説明

アルキレンビスイミダゾリジン及びその誘導体の製造方法

【課題】アルキレンビスイミダゾリジン及びその誘導体の新規な製造方法を提供すること。
【解決手段】2−(ニトロイミノ)イミダゾリジンとジハロゲン類とを反応させることによる一般化学式(3)で表わされるアルキレンイミダゾリジンの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルキレンビスイミダゾリジン及びその誘導体の製造方法に関する。より詳しくは、アルキレンビスイミダゾリジンの新規製造方法及び、アルキレンビスイミダゾリジンを原料とするアルキレンビス[1-(置換又は非置換ピリジルメチル)]-2-ニトロイミノイミダゾリジルの新規製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルキレンビス[1-(置換または非置換ピリジルメチル)]-2-ニトロイミノイミダゾリジルが、農業害虫や衛生害虫の殺虫剤等として有用であることが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1は、アルキレンビス[1-(置換または非置換ピリジンメチル)]-2-ニトロイミノイミダゾリジルの製造方法として、イミダクロプリドとジハロゲン類との反応を用いる技術等を開示している(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特許第3864216号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、アルキレンビスイミダゾリジン及びその誘導体の新規な製造方法を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、2-(ニトロイミノ)イミダゾリジンとジハロアルキレン類とからアルキレンビスイミダゾリジンを中間体として得て、このアルキレンビスイミダゾリジンにピリジルメチルハライド類を反応させることにより、両イミダゾリジン環の窒素原子がピリジルメチル基で置換されたアルキレンビスイミダゾリジン及びその誘導体を効率よく製造できることを見出した。
本発明は、まず、化学式(1)で表される2-(ニトロイミノ)イミダゾリジンと、一般化学式(2)で表されるジハロゲン類とを反応させる、一般化学式(3)で表されるアルキレンビスイミダゾリジンの製造方法を提供する。
【化6】


【化7】


【化8】


続いて、本発明は、前記化学式(3)で表されるアルキレンビスイミダゾリジンと、一般化学式(4)で表されるピリジルメチルハライド類とを反応させる、一般化学式(5)で表されるアルキレンビス[1-(置換または非置換ピリジルメチル)]-2-ニトロイミノイミダゾリジルの製造方法を提供する。
【化9】


【化10】

【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明に係る製造方法について詳細に説明する。なお、以下に説明する製造方法は、本発明に係る代表的な製造方法の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0008】
本発明に係るアルキレンビス[1-(置換又は非置換ピリジルメチル)]-2-ニトロイミノイミダゾリジルは、以下に示す工程を経て製造される。なお、図1は、本発明に係る製造方法の一例を説明するための概念図である。
【0009】
第一工程
化学式(1)で表される2-(ニトロイミノ)イミダゾリジンと、一般化学式(2)で表されるジハロアルキレン類とを、塩基の存在下で反応させる工程である(図1の符号(I)参照)。
【0010】
この第一工程において、化学式(1)で表される2-(ニトロイミノ)イミダゾリジン2倍モルと、一般化学式(2)で表されるジハロアルキレン類1倍モルとが反応することで一般化学式(3)で表されるアルキレンビスイミダゾリジンを1倍モル量生成することができる。
【0011】
本発明の第一工程において、2-(ニトロイミノ)イミダゾリジンの添加量は、好適にはジハロアルキレン類1倍モルに対して2.0〜4.0倍モルであることが望ましい。前記2-(ニ
トロイミノ)イミダゾリジンの添加量が、ジハロアルキレン類1.0倍モルに対して2.0倍モル未満である場合には、アルキレンビスイミダゾリジンの収率が低下してしまう。そして、前記2-(ニトロイミノ)イミダゾリジンの添加量が、ジハロアルキレン類1.0倍モルに対して4.0倍モルよりも多い場合には、反応に寄与しない2-(ニトロイミノ)イミダゾリジンが多量に反応系に存在してしまう。
