アレルギー対応食品
【課題】卵、乳製品、小麦粉等のアレルギー物質を用いて調理された食品と同等以上に栄養価を高めることができ、かつ美しい外観を得ることができるアレルギー対応食品を提供する。
【解決手段】アレルギー物質を含まないアレルギー対応食品に関する。未精白の穀物を水に漬けて発芽させる。この吸水して発芽した穀物を粉砕することによって、40重量%以上90重量%未満のものが30メッシュのふるいを通過する粉砕穀物を得る。この粉砕穀物を用いて調理されている。
【解決手段】アレルギー物質を含まないアレルギー対応食品に関する。未精白の穀物を水に漬けて発芽させる。この吸水して発芽した穀物を粉砕することによって、40重量%以上90重量%未満のものが30メッシュのふるいを通過する粉砕穀物を得る。この粉砕穀物を用いて調理されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卵、乳製品、小麦粉等のアレルギー物質を含まないパン、ケーキ、焼き菓子等のアレルギー対応食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食物アレルギーとは、特定の食品を摂取した後に免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象をいうが、このような食物アレルギーの原因となる食品の材料としては、卵、乳製品、小麦粉等が代表的なものである。しかし、食品の多くは大抵、卵、乳製品、小麦粉等を用いて作られているため、食物アレルギーを持つ人が安心して食べることのできる食品はわずかなものに限られていた。
【0003】
そこで、食物アレルギーを持つ人の食生活を豊かなものにするため、これまで様々な研究開発がなされている。例えば、小麦粉等の代わりに米粉を用いてパン等を作る方法が開発されている(例えば、特許文献1−5参照。)。
【0004】
しかし、従来の方法を使用して作られたパン等にあっては、栄養価や外観の点においてなお改良の余地があるものであった。
【特許文献1】特開2008−278827号公報
【特許文献2】特開2008−104370号公報
【特許文献3】特開2005−323536号公報
【特許文献4】特開2005−253361号公報
【特許文献5】特開2005−245409号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、卵、乳製品、小麦粉等のアレルギー物質を用いて調理された食品と同等以上に栄養価を高めることができ、かつ美しい外観を得ることができるアレルギー対応食品を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係るアレルギー対応食品は、アレルギー物質を含まないアレルギー対応食品であって、未精白の穀物を水に漬けて発芽させ、この吸水して発芽した穀物を粉砕することによって、40重量%以上90重量%未満のものが30メッシュのふるいを通過する粉砕穀物を得ると共に、この粉砕穀物を用いて調理されていることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1において、未精白の穀物として、玄米、きび、あわ、ひえ、キヌア、アマランスから選ばれるものが用いられていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2において、未精白の穀物と水の重量比が1:(1.1〜2)であることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか1項において、未精白の穀物を30〜40℃の水に2〜12時間漬けて発芽させることを特徴とするものである。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか1項において、パン、ケーキ、焼き菓子のいずれかであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に係るアレルギー対応食品によれば、所定の粒径分布となるように粉砕された発芽した穀物を用いることによって、卵、乳製品、小麦粉等のアレルギー物質を用いて調理された食品と同等以上に栄養価を高めることができ、かつ美しい外観を得ることができるものである。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、未精白の穀物の種類を変えたり、複数の種類を混ぜ合わせたりすることによって、栄養価や食品の外観に変化を持たせることができるものである。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、水の重量が未精白の穀物の重量の1.1倍以上であることによって、発芽した穀物が餅状となるのを防止することができるものであり、また、水の重量が未精白の穀物の重量の2倍以下であることによって、発芽した穀物が重湯状となるのを防止することができるものである。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、未精白の穀物を適度に発芽させて栄養価を高めることができると共に、発芽させすぎて栄養価が低くなるのを防止することができるものである。
