説明

アルミニウム材およびその製造方法

【課題】不純物レベルをよりいっそう抑制したアルミニウム材およびその製造(精製)方法を提供することを目的とする。
【解決手段】チタンとバナジウムとクロムとヒ素とセレンとジルコニウムとモリブデンの合計含有量が原子比で0.05ppm以下であり、リチウムとベリリウムとホウ素とナトリウムとマグネシウムと珪素とカリウムとカルシウムとチタンとバナジウムとクロムとマンガンと鉄とニッケルとコバルトと銅と亜鉛とガリウムとゲルマニウムとヒ素とセレンとジルコニウムとモリブデンと銀とカドミウムとインジウムとスズとアンチモンとバリウムとランタンとセリウムと白金と水銀と鉛とビスマスの合計含有量が原子比で0.4ppm以下であることを特徴とするアルミニウム材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアルミニウム材、とりわけ不純物量の少ないアルミニウム材およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高純度のアルミニウムは、MBE等による半導体の気相成長をはじめ多くの分野で用いられている。このような高純度のアルミニウムとして、例えば偏析法や三層電解法により作製した高純度アルミウム材が知られている。これら高純度アルミニウム材は、通常99.99%〜99.999%程度の純度であることが知られている。
また、例えば特許文献1に不純物の分析結果が示されるような、99.9999%の純度レベルを有する超高純度アルミニウム材も知られている。
しかし、下記に示すように、これら従来の高純度および超高純度アルミニウム材の不純物レベルでは十分でない場合があり、より一層不純物を低減したアルミニウム材への要望が高まっている。
【0003】
高密度光記録用途、高演色の照明やディスプレイ、殺菌、各種医療分野など、幅広い分野での応用が考えられている深紫外線(波長:200〜360nm)を発する発光ダイオードや半導体レーザーは、従来ガスレーザーなど大型装置の光源しか無かったが、AlN、AlGaN系半導体を用いることで、小型、高効率、長寿命な発光ダイオード(LED)や半導体レーザー(LD)が作製可能となっている。
【0004】
しかし、比較的高い貫通転位密度を有するにもかかわらず高い量子効率が得られるInGaN等のInを含む窒化物半導体と異なり、Inを含まないAlN、AlGaN系半導体では、発光に寄与しない再結合中心が少ない高品質な結晶成長が必要となる。
【0005】
これはAlN、AlGaN結晶では、多くの種類の元素が不純物として取り込まれやすく、取り込まれた不純物によりエネルギーバンド中に深いエネルギー準位を形成しやすことから、不純物が発光特性に影響を与えやすい。また、含有不純物元素が起点となり結晶欠陥が発生しやすいためである。従って、結晶品質および発光特性を向上させるためには、これら不純物元素の導入を、極力抑制することが重要である。
【0006】
例えば、非特許文献1には、AlN薄膜のカソードルミネッセンス等により、酸素(O)およびシリコン(Si)起因の欠陥について評価している。
非特許文献2には、酸素、炭素などの非金属元素および珪素などの不純物が取り込まれやすい元素として記されている。
非特許文献3には、CrやMnの影響について記載されている。
非特許文献4には、Si、Ge、P、As、Sb、CのAlN結晶中での存在状態を計算により検討している。
【0007】
AlN、AlGaN系半導体の結晶成長方法は複数の方法が検討されているが、MBE法による場合はアルミニウムを原料として用いている。
【0008】
従って、AlN、AlGaN相の不純物元素を抑制するために、MBEに用いるアルミニウム中に存在する不純物を抑制することは極めて重要である
【0009】
また、これ以外にも例えばLSI等の集積回路の配線材の用途で従来の高純度アルミニウム材に含まれる非金属不純物による異常放電等の問題があった。
【0010】
例えば特許文献1に記載されている従来の高純度アルミニウム精製法である偏析法や三層電解ではこれらの不純物に起因する問題を解決することができなかった。そこで、より不純物レベルを抑制したアルミニウム材が要望されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開特開2009−242867号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】B.Bastek et.al.,Applied Physics Letters 95(2009)032106.
【非特許文献2】秩父重英、上殿明良、日本結晶成長学会誌vol.36(2009)166.
【非特許文献3】H.X.Liu et.al.,Applied Physics Letters 85(2004)4076.
