説明

アレイ素子回路およびアクティブマトリクスデバイス

【課題】集積インピーダンスセンサを有するアレイ素子回路を備えるAM−EWODデバイスを提供する。
【解決手段】アレイ素子回路は、駆動素子による駆動電圧の印加で制御されるアレイ素子と、上記駆動素子に上記駆動電圧を書き込むための書き込み回路と、上記駆動素子で存在するインピーダンスを検知するための検知回路と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブマトリクスアレイおよびその素子に関する。特に、本発明は、デジタル・マイクロフルイディクスに関する。そしてより詳細には、AM−EWODに関する。エレクトロウェッティングオン−ディエレクトリック(EWOD)は、アレイ上の流体の液滴を操作するための既知の技術である。アクティブマトリクスEWOD(AM−EWOD)は、例えば薄膜トランジスタ(TFT)を用いることにより、アクティブマトリクスアレイにおけるEWODの実施に適用される。
【背景技術】
【0002】
図1は、固体表面2に接触し、かつ、静的平衡状態にある液滴4を示す。接触角θ6は、図1に示すように定義されるとともに、固体−液体(γSL8)、液体−気体(γLG10)、および、固体−気体(γSG12)の界面間の表面張力成分の釣り合いにより、下式のように決定される。
【0003】
【数1】

【0004】
このように、接触角θは、表面の疎水性の尺度である。θ<90度の場合は表面が親水性であり、また、θ>90度の場合は表面が疎水性であるとして定義されうる。そして、接触角と90度との差に従って、疎水性/親水性の程度が定義される。図2は、親水性14および疎水性16物質表面に対し、静的平衡状態においてそれぞれ接触角θ6で接している液滴4を示す。
【0005】
図3は、液滴が異なる疎水性の二つの領域(例えば、疎水性表面16および親水性表面14)にまたがる場合を示す。この場合、状態は非平衡である。そして、位置エネルギーを最小にするため、液滴は親水性がより大きい領域へ向かって横に動く。移動方向は18で示される。
【0006】
液滴がイオン性物質から成る場合、電界の印加によりその表面の疎水性を変えることが可能であることはよく知られる。この現象はエレクトロウェッティングと呼ばれる。これを実施するための一つの手段は、エレクトロウェッティングオンディエレクトリック(EWOD)の方法を用いることであり、図4に示される。
【0007】
下部基板25は、その上に導電性電極22を有しており、その導電性電極22の上面には絶縁層20が配置されている。絶縁層20は、導電性電極22を、液滴4が存在する疎水性表面16から分離する。電圧Vを導電性電極22に印加することにより、接触角θ6が調整可能となる。EWODにより接触角θ6を操作する利点は、絶縁層20の静電容量を充電および放電することに関連するにすぎないことから、消費される電力が小さいことである。
【0008】
図5は、他の改良された配置を示す。その配置においては、上部基板(対向基板)36も設けられており、疎水性層26で覆われた電極28が含まれている。電圧V2を電極28に印加することによって、液滴4および疎水性層26および基板16の界面における電界は、V2とVとの電位差の関数となる。スペーサ32は、チャネル層の高さを固定するために使われうる。そして、チャネル層の中に液滴4が拘束される。いくつかの実施例において、液滴4周りのチャネル容積は、非イオン性液体、例えば油34により満たされうる。図5の配置は、図1の配置と比べて二つの理由で有利である。第1に、液滴が疎水性層に接触する表面で、より大きくかつよりよく制御された電界を発生することが可能である。第2に、液滴はデバイス内に密閉されるので、蒸発等による損失を防ぐことができる。
【0009】
上記の背景技術は全て公知である。そして、標準的な教科書、例えば、”Introduction to Microfluidics”, Patrick Tabeling, Oxford University Press, ISBN 0-19-856864-9, section 2.8には、より詳細に記述されている。
【0010】
US6565727(Shenderov、2003年5月20日発行)は、液滴がアレイを通り移動するためのパッシブマトリクスEWODデバイスを開示している。そのデバイスは、図6に示されるように構成される。複数の電極38(例えば38Aおよび38B)が実現されるように、下部基板25の導電性電極はパターン化される。これらは、EW駆動素子と呼ばれうる。EW駆動素子との用語は、特定のアレイ素子と関連した電極38と、この電極38と直接結合された電気回路のノードと、の両方を表している。EW駆動電圧と呼ばれる異なる電圧(例えばVおよびV3)を異なる電極(例えば駆動素子38Aおよび38B)に印加することにより、表面の疎水性を制御できる。これにより、液滴の動きを制御することができる。
【0011】
US6911132(Pamula等、2005年6月28日発行)は、図7に示された配置を開示している。その配置において、下部基板25上の導電層22は、2次元アレイ42を形成するためにパターン化される。時間依存の電圧パルスを、異なる駆動素子のいくつかまたは全てに印加することにより、電圧パルスのシーケンスにより決定されるアレイを通る経路44上で、液滴4を移動することが可能である。US6565727は他の液滴操作方法を更に開示している。上記方法は、液滴の分離および結合、および、異なる物質の液滴を一緒に混合することを含むものである。一般に、典型的な液滴操作を行うために必要な電圧は比較的高い。20−60Vの範囲の値が先行技術(例えばUS7329545(Pamula等、2008年2月12日発行)、Lab on a Chip, 2002, Vol. 2, pages 96-101)で開示されている。必要な値は、主に、絶縁層および疎水性層を作るのに使われる技術に依存する。
【0012】
US7255780(Shenderov、2007年8月14日発行)は、異なる化学成分の液滴を結合することにより化学または生化学反応を実行するために使われるパッシブマトリクスEWODデバイスを同様に開示している。
【0013】
なお、あまり用いられることはないが、水溶性イオン媒質に浸された油の液滴を運ぶためにEWODシステムを実行することも同様に可能である。操作の原理は、導電性電極が低い電位で保持される領域に、油の液滴が付着することを除いて、既に記載したものと非常に類似している。
【0014】
液滴操作が行われる際に、液滴の位置、サイズおよび構成を検知する何らかの手段を用いることは一般に非常に有用である。これは、多数の手段により実行できる。例えば、光学的な検知手法として、顕微鏡を用いた液滴の位置の観察を実行しうる。EWOD基板に設けられたLEDおよびフォトセンサを用いる光学的検出方法が、Lab Chip, 2004, 4, 310-315に記載されている。
【0015】
特に有用な検知方法の一つは、下部の(パターン化した)導電性電極22の電極38と、上部基板の電極28との間の電気インピーダンスを計測することである。図8は、液滴4が存在する場合におけるインピーダンスの概略的な回路表現52を示す。キャパシタ46は、(疎水性層を含む)任意の絶縁層の静電容量Cを示しており、液滴4のインピーダンスと直列接続されている。液滴4のインピーダンスは、静電容量Cdropのキャパシタ48と並列接続された抵抗値Rdropの抵抗50としてモデル化される。図9は、液滴が存在しない場合の対応する回路表現56を示す。この例において、そのインピーダンスは、セルギャップの静電容量Cgapに相当するキャパシタ54と直列接続された絶縁層のキャパシタ46のインピーダンスである。この配置の全体のインピーダンスは、実際の(つまり電気抵抗の)構成を有しないので、総インピーダンスは、値Cの周波数依存性キャパシタとして表現できる。
【0016】
図10は、液滴4が存在する場合(破線52で示される)と存在しない場合(実線56で示される)における、周波数とCとの関係を図式的に示している。これにより、インピーダンスを計測すれば、特定のノードで液滴4の存在の有無を決定することが可能であることが直ちに理解できる。更に、パラメータCdropおよびRdropの値は、液滴4のサイズおよび液滴4の伝導率の関数である。それゆえ、静電容量を計測することにより、液滴サイズおよび液滴の構成に関連する情報を決定することができる。Sensors and Actuators B, Vol. 98 (2004) pages 319-327は、EWODアレイにおける電極へ外部PCB電子機器を接続することにより、液滴のインピーダンスを測定する方法が記載されている。しかしながら、この方法の不利な点は、インピーダンスが検知されうる場所でのアレイ素子の数が、そのデバイスに供給可能な接続数に制限されることである。更に、これは、要求されている外部センサ電子機器と統合した解決策ではない。さらに、この文献は、計測されたインピーダンスがどのように液滴のサイズを計るのに用いられうるか、および、液滴の測定がEWODデバイスを用いて行われた化学または生化学反応の試薬の量を厳密に制御するためにどのように用いられうるかを記載している。一つまたはそれ以上の位置におけるインピーダンス計測は、次のいずれかのために用いられることもできる。
・ アレイ内で液滴の位置をモニターする。
・ 以前の液滴操作のいずれかが正確に実施されていることを検証する手法として、アレイ内で液滴の位置を決定する。
・ 液滴の構成に関する情報(例えば伝導率)を決定するために、液滴のインピーダンスを計測する。
・ 化学または生化学反応を検出または定量化するために、液滴のインピーダンス特性を計測する。
【0017】
EWODデバイスは、LoaC(Lab-on-a chip)技術のための前途有望なプラットフォームとして認定されている。LoaC技術は、単一の微視的デバイスに多数の化学または生化学の実験用機能を統合しようとするデバイスに関係している。ヘルスケア、エネルギーおよび物質合成等の分野で、この技術の潜在的で広範囲な利用が存在する。たとえば、ポイント・オブ・ケア診断学のための体液解析、医薬品合成、プロテオミクス等である。
【0018】
完全なLoaCシステムは、例えばEWODデバイスを、一以上の複合的な機能を実行するために構成されうる中央処理装置(CPU)等の他の機器に対して接続することにより形成されうる。上記機能として、例えば次が挙げられる。
・ AM−EWODへ電圧およびタイミング信号を供給する。
・ AM−EWODから戻ったセンサデータを解析する。
・ メモリ内にプログラムされたデータおよび/またはセンサデータを記憶する。
・ 要求に応じてセンサキャリブレーション操作を行う。そして、メモリ内にセンサキャリブレーション情報を記憶する。
・ AM−EWODから受信したセンサデータを処理する。保存されたキャリブレーションデータに基づいた調整を行うことを含む。
・ センサ制御信号の電圧レベルおよびタイミングを調整および制御する。
・ 液滴操作を実行するために、デジタルまたはアナログデータをAM−EWODへ送信する。
・ 液滴操作を実行するために、デジタルまたはアナログデータをAM−EWODへ送信する。上記データの内容は計測されたセンサ出力データに依存する。
・ 計測されたセンサ出力データに従って、EW駆動電極に書き込まれた信号の電圧レベルを調整する。
【0019】
薄膜トランジスタ(TFT)に基づいた薄膜電子回路は、周知の技術であり、例えば、液晶(LC)ディスプレイの制御において使用可能である。TFTは、図11に示された標準的なディスプレイ画素回路を用い、ノードで電圧をスイッチおよびホールドするために用いられうる。画素回路は、スイッチトランジスタ68、および、蓄積キャパシタ57から成る。ソースアドレス指定ライン62およびゲートアドレス指定ライン64への電圧パルスの印加により、電圧Vwriteは、書き込みノード66に書き込まれ、そして画素に蓄えられる。従って、異なる電圧を対向基板CP70の電極に印加すると、電圧は、画素内の液晶キャパシタンス60において維持される。
【0020】
現代の多くのディスプレイは、スイッチトランジスタがディスプレイの各画素に設けられたアクティブマトリクス(AM)アレイを用いるものである。また、そのようなディスプレイは、ロウおよびカラムラインに電圧パルス(およびアレイ内の画素にプログラム電圧)を供給するために、集積駆動回路が組み入れられることもある。これらは、薄膜電子回路において実現され、そして、TFT基板上に集積される。集積ディスプレイ駆動回路のための回路設計は周知である。TFT、ディスプレイ駆動回路およびLCディスプレイの更に詳細な内容は、標準的な教科書、例えば”Introduction to Flat Panel Displays”, (Wiley Series in Display Technology, WileyBlackwell, ISBN 0470516933)に記載されている。
【0021】
US7163612(Sterling等、2007年1月16日発行)は、AMディスプレイ技術で利用される回路配置に非常に類似する回路配置を用いたEWODアレイについて、電圧パルスのアドレス化を制御するためにどのようにTFTを基にした電子回路が用いられうるかを記載している。図12は、用いられたアプローチを示すものである。図6で示されたEWODデバイスとは対照的に、下部基板25は、その上に配置された薄膜電子回路74を有するTFT基板72により置換されている。薄膜電子回路74は、エレクトロウェッティングを制御するために用いられるパターン化された導電層22に対して、選択的に電圧をプログラムするために用いられる。薄膜電子回路74は、多くの周知処理技術、例えば、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)、非結晶シリコン・オン・ガラス、または、低温多結晶シリコン(LTPS)・オン・ガラスにより、実現されうることが明白である。
【0022】
そのようなアプローチは、「アクティブマトリクス・エレクトロウェッティングオンディレクトリック(AM−EWOD)」と呼ばれうる。EWODアレイを制御するためのTFTを基にした電子回路を用いることにはいくつかの利点がある。つまり、
・ 駆動回路は、AM−EWOD基板に集積されうる。1つの配置例を、図13に示す。EWODアレイ42の制御は、集積されたロウドライバ76およびカラムドライバ78回路により実行される。また、シリアルインターフェース80が、シリアル入力データストリームを処理するため、および、アレイ42に必要とされる電圧を書き込むために設けられうる。TFT基板72(図12)と外部駆動電子回路(電源等)との間の接続ワイヤ82の数は、アレイサイズが大きいものであるとしても、比較的少なくできる。
・ TFTを基にした電子回路は、AM−EWODアプリケーションに好適である。それらは安価に製造できるので、比較的広い基板エリアを比較的低コストで製造できる。
・ アクティブマトリクス制御アレイへTFTに基づくセンシングを組み入れることができる。例えば、US20080085559は、TFTに基づくアクティブマトリクスバイオセンサを記載している。そのバイオセンサは、片持ち梁に基づいたアレイを利用する。
【0023】
AM−EWODアレイを制御するためにTFTに基づいた電子回路を用いる更なる利点は、一般的に、TFTが、標準的なCMOS処理において組み立てられたトランジスタよりも非常に大きな電圧で作動するように設計されうることである。しかしながら、大きなAM−EWODプログラミング電圧(20−60V)が、標準的なディスプレイ製造工程で組み立てられるTFTの定格最大電圧をも超過する場合もある。より高い電圧での操作と互換性があるように、TFT設計をある程度は変更することができる。例えば、デバイスの長さを増やすことにより、および/または、ゲートオーバーラップドレイン(GOLD)またはライトリィドープドドレイン(LDD)構造を加えることにより変更できる。これらは、メタルオン半導体(MOS)デバイスの信頼性を向上するための標準的な技術であり、例えば、”Hot Carrier Effects in MOS Devices”, Takeda, Academic Press Inc., ISBN 0-12-682240-9, pages 40-42に記載されている。しかしながら、デバイス設計に対するそのような変更は、TFT性能を低下させることもある。例えば、信頼性向上のための構造変更は、デバイス自身の抵抗および端子間の静電容量を増加しうる。この影響は、高速での動作が必要とされる、あるいは、アナログ回路機能を実行することが必要とされるデバイスに対して特に有害である。それゆえ、変更された高電圧のデバイスの使用は、高電圧容量が必要である当該デバイスの機能のみに制限することが望まれる。そして、最大電圧で動作することが要求されるデバイスの数が可能な限り少なくなるよう、駆動回路を設計することも望まれる。