【0015】
請求項5に係る発明によれば、卵、乳製品、小麦粉等のアレルギー物質を用いて作られたパン、ケーキ、焼き菓子と同等以上に栄養価を高めることができ、かつ美しい外観を得ることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
本発明に係るアレルギー対応食品は、卵、乳製品、小麦粉等のアレルギー物質を含まないものである。
【0018】
そして、このようなアレルギー対応食品は、次のようにして製造することができる。
【0019】
まず未精白の穀物を水に漬けて発芽させる。この発芽は、いわゆる発芽モード、すなわち少なくとも肉眼では芽を確認することはできないが、吸水によって生命活動を開始した状態であることが好ましく、この生命活動は、吸水により穀物の重量が1.1倍以上となった時点で開始すると考えられる。そして上記のように、未精白の穀物を発芽させることによって、フィターゼ、アミラーゼ、グルタミン酸脱炭素酵素(GAD)という3つの酵素が活性化され、卵、乳製品、小麦粉等のアレルギー物質を用いて調理された食品と同等以上に栄養価を高めることができるものである。すなわち、活性化されたフィターゼは、糠に含まれているフィチン酸(IP6)を分解してミネラルを解放するので、ミネラルの吸収が良くなるものである。また、活性化されたアミラーゼは、デンプンを糖に分解するので、肝臓の働きを活性化させ、身体の自然治癒能力を上げることができるものである。また、活性化されたグルタミン酸脱炭素酵素(GAD)は、グルタミン酸を分解し、生活習慣病に効果があるとされるガンマアミノ酪酸(GABA)を生成することができるものである。さらに上記のように、発芽によって様々な酵素が活性化されるため、胚乳に貯蔵されているデンプンやタンパク質が分解され、甘みや旨みが増すと共に、外皮が柔らかくなり消化が良くなるものである。
【0020】
ここで、未精白の穀物としては、玄米、きび(高きび等)、あわ(あわ粒等)、ひえ(ひえ粒等)、キヌア(キヌア粒等)、アマランス(アマランス粒等)から選ばれるものを用いることができる。これらの穀物は他の穀物に比べて特に栄養価が高いものであるが、未精白の穀物の種類を変えたり、複数の種類を混ぜ合わせたりすることによって、栄養価や食品の外観に変化を持たせることができるものである。
【0021】
また、未精白の穀物を水に漬ける場合、未精白の穀物と水の重量比は1:1.1〜1:2であることが好ましい。このように、未精白の穀物と水の重量比を設定することによって、発芽した穀物が餅状となったり重湯状となったりするのを防止することができるものである。しかし、水の重量が未精白の穀物の重量の1.1倍より少ないと、発芽した穀物が餅状となるおそれがある。逆に、水の重量が未精白の穀物の重量の2倍より多いと、発芽した穀物が重湯状となるおそれがある。このように、水が少なすぎても多すぎても、パン、ケーキ、焼き菓子等の食品の材料として用いるのは難しくなる。しかし、餅状となったり重湯状となったりしたものは、栄養価は高く、アレルギー物質も含んでいないので、そのままお餅や重湯としてならば利用することができる。
【0022】
また、未精白の穀物は30〜40℃の水に2〜12時間漬けて発芽させるのが好ましい。このように、水の温度及び水に漬ける時間を設定することによって、未精白の穀物を適度に発芽させて栄養価を高めることができると共に、発芽させすぎて栄養価が低くなるのを防止することができるものである。しかし、水の温度が30℃より低いと、発芽させるのに長時間を要するおそれがあり、逆に、水の温度が40℃より高いと、発芽させすぎて却って栄養価が低くなるおそれがある。また、水の温度が40℃であっても水に漬ける時間が2時間より短いと、十分に発芽していないおそれがあり、逆に、水の温度が30〜40℃であっても水に漬ける時間が12時間より長いと、発芽させすぎて却って栄養価が低くなるおそれがある。
【0023】
次に、上記のように吸水して発芽した穀物をミキサーやフードプロセッサー等を用いて粉砕することによって、粉砕穀物を得る。ただし、この粉砕は、粒径が均一となるように行うのではなく、粒径が不均一となるように行うものであり、この点に本発明の特徴がある。具体的には、上記粉砕穀物(水分を含む)の全量に対して40重量%以上90重量%未満のものが30メッシュのふるいを通過するものである。このように、所定の粒径分布となるように粉砕された穀物を用いて生地を作ると、グルテンを用いなくても、粒径の粗いものと細かいものとが混在した粉砕穀物が水分と結合することによって、適度な粘りを生じさせ、生地の中に気泡を適度に残すことができ、食欲をそそる美しい外観を持つパンやケーキ等の食品を得ることができるものである。
【0024】
しかし、40重量%以上のものが30メッシュのふるいを通過しない粉砕穀物では粒径が粗すぎて、水分と穀物粒子とが完全に分離し、穀物粒子は浮遊することなく沈殿する。よって、パンやケーキ等を作る場合には、生地の均一化を図ることができず、下層部に穀物粒子、上層部に水分が偏在した二層化の状態で生地が焼けてしまうことによって、焼き上がりの美しさが損なわれてしまうものである。
