説明

アルコキシル化された2,5−ジヒドロフラン誘導体又はテトラ−1,1,4,4−アルコキシル化されたブタ−2−エン誘導体の製造方法

2位又は5位に又は両方の位置にそれぞれ1つのC1〜C6−アルコキシ残基を有する3位又は4位で置換された2,5−ジヒドロフラン誘導体(DHFアルコキシ誘導体I)又は3位又は4位で置換された1,1,4,4−テトラアルコキシ−ブタ−2−エン誘導体の製造方法において、一般式(I)[式中、残基R1及びR2は相互に独立して水素、C1〜C6−アルキル、C6〜C12−アリール又はC5〜C12−シクロアルキルを表し、又はR1及びR2は、これら残基に結合している二重結合でもって一緒に、C6〜C12−アリール残基又は1個又は複数個の不飽和結合を有するC5〜C12−シクロアルキル残基を形成する]の2−ブテン−1,4−ジオール誘導体からの、又は2位又は5位にC1〜C6−アルコキシ残基を有する3位又は4位で置換された2,5−ジヒドロフラン誘導体とのこの混合物からの、C1〜C6−モノアルキルアルコールの存在下での電気化学的酸化による、2位又は5位に又は両方の位置にそれぞれ1つのC1〜C6−アルコキシ残基を有する3位又は4位で置換された2,5−ジヒドロフラン誘導体(DHFアルコキシ誘導体I)又は3位又は4位で置換された1,1,4,4−テトラアルコキシ−ブタ−2−エン誘導体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、2位又は5位に又は両方の位置にそれぞれ1つのC1〜C6−アルコキシル残基を有する3位又は4位で置換された2,5−ジヒドロフラン誘導体、又は3位又は4位で置換された1,1,4,4−テトラアルコキシ−ブタ−2−エン誘導体(DHFアルコキシ誘導体)の新規の製造方法に関する。
【0002】
ジヒドロフランでは、環中の原子位置の番号付けは、式(V)
【化1】

による通常の命名法規則に従って為される。
【0003】
縮合したジヒドロフランでは、通常の命名法規則によるフラン環に属する原子の原子位置の番号付けは変わって、例えば式(VI)
【化2】

によるイソベンゾフランを例として示される通りである。
【0004】
この文章中では、より良好な明快性の理由から、縮合した環系のための、特にイソベンゾフランの上記した規則に対して、フラン環が縮合して存在する化合物でも、非縮合フラン環において通常である原子位置の番号付けを維持する。この文章中では、ベンゾ縮合したジヒドロフラン環系中の原子位置の呼び方は即ち、式(VII)
【化3】

により行われる。
【0005】
2,5−ジヒドロ−2,5−ジメトキシフランの電気化学的合成はフラン類から出発して既に公知である。
【0006】
DE-A-27 10 420及びDE-A-848 501は、支持塩としての臭化ナトリウム又は臭化アンモニウムの存在下でのフラン類のアノード酸化を記載する。
【0007】
更に、Bull. Chem.Soc. Jpn. 60, 229-240, 1987からは、フラン類からのシアン化物触媒作用されたアノード酸化が公知である。EP-A-078 004は、フラン類と支持塩としてのアルコラート、ハロゲン化物及びスルホナートとのアノード酸化を開示し、その一方でWO 2004/85710は特殊なホウ素ドープされたダイアモンド電極に対するフラン類の直接的アノード酸化を記載する。
【0008】
電気化学的酸化による非置換の2,5−ジヒドロフランのアルコキシル化はEP-A-78004から公知である。置換されたフランは、DE 103 24 192中で電気化学的に酸化される。より高い原料コスト並びに、ジヒドロフラン誘導体の沸点により条件付けられたより高められた冷却の手間は、この方法の不満足な経済性を生じる。
【0009】
従って、経済的であり、かつ所望の生成物を高い収率で、かつ良好な選択率で提供する、アルコキシル化された2,5−ジヒドロフラン又はテトラ−1,1,4,4−テトラアルコキシ−ブタ−2−エン誘導体の電気化学的製造方法を提供することが課題であった。
【0010】
これに応じて、2位又は5位に又は両方の位置にそれぞれ1つのC1〜C6−アルコキシ残基を有する3位又は4位で置換された2,5−ジヒドロフラン誘導体又は3位又は4位で置換された1,1,4,4−テトラアルコキシ−ブタ−2−エン誘導体(DHFアルコキシ誘導体)の、一般式(I)
【化4】

