説明

アリール置換ピラゾールの調製方法

本発明は、1−(アリール)−置換ピラゾールの調製方法であって、アルコキシエノンおよびエナミノケトンとアリールヒドラジン誘導体との反応で1−(アリール)−置換ジヒドロ−1H−ピラゾールを生じる工程、さらに水を脱離する反応で1−(アリール)−置換トリハロメチルピラゾールを生じる工程、ならびにさらにこの処理工程を含む方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1−(アリール)−置換ピラゾールの調製方法であって、アルコキシエノンおよびエナミノケトンとヒドラジン誘導体との反応で1−(アリール)−置換ジヒドロ−1H−ピラゾールを生じる工程、さらに水の脱離反応で1−(アリール)−置換トリハロメチルピラゾールを生じる工程、ならびにさらにこの処理工程を含む方法に関する。
【0002】
1−(アリール)−置換ピラゾールおよび1H−ピラゾールは、殺虫剤としての利用を見出せるアントラニルアミド(anthranilamides)の調製に有益な中間体である。
【背景技術】
【0003】
既に文献に1,3−ジカルボニルまたは対応する1,3−ビス−求電子試薬とモノアルキル−またはモノアリールヒドラジンとの反応によるピラゾールの生成について記載されている(Synthesis 2004,N1.pp 43−52)。しかしながら、モノアルキル−またはモノアリールヒドラジンの場合、結果は位置異性体ピラゾールの混合物であることが報告されている(Tetrahedron 59(2003),2197−2205;Martins et al.,T.L.45(2004)4935)。1つの位置異性体のみを得る試みは失敗した(JOC 2007,72822 8243−8250)。同様に、トリフルオロメチルピラゾールの調製方法が文献に記載されている(WO2003/016282)。同様に、(ヘト)アリール置換ピラゾールの調製方法が記載され(WO2007/144100)、対応するピラゾールはジエステルをDIBALまたはLiAlHで還元することにより得られる。しかしながら、非常な低温が要求され、ならびにDIBALの使用は不経済である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2003/016282号
【特許文献2】国際公開第2007/144100号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】JOC 2007,72822 8243−8250
【非特許文献2】Synthesis 2004年,N1.pp 43−52
【非特許文献3】Tetrahedron 59(2003),2197−2205 Martinsら,T.L.45(2004)4935
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、1−(アリール)−置換ピラゾール誘導体および1−(アリール)−置換ジヒドロ−1H−ピラゾールの新規で経済的に実行可能な調製方法を提供することが本発明の目的であり、該方法は上述の欠点を有さず、産業規模でも特に効率的および簡易な様式で実施できる方法体制で注目に値する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一般式(I):
【0008】
【化1】

(式中、
は、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、ハロゲンであり、
は、好ましくはヒドロキシル、(C−C)アルコキシ、ハロゲンであり、
は、より好ましくはヒドロキシル、(C−C)アルコキシであり、
は、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールアルコキシ、アルキルチオ、ハロゲン、O−(C=O)アルキル、O−(C=O)O−アルキル、(C=O)ハロアルキル、OSOアルキル、OSO−ハロアルキル、OSO−アリールであり、
は、好ましくはヒドロキシル、ハロゲン、O−(C=O)(C−C)アルキルであり、
は、より好ましくはヒドロキシル、O(C=O)CHであり、
は、H、ハロゲン、CN、NO、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロシクロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキルアミノであり、
は、好ましくは、H、ハロゲン、CN、NO、(C−C)−アルキル、ハロ(C−C)−アルキル、(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシであり、
は、より好ましくは、F、塩素、臭素、ヨウ素、CN、(C−C)−アルキル、ハロ(C−C)−アルキル、ハロ(C−C)アルコキシであり、
は、最も好ましくは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素であり、
は、とりわけ好ましくは、塩素であり、
Zは、CH、Nであり、
Zは、好ましくはならびにより好ましくは、Nである。)
の1−アリール置換ピラゾール誘導体の調製方法であって、
式(II):
【0009】
【化2】

(式中、
は、H、アルキル、アリールアルキル、−(C=O)アルキル、(C=O)ハロアルキル、−(C=O)O−アルキル、SOアルキル、SOハロアルキル、SO−アリールであり、
Xは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素であり、
は、アルコキシ、ジアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、チオアルキルであり、または場合によりO、N、S基から1−3個のヘテロ原子を含み得るシクロアルキルである。)
のアルコキシエノンおよびエナミノケトンが、式(III):
【0010】
【化3】

(式中、
は、H、ハロゲン、CN、NO、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロシクロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキルアミノであり、
ZはCH、Nである。)
のアリールヒドラジンと反応し、式(IV):
【0011】
【化4】

(式中、X、R、R、Zはそれぞれ上記に定義した通りである。)
の1−アリール置換ジヒドロ−1H−ピラゾールを生じ、後者は、場合により、予め単離することなく、水の脱離で式(V):
【0012】
【化5】

