説明

アリサイクロバチルス・アシドカルダリウスおよび関連生物体からの好熱性および好熱好酸性グリコシル化遺伝子および酵素、方法

アリサイクロバチルス・アシドカルダリウスから単離および/または精製されたポリペプチドならびに単離および/または精製されたアリサイクロバチルス・アシドカルダリウス由来ポリペプチドをコードする核酸配列を提供する。さらに、アリサイクロバチルス・アシドカルダリウスから単離および/または精製されたポリペプチドおよび核酸配列を使用して、タンパク質をグリコシル化および/または翻訳後に修飾するための方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本願は、「THERMOPHILIC AND THERMOACIDOPHILIC GLYCOSYLATION GENES AND ENZYMES FROM ALICYCLOBACILLUS ACIDOCALDARIUS AND RELATED ORGANISMS,METHODS」と題する2008年2月27日出願の米国仮特許出願第61/031,984号の出願日の利益を主張する。
【0002】
政府の権利
米国政府は、米国エネルギー省(United States Department of Energy)とBattelle Energy Alliance, LLCとの間の契約番号DE−AC07−99ID13727および契約番号DE−AC07−05ID14517に従って、本発明において一定の権利を有する。
【0003】
技術分野
本発明は、概して、バイオテクノロジーに関する。より具体的には、本発明は、アリサイクロバチルス・アシドカルダリウスから単離および/または精製されたポリペプチドならびに単離および/または精製されたアリサイクロバチルス・アシドカルダリウス由来ポリペプチドをコードする核酸配列と、それらの使用のための方法に関する。
【背景技術】
【0004】
細菌は概して細菌のタンパク質をグリコシル化しないとつい最近まで信じられてきた。いくつかの事例が報告されているが、これらは、まれな例外として取り合われなかった(Borman 2006)。細菌が実際には恐らく真核生物よりも多くの様式で細菌のタンパク質をグリコシル化することが、現在ますます認められているが、この考えは、まだ広く知られていない(Schaffer et al.2001)。近年の総説では、グリコシル化がタンパク質安定性を助け、溶解度等の物理的性質を調節し、タンパク質分解を防ぎ、活性プロファイルを修正し、外在化を標的とすることが示されたことが述べられている(Upreti et al.2003)。1994年、あるグループが、アリサイクロバチルス・アシドカルダリウスからアミラーゼを精製し、活発な成長の間、アミラーゼが細胞に結合し、グリコシル化されず、不溶性であることを示した(Schwerman et al.1994)。培養が定常期に入ると、該細胞はアミラーゼのいくつかの可溶性グリコシル化型を培地中に放出した(Schwerman et al.1994)。種々の種類のアミラーゼの活性を比較する試みは行われなかった。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態は、アリサイクロバチルス・アシドカルダリウスのゲノムの精製および/または単離されたヌクレオチド配列、またはその相同体あるいは断片に関する。 本発明の一実施形態では、該ヌクレオチド配列は、配列番号2、19、36、53、70、87、104、121、138、155、172、189、206、223、240、257、274、291、および310、またはそれらの相同体もしくは断片のうちの少なくとも1つから選択される。本発明の別の実施形態では、該相同体は、配列番号2、19、36、53、70、87、104、121、138、155、172、189、206、223、240、257、274、291、および310のうちの少なくとも1つに対して少なくとも80%の配列同一性を有するヌクレオチド配列から成る群より選択される。
【0006】
本発明の実施形態は、配列番号1、18、35、52、69、86、103、120、137、154、171、188、205、222、239、256、273、290、および309のうちの少なくとも1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドから成る群より選択されるポリペプチドをコードする核酸配列を含む、単離および/または精製された核酸配列にさらに関連し得る。
【0007】
また、本発明の実施形態は、アリサイクロバチルス・アシドカルダリウスのゲノムのヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列によってコードされる単離および/または精製されたポリペプチド、またはそれらの相同体あるいは断片に関する。 一実施形態では、該ヌクレオチド配列は、配列番号2、19、36、53、70、87、104、121、138、155、172、189、206、223、240、257、274、291、および310のうちの少なくとも1つに対して少なくとも80%の配列同一性を有するヌクレオチド配列から成る群より選択されるヌクレオチド配列を含む。
【0008】
本発明の別の実施形態では、該ヌクレオチド配列は、配列番号2、19、36、53、70、87、104、121、138、155、172、189、206、223、240、257、274、291、および310、またはそれらの相同体もしくは断片のうちの少なくとも1つから選択されるヌクレオチド配列を含む。さらに別の実施形態では、該ポリペプチドは、配列番号1、18、35、52、69、86、103、120、137、154、171、188、205、222、239、256、273、290、および309のアミノ酸配列を含む。さらに別の実施形態では、該ポリペプチドは、配列番号1、18、35、52、69、86、103、120、137、154、171、188、205、222、239、256、273、290、および309のうちの少なくとも1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドから成る群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【0009】
本発明の実施形態では、該ポリペプチドは、好酸性および/または好熱性であってもよい。 さらなる実施形態では、該ポリペプチドは、グリコシル化、ペグ化、および/または別様に翻訳後に修飾されてもよい。
【0010】
方法の実施形態は、配列番号1、18、35、52、69、86、103、120、137、154、171、188、205、222、239、256、273、290、および309に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドから成る群より選択される第2のポリペプチドを使用して、第1のポリペプチドをグリコシル化または翻訳後修飾するステップを含む。
【0011】
方法のさらなる実施形態は、第1のポリペプチドのタンパク質安定性、溶解度、分解、活性プロファイル、および/または外在化を調節する方法を含み、該方法は、配列番号1、18、35、52、69、86、103、120、137、154、171、188、205、222、239、256、273、290、および309に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドから成る群より選択される第2のポリペプチドを用いて、第1のポリペプチドをグリコシル化または翻訳後修飾するステップを含む。
【0012】
方法のさらなる実施形態は、配列番号2、19、36、53、70、87、104、121、138、155、172、189、206、223、240、257、274、291、および310のうちの少なくとも1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有するヌクレオチド配列から成る群より選択されるヌクレオチド配列を含む組み換え、精製、および/または単離されたヌクレオチド配列、および/または摂氏約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、および/または95度以上の温度、および/または8、7、6、5、4、3、2、1、および/または0以下および/または以上のpHを含む環境において、配列番号1、18、35、52、69、86、103、120、137、154、171、188、205、222、239、256、273、290、および309のうちの少なくとも1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドから成る群より選択される組み換え、精製、および/または単離されたポリペプチドを産生またはコードする細胞を配置するステップを含む。
【0013】
本発明のこれらおよび他の側面は、本明細書に含有される教示に照らして、当業者には明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】配列番号1(RAAC00164)と、ref|YP_001223775.1|、ref|YP_729290.1|、ref|ZP_01084440.1|、ref|ZP_01079150.1|、およびref|ZP_01471594.1|(配列番号3〜7)のそれぞれとの間の配列整合を表し、それらは全て、表1中の配列番号1に割り当てられる作用を有する。全ての配列の中で保存されるアミノ酸は、「」で示され、概して保存されたアミノ酸は、「:」で示される。
【図2】配列番号18(RAAC00517)と、ref|ZP_00589533.1|、ref|ZP_01386435.1|、ref|YP_378533.1|、ref|ZP_00513158.1|、およびref|YP_374173.1|(配列番号20〜24)のそれぞれとの間の配列整合を表し、それらは全て、表1中の配列番号18に割り当てられる作用を有する。全ての配列の中で保存されるアミノ酸は、「」で示され、概して保存されたアミノ酸は、「:」で示される。
【図3】配列番号35(RAAC00650)と、ref|YP_001127183.1|、ref|ZP_02038504.1|、ref|YP_001647987.1|、ref|YP_001377114.1|、およびref|NP_835081.1|(配列番号37〜41)のそれぞれとの間の配列整合を表し、それらは全て、表1中の配列番号35に割り当てられる作用を有する。全ての配列の中で保存されるアミノ酸は、「」で示され、概して保存されたアミノ酸は、「:」で示される。
【図4】配列番号52(RAAC00991)と、ref|ZP_02327412.1|、ref|YP_001487207.1|、ref|ZP_01172765.1|、ref|NP_831314.1|、およびref|NP_844008.1|(配列番号54〜58)のそれぞれとの間の配列整合を表し、それらは全て、表1中の配列番号52に割り当てられる作用を有する。全ての配列の中で保存されるアミノ酸は、「」で示され、概して保存されたアミノ酸は、「:」で示される。
【図5A】配列番号69(RAAC01110)と、ref|YP_001519856.1|、ref|YP_711688.1|、ref|ZP_01331931.1|、ref|YP_001076955.1|、およびref|YP_336440.1|(配列番号71〜75)のそれぞれとの間の配列整合を表し、それらは全て、表1中の配列番号69に割り当てられる作用を有する。全ての配列の中で保存されるアミノ酸は、「」で示され、概して保存されたアミノ酸は、「:」で示される。
【図5B】配列番号69(RAAC01110)と、ref|YP_001519856.1|、ref|YP_711688.1|、ref|ZP_01331931.1|、ref|YP_001076955.1|、およびref|YP_336440.1|(配列番号71〜75)のそれぞれとの間の配列整合を表し、それらは全て、表1中の配列番号69に割り当てられる作用を有する。全ての配列の中で保存されるアミノ酸は、「」で示され、概して保存されたアミノ酸は、「:」で示される。
【図6A】配列番号86(RAAC01166)と、gb|AAR99615.1|、gb|ABM68334.2|、ref|ZP_01372248.1|、ref|YP_519555.1|、およびref|ZP_02234077.1|(配列番号88〜92)のそれぞれとの間の配列整合を表し、それらは全て、表1中の配列番号86に割り当てられる作用を有する。全ての配列の中で保存されるアミノ酸は、「」で示され、概して保存されたアミノ酸は、「:」で示される。
