説明

アルコキシシラン架橋されたポリマーにおける、弾性回復率の改善

本発明の対象は、A)一般式(1)−A−(CH2)m−SiR1a(OR23-a[式中、Aは−O−、−S−、−(R3)N−、−O−CO−N(R3)−、−N(R3)−CO−O−、−N(R3)−CO−NH−、−NH−CO−N(R3)−、−N(R3)−CO−N(R)3−から選択される二価の結合基を、R1は、1〜10の炭素原子を有する、場合によってはハロゲン置換されたアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、またはアリール基を、R2は1〜6の炭素原子を有するアルキル基、または全部で2〜10の炭素原子を有するω−オキサアルキルのアルキル基を、R3は水素、場合によってはハロゲン置換された環状の、直鎖状の、または分枝状のC1〜C18のアルキル基、またはアルケニル基、またはC6〜C18のアリール基を、aは0〜2の整数を、かつmは1〜6の整数を意味する]の少なくとも1の末端基を有するアルコキシシラン末端のポリマー(A)に、B)アミノアルキルアルコキシシラン(B)と、C)エポキシアルキルアルコキシシラン(C)を添加する、架橋されたポリマー混合物(P)の弾性回復率を改善するための方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコキシシラン末端のポリマーの架橋された混合物の弾性回復率を改善するための方法に関する。
【0002】
反応性アルコキシシリル基を有するポリマー系は以前より公知である。空気中の水分の存在下、これらのアルコキシシラン末端のポリマーはすでに常温でアルコキシ基を分離しながら相互に縮合することができる。この際アルコキシシラン基の含有率、およびそれらの構造によって、主に長鎖のポリマー(熱可塑性樹脂)、比較的広い網目の三次元網状構造(エラストマー)、または高度に架橋された系(熱硬化性樹脂)も形成される。
【0003】
この際重要になるのは、有機主鎖を有するアルコキシシラン末端のポリマー、とりわけEP−A−269819、EP−A−931800、WO00/37533、US3,971,751、およびDE19849817に記載されているように例えばポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテルなどであり得、またとりわけWO96/34030、およびUS5,254,657に記載されているように、ポリマーの主鎖が完全にまたは少なくとも部分的にオルガノシロキサンから成るポリマーでもあり得る。
【0004】
このようなシラン末端のポリマー系の形成のための無数の可能性に相応して、架橋されていないポリマーの、もしくはポリマー含有混合物の特性(粘度、融点、溶解性など)、およびまた完全に架橋された材料の特性(硬度、弾性、引っ張り強さ、破断点伸び、耐熱性など)も、ほぼ恣意的に調整することができる。従って、このようなシラン末端のポリマー系の使用可能性もまた、相応して多様である。そこでそれらのポリマー系は、例えばエラストマーの製造、封止剤の製造、接着剤の製造、弾性接着系の製造、硬質フォームおよび軟質フォームの製造、非常に様々な被覆系の製造のため、または注型材料のために使用することができる。これらの製品は、塗付、スプレー、注型、プレス、コテ塗りなど、調製物の組成に従ってあらゆる形態で適用することができる。
【0005】
材料の硬化、および加硫物の機械的特性の他に、接着剤の分野、および封止剤の分野における適用の際にはとりわけ、非常に様々な支持体上への良好な接着、および良好な弾性特性が要求されている。シラン架橋されたポリマーの調製物はこの際、通常非常に良好な特性を示す。
【0006】
接着プロフィールは、有機官能性の接着促進剤の添加によって多様に改善されるか、もしくは最適化される。このようなシランの適用は、従来技術、および様々な論文、または出版物に記載されている。その他、EP997469A、またはEP1216263Aに記載されているようなさらに特殊な、新規に開発された接着促進剤のシラン、またEP1179571Aに示されているようなシランの組合せも、しばしば目的達成につながる。
【0007】
良好な接着性の他に、接着剤、とりわけ封止剤は非常に良好な弾性を有する必要がある。この際、伸びだけではなく、伸び後または圧縮後の緩和もまた重要である。これは通常、圧縮永久歪、クリープ特性、または回復特性として測定される。例えばISO11600では、60%超、またはさらに70%超の回復率が弾性封止剤に要求される。
【0008】
この弾性特性は、組成によって、またシラン架橋するベースポリマーの種類によっても、多様に決定される。シランにより硬化するシリコーン封止剤は、この際たいてい際立った回復特性を示す。他のシラン架橋するポリマーにおいては、二官能性の末端基しかポリマーになければ特に、しばしば不充分な回復を示す。この場合、その組成は特性に対して決定的な影響をもたらす。例えばUS6576733は、特殊な触媒系により回復率を改善するための可能性を記述している。さらに、分枝状のポリマーの使用が網状構造の密度の向上、ひいては弾性の改善をもたらすことは公知である。
【0009】
本発明の対象は、
A)一般式(1)
【化1】