[式中、残基R1及びR2は相互に独立して水素、C1〜C6−アルキル、C6〜C12−アリール、例えばフェニル、又はC5〜C12−シクロアルキルを表し、又はR1及びR2は、これら残基に結合している二重結合でもって一緒に、C6〜C12−アリール残基、例えばフェニル、1個又は複数固のC1〜C6−アルキル、ハロゲン−又はアルコキシ置換されたフェニル、又は1個又は複数個の不飽和結合を有するC5〜C12−シクロアルキル残基を形成する]
の2−ブテン−1,4−ジオール誘導体、
又は
式(I)の2−ブテン−1,4−ジオール誘導体と、2位又は5位にC1〜C6−アルコキシ残基を有する3位又は4位で置換された式(II)の2,5−ジヒドロフラン誘導体との混合物からの、C1〜C6−モノアルキルアルコールの存在下での電気化学的酸化による製造方法が見出された。
【0011】
1〜C6−モノアルキルアルコールとして有利には、メタノール又はイソプロパノールが使用される。
【0012】
特に有利には、本発明による方法は、次の化合物の製造のために使用される:
1〜C6−モノアルキルアルコールの存在下で電気化学的酸化により、一般式(I)の2−ブテン−ジオール誘導体から製造される、一般式(II)
【化5】

[式中、残基R1、R2及びR3は次の意味合いを有する:
1及びR2は相互に独立して水素、C1〜C6−アルキル、C6〜C12−アリール又はC5〜C12−シクロアルキルを表す、
又は、
1及びR2は、これら残基に結合している二重結合でもって一緒に、C6〜C12−アリール残基又は1個又は複数個の不飽和結合を有するC5〜C12−シクロアルキル残基を形成する、R3はC1〜C6−アルキルを表す]
のDHFアルコキシ誘導体、
2. 式(I)の2−ブテン−ジオール誘導体又は一般式(II)のDHFアルコキシ誘導体とのこの混合物からの、一般式(III)
【化6】

[式中、残基R1、R2及びR3は一般式(II)に挙げた意味合いと同様の意味合いを有する]
のDHFアルコキシ誘導体、
又は
3. 式(I)の2−ブテン−ジオール誘導体からの、一般式(IV)
【化7】

[式中、残基R1、R2及びR3は一般式(II)に挙げた意味合いと同様の意味合いを有する]
の3位又は4位で置換された1,1,4,4−テトラアルコキシ−ブタ−2−エン誘導体。
【0013】
特に適するのは、
1a. 一般式(I)(式(I)中、R1及びR2は水素原子を表す)のブテン−1,4−ジオールからの、一般式(IIIa)
【化8】

[式中、R3はC1〜C6−アルキルを表す]
のDHFアルコキシ誘導体の本発明による製造方法である。
【0014】
技術水準の方法において出発物質として使用されるフランと比較して、2−ブテン−1,4−ジオールはコストがかなり安価である。2−ブテン−1,4−ジオールのより高い沸点のために、更に反応の間の冷却の手間は減少し、そしてより高い反応温度が可能になる。この出発物質の実質的な更なる利点は、その顕著に減少した毒性である。有利には、cis−ブテン−1,4−ジオール又は少なくとも20質量%cis−ブテン−1,4−ジオールを含有するジアステレオマー混合物が本発明による方法において使用される。
【0015】
2a.特に適するのは、一般式(IIIb)
【化9】

[式中、残基R4、R5、R6及びR7は水素、C1〜C4−アルキル、C1〜C6−アルコキシ又はハロゲンを表し、かつR3は、一般式(II)に挙げた意味合いを有する]
のDHFアルコキシ誘導体の、
一般式(Ia)
【化10】

[式中、残基R4、R5、R6及びR7は水素、C1〜C4−アルキル、C1〜C6−アルコキシ又はハロゲンを表す]の3位又は4位で置換された2−ブテン−1,4−ジオール誘導体からの、
又は
一般式(Ia)の3位又は4位で置換された2−ブテン−1,4−ジオール誘導体及び一般式(II)のDHFアルコキシ誘導体からなる混合物からの、
又は
3a. 一般式(IVa)
【化11】