【非特許文献4】L.E.Ramas et.al.,Physical Review B68(2003)085209.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本願はこのような要望に応えて、不純物レベルをよりいっそう抑制したアルミニウム材およびその製造(精製)方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の態様1は、チタン(Ti)とバナジウム(V)とクロム(Cr)とヒ素(As)とセレン(Se)とジルコニウム(Zr)とモリブデン(Mo)の合計含有量が原子比で0.05ppm以下であり、リチウム(Li)とベリリウム(Be)とホウ素(B)とナトリウム(Na)とマグネシウム(Mg)と珪素(Si)とカリウム(K)とカルシウム(Ca)とチタン(Ti)とバナジウム(V)とクロム(Cr)とマンガン(Mn)と鉄(Fe)とニッケル(Ni)とコバルト(Co)と銅(Cu)と亜鉛(Zn)とガリウム(Ga)とゲルマニウム(Ge)とヒ素(As)とセレン(Se)とジルコニウム(Zr)とモリブデン(Mo)と銀(Ag)とカドミウム(Cd)とインジウム(In)とスズ(Sn)とアンチモン(Sb)とバリウム(Ba)とランタン(La)とセリウム(Ce)と白金(Pt)と水銀(Hg)と鉛(Pb)とビスマス(Bi)の合計含有量が原子比で0.4ppm以下であることを特徴とするアルミニウム材である。
【0015】
本発明の態様2は、鉄(Fe)と珪素(Si)と銅(Cu)の合計含有量が原子比で0.1ppm以下であることを特徴とする態様1に記載のアルミニウム材である。
【0016】
本発明の態様3は、態様1または2のいずれかに記載のアルミニウム材の半導体成膜プロセスでの使用である。
【0017】
本発明の態様4は、態様1または2のいずれかに記載のアルミニウム材の半導体バルク単結晶成長プロセスでの使用である。
【0018】
本発明の態様5は、アルミニウム(アルミニウム原料)の一部分を溶融した溶融部を形成し、該溶融部を移動させて不純物を除去する帯溶融工程を含むアルミニウム材の製造方法であって、前記溶融部が3×10−5Pa以下の真空中で形成され、前記溶融部を形成するアルミニウムがアルミナ層の上に配置されていることを特徴とするアルミニウム材の製造方法である。
【0019】
本発明の態様6は、前記アルミニウムの溶融時の真空度が3×10−6Pa〜2×10−5Paであることを特徴とする態様5に記載の製造方法である。
【0020】
本発明の態様7は、前記溶融部の移動方向の長さが、前記アルミニウム(アルミニウム原料)の断面を正方形とみなした場合の該正方形の1辺の長さwに対して、w×1.5より大きく、w×6より小さいことを特徴とする請求項5または6に記載の製造方法である。
【0021】
本発明の態様8は、前記真空精製工程で溶融するアルミニウムの表面層を予め除去することを特徴とする態様5〜7のいずれかに記載の製造方法である。
【発明の効果】
【0022】
本願発明により、例えば包晶系7元素(Ti、V、Cr、As、Se、Zr、Mo)の合計含有量が0.05ppm以下であり、金属35元素(Li、Be、B、Na、Mg、Si、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Co、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Zr、Mo、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Ba、La、Ce、Pt、Hg、Pb、Bi)の合計含有量が0.2ppm以下である不純物レベルが極めて低い高純度アルミニウム材およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】帯溶融精製装置の一例である帯溶融精製装置100を示す断面図である。
【図2】帯溶融精製装置100に複数のアルミニウム原料10を配置した例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本願発明の不純物を抑制したアルミニウム材は、金属元素成分が所定量以下であるアルミニウム材である。
より詳細には、本発明は、包晶系7元素合計含有量が0.05ppm以下であり、好ましくは0.02〜0.05ppmであり、より好ましくは0.02〜0.04ppmであり、かつ金属35元素の合計含有量が0.2ppm以下であり、好ましくは0.05〜0.2ppmであり、より好ましくは0.05〜0.15ppmであるアルミニウム材である。
【0025】
ここで、本明細書において用語「包晶系7元素」は、Ti,V、Cr、As、Se、Zr、Moの7つの元素を意味する。
同様に、本明細書において用語「金属35元素」は、Li、Be、B、Na、Mg、Si、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Co、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Zr、Mo、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Ba、La、Ce、Pt、Hg、Pb、Biの35元素を意味する。