【図6B】配列番号86(RAAC01166)と、gb|AAR99615.1|、gb|ABM68334.2|、ref|ZP_01372248.1|、ref|YP_519555.1|、およびref|ZP_02234077.1|(配列番号88〜92)のそれぞれとの間の配列整合を表し、それらは全て、表1中の配列番号86に割り当てられる作用を有する。全ての配列の中で保存されるアミノ酸は、「」で示され、概して保存されたアミノ酸は、「:」で示される。
【図7】配列番号103(RAAC01167)と、ref|ZP_01515212.1|、ref|YP_001277643.1|、ref|ZP_02291400.1|、ref|YP_001633727.1|、およびref|YP_001434357.1|(配列番号105〜109)のそれぞれとの間の配列整合を表し、それらは全て、表1中の配列番号103に割り当てられる作用を有する。全ての配列の中で保存されるアミノ酸は、「」で示され、概して保存されたアミノ酸は、「:」で示される。
【図8A】配列番号120(RAAC01170)と、ref|YP_001324592.1|、ref|YP_342776.1|、ref|NP_780975.1|、ref|YP_001636830.1|、およびref|YP_001299026.1|(配列番号122〜126)のそれぞれとの間の配列整合を表し、それらは全て、表1中の配列番号120に割り当てられる作用を有する。全ての配列の中で保存されるアミノ酸は、「」で示され、概して保存されたアミノ酸は、「:」で示される。
【図8B】配列番号120(RAAC01170)と、ref|YP_001324592.1|、ref|YP_342776.1|、ref|NP_780975.1|、ref|YP_001636830.1|、およびref|YP_001299026.1|(配列番号122〜126)のそれぞれとの間の配列整合を表し、それらは全て、表1中の配列番号120に割り当てられる作用を有する。全ての配列の中で保存されるアミノ酸は、「」で示され、概して保存されたアミノ酸は、「:」で示される。
【図9】配列番号137(RAAC01248)と、ref|ZP_02170160.1|、ref|ZP_01171895.1|、ref|YP_076646.1|、ref|YP_590910.1|、およびref|ZP_02175410.1|(配列番号139〜143)のそれぞれとの間の配列整合を表し、それらは全て、表1中の配列番号137に割り当てられる作用を有する。全ての配列の中で保存されるアミノ酸は、「」で示され、概して保存されたアミノ酸は、「:」で示される。
【図10A】配列番号154(RAAC01348)と、ref|ZP_01665289.1|、ref|ZP_01643350.1|、gb|AAW77167.1|、ref|YP_452722.1|、およびref|ZP_02241787.1|(配列番号156〜160)のそれぞれとの間の配列整合を表し、それらは全て、表1中の配列番号154に割り当てられる作用を有する。全ての配列の中で保存されるアミノ酸は、「」で示され、概して保存されたアミノ酸は、「:」で示される。
【図10B】配列番号154(RAAC01348)と、ref|ZP_01665289.1|、ref|ZP_01643350.1|、gb|AAW77167.1|、ref|YP_452722.1|、およびref|ZP_02241787.1|(配列番号156〜160)のそれぞれとの間の配列整合を表し、それらは全て、表1中の配列番号154に割り当てられる作用を有する。全ての配列の中で保存されるアミノ酸は、「」で示され、概して保存されたアミノ酸は、「:」で示される。
【図11】配列番号171(RAAC01377)と、ref|YP_147952.1|、ref|YP_520670.1|、ref|YP_001395809.1|、ref|YP_001309701.1|、およびref|YP_001643660.1|(配列番号173〜177)のそれぞれとの間の配列整合を表し、それらは全て、表1中の配列番号171に割り当てられる作用を有する。全ての配列の中で保存されるアミノ酸は、「」で示され、概して保存されたアミノ酸は、「:」で示される。
【図12】配列番号188(RAAC01611)と、ref|YP_146214.1|、ref|YP_001124463.1|、ref|NP_865262.1|、ref|YP_426013.1|、およびref|ZP_01885526.1|(配列番号190〜194)のそれぞれとの間の配列整合を表し、それらは全て、表1中の配列番号188に割り当てられる作用を有する。全ての配列の中で保存されるアミノ酸は、「」で示され、概して保存されたアミノ酸は、「:」で示される。
【図13A】配列番号205(RAAC01612)と、ref|YP_146215.1|、ref|YP_001124464.1|、ref|YP_074948.1|、ref|YP_001039503.1|、およびref|NP_621770.1|(配列番号207〜211)のそれぞれとの間の配列整合を表し、それらは全て、表1中の配列番号205に割り当てられる作用を有する。全ての配列の中で保存されるアミノ酸は、「」で示され、概して保存されたアミノ酸は、「:」で示される。
【図13B】配列番号205(RAAC01612)と、ref|YP_146215.1|、ref|YP_001124464.1|、ref|YP_074948.1|、ref|YP_001039503.1|、およびref|NP_621770.1|(配列番号207〜211)のそれぞれとの間の配列整合を表し、それらは全て、表1中の配列番号205に割り当てられる作用を有する。全ての配列の中で保存されるアミノ酸は、「」で示され、概して保存されたアミノ酸は、「:」で示される。
【図14A】配列番号222(RAAC01926)と、ref|YP_001038202.1|、ref|ZP_01667587.1|、ref|ZP_01575301.1|、ref|YP_001211020.1|、およびref|YP_516465.1|(配列番号224〜228)のそれぞれとの間の配列整合を表し、それらは全て、表1中の配列番号222に割り当てられる作用を有する。全ての配列の中で保存されるアミノ酸は、「」で示され、概して保存されたアミノ酸は、「:」で示される。
【図14B】配列番号222(RAAC01926)と、ref|YP_001038202.1|、ref|ZP_01667587.1|、ref|ZP_01575301.1|、ref|YP_001211020.1|、およびref|YP_516465.1|(配列番号224〜228)のそれぞれとの間の配列整合を表し、それらは全て、表1中の配列番号222に割り当てられる作用を有する。全ての配列の中で保存されるアミノ酸は、「」で示され、概して保存されたアミノ酸は、「:」で示される。
【図15】配列番号239(RAAC01998)と、ref|NP_348940.1|、ref|NP_721244.1|、dbj|BAC75700.1|、ref|ZP_00605123.1|、およびref|YP_015329.1|(配列番号241〜245)のそれぞれとの間の配列整合を表し、それらは全て、表1中の配列番号239に割り当てられる作用を有する。全ての配列の中で保存されるアミノ酸は、「」で示され、概して保存されたアミノ酸は、「:」で示される。
【図16】配列番号256(RAAC02011)と、ref|YP_754819.1|、ref|YP_184322.1|、ref|NP_577787.1|、ref|NP_142068.1|、およびref|NP_125751.1|(配列番号258〜262)のそれぞれとの間の配列整合を表し、それらは全て、表1中の配列番号256に割り当てられる作用を有する。全ての配列の中で保存されるアミノ酸は、「」で示され、概して保存されたアミノ酸は、「:」で示される。
【図17A】配列番号273(RAAC02381)と、ref|NP_622177.1|、ref|YP_848858.1|、ref|YP_001374688.1|、ref|NP_470039.1|、およびref|ZP_01929325.1|(配列番号275〜279)のそれぞれとの間の配列整合を表し、それらは全て、表1中の配列番号273に割り当てられる作用を有する。全ての配列の中で保存されるアミノ酸は、「」で示され、概して保存されたアミノ酸は、「:」で示される。
【図17B】配列番号273(RAAC02381)と、ref|NP_622177.1|、ref|YP_848858.1|、ref|YP_001374688.1|、ref|NP_470039.1|、およびref|ZP_01929325.1|(配列番号275〜279)のそれぞれとの間の配列整合を表し、それらは全て、表1中の配列番号273に割り当てられる作用を有する。全ての配列の中で保存されるアミノ酸は、「」で示され、概して保存されたアミノ酸は、「:」で示される。
【図18】配列番号290(RAAC02421)と、ref|ZP_01721811.1|、ref|NP_241897.1|、ref|YP_001486101.1|、ref|ZP_01170532.1|、およびref|ZP_02327994.1|(配列番号292〜296)のそれぞれとの間の配列整合を表し、それらは全て、表1中の配列番号290に割り当てられる作用を有する。全ての配列の中で保存されるアミノ酸は、「」で示され、概して保存されたアミノ酸は、「:」で示される。
【図19】配列番号309(RAAC01168)と、ref|YP_001663880.1|、ref|YP_001181332.1|、ref|YP_675143.1|、ref|YP_002352821.1|、およびref|YP_001114454.1|(配列番号311〜315)のそれぞれとの間の配列整合を表し、それらは全て、表1中の配列番号309に割り当てられる作用を有する。全ての配列の中で保存されるアミノ酸は、「」で示され、概して保存されたアミノ酸は、「:」で示される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態は、好熱好酸菌アリサイクロバチルス・アシドカルダリウスのタンパク質のグリコシル化および/または翻訳後修飾に関連する遺伝子および関連タンパク質を含む。これらのプロセスに関連する遺伝子のためのコード配列は、アリサイクロバチルス・アシドカルダリウスのゲノムの配列決定から生成される配列情報から決定した。これらの遺伝子およびタンパク質は、アリサイクロバチルス・アシドカルダリウスまたは他の生物体の代謝工学の標的を表し得る。タンパク質のグリコシル化および/または翻訳後修飾に関連する、アリサイクロバチルス・アシドカルダリウスのゲノム内で発見したヌクレオチド配列、およびそれによってコードされるアミノ酸の限定されない例を、表1に記載する。グリコシルトランスフェラーゼおよび/または翻訳後修飾タンパク質は、以下の分類であってもよいがこれらに限定されない。UDP β−グルコースホスホトランスフェラーゼ、ドリコール−リン酸マンノシルトランスフェラーゼ、およびグリコシルトランスフェラーゼ、ならびにその他。
【0016】
本発明の実施形態は、部分的に、アリサイクロバチルス・アシドカルダリウスの遺伝子および/またはタンパク質を含む遺伝子配列および/またはタンパク質配列に関する。含まれる遺伝子およびタンパク質は、タンパク質のグリコシル化および/または翻訳後修飾に関与する遺伝子およびタンパク質である。細胞内酵素活性は、本質的に好熱性および/または好酸性であり得、同様の遺伝子の一般的な例を本文献に記載する。遺伝子、配列、酵素、および因子の種類としては、表1に記載するものが挙げられるがそれらに限定されない。
【0017】
【表1】

【0018】
本発明は、配列番号2、19、36、53、70、87、104、121、138、155、172、189、206、223、240、257、274、291、および310、またはそれらの断片のうちの1つの配列から選択されるアリサイクロバチルス・アシドカルダリウスのゲノムの単離および/または精製されたヌクレオチド配列を含む、ヌクレオチド配列に関する。
【0019】
