説明

アルミニウム材表面処理方法

【課題】環境負荷が小さく、経済的に、アルミニウム材の酸化皮膜除去が可能となる表面処理方法を提供する。
【解決手段】アルミニウム材を50℃〜300℃とした後、キレート剤を0.01〜10mass%含有し、50℃〜90℃、pH5〜9となるキレート水溶液に、5〜60秒間接触させる表面処理をおこない、さらに、キレート材には、エチレンジアミン四酢酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属塩から1種または2種以上を用いた。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明はアルミニウム表面の酸化皮膜を除去することで脱脂性、陽極酸化処理性、化成処理性、塗膜密着性などの表面性能に優れるアルミニウム及びアルミニウム合金(以後アルミニウム材)表面処理方法に関する。
【0002】
アルミニウムは軽量、高加工性、美麗さといった種々の長所を備えていることから、建材、熱交換器フィン材、飲料容器、電気部品、輸送機体構成材料等々幅広い分野で使用されており、用途で異なるそれぞれの要求性能を満たすために添加元素や製造工程の異なる多種多様のアルミニウム材が開発されている。また、近年厳しさを増している温室効果ガスの排出規制を受けて輸送機体の分野では燃費の向上が急務となっているが、燃費向上策として大きな効果が期待できる機体重量の軽減を図るため、従来から一般的に用いられてきた鋼板をアルミニウムに代える動きが活発になっている。
【0003】
アルミニウム材はこのように広く用いられているが、用途によっては自然に形成される酸化皮膜だけでは耐食性が十分では無いため、通常、耐食性を向上させる目的で表面処理が行われている。このような表面処理としては化成処理や陽極酸化、有機塗膜を設ける塗装といったものがある。しかし、アルミニウム材の表面に熱処理を経ることによって生じるような厚い酸化皮膜が存在すると、製造工程の中で付着した圧延油等の油分が残留し易く、上記処理液の濡れ性が劣化することで前記表面処理の際に処理ムラが生じるといった不具合が生じ、十分な耐食性を得られなかった。このような厚い酸化皮膜は、特にマグネシウムを添加元素とするアルミニウム材が高温で処理された場合に形成され易いことが知られている。
【0004】
このような厚い酸化皮膜を除去する方法として、特許文献1では酸又はアルカリ性水溶液を用いた化学的溶解方法が提案されている。
特許文献2では水溶性化合物のみを除去できれば好ましい表面性能が得られるとして、pHが5〜8で不純物元素の総含有量濃度が100ppm以下の水をアルミニウム材に接触させる方法が提案されている。
特許文献3では、キレート剤を含有する水溶液で処理する方法が提案されている。

【特許文献1】:特公平07−116629号公報
【特許文献2】:特開平10−195683号公報
【特許文献3】:特開平05−59591
【0005】
しかしながら、特許文献1による方法では確かに上記偏析層が除去されることで適当な表面性能を得られるものの、酸又はアルカリ性水溶液を使用する工程は作業環境の悪化を招く。特に、環境汚染に対する規制が一段と厳しくなりつつある近年にあっては処理コストの一層の増大を招く。
一方、特許文献2に提案されている方法であれば処理液は中性であり特許文献1の危険性は大幅に低減されるが、水だけによる洗浄では上記酸化皮膜を十分に除去できないことが危惧される。このような危惧を回避するためには、除去効果を高める目的で長時間処理を行えば良いが、生産性の低下や初期設備投資の増大を招く可能性がある。
特許文献3に提案された方法では、処理液のエッチング力を向上させる目的で危険物であるトリエタノールアミン等のアミン化合物を添加しており好ましくない。また、アミン化合物を添加しない場合にはキレート剤の濃度を高くすると共に、処理時間を数分程度にまで伸ばすことで目的の酸化皮膜除去を達成しており、特許文献2と同様に生産性や設備投資増大の点で問題となる可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はアルミニウム材の表面性能の劣化に繋がる酸化皮膜を、低環境負荷で安全に、且つ効率良く除去する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、アルミニウム材を50℃〜300℃とした後、キレート剤を0.01〜10mass%含有し、50℃〜90℃、pH5〜9となるキレート水溶液に、5〜60秒間接触させることを特徴とする、アルミニウム材の表面処理方法である。
【0008】