[式中、
Aは−O−、−S−、−(R3)N−、−O−CO−N(R3)−、−N(R3)−CO−O−、−N(R3)−CO−NH−、−NH−CO−N(R3)−、−N(R3)−CO−N(R3)−から選択される二価の結合基を意味し、
1は、1〜10の炭素原子を有する、場合によってはハロゲン置換されたアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、またはアリール基を意味し、
2は1〜6の炭素原子を有するアルキル基、または全部で2〜10の炭素原子を有するω−オキサアルキルのアルキル基を意味し、
3は水素、場合によってはハロゲン置換された環状の、線状の、または分枝状のC1〜C18のアルキル基、またはアルケニル基、またはC6〜C18のアリール基を意味し、
aは0〜2の整数を意味し、かつ
mは1〜6の整数を意味する]
の少なくとも1の末端基を有するアルコキシシラン末端のポリマー(A)に、
B)アミノアルキルアルコキシシラン(B)と、
C)エポキシアルキルアルコキシシラン(C)を添加する、
架橋されたポリマー混合物(P)の弾性回復率を改善するための方法である。
【0010】
アミノシラン(B)との組み合わせでのシラン(C)の添加は、それぞれのシランの単独での使用によっては達成することができない回復能力の明らかな改善をもたらす。弾性回復は、白亜やシリカのような充填材だけでももたらされるが、ほんのわずかでしかない。
【0011】
ポリマー混合物(P)は、一成分でも二成分でも調製することができる。二成分のポリマー混合物(P)においては、シラン(B)と(C)の両方を、好適にはベース成分に添加する。しかしながら特に好ましいのは、一成分で硬化するポリマー混合物である。好適には一成分で硬化するポリマー混合物の製造の際、最初にシラン(C)、その後シラン(B)を添加する。というのも、このことによってポリマー混合物(P)の成分の特に均一な反応が達成されるからである。
【0012】
使用可能なアルコキシシラン末端のポリマー(A)の主鎖は、分枝状であるか、または非分枝状であってよい。これらの平均鎖長は、架橋されていない混合物の、およびまた硬化された材料の、その都度所望の特性に相応して、恣意的に適合することができる。それらの主鎖は様々な構成単位から構成されていることができる。通常これらの主鎖は、ポリシロキサン、ポリシロキサン−ユリア/ウレタンのコポリマー、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアクリラートおよびポリメタクリラート、ポリカルボナート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリビニルエステル、またはポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリブタジエン、エチレン−オレフィンコポリマー、またはスチレン−ブタジエンコポリマーである。もちろん、様々な主鎖を有するポリマーから成る恣意的な混合物または組み合わせもまた、使用することができる。
【0013】
一般式(1)のシラン末端を有するポリマー(A)の製造のために、多数の可能性が公知であり、とりわけ:
・一般式(1)の基を有する不飽和モノマーが関与する共重合。このようなモノマーの例は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルメチルジメトキシシラン、または相応するエトキシシリル化合物でもあるだろう。
・ポリエチレンのような熱可塑性樹脂への、一般式(1)の基を有する不飽和モノマーのグラフト。このようなモノマーの例は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルメチルジメトキシシラン、または相応するエトキシシリル化合物でもあるだろう。
・たいてい白金触媒作用下での、不飽和の、末端位の、または鎖中の二重結合のジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、トリメトキシメチルシラン、またはトリエトキシシランのようなH−シランのヒドロシリル化。
・プレポリマー(A1)と、一般式(2)
【化2】