同様に、本発明は、単離および/または精製されたヌクレオチド配列を記載し、該配列が、a)配列番号2、19、36、53、70、87、104、121、138、155、172、189、206、223、240、257、274、291、および310、またはそれらの断片のうちの1つの配列のうちの少なくとも1つのヌクレオチド配列、b)a)に定義されるようなヌクレオチド配列と相同のヌクレオチド配列、c)a)またはb)に定義されるようなヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列、およびそれらの対応するRNAのヌクレオチド配列、d)ストリンジェントな条件下でa)、b)、またはc)に定義されるような配列とハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列、e)a)、b)、c)、またはd)に定義されるような配列を含むクレオチド配列、およびf)a)、b)、c)、d)、またはe)に定義されるようなヌクレオチド配列によって修飾されるヌクレオチド配列のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0020】
ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、または核酸配列は、本発明に従って、モノマーおよびダイマー(いわゆる、タンデム)形態における二本鎖または一本鎖DNAと該DNAの転写産物の両方を意味するものと理解されたい。
【0021】
本発明の態様は、単離、精製、または部分的に精製可能なヌクレオチド配列に関し、例えば、イオン交換クロマトグラフィーに、分子サイズに基づく排除クロマトグラフィー、または親和性クロマトグラフィー、あるいは代替として、異なる溶媒中の溶解度に基づく分画技術等の分離方法から開始する、もしくは増幅、クローニング、およびサブクローニング等の遺伝子工学の方法から開始し、本発明の配列は、ベクターによって媒介されることが可能である。
【0022】
本発明に従った単離および/または精製されたヌクレオチド配列断片は、アリサイクロバチルス・アシドカルダリウスのゲノムの任意のヌクレオチド断片を指すものとして理解され、非制限的な例として、その由来する配列の少なくとも8、12、20、25、50、75、100、200、300、400、500、1000以上の連続的ヌクレオチド長が含まれる場合がある。
【0023】
本発明による単離および/または精製されたヌクレオチド配列の特異的断片は、整合およびアリサイクロバチルス・アシドカルダリウスのゲノム配列の対応する断片との比較後、異なる性質の少なくとも1つのヌクレオチドつまり塩基を有するアリサイクロバチルス・アシドカルダリウスのゲノムの任意のヌクレオチド断片を指すものと理解されたい。
【0024】
本発明の意味において、相同の単離および/または精製されたヌクレオチド配列は、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、または99.7%の本発明によるヌクレオチド配列の塩基と少なくとも同一率を有する単離および/または精製されたヌクレオチド配列を意味するものと理解され、本パーセンテージは、純粋に、統計的であって、2つのヌクレオチド配列間の差異を無作為におよびそれらの長さ全体にわたって、分布させることができる。
【0025】
本発明の意味において、特異的相同ヌクレオチド配列は、上述のような特異的断片の少なくとも1つのヌクレオチド配列を有する相同ヌクレオチド配列を意味するものと理解される。該「特異的」相同配列は、例えば、該ゲノム配列、またはアリサイクロバチルス・アシドカルダリウスのゲノムの変異体を表すその断片の配列に対応する配列を含むことが可能である。したがって、これらの特異的相同配列は、アリサイクロバチルス・アシドカルダリウスの株内の突然変異体に関連する変型に対応し、特に、少なくとも1つのヌクレオチドの切断、置換、欠失および/または付加に対応し得る。同様に、該相同配列は、遺伝子コードの縮退に関連する変型に対応し得る。
【0026】
用語「配列相同性の程度つまりパーセンテージ」は、本願に定義されるように、「最適整合後の2つの配列間の配列同一性の程度つまりパーセンテージ」を指す。
2つのアミノ酸またはヌクレオチド配列は、後述のように、最大一致のために整合されると、アミノ酸またはヌクレオチド残基の配列が、2つの配列内において、同じである場合、「同一である」と言える。2つ(以上)のペプチドまたはポリヌクレオチド間の配列比較は、典型的には、セグメントまたは「比較域」にわたる2つの最適に整合された配列の配列を比較し、配列類似性の局所的領域を同定および比較することによって行なわれる。比較のための配列の最適整合は、Smith and Waterman, Ad. App. Math 2:482(1981)の局所的相同性アルゴリズムによって、Neddleman and Wunsch, J. Mol. Biol. 48:443(1970)の相同性整合アルゴリズムによって、Pearson and Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci.(U.S.A.) 85:2444(1988)の類似方法の検索によって、コンピュータによるこれらのアルゴリズムの実施(Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group(GCG), 575 Science Dr., Madison, Wis.のGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)によって、または目視検査によって、行なわれ得る。
【0027】
「配列同一性のパーセンテージ」(または、同一性の程度)は、配列比較用ウインドウにわたる2つの最適に整合された配列を比較することによって決定され、配列比較用ウインドウ内のペプチドまたはポリヌクレオチド配列の一部は、2つの配列の最適整合のための参照配列(付加または欠失を含まない)と比較して、付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含む場合がある。該パーセンテージは、同一のアミノ酸残基または核酸塩基が両配列内で生じる位置の数を決定し、整合位置の数を求め、整合位置の数を配列比較用ウインドウ内の位置の総数で割り、その結果に100を掛け、配列同一性のパーセンテージを求めることによって計算される。
【0028】
上述の配列同一性の定義は、当業者によって使用される可能性のある定義である。定義自体は、任意のアルゴリズムの支援を必要とせず、該アルゴリズムは、配列同一性の計算ではなく、配列の最適整合を達成するためにのみ有用である。
【0029】
上述の定義から、2つの比較される配列間の配列同一性に対し、明確かつ1つのみの値が存在し、その値は、最善つまり最適整合のために求められた値に対応するということになる。
【0030】
ウェブサイト(worldwideweb.ncbi.nlm.nih.gov/gorf/bl2.html)から利用可能であって、2つの配列間の同一性を比較および判断するのに、発明者と概して当業者によって、習慣的に使用されるソフトウェアであるBLAST NまたはBLAST P「BLAST 2配列」では、比較される配列長に応じるギャップコストは、ソフトウェアによって直接選択される(すなわち、長さ>85の場合、置換マトリクスBLOSUM−62に対して11.2)。
【0031】
本発明の配列の相補的ヌクレオチド配列は、任意のDNAを意味するものと理解され、そのヌクレオチドは、本発明の配列のものに相補的であって、その配向は、逆転される(アンチセンス配列)。
【0032】
本発明によるヌクレオチド配列とのストリンジェンシーの条件下のハイブリダイゼーションは、相補的DNAの2つの断片間のハイブリダイゼーションを維持可能なように選択される、温度およびイオン強度条件下のハイブリダイゼーションを意味するものとして理解される。
【0033】
例示目的で、上述のヌクレオチド断片を定義する目的としてのハイブリダイゼーションステップの高ストリンジェンシー条件は、有利には、以下である。
該ハイブリダイゼーションは、SSC緩衝液(0.15M NaClおよび0.05Mクエン酸ナトリウムに対応する1xSSC)の存在下、65℃の選択的温度で実行される。洗浄ステップは、例えば、以下であり得る。周囲温度の2xSSCに続いて、それぞれ10分間、65℃の2xSSC、0.5%SDSと、65℃の2x0.5xSSC、0.5%SDSによる2回の洗浄を行なう。
【0034】
例えば、2xSSC緩衝液の存在下における42℃の温度の中度のストリンジェンシー、または例えば、2xSSC緩衝液の存在下における37℃の温度の低度のストリンジェンシーの条件は、それぞれ、2つの配列間のハイブリダイゼーションのために、全体的相補性をほとんど必要としない。
【0035】
サイズが約350の塩基のポリヌクレオチドのための上述のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、Sambrook et al., 1989の教示に従って、当業者によって、より大きいまたは小さいサイズのオリゴヌクレオチドに適合される。
【0036】
本発明による単離および/または精製されたヌクレオチド配列の中には、本発明による相同配列を得ることを可能にする方法において、プライマーまたはプローブとして使用可能なものが含まれ、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、核酸クローニング、および シークエンシング等のこれらの方法は、当業者に周知である。
【0037】
本発明による該単離および/または精製された該ヌクレオチド配列のうち、配列番号2、19、36、53、70、87、104、121、138、155、172、189、206、223、240、257、274、291、および310、それらの断片のうちの1つ、または後述のようなそれらの変異体のうちの1つの存在を診断可能にする方法において、プライマーまたはプローブとして使用可能なものが同様に好まれる。
【0038】
本発明によるヌクレオチド配列断片は、例えば、PCR等の特異的増幅によって、または本発明によるヌクレオチド配列の適切な制限酵素による消化後、得ることが可能であって、これらの方法は、特に、Sambrook et al., 1989の研究に記載されている。同様に、そのような代表的断片は、当業者に周知の方法に従って、化学合成によって得ることが可能である。
【0039】
修飾ヌクレオチド配列は、当業者に周知の技術に従って、突然変異生成によって得られ、本発明による正常配列に対する修飾、例えば、特に、該ポリペプチドの発現率の修飾または複製サイクルの変調につながるポリペプチド発現の調節配列および/またはプロモーター配列における突然変異を含有する任意のヌクレオチド配列を意味するものとして理解されたい。
【0040】
同様に、修飾ヌクレオチド配列は、後述のような修飾ポリペプチドをコードする任意のヌクレオチド配列を意味するものとして理解されたい。
本発明は、アリサイクロバチルス・アシドカルダリウスの単離および/または精製されたヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列に関し、該配列が、配列番号2、19、36、53、70、87、104、121、138、155、172、189、206、223、240、257、274、291、および310、またはそれらの断片のうちの1つの配列から選択されることを特徴とする。
【0041】
同様に、本発明の実施形態は、単離および/または精製されたヌクレオチド配列に関し、該配列が、a)配列番号2、19、36、53、70、87、104、121、138、155、172、189、206、223、240、257、274、291、および310、またはそれらの断片のうちの1つのヌクレオチド配列のうちの少なくとも1つ、b)a)に定義されるような配列の特異的断片のヌクレオチド配列、c)a)またはb)に定義されるような配列と少なくとも80%の同一性を有する、相同ヌクレオチド配列、d)a)、b)またはc)に定義されるような配列に対応する相補的ヌクレオチド配列、またはRNAの配列、およびe)a)、b)、c)、またはd)に定義されるような配列によって修飾されるヌクレオチド配列から選択されるヌクレオチド配列を含むことを特徴とする。
【0042】