(式中、X、R、R、Zはそれぞれ上記に定義した通りである。)
の1−アリール置換トリハロメチルピラゾールにさらに変換され、一般式(V)のこれらの化合物は、
HCl、HSOまたは塩基の添加で、例えば式(VI):
【0013】
【化6】

(式中、R、R、Zはそれぞれ上記に定義した通りである。)
のピラゾールカルボン酸に変換され、
後者は、R基の脱離後、式(VII):
【0014】
【化7】

(式中、R、Zは上記に定義した通りである。)のヒドロキシメチルピラゾール酸に変換され、ならびに
後者は、式(I):
【0015】
【化8】

の化合物に変換されることを特徴とする方法により、本発明は達成された。
【0016】
より具体的には、本発明の反応は、例えばアルコキシプロペンなどのアルコキシアルキレン、酸塩化物およびアリールヒドラジンなどの安価な原料の使用、ならびに産業規模でも特に効率的および簡易な様式で実施できる方法体制で注目に値する。
【0017】
本発明の方法は、下記のスキーム(I):
【0018】
【化9】

【0019】
スキーム(I)
(式中、X、R、R、R、R、R、Zはそれぞれ上記に定義した通りである。)により、説明できる。
【0020】
式(VII)の化合物から式(I)の化合物への変換は、慣習的方法により達成され、下記のスキーム(II):
【0021】
【化10】

(式中、R、Zはそれぞれ上記に定義した通りである。)
を用いた例で説明される。
【0022】
スキーム(II)
一般的定義
本発明に関連して、「ハロゲン」(X)という用語は、他に定義しない限り、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択される元素を含み、フッ素、塩素および臭素の使用が優先され、特にフッ素および塩素の使用が優先される。置換される基は一置換または多置換であり、置換基は多置換の場合では同一または相違し得る。
【0023】
1個以上のハロゲン原子(−X)により置換されるアルキル基(=ハロアルキル基)は、例えば、トリフルオロメチル(CF)、ジフルオロメチル(CHF)、CCl、CFCl、CFCH、ClCH、CFCClから選択される。
【0024】
本発明に関連して、別に定義されない限り、アルキル基は直鎖または分岐の炭化水素基である。
【0025】
アルキルおよびC−C12−アルキルの定義は、例えばメチル、エチル、n−、イソプロピル、n−、イソ−、sec−およびt−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、1,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、n−ヘプチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシルの意味を包含する。
【0026】
本発明に関連して、別に定義されない限り、シクロアルキル基は、場合により、O、N、Sの基から1−3個のヘテロ原子を含み得る環状飽和炭化水素基である。
【0027】
本発明に関連して、別に定義されない限り、アリール基は、C−C10芳香族炭化水素基、ならびにO、N、PおよびSから選択される1、2個以上のヘテロ原子を有し、場合により更なる基で置換され得る芳香族炭化水素基である。
【0028】
本発明に関連して、別に定義されない限り、アリールアルキル基およびアリールアルコキシ基は、アリール基により置換されるアルキルまたはアルコキシ基であり、アルキレン鎖を有し得る。具体的には、アリールアルキルの定義は、例えば、ベンジルおよびフェニルエチルの意味を包含し、ならびにアリールアルコキシの定義は、例えば、ベンジルオキシの意味を包含する。
【0029】
本発明に関連して、別に定義されない限り、アルキルアリール基(アルカリル基)およびアルキルアリールオキシ基は、アルキル基により置換されるアリール基またはアリールオキシ基であり、C1−8−アルキレン鎖を有し、ならびにアリール骨格またはアリールオキシ骨格においてO、N、PおよびSから選択される1個以上のヘテロ原子を有し得る。
【0030】
本発明の化合物は、適切な場合、異なる可能な異性体、とりわけ立体異性体、例えばEおよびZ、トレオおよびエリトロ、ならびに光学異性体の混合物としても、しかし適切な場合には互変異性体の混合物としても存在し得る。EおよびZ異性体、またトレオおよびエリトロ異性体、ならびに光学異性体、これらの異性体の所望する任意の混合物ならびに可能な互変異性体が開示および請求される。
【0031】
式(II)のアルコキシエノンおよびエナミノケトン
本発明の方法の実施において出発物質として使用されるエノンは、式(II):
【0032】
【化11】