【0025】
逆に、90重量%以上のものが30メッシュのふるいを通過する粉砕穀物では粒径が細かすぎて、過剰な粘りが生じ、生地が餅状となる。よって、生地の中で気泡が生じても、この気泡は集合して一気に生地の外に抜け出てしまうので、最終的には生地の中には気泡が残らなくなり、パンやケーキ特有の食感を得ることができない上に、焼き上がりの美しさも損なわれてしまうものである。
【0026】
そして、上記のようにして得られた粉砕穀物を小麦粉等の代わりに材料として用いて調理することによって、アレルギー対応食品を製造することができるものである。このアレルギー対応食品としては、具体的には、食パン、蒸しパン等のパンや、ショートケーキ、ロールケーキ、ホットケーキ、チーズケーキ等のケーキ、焼き菓子等を例示することができるが、従来、小麦粉等を用いて作られていた食品であれば、上記のものに限定されるものではない。このように、アレルギー対応食品はアレルギー物質を含んでいないことによって、食物アレルギーを持つ人も安心して食べることができるものである。また、アレルギー対応食品としては、上記粉砕穀物を小麦粉等の代わりに用いることによって種々のものを製造することができるので、食物アレルギーを持つ人の食生活を豊かにすることができるものである。
【実施例】
【0027】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0028】
(実施例1)
未精白の穀物として、玄米を130g用いた。
【0029】
そしてまずこの玄米を34℃の水150g(150ml)に4時間漬けて発芽させた。
【0030】
次に、上記のように吸水して発芽した玄米170gをミキサーを用いて粉砕することによって、粉砕玄米を得た。
【0031】
ここで、14メッシュ(目の大きさ:1.80mm)及び30メッシュ(目の大きさ:0.83mm)のふるいを用いて、上記粉砕玄米の粒径分布を調べた。具体的には、まず粉砕玄米を14メッシュのふるいにかけ、このふるいを通過しなかったものの重量を測定した。次に14メッシュのふるいを通過したものを30メッシュのふるいにかけ、このふるいを通過しなかったもの及び通過したものの重量をそれぞれ測定した。その結果を下記[表1]に示す。
【0032】
そして、上記粉砕玄米に重曹を小さじ1/2、活性剤の酢を小さじ1加えて混ぜ合わせ、この生地を200℃に温めたオーブンで20分焼成することによって、発芽玄米パンを製造した。
【0033】
(実施例2、3及び比較例1〜3)
ミキサーのスイッチを入れている時間を変化させることによって、発芽した玄米の粉砕の程度を変えて、異なる粒径分布を有する粉砕玄米を得るようにした以外は、実施例1と同様にして、発芽玄米パンを製造した。
【0034】
そして、実施例1〜3及び比較例1〜3の発芽玄米パンの焼き上がりを次のように判定した。なお、図1は実施例1の発芽玄米パンの外観、図2は実施例2の発芽玄米パンの外観、図3は実施例3の発芽玄米パンの外観、図4は比較例1の発芽玄米パンの外観、図5は比較例2の発芽玄米パンの外観、図6は比較例3の発芽玄米パンの外観をそれぞれ示す。
【0035】
「◎」:下記(1)〜(3)を全て満たすもの。
【0036】
「○」:下記(1)〜(3)のうち2つを満たすもの。
【0037】
「△」:下記(1)〜(3)のうち1つを満たすもの。
【0038】
「×」:下記(1)〜(3)を全て満たさないもの。
【0039】
(1)小麦粉を用いて作られた一般的なパン・ケーキ類と同様に、割った断面に気泡が均一にみられるもの。
【0040】
(2)粘らずに手で割ることができるもの。
【0041】
(3)粘らずにナイフできれいに切ることができるもの。
【0042】
【表1】
【0043】
上記[表1]にみられるように、実施例1〜3の発芽玄米パンは、比較例1〜3の発芽玄米パンに比べて、焼き上がりが美しいことが確認された。なお、いずれの発芽玄米パンも、発芽玄米を用いて作られているので栄養価は高いものである。
【0044】
(実施例4)
未精白の穀物として、玄米を150g用いた。
【0045】
そしてまずこの玄米を34℃の水180g(180ml)に12時間漬けて発芽させた。
【0046】
次に、上記のように吸水して発芽した玄米を重曹(小さじ2/3)及び粗糖(40g)と共にミキサーを用いて粉砕することによって、生地を得た。なお、粉砕された玄米は、実施例3と同様の粒径分布を有していた。
【0047】
そして、上記生地にレモン汁を大さじ1加えて混ぜ合わせ、この生地をケーキ型に入れた後、210℃に温めたオーブンで20分焼成することによって、図7に示すような発芽玄米ケーキ(直径12cmの丸型)を製造した。
【0048】
(実施例5)
未精白の穀物として、あわ粒を150g用いた。
【0049】
そしてまずこのあわ粒を34℃の水180g(180ml)に12時間漬けて発芽させた。
【0050】