また、本明細書における「ppm」は原子比で示したppmである。
【0026】
本願発明に係るアルミニウム材は、好ましくは、鉄(Fe)と珪素(Si)と銅(Cu)の合計含有量が0.1ppm以下であることが好ましい。より好ましくは0.01〜0.05pmである。
【0027】
本願発明者は、アルミニウム中の不純物を帯溶融精製(zone melting process)により除去する際に、不純物が加熱したアルミニウム中に拡散するのを防止するために、アルミニウムが配置されるボートの表面に予めアルミナ層を形成し、かつ溶融したアルミニウムからの不純物の分離を確実に行うために帯溶融精製を圧力3×10−5Pa以下、より好ましくは3×10−6Pa〜2×10−5Paの真空中で行うことで上述の本願発明に係るアルミニウム材を得ることができることを見出した。
【0028】
さらに、帯溶融精製を行う前に、帯溶融精製を行うアルミニウム原料の表面層を予め溶解除去する工程を実施することが好ましいことを見出した。
【0029】
また、帯溶融精製(帯溶融法)で使用する上述のボートは、グラファイトボートが好ましく、上述のアルミナ層を形成後不活性ガスまたは真空中でベーキングしておくことが好ましいことを見出した。
【0030】
さらに、帯溶融精製時にアルミニウムが溶融している溶融部の幅は、アルミニウム原料の断面寸法wに対して、w×1.5以上w×6以下とすることが好ましいことを見出した。
【0031】
以下に本願に係るアルミニウム材の製造方法の詳細を示す。
【0032】
アルミニウム原料:
詳細を後述する帯溶融精製時にその一部分に溶融した溶融部を形成して不純物を除去するアルミニウム原料として、純度5N(99.999%、原子比)から6N(99.9999%、原子比)のアルミニウムを使用するのが好ましい。
アルミニウム材の純度を予め高めておくことにより、帯溶融精製をより効率的に行えるからである。
【0033】
このような純度5Nから6Nのアルミニウムは、比較的純度の低い市販のアルミニウム(例えば純度99.9%のJIS−H2102の特1種程度のグレード)を精製(精錬)することによって得ることができる。
精製方法としては、特に制限されないが、好ましくは、三層電解法による精製と、一方向凝固法による精製との両方が用いられる。
三層電解法による精製と一方向凝固法による精製の実施順序は特に制限されないが、通常は、三層電解法で精製し、その後、一方向凝固法で精製される。また、三層電解法による精製と一方向凝固法による精製は、例えば、交互に繰り返し行ってもよく、またいずれか一方もしくは両方を各々繰り返し行ってもよい。
【0034】
なお、三層電解法による精製および一方向凝固法による精製の具体的な手法や条件などは、当該技術分野で通常行われている方法や条件等を適宜採用すればよい。
得られたアルミニウム原料は、後述の前処理、真空溶解に適した形状に加工することができる。アルミニウム原料の形状はペレット、棒、板、ブロック状などである。
【0035】
前処理:
アルミニウム原料は、真空精製に供せられる前に、好ましくは前処理が行なわれる。大気雰囲気中で表面に生じた酸化膜等およびアルミニウム原料を加工する際にその表面に付着した不純物元素を予め除去することで真空精製をより効率的に行えるからである。
【0036】
前処理の方法は特に限定されるものでなく、アルミニウム原料の表面層を除去するために当該技術分野で用いられている各種の処理を用いることができる。
前処理として、例えば酸処理、電解研磨などが挙げられる。
【0037】
好適な酸処理の例として、以下の条件でアルミニウム原料を酸に浸漬してよい。
酸の種類および濃度: 純水で希釈した約20%塩酸水溶液
温度: 20℃〜40℃
時間: 1〜5時間
【0038】
好適な電解研磨の例として以下の条件を挙げることができる。
電解研磨液: 過塩素酸およびエタノール1:6混合液
温度: 19〜23℃
電圧: 25V(定電圧電解)
時間: 1〜10分
【0039】
帯溶融精製:
アルミニウム原料の不純物を除去し、目的の不純物レベルに到達したアルミニウム材を得るために帯溶融精製(帯溶融法)を行う。
帯溶融精製は、ボート上に配置したアルミニウム原料の一部分にアルミニウムが溶融した溶融部を形成し、この溶融部を所定の方向に移動させることにより行う。
以下に帯溶融精製の詳細を示す。
【0040】
・ボート上のアルミナ層の形成
使用するボートは、帯溶融法で通常使用可能な各種のボートが使用可能である。このようなボートの例として、ステンレス鋼より成るボート、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)またはこれら金属の炭化物より成るボートおよびアルミナより成るボートがある。
好適なボートはグラファイトボートである。高純度で大型の素材が容易に入手でき、また真空中で安定であり、溶融アルミニウムとも反応しないためである。