(式中、Xは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素であり、好ましくはフッ素、塩素またはBrであり、より好ましくは塩素であり、
は、H、アルキル、アリールアルキル、−(C=O)アルキル、(C=O)ハロアルキル、−(C=O)O−アルキル、SOアルキル、SOハロアルキル、SO−アリールであり、
は、好ましくは、アリール(C−C)−アルキル、(C=O)(C−C)−アルキル、(C=O)ハロ(C−C)−アルキル、−(C=O)O−(C−C)−アルキル、SO(C−C)−アルキル、SOフェニル、SO−ハロ(C−C)−アルキルであり、
は、より好ましくは、(C=O)(C−C)−アルキル、(C=O)ハロ(C−C)−アルキル、−(C=O)O−(C−C)−アルキル、SO(C−C)−アルキルであり、
は最も好ましくは(C=O)(C−C)−アルキル、(C=O)ハロ(C−C)−アルキルであり、
はとりわけ(C=O)CHが好ましく、
は、アルコキシ、ジアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、チオアルキルであり、または場合によりO、N、S基から1−3個のヘテロ原子を含み得るシクロアルキルであり、
は、好ましくは(C−C)−アルコキシ、ジ(C−C)−アルキルアミノ、モルホリノ、チオアルキルであり、
は、より好ましくは(C−C)−アルコキシであり、
はメトキシが最も好ましい。)
により、一般用語で定義される。
【0033】
本発明に従って、適切な式(II)のアルコキシエノンおよびエナミノケトンの例は、
5,5,5−トリクロロ−2−メトキシ−4−オキソペンタ−2−エン−1−イルアセテート、1,1,1−トリクロロ−5−ヒドロキシ−4−メトキシペンタ−3−エン−2−オン、5−(ベンジルオキシ)−1,1,1−トリクロロ−4−メトキシペンタ−3−エン−2−オン、5,5,5−トリフルオロ−2−メトキシ−4−オキソペンタ−2−エン−1−イルアセテート、(2Z)−5,5,5−トリクロロ−2−メトキシ−4−オキソペンタ−2−エン−1−イルトリクロロアセテートである。
【0034】
式(II)の化合物は、式中、XがClであり、Rがフェニルであり、Rがメトキシである式(II)の化合物であって、既に文献(cf.Synthesis 2001,13,1959)に記載されている化合物を除いて、新規である。
【0035】
式(II)の化合物は、例えば5−ブロモ−1,1,1−トリハロ−4−アルコキシペンタ−3−エン−2−オンと適切なO−求核試薬とを特定の反応条件下で反応させることにより調製できる。
【0036】
一般式(III)のアリールヒドラジン
本発明に従って使用されるヒドラジノピリジンは一般式(III):
【0037】
【化12】

(式中、
は、H、ハロゲン、CN、NO、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロシクロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキルアミノであり、
は好ましくはH、ハロゲン、CN、NO、(C−C)−アルキル、ハロ(C−C)−アルキル、(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシであり、
は、より好ましくは、F、塩素、臭素、ヨウ素、CN、(C−C)−アルキル、ハロ(C−C)−アルキル、ハロ(C−C)アルコキシであり、
は、最も好ましくは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素であり、
は、とりわけ好ましくは塩素であり、
Zは、CH、Nであり、
Zは、好ましくはならびにより好ましくは、Nである。)
の化合物である。
【0038】
本発明に従って、適切なヒドラジノピリジンの例は、3−クロロ−2−ヒドラジノピリジン、フェニルヒドラジン、o−およびp−クロロフェニルヒドラジン、ニトロフェニルヒドラジン、O−メチルフェニルヒドラジンである。
【0039】
段階(1)
本方法の第一実施形態において、式(II)のアルコキシエノンおよびエナミノケトンはまず式(III)のアリールヒドラジンと反応する。その後、段階(1)で形成された中間体は水の脱離で式(V)の5−トリハロメチルピラゾール誘導体に変換される(段階2)。
【0040】
【化13】

式中、Z、X、R、RおよびRはそれぞれ上記に定義した通りである。
【0041】
意外にも、式(II)のアルコキシエノンおよびエナミノケトンと式(III)のアリールヒドラジンとの反応は位置選択的に進行し、式(IV)の1−(アリール)−ジヒドロピラゾロール(dihydropyrazolols)を生じることが見出された。第二位置異性体は観察されなかった。有機酢酸塩、スルホン酸塩または炭酸塩が、酢酸塩基、スルホン酸塩基または炭酸塩基の脱離で、N−求核剤(例えばアミンまたはヒドラジン)と反応し、アミドおよびヒドラジドを生じることも知られている。結果として、Rが(C=O)アルキル、(C=O)ハロアルキル、−(C=O)O−アルキル、SOアルキル、SO−ハロアルキル、SO−アリールである式(II)のアルコキシエノンと強い求核性を有する式(III)のアリールヒドラジンとの反応の場合、環化のみが起き、これまで知られていなかった式(IV)のアリール−5−ヒドロキシ−5−(ハロアルキル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾル−3−イル誘導体が高収率で形成することは、意外と考えられる。
【0042】
本発明の工程段階(1)は、好ましくは−20℃から+100℃までの温度範囲内で、より好ましくは−10℃から+80℃の温度で実施される。
【0043】
本発明の工程段階(1)は一般に標準圧力下で実施される。しかしながら、代わりに、水およびアルコールを除去するために減圧下で行うことも可能である。
【0044】
反応時間は重要ではなく、バッチの大きさおよび温度に従って数分から数時間の範囲内で選択され得る。
【0045】
本発明の工程段階の実施において、1モルの式(II)のエノンは0.8モルから1.5モル、好ましくは0.9モルから1.2モル、より好ましくは等モル量の式(III)のアリールヒドラジンと反応する。
【0046】
適切な溶媒は、例えば、脂肪族、脂環式または芳香族の炭化水素、例えば石油エーテル、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンまたはデカリン、およびハロゲン化炭化水素、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタンまたはトリクロロエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、メチルtert−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンまたはアニソールなどのエーテル;アセトニトリル、プロピオニトリル、n−またはイソブチロニトリルまたはベンゾニトリルなどのニトリル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドンまたはヘキサメチルホスホルアミドなどのアミド;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド、またはスルホランなどのスルホン、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコールである。特に、トルエン、エタノール、メチルtert−ブチルエーテル、THF、アセトニトリルの使用が優先される。形成されるアリール−5−ヒドロキシ−5−(ハロアルキル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾル−3−イル誘導体は、次の段階(2)において予め精密検査なしに使用でき、段階(2)で水が脱離する。場合によっては、水の脱離は実際に環化中に起きる。
【0047】
または、これらの中間体は、適切な精密検査段階、および場合により更なる精製により単離できる。次いで後の段階でのみ水を脱離することが可能である。
【0048】
段階2.水の脱離
【0049】
【化14】