[式中R1、R2、R3、m、およびaは前述の意味を有し、
Bは酸素原子、窒素原子、または硫黄原子を意味し、
かつ
C−B−は、プレポリマー(A1)の適切な官能基に対して反応性のある1の官能基を意味する]
の1または複数のオルガノシラン(A2)との反応。
【0014】
この際プレポリマー(A1)自体が複数の構成単位(A11、A12・・・)から組成されていれば、引き続きシラン(A2)と完成ポリマー(A)へと反応させるプレポリマー(A1)を、最初にこれらの構成単位(A11、A12・・・)から製造することは必ずしも必要ではない。従ってこの際、1または複数の構成単位(A11、A12・・・)を最初にシラン(A2)と反応させ、かつこの際得られる化合物を引き続き初めて残存する構成単位(A11、A12・・・)と完成ポリマー(A)に反応させるという、反応工程の反転もまた可能である。
【0015】
構成単位A11、A12から成るプレポリマー(A1)の例は、ポリイソシアナート(構成単位A11)、ならびにポリオール(構成単位A12)から製造することができる、OH末端、NH末端、またはNCO末端のポリウレタン、およびポリ尿素である。
【0016】
一般式(1)のシラン末端を有する好ましいポリマー(A)は、シラン末端のポリエーテルおよびポリウレタン、特に好ましくは一般式(4)のオルガノシラン(A2)と、プレポリマー(A1)とから製造されるポリエーテルである。
【0017】
ポリマー(A)の好ましい製造方法において、一般式(3)
【化3】

[式中、
1、R2、R3、およびaは先に記載された意味を有し、かつ
mは1または3と等しい]
のシランから選択するシラン(A2)を好適には使用する。
【0018】
ポリマー(A)の製造の際、すべての反応工程に関与するすべてのイソシアナート基の濃度、およびすべてのイソシアナート反応性の基の濃度、ならびに反応条件を好ましくは、ポリマー合成の過程ですべてのイソシアナート基が反応するように選択する。従って完成ポリマー(A)は、イソシアナートを含まないのが好ましい。
【0019】
ポリマー(A)の製造のためのポリオールとして適しているのは、文献に多く記載されているように、特に芳香族の、および脂肪族のポリエステルポリオール、およびポリエーテルポリオールである。しかしながら基本的には、1またはそれ以上のOH官能基を有する、すべてのポリマーの、オリゴマーの、またはモノマーのアルコールもまた、使用することができる。
【0020】
好適にはR1はフェニル基、または1〜6の炭素原子を有するアルキル基またはアルケニル基、とりわけメチル基、エチル基、またはビニル基を意味する。
【0021】
好適にはR2は1〜3の炭素原子を有するアルキル基、とりわけメチル基、またはエチル基を意味する。
【0022】
好適にはR3は水素、フェニル基、または1〜6の炭素原子を有するアルキル基またはアルケニル基、とりわけメチル基、エチル基、またはn−プロピル基を意味する。
【0023】
mは好適には1または3である。
【0024】
好ましいアミノアルキルアルコキシシラン(B)は、一般式(4)
【化4】

[式中、
7は1〜10の炭素原子を有する、場合によってはハロゲン置換されたアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、またはアリール基を意味し、
8は一価の、場合によってはハロゲン置換された、SiC結合のアミノ基を有するC1〜C30の炭化水素基を意味し、
9は1〜6の炭素原子を有するアルキル基、または全部で2〜10の炭素原子を有するω−オキサアルキルのアルキル基を意味し、
uとvとの合計が3以下であるという条件で、
uは0、1または2、かつ
vは1、2、または3を意味する]
のアミノアルキルアルコキシシランである。
【0025】
基R7の例、およびその好ましい例は、先に基R1において記載されている。
【0026】
基R8の例、およびその好ましい例は、先に基R2において記載されている。
【0027】
好ましくは基R8が一般式(5)
【化5】