本発明による単離および/または精製ヌクレオチド配列の中には、配列番号13〜17、30〜34、47〜51、64〜68、81〜85、98〜102、115〜119、132〜136、149〜153、166〜170、183〜187、200〜204、217〜221、234〜238、251〜255、268〜272、285〜289、302〜306、319〜323、336〜340、353〜357、370〜374、387〜391、404〜408、421〜425、438〜442、455〜459、472〜476、489〜493、506〜510、523〜527、540〜544、557〜561、574〜578、591〜595、608〜612、625〜629、642〜646、659〜663、676〜680、693〜697、710〜714、727〜731、744〜748、761〜765、778〜782、および321〜325、またはそれらの断片のヌクレオチド配列、ならびに配列番号2、19、36、53、70、87、104、121、138、155、172、189、206、223、240、257、274、291、および310、またはそれらの断片の配列のうちの少なくとも1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、または99.7%の同一性を有する任意の単離および/または精製されたヌクレオチド配列が含まれる。該相同配列は、例えば、アリサイクロバチルス・アシドカルダリウスのゲノム配列に対応する配列を含むことが可能である。同様に、これらの特異的相同配列は、アリサイクロバチルス・アシドカルダリウスの株内の突然変異と関連した変型に対応し、特に、少なくとも1つのヌクレオチドの切断、置換、欠失および/または付加に対応し得る。 当業者には明らかであるように、そのような相同体は、標準的な技術およびBLAST等の公的に入手可能なコンピュータプログラムを使用して、容易に作製及び同定される。したがって、上記で言及された各相同体は、本明細書に記載され、十分に説明されたものとみなされるべきである。
【0043】
本発明の実施形態は、本発明によるヌクレオチド配列によってコードされる単離および/または精製されたポリペプチドあるいはその断片を含み、その断片の配列は、断片(のヌクレオチド配列)によって表される。アミノ酸配列は、配列番号2、19、36、53、70、87、104、121、138、155、172、189、206、223、240、257、274、291、および310のうちの少なくとも1つの3つの可能な読み枠のうちの1つに従ってコード可能な単離および/または精製されたポリペプチドに対応する。
【0044】
同様に、本発明の実施形態は、単離および/または精製されたポリペプチドに関し、配列番号1、18、35、52、69、86、103、120、137、154、171、188、205、222、239、256、273、290、および309、またはそれらの断片のうちの1つのアミノ酸配列から選択されるポリペプチドを含むことを特徴とする。
【0045】
本発明の実施形態による単離および/または精製されたポリペプチドの中には、アミノ酸配列番号8〜12、25〜29、42〜46、59〜63、76〜80、93〜97、110〜114、127〜131、144〜148、161〜165、178〜182、195〜199、212〜216、229〜233、246〜250、263〜267、280〜284、297〜301、314〜318、331〜335、348〜352、365〜369、382〜386、399〜403、416〜420、433〜437、450〜454、467〜471、484〜488、501〜505、518〜522、535〜539、552〜556、569〜573、586〜590、603〜607、620〜624、637〜641、654〜658、671〜675、688〜692、705〜709、722〜726、739〜743、756〜760、773〜777、および316〜320、もしくはそれらの断片の単離および/もしくは精製されたポリペプチド、または配列番号1、18、35、52、69、86、103、120、137、154、171、188、205、222、239、256、273、290、および309、もしくはその断片の配列のうちの少なくとも1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、もしくは99.7%同一の相同性を有する任意の他の単離および/もしくは精製されたポリペプチドが含まれる。当業者には明らかであるように、そのような相同体は、標準的な技術およびBLAST等の公的に入手可能なコンピュータプログラムを使用して、容易に作製及び同定される。したがって、上記で言及された各相同体は、本明細書に記載され、十分に説明されたものとみなされるべきである。
【0046】
本発明の実施形態はまた、該ポリペプチドに関し、a)本発明によるアミノ酸配列のポリペプチドの少なくとも5つのアミノ酸の特異的断片、b)a)に定義されるようなポリペプチドと相同のポリペプチド、c)a)またはb)に定義されるようなポリペプチドの特異的生物活性断片、およびd)a)、b)、またはc)に定義されるようなポリペプチドによって修飾されるポリペプチドから選択されるポリペプチドを含むことを特徴とする。
【0047】
本説明では、ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質という用語は、同義的に使用される。
本発明の実施形態では、本発明による単離および/または精製されたポリペプチドは、グリコシル化、ペグ化、および/または別様に翻訳後に修飾されてもよい。 さらなる実施形態では、グリコシル化、ペグ化、および/または他の翻訳後修飾は、生体内または生体外で生じてもよく、化学的技術を使用して行なわれてもよい。付加的実施形態では、任意のグリコシル化、ぺグ化、および/または他の翻訳後修飾は、N結合型またはO結合型であってもよい。
【0048】
本発明の実施形態では、本発明による単離および/または精製されたポリペプチドのいずれか1つは、摂氏約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、および/もしくは95度以上の温度で酵素的もしくは機能的に活性であってもよく、ならびに/あるいは8、7、6、5、4、3、2、1、および/もしくは0以下および/または以上のpHで酵素的もしくは機能的に活性であってもよい。本発明のさらなる実施形態では、グリコシル化、ぺグ化、および/または他の翻訳後修飾は、8、7、6、5、4、3、2、1、および/または0以下のpH、もしくは摂氏約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、および/または95度以上の温度で、酵素的もしくは機能的に活性である本発明による単離および/または精製ポリペプチドのために必要とされてもよい。
【0049】
本発明の態様は、天然源から精製によって単離される、または得られるか、あるいは遺伝子組み換えによって、または代替として化学合成によって得られ、したがって、後述のように、非天然アミノ酸を含有し得る、ポリペプチドに関する。
【0050】
本発明の実施形態による「ポリペプチド断片」は、少なくとも5つの連続的アミノ酸、好ましくは、10の連続的アミノ酸または15の連続的アミノ酸を含有するポリペプチドを指すものとして理解される。
【0051】
本発明では、特異的ポリペプチド断片は、本発明による特異的断片ヌクレオチド配列によってコードされる連続的ポリペプチド断片を指すものとして理解される。
「相同ポリペプチド」は、天然ポリペプチドに対して、特に、少なくとも1つのアミノ酸の欠失、付加、あるいは置換、切断、延長、キメラ融合、および/または突然変異等のある修飾を有するポリペプチドを指すものとして理解されたい。相同ポリペプチドのうち、そのアミノ酸配列が、本発明によるポリペプチドのアミノ酸の配列と少なくとも80%または90%の相同性を有するものが好ましい。
【0052】
「特異的相同ポリペプチド」は、上述のような、本発明によるポリペプチドの特異的断片を有する相同ポリペプチドを指すものと理解されたい。
置換の場合、1つもしくは複数の連続的または非連続的アミノ酸が、「等価」アミノ酸に置き換えられる。「等価」アミノ酸という表現は、塩基構造のアミノ酸の1つによって置換可能であるが、本質的に、対応するペプチドの生物活性を修飾せず、以下によって定義されるような任意のアミノ酸を指すことを目的とする。当業者には明らかであるように、そのような置換は、標準的な分子生物学技術およびBLAST等の公的に入手可能なコンピュータプログラムを使用して、容易に作製及び同定される。したがって、上記で言及された各置換は、本明細書に記載され、十分に説明されたものとみなされるべきである。アミノ酸配列番号1、18、35、52、69、86、103、120、137、154、171、188、205、222、239、256、273、290、および309におけるそのような置換の例として、アミノ酸配列番号8〜12、25〜29、42〜46、59〜63、76〜80、93〜97、110〜114、127〜131、144〜148、161〜165、178〜182、195〜199、212〜216、229〜233、246〜250、263〜267、280〜284、297〜301、314〜318、331〜335、348〜352、365〜369、382〜386、399〜403、416〜420、433〜437、450〜454、467〜471、484〜488、501〜505、518〜522、535〜539、552〜556、569〜573、586〜590、603〜607、620〜624、637〜641、654〜658、671〜675、688〜692、705〜709、722〜726、739〜743、756〜760、773〜777、および316〜320の単離および/または精製されたポリペプチドが含まれる場合がある。これらの等価アミノ酸は、置換アミノ酸とのその構造的相同性、または実行可能な異なるポリペプチド間の生物活性の比較試験の結果に応じて、決定可能である。
【0053】
非制限的な例として、対応する修飾ポリペプチドの生物活性の広範囲にわたる修飾をもたらすことなく実行可能な置換の可能性として、例えば、バリンまたはイソロイシンによるロイシン、グルタミン酸によるアスパラギン酸、アスパラギンによるグルタミン、リジンによるアルギニン等の置き換えが挙げられるが、当然ながら、反転置換も、同条件下で想定可能である。
【0054】
さらなる実施形態では、置換は、類似同定酵素活性を有する他のタンパク質の中に保存されないアミノ酸の置換に制限される。 例えば、当業者は、同様の生物体において同一機能のタンパク質を整合し、どのアミノ酸が該機能のタンパク質の間で概して保存されるかを決定することができる。そのような整合を生成するために使用し得るプログラムの一例は、NCBIによって提供されるデータベースと併せたwordlwideweb.charite.de/bioinf/strap/である。そのようなポリペプチドの例として、アミノ酸配列番号8〜12、25〜29、42〜46、59〜63、76〜80、93〜97、110〜114、127〜131、144〜148、161〜165、178〜182、195〜199、212〜216、229〜233、246〜250、263〜267、280〜284、297〜301、314〜318、331〜335、348〜352、365〜369、382〜386、399〜403、416〜420、433〜437、450〜454、467〜471、484〜488、501〜505、518〜522、535〜539、552〜556、569〜573、586〜590、603〜607、620〜624、637〜641、654〜658、671〜675、688〜692、705〜709、722〜726、739〜743、756〜760、773〜777、および316〜320に見られるようなものが含まれ得るが、それらに制限されない。
【0055】
したがって、本発明の一実施形態によると、置換または突然変異は、該機能を有するタンパク質の間で概して保存される位置で成される場合がある。さらなる実施形態では、核酸配列は、それらがコードするアミノ酸が変化(縮重置換および突然変異)しないように突然変異または置換され、および/または任意の結果として生じるアミノ酸置換または突然変異が、概してその機能のタンパク質の中に保存される位置で成されるように突然変異または置換される場合がある。そのような核酸配列の例として、配列番号13〜17、30〜34、47〜51、64〜68、81〜85、98〜102、115〜119、132〜136、149〜153、166〜170、183〜187、200〜204、217〜221、234〜238、251〜255、268〜272、285〜289、302〜306、319〜323、336〜340、353〜357、370〜374、387〜391、404〜408、421〜425、438〜442、455〜459、472〜476、489〜493、506〜510、523〜527、540〜544、557〜561、574〜578、591〜595、608〜612、625〜629、642〜646、659〜663、676〜680、693〜697、710〜714、727〜731、744〜748、761〜765、778〜782、および321〜325、またはそれらの断片のヌクレオチド配列に見られるものが含まれ得るが、それらに制限されない。
