式に装着されるようになっている。ラインL12、L13、L9には電気伝導率計3a、3b、3cが設けられ、制御装置24に入力されるようになっている。活性炭ユニット23、カチオン交換ユニット5およびアニオン交換ユニット6には、それぞれ活性炭層23a、カチオン交換樹脂層5a、アニオン交換樹脂層6aが充填されており、カップリング2c、2e、2gはそれぞれ上部ストレーナ23b、5b、6bに連絡し、カップリング2d、2f、2hはそれぞれ下部ストレーナ23c、5c、6cに連絡している。
【0050】
図3において、樹脂再生装置3は支持枠台21の一部に対応する支持枠台31が設けられ、活性炭ユニット23、カチオン交換ユニット5およびアニオン交換ユニット6のカップリング2c、2d、2e・・・・に対応するカップリング4c、4d、4e・・・・が設けられ、活性炭ユニット23、カチオン交換ユニット5およびアニオン交換ユニット6が着脱交換式に装着されるようになっている。支持枠台31に対向して、洗浄水槽32、酸再生剤槽33、塩再生剤槽34、アルカリ再生剤槽35が設けられ、ラインL14、L15に連絡するラインL16、L17・・・を介して支持枠台31のカップリング4c、4d、4e・・・・に接続している。ラインL22、L26、L31には電気伝導率計3d、3e、3fが設けられ、制御装置36に入力されるようになっている。
【0051】
再生排液処理装置4はラインL15に連絡する混合貯留槽41、pH調整槽42、生物処理槽43から構成されている。混合貯留槽41は各ユニットの再生排液を導入し混合して貯留するように構成されている。pH調整槽42は混合貯留槽41から送られる混合液に、ラインL34からpH調整剤を注入してpH調整するように構成されている。生物処理槽43は活性汚泥処理槽からなり、ラインL36から活性汚泥を返送して好気性生物処理を行い、ラインL37から処理水を放流し、ラインL38から余剰汚泥を排出するように構成されている。図2、図3中、V、V1、V2、V3・・・は弁である。
【0052】
ガス精製工程では、吸収工程として石油精製その他のプロセスからラインL3を通して酸性ガスを吸収塔11へ導入し、充填層15においてラインL2から入るリーンアミン液と接触させ、これにより酸成分を吸収除去して精製ガスをラインL4からプロセスへ返送し、生成するリッチアミン液をラインL1から再生塔12へ送る。ここでは熱分解性のアミン塩を形成する硫化水素、炭酸ガス等の気散性のガスも、HSASを形成するギ酸、酢酸、シュウ酸、チオシアン酸、チオ硫酸、無機酸等の難気散性のガスも吸収され、熱分解性のアミン塩および熱安定性アミン塩を形成する。
【0053】
1次再生工程では、再生塔12においてリボイラ17により発生する蒸気を導入して加熱することにより、ラインL1から入るリッチアミン液を蒸気ストリッピングし、硫化水素、炭酸ガスのアミン塩のような熱分解性のアミン塩を分解して酸成分を放出し、アミンを1次再生してリーンアミン液を生成し、リーンアミン液をラインL2から吸収塔11に循環する。分離した硫化水素、炭酸ガス等の気散性の酸性ガスはラインL6から系外へ放出されるが、ギ酸、酢酸、シュウ酸、チオシアン酸、チオ硫酸、その他の無機酸等の非気散性の酸成分のアミン塩のようなHSASは分解されず、アミン液中に蓄積する。ラインL10から弁Vを通して、ラインL2にアルカリを注入してリーンアミン液を中和し、中和されたリーンアミン液を吸収塔11に循環する。
【0054】
リーンアミン液の一部をラインL8から分流してイオン交換装置2へ送り、2次再生を行う。イオン交換装置2は支持枠台21のカップリング1a、1b、1c・・・・に、メカニカルフィルタユニット22、活性炭ユニット23、カチオン交換ユニット5およびアニオン交換ユニット6のカップリング2a、2b、2c・・・・を接合して装着しておく。そしてラインL8から入るリーンアミン液をシリーズで流し、メカニカルフィルタユニット22でろ過し、活性炭ユニット23で活性炭処理し、カチオン交換ユニット5でカチオン交換樹脂層5aによりカチオンを交換除去し、アニオン交換ユニット6でアニオン交換樹脂層6aによりHSASを構成するアニオンを交換除去して2次再生する。2次再生されたアミン液(リーンアミン液)はラインL9から吸収塔11へ循環する。
【0055】