【0024】
また、エレクトロウェッティングを用いて流体操作を行い、ディスプレイを実現することも周知の技術である。従来の液晶ディスプレイ(LCD)で用いられている回路と類似または同一の電子回路が、EW駆動電極のアレイへ電圧を書き込むために用いられうる。着色された液滴が、EW駆動電極に配置され、そして、その液滴は、プログラムされたEW駆動電圧に従って移動する。これは、ディスプレイとして全体が機能するような構造を光が透過する際、その光の透過に順に影響を及ぼす。エレクトロウェッティングディスプレイ技術の概略は、”Invited Paper: Electro-wetting Based Information Displays”, Robert A. Hayes, SID 08 Digest pp651-654に記載されている。
【0025】
近年、アレイに基づいたセンサ機能を有するAMディスプレイを実現することの重要性が増している。そのようなデバイスは、例えばタッチスクリーンアプリケーション等のユーザ入力デバイスとして用いられうる。ユーザ使用のためのそのような方法の一つは、US20060017710(Lee等、2006年1月26日発行)に記載され、そして、図14に示される。デバイスの表面が例えば指先またはタッチペン90によりタッチされると、液晶層92は、タッチされた部分の近傍で圧縮される。TFT基板72上に配置された集積薄膜電子回路74は、LC層の静電容量60の変化を計測するために用いられうる。それにより、タッチされている状態84またはタッチされていない状態86を計測する。薄膜電子回路74が充分な感度を有していれば、表面が触れられた圧力を測ることもできる。
【0026】
上述のUS7163612は、例えば液滴位置を計測するために、TFTに基づいたセンサ回路がどのようにAM−EWODに用いられうるのかも記載している。当該文献に記載された配置においては、EWOD電圧を制御するのに用いられる下部基板と、センサ機能を実行するのに用いられる上部基板との二枚のTFT基板がある。
【0027】
ディスプレイ画素へ電圧を書き込むための、および、画素でのキャパシタンスを計測するためのTFTに基づいた回路技術については、多数のものが公知である。US20060017710は、そのような配置の一つを開示している。その回路は、図15に示すように、電気的に直接接続されていない二つの部分に配置されている。画素回路の電圧書き込み部101の動作は、図11に関連して既に記載されているように、標準的なディスプレイ画素回路と同一である。画素回路のセンサ部103の動作をこれ以降に記載する。検知されるセンサアレイロウに対して、電圧パルスがセンサロウ選択ラインRWS104に供給される。その後、検知ノードVsense102の電位は、LCキャパシタンスCLC2100と固定の参照キャパシタC98との相対値に(およびトランジスタ94に関連した値を含む寄生キャパシタンスにも)依存する量により増加する。検知ノード102の電位は、以下のように計測できる。トランジスタ94を、標準的なソースフォロアー配置として機能する負荷デバイス(不図示)と組み合わせて用いることは、非常によく知られ、例えば、”CMOS Analog Circuit Design”, Allen and Holberg, ISBN-10: 0195116441, section 5.3に記載されている。キャパシタCs98の値は既知であるので、センサ出力ラインCOL106でカラム出力電圧を計測することは、LC静電容量を計測することといえる。全体構成において注目すべき特徴は、書き込みノード66と検知ノード102とが電気的に接続されていないことである。タッチを検出するためには全画素のLC静電容量を計測する必要はなく、その代わりに、そのサンプル位置の静電容量のみを計測する必要があるので、直接接続は必要でないし、好ましくもない。
【0028】
上記回路の不利な点は、検知ノード102への直流電流経路が全く供給されていないことである。その結果、このノードの電位は、大きな画素−画素の種類に依存しうる。なぜなら、製造工程の中で生成されたこのノードでの固定の電荷が、画素毎に変わりうるためである。この回路は、図16に示すように改良される。ここで、追加ダイオード110が、検知ノード102に接続されている。ダイオードRST108のアノードでの電位は、ダイオード110が逆バイアスであるように維持される。この電位を高く引き上げることにより、電圧パルスがセンサロウ選択ライン104へ印加される前に、短い時間周期でダイオード110にバイアスをかけることができる。リセットラインRST108へ印加された電圧パルスによって、検知ノード102の電位を初期値にリセットすることができ、当該初期値を非常に好適に制御することができる。それゆえ、この回路配置は、計測された出力電圧が画素−画素毎にバラつくことを低減するという利点がある。
【0029】
なお、一般的にこのアプリケーションにおいては、LC静電容量の値と、タッチに関連した静電容量の変化との両方が非常に小さい(数fFのオーダー)。この結果、参照キャパシタCs98が非常に小さいものとなる場合がある(典型的には数fF)。また、LC静電容量が小さいと、変化しても検知できない。英国出願GB0919260.0およびGB0919261.8は、検知された小さな信号を画素内で増幅するための手段を記載している。しかしながら、EWODデバイスでは、液滴により示される静電容量はかなり大きいので、通常、増幅は必要とされない。
【0030】
TFT基板上にセンサ画素回路を適用することと同様に、センサ駆動回路と、センサデータ読み出しのための出力増幅器とを同じ基板上で集積することも公知である。たとえば、撮影装置ディスプレイの例が、”A Continuous Grain Silicon System LCD with Optical Input Function”, Brown等 IEEE Journal of Solid State Circuits, Vol. 42,2007年12月12日発行,pp2904-2912に記載されている。同じ参考文献は、センサ出力から一定のパターンノイズを取り除くために、どのようにキャリブレーション操作が実施されうるかも記載している。
【0031】
例えばディスプレイの製造方法のように、薄膜製造工程においてキャパシタ回路素子を形成するために用いられうる種々の方法が存在する。キャパシタは、例えば、ソースおよびゲート金属層をプレートとして用いて形成されうる。そして、これらの層は層間絶縁膜により分離されている。キャパシタの物理レイアウトの設置面積を保つことが重要である状況においては、標準的な教科書に記載されているように、金属酸化膜半導体(MOS)キャパシタを用いることが都合がよい場合もある。標準的な教科書として、例えば、Semiconductor Device Modelling for VLSI, Lee等, Prentice-Hall, ISBN 0-13-805656-0, pages 191-193が挙げられる。MOSキャパシタの不利な点は、電位が調整されていない場合、静電容量がターミナルバイアスとして機能し、それにより、チャネル半導体物質が完全に蓄積することである。図17は、半導体物質122をn型ドープしたMOSキャパシタ120の典型的な特性を124で示す。MOSキャパシタ120のプレートAは、導電物質(例えばゲート金属)で形成され、そしてプレートBは、n型ドープ半導体物質122である。静電容量は、二つのプレートAとBとの間の電圧の差(バイアス電圧VAB)の関数として破線126で示される。n型ドープ半導体物質122の閾値電圧におおよそ対応する所定バイアス電圧Vthより上で、半導体物質122は蓄積し、そして静電容量が大きくなるとともに、電圧と独立した値となる。VABがVthより小さい場合、n型半導体物質122は電荷キャリアが空乏化するため、静電容量はより小さくなるとともに、電圧に依存した値になる。
【0032】
図18では、MOSキャパシタ120のプレートBを形成する半導体物質128がp型ドープである場合に対応する状況を130で示す。この場合、VABが閾値電圧Vthより小さくそしてチャネル半導体物質128が蓄積している時、最大静電容量が得られる。
【0033】
薄膜処理で実現されうる公知の横方向デバイス型は、ゲートP−I−Nダイオード144であり、図19で示される。ゲートP−I−Nダイオードは、p+ドープ領域132、n型またはp型のどちらかでありうる低濃度ドープ領域134、およびn+領域136から成る半導体物質の層から形成される。デバイス144のアノード端子137およびカソード端子138をそれぞれ形成するために、p+およびn+領域(132および136)に電気的接続が金属等で形成される。電気絶縁層142は、低濃度ドープ領域134の一部または全てを覆うように配置される。そして、導電層は、デバイス144のゲート端子として第3ゲート端子140を形成する。そのようなデバイスの機能に係る更なる記述および説明は、”High performance gated lateral polysilicon PIN diodes”, Stewart and Hatails, Solid State Electronics, Vol. 44, Issue 9, p1613-1619に存在する。図20は、ゲートP−I−Nダイオード144、および、アノード、カソード、ゲートにそれぞれ対応する三つの接続端子137、138、140に対応して用いられる回路記号を示す。
【0034】
ゲートP−I−Nダイオード144は、キャパシタの一つの端子を形成するためにアノードおよびカソード端子を共に接続するとともに、他の端子を形成するためにゲート端子140を用いることにより、MOSキャパシタ型として構成されうる。
【0035】
この方法でゲートP−I−Nダイオード144を接続することにより、ゲートP−I−Nダイオード144は、上述のMOSキャパシタと同様の方法で機能するが、重要な差異点として、チャネル領域の大部分が、端子間の電圧に殆ど関わり無くキャリアで蓄積されるままであるという点が存在する。この方法で接続されたゲートP−I−Nダイオード144の機能が、図21に示されている。158で示すように、ゲート端子140に供給された電位VA157が、アノード端子137およびカソード端子138に供給された電位VB155(チャネル物質閾値電圧を加算した値)を超える場合、チャネル160の大部分(図19の低濃度ドープ領域134)は、ゲートP−I−Nダイオード144のカソード端子138から供給された負の電荷キャリア(電子)で蓄積されていく。その後、ゲート端子140と、(共に接続された)アノード端子137およびカソード端子138との間の静電容量は、蓄積されたMOSキャパシタの静電容量に近似する。同様に、162で示すように、VA<VBである場合、チャネル160の大部分は、ゲートP−I−Nダイオード144のアノード端子137から供給された正の電荷キャリア(正孔)で蓄積されていく。ゲート端子140とアノード/カソード端子137/138との間の静電容量は、再び蓄積されたMOSキャパシタの静電容量に近似する。図21に示すように接続された場合における、ゲートP−I−Nダイオード144の電圧と静電容量との関係を概略的に図22に示す。正のバイアス電圧VAB164および負のバイアス電圧VAB166(ここでVAB=VA−VB)の両方において、ゲートP−I−Nダイオード144は、蓄積されたMOSキャパシタのように機能することが分かる。そして、チャネル160(図19の領域134)内の物質の閾値電圧付近において、静電容量168の降下点が発生する。
【0036】
カソード端子138に関連するデバイスのアノード端子137にバイアス電圧を接続することにより、ゲートP−I−Nダイオード144から電圧依存キャパシタを形成することもできる。印加されるバイアス−VXは、ゲートP−I−Nダイオード144が逆バイアスのままであるように選ばれるべきである。図23は、バイアス電圧が印加されない場合と比較し、バイアス電圧が印加される場合におけるゲートP−I−Nダイオード144の静電容量を概略的に示すものである。破線174により、アノード端子137とカソード端子138とが共に接続された場合が示されている。また、点線176により、バイアス電圧−VXがカソード端子138に関連するアノード端子137に印加される場合が示されている。図示されるように、アノード端子とカソード端子との電圧差の関数として静電容量が変化する態様は、バイアス電圧−VXの印加で変更されうる。
【0037】
AM−EWODおよびAMディスプレイの両方において、画素内にプログラムされた書き込み電圧を蓄えるために、多くの代替的構成を用いることが可能である。例えば、周知のものとして標準的な教科書に記載されているように、SRAMセルをプログラムされた電圧を蓄えるために用いることができる。標準的な教科書として、例えば、”VLSI Design Techniques for Analog and Digital Circuits”, Geiger等, McGraw-Hill, ISBN 0-07-023253-9, Section 9.8が挙げられる。
【0038】
液滴のマイクロフルイディクスを実施するための他の技術として、誘電泳動が存在する。誘電泳動とは、変化する電界を誘電性粒子に付与することで、当該誘電性粒子に力が及ぼされる現象である。”Introduction to Microfluidics”, Patrick Tabeling, Oxford University Press (2006年1月), ISBN 0-19-856864-9, pages 211-214に概論が記載されている。”Integrated circuit/microfluidic chip to programmably trip and move cells and droplets with dielectrophoresis”, Thomas P Hunt等, Lab Chip, 2008,8,81-87は、デジタルマイクロフロイディクスのための誘電泳動アレイを駆動するシリコン集積回路(IC)回路基板を記載している。この文献は、駆動波形をアレイ素子に供給するためのアレイに基づいた集積回路も開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0039】
本発明の目的は、AM−EWODデバイス電子回路にセンサ駆動回路および出力増幅器を集積することである。それにより、AM−EWODデバイスと外部駆動電子回路との間に形成されることが要求される少数の接続のみで、アレイ内の多数の点でインピーダンスを測ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0040】
本発明は、イオン性液滴の位置、サイズおよび構成を検知するための、アレイに基づいた集積インピーダンスセンサを有するAM−EWODデバイスに関する。好適な画素回路構成として交流結合配置を利用することで、EW駆動素子にEW駆動電圧を書き込み、さらに、EW駆動素子でインピーダンスを検知することができる。
【0041】
AM−EWODデバイスにインピーダンスセンサ機能を含めることの利点は以下である。
・ AM−EWODアレイ内の各アレイ素子でインピーダンスを計測することにより、アレイで液滴の位置を決定できる。
・ 特定の液滴のインピーダンスを計測することにより、その液滴のサイズを決定できる。従って、インピーダンスセンサ機能は、化学および/または生化学反応において用いられる流体の量を計るために用いることができる。
・ 各アレイ素子でインピーダンスを計測することにより、例えば液滴の移動、液滴の分割、容器からの液滴の作動など、流体プロトコルが正しく実行されているかを検証できる。
・ 回路技術を用いることにより、液滴の構成、例えば電気抵抗、に関する情報を決定できる。
【0042】
AM−EWOD駆動電子回路にインピーダンスセンサ機能を集積することの利点は以下である。
・ アクティブマトリクスセンサ配置を利用することにより、アレイ内の数多くの点でほぼ同時にインピーダンスを計測することができる。
・ AM−EWOD駆動電子回路にセンサ駆動回路および出力増幅器を集積することにより、AM−EWOD駆動と外部駆動電子回路との間に形成されることが要求される少数の接続のみで、アレイ内の数多くの点でインピーダンスを計測することができる。これにより、アレイ内の各位置でのインピーダンスが個別に接続されなければならない従来のパッシブマトリクスセンサ配置と比べ、生産性が向上し、そして、コストが最小化される。
・ 集積化されたインピーダンスセンサの機能は、標準的なAM−EWODデバイスと比較すると、追加の処理工程または組み立てコストを殆どまたは全く必要としない。