【0012】
本発明の第一工程に用いる塩基については、その種類については特に限定されないが、好適には、水素化ナトリウム(NaH)等のアルカリ金属水素化物、炭酸カリウム(K2CO3)や炭酸ナトリウム(Na2CO3)等の炭酸塩、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)等のアルカリ金属水酸化物、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の第3級アミン類等を用いることができる。好ましくは炭酸塩を用いる。
【0013】
また、本発明の第一工程では溶媒を用いることが望ましく、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルホキシド類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類、ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類、エタノール、プロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、水等の溶媒を1種類又は2種類以上組み合わせて用いることができる。好ましくはアミド類を用いる。
【0014】
また、反応混合物に、例えば、テトラブチルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩、クラウンエーテルとその類似物等の相関移動触媒を添加してこれらの反応を行うこともできる。
【0015】
また、本発明の第一工程の反応温度は、好適には0〜200℃であることが望ましい。反応温度が0℃未満の場合には反応速度が遅くなり、200℃より高温の場合には反応速度が速くなりすぎ、副反応が進行しやすくなるため好ましくない。また、第一工程の反応は、減圧下、常圧下若しくは加圧下のいずれでも行えるが、常圧下にて行うことが好ましい。そして、第一工程の反応時間は、温度条件や圧力条件等を考慮して適宜好適な反応時間とすることができるが、好適には30分〜24時間の範囲で行うことが望ましい。
【0016】
第二工程
式(3)で表されるアルキレンビスイミダゾリジンと、式(4)で表されるピリジルメチルハライドとを、塩基の存在下で反応させる工程である(図1の符号(II)参照)。
【0017】
この第二工程において、式(3)で表されるアルキレンビスイミダゾリシン1倍モルと、式(4)で表されるピリジルメチルハライド2倍モルとが反応することで、式(5)で表されるアルキレンビス[1-(置換または非置換ピリジルメチル)]-2-ニトロイミノイミダゾリジルを1倍モル量生成することができる。
【0018】
本発明の第二工程において、ピリジルメチルハライドの添加量は、アルキレンビスイミダゾリジン1倍モルに対して2.0〜4.0倍モルであることが望ましい。前記ピリジルメチルハライドの添加量が、アルキレンビスイミダゾリジン1.0倍モルに対して2.0倍モル未満である場合には、ピリジルメチル化物の収率が低下してしまう。そして、前記ピリジルメチルハライドの添加量が、アルキレンビスイミダゾリジン1.0倍モルに対して4.0倍モルよりも多い場合には、反応に寄与しないピリジルメチルハライドが多量に反応系に存在してしまう。
【0019】
本発明の第二工程に用いる塩基については、その種類については特に限定されず、第一工程で使用可能な塩基を使用することもでき、好適には、水素化ナトリウム等のアルカリ金属水素化物、炭酸カリウムや炭酸ナトリウム等の炭酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の第3級アミン類等を用いることができる。好ましくは、アルカリ金属水酸化物を用いる。
【0020】
また、本発明の第二工程では溶媒を用いることが望ましく、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルホキシド類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類、ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類、エタノール、プロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、水等の溶媒を1種類又は2種類以上組み合わせて用いることができる。好ましくは、アミド類を用いる。
