説明

アレイ基板及びそれを備えた液晶表示装置

【課題】アレイ基板側にカラーフィルタを具備する液晶表示装置において、製造工程を増加させることなく、均一なセル厚みを維持することが可能なアレイ基板と、それを備えた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】アレイ基板と、このアレイ基板に所定の隙間を保持して対向配置された対向基板と、これら2つの基板間に狭持された液晶層とから構成される液晶表示素子に用いるアレイ基板において透明基板に、少なくとも画素電極と、前記画素電極を駆動する薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタを覆って設けられた複数色の着色層からなる着色画素とを備えるアレイ基板であって、前記着色層の少なくとも2層以上を用いて、対向基板と液晶材料を介して所定の隙間を保持するためのスペーサが積層形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置用のアレイ基板に関するものであり、特にアレイ基板側にカラーフィルタを備えた液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カラー液晶表示装置はコンピュータ端末表示装置、テレビ画像表示装置を中心に急速に普及が進んでいる。このカラー液晶表示装置は、図1に示すように、アレイ基板(2)と、このアレイ基板に所定の隙間を保持して対向配置された対向基板(1)と、これら2つの基板間に狭持された液晶層(4)と、から構成される液晶表示素子を備えており、アレイ基板(2)および対向基板(1)の一方の基板には、カラー化のために通常、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の着色層からなるカラーフィルタが設けられている。
【0003】
近年、この液晶表示装置には、高コントラスト化、高視野角化、低消費電力等の様々な要求があり、液晶表示装置のカラー表示化には必要不可欠なカラーフィルタにおいても同様の要求を達成する必要がある。通常、カラーフィルタは対向基板に設けられていたが、最近では、例えば、特許文献1、2に開示されているように、この着色画素や樹脂により形成されるブラックマトリックス(以下「BM」と称する)をアレイ基板側に形成する試みもなされている。
【0004】
これまで、アレイ基板と対向基板との貼り合せ時の位置ずれによる表示不良を防ぐために、カラーフィルタに設けられるBMを、アレイ基板側の配線よりも広く設けなければならず、画素の開口率を向上させることができないという問題があった。一方、カラーフィルタをアレイ基板側に形成することにより、このような問題を解決することができる。
【0005】
図2は、カラーフィルタを構成する着色層をアレイ基板側に形成した構造の一例である。一画素内での液晶分子の配向方向が複数の方向になるように制御した視野角の広い、配向分割垂直配向方式の液晶表示装置(MVA(Multi−domain Vertical Alignment)−LCD)の一例の断面を模式的に示した説明図である。
【0006】
図2に示すように、このMVA方式の液晶表示装置は、液晶層(4)を介して、ガラス基板(11)上にスリット(14)を有する共通電極(13)が設けられた対向基板(1)と、ガラス基板(21)上に薄膜トランジスタ層(3)、着色層(23)、画素電極(24)、突起(25)が設けられたアレイ基板(2)とを配置した構造である。突起(25)及びスリット(14)は、一画素内で互い違いの位置に設けられている。これら突起(25)及びスリット(14)は、液晶分子の配向を制御する機能を有している。この液晶表示装置は、ラビング処理に代わり突起及びスリットを設けることによって液晶分子の配向を制御する。画素電極(24)は、ITO(酸化インジウム・スズ)、酸化亜鉛、酸化スズなどからなる透明導電膜であり、フォトエッチングによって1画素毎に区切られて、着色層(23)上に設けられている。画素電極は、着色層にフォトリソグラフィ法を用いて形成されたコンタクトホールによりドレイン電極(36)を通じて薄膜トランジスタ層(3)と接続されており、電圧を印加することにより一画素毎に液晶を駆動させることが可能となっている。アレイ基板の周辺には駆動回路としてゲート線ドライバ及びデータ線ドライバ、及びこれらを制御するコントローラを有している。
【0007】
図3は、カラーフィルタを構成する着色層及びBMをアレイ基板側に形成した構造の一例であり、薄膜トランジスタ層(3)上にBM(28)を形成している。アレイ基板側に着色層及びBMを形成することにより、画素の開口率を向上させるだけでなく、TN(T
wisted Nematic)方式やPSA(Polymer Sustained Alignment)方式といった対向基板(1)側に配向分割用のスリット(14)や突起(19)を必要としない液晶駆動方式を用いた液晶表示装置において、対向基板(1)は、ガラス基板(11)に共通電極(13)及び配向膜(15)のベタ膜を形成すればよいため、液晶パネル製造時における、対向基板(1)とアレイ基板(2)を貼り合せる工程においてアライメントを必要としないためにタクトタイムを向上させることが可能となる。
【0008】
従来、対向基板(1)とアレイ基板(2)との間隙を一定に保持するために、ビーズスペーサを画素上に散布する方法が一般的であった。しかし、この方法ではビーズスペーサを意図的に配置できないために、画素上に散布されたビーズスペーサによる様々な不具合が発生していた。例えば、ビーズスペーサの凝集によるセル膜厚の不均一や、ビーズスペーサ近傍での液晶の配向不良によるコントラストの低下や、ビーズスペーサにより配向膜が欠損することにより発生する輝点不良等が挙げられる。
【0009】
そのため、図4に示すように、着色層を重ね合わせることによってスペーサを構成した液晶表示装置の提案がなされている(例えば、特許文献3、4、5、6参照)。
【0010】
特許文献3に示すように、着色層を重ね合わせることにより構成したスペーサが、十分な保護層を持たない透明電極を含んでいると、液晶パネル製造時の圧力印加により透明電極にクラックが入り、クラック自身及びクラックにより遊離した透明電極の破片が表示不良の原因となってしまう。そのため、特許文献4、5においては、透明電極の破損防止及びアレイ基板(2)と対向基板(1)の短絡防止の観点から、透明電極上に絶縁スペーサを形成する提案がされている。しかしながら、何れの提案においても、上述のTN方式やPSA方式といった対向基板(1)側に配向分割用のスリット(14)や突起(19)を必要としない液晶駆動方式においては、製造工程が増加するため、好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許2758410号公報
【特許文献2】特開2001−154013号公報
【特許文献3】特許2547523号公報
【特許文献4】特許3651874号公報
