説明

アルミニウム製弁当箱及びアルミニウム製弁当箱におけるフラップの取付方法

【課題】弁当箱のほぼ全体をアルミニウムにより形成すると共に、フラップの取付態様を改良し、簡単かつ効率的にフラップを取り付けることができ、しかもフラップの回動操作を繰り返し行ってもフラップの取付状態が緩むことなく、安定した枢結状態を維持できるようにする。
【解決手段】弁当箱の天板体3の両側に設けられた軸受部材12に回動自在なフラップ4を枢結した構成において、リベット本体43を、フラップ4のブラケット部26に形成した貫通孔27を介して軸受部材12の軸支孔15に挿着しており、リベット本体43の軸部41が拡径変形して軸支孔15の内面に圧接固着されると共に、貫通孔27を介してブラケット部26を回動自在に軸支しており、フランジ部42とブラケット部26との間に隙間tを形成した構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体の上部に被冠される天板体の両側に回動自在なフラップを設け、該フラップを回動させることにより容器本体と天板体を相互に着脱自在に嵌着するアルミニウム製弁当箱に関し、特にフラップを回動可能に取り付ける構造及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図14(a)に示すようなアルミニウム製の弁当箱が公知である。このアルミニウム製弁当箱1aは、アルミニウム製とされた上部開口の容器本体2aと、前記開口を施蓋する着脱自在なアルミニウム製の蓋体3aと、蓋体3aの両側部から延設され容器本体2aの両側部に向けて揺動自在なロック片4aとを備えている。ロック片4aは、鋼線を折曲することにより形成され、両端部を蓋体3aの側部にリベット等で固着された板金製の軸受体5a、5aに上下方向に回動自在に枢結されている。従って、ロック片4aを下向き回動したとき、ロック片4aの嵌合手段6aが容器本体2aの被嵌合手段7aに嵌合することにより、蓋体3aを施蓋状態に保持する。尚、被嵌合手段7aは、アルミニウム製の容器本体2aの底部を凹入せしめることにより形成されている。
【0003】
また、その一方において、図14(b)に示すようなプラスチック製の弁当箱が公知である。このプラスチック製弁当箱1bは、プラスチック製とされた上部開口の容器本体2bと、前記開口を施蓋する着脱自在なプラスチック製の蓋体3bと、蓋体3bの両側部から延設され容器本体2bの両側部に向けて揺動自在なプラスチック製のフラップ4bとを備えている。フラップ4bは、両端部を蓋体3bの側部に一体成形された軸受体5b、5bに対して上下方向に回動自在に枢結されている。従来のフラップの取付態様としては、例えばフラップ4bの両端部に突設した支軸を軸受体5b、5bに設けた軸支孔に無理嵌めし、フラップを該支軸周りに回動自在とする態様や、フラップ4bと軸受体5b、5bとを螺子止めし、フラップを螺子周りに回動自在とする態様などがある。またフラップ4bにはその内側に爪付きリブとなる嵌合手段6bが一体成形されている。従って、フラップ4bを下向き回動したとき、フラップ4bの嵌合手段6bが容器本体2bの被嵌合手段7bに嵌合し、蓋体3bを施蓋状態に保持する。尚、被嵌合手段7bは、容器本体2bの開口縁に形成されている。
【0004】
【特許文献1】特開平9−154617号公報
【特許文献2】特開2003−135127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アルミニウム製弁当箱1aは、図14(a)に示すように、ロック片4aを鋼線の折曲により形成したものであるから、外観が美麗でなく、しかも、被嵌合部7aを設けるために容器本体2aの底部を凹入形成しなければならず、容器本体2aが異形になるという問題がある。
【0006】
これに対して、プラスチック製弁当箱1bは、図14(b)に示すように、フラップ4bの体裁が良く外観美麗であり、しかも、容器本体2bを異形にする必要がないという利点がある。一方、プラスチック製弁当箱1bはフラップを無理嵌めや螺子止めによって上下方向に回動自在に取り付けるため、次のような問題がある。すなわち、無理嵌めによる取付の場合、フラップの取付時にフラップの変形や破損が起こる可能性があり、それを防止するためには慎重な作業が必要となり、作業効率が悪くなる。また螺子止めによる取付の場合、フラップの上下方向への回動に伴って螺子が供回りし、螺着状態が緩む可能性があり、最悪の場合、螺子が外れてフラップが脱落するという問題がある。
【0007】