式中、Z、X、R、Rはそれぞれ上記に定義した通りである。
【0050】
水の脱離のため、下記の試薬が有用である:HSO、CFCOOH、PivCl、POCl、ポリリン酸、SOCl、(CHCO)O、(CFCO)O、オキサリルクロライド、ホスゲンおよびジホスゲン。
【0051】
(CFCO)O、チオニルクロライド、オキサリルクロライドおよびホスゲンが優先される。
【0052】
本発明の工程段階(A)は、好ましくは−20℃から+100℃の温度範囲内、より好ましくは−10℃から+70℃の温度で実施される。
【0053】
本発明の工程段階(2)は、一般に標準圧力下で実施される。しかしながら、代わりに、減圧下または高圧下(例えばホスゲンとの反応)で行うことも可能である。単に熱で水を脱離することも可能である。
【0054】
反応時間は重要ではなく、バッチの大きさおよび温度に依存して、数分から数時間の範囲内で選択され得る。
【0055】
本発明の工程段階の実施において、1モルの式(IV)の3−[(アルコキシ)メチル]−1−(アリール)−5−(トリハロアルキル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾル−5−オルは、0.9から2.5モル、好ましくは1モルから1.8モル、より好ましくは等モル量の脱水剤と反応する。
【0056】
適切な溶媒は、例えば、脂肪族、脂環式または芳香族の炭化水素、例えば石油エーテル、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンまたはデカリン、およびハロゲン化炭化水素、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタンまたはトリクロロエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、メチルtert−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンまたはアニソールなどのエーテル;アセトニトリル、プロピオニトリル、n−またはイソブチロニトリルまたはベンゾニトリルなどのニトリル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、またはシクロヘキサノンなどのケトン;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドンまたはヘキサメチルホスホルアミドなどのアミド;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド、またはスルホランなどのスルホンである。特にメチルtert−ブチルエーテル、トルエン、キシレン、ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロベンゼン、シクロヘキサンまたはメチルシクロヘキサンの使用が優先され、トルエン、キシレン、THF、CHCl、ジクロロエタン、メチルtert−ブチルエーテルの使用が極めて特に優先される。
【0057】
段階3および4
本発明の方法の好ましい実施形態において、式(V)の1−(アリール)−5−(トリハロメチル)−1H−ピラゾールは、式(VII)の3−(ヒドロキシメチル)−1−(ピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸に直接変換される。
【0058】
【化15】

式中、Z、X、R、Rはそれぞれ上記に定義した通りである。
【0059】
反応は一般的に酸性または塩基性の条件下で実施する。
【0060】
鉱酸、例えば、HSO、HCl、HSOCl、HF、HBr、HI、HPO、または有機酸、例えばCFCOOH、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸が優先される。
【0061】
反応は、触媒、例えばFeCl、AlCl、BF、SbCl、NaHPOの添加により加速できる。反応は、酸の添加なしに、水のみで実施できる。
【0062】
塩基性加水分解は、トリアルキルアミン、アルキルピリジン、ホスファジン(phosphazines)および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン(DBU)などの有機塩基、アルカリ金属水酸化物、例えば、リチウム、ナトリウムまたはカリウムの水酸化物、アルカリ金属炭酸塩(NaCO、KCO)、ならびにNaOAc、KOAc、LiOAcなどのアルカリ金属酢酸塩、アルコキシド、例えばNaOMe、NaOEt、NaOt−Bu、KOt−Buなどの無機塩基の存在下で達成される。
【0063】
本発明のハロゲン化段階(A)は、好ましくは20℃から120℃の温度範囲内、より好ましくは30℃から110℃の温度で実施される。
【0064】
本発明の工程段階(2)は一般に標準圧力下で実施される。しかしながら、代わりに、減圧下または高圧下(例えば、オートクレーブ内で水性HClとの反応)で行うことも可能である。
【0065】
反応時間は、バッチの大きさおよび温度に依存して、1時間から数時間の範囲内で選択され得る。
【0066】
段階6および9
本発明の方法の更なる実施形態において、R基はまず脱離する(段階6)。続いて、トリハロメチル基の加水分解に着手する(段階9)。
【0067】
【化16】

