説明

アラーム針駆動装置及びこれを用いた時計

【課題】アラーム針によって視認性良くアラーム時刻が設定でき、かつ、アラームを発生させる予定時刻を正確に設定することができるアラーム針駆動装置を提供する。
【解決手段】アラーム時刻を制御するアラーム時刻制御機構17に対応して移動するアラーム針9が備えられ、前記アラーム時刻制御機構17には、前記アラーム時刻を指定するための導電体で形成されたパターン27、29と、前記パターン27、29に接触し、前記アラーム針9に連動する導電体で形成された接片23a、25aと、を有することを特徴とする。また、前記アラーム針9は、伝達部材を介して移動し、前記伝達部材は、前記アラーム針9が取り付けられるアラーム車31及び前記アラーム時刻制御機構17を駆動する伝え歯車33であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目覚し時計に関し、特にアラーム時刻を設定するアラーム針駆動装置及びこれを用いた時計に関する。
【背景技術】
【0002】
標準時刻電波を受信し、その時刻コードに基づいて不正確な時刻表示を秒単位で正確な時刻へと修正する目覚し時計が知られている。このような目覚し時計には、アラーム音を発生させたい時刻を時計盤上で設定するアラーム針や、デジタル等で表示された時刻を確認して設定する表示板等が設けられている。例えば、アラーム針が設けられた目覚し時計では、時計の指針(長針や短針)の駆動に連動して、時計の指針とアラームを発生させる回路との接点が切り換わり、導通状態となることで、アラーム音が発生する。
【0003】
しかしながら、標準時刻電波によって正確な時刻を表示する目覚し時計であっても、上述したアラーム針によるアラーム音の発生は、指針等を駆動する部品の誤差等により、必ずしも正確で細かなアラーム時刻の設定をできるものでなかった。このような問題点に対し、例えば、特許文献1では、アラーム音を正確なタイミングで発生させる時計装置が開示されている。
【0004】
特許文献1によれば、アラーム音を発生させる予定時刻に達する前に予め目安カムが落ち、目安接点と接触してON状態に切り換わり、当該予定時刻に達するまで時刻カウンタによってカウントし、所定のカウント値に到達した際に、制御部が目安接点と報知手段とを導通状態とすることで、正確にアラーム音を発生させることができるようにしている。
【特許文献1】特開2002−318291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1において、部品の1つである目安カムを落とすタイミングは依然として部品の精度に関わってしまうという問題点がある。そのため、特許文献1においては、アラーム音を発生させる正確な時刻設定という点で、概ね±5分、すなわち、10分程度の誤差は止むを得なく、それ以上の細かな時刻設定は部品の精度に依存せざるを得ない。
【0006】
また、デジタル等で表示された表示板をアラーム時刻設定に使用すれば、分単位で正確に設定をすることが可能となるが、アナログ表示に慣れ親しんでいる使用者にとっては嫌悪感があり、使いづらいという意見もあった。
【0007】
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであり、アラーム針によって視認性良くアラーム時刻が設定でき、かつ、アラームを発生させる予定時刻を正確に設定することができるアラーム針駆動装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した問題点を解決するために、本発明のアラーム針駆動装置は、アラーム時刻を制御するアラーム時刻制御機構に対応して移動するアラーム針が備えられ、
前記アラーム時刻制御機構には、前記アラーム時刻を指定するための導電体で形成されたパターンと、前記パターンに接触し、前記アラーム針に連動する導電体で形成された接片と、を有することを特徴とする。このような構成により、アラーム針を視認して移動させることと同期して、アラーム時刻の制御が可能となる。
【0009】
また、本発明において前記アラーム針は、伝達部材を介して移動し、前記伝達部材は、前記アラーム針が取り付けられるアラーム車及び前記アラーム時刻制御機構を駆動する伝え歯車であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明において、前記アラーム時刻制御機構は、それぞれに前記接片を有し、互いに連動する少なくとも2つの回転体と、少なくとも2つの前記パターンを設けたアラーム時刻制御回路基板と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記パターンが、前記アラーム時刻制御回路基板上に環状に形成されることを特徴とする。このような構成により、回転体の動きに合わせたアラーム時刻の制御が可能となる。