【0043】
EW駆動電圧をEW駆動素子へ書き込むとともに、EW駆動素子でインピーダンスを検知するために、好適な実施形態で開示された交流結合配置の利点は以下である。
・ 重要な性能を有する回路成分(performance-critical circuit)に関して、所定の小数のものだけが、EW駆動電圧について必要な程度の高電圧に耐えることが要求される。これは、レイアウト設置面積を減らし、信頼性を向上し、そして、回路性能を向上する。
・ センサ機能を実行することが、EW駆動素子に書き込まれたEW駆動電圧を破壊せず、かつ、検知動作中の限られた時間内だけに影響を及ぼすのみであるように、センサ回路を構成することができる。
・ EW駆動素子に書き込まれたEW駆動電圧が、アレイ素子回路に追加されたセンサ構成を通るあらゆる直流漏れ経路によっても降下されないように、センサ回路を構成することができる。
【0044】
本発明の実施形態によれば、集積インピーダンスセンサを有するアレイ素子回路を備えているAM−EWODデバイスが提供される。上記アレイ素子回路は、駆動素子による駆動電圧の印加により制御されるアレイ素子と、上記駆動素子に上記駆動電圧を書き込むための書き込み回路と、上記駆動素子で存在するインピーダンスを検知するための検知回路と、を備える。
【0045】
他の実施形態によれば、上記アレイ素子は疎水性セルであり、上記疎水性セルは、疎水性が上記駆動素子による上記駆動電圧の上記印加により制御される表面を有し、上記検知回路は、上記疎水性セルにより上記駆動素子で存在する上記インピーダンスを検知する。
【0046】
他の実施形態によれば、上記書き込み回路は、上記駆動素子に書き込まれた上記駆動電圧に摂動を与えるように構成され、上記検知回路は、上記駆動素子で存在する上記インピーダンスに依存する、上記駆動素子に書き込まれた上記駆動電圧の上記摂動の結果を検知するように構成され、上記検知回路は、上記駆動素子で存在する上記インピーダンスに相当する値の出力信号を発生するための出力を含む。
【0047】
他の実施形態によれば、上記検知回路は、上記駆動素子と交流結合されている。
【0048】
他の実施形態によれば、上記駆動素子は、上記疎水性セルと上記書き込まれた駆動電圧を蓄積するキャパシタとの間にノードを含み、上記検知回路は、上記キャパシタに接続されたセンサロウ選択ラインを含み、上記センサロウ選択ラインは、上記駆動素子で存在する上記インピーダンスを検知するために、上記ノードに少なくとも一つのパルスを上記キャパシタを経由して供給するために機能する。
【0049】
更に他の実施形態によれば、上記キャパシタはゲートダイオードにより形成される。
【0050】
他の実施形態によれば、上記検知回路は、上記駆動素子に交流結合された検知ノードを備え、さらに、上記検知回路は、上記駆動素子で存在する上記インピーダンスを検知する前に、上記検知ノードで電圧をリセットするためのリセット回路を備える。
【0051】
他の実施形態によれば、上記リセット回路は、一対のダイオードを備え、上記一対のダイオードは、その対の間で上記検知ノードに直列に接続され、かつ、対応するリセットラインへ反対端が接続される。
【0052】
他の実施形態によれば、上記リセット回路は、リセット電位へ上記検知ノードを選択的に結合するために、リセットラインに結合されたゲートを有する少なくとも一つのトランジスタを備える。
【0053】
更に他の実施形態によれば、上記アレイ素子回路は、対向基板備え、上記駆動素子で存在するインピーダンスは、上記駆動素子と上記対向基板との間のインピーダンスである。
【0054】
他の実施形態によれば、アクティブマトリクスデバイスが提供される。上記アクティブマトリクスデバイスは、ロウおよびカラムに配置された複数のアレイ素子回路と、対応する同一のカラムにおいて上記アレイ素子回路間で各々共有される複数のソースアドレス指定ラインと、対応する同一のロウにおいて上記アレイ素子回路間で各々共有される複数のゲートアドレス指定ラインと、対応する同一のロウにおいて上記アレイ素子回路間で各々共有される複数のセンサロウ選択ラインと、を備える。上記複数のアレイ素子回路の各々は、駆動素子による駆動電圧の印加により制御されるアレイ素子と、上記駆動素子に上記駆動電圧を書き込むための書き込み回路と、上記駆動素子で存在するインピーダンスを検知するための検知回路と、を備え、上記書き込み回路は、上記複数のソースアドレス指定ラインと上記複数のゲートアドレス指定ラインとの中から、対応するソースアドレス指定ラインと対応するゲートアドレス指定ラインとに接続され、上記検知回路は、対応するセンサロウ選択ラインに接続される。
【0055】
更に他の実施形態によれば、上記アレイ素子は疎水性セルであり、上記疎水性セルは、疎水性が上記対応する駆動素子による上記駆動電圧の印加により制御される表面を有し、上記対応する検知回路は、上記疎水性セルにより上記駆動素子で存在する上記インピーダンスを検知する。
【0056】
他の実施形態によれば、上記複数のアレイ素子回路の各々に関して、上記書き込み回路が、上記駆動素子に書き込まれた上記駆動電圧に摂動を与えるように構成され、上記検知回路は、上記駆動素子で存在する上記インピーダンスに依存する、上記駆動素子に書き込まれた上記駆動電圧の上記摂動の結果を検知するように構成され、上記検知回路は、上記駆動素子で存在する上記インピーダンスに相当する値の出力信号を発生するための出力を含む。
【0057】
他の実施形態によれば、上記デバイスは、対応する同一のロウにおける上記アレイ素子回路間で各々共有される複数のセンサ出力ラインを含み、上記複数のアレイ素子回路の上記出力は、対応するセンサ出力ラインに接続される。
【0058】
更に他の実施形態によれば、上記複数のアレイ素子回路の各々において、上記検知回路が、上記駆動素子と交流結合されている。
【0059】
更に他の実施形態によれば、上記複数のアレイ素子回路の各々に関して、上記駆動素子は、上記疎水性セルと、上記書き込まれた駆動電圧を蓄積するキャパシタとの間にノードを含み、上記対応するロウ選択ラインは、上記キャパシタに接続され、上記センサロウ選択ラインは、上記駆動素子で存在する上記インピーダンスを検知するために、上記ノードに少なくとも一つのパルスを上記キャパシタを経由して供給するために機能する。
【0060】
他の実施形態によれば、上記複数のアレイ素子回路の各々に関して、上記検知回路は、上記駆動素子に交流結合された検知ノードを備え、さらに、上記検知回路は、上記駆動素子で存在する上記インピーダンスを検知する前に、上記検知ノードで電圧をリセットするためのリセット回路を備える。
【0061】
他の実施形態によれば、上記デバイスは、上記アレイ素子回路により共有される対向基板を備え、上記駆動素子で存在するインピーダンスは、上記対応する駆動素子と上記対向基板との間のインピーダンスである。
【0062】
他の実施形態によれば、上記デバイスは、上記複数のアレイ素子の適切なサブセットを選択的にアドレス指定するために、上記複数のアレイ素子各々の書き込み回路と組み合わせて構成されるロウドライバとカラムドライバとを備え、上記アドレス指定は、上記サブセットに含まれる上記駆動素子に上記駆動電圧を書き込み、上記適切なサブセットに含まれない複数のアレイ素子を排除するように行われる。
【0063】
他の実施形態によれば、上記適切なサブセットに含まれる上記複数のアレイ素子が、異なるフレームで変化する。
【0064】
他の実施形態によれば、上記デバイスは、上記複数のアレイ素子の適切なサブセットを選択的にアドレス指定するために、上記複数のアレイ素子各々の検知回路と組み合わせて構成されるロウドライバとカラムドライバとを備え、上記アドレス指定は、上記サブセットに含まれる上記駆動素子での上記インピーダンスを検知し、上記適切なサブセットに含まれないアレイ素子を排除するように行われる。
【0065】
更に他の実施形態によれば、上記適切なサブセットに含まれる上記複数のアレイ素子が、異なるフレームで変化する。
【0066】
上記検知回路内で計測された固定パターンノイズに基づいて上記複数のアレイ素子内の上記検知回路をキャリブレーションするための手段を更に含む。
【0067】
他の実施形態によれば、上記固定パターンノイズを上記検知回路の出力から減算することで、キャリブレーションされた出力を提供する。
【0068】
他の実施形態によれば、上記固定パターンノイズは、一またはそれ以上のキャリブレーションセンサ画像を計測することにより決定される。
【0069】
更に他の実施形態によれば、上記キャリブレーション画像は、上記アレイ素子の上記センサ機能を実行するための異なるタイミング信号を適用することにより取得される。
【0070】
他の実施形態によれば、上記キャリブレーション画像は、既知の入力信号が上記センサリセット機能により付与される際に、上記センサ出力を計測することにより取得される。
【0071】
他の実施形態によれば、上記アレイ素子への書き込み駆動電圧の上記機能は、選択的に実行される。すなわち、上記ソースアドレス指定ラインおよびゲートアドレス指定ラインは、上記アレイ内の選択可能なサブセットのロウが上記アレイ全体を書き換えるよう要求すること無しに書き換えられうるような方法で構成される。
【0072】
他の実施形態によれば、非理想性成分およびミスマッチによる一定のパターンノイズを取り除くために、上記インピーダンスセンサのキャリブレーション方法は提供される。
【0073】
上述および関連する目的を達成するために、本発明は、以下に詳細が記載されそして特に請求項に記載された特徴を含む。以下の記載および添付の図面は、本発明のある実例となる実施形態を詳細に説明する。これらの実施形態は、しかしながら、発明の原理が利用可能な様々な方法のうちの一部を示すに過ぎない。発明の他の目的、利点、および新規な特徴は、本発明の以下の詳細な記述を図面と併せて考慮することで明白となる。
【発明の効果】
【0074】
本発明は、AM−EWODデバイス電子回路にセンサ駆動回路および出力増幅器を集積する。それにより、AM−EWODデバイスと外部駆動電子回路との間に形成されることが要求される少数の接続のみで、アレイ内の多数の点でインピーダンスを測ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
添付の図面において、同様の参照番号は、同様の部品または特徴を示す。
【図1】先行技術を示す図であり、表面上の液滴の性質を示す図である。そして、表面張力および接触角の定義が図示されている。
【図2】先行技術を示す図であり、疎水性表面および親水性表面上の液滴の性質を示す図である。
【図3】先行技術を示す図であり、部分的に疎水性の表面および部分的に親水性の表面上における液滴の動きを示す図である。
【図4】先行技術を示す図であり、エレクトロウェッティングオンディレクトリック(EWOD)を実施するための配置を示す図である。
【図5】先行技術を示す図であり、上部および下部の基板を用いてEWODを実施するために改良された配置を示す図である。
【図6】先行技術を示す図であり、パッシブマトリクスEWODデバイスを示す図である。
【図7】先行技術を示す図であり、液滴がEWODデバイスを通って横に移動する様子を示す図である。
【図8】先行技術を示す図であり、液滴が存在する場合における、EWOD駆動電極と最上部基板の導電層との間に存在するインピーダンスのモデルを示す図である。
【図9】先行技術を示す図であり、液滴が存在しない場合における、EWOD駆動電極と最上部基板の導電層との間に存在するインピーダンスのモデルを示す図である。
【図10】先行技術を示す図であり、液滴が存在する場合と存在しない場合の周波数の関数としてインピーダンスの虚数成分を示すグラフである。
【図11】先行技術を示す図であり、標準的なディスプレイ画素回路を示す回路図である。
【図12】先行技術を示す図であり、アクティブマトリクスEWODデバイスを示す図である。
【図13】先行技術を示す図であり、AM−EWOD駆動回路配置例を示す図である。
【図14】先行技術を示す図であり、LC静電容量を検知することによりタッチを検出するタッチ入力LCディスプレイデバイスを示す図である。
【図15】先行技術を示す図であり、静電容量センサタッチ入力能力を有するLCディスプレイの画素回路を示す回路図である。
【図16】先行技術を示す図であり、静電容量センサタッチ入力能力を有する他のLCディスプレイの画素回路を示す回路図である。
【図17】先行技術を示す図であり、半導体物質がn型ドープされたMOSキャパシタデバイスの構造および機能を示す図である。
【図18】先行技術を示す図であり、半導体物質がp型ドープされたMOSキャパシタデバイスの構造および機能を示す図である。
【図19】先行技術を示す図であり、横方向ゲートP−I−Nダイオードを示す図である。
【図20】先行技術を示す図であり、横方向ゲートダイオードの回路記号を示す。
【図21】先行技術を示す図であり、本発明の第2の実施形態で利用される、アノードおよびカソードの電位が共通であるように接続されたゲートダイオードの機能を示す図である。
【図22】先行技術を示す図であり、アノードおよびカソードの電位が共通であるように接続されたゲートダイオードの電圧と、静電容量との関係を示すグラフである。
【図23】先行技術を示す図であり、アノード端子とカソード端子が共に接続される場合、および、アノード端子とカソード端子間の電位差−VXがある場合の、ゲートダイオードの電圧と静電容量との関係を示すグラフである。
【図24】本発明の第1の実施形態を示す図である。
【図25】第1の実施形態のデバイスの断面図である。
【図26】本発明の第1の実施形態を示す図である。
【図27】本発明の第1の実施形態におけるアレイ素子回路の回路図である。
【図28】電極42の2次元アレイの一部の例を示す図である。
【図29】センサ出力画像の一部を示す図である。
【図30】本発明の第2の実施形態に係るアレイ素子回路の回路図である。
【図31】本発明の第3の実施形態に係るアレイ素子回路の回路図である。
【図32】本発明の第4の実施形態に係るアレイ素子回路の回路図である。
【図33】本発明の第5の実施形態に係るアレイ素子回路の回路図である。
【図34】本発明の第6の実施形態に係るアレイ素子回路の回路図である。
【図35】本発明の第7の実施形態に係るアレイ素子回路の回路図である。
【図36】本発明の第8の実施形態の動作に従う画素回路のロウ選択接続へ適用されるタイミングシーケンスを示す図である。
【図37】本発明の第9の実施形態に係るアレイ素子回路の回路図である。
【図38】本発明の第10の実施形態に係るアレイ素子回路の回路図である。
【図39】本発明の第11の実施形態を示す図である。
【図40】本発明の第11の実施形態に係る実施例を示す図である。
【図41】本発明の第12の実施形態を示す図である。
【図42】本発明の第12の実施形態に係る実施例を示す図である。
【図43】本発明の第13の実施形態のキャリブレーション方法の基本的方法論を示す図である。
【図44】本発明の第13の実施形態に従ってセンサ画像およびキャリブレーション画像を発生するためのタイミング概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
図24に、本発明の典型的な実施形態に従った液滴マイクロフルイディクスデバイスを示す。液滴マイクロフルイディクスデバイスは、EWODにより流体を操作する機能および各アレイ素子で液滴インピーダンスを検知する機能を有するアクティブマトリクスデバイスである。
【0077】
液滴マイクロフルイディクスデバイスは、基板72上に配置された薄膜電子回路74を有する下部基板72を備えている。薄膜電子回路74は、アレイ素子電極(例えば38)を駆動するために配置される。複数のアレイ素子電極38は、M×N素子を有する電極アレイ42内に配置される。ここで、MおよびNは任意の数でよい。1つの液滴4が基板72と上部基板36との間に封止されているが、液滴4が複数であってもよいことは本発明の範囲を逸脱することなく理解できるであろう。
【0078】