電気伝導率計3a、3b、3cの電気伝導率信号は制御装置24に入力され、カチオン交換ユニット5およびアニオン交換ユニット6からイオンがリークする貫流点を判定し、ユニット交換の信号を発する。このときカチオン交換ユニット5は、流出液の電気伝導率が急上昇する時点、すなわちイオンがリークし始める貫流点におけるリーンアミン液の積算通液量を100%としたとき、リーンアミン液の積算通液量が103〜106%、好ましくは104〜105%となる時点で通液を停止し、カチオン交換樹脂層の再生を行うようユニット交換の信号を発する。この場合でも、アニオン交換ユニット6は、流出液の電気伝導率が急上昇する時点、すなわちイオンがリークし始める貫流点において通液を停止し、アニオン交換樹脂層の再生を行うようユニット交換の信号を発する。このようなユニット交換の信号により、飽和したユニットを脱着して交換し、脱着したユニットを精製センターへ送って再生を行う。
【0056】
樹脂再生装置3では、支持枠台31のカップリング4c、4d、4e・・・・に、活性炭ユニット23、カチオン交換ユニット5およびアニオン交換ユニット6のカップリング2c、2d、2e・・・を接合して装着し、活性炭層23a、カチオン交換樹脂層5a、アニオン交換樹脂層6aの再生を行う。活性炭ユニット23の再生は、洗浄水槽32から洗浄水を送って洗浄し、他の経路から加熱ガス、蒸気等を送って賦活する。カチオン交換ユニット5の再生は、洗浄水槽32から洗浄水を送って逆洗し、酸再生剤槽33から酸再生剤を送って薬注、押出を行い、洗浄水槽32から洗浄水を送って洗浄し再生する。アニオン交換ユニット6の再生は、洗浄水槽32から洗浄水を送って逆洗し、塩再生剤槽34から塩再生剤を送り、アルカリ再生剤槽35からアルカリ再生剤を送って薬注、押出を行い、洗浄水槽32から洗浄水を送って洗浄し再生する。再生後はそれぞれのユニット23、5、6をイオン交換装置2に送って交換に備える。
【0057】
樹脂再生装置3においてそれぞれのユニットの再生中に発生する再生排液は、ラインL15から再生排液処理装置4に導入し、再生排液の処理を行う。ラインL15から導入する再生排液は、混合貯留槽41に各ユニットの再生排液を導入して混合し貯留する。ここで酸性排液とアルカリ性排液が混合されて中和される。さらにpH調整槽42において、ラインL33から送られる混合液に、ラインL34からpH調整剤を注入してpH調整し、ラインL35から生物処理槽43へ導入する。生物処理槽43では、槽内の活性汚泥をラインL36から引き出して返送し、活性汚泥を利用して好気性生物処理を行う。処理液はラインL37から放流し、余剰汚泥はラインL38から引き出す。
【0058】
樹脂再生装置3においては、連続して再生排液を供給することができるので、再生排液処理装置4における活性汚泥の生物活性を維持することができ、高効率で安定して処理を行うことができる。上記の再生排液処理は生物処理の例であるが、酸化剤酸化処理、その他の処理により再生排液処理を行ってもよく、この場合でも連続して再生排液を供給することができるので、安定して処理を行うことができる。
【実施例1】
【0059】
活性炭ユニット23、カチオン交換ユニット5およびアニオン交換ユニット6として、内径10mm、高さ700mmのカラムを3個使用した。活性炭ユニット23には活性炭として石炭系破砕炭(クリコールWG−560:栗田工業(株)製、商標)を55mL充填した。カチオン交換ユニット5には超純水製造装置の使用済樹脂である強酸性カチオン交換樹脂(全交換容量1.91meq/mL−樹脂、中性塩分解容量1.90meq/mL−樹脂)を55mL充填してカチオン交換樹脂層5aを形成した。アニオン交換ユニット6には超純水製造装置の使用済樹脂である強塩基性アニオン交換樹脂(全交換容量1.10meq/mL−樹脂、中性塩分解容量1.06meq/mL−樹脂)を55mL充填してアニオン交換樹脂層6aを形成した。これらのユニットを装着したイオン交換装置2に、酸性ガスを吸収し、蒸気ストリッピングで1次再生したメチルジエタノールアミン(アミン濃度38.6重量%、HSAS濃度1.51重量%)をSV3.8で通液したところ、アミン濃度40.1重量%、HSAS濃度0重量%のアミン液が得られた。
【0060】