ところで、ユーザの間においては、弁当箱の材質としてアルミニウムのものが未だ根強い人気を有している。そこで、例えば、前述のプラスチック製弁当箱と同様の弁当箱のほぼ全体をアルミニウムにより形成することが望まれるが、その場合、特にフラップの取付態様に関する上記問題を解決することが好ましい。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決することを目的としてなされたものであり、弁当箱のほぼ全体をアルミニウムにより形成すると共に、フラップの取付態様を改良し、簡単かつ効率的にフラップを取り付けることができ、しかもフラップの回動操作を繰り返し行ってもフラップの取付状態が緩むことなく、安定した枢結状態を維持する弁当箱を提供するものである。また本発明は、アルミニウム製弁当箱におけるフラップの取付方法をも提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明が第1の解決手段として構成したところは、上部開口状のアルミニウム製の容器本体と、該容器本体の上部に着脱自在に被冠されるアルミニウム製の天板体とから成り、天板体の両側に設けた軸受部材に上下方向に回動自在なフラップのブラケット部を枢結し、該フラップに設けた嵌合手段と容器本体の両側壁に設けた被嵌合手段とにより相互に着脱自在に嵌着される嵌着手段を構成して成るアルミニウム製弁当箱において、前記フラップのブラケット部を軸受部材の端部に添設し、ブラケット部に形成した貫通孔を軸受部材の端部に形成した軸支孔に合致させた状態で、フランジ部から軸部を延設したリベット本体を挿着した構成であり、前記リベット本体は、軸部を拡径変形することにより軸支孔の内面に圧接固着されると共に、該軸部に前記貫通孔を介してブラケット部を回動自在に軸支しており、前記フランジ部とブラケット部との間に隙間を形成した点にある。
【0010】
尚、この場合において、フラップをアルミニウム製とすると共に、リベット本体をアルミニウム製とすれば、弁当箱の外観のほぼ全体をアルミニウムで構成することができる。
【0011】
また本発明が第2の解決手段として構成したところは、上部開口状のアルミニウム製の容器本体と、該容器本体の上部に着脱自在に被冠されるアルミニウム製の天板体とから成り、天板体の両側に設けた軸受部材に上下方向に回動自在なフラップのブラケット部を枢結し、該フラップに設けた嵌合手段と容器本体の両側壁に設けた被嵌合手段とにより相互に着脱自在に嵌着される嵌着手段を構成して成るアルミニウム製弁当箱において、前記軸受部材にフラップを取付ける方法であって、前記フラップのブラケット部を軸受部材の端部に添設し、ブラケット部に形成した貫通孔を軸受部材の端部に形成した軸支孔に合致させた状態で、フランジ部から軸部を延設し且つ軸心に沿って貫通する軸孔を備えたリベット本体を挿着するに際して、前記リベット本体の軸孔にマンドレルの芯軸を挿通し、該マンドレルの頭部を軸部の軸端に臨ませた状態で、該マンドレルを含むリベット本体の軸部を貫通孔から軸支孔に挿入する工程と、前記リベット本体のフランジ部と前記ブラケット部との間に着脱自在なスペーサを仮設する工程と、前記フランジ部を前記スペーサに押し付けた状態で前記リベット本体から前記マンドレルを引き抜き方向に移動し、マンドレルの頭部により軸部を拡径変形することにより軸支孔の内面に圧接固着した後、マンドレルの芯軸を頭部から分離して引き抜く工程と、その後、前記スペーサを取り除くことにより前記フランジ部とブラケット部との間に隙間を形成する工程とから成る構成とした点にある。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、容器本体と天板体をアルミニウムで形成したアルミニウム製弁当箱が提供され、これにフラップが設けられるので、体裁が良く外観美麗であり、しかも、アルミニウム製の容器本体を異形にする必要がないという利点がある。またフラップはリベット本体によって軸受部材に取り付られるので、取付が簡単であり、作業効率が上がる。そしてリベット本体を挿着した構成においては、リベット本体のフランジ部とフラップのブラケット部との間に隙間が形成されているので、フラップが回動するときに摩擦が生じず、上下方向に回動自在なフラップが構成される。更にリベット本体は軸部が拡径変形して軸支孔の内面に圧接固着されており、フラップの回動操作が繰り返されたとしてもその固着状態は緩まないので、長期にわたって良好な枢結状態を維持することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、無理嵌め作業等を行うことなく、簡単かつ効率的にフラップを軸受部材に取り付けることができる。