【0056】
同様に、特異的相同ポリペプチドは、上述のような特異的相同ヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドに対応し、したがって、本定義では、アリサイクロバチルス・アシドカルダリウス内に存在可能な変異体に突然変異または対応し、特に、少なくとも1つのアミノ酸残基の切断、置換、欠失、および/または付加に対応するポリペプチドを含む。
【0057】
本発明の実施形態による「ポリペプチドの特異的生物活性断片」は、特に、本発明によるポリペプチドの特徴の少なくとも1つを有する上述のような特異的ポリペプチド断片を指すものとして理解されたい。 ある実施形態では、該ペプチドは、表1に概説されるタンパク質の種類のうちの少なくとも1つとして作用可能である。
【0058】
本発明の実施形態によるポリペプチド断片は、アリサイクロバチルス・アシドカルダリウス内に必然的に存在する単離または精製された断片に対応する、またはトリプシン、もしくはキモトリプシンもしくはコラゲナーゼ等のタンパク質酵素による、あるいは臭化シアン(CNBr)等の化学試薬による、該ポリペプチドの開裂によって得ることが可能な断片に対応し得る。同様に、そのようなポリペプチド断片は、適切な調節および/または発現要素の制御下で配置される該断片の発現を可能にする核酸を含有する、本発明による発現ベクターによって形質転換される宿主から、化学合成によってごく容易に調製可能である。
【0059】
本発明の実施形態によるポリペプチドの「修飾ポリペプチド」は、正常配列に対して少なくとも1つの修飾を有する、後述のように、遺伝子組み換えまたは化学合成によって得られるポリペプチドを指すものとして理解される。これらの修飾は、特異性および/または活性の起点において、あるいは本発明によるポリペプチドの構造的立体配座、局所化、および膜内挿入能の起点において、アミノ酸に影響を及ぼすことが可能または不可能である場合がある。したがって、活性が等価、増加、または減少し、特異性が等価、より狭小、またはより広大なポリペプチドを生成することが可能となる。修飾ポリペプチドの中には、最大で5以上のアミノ酸が修飾、NまたはC末端において切断、またはさらに欠失もしくは付加可能であるポリペプチドに言及することが必要である。
【0060】
示される真核または原核細胞に対する該変調を可能にする方法は、当業者には周知である。同様に、本発明による、後述のベクターを通して、該変調のための該修飾ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を使用可能であることは周知である。
【0061】
上述の修飾ポリペプチドは、コンビナトリアルケミストリーを使用することによって得ることが可能であって、例えば、複数のモデル、複数の細胞培養、または複数の生物体に対して試験し、最も活発なまたは求めた特性を有する化合物を選択する前に、ポリペプチドの一部を体系的に変更することが可能である。
【0062】
同様に、化学合成は、非天然アミノ酸または非ペプチド結合を使用可能であるという利点を有する。
したがって、本発明によるポリペプチドの寿命を改良するために、非天然アミノ酸(例えば、D型)またはアミノ酸類似体(例えば、特に、含硫型)の使用に着目してもよい。
【0063】
最終的に、本発明によるポリペプチド、その特異的、または修飾相同形態の構造をポリペプチド型または他の化学構造に統合することが可能となる。したがって、NおよびC末端において、プロテアーゼによって認識されない分子の提供に着目してもよい。
【0064】
同様に、本発明によるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列も、本発明の一部である。
同様に、本発明は、プライマーまたはプローブとして利用可能なヌクレオチド配列に関し、該配列が、本発明によるヌクレオチド配列から選択されることを特徴とする。
【0065】
同様に、本発明は、種々の実施形態において、当業者に周知であって、特に、 後述のような手順による遺伝子組み換えまたは化学合成によって、天然ポリペプチドから精製して得ることが可能な、ヌクレオチド配列によってコードされるアリサイクロバチルス・アシドカルダリウスの特異的ポリペプチドに関することは十分理解されている。同様に、該ヌクレオチド配列によってコードされる該特異的ポリペプチドに対する標識または非標識モノあるいはポリクローナル抗体も、本発明によって包含される。
【0066】
加えて、本発明の実施形態は、核酸配列の検出および/または増幅のためのプライマーまたはプローブとしての本発明によるヌクレオチド配列の使用に関する。
したがって、本発明の実施形態によるヌクレオチド配列を使用して、特に、PCR技術(ポリメラーゼ連鎖反応)(Erlich, 1989、 Innis et al., 1990、Rolfs et al., 1991、およびWhite et al., 1997)によって、ヌクレオチド配列を増幅可能である。
【0067】
これらのオリゴデオキシリボヌクレオチドまたはオリゴリボヌクレオチドプライマーは、 有利には、少なくとも8つのヌクレオチド、好ましくは、少なくとも12のヌクレオチド、さらにより好ましくは、少なくとも20のヌクレオチドの長さを有する。
【0068】
標的核酸の他の増幅技術が、有利には、PCRの代替として採用可能である。
同様に、本発明のヌクレオチド配列、特に本発明によるプライマーは、TAS技術(転写増幅システム)(Kwoh et al.,1989)、3SR技術(自家持続配列複製)(Guatelli et al.,1990)、NASBA技術(核酸増幅)(Kievitis et al.,1991)、SDA技術(鎖置換増幅)(Walker et al.,1992)、TMA技術(転写媒介性増幅)等、標的核酸の増幅の他の手順において採用可能である。
【0069】
また、本発明のポリヌクレオチドは、熱安定性リガーゼを採用するLCR技術(リガーゼ連鎖反応)(Landegren et al.,1988(Barany et al.,1991によって改良))、RCR技術(修復連鎖反応)(Segev,1992)、CPR技術(サイクリングプローブ反応)(Duck et al.,1990)、Q−βレプリカーゼによる増幅技術(Miele et al.,1983(特に、Chu et al.,1986、Lizardi et al.,1988、その後、Burg et al.ならびにStone et al.,1996によって改良))等、プローブとしての役割を果たす核酸の増幅または修飾技術において採用可能である。
【0070】
検出される標的ポリヌクレオチドが、可能性として、RNA、例えば、mRNAである場合、生物学的試料内に含有されるRNAからcDNAを得るために、本発明による少なくとも1つのプライマーの支援による増幅反応の採用、または本発明の少なくとも1つのプローブの支援による検出手順の採用に先立って、逆転写型の酵素を使用することが可能となる。したがって、得られるcDNAは、本発明による増幅または検出手順において採用されるプライマーまたはプローブの標的としての役割を果たす。
【0071】
検出プローブは、標的配列または標的配列から生成されるアンプリコンとハイブリダイズするように選択される。配列のために、そのようなプローブは、有利には、少なくとも12のヌクレオチド、特に、少なくとも20のヌクレオチド、好ましくは、少なくとも100のヌクレオチドの配列を有する。
【0072】
また、本発明の実施形態は、本発明によるプローブまたはプライマーとして利用可能なヌクレオチド配列を含み、該ヌクレオチド配列が放射性化合物または非放射性化合物によって標識されることを特徴とする。
【0073】
非標識ヌクレオチド配列は、プローブまたはプライマーとして直接使用可能であるが、配列は、概して、放射性同位体(32P、35S、H、125I)または非放射性分子(ビオチン、アセチルアミノフルオレン、ジゴキシゲニン、5−ブロモデオキシウリジン、フルオレセイン)によって標識され、多くの用途のために利用可能なプローブを得る。
【0074】
ヌクレオチド配列の非放射性標識の例は、例えば、フランス特許第78.10975号、またはUrdea et al.、あるいはSanchez−Pescador et al.(1988)に記載されている。
【0075】
後者の場合、特許第FR−2 422 956号および第FR−2 518 755号に記載される標識方法の1つを使用することも可能となる。
該ハイブリダイゼーション技術は、種々の方法で実行可能である(Matthews et al., 1988)。ほとんどの一般的方法は、支持体(ニトロセルロース、ナイロン、ポリスチレン等) 上に細胞の核酸抽出物を固定し、特定の条件下、プローブとともに固定された標的核酸をインキュベートするステップから成る。ハイブリダイゼーション後、過剰プローブは、排除され、形成されるハイブリッド分子は、適切な方法(プローブに連鎖する放射能、蛍光発光、または酵素活性の測定)によって検出される。
【0076】
同様に、本発明は、種々の実施形態では、本発明によるヌクレオチド配列を含み、該ヌクレオチド配列が、共有結合的にまたは非共有結合的に支持体上に固定されることを特徴とする。
【0077】
本発明によるヌクレオチド配列を採用する別の有益な形態によると、後者は、支持体上に固定された状態で使用可能であって、したがって、特異的ハイブリダイゼーションによって、試験される生物学的試料から得られる標的核酸を捕捉する役割を果たすことが可能である。必要に応じて、固体支持体は、試料から分離され、その後、該捕捉プローブと標的核酸との間に形成されるハイブリダイゼーション複合体は、第2のプローブ(容易に検出可能な要素によって標識される、いわゆる検出プローブ)の支援によって検出される。
【0078】
本発明の別の側面は、配列のクローニングおよび/または発現のためのベクターであって、該ベクターが本発明によるヌクレオチド配列を含有することを特徴とする。
同様に、所定の宿主細胞内の該ヌクレオチド配列の統合、発現、および/または分泌を可能にする要素を含有することを特徴とする本発明によるベクターも、本発明の一部である。
【0079】
したがって、該ベクターは、プロモーター、翻訳の開始および終止信号、ならびに適切な転写調節領域を含有する場合がある。該ベクターは、宿主細胞内で安定的に維持可能であって、任意に、翻訳されたタンパク質の分泌を指定する特定の信号を有し得る。これらの異なる要素は、使用される宿主細胞に応じて選択されてもよい。本目的のために、本発明によるヌクレオチド配列は、選択された宿主内の自己複製ベクター内に挿入されてもよく、または選択された宿主の統合ベクターであってもよい。
【0080】
そのようなベクターは、当業者によって現在使用されている方法に従って調製され、例えば、リポフェクション、エレクトロポレーション、および熱衝撃等の標準的方法によって、そこから生じるクローンを適切な宿主内に導入することが可能となる。
【0081】
本発明によるベクターは、例えば、プラスミドまたはウイルス起源のベクターである。本発明のポリペプチドの発現のためのベクターの一例は、バキュロウイルスである。
これらのベクターは、本発明のヌクレオチド配列をクローンまたは発現するために、宿主細胞の形質転換に有用である。
【0082】
同様に、本発明は、本発明によるベクターによって形質転換される宿主細胞を含む。
これらの細胞は、上述のようなベクター内に挿入されたヌクレオチド配列を宿主細胞内に導入し、その後、トランスフェクトされたヌクレオチド配列の複製および/または発現を可能にする条件下、該細胞を培養することによって得ることが可能である。
【0083】