次に、上記のように吸水して発芽したあわ粒を重曹(小さじ2/3)、粗糖(40g)及びサツマイモ(1cm程度に角切りしたもの35g)と共にミキサーを用いて粉砕することによって、生地を得た。なお、粉砕されたあわ粒は、実施例3と同様の粒径分布を有していた。
【0051】
そして、上記生地にレモン汁を大さじ1加えて混ぜ合わせ、この生地をケーキ型に入れて、あらかじめ茹でておいたサツマイモ(1cm程度に角切りしたもの35g)を生地の上面に散らした後、210℃に温めたオーブンで20分焼成することによって、図8に示すような角切りサツマイモのあわケーキ(直径12cmの丸型)を製造した。
【0052】
(実施例6)
未精白の穀物として、キヌア粒を150g用いた。
【0053】
そしてまずこのキヌア粒を34℃の水300g(300ml)に12時間漬けて発芽させた。
【0054】
次に、上記のように吸水して発芽したキヌア粒を重曹(小さじ2/3)、黒糖(40g)及び黒ゴマ(大さじ3)と共にミキサーを用いて粉砕することによって、生地を得た。なお、粉砕されたキヌア粒は、実施例3と同様の粒径分布を有していた。
【0055】
そして、上記生地にレモン汁を大さじ1加えて混ぜ合わせ、この生地をケーキ型に入れた後、210℃に温めたオーブンで20分焼成し、最後にきな粉を振り掛けることによって、図9に示すような黒ゴマきな粉のキヌアケーキ(直径12cmの丸型)を製造した。
【0056】
(実施例7)
未精白の穀物として、ひえ粒を150g用いた。
【0057】
そしてまずこのひえ粒を34℃の水180g(180ml)に12時間漬けて発芽させた。
【0058】
他方、皮をむいて7〜8cm角に切ったカボチャ50gをオレンジジュース100mlと共にミキサーにかけることによって、ジュース状物を得た。
【0059】
次に、ひえ粒を漬けていた水から100mlの水を漉し取ってから上記ジュース状物を加え、上記のように吸水して発芽したひえ粒を重曹(小さじ2/3)及び粗糖(40g)と共にミキサーを用いて粉砕することによって、生地を得た。なお、粉砕されたひえ粒は、実施例3と同様の粒径分布を有していた。
【0060】
そして、上記生地にレモン汁を大さじ1加えて混ぜ合わせ、この生地をケーキ型に入れた後、210℃に温めたオーブンで20分焼成することによって、図10に示すようなひえパンプキンケーキ(直径12cmの丸型)を製造した。
【0061】
(実施例8)
未精白の穀物として、アマランス粒を150g用いた。
【0062】
そしてまずアマランス粒を34℃の水180g(180ml)に12時間漬けて発芽させた。
【0063】
次に、上記のように吸水して発芽したアマランス粒をレンコン(皮をむき小さめに乱切りしたもの50g)、重曹(小さじ2/3)及び黒糖(40g)と共にミキサーを用いて粉砕することによって、生地を得た。なお、粉砕されたアマランス粒は、実施例3と同様の粒径分布を有していた。
【0064】
そして、上記生地にレモン汁を大さじ1加えて混ぜ合わせ、この生地をケーキ型に入れて、金時豆の水煮を生地の上面に散らした後、210℃に温めたオーブンで20分焼成することによって、図11に示すようなレンコンアマランスケーキ(直径12cmの丸型)を製造した。
【0065】
(実施例9)
未精白の穀物として、高きびを150g用いた。
【0066】
そしてまずこの高きびを34℃の水180g(180ml)に12時間漬けて発芽させた。
【0067】
次に、高きびを漬けていた水から50mlの水を漉し取ってからココナッツミルクを50ml加え、上記のように吸水して発芽した高きびを重曹(小さじ2/3)及び黒糖(40g)と共にミキサーを用いて粉砕することによって、生地を得た。なお、粉砕された高きびは、実施例3と同様の粒径分布を有していた。
【0068】
そして、上記生地にレモン汁を大さじ1加えて混ぜ合わせ、この生地をケーキ型に入れた後、210℃に温めたオーブンで20分焼成することによって、図12に示すような高きびのザッハ・トルテ(直径12cmの丸型)を製造した。
【0069】
図7〜図12に示すように、実施例4〜9のケーキは、焼き上がりも断面も美しいことが確認された。なお、いずれのケーキも、発芽した穀物を用いて作られているので栄養価は高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】実施例1の発芽玄米パンの外観を示す写真である。
【図2】実施例2の発芽玄米パンの外観を示す写真である。
【図3】実施例3の発芽玄米パンの外観を示す写真である。
【図4】(a)(b)は比較例1の発芽玄米パンの外観を示す写真である。
【図5】比較例2の発芽玄米パンの外観を示す写真である。
【図6】(a)(b)は比較例3の発芽玄米パンの外観を示す写真である。
【図7】(a)〜(c)は実施例4の発芽玄米ケーキの外観を示す写真である。
【図8】(a)(b)は実施例5の角切りサツマイモのあわケーキの外観を示す写真である。
【図9】(a)(b)は実施例6の黒ゴマきな粉のキヌアケーキの外観を示す写真である。
【図10】(a)(b)は実施例7のひえパンプキンケーキの外観を示す写真である。