しかもリベット本体のフランジ部とブラケット部との間にスペーサを設けてマンドレルの引き抜きを行うことにより、リベット本体のフランジ部とブラケット部との間に隙間を形成した状態でリベット本体を固着できるので、フラップが回動するときに摩擦が生じず、上下方向に回動自在なフラップが構成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。図1及び図2に示すように、弁当箱1は、上部開口状のアルミニウム製の容器本体2と、該容器本体2の上部に着脱自在に被冠されるアルミニウム製の天板体3と、該天板体3の両側部から延設され容器本体2の両側部に向けて揺動自在なフラップ4とを備えている。図示実施形態の場合、容器本体2の上部開口は、可撓性を有するプラスチック製の中蓋体5により施蓋され、該中蓋体5のフランジ6に対して倒立皿状に形成された天板体3の下向き開口縁が当接されるように構成されているが、これに限定されるものではない。例えば、中蓋体5を設けず、容器本体2の上部開口を直接に天板体3で施蓋し、天板体3により容器本体2の蓋体7を構成しても良い。
【0015】
図示実施形態の場合、中蓋体5は、図2に示すように、フランジ6の内周から上向きに膨隆する周条8の内側にシールパッキン9(図13参照)を内嵌し、該周条8により囲まれた平板部10の上に箸等の食用具11を収納自在に形成している。
【0016】
フラップ4は、天板体3の両側に設けた軸受部材12に上下方向に回動自在に枢結され、該フラップ4の内側に設けた嵌合手段13(図13参照)と、容器本体2の両側壁に設けた被嵌合手段14とにより相互に着脱自在に嵌着される嵌着手段を構成する。従って、図13に示すように、容器本体2を施蓋した中蓋体5に天板体3を被冠させた状態で、フラップ4を下向き回動すると、フラップ4の嵌合手段13が容器本体2の被嵌合手段14に嵌合し、中蓋体5のシールパッキン9を容器本体2の開口縁に密着せしめた状態で天板体3を被冠状態に保持する。
【0017】
図2に示すように、軸受部材12は、天板体3の両側に沿う長尺体を構成し、両端に軸支孔15、15を形成しており、固着手段16により天板体3に固着される。軸受部材12は、アルミニウム製とすることが好ましく、図示実施形態の場合、アルミニウムにより中実の長尺体を構成し、該長尺体から突出されたアルミニウム製の突起により固着手段16を形成している。固着手段16を構成する突起は、天板体3の側壁を貫通する孔に挿通した後、突起の挿出端を天板体3の内側から圧潰するリベット手段を構成する。しかしながら、本発明は、図示実施形態に限定されるものではなく、例えば、軸受部材12は、プラスチック製の長尺体を構成し、該軸受部材12を天板体3の外側に添設した状態で、天板体3の内側からビス等で固着するように構成しても良い。
【0018】
被嵌合手段14は、アルミニウム製のものとして容器本体2の両側壁に取付けられ、下縁に係止リブ17を設けている。このため、被嵌合手段14は、アルミニウムにより中実の長尺体を構成し、該長尺体から突出されたアルミニウム製の突起により固着手段18を構成する。固着手段18は、突起を容器本体2の側壁の貫通孔に挿通した後、該突起の挿出端を容器本体2の内側から圧潰するリベット手段を構成する。
【0019】
図3は軸受部材12に対するフラップ4の取付態様を示す図である。図3(a)に示す如く、フラップ4は軸受部材12の両端部12a、12aに添うように延設されたブラケット部26、26を有し、該ブラケット部26、26には軸受部材12に形成した軸支孔15、15よりも若干大きな孔径の貫通孔27、27を形成している。そしてブラケット部26、26を軸受部材12の両端12a、12aに添設し、貫通孔27、27を軸支孔15、15と同一軸線上となるように合致させ、ブラインドリベット40を用いてフラップ4を軸受部材12に固定する。ブラインドリベット40は、リベット本体43とマンドレル45から成り、例えばアルミニウムにより形成されている。リベット本体43は、軸部41と該軸部41の端部に設けられたフランジ部42から成り、軸心に沿って軸部41とフランジ部42を貫通する軸孔43aを形成している。マンドレル45は芯軸44aと頭部44bを有し、頭部44bは芯軸44aの端部に接続されている。尚、頭部44bと芯軸44aの接続部には芯軸44aと頭部44bを一定の箇所で分離できるように溝等を形成しておくことが好ましい。