【特許文献5】特許3255107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、アレイ基板側にカラーフィルタを具備する液晶表示装置において、製造工程を増加させることなく、均一なセル厚みを維持することが可能なアレイ基板と、それを備えた液晶表示装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の請求項1に係る第1の発明は、
アレイ基板と、このアレイ基板に所定の隙間を保持して対向配置された対向基板と、これ
ら2つの基板間に狭持された液晶層とから構成される液晶表示素子に用いるアレイ基板において
透明基板に、少なくとも画素電極と、前記画素電極を駆動する薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタを覆って設けられた複数色の着色層からなる着色画素とを備えるアレイ基板であって、
前記着色層の少なくとも2層以上を用いて、対向基板と液晶材料を介して所定の隙間を保持するためのスペーサが積層形成されていることを特徴とするアレイ基板である。
【0014】
次に、本発明の請求項2に係る第2の発明は、
アレイ基板と、このアレイ基板に所定の隙間を保持して対向配置された対向基板と、これら2つの基板間に狭持された液晶層とから構成される液晶表示素子に用いるアレイ基板において
透明基板に、少なくとも画素電極、および前記画素電極を駆動する薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタを覆って設けられた複数色の着色層からなる着色画素と、前記着色画素を区画する遮光層とを備えるアレイ基板であって、
前記遮光層および前記着色層の少なくとも2層以上を用いて、対向基板と液晶材料を介して所定の隙間を保持するためのスペーサが積層形成されていることを特徴とするアレイ基板である。
【0015】
次に、本発明の請求項3に係る第3の発明は、
請求項1または請求項2に記載するアレイ基板と、このアレイ基板に所定の隙間を保持して対向配置された対向基板と、これら2つの基板間に狭持された液晶層とから構成される液晶表示素子を具備することを特徴とする液晶表示装置である。
【0016】
次に、本発明の請求項4に係る第4の発明は、
請求項3に記載する液晶表示装置に具備される液晶表示素子を構成する対向基板が、透明基板に、少なくとも前記透明基板を覆う透明電極と、前記透明電極上を覆って設けられた配向膜とにより形成されていることを特徴とする液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、アレイ基板側にカラーフィルタと積層スペーサを合わせて設けることで、製造工程を増加させることなく、また、生産性を落とすことなく、均一なセル厚みを維持することが可能なアレイ基板と、表示品質の良好な液晶表示装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】MVA方式の通常の液晶表示装置の、一例の液晶表示素子の部分断面模式図である。
【図2】アレイ基板側に着色画素が形成された、一例の液晶表示素子の部分断面模式図である。
【図3】アレイ基板側に遮光層および着色画素が形成された、一例の液晶表示素子の部分断面模式図である。
【図4】従来の、対向基板の着色層を積層させてスペーサを形成した、一例の液晶表示素子の部分断面模式図である。
【図5】液晶表示装置に用いられるアレイ基板の一例における平面の模式図である。
【図6】本発明の液晶表示装置に係る、アレイ基板側に着色層を積層させてスペーサを形成した、一例の液晶表示素子の部分断面模式図である。
【図7】本発明の液晶表示装置に係る、アレイ基板側に遮光層および着色層を積層させてスペーサを形成した、一例の液晶表示素子の部分断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係るアレイ基板とそれを用いて形成された液晶表示素子を具備する液晶表示装置を、その一実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明において、図面の符号は、同一の機能を担う構成については、従来と区別せずに同じ符号を用いて説明する。
【0020】
本発明に係る液晶表示装置は、アレイ基板側にカラーフィルタと積層スペーサが合わせて設けられている液晶表示素子を具備していることが特徴であり、その実施形態の一例を図6及び図7に示す。
【0021】
従来の対向基板側にカラーフィルタを形成し、同時に形成した積層スペーサを形成した構成に比較して、本発明のアレイ基板側にカラーフィルタと積層スペーサが合わせて設けられている液晶表示素子を具備した液晶表示装置は、工程の減少あるいはタクトタイム減によるコストダウンが期待できる。
【0022】
従来のカラーフィルタ基板を対抗基板とする場合、配向膜塗布及びそれに続くパネル貼り合わせ工程前に要するその製造工程は、例えばR、G、Bの着色画素とその少なくとも2色以上を用いて積層スペーサを同時に形成する着色画素形成工程と、その後着色画素及び積層スペーサの上にITOなどの透明導電膜からなる共通電極を成膜する工程と、VA(Vertical Alignment)形成あるいはスリット形成等の配向制御工程との後で、カラーフィルタ基板とアレイ基板のショートを防ぐために、積層スペーサ部分のITO膜にVA材などでキャップを被せるか、又は、ITOのエッチングでPS部分のITOの除去を行う絶縁化工程を必要とする。このとき対応するアレイ基板は、TFT形成工程と、ITO成膜やスリット形成による画素電極形成工程からなる。すなわち、液晶駆動方式がVA、IPS(In Plane Switching)の場合少なくとも5工程、液晶駆動方式がTN、PSAの場合少なくとも6工程となる。対向基板のカラーフィルタ側に積層スペーサがある場合、VA形成やITOスリット形成と同時にこの工程を行うが、TNやPSAといった液晶駆動方式の場合、元々この工程が無いために工程増加となる。
【0023】
それに対して、本発明に係るアレイ基板のTFT側に積層スペーサを形成する場合その製造工程は、対向基板ではITOの透明電極成膜工程と、配向制御工程となり、対応するアレイ基板は、TFT形成工程と、RGB形成工程、ITO成膜やスリット形成による画素電極形成工程からなる。すなわち、液晶駆動方式がTN、PSA、IPSの場合少なくとも4工程、液晶駆動方式がVAの場合少なくとも5工程となる。この場合、元々必要な画素電極形成工程により積層スペーサ部分のITOを除去することができるので、どのような液晶駆動方式でも工程増にはならない。
【0024】
さらに、液晶駆動方式がTNやPSAのような対向基板側で配向制御を必要としない場合には、アレイ基板と対向基板との貼り合わせ時、アライメントフリーとなり、タクトタイムの大幅な減少が可能となる。なお、従来のカラーフィルタ基板を対抗基板とする場合、BM上に積層スペーサを形成するが、本発明のアレイ基板側では、ゲート線や共通配線上に積層スペーサを形成する。
【0025】
本発明に係る液晶表示装置は、少なくとも画素電極(24)、および前記画素電極を駆