【図11】(a)(b)は実施例8のレンコンアマランスケーキ(金時豆トッピング)の外観を示す写真である。
【図12】(a)(b)は実施例9の高きびのザッハ・トルテの外観を示す写真である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、卵、乳製品、小麦粉等のアレルギー物質を含まないパン、ケーキ、焼き菓子等のアレルギー対応食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食物アレルギーとは、特定の食品を摂取した後に免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象をいうが、このような食物アレルギーの原因となる食品の材料としては、卵、乳製品、小麦粉等が代表的なものである。しかし、食品の多くは大抵、卵、乳製品、小麦粉等を用いて作られているため、食物アレルギーを持つ人が安心して食べることのできる食品はわずかなものに限られていた。
【0003】
そこで、食物アレルギーを持つ人の食生活を豊かなものにするため、これまで様々な研究開発がなされている。例えば、小麦粉等の代わりに米粉を用いてパン等を作る方法が開発されている(例えば、特許文献1−5参照。)。
【0004】
しかし、従来の方法を使用して作られたパン等にあっては、栄養価や外観の点においてなお改良の余地があるものであった。
【特許文献1】特開2008−278827号公報
【特許文献2】特開2008−104370号公報
【特許文献3】特開2005−323536号公報
【特許文献4】特開2005−253361号公報
【特許文献5】特開2005−245409号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、卵、乳製品、小麦粉等のアレルギー物質を用いて調理された食品と同等以上に栄養価を高めることができ、かつ美しい外観を得ることができるアレルギー対応食品を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係るアレルギー対応食品は、アレルギー物質を含まないアレルギー対応食品であって、未精白の穀物を水に漬けて発芽させ、この吸水して発芽した穀物を粉砕することによって、40重量%以上90重量%未満のものが30メッシュのふるいを通過する粉砕穀物を得ると共に、この粉砕穀物を用いて調理されていることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1において、未精白の穀物として、玄米、きび、あわ、ひえ、キヌア、アマランスから選ばれるものが用いられていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2において、未精白の穀物と水の重量比が1:(1.1〜2)であることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか1項において、未精白の穀物を30〜40℃の水に2〜12時間漬けて発芽させることを特徴とするものである。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか1項において、パン、ケーキ、焼き菓子のいずれかであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に係るアレルギー対応食品によれば、所定の粒径分布となるように粉砕された発芽した穀物を用いることによって、卵、乳製品、小麦粉等のアレルギー物質を用いて調理された食品と同等以上に栄養価を高めることができ、かつ美しい外観を得ることができるものである。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、未精白の穀物の種類を変えたり、複数の種類を混ぜ合わせたりすることによって、栄養価や食品の外観に変化を持たせることができるものである。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、水の重量が未精白の穀物の重量の1.1倍以上であることによって、発芽した穀物が餅状となるのを防止することができるものであり、また、水の重量が未精白の穀物の重量の2倍以下であることによって、発芽した穀物が重湯状となるのを防止することができるものである。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、未精白の穀物を適度に発芽させて栄養価を高めることができると共に、発芽させすぎて栄養価が低くなるのを防止することができるものである。
【0015】
請求項5に係る発明によれば、卵、乳製品、小麦粉等のアレルギー物質を用いて作られたパン、ケーキ、焼き菓子と同等以上に栄養価を高めることができ、かつ美しい外観を得ることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
本発明に係るアレルギー対応食品は、卵、乳製品、小麦粉等のアレルギー物質を含まないものである。