図25は、一対のアレイ素子を示す断面図である。デバイスは下部基板72を含み、下部基板72の上には薄膜電子回路74が配置されている。下部基板72の最上部の層(薄膜電子回路層74の一部と解釈することもできる)をパターン化することで、複数の電極38(図25の38Aおよび38B等)を実現することができる。これらは、EW駆動素子と呼ばれうる。“EW駆動素子”との用語は、以降の説明において、特定のアレイ素子と関連した電極38と、この電極38と直接結合された電気回路のノードと、の両方を表す場合もある。イオン性物質から成る液滴4は、下部基板72と上部基板36との間の平面内に封止される。二つの基板間には、スペーサ32によって、好適な隙間が設けられている。そして、非イオン性液体34(例えば油)は、液滴4により満たされていない容積を満たすために使われうる。下部基板72に配置された絶縁層20は、導電性電極38A、38Bを疎水性表面16から分離する。なお、疎水性表面16の上に、液滴4がθで表される接触角6で存在する。上部基板36には、液滴4が接触する可能性のある他の疎水性層26が存在する。上部基板36と疎水性層26との間に、上部基板電極28が介在している。薄膜電子回路74を好適に設計して機能させることにより、EW駆動電圧と記載される(例えばV、VおよびV00)異なる電圧が、異なる電極(例えば駆動素子電極28、38Aおよび38Bのそれぞれ)に印加されうる。従って、疎水性層16の疎水性は制御可能であり、よって、二つの基板72と36との間の横方向の面で液滴を容易に移動させることができる。
【0079】
図26に、基板72上の薄膜電子回路74の配置を示す。これは、図13に示される先行技術配置と次の点で異なる。
・ アレイ素子回路85が、そのアレイ素子で存在するインピーダンスを計測するための機能を更に含む。
・ また、ロウドライバ76とカラムドライバ78との集積回路が、アレイ素子回路85に電圧信号を供給するように構成されており、インピーダンスセンサ機能の動作を制御できる。
・ カラム出力回路79が、アレイ素子回路85のインピーダンスセンサ機能からの出力電圧を測定するために設けられる。
【0080】
シリアルインターフェース80は、インピーダンスセンサ機能の動作を制御するために、追加の制御信号を含んでもよい。そして、シリアルインターフェース80は、測定インピーダンスセンサデータを出力するための追加の出力ラインを含んでもよい。
【0081】
本発明の第1の実施形態における、集積インピーダンスセンサを組み入れたAM−EWODデバイスのアレイ素子回路85を図27に示す。ここに記載される本発明の実施形態の各々と同様に、ここに記載されるアレイ素子の複数個は、図13と類似の対応する駆動回路と共に、AMディスプレイ内のロウおよびカラムのアレイに含められる。従って、ディスプレイの他の従来技術に係る部分に関して更に詳細に説明することは、簡略化のため省略している。
【0082】
翻って、図27に示すように、アレイ素子回路85は次の素子を含む。
・ スイッチトランジスタ68
・ 蓄積キャパシタCs 58
・ 結合キャパシタCc 146
・ ダイオード148
・ ダイオード202
・ トランジスタ94
アレイ素子回路85に設けられた接続は、以下である。
・ 同じカラムのアレイ素子回路85間に共有されるソースアドレス指定ライン62
・ 同じロウのアレイ素子回路85間に共有されるゲートアドレス指定ライン64
・ 同じロウのアレイ素子回路85間に共有されるセンサロウ選択ラインRWS104
・ 同じロウのアレイ素子回路85間に共有されるリセットラインRST108
・ 同じロウのアレイ素子回路85間に共有される第2リセットラインRSTB200
・ アレイ内の全アレイ素子回路85に共有の電源供給ラインVDD150
・ 同じカラムのアレイ素子回路85間に共有されるセンサ出力ラインCOL106。
【0083】
各アレイ素子は、電圧VWRITEがプログラムされうるEW駆動電極152を含む。同様に、キャパシタC154で表された負荷素子が示されている。すなわち、キャパシタC154は、EW駆動電極152と対向基板36との間のインピーダンスを表しており、アレイ素子に含まれた疎水性表面を有する疎水性セルにより生じるインピーダンスも表している。アレイ内における特定のアレイ素子内の疎水性セルに位置する任意の液滴の存在、サイズ、および、構成に、キャパシタC154の値は依存する。
【0084】
上記回路は次のように接続される。
【0085】
ソースアドレス指定ライン62は、トランジンタ68のドレインに接続される。ゲートアドレス指定ライン64は、トランジスタ68のゲートに接続される。トランジスタ68のソースは、EW駆動電極152に接続される。ソースアドレス指定ライン62、トランジスタ68、ゲートアドレス指定ライン64、および、蓄積キャパシタCs58は、本明細書に記載されるように、駆動電圧をEW駆動電極152に書き込むための書き込み回路を構成する。キャパシタCs58は、EW駆動電極152とセンサロウ選択ラインRWS104との間に接続される。結合キャパシタCc146は、EW駆動電極152とトランジスタ94のゲートとの間に接続される。ダイオード148のアノードは、リセットライン108に接続される。ダイオード148のカソードは、トランジスタ94のゲートおよびダイオード202のアノードに接続される。ダイオード202のカソードは、リセットラインRSTB200に接続される。トランジスタ94のドレインは、VDD電源供給ライン150に接続される。トランジスタ94のソースは、同じカラムのアレイ素子回路85間で共有されるセンサ出力ラインCOL106に接続される。
【0086】
上記回路は下記のとおり動作する。
【0087】
上記回路は二つの基本的な機能を実行するように動作する。その二つの機能とは、すなわち、(i)EW駆動電極152を備える駆動素子に電圧を書き込むことにより、アレイ素子内に存在する疎水性セルの疎水性を制御する機能と、(ii)EW駆動電極152を含む駆動素子において疎水性セルにより発生するインピーダンスを検知する機能である。
【0088】
電圧を書き込むために必要とされる書き込み電圧VWRITEは、カラムドライバ(例えば図26の78)を経由しソースアドレス指定ライン62上にプログラムされる。書き込み電圧VWRITEは、たとえば液滴制御のための書き込み電圧パターンに基づいてもよいし、あるいは、テスト、キャリブレーション等の目的のための他の電圧に基づいてもよい。そして、ゲートアドレス指定ライン64は、トランジスタ68がオンに切り換えられるように、ロウドライバ(例えば図26の76)を介して高電圧に設定される。その後、電圧VWRITEは、EW駆動電極152へ書き込まれるとともに、そしてこのノードに存在する静電容量に蓄積され、そして、特に蓄積キャパシタCs58(通常、結合キャパシタCc146より静電容量の値が充分大きい)に蓄えられる。次に、ゲートアドレス指定ライン64は、トランジスタ68をオフにするために、ロウドライバを介して低レベルに設定され、これにより、書き込み動作が完了する。なお、蓄積キャパシタ58とスイッチトランジスタ68とを組み合わせることで、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)セルとして事実上機能することは非常によく知られている。EW駆動電極152に書き込まれた電圧VWRITEは、蓄積キャパシタ58上に蓄えられる。スイッチトランジスタ68がオフにされる場合に、そのソースおよびドレイン端子間で何らかの寄生漏れ電流が発生するので、少なくともその意味においてはスイッチトランジスタ68は理想的ではない。これにより、EW駆動電極152に書き込まれた電圧が経時的に変化する可能性もある。その結果、EW駆動電極152の電圧を周期的に書き換え直す必要があることがわかる。更新が必要とされる頻度は、スイッチトランジスタ68を通る寄生漏れ電流の量およびキャパシタ58のサイズに依存する。
【0089】
電圧VWRITEの書き込みに続き、EW駆動電極152で存在するインピーダンスを検知するために、まず、検知ノード102がリセットされる。
【0090】
特に、制御回路中に含まれた検知回路は、リセット動作を実行するリセット回路を含む。リセット回路は、例えばダイオード148および202を含み、ダイオード148および202の間には、検知ノード102が直列に接続される。上述のように、ダイオード148および202は、リセットラインRST108およびRSTB200にそれぞれ反対側端部が接続されている。リセット動作が実行された場合、リセットラインRST108は高い論理レベルに設定されるとともに、リセットラインRSTB200は低い論理レベルに設定される。リセットラインRSTB200の低い論理レベルとリセットラインRST108の高い論理レベルとが同一となるように、リセットラインRST108およびRSTB200の電圧レベルは値VRSTに設定される。値VRSTは、トランジスタ94がこの電圧でオフにされることが十分保証されるように選ばれる。リセット動作が実行された場合、ダイオード148または202のいずれかが順方向バイアスになり、そして、検知ノード102が電圧レベルVRSTに充電/放電される。リセット動作の完了に続き、リセットラインRST108は低い論理レベルへ、そして、リセットラインRSTB200は高い論理レベルへ設定される。残余の検知動作を実行するために、ダイオード148および202の両方を逆バイアス状態に維持するのに充分であるよう、リセットラインRST108の低い論理レベルおよびリセットラインRSTB200の高い論理レベルの電圧レベルが設定される。
【0091】
図27のアレイ素子回路85における検知回路は、センサロウ選択ラインRWS104、結合キャパシタCc、トランジスタ94、および、センサ出力ラインCOL106を含む。アレイ素子内の疎水性セルにより駆動素子で存在するインピーダンスを検知するために、振幅ΔVRWSの電圧パルスは、センサロウ選択ラインRWS104へ印加される。パルスは蓄積キャパシタCsを経由しEW電極152に付与される。トランジスタ68がオフにされると、その後、EW駆動電極152における電圧VWRITEは、所定量(ΔVWRITE)だけ摂動される。なお、所定量(ΔVWRITE)は、ΔVRWSに比例するものであるとともに、センサロウ選択ラインRWS104上の電圧パルスの大きさ、および、キャパシタCc、Cs、および、C(および更にトランジスタ94、68およびダイオード148、202の寄生静電容量)の関連する値にも依存する。寄生成分が小さいと仮定すると、駆動電圧VWRITEは、新たな値VWRITE’で示されるように摂動される。
【0092】
【数2a】

【0093】
ここで、摂動ΔVWRITEは、以下で示される。
【0094】
【数2b】

【0095】
ここで、
【0096】
【数3】

【0097】
一般に、容量部品は次のような大きさで作製される。すなわち、液滴が存在する場合において、負荷インピーダンスの値がキャパシタCと同様のオーダーになるような大きさで、蓄積キャパシタCsは作製される。さらに、蓄積キャパシタCsは、結合キャパシタCcより値が1−2桁大きいような、大きさに作られる。その後、センサロウ選択ラインRWS104上のパルスΔVRWSによってEW駆動電極152の電圧に摂動ΔVWRITEが生じると、結合キャパシタCcの影響によって検知ノード102で電位の摂動ΔVSENSEが生じる。検知ノード102で電位の摂動ΔVSENSEは、下式により近似される。
【0098】
【数4】

【0099】
ここで、CDIODEは、ダイオード148の静電容量を示しており、Cは、トランジスタ94の寄生静電容量を示している。一般に、結合キャパシタCcが寄生キャパシタンスCDIODEおよびCより大きくなるように回路設計される。その結果、検知ノード102での電圧の摂動ΔVSENSEは、EW駆動電極152での書き込みノード電圧の摂動ΔVWRITEに概ね類似するものとなる(これが必ず必要ということではない)。キャパシタCsは二重の機能を有する。すなわち、キャパシタCsは、アレイ素子に書き込まれるエレクトロウェッティング電圧を蓄積する蓄積キャパシタとして機能する。さらに、キャパシタCsは、インピーダンスを検知する場合、参照キャパシタとしても機能する。そのインピーダンスは、基本的に、Csを液滴静電容量Cdropと比較することにより計測される。
【0100】
センサロウ選択ラインRWS104にパルスを発することの包括的な結果は、検知ノード102で電位が量ΔVSENSEだけ摂動されることである。量ΔVSENSEは、RWSパルスが継続する間、キャパシタCで表されるインピーダンスに依存する(さらに、Cは特定のアレイ素子に位置するあらゆる液滴の存在、サイズおよび構成に依存する)。その結果、トランジスタ94は、RWSパルスがセンサロウ選択ラインRWS104に印加されるRWS動作の間、所定の期間だけオンに切り換えられる。センサ出力ラインCOL106は、カラム出力回路70の一部を形成する好適なバイアス素子(例えば抵抗またはトランジスタ、不図示)によりロードされる。なお、当該カラム出力回路は、同じカラム内の各アレイ素子に共通のものである。従って、トランジスタ94は、ソースフォロアーとして働く。そして、ロウ選択動作の間、センサ出力ラインCOL106で現れる出力電圧は、キャパシタCで表されるインピーダンスの関数となる。その後、この電圧は、カラム出力回路70内に含まれる第2段の増幅器によりサンプルされるとともに読み出されうる。そのような回路は、周知の技術を用い実現されうる。周知の技術とは、例えば、先行技術の欄で引用されているように、撮影装置ディスプレイについて開示するような技術である。従って、図27のアレイ素子回路85は、Cの値を検知および計測するために動作する。リセットラインRST108およびRSTB200、センサロウ選択ラインRWS104の選択的アドレス指定するとともに、センサ出力ラインCOL106上の出力をサンプリングすることで、キャパシタCで表されるインピーダンスを、アレイ内の各素子で計測することができる。そして、計測されたインピーダンスは、アレイ内の特定の素子に位置する任意の液滴の存在、サイズ、および、構成を表している。
【0101】
なお、検知動作に続き、センサロウ選択ラインRWS104上の電圧が初期値に戻されると、EW駆動電極152の電位は検知動作前と概ね同じ値に戻る。この点において、検知動作は有害ではない。確かに、EW駆動電極152に書き込まれたあらゆる電圧は、センサロウ選択ラインRWS104上でRWSパルスが継続する期間(典型例は数マイクロ秒)のみ影響を受ける。なお、この配置において、EW駆動電極152へ導入される追加の直流漏れ経路はない。
【0102】
なお、各検知動作の初めにリセットラインRST108およびRSTB200を用いてリセット操作を実行することは、必ずしも必要ではない。状況に応じて検知ノード102をリセットすることが、適切かつ/あるいは好まれる場合もある。例えば、一連のセンサ計測がなされる場合、単一リセット動作は、初回の計測が行われる前に実施されうるが、計測と計測との間ではリセットは実行されない。このことは有利でありうる。なぜなら、各計測の直前における検知ノード102の電位は、リセット動作の不完全性に起因する変動に左右されない。リセットレベルの変動は、計測過程の間に変動し得る周囲照明および温度等の要因により影響されうる。
【0103】
本実施形態の操作によれば、EW駆動電極152のアレイに書き込まれた電圧のパターン、および、このパターンの経時的変化に従って、AM−EWODデバイスは、疎水性表面で液滴を操作するために用いられうる。例えば、時間的に連続する書き込みデータのフレームを、1またはそれ以上の液滴4を操作するためにアレイに書き込むことができる。液滴の操作として、たとえば、EWOD技術について公知であり先行技術欄に記載されているような、液滴の移動、液滴の混合、液滴の分割を実行することができる。AM−EWODデバイスはまた、センサ機能を実行してアレイ内の各位置に存在する任意の液滴により示されるインピーダンスを検知するために用いられうる。任意の瞬間においてセンサ機能を実行することで、アレイ内の各素子に存在するインピーダンスが計測され、計測されたインピーダンスデータの出力画像およびアレイ全体における出力画像の空間変化を得ることができる。
【0104】
計測インピーダンスセンサデータの出力画像は、多数の異なる方法で利用されうる。例えば、
1.インピーダンスデータの画像は、アレイ内の液滴4の空間位置を決定するために用いることができる。
2.インピーダンスデータの画像は、アレイ内の液滴4のサイズ(または体積)を決定するために用いることができる。
【0105】
上述の1番目の利用によれば、液滴の空間位置を検知および決定できるので、書き込まれている液滴操作(例えば、液滴の移動でもよい)が実際正しく実行されていること、および、液滴がアレイ内の意図した場所に実際に位置することが検証できるという点では有利である。液滴位置を検証するためのそのような確認機能を備えることは、意図した利用のための操作の信頼性を向上できるので利点がある。つまり、液滴の移動操作に関連したエラー(例えば、液滴が隣接したアレイ素子の間を移動することが意図されているがそれに失敗する場合)は、液滴4の位置が意図された位置でないことを判断できるセンサ機能により検出される。その後、エラーを補正し、さらに、意図された位置へ液滴の位置を回復するための好適な電圧パターンが、(例えば、コンピュータプログラム制御操作により)計算され、そして、エラーを補正するように実行されうる。
【0106】