【0041】
そして、ボートの上にアルミナを塗布して、アルミナ層を形成する。アルミナ層はボートの全面に形成してもよいが、アルミニウム原料が配置される原料配置部にのみ形成してもよい。
アルミナ層の塗布はアルミナ粉末を有機溶剤等の液体中に分散させ、このアルミナ粉末を含む液体をボートに塗布した後、液体を蒸発させることにより行ってもよい。また、アルミナの固体粉末を直接ボート表面に塗布してもよい。後者の方が、より簡便に塗布できるため好ましい。
【0042】
アルミナ層は帯溶融を行って得られたアルミニウム材を取り出しやすくする離型剤の働きに加えて、ボートから不純物元素がアルミニウム材に侵入するのを防止する働きがある。アルミナからの不純物の侵入を防止するように、塗布するアルミナは例えば住友化学株式会社製高純度アルミナ粉末AKPシリーズ(純度99.99%)のような高純度のアルミナが好ましい。
従って、アルミニウム原料はボートのアルミナ層以外の部分とは接触しないように配置されるのが好ましい。
【0043】
アルミナ層を形成した後、ボートは好ましくは不活性ガスまたは真空中でベーキングされる。ボートおよびアルミナ層に付着している水分や不純物成分を高温でかつ真空または不活性ガス雰囲気で除去するためである。ベーキングは真空熱処理炉や雰囲気熱処理炉を用いることができる。またベーキングは、帯溶融に用いるチャンバー内で高周波加熱にて行っても良く、高周波加熱コイルを30〜200mm/時間程度の移動速度にて移動させるが好ましい。
【0044】
・アルミニウム原料の配置
上述したボートのアルミナ層上にアルミニウム原料を配置する。アルミニウム原料は、その形状にもよるが1本または複数本配置される。アルミニウム原料の形状(複数本用いる場合は合わせた形状)は、棒状が好ましく、また概ね四角柱あるいは円柱が簡便で好ましいが他の形状でもよい。
このアルミニウム原料の形状を断面(溶融部の移動方向に垂直な断面)が正方形の四角柱とみなしたとき、正方形の一辺をw(アルミニウム原料の断面寸法と呼ぶこととする。従って、断面寸法wはアルミニウム原料の断面積の平方根に相当する。)、四角柱の長さ(溶融部の移動方向に平行な方向の長さ)をLとすると、Lはw×30以上、w×100以下であることが好ましい。Lがw×30未満では十分な精製効果が得られない場合があり、またLがw×100を越えると精製に長い時間が必要となり、効率的でないためである。
【0045】
また、複数本のアルミニウム原料を用いる場合、長手方向(後述する溶融部が移動する方向)に複数のアルミニウム原料を配置してもよい。
【0046】
・帯溶融
本願発明では帯溶融を高真空下、具体的には3×10−5Pa以下、より好ましくは3×10−6Pa以上2×10−5Pa以下で行う。圧力が高い(真空度が低い)と不純物成分が十分に除去されないためである。また圧力が低い(真空度が高い)ほど好ましいが、圧力が低すぎると設備が過剰となり、経済性が悪い。
このような高真空は、アルミニウム原料が配置された上述のボートが内部に配置されているチャンバの排気を、例えばターボ分子ポンプと油回転ポンプとの両方を用いて行うことで実現できる。これ以外にも油拡散ポンプおよびクライオポンプ等を他の真空ポンプと組み合わせて排気する方法も好ましい。
【0047】
そして、ボート上に配置したアルミニウム原料の一部分にアルミニウムが溶融した溶融部を形成する。溶融部の形成にはアルミニウム原料の一部のみを加熱する必要があることから、好ましくは高周波加熱(高周波誘導加熱)により行う。例えばアルミニウム原料の一部分のみが高周波コイルの内側になるように配置することで高周波コイルの内側に溶融部を形成することができる。
これ以外にも抵抗加熱により加熱してもよい。抵抗加熱する部分を移動させることで溶融部を容易に移動できるからである。
【0048】
アルミニウムの帯溶融精製では、表面の酸化皮膜形成等を防止するために真空中で帯溶融を行うことがあったが、従来、真空度は10−4〜10−2程度と低いものであった(例えば、Noe'Cheungらによる"Experimental impurity segregation and numerical analysis based on variable solute distribution coefficients during multi-pass zone refining of aluminum" Journal of Crystal Growth 310 (2008) 1274/1280 およびS.Hauttmannらによる"SiC formation and influence on the morphology of polycrystalline silicon thin films on graphite substrates produced by zone melting recrystallization")。
【0049】
しかし、本願発明者は上述のように高真空で行うことにより、より高純度のアルミニウム材を得ることができることを見出した。