【0021】
また、反応混合物に、例えば、テトラブチルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩、クラウンエーテルとその類似物等の相関移動触媒を添加してこれらの反応を行うこともできる。
【0022】
また、本発明の第二工程の反応温度は、好適には0〜200℃であることが望ましい。反応温度が0℃未満の場合には反応速度が遅くなり、200℃より高温の場合には反応速度が速くなりすぎ、副反応が進行しやすくなるため好ましくない。また、第二工程の反応は、減圧下、常圧下若しくは加圧下のいずれでも行えるが、常圧下にて行うことが好ましい。そして、第二工程の反応時間は、温度条件や圧力条件等を考慮して適宜好適な反応時間とすることができるが、好適には30分〜24時間の範囲で行うことが望ましい。
【0023】
さらに、本発明の第一工程と第二工程は、その間に中間体であるアルキレンビスイミダゾリジン(3)の単離工程を経ることなく、連続して行うこともできる。この場合、第一工程終了後に、第二工程に用いるピリジルメチルハライド(4)及び塩基を一定量添加し、所定の反応温度とすることにより、引き続き第二工程の反応を行うことができる。
【0024】
本発明に係る製造方法を用いることにより、比較的汎用性の高い物質を原料として用いて、アルキレンビス[1-(置換または非置換ピリジルメチル)]-2-ニトロイミノイミダゾリジルを製造することができる。
【0025】
また、本発明に係る製造方法は、最終工程で1位のピリジルメチル置換基を導入するため、原料物質を変更することなく、単一の中間体から種々の置換又は非置換ピリジルメチル基を有するアルキレンビス[1-(置換または非置換ピリジルメチル)]-2-ニトロイミノイミダゾリジルを合成することができる。
【0026】
本発明に係る製造方法で得られたアルキレンビス[1-(置換又は非置換ピリジルメチル)]-2-ニトロイミノイミダゾリジルは、農業害虫又は衛生害虫に対する殺虫活性、殺ダニ活性、鎮痛作用、神経活性化作用等を有する。このため、これらの化合物を有効成分とする農業害虫、衛生害虫又はシロアリ等家屋害虫用の殺虫剤、殺ダニ剤、動物薬、鎮痛剤、神経活性化剤等として使用することができる。農業害虫又は衛生害虫用の殺虫剤の場合、その使用形態としては水和剤、乳剤、油剤、噴霧剤、粉剤、粉粒剤、錠剤、カプセル剤等が挙げられる。
【実施例】
【0027】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0028】
<測定機器>
核磁気共鳴スペクトル(NMR)測定は、フーリエ変換核磁気共鳴装置(500MHz)を用い
、プロトンNMRは(CH3)4Siを、カーボンNMRはCDCl3を基準物質に用いた。化学シフトデル
タδはppmで表した。結合定数Jはヘルツ(Hz)で表記した。なお、d, t, q, mの表記は、それぞれ、d(2重項)、t(3重項)、q(4重項)、m(多重項)を表す。
赤外吸収スペクトル(IR)測定は、顕微フーリエ変換赤外分光計(FT-IR)を用い、個
体物質はKBrディスクとして、液状物質はNaCl盤に塗りつけて測定した。波長単位は波数
(cm-1)である。
【0029】
<実施例1>
1,6-ビス(2-ニトロイミノイミダゾリジン-3-イル)ヘキサンの合成
1,6-ジブロモヘキサン(610 mg, 2.5 mmol)と、2-ニトロイミノイミダゾリジン(850 mg, 6.5 mmol)を20 mLのジメチルホルムアミドに溶解させ、これに炭酸カリウム(1.0 g, 7.2 mmol)を加えて、70℃、常圧で12時間攪拌した。その後、ジメチルホルムアミドを減圧留去し、得られた残渣に水を加えることで結晶化させた。得られた結晶を濾取し、濾紙上で水洗してから乾燥させ、メタノールから再結晶させた。
収率:730 mg (83 %),融点:220 - 222℃、
1H NMR (DMSO-d6, δ, ppm): 1.28 (4H, m), 1.50 (4H, m), 3.22 (4H, t, J=7.3), 3.52 - 3.64 (8H, m), 8.76 (2H, s);
13C NMR (DMSO-d6, δ, ppm): 26.3, 26.9, 42.1, 44.5, 45.7, 161.0;
IR (KBr, ν, cm-1): 3385, 1565, 1290, 1225.