【0012】
また、本発明の前記回転体は、分に対応する第1の回転体と時に対応する第2の回転体とであって、前記パターンは、前記第1の回転体に対応する第1のパターンと、前記第2の回転体に対応する第2のパターンとであり、前記第1のパターンと前記第2のパターンはそれぞれ同心に配置された、内側の導通パターンと外側の導通パターンを有し、前記第1の回転体の接片によって前記第1のパターンの前記内側の導通パターンと前記外側の導通パターンとを互いに導通させて前記アラーム時刻の分を指定し、前記第2の回転体の接片によって前記第2のパターンの前記内側の導通パターンと前記外側の導通パターンとを互いに導通させて前記アラーム時刻の時を指定する、ことを特徴とする。このような構成により、アラーム時刻の設定の切替えが可能となる。
【0013】
また、本発明は、前記非導通部分が、段状の形状であって、前記非導通部分で分割されて隣り合ったパターンが互いに入り組むように形成され、前記接片は先端が2つに分岐して、前記パターンとの接点となり、前記接点のうちいずれか一方の接点が非導通部で停止するような場合であっても、他方の接点が隣り合ったパターンのいずれか一方に導通する、ことを特徴とする。このような構成により、接点が非導通部分のみに止まってアラーム音を発生させる時刻を認識できないということが起こらなくなる。
【0014】
また、本発明は、上述したアラーム針駆動装置と、前記アラーム針駆動装置によって設定されたアラーム時刻に基づき、アラーム音の発生を制御する制御回路基板を備えるムーブメント装置と、を有することを特徴とする。このような構成により、アラーム針を視認でき、かつ、正確で細かなアラーム時刻設定が可能となる時計を提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るアラーム針駆動装置によれば、アラーム針を視認しながら、部品の精度によらない正確で細かなアラーム時刻設定が可能となるため、電波修正機能に適用可能な目覚し時計を提供することできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態にかかる目覚し時計1の正面図である。図1において、目覚し時計1は、時刻を表示する指針である長針3及び短針5と、秒を指し示す秒針6と、目覚し時計1の略中心部に内蔵され、目覚し時計1を動作させるムーブメント装置7と、アラームを発生させる時刻を表示するアラーム針9及び当該アラーム針9を移動させる操作部11とを備えるアラーム針駆動装置13と、を有する。
【0018】
操作部11は、例えば、回転体等であり、矢印に示すように当該回転体を右回りまたは左回りに回転させることで、アラーム針9の操作が可能となる。すなわち、このような操作をすることによって、アラーム針9は、アラーム針駆動装置13から駆動力を得て、時計回りまたは反時計回りに移動し、アラーム時刻の設定が可能となる。
【0019】
より詳細には、例えば、回転体の回転動作が間欠的に区切られており、回転体を144回連続して右回りまたは左回りに操作することで、回転体が1回転するような場合、アラーム針9は当該回転体に連動して2.5°づつの間隔で間欠的に移動する。このようにアラーム針9が移動することで、アラーム時刻は5分間隔で設定されることになる。
【0020】
また、図2は、目覚し時計1のブロック図である。目覚し時計1は、図2に示すように、目覚し時計1を制御する制御回路基板15と、時刻を計時する内部時計16と、クロック信号を発信する発信器18と、標準時刻情報の電波を受信する時刻情報受信手段20と、内部時計16が計時する時刻を表示する時刻表示手段22と、アラーム時刻を制御するアラーム時刻制御機構17と、内部時計16の時刻がアラーム設定時刻に達すると作動する報知手段24と、を備える。
【0021】
制御回路基板15は、例えば、半導体メモリ等の記憶手段やマイクロコンピュータを備え、電池等の電源から電力が供給されることで動作する。記憶手段は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等で構成され、制御回路のワークスペースとして用いられ、また、所定のプログラム等を格納する。さらに、時刻情報受信手段20から得られた標準時刻情報に基づいて内部時計16の時刻を修正する。