本発明の範囲を制限するものではない、本願発明者らが考えるメカニズムは、このように高真空中で帯溶融を行うことで、溶融部から液相部および固相部に不純物をはき出すという従来の帯溶融のメカニズムと、高真空下での真空精製(精錬)のメカニズムと、が同時に複合的に機能することで、従来にない高純度が達成できるというものである。したがって、真空精製で用いられる極めて高い真空度に比べて低い真空度であっても、帯溶融精製では二つの作用が同時に複合的に作用するために、高い精製効果が得られると考えられる。
【0050】
溶融部の温度は660℃以上900℃以下であることが好ましい。温度が660℃より低いとアルミニウムが凝固し、十分な精製効果が得られない場合があり、温度が900℃より高いと、ボートや高周波コイル周辺部材の温度が上昇し、アルミニウム蒸気や発生ガスにより十分な精製ができない場合があるからである。また、温度が900℃より高いとボートに用いた黒鉛と反応する場合があるからである。
【0051】
昇温は装置に依存するが、20分以上で行うことが望ましい。昇温が速いほうが生産性が高くなるが、速過ぎるとアルミニウムより放出される成分により真空度が急激に悪化して真空排気装置のトラブルを生じたり、溶融部が急激に拡大して溶融領域の制御が困難になる恐れがあるからである。
【0052】
溶融幅(溶融部のアルミニウム材の長手方向に平行な寸法)は、装置等の条件にも依存するが30mm以上120mm以下が好ましい。また、最適な溶融幅はアルミニウム原料の寸法に依存するため、アルミニウム原料の断面寸法wに対して、w×1.5以上、w×6以下を満たすことがより好ましい。120mmまたはw×6より大きいと溶融幅の制御が難しく、溶融部が分断され連続的な精製ができなくなる場合がある。30mmまたはw×1.5より小さいと、溶融幅の制御が難しく、溶融部が急激に縮小したり凝固したりしやすくなる場合がある。
【0053】
次にアルミニウム溶融部の幅(溶融幅)をw×1.5以上w×6以下とし、溶融部を所定の位置まで移動させる。アルミニウム原料の形状が棒状の場合、通常、溶融部の移動は、アルミニウム原料の長手方向の一方の端から他方の端まで行う。また溶融部の移動はアルミニウム原料または高周波コイルの少なくとも一方を移動して、アルミニウム原料の加熱されている部分を移動させることにより行うことができる。
【0054】
溶融部の移動速度は毎時10mm以上200mm以下が好ましい。移動速度が10mm/時間より遅いと、精製1パス(所定の間を溶融部を1回移動させる)に必要な時間が不必要に長くなるからである。移動速度が200mm/時間より速いと十分な精製効果が得られにくい場合があるからである。帯溶融を複数パス行う場合、パス毎に移動速度を変更してもよい。
なお、帯溶融を複数パス行う場合、溶融部の移動方向は原則として全てのパスで同じ方向である。
【0055】
帯溶融(帯溶融精製)は、例えば、横型の高周波加熱式の装置などを使って行うことができる。帯溶融精製装置チャンバの内部に配置されたボートにアルミニウム原料を入れ、チャンバ内を密閉して排気装置により減圧した後、アルミニウム原料を高周波加熱により加熱し、アルミニウム原料の長手方向の一方の端部近傍を溶融し溶融部を形成する。
【0056】
図1は、帯溶融精製装置の一例である帯溶融精製装置100を示す断面図である。
一方の端部がシールされ他方が真空ポンプ(排気装置)20に繋がる真空チャンバ14が、その長手方向が水平になるように配置されている。
真空チャンバ14は、好ましくはその内部を視認できるように石英等の透明な材料より成る。
【0057】
真空チャンバ14の内部にはグラファイトボート16が配置されている。グラファイトボート16の原料配置部はアルミナ層18により覆われている。そして、アルミナ層18を介して、グラファイトボート16の原料配置部にアルミニウム原料10が配置されている。
【0058】
アルミニウム原料10の一部を加熱し、溶融部10bを形成するように、真空チャンバ14を取り囲むように高周波コイル12が配置されている。高周波コイル12は図示しない高周波電源に繋がれている。
高周波コイル12は、図中の矢印の向きに移動しており、これによりコイル内部に位置するアルミニウム原料10の一部を溶融し、溶融部10bを形成している。
このように高周波コイル12が移動することで、アルミニウム原料10は、溶融部10bの前方(高周波コイル12の進行方向)に未溶融部10cを有し、溶融部10bの後方に溶融凝固部(精製部)10aを有している。
【0059】
図2は、帯溶融精製装置100に複数のアルミニウム原料10を配置した例を示す断面図である。複数のアルミニウム原料10が長手方向(高周波コイル12の進行方向)に、互いの端部を接触させた状態で配意されている。
図2に示す例では、まだ溶融が行われておらずアルミニウム原料10は全て未溶融部10cとなっている。
高周波コイル12を図2の左から右に(図2の4つのアルミニウム原料10の左端から右端)に移動することにより、溶融部は複数のアルミニウム原料10を横断して移動する。この結果、複数のアルミニウム原料10は1つに接合される。
【0060】
