説明

アルツハイマー病の生前診断ならびにアミロイド沈着物のインビボ画像化および予防に用いるためのチオフラビン誘導体

【課題】新規のチオフラビン誘導体の提供。
【解決手段】6-メトキシ-2-(4-アミノフェニル)ベンゾチアゾール、6-メトキシ-2-(4'-メチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、6-メトキシ-2-(4-ジメチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2-(4'-メチルアミノフェニル)-ベンゾチアゾール、6-メチル-2-(4'-メチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール等のアミロイド結合化合物。該化合物は、老人斑の蓄積が広く見られる疾患(家族性アルツハイマー病、ダウン症候群、およびアポリポタンパク質E4対立遺伝子のホモ接合体)を有する患者の診断および治療に使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願の相互参照
本出願は、米国特許出願第60/227,601号(その全体が参照として本明細書中に組み入れられる)である。
【0002】
発明の分野
本発明は、生きた患者のアミロイド沈着物の画像化に適切な化合物の同定に関する。より詳細には、本発明はアルツハイマー病の生前診断を可能にするインビボ脳でのアミロイド沈着物の画像化に関する。本発明はまた、このような化合物の治療用途に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
アルツハイマー病(「AD」)は、記憶喪失および他の認識欠損によって特徴付けられる神経変性疾患である。マッカーン(McKhann)ら、Neurology、34、939、1984。合衆国では痴呆の最も一般的な原因である。ADは40代から50代の若い世代でも罹患し得るが、危険な脳生検なしでは疾患の存在の同定は困難であるので、発症時期は未知である。ADの罹患率は加齢につれて増加し、罹患人口は85歳から90歳では40%から50%の高さに達すると予測されている。エバンス(Evans)ら、JAMA、262、2551、1989;カッツマン(Katzman)、Neurology、43、12、1993。
【0004】
実際、ADは最終的に脳組織試験(通常、剖検)によって診断されている。カチャトュリアン(Khachaturian)、Arch. Neurol. 、42、1097、1985;マッカーン(McKhann)ら、Neurology、34、939、1984。神経病理学的には、この疾患は、種々の他の所見と共に、老人斑(neuritic plaque:NP)、神経原線維濃縮体(NFT)、およびニューロン喪失の存在によって特徴付けられる。マン(Mann)、Mech. Ageing Dev. 、31、213、1985。アルツハイマー病罹患者の死後脳組織切片には、ADに特徴的な老人斑のタンパク質様細胞外コアの形態でアミロイドが存在する。
【0005】
これらの老人斑のアミロイドコアは、主にβプリーツシート構造で配列しているβアミロイド(Aβ)と呼ばれるタンパク質から構成される。モリ(Mori)ら、Journal of Biological Chemistry、267、17082、1992;キルシュナー(Kirschner)ら、PNAS、83、503、1986。老人斑は、疾患の初期かつ不変の様相である。マン(Mann)ら、J. Neurol. Sci. 、89、169;マン(Mann)、Mech. Ageing Dev. 、31、213、1985;テリー(Terry)ら、J. Neuropathol. Exp. Neurol. 、46、262、1987。
【0006】
臨床的症状が顕著になるずっと以前にAβの最初の沈着が起こると考えられる。現在推奨されているAD診断のための「最小顕微鏡基準(minimum microscopic criteria)」は、脳内に見られる老人斑数に基づく。カチャトュリアン(Khachaturian)、Arch. Neurol. 、前出、1985。不運なことに、老人斑数の評価は死後まで遅らせなければならない。
【0007】
アミロイド含有老人斑は、ADならびにダウン症候群およびADを発症する可能性が非常に高いアポリポタンパク質E4対立遺伝子についてホモ接合性のヒトの脳の選択的領域の顕著な特性である。コーダー(Corder)ら、Science、261、921,1993、ディブリー(Divry)、P. 、J. Neurol. Psych. 、27、643〜657、1927;ウィスニウスキー(Wisniewski)ら、ジマーマン(Zimmerman), H. M編「神経病理学の発展(PROGRESS IN NEUROPATHOLOGY)」(GruneおよびStratton、N. Y. 、1973)、pp. 1〜26。脳アミロイドは、チオフラビンSまたはコンゴレッドでの脳切片の染色によって容易に証明される。プフトラー(Puchtler)ら、J. Histochem. Cytochem. 、10、35、1962。コンゴレッド染色アミロイドは、黄緑色の偏光色を示す二色性の外観によって特徴付けられる。二色性結合は、アミロイドタンパク質のβプリーツシート構造の結果である。グレンナー(Glenner), G. N. 、Eng. J. Med. 、302、1283、1980。アミロイドの詳細な生化学および組織化学的考察を、グレンナー(Glenner), G. N. 、Eng. J. Med. 、302、1333、1980に見出すことができる。
【0008】
これまで、ADの診断は、ほとんど臨床的基準による評価、脳生検、および死後組織研究によって行われてきた。インビボでのアルツハイマー病診断方法の開発のための研究努力には、(1)遺伝子試験、(2)免疫アッセイ法、および(3)画像化技術が含まれる。
【0009】
Aβ代謝異常がADの発症に必要かつ十分である証拠は、ADの常染色体優性形態を有するいくつかの稀な家族における、Aβ前駆体タンパク質中の点変異の発見に基づく。ハーディ(Hardy)、Nature Genetics、1、233、1992;ハーディ(Hardy)ら、Science、256、184、1992。これらの変異は、Aβ前駆体タンパク質からのAβの生成に必要な、N末端およびC末端切断点付近で起こる。セント・ジョージ-ヒスロップ(St. George-Hyslop)ら、Science、235、885、1987;カング(Kang)ら、Nature、325、733、1987;ポッター(Potter)、国際公開公報第92/17152号。しかし、多数のAD家族の遺伝子分析により、ADが遺伝的に異種性であることが証明されている。セント・ジョージ-ヒスロップ(St. George-Hyslop)ら、Nature、347、194、1990。第21染色体マーカーの連鎖は、いくつかの早発性AD家族のみでみとめられており、遅発性AD家族では認められない。より最近では、その産物が複数の膜貫通ドメインを含むと予想され内在性膜タンパク質に類似している、第14染色体上の遺伝子が、シェリントン(Sherrington)ら、Nature、375、754〜760、1995によって同定された。この遺伝子は、早発性常染色体優性ADの70%までの原因となり得る。予備データにより、この第14染色体変異によりAβ産生が増加することが示唆される。シューナー(Scheuner)ら、Soc. Neurosci. Abstr. 、21、1500、1995。非常に類似する遺伝子の変異が、早発性ADを有するヴォルガ・ジャーマン(Volga German)家系の第1染色体上で同定されている。レビー-ラハド(Levy-Lahad)ら、Science、269、973〜977、1995。
【0010】
AD診断の補助としてアポリポタンパク質E遺伝子型のスクリーニングが示唆されている。スコット(Scott)、Nature、366、502、1993;Roses、Ann. Neurol. 、38、6〜14、1995。しかし、アポリポタンパク質E4対立遺伝子はADについての危険因子にすぎず、疾患マーカーではないため、この技術には困難が生じる。アポリポタンパク質E4対立遺伝子は多数のAD患者では存在せず、多数の非痴呆老人に存在する。バード(Bird)、Ann. Neurol. 、38、2〜4、1995。
【0011】
AD患者の神経化学マーカーの存在を検出し、かつ脳脊髄液中のAD関連アミロイドタンパク質を検出するための、免疫アッセイ法が開発されている。ワーナー(Warner)、Anal. Chem. 、59、1203A、1987;ポッター(Potter)らの国際特許第92/17152号;グレンナー(Glenner)ら、米国特許第4,666,829号。これらのAD診断方法は、全ての患者のAD、特に疾患の初期段階で検出することは証明されておらず、比較的侵襲性であり、脊椎穿刺を必要とする。また、Aβの画像化のためのプローブとしてモノクローナル抗体を開発する試みが行われている。マヨッカ(Majocha)ら、J. Nucl. Med. 、33、2184、1992;マヨッカ(Majocha)ら、国際公開公報第89/06242号、およびマヨッカ(Majocha)ら、米国特許第5,231,000号。抗体プローブの主な不利点は、これらの巨大な分子が血液脳関門を通過することの困難さである。ADのインビボ診断用抗体を使用すると、脳内に接触するために血液脳関門の顕著な異常を必要とする。血液脳関門の異常がADで確実に存在するという説得力のある機能的証拠は存在しない。カラリア(Kalaria)、Cerebrovascular & Brain Metabolism Reviews、4、226、1992。
【0012】
放射性標識Aβペプチドは、AD脳切片中の散在型、密集型、および神経炎型斑を標識するために用いられている。マッジオ(Maggio)ら、国際公開公報第93/04194号を参照のこと。しかし、これらのペプチドは、抗体の不利点を全て共有している。詳細には、通常、画像化に必要な量のペプチドは血液脳関門を通過せず、またこれらのプローブは拡散性斑と反応するので、これらはADに特異的ではないかもしれない。
【0013】
死後までAD中のアミロイド沈着を評価することが不可能であることが、この破壊的疾患の研究の妨げとなっている。生前のアミロイド沈着物の定量法は、軽度のまたは臨床的に分かりにくい症例、およびAβ沈着の予防を標的とする治療効果のモニタリングにおける診断手段として必要である。したがって、インビボでの脳実質中のアミロイドの画像処理による、安全かつ特異的な生前のAD診断方法を開発することが最も重要である。現在インビボでADを診断するための種々の試みが行われているにもかかわらず、脳アミロイドの生前プローブは存在しない。患者の生前の脳中のADアミロイド沈着物を同定するための、毒性が低く、血液脳関門を通過することができ、正常な脳よりもAD脳により有効に結合する、高親和性アミロイド用プローブを使用する方法は存在しない。したがって、これらの基準を満たすインビボAD診断方法は実証されていない。
【0014】
データにより、アミロイド結合化合物はADおよび2型真性糖尿病の治療可能性を有することが示唆される。反応性星状細胞増加症、ジストロフィー性神経突起、活性化小神経膠細胞、シナプス喪失、および老人斑周辺で認められる完全な補体活性化を含む形態学的反応はすべて、神経毒性および細胞変性過程がこれらのAβ沈着物に隣接する領域で生じていることを示す。ジョアキム(Joachim)ら、Am. J. Pathol. 、135、309、1989;マスリア(Masliah)ら、前出、137、1293、1990;ルー(Lue)およびロジャース(Rogers)、Dementia、3、308、1992。インビトロでのAβ誘導性神経毒性および細胞変性が多数の細胞型で報告されている。ヤンクナー(Yankner)ら、Science、250、279、1990;ローアー(Roher)ら、BBRC、174、572、1991;フロートスキー(Frautschy)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. 、88、83362、1991;シアーマン(Shearman)ら、前出、91、1470、1994。Aβペプチドの凝集はインビトロ神経毒性に必要であることが示されている。ヤンクナー(Yankner)、Neurobiol. Aging、13、615、1992。最近、3つの研究所で、コンゴレッドはインビトロでのAβ神経毒性および細胞変性を阻害することを示唆する結果が報告されている。バージビン(Burgevin)ら、NeuroReport、5、2429、1994;ロレンツォ(Lorenzo)およびヤンクナー(Yankner)、Proc. Natl. Acad. Sci. 、91、12243、1994;ポラック(Pollack)ら、Neuroscience Letters、184、113、1995;ポラック(Pollack)ら、Neuroscience Letters、197、211、1995。この機構は、原線維形成の阻害および形成された原線維の神経毒性の防止の両方を含むようである。ロレンツォ(Lorenzo)およびヤンクナー(Yankner)、Proc. Natl. Acad. Sci. 、91、12243、1994。コンゴレッドはまた、アミリンによる毒性から膵島細胞を保護することが示されている。ロレンツォ(Lorenzo)およびヤンクナー(Yankner)、Proc. Natl. Acad. Sci. 、91、12243、1994。アミリンは、2型真性糖尿病で膵臓に蓄積されるAβに類似の原線維ペプチドである。
【0015】
コンゴレッドなどの一定のアゾ色素が発癌性を示し得ることが当技術分野において公知である。モーガン(Morgan)ら、Environmental Health Perspectives、102、(補遺)、2、63〜78、1994。この潜在的な発癌性は、大部分がアゾ色素は腸内細菌によって遊離の親アミンに広範に代謝されるという事実に基づいているようである。サーニグリア(Cerniglia)ら、Biochem. Biophys. Res. Com. 、107、1224〜1229、1982。ベンジジン色素(および多数の他の置換ベンジジン)の場合、これは発癌性物質である遊離アミンである。これらの事実は、非常に少量の高比活性放射性標識色素を血流に直接注射するアミロイド画像化研究とは、ほとんど関連しない。この場合、投与量はごくわずかであり、色素は腸内細菌を回避する。
【0016】
治療的用途の場合、これらの事実は非常に重要である。治療化合物からの公知の発癌性物質の放出は容認されない。ジアゾ色素代謝における第2の問題は、投与した薬物のほとんどが吸収前に腸内細菌によって代謝されることである。放出された代謝産物が無害であったとしても、この生物学的利用能の低さは不利である。
【0017】
チオフラビンTは、1959年にバサー(Vassar)およびカリング(Culling)(Arch. Pathol. 、68、487、1959)によって選択的アミロイド色素として最初に記載された、塩基性色素である。シュワルツ(Schwartz)ら(Zbl. Path. 、106、320、1964)は、1964年にアミロイド色素としてチオフラビンS(酸性色素)の使用を最初に実証した。それ以来チオフラビンTおよびチオフラビンSの両性質は、詳細に研究されてきた(Klenyi J. 、Histochem. Cytochem. 、15、172、1967;バーンズ(Burns)ら、J. Path. Bact. 、94、337、1967;Gunternら、Experientia、48、8、1992;ルバイン(LeVine)、Meth. Enzymol. 、309、274、1999)。チオフラビンSは、AD脳内のアミロイド沈着の死後研究で一般的に使用されており、これは老人斑を証明するための最も感度の高い技術の1つであることが示されている。バレット(Vallet)ら、Acta Neuropathol. 、83:170、1992。チオフラビンTは、可溶性アミロイドタンパク質のβシート原線維への凝集を研究する試薬として、頻繁に使用されている。ルバイン(LeVine)、Prot. Sci. 、2、404、1993。これらの薬剤の脳への取り込みの証拠は存在しないが、チオフラビンTに関連する第四級アミン誘導体は、アミロイド造影剤として提案されている。カプレイズ(Caprathe)ら、米国特許第6,001,331号。
【0018】
したがって、脳に侵入してアミロイドに選択的に結合するアミロイド結合化合物が必要である。
【0019】
無毒性で生物学的利用可能性があり、したがって治療で使用することができるアミロイド結合化合物がさらに必要である。
【発明の概要】
【0020】
したがって、本発明の1つの態様は、脳実質内のアミロイドのインビボ画像化による、生前の安全かつ特異的なAD診断方法を可能にする化合物を提供することである。
【0021】
本発明の別の態様は、毒性が低く、血液脳関門を通過することができ、AD脳を正常脳と区別することができる、高親和性アミロイドプローブを使用する、患者の生前に脳内のADアミロイド沈着物を同定するためのアプローチを提供することである。
【0022】
本発明のこれらおよび他の態様の達成において、本発明の1つの局面に従って、構造A〜E:
【化213】