式中、Z、X、およびRはそれぞれ上記に定義した通りである。
【0068】
保護基の脱離は、R基の定義に依存する。Rが(C−C)−アルキルまたはベンジルである場合、脱離は、BBr、HCl、HI、MeSiI、PyHCl、FeCl、BFの存在下で、ならびにベンジルの場合、水素に加えて触媒の存在下で、生じ得る。酢酸塩、メシラートまたはスルホン酸塩の基は一般に酸性または塩基性の条件下で脱離する。鉱酸、例えば、HSO、HCl、HSOCl、HF、HBr、HI、HPO、または有機酸、例えばCFCOOH、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸が優先される。
【0069】
脱離は、酸または塩基の添加なしに、水中加熱でも実施できる。
【0070】
塩基性加水分解は、一般に、アルカリ金属水酸化物、例えば、リチウム、ナトリウムまたはカリウムの水酸化物、アルカリ金属炭酸塩(NaCO、KCO)およびNaOAc、KOAc、LiOAcなどの酢酸塩、アルコキシド、例えばNaOMe、NaOEt、NaOt−Bu、KOt−Buなどの安価な無機塩基を用いて達成される。トリアルキルアミン、アルキルピリジン、ホスファゼンおよび1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン(DBU)などの有機塩基も使用できる。
【0071】
段階8
がアルキルまたはベンジルである場合、CX基はエステル基に直接変換できる。従って、式(V)の化合物を式(I)の化合物に直接変換することは可能である(段階8)。
【0072】
【化17】

式中、
X、R、Zはそれぞれ上記に定義した通りであり、
は(C−C)−アルコキシであり、
は、好ましくは、メトキシ、エトキシ、プロポキシであり、
は、(C−C)−アルコキシ、アリール(C−C)−アルコキシであり、
は、好ましくはアリール(C−C)−アルコキシである。
【0073】
これらの目的で、例えばアルコールが使用され、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、またはアルコール/HCl、アルコール/FeCl、アルコール/HSOまたはアルコール/アルコキシドの組み合わせがある。
【0074】
反応段階8は物質または溶媒中で実施できる。溶媒中の反応の実施が優先される。適切な溶媒は、例えば、水、脂肪族および芳香族の炭化水素からなる群から選択され、例えば、n−ヘキサン、ベンゼンまたはトルエン(これらは、塩化メチレン、ジクロロエタン、フルオロベンゼン、クロロベンゼンもしくはジクロロベンゼンなどのフッ素または塩素原子により置換されてもよい。);エーテル、例えばジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、イソプロピルエチルエーテル、ジオキサン、ジグリム、ジメチルグリコール、ジメトキシエタン(DME)もしくはTHF;メチルニトリル、ブチルニトリルまたはフェニルニトリルなどのニトリル;ジメチルホルムアミド(DMF)もしくはN−メチルピロリドン(NMP)などのアミド、またはこのような溶媒の混合物であり、特に適切な溶媒は水、アセトニトリル、ジクロロメタンである。
【0075】
ORがO(C=O)アルク(alk)、OSOアルク(式(V)の化合物)である場合、CX基はエステル基に直接変換できる。従って、式(V)の化合物を式(I)R=OHの化合物に直接変換することは可能である(段階8)。
【0076】
段階7
ORがOH(式(VIII)の化合物)である場合、CX基はエステル基に直接変換できる。従って、式(VIII)の化合物を式(I)R=OHの化合物に直接変換することは可能である(段階7)。これらの目的で、例えばアルコールが使用され、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、またはアルコール/HCl、アルコール/FeCl、アルコール/HSOまたはアルコール/アルコキシドの組み合わせがある。
【0077】
段階5
本発明方法の実施で使用される式(VII)の化合物は、2段階工程で式(I)の化合物に変換される。
【0078】
【化18】

【0079】
第一に、式(VII)の化合物は、ハロゲン化剤を用いて対応する酸ハロゲン化物に変換される。同時に、ヒドロキシル基とハロゲンとの交換も起きる。
【0080】
【化19】