上述の2番目の利用によれば、センサ機能を液滴のサイズ/体積を決定するために用いることができる。既知のアレイ素子で計測されたインピーダンスは、液体により覆われるアレイ素子の面積の関数である。従って、液滴の近くにおいて複数のアレイ素子でインピーダンスを計測することにより、各アレイ素子で計測されたインピーダンスの寄与を合計し、液滴のサイズを計測することができる。
【0107】
なお、特定の操作モードにおいては、たとえば、液滴を複数のアレイ素子を同時に覆うものとするように、液滴の典型的な直径がアレイ素子サイズより極めて大きいことが有利な場合もある。図28は、電極42の2次元アレイの一部の例を示す。電極42においては、液滴4は複数のアレイ素子を同時に覆う。図29は、センサ画像の対応する部分を示す。センサ出力画像302の各画素は計測されたインピーダンスに従って色付けられており、色が暗いほど計測インピーダンスがより大きいことを表す。図29の画像のこの部分から、液滴が各アレイ素子を覆う割合がどのようにセンサ画像から決定されうるのかが理解できる。そして、液滴の近くの全アレイ素子からの寄与を足すことにより、総液滴サイズが決定されうることが明らかである。
【0108】
液滴サイズを決定できることは、多くのアプリケーションで有利である。例えば、AM−EWODデバイスが化学反応を実施するために用いられる場合、液滴のサイジング機能は、関係している試薬の量を計るために用いることができる。
【0109】
電圧書き込み機能およびインピーダンス検知機能に関連した制御タイミングは、順応性があり、そして、これら二つの機能は、種々の方法のいずれかと組み合わせて実行することができる。例えば、
A.書き込みデータのフレーム書き込みに続いて、センサデータの画像を計測し、続いて書き込みデータの更なるフレームを書き込み、続いてセンサデータの更なる画像を計測する、というように、デバイスを操作することができる。
B.書き込みデータの複数フレームの書き込みに続いて、センサデータの単一画像を計測し、続いて書き込みデータの更なる複数フレームを書き込み、続いてセンサデータの更なる画像を計測する、というようにデバイスを操作することができる。
C.検知データが計測されるのと同時に、書き込みデータが書き込まれるように、デバイスを操作することができる。これは、アレイの所定のロウNにおける書き込み動作の実行と、アレイの異なるロウMにおける検知動作の実行とを同時に行うことで達成することができる。ロウドライバ76およびカラムドライバ78回路について、ロウの書き込みおよびロウの検知のために必要な時間が同じとなるように構成することで、アレイ内の全てのロウが一度に連続して書き込まれ異なる時間で検知されるようにできるので、特定のロウにおける書き込みおよび検知動作が決して同時とならないようにすることができる。
【0110】
上述の操作の好ましいモード(A、BまたはC)は、実施される特定の液滴操作に依存しうる。例えば、液滴混合モードBのような操作は、電圧書き込みパターンが即時に更新されうるので好適である。そして、この場合、データの書き込みフレーム全てに対してセンサ出力をモニターする必要はない。第2の例では、液滴移動の操作について、モードCは有利であるといえる。なぜなら、検知動作および書き込み動作を同時に行うことで、書き込まれたデータパターンを即時に更新することができるため、素早い動きを達成することが可能となるとともに、センサ機能によってエラー検出を行うことができる。
【0111】
なお、特定の状況においては、AM−EWOD書き込み電圧VWRITEがソースアドレス指定ライン62を経由しEW駆動電極152に書き込まれる間、リセット動作を実行することも、有利でありうる。
【0112】
これは、例えば、アレイの一つのロウにおいてアレイ素子に対する検知動作を行うのと同時に、異なるロウにおけるアレイ素子のEW駆動電極152に電圧を書き込むことが望まれる上述のモードCを実行している場合にあてはまる。なぜなら、書き込み動作中にEW駆動電極152で電圧の急上昇(step in voltage)が発生すると、この電圧の一部が結合キャパシタCc146を経由し検知ノード102に結合するためである。これは、書き込み電圧VWRITEが書き込まれるロウのトランジスタ94をある程度オンにする効果がある。これにより、センサ出力ラインCOL106の電位が影響され、そして、検知されるロウのセンサ機能が影響されてしまう。この問題点は、書き込まれるロウにリセット操作を実行することにより回避可能である。それにより、このロウの素子に係る検知ノード102の電位を保ち、トランジスタ94がオンにされることを防止できる。
【0113】
この実施形態の利点は以下のとおりである。
・ EW駆動電極152へプログラムされた電圧VWRITEは、検知動作を実行することで損なわれることはなく、センサロウ選択ラインRWS104上にセンサロウ選択パルスが印加されている間、短時間だけ乱されるのみである。
・ センサ機能を追加することによってEW駆動電極152への直流漏れ経路が追加発生しない。つまり、標準的なAM−EWODと同様に、トランジスタ68を通るEW駆動電極152に書き込まれる電荷の漏れ経路のみが存在する。
・ EW駆動電極152に高電圧を書き込むことが要求される場合、高電圧互換性のあることが特に要求される唯一のアクティブデバイスが、スイッチトランジスタ68である。特にデバイス94、148、および、202は、高電圧互換性であることは要求されない。これは、トランジスタ94がアナログ機能を有しており、ロバスト性(例えばLDD、GOLD、伸長、等)を向上するデバイスの工学技術が必要とされる場合に、性能が損なわれうるという点において、トランジスタ94に対して特に重要である。94、148、および、202を、標準的な低電圧デバイスとし得る回路配置は、これらのデバイスのレイアウトにおける設置面積を小さくすることができる点においても有利である。これは、アレイ素子サイズの物理的大きさをより小さなものとし、かつ/または、アレイ素子内に他の回路を含めるためのスペースを作りうる。
・ 回路部品を低電圧で動作させることで回路の生産性を改善させることができ、さらに、製品のロバスト性を向上させることができる。
【0114】
なお、検知ノード102がEW駆動素子152に直流結合された(例えば、結合キャパシタCc146を短絡に取り替える等)場合に、これらの利点の全てが実現されないもある。この場合、更なる漏れ経路がEW駆動電極152に発生する(なお、逆バイアスダイオード148を経由して漏れる)。書き込まれたEW駆動電圧VWRITEは、検知動作を実行することにより破壊される。そして、トランジスタ94およびダイオード148の端子を横断するように高電圧が発生する。
【0115】
典型的な設計において、蓄積キャパシタCsの値は、比較的大きくてもよく、例えば、数百フェムトファラッド(fF)としてもよい。それゆえ、レイアウトエリアを最小化するために、MOSキャパシタとしてこのデバイスを実現することは有利である。
【0116】
本発明の第2の実施形態に係るアレイ素子回路85aを図30に示す。本実施形態は、キャパシタCs58がゲートP−I−Nダイオード144に置換されていることを除いて、図21を参照しつつ上述されている第1の実施形態と同一である。ゲートダイオードは以下のように接続される。すなわち、アノードとカソードとは共に接続され、かつ、センサロウ選択ラインRWS104に接続される。そして、ゲート端子は、EW駆動電極152に接続される。
【0117】
第2の実施形態の動作は、第1の実施形態の動作と同一である。つまり、ゲートP−I−Nダイオード144は、第1の実施形態のキャパシタCsの機能を実行する。一般に、センサロウ選択ラインRWS104上に供給されたパルスの電圧レベルは、ゲートP−I−Nダイオード144の静電容量がRWS電圧のハイおよびロウレベルの両方に対して最高レベルで維持されるように調整される。
【0118】
この実施形態の利点は、キャパシタの機能を実行するゲートP−I−Nダイオード144を用いることにより、(静電容量を維持するべく)デバイスにかかる電圧が常に所定の閾値レベル以上となるように、RWSパルスに割り当てられる電圧レベルを調整する必要がないことである。これは、ハイおよびロウレベルのRWSパルスの電圧レベルが、例えばEW駆動電圧のプログラムされた範囲内に完全に包含されていることを意味する。従って、アレイ素子回路85a全体として必要な電圧の全範囲は、MOSキャパシタをキャパシタCs58として用いる第1の実施形態のものと比べ減少する。
【0119】
この利点は、MOSキャパシタのレイアウト設置面積と比較してゲートダイオードのレイアウト設置面積を小さく維持している限り、実現される。レイアウト設置面積を小さくすることは、上述の理由により、アレイの回路素子の物理サイズを最小化する観点から有利である。また、本実施形態は、反対方向に接続されたゲートP−I−Nダイオード144、すなわち、アノードおよびカソード端子の両方がEW駆動電圧152に接続され、ゲート端子がセンサロウ選択ラインRWS104に接続されたゲートP−I−Nダイオード144についても実施されうることは、当業者にとって明らかであろう。
【0120】
第1および第2の実施形態の回路を種々の点から変更し得ることは当業者には自明であろう。例えば、ソースフォロアートランジスタ94およびスイッチトランジスタ68は、両方とも、nTFTデバイスよりむしろpTFTデバイスで実現可能である。
【0121】
このように変更したとしても、上述の回路の基本動作に実質的な影響はない。それゆえ、簡略化のため、更に詳細な説明を行うことはここでは省略する。
【0122】
本発明の第3の実施形態に係るアレイ素子回路85bを図31に示す。本実施形態は、ダイオード148および202が取り除かれ、リセットラインRSTB200が取り除かれ、そして、以下の追加のアレイ要素が加えられていることを除いて、第1の実施形態と同様である。
・ n型トランジスタ206
・ アレイにおける全素子に共通の電源供給ラインVRST208。
【0123】
本実施形態において、リセットラインRST108は、トランジスタ206のゲートに接続される。トランジスタ206のソース端子およびドレイン端子は、検知ノード102および電源供給ラインVRST208にそれぞれ接続される。
【0124】
本実施形態の動作は、リセット動作が実行されることを除き第1の実施形態に記載されているのと同様である。本実施形態において、リセットは、リセットラインRST108を高い論理レベルに設定することにより実行される。これにより、トランジスタ206をオンとして、検知ノード102の電位を電源供給ラインVRST208上のリセット電位へ充電/放電することができる。リセット動作が実行されていない場合、スイッチトランジスタ206がオフに切り替わるように、リセットラインRST108は低い論理レベルへ切り換えられる。
【0125】
第1の実施形態に対する本実施形態の利点は、ダイオード素子を必要とすることなく実行できることである(ダイオードは、製造過程内で標準ライブラリ構成(standard library components)として利用可能でないこともある)。本実施形態の更なる利点は、アレイ素子回路85がn型TFT構成のみを必要とし、そのため、(n型デバイスのみが利用可能である)単一チャネル製造工程内での実施に対して好適であることである。
【0126】
第4の実施形態のアレイ素子回路85cは図32で示される。
【0127】
本実施形態は、ダイオード148および202が取り除かれ、そして、以下の追加のアレイ要素が加えられていることを除いて、第1の実施形態の図27と同様である。
・ p型トランジスタ205
・ n型トランジスタ206
・ アレイにおける全素子に共通の電源供給ラインVRST208。
【0128】
リセットラインRST108は、トランジスタ206のゲートに接続される。リセットラインRSTB200は、トランジスタ205のゲートに接続される。トランジスタ205および206のソースは共に接続され、そして、検知ノード102に接続される。トランジスタ205および206のドレインは共に接続され、そして、電源供給ラインVRST208に接続される。
【0129】
本回路の動作は、リセット動作が実行されることを除き、図27における第1の実施形態に係る記載と同様である。本実施形態において、リセット動作は、リセットラインRST108を高い論理レベルに、そして、リセットラインRSTB200を低い論理レベルに設定することで実行される。これにより、トランジスタ205および206がオンとされ、検知ノード102の電位を電源供給ラインVRST208上のリセット電位へ充電/放電することができる。リセット動作が実行されていない場合、スイッチトランジスタ205および206がオフに切り替わるように、リセットラインRST108およびRSTB200は低い論理レベルおよび高い論理レベルへそれぞれ切り換えられる。
【0130】
この実施形態の利点は以下である。
・ リセット動作が実行される場合、図27、30および31のようにダイオードまたは単一スイッチトランジスタによりリセットが実行される場合よりも、検知ノード102が電源ラインVRST208上のリセット電位へ急速に放電される。これにより、検知ノード102がリセットされる電圧が素子毎にバラつくことを低減できる。
・ リセットラインRST108およびRSTB200に印加される論理信号の電圧レベルを同じにできる。これにより、第一の実施形態に比べ、駆動回路の設計を単純にできる。
・ アレイ素子回路85は、ダイオードを必要とすることなく実現される。これは、薄膜ダイオードが標準回路素子でないプロセスにおいて有利な場合がある。
【0131】
本発明の第5の実施形態に係るアレイ素子回路85dを図33に示す。本実施形態は、兼用ラインRST/RWS170を形成するために、ロウ選択ラインRWSおよびリセットラインRSTが共に接続されることを除いて、第1の実施形態と同様である。
【0132】
アレイ素子回路85dの動作は、第1の実施形態と同様である。初めに、検知ノード102は、以下のようにリセットされる。すなわち、ラインRST/RWS170をバイアスダイオード148の順方向化に充分な電圧レベルV(voltage level V1 sufficient to forward bias diode 148)へ切り換えるとともに、バイアスダイオード202の順方向化に充分な電圧へとにリセットラインRSTB200を接続することでリセットされる。そして、ラインRST/RWS170をより低い電圧レベルVに切り換えることで、ダイオード148が逆バイアスされるとともに、リセットラインRSTB200は、ダイオード202が逆バイアスになるように高い値に設定される。そして、ロウ選択動作の間、ラインRST/RWS170は第3の電圧レベルVへ切り換えられ、V−Vの大きさのステップ電圧が形成されるので、EW駆動電極152および検知ノード102で電圧に摂動が生じる。これにより、インピーダンスCを計測することが可能になる。回路を適切に動作させるために要求されることは、電圧レベルVおよびVがVより小さくなければならないこと、およびロウ選択動作の間はバイアスダイオード148を順方向化しないことである。
【0133】
本実施形態の利点は、リセット動作を実行するための能力を維持しつつ、アレイ素子に必要な電圧ラインの数が第1および第2の実施形態に比べ一つ減らせることである。
【0134】
第6の実施形態に係るアレイ素子回路85eを、図34に示す。本実施形態は、共通接続、RWS/RSTBライン204を形成するために、RSTBおよびRWSラインが共に接続される点を除いて、第5の実施形態と同様である。動作は、第1の実施形態と類似する。リセット動作を実行するために、リセットラインRST108は、バイアスダイオード148を順方向化するのに充分なリセット電圧VRSTにセットされる。そして、同じリセット電圧VRSTが、RWS/RSTBライン204へ印加される。これにより、検知ノード102はリセット電圧VRSTにリセットされる。ロウ選択操作を実行するために、リセットラインRST108へ適切な電位を印加してダイオード148を逆バイアスにするとともに、VRSTを超える電圧レベルVをRWS/RSTBライン204へ印加する。ダイオード202は逆バイアスになり、そしてオフされる。これと同時に、検知ノード102の電位は、電圧の差V−VRSTおよび第1の実施形態に記載の種々の回路静電容量にに依存する量だけ摂動が生じる。
【0135】
第1の実施形態と比較した第6の実施形態の利点は、アレイ素子に必要な電圧ラインの数が一つ減ることである。第5の実施形態と比較した第6の実施形態の利点は、動作中にRWS/RSTBライン204へ二つの異なる電圧レベルのみを印加すればよいことである。これは、接続を駆動ために必要な制御回路を単純化できるという利点を有する。
【0136】