[式中、残基R4、R5、R6及びR7は水素、C1〜C4−アルキル、C1〜C6−アルコキシ又はハロゲンを表し、かつR3は、一般式(II)に挙げた意味合いを有する]
の1,1,4,4−テトラアルコキシ−ブタ−2−エン誘導体の、
一般式(Ia)のブテン−1,4−ジオール誘導体又は一般式(II)のDHFアルコキシ誘導体とのこの混合物からの本発明による製造方法である。
【0016】
特にとりわけ有利には、一般式(Ia)、(IIIb)及び(IVa)の化合物中で残基R4、R5、R6及びR7は水素を意味する。
一般的に、一般式(II)、(III)及び(IV)の化合物はその混合物の形で生じる。この混合物は、一般的に公知の分離方法を用いて後処理されることができる。
【0017】
有利には、所望の目的生成物が、一般式(I)の2−ブテン−1,4−ジオール誘導体から出発した、一般式(III)又は(IV)の化合物である場合でもある。この際生じる反応混合物からは、一般式(II)の所望されていない化合物は、電解セル中に返送され、次いで、相応する、一般式(I)の2−ブテン−1,4−ジオール誘導体と一緒に、所望のより多い数のアルコキシ残基を有する目的生成物の製造のための出発生成物として使用される。
【0018】
電解質においては、C1〜C6−モノアルコールが、一般式(I)の2−ブテン−1,4−ジオール誘導体に対して、等モル量又は、1:20までの過剰量で使用され、次いで同時に、一般式(II)の化合物及び形成された一般式(I)の化合物のための溶液又は希釈剤として使用される。有利にはC1〜C6−モノアルキルアルコールであり、特にとりわけ有利にはメタノールが使用される。
【0019】
場合により、電解溶液に通常の共溶媒を添加する。この際これは、有機化学において一般的に慣用の、高い酸化ポテンシャルを有する不活性溶媒である。例示的に、ジメチルホルムアミド、ジメチルカーボナート、プロピレンカーボナートが挙げられる。
【0020】
電解溶液中に含有されている支持塩としては、一般的に、カリウム−、ナトリウム−、リチウム−、鉄−、アルカリ金属、アルカリ土類金属、テトラ(C1〜C6−アルキル)アンモニウム−、有利にはトリ(C1〜C6−アルキル)メチルアンモニウム塩の群から選択される少なくとも1つの化合物が考慮される。対イオンとして、硫酸イオン、硫酸水素イオン、アルキル硫酸イオン、アリール硫酸イオン、ハロゲン化物イオン、リン酸イオン、炭酸イオン、アルキルリン酸イオン、アルキル炭酸イオン、硝酸イオン、アルコラートイオン、テトラフルオロホウ酸イオン又は過塩素酸イオンが考慮される。
【0021】
更に、前述したアニオンから誘導される酸が支持塩として考慮される。
【0022】
有利には、メチルトリブチルアンモニウムメチルスルファート(MTBS)、メチルトリエチルアンモニウムメチルスルファート又はメチル−トリ−プロピルメチルアンモニウムメチルスルファートである。
【0023】
この他に、支持塩としてイオン液体も適する。適したイオン液体は、"Ionic Liquids in Synthesis", 編者Peter Wasserscheid, Tom Welton, Verlag Wiley VCH, 2003, 3.6章,103〜126頁中に記載されている。
【0024】
電解質のpH値は、有機及び無機酸、例えばクエン酸、酒石酸、硫酸、リン酸、スルホン酸、C1〜C6−カルボン酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸の添加により、又は自体公知の緩衝系の使用によりpH2〜7、有利には2.5〜5の範囲に調節される。
【0025】
本発明による方法は全ての慣用の電解セル種類中で実施されることができる。有利には、連続的に、分割されていないフローセル(Durchflusszelle)を用いて実施される。
【0026】
特にとりわけ適するのは、双極性に接続されたキャピラリーギャップセル(Kapillarspaltzelle)又はプレートスタックセル(Plattenstapelzelle)であり、この際電極はプレートとして構成されていて、かつ面平行に配置されている(参照、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, 1999 electronic release, 第6版, VCH-Verlag Weinheim, Volume Electrochemistry, Chapter 3.5. special cell designs並びにChapter 5, Organic Electrochemistry, Subchapter 5.4.3.2 Cell Design)。このような電解セルは例えば、DE-A-19533773にも記載されている。
【0027】
本方法を実施する際の電流密度は、一般的に1〜20mA/cm2、有利には3〜5mA/cm2である。この温度は通常は−20〜55℃、有利には20〜40℃である。一般的に常圧で実施される。出発化合物の又は共溶媒の沸騰を回避するために、より高い圧力は、より高い温度で実施されることが望ましい場合に有利に適用される。