【0022】
内部時計16は、例えば、年情報カウンタ、月情報カウンタ、日情報カウンタ、曜日情報カウンタ、時情報カウンタ、分情報カウンタ、秒情報カウンタ等を含み、クロック信号に基づいて当該情報を計時する。時刻情報受信手段20は、アンテナ回路など、標準時刻情報の電波を受信する手段である。時刻表示手段22は、指針3、5及び秒針6を駆動するムーブメント装置7を備えるものである。報知手段24は、スピーカ等を備え、アラーム設定時刻に到達するとメロディやチャイム等のアラームを発生するものである。
【0023】
図3は、上述したムーブメント装置7の平面図である。図3に示すように、ムーブメント装置7には、目覚し時計1を制御する制御回路基板15と、制御回路基板15に接続され、アラーム時刻を制御するアラーム時刻制御機構17とが保持部材19を挟むように形成されている。
【0024】
アラーム時刻制御機構17は、アラーム時刻を制御するアラーム時刻制御回路基板21と、アラーム時刻制御回路基板21上に配され、保持部材19に回転自在に取り付けられた、アラーム時刻の「分」を制御する第1の回転体23及びアラーム時刻の「時」を制御する第2の回転体25とを備える。第1の回転体23及び第2の回転体25はそれぞれ歯車であって、お互いに噛み合わさるように同一平面上に配置されている。したがって、例えば、第1の回転体23が時計回りに回転すると、その駆動力が第2の回転体25に及び、第2の回転体25は反時計回りに回転する。さらに、第1の回転体23の回転動作に連動して、図示しない歯車からアラーム針9に駆動力が伝わり、アラーム針9が移動する。
【0025】
さらに、アラーム時刻制御機構17について図4及び図5を参照して説明する。図4は、アラーム時刻制御機構17を分解した平面図である。また、図5は、アラーム時刻制御機構17の縦断面図である。なお、以下の図面において、図3に示されるアラーム時刻制御機構の各部と同様の構成には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0026】
図4に示すように、第1の回転体23及び第2の回転体25の裏面には、それぞれ導電体で形成された第1の接片23a及び第2の接片25aが形成され、さらに、第1の回転体23の裏面には、第1の回転体23の径より小さい小径歯車26が設けられている。一方、アラーム時刻制御回路基板21の表面には、第1の回転体23及び第2の回転体25それぞれの回転角度を検出するための導電体で形成された第1のパターン27及び第2のパターン29が形成されている。
【0027】
第1のパターン27及び第2のパターン29は、いずれも環状の形状を有している。また、第1のパターン27及び第2のパターン29は、いずれも、内側のパターンと、内側のパターンを取り囲む外側のパターンとから構成され、内側のパターンの外周と外側のパターンの内周との間には非導通状態となる非導通部分30が形成されている。
【0028】
さらに、内側のパターン及び外側のパターンのいずれもが、所望の間隔で、直径方向に非導通部分30を設け、部分的に非導通状態になるように分割されている。本実施の形態においては、内側のパターンには、非導通部分30が直径方向に段状となって2箇所対向して形成されており、また、外側のパターンは直径方向に段状となって10箇所形成されている。
【0029】
また、図5に示すように、第1の回転体23と第2の回転体25とは、同一平面上に噛み合って配置されており、さらに、第1のパターン27が第1の接片23aと接触し、また、第2のパターン29が第2の接片25aと接触可能となるように配置されている。
【0030】
より詳細には、第1の回転体23に形成された第1の接片23aは、第1のパターン27の内側のパターン及び外側のパターンをまたがって接触する。第2の回転体25に形成された第2の接片25aは、第2のパターン29の内側のパターン及び外側のパターンをまたがって接触する。
【0031】
このように、各接片23a、25aが、第1のパターン27及び第2のパターン29に接触しながらアラーム時刻制御回路基板21上に配され、保持部材19に回転自在に取り付けられた、第1の回転体23及び第2の回転体25が回転すると、それに合わせて各接片23a、25aは回転し、それぞれの接片23a、25aは第1のパターン27及び第2のパターン29のそれぞれ内側のパターン及び外側のパターンと非接触及び接触を繰り返す。