さらに、第5および第6の実施形態が、ソースフォロアートランジスタをp型トランジスタで実現できるとともに、ロウ選択動作をRWS/RST、RWS/RSTBラインへ負のパルスを印加することにより実現されることは、当業者には明らかであろう。
【0137】
本発明の第7の実施形態に係るアレイ素子回路85fを図35に示す。本実施形態は、ゲートP−I−Nダイオード144のアノード端子をセンサロウ選択ラインRWS104へ接続する代わりに、バイアス供給VBR172に接続することを除いて、第2の実施形態と同様である。この接続は、同じロウの各アレイ素子に対して別々に駆動されうる。バイアス供給VBRは、ゲートP−I−Nダイオード144が常に逆バイアスになるように、センサロウ選択ラインRWS104の電圧に対して常に負である電圧にセットされる。
【0138】
回路の動作は、バイアス供給VBR172が回路の動作中はバイアスVXで維持されることを除いて、第2の実施形態の操作に本質的に類似する。なお、バイアスVXは、センサロウ選択ラインRWS104のバイアス電圧より低い電圧である。これにより、ゲートP−I−Nダイオード144を、VXの関数であるバイアス依存性を有する電圧依存キャパシタのように機能させることができる(先行技術の記載参照)。
【0139】
RWSパルスの高低レベルの動作範囲およびVXとして適切な値を選ぶことにより、ゲートP−I−Nダイオード144を、その値がVXの選択に依存する可変キャパシタとして機能させることができる。全体回路は、その静電容量が変更可能なキャパシタとしてゲートP−I−Nダイオード144が記載されている第2の実施形態と同様に機能する。それゆえ、当該回路は、その静電容量が高い値または低い値のいずれに設定されているかに従って、異なる範囲で効果的に機能させることができる。
【0140】
この実施形態の回路の利点は、静電容量が固定値として設定されている場合よりも、より高い範囲の液滴インピーダンスを検知可能であることである。更なる利点として、回路成分を追加することなく一つのバイアスラインのみを追加することにより、可変キャパシタを実現できることである。
【0141】
本実施形態は、可変静電容量に係る特に好適な実施例を開示するものであるが、可変または電圧依存キャパシタを実現するために他の種々の方法を用いてよいことは、当業者には明らかであろう。例えば、スイッチとして機能するTFTを追加してもよい。これらは、回路に追加キャパシタ素子を含めるか含めないかを切り換えるために構成されうる。これらは、キャパシタCsに直列または並列のいずれかに構成可能である。
【0142】
本発明の第8の実施形態は、センサロウ選択ラインRWS104に印加される電圧パルスがN多重パルスから成るように構成される点において、前述の実施形態と同様である。つまり、N=4(Nはパルス数を示す)の場合においては、図36に示すように、センサロウ選択ラインRWS104に印加されるロウ選択パルス180が構成される。また、同図において比較して示されているのは、前述の実施形態についてセンサロウ選択ラインRWS104に印加されるロウ選択パルス182である。
【0143】
回路の機能は、その他の点において第1の実施形態で記載されたのと同一である。しかしながら、変更されたRWSパルス180に対するアレイ素子回路85の応答は、液滴インピーダンスの構成成分に従って異なりうる。これは、図8を参照すれば理解可能である。電圧パルスが合成液滴インピーダンスを横断して印加された場合、中間ノード47の応答は時間に依存する。このノードは、成分値RdropおよびCdropに応じて、充電/放電するための所定時間が必要である。これらの成分値は、液滴の構成に依存する。それゆえ、回路の応答性は、センサロウ選択ラインRWS104に印加されたRWSパルスの数および持続時間の関数となる。
【0144】
本実施形態によれば、多重インピーダンスの計測を一連して行うことができる。なお、ロウ選択パルスを構成する成分パルスの数Nは、個別の計測各々に対して異なるものである。2つまたはそれ以上の異なる値Nに対してセンサ出力を決定することにより、液滴静電容量Cの周波数依存性を計測できる。絶縁キャパシタンスCは通常既知の値であるので、インピーダンス成分CdropおよびRdropに関する情報を決定するために、この方法を更に用いることができる。これらは、伝導率等の液滴構成に関連するため、液滴構成に関する情報を決定することができる。
【0145】
本動作モードにおいて、必須ではないが、センサロウ選択ラインRWS104上のRWSパルスがハイレベルとなる合計時間が各Nに対して同じとなるよう設定することは有用である。これにより、Nの値に関わらず、同じ時間量に対して、ソースフォロアートランジスタ94が(種々のインピーダンスにより決定される範囲において)オンになることが保証される。
【0146】
本発明の第9の実施形態に係るアレイ素子回路85gを、図37に示す。これは、集積インピーダンスセンサを有するAM−EWODデバイスのための代替的アレイ素子回路からなる。
【0147】
その回路は次の素子を含む。
・ スイッチトランジスタ68
・ キャパシタCs190
・ キャパシタCp192
・ 結合キャパシタCc146
・ ダイオード148
・ トランジスタ94
・ トランジスタ186
アレイ素子回路85gには、以下のような接続が設けられる。
・ 同じカラムのアレイ素子回路85g間に共有されるソースアドレス指定ライン62
・ 同じロウのアレイ素子回路85g間に共有されるゲートアドレス指定ライン64
・ 同じロウのアレイ素子回路85g間に共有されるセンサロウ選択ラインRWS104
・ アレイ内の全アレイ素子回路85gに共有の電源供給ラインVSS184
・ 同じカラムのアレイ素子回路85g間に共有されるセンサ出力ラインCOL106。
【0148】
各アレイ素子は、電圧VWRITEをプログラム可能なEW駆動電極152を含む。同様に、EW駆動電極152と対向基板36との間のインピーダンスに相当する負荷素子C154を示す。Cの値は、前述の実施形態のように、アレイ内のアレイ素子における任意の液滴の存在、サイズ、および、構成に依存する。
【0149】
上記回路は次のように接続される。
【0150】
ソースアドレス指定ライン62は、トランジンタ68のドレインに接続される。ゲートアドレス指定ライン64は、トランジスタ68のゲートに接続される。トランジスタ68のソースは、EW駆動電極152に接続される。キャパシタCs190は、EW駆動電極152と電源供給ラインVSS184との間に接続される。結合キャパシタCc146は、EW駆動電極152とトランジスタ94のゲートとの間に接続される。ダイオード148のアノードは、電源VSS184に接続される。ダイオード148のカソードは、トランジスタ94のゲートに接続される。スイッチトランジスタT3 186のドレインは、トランジスタ94のゲートに接続される。トランジスタT3のソースは、電源VSS184に接続される。トランジスタT3 186のゲートは、センサロウ選択ラインRWS104に接続される。トランジスタ94のドレインは、センサロウ選択ラインRWS104に接続される。トランジスタ94のソースは、センサ出力ラインCOL106に接続される。キャパシタCpは、センサノード102と電源VSS184との間に接続される。
【0151】
上記アレイ素子回路85gは、以下のように動作する。
【0152】
電圧を書き込むために、必要とされる書き込み電圧VWRITEは、ソースアドレス指定ライン62上にプログラムされる。その後、ゲートアドレス指定ライン64を高電圧に設定することで、トランジスタ68がオンに切り換えられる。その後、電圧VWRITE(68の非理想性に起因する微小な正または負の量)は、EW駆動電極152へ書き込まれ、そしてこのノードに存在する静電容量と、特にキャパシタCsとに蓄えられる。次に、ゲートアドレス指定ライン64を低いレベルに設定することで、トランジスタ68がオフとされ、そして書き込み動作が完了する。
【0153】
EW駆動電極152で生じるインピーダンスを検知するために、電圧パルスは、対向基板36の電極に印加される。その後、この電圧パルスの成分は、EW駆動電極152および検知ノード102に交流結合される。検知されるアレイ素子のロウについて、センサロウ選択ラインRWS104は高い電圧レベルに設定される。これにより、スイッチトランジスタT3 186がオフに切り換えられるので、検知ノード102からグランドに通じる直流経路がなくなる。その結果、検知ノード102に接続された電圧によって、液滴CLの容量負荷に部分的に依存する範囲で、ソースフォロアートランジスタ94が部分的にオンとなる。キャパシタCpの機能は、対向基板に印加されたパルスから検知ノード102へ結合された電圧が、トランジスタ186およびダイオード148を通る寄生漏れにより、即時に放電されないようにすることができることである。それゆえ、検知ノード102の電位が、検知動作の継続中においてトランジスタ186およびダイオード148を通る漏れにより過度に影響されないよう、Cpは充分に大きく設定されるべきである。
【0154】
検知されていないロウ素子に対して、検知ノード102へ結合された対向基板36からの電圧パルス成分がVSSに直ちに放電されるように、トランジスタ186はオンに切り換えられたままである。
【0155】
好適な動作を実現するためには、センサロウ選択ラインRWS104上のRWSパルスが低レベルである際にソースフォロアートランジスタ94がオフに切り替わったままであるように、RWSパルスの低レベルおよびバイアス供給VSSを決定しなければならない。
【0156】
第1の実施形態に比べた本実施形態の利点は、アレイ素子につき必要な電源ラインが一つ少ないことである。
【0157】
本発明の第10の実施形態に係るアレイ素子回路85hを図38に示す。
【0158】
その回路は次の素子を含む。
・ トランジスタ196
・ キャパシタCs58
・ 結合キャパシタCc146
・ ダイオード148
・ トランジスタ202
・ トランジスタ94
・ 入力、出力、および、イネーブル端子を含む標準構成のSRAMセル194
アレイ素子回路には以下の接続が設けられる。
・ 同じカラムのアレイ素子回路85h間に共有されるソースアドレス指定ライン62
・ 同じロウのアレイ素子回路85h間に共有されるゲートアドレス指定ライン64
・ 同じロウのアレイ素子回路85h間に共有されうる、または、アレイ内の全素子に共有されうる他の代替実施例における、センサイネーブルラインSEN198
・ 同じロウのアレイ素子回路85h間に共有されるセンサロウ選択ラインRWS104
・ 同じロウのアレイ素子回路85h間に共有されるリセットラインRST108
・ 同じロウのアレイ素子回路85h間に共有される第2リセットラインRSTB200
・ アレイ内の全アレイ素子回路85hに共有の電源供給ラインVDD150
・ 同じカラムのアレイ素子回路85h間に共有されるセンサ出力ラインCOL106。
【0159】
各アレイ素子回路85hは、電圧VWRITEをプログラム可能なEW駆動電極152を含む。同様に、EW駆動電極152と対向基板36との間のインピーダンスに相当する負荷素子C154を示す。Cの値は、アレイ内のアレイ素子に位置する任意の液滴の存在、サイズ、および、構成に依存する。
【0160】
上記アレイ素子回路85hは次のように接続される。
【0161】
ソースアドレス指定ライン62は、SRAMセル194の入力に接続される。ゲートアドレス指定ライン64は、SRAMセル194のイネーブル端子に接続される。SRAMセルの出力は、トランジスタ196のドレインに接続される。トランジスタ196のソースは、EW駆動電極152に接続される。センサイネーブルラインSEN198は、トランジスタ196のゲートに接続される。キャパシタCs58は、196のソースとセンサロウ選択ラインRWS104との間に接続される。結合キャパシタCc146は、196のソースとトランジスタ94のゲートとの間に接続される。ダイオード148のアノードは、リセットラインRST108に接続される。ダイオード148のカソードは、トランジスタ94のゲートおよびダイオード202のアノードに接続される。ダイオード202のカソードは、リセットラインRSTB200に接続される。トランジスタ94のドレインは、VDD電源供給ライン150に接続される。トランジスタ94のソースは、センサ出力ラインCOL106に接続される。
【0162】
上記回路の動作は、デジタル値がEW駆動電極152に書き込まれることを除いて、第1の実施形態と同様である。EW駆動電極152に電圧を書き込むために、センサイネーブルラインSEN198をハイに設定することで、トランジスタ196はオンに切り換られる。必要なデジタル電圧値(ハイまたはロウ)が、ソースアドレス指定ライン62にプログラムされる。その後、ゲートアドレス指定ライン64はハイに設定され、それにより、プログラムされているロウのSRAMセル194がイネーブルされ、そして、SRAMセル194に所望の論理レベルが書き込まれる。その後、ゲートアドレス指定ライン64はロウに設定され、書き込み動作が完了する。
【0163】
センサ動作を実行するために、センサイネーブルラインSEN198はロウに設定される。そして、回路のセンサ部分の残りは、本発明の第1の実施形態に記載したのと同じ態様で動作する。センサ動作の完了に続いて、センサイネーブルラインSEN198を再びハイに設定することで、SRAMセル194に保存されたプログラム電圧をEW駆動電極152にもう一度書き込むことができる。
【0164】
本実施形態の利点は、SRAMセル194を用いるAM−EWODデバイスの書き込み動作を実行することにより、書き込み電圧は継続的に更新する必要がないという点である。したがって、SRAMを用いることにより、前述の実施形態に記載されたような標準的なディスプレイ画素回路を用いる場合に比べて、全体の消費電力を低くできる。
【0165】
また、回路の書き込み部分にSRAMを用いることが、第2〜8の実施形態のいずれか一つと組み合わせられうることは、当業者にとって明らかであろう。
【0166】
本発明の第11の実施形態を図39に示す。本実施形態は、前述の実施形態において、電圧書き込み機能が選択的アドレス指定スキームで実行されるものである。特に、全アレイを書き換えする必要がないよう、書き込みデータがアレイ内のロウにおける任意のサブセットに書き込まれうるような態様で、変更ロウドライバ76bおよびカラムドライバ78b回路を構成することができる。図40は、本実施形態の実施例を示す。同図は、アレイに対して三つの連続するデータフレームを書き込む状態を示すものである。最初のフレーム(フレーム1)では、アレイのロウ310全てにデータが書き込まれる。パターンの例が、各アレイ素子の位置において、「1」または「0」として示された書き込みデータで表されている。フレーム2で示される次のフレームにおいて、「1」および「0」の変更データパターンが書き込まれる。このパターンを書き込むために、「1」および「0」のパターンがフレーム1と異なるロウ310bのデータのみを書き換える必要がある。ロウ312bは前フレームと同じパターンを有しているので、書き換える必要がない。同様に、フレーム3については、ロウ312cのデータは変化していないので、ロウ310cのサブセットのみをもう一度書き換える必要がある。この場合、フレーム3において書き込まれたロウのサブセットは、フレーム2に書き込まれたロウのサブセットと異なる。本明細書の記載に基づけば、図40に例示された態様およびパターンをどのように一般化すれば、「1」および「0」の任意のパターンを含むフレームの任意のシーケンスをアレイに書き込むことができるのかという点は、当業者には明らかであろう。
【0167】
データ書き込みのためのこの方法は、アレイ内の総ロウ数に対して小部分に書き込まれた書き込み電圧を変化しさえすれば、数多くの液滴操作を実行できるので、アレイをアドレス指定するための手法として有利な場合がある。従って、アレイ素子の適切なサブセットに対して選択的にアドレス指定および書き込み、その適切なサブセットに含まれないアレイ素子を排除することも可能である。なお、書き込まれているアレイのサブセットは、書き込みデータの連続フレームの間で変更してもよい。そしてまた、書き込まれているロウのサブセットは、アレイの連続行であることが必ずしも必要でない。
【0168】
本実施形態の利点は、選択的アドレス指定を実行することにより、アレイに新たなデータを書き込むのに必要な時間が減ることである。その結果、典型的な液滴操作(例えば、移動、分割そして混合)を実行するのに必要な時間も減る。これは、短い時間に実行されることを要求される液滴操作、例えば所定の比率に敏感な化学反応に対して、特に有利な場合がある。本実施形態の更なる利点は、書き込みデータの変化しないロウを書き換える必要性を低減することにより、ロウドライバ76bおよびカラムドライバ78b回路で消費される電力も減らすことができることである。