アニオン交換ユニット6が飽和した時点で、10重量%の塩化カリウム水溶液を8eq/L−樹脂、通水速度SV15で通液後、4重量%の水酸化ナトリウム水溶液を10eq/L−樹脂、通水速度SV15で通液した。その後純水を樹脂の5容量分通液して洗浄して再生した。再生排液はpH:中性、CODmn:1250mg/L、BOD:1180mg/Lであった。
【0061】
有機性排水の活性汚泥処理装置の被処理水9重量部に対し、上記再生排液1重量部を混合した混合排液(CODmn:144mg/L、BOD:128mg/L)を活性汚泥処理装置で好気的生物処理したところ、CODmn:47.5mg/L、BOD:9.8mg/Lの処理水が得られた。
【0062】
上記再生排液を過酸化水素系酸化剤で酸化処理した処理液はCODmn:188mg/L、さらに活性炭処理した処理液はCODmn:132mg/Lであった。また上記再生排液を塩素系酸化剤で酸化処理した処理液はCODmn:238mg/L、さらに活性炭処理した処理液はCODmn:181mg/Lであった。
【実施例2】
【0063】
実施例1と同様の装置(ただしアニオン交換ユニットを省略した)に、酸性ガスを吸収し、蒸気再生で1次再生したジイソプロパノールアミン(アミン濃度40.9重量%、HSAS濃度1.33重量%、カリウムイオン濃度6700mg/L、カリウムによって中和された分を補正した全HSAS濃度3.66重量%)をSV3.8で通液し、新品の強酸性カチオン交換樹脂と、使用済の強酸性カチオン交換樹脂(全交換容量1.91meq/mL−樹脂、中性塩分解容量1.90meq/mL−樹脂)の吸着能力を比較した。結果を表1に示す。
【0064】
表1中の結果は、新品の強酸性カチオン交換樹脂と使用済の強酸性カチオン交換樹脂に対し、それぞれが有する交換能力に対する通液したジイソプロパノールアミン中のカリウムイオン濃度に対する飽和量(貫流点における積算通液量)を100%とした時の実際の積算通液量比率の時点における処理液の電気伝導率、およびその状態でのジイソプロパノールアミンの吸着量を調べるため硫酸で再生し、純水で洗浄した再生排液中の全窒素濃度を調べた値を示す。カチオン交換樹脂の再生は、8重量%硫酸5BV、純水3BVをそれぞれSV8.3で通液して再生した。
【0065】
表1の結果より、新品樹脂と使用済樹脂間でのアミンの吸着量に差はなく、使用済の樹脂が本用途に問題なく使用できることがわかる。また表1中、通液量を増加するにつれて、再生排液中の全窒素濃度が大幅に低下しているが、これはジイソプロパノールアミンがカチオン交換ユニットを通液した段階で、プロトン化したジイソプロパノールアミン自体が当初カチオン交換樹脂に吸着し、それがカチオン交換樹脂により親和性の強いカリウムイオンに交換脱着されていることが示されている。このことはジイソプロパノールアミンの再生排液へのリークを、カリウムイオンを含むジイソプロパノールアミンを交換能力一杯まで流すことにより、低減できることを示している。
【0066】
【表1】



【実施例3】
【0067】
実施例2の処理液(カチオン交換樹脂の交換能力に対し105%まで通液した時の処理液)を、実施例1と同じアニオン交換ユニットにSV3.8で通液して、電気伝導率により貫流点を検出し、新品アニオン交換樹脂と使用済アニオン交換樹脂の吸着能力を比較した。結果を表2に示す。
【0068】
表2の結果より、新品樹脂と使用済み樹脂ともに処理液中の残留HSASは検出されず、使用済みの樹脂が本用途に問題なく使用できることがわかる。カチオン交換樹脂の交換能力に対し100%まで通液した時の処理液の場合も同等の効果が得られるが、どちらの場合も、電気伝導率により容易に貫流点を検出することができた。
【0069】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0070】
石油精製その他のプロセスで発生する酸性ガスの精製工程において、酸成分を吸収し、熱安定性アミン塩(HSAS)が蓄積したアミン液を、イオン交換樹脂を用いて再生し、熱安定性アミン塩の酸成分を効率的に除去する方法に利用可能である。
【符号の説明】
【0071】