[式中、
10は水素原子または一価の、場合によっては置換されたC1〜C10の炭化水素基、またはC1〜C10のアミノ炭化水素基を意味し、かつ
11は二価のC1〜C15の炭化水素基を意味する]
の基である。
【0028】
基R10の例は、基R1に対して記載された炭化水素基の例であり、ならびにアミノ基で置換された炭化水素基、例えばアミノアルキル基であり、その際アミノエチル基が特に好ましい。
【0029】
11の例は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、シクロヘキシレン基、オクタデシレン基、フェニレン基、およびブテニレン基である。好ましくは基R11が、1〜10の炭素原子、特に好ましくは1〜4の炭素原子を有する二価の炭化水素基、とりわけn−プロピレン基である。
【0030】
基R8の例は、アミノプロピル基、アミノエチルアミノプロピル基、エチルアミノプロピル基、ブチルアミノプロピル基、シクロヘキシルアミノプロピル基、フェニルアミノプロピル基、アミノメチル基、アミノエチルアミノメチル基、エチルアミノメチル基、ブチルアミノメチル基、シクロヘキシルアミノメチル基、フェニルアミノメチル基である。
【0031】
好適にはシラン(C)は、一般式(6)
【化6】

[式中、
4はメチル基、エチル基、またはイソ−プロピル基を意味し、
5は場合によってはハロゲン置換されたC1〜C10の炭化水素基を意味し、
6は、エーテルの酸素原子によって中断されていてもよい、場合によってはハロゲン置換された、エポキシ基を有するC2〜C20の炭化水素基を意味し、
9は1〜6の炭素原子を有するアルキル基を意味し、
nは1〜6の整数を意味し、かつ
sは0、1、または2を意味する]
を有する。
【0032】
好適にはnは1または3の数を意味する。好適にはsは1または0の数を意味する。好適にはR5はメチル基、またはフェニル基を意味する。エポキシ基を有するC2〜C20の炭化水素基R6に、エポキシ基の炭素原子は含まれている。好適にはR6は一般式(7)
【化7】