【0169】
そのような選択的アドレス指定スキームは、第10の実施形態に記載のメモリ機能のSRAMセル194が実装されたアレイ素子回路85に特に好適であることが明らかである。これは、SRAMセルが、書き込まれたデータの周期的な更新を必要としないからである。
【0170】
本発明の第12の実施形態を図41に示す。本実施形態は、センサアレイ素子の全数のサブセットのみがセンサ読み出しデータの所定のフレームで計測されるような態様で、センサ機能の制御回路が、選択的にアドレス指定するためおよびアレイ素子回路85のセンサ機能を読み出すために用いられる点において、前述の実施形態のいずれかと同様である。
これは、図41に示すように、変更ロウドライバ回路76cを用いて、選択的な制御を行い、さらにアレイ素子回路85に駆動パルスRST、RSTBおよびRWSを印加することで達成される。さらに、変更カラム出力回路79bを用いて、インピーダンスセンサアレイ素子回路85のセンサ出力COLで出力電圧をサンプルおよび計測し、さらに、センサ出力データの所定のフレームに対して全数のアレイ素子のサブセットのみが計測されるな選択的な制御を行うことでも達成されうる。
【0171】
この動作モードによれば、液滴4が存在することが分かっている場所の近くのアレイの領域のみが検知されるような態様で、センサ機能を典型的に駆動することができる。これらの領域を正確に検知することは、例えば液滴4の位置および/またはそのサイズを決定するといったセンサ機能における要求を満たす為に一般的に充分である。本実施形態の応用例は図42に示される。当該例では、二つの液滴4bおよび4cがアレイの異なる位置に存在する。液滴の近接領域(それぞれハッチング線で図示された316aおよび316b)内のアレイ素子のみが検知されるように、ロウドライバ回路76cおよびカラム出力回路79bは構成される。そして、その領域の外側の領域314(ハッチング線無しで図示)内のアレイ素子は検知されない。従って、アレイ素子の適切なサブセットについて、適切なサブセットに含まれないアレイ素子が排除されるように、選択的にアドレス指定され、そして、インピーダンスがその場所で検知可能となる。
【0172】
なお、検知対象のアレイのサブセットの空間位置は、センサデータの異なるフレームの間で変更可能である。そしてまた、検知されているアレイのサブセットが、アレイの単一連続部分であるよう必要は必ずしもない。
【0173】
本実施形態の利点は、アレイのサブセットのみでインピーダンスを検知するような態様でセンサ機能を操作することにより、検知動作を実行するのに必要な時間が減ることである。これにより、第11の実施形態に記載したように、容易により速い液滴動作を行うことができる。本実施形態の更なる利点は、全アレイのサブセットのみを検知することにより、センサ動作により消費される全電力も減らすことができることである。
【0174】
本発明の第13の実施形態は、第1の実施形態と同様であり、さらに、インピーダンスセンサ機能をキャリブレーションする追加の手段が、アレイ素子回路85を駆動する方法に導入される。
【0175】
センサキャリブレーション機能を含むことに対する動機づけは、通常、実用される同一の基板構成が、処理の変化(例えば、半導体ドーピング濃度の空間的変化、半導体物質内の粒子境界位置、等により)に起因する性能面での何らかの相違を必ず有していることである。その結果、公称的に同一のアレイ素子回路85からのセンサ出力は、そのように理想的に製造できないことが原因となり、実際には幾分異なりうる。総合的な結果として、インピーダンスセンサ機能により、その出力画像の固定パターンノイズ(FPN)がある程度示される。この点、ソースフォロアー入力トランジスタ(トランジスタ94)の特性が変動することは特に重要であり、センサ出力画像について素子毎に固定されたパターンのノイズ(element-element fixed pattern noise)が発生することを招来する。センサ出力ラインCOL106に出現する電圧を計測するために用いられるカラム増幅回路の特性が変動することもまた重要であり、カラム毎に固定されたパターンのノイズ(fixed pattern noise that is column-column dependent)を導く。
【0176】
単純なノイズモデルによれば、FPNは二つの成分を有するものとして考えることができる。
(i)オフセット成分。当該オフセット成分は、各アレイ素子センサ出力について一定のオフセットである(すなわち、インピーダンスの値に独立である)。FPNのオフセット成分は、アレイの各素子に対して異なる値を仮定するパラメータKで示すことが可能である。
(ii)ゲイン成分。当該ゲイン成分に関しては、各アレイ素子センサ出力がゲインパラメータMを有しており、インピーダンスJの真の値は、J=MIの関係により実際に計測したIに関連している。ここで、ゲインパラメータMは、アレイの各素子に対して異なる値と想定される。
【0177】
本発明に係る本実施形態は、背景固定パターンのノイズパターンを計測するようなアレイ素子回路85を駆動方法を用いるものである。このノイズパターンは、例えばコンピュータにおける画像処理方法を用いてセンサデータの測定画像から取り除くことができる。
【0178】
第13の実施形態に係るキャリブレーション方法の基本的な方法論は、図43に概略的に示されており、以下に説明するとおりである。
(1)一以上のキャリブレーション画像A(例えばA、A等)を取得する。なお、キャリブレーション画像Aは、各アレイ素子に存在する固定パターンノイズの背景の尺度となる。
(2)センサ画像Sを、第1の実施形態に記載されているような通常の方法で取得する。
(3)キャリブレーションされたセンサ出力画像Cを、何らかの外部手段(例えば、センサ出力データを処理するコンピュータ318)により計算する。なお、キャリブレーションされたセンサ出力画像は、センサ画像およびキャリブレーション画像の関数、例えばC=f(A,S)である。
【0179】
本実施形態によれば、AM−EWODデバイスのアレイ素子回路85は、図27に示された第1の実施形態に用いられるものと同じである。
【0180】
電圧は、前述されたのと同一の方法を用いてアレイに書き込むことができる。同様に、計測センサ画像は、前述された方法を用いて取得することができる。キャリブレーションセンサ出力画像は、図27に示されたアレイ素子回路85に様々なタイミングシーケンスを実行することにより取得することができる。駆動信号RST、RSTBおよびRWSを表し、センサ画像Sを取得するために用いられるセンサタイミングシーケンス320、および、キャリブレーション画像Aを得るために用いられるキャリブレーションタイミングシーケンス322を、両方とも図44に示す。さらに、印加されたセンサ信号のタイミングおよび電圧レベルについて、以下に説明する。
【0181】
アレイ内の素子に係るキャリブレーション画像を得るために、まずキャリブレーション電圧を選択し、そして、リセット電圧VRSTをVRST1で示される値にセットする。その後、RST108を高い論理レベルに、かつ、RSTB200を低い論理レベルに設定することにより、リセット動作はオンになる。これらの電圧レベルの両方に関する電位は電圧VRST1であり、そして結果的に、検知ノード102は当該電圧VRST1で維持される。RSTを高い論理レベルで維持するとともにRSTBを低い論理レベルで維持した状態で、振幅ΔVRWSの電圧パルスがセンサロウ選択ラインRWS104に印加される。しかしながら、リセットがオンに切り換えられたままなので、検知ノード102は、電位VRST1に固定されたままであり、RWS上の電圧パルスにより影響されない。
【0182】
上述のように、トランジスタ94(カラム増幅器79の一部を形成する好適なバイアスデバイス(例えば抵抗)によりロードされる)はソースフォロアーとして動作し、そしてセンサ出力ラインCOL106に出現する出力電圧は、このトランジスタの特性と電圧VRST1の特性との関数となる。そして、COLでの電圧を、センサ画像を計測するのに用いられたのと同一の方法で、カラム増幅器79によりサンプルするとともに読み出すことが可能となる。
【0183】
それゆえ、キャリブレーション画像Aを取得するために用いられたタイミング概略図322と、センサ画像Sを取得するために用いられたタイミング概略図320とは類似しており、RWS電圧パルスの継続中にリセットがオンに切り換えられたままであることのみが異なる。
【0184】
キャリブレーションタイミング概略図322を用いセンサを操作することにより、画像データのキャリブレーションフレームが得られる。このキャリブレーション画像は、基本的に、電圧VRST1が各アレイ素子回路85の検知ノード102に印加される場合、センサ電子回路の出力を示す。従って、キャリブレーション画像は、センサ読み出し電子回路に関連したオフセット固定パターンノイズの写像といえる。センサデータCのキャリブレーションされた画像は、キャリブレーション画像Aを用いる次の関数の数値を求めることにより取得できる。
【0185】
【数5】

【0186】
ここで、Sはセンサ出力画像(キャリブレーションなし)であり、そして上述の減算は各アレイ素子に対して個別に実行される。そして、上述の演算は、出力信号処理を電子手段(例えばコンピュータ)により実行することで行われる。この動作モードによれば、VRST1は、トランジスタ94がちょうどオンにされる値に対応するように選択可能である。例えば、VRSTをトランジスタ94の平均閾値電圧と等しく設定してもよい。キャリブレーション方法のこのように実行することの利点は、キャリブレーション画像Aを取得することにより、固定パターンノイズのオフセット成分をセンサデータの画像から除去できることである。
【0187】
単一のキャリブレーション画像が取得されそして減算される当該キャリブレーション方法は、「ワンポイントキャリブレーション」と呼ばる。ワンポイントキャリブレーションは、実行するのにシンプルであるとともに、FPNのオフセット成分を取り除くことにおいても効果的である。他方、ワンポイントキャリブレーションは、FPNのゲイン成分を定量化および除去できない点において、不利な点を有する。
【0188】
それゆえ、他の実施例として、二つのキャリブレーション画像AおよびAを得ることも可能である。Aは上述のように取得可能である。そして、Aを取得するために用いられたのと同一のタイミングシーケンスを用い、VRST2で示されるVRSTの異なる値を用いることで、Aも取得できる。典型的には、VRST2を、トランジスタ94がオンにされる状態に対応するように選択することができる。例えば、トランジスタ94の平均閾値電圧プラス3VにVRST2を設定してもよい。二つのキャリブレーション画像AおよびAを用いることで、ツーポイントキャリブレーションを実行することができる。それにより、オフセット成分およびゲイン成分の両方を除去することができる。ツーポイントキャリブレーションを実行する一方法によれば、キャリブレーションされたセンサ画像Cは次の関数から得られうる。
【0189】
【数6】

【0190】
上式において、各項はデータのアレイに対応する。そして除算は、アレイにおける各素子毎に、素子上で実行される。上述のように、Cの演算は、例えばコンピュータ318を用いる出力信号処理により実行されうる。
【0191】
そして、上述のワンポイントおよびツーポイントキャリブレーション方法は、センサ出力画像から固定パターンノイズを除去するための典型的な方法である。例えば複数のキャリブレーション画像を用いそして負荷インピーダンスの関数として固定パターンノイズに対する多項式モデルを仮定することにより、他のキャリブレーション方法を工夫してもよい。しかしながら、大多数の実用例においては、上述のワンポイントキャリブレーションおよびツーポイントキャリブレーションが、固定パターンノイズの除去または実質的な低減のために効果的であると期待される。
【0192】
なお、ワンポイントまたはツーポイントキャリブレーションのいずれかを実行する際に、新たなキャリブレーション画像A(またはAおよびA)を、Sの新たな値各々に対して取得する必要はない。その代わりに、新たなキャリブレーション画像を時々、例えば数秒毎に取得し、これらのキャリブレーション画像を(例えばコンピュータ318内の)メモリに保存し、そして、直近に取得された一連のキャリブレーション画像に基づいてキャリブレーション演算を実行することが好ましい。
【0193】
なお、特定のアレイ素子に液体が存在している場合または不在の場合のいずれにおいても、上述のキャリブレーション方法は等しく好適に機能する。なぜなら、いずれの場合においても、検知ノード102がVRSTに固定されているとともに、EW駆動電極152にインピーダンスに影響されないからである。
【0194】
なお、上述の説明においては、RWS入力に振幅ΔVRWSのパルスを保持しつつ、キャリブレーション画像AおよびAが取得されている。センサ画像Sを得るタイミングとキャリブレーション画像AおよびAを取得するタイミングとは、RSTおよびRSTB信号のタイミングにおいてのみ相違するので、そのようなタイミングスキームは、実行するのに好適である。しかしながら、キャリブレーション画像AおよびAを取得する際にRWSへパルスを印加することは必須ではなく、COLで出力を単に計測することも可能である。
【0195】
上述のキャリブレーション動作モードの利点は、固定パターンノイズがセンサ出力画像から除去可能な点である。これは、液滴インピーダンスを精密にアナログ測定することが必要なセンサアプリケーション、例えば液滴体積を決定するために、特に有用であろう。上述のキャリブレーションされたモードを実行することにより、インピーダンスの測定や、判断された液滴4のサイズに係る精度を向上することができるであろう。
【0196】
なお、成分のミスマッチに起因する固定パターンノイズを除去することと同様に、上述のキャリブレーション方法は、周囲の状態の変化に起因するノイズを除去するためにも効果的でありうる。周囲の状態の変化として、たとえば、温度または照明レベルが、経時的にあるいはアレイの空間的位置に応じて変化ことが挙げられる。これは、上述のように実行されるキャリブレーションを用いるモードにおいて操作することの更なる利点である。
【0197】
第13の実施形態は、第1の実施形態の動作の変更例であるように記載されているが、キャリブレーションを実行するための同じ方法を、上述されているのと同一または類似の駆動手段を用いて本発明の他の実施形態に同様に適用できることは、当業者には理解されるであろう。例えば、デバイスが図31に示すアレイ素子回路85を有する第3の実施形態の場合、キャリブレーション画像A(またはAおよびA)はリセット機能を保持することで取得される。これは、検知ノード102でバイアスVRSTが維持されるよう、リセットトランジスタ206をオン状態に維持することにより達成される。そして、キャリブレーション画像およびキャリブレーションされたセンサ出力画像C(またはC)は、前述と同じ方法で取得される。
【0198】
第14の実施形態は、前述の実施形態において、液滴が伝導水性溶媒に浸した非極性物質(例えば油)から成るものである。ここで、本実施形態の利点は、非極性である液体を制御、操作、および検知するためにデバイスが使用可能な点である。
【0199】
前述の実施形態のアレイ素子回路85は、いずれも、二重の機能を実行するために薄膜電子回路が基板上に配置されているAM−EWODデバイスにおいて実施されうることは、当業者にとって明らかであろう。なお、二重の機能とは、EWOD電圧をプログラムすること、および、アレイでの多数の位置の静電容量を検知することである。
【0200】
集積駆動電子回路およびセンサ出力電子回路のための好適な技術は、先行技術欄に記載されている。
【0201】
そのようなAM−EWODデバイスが、先行技術で記載されたような一またはそれ以上の液滴操作を実行するために構成されうることは、当業者にとって更に明らかであろう。ここで、上述センサ機能は、先行技術で記載された機能のいずれかを実行するのに用いられうる。
【0202】
記載されたAM−EWODデバイスが、先行技術で記載されたような完全なlab-on-a-chipシステムの一部を形成できることは、当業者には更に明らかであろう。そのようなシステムにおいて、AM−EWODデバイスにおいて検知および/または操作される液滴は、化学的または生物学的流体、例えば血液、唾液、尿等、でありうる。そして、その全ての配置は、化学的または生物学的テストを実行するため、または、化学的または生物学的化合物を合成するために構成されうる。
【0203】