【0032】
このような非接触、接触を繰り返すことにより、パターン間が非導通状態または導通状態に設定される。この非導通状態または導通状態が設定された状態により、アラーム時刻を検出する回路パターンが形成され、アラーム時刻が認識される。
【0033】
このパターンを図8に示す。本実施形態においては、第1のパターン27は内側のパターンと外側のパターンが同心状に配置されており、内側のパターンが2分割されて、それぞれに外側のパターンを6分割して割り当てることで、12種類の導電パターンが設けられている。第1の回転体23が1周で60分に達することから、1つの導電パターンは、5分間隔であることが分かる。同様に、第2のパターン29は、内側のパターンが2分割され、それぞれに外側のパターンを6分割して割り当てることで、12種類の導電パターンが設けられており、第2の回転体25が1周で12時間に達することから、1つの導電パターンは、1時間間隔であることが分かる。
【0034】
本実施例においては、第1の回転体23の接片23aによって第1のパターン27の内側の導通パターンと外側の導通パターンを互いに導通させてアラーム時刻の分を指定し、第2の回転体25の接片25aによって第2のパターン29の内側の導通パターンと外側の導通パターンを互いに導通させてアラーム時刻の時を指定する。
【0035】
例えば図9では、図8で示した第1のパターン27のP13とSEG13とが導通しており、これは00分を表している。また図8で示した第2のパターン29はP11とSEG1が導通しており、これは12時を示している。従って、図9においてアラーム時刻は12時00分に設定されている。なお、図10にパターンと時刻との関係を示す。
【0036】
なお、本実施の形態においては、アラーム時刻制御回路基板21に形成された第1のパターン27は、5分間隔でアラーム時刻設定ができるようにパターン化されているが、例えば、さらに非導通部分を設け当該パターンを細かくすることで、従来のように部品の精度によらない、細かなアラーム時刻設定が実現可能となる。
【0037】
本実施例において図9に示すように非導通部分30は段状の形状であって、それぞれのパターンが互いに入り組むように形成されている。また、パターンに接触する接片の接点は先端がそれぞれ2つに分岐しており、いずれか一方が非導通部分で停止するような場合であっても、他方の接点が隣り合ったパターンのいずれか一方に導通することができる。
【0038】
第1の接片23aの一方の端部を23aaとし、もう一方の端部を23abとする。そして、一方の端部23aaの分岐した一方を接点23aa1とし、他方を接点23aa2とする。また、他方の端部23abのうち分岐した一方を接点23ab1とし、他方を接点23ab2とする。
【0039】
同様に、第2の接片25aの一方の端部を25aaとし、他方の端部を25abとする。そして、一方の端部25aaの分岐した一方を接点25aa1とし、他方を接点25aa2とする。また、他方の端部25abのうち分岐した一方を接点25ab1とし、他方を接点25ab2とする。
【0040】
図11は第1のパターン27において第1の接片23aの接点23aa1が図8に示すSEG13とSEG15の間の非導通部に、接点23aa2がSEG13に接触した状態に位置決めされ、接点23ab1と接点23ab2が両方ともP13に位置決められて停止した状態を示している。
【0041】
このように第1のパターン27の非導通部分は段状の形状であって、それぞれのパターンが互いに入り組むように形成されているので、一方の接点が非導通部で停止しても、もう一方の接点が必ず導通部に接触するようにパターンが配されているので、接点が非導通部のみに止まってアラーム音を発生させる時刻を認識できないということが起こらなくなる。なお、第2のパターン29と第2の接片25aについても同様の関係が成立する。
【0042】
次にパターンとアラーム時刻の関係について説明する。
【0043】
図12において第1の接片23aの接点23aa1は図8に示すSEG15に接触し、接点23aa2はSEG13に接触している。また、接点23ab1と接点23ab2は両方ともP13に接触している。
【0044】
この場合、アラーム時刻は00分と55分の両方に設定されていることになるが、本実施例おいてはこうした場合は55分にアラームを鳴らす。すなわち、2つのアラーム時刻が設定された場合は、必ず早い方の時刻にアラームを鳴らすように設定されている。このようにすることで、決められた時刻よりも早く目を覚ますことになるが、遅れて目覚めるという事態を防止するという意味で、目覚まし時計としての目的が確実に果たされる。