動する薄膜トランジスタ(3)と、前記薄膜トランジスタを覆って設けられた複数色の着色画素(23)を備えたアレイ基板(2)と、前記アレイ基板に所定の隙間を保持して対向配置された対向基板(1)と、を備えており、当該複数色の画素は少なくとも着色層から構成されている。複数色には赤、緑、青(RGB)の組み合わせやそれらにイエロー、マゼンダ、シアンを追加した組み合わせが挙げられるが、本発明のアレイ基板及び液晶表示装置はRGB系に対して特に好ましく適用できる。
【0026】
本発明に係る液晶表示装置に用いられる透明基板は、可視光に対してある程度の透過率を有するものが好ましく、好ましくは80%以上の透過率を有するものを用いることができる。一般に液晶表示装置に用いられているものでよく、PETなどのプラスチック基板やガラスが挙げられるが、通常はガラス基板を用いるとよい。
【0027】
図5及び図6、図7に示すように、アレイ基板は透明基板上に、モリブデンやタングステンもしくはその合金等の金属からなるゲート線(38)およびゲート電極(31)を配置し、これらを覆うように酸化ケイ素・窒化ケイ素等からなるゲート絶縁膜(32)が配置されている。また、ゲート絶縁膜上にはアモルファス・シリコンなどの半導体層(34)が配置され、更にモリブデンやアルミニウムからなるソース線(37)、ソース電極(35)、ドレイン電極(36)が配置されスイッチング素子を形成している。スイッチング素子の上には、酸化ケイ素・窒化ケイ素等からなる保護層(33)が配置される。
【0028】
アレイ基板上への着色層および遮光層の作製方法は、公知のインクジェット法、印刷法、フォトリソグラフィ法、エッチング法など何れかの方法で作製できる。高精細、分光特性の制御性及び再現性等を考慮すれば、透明な樹脂中に顔料を、光開始剤、重合性モノマーと共に適当な溶剤に分散させた着色樹脂組成物をアレイ基板上に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜にパターン露光、現像することで一色の着色層を形成する工程を各色毎に繰り返し行って着色画素を形成するフォトリソグラフィ法が好ましい。
【0029】
本発明に係る液晶表示装置に用いるアレイ基板側が備える画素を構成する着色層および遮光層は、着色樹脂組成物を調製してフォトリソグラフィ法により形成する場合は例えば以下の方法に従う。着色剤となる顔料を透明な樹脂中に光開始剤、重合性モノマーと共に適当な溶剤に分散させる。分散させる方法はミルベース、3本ロール、ジェットミル等様々な方法があり特に限定されるものではない。
【0030】
本発明のアレイ基板に備える画素を構成する着色層形成に用いて好適な、着色樹脂組成物に用いることのできる着色顔料の具体例を、カラーインデックス番号で示す。
【0031】
赤色画素を形成するための赤色着色組成物には、例えばC.I.Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、179、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、246、254、255、264、272、279等の赤色顔料を用いることができる。赤色着色組成物には、黄色顔料、橙色顔料を併用することができる。
【0032】
黄色顔料としてはC.I. Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、1
27、128、129、137、138、139、144、146、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214等が挙げられる。また、橙色顔料としてはC.I. Pigment Orange 36、43、51、55、59、61、71、73等が挙げられる。
【0033】
緑色画素を形成するための緑色着色組成物には、例えばC.I. Pigment Green 7、10、36、37、58等の緑色顔料、を用いることができる。緑色着色組成物には赤色着色組成物と同様の黄色顔料を併用することができる。
【0034】
青色画素を形成するための青色着色組成物には、例えばC.I. Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、80等の青色顔料、好ましくはC.I. Pigment Blue 15:6を用いることができる。また、青色着色組成物には、C.I. Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料、好ましくはC.I. Pigment Violet 23を併用することができる。
【0035】
また、上記有機顔料と組み合わせて、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、無機顔料を組み合わせて用いることも可能である。無機顔料としては、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑等の金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉等が挙げられる。さらに、調色のため、耐熱性を低下させない範囲内で染料を含有させることができる。
【0036】
遮光層を形成する遮光性着色組成物に用いられる遮光剤には、カーボンブラックや酸化チタンの他に、赤、青、緑、黄、紫色等の着色顔料の混合物を用いることが出来る。遮光剤として用いられるカーボンブラックとしては、三菱化学社製のカーボンブラック#2400、#2350、#2300、#2200、#1000、#980、#970、#960、#950、#900、#850、MCF88、#650、MA600、MA7、MA8、MA11、MA100、MA220、IL30B、IL31B、IL7B、IL11B、IL52B、#4000、#4010、#55、#52、#50、#47、#45、#44、#40、#33、#32、#30、#20、#10、#5、CF9、#3050、#3150、#3250、#3750、#3950、ダイヤブラックA、ダイヤブラックN220M、ダイヤブラックN234、ダイヤブラックI、ダイヤブラックLI、ダイヤブラックII、ダイヤブラック339、ダイヤブラックSH、ダイヤブラックSHA、ダイヤブラックLH、ダイヤブラックH、ダイヤブラックHA、ダイヤブラックSF、ダイヤブラックN550M、ダイヤブラックE、ダイヤブラックG、ダイヤブラックR、ダイヤブラックN760M、ダイヤブラックLR。キャンカーブ社製のカーボンブラックサーマックスN990、N991、N907、N908、N990、N991、N908。旭カーボン社製のカーボンブラック旭#80、旭#70、旭#70L、旭F−200、旭#66、旭#66HN、旭#60H、旭#60U、旭#60、旭#55、旭#50H、旭#51、旭#50U、旭#50、旭#35、旭#15、アサヒサーマル、デグサ社製のカーボンブラックColorBlack Fw200、ColorBlack Fw2、ColorBlack Fw2V、ColorBlack Fw1、ColorBlack
Fw18、ColorBlackS170、ColorBlack S160、SpecialBlack6、SpecialBlack5、SpecialBlack4、SpecialBlack4A、PrintexU、PrintexV、Printex1
40U、Printex140V等が挙げられる。
【0037】