[式中、
eは0、1、または2を意味し、
fは1、2、または3を意味し、かつ
gは0、1、2、または3を意味する]
の基を意味する。
【0033】
基R6の好ましい例は、グリシドキシ基、および(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基である。
【0034】
ポリマー混合物(P)において、アルコキシシラン末端のポリマー(A)の割合は、好適には10〜70質量%、特に好ましくは15〜50質量%、とりわけ20〜40質量%である。アミノアルキルアルコキシシラン(B)の割合は、好適には0.1〜10質量%、特に好ましくは0.1〜5質量%、とりわけ0.2〜3質量%である。シラン(C)の割合は、好適には0.1質量%〜10質量%、特に好ましくは0.5〜5質量%、とりわけ1〜3質量%である。
【0035】
ポリマー混合物(P)は縮合触媒、例えばチタン酸エステル、例えばチタン酸テトラブチル、チタン酸テトラプロピル、チタン酸テトライソプロピル、チタン酸テトラアセチルアセトナートを、
スズ化合物、例えばジラウリン酸ジブチルスズ、マレイン酸ジブチルスズ、二酢酸ジブチルスズ、二オクタン酸ジブチルスズ、ジブチルスズアセチルアセトナート、酸化ジブチルスズ、またはジオクチルスズの相応する化合物を、
アミノアルキルアルコキシシラン(B)と同一であってもよい塩基性触媒、例えばアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシラン、および他の有機アミン、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、1,4−ジアゾビシクロ[2,2,2]オクタン、N,N−ビス−(N,N−ジメチル−2−アミノエチル)−メチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルフェニルアミン、N−エチルモルホリンなどを、
酸性触媒、例えばリン酸、もしくはリン酸エステル、トルエンスルホン酸、無機酸を、
含むことができる。
【0036】
好ましいのは、単独での、またはジブチルスズ化合物との組み合わせでのアミノシランである。
【0037】
縮合触媒を、ポリマー混合物(P)の好ましくは0.01〜10質量%の濃度、特に好ましくは0.1〜2質量%の濃度で使用する。
【0038】
様々な触媒を、純粋な形態でも、また混合物としても使用することができる。
【0039】
ポリマー混合物(P)は充填材を含むことができ、該充填材は例えば、天然で粉末状の白亜の形態での、粉末状でかつ被覆された白亜の形態での、沈降白亜の形態での、被覆された沈降白亜の形態での炭酸カルシウム、粘土鉱物、ベントナイト、カオリン、タルク、二酸化チタン、酸化アルミニウム、アルミニウム三水和物、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、カーボンブラック、沈殿シリカ、または熱分解法シリカである。充填材を好ましくは、ポリマー混合物(P)の10〜70質量%の濃度、特に好ましくは30〜60質量%の濃度で使用する。
【0040】
ポリマー混合物(P)は、水捕捉剤(Wasserfaenger)、およびシラン架橋剤を含むことができ、それらは例えば、ビニルシラン、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、O−メチルカルバマトメチルメチルジメトキシシラン、O−メチルカルバマトメチルトリメトキシシラン、O−エチルカルバマトメチルメチルジエトキシシラン、O−エチルカルバマトメチルトリエトキシシラン、一般的にはアルキルアルコキシシラン、またはさらなる有機官能性のシランである。水補足剤、およびシラン架橋剤を、好ましくはポリマー混合物(P)の0.1〜10質量%の濃度、特に好ましくは0.5〜2質量%の濃度で使用する。
【0041】
ポリマー混合物(P)は可塑剤を含むことができ、該可塑剤は例えば、フタル酸エステル、例えばフタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジウンデシル、アジピン酸エステル、例えばアジピン酸ジオクチル、安息香酸エステル、グリコールエステル、リン酸エステル、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリイソブテン、パラフィン系炭化水素、より高級な分枝状の炭化水素などである。
【0042】
可塑剤を、好ましくはポリマー混合物(P)の最大40質量%の濃度で使用する。
【0043】
ポリマー混合物(P)はチキソトロピー剤を含むことができ、該チキソトロピー剤は例えば、親水性の熱分解法シリカ、被覆された熱分解法シリカ、沈殿シリカ、ポリアミドワックス、水素化されたヒマシ油、ステアリン酸塩、または沈降白亜である。前述した充填材もまた、流動特性の調整のために使用することができる。
【0044】
チキソトロピー剤を、好ましくはポリマー混合物(P)の1〜5質量%の濃度で使用する。
【0045】
ポリマー混合物(P)はさらに、従来のアルコキシ架橋する一成分材料における使用のために公知であるような、光安定剤、例えばいわゆるHALS安定剤、殺真菌剤、難燃剤、顔料などを含むことができる。
【0046】
架橋されていないポリマー混合物(P)の、およびまた硬化された材料の、その都度所望の特性プロフィールの生成のために先に挙げた添加剤を好ましくは使用する。
【0047】
好適にはポリマー混合物(P)の製造の際、最初にポリマー(A)と充填材とから成る混合物を製造し、引き続きシラン(C)を混合し、そしてその後アミノアルキルアルコキシシラン(B)を添加混合する。
【0048】
ポリマー混合物(P)には、接着剤、封止剤、および目地封止剤(Fugendichtstoff)、表面被覆の分野において、ならびに成形材料の、および成形部材の製造において無数の多様な適用が存在する。
【0049】
この際、ポリマー混合物(P)は無数の様々な支持体、例えば無機質の支持体、金属、プラスチック、ガラス、セラミックなどに適している。
【0050】
前述の化学式のすべての前述の記号は、それらの意味をその都度相互に独立して有する。すべての化学式において、ケイ素原子は四価である。
【0051】
以下の実施例において他に記載のない限り、量とパーセントのすべての記載は、質量に関する。
【0052】
実施例
実施例1
メチレンメチルジメトキシシリル末端基(α−ジメトキシ)を有するシラン末端のポリエーテルを用いた調製
Wacker Chemie AGのGENIOSIL(登録商標)STP−E10という名称で手に入る、125gのシラン末端のポリエーテルを、PC−Laborsystem社の、双腕混合機を備える実験室用プラネタリーミキサー内で、約25℃で、75gのフタル酸ジイソデシル(Merck社)、およびGENIOSIL(登録商標)XL10(Wacker Chemie AG)という名称で手に入る、10gのビニルトリメトキシシランと、2分間、200回転/分で混合する。その後、10gの親水性のシリカHDK(登録商標)V15(Wacker Chemie AG)を、該シリカが均一に分散されるまで撹拌混合する。引き続き、252gの白亜BLR3(Omya社)を導入し、そしてその充填材を撹拌下で1分間、600回転/分で砕解させる(aufschliessen)。白亜の混合後、5gのグリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GENIOSIL(登録商標)GF80−Wacker Chemie AG)を1分間、200回転/分で分散させる。最後に5gのアミノプロピルトリメトキシシラン(GENIOSIL(登録商標)GF96−Wacker Chemie AG)を1分間、200回転/分で分散させ、2分間、600回転/分で、および部分真空(約100mbar)で1分間、200回転/分で均質化し、かつ気泡が無くなるように撹拌する。
【0053】
この調製物を310mlのPEカートリッジに充填し、かつ25℃で一日貯蔵する。
【0054】
比較例1bと1cを同様に製造する。その結果は表1に示されている。
【表1】