【化214】

【化215】

【化216】

【化217】

(式中、ZはS、NR'、O、またはC(R')2であり、この場合、複素環の正確な互変異性型は、R'がHまたは低級アルキル基:
【化218】

であるインドールとなり、
YはNR1R2、OR2、またはSR2であり、
【化219】

または
【化220】

の窒素は第四級アミンではない)
の1つを有するアミロイド結合化合物もしくはその水溶性無毒性塩;または
構造F〜J:
【化221】

【化222】

【化223】

【化224】

もしくは
【化225】

(式中、Qは以下の構造:
【化226】

(式中nは、0、1、2、3、または4である)
【化227】

【化228】

【化229】

もしくは
【化230】

の1つから独立して選択され、
ZはS、O、NR'、またはC(R')2であり、R'はHまたは低級アルキルであり、
UはCR'(式中、R'はHまたは低級アルキル基)またはN(UがNである場合にQが
【化231】

ではないことを除く)であり、
YはNR1R2、OR2、またはSR2であり、
【化232】

もしくは
【化233】

の窒素は第四級アミンではなく、
各R1およびR2は、H、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、nは、1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X(式中、XはF、Cl、Br、またはIである)、(C=O)-R'、Rph、および(CH2)nRph(式中、nは、1、2、3、または4であり、Rphは、非置換フェニル基またはR3〜R14について以下に定義される、任意の非フェニル置換基から選択される、フェニル置換基による置換フェニル基を示し、R'はHまたは低級アルキル基である)からなる群より独立して選択され、
各R3〜R14は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、nは、1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X,O-CH2-CH2-CH2X(式中、XはF、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'=CR2'-Rph(式中、Rphは、非置換フェニル基またはR1〜R14について定義される任意の非フェニル置換基から選択されたフェニル置換基による置換フェニル基を示し、R'はHまたは低級アルキル基である)、トリアルキルスズ、および式W-LもしくはV-W-Lのキレート基(キレート化金属基を含むか、または含まない)からなる群より独立して選択され、Vは、COO-、-CO-、-CH2O-、および-CH2NH-からなる群より選択され、Wは-(CH2)n(式中、nは、0、1、2、3、4、または5である)であり、Lは、
【化234】

【化235】

【化236】

【化237】

【化238】

【化239】

【化240】

もしくは
【化241】

であり、
MはTcおよびReからなる群より選択されるか、または
各R1およびR2は、式W-Lのキレート基(キレート化金属基を含むか、または含まない)であり、Wは-(CH2)n(nは、2、3、4、または5である)であり、Lは、
【化242】

【化243】

【化244】

【化245】

【化246】

【化247】

【化248】

もしくは
【化249】

であり、
MはTcおよびReからなる群より選択されるか、または
各R1〜R14は、式W-LおよびV-W-Lのキレート基(キレート化金属基を含むか、または含まない)からなる群より独立して選択され、Vは-COO-および-CO-からなる群より選択され、Wは-(CH2)n(nは、0、1、2、3、4、または5である)であり、Lは、
【化250】

【化251】

【化252】

【化253】

【化254】

【化255】

【化256】

もしくは
【化257】

であり、
R15は、
H、
【化258】

【化259】

【化260】

【化261】

【化262】

もしくは
【化263】

の1つから独立して選択される)
の1つを有するアミロイド結合化合物もしくはその水溶性無毒性塩;または
式:
【化264】

【化265】

【化266】

【化267】

【化268】

【化269】

【化270】

【化271】

【化272】

もしくは
【化273】

(式中、R15は、
H、
【化274】

【化275】

【化276】

【化277】

【化278】

または
【化279】

の1つから独立して選択され、
R16は、
【化280】

または
【化281】

であり、
Qは、以下の構造:
【化282】

(式中、nは、0、1、2、3、または4である)
【化283】

【化284】

【化285】

または
【化286】

の1つから独立して選択され、
Zは、S、NR'、O、またはC(R')2であり、R'はHまたは低級アルキル基であり、
UはNまたはCR'であり、
YはNR1R2、OR26、またはSR26であり、
各R17〜R24は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、nは、1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X,O-CH2-CH2-CH2X(式中、XはF、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、およびCR'2=CR'2-Rph(式中、Rphは、非置換フェニル基またはR17〜R20について定義される任意の非フェニル置換基から選択されたフェニル置換基による置換フェニル基を示し、R'はHまたは低級アルキル基である)からなる群より独立して選択される)
のアミロイド結合キレート化合物(キレート化金属基を含むか、または含まない)もしくはその水溶性無毒性塩
が提供される。
【0023】
好ましい態様では、構造A〜EまたはF〜JのR1〜R14の少なくとも1つの置換基が、131I、123I、76Br、75Br、18F、CH2-CH2-X、O-CH2-CH2-X、CH2-CH2-CH2-X、O-CH2-CH2-CH2-X(式中、Xは、131I、123I、76Br、75Br、または18Fである)、19F、125I、少なくとも1つの炭素が11Cまたは13Cである、上記で特定した炭素含有置換基、および式W-LもしくはV-W-L(Vが-COO-、-CO-、-CH2O-、および-CH2NH-からなる群より選択され、Wが-(CH2)n(式中、nは、0、1、2、3、4、または5である)であり、Lが:
【化287】

【化288】

【化289】

もしくは
【化290】

であり、
M99mTcである)
のキレート基(キレート化金属基を含む);および式W-LもしくはV-W-L(Vが-COO-、-CO-、-CH2O-、および-CH2NH-からなる群より選択され、Wが-(CH2)n(式中、nは、0、1、2、3、4、または5である)であり、Lが:
【化291】

【化292】

【化293】

もしくは
【化294】

であり、
R15は以下:
H、
【化295】

【化296】

【化297】

【化298】

【化299】

もしくは
【化300】

の1つから独立して選択される)
のキレート基(キレート化金属基を含む);または
式:
【化301】

【化302】

【化303】

【化304】

もしくは
【化305】

(式中、R15は、以下:
H、
【化306】

【化307】

【化308】

【化309】

【化310】

もしくは
【化311】

の1つから独立して選択され、
R16は、
【化312】

もしくは
【化313】

(式中、Qは以下の構造:
【化314】

(式中、nは、0、1、2、3、または4である)
【化315】

【化316】

【化317】

または
【化318】

の1つから独立して選択され、
ZはS、NR'、O、またはC(R')2であり、R'はHまたは低級アルキル基であり、
Uは、NまたはCR'であり、
YはNR1R2、OR2、またはSR2であり、
各R17〜R24は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、nは、1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、O-CH2-CH2-CH2X(式中、XはF、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、およびCR2'=CR2'-Rph(式中、Rphは、非置換フェニル基またはR17〜R20について定義される任意の非フェニル置換基から選択されたフェニル置換基による置換フェニル基を示し、R'はHまたは低級アルキル基である)
のキレート化合物(キレート化金属基を含む)からなる群より選択される。
【0024】
別の好ましい局面では、チオフラビン化合物は、ZはSであり、YはNであり、R1はHであり、
かつさらに、本発明のアミロイド結合化合物が構造AまたはEである場合、R2は、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、nは、1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X(式中、XはF、Cl、Br、またはIである)、(C=O)-R'、Rph、および(CH2)nRph(式中、nは、1、2、3、または4である)からなる群より選択され、
本発明のアミロイド結合化合物が構造Bである場合、R2は、(CH2)nOR'(式中、nは、1、2、または3であり、R'はHまたはCH3であり、nは1ではない)、CF3、CH2-CH2X、およびCH2-CH2-CH2X(式中、XはF、Cl、Br、またはIである)からなる群より選択され、
本発明のアミロイド結合化合物が構造Cである場合、R2は、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、nは、1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X(式中、XはF、Cl、Br、またはIである)、(C=O)-H、Rph、および(CH2)nRph(式中、nは、1、2、3、または4である)からなる群より選択されるか、または
本発明のアミロイド結合化合物が構造Dである場合、R2は、(CH2)nOR'(式中、nは、1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X(式中、XはF、Cl、Br、またはIである)、(C=O)-R'、Rph、および(CH2)nRphからなる群より選択され、R2が(CH2)nRphである場合、R8はCH3ではないと定義される。
【0025】
別の好ましい態様では、本発明のアミロイド結合化合物のR3〜R14の少なくとも1つの置換基が、131I、123I、76Br、75Br、18F、CH2-CH2-X、O-CH2-CH2-X、CH2-CH2-CH2-X、O-CH2-CH2-CH2-X(式中、Xは、131I、123I、76Br、75Br、または18Fである)、19F、125I、および少なくとも1つの炭素が11Cまたは13Cである、構造A〜EまたはF〜Jの1つを有する化合物の定義において特定した炭素含有置換基、式W-LまたはV-W-L(Vが-COO-、-CO-、-CH2O-、および-CH2NH-からなる群より選択され、Wが-(CH2)n(式中、nは、0、1、2、3、4、または5である)であり、Lが:
【化319】

【化320】

【化321】

もしくは
【化322】

であり、
M99mTcである)
のキレート基(キレート化金属基を含む);ならびに式W-LまたはV-W-L(Vが-COO-、-CO-、-CH2O-、および-CH2NH-からなる群より選択され、Wが-(CH2)n(式中、nは、0、1、2、3、4、または5である)であり、Lが:
【化323】