【0030】
<実施例2>
1,4-ビス(2-ニトロイミノイミダゾリジン-3-イル)ブタンの合成
1,4-ジブロモブタン(200 mg, 0.9 mmol)と、2-ニトロイミノイミダゾリジン(340 mg, 2.6 mmol)を20 mLのジメチルホルムアミドに溶解させ、これに炭酸カリウム(320 mg, 2.3 mmol)を加えて、70℃、常圧で6時間攪拌した。その後、ジメチルホルムアミドを減圧留去し、得られた残渣に水を加えることで結晶化させた。得られた結晶を濾取し、濾紙上で水洗してから乾燥させ、メタノールから再結晶させた。
収率:230 mg (78 %),融点:240 - 242℃
1H NMR (DMSO-d6, δ, ppm): 1.48 (4H, m), 3.35 (4H, t, J=7.4), 3.53 - 3.61 (8H,
m), 8.78 (2H, s);
13C NMR (DMSO-d6, δ, ppm): 23.6, 27.0, 41.5, 44.4, 45.0, 161.3;
IR (KBr, ν, cm-1): 3440, 1560, 1270, 1215.
【0031】
<実施例3>
1,5-ビス(2-ニトリイミノイミダゾリジン-3-イル)ペンタンの合成
1,5-ジヨードペンタン(300 mg, 1.0 mmol)と、2-ニトロイミノイミダゾリジン(300 mg, 2.3 mmol)を20 mLのジメチルホルムアミドに溶解させ、これに炭酸カリウム(400 mg, 2.9 mmol)を加えて、70℃、常圧で18時間攪拌した。その後、ジメチルホルムア
ミドを減圧留去し、得られた残渣に水を加えることで結晶化させた。得られた結晶を濾取し、濾紙上で水洗してから乾燥させ、メタノールから再結晶させた。
収率:250 mg (79 %),融点:130-131℃、
1H NMR (DMSO-d6, δ, ppm): 1.25(2H, m), 1.53 (4H, m), 3.22 (4H, t, J=7.4), 3.53 - 3.63 (8H, m), 8.75 (2H, s);
13C NMR (DMSO-d6, δ, ppm): 23.7, 27.0, 42.1, 44.4, 45.7, 161.0;
IR (KBr, ν, cm-1): 3395, 1560, 1295, 1225.
【0032】
<実施例4>
1,7-ビス(2-ニトロイミノイミダゾリジン-3-イル)ヘプタンの合成
1,7-ジブロモヘプタン(256 mg, 1.0 mmol)と、2-ニトロイミノイミダゾリジン(340
mg, 2.6 mmol)を20 mLのジメチルホルムアミドに溶解させ、これに炭酸カリウム(400
mg, 2.9 mmol)を加えて、70℃、常圧で20時間攪拌した。その後、ジメチルホルムアミドを減圧留去し、得られた残渣に水を加えることで結晶化させた。得られた結晶を濾取し、濾紙上で水洗してから乾燥させ、メタノールから再結晶させた。
収率:285 mg (80%),融点:125 - 126℃、
1H NMR (DMSO-d6, δ, ppm): 1.25 - 1.27(6H, m), 1.48 - 1.50 (4H, m), 3.21 (4H, t, J=7.3), 3.36 - 3.65 (8H, m), 8.76 (2H, s);
13C NMR (DMSO-d6, δ, ppm): 26.6, 27.1, 28.9, 42.1, 44.6, 45.7, 161.0;
IR (KBr, ν, cm-1): 3430, 1565, 1445, 1290, 1225.