【0018】
そして、このようなアレルギー対応食品は、次のようにして製造することができる。
【0019】
まず未精白の穀物を水に漬けて発芽させる。この発芽は、いわゆる発芽モード、すなわち少なくとも肉眼では芽を確認することはできないが、吸水によって生命活動を開始した状態であることが好ましく、この生命活動は、吸水により穀物の重量が1.1倍以上となった時点で開始すると考えられる。そして上記のように、未精白の穀物を発芽させることによって、フィターゼ、アミラーゼ、グルタミン酸脱炭素酵素(GAD)という3つの酵素が活性化され、卵、乳製品、小麦粉等のアレルギー物質を用いて調理された食品と同等以上に栄養価を高めることができるものである。すなわち、活性化されたフィターゼは、糠に含まれているフィチン酸(IP6)を分解してミネラルを解放するので、ミネラルの吸収が良くなるものである。また、活性化されたアミラーゼは、デンプンを糖に分解するので、肝臓の働きを活性化させ、身体の自然治癒能力を上げることができるものである。また、活性化されたグルタミン酸脱炭素酵素(GAD)は、グルタミン酸を分解し、生活習慣病に効果があるとされるガンマアミノ酪酸(GABA)を生成することができるものである。さらに上記のように、発芽によって様々な酵素が活性化されるため、胚乳に貯蔵されているデンプンやタンパク質が分解され、甘みや旨みが増すと共に、外皮が柔らかくなり消化が良くなるものである。
【0020】
ここで、未精白の穀物としては、玄米、きび(高きび等)、あわ(あわ粒等)、ひえ(ひえ粒等)、キヌア(キヌア粒等)、アマランス(アマランス粒等)から選ばれるものを用いることができる。これらの穀物は他の穀物に比べて特に栄養価が高いものであるが、未精白の穀物の種類を変えたり、複数の種類を混ぜ合わせたりすることによって、栄養価や食品の外観に変化を持たせることができるものである。
【0021】
また、未精白の穀物を水に漬ける場合、未精白の穀物と水の重量比は1:1.1〜1:2であることが好ましい。このように、未精白の穀物と水の重量比を設定することによって、発芽した穀物が餅状となったり重湯状となったりするのを防止することができるものである。しかし、水の重量が未精白の穀物の重量の1.1倍より少ないと、発芽した穀物が餅状となるおそれがある。逆に、水の重量が未精白の穀物の重量の2倍より多いと、発芽した穀物が重湯状となるおそれがある。このように、水が少なすぎても多すぎても、パン、ケーキ、焼き菓子等の食品の材料として用いるのは難しくなる。しかし、餅状となったり重湯状となったりしたものは、栄養価は高く、アレルギー物質も含んでいないので、そのままお餅や重湯としてならば利用することができる。
【0022】
また、未精白の穀物は30〜40℃の水に2〜12時間漬けて発芽させるのが好ましい。このように、水の温度及び水に漬ける時間を設定することによって、未精白の穀物を適度に発芽させて栄養価を高めることができると共に、発芽させすぎて栄養価が低くなるのを防止することができるものである。しかし、水の温度が30℃より低いと、発芽させるのに長時間を要するおそれがあり、逆に、水の温度が40℃より高いと、発芽させすぎて却って栄養価が低くなるおそれがある。また、水の温度が40℃であっても水に漬ける時間が2時間より短いと、十分に発芽していないおそれがあり、逆に、水の温度が30〜40℃であっても水に漬ける時間が12時間より長いと、発芽させすぎて却って栄養価が低くなるおそれがある。
【0023】
次に、上記のように吸水して発芽した穀物をミキサーやフードプロセッサー等を用いて粉砕することによって、粉砕穀物を得る。ただし、この粉砕は、粒径が均一となるように行うのではなく、粒径が不均一となるように行うものであり、この点に本発明の特徴がある。具体的には、上記粉砕穀物(水分を含む)の全量に対して40重量%以上90重量%未満のものが30メッシュのふるいを通過するものである。このように、所定の粒径分布となるように粉砕された穀物を用いて生地を作ると、グルテンを用いなくても、粒径の粗いものと細かいものとが混在した粉砕穀物が水分と結合することによって、適度な粘りを生じさせ、生地の中に気泡を適度に残すことができ、食欲をそそる美しい外観を持つパンやケーキ等の食品を得ることができるものである。
【0024】
しかし、40重量%以上のものが30メッシュのふるいを通過しない粉砕穀物では粒径が粗すぎて、水分と穀物粒子とが完全に分離し、穀物粒子は浮遊することなく沈殿する。よって、パンやケーキ等を作る場合には、生地の均一化を図ることができず、下層部に穀物粒子、上層部に水分が偏在した二層化の状態で生地が焼けてしまうことによって、焼き上がりの美しさが損なわれてしまうものである。
【0025】
逆に、90重量%以上のものが30メッシュのふるいを通過する粉砕穀物では粒径が細かすぎて、過剰な粘りが生じ、生地が餅状となる。よって、生地の中で気泡が生じても、この気泡は集合して一気に生地の外に抜け出てしまうので、最終的には生地の中には気泡が残らなくなり、パンやケーキ特有の食感を得ることができない上に、焼き上がりの美しさも損なわれてしまうものである。