このようなブラインドリベット40は、図3(a)に示す如く、リベット本体43の軸孔43aにマンドレル45の芯軸44aを挿通し、マンドレル45の頭部44bをリベット本体43の軸部41の軸端に臨ませた状態で使用される。マンドレル45の頭部44bとリベット本体43の軸部41を、貫通孔27を介して軸支孔15に挿入し、フランジ部42を軸支孔15に向けて押し込みながらマンドレル45をリベット本体43から引き抜く方向に移動させると、マンドレル45の頭部44bが軸部41の先端を拡径変形させ、軸支孔15の内面に軸部41を圧接固着する。これによりリベット本体43が固定される。そしてマンドレル45を更に引き抜き方向に移動させると、頭部44bがマンドレル45の芯軸44aから分離されて軸支孔15の内側に留まる一方、芯軸44aはリベット本体43の軸孔43aから引き抜かれる。その結果、図3(b)に示すようにリベット本体43が軸支孔15に固着された状態で残留し、このリベット本体43によってフラップ4が軸受部材12に取り付けられる。
【0020】
図4はフラップ4が軸受部材12に取付られた状態の内部構造を示す拡大断面図である。上述のようにリベット本体43の軸部41は先端部41aが拡径変形して軸支孔15の内面に圧接した状態となり、この状態ではリベット本体43は軸方向に進退することはなく、軸支孔15に固着される。特に本実施形態では、リベット本体43を軸支孔15に固着した状態においてフランジ部42とブラケット部26の間に0.5mm程度の隙間tを設けている。
【0021】
通常、ブラインドリベットを取り付ける際には、上述のようにフランジ部を押し込みながらマンドレル芯軸の引き抜きを行うため、リベット本体を固着すると、フランジ部とブラケット部が密着した状態となり、上記のような隙間tは生じない。しかし、リベット本体43のフランジ部42とフラップ4のフランジ部26が密着すると、フラップ4を回動操作するときの摩擦抵抗が大きくなり、フラップ4の自由な回動操作を阻害する。そのため、本実施形態では、フランジ部42とブラケット部26の間に0.5mm程度の隙間tを設けてリベット本体43を固着することにより、前記摩擦抵抗を無くし、フラップ4が軸部41を中心とする上下方向に回動自在となるように構成している。以下、このようなフラップ4の取付手順を図5乃至図11を参照しながら説明する。
【0022】
まず、図5に示すように、フラップ4のブラケット部26を軸受部材12の端部に沿うように配置し、貫通孔27と軸支孔15が同一軸線上に合致するよう位置決めする。このとき別途治具等を用いてフラップ4と軸受部材12を位置決めした状態に固定してもよい。そしてブラインドリベット40を準備し、リベット本体43の軸部41をブラケット部26に設けた貫通孔27を介して軸受部材12に設けた軸支孔15に挿入する(図6参照)。ブラインドリベット40を貫通孔27から軸支孔15に挿入した状態において、図7に示す如く、リベット本体40のフランジ部42とフラップ4のブラケット部26との間に着脱自在なスペーサ47を配置する。但し、ブラケット部26の端面に予めスペーサ47を配置しておき、スペーサ47の上からブラインドリベット40を挿入し、図7に示す状態としてもよい。図8はスペーサ47の一例を示す図である。スペーサ47は厚さ約0.5mmの平板で構成され、リベット本体43の軸部41の直径とほぼ等しい幅のスリット48を有している。このスペーサ47を、スリット48を介してフランジ部42とブラケット部26の間の軸部41に差し込むことにより、リベット本体43のフランジ部42をブラケット部26からスペーサ47の板厚相当分浮かせた状態とする。そして図9に示すように、リベット本体43のフランジ部42から突出するマンドレル45の芯軸44aをマンドレル引抜工具50に差し込む。マンドレル引抜工具50は、先端にリベット本体43のフランジ部42を押さえる押さえ部51を有する。押さえ部51は中心が開口しており、突出するマンドレル45の芯軸44aを工具内部に導入する。そして押さえ部51がフランジ部42をスペーサ47に押し付けた状態で、ハンドル52を握ることにより、工具内部に設けた係止手段53がマンドレル45の芯軸44aを引き抜くのである。
【0023】