アレイ基板側に形成する樹脂BMに用いる遮光剤としては、比誘電率と透過率の関係から、カーボンブラックおよび着色顔料の混合品が好ましい。樹脂BMの比誘電率が高いと、配線間および配線−画素電極間の信号伝達に影響を及ぼし、RC遅延やクロストークといった表示不良を引き起こす可能性がある。樹脂BMの比誘電率としては、10以下が好ましく、さらに好ましくは6以下である。着色組成物中への遮光剤の添加量としては、35質量%乃至50質量%が好ましい。遮光剤の添加量が35質量%以下であると十分な遮光性が得られず、遮光剤の添加量が50質量%以上であるとBMとして、十分なパターニング性が得られない。遮光性はOD(Optical Density)値とよばれる透過率の逆数の常用対数によって表される。十分な遮光性を保つためには、樹脂BM全体として、3.5以上のOD値が必要とされる。
【0038】
本発明の液晶表示装置に用いるアレイ基板が備える画素を構成する着色層および遮光層の形成に用いて好適な、着色樹脂組成物に用いることのできる透明樹脂は、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上である樹脂である。透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が含まれる。透明樹脂には、必要に応じて、その前駆体である、放射線照射により硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーを単独で、または2種以上混合して用いることができる。
【0039】
このような樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、スチレンーマレイン酸共重合体、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ノボラック樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、およびこれらを変性したもの等が挙げられる。これらの中でも、エポキシ樹脂と不飽和基含有カルボン酸またはその無水物の反応物にさらに多塩基性カルボン酸またはその無水物とを反応させて得られた光重合性不飽和基含有樹脂、あるいはノボラック樹脂、ポリビニルフェノール樹脂等のフェノール性水酸基を有する樹脂またはこれらの変性樹脂が、現像性、パターニング特性、コスト等の点から特に好ましい。
【0040】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0041】
感光性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン-無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0042】
用いることのできる多官能重合性モノマーおよびオリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレー
ト、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メラミン(メタ)アクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。また、水酸基を有する(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られる(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタンアクリレートを用いることが好ましい。なお、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートとの組み合わせは任意であり、特に限定されるものではない。また、1種の多官能ウレタンアクリレートを単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらは、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
【0043】
着色樹脂組成物には、該組成物を紫外線照射により硬化する場合には、光重合開始剤等が添加される。光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ-ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、O−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ-ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物、ボレート系化合物、カルバゾール系化合物、イミダゾール系化合物、チタノセン系化合物等が用いられる。これらの光重合開始剤は1種または2種以上混合して用いることができる。光重合開始剤の使用量は、着色組成物の全固形分量を基準として0.5〜50質量%が好ましく、より好ましくは3〜30質量%である。
【0044】
さらに、増感剤として、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等の化合物、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系化合物を併用することもできる。これらの増感剤は1種または2種以上混合して用いることができる。増感剤の使用量は、光重合開始剤と増感剤の合計量を基準として0.5〜60質量%が好ましく、より好ましくは3〜40質量%である。 また、重合開始剤と光増感剤とを併用することが好ましい。増感剤として、を併用することもできる。
【0045】
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0046】
さらに、着色樹脂組成物には、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有させることができる。多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。これらの多官能チオールは、1種または2種以上混合して用いることができる。多官能チオールの使用量は、着色組成物の全固形分量を基準として0.1〜30質量%が好ましく、より好ましくは1〜20質量%である。0.1質量%未満では多官能チオールの添加効果が不充分であり、30質量%を越えると感度が高すぎて逆に解像度が低下する。
【0047】
着色樹脂組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。貯蔵安定剤としては、例えばベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、トリエチルホスフィン、トリフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色組成物中の顔料100質量部に対して、0.1〜10質量部の量で含有させることができる。
【0048】