さらに、前記キレート剤がエチレンジアミン四酢酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属塩から選ばれる1種又は2種以上から成ることを特徴とする、前記のアルミニウム材の表面処理方法とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明はアルミニウム材とキレート水溶液と接触させる方法を用いることで、酸やアルカリといった刺激性の強い処理液を用いるような危険性の高い処理を行う必要なく、これらの処理と同等の表面処理性を有するアルミニウム材の表面処理方法を提供する。本発明に係る方法で製造されたアルミニウム材は、脱脂性、陽極酸化処理性、化成処理性、塗膜密着性といった表面処理において優れた表面処理性を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明者等は作業環境上安全でありながら十分な酸化皮膜除去作用を有し、短時間の内に優れた表面性能を得られる洗浄方法を検討した結果、中性付近のキレート水溶液を予め加熱しておいたアルミニウム材と接触させることによって目的を達成できることを見出した。
【0011】
キレート洗浄では液温が高い程、表面酸化皮膜の除去効果が高くなるが、処理対象のアルミニウム材の温度が低い場合には接触界面において温度が低下し、十分な表面処理性能を発揮させるための処理時間の延長に繋がっていることが判明した。そこで、アルミニウム材を予め加温した状態でキレート洗浄を行ったところ、材温の温度上昇のために長くなっていた処理時間が短縮され、より短時間の内に好ましい表面が得られた。更なる検討の結果、処理時間を短縮させるために必要なアルミニウム材の温度は50℃以上であることが判った。
【0012】
アルミニウム材の温度が高ければ高い程キレート水溶液と接触させた際の除去効果は高くなる傾向があるが、300℃を超えるような高温でキレート水溶液をスプレーにより接触させた場合には、水の急激な蒸発のためにアルミニウム材と液の接触界面に蒸気の膜が形成され、除去効果が落ちてしまうことが判った。また、アルミニウム材と水溶液との温度差が大きい場合には熱衝撃から歪が生じてしまい、所定の形状を得るためにはレベラー等の矯正工程を余分に設ける必要が生じることがある。更には、アルミニウム材の温度が高ければ高いほどキレート水溶液と接触させた際にミストが大量に発生し、作業環境を劣化させてしまうことから安全な作業環境を維持するという当初の目的に反してしまう。そのため、本発明ではキレート水溶液と接触させる直前のアルミニウム材の温度を50℃〜300℃、好ましくは70℃〜200℃とする。
短時間の内にキレート洗浄の効果を期待するためにはキレート水溶液の温度も50℃以上であることが必要である。さらに、水溶液として安定に維持でき、ミストの発生による作業環境の悪化をもたらさないためにも上限温度は90であることが好ましい。従って、キレート水溶液の温度は50〜90℃とした。
【0013】
上記のアルミニウム材の材温は50℃〜300℃の範囲とする必要があるが、その温度の達成手段には特に指定が無い。
ただし、発明の除去対象物である酸化皮膜は材温が200℃以上に達する処理によって生じる物であり、この処理に続いてキレート洗浄に適した温度範囲内に収まる温度まで冷却した後、アルミニウム材とキレート水溶液とを接触させれば、当発明の処理のためにアルミニウム材を加熱する必要は無く、エネルギー的に効率的である。
また、熱処理とキレート洗浄とを単一の装置で連続して行えば、生産性を向上できる点で好ましい。例えば、コイル状のアルミニウム材に対しては、熱処理のための加熱装置と冷却装置、及びキレート洗浄装置とを含む単一の装置内で、熱処理に続いてキレート洗浄を連続的に処理するアルミニウム材の方法は、本発明を実施するための好ましい実施形態の一つである。
【0014】
効果的なキレート洗浄を行うためにはキレート水溶液のpHを中性付近の5〜9としなければならない。pHが5未満では酸化皮膜除去作用が弱く、好ましい表面性能を得られない。一方でpHが9を超えるキレート水溶液では、アルミニウム材自体に対するエッチング力が強く、処理ムラや白化の原因になると共に、作業環境上好ましくないことからpHは5〜9とした。
【0015】
アルミニウム材にキレート水溶液を接触させる時間が60秒を超える場合には、アルミニウム材自体に対する過剰なエッチング作用のために、エッチングムラや表面の白化が生じてしまうことから5〜60秒、好ましくは10〜30秒である。
【0016】
また、本発明は熱処理の際に厚い酸化皮膜を形成する主要な原因となるにも拘わらず、機械的特性の向上等を目的として意図的にマグネシウムを添加した、マグネシウム添加量0.1mass%以上のアルミニウム材に対して特に効果的である。
【0017】
以下、上記に記載の各工程について述べる。本発明は最終的な圧延工程の後に表面に厚い酸化皮膜が形成されてしまう熱処理を必要とするようなアルミニウム材に好適に用いられるもので、該熱処理に至るまでに、目的の元素割合としてアルミニウムと共に溶解し鋳塊にした後、均質化処理、熱間圧延、中間焼鈍、冷間圧延といった工程を経ることを想定する。これら鋳造、均質化処理、熱間圧延、中間焼鈍、冷間圧延等の工程は当発明を適用する上で特に制限するところは無く、一般的に用いられている方法で構わない。また、列挙した工程を全て経る必要は無いが、通常、冷間圧延で最終板厚まで圧延されたアルミニウム材を想定する。