該宿主細胞は、例えば、細菌性細胞(Olins and Lee, 1993)であるが、同様に、酵母細胞(Buckholz, 1993)およびアラビドプシス種等の植物細胞等の原核または真核細胞系、ならびに動物細胞、特に、哺乳類細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞)の培養物(Edwards and Aruffo, 1993)、同様に、例えば、バキュロウイルス、sf9昆虫細胞を採用する手順を使用可能な昆虫の細胞(Luckow, 1993)から選択可能である。
【0084】
同様に、本発明の実施形態は、本発明による該形質転換細胞の1つを含む、生物体に関する。
アリサイクロバチルス・アシドカルダリウスの遺伝子の1つもしくは複数または該遺伝子の一部を発現する本発明による遺伝子組み換え生物体の取得は、ウイルス性または非ウイルス性トランスフェクション等の、当業者に周知の方法に従って、例えば、ラット、マウス、またはウサギにおいて実行されてもよい。遍在的性質の強力なプロモーターまたは一種類の組織のために選択可能なプロモーターの制御下、該遺伝子の複数のコピーのトランスフェクションによって、該遺伝子の1つもしくは複数を発現する遺伝子組み換え生物体を得ることが可能となる。同様に、胚細胞株内の相同的組み換え、これらの細胞株の胚への転移、生殖系レベルにおいて影響を受けたキメラの選択、および該キメラの成長によって、遺伝子組み換え生物体を得ることが可能となる。
【0085】
形質転換細胞ならびに本発明による遺伝子組み換え生物体は、組み換えポリペプチドの調製のための手順において利用可能である。
今日、本発明による発現ベクターによる細胞形質転換を使用する、または本発明による遺伝子組み換え生物体を使用する遺伝子工学によって、比較的大量の組み換えポリペプチドを産生することが可能である。
【0086】
ベクター、および/または本発明によるベクターによって形質転換された細胞、ならびに/あるいは本発明による該形質転換細胞の1つを含む遺伝子組み換え生物体を採用することを特徴とする組み換え形態における本発明のポリペプチドの調製のための手順はそれ自体、本発明内に含まれる。
【0087】
本明細書で使用される、「形質転換」および「形質転換される」は、原核または真核細胞にかかわらず細胞への核酸の導入に関する。さらに、本明細書で使用される「形質転換」および「形質転換される」は、必ずしも増殖制御または増殖脱制御に関しない。
【0088】
組み換え形態における本発明のポリペプチドの調製のための該手順には、ベクター、および/または該ベクターによって形質転換された細胞、ならびに/あるいはアリサイクロバチルス・アシドカルダリウスのポリペプチドをコードする本発明によるヌクレオチド配列を含有する該形質転換細胞の1つを含む、遺伝子組み換え生物体を採用する調製手順が含まれる。
【0089】
本発明による変異体は、「担体」タンパク質(キメラタンパク質)に融合される組み換えポリペプチドの産生から成る場合がある。本システムの利点は、組み換え産物の安定化および/またはそのタンパク質分解の減少、生体外再生の過程における溶解度の増加、ならびに/あるいは融合パートナーが特異的リガンドに対して親和性を有する場合の精製の単純化を可能にし得ることである。
【0090】
より具体的には、本発明は、本発明のポリペプチドの調製のための手順に関し、a)本発明によるヌクレオチド配列の組み換えポリペプチドの発現を可能にする条件下、形質転換細胞を培養し、b)必要に応じて、該組み換えポリペプチドを回収するステップを含む。
【0091】
本発明のポリペプチドの調製のための手順が、本発明による遺伝子組み換え生物体を採用する場合、該組み換えポリペプチドが、該生物体から抽出される。
また、本発明は、上述のような本発明の手順によって得ることが可能なポリペプチドに関する。
【0092】
また、本発明は、合成ポリペプチドの調製のための手順を含み、本発明によるポリペプチドのアミノ酸の配列を使用することを特徴とする。
同様に、本発明は、本発明による手順によって得られる合成ポリペプチドに関する。
【0093】
同様に、本発明によるポリペプチドは、ペプチドの合成の分野において慣習的技術によって調製可能である。本合成は、均一溶液または固体相中で実行可能である。
例えば、Houben−Weyl(1974)による、均一溶液中の合成の技術を用いることが可能である。
【0094】
本合成方法は、2つずつ、連続的アミノ酸を必要な順番で連続的に縮合する、あるいは前もって形成され、適切な順番でいくつかのアミノ酸を既に含有するアミノ酸および断片、または代替として、このように前もって調製されたいくつかの断片を縮合するステップから成り、ペプチドの合成において周知の方法に従って、特に、カルボキシル官能基の活性化後、通常、ペプチド結合の形成に伴うはずである、一方のアミン官能基および他方のカルボキシルまたはその反対を除き、これらのアミノ酸または断片によって担持される全反応性官能基をあらかじめ保護することが必要であることが理解されている。
【0095】
また、Merrifield法を用いてもよい。
Merrifieldの手順に従って、ペプチド鎖を生成するために、非常に多孔性の高分子樹脂が用いられ、その上に鎖の第1のC末端アミノ酸が固定される。本アミノ酸は、そのカルボキシル基を介して、樹脂上に固定され、そのアミン官能基が、保護される。したがって、ペプチド鎖を形成しようとするアミノ酸は、次々と、既に形成されたペプチド鎖の一部のアミノ基(毎回、あらかじめ脱保護される)上に固定され、樹脂に付着される。所望のペプチド鎖全体が形成されると、ペプチド鎖を形成する異なるアミノ酸の保護基は、排除され、ペプチドは、酸の支援によって、樹脂から分離される。
【0096】
加えて、本発明は、本発明による少なくとも1つのポリペプチドを有するハイブリッドポリペプチドと、ヒトまたは動物内の免疫反応を誘発可能なポリペプチドの配列に関する。
【0097】
有利には、抗原決定基は、液性応答および/または細胞性応答を誘発可能なものである。
そのような決定基は、複数のエピトープに対する抗体の合成を誘発可能な免疫原性組成を得ることを目的として使用される、グリコシル化、ペグ化、および/または別様に翻訳後修飾形態における本発明によるポリペプチドを含むことが可能となる。
【0098】
これらのハイブリッド分子は、一部には、本発明によるポリペプチド担体分子またはその断片から形成可能であって、可能性としては、免疫原性部分、特に、ジフテリア毒素、破傷風毒素、B型肝炎ウイルスの表面抗原(特許第FR 79 21811号)、ポリオウイルスのVP1抗原、もしくは任意の他のウイルス性または細菌性毒素あるいは抗原のエピトープに付随する。
【0099】
ハイブリッド分子の合成のための手順は、追求されるポリペプチド配列をコードするハイブリッドヌクレオチド配列を構築するために、遺伝子工学で使用される方法を包含する。例えば、有利には、Minton(1984)による融合タンパク質をコードする遺伝子の取得のための技術を参照することが可能となる。
【0100】
同様に、ハイブリッドポリペプチド、ならびに該ハイブリッドヌクレオチド配列の発現によって得られる組み換えポリペプチドであることを特徴とする本発明によるハイブリッドポリペプチドをコードする該ハイブリッドヌクレオチド配列も、本発明の一部である。
【0101】
同様に、本発明は、該ハイブリッドヌクレオチド配列の1つを含有することを特徴とするベクターを含む。同様に、該ベクターによって形質転換された宿主細胞、該形質転換細胞の1つを含む遺伝子組み換え生物体、ならびに該ベクター、該形質転換細胞および/または該遺伝子組み換え生物体を使用する組み換えポリペプチドの調製のための手順も、当然ながら、本発明の一部である。
【0102】
本発明によるポリペプチド、後述の本発明による抗体、および本発明によるヌクレオチド配列は、有利には、アリサイクロバチルス・アシドカルダリウスを含有可能な試料中において、アリサイクロバチルス・アシドカルダリウスの検出および/または同定のための手順において採用可能である。該ポリペプチドの特異性、使用される本発明による抗体、ヌクレオチド配列に従う、これらの手順は、特に、アリサイクロバチルス・アシドカルダリウスを検出および/または同定することが可能となる。
【0103】
本発明によるポリペプチドは、有利には、アリサイクロバチルス・アシドカルダリウスを含有可能な試料中のアリサイクロバチルス・アシドカルダリウスの検出および/または同定するための手順において採用可能であって、a)該試料を本発明によるポリペプチドまたはその断片の1つと接触させるステップ(該ポリペプチドと、可能性として生物学的試料内に存在する抗体との間の免疫反応を可能にする条件下)と、b)可能性として形成される抗原−抗体複合体を示すステップと、を含むことを特徴とする。
【0104】
従来のあらゆる手順が、可能性として形成される抗原−抗体複合体のそのような検出を実行するために採用可能である。
一例として、好ましい方法は、 ELISA技術、免疫蛍光法、または放射性免疫分析プロセス(RIA)、あるいはそれらの同等物による、免疫酵素プロセスを利用する。
【0105】
したがって、同様に、本発明は、酵素、蛍光、または放射性型等の適切な標識の支援によって標識される、本発明によるポリペプチドに関する。
そのような方法は、例えば、本発明による所定量のポリペプチド組成をマイクロタイタープレートのウェル内に堆積させ、分析される増加希釈度の血清または上記で定義されたもの以外の生物学的試料を該ウェル内に導入し、マイクロタイタープレートをインキュベートし、ブタ免疫グロブリンに対する標識抗体をマイクロタイタープレートのウェル内に導入し、これらの抗体の標識化が、少なくとも、所定の波長、例えば、550nmにおいて、後者の放射線の吸収を調節することによって、基質を加水分解可能なものから選択される酵素の支援によって実行され、対照試験と比較することによって、加水分解された基質の量を検出するステップを含む。
【0106】
本発明によるポリペプチドは、本発明によるポリペプチドを特異的に認識することを特徴とするモノクローナルまたはポリクローナル抗体を調製可能である。有利には、Kohler and Milstein(1975)による技術に従って、ハイブリドーマからモノクローナル抗体を調製することが可能となる。例えば、本発明に従って、免疫反応のアジュバントに付随するポリペプチドまたはDNAを動物、特に、マウスに免疫付与し、その後、抗原としての役割を果たすポリペプチドがあらかじめ固定されている親和性カラムで免疫動物の血清内に含有される特異的抗体を精製することによって、ポリクローナル抗体を調製することが可能となる。また、本発明によるポリクローナル抗体は、本発明に従って、本発明によるポリペプチドがあらかじめ固定された親和性カラム上で、アリサイクロバチルス・アシドカルダリウス、またはポリペプチド、あるいは断片によって免疫的に攻撃誘発された動物の血清内に含有される抗体を精製することによって、調製可能である。
【0107】
同様に、本発明は、モノクローナルまたはポリクローナル抗体、あるいはそれらの断片、あるいはキメラ抗体に関し、これらが、本発明によるポリペプチドを特異的に認識可能であることを特徴とする。
【0108】
同様に、本発明の抗体は、酵素、蛍光、または放射性型の標識等、本発明の核酸プローブに関する上述と同様に標識することが可能となる。
加えて、本発明は、試料中のアリサイクロバチルス・アシドカルダリウスの検出および/または同定のための手順を対象とし、該手順が、a)本発明によりモノクローナルまたはポリクローナル抗体と試料を接触させ(該抗体と、生物学的試料中に可能性として存在するアリサイクロバチルス・アシドカルダリウスのポリペプチドとの間の免疫反応を可能にする条件下)、b)可能性として形成される抗原−抗体複合体を示すステップを含むことを特徴とする。
【0109】
同様に、本発明は、試料中のアリサイクロバチルス・アシドカルダリウスの検出および/または同定のための手順に関し、該手順が本発明によるヌクレオチド配列を採用することを特徴とする。
【0110】
より具体的には、本発明は、試料中のアリサイクロバチルス・アシドカルダリウスの検出および/または同定のための手順に関し、該手順が、a)必要に応じて、分析される試料からDNAを単離し、b)本発明により少なくとも1つのプライマーまたはプライマー対の支援によって、試料のDNAを特異的に増幅し、c)増幅産物を示すステップを含むことを特徴とする。
【0111】
これらは、例えば、本発明による核プローブを利用する分子ハイブリダイゼーションの技術によって、検出可能である。本プローブは、有利には、非放射性(コールドプローブ)または放射性同位体によって標識される。