【化324】

【化325】

もしくは
【化326】

であり、
R15は以下:
H、
【化327】

【化328】

【化329】

【化330】

【化331】

もしくは
【化332】

の1つから独立して選択される)
のキレート基(キレート化金属基を含む);または
式:
【化333】

【化334】

【化335】

【化336】

もしくは
【化337】

(式中、R15は、以下:
H、
【化338】

【化339】

【化340】

【化341】

【化342】

もしくは
【化343】

の1つから独立して選択され、
R16は、
【化344】

もしくは
【化345】

(式中、Qは以下の構造:
【化346】

(式中、nは、0、1、2、3、または4である)
【化347】

【化348】

【化349】

もしくは
【化350】

の1つから独立して選択され、
ZはS、NR'、O、またはC(R')2であり、R'はHまたは低級アルキル基であり、
Uは、NまたはCR'であり、
YはNR1R2、OR2、またはSR2であり、
各R17〜R24は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、nは、1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、O-CH2-CH2-CH2X(式中、XはF、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、およびCR2'-CR2'-Rph(式中、Rphは、非置換フェニル基またはR17〜R20について定義される任意の非フェニル置換基から選択されたフェニル置換基による置換フェニル基を示し、R'はHまたは低級アルキル基である)から独立して選択される)
のキレート化合物(キレート化金属基を含む)からなる群より選択される。
【0026】
特に好ましい態様では、化合物は構造A〜Eから選択され、かつZはSであり、YはNであり、R'はHであり、R1はHであり、R2はCH3であり、R3〜R14はHである;
ZはSであり、YはOであり、R'はHであり、R2はCH3であり、R3〜R14はHである;
ZはSであり、YはNであり、R'はHであり、R1〜4はHであり、R5はIであり、R6〜R14はHである;
ZはSであり、YはNであり、R'はHであり、R1〜4はHであり、R5はIであり、R8はOHであり、R6〜R7およびR9〜R14はHである;
ZはSであり、YはNであり、R'はHであり、R1はHであり、R2はCH2-CH2-CH2-Fであり、R3〜R14はHである;
ZはSであり、YはOであり、R'はHであり、R2はCH2-CH2-Fであり、R3〜R14はHである;
ZはSであり、YはNであり、R'はHであり、R1〜7はHであり、R8はO-CH2-CH2-Fであり、R9〜R14はHである;または、
ZはSであり、YはNであり、R'はHであり、R1はCH3であり、R2〜7はHであり、R8はO-CH2-CH2-Fであり、R9〜R14はHである。
【0027】
特に好ましい態様では、化合物は構造F〜Jから選択され、ZはSであり、YはNであり、R'はHであり、R1はHであり、R2はCH3であり、R3〜R14はHである;
ZはSであり、YはOであり、R'はHであり、R2はCH3であり、R3〜R14はHである;
ZはSであり、YはNであり、R'はHであり、R1〜4はHであり、R5はIであり、R6〜R14はHである;
ZはSであり、YはNであり、R'はHであり、R1〜4はHであり、R5はIであり、R8はOHであり、R6〜R7およびR9〜R14はHである;
ZはSであり、YはNであり、R'はHであり、R1はHであり、R2はCH2-CH2-CH2-Fであり、R3〜R14はHである;
ZはSであり、YはOであり、R'はHであり、R2はCH2-CH2-Fであり、R3〜R14はHである;
ZはSであり、YはNであり、R'はHであり、R1〜7はHであり、R8はO-CH2-CH2-Fであり、R9〜R14はHである;または
ZはSであり、YはNであり、R'はHであり、R1はCH3であり、R2〜7はHであり、R8はO-CH2-CH2-Fであり、R9〜R14はHである。
【0028】
別の好ましい態様では、少なくとも1つの置換基R3〜R14が、CN、OCH3、OH、およびNH2からなる群より選択される。
【0029】
さらに別の好ましい態様では、アミロイド結合化合物が、構造B、構造C、および構造Dからなる群より選択され、R1はHであり、R2はCH3であり、R8はCN、CH3、OH、OCH3、およびNH2からなる群より選択され、本態様の好ましい局面では、R3〜R7およびR9〜R14はHである。
【0030】
さらに別の態様では、本発明のアミロイド結合化合物は、合成Aβペプチドまたはアルツハイマー病の脳組織への結合によって測定した場合、0.0001μMと10.0μMの間の解離定数(KD)でAβに結合する。
【0031】
本発明の別の態様は、アミロイド結合化合物(式中、少なくとも1つの置換基R1〜R14がトリアルキルスズである)を131I、125I、123I、76Br、75Br、18Fまたは19F含有基質と化合物との反応によって標識する段階を含む、131I、125I、123I、76Br、75Br、18Fおよび19Fからなる群より選択される、少なくとも1つの置換基R1〜R14を有する本発明のアミロイド結合化合物に関する。
【0032】
本発明の別の態様は、構造A〜EまたはE〜Jのアミロイド結合化合物(式中、ZはSであり、YはNであり、R1はHであり、少なくとも1つの置換基R3〜R14がトリアルキルスズである)を131I、125I、123I、76Br、75Br、18Fまたは19F含有基質と化合物との反応によって標識する段階を含む、131I、125I、123I、76Br、75Br、18Fおよび19Fからなる群より選択される、少なくとも1つの置換基R3〜R14を有する本発明のアミロイド結合化合物の合成方法に関する。
【0033】
本発明のさらなる態様は、(a)構造A〜EまたはF〜Jから選択されるアミロイド結合化合物および(b)薬学的に許容される担体を含む、アミロイド沈着物のインビボ画像化のための薬学的組成物に関する。本態様の好ましい局面は、(a)構造A〜EまたはF〜Jから選択されるアミロイド結合化合物(ZはSであり、YはNであり、R1はHである)および(b)薬学的に許容される担体を含む、アミロイド沈着物のインビボ画像化のための薬学的組成物に関する。
【0034】
本発明の別の態様では、(a)標識アミロイド結合化合物を含む、検出可能な量の薬学的組成物を投与する段階、および被験体中のアミロイド沈着物への化合物の結合を検出する段階を含む、被験体のアミロイド沈着物のインビボ検出法である。本態様の好ましい局面では、アミロイド沈着物は被験体の脳に位置する。本態様の特に好ましい局面では、被験体がアルツハイマー病、家族性アルツハイマー病、ダウン症候群、およびアポリポタンパク質E4対立遺伝子のホモ接合体からなる群より選択される、疾患または症候群を有する疑いがある。本態様の別の好ましい局面では、検出は、γ画像化、磁気共鳴画像化、および磁気共鳴分光法からなる群より選択される。本態様の好ましい局面では、γ画像化はPETまたはSPECTのいずれかである。本態様の別の好ましい局面では、薬学的組成物を静脈内注射によって投与する。本態様の別の好ましい局面では、被験体における(i)小脳以外の脳領域への化合物の結合の、(ii)小脳への化合物の結合に対する比を、正常な被験体における比と比較する。
【0035】
別の態様は、(a)ホルマリン固定組織または新鮮凍結組織を本発明のアミロイド結合化合物溶液とインキュベートして、標識沈着物を形成させる段階、および
(b)標識沈着物を検出する段階を含む、生検または死後のヒトまたは動物組織中のアミロイド沈着物を検出する方法に関する。本態様の好ましい局面では、溶液は、25%から100%のエタノールから構成されており、溶液の残りが水であり、溶液が本発明のアミロイド結合化合物で飽和されている。本態様の特に好ましい局面では、溶液は、0%から50%のエタノールを含む水性緩衝液(トリスまたはリン酸など)から構成されており、溶液が0.0001μMから100μMの本発明のアミロイド結合化合物を含む。本態様の特に好ましい局面では、検出を、明視野顕微鏡法、蛍光顕微鏡法、レーザー共焦点顕微鏡法、および直交偏光顕微鏡法からなる群より選択される顕微鏡技術によって行う。
【0036】
さらなる態様は、a)生検または死後組織のホモジェネートと共に、本発明のアミロイド結合化合物の放射性標識誘導体をインキュベートする段階であって、化合物の置換基R1〜R14の少なくとも1つを125I、3H、および少なくとも1つの炭素が14Cである構造A〜EまたはF〜Jのアミロイド結合化合物によって特定される炭素含有置換基からなる群より選択される放射性標識で標識する段階、b)本発明のアミロイド結合化合物の組織非結合性放射性標識誘導体から組織結合性放射性標識誘導体を分離する段階、c)本発明のアミロイド結合化合物の組織結合性放射性標識誘導体を定量する段階、およびd)標準との比較によって本発明のアミロイド結合化合物の組織結合性放射性標識誘導体の単位を、組織100mgあたりのアミロイドのμg単位に変換する段階を含む、生検または死後組織中のアミロイド量を定量する方法に関する。
【0037】
上記態様の好ましい局面では、本発明のアミロイド結合化合物の放射性標識誘導体もしくはその水溶性無毒性塩が、以下の式A〜E:
【化351】

【化352】

【化353】

【化354】

【化355】

(式中、ZはS、NR'、O、またはC(R')2であり、この場合、複素環の正確な互変異性型は、R'がHまたは低級アルキル基:
【化356】

であるインドールとなり、
YはNR1R2、OR2、またはSR2であり、
【化357】

または
【化358】

の窒素は第四級アミンではない)
の1つであるか;または
本発明のアミロイド結合化合物の放射性標識誘導体もしくはその水溶性無毒性塩が、以下の式F〜J:
【化359】

【化360】

【化361】

【化362】

もしくは
【化363】

(式中、Qは以下の構造:
【化364】

(式中nは、0、1、2、3、または4である)
【化365】

【化366】

【化367】

もしくは
【化368】

の1つから独立して選択され、
ZはS、NR'、O、またはC(R')2であり、R'はHまたは低級アルキルであり、
UはCR'(式中、R'はHまたは低級アルキル基)またはN(UがNである場合にQが
【化369】

ではないことを除く)であり、
YはNR1R2、OR2、またはSR2であり、
【化370】

もしくは
【化371】

の窒素は第四級アミンではなく、
各R1およびR2は、H、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、nは、1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X(式中、XはF、Cl、Br、またはIである)、(C=O)-R'、Rph、および(CH2)nRph(式中、nは、1、2、3、または4であり、Rphは、非置換フェニル基またはR3〜R14について以下に定義される任意の非フェニル置換基から選択される、フェニル置換基による置換フェニル基を示し、R'はHまたは低級アルキル基である)からなる群より独立して選択され、
各R3〜R14は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、nは、1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X,O-CH2-CH2-CH2X(式中、XはF、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph(式中、Rphは、非置換フェニル基またはR1〜R14について定義される任意の非フェニル置換基から選択される、フェニル置換基による置換フェニル基を示し、R'はHまたは低級アルキル基である)、トリアルキルスズ、および式W-LもしくはV-W-Lのキレート基(キレート化金属基を含むか、または含まない)からなる群より独立して選択され、Vは、COO-、-CO-、-CH2O-、および-CH2NH-からなる群より独立して選択され、Wは-(CH2)n(式中、nは、0、1、2、3、4、または5である)であり、Lは、
【化372】

【化373】

【化374】

【化375】

【化376】

【化377】

【化378】

もしくは
【化379】

であり、
MはTcおよびReからなる群より選択されるか;または
各R1およびR2は、式W-Lのキレート基(キレート化金属基を含むか、または含まない)であり、Wは-(CH2)n(nは、2、3、4、または5である)であり、Lは、
【化380】

【化381】

【化382】

【化383】

【化384】

【化385】

【化386】

もしくは
【化387】

であり、
MはTcおよびReからなる群より選択されるか;もしくは
各R1〜R14は、式W-LおよびV-W-Lのキレート基(キレート化金属基を含むか、または含まない)からなる群より独立して選択され、Vは-COO-および-CO-からなる群より選択され、Wは-(CH2)n(nは、0、1、2、3、4、または5である)であり、Lは、
【化388】