【0033】
<実施例5>
1,8-ビス(2-ニトロイミノイミダゾリジン-3-イル)オクタンの合成
1,8-ジヨードオクタン (386 mg, 1.0 mmol)と、2-ニトロイミノイミダゾリジン(340 mg, 2.6 mmol)を20 mLのジメチルホルムアミドに溶解させ、これに炭酸カリウム(400 mg, 2.9 mmol)を加えて、70℃、常圧で20時間攪拌した。その後、ジメチルホルムアミドを減圧留去し、得られた残渣に水を加えることで結晶化させた。得られた結晶を濾取し、濾紙上で水洗してから乾燥させ、メタノールから再結晶させた。
収率:300 mg (81 %),融点:160 - 163℃、
1H NMR (DMSO-d6, δ, ppm): 1.27 (4H, m), 1.49 (4H, m), 3.22 (4H, t, J=7.5), 3.54-3.56 (4H, m), 3.60-3.63 (4H, m), 8.71 (2H, s);
13C NMR (DMSO-d6, δ, ppm): 26.5, 27.0, 29.1, 40.3, 40.6, 45.6, 161.0;
IR (KBr, ν, cm-1): 3430, 1560, 1290, 1225.
【0034】
<実施例6>
1,6-ビス[1-(6-クロロ-3-ピリジルメチル)-2-ニトロイミノイミダゾリジン-3-イル]ヘキサンの合成
氷冷下、水素化ナトリウム(オイルジスパージョン, 0.12 g, 3.0 mmol)のジメチルホルムアミド懸濁液に、1,6-ビス(2-ニトロイミノイミダゾリジン-3-イル)ヘキサン(513 mg,1.5 mmol)を少しずつ加えた。氷冷を除き、混合物を1時間室温で攪拌した後、再び氷冷し、6-クロロ-3-ピリジルメチルクロリド(483 mg, 3.0 mmol)を30分かけて、少しずつ加えた。混合物を室温で8時間攪拌した後、ジメチルホルムアミドを減圧留去し、残渣を水とクロロホルム混合溶媒で分配した。クロロホルム層を分離し、塩化カルシウム上で乾燥した。シリカゲル上でカラムクロマトグラフを行った。粗生成物をメタノールから再結晶した。
収率:760 mg (85 %), 融点:139 - 141℃、
1H NMR (CDCl3, δ, ppm) :1.34 (4H, m), 1.62 (4H, m), 3.33 (4H, t, J=7.0 ), 3.63 (4H, m), 3.77 (4H, m), 4.47 (4H, s), 7.35 (2H, d, J=8.0 ), 7.72 (2H, dd, J=8.0/1.8), 8.33 (2H, d, J=1.8);
13C NMR (CDCl3, δ, ppm): 25.3, 26.1, 45.1, 45.5, 46.3, 47.3, 124.8, 129.0, 139.2, 149.4, 151.8, 161.3.
IR (KBr, ν, cm-1): 1565, 1410, 1290, 1260.
【0035】
<実施例7>
1,4-ビス[1-(6-クロロ-3-ピリジルメチル)-2-ニトロイミノイミダゾリジン-3-イル]ブタンの合成
氷冷下、水素化ナトリウム(60%オイルジスパージョン、0.12 g, 3.0 mmol)ジメチルホルムアミド(20 mL)の懸濁液に、1,4-ビス(2-ニトロイミノイミダゾリジン-3-イル)ブタン(471 mg, 1.5 mmol)を少しずつ滴下した。氷浴を除き、混合物を室温・常圧で1時間攪拌した後、再び氷冷下で6-クロロ-3-ピリジルメチルクロリド(483 mg, 3.0 mmol)を30分かけて少量ずつ滴下した。この混合物を室温・常圧で8時間攪拌した後、ジメチルホルムアミドを減圧留去し、残渣を水とクロロホルム混合溶媒で分配した。このクロロホルム層を取り出し、塩化カルシウムにより脱水した後、クロロホルムを減圧留去して半固体の残渣を得た。この残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(酢酸エチル:エタノール=15:1)によって粗生成物を得た。この粗生成物をメタノールによって再結晶させた。
収率:695 mg(82%)、融点:186 - 188℃、
1H NMR (CDCl3, δ, ppm): 1.51 (4H, m), 3.21 (4H, m), 3.66 (4H, m), 3.73 (4H, m), 4.44 (4H, s), 7.54 (2H, d, J= 7.7), 7.78 (2H, dd, J=7.7/2.8), 8.35 (2H, d, J=2.8);
13C NMR (CDCl3, δ, ppm): 25.6, 45.6, 45.7, 45.8, 46.7, 124.8, 131.1, 140.0, 149.8, 151.8, 161.3.