高周波加熱のための高周波コイルを移動することで、溶融部を他方の端部に向けて移動させ、試料全体を帯溶融精製することができる。金属元素成分のうち包晶系成分(包晶系7元素)は溶融開始部に、共晶系成分(金属35元素から包晶系7元素を除いた28元素)は溶解終了部に濃縮する傾向があるため、アルミニウム原料の両端部を除く領域で高純度アルミニウムを得ることが可能である。
【0061】
溶融部を例えばアルミニウム原料の長手方向の一端から他端までの間のように所定の間移動させた後は、高周波加熱を終了し、溶融部を凝固させる。凝固後、アルミニウム材を切り出す(例えば両端部を切り落とす)ことにより、精製された高純度のアルミニウム材が得られる。
【0062】
長手方向(溶融部の移動方向)に複数本のアルミニウム原料を配置している場合は、長手方向のアルミニウム原料を接触させて、長手方向に1個のアルミニウム原料として、一方の端部(すなわち、複数のアルミニウム原料の端部のうち長手方向に隣接するアルミニウム原料がない2つの端部の一方)から他方の端部(すなわち、複数のアルミニウム原料の端部のうち長手方向に隣接するアルミニウム原料がない2つの端部の他方)に移動させるのが好ましい。
接触するアルミニウム原料の端部同士が帯溶融時に接合し、長い一本のアルミウム材を得ることができるからである。
【0063】
なお、上述したようにアルミニウム原料の一方の端から他方の端まで帯溶融(帯溶融精製)した後、再度、一方の端から他方の端まで帯溶融を繰り返すことができる。
繰り返し数(パス数)は通常1以上20以下である。パス数をこれ以上多くしても、精製効果の向上は限定的である。
【0064】
包晶系7元素を効果的に精製するため、パス数は3以上が好ましく、5以上がさらに好ましい。パス数がこれより少ないと、包晶系7元素は移動しにくいため、十分な精製効果が得られない。
また、長手方向に複数のアルミニウム原料を互いに接触させて配置した場合、パス数が3より少ないと接合後の精製材(アルミニウム材)の形状(特に高さ寸法)が不均一となって、精製中に溶融幅が変動して均一な精製効果が得られにくい場合があるからである。
【0065】
金属35元素の総含有量を低減するため、ボート、高周波コイル、チャンバ内部の洗浄を行い、事前に真空中でベーキングを行い、周辺部材からの汚染を抑制することが好ましい。
鉄(Fe)と珪素(Si)と銅(Cu)の3元素は高純度アルミニウム中の主要不純物であり、精製用素材を切出準備する際に混入しやすい。これらの元素をチャンバ内に持ち込まないように、精製原料を前処理し、精製原料表面の汚染成分を除去することが好ましい。
【0066】
得られたアルミニウム材は、標準的な精製方法では低減が困難な包晶系元素についても十分に低減されるために、一般的に入手可能な純度3N、4N、5N等の高純度アルミニウムと比較して、不純物元素含有量がさらに少ない
【0067】
そして、得られたアルミニウム材は、MBEによる半導体結晶成長用原料(成膜原料)として使用することができ、例えば高品質なAlN、AlGaNエピタキシャル層を形成(成膜)することができる。
成膜法はMBEに限定されず、アルミニウムを含有する半導体材料の成膜方法であれば、例えば、HVPE法(ハイドライド気相成長法)のような他の成膜法でも利用可能であり、これにより不純物の少ない高品質な成膜が可能である。
【0068】
また、AlNおよびAlGaN等の半導体層の成膜に限定されず、AlNおよびAlGaN等のような、アルミニウムを含有する半導体のバルク単結晶の製造方法においても利用可能である。
このような半導体のバルク単結晶の製造方法の具体例として、フラックス法、昇華再結晶法、HVPE法が挙げられ、これらを含む半導体のバルク単結晶の製造方法において、本願発明のアルミニウム材を用いることでアルミニウムを含有する半導体のバルク単結晶を得ることができる。
【0069】
さらに、このような不純物の少ない高純度のアルミニウムは、低温での電気抵抗が少ないことから、例えば低抵抗が必要な超電導安定化材のような用途に使用することが可能である。また、超電導応用機器のような低温での熱伝達材にも使用できる。
【実施例】
【0070】
実施例1
純度99.93%(原子比、以下同じ)のアルミニウムを三層電解法により精製して純度が99.999%以上の5Nアルミニウムを得た。この5Nアルミニウニムの成分分析結果は、Si=2.4ppm、Cu=0.47ppm、Fe=0.30ppm、Mg=0.54ppm、これら以外の他の31元素(すなわち、Li、Be、B、Na、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Co、Zn、Ga、Ge、As、Se、Zr、Mo、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Ba、La、Ce、Pt、Hg、Pb、Bi。以下、単に「31元素」という場合がある。)が0.33ppmでありこれら不純物35元素の合計が4.0ppmであった。
【0071】
この5Nアルミニウムを原料として、一方向凝固により精製して、純度99.9999%の6Nアルミニウムを得た。