【0018】
最終板厚を得たアルミニウム材には、必要な機械的性能を得る目的で熱処理が施される。本発明ではこの熱処理の方法は特に規定されるものではなく、目的とする機械的性能を発現できるものであれば何でもよい。熱処理の際、板温が200℃を超えると酸化皮膜の成長が促進され、高温、長時間である程、また、マグネシウムのような酸化皮膜の成長を促進させる元素の添加量が多い合金程、厚い酸化皮膜が形成される。例えば5000系、6000系の合金の場合、機械的性能を発揮させる目的で板温が400〜600℃に達する温度で熱処理されるものがある。大気中で熱処理すると表面に移動してくるマグネシウムが優先的に酸化され、酸化マグネシウムに富んだ厚い酸化皮膜が形成される。
【0019】
圧延後に熱処理されたアルミニウム材は、機械的性能を満足させる等の目的で急冷されるものがあるが、少なくとも装置に負担の掛からない温度まで冷却される。冷却には空冷、常温ミスト冷却、水冷等が通常用いられる。当発明を熱処理装置と冷却装置、及びキレート洗浄装置とを含む単一の装置で連続的に処理する場合には、板温を冷却し過ぎないために、例えば水冷の場合には使用する水の温度を50℃以上とするといった配慮が必要である。
【0020】
キレート洗浄工程では、アルミニウム材を50〜300℃に加熱する必要がある。加熱の方法については特に規定するところではなく、適当な温度を達成できれば方法は問わない。上記の通り、熱処理のための加熱装置、冷却装置、及びキレート洗浄装置を備えた単一の装置で連続的に処理する場合、又はそれぞれ単独の処理で行ったとしてもキレート洗浄を適用する際に適当な温度を維持できる場合には、加熱装置及び冷却装置は特に必要としない。
【0021】
キレート洗浄に用いるキレート剤については特に限定はされないが、エチレンジアミン四酢酸や酒石酸等のポリカルボン酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属或いはアンモニア塩から選ばれるものが好ましい。ポリカルボン酸としては上記の他にもイミノ二酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチレンジアミンテトラミン六酢酸、ヘプトン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、アルキルグリシン‐N,N‐ジ酢酸、アスパラギン酸‐N,N‐ジ酢酸、セリン‐N,N‐ジ酢酸、グルタミン酸二酢酸、クエン酸、琥珀酸等が挙げられ、これらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩等が挙げられ、これらを単独、或いは2種以上の組み合わせで用いることができる。キレート剤は塩以外のものも使用可能であるが、通常、塩の方が水への溶解が容易であることから、用いるキレート剤は塩であることが好ましい。
【0022】
キレート剤の濃度は0.01〜10mass%とする。0.01mass%未満では酸化皮膜除去作用が弱く、適当な表面性能を得るための処理時間が長くなり生産効率上不利である。10mass%を超える場合には除去力が強くなるため短時間処理が可能となるが、表面状態の僅かな違いから処理ムラが生じることがあって管理が難しくなると共に、処理コストが高くなり好ましくない。
【0023】
キレート洗浄のpHは5〜9であり、溶解した際にこの範囲のpHとなるキレート剤の塩を使用するのが好ましく、例としてエチレンジアミン四酢酸の3アルカリ金属塩が挙げられるが、。ただし適当なpH範囲となる塩を得られない場合は、塩酸等の酸や水酸化ナトリウム等のアルカリ、或いはリン酸やクエン酸等の塩を利用した緩衝剤を用いて、或いは別のキレート剤を用いてpHを5〜9の間に調整することができる。緩衝剤を使用したpH調整は、処理中のpH変化を抑制できる点で有効である。アルミニウム材とキレート水溶液との接触は、浸漬、スプレーといった方法が適用できる。一般にスプレー方式の方が浸漬方式に比べて除去効果が高く、短時間での処理が可能である。
【0024】
アルミニウム材はキレート洗浄後、水によるリンス工程を設けるのが好ましい。キレート水溶液が表面に残った状態で乾燥させた場合、表面には蒸発残留物による乾燥ムラが生じ、外観を気にするアルミニウム材では問題となると共に腐食の原因にもなる。従って、リンスに使用する水も蒸発残留物がなるべく残らないように不純物の少ないもの、例えばイオン交換水等を使用するのが好ましい。リンス方法は浸漬やスプレー等の方法によって、数秒から数十秒の処理を行う一般的なものでよい。水分の残留はアルミニウム材の腐食に繋がるため、キレート水溶液との接触及び/又はリンスの後には、できるだけ早く乾燥したほうが良い。乾燥は電気ヒーターやLNG等の燃焼ガスによって加熱された空気、又は燃焼ガスそのものをアルミニウム材に吹き当てる等の方式が利用できる。乾燥時間も特に限定されるものではなく、熱風量やブロア圧力、温度といった乾燥装置能力から割り出される時間とすればよく、通常、数秒から数分で十分である。