IR (KBr, ν, cm-1): 1540, 1390, 1360, 1260.
【0036】
<実施例8>
1,5-ビス[1-(6-クロロ-3-ピリジルメチル)-2-ニトロイミノイミダゾリジン-3-イル]ペンタンの合成
氷冷下、水素化ナトリウム(60%オイルジスパージョン、0.12 g, 3.0 mmol)ジメチルホルムアミド(20 mL)の懸濁液に、1,5-ビス(2-ニトロイミノイミダゾリジン-3-イル)ペンタン(492mg, 1.5 mmol)を少しずつ滴下した。氷浴を除き、混合物を室温・常圧で1時間攪拌した後、再び氷冷下で6-クロロ-3-ピリジルメチルクロリド(483 mg, 3 .0mmol)を30分かけて少量ずつ滴下した。この混合物を室温・常圧で8時間攪拌した後、ジメチルホルムアミドを減圧留去し、残渣を水とクロロホルム混合溶媒で分配した。このクロロホルム層を取り出し、塩化カルシウムにより脱水した後、クロロホルムを減圧留去して半固体の残渣を得た。この残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(酢酸エチル:エタノール=15:1)によって粗生成物を得た。この粗生成物をメタノールによって再結晶させた。
収率:738mg(85%)、融点:140 - 142℃、
1H NMR (CDCl3, δ, ppm): 1.36 (2H, m), 1.66 (4H, m), 3.35 (4H, t, J=7.0), 3.66 (4H, m), 3.80 (4H, m), 4.48 (4H, s), 7.36 (2H, d, J= 8.6), 7.71 (2H, dd, J=8.6/1.8), 8.34 (2H, d, J=1.8);
13C NMR (CDCl3, δ, ppm): 22.7, 25.7, 45.2, 45.6, 46.1, 47.4, 124.8, 129.0, 139.1, 149.3, 149.9, 161.3.
IR (KBr, ν, cm-1): 1550, 1410, 1260.
【0037】
<実施例9>
1,7-ビス[1-(6-クロロ-3-ピリジルメチル)-2-ニトロイミノイミダゾリジン-3-イル]ヘプタンの合成
氷冷下、水素化ナトリウム(60%オイルジスパージョン、0.12 g, 3 .0mmol)ジメチルホルムアミド(20 mL)の懸濁液に、1,7-ビス(2-ニトロイミノイミダゾリジン-3-イル)ヘプタン(535mg, 1.5 mmol)を少しずつ滴下した。氷浴を除き、混合物を室温・常圧で1時間攪拌した後、再び氷冷下で6-クロロ-3-ピリジルメチルクロリド(483 mg, 3.0mmol)を30分かけて少量ずつ滴下した。この混合物を室温・常圧で8時間攪拌した後、ジメチルホルムアミドを減圧留去し、残渣を水とクロロホルム混合溶媒で分配した。このクロロホルム層を取り出し、塩化カルシウムにより脱水した後、クロロホルムを減圧留去して半固体の残渣を得た。この残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(酢酸エチル:エタノール=15:1)によって精製し、粘性物質として得た。
収率:729mg(80%)
1H NMR (CDCl3, δ, ppm): 1.32 (2H, m), 1.61 (4H, m), 3.32 (4H, t, J=7.0), 3.66
(4H, m), 3.79 (4H, m), 4.47 (4H, s), 7.35 (2H, d, J= 8.4), 7.71 (2H, dd, J=8.46/2.6), 8.33 (2H, d, J=2.6);
13C NMR (CDCl3, δ, ppm): 25.8, 26.1, 27.9, 45.1, 45.4, 46.4, 47.3, 124.7, 129.1, 139.1, 149.4, 151.8, 161.2.