より詳細には、黒鉛製ルツボ(内寸法:幅65mm×長さ400mm×高さ35mm)の中に1.8kgの5Nアルミニウムを原料として配置し、これを、炉体移動式管状炉の炉心管(石英製、内径100mm×長さ1000mm)の内部に収容し、1×10−2Paの減圧雰囲気にて炉体を700℃に温度制御して、5Nアルミニウムを溶解させた。その後、炉体を30mm/時間の速度で炉心管から引き抜くことにより一方の端部(凝固開始端)から他方の端部に向けて一方向に凝固させた。そして、長さ方向において凝固開始端より50mmの位置から凝固開始端より250mmの位置までを切出し、幅65mm×長さ200mm×厚さ26mmの塊状の6Nアルミニウムを得た。
【0072】
この6Nアルミニウムの主要不純物元素含有量は、Si=0.33ppm、Fe=0.043ppm、Cu=0.059ppm、Mg=0.11ppm、31元素=0.11ppm、これら35元素合計で0.65ppmであった。
【0073】
上記で得られた6Nアルミニウム塊から、約18mm×18mm×100mmの四角柱あるいは類似形状に切削加工で切出し、純水で希釈した20%塩酸水溶液で3時間酸洗浄したアルミニウム原料を得た。
【0074】
帯溶融:
帯溶融精製装置の真空チャンバ(外径50mm、内径46mm、長さ1400mmの石英管)内部に、グラファイトボートを配置した。グラファイトボートの原料配置部には、住友化学株式会社製の高純度アルミナ粉末AKPシリーズ(純度99.99%)を押圧しながら塗布してアルミナ層を形成した。
【0075】
グラファイトボートを真空下にて高周波加熱しベーキングした。
ベーキングは10−5〜10−7Paの真空中で、帯溶融に用いる高周波加熱コイル(加熱コイル巻数3、内径70mm、周波数約100kHz)にて加熱し、100mm/時間の速度でボートの一端から他端まで移動して、グラファイトボート全体を順に加熱して行った。
【0076】
上記のアルミニウム原料9本、合計重量約780gを、グラファイトボートに設けた20×20×1000mmの原料配置部に配置した。アルミニウム原料は9本全体で概ね四角柱とみなせるように配置した、アルミニウム原料の断面寸法w=18mm、長さL=900mm、L=w×50であった。
【0077】
チャンバ内を密閉し、ターボ分子ポンプおよび油回転ポンプにより圧力が1×10−5Pa以下になるまで排気した。その後、高周波加熱コイル(高周波コイル)によりアルミニウム原料の長手方向の一端を加熱し溶融させ溶融部を形成した。
溶融部の溶融幅が約70mmとなるように高周波電源(周波数100kHz、最大出力5kW)の出力を調整した。そして高周波コイルを毎時100mmの速度で移動させ、溶融部を約900mm移動させた。このときのチャンバ内の圧力は5×10−6〜9×10−6Paであった。溶融部の温度を放射温度計にて測定した結果、660℃〜800℃であった。
【0078】
その後、徐々に高周波出力を下げて溶融部を凝固させた。
そして、高周波コイルを溶融開始位置(最初に溶融部を形成した位置)まで移動させ、チャンバ内を真空に維持したまま、溶融開始位置で再度アルミニウム原料を加熱溶融させて溶融部を形成した。この溶融部を移動させて帯溶融精製を繰り返した。溶融幅約70mm、溶融部の移動速度毎時100mmでの帯溶融精製を、合計3回(3パス)行った時点で、溶融開始部から終了部まで形状がほぼ均一となり、それ以降(以下に示す7パスの間)は均一な形状を維持した。
【0079】
次に、溶融幅約50mm、溶融部の移動速度毎時60mmにて帯溶融精製を7パス実施した。溶融幅は精製原料(アルミニウム原料)の断面寸法wに対し、w×2.8〜w×3.9であった。
合計10パス終了後にチャンバを大気開放し、アルミニウムを取り出し、長さ約950mmの精製アルミニウム材を得た。
【0080】
得られたアルミニウム材を切出して組成分析を行った結果を表1に示す。組成分析はグロー放電質量分析法(サーモエレクトロン社製VG9000を使用)により行った。成分分析用の試料は溶融開始位置から30mm、270mm、510mm、750mmの4箇所より採取した。
【0081】
【表1】

【0082】
アルミニウム材の溶融開始端から510mm〜750mmの領域において、包晶系7元素(Ti、V、Cr、As、Se、Zr、Mo)含有量が0.042〜0.045ppm、金属35元素合計含有量が0.097〜0.159ppmであった。
FeとSiとCuの合計含有量が0.011〜0.074ppmであった。
なお、検出限界以下(0.001ppm未満)の微量不純物については、0.001として金属35元素の合計含有量を計算した。
【0083】
実施例2
実施例1と同様に、溶融幅約60mm、移動速度毎時60mmとして、10パスの帯溶融精製を行った。他の条件は実施例1と同様である。得られたアルミニウム材から分析試料を切出し、分析した結果を表1に示す。
アルミニウム材の溶融開始端からの距離が810mm〜930mmの領域において、包晶系7元素の合計含有量が0.033〜0.045ppm、金属35元素の合計含有量が0.156〜0.17ppmであった。また、精製アルミニウム材は、FeとSiとCuの合計含有量が0.058〜0.098ppmであった。このように溶融領域の溶融幅および移動速度を一定にした場合にも、優れた精製効果が得られた。