【0026】
そして、上記のようにして得られた粉砕穀物を小麦粉等の代わりに材料として用いて調理することによって、アレルギー対応食品を製造することができるものである。このアレルギー対応食品としては、具体的には、食パン、蒸しパン等のパンや、ショートケーキ、ロールケーキ、ホットケーキ、チーズケーキ等のケーキ、焼き菓子等を例示することができるが、従来、小麦粉等を用いて作られていた食品であれば、上記のものに限定されるものではない。このように、アレルギー対応食品はアレルギー物質を含んでいないことによって、食物アレルギーを持つ人も安心して食べることができるものである。また、アレルギー対応食品としては、上記粉砕穀物を小麦粉等の代わりに用いることによって種々のものを製造することができるので、食物アレルギーを持つ人の食生活を豊かにすることができるものである。
【実施例】
【0027】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0028】
(実施例1)
未精白の穀物として、玄米を130g用いた。
【0029】
そしてまずこの玄米を34℃の水150g(150ml)に4時間漬けて発芽させた。
【0030】
次に、上記のように吸水して発芽した玄米170gをミキサーを用いて粉砕することによって、粉砕玄米を得た。
【0031】
ここで、14メッシュ(目の大きさ:1.80mm)及び30メッシュ(目の大きさ:0.83mm)のふるいを用いて、上記粉砕玄米の粒径分布を調べた。具体的には、まず粉砕玄米を14メッシュのふるいにかけ、このふるいを通過しなかったものの重量を測定した。次に14メッシュのふるいを通過したものを30メッシュのふるいにかけ、このふるいを通過しなかったもの及び通過したものの重量をそれぞれ測定した。その結果を下記[表1]に示す。
【0032】
そして、上記粉砕玄米に重曹を小さじ1/2、活性剤の酢を小さじ1加えて混ぜ合わせ、この生地を200℃に温めたオーブンで20分焼成することによって、発芽玄米パンを製造した。
【0033】
(実施例2、3及び比較例1〜3)
ミキサーのスイッチを入れている時間を変化させることによって、発芽した玄米の粉砕の程度を変えて、異なる粒径分布を有する粉砕玄米を得るようにした以外は、実施例1と同様にして、発芽玄米パンを製造した。
【0034】
そして、実施例1〜3及び比較例1〜3の発芽玄米パンの焼き上がりを次のように判定した。なお、図1は実施例1の発芽玄米パンの外観、図2は実施例2の発芽玄米パンの外観、図3は実施例3の発芽玄米パンの外観、図4は比較例1の発芽玄米パンの外観、図5は比較例2の発芽玄米パンの外観、図6は比較例3の発芽玄米パンの外観をそれぞれ示す。
【0035】
「◎」:下記(1)〜(3)を全て満たすもの。
【0036】
「○」:下記(1)〜(3)のうち2つを満たすもの。
【0037】
「△」:下記(1)〜(3)のうち1つを満たすもの。
【0038】
「×」:下記(1)〜(3)を全て満たさないもの。
【0039】
(1)小麦粉を用いて作られた一般的なパン・ケーキ類と同様に、割った断面に気泡が均一にみられるもの。
【0040】
(2)粘らずに手で割ることができるもの。
【0041】
(3)粘らずにナイフできれいに切ることができるもの。
【0042】
【表1】
【0043】
上記[表1]にみられるように、実施例1〜3の発芽玄米パンは、比較例1〜3の発芽玄米パンに比べて、焼き上がりが美しいことが確認された。なお、いずれの発芽玄米パンも、発芽玄米を用いて作られているので栄養価は高いものである。
【0044】
(実施例4)
未精白の穀物として、玄米を150g用いた。
【0045】
そしてまずこの玄米を34℃の水180g(180ml)に12時間漬けて発芽させた。
【0046】
次に、上記のように吸水して発芽した玄米を重曹(小さじ2/3)及び粗糖(40g)と共にミキサーを用いて粉砕することによって、生地を得た。なお、粉砕された玄米は、実施例3と同様の粒径分布を有していた。
【0047】
そして、上記生地にレモン汁を大さじ1加えて混ぜ合わせ、この生地をケーキ型に入れた後、210℃に温めたオーブンで20分焼成することによって、図7に示すような発芽玄米ケーキ(直径12cmの丸型)を製造した。
【0048】
(実施例5)
未精白の穀物として、あわ粒を150g用いた。
【0049】
そしてまずこのあわ粒を34℃の水180g(180ml)に12時間漬けて発芽させた。
【0050】
次に、上記のように吸水して発芽したあわ粒を重曹(小さじ2/3)、粗糖(40g)及びサツマイモ(1cm程度に角切りしたもの35g)と共にミキサーを用いて粉砕することによって、生地を得た。なお、粉砕されたあわ粒は、実施例3と同様の粒径分布を有していた。
【0051】
そして、上記生地にレモン汁を大さじ1加えて混ぜ合わせ、この生地をケーキ型に入れて、あらかじめ茹でておいたサツマイモ(1cm程度に角切りしたもの35g)を生地の上面に散らした後、210℃に温めたオーブンで20分焼成することによって、図8に示すような角切りサツマイモのあわケーキ(直径12cmの丸型)を製造した。