【0112】
本発明の目的において、「生物学的試料のDNA」または「生物学的試料内に含有されるDNA」は、検討される生物学的試料中に存在するDNA、あるいは可能性として、該生物学的試料中に存在するRNAに対する逆転写型の酵素の作用後に得られるcDNAを意味するものとして理解されたい。
【0113】
本発明のさらなる実施形態は、一方法を含み、該方法が、a)必要に応じて、あらかじめハイブリダイゼーションに感受性をもたせた生物学的試料(生物学的試料中に含有されるDNA)と、プローブを該試料のDNAとハイブリダイゼーション可能な条件下、本発明によるヌクレオチドプローブを接触させ、b)該ヌクレオチドプローブと該生物学的試料のDNAとの間に形成されるハイブリッドを示すステップを含むことを特徴とする。
【0114】
また、本発明は、本発明による手順に関し、該手順が、a)本発明に従って、必要に応じて、あらかじめハイブリダイゼーションに感受性をもたせた生物学的試料(試料のDNA)と、該試料のDNAとヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーションを可能にする条件下、支持体上に固定されたヌクレオチドプローブを接触させ、b)必要に応じて、該プローブとハイブリダイズされていない生物学的試料のDNAの排除後、支持体上に固定されたヌクレオチドプローブと、生物学的試料内に含有されるDNAとの間に形成されるハイブリッドを、本発明に従って標識されたヌクレオチドプローブと接触させ、c)ステップb)で形成された新規ハイブリッドを示すステップを含むことを特徴とする。
【0115】
上述で定義された検出および/または同定のための手順の有利な実施形態によると、これは、ステップa)に先立って、まず、該生物学的試料のDNAが、本発明による少なくとも1つのプライマーの支援によって増幅されることを特徴とする。
【0116】
方法の実施形態は、配列番号1、18、35、52、69、86、103、120、137、154、171、188、205、222、239、256、273、290、および309に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドから成る群より選択される第2のポリペプチドを使用して、第1のポリペプチドをグリコシル化または翻訳後修飾するステップを含む。
【0117】
方法のさらなる実施形態は、第1のポリペプチドのタンパク質安定性、溶解度、分解、活性プロファイル、および/または外在化を調節する方法を含み、該方法は、配列番号1、18、35、52、69、86、103、120、137、154、171、188、205、222、239、256、273、290、および309に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドから成る群より選択される第2のポリペプチドを用いて、第1のポリペプチドをグリコシル化または翻訳後修飾するステップを含む。
【0118】
方法のさらなる実施形態は、配列番号2、19、36、53、70、87、104、121、138、155、172、189、206、223、240、257、274、291、および310の配列のうちの少なくとも1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有するヌクレオチド配列から成る群より選択されるヌクレオチド配列を含む組み換え、精製、および/または単離されたヌクレオチド配列、および/または摂氏約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、および/または95度以上の温度、および/または8、7、6、5、4、3、2、1、および/または0以下および/または以上のpHを含む環境において、配列番号1、18、35、52、69、86、103、120、137、154、171、188、205、222、239、256、273、290、および309の配列のうちの少なくとも1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドから成る群より選択される組み換え、精製、および/または単離されたポリペプチドを産生またはコードする細胞を配置するステップを含む。
【0119】
本発明は、発現タンパク質を産生する変化した能力を有するように遺伝子操作された細胞を提供する。特に、本発明は、対象となるタンパク質の増強された発現を有するバシラス属等のグラム陽性微生物に関し、バシラス内で1つもしくは複数の染色体性遺伝子が不活性化されている、および/または1つもしくは複数の染色体性遺伝子が、バシラス染色体から欠失している。いくつかのさらなる実施形態では、1つもしくは複数の常在染色体領域は、対応する野生型バシラス宿主染色体から欠失している。さらなる実施形態では、バシラスは、アリシクロバシラス属またはアリサイクロバチルス・アシドカルダリウスである。
【0120】
さらなる実施形態では、摂氏約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、および/または95度以上の温度で、および/または8、7、6、5、4、3、2、1、および/または0以下および/または以上のpHで、配列番号2、19、36、53、70、87、104、121、138、155、172、189、206、223、240、257、274、291、および310の配列のうちの少なくとも1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有するヌクレオチド配列から成る群より選択されるヌクレオチド配列を含む組み換え、精製、および/または単離されたヌクレオチド配列、および/または配列番号1、18、35、52、69、86、103、120、137、154、171、188、205、222、239、256、273、290、および309の配列のうちの少なくとも1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドから成る群より選択される組み換え、精製、および/または単離されたポリペプチドを用いて、ポリペプチドをグリコシル化および/または翻訳後に修飾する方法を含む。
【0121】
本発明の実施形態では、本発明による単離および/または精製されたポリペプチドのいずれか1つが、摂氏約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、および/もしくは95度以上の温度で酵素的もしくは機能的に活性であってもよく、ならびに/あるいは8、7、6、5、4、3、2、1、および/もしくは0以下および/または以上のpHで酵素的もしくは機能的に活性であってもよい。本発明のさらなる実施形態では、グリコシル化、ぺグ化、および/または他の翻訳後修飾が、8、7、6、5、4、3、2、1、および/または0以下のpH、もしくは摂氏約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、および/または95度以上の温度で、本発明による単離および/または精製されたポリペプチドが酵素的もしくは機能的に活性になるのに必要とされてもよい。
【0122】
本発明は、以下の例示的実施例において、さらに詳細に記載される。実施例は、本発明の選択された実施形態のみを表し得るが、以下の実施例は、例示するものであって、制限するものではないことを理解されたい。
【実施例1】
【0123】
アリサイクロバチルス・アシドカルダリウスからのヌクレオチドおよびアミノ酸配列を使用したグリコシル化
アリサイクロバチルス・アシドカルダリウスから単離された、配列番号1、18、35、52、69、86、103、120、137、154、171、188、205、222、239、256、273、290、および309のポリペプチドをそれぞれコードする、配列番号2、19、36、53、70、87、104、121、138、155、172、189、206、223、240、257、274、291、および310のヌクレオチド配列を提供する。配列番号2、19、36、53、70、87、104、121、138、155、172、189、206、223、240、257、274、291、および310のヌクレオチド配列は、当技術分野の標準的な技術を使用して、発現ベクター内に配置する。次いで、該ベクターを細菌細胞またはSf9細胞またはCHO細胞等の真核細胞等の細胞に提供する。細胞内に存在する正常機構と連動して、配列番号2、19、36、53、70、87、104、121、138、155、172、189、206、223、240、257、274、291、および310を含むベクターは、配列番号1、18、35、52、69、86、103、120、137、154、171、188、205、222、239、256、273、290、および309のポリペプチドを産生する。次いで、配列番号1、18、35、52、69、86、103、120、137、154、171、188、205、222、239、256、273、290、および309のポリペプチドを単離および/または精製する。次いで、配列番号1、18、35、52、69、86、103、120、137、154、171、188、205、222、239、256、273、290、および309の単離および/または精製されたポリペプチドはそれぞれ、表1に示す活性のうちの1つもしくは複数を有することが証明された。
【0124】
配列番号1、18、35、52、69、86、103、120、137、154、171、188、205、222、239、256、273、290、および309の単離および/または精製されたポリペプチドは、他のタンパク質または細胞成分と併せて、他のタンパク質のグリコシル化における活性を示すことが証明された。
【実施例2】
【0125】
アリサイクロバチルス・アシドカルダリウスからのヌクレオチドおよびアミノ酸配列を使用した、第1のポリペプチドのタンパク質安定性、溶解度、分解、活性プロファイル、および/または外在化の調節
グリコシル化または他の翻訳後修飾によって、1つもしくは複数の他のタンパク質を翻訳後修飾するために、実施例1のポリペプチドおよびヌクレオチド配列を使用する。修飾タンパク質は、同一または同様のアミノ酸配列の非修飾タンパク質と比較して、変化したタンパク質安定性、溶解度、分解、活性プロファイル、および/または外在化を有することが証明された。
【実施例3】
【0126】
アリサイクロバチルス・アシドカルダリウスのグリコシル化タンパク質
以下のプロトコルを用いて、ポリペプチドRAAC02676(配列番号307)を得た。アリサイクロバチルス・アシドカルダリウスを小麦アラビノキシラン上で培養し、3日後に採取した。培養物を遠心分離し、細胞を除去し、結果として得られた上清を0.22ミクロンのフィルタで濾過し、残った残屑はすべて除去した。濾過上清を、10,000Da分子量カットオフの透析膜を通して、限外濾過によって約1mLまで濃縮した。結果として得られた濃縮濾過上清は、陽イオン交換カラム上にタンパク質を捕捉し、それらを塩勾配によって溶出し、第2の陽イオン交換カラム上に再装填し、第2の塩勾配によって溶出することによって、さらに精製した。試料を統合し、12%SDS−PAGEゲル上で処理した。個々のバンドをゲルから切り出し、ゲルトリプシン消化に供した。次いで、ペプチド断片を溶出し、C−18カラム上で分離し、エレクトロスプレーを用いてイオントラップ質量分析計内に注入した。質量スペクトルを、観測スペクトルと既知のタンパク質配列から生成される理論スペクトルとを比較するMASCOTによって処理した。MASCOTは、使用者がタンパク質上に存在し得る修飾を特定することを可能にし、これらの修飾と一致するスペクトルを検索する。MASCOTは、以下の表2に示すように、潜在的にグリコシル化されたRAAC02676から消化されるいくつかのペプチドを同定した。
【0127】
表2において分かるように、クエリ94、96、221、332、333、337、および400から、RAAC02676に対して予測されたグリコシル化が見出された。表2中の全ての断片は、配列番号307(RAAC02676)の断片である。決定された部位に従ったRAAC02676のグリコシル化型を配列番号308で提供する。
【0128】
【表2−1】

【0129】
【表2−2】

【0130】
【表2−3】

【実施例4】
【0131】
アリサイクロバチルス・アシドカルダリウスからのタンパク質の糖タンパク質染色