式中、Rはハロゲンであり、Rは塩素、臭素、フッ素である。
【0081】
酸ハロゲン化物を形成し、ヒドロキシルをハロゲンに交換するために、下記の試薬が適切である:SOCl、POCl、塩化オキサリル、ホスゲン、ジホスゲン、POBr、PBr、SF、HCFCFN(Me)、PI。SOCl、塩化オキサリル、POCl、ホスゲンが優先される。
【0082】
本発明のハロゲン化段階(段階5a)は、好ましくは−20℃から+100℃までの温度範囲内で、より好ましくは−10℃から+70℃の温度で実施される。
【0083】
本発明の工程段階は一般に標準圧力下で実施される。しかしながら、代わりに、減圧下または高圧下(例えばホスゲンとの反応)で行うことも可能である。
【0084】
反応時間は重要ではなく、バッチの大きさおよび温度に依存して、数分から数時間の範囲内で選択され得る。
【0085】
本発明の工程段階の実施において、1モルの式(VII)の酸は、1.9モルから2.5モル、好ましくは1.95モルから2.2モル、より好ましくは等モル量(2 eq)の塩素化剤と反応する。
【0086】
適切な溶媒は、例えば、脂肪族、脂環式または芳香族の炭化水素、例えば石油エーテル、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンまたはデカリン、およびハロゲン化炭化水素、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタンまたはトリクロロエタン、アセトニトリル、プロピオニトリル、n−またはイソブチロニトリルまたはベンゾニトリルなどのニトリル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドンまたはヘキサメチルホスホルアミドなどのアミドである。特に、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、n−ヘキサン、シクロヘキサンまたはメチルシクロヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタンの使用が優先され、トルエン、キシレン、CHCl、ClCHCHClの使用が極めて特に優先される。
【0087】
段階5bにおいて、酸ハロゲン化物はアルコールと反応し、式(I)のエステルを形成する。
【0088】
メタノール、エタノール、プロパノール、i−プロパノール、シクロヘキサノールなどのアルコールが優先される。
【0089】
本発明の工程段階は、好ましくは−20℃から+100℃までの温度範囲内で、より好ましくは−10℃から+40℃の温度で実施される。
【0090】
反応時間は重要ではなく、バッチの大きさおよび温度に依存して、数分から数時間の範囲内で選択され得る。
【0091】
本発明の工程段階の実施において、1モルの式(VII)の酸ハロゲン化物は、1から3 eq、好ましくは1 eqのアルコールと反応する。反応は溶媒などのアルコール中で実施できる。ハロゲン化およびアルコールとの反応は一般にワンポット反応として実施される。
【0092】
式(I)の本発明の化合物は、アントラニルアミドの合成における重要な中間体である(WO2007/112893,WO2007/144100)。
【0093】
[調製実施例]
[実施例1]
5−ブロモ−1,1,1−トリクロロ−4−メトキシペンタ−3−エン−2−オンは、Gerus et al.,Synthesis 2001,3,431−436の方法により調製した。収率90%。
【0094】
[実施例2]
5,5,5−トリクロロ−2−メトキシ−4−オキソペンタ−2−エン−1−イルアセテート。
【0095】
29.6g(0.1mol)の5−ブロモ−1,1,1−トリクロロ−4−メトキシペンタ−3−エン−2−オン、17gの酢酸カリウム、5gの臭化テトラブチルアンモニウムおよび8gの酢酸は、40℃で300mlのアセトニトリル中16時間攪拌した。混合物は減圧下で濃縮し、水を残渣に添加した。生成物は酢酸エチルで抽出し、有機相は水で洗浄し、溶媒は減圧下で完全に除去した。
【0096】
これにより、薄茶色の固体として25.4g(85%)の生成物を得、97%のLC純度であった。融点53−55℃。
【0097】
H NMR(DMSO d)δ:2.05(s,3H),3.85(s,3H),5.2(s,2H),6.1(s,1H)ppm。GC/MS m/Z 275.
【0098】
[実施例3]
[1−(3−クロロピリジン−2−イル)−5−ヒドロキシ−5−(トリクロロメチル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾル−3−イル]メチルアセテート。
【0099】
27.5g(0.1モル)の5,5,5−トリクロロ−2−メトキシ−4−オキソペンタ−2−エン−1−イルアセテートおよび14.4g(0.1モル)の3−クロロ−2−ヒドラジノピリジンは最初に200mlのエタノールに入れ、混合物は25℃で3時間攪拌した。沈殿物は濾過し、シクロヘキサンで洗浄した。
【0100】
これにより、105−106℃の融点をもつ白色固体として34gの生成物(90%収率)を得た。
【0101】
H NMR(DMSO d)δ:2.07(s,3H),3.30(dt,1H),3.78(dt,1H),4.79(dt,1H),4.84(dt,1H),7.23(dd,1H),7.95(dd,1H),8.22(dd,1H),9.46(br.s,1H)ppm。
【0102】
[実施例4]
1−(3−クロロピリジン−2−イル)−5−(トリクロロメチル)−1H−ピラゾル−3−イル]メチルアセテート。
【0103】
38.7gの[1−(3−クロロピリジン−2−イル)−5−ヒドロキシ−5−(トリクロロメチル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾル−3−イル]メチルアセテートは、200mlのメチルtert−ブチルエーテルに溶解し、ならびに12.6gの塩化オキサリルを2時間以内に滴下した(激しい気体の発生)。
【0104】
混合物は25℃でさらに5時間攪拌し、減圧下で完全に濃縮した。
【0105】
これにより、粘性油として36gの生成物を得、室温で約10時間後結晶化した。融点40℃。
【0106】
H NMR(DMSO d)δ:2.0(s,3H),5.1(dd,2H),7.0(s,1H),7.6(dd,1H),8.1(dd,1H),8.5(dd,1H)ppm。
【0107】
[実施例5]
[1−(3−クロロピリジン−2−イル)−5−(トリクロロメチル)−1H−ピラゾル−3−イル]メタノール