IR (neat, ν, cm-1): 1560, 1400, 1250.
【0038】
<実施例10>
1,8-ビス[1-(6-クロロ-3-ピリジルメチル)-2-ニトロイミノイミダゾリジン-3-イル]オクタンの合成
氷冷下、水素化ナトリウム(60%オイルジスパージョン、0.12 g, 3.0 mmol)ジメチルホルムアミド(20 mL)の懸濁液に、1,8-ビス(2-ニトロイミノイミダゾリジン-3-イル)オクタン(556mg, 1.5 mmol)を少しずつ滴下した。氷浴を除き、混合物を室温・常圧で1時間攪拌した後、再び氷冷下で6-クロロ-3-ピリジルメチルクロリド(483 mg, 3 .0mmol)を30分かけて少量ずつ滴下した。この混合物を室温・常圧で8時間攪拌した後、ジメチルホルムアミドを減圧留去し、残渣を水とクロロホルム混合溶媒で分配した。このクロロホルム層を取り出し、塩化カルシウムにより脱水した後、クロロホルムを減圧留去して半固体の残渣を得た。この残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(酢酸エチル:エタノール=15:1)によって精製し、粘性物質として得た。
収率:755mg(81%)、
1H NMR (CDCl3, δ, ppm): 1.32 (2H, m), 1.61 (4H, m), 3.32 (4H, t, J=7.0), 3.66
(4H, m), 3.79 (4H, m), 4.47 (4H, s), 7.35 (2H, d, J= 8.4), 7.71 (2H, dd, J=8.46/2.6), 8.33 (2H, d, J=2.6);
13C NMR (CDCl3, δ, ppm): 25.9, 26.4, 28.4, 45.0, 45.5, 45.6, 47.4, 124.9, 129.1, 139.2, 149.4, 151.8, 161.2.
IR (neat, ν, cm-1): 1550, 1400, 1270.
【0039】
<実施例11>
1,4-ビス[1-(6-クロロ-3-ピリジルメチル)-2-ニトロイミノイミダゾリジン-3-イル]-
(2E)-ブテンの合成
1,4-ジブロモ-2-(E)-ブテン(428 mg, 2.0 mmol)と2-ニトロイミダゾリジン(680 mg, 5.2 mmol)を30 mlのアセトンに溶かし、これに炭酸カリウム(800 mg, 5.8 mmol)をくわえて、19時間加熱還流した。アセトンを減圧にて留去し、得られた残渣に水を加えることで結晶化させた。結晶を濾取し、濾紙上で水洗し、乾燥させ、メタノールから再結晶し、1,4-ビス[2-ニトロイミノイミダゾリジン-3-イル]-(2E)-ブテンを結晶として、500mg 得た。(収率:80%)
氷冷下、水素化ナトリウム (60% オイルジスパージョン, 0.12 g, 3.0 mmol) のDMF(20 ml)の懸濁液に、1,4-ビス[2-ニトロイミノイミダゾリジン-3-イル]-(2E)-ブテン (468mg, 1.5 mmol) を少しずつ加えた。氷浴を除き、混合物を1時間室温で攪拌した後、再び氷冷し、6-クロロ-3-ピリジルメチルクロリド (483 mg, 3.0 mmol) を30分かけて、少しずつ加えた。混合物を室温で8時間攪拌した後、DMF を減圧で留去し、残渣を水とクロロホルム混合溶媒で分配した。クロロホルム層を分離し、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下、クロロホルムを留去して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフ(酢酸エチル:エタノール=15:1)によって精製した。粗生成物をメタノールから再結晶させた。
収率:693 mg (82%)、融点: 199-202 oC、
1H NMR (DMSO-d6, δ, ppm): 3.62-3.75 (4H, m), 3.83 (4H, d, J=3.6), 4.75 (4H, s), 5.71 (2H, t, J=3.6), 7.50 (2H, d, J= 8.4), 7.78 (2H, dd, J=8.4/2.2), 8.36 (2H, d, J=2.2)
13C NMR (DMSO-d6, δ, ppm): 43.3, 43.7, 44.4, 45.7, 122.4, 125.7, 128.5, 137.5, 147.5, 147.6, 158.5.