【0025】
コイル材に対して熱処理、キレート洗浄を単一の装置において連続的に処理する場合、装置にはアンコイラー、熱処理装置、冷却装置、キレート洗浄装置、乾燥装置、リコイラーを最低限備える必要がある。加えて、キレート洗浄装置と乾燥装置の間にリンス装置が組み込まれていることが好ましい。また、必要に応じて、レベラー、スリッター、切断機、更には機械的特性を発揮させる目的で、厚い酸化皮膜が形成されない200℃以下に加熱できる加熱装置等をリコイラーの前に設けても良い。
【実施例】
【0026】
実施例1
6022系のアルミニウム材(マグネシウム:0.6mass%)として鋳造した合金に対し、均質化処理、熱間圧延、中間焼鈍、冷間圧延を順次行い、板厚1.0mmのアルミニウム材とした。このアルミニウム材を幅70mm×長さ150mmに切断し試験片とした。この試験片に到達板温が530℃となる熱処理を施し、表面に酸化皮膜を形成させた。熱処理の後、送風冷却によって100℃程度にまで冷却した試験片に対し、キレート剤の種類、pH温度、接触時間を変えて各水溶液をスプレーで接触させる処理を施した。処理後の試験片は、処理斑の有無及び、水濡れ性で表面性能を評価した。pHはキレート剤を溶かしたままか、又は酸性を示すキレート剤に水酸化ナトリウムを加える方法で調整した。結果を表1に示す。
処理斑は試験片の外観を目視で観察し、ムラが発生していないものを合格として○、発生しているものを不合格として×と表記した。
水濡れ性はアルミニウム材の脱脂性を評価する試験で以下のようにして行った。先ず、処理後の試験片にエステル系の潤滑油を塗油し、30℃・60%RHの雰囲気にて15日間暴露した。暴露後の試験片を、炭酸ガスを吹き込んでpHを11に調整した市販のアルカリ脱脂剤(日本パーカライジング社製:FC−L4460)に2分間浸漬し、次いで水道水で20秒間洗浄した。水道水で洗浄した試験片を乾燥させることなく垂直に懸架し、30秒間保持した際の水濡れ面積割合を測定した。そして水濡れ面積割合が80%以上のものを◎、60%以上で80%未満のものを○とし、以上のものを合格、60%未満のものを×とし不合格と判断した。
【0027】
酸化皮膜に対して何の処理も行わない比較例1は当然ながら十分な表面性能を有しておらず、水濡れ性で不合格となる。比較例2や3ではキレート剤濃度が低いため、比較例4では処理液が低温であったため、比較例7及び9ではpHが低く処理液の酸化皮膜除去能力が低いために何れも酸化皮膜を十分に除去できなかったことが理由で水濡れ性が劣る結果となっている。比較例6では十分な酸化皮膜除去能力を有する処理液を用いて長時間処理としたために、アルミニウム材母材に対してエッチングが過剰となり、外観の劣化をもたらすに至った。比較例8ではpHが高過ぎたために、アルミニウム材の母材に対するエッチングが過剰となって処理ムラが生じた。
【0028】
【表1】

【0029】
実施例2
実施例1と同じく冷間圧延で板厚を1.0mmにした6022系アルミニウム材を幅80mm、長さ200mmに切断し試験片とした。この試験片に到達板温が530℃となる熱処理を施し、その後の送風冷却で所定の温度とした状態で60℃のEDTA−3Na水溶液(0.36mass%)を15秒間スプレーした。このスプレー処理後の板に対して、板の歪及び水濡れ性を評価した。結果を表2に示す。
板の歪は短辺側の両端が平らな台に接する向きに板を置いた際に、長辺側に観測される反りによる板の浮き上がりが、台から1mm未満の場合を○と表記して合格、1mm以上の場合を×と表記して不合格と判断した。
水濡れ性は実施例1と同じ方法で評価した。
比較例10では板温が低かったために偏析層除去効果が十分ではなく、後水濡れ性が劣る結果となっている。一方、比較例11では接触時点での板温が高過ぎたためにキレート水溶液の接触界面での蒸発により酸化皮膜除去の効果が発揮されるまでに空白時間が生じ、水濡れ性が僅かに劣る結果となっている。また、キレート水溶液との大きな温度差のために歪が生じた。
【0030】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム材を50℃〜300℃とした後、キレート剤を0.01〜10mass%含有し、50℃〜90℃、pH5〜9となるキレート水溶液に、5〜60秒間接触させることを特徴とする、アルミニウム材表面処理方法。
【請求項2】
該キレート剤がエチレンジアミン四酢酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属塩から選ばれる1種又は2種以上から成ることを特徴とする、請求項1のアルミニウム材表面処理方法。