36.9gの1−(3−クロロピリジン−2−イル)−5−(トリクロロメチル)−1H−ピラゾル−3−イル]メチルアセテートは、100mlのエタノールに溶解し、ならびに20gのNaOH(40%水溶液として)を添加した。1時間後、混合物は300mlの水で希釈し、生成物は濾過し、水で洗浄し、ならびに乾燥した。
【0108】
これにより、白色固体として30g(95%)の生成物を得た。
【0109】
融点109−111℃。
【0110】
H NMR(DMSO d)δ:4.55(2H);6.95(1H);7.55(dd,1H);8.05(dd,1H);8.5(dd,1H)ppm。
【0111】
[実施例6]
1−(3−クロロピリジン−2−イル)−3−(ヒドロキシメチル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸の塩酸塩。
【0112】
38.7g(0.1モル)の[1−(3−クロロピリジン−2−イル)−5−(トリクロロメチル)−1H−ピラゾル−3−イル]メタノールおよび10gのHSO(10%水溶液として)は80℃で3時間攪拌した。
【0113】
混合物は0℃に冷却し、沈殿物は濾過し、アセトニトリルで洗浄し乾燥した。
【0114】
収率90%。融点173−175℃。
【0115】
H NMR(DMSO d)δ:3.5(b.s,1H)4.50,(2H);5.2(b.s),6.95(1H);7.55(dd,1H);8.05(dd,1H);8.5(dd,1H),13(b.s)ppm。
【0116】
[実施例7]
2−[5−カルボキシ−3−(ヒドロキシメチル)−1H−ピラゾル−1−イル]−3−クロロピリジニウム塩酸塩。
【0117】
手法は、
1−(3−クロロピリジン−2−イル)−5−(トリクロロメチル)−1H−ピラゾル−3−イル]メチルアセテートの使用を除いて実施例6の通りである。
【0118】
収率95%。融点173−175℃。
【0119】
[実施例8]
3−[(ベンジルオキシ)メチル]−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸
4.4gの2−{3−[(ベンジルオキシ)メチル]−5−(トリクロロメチル)−1H−ピラゾル−1−イル}−3−クロロピリジンおよび30 mlの20% HSOは100℃で24時間加熱した。
【0120】
沈殿物は濾過し、水で洗浄した。収率は92%であった。
【0121】
H NMR(CDCl)δ:4.61(2H,s);4.63(m,2H),6.97(1H,s);7.2−7.4(5H,m);7.42(1H,m);7.96 [(1H,d,2 Hz.)];8.5[(1H,d,2 Hz)]ppm。
【0122】
[実施例9]
1−(3−クロロピリジン−2−イル)−3−(ヒドロキシメチル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸塩酸塩。
【0123】
3.43gの3−[(ベンジルオキシ)メチル]−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸および20 mlのHCl(37.5%)は、100℃で2時間加熱した後、反応混合物は減圧下10 mbarで完全に濃縮した。これにより、塩酸塩として1−(3−クロロピリジン−2−イル)−3−(ヒドロキシメチル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸を得た。NaHCOでの中和により、白色固体としての遊離酸を得た。収率は94%であった。
【0124】
[実施例10]
メチル3−(クロロメチル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボキシレート。
【0125】
1−(3−クロロピリジン−2−イル)−3−(ヒドロキシメチル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸塩酸塩29g(0.1モル)は最初に100mlのトルエンに入れた。24gのSOClは、60℃で少しずつ添加した。混合物は70℃で3時間加熱し、この過程で沈殿物は完全に溶液に溶けていった。メタノール(30 ml)は混合物に徐々に滴下し、溶液は30℃でさらに1時間攪拌した。その後、溶液は減圧下で濃縮した。これにより、96%の純度で95%の生成物を得た。
【0126】
H NMR(CDCl)δ:3.7(3H,s);4.7(2H,s);7.1(1H,s);7.5(1H,m);8.05[(1H,m)];8.5[(1H,m)]ppm。
【0127】
[実施例11]
メチル1−(2−メチルフェニル)−3−(ヒドロキシメチル)−1H−ピラゾール−5−カルボキシレート。
【0128】
30.5gの[1−(2−メチルフェニル)−5−(トリクロロメチル)−1H−ピラゾル−3−イル]メタノールおよび300mlのメタノールはオートクレーブ中90℃で3時間加熱した。メタノールは減圧下で除去し、生成物はクロマトグラフィーによって精製した。収率80%。
【0129】
解析評価
H NMR(CDCN)δ:7.4−7.2(4H,m);6.95(1H,s),4.55(2H,s);3.75(3H,s);11.95(3H,s)ppm。
【0130】
[実施例12]
メチル1−(3−クロロピリジン−2−イル)−3−(ヒドロキシメチル)−1H−ピラゾール−5−カルボキシレート
32.6gの[1−(3−クロロピリジン−2−イル)−5−(トリクロロメチル)−1H−ピラゾル−3−イル]メタノールおよび300mlのメタノールはオートクレーブ中90℃で3時間加熱した。メタノールは減圧下で除去し、沈殿物は水で洗浄した。収率25g、94%。融点104℃。
【0131】
[実施例13]
メチル3−(クロロメチル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボキシレート。
【0132】
メチル1−(3−クロロピリジン−2−イル)−3−(ヒドロキシメチル)−1H−ピラゾール−5−カルボキシレート(26.7g、0.1mol)は、150mlのCHClに溶解し、溶液は5℃に冷却した。SOCl(0.12mol)を含む30mlのCHClは、この温度で徐々に滴下した。混合物は40℃でさらに4時間攪拌し、減圧下で濃縮した。生成物はさらに精製することなく使用できる。
【0133】
解析評価
H NMR(CDCN)δ:8.52(1H,d);8.06(1H,d),7.55(1H,dd);7.10(1H,s);4.75(2H,s);3.75(3H,s)ppm。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