【0055】
機械的特性の測定
試験体をフライス加工された、深さ2mmのTeflon(登録商標)のプレート上に塗布し、そして23℃で2週間、相対空気湿度50で硬化する。
【0056】
その機械的特性を、DIN53504(引張試験)、およびDIN53505(ショア硬度A)に従って測定する。回復率の測定をISO7389に従って行い、H試験体を、23℃、相対空気湿度50で4週間予備貯蔵する。回復率の測定は、25%伸ばされた試験体を用いて行う。
【0057】
比較例1bと1cは、充填材が大きな影響を与えないことを示す。
【0058】
実施例2
プロピレントリメトキシシリル末端基(γ−トリメトキシ)を有する、シラン末端のポリエーテルを用いた調製
本発明による実施例2a〜cの機械的特性の試験、および本発明によらない実施例2d〜eの調製物の製造と、機械的特性の試験を、実施例1と同様に実施する。ポリマーとしてGENIOSIL(登録商標)STP−E35(Wacker Chemie AG)を使用する。
【0059】
その測定値は表2に記載されている。
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋されたポリマー混合物(P)の弾性回復率を改善するための方法であって、
A)一般式(1)
【化1】

[式中、
Aは−O−、−S−、−(R3)N−、−O−CO−N(R3)−、−N(R3)−CO−O−、−N(R3)−CO−NH−、−NH−CO−N(R3)−、−N(R3)−CO−N(R)3−から選択される二価の結合基を意味し、
1は、1〜10の炭素原子を有する、場合によってはハロゲン置換されたアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、またはアリール基を意味し、
2は1〜6の炭素原子を有するアルキル基、または全部で2〜10の炭素原子を有するω−オキサアルキルのアルキル基を意味し、
3は水素、場合によってはハロゲン置換された環状の、線状の、または分枝状のC1〜C18のアルキル基、またはアルケニル基、またはC6〜C18のアリール基を意味し、
aは0〜2の整数を意味し、かつ
mは1〜6の整数を意味する]
の少なくとも1の末端基を有するアルコキシシラン末端のポリマー(A)に、
B)アミノアルキルアルコキシシラン(B)と、
C)エポキシアルキルアルコキシシラン(C)を添加する、
架橋されたポリマー混合物(P)の弾性回復率を改善するための方法。
【請求項2】
アルコキシシラン末端の前記ポリマー(A)の主鎖が、ポリシロキサン、ポリシロキサン−ユリア/ウレタンのコポリマー、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアクリラートおよびポリメタクリラート、ポリカルボナート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリビニルエステル、またはポリオレフィン、ポリブタジエン、エチレン−オレフィンコポリマー、またはスチレン−ブタジエンコポリマーから選択されるポリマー、および様々な主鎖を有するポリマーから成る混合物および組み合わせから構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリマー(A)が、一般式(3)
【化2】

[式中、R1、R2、R3、およびaは請求項1に記載された意味を有し、かつ
mは1または3と等しい]
のシランと、ポリエステルポリオールとの、またはポリエーテルポリオールとの反応によって得られる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
2が1〜3の炭素原子を有するアルキル基を意味する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
mが1の値を意味する、請求項1から4までのいずれか1項に記載のポリマー混合物(P)。
【請求項6】
1成分で硬化するポリマー混合物(P)を製造する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
最初に前記シラン(C)、その後に前記シラン(B)を添加する、請求項6に記載の方法。

【公表番号】特表2009−537646(P2009−537646A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510437(P2009−510437)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【国際出願番号】PCT/EP2007/054637
【国際公開番号】WO2007/131986
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】