本発明は、特定の実施形態に関して図示および説明されているが、当業者であれば、同等の変更および修正を、この説明および添付の図面を読みそして理解することで実行できる。例えば、本発明は、第一義的に本明細書においてEWODデバイスの内容が記載されるが、本発明はEWODデバイスに制限されず、集積インピーダンスセンサを組み入れることが望ましい任意の型のアレイ素子についても、より一般的に利用可能であることを理解されたい。例えば、本発明が駆動電極に電圧を書き込みそして同じノードでインピーダンスを検知する必要性がある他のシステムでも利用されうることは、当業者にとって明らかである。例えば、本発明は、先行技術欄に記載されているような、集積インピーダンスセンサ能力も液滴操作誘電泳動システムに適用可能である。他の実施例によれば、本発明は、先行技術欄で記載されているような、エレクトロウェッティングに基づいたディスプレイにも適用可能である。上記ディスプレイは、ディスプレイの光の透過率を測定するために使用される流体物質のインピーダンスを検知する機能が内蔵されている。このアプリケーションにおいては、例えば、ディスプレイがタッチされたことで生じる流体物質の変形を検知するために、インピーダンスセンサ機能を用いることができ、そして、インピーダンスセンサはタッチ入力デバイスとして利用できる。あるいは、インピーダンスセンサ機能は、印加されたEWデバイス電圧に正確に応答しない欠陥のあるアレイ素子を検出するために用いることができる。
【0204】
特に、上述の要素(構成要素、アッセンブリ、デバイス、配置、等)によって実現される様々な機能に関して、そのような要素を記載するために使われた用語(「手段」への引用を含む)は、特に記載がなくても、本発明の本明細書中での典型的な実施形態において開示された特定の機能を実施する構造と構造的に均等でなくても、開示された要素の特定の機能を実施するためのあらゆる要素(すなわち、機能的に同等であるもの)に対応するものである。さらに、本発明の特別な特徴は、いくつかの実施形態の一つのみまたは複数に関して記載されているが、一定あるいは特定のアプリケーションについて好適であり有利となるよう、上記特徴は、他の実施形態の一つまたは複数の他の特徴と組み合わせ可能である。
【産業上の利用可能性】
【0205】
AM−EWODデバイス電子回路にセンサ駆動回路および出力増幅器を集積することにより、AM−EWODデバイスと外部駆動電子回路との間に形成することが必要な少数の接続のみで、アレイ内の多数の点でインピーダンスを計測することができる。これにより、先行技術と比べて、生産性が向上するとともに、コストが最小化される。
【符号の説明】
【0206】
2 固体表面
4 液滴
6 接触角θ
8 固体−液体界面の表面張力
10 液体−気体界面の表面張力
12 固体−気体界面の表面張力
14 親水性表面
16 疎水性表面
18 表面上の液滴移動方向
20 絶縁層
22 導電性電極
25 下部基板
26 疎水性層
28 電極(上部基板)
32 スペーサ
34 非イオン性液体(油)
36 対向基板
38 電極−底部基板(複合電極(38Aおよび38B))
42 電極の2次元アレイ
44 液滴移動経路
46 絶縁層の静電容量(C
47 中間ノード
48 液滴インピーダンスの容量成分 Cdrop
50 液滴インピーダンスの抵抗成分 Rdrop
52 液滴存在時のインピーダンス
54 セルギャップの静電容量に相当するキャパシタ Cgap
56 液滴不在時のインピーダンス
57 ディスプレイ画素回路の蓄積キャパシタ Cstore
58 キャパシタ Cs
60 液晶キャパシタンス
62 ソースアドレス指定ライン
64 ゲートアドレス指定ライン
66 書き込みノード
68 ディスプレイ回路のスイッチトランジスタ/本発明において同等に使用
70 対向基板 CP
72 TFT基板
74 薄膜電子回路
76 ロウドライバ
78 集積されたカラムドライバ
79 カラム出力回路
80 シリアルインターフェース
82 接続ワイヤ
84 タッチされている状態のLCキャパシタンス
85 アレイ素子回路
86 タッチされていない状態のLCキャパシタンス
90 指先またはタッチペン
92 液晶層
94 トランジスタ
98 参照キャパシタ Cs
100 LCキャパシタンス 2
102 検知ノード
104 センサロウ選択ライン RWS
106 センサ出力ライン COL
108 リセットライン RST
110 ダイオード
120 MOSキャパシタ
122 半導体物質
124 MOSキャパシタの特性
126 MOSキャパシタの静電容量(n型)
128 半導体物質
130 MOSキャパシタの特性(p型)
132 p+領域
134 低濃度ドープ領域
136 n+領域
137 アノード端子
138 カソード端子
140 ゲート端子
142 電気絶縁層
144 ゲートP−I−Nダイオード
146 結合キャパシタ Cc
148 ダイオード
150 電源 VDD
152 EW駆動電極
154 容量負荷素子
155 電位 VB
157 電位 VA
158 VA>VB時のゲートダイオードの働き
160 ゲートダイオードデバイスのチャネル
162 VB>VA時のゲートダイオードの働き
164 正のバイアス電圧 Vab
166 負のバイアス電圧 Vab
168 ゲートダイオードの静電容量の降下点
170 RST/RWS兼用ライン
172 バイアス供給 VBR
174 アノードとカソード接続時のゲートダイオードの静電容量を示す破線
176 逆バイアス電圧でのゲートダイオードの静電容量を示す点線
180 ロウ選択パルス列(多重パルス)
182 ロウ選択パルス列(単一パルス)
184 電源供給ライン VSS
186 p型トランジスタ T3
190 キャパシタ Cs
192 キャパシタ Cp
194 SRAMセル
196 トランジスタ 68
198 センサイネーブルライン SEN
200 リセットライン RSTB
202 ダイオード
204 RWS/RSTBライン
205 トランジスタ
206 トランジスタ
208 電源供給ライン VRST
302 センサ出力画像の画素
310 書き込まれたロウデータ
312 書き込まれていないロウデータ
314 検知されないアレイ部分
316 検知されるアレイ部分
318 コンピータ
320 センサタイミング概略図
322 キャリブレーションタイミング概略図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積インピーダンスセンサを有するアレイ素子回路を備えているAM−EWODデバイスであって、
駆動素子による駆動電圧の印加により制御されるアレイ素子と、
上記駆動素子に上記駆動電圧を書き込むための書き込み回路と、
上記駆動素子で存在するインピーダンスを検知するための検知回路と、
を備えることを特徴とするAM−EWODデバイス。
【請求項2】
上記アレイ素子は疎水性セルであり、
上記疎水性セルは、疎水性が上記駆動素子による上記駆動電圧の上記印加により制御される表面を有し、
上記検知回路は、上記疎水性セルにより上記駆動素子で存在する上記インピーダンスを検知することを特徴とする請求項1に記載のAM−EWODデバイス。
【請求項3】
上記書き込み回路は、上記駆動素子に書き込まれた上記駆動電圧に摂動を与えるように構成され、
上記検知回路は、上記駆動素子で存在する上記インピーダンスに依存する、上記駆動素子に書き込まれた上記駆動電圧の上記摂動の結果を検知するように構成され、
上記検知回路は、上記駆動素子で存在する上記インピーダンスに相当する値の出力信号を発生するための出力を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のAM−EWODデバイス。
【請求項4】
上記検知回路は、上記駆動素子と交流結合されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のAM−EWODデバイス。
【請求項5】
上記駆動素子は、上記疎水性セルと上記書き込まれた駆動電圧を蓄積するキャパシタとの間にノードを含み、
上記検知回路は、上記キャパシタに接続されたセンサロウ選択ラインを含み、
上記センサロウ選択ラインは、上記駆動素子で存在する上記インピーダンスを検知するために、上記ノードに少なくとも一つのパルスを上記キャパシタを経由して供給するために機能することを特徴とする請求項2に記載のAM−EWODデバイス。
【請求項6】
上記キャパシタはゲートダイオードにより形成されることを特徴とする請求項5に記載のAM−EWODデバイス。
【請求項7】
上記検知回路は、上記駆動素子に交流結合された検知ノードを備え、
さらに、上記検知回路は、上記駆動素子で存在する上記インピーダンスを検知する前に、上記検知ノードで電圧をリセットするためのリセット回路を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のAM−EWODデバイス。
【請求項8】
上記リセット回路は、一対のダイオードを備え、
上記一対のダイオードは、その対の間で上記検知ノードに直列に接続され、かつ、対応するリセットラインへ反対端が接続されることを特徴とする請求項7に記載のAM−EWODデバイス。
【請求項9】
上記リセット回路は、リセット電位へ上記検知ノードを選択的に結合するために、リセットラインに結合されたゲートを有する少なくとも一つのトランジスタを備えることを特徴とする請求項7に記載のAM−EWODデバイス。
【請求項10】
上記アレイ素子回路は、対向基板を備え、
上記駆動素子で存在するインピーダンスは、上記駆動素子と上記対向基板との間のインピーダンスであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のAM−EWODデバイス。
【請求項11】
ロウおよびカラムに配置された複数のアレイ素子回路と、
対応する同一のカラムにおいて上記アレイ素子回路間で各々共有される複数のソースアドレス指定ラインと、
対応する同一のロウにおいて上記アレイ素子回路間で各々共有される複数のゲートアドレス指定ラインと、
対応する同一のロウにおいて上記アレイ素子回路間で各々共有される複数のセンサロウ選択ラインと、を備え、
上記複数のアレイ素子回路の各々は、
駆動素子による駆動電圧の印加により制御されるアレイ素子と、
上記駆動素子に上記駆動電圧を書き込むための書き込み回路と、
上記駆動素子で存在するインピーダンスを検知するための検知回路と、を備え、
上記書き込み回路は、上記複数のソースアドレス指定ラインと上記複数のゲートアドレス指定ラインとの中から、対応するソースアドレス指定ラインと対応するゲートアドレス指定ラインとに接続され、
上記検知回路は、対応するセンサロウ選択ラインに接続されることを特徴とするアクティブマトリクスデバイス。
【請求項12】
上記アレイ素子は疎水性セルであり、
上記疎水性セルは、疎水性が上記対応する駆動素子による上記駆動電圧の印加により制御される表面を有し、
上記対応する検知回路は、上記疎水性セルにより上記駆動素子で存在する上記インピーダンスを検知することを特徴とする請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
上記複数のアレイ素子回路の各々に関して、
上記書き込み回路が、上記駆動素子に書き込まれた上記駆動電圧に摂動を与えるように構成され、
上記検知回路は、上記駆動素子で存在する上記インピーダンスに依存する、上記駆動素子に書き込まれた上記駆動電圧の上記摂動の結果を検知するように構成され、
上記検知回路は、上記駆動素子で存在する上記インピーダンスに相当する値の出力信号を発生するための出力を含むことを特徴とする請求項11または12に記載のデバイス。
【請求項14】
上記デバイスは、対応する同一のロウにおける上記アレイ素子回路間で各々共有される複数のセンサ出力ラインを含み、
上記複数のアレイ素子回路の上記出力は、対応するセンサ出力ラインに接続されることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項15】
上記複数のアレイ素子回路の各々において、上記検知回路が、上記駆動素子と交流結合されていることを特徴とする請求項11〜14のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項16】
上記複数のアレイ素子回路の各々に関して、
上記駆動素子は、上記疎水性セルと、上記書き込まれた駆動電圧を蓄積するキャパシタとの間にノードを含み、
上記対応するロウ選択ラインは、上記キャパシタに接続され、
上記センサロウ選択ラインは、上記駆動素子で存在する上記インピーダンスを検知するために、上記ノードに少なくとも一つのパルスを上記キャパシタを経由して供給するために機能することを特徴とする請求項12に記載のデバイス。
【請求項17】
上記複数のアレイ素子回路の各々に関して、
上記検知回路は、上記駆動素子に交流結合された検知ノードを備え、
さらに、上記検知回路は、上記駆動素子で存在する上記インピーダンスを検知する前に、上記検知ノードで電圧をリセットするためのリセット回路を備えることを特徴とする請求項11〜16のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項18】
上記デバイスは、上記アレイ素子回路により共有される対向基板を備え、
上記駆動素子で存在するインピーダンスは、上記対応する駆動素子と上記対向基板との間のインピーダンスであることを特徴とする請求項11〜17のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項19】
上記デバイスは、上記複数のアレイ素子の適切なサブセットを選択的にアドレス指定するために、上記複数のアレイ素子各々の書き込み回路と組み合わせて構成されるロウドライバとカラムドライバとを備え、
上記アドレス指定は、上記サブセットに含まれる上記駆動素子に上記駆動電圧を書き込み、上記適切なサブセットに含まれない複数のアレイ素子を排除するように行われることを特徴とする請求項11〜18のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項20】
上記適切なサブセットに含まれる上記複数のアレイ素子が、異なるフレームで変化することを特徴とする請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
上記デバイスは、上記複数のアレイ素子の適切なサブセットを選択的にアドレス指定するために、上記複数のアレイ素子各々の検知回路と組み合わせて構成されるロウドライバとカラムドライバとを備え、
上記アドレス指定は、上記サブセットに含まれる上記駆動素子での上記インピーダンスを検知し、上記適切なサブセットに含まれないアレイ素子を排除するように行われることを特徴とする請求項11〜18のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項22】
上記適切なサブセットに含まれる上記複数のアレイ素子が、異なるフレームで変化することを特徴とする請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
上記検知回路内で計測された固定パターンノイズに基づいて上記複数のアレイ素子内の上記検知回路をキャリブレーションするための手段を更に含むことを特徴とする請求項11〜18のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項24】
上記固定パターンノイズを上記検知回路の出力から減算することで、キャリブレーションされた出力を提供することを特徴とする請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
上記固定パターンノイズは、一またはそれ以上のキャリブレーションセンサ画像を計測することにより決定されることを特徴とする請求項23に記載のデバイス。
【請求項26】
上記キャリブレーション画像は、上記アレイ素子の上記センサ機能を実行するための異なるタイミング信号を適用することにより取得されることを特徴とする請求項25に記載のデバイス。
【請求項27】
上記キャリブレーション画像は、既知の入力信号が上記センサリセット機能により付与される際に、上記センサ出力を計測することにより取得されることを特徴とする請求項26に記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【公開番号】特開2012−18400(P2012−18400A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−150343(P2011−150343)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】