1: ガス精製装置、2: イオン交換装置、3: 樹脂再生装置、4: 再生排液処理装置、5: カチオン交換ユニット、6: アニオン交換ユニット、1a、1b・・、2a、2b・・、4c、4d、・・: カップリング、3a、3b、3c、3d、3e、3f: 電気伝導率計、5a: カチオン交換樹脂層、6a: アニオン交換樹脂層、11: 吸収塔、12: 再生塔、13、14: 熱交換器、15、16: 充填層、17: リボイラ、21、31: 支持枠台、22: メカニカルフィルタユニット、23: 活性炭ユニット、23a: 活性炭層、24、36: 制御装置、32: 洗浄水槽、33: 酸再生剤槽、34: 塩再生剤槽、35: アルカリ再生剤槽、41: 混合貯留槽、42: pH調整槽、43: 生物処理槽。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸成分を含む酸性ガスを吸収塔においてアミン液と接触させることにより酸成分を吸収除去してリッチアミン液を生成する吸収工程と、
酸成分を吸収したリッチアミン液を再生塔において熱分解し、気散性の酸性ガスを放出させることにより、リッチアミン液を1次再生してリーンアミン液を生成させるアミン1次再生工程と、
リーンアミン液をアルカリで中和することにより、蓄積した熱安定性リーンアミン塩を分解して、難気散性の弱酸の塩を遊離させ、リーンアミン液を吸収塔に循環させるアミン液の中和工程と、
リーンアミン液の一部をカチオン交換樹脂層およびアニオン交換樹脂層に通液し、リーンアミン液に含まれるカチオンおよび熱安定性アミン塩を構成するアニオンを交換吸着してリーンアミン液を2次再生し、吸収塔に循環させるアミン2次再生工程とを含む方法において、
アミン2次再生工程におけるカチオン交換樹脂層およびアニオン交換樹脂層として、中性塩の除去に使用した強酸性カチオン交換樹脂および強塩基性アニオン交換樹脂であって、全交換容量および中性塩分解容量が低下した使用済カチオン交換樹脂を充填したカチオン交換樹脂層、ならびに全交換容量および中性塩分解容量が低下した使用済アニオン交換樹脂を充填したアニオン交換樹脂層を用いることを特徴とするアミン液の再生方法。
【請求項2】
カチオン交換樹脂層の貫流点におけるリーンアミン液の通液量を100%としたとき、リーンアミン液の通液量が103〜106%となる時点でカチオン交換樹脂層の再生を行い、アニオン交換樹脂層の貫流点において、アニオン交換樹脂層の再生を行うことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
カチオン交換樹脂層およびアニオン交換樹脂層として、使用済のカチオン交換樹脂および使用済のアニオン交換樹脂を充填した着脱交換式のカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを含むイオン交換装置を設け、
再生済のカチオン交換樹脂を充填したカチオン交換ユニットおよび再生済のアニオン交換樹脂を充填したアニオン交換ユニットを前記イオン交換装置に装着し、前記リーンアミン液を通液してリーンアミン液に含まれるカチオンおよび熱安定性アミン塩を構成するアニオンを吸着除去してアミン液を2次再生し、
カチオンおよびアニオンを吸着したカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを前記イオン交換装置から脱着し、再生済のカチオン交換樹脂を充填したカチオン交換ユニットおよび再生済のアニオン交換樹脂を充填したアニオン交換ユニットと交換して、
アミン液の2次再生を続行する
ことを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
カチオンおよびアニオンを吸着したカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットをイオン交換装置から脱着し、
脱着したカチオン交換ユニットのカチオン交換樹脂およびアニオン交換ユニットのアニオン交換樹脂を樹脂再生装置で再生する
ことを特徴とする請求項3記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−215592(P2010−215592A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66370(P2009−66370)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(390027188)栗田エンジニアリング株式会社 (26)
【Fターム(参考)】