また、着色樹脂組成物には、基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。シランカップリング剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等が挙げられる。シランカップリング剤は、着色組成物中の顔料100質量部に対して、0.01〜100質量部の量で含有させることができる。
【0049】
着色樹脂組成物は、必要に応じて有機溶剤を含有することができる。有機溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。溶剤は、着色組成物中の顔料100質量部に対して、800〜4000質量部、好ましくは1000〜2500質量部の量で用いることができる。
【0050】
アレイ基板上に遮光層および着色層を形成する方法としては、まず上述の感光性着色組成物を塗布し、プリベークを行う。塗布する手段はスピンコート、ディップコート、ダイコートなどが通常用いられるが、基板上に均一な膜厚で塗布可能な方法ならばこれらに限定されるものではない。プリベークは50〜120℃で1〜20分ほどすることが好ましい。感光性着色組成物を塗布し着色層を形成した基板にパターンマスクを介して露光を行う。光源には通常の高圧水銀灯などを用いればよい。
【0051】
続いて現像を行う。現像液にはアルカリ性水溶液を用いる。アルカリ性水溶液の例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、もしくは水酸化カリウム水溶液が好んで用いられるが、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、または両者の混合水溶液、もしくはそれらに適当な界面活性剤などを加えたものを用いても良い。現像後、水洗、乾燥して任意の一色の画素が得られる。
【0052】
以上の一連の工程を、着色組成物およびパターンを替え、必要な数だけ繰り返すことで、遮光パターンと、この遮光パターンで区画された必要な色数の着色層が組み合わされた着色パターンすなわち複数色の画素を得ることができる。また、同時にこの着色層の少なくとも2層以上を用いて、スペーサ用の突起がアレイ基板側に形成される。
【0053】
アレイ基板側に形成する着色画素の膜厚としては、一般的に2.0乃至3.5μm程度である。これより膜厚が薄くなると着色画素上に形成する画素電極と配線の距離が近くなることによるRC遅延やクロストーク等の表示不良が懸念されるために、画素電極の十分な開口が得られなくなる。一方、これより膜厚が厚いと、着色画素上に形成するコンタクトホールの開口が困難となる。
【0054】
アレイ基板側に形成する樹脂BMの膜厚としては、1.0乃至3.0μm程度である。これより膜厚が薄くなると、十分な遮光性が得られない、もしくは、遮光剤の濃度が高くなるために比誘電率が高くなってしまう。また、これより膜厚が厚くなると、直線性が悪くなる等の十分なパターニング性が得られない結果となる。樹脂BMの形成段階としては、図6に示すように着色画素の形成前であるか、もしくは着色画素の形成後の何れでも良い。
【0055】
アレイ基板(2)および対向基板(1)に塗布される配向膜(15、27)は、液晶を所定の方向ダイレクターに配向させる性質をもつので、所定の液晶モードに合せて配向膜を選定する必要がある。配向膜の材料としては、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂などの感光性または非感光性のものが好ましく用いられるが、これらに限られるものではない。ただし、配向膜の耐熱性・信頼性の点からポリイミド系樹脂が好ましい。
【0056】
ポリイミド系樹脂は、可溶性ポリイミド型の配向膜溶液やポリアミック酸型の配向膜溶液を液晶表示装置用基板上に形成した後に、必要に応じて乾燥、焼成や光照射して得られる。配向膜材料は基板上に、フレキソ印刷、スピンコート、ロールコート、スリットダイコート、シルク印刷、インクジェット印刷等により液晶表示装置用基板上に形成される。配向膜として好ましく用いられるポリイミド系樹脂としては、特に限定されるものではないが、ポリアミック酸を加熱または適当な触媒によってイミド化したものが好適に用いられる。
【0057】
本発明の液晶表示装置の構成を実施するために、市販されている配向膜を用いてもよい。例えば、ジェイエスアール社製のAL1000、AL1068、AL1072、AL1077、AL1F00、AL3000、AL4000、AL5000、AL6000、AL7000、AL8000、AL1H659、AL60101、AL60601、JALS−146、JALS−212、JALS−246、JALS−406、JALS−445、JALS−469、JALS−550、JALS−552、JALS−553、JALS−555、JALS−556、JALS−566、JALS−725、JALS−1082、JALS−1085、JALS−1216、チッソ社製のPIA−5140、PIA−5150、PIA−5310、PIA−X322、PIA−2024、PIA−2700、PIA−2800、PIA−2900、日産化学社製のSE−130、SE−150、SE−2110、SE−410、SE−610、SE−1180、SE−2170、SE−1211、SE−1410、SE−3140、SE−3210、SE−3310、SE−3510、SE−5291、SE−5300、SE−6210、SE−7492、SE−7992、SE−7511L、SE−8192L、RN−1322、RN−1332、RN−1349、RN−1358、RN−1386、RN−1417、RN−1436、RN−1450、RN−1477、RN−1486などを単独で用いても良いし、
これらの内の2種以上を混合して用いても良いし、また適宜他のポリマー成分を添加しても良いし、これらの製品に含まれる樹脂成分を適宜選択して用いてもよい。
【0058】
配向膜の溶液に使用される溶剤としては、水、エタノール、メタノール、イソブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノールなどのアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトンなどのエステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、2−ピロリドン、N−メチルピロリドンなどのピロリドン類、ブチルセロソルブなどを使用することができる。
【0059】
液晶界面での液晶の方向(ダイレクター)を一様に揃える処理は、液晶のダイレクターを液晶表示装置用基板の水平近くまで配向させるTNやIPSといった液晶表示モードで用いられるものであり、レーヨンやコットンといった布で配向膜を擦るラビング処理や偏光を制御した光を照射する光配向処理等が用いられる。
【0060】
液晶表示装置に使用される液晶材料としては、表示モード、駆動方式に応じて適宜選択することができる。例えば、ネマティック液晶やスメクチック液晶が良好な表示を得るために用いられる。スメクチック液晶には強誘電性液晶や反強誘電性液晶などが含まれる。ネマティック液晶としては、表示方式に応じて誘電異方性の正のもの、負のものを適宜用いることができる。