【0028】
アノード材料として、例えば貴金属、例えば白金又は金属酸化物、例えばルテニウム−又はクロム酸化物、又はRuOxTiOxのタイプの混合酸化物が適する。有利には、グラファイト又は炭素電極である。更に、ダイアモンド表面を有するアノードが有利である。
【0029】
カソードでは有機化合物に対する様々な種類の電気化学的還元が実施されることができる。このような還元は、特にDE-A-10058304中に記載されている。一般的にしかしながら、カソードでは、プロトン又はアルコールの電気化学的還元により水素が発生する。
【0030】
カソード材料としては、例えば鉄、鋼、特殊鋼、ニッケル又は貴金属、例えば白金並びにグラファイト又は炭素材料が考慮され、その際グラファイトが有利である。更に、ダイアモンド表面を有するカソードが有利である。
【0031】
特に有利には、アノード及びカソードとしてグラファイト、並びにアノードとしてグラファイト、そしてカソードとしてニッケル、特殊鋼又は鋼の系である。更に、ダイアモンド表面を有するアノードが有利である。
【0032】
反応の終了後に、電解溶液を一般的な分離方法により後処理する。このために、電解溶液を一般的にまずpH値を8〜9にし、引き続き蒸留し、そしてこの個々の化合物を、様々な分画の形で分離して得る。更なる精製は例えば、結晶化、蒸留、又はクロマトグラフィにより行われることができる。2,5−ジメトキシ−テトラヒドロフランが2,5−ジヒドロ−2,5−ジメトキシフランから製造されることが望ましい場合には後処理は必要でなく、これは本発明による方法により得たれた原料を使用することができる。
【0033】
実験部分
例1 −2,5−ジメトキシ−2,5−ジヒドロフラン
装置:6個のグラファイト電極を有する分割されていないプレートスタックセル
(65mmΦ、間隔:1mm)
アノード及びカソード: グラファイト
電解質:2−ブテン−1,4−ジオール 72.6g
メチルトリブチルアンモニウムメチルスルファート(MTBS) 25.7g
96% H3PO4、1.4g
メタノール 660g
カソード:グラファイト
4.8F/mol 2−ブテン−1,4−ジオールでの電解
電流密度:3.4A dm-2
温度 :22℃
挙げた条件下での電解の際に、電解質を流速度200l/hでもって19時間、熱交換器を介してこのセルを通じてポンプ輸送した。
【0034】
電解の終了後、電解放出物(Elektrolyseaustrag)を、ナトリウムメチラート(メタノール中で30%)1.89の添加によりpH8〜9に調整し、蒸留によりメタノールを除去し、この残留物を70℃かつ1mbarで蒸留した。この際、2,5−ジメトキシ−2,5−ジヒドロフランを収率46%に相当して47.9g得た。選択率は51%であった。
【0035】
例2 −1,3−ジメトキシ−1,3−ジヒドロ−イソベンゾフラン
装置:6個のグラファイト電極を有する分割されていないプレートスタックセル
(65mmΦ、間隔:1mm)
アノード:グラファイト
電解質:1,2−ベンゾールジメタノール 35.0g
MTBS(メタノール中で60%) 2.3g
96% H2SO4、2.2g
メタノール 660.5g
カソード:グラファイト上の特殊鋼シート
9.5F/mol 1,2−ベンゾールジメタノールでの電解
電流密度:3.4A dm-2
温度: 20℃
挙げた条件下での電解の際に、電解質を流速度200l/hでもって12時間、熱交換器を介してこのセルを通じてポンプ輸送した。
【0036】
電解の終了後、電解放出物を、ナトリウムメタノラート溶液(メタノール中で30%)4.3gの添加によりpH8〜9に調整し、蒸留によりMeOHを除去し、メチル−tert−ブチルエーテル150mlと混合し、この生じた支持塩を圧力濾過ヌッチェを介して吸引分離し、この濾過物を70℃かつ1mbarで蒸留した。この際、1−メトキシ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン3.4g(収率9%に相当)、1,3−ジメトキシ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン14.4g(収率31.7%に相当)、及びo−フタルジアルデヒドテトラメチルアセタール4.1g(収率20.4%に相当)を得た。この1−メトキシ−1,3−ジヒドロイソベンゾフランは新たに電解のために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、一般式(I)の2−ブテン−1,4−ジオール誘導体を示す図である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
2位又は5位に又は両方の位置にそれぞれ1つのC1〜C6−アルコキシ残基を有する3位又は4位で置換された2,5−ジヒドロフラン誘導体(DHFアルコキシ誘導体)又は3位又は4位で置換された1,1,4,4−テトラアルコキシ−ブタ−2−エン誘導体の製造方法であって、一般式(I)
【化1】