【化389】

【化390】

【化391】

【化392】

【化393】

【化394】

もしくは
【化395】

であり、
R15は、以下:
H、
【化396】

【化397】

【化398】

【化399】

【化400】

もしくは
【化401】

から独立して選択される)
の1つであるか;もしくは
式:
【化402】

【化403】

【化404】

【化405】

【化406】

【化407】

【化408】

【化409】

【化410】

もしくは
【化411】

(式中、R15は以下:
H、
【化412】

【化413】

【化414】

【化415】

【化416】

または
【化417】

から独立して選択され、
R16は、
【化418】

または
【化419】

であり、
Qは、以下の構造:
【化420】

(式中、nは、0、1、2、3、または4である)
【化421】

【化422】

【化423】

または
【化424】

の1つから独立して選択され、
Zは、S、NR'、O、またはC(R')2であり、R'はHまたは低級アルキル基であり、
UはNまたはCR'であり、
YはNR1R2、OR2、またはSR2であり、
各R17〜R24は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、nは、1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X,O-CH2-CH2-CH2X(式中、XはF、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、およびCR'2=CR'2-Rph(式中、Rphは、非置換フェニル基またはR17〜R20について定義される任意の非フェニル置換基から選択されたフェニル置換基による置換フェニル基を示し、R'はHまたは低級アルキル基である)からなる群より独立して選択される)のアミロイド結合キレート化合物(キレート化金属基を含むか含まない)もしくはその水溶性無毒性塩である。
【0038】
別の態様は、a)正常な被験体およびアルツハイマー病を有する疑いのある被験体由来の(i)小脳および(ii)同一の脳由来の小脳以外の別の領域由来の組織を得る段階と、b)組織中のアミロイドが本は杖身のアミロイド結合化合物の放射性標識誘導体と結合するように、本発明のチオフラビンアミロイド結合化合物の放射性標識誘導体と共に組織をインキュベートする段階と、c)上記方法による本発明のアミロイド結合化合物の放射性標識誘導体に結合したアミロイドを定量する段階と、d)小脳以外の脳領域中のアミロイド量と小脳中のアミロイド量との比を計算する段階と、e)正常な被験体由来の組織中のアミロイド量の比とアルツハイマー病を有する疑いのある被験体由来の組織中のアミロイド量の比とを比較する段階と、f)アルツハイマー病を有する疑いのある被験体の脳由来の比が正常な被験体由来の脳から得た比の90%を超える場合にアルツハイマー病と同定する段階とを含む、アルツハイマー病の脳と正常な脳とを識別する方法に関する。
【0039】
本明細書中に開示の本発明の明細および実施を考慮すれば、本発明の他の態様が当業者に明らかである。本明細書は例示とみなし、本発明の真の範囲および精神は以下の特許請求の範囲に示されることが意図される。さらに、本明細書で参照された全ての書類は、参考として明白に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】チオフラビンSおよびチオフラビンTの構造を示す。
【図2】本発明の2つのチオフラビン誘導体の構造を示す。
【図3】AD患者の蛍光染色前頭皮質の4つの連続切片を示す。
【図4】βシート原線維中のクリサミンGおよびチオフラビンT原線維の推奨結合部位を示す。
【図5】クリサミンG、チオフラビンS、およびチオフラビンT、ならびに本発明の誘導体(BTA-O、BTA-1、およびBTA-2)を使用する、競合アッセイを示す。
【図6】標識BTA-1、6-Meo-BTA-1、および6-Me-BTA-1を注射したヒヒの前頭皮質における経時的な放射活性を示す。
【図7】[N-メチル-11C]BTA-1のi.v.注射後のヒヒ脳の2レベルの横断面陽電子放出断層撮影画像を示す。
【図8】本発明の誘導体(BTA-1)で染色したヒトおよびトランスジェニックマウス脳の死後切片を示す。
【図9】多光子顕微鏡による、生きたトランスジェニックマウスにおける本発明の誘導体(BTA-1)で染色した、アミロイド斑および血管アミロイドのインビボ標識を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
発明の詳細な説明
本発明は、チオフラビン化合物およびその放射性標識誘導体の、インビボでの血液脳関門を通過して老人斑中に沈着した(しかし拡散していない)Aβ、脳血管アミロイド中に沈着したAβ、およびNFT中に沈着したタンパク質からなるアミロイドに結合する能力を利用する。本発明の化合物は、組織切片中のアミロイドを染色し、インビトロで合成Aβに結合することが公知のチオフラビンSおよびTの非第四級アミン誘導体である。ケレニー(Kelenyi)、J. Histochem. Cytochem. 、15、172、1967;バーンズ(Burns)ら、J. Path. Bact. 、94、337、1967;Gunternら、Experientia、48、8、1992;ルバイン(LeVine)、Meth. Enzymol. 、309、274、1999。
【0042】
本発明のチオフラビン誘導体は、以下の各特徴を有する:(1)インビトロでの合成Aβへの特異的結合および(2)インビボで損傷していない血液脳関門を通過する能力。
【0043】
チオフラビン誘導体を説明するために本明細書中で使用される、「低級アルキル」は、分岐または直鎖C1〜C8、好ましくはC1〜C5、最も好ましくはC1〜C4(例えば、メチル、エチル、プロピル、またはブチル)である。R1〜R14が「トリアルキルスズ」と定義される場合,この部分はトリC1〜C8アルキルSn部分、好ましくはトリC1〜C6アルキルSn部分、最も好ましくはトリC1〜C4アルキルSn部分(例えば、メチル、エチル、プロピル、またはブチル)である。
【0044】
本発明の方法は、患者の器官または身体領域、好ましくは脳内のアミロイド沈着物の存在および位置を決定する。本発明の方法は、上記に定義される「検出可能化合物」とよばれる構造A〜EまたはF〜Jから選択される、アミロイド結合化合物またはその薬学的に許容される水溶性塩を含む、検出可能な量の薬学的組成物の患者への投与を含む。「検出可能な量」は、投与された検出可能な化合物の量がその化合物のアミロイドへの結合の検出に十分であることを意味する。「画像化有効量」は、投与した検出可能な化合物の量がその化合物のアミロイドへの結合の画像化に十分であることを意味する。
【0045】
本発明は、磁気共鳴分光法(MRS)もしくは画像化(MRI)などの非侵襲性神経画像化、または陽電子放出断層撮影法(PET)もしくは単一光子放出型コンピュータ断層撮影法(SPECT)などのγ画像化と共に、インビボでのアミロイド沈着の定量に使用されるアミロイドプローブを使用する。「インビボ画像法」という用語は、上記の構造A〜EまたはF〜Jから選択される標識チオフラビン誘導体を検出する、任意の方法をいう。γ画像化のために、試験される器官または領域から放出された照射を測定し、全結合として、または1組織中の全結合を同一のインビボ画像化における同一の被験体の別の組織における全結合に標準化(例えば、割る)した比のいずれかとして示す。インビボでの全結合を、同量の標識化合物を標識されていないが化学的に同一の大量の過剰な化合物と共に、第2の注射をすることによる補正の必要のないインビボ画像技術によって、組織中に検出された全シグナルと定義する。「被験体」は、哺乳動物、好ましくはヒト、最も好ましくは痴呆の疑いのあるヒトである。
【0046】
インビボ画像化のために、利用可能な検出装置型は、所与の標識の選択における重要な要因である。例えば、放射性同位体および19Fは、本発明の方法におけるインビボ画像化で特に適切である。使用される装置型は、放射性核種または安定な同位体の選択を導くと考えられる。例えば、選択された放射性核種は、所与の装置型によって検出可能な崩壊型を有さなければならない。別の検討材料は、放射性核種の半減期に関する。半減期は、標的による最大取り込み時間に検出可能であるように十分に長いが、宿主が有害な照射を受けないように十分短くあるべきである。本発明の放射性標識化合物を、適切な波長の放出γ照射が検出されるγ画像化を使用して検出することができる。γ画像化には、SPECTおよびPETが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、SPECT検出については、選択される放射性標識は微粒子の放出を欠くが、140keVから200keVの範囲で多数の光子を発生する。PET検出については、放射性標識は、消滅してPETカメラで検出される2つの511keVのγ線を放出する、19Fなどの陽電子放出放射性核種であると考えられる。
【0047】
本発明では、アミロイド沈着のインビボ画像化および定量に有用なアミロイド結合化合物/プローブを作製する。これらの化合物は、磁気共鳴分光学(MRS)または画像化(MRI)などの非侵襲性神経画像化、または陽電子放出断層撮影法(PET)もしくは単一光子放出型コンピュータ断層撮影法(SPECT)とともに使用される。本発明によれば、チオフラビン誘導体を、MRS/MRIのために当技術分野において公知の一般的な有機化学技術によって19Fまたは13Cで標識することができる。例えば、マーチ(March), J. 、「有機化学特論:反応、機構、および構造(ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY:REACTIONS, MECHANISMS, AND STRUCTURE)」、第3版、1985(その内容が参照として本明細書に組み入れられる)を参照のこと。チオフラビン誘導体を、PEのために当技術分野において周知の技術によって、18F、11C、75Br、または76Brで放射性標識することもでき、これは、Fowler,J. and Wolf,A. 、「POSITRON EMISSION TOMOGRAPHY AND AUTORADIOGRAPHY(陽電子放射断層撮影法およびオートラジオグラフィー)」(Phelps,M., Mazziota, J.およびSchelbert,H編)、391〜450(Raven Press、NY、1986)(その内容が参照として本明細書に組み入れられる)に記載されている。チオフラビン誘導体を、SPECTのために当技術分野において公知の任意のいくつかの技術によって123Iで放射性標識することもできる。例えば、クルカーン(Kulkarni)、Int. J. Rad. Appl. & Inst. (PartB)、18、647、1991(その内容が参照として本明細書に組み入れられる)を参照のこと。さらに、チオフラビン誘導体を、ヨウ化ジアゾニウムを介したジアゾ化アミノ誘導体の直接的ヨウ化(Greenbaum, F. 、Am. J. Pharm. 、108、17、1936を参照のこと)によるか、または不安定なジアゾ化アミンの安定なトリアゼンへの変換によるか、または非放射性ハロゲン化前駆体の、当技術分野において周知のいくつかの方法によってヨウ素化合物に変換することができる、安定なトリアルキルスズ誘導体への変換によって、任意の適切な放射性ヨウ素同位体(131I、125I、または123Iが含まれるが、これらに限定されない)で標識することができる。サチャマーシー(Satyamurthy)およびバリオ(Barrio) J. 、Org. Chem. 、48、4394、1983;グッドマン(Goodman)ら、J. Org. Chem. 、49、2322、1984;およびマティス(Mathis)ら、J. Labell. Comp. and Radiopharm. 、1994、905;チャンプラディット(Chumpradit)ら、J. Med. Chem. 、34、877、1991;ジャング(Zhuang)ら、J. Med. Chem. 、37、1406、1994;チャンプラディット(Chumpradit)ら、J. Med. Chem. 、37、4245、1994を参照のこと。例えば、チオフラビンの安定なトリアゼンもしくはトリアルキルスズ誘導体またはその類似体を、131I、125I、123I、76Br、75Br、18F、または19Fを含むハロゲン化剤と反応させる。したがって、チオフラビンの安定なトリアルキルスズ誘導体およびその類似体は、本発明の範囲内の多数の放射性標識化合物の合成に有用な、新規の前駆体である。したがって、これらのトリアルキルスズ誘導体は、本発明の1つの態様である。
【0048】
チオフラビン誘導体を、既知の金属放射性標識(テクネチウム-99m(99mTc)など)で放射性標識することもできる。放射性標識分野の当業者は、過度の実験を行うことなく、このような金属イオンに結合するリガンドを導入するための置換基の修飾を行うことができる。次いで、金属放射性標識リボフラビン誘導体を使用して、アミロイド沈着物を検出することができる。Tc99mの放射性標識誘導体の調製は、当技術分野において周知である。例えば、ジャング(Zhuang)ら、「中性および立体特異的Tc99m複合体:[99mTc]N-ベンジル-3,4-ジ-(N-2-メルカプトエチル)-アミノ-ピロリジン(P-BAT)(Neutral and streptospecific Tc-99m complexes:[99mTc]N-benzyl-3,4-di-(N-2)mercaptoethylamino-pyrrolidines(P-BAT))」、Nuclear Medicine & Biology、26(2)、217〜24、1999;オヤ(Oya)ら、「新規の脳造影剤の開発のための小さな中性Tc(v)O BAT、ビスアミノエタネイオール(N2S2)複合体(Small and neutral Tc(v)O BAT, bisaminoethanethiol(N2S2) complexes for developing new brain imaging agents)」、Nuclear Medicine & Biology、25(2)、135〜40、1998;およびオム(Hom)ら、「テクネチウム-99m標識受容体特異的小分子放射性医薬品:現在の開発および有望な結果(Technetium-99m-labeled receptor-specific small-molecule radiopharmaceuticals:recent developmentsおよびencouraging results)」、Nuclear Medicine & Biology、24(6)、485〜98、1997を参照のこと。
【0049】
本発明の方法は、インビボ画像化および分光学の目的のための核磁気共鳴分光法によって検出可能な同位体を使用することができる。磁気共鳴分光法で特に有用な元素には、19Fおよび13Cが含まれる。
【0050】
本発明の目的に適切な放射性同位体には、βエミッター、γエミッター、陽電子エミッター、およびX線エミッターが含まれる。これらの放射性同位体には、131I、123I、18F、11C、75Br、および76Brが含まれる。本発明の磁気共鳴画像化(MRI)または分光法(MRS)での使用に適切で安定な同位体には、19Fおよび13Cが含まれる。生検および死後組織のホモジェネート中のアミロイドのインビトロ定量に適切な放射性同位体には、125I、14C、および3Hが含まれる。好ましい放射性同位体は、インビボ画像化におけるPETでの使用には11Cまたは18Fであり、SPECT画像化での使用には123Iであり、MRS/MRIには19Fであり、インビトロ研究では3Hまたは14Cである。しかし、本発明では任意の従来の診断プローブ視覚化法を使用することができる。
【0051】
本方法を使用して、軽度または臨床的に分かりにくい症例におけるADを診断することができる。この技術はまた、ダウン症候群、家族性AD、およびアポリポタンパク質E4対立遺伝子のホモ接合体などの、アミロイド沈着の危険性が高いヒト集団におけるアミロイド沈着の長期的研究を可能にする。コーダー(Corder)ら、Science、261、921、1993。アミロイド沈着の一過性の配列を追跡可能な方法により、痴呆が発症し始めるはるか以前に沈着が起こるかどうかまたは沈着は痴呆に無関係であるかどうかを同定することができる。本方法を使用して、アミロイド沈着の予防を標的とした治療の効果をモニターすることができる。
【0052】
一般に、検出用標識チオフラビン誘導体の投薬量は、患者の年齢、状態、性別、および疾患の程度、禁忌、存在するならば、併用療法、および当技術分野の医師によって調整される他の変数などの検討材料に依存して変化しうる。投薬量は、0.001μg/kgから10μg/kg、好ましくは0.01μg/kgから1.0μg/kgで変化し得る。
【0053】
被験体への投与は、局所的でも全身性でもよく、静脈内、動脈内、髄腔内(脊髄液を介する)などに行われる。投与はまた、試験される身体部位に依存して皮内または腔内であり得る。化合物がアミロイドに結合するために十分な時間が経過した後(例えば30分から48時間)、被験体の調査対象領域を、日常的な画像化(MRS/MRI、SPECT、平面シンチレーション画像化、PET、および任意の新規の画像化など)によって試験する。正確なプロトコールは、必ず上記の患者に特異的な要因に依存し、かつ試験される身体部位、投与方法、および使用する標識の種類に依存して変化し、特定の方法の決定は、当業者には日常的である。脳画像化では、好ましくは、本発明の結合性放射性標識チオフラビン誘導体または類似体の量を測定し、患者の小脳に結合した標識チオフラビンの量(比として)と比較する。次いでこの比を、適合年齢の正常な脳の同一の比と比較する。
【0054】
本発明の薬学的組成物は、注射用組成物の形態で有利に投与されるが、周知の薬物送達系(例えば、経口、直腸、非経口(静脈内、筋肉内、または皮下)、槽内、膣内、腹腔内、局所(粉末、軟膏、またはドロップ)、または舌下もしくは鼻内噴霧)に処方することもできる。このような目的のための典型的な組成物は、薬学的に許容される担体を含む。例えば組成物は、NaCl含有緩衝液1mlあたり約10mgのヒト血清アルブミンおよび約0.5μgから500μgの標識チオフラビン誘導体を含み得る。他の薬学的に許容される担体には、例えば、「レミントンの薬科学(REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES)」、第15版、イーストン(Easton)編:Mack Publishing Co. 、1405〜1412および1461〜1487、1975ならびに「国民医薬品集 XIV(THE NATIONAL FORMULARY XIV)」、第14版、ワシントン(Washington)編、米国薬学会、1975(その内容が参照として本明細書に組み入れられる)に記載のように、水溶液、無毒性添加剤(塩、防腐剤、緩衝液を含む)などが含まれる。
【0055】
非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、および注射用有機エステル(エチルオレエートなど)である。水性担体には、水、アルコール溶液/水溶液、生理食塩水、非経口賦形剤(塩化ナトリウム、リンゲルデキストロースなど)が含まれる。静脈内賦形剤には、流体および栄養補充薬が含まれる。防腐剤には、抗菌薬、抗酸化薬、キレート剤、および不活性ガスが含まれる。薬学的組成物の種々の成分のpHおよび正確な濃度を、当技術分野において日常的な技術によって調整する。グッドマン(Goodman)およびギルマン(Gilman)、「基礎治療薬理学(THE PHARMACOLOGICAL BASIS FOR THERAPEUTICS)」(第7版)を参照のこと。
【0056】
本発明の特に好ましい薬学的組成物は、インビボでのアミロイドへの特異的結合に加えて、血液脳関門を通過することができ、適切な投薬レベルで無毒であり、効果が十分に持続するものである。
【0057】
本発明によれば、チオフラビンアミロイド結合化合物を含む薬学的組成物を、アミロイドまたはアミロイド原線維形成が予想される被験体に投与する。好ましい態様では、このような被験体はヒトであり、例えば、老人、非痴呆集団、ならびにアミロイドーシス関連疾患および2型真性糖尿病患者を含む、脳アミロイドを発症する危険性のあるヒトが含まれる。「予防」という語は、原線維形成に関連する細胞変性および毒性の改善を含むことが意図される。「改善」は、痴呆などの毒性の徴候をすでに示している患者における、より重篤な形態の細胞変性および毒性の治療または予防を意味する。
【0058】
薬学的組成物は、上記のチオフラビンアミロイド結合化合物および薬学的に許容される担体を含む。1つの態様では、このような薬学的組成物は、血清アルブミン、チオフラビンアミロイド結合化合物、およびNaCl含有リン酸緩衝液を含む。他の薬学的に許容される担体には、例えば、「レミントンの薬科学(REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES)」、第15版、イーストン(Easton)編:Mack Publishing Co. 、1405〜1412および1461〜1487、1975ならびに「国民医薬品集 XIV(THE NATIONAL FORMULARY XIV)」、第14版、ワシントン(Washington)編、米国薬学会、1975、および「米国薬局方XVIII(UNITED STATES PHARMACOPEIA XVIII)」、第18版、ワシントン(Washington)編、米国薬学会、1995(その内容が参照として本明細書に組み入れられる)に記載の塩、防腐剤、緩衝液などを含む、水溶性の非毒性賦形剤が含まれる。
【0059】
非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、および注射用有機エステル(エチルオレエートなど)である。水性担体には、水、アルコール溶液/水溶液、生理食塩水、非経口賦形剤(塩化ナトリウム、リンゲルデキストロースなど)が含まれる。静脈内賦形剤には、流体および栄養補充薬が含まれる。防腐剤には、抗菌薬、抗酸化薬、キレート剤、および不活性ガスが含まれる。薬学的組成物の種々の成分のpHおよび正確な濃度を、当技術分野において日常的な技術によって調整する。グッドマン(Goodman)およびギルマン(Gilman)、「基礎治療薬理学(THE PHARMACOLOGICAL BASIS FOR THERAPEUTICS)」(第7版)を参照のこと。
【0060】
本発明によれば、本発明の薬学的組成物を、液体もしくは固体の形態で経口投与するか、または懸濁液もしくは溶液の形態で静脈内注射もしくは筋肉内注射することができる。「薬学的有効量」という語は、原線維形成に関連する細胞変性および毒性を予防する量を意味する。このような量は、必ず患者の年齢、体重、および状態に依存して変化し、当業者によって周知のプロトコールにしたがって調整される。1つの態様では、投薬量は、0.1mg/kg/日と100mg/kg/日との間であるか、1日に2回から4回投与するためにより少ない投薬量に分割される。このような投与計画を、患者の生活において毎日継続する。または、薬学的組成物を、0.1mg/kgから100mg/kgの用量で1週間から6週間ごとに筋肉内投与することができる。
【0061】
生検または死後組織中のアミロイド沈着物の検出法に関する本発明の局面によれば、本方法は、ホルマリン固定組織を上記の構造A〜EまたはF〜Jから選択される、チオフラビンアミロイド結合化合物溶液とインキュベートする段階を含む。好ましくは、溶液は、本発明のチオフラビンアミロイド結合化合物で飽和した25%から100%のエタノール(残りは水である)である。インキュベーションの際、化合物は組織中のアミロイド沈着物を染色または標識し、染色または標識された沈着物を任意の標準的方法によって検出するかまたは視覚化することができる。このような検出手段には、明視野顕微鏡法、蛍光顕微鏡法、レーザー共焦点顕微鏡法、および直交偏光顕微鏡法などの顕微鏡法が含まれる。
【0062】
生検または死後組織中のアミロイド量の定量法は、本発明の標識チオフラビン誘導体またはその水溶性無毒塩を、生検または死後組織のホモジェネートとインキュベートする段階を含む。組織を得て、当技術分野において周知の方法によってホモジェネートする。好ましい標識は放射性標識であるが、酵素、化学発光化合物、および免疫蛍光化合物などの他の標識が当業者に周知である。好ましい放射性標識は、125I、14C、または3Hであり、構造A〜EまたはF〜Jから選択されるアミロイド結合化合物の好ましい標識置換基は、少なくとも1つのR3〜R14である。アミロイド沈着物を含む組織は、本発明のチオフラビンアミロイド結合化合物の標識誘導体に結合する。次いで結合組織を、当業者に既知の任意の機構(濾過など)によって非結合組織から分離する。次いで結合組織を、当業者に既知の任意の手段によって定量することができる。組織結合性放射性標識チオフラビン誘導体の単位を、既知量のアミロイドを放射性標識チオフラビン誘導体とインキュベーションすることによって得られる検量線との比較によって、組織100mgあたりのアミロイドのμg単位に変換する。
【0063】
アルツハイマー病脳と正常な脳とを区別する方法は、正常な被験体およびアルツハイマー病の疑いのある被験体由来の(i)小脳および(ii)同一の脳の小脳以外の別領域を得る段階を含む。このような組織を、当業者に周知の方法を使用して個別のホモジェネートにし、放射性標識チオフラビンアミロイド結合化合物とインキュベートする。次いで、放射性標識チオフラビンアミロイド結合化合物に結合する組織の量を、各組織型(例えば、小脳、非小脳、正常、異常)について計算し、小脳組織に対する非小脳組織の結合比を、正常な被験体由来の組織およびアルツハイマー病を有する疑いのある患者由来の組織について計算する。これらの比を比較する。アルツハイマー病を有する疑いのある脳由来の比が、正常な脳から得た比の90%を超える場合、アルツハイマー病と診断する。正常な比を、先に得たデータから得ることができるか、または疑いのある脳組織の研究と同時に再計算することができる。
【0064】
分子モデリング
逆平行β構造中にAβペプチド鎖を作製するために、コンピュータモデリングプログラム(Alchemy2000 Tripost,Inc. 、St. Louis、MO)を使用して分子モデリングを行った。キルシュナー(Kirschner)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、83、503、1986。アミロイドペプチドを、ヘパリンループ中に置き(Hilbichら、J. Mol. Biol. 、218、149、1991)、さらなる構造を改良せずに使用した。βシート原線維に特徴的な、他の鎖と4.76Åの間隔をあけるようにAβペプチドを整列させた。キルシュナー(Kirschner)、前出。チオフラビンT誘導体をエネルギー的に最小にし、AβのAsp-23/Gln-15/His-13(1〜42)と最大に接触するように原線維モデルと整列させた。
【0065】
Aβ合成ペプチドへの特異的結合の特徴づけ:親和性、速度論、最大結合
チオフラビン誘導体結合の特徴を、クリサミンG結合について以前に記載のように、合成Aβ(1〜40)および2-(4'-[11C]メチルアミノ-フェニル)-ベンゾチアゾール([N-メチル-11C]BTA-1)のリン酸緩衝生理食塩水(pH7.0)溶液またはグリシン緩衝液/20%エタノール(pH8.0)溶液を使用して分析した。クランク(Klunk)ら、Neurobiol. Aging、15、691、1994。
【0066】
Aβ(1〜40)のアミノ酸配列を以下に示す。