【0061】
本発明の液晶表示装置の構成を実施するために、市販されている液晶を用いてもよい。例えば、TN方式であれば、メルク社製MLC−6222、MLC−6625、MLC−6628、MLC−6880、MLC−6888、MLC−7081、ZLI−4792、ZLI−5091などにカイラル剤を添加して使用することができる。また、MVA方式であれば、メルク社製MLC−6601、MLC−6614、MLC−6686、MLC−6692、MLC−6608、MLC−6609、MLC−6610、MLC−6222、MLC−6252、MLC−6256、MLC−6625、MLC−6628などを使用することが出来る。IPS方式であれば、MLC−2041、MLC−6601、MLC−6614、MLC−6686、MLC−6692などを使用することが出来る。
【実施例】
【0062】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においてこれに限定されるものではない。なお、以下で部はすべて質量部である。
【0063】
[樹脂溶液(A−1)の合成]
反応容器にシクロヘキサノン800部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら加熱して、下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を滴下して重合反応を行った。
【0064】
スチレン 60部
メタクリル酸 60部
メチルメタクリレート 65部
ブチルメタクリレート 65部
熱重合開始剤 10部
連鎖移動剤 3部
滴下後十分に加熱した後、熱重合開始剤2.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、さらに反応を続けてアクリル樹脂の溶液を得た。この樹脂溶液に固形分が20質量%になるようにシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液を調製し、樹脂溶液(A−1)とした。アクリル樹脂の質量平均分子量は、約10000であった。
【0065】
[樹脂溶液(A−2)の合成]
反応容器にシクロヘキサノン800部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら加熱して、下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を滴下して重合反応を行った。
【0066】
スチレン 55部
メタクリル酸 65部
メチルメタクリレート 65部
ベンジルメタクリレート 60部
熱重合開始剤 15部
連鎖移動剤 3部
滴下後十分に加熱した後、熱重合開始剤2.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、さらに反応を続けてアクリル樹脂の溶液を得た。この樹脂溶液に固形分が30質量%になるようにシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液を調製し、樹脂溶液(A−2)とした。アクリル樹脂の質量平均分子量は、約20000であった。
【0067】
[着色樹脂組成物の調製]
下記の要領で赤、青、緑の着色樹脂組成物および樹脂BM用の遮光性樹脂組成物の調製を行った。
【0068】
<赤色着色樹脂組成物>
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルターで濾過して赤色顔料の分散体を作製した。
【0069】
赤色顔料:C.I. Pigment Red 254 18部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガーフォーレッド B−CF」)
赤色顔料:C.I. Pigment Red 177 2部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「クロモフタールレッド A2B」)
分散剤(味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB821」) 2部
樹脂溶液(A−1) 108部
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルターで濾過して赤色着色樹脂組成物を得た。
【0070】
上記赤色顔料の分散体 130部
樹脂溶液(A−1) 100部
多官能重合性モノマー 25部
(東亜合成製「アロニックス M−520」)
光開始剤(チバ・スペチャルティ・ミカルズ社製「イルガキュアー369」) 15部
増感剤(保土ヶ谷化学工業(株)製「EAB−F」) 5部
シクロヘキサノン 325部
調整した赤色着色樹脂組成物中のカルボキシル基含有モノマー量は固形分中の21.1質量%であった。
【0071】
<緑色着色樹脂組成物>
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルターで濾過して緑色顔料の分散体を作製した。
【0072】
緑色顔料:C.I. Pigment Green 36 20部
(東洋インキ製造(株)製「リオノールグリーン 6YK」)
黄色顔料:C.I. Pigment Yellow 150 8部
(バイエル社製「ファンチョンファーストイエロー Y−5688」)
分散剤(ビックケミー社製「Disperbyk−103」) 2部
樹脂溶液(A−1) 102部
その後、上記緑色顔料の分散体を132部用い、さらに下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルターで濾過して緑色着色樹脂組成物を得た。
【0073】
樹脂溶液(A−1) 116部
多官能重合性モノマー 32部
(大阪有機化学工業(株)製「ビスコート#2500」)
光開始剤(チバガイギー社製「イルガキュアーOXE−02」) 7部
増感剤(保土ヶ谷化学工業(株)製「EAB−F」) 2部
シクロヘキサノン 313部
調整した緑色着色樹脂組成物中のカルボキシル基含有モノマー量は固形分中の24.2質量%であった。
【0074】
<青色着色樹脂組成物>
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して青色顔料の分散体を作製した。
【0075】
青色顔料:C.I. Pigment Blue 15 20部
(東洋インキ製造(株)製「リオノールブルーES」)
紫色顔料:C.I. Pigment Violet 23 2部
(BASF社製「パリオゲンバイオレット 5890」)
分散剤(ゼネカ社製「ソルスバーズ20000」) 5部
樹脂溶液(A−1) 125部
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルターで濾過して青色着色樹脂組成物を得た。
【0076】
上記青色顔料の分散体 152部
樹脂溶液(A−1) 100部
多官能重合性モノマー 31部
(大阪有機化学工業(株)製「ビスコート#2500」)
光開始剤(チバガイギー社製「イルガキュアー907」) 14部
増感剤(保土ヶ谷化学工業(株)製「EAB−F」) 3部
シクロヘキサノン 300部