アリサイクロバチルス・アシドカルダリウスを小麦アラビノキシラン上で培養し、3日後に採取した。培養物を遠心分離し、細胞を除去し、結果として得られた上清を0.22ミクロンのフィルタで濾過し、残った残屑はすべて除去した。濾過上清を、10,000Da分子量カットオフの透析膜を通して、限外濾過によって約1mLまで濃縮した。この濃縮物質のいくつかのレーンを、標準的なプロトコルを使用して、既知のグリコシル化および非グリコシル化タンパク質である陽性および陰性対照と共に、12%SDS−PAGEゲル上で処理した。ゲルを縦に半分に切断し、片方をSimply Blue Safe Stainで染色し、もう片方にはSigmaの糖タンパク質検出キットを使用した。陽性および陰性対照の両方をSimply Blue染色を使用して染色し、陽性対照のみを糖タンパク質で染色し、染色プロトコルが正確に機能していることを示した。アリサイクロバチルス・アシドカルダリウスタンパク質レーンは、Simply Blue染色ゲル上で約120kDaのバンドを示し、それは、アリサイクロバチルス・アシドカルダリウスの1つの細胞外タンパク質の予測された重量である。糖タンパク質染色ゲル上の同一位置は、ピンク色のバンドを示し、グリコシル化タンパク質に対して肯定的な結果を示した。
【0132】
本発明は、ある実施形態において説明されたが、本発明は、本開示の精神および範囲内でさらに修正可能である。したがって、本願は、その一般原則を使用して本発明の任意の変型、用途、または適合を網羅することを意図する。さらに、本願は、本発明が関連する当該分野における周知または慣例的実践内にあり、かつ添付の請求項およびそれらの法的同等物の制限内にあるような本開示からの逸脱も網羅することを意図する。
【0133】
【表3−1】

【0134】
【表3−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む、単離または精製された核酸配列。
【請求項2】
前記ポリペプチドが、約pH8以下で酵素活性を有する、請求項1に記載の単離または精製された核酸配列。
【請求項3】
前記ポリペプチドが、摂氏約35度以上の温度で酵素活性を有する、請求項1に記載の単離または精製された核酸配列。
【請求項4】
前記核酸配列が、ベクター中に存在する、請求項1に記載の単離または精製された核酸配列。
【請求項5】
前記配列番号1に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドを含む、単離または精製されたポリペプチド。
【請求項6】
前記ポリペプチドが、約pH8以下で酵素活性を呈する、請求項5に記載の単離または精製されたポリペプチド。
【請求項7】
前記ポリペプチドが、摂氏約35度以上の温度で酵素活性を有する、請求項5に記載の単離または精製されたポリペプチド。
【請求項8】
前記ポリペプチドが、グリコシル化、ペグ化、または別様に翻訳後に修飾される、請求項5に記載の単離または精製されたポリペプチド。
【請求項9】
前記ポリペプチドが、グリコシルトランスフェラーゼ活性を有する、請求項5に記載の単離または精製されたポリペプチド。
【請求項10】
摂氏約35度以上の温度で、または約8以下のpHで、第1のポリペプチドをグリコシル化または翻訳後修飾する方法であって、
配列番号2に対して少なくとも90%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列によってコードされる組み換え、精製、または単離されたポリペプチドを提供するステップと、
前記組み換え、精製、または単離されたポリペプチドで、第1のポリペプチドをグリコシル化または翻訳後修飾するステップと、
を含む、方法。
【請求項11】
前記第1のポリペプチドをグリコシル化または翻訳後修飾するステップが、約pH8以下で生じる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のポリペプチドをグリコシル化または翻訳後修飾するステップが、摂氏約35度以上の温度で生じる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記組み換え、精製、または単離されたポリペプチドが、グリコシル化、ペグ化、または別様に翻訳後に修飾される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記組み換え、精製、または単離されたポリペプチドが、グリコシルトランスフェラーゼ活性を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
第1のポリペプチドのタンパク質安定性、溶解度、分解、活性プロファイル、または外在化を調節する方法であって、
配列番号2に対して少なくとも90%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列によってコードされる組み換え、精製、または単離されたポリペプチドを提供するステップと、
前記組み換え、精製、または単離されたポリペプチドで、第1のポリペプチドをグリコシル化または翻訳後修飾するステップと、
を含む、方法。
【請求項16】
前記第1のポリペプチドをグリコシル化または翻訳後修飾するステップが、約pH8以下で生じる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のポリペプチドをグリコシル化または翻訳後修飾するステップが、摂氏約35度以上の温度で生じる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記組み換え、精製、または単離されたポリペプチドが、グリコシル化、ペグ化、または別様に翻訳後に修飾される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記組み換え、精製、または単離されたポリペプチドが、グリコシルトランスフェラーゼ活性を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
配列番号1、18、35、52、69、86、103、120、137、154、171、188、205、222、239、256、273、290、および309に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドから成る群より選択されるポリペプチドをコードする核酸配列を含む、単離または精製された核酸配列。
【請求項21】
前記ポリペプチドが、約pH8以下で酵素活性を有する、請求項20に記載の単離または精製された核酸配列。
【請求項22】
前記ポリペプチドが、摂氏約35度以上の温度で酵素活性を有する、請求項20に記載の単離または精製された酸配列。
【請求項23】
前記核酸配列が、ベクター中に存在する、請求項20に記載の単離または精製された核酸配列。
【請求項24】
配列番号1、18、35、52、69、86、103、120、137、154、171、188、205、222、239、256、273、290、および309に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドから成る群より選択されるポリペプチドを含む、単離または精製されたポリペプチド。
【請求項25】
前記ポリペプチドが、約pH8以下で酵素活性を有する、請求項24に記載の単離または精製されたポリペプチド。
【請求項26】
前記ポリペプチドが、摂氏約35度以上の温度で酵素活性を有する、請求項24に記載の単離または精製されたポリペプチド。
【請求項27】
前記ポリペプチドが、グリコシル化、ペグ化、または別様に翻訳後に修飾される、請求項24に記載の単離または精製されたポリペプチド。
【請求項28】
前記ポリペプチドが、UDP β−グルコースホスホトランスフェラーゼ、ドリコール−リン酸マンノシルトランスフェラーゼ、およびグリコシルトランスフェラーゼ活性から成る群より選択される活性を有する、請求項24に記載の単離または精製されたポリペプチド。
【請求項29】
摂氏約35度以上の温度で、または約8以下のpHで、第1のポリペプチドをグリコシル化または翻訳後修飾する方法であって、
配列番号2、19、36、53、70、87、104、121、138、155、172、189、206、223、240、257、274、291、および310の配列のうちの少なくとも1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有するヌクレオチド配列から成る群より選択されるヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列によってコードされる、組み換え、精製、または単離されたポリペプチドを提供するステップと、
前記組み換え、精製、または単離されたポリペプチドで、第1のポリペプチドをグリコシル化または翻訳後修飾するステップと、
を含む、方法。
【請求項30】
前記第1のポリペプチドをグリコシル化または翻訳後修飾するステップが、約pH8以下で生じる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第1のポリペプチドをグリコシル化または翻訳後修飾するステップが、摂氏約35度以上の温度で生じる、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記組み換え、精製、または単離されたポリペプチドが、グリコシル化、ペグ化、または別様に翻訳後に修飾される、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記組み換え、精製、または単離されたポリペプチドが、UDP β−グルコースホスホトランスフェラーゼ、ドリコール−リン酸マンノシルトランスフェラーゼ、およびグリコシルトランスフェラーゼ活性から成る群より選択される活性を有する、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
第1のポリペプチドのタンパク質安定性、溶解度、分解、活性プロファイル、または外在化を調節する方法であって、
配列番号2、19、36、53、70、87、104、121、138、155、172、189、206、223、240、257、274、291、および310の配列のうちの少なくとも1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有するヌクレオチド配列から成る群より選択されるヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列によってコードされる組み換え、精製、または単離されたポリペプチドを提供するステップと、
前記組み換え、精製、または単離されたポリペプチドで、第1のポリペプチドをグリコシル化または翻訳後修飾するステップと、
を含む、方法。
【請求項35】
前記第1のポリペプチドをグリコシル化または翻訳後修飾するステップが、約pH8以下で生じる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第1のポリペプチドをグリコシル化または翻訳後修飾するステップが、摂氏約35度以上の温度で生じる、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記組み換え、精製、または単離されたポリペプチドは、グリコシル化、ペグ化、または別様に翻訳後に修飾される、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記組み換え、精製、または単離されたポリペプチドが、UDP β−グルコースホスホトランスフェラーゼ、ドリコール−リン酸マンノシルトランスフェラーゼ、およびグリコシルトランスフェラーゼ活性から成る群より選択される活性を有する、請求項34に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2011−517931(P2011−517931A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−548869(P2010−548869)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/035307
【国際公開番号】WO2010/051049
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(501445988)バテル エナジー アライアンス,エルエルシー (14)
【Fターム(参考)】