【0067】
組織染色用のチオフラビン誘導体の調製
チオフラビンS(ThS)およびチオフラビンT(ThT)を、ファルマコフォア(pharmacophore)として使用した(例えば、図1を参照のこと)。両化合物は、第四級アミンを含むので、結果として非常に親水性が高いことに留意のこと。
【0068】
[C-14]ThTを合成し、これを使用してオクタノールとリン酸緩衝生理食塩水との間の分配によって、相対的親油性を判定した。分配係数の対数logPoctは、[C-14]ThTでは0.57であった。第四級アミンにより、ThTは有効な脳造影剤としての使用には極性が高過ぎると判定された。親油性コンゴレッド誘導体の結果に基づいて(生理学的pHで非電荷のフェノールであるが、約pKa8.5で潜在的にイオン化可能である)(Klunkら、国際公開公報第9634853A1号、国際公開公報第9847969A1号、国際公開公報第09924394A2号)、本発明者らはThT誘導体についてベンゾチアゾール窒素からメチル基を除去した。メチル部分の除去により、分子の複素環部分から荷電第四級アミンが消失し、典型的には約pKa5.5である芳香族アミンが遊離した。塩基性骨格をBTA(BenzoThiazole-Aniline:ベンゾチアゾール-アニリン)と命名される、ThT誘導体の速記命名法を使用する。ベンゾチアゾール環上の置換基は、「B」の前に置き、アニリン窒素上のメチル基数を「A」の後に置く(例えば、図2を参照のこと)。
【0069】
i. ThTおよび誘導体での予備組織染色
ThT(例えば、図1を参照のこと)は、アミロイドの組織学的染色として使用されている蛍光色素である(Burnsら、「チオフラビンTでのアミロイド沈着物の染色特異性(The specificity of the staining of amyloid deposits with thioflavine T)」、Journal of Pathology & Bacteriology、94、337〜344、1967)。ThTは、AD脳中の斑(例えば、図3を参照のこと)、変化(tangle)、神経網糸、および脳血管のアミロイド(CVA)をわずかに染色する。予備組織染色は、2-(4'-アミノフェニル)-6-メチル-ベンゾチアゾール(6-Me-BTA-O)および第四級アミン2-(4'-ジメチルアミノフェニル)-6-メチル-ベンゾチアゾール(6-Me-BTA-2)もまた、死後AD脳中の斑および変化を染色することを示す(例えば、図3参照のこと)。6-Me-BTA-Oおよび6-Me-BTA-2の濃度を段階的に減少させる実験では、6-Me-BTA-Oおよび6-Me-BTA-1による染色は、いずれも依然として10nMのBTA化合物のみを含む染色溶液で検出できることが示された。対照的に、BTP(2-フェニルベンゾチアゾール)は斑を染色しないようであるが、この化合物は、BTA誘導体ほど蛍光性を示さない。したがって、これらの化合物の開発において、組織染色は、AD脳内での染色特異性の評価、ならびに結合アッセイで使用した濃度と類似の濃度範囲を超える、染色溶液のスクリーニングによる結合親和性の評価の2つの目的に使用した。
【0070】
ii. コンゴレッド誘導体およびThTのAβへの結合モデル
ThTのβアミロイドへの結合機構についてはいくつかの理論が存在するが、特定の理論が証明も容認もされていない。しかし、この機構は特異的かつ飽和可能である(LeVine、「チオフラビンTでのβシートアミロイドアミロイド原線維構造の定量(Quantification of beta-sheet amyloid fibril structures with thioflavinT)」、Meth. Enzymol. 、309、272〜284、1999)。したがって、以下の構造および結合特性に基づいて、Aβ上の潜在的結合部位を位置付けて、コンゴレッド(CR)/クリサミンG(CG)結合モデル(Klunkら、「アルツハイマー病のβアミロイドタンパク質の小分子プローブの開発(Developments of small molecule probes for the beta-amyloid protein of Alzheimer's disease)」、Neurobiol. Aging、15、691〜698、1994)と類似の様式で結合モデルを開発することが可能なはずである。第1に、ThTおよびCGは生理学的pHde正電荷であり、共通の結合部位を有する可能性は低い。これは、Aβ原線維への[3H」CG結合についてのThTの競合の欠損によって支持される(例えば、図5を参照のこと)。
【0071】
Aβ原線維についての以前の構造研究(Hilbichら、「アルツハイマー病の合成アミロイドβA4ペプチドの凝集および二次構造(Aggregation and secondary structure of synthetic amyloid beta A4 peptides of Alzheimer's disease)」、Journal of Molecular Biology、218、149〜63、1991)ならびにAβ原線維へのCRおよびCG結合により、静電気および疎水性相互作用の組み合わせによってCGがLvs-16領域に結合する分子モデルが示唆される(例えば、図4を参照のこと)。ルバイン(LeVine)の研究(LeVine、前出)は、ThTがAβ12〜28に十分に結合するがAβ25〜35にほとんど結合しないことを示すことにより、AβへのThT結合部位の位置付けを補助している。これにより、ThT結合部位がAβの残基12と24との間のどこかに存在することが示唆される。正電荷のThT(第四級アミン)がAβ上の負電荷(酸性)残基に誘引される可能性がある。アミノ残基12と24の間では、酸性残基はGlu-22およびAsp-32のみである。これらの両方が候補である一方で、既存モデルは、Glu-22はCGのLys-16結合部位の非常に近くに含まれる。現行の「作業」モデルは、提案されたCG部位由来の原線維の反対側のAsp-23領域にThT結合を位置付けている。ThT(およびCG)の鍵となる特徴はβシート原線維の存在であるので、結合には1つを超えるアミノ酸残基が必要なはずである。通常単量体では相互作用しない残基がβシート原線維中に集結した場合、結合部位が存在する。したがって、いかなる理論にも拘束されないが、ThTもまた、βシート原線維を含む個別の隣接Aβ分子のHis-13およびGln-15への水素結合を介して、相互作用すると考えられる。
【0072】
iii. ThTの放射性標識および放射性リガンド結合アッセイ
組織染色による結合の評価、特に特異性の評価が有用である。あまり蛍光性を示さない化合物BTPは、十分に結合しないかまたは十分に蛍光を発しないために、染色され得ない。AD組織染色に加えて、分光光度法によって定量的な結合アッセイを行うことができる(LeVine、前出)。このアッセイは、ThTがアミロイド原線維に結合する場合に起こる、異染性スペクトルシフトに依存する。このアッセイは、この異染性シフトを示す蛍光性の高い化合物を個別にスクリーニングするのに有用であり得る一方で、競合アッセイには有用でないと判定されている。例えば、被験化合物(例えば、CG)はThT-Aβ複合体(およびThTのみ)の蛍光を消光することが一般に認められている。消光するがThT部位に結合しない化合物は、誤って結合するようである。したがって、凝集Aβを使用した典型的な放射性リガンド結合アッセイにおいて放射性標識ThTを使用することが好ましい。このアッセイでは、フィルター上に捕捉されたAβへの放射性標識ThT結合の阻害は、真のThT結合阻害を示し、被験化合物の蛍光性が高い必要はない。
【0073】
本発明を例示するために以下の実施例を示す。しかし、本発明はこれらの実施例に記載の特定の条件および項目に制限されないと理解されるべきである。明細書を通して、米国特許を含む公的に利用可能な書類についての任意および全ての参考文献は、特に参照して本特許出願に組み入れられる。
【実施例】
【0074】
合成に使用した全試薬は、アルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Company)から購入し、さらに精製せずに使用した。融点を、Mel-TEMP IIにて測定し、これを補正していなかった。全化合物の1H NMRスペクトルは、内部標準としてTMSを使用してBruker300にて測定し、それらのスペクトルは割り当てた構造と一致していた。EMサイエンス(EM Science)のシリカゲル60 F264を使用してTLCを行い、UVランプ下で検出した。マリンクロッズ社(Mallinckrodt Company)から購入したシリカゲル60(230〜400メッシュ)にてフラッシュクロマトグラフィーを行った。逆相TLCをホワイトマン社(Whiteman Company)から購入した。
【0075】
合成例
実施例1:プリムリン塩基誘導体の合成
経路1:プリムリン化合物の合成例は、以下に記載の反応スキームによる:
【化425】

プリムリン誘導体を、2-アミノ-5-メチルチオフェノールと2-(p-ニトロフェニル)-ベンゾチアゾール-6-カルボン酸クロリドとの縮合およびその後のエタノール中でのニトロ基の塩化スズによる還元を介するシューベルト法(Schubert,M. Zur Kenntnis der Dehydrothiotoluidin- and Primulin-sulfosauren、Justus Liebigs Ann. Chem. 、558、10〜33、1947)に基づいて調製する。適切な置換p-ニトロベンゾイルクロリドおよびR7〜R10置換2-アミノチオフェノールを使用してプリムリン塩基の置換誘導体を合成する。
【0076】
上記と同一の方法に続いて、他の主張したプリムリン誘導体を、適切な置換3-メルカプト-4-アミノ安息香酸誘導体(例えば、2-、5-、もしくは6-メチル-3-メルカプト-4-アミノ安息香酸)、適切な4-ニトロ-ベンゾイルクロリド誘導体(例えば、2-もしくは3-メチル-4-ニトロ-ベンゾイルクロリド)、または適切な2-アミノ-5-メチルチオフェノール誘導体(例えば、3,5-、4,5-、もしくは5,6-ジメチル-2-アミノチオフェノール)の置換によって合成することができる。
【0077】
実施例2:2-[2-(4'-アミノフェニル)-エチレニル]-ベンゾチアゾール誘導体の合成
経路3:BTEAおよびBTAA化合物群の代表であるBTEA-0、1、2およびBTAA-0、1、2の合成例は、以下に示す反応スキームに従った:
【化426】