調整した青色着色樹脂組成物中のカルボキシル基含有モノマー量は固形分中の23.8質量%であった。
【0077】
<遮光性樹脂組成物>
下記組成の混合物を均一に拡販混合した後、直径1mmのガラスビーズを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルターで濾過して遮光剤の分散体を得た。
【0078】
赤色顔料:C.I. Pigment Red 254 14部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガーフォーレッド B−CF」)
青色顔料:C.I. Pigment Blue 15 14部
(東洋インキ製造(株)製「リオノールブルーES」)
分散剤(味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB821」) 2部
樹脂溶液(A−2) 120部
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルターで濾過して遮光性樹脂組成物を得た。
【0079】
上記遮光剤の分散体 150部
樹脂溶液(A−2) 100部
カーボンブラック分散剤(御国色素社製 TPBK−234C) 37部
多官能重合性モノマー(東亜合成製「アロニックス M-400」) 30部
光開始剤(チバガイギー社製「イルガキュアー369」) 14部
増感剤(保土ヶ谷化学工業(株)製「EAB−F」) 3部
シクロヘキサノン 100部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 200部
〔薄膜トランジスタ層の形成〕
スパッタリング法によりMo薄膜を形成した無アルカリガラス基板OA−10(日本電気硝子社製)上に、ポジ型レジストNPR−9000(ナガセケムテックス社製)を塗布した。紫外線露光機にてフォトマスクを介して露光後、2.4質量%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液にて現像を行った。この基板ウェットエッチングによりMo薄膜をパターニング後にポジ型レジストをアンラストTN−1(三若純薬社製)にて除去するフォトリソグラフィプロセスにより、ゲート線(38)およびゲート電極(31)を形成した。次に、この基板上に、プラズマCVD法を用いて窒化珪素によるゲート絶縁膜(32)、半導体層(34)を形成した。更に、この基板上にフォトリソグラフィプロセスを用いて、Ti/Al合金にてデータ線(37)、ソース電極(35)およびドレイン電極(36)を形成した。最後にこの基板上に窒化珪素による保護層(33)を形成して薄膜トランジスタ層(3)を形成したアレイ基板を得た。
【0080】
<実施例1>
〔着色層およびスペーサの形成〕
前記したアレイ基板上の薄膜トランジスタ層上に、赤色着色樹脂組成物をスピンコートにて仕上り膜厚が3.0μmとなるように塗布を行った。ホットプレートにて90℃で60秒間乾燥後、紫外線露光機にてフォトマスクを介してパターン露光を行い、アルカリ現像液によって、未露光部分を除去後、オーブンにて230℃で20分熱硬化を行い、ゲート線とデータ線とで囲まれる画素上にストライプ状の着色層である赤色画素をアレイ基板上に形成した。この時、スペーサを形成するために赤色画素で薄膜トランジスタ部を覆い、コンタクトホールを形成するためにドレイン電極上には25μmのスルーホールを形成した。
なお、アルカリ現像液は以下の組成からなる。
【0081】
炭酸ナトリウム 1.5質量%
炭酸水素ナトリウム 0.5質量%
陰イオン系界面活性剤(花王(株)製「ペリレックスNBL」) 8.0質量%
水 90.0質量%
次に、緑色着色組成物も同様にスピンコートにて仕上り膜厚が3μmとなるように塗布し、乾燥後、露光機にてストライプ状の着色層を前述の赤色画素とはずらした場所に露光し現像することで、赤色画素と隣接した緑色画素を形成した。この時、薄膜トランジスタを覆うように形成された赤色画素上に緑色着色組成物で直径30μmの円形ドットパターンを形成し、ドレイン電極上には25μmのスルーホールを併せて形成した。
【0082】
さらに、赤色、緑色と全く同様にして、青色樹脂着色組成物についても仕上り膜厚3μmで赤色画素、緑色画素と隣接した青色画素を形成した。この時、緑色着色組成物で形成された円形ドットパターン上に青色樹脂着色組成物で直径20μmの円形ドットパターンを形成し、ドレイン電極上には25μmのスルーホールを併せて形成して、着色画素を積層したスペーサを形成した。
【0083】
〔画素電極の形成〕
次に、着色画素上にスパッタリング法によりITOをターゲットとして0.1μmの膜厚で導電膜を形成した。前記導電膜上にポジ型レジストLC−100(ローム・アンド・ハース社製)を塗布した。紫外線露光機にてフォトマスクを介して露光・現像後、ITO−CF60(三菱ガス化学社製)を用いてデータ線(37)およびゲート線(38)上およびスペーサ部分の導電膜のエッチングを行った。ポジ型レジストをアンラストTN−1にて除去後、オーブンにて230℃で40分熱硬化を行うことによって着色画素上にコンタクトホール(29)を通じてドレイン電極と接続する画素電極を形成した。これで、図6に示すような薄膜トランジスタ層(3)上に赤、緑、青の着色画素を積層することにより形成されたスペーサを有するアレイ基板(2)を作成した。
【0084】
〔対向基板の形成〕
前記アレイ基板(2)と貼り合せる対向基板(1)として、無アルカリガラスOA−10上に、スパッタリング法によりITOをターゲットとして0.1μmの膜厚で導電膜を形成した。前記導電膜上にポジ型レジストLC−100を塗布した。紫外線露光機にてフォトマスクを介して露光・現像後、ITO−CF60を用いてエッチングすることにより配向用スリットを形成した。ポジ型レジストをアンラストTN−1にて除去後、オーブンにて230℃で20分熱硬化を行うことによって対向基板を作成した。
〔液晶表示装置の作製〕
作成した対向基板(1)とアレイ基板(2)上に、フレキソ印刷機にてポリイミド配向膜AL60601(JSR社製)を0.1μmの膜厚で塗布し、ホットプレートで90℃で60秒乾燥後に、オーブンで230℃で60分熱硬化を行った。シールディスペンサーにて封止剤であるフォトレックS(積水化学社製)を表示部外周に塗布し、それに続いて液晶ディスペンサーにて、MLC6610(メルク社製)を滴下後、真空滴下法にて液晶表示素子(液晶パネル)を作製した。前記液晶パネルに偏光板、ICドライバ・駆動回路およびバックライトを装着することによりMVA方式液晶表示装置を得た。得られた液晶表示装置は、パネル全体のセル厚みが均一に保持され、ムラ等を生じることのない表示特性であった。
【0085】
<実施例2>
〔遮光層の形成〕
前記、薄膜トランジスタ層上に、遮光層として遮光性樹脂組成物1をスピンコートにて仕上り膜厚が3.0μmとなるように塗布を行った。ホットプレートにて90℃ 60秒間乾燥後、紫外線露光機にてフォトマスクを介してパターン露光を行い、アルカリ現像液において、未露光部分の除去後、オーブンにて230℃で40分熱硬化を行った。この時、遮光層は薄膜トランジスタ層、ゲート線およびデータ線を覆うようにパターンを形成した。遮光層のOD値は4.5であった。