【0045】
さらに、本発明の実施の形態に係るアラーム針駆動装置13について図6及び図7を参照して説明する。図6は、アラーム針駆動装置13の平面図である。図7は、アラーム針駆動装置13の縦断面図である。
【0046】
アラーム針駆動装置13は、上述した第1の回転体23及び第2の回転体25と、アラーム針9を移動させるアラーム車31と、伝達部材であって、第1の回転体23及びアラーム車31に噛み合う伝え歯車33と、操作部11からの駆動力を伝え歯車33に伝える操作歯車34a及び34bと、を備える。なお、操作歯車の個数は本実施形態の数に限られず、適宜変更することが可能である。
【0047】
伝え歯車33の裏面には、伝え歯車33の径よりも小さい中径歯車35が設けられ、アラーム車31と噛み合う。また、伝え歯車33は、第1の回転体23に設けられた小径歯車26と噛み合う。さらに、伝え歯車33には、操作歯車34aが噛みあう一方、操作歯車34aは操作歯車34bの裏面に設けられた大径歯車34cと噛み合う。操作歯車34bは、操作部11と噛み合う。
【0048】
より詳細には、図7に示すように、第1の回転体23の裏面に形成された小径歯車26は、アラーム時刻制御回路基板21を貫通して配置されており、アラーム時刻制御回路基板21の裏面であって、同一平面上に配置された伝え歯車33と噛み合う。また、伝え歯車33の裏面に形成された中径歯車35は、同一平面上であって、アラーム時刻制御回路基板21の方向にアラーム針9が設置される先端部が突出して配置されたアラーム車31と噛み合う。
【0049】
このような配置を形成する各歯車に対し、操作部11から駆動力を加えると、当該駆動力は、大径歯車34cから操作歯車34bに伝播し、さらに、操作歯車34aを介して伝え歯車33に伝播する。
【0050】
伝え歯車33は、自身に形成された中径歯車35に噛み合うアラーム車31に駆動力を伝えるとともに、第1の回転体23に形成され、伝え歯車33に噛み合う小径歯車26に駆動力を伝える。すなわち、伝え歯車33を配置することで第1の回転体23及びアラーム車31に駆動力が同期して伝播することになる。
【0051】
なお、第1の回転体23と第2の回転体25とは、同一平面上に噛み合って配置されているが、第2の回転体25の外周全体に歯が形成されているのに対し、第1の回転体23は、所定の領域にのみ歯が形成されている。本実施例において所定の領域とは、分にして55分から00分に相当する領域である。
【0052】
したがって第2の回転体25は第1の回転体23が360°回転すると所定の角度だけ回転する。本実施例においては第1の回転体23が360°回転すると第2の回転体25は30°回転する。この角度は第2の回転体25においては1時間に相当する。
【0053】
第2の回転体25は、上述したように第1の回転体23の55分から00分の間だけかみ合って所定の角度回転するが、それ以外の領域では第1の回転体23が回転しても、それに伴って回転することなく、その位置を保っている。
【0054】
このように、アラーム車31に設置されたアラーム針9を移動させるとともに、第1の回転体23及び第2の回転体25も回転することで、アラーム時刻の設定が可能となる。
【0055】
さらに、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上、説明したように、本発明に係るアラーム針駆動装置は、アラーム針を視認しながら、部品の精度によらない正確で細かなアラーム時刻設定が可能となり、産業上の利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る目覚し時計の正面図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態に係る目覚し時計のブロック図である。
【図3】図3は、ムーブメント装置の平面図である。
【図4】図4は、アラーム時刻制御機構を分解した平面図である。
【図5】図5は、アラーム時刻制御機構の縦断面図である。
【図6】図6は、アラーム針駆動装置の平面図である。
【図7】図7は、アラーム針駆動装置の縦断面図である。
【図8】図8は、パターンを説明するための図である。
【図9】図9は、接片とパターンとの関係を説明する図である。
【図10】図10は、パターンと時刻との関係を示す図である。