【0084】
比較例1
実施例1で示した、三層電解法により精製した5Nアルミニウムおよびこの5Nアルミニウムを一方向凝固して作製した6Nアルミニウムについて、組成分析を行った結果を表1に示す。アルミニウム材は、包晶系7元素含有量が0.055〜0.076ppm、金属35元素の合計含有量が0.65〜4.0ppmであった。また、FeとSiとCuの合計含有量が0.43〜3.2ppmであった。
【0085】
比較例2
三層電解法により精製した上述の5Nアルミニウムを精製原料として帯溶融精製を行った。移動速度は毎時55mmであり、他の条件は実施例1および2と同様である。10パスの精製により得られたアルミニウム材から分析試料を切出し、分析した結果を表1に示す。
成分分析用の試料は溶融開始位置から20mm、290mm、490mm、690mmの4箇所より採取した。
【0086】
アルミニウム材は長さ方向の全域において、包晶系7元素含有量が0.060〜0.11ppm、金属35元素の合計含有量が0.58〜1.9ppmであった。
FeとSiとCuの合計含有量が0.058〜0.61ppmであった。このように、場所によらずFe、SiおよびCuについては良く精製されているものの、包晶系元素が十分に低減されておらず、金属35元素の含有量の精製効果も、実施例に比較すると劣る結果となった。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明によれば、例えば高品質な結晶成長を行うMBE等の成膜方法に用いる等の各種用途に使用可能なアルミニウム材およびその精製方法が提供される。
【符号の説明】
【0088】
帯溶融精製装置 100
アルミニウム原料 10
溶融凝固部(精製部) 10a
溶融部 10b
未溶融部 10c
高周波コイル 12
真空チャンバ 14
グラファイトボート 16
アルミナ層 18
真空ポンプ 20

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタン(Ti)とバナジウム(V)とクロム(Cr)とヒ素(As)とセレン(Se)とジルコニウム(Zr)とモリブデン(Mo)の合計含有量が原子比で0.05ppm以下であり、
リチウム(Li)とベリリウム(Be)とホウ素(B)とナトリウム(Na)とマグネシウム(Mg)と珪素(Si)とカリウム(K)とカルシウム(Ca)とチタン(Ti)とバナジウム(V)とクロム(Cr)とマンガン(Mn)と鉄(Fe)とニッケル(Ni)とコバルト(Co)と銅(Cu)と亜鉛(Zn)とガリウム(Ga)とゲルマニウム(Ge)とヒ素(As)とセレン(Se)とジルコニウム(Zr)とモリブデン(Mo)と銀(Ag)とカドミウム(Cd)とインジウム(In)とスズ(Sn)とアンチモン(Sb)とバリウム(Ba)とランタン(La)とセリウム(Ce)と白金(Pt)と水銀(Hg)と鉛(Pb)とビスマス(Bi)の合計含有量が原子比で0.4ppm以下であることを特徴とするアルミニウム材。
【請求項2】
鉄(Fe)と珪素(Si)と銅(Cu)の合計含有量が原子比で0.1ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム材。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか1項に記載のアルミニウム材の半導体成膜プロセスでの使用。
【請求項4】
請求項1または2のいずれか1項に記載のアルミニウム材の半導体バルク単結晶成長プロセスでの使用。
【請求項5】
アルミニウムの一部分を溶融した溶融部を形成し、該溶融部を移動させて不純物を除去する帯溶融工程を含むアルミニウム材の製造方法であって、
前記溶融部が3×10−5Pa以下の真空中で形成され、前記溶融部を形成するアルミニウムがアルミナ層の上に配置されていることを特徴とするアルミニウム材の製造方法。
【請求項6】
前記アルミニウムの溶融時の真空度が3×10−6Pa〜2×10−5Paであることを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記溶融部の移動方向の長さが、前記アルミニウムの断面を正方形とみなした場合の該正方形の1辺の長さwに対して、w×1.5より大きく、w×6より小さいことを特徴とする請求項5または6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記真空精製工程で溶融するアルミニウムの表面層を予め除去することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−195903(P2011−195903A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64544(P2010−64544)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】