【0040】
<実施例12>
ビス[3-[1-(6-クロロ-3-ピリジルメチル)-2-ニトロイミノイミダゾリジン-3-イル]プロピル]エーテル
ビスパラトルエンスルホン酸 4-オキサ-1, 7-ヘプタジイル (886 mg, 2.0 mmol)と2-ニトロイミダゾリジン(680 mg, 5.2 mmol)を30 mlのアセトンに溶かし、これに炭酸カリウム(800 mg, 5.8 mmol)を加えて、19時間加熱還流した。アセトンを減圧にて留去し、残渣に水を加えて結晶化させた。結晶を濾取し、濾紙上で水洗し、乾燥させ、メタノールから再結晶し、ビス[3-(2-ニトロイミノイミダゾリジン-3-イル)プロピル]エーテルを結晶として、537 mg 得た。(収率:75%)
氷冷下、水素化ナトリウム (60% オイルジスパージョン, 0.12 g, 3 mmol) のDMF(20 ml)の懸濁液に、ビス[3-(2-ニトロイミノイミダゾリジン-3-イル)プロピル]エーテル (537 mg, 1.5 mmol) を少しずつ加えた。氷浴を除き、混合物を1時間室温で攪拌した後、再び氷冷し、6-クロロ-3-ピリジルメチルクロリド (483 mg, 3 mmol) を30分かけて、少しずつ加えた。混合物を室温で8時間攪拌した後、DMF を減圧で留去し、残渣を水とクロロホルム混合溶媒で分配した。クロロホルム層を分離し、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下、クロロホルムを留去して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフ(酢酸エチル:エタノール=15:1)によって精製した。粗生成物をメタノールから再結晶させた。
収率:776 mg (85%), 融点: 128-131 oC
1H NMR (DMSO-d6, δ, ppm): 1.75 (4H, tt, J=6.6/5.8), 3.27 (4H, t, J=6.6), 3.57 (4H, d, J=5.8), 3.65-3.77 (4H, m), 4.44 (4H, s), 7.55 (2H, d, J= 8.0), 7.79 (2H, d, J=8.0), 8.36 (bs)
13C NMR (DMSO-d6, δ, ppm): 26.6, 43.6, 45.5, 45.6, 46.5, 67.5, 124.5, 130.8, 140.0, 149.6, 149.9, 160.9.
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、様々な種類のピリジルメチル基を有するアルキレンビス[1-(置換又は非置換ピリジルメチル)]-2-ニトロイミノイミダゾリジルを製造する場合において、単一の中間体からアルキレンビス[1-(置換又は非置換ピリジルメチル)]-2-ニトロイミノイミダゾリジルを製造する技術として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る製造方法の一例を説明するための概念図である。
【符号の説明】
【0043】
(I) 第一工程
(II) 第二工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式(1)で表される2−(ニトロイミノ)イミダゾリジンと、一般化学式(2)で表されるジハロゲン類とを反応させることによる一般化学式(3)で表されるアルキレンビスイミダゾリジンの製造方法。
【化1】



【化2】


【化3】


【請求項2】
前記化学式(3)で表されるアルキレンビスイミダゾリジンと、一般化学式(4)で表されるピリジルメチルハライド類とを反応させることによる一般化学式(5)で表されるアルキレンビス[1−(置換または非置換ピリジルメチル)]−2−ニトロイミノイミダゾリジルの製造方法。
【化4】

【化5】


【図1】
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【公開番号】特開2008−291021(P2008−291021A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−115187(P2008−115187)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(000001100)株式会社クレハ (477)