[式中、残基R1及びR2は相互に独立して水素、C1〜C6−アルキル、C6〜C12−アリール又はC5〜C12−シクロアルキルを表し、又はR1及びR2は、これら残基に結合している二重結合でもって一緒に、C6〜C12−アリール残基又は1個又は複数個の不飽和結合を有するC5〜C12−シクロアルキル残基を形成する]
の2−ブテン−1,4−ジオール誘導体からの、
又は
2位又は5位にC1〜C6−アルコキシ残基を有する3位又は4位で置換された2,5−ジヒドロフラン誘導体とのこの混合物からの、C1〜C6−モノアルキルアルコールの存在下での電気化学的酸化による、2位又は5位に又は両方の位置にそれぞれ1つのC1〜C6−アルコキシ残基を有する3位又は4位で置換された2,5−ジヒドロフラン誘導体(DHFアルコキシ誘導体)又は3位又は4位で置換された1,1,4,4−テトラアルコキシ−ブタ−2−エン誘導体の製造方法。
【請求項2】
一般式(II)
【化2】

[式中、R1及びR2は相互に独立して水素、C1〜C6−アルキル、C6〜C12−アリール又はC5〜C12−シクロアルキルを表す、
又は、
1及びR2は、これら残基に結合している二重結合でもって一緒に、C6〜C12−アリール残基又は1個又は複数個の不飽和結合を有するC5〜C12−シクロアルキル残基を形成する、R3はC1〜C6−アルキルを表す]
のDHFアルコキシ誘導体を、一般式(I)の2−ブテン−1,4−ジオール誘導体から、C1〜C6−モノアルキルアルコールの存在下で電気化学的酸化により製造する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
一般式(III)
【化3】

[式中、残基R1、R2及びR3は式(II)に挙げられた意味合いを有する]
のDHFアルコキシ誘導体を、式(I)の2−ブテン−1,4−ジオール誘導体から、又は一般式(II)のDHFアルコキシ誘導体とのこの混合物から製造する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
一般式(IV)
【化4】

[式中、R1、R2及びR3は式(II)で挙げた意味合いを有する]
の2位又は4位で置換された1,1,4,4−テトラアルコキシ−ブタ−2−エン誘導体を、一般式(I)の2−ブテン−1,4−ジオール誘導体又は一般式(III)のDHFアルコキシ誘導体とのこの混合物から製造する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
脂肪族C1〜C6−モノアルキルアルコールがメタノール又はイソプロパノールである、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
一般式(I)のブテン−1,4−ジオール誘導体1モルにつき、モノアルキルアルコール少なくとも1モルを使用することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
支持塩として、ナトリウム−、カリウム−、リチウム−、鉄−、テトラ(C1〜C6−アルキル)アンモニウム塩であって、対イオンである硫酸イオン、硫酸水素イオン、アルキル硫酸イオン、アリール硫酸イオン、ハロゲン化物イオン、リン酸イオン、炭酸イオン、アルキルリン酸イオン、アルキル炭酸イオン、硝酸イオン、アルコラートイオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン又は過塩素酸イオンと一緒の塩又はイオン液体を含有する電解質中で方法を実施する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
使用される電解質が20質量%よりも少ない水を含有することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
電解質のpH値を、硫酸、リン酸、スルホン酸、C1〜C6−カルボン酸の添加により又は緩衝系の使用により2.5〜5の範囲に維持することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
双極性に接続されたキャピラリーギャップセル又はプレートスタックセル中で又は分割された電解セル中で実施することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。

【公表番号】特表2008−536007(P2008−536007A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−502421(P2008−502421)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際出願番号】PCT/EP2006/060989
【国際公開番号】WO2006/100289
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】