【0078】
(a)トランス-2-(4-ニトロフェニルエテニル)ベンゾチアゾール(11)
トランス4-ニトロシンナミルクロリド10(1.77g、9.5mmol、1.2当量)のDMF(20ml)溶液を、2-アミノチオフェノール9(1.0g、8.0mmol)のDMF(15ml)溶液に室温で滴下して加えた。反応混合物を、室温で一晩撹拌した。反応混合物を10%炭酸ナトリウム溶液(100ml)に注いだ。減圧濾過によって沈殿を回収した。メタノールからの再結晶により、1.92g(85.1%)の生成物11を得た。
【0079】
(b)2-(4-アミノフェニルエテニル)ベンゾチアゾール(12)
2-(4-ニトロフェニルエテニル)ベンチアゾール11(500mg、1.7mmol)と塩化スズ(II)二水和物(1.18g、5.2mmol)混合物の無水エタノール(20ml)溶液を、N2下で4時間還流した。真空蒸発によってエタノールを除去した。残渣を、酢酸エチル(20ml)に溶解し、NaOH溶液(1N、3×20ml)および水(3×20ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥させた。蒸発乾固によって、40mg(8.0%)の生成物12が得られた。
【0080】
(c)2-(4-メチルイミノフェニルエテニル)ベンゾチアゾール(13)
2-(4-アミノフェニルエテニル)ベンゾチアゾール12(7mg)、Mel(3.9mg)および無水K2CO3(100mg)混合物のDMSO(無水、0.5ml)溶液を、100℃で16時間加熱した。反応混合物を、逆相TLC(MeOH:H2O=7:1)で精製して、2.5mg(32.7%)の生成物13を得た。
【0081】
(d)2-(4-アミノフェニルエチレン)ベンゾチアゾール(14)
2-(4-ニトロフェニルエテニル)ベンゾチアゾール(30mg、0.10mmol)を、MeOH(10mL)に溶解した。Pd/C(10%、40mg)を添加し、反応混合物を、室温のH2雰囲気下で60時間撹拌した。触媒を濾過し、メタノール(約2ml)で洗浄した。濾液の蒸発によって粗生成物が得られ、これをTLC(ヘキサン:酢酸エチル=70:40)で精製して、15mg(50%)の生成物を得た。

【0082】
(e)2-(4-ジメチルアミノフェニルエテニル)ベンゾチアゾール(16)
2-アミノチオフェノール9(0.51g、4.1mmol)、トランス-4-ジメチルアミノ桂皮酸14(0.79g、4.1mmol)、およびPPA(10g)の混合物を、220℃で4時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、10%炭酸カリウム溶液(約400mL)に注いだ。減圧濾過によって残渣を回収した。フラッシュカラム(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)での精製によって、黄色固体として560mg(48.7%)の生成物15を得た。
【0083】
(f)2-(4-ジメチルアミノフェニルエチレン)ベンゾチアゾール(17)
2-(4-ジメチルアミノフェニルエテニル)ベンゾチアゾール(12mg、0.038mmol)を、MeOH(5mL)中に溶解した。Pd/C(10%、20mg)を添加し、反応混合物を、室温のH2雰囲気下で16時間撹拌した。触媒を濾過し、メタノール(約1ml)で洗浄した。濾液の蒸発により、7mg(58%)の生成物を得た。

【0084】
実施例3:2-(4'-アミノフェニル)-ベンゾチアゾール誘導体の合成
経路1:置換基R7〜R10およびR3〜R6を有するBTA化合物群の代表である、6-MeO-BTA-0、-1、-2の合成例(Shiら、「抗腫瘍ベンゾチアゾール 3、2-(4-アミノフェニル)ベンゾチアゾールの合成ならびにインビトロおよびインビボにおける乳癌細胞系に対するそれらの活性評価(Antitumor Benzothiazoles. 3. Synthesis of 2-(4-Aminophenyl)benzothiazoles and Evaluation of Their Activities against Breast Cancer Cell Lines in Vitro and in Vivo)」、J. Med. Chem. 39:3375-3384、1996):
【化427】

【0085】
(a)4-メトキシ-4'-ニトロベンズアニリド(3)
p-アニシジン1(1.0g、8.1mmol)を無水ピリジン(15ml)中に溶解し、4-ニトロベンゾイルクロリド2(1.5g、8.1mmol)を添加した。反応混合物を室温で16時間静置した。反応混合物を水に注ぎ、真空濾過によって沈殿物を回収し、5%炭酸水素ナトリウム(2×10ml)で洗浄した。生成物3を、さらなる精製をせずに次の段階で使用した。

【0086】
(b)4-メトキシ-4'-ニトロチオベンズアニリド(4)
4-メトキシ-4'-ニトロチオベンズアニリン3(1.0g、3.7mmol)およびラウェッソン試薬(0.89g、2.2mmol、0.6当量)混合物のクロロベンゼン(15mL)溶液を、4時間加熱還流した。溶媒を蒸発させ、残渣をフラッシュカラム(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製して、橙色固体として820mg(77.4%)の生成物4を得た。

【0087】
(c)6-メトキシ-2-(4-ニトロフェニル)ベンゾチアゾール(5)
4-メトキシ-4'-ニトロチオベンズアニリド4(0.5g、1.74mmol)を、少量のエタノール(約0.5mL)で湿らせ、30%水酸化ナトリウム水溶液(556mg、13.9mmol、8当量)を添加した。混合物を水で希釈して、最終的に10%水酸化ナトリウム水溶液溶液/懸濁液とした。この混合物のアリコートを、80℃〜90℃の撹拌フェリシアン化カリウム(2.29g、6.9mmol、4当量)水溶液(5mL)に1分間隔で添加した。反応混合物をさらに0.5時間加熱し、冷却した。真空濾過によって沈殿物を回収し、水で洗浄し、フラッシュカラム(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)での精製によって、130mg(26%)の生成物5を得た。

【0088】
(d)6-メトキシ-2-(4-アミノフェニル)ベンゾチアゾール(6)
6-メトキシ-2-(4-ニトロフェニル)ベンゾチアゾール5(22mg、0.077mmol)および塩化スズ(II)二水和物(132mg、0.45mmol)混合物の煮沸エタノール溶液を、窒素下で4時間撹拌した。エタノールを蒸発させ、残渣を酢酸エチル(10mL)に溶解し、1N水酸化ナトリウム(2mL)および水(5mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させた。溶媒の蒸発により、黄色固体として19mg(97%)の生成物を得た。
【0089】
(e)6-メトキシ-2-(4-メチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール(7)および6-メトキシ-2-(4-ジメチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール(8)
6-メトキシ-2-(4-アミノフェニル)ベンゾチアゾール6(15mg、0.059mmol)、Mel(8.3mg、0.060mmol)、およびK2CO3(100mg、0.72mmol)混合物のDMSO(無水、0.5ml)溶液を、100℃で16時間加熱した。反応混合物を逆相TLC(MeOH:H2O=7:1)で精製して、2.0mg(13.3%)の6-メトキシ-2-4-メチルアミノフェニルベンゾチアゾール7および6mg(40%)の6-メトキシ-2-(4-ジメチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール8を得た。

【0090】
上記と同一の方法にしたがって、他の主張した2-(4'-アミノフェニル)-ベンゾチアゾール誘導体を、適切な置換アニリン誘導体(例えば、2-、3-、または4-メチルアニリン)および適切な4-ニトロ-ベンゾイルクロリド誘導体(例えば、2-または3-メチル-4-ニトロ-ベンゾイルクロリド)の置換によって合成することができる。
【0091】
実施例4:R7〜R10置換基を含まないBTA誘導体の合成
経路2:R7〜R10を含まないBTA群の代表であるBTA-0、-1、-2化合物の合成例(Garmaiseら、「駆虫第四級塩III:ベンゾチアゾリウム塩 (Anthelmintic Quaternary Salts. III. Benzothiazolium Salts)」、J. Med. Chem. 、12、30〜36、1969):
【化428】

【0092】
(a)2-(4-ニトロフェニル)ベンゾチアゾール(19)
4-ニトロベンゾイルクロリド(1.49g、8.0mmol)のベンゼン(無水、10ml)溶液を、2-アミノチオフェノール(1.0g、8.0mmol、10mlベンゼン溶液)に室温で滴下し加えた。反応混合物を16時間撹拌した。反応を水(20mL)で停止させた。水相を分離し、酢酸エチルで抽出した(3×10ml)。化合した有機相を乾燥および蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラム(ヘキサン:酢酸エチル=85:15)で精製して、淡黄色固体として1.5g(73.2%)の生成物を得た。
【0093】
(b)2-(4-アミノフェニル)ベンゾチアゾール(20)
2-(4-ニトロフェニル)ベンゾチアゾール(105mg、0.40mmol)および塩化スズ(II)二水和物(205mg、0.91mmol)混合物のエタノール(20mL)溶液を、N2下で4時間還流した。真空乾燥によるエタノールの除去後、残渣を酢酸エチル(20ml)に溶解し、NaOH溶液(1N、3×20ml)および水(3×20ml)で洗浄し、乾燥させ、蒸発乾固させて、102mg(97%)の生成物を得た。
【0094】
(c)2-(4-メチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール(21)および2-(4-ジメチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール(23)
2-(4-アミノフェニル)ベンゾチアゾール20(15mg、0.066mmol)、Mel(9.4mg、0.066mol)、およびK2CO3(135mg、0.81mmol)混合物のDMSO(無水、0.5ml)溶液を、100℃で16時間加熱した。反応混合物を、逆相TLC(MeOH:H2O=6:1)で精製して、1.5mg(10%)の2-(4-メチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール21および2.5mg(16.7%)の2-(4-ジメチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール(23)を得た。
【0095】
(d)2-(4-ジメチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール(23)
2-アミノチオフェノール9(0.5g、4.0mmol)、4-ジメチルアミノ安息香酸22(0.66g、4.0mmol)、およびPPA(10g)の混合物を、220℃で4時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、10%炭酸カリウム溶液(約400mL)にそそいだ。真空濾過によって残渣を回収し、964mgの生成物23が得られ、これは1HNMR分析に基づいて純度約90%であった。MeOH中で100mgの23を再結晶することにより、80mgの純粋な生成物を得た。

【0096】
上記と同一の方法にしたがって、他の主張した2-(4'-アミノフェニル)-ベンゾチアゾール誘導体を、適切な4-ニトロ-ベンゾイルクロリド誘導体(例えば、2-もしくは3-メチル-4-ニトロ-ベンゾイルクロリド)または適切な4-ジメチルアミノ-安息香酸誘導体(例えば、2-もしくは3-メチル-4-ジメチルアミノ-安息香酸)の置換によって合成することができる。
【0097】
実施例5:ビス-2,2'-(4'-アミノフェニル)-ジベンゾチアゾール誘導体の合成
経路1:上記の6-MeO-BTA化合物についての一般的手順に従うが、p-アニシジンをベンジジンに替え、16当量の4-ニトロベンゾイルクロリドを使用して、以下の化合物を得る。
【化429】

【0098】
上記と同一の方法にしたがって、他のビス-2,2'-(4'-アミノフェニル)-ジベンゾチアゾール誘導体を、適切な置換ベンジジン誘導体(例えば、2,2'-、3,3'-ジメチルベンジジン)および適切な4-ニトロ-ベンゾイルクロリド誘導体(例えば、2-または3-メチル-4-ニトロ-ベンゾイルクロリド)の置換によって合成することができる。
【0099】
経路2:非対称ビス-2,2'-(4'-アミノフェニル)-ジベンゾチアゾール誘導体を、6-MeO-BTA化合物と同一の方法およびその後のニトロ基の還元によって調製することができる、適切な置換6-ヨード-(2-p-ニトロフェニル)ベンゾチアゾールのパラジウム触媒ススキカップリングを介して合成する(Ishiyamaら、「アルコキシジボロンのハロアレーンとのパラジウム(O)触媒交差カップリング反応:アリールボロニックエステルの直接的方法(Palladium (O)-Catalyzed Cross-Coupling Reaction of Alkoxydiboron with Haloarenes:A Direct Procedure for Arylboronic Esters)」、Tetrahedron Lett. 、38、3447、1997)。
【化430】

【0100】
生物学的実施例
実施例6:チオフラビン誘導体のAβに対する親和性および脳への取り込み
3H]CGおよび合成Aβ(1-40)を使用した最初の競合結合研究を行って、CG、ThS、およびThTが同一の部位に結合するかどうかを決定した。ThSはAβ(1-40)上の結合部位について[3H]CGと競合するが、ThTは競合しないことが決定された(例えば、図5を参照のこと)。次いで、高比活性[N-メチル-11C]BTA-1(表1を参照のこと)を、BTA-0のメチル化によって合成した。[N-メチル-11C]BTA-1および200nM Aβ(1-40)原線維を使用して結合研究を行った。[N-メチル-11C]BTA-1の特異的結合は、約70%であった。図5(右のパネルを参照のこと)は、[N-メチル-11C]BTA-1結合アッセイを使用したThT、BTA-0、BTA-1、およびBTA-2によるAβ部位に関する競合曲線を示す。Kiは以下であった:BTA-2については3.0±0.8nM;BTA-1については9.6±1.8nM;BTA-0については100±16nM;ThTについては1900±510nM。ThTの第四級アミンは、Aβ原線維への結合に必要ではないだけでなく、結合親和性を減少させるようである。
【0101】
以下の表1は、マウスにおけるインビトロ結合特性、logP値、ならびにインビボでの脳への取り込みおよび滞留性を同定した、5つの異なる11C標識BTA誘導体である。
【0102】
(表1) いくつかの有望な11C標識チオフラビンT誘導体のインビトロおよびインビボ特性