【図11】図11は、接片とパターンとの関係を説明する他の図である。
【図12】図12は、接片とパターンとの関係を説明する図である。
【符号の説明】
【0058】
1 目覚し時計
3 長針
5 短針
6 秒針
7 ムーブメント装置
9 アラーム針
11 操作部
13 アラーム針駆動装置
15 制御回路基板
16 内部時計
17 アラーム時刻制御機構
18 発振器
19 保持部材
20 時刻情報受信手段
21 アラーム時刻制御回路基板
22 時刻表示手段
23 第1の回転体
23a 第1の接片
23aa、23ab 端部
23aa1、23aa2、23ab1、23ab2 接点
24 報知手段
25 第2の回転体
25a 第2の接片
25aa、25ab 端部
25aa1、25aa2、25ab1、25ab2 接点
26 小径歯車
27 第1のパターン
29 第2のパターン
30 非導通部分
31 アラーム車
33 伝え歯車
34a、34b 操作歯車
34c 大径歯車
35 中経歯車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アラーム時刻を制御するアラーム時刻制御機構に対応して移動するアラーム針が備えられ、
前記アラーム時刻制御機構には、前記アラーム時刻を指定するための導電体で形成されたパターンと、
前記パターンに接触し、前記アラーム針に連動する導電体で形成された接片と、
を有することを特徴とするアラーム針駆動装置。
【請求項2】
前記アラーム針は、伝達部材を介して移動し、
前記伝達部材は、前記アラーム針が取り付けられるアラーム車、及び、前記アラーム時刻制御機構を駆動する伝え歯車であることを特徴とする、請求項1に記載のアラーム針駆動装置。
【請求項3】
前記アラーム時刻制御機構は、
それぞれに前記接片を有し、互いに連動する少なくとも2つの回転体と、
少なくとも2つの前記パターンを設けたアラーム時刻制御回路基板と、
を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載のアラーム針駆動装置。
【請求項4】
前記パターンは、前記アラーム時刻制御回路基板上に環状に形成されることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアラーム針駆動装置。
【請求項5】
前記パターンには、非導通部分が直径方向に所定の間隔で配置されることを特徴とする、請求項4に記載のアラーム針駆動装置。
【請求項6】
前記回転体は、分に対応する第1の回転体と、時に対応する第2の回転体とであって、前記パターンは、前記第1の回転体に対応する第1のパターンと、前記第2の回転体に対応する第2のパターンとであり、前記第1のパターンと前記第2のパターンはそれぞれ同心に配置された、内側の導通パターンと外側の導通パターンとを有し、前記第1の回転体の接片によって前記第1のパターンの前記内側の導通パターンと前記外側の導通パターンとを互いに導通させて前記アラーム時刻の分を指定し、前記第2の回転体の接片によって前記第2のパターンの前記内側の導通パターンと前記外側の導通パターンとを互いに導通させて前記アラーム時刻の時を指定する、
ことを特徴とする、請求項5に記載のアラーム針駆動装置。
【請求項7】
前記非導通部分は、段状の形状であって、前記非導通部分で分割されて隣り合ったパターンが互いに入り組むように形成され、前記接片は先端が2つに分岐して、前記パターンとの接点となり、前記接点のうちいずれか一方の接点が非導通部で停止するような場合であっても、他方の接点が隣り合ったパターンのいずれか一方に導通する、
ことを特徴とする請求項6に記載のアラーム針駆動装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のアラーム針駆動装置と、
前記アラーム針駆動装置によって設定されたアラーム時刻に基づき、アラーム音の発生を制御する制御回路基板を備えるムーブメント装置と、
を有することを特徴とする時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−292517(P2007−292517A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−118570(P2006−118570)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【出願人】(396004970)セイコークロック株式会社 (44)
【Fターム(参考)】