図10乃至図12はマンドレル引抜工具50によりブラインドリベット40が固着されるまでの過程を示す図である。マンドレル引抜工具50がリベット本体43から突出するマンドレル45の芯軸44aを引き抜き方向に移動させると、図10に示す如く、マンドレル45の先端に設けた頭部44bはリベット本体43の軸部41を押し拡げ、軸部41の先端を拡径変形させる。従って、軸部41が軸支孔15の内面に圧接した状態となり、リベット本体43が固着される。更にマンドレル引抜工具50がマンドレル45の芯軸44aを引き抜き方向に移動させると、芯軸44aと頭部44bの接続部に過大な力が作用し、頭部44bがマンドレル45の芯軸44aから分断される(図11参照)。そして頭部44bが芯軸44aから分離した後、マンドレル45の芯軸44aをリベット本体43の軸孔43aから引き抜けば、リベット本体43が軸支孔15に固着した状態で残留する(図12参照)。この後、スペーサ47を取り除けば、リベット本体43のフランジ部42とブラケット部26の間に上述の隙間tが形成される。以上のようにしてフラップ4のブラケット部26、26を軸受部材12の両端に取り付けることにより、ブラケット部26、26は貫通孔27を介して軸部41に軸支され、フラップ4がリベット本体43の軸部41周りに回動自在に枢結される。
【0024】
上記本実施形態のフラップ4の構造によれば、取り付けの際、無理嵌め等を行う必要がないので、慎重な作業は必要でなく、簡単かつ効率的にフラップ4を取り付けることができる。しかも、リベット本体43のフランジ部42と、フラップ4のブラケット部26との間には一定の隙間tが形成されるので、フラップ4の上下方向への回動操作はスムースに行うことができる。またリベット本体43の固着状態は、フラップ4の回動操作が繰り返されたとしても緩むことがないので、良好な枢結状態を維持できる。
【0025】
フラップ4の作用を図13に基づいて説明すると、容器本体2を施蓋した中蓋体5に天板体3を被冠させた状態で、フラップ4を図示鎖線の状態から実線に示すように下向き回動すると、ロックが達成される。即ち、フラップ4の内側の嵌合手段13に設けた爪32が容器本体2の被嵌合手段14に設けた係止リブ17に嵌合し、中蓋体5のシールパッキン9を容器本体2の開口縁に密着せしめた状態で天板体3を被冠状態に保持する。反対に、フラップ4を図示実線の状態から鎖線に示すように上向き回動すると、ロックが解除される。即ち、フラップ4の嵌合手段13が容器本体2の被嵌合手段14から外れるので、天板体3を容器本体2から分離することができ、中蓋体5を容器本体2から取外すことができる。
【0026】
このようなロック動作及びロック解除動作を繰り返すとき、アルミニウム製とした被嵌合手段14に対して、仮に、嵌合手段13を同様にアルミニウム製とするときは、アルミニウムの靱性ないし弾力性もしくは可撓性が乏しい性質により、スムースな嵌脱動作を行い難いという問題があり、しかも、無理嵌めによる嵌脱動作を繰り返すと、嵌合手段と被嵌合手段の少なくとも一方が早期に摩耗し、耐用性を満足できないという問題がある。従って、よりスムースな嵌脱動作を可能にするためには、フラップ4をアルミニウムにより形成する場合であっても、その内側に設ける嵌合手段13はプラスチックにより形成することが好ましい。
【0027】
尚、フラップ4をアルミニウム製とすると共に、ブラインドリベット40の少なくともリベット本体43をアルミニウム製とすれば、弁当箱1の外観のほぼ全体をアルミニウムで構成することができ、外観上体裁が良い。
【0028】
本実施形態においては軸受部材12が天板体3の両側に取り付けられる前に、フラップ4を取り付ける態様を例示したが、本発明はこれに限られるものではなく、天板体3の両側に一体として取り付けられた軸受部材12に対してフラップ4を取り付けるようにしても構わない。その場合であっても取付手順は上記と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態を分解状態で示す斜視図である。
【図3】フラップの取付形態の一例を示しており、(a)はフラップと軸受部材を分離した状態を示す斜視図、(b)はフラップを軸受部材に枢結した状態を示す斜視図である。
【図4】フラップが軸受部材に取付られた状態の内部構造を示す拡大断面図である。
【図5】フラップの取付手順においてブラケット部の貫通孔と軸受部材の軸支孔とを合致させた状態を示す図である。
【図6】フラップの取付手順においてマンドレルを含むリベット本体の軸部を貫通孔から軸支孔に挿入した状態を示す図である。
【図7】フラップの取付手順においてスペーサを配置した状態を示す図である。
【図8】スペーサの一例を示す斜視図である。
【図9】フラップの取付手順においてブラインドリベットのマンドレル引抜工程の一例を示す図である。
【図10】フラップの取付手順においてマンドレルの頭部によりリベット本体の軸部を拡径変形した状態を示す図である。
【図11】フラップの取付手順においてマンドレルの頭部が芯軸から分離した状態を示す図である。