【0103】
表1に示したデータは顕著であり、11C標識6-MeO-BTA-1およびBTA-1誘導体については特に顕著である。これらの化合物は、Aβに対して比較的高い親和性(Kiは10nM未満)を示し、0.4%ID/gkgを超える(または30gの動物については、13%ID/gを超える)取り込み値で容易にマウス脳に侵入した。さらに、30分の脳放射能濃度値は、0.1%ID/gkg未満であり、2分〜30分の濃度比は4をこえた。両者のN,N-ジメチル化合物は共に、N-メチル誘導体よりもマウス脳組織から速やかに除去されなかった。同様に、現在試験可能な第一級アミン6-MeO-BTA-0のみが脳クリアランスが不十分であった。この驚くべきかつ予測されない結果は、インビボ造影剤として第二級アミン(例えば、-NHCH3)の特異的使用を支持する。
【0104】
実施例7:ヒヒにおけるインビボPET画像試験
20kgから30kgの麻酔ヒヒでの脳画像研究のために、Siemens/CTI HR+断層撮影機を3Dデータ回収モード(公称のFWHM解像度4.5mm)の断層撮影機を使用して、大量の高比活性(>2000Ci/mmol)の11C標識BTA-1、6-Me-BTA-1、および6-Meo-BTA-1を調製した。3mCiから5mCiの放射性追跡子の静脈内注射に続いて脳画像研究を行った。3つの各化合物についての関心対象の前頭皮質領域の典型的な減衰および崩壊補正時間-活性曲線を図6に示す。ヒヒにおけるこれら3つの化合物の絶対的な脳への取り込み量は、マウスに非常に類似していることに留意のこと(すなわち、約0.47%ID/gkgから0.39%ID/gkg)。しかし、3つ全ての放射性追跡子の通常の脳クリアランス速度は、ヒヒではマウスと比較して有意に遅く、ピーク:60分の比は、マウスにおける30分での7.7ほどの高い比と比較して2.4〜1.6の範囲である。3つの化合物の最大の脳取り込みおよびクリアランス速度の順位もまた、マウスおよびヒヒで同一であった。放射性追跡子の脳取り込みは、血流に制限されないようであった(図6、挿入グラフ)。3つ全ての化合物注射後のヒヒにおける動脈血試料が得られ、これらはその代謝プロフィールが非常に類似していることを示した。逆相分析用HPLCカラムの空隙体積(4mL)付近に溶出した極性の高い代謝産物のみが、注射後の全測定時点で血漿中に認められた一方で、非代謝追跡子が約20mLで溶出された。3つ全ての化合物についての血漿中の典型的な非代謝注射物量は、およそ以下であった:2分で90%;30分で35%;および60分で20%。
【0105】
3mCiの[N-メチル-11C]BTA-1のi.v.注射後の、ヒヒ脳の2レベルの横断面PET画像を、図7に示す。注射から5分〜15分後に回収した放射ファイルを合計して画像を得た。脳領域には、以下が含まれる:Ctx(皮質);Thl(視床);Occ(後頭皮質);およびCer(小脳)。正常な脳における局所的結合特異性を欠くことを示す、脳全体にわたる放射能の均一な分布に留意のこと。
【0106】
実施例8:死後のADおよびTgマウス脳におけるアミロイド沈着物の染色
AD脳および8月齢トランスジェニックPS1/APP(このモデルが何を示すか説明する)マウス由来の死後脳組織切片を、非標識BTA-1で染色した。PS1/APPマウスモデルには、3月齢ほどの早期に脳内のアミロイド斑中にAβ原線維が沈着し始める二重トランスジェニックマウスにおいてアルツハイマー病を発症させることが公知の、2つのヒト遺伝子変異が組み合わされている。典型的な蛍光顕微鏡写真を図8に示すが、死後ADおよびPS1/APP脳組織内のBTA-1によるアミロイド斑染色が明らかに目視可能である。脳血管アミロイドが明るく染色された(図8、右)。AD脳の他の特徴的な神経病理学的特徴(神経原線維変化(NFT))は、AD脳でBTA-1によってより弱く染色された(図8、左)。NFTは、アミロイド沈着トランスジェニックマウスモデルでは認められていない。
【0107】
実施例9:トランスジェニックマウスにおけるアミロイド沈着物のインビボ標識および検出
3匹の17月齢PS1/APPトランスジェニックマウスに、単回用量の10mg/kgのBTA-1のDMSO、プロピレングリコール、およびpH7.5のPBS溶液(v/v/v=10/45/45)を腹腔内(ip)注射した。24時間後、多光子顕微鏡を使用し、頭蓋開窓技術(cranial window technique)を使用して生きたマウスの脳の高解像度画像を得た。生きたPS1/APPマウスにおけるBTA-1の典型的なインビボ画像を図9に示し、斑および脳血管アミロイドを明確に区別できる。多光子顕微鏡研究は、生きたPS1/APPトランスジェニックマウスにおけるAβに対するBTA-1のインビボ特異性を示す。
【0108】
本明細書中に開示の本発明の詳細および実施を考慮すれば、本発明の他の局面は当業者に明らかであると考えられる。詳細は例示としてのみ考慮されることが意図され、本発明の真の範囲および趣旨は上記の特許請求の範囲によって示される。
【0109】
本明細書および上記の特許請求の範囲で使用される、単数形「a」、「an」、および「one」は、単数または複数を指すことが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造A〜E:
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

もしくは
【化5】

(式中、ZはS、NR'、O、またはCR'であり、この場合、複素環の正確な互変異性型は、R'がHまたは低級アルキル基:
【化6】

であるインドールとなり、
式中YはNR1R2、OR2、またはSR2であり、
【化7】

または
【化8】

の窒素は第四級アミンではない)
の1つを有するアミロイド結合化合物もしくはその水溶性無毒性塩;または
構造F〜J:
【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

もしくは
【化13】

(式中、Qは以下の構造:
【化14】

(式中nは、0、1、2、3、または4である)、
【化15】

【化16】

【化17】

または
【化18】

の1つから独立して選択され、
式中ZはS、NR'、O、またはC(R')2であり、R'はHまたは低級アルキルであり、
UはCR'(式中、R'はHまたは低級アルキル基)またはN(UがNである場合にQが
【化19】

ではないことを除く)であり、
YはNR1R2、OR2、またはSR2であり、
【化20】

【化21】

の窒素は第四級アミンではなく、
各R1およびR2は、H、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、nは、1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X(式中、XはF、Cl、Br、またはIである)、(C=O)-R'、Rph、および(CH2)nRph(式中、nは、1、2、3、または4であり、Rphは、非置換フェニル基またはR3〜R14について以下に定義される任意の非フェニル置換基から選択されたフェニル置換基による置換フェニル基を示し、R'はHまたは低級アルキル基である)から独立して選択され、
各R3〜R14は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、nは、1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X,O-CH2-CH2-CH2X(式中、XはF、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'=CR2'-Rph(式中、Rphは、非置換フェニル基またはR1〜R14について定義される任意の非フェニル置換基から選択されたフェニル置換基による置換フェニル基を示し、R'はHまたは低級アルキル基である)、トリアルキルスズ、および式W-LまたはV-W-Lのキレート基(キレート化金属基を含むか、または含まない)からなる群より独立して選択され、Vは、COO-、-CO-、-CH2O-、および-CH2NH-からなる群より独立して選択され、Wは-(CH2)n(式中、nは、0、1、2、3、4、または5である)であり、Lは、
【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

もしくは
【化29】

であり、
MはTcおよびReからなる群より選択されるか、または
各R1およびR2は、式W-Lのキレート基(キレート化金属基を含むか、または含まない)であり、Wは-(CH2)n(nは、2、3、4、または5である)であり、Lは、
【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【化36】

もしくは
【化37】

であり、
MはTcおよびReからなる群より選択されるか、または
各R1〜R14は、式W-LおよびV-W-Lのキレート基(キレート化金属基を含むか、または含まない)からなる群より独立して選択され、Vは-COO-および-CO-からなる群より選択され、Wは-(CH2)n(式中nは、2、3、4、または5である)であり、Lは、
【化38】

【化39】

【化40】

【化41】

【化42】

【化43】

【化44】

もしくは
【化45】

であり、
R15は、以下:
H、
【化46】

【化47】

【化48】

【化49】

【化50】

もしくは
【化51】

から独立して選択される)
の1つを有するアミロイド結合化合物もしくはその水溶性無毒性塩;または
式:
【化52】

【化53】

【化54】

【化55】

【化56】

【化57】

【化58】

【化59】

【化60】

もしくは
【化61】

(式中、R15は以下:
H、
【化62】

【化63】

【化64】

【化65】

【化66】

もしくは
【化67】

から独立して選択され、
R16は、
【化68】

もしくは
【化69】

であり、
Qは、以下の構造:
【化70】

(式中、nは、0、1、2、3、または4である)、
【化71】

【化72】

【化73】

もしくは
【化74】

の1つから独立して選択され、
Zは、S、NR'、O、またはC(R')2であり、R'はHまたは低級アルキル基であり、
UはNまたはCR'であり、
YはNR1R2、OR2、またはSR2であり、
各R17〜R24は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、nは、1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X,O-CH2-CH2-CH2X(式中、XはF、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、およびCR'2=CR'2-Rph(式中、Rphは、非置換フェニル基またはR17〜R20について定義される、任意の非フェニル置換基から選択されたフェニル置換基による置換フェニル基を示し、R'はHまたは低級アルキル基である)からなる群より独立して選択される)
のアミロイド結合キレート化合物(キレート化金属基を含むか、または含まない)もしくはその水溶性無毒性塩。
【請求項2】
R1〜R14の少なくとも1つの置換基が、131I、123I、76Br、75Br、18F、CH2-CH2-X、O-CH2-CH2-X、CH2-CH2-CH2-X、O-CH2-CH2-CH2-X(式中、Xは、131I、123I、76Br、75Br、または18Fである)、19F、125I、少なくとも1つの炭素が11Cまたは13Cである、請求項1記載の炭素含有置換基、式W-LもしくはV-W-L(式中Vが-COO-、-CO-、-CH2O-、および-CH2NH-からなる群より選択され、Wが-(CH2)n(式中、nは、0、1、2、3、4、または5である)であり、Lが:
【化75】

【化76】

【化77】

もしくは
【化78】

であり、
M99mTcである)のキレート基(キレート化金属基を含む)、および式W-LもしくはV-W-L(式中Vが-COO-、-CO-、-CH2O-、および-CH2NH-からなる群より選択され、Wが-(CH2)n(式中、nは、0、1、2、3、4、または5である)であり、Lが:
【化79】

【化80】

【化81】

もしくは
【化82】

であり、
R15は以下:
H、
【化83】

【化84】

【化85】

【化86】

【化87】

もしくは
【化88】

から独立して選択される)のキレート基(キレート化金属基を含む)、
または以下の式:
【化89】

【化90】

【化91】

【化92】

もしくは
【化93】

(式中、R15は、以下:
H、
【化94】

【化95】

【化96】

【化97】

【化98】

もしくは
【化99】

から独立して選択され、
R16は、
【化100】

【化101】

(式中、Qは以下の構造:
【化102】

(式中、nは、0、1、2、3、または4である)、
【化103】

【化104】

【化105】

もしくは
【化106】

の1つから独立して選択され、
ZはS、NR'、O、またはC(R')2であり、R'はHまたは低級アルキル基であり、
Uは、NまたはCR'であり、
YはNR1R2、OR2、またはSR2であり、
各R17〜R24は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、nは、1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、O-CH2-CH2-CH2X(式中、XはF、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、およびCR2'=CR2'-Rph(式中、Rphは、非置換フェニル基またはR17〜R20について定義される任意の非フェニル置換基から選択される、フェニル置換基による置換フェニル基を示し、R'はHまたは低級アルキル基である)の請求項1記載のキレート化合物(キレート化金属基を含む)からなる群より選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
ZはSであり、YはNであり、R1はHであり、かつ
請求項1記載のアミロイド結合化合物が構造AまたはEである場合、R2は、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、nは、1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X(式中、XはF、Cl、Br、またはIである)、(C=O)-R'、Rph、および(CH2)nRph(式中、nは、1、2、3、または4である)からなる群より選択され、
請求項1記載のアミロイド結合化合物が構造Bである場合、R2は、(CH2)nOR'(式中、nは、1、2、または3であり、R'はHまたはCH3であり、nは1ではない)、CF3、CH2-CH2X、およびCH2-CH2-CH2X(式中、XはF、Cl、Br、またはIである)からなる群より選択され、
請求項1記載のアミロイド結合化合物が構造Cである場合、R2は、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、nは、1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X(式中、XはF、Cl、Br、またはIである)、(C=O)-H、Rph、および(CH2)nRph(式中、nは、1、2、3、または4である)からなる群より選択され、
請求項1記載のアミロイド結合化合物が構造Dである場合、R2は、(CH2)nOR'(式中、nは、1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X(式中、XはF、Cl、Br、またはIである)、(C=O)-R'、Rph、および(CH2)nRph(式中、nは、1、2、3、または4である)からなる群より選択され、R2が(CH2)nRphである場合、R8はCH3ではない、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
R3〜R14の少なくとも1つの置換基が、131I、123I、76Br、75Br、18F、CH2-CH2-X、O-CH2-CH2-X、CH2-CH2-CH2-X、O-CH2-CH2-CH2-X(式中、Xは、131I、123I、76Br、75Br、または18Fである)、19F、125I、少なくとも1つの炭素が11Cまたは13Cである、請求項1記載の炭素含有置換基、式W-LもしくはV-W-L(Vが-COO-、-CO-、-CH2O-、および-CH2NH-からなる群より選択され、Wが-(CH2)n(式中、nは、0、1、2、3、4、または5である)であり、Lが:
【化107】

【化108】

【化109】

もしくは
【化110】

であり、
M99mTcである)
のキレート基(キレート化金属基を含む)、および式W-LもしくはV-W-L(Vが-COO-、-CO-、-CH2O-、および-CH2NH-からなる群より選択され、Wが-(CH2)n(式中、nは、0、1、2、3、4、または5である)であり、Lが:
【化111】