(式中、
はヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、ハロゲンであり、
はヒドロキシル、アルコキシ、アリールアルコキシ、アルキルチオ、ハロゲン、O−(C=O)アルキル、O−(C=O)O−アルキル、(C=O)ハロアルキル、OSOアルキル、OSO−ハロアルキル、OSO−アリールであり、
は、ハロゲン、CN、NO、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロシクロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキルアミノであり、
Zは、CH、Nである。)
のアリール置換ピラゾール誘導体の調製方法であって、
(A)式(II):
【化2】

(式中、
は、H、アルキル、アリールアルキル、−(C=O)アルキル、(C=O)ハロアルキル、−(C=O)O−アルキル、SOアルキル、SOハロアルキル、SO−アリールであり、
Xは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素であり、
は、アルコキシ、ジアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、チオアルキルであり、または場合によりO、N、S基から1−3個のヘテロ原子を含み得るシクロアルキルである。)
のアルコキシエノンおよびエナミノケトンが、式(III):
【化3】

(式中、
は、ハロゲン、CN、NO、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロシクロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキルアミノであり、
Zは、CH、Nである。)
のアリールヒドラジンと反応し、式(IV):
【化4】

(式中、X、R、R、Zはそれぞれ上記に定義した通りである。)
の1−アリール置換ジヒドロ−1H−ピラゾールを生じ、
(B)後者は、場合により、予め単離することなく、水の脱離で式(V):
【化5】

(式中、X、R、R、Zはそれぞれ上記に定義した通りである。)
の1−アリール置換トリハロメチルピラゾールにさらに変換され、
(C)一般式(V)のこれらの化合物は、
HCl、HSOまたは塩基の添加で、例えば式(VI):
【化6】

(式中、R、R、Zはそれぞれ上記に定義した通りである。)
のピラゾールカルボン酸に変換され、
(D)後者は、R基の脱離後、式(VII):
【化7】

(式中、R、Zは上記に定義した通りである。)
のヒドロキシメチルピラゾール酸に変換され、ならびに
(E)後者は、式(I):
【化8】

の化合物に変換されることを特徴とする方法。
【請求項2】
がヒドロキシル、(C−C)アルコキシ、ハロゲンであり、
がヒドロキシル、ハロゲン、O−(C=O)(C−C)アルキルであり、
がハロゲン、CN、NO、(C−C)−アルキル、ハロ(C−C)−アルキル、(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシであり、
Xが、フッ素、塩素、臭素であり、
ZがNであり、
がアリール(C−C)−アルキル、(C=O)(C−C)−アルキル、(C=O)ハロ(C−C)−アルキル、−(C=O)O−(C−C)−アルキル、SO(C−C)−アルキル、SOフェニル、SO−ハロ(C−C)−アルキルであり、
が(C−C)−アルコキシ、ジ(C−C)−アルキルアミノ、モルホリノ、チオアルキルであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
が(C−C)アルコキシ、ヒドロキシルであり、
がヒドロキシル、(C=O)CHであり、
が塩素であり、
が(C=O)CHであり、
がメトキシであり、
Xが塩素であり、
ZがNであることを特徴とする、請求項1および2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
X、R、Zがそれぞれ上記に定義した通りであり、
が(C=O)(C−C)−アルキル、(C=O)ハロ(C−C)−アルキルであることを特徴とする、請求項1に記載の一般式(IV)の化合物。
【請求項5】
X、R、Zがそれぞれ上記に定義した通りであり、
が(C=O)(C−C)−アルキル、(C=O)ハロ(C−C)−アルキルであることを特徴とする、請求項1に記載の一般式(V)の化合物。
【請求項6】
が(C=O)CHであり、およびXが塩素であることを特徴とする、請求項4に記載の一般式(IV)の化合物。
【請求項7】
が(C=O)CHであり、およびXが塩素であることを特徴とする、請求項5に記載の一般式(V)の化合物。

【公表番号】特表2012−533580(P2012−533580A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520930(P2012−520930)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004285
【国際公開番号】WO2011/009551
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(507203353)バイエル・クロップサイエンス・アーゲー (172)
【氏名又は名称原語表記】BAYER CROPSCIENCE AG
【Fターム(参考)】