【0086】
〔着色層およびスペーサの形成〕
前記、薄膜トランジスタ層上に、赤色着色樹脂組成物をスピンコートにて仕上り膜厚が3.0μmとなるように塗布を行った。ホットプレートにて90℃ 60秒間乾燥後、紫外線露光機にてフォトマスクを介してパターン露光を行い、アルカリ現像液によって、未露光部分の除去後、オーブンにて230℃で20分熱硬化を行い、ゲート線とデータ線とで囲まれる画素上にストライプ状の着色層である赤色画素をアレイ基板上に形成した。この
時、コンタクトホールを形成するためにドレイン電極上に25μmのスルーホールを形成した。
【0087】
次に、緑色着色樹脂組成物も同様にスピンコートにて仕上り膜厚が3μmとなるように塗布、乾燥後、露光機にてストライプ状の着色層を前述の赤色画素とはずらした場所に露光し現像することで、赤色画素と隣接した緑色画素を形成した。この時、薄膜トランジスタを覆うように形成した遮光層上に緑色着色樹脂組成物による直径30μmの円形ドットパターンを形成し、ドレイン電極上には25μmのスルーホールを併せて形成した。
【0088】
さらに、赤色、緑色と全く同様にして、青色着色樹脂組成物についても仕上り膜厚3μmで赤色画素、緑色画素と隣接した青色画素を形成した。この時、緑色着色樹脂組成物で形成された円形ドットパターン上に、青色着色樹脂組成物による直径20μmの円形ドットパターンを形成し、ドレイン電極上には25μmのスルーホールを併せて形成することにより着色画素を積層したスペーサを形成した。
【0089】
〔画素電極の形成〕
次に、実施例1と同様にして、着色画素上にスパッタリング法によりITOをターゲットとして0.1μmの膜厚で導電膜を形成した。前記導電膜上にポジ型レジストLC−100(ローム・アンド・ハース社製)を塗布した。紫外線露光機にてフォトマスクを介して露光・現像後、ITO−CF60(三菱ガス化学社製)を用いてデータ線(37)およびゲート線(38)上およびスペーサ部分の導電膜のエッチングを行った。ポジ型レジストをアンラストTN−1にて除去後、オーブンにて230℃で40分熱硬化を行うことによって着色画素上にコンタクトホール(29)を通じてドレイン電極と接続する画素電極を形成した。これで、図7に示すような薄膜トランジスタ層(3)上に樹脂BMおよび緑、青の着色画素を積層することにより形成されたスペーサを有するアレイ基板(2)を形成した。
【0090】
〔対向基板の形成〕
前記アレイ基板と貼り合せる対向基板(1)として、無アルカリガラスOA−10上に、スパッタリング法によりITOをターゲットとして0.1μmの膜厚で導電膜を形成後、オーブンにて230℃で20分熱硬化を行うことによって対向基板を形成した。
【0091】
液晶表示装置の作製〕
対向基板(1)とアレイ基板(2)上に、フレキソ印刷機にてポリイミド配向膜サンエバー7492(日産化学社製)を0.1μmの膜厚で塗布し、ホットプレートで90℃ 60秒乾燥後に、オーブンで230℃ 60分熱硬化を行った。前記一対の基板にラビング処理を行って洗浄を行った後、シールディスペンサーにて封止剤であるフォトレックS(積水化学社製)を表示部外周に塗布し、それに続いて液晶ディスペンサーにて、MLC2068(メルク社製)にカイラル剤を添加したものを滴下後、真空滴下法にて液晶表示素子(液晶パネル)を作製した。前記液晶パネルに偏光板、ICドライバ・駆動回路およびバックライトを装着することによりTN方式液晶表示装置を得た。得られた液晶表示装置は、パネル全体のセル厚みが均一に保持され、ムラ等を生じることのない表示特性であった。また、TN方式では対向基板に配向制御用のスリット(14)や突起(19)を必要としないため、液晶パネルの詳細なアライメントを必要としないために高い生産性を持つ液晶表示装置が製造可能であった。
【符号の説明】
【0092】
1・・・対向基板 11・・・ガラス基板 12・・・偏光板
13・・・共通電極 14・・・スリット 15・・・配向膜
16・・・ブラックマトリクス 17・・・平坦化層
18・・・着色層(R、G、B) 19・・・突起 1A・・・絶縁ドットパターン

2・・・アレイ基板 21・・・ガラス基板 22・・・偏光板
23・・・着色層(R、G、B) 24・・・画素電極 25・・・突起
26・・・スリット 27・・・配向膜 28・・・ブラックマトリクス
29・・・コンタクトホール 3・・・薄膜トランジスタ層 31・・・ゲート電極

32・・・ゲート絶縁膜 33・・・保護層 34・・・半導体層
35・・・ソース電極 36・・・ドレイン電極 37・・・データ線
38・・・ゲート線 4・・・液晶層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレイ基板と、このアレイ基板に所定の隙間を保持して対向配置された対向基板と、これら2つの基板間に狭持された液晶層とから構成される液晶表示素子に用いるアレイ基板において
透明基板に、少なくとも画素電極と、前記画素電極を駆動する薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタを覆って設けられた複数色の着色層からなる着色画素とを備えるアレイ基板であって、
前記着色層の少なくとも2層以上を用いて、対向基板と液晶材料を介して所定の隙間を保持するためのスペーサが積層形成されていることを特徴とするアレイ基板。
【請求項2】
アレイ基板と、このアレイ基板に所定の隙間を保持して対向配置された対向基板と、これら2つの基板間に狭持された液晶層とから構成される液晶表示素子に用いるアレイ基板において
透明基板に、少なくとも画素電極と、前記画素電極を駆動する薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタを覆って設けられた複数色の着色層からなる着色画素と、前記着色画素を区画する遮光層とを備えるアレイ基板であって、
前記遮光層および前記着色層の少なくとも2層以上を用いて、対向基板と液晶材料を介して所定の隙間を保持するためのスペーサが積層形成されていることを特徴とするアレイ基板。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載するアレイ基板と、このアレイ基板に所定の隙間を保持して対向配置された対向基板と、これら2つの基板間に狭持された液晶層とから構成される液晶表示素子を具備することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載する液晶表示装置に具備される液晶表示素子を構成する対向基板が、透明基板に、少なくとも前記透明基板を覆う透明電極と、前記透明電極上を覆って設けられた配向膜とにより形成されていることを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−221078(P2011−221078A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86861(P2010−86861)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】