【化112】

【化113】

もしくは
【化114】

であり、
R15は以下:
H、
【化115】

【化116】

【化117】

【化118】

【化119】

もしくは
【化120】

から独立して選択される)
のキレート基(キレート化金属基を含む);
または以下の式:
【化121】

【化122】

【化123】

【化124】

もしくは
【化125】

(式中、R15は、以下:
H、
【化126】

【化127】

【化128】

【化129】

【化130】

もしくは
【化131】

の1つから独立して選択され、
R16は、
【化132】

もしくは
【化133】

であり、式中、Qは以下の構造:
【化134】

(式中、nは、0、1、2、3、または4である)、
【化135】

【化136】

【化137】

もしくは
【化138】

の1つから独立して選択され、
ZはS、NR'、O、またはC(R')2であり、R'はHまたは低級アルキル基であり、
Uは、NまたはCR'であり、
YはNR1R2、OR2、またはSR2である、
請求項1記載のキレート化合物(キレート化金属基を含む)
からなる群より選択され、
各R17〜R24は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、nは、1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、O-CH2-CH2-CH2X(式中、XはF、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、およびCR2'=CR2'-Rph(式中、Rphは、非置換フェニル基またはR17〜R20について定義される任意の非フェニル置換基から選択される、フェニル置換基による置換フェニル基を示し、R'はHまたは低級アルキル基である)から独立して選択される、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
ZはSであり、YはNであり、R'はHであり、R1はHであり、R2はCH3であり、かつR3〜R14はHである、請求項1記載の構造A〜Eの化合物。
【請求項6】
ZはSであり、YはOであり、R'はHであり、R2はCH3であり、かつR3〜R14はHである、請求項1記載の構造A〜Eの化合物。
【請求項7】
ZはSであり、YはNであり、R'はHであり、R1〜4はHであり、R5はIであり、かつR6〜R14はHである、請求項1記載の構造A〜Eの化合物。
【請求項8】
ZはSであり、YはNであり、R'はHであり、R1〜4はHであり、R5はIであり、R8はOHであり、かつR6〜R7およびR9〜R14はHである、請求項1記載の構造A〜Eの化合物。
【請求項9】
ZはSであり、YはNであり、R'はHであり、R1はHであり、R2はCH2-CH2-CH2-Fであり、R3〜R14はHである、請求項1記載の構造A〜Eの化合物。
【請求項10】
ZはSであり、YはOであり、R'はHであり、R2はCH2-CH2-Fであり、かつR3〜R14はHである、請求項1記載の構造A〜Eの化合物。
【請求項11】
ZはSであり、YはNであり、R'はHであり、R1〜7はHであり、R8はO-CH2-CH2-Fであり、R9〜R14はHである、請求項1記載の構造A〜Eの化合物。
【請求項12】
ZはSであり、YはNであり、R'はHであり、R1はCH3であり、R2〜7はHであり、R8はO-CH2-CH2-Fであり、かつR9〜R14はHである、請求項1記載の構造A〜Eの化合物。
【請求項13】
ZはSであり、YはNであり、R'はHであり、R1はHであり、R2はCH3であり、かつR3〜R14はHである、請求項1記載の構造F〜Jの化合物。
【請求項14】
ZはSであり、YはOであり、R'はHであり、R2はCH3であり、かつR3〜R14はHである、請求項1記載の構造F〜Jの化合物。
【請求項15】
ZはSであり、YはNであり、R'はHであり、R1〜4はHであり、R5はIであり、R6〜R14はHである、請求項1記載の構造F〜Jの化合物。
【請求項16】
ZはSであり、YはNであり、R'はHであり、R1〜4はHであり、R5はIであり、R8はOHであり、かつR6〜R7およびR9〜R14はHである、請求項1記載の構造F〜Jの化合物。
【請求項17】
ZはSであり、YはNであり、R'はHであり、R1はHであり、R2はCH2-CH2-CH2-Fであり、かつR3〜R14はHである、請求項1記載の構造F〜Jの化合物。
【請求項18】
ZはSであり、YはOであり、R'はHであり、R2はCH2-CH2-Fであり、かつR3〜R14はHである、請求項1記載の構造F〜Jの化合物。
【請求項19】
ZはSであり、YはNであり、R'はHであり、R1〜7はHであり、R8はO-CH2-CH2-Fであり、かつR9〜R14はHである、請求項1記載の構造F〜Jの化合物。
【請求項20】
ZはSであり、YはNであり、R'はHであり、R1はCH3であり、R2〜7はHであり、R8はO-CH2-CH2-Fであり、かつR9〜R14はHである、請求項1記載の構造F〜Jの化合物。
【請求項21】
少なくとも1つの置換基R3〜R14が、CN、OCH3、OH、およびNH2からなる群より選択される、請求項3記載の化合物。
【請求項22】
アミロイド結合化合物が、構造B、構造C、および構造Dからなる群より選択され、R1はHであり、R2はCH3であり、R8はCN、CH3、OH、OCH3、およびNH2からなる群より選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項23】
R3〜R7およびR9〜R14がHである、請求項22記載の化合物。
【請求項24】
合成Aβペプチドまたはアルツハイマー病脳組織への結合によって測定した場合、0.0001μMと10.0μMとの間の解離定数(KD)で化合物がAβに結合する、請求項1記載の化合物。
【請求項25】
合成Aβペプチドまたはアルツハイマー病脳組織への結合によって測定した場合、0.0001μMと10.0μMとの間の解離定数(KD)で化合物がAβに結合する、請求項3記載の化合物。
【請求項26】
請求項1記載の化合物(式中、少なくとも1つの置換基R1〜R14がトリアルキルスズである)を131I、125I、123I、76Br、75Br、18Fまたは19F含有基質と該化合物との反応によって標識する段階を含む、131I、125I、123I、76Br、75Br、18Fおよび19Fからなる群より選択される、少なくとも1つの置換基R1〜R14を有する、請求項1記載の化合物の合成方法。
【請求項27】
請求項1記載の構造A〜EまたはE〜Jの化合物(式中、ZはSであり、YはNであり、R1はHであり、少なくとも1つの置換基R3〜R14がトリアルキルスズである)を131I、125I、123I、76Br、75Br、18Fまたは19F含有基質と該化合物との反応によって標識する段階を含む、131I、125I、123I、76Br、75Br、18Fおよび19Fからなる群より選択される、少なくとも1つの置換基R3〜R14を有する、請求項1記載の化合物の合成方法。
【請求項28】
(a)請求項1記載の化合物および(b)薬学的に許容される担体を含む、アミロイド沈着物のインビボ画像化のための薬学的組成物。
【請求項29】
(a)請求項1記載の構造A〜EまたはF〜Jの化合物(ZはSであり、YはNであり、R1はHである)および(b)薬学的に許容される担体を含む、アミロイド沈着物のインビボ画像化のための薬学的組成物。
【請求項30】
(a)検出可能な量の請求項28記載の薬学的組成物を投与する段階、および
(b)被験体中のアミロイド沈着物への化合物の結合を検出する段階
を含む、被験体のアミロイド沈着物のインビボ検出法。
【請求項31】
アミロイド沈着物が被験体の脳に位置する、請求項30記載の方法。
【請求項32】
被験体がアルツハイマー病、家族性アルツハイマー病、ダウン症候群、およびアポリポタンパク質E4対立遺伝子のホモ接合体からなる群より選択される疾患または症候群を有する疑いがある、請求項30記載の方法。
【請求項33】
検出が、γ画像化、磁気共鳴画像化、および磁気共鳴分光法からなる群より選択される、請求項30記載の方法。
【請求項34】
検出をγ画像化によって行い、該γ画像化はPETまたはSPECTのいずれかである、請求項33記載の方法。
【請求項35】
薬学的組成物を静脈内注射によって投与する、請求項30記載の方法。
【請求項36】
被験体における(i)化合物の小脳以外の脳領域への結合の、(ii)化合物の小脳への結合との比を、正常な被験体における比と比較する、請求項30記載の方法。
【請求項37】
(a)ホルマリン固定組織または新鮮凍結組織を請求項1記載の化合物溶液とインキュベートし、標識沈着物を形成させる段階、および
(b)該標識沈着物を検出する段階
を含む、生検または死後のヒトまたは動物組織中のアミロイド沈着物の検出法。
【請求項38】
溶液が、25%から100%のエタノールから構成されており、該溶液の残りが水であり、該溶液が構造A〜EまたはF〜Jの1つを有する化合物で飽和されている、請求項37記載の方法。
【請求項39】
溶液が0%から50%のエタノールを含む水性緩衝液から構成されており、該溶液が0.0001μMから100μMの構造A〜EまたはF〜Jの1つを含む化合物を有する、請求項37記載の方法。
【請求項40】
検出を、明視野顕微鏡法、蛍光顕微鏡法、レーザー共焦点顕微鏡法、および直交偏光顕微鏡(cross-polarization)法からなる群より選択される顕微鏡技術によって行う、請求項37記載の方法。
【請求項41】
a)生検または死後組織のホモジェネートと共に請求項1記載の化合物の放射性標識誘導体をインキュベートする段階であって、化合物のR1〜R14置換基の少なくとも1つを、125I、3H、および少なくとも1つの炭素が14Cである、請求項1記載の炭素含有置換基からなる群より選択される放射性標識で標識する段階、
b)請求項1記載の化合物の、組織非結合性放射性標識誘導体から組織結合性放射性標識誘導体を分離する段階、
c)請求項1記載の化合物の、組織結合性放射性標識誘導体を定量する段階、ならびに
d)標準との比較によって請求項1記載の化合物の組織結合性放射性標識誘導体の単位を組織100mgあたりのアミロイドのμg単位に変換する段階
を含む、生検または死後組織中のアミロイド量の定量法。
【請求項42】
放射性標識誘導体が、構造A〜E:
【化139】

【化140】

【化141】

【化142】

もしくは
【化143】

(式中、ZはS、NR'、O、またはCR'であり、この場合、複素環の正確な互変異性型は、R'がHまたは低級アルキル基:
【化144】

であるインドールとなり、
YはNR1R2、OR2、またはSR2であり、
【化145】

【化146】

の窒素は第四級アミンではない)
の1つを有するアミロイド結合化合物もしくはその水溶性無毒性塩;または
構造F〜J:
【化147】

【化148】

【化149】

【化150】

もしくは
【化151】

(式中、各Qは以下の構造:
【化152】

(式中nは、0、1、2、3、または4である)
【化153】

【化154】

【化155】

もしくは
【化156】

の1つから独立して選択され、
ZはS、NR'、O、またはC(R')2であり、R'はHまたは低級アルキルであり、
UはCR'(式中、R'はHまたは低級アルキル基)またはN(UがNである場合にQが
【化157】

ではないことを除く)であり、
YはNR1R2、OR2、またはSR2であり、
【化158】

もしくは
【化159】

の窒素は第四級アミンではなく、
各R1およびR2は、H、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、nは、1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X(式中、XはF、Cl、Br、またはIである)、(C=O)-R'、Rph、および(CH2)nRph(式中、nは、1、2、3、または4であり、Rphは、非置換フェニル基またはR3〜R14について以下に定義される、任意の非フェニル置換基から選択される、フェニル置換基による置換フェニル基を示し、R'はHまたは低級アルキル基である)からなる群より独立して選択され、
各R3〜R14は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、nは、1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X,O-CH2-CH2-CH2X(式中、XはF、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'=CR2'-Rph(式中、Rphは、非置換フェニル基またはR1〜R14について定義される、任意の非フェニル置換基から選択される、フェニル置換基による置換フェニル基を示し、R'はHまたは低級アルキル基である)、トリアルキルスズ、および式W-LもしくはV-W-Lのキレート基(キレート化金属基を含むか、または含まない)からなる群より独立して選択され、Vは、COO-、-CO-、-CH2O-、および-CH2NH-からなる群より独立して選択され、Wは-(CH2)n(式中、nは、0、1、2、3、4、または5である)であり、Lは、
【化160】

【化161】

【化162】

【化163】

【化164】

【化165】

【化166】

もしくは
【化167】

であり、
MはTcおよびReからなる群より選択されるか、または
各R1およびR2は、式W-Lのキレート基(キレート化金属基を含むか含まない)であり、Wは-(CH2)n(nは、2、3、4、または5である)であり、Lは、
【化168】

【化169】

【化170】

【化171】

【化172】

【化173】

【化174】

もしくは
【化175】

であり、
MはTcおよびReからなる群より選択されるか、または
各R1〜R14は、式W-LおよびV-W-Lのキレート基(キレート化金属基を含むか、または含まない)からなる群より独立して選択され、Vは-COO-および-CO-からなる群より選択され、Wは-(CH2)n(nは、2、3、4、または5である)であり、Lは、
【化176】

【化177】

【化178】

【化179】

【化180】

【化181】

【化182】

もしくは
【化183】

であり、
R15は、以下:
H、
【化184】

【化185】

【化186】

【化187】

【化188】

もしくは
【化189】

から独立して選択される)
の1つを有するアミロイド結合化合物もしくはその水溶性無毒性塩;または
以下の式:
【化190】

【化191】

【化192】

【化193】

【化194】

【化195】

【化196】

【化197】

【化198】

もしくは
【化199】

(式中、R15は以下:
H、
【化200】

【化201】

【化202】

【化203】

【化204】

もしくは
【化205】

から独立して選択され、
R16は、
【化206】

もしくは
【化207】

であり、
Qは、以下の構造:
【化208】

(式中、nは、0、1、2、3、または4である)
【化209】

【化210】

【化211】

もしくは
【化212】

の1つから独立して選択され、
Zは、S、NR'、O、またはC(R')2であり、R'はHまたは低級アルキル基であり、
UはNまたはCR'であり、
YはNR1R2、OR2、またはSR2であり、
各R17〜R24は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、nは、1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X,O-CH2-CH2-CH2X(式中、XはF、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、およびCR'2=CR'2-Rph(式中、Rphは、非置換フェニル基またはR17〜R20について定義される、任意の非フェニル置換基から選択される、フェニル置換基による置換フェニル基を示し、R'はHまたは低級アルキル基である)からなる群より独立して選択される)
のアミロイド結合キレート化合物(キレート化金属基を含むか、または含まない)もしくはその水溶性無毒性塩である、請求項41記載の方法。
【請求項43】
a)正常な被験体およびアルツハイマー病を有する疑いのある被験体由来の
(i)小脳および
(ii)同一の脳の小脳以外の別領域
由来の組織を得る段階、
b)該組織中のアミロイドが請求項1記載の放射性標識誘導体と結合するように、請求項1記載の放射性標識誘導体と共に該組織をインキュベートする段階、
c)薬学的に許容される担体と共に検出可能な量の請求項1記載の化合物を含む薬学的組成物を投与し、化合物の該被験体のアミロイド沈着物への結合を検出することによる、請求項1記載の化合物の放射性標識誘導体に結合したアミロイド量を定量する段階、
d)小脳以外の脳領域中のアミロイド量と小脳中のアミロイド量との比を計算する段階、
e)正常な被験体由来の組織中のアミロイド量の比と、アルツハイマー病を有する疑いのある被験体由来の組織中のアミロイド量の比を比較する段階、
f)アルツハイマー病を有する疑いのある被験体の脳由来の比が、正常な被験体の脳から得た比の90%を超える場合に、アルツハイマー病の存在を決定する段階
を含む、アルツハイマー病の脳と正常な脳とを識別する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−102106(P2012−102106A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−266396(P2011−266396)
【出願日】平成23年12月6日(2011.12.6)
【分割の表示】特願2002−521434(P2002−521434)の分割
【原出願日】平成13年8月24日(2001.8.24)
【出願人】(501102988)ユニバーシティ オブ ピッツバーグ オブ ザ コモンウェルス システム オブ ハイヤー エデュケイション (24)
【Fターム(参考)】