【図12】フラップの取付手順においてマンドレルの芯軸をリベット本体から引き抜いた状態を示す図である。
【図13】フラップの作用を示す断面図である。
【図14】従来技術を示しており、(a)は従来のアルミニウム製弁当箱を示す斜視図、(b)は従来のプラスチック製弁当箱を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
1 弁当箱
2 容器本体
3 天板体
4 フラップ
12 軸受部材
15 軸支孔
26 ブラケット部
27 貫通孔
40 ブラインドリベット
41 軸部
42 フランジ部
43 リベット本体
43a 軸孔
44a 芯軸
44b 頭部
45 マンドレル
47 スペーサ
t 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部開口状のアルミニウム製の容器本体(2)と、該容器本体の上部に着脱自在に被冠されるアルミニウム製の天板体(3)とから成り、天板体の両側に設けた軸受部材(12)に上下方向に回動自在なフラップ(4)のブラケット部(26)を枢結し、該フラップ(4)に設けた嵌合手段(13)と容器本体(2)の両側壁に設けた被嵌合手段(14)とにより相互に着脱自在に嵌着される嵌着手段を構成して成るアルミニウム製弁当箱において、
前記フラップ(4)のブラケット部(26)を軸受部材(12)の端部(12a)に添設し、ブラケット部(26)に形成した貫通孔(27)を軸受部材(12)の端部(12a)に形成した軸支孔(15)に合致させた状態で、フランジ部(42)から軸部(41)を延設したリベット本体(43)を挿着した構成であり、
前記リベット本体(43)は、軸部(41)を拡径変形することにより軸支孔(15)の内面に圧接固着されると共に、該軸部(41)に前記貫通孔(27)を介してブラケット部(26)を回動自在に軸支しており、前記フランジ部(42)とブラケット部(26)との間に隙間(t)を形成したことを特徴とするアルミニウム製弁当箱。
【請求項2】
上部開口状のアルミニウム製の容器本体(2)と、該容器本体の上部に着脱自在に被冠されるアルミニウム製の天板体(3)とから成り、天板体の両側に設けた軸受部材(12)に上下方向に回動自在なフラップ(4)のブラケット部(26)を枢結し、該フラップ(4)に設けた嵌合手段(13)と容器本体(2)の両側壁に設けた被嵌合手段(14)とにより相互に着脱自在に嵌着される嵌着手段を構成して成るアルミニウム製弁当箱において、前記軸受部材(12)にフラップ(4)を取付ける方法であって、
前記フラップ(4)のブラケット部(26)を軸受部材(12)の端部(12a)に添設し、ブラケット部(26)に形成した貫通孔(27)を軸受部材(12)の端部(12a)に形成した軸支孔(15)に合致させた状態で、フランジ部(42)から軸部(41)を延設し且つ軸心に沿って貫通する軸孔(43a)を備えたリベット本体(43)を挿着するに際して、
前記リベット本体(43)の軸孔(43a)にマンドレル(45)の芯軸(44a)を挿通し、該マンドレル(45)の頭部(44b)を軸部(41)の軸端に臨ませた状態で、該マンドレル(45)を含むリベット本体(43)の軸部(41)を貫通孔(27)から軸支孔(15)に挿入する工程と、
前記リベット本体(43)のフランジ部(42)と前記ブラケット部(26)との間に着脱自在なスペーサ(47)を仮設する工程と、
前記フランジ部(42)を前記スペーサ(47)に押し付けた状態で前記リベット本体(43)から前記マンドレル(45)を引き抜き方向に移動し、マンドレル(45)の頭部(44b)により軸部(41)を拡径変形することにより軸支孔(15)の内面に圧接固着した後、マンドレル(45)の芯軸(44a)を頭部(44b)から分離して引き抜く工程と、
その後、前記スペーサ(47)を取り除くことにより前記フランジ部(42)とブラケット部(26)との間に隙間(t)を形成する工程とから成ることを特徴とするアルミニウム製弁当箱におけるフラップの取付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−148727(P2008−148727A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−336685(P2006−336685)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(390035091)スケーター株式会社 (23)
【Fターム(参考)】