【0052】
(実施例6)
未精白の穀物として、キヌア粒を150g用いた。
【0053】
そしてまずこのキヌア粒を34℃の水300g(300ml)に12時間漬けて発芽させた。
【0054】
次に、上記のように吸水して発芽したキヌア粒を重曹(小さじ2/3)、黒糖(40g)及び黒ゴマ(大さじ3)と共にミキサーを用いて粉砕することによって、生地を得た。なお、粉砕されたキヌア粒は、実施例3と同様の粒径分布を有していた。
【0055】
そして、上記生地にレモン汁を大さじ1加えて混ぜ合わせ、この生地をケーキ型に入れた後、210℃に温めたオーブンで20分焼成し、最後にきな粉を振り掛けることによって、図9に示すような黒ゴマきな粉のキヌアケーキ(直径12cmの丸型)を製造した。
【0056】
(実施例7)
未精白の穀物として、ひえ粒を150g用いた。
【0057】
そしてまずこのひえ粒を34℃の水180g(180ml)に12時間漬けて発芽させた。
【0058】
他方、皮をむいて7〜8cm角に切ったカボチャ50gをオレンジジュース100mlと共にミキサーにかけることによって、ジュース状物を得た。
【0059】
次に、ひえ粒を漬けていた水から100mlの水を漉し取ってから上記ジュース状物を加え、上記のように吸水して発芽したひえ粒を重曹(小さじ2/3)及び粗糖(40g)と共にミキサーを用いて粉砕することによって、生地を得た。なお、粉砕されたひえ粒は、実施例3と同様の粒径分布を有していた。
【0060】
そして、上記生地にレモン汁を大さじ1加えて混ぜ合わせ、この生地をケーキ型に入れた後、210℃に温めたオーブンで20分焼成することによって、図10に示すようなひえパンプキンケーキ(直径12cmの丸型)を製造した。
【0061】
(実施例8)
未精白の穀物として、アマランス粒を150g用いた。
【0062】
そしてまずアマランス粒を34℃の水180g(180ml)に12時間漬けて発芽させた。
【0063】
次に、上記のように吸水して発芽したアマランス粒をレンコン(皮をむき小さめに乱切りしたもの50g)、重曹(小さじ2/3)及び黒糖(40g)と共にミキサーを用いて粉砕することによって、生地を得た。なお、粉砕されたアマランス粒は、実施例3と同様の粒径分布を有していた。
【0064】
そして、上記生地にレモン汁を大さじ1加えて混ぜ合わせ、この生地をケーキ型に入れて、金時豆の水煮を生地の上面に散らした後、210℃に温めたオーブンで20分焼成することによって、図11に示すようなレンコンアマランスケーキ(直径12cmの丸型)を製造した。
【0065】
(実施例9)
未精白の穀物として、高きびを150g用いた。
【0066】
そしてまずこの高きびを34℃の水180g(180ml)に12時間漬けて発芽させた。
【0067】
次に、高きびを漬けていた水から50mlの水を漉し取ってからココナッツミルクを50ml加え、上記のように吸水して発芽した高きびを重曹(小さじ2/3)及び黒糖(40g)と共にミキサーを用いて粉砕することによって、生地を得た。なお、粉砕された高きびは、実施例3と同様の粒径分布を有していた。
【0068】
そして、上記生地にレモン汁を大さじ1加えて混ぜ合わせ、この生地をケーキ型に入れた後、210℃に温めたオーブンで20分焼成することによって、図12に示すような高きびのザッハ・トルテ(直径12cmの丸型)を製造した。
【0069】
図7〜図12に示すように、実施例4〜9のケーキは、焼き上がりも断面も美しいことが確認された。なお、いずれのケーキも、発芽した穀物を用いて作られているので栄養価は高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】実施例1の発芽玄米パンの外観を示す写真である。
【図2】実施例2の発芽玄米パンの外観を示す写真である。
【図3】実施例3の発芽玄米パンの外観を示す写真である。
【図4】(a)(b)は比較例1の発芽玄米パンの外観を示す写真である。
【図5】比較例2の発芽玄米パンの外観を示す写真である。
【図6】(a)(b)は比較例3の発芽玄米パンの外観を示す写真である。
【図7】(a)〜(c)は実施例4の発芽玄米ケーキの外観を示す写真である。
【図8】(a)(b)は実施例5の角切りサツマイモのあわケーキの外観を示す写真である。
【図9】(a)(b)は実施例6の黒ゴマきな粉のキヌアケーキの外観を示す写真である。
【図10】(a)(b)は実施例7のひえパンプキンケーキの外観を示す写真である。
【図11】(a)(b)は実施例8のレンコンアマランスケーキ(金時豆トッピング)の外観を示す写真である。
【図12】(a)(b)は実施例9の高きびのザッハ・トルテの外観を示す写真である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレルギー物質を含まないアレルギー対応食品であって、未精白の穀物を水に漬けて発芽させ、この吸水して発芽した穀物を粉砕することによって、40重量%以上90重量%未満のものが30メッシュのふるいを通過する粉砕穀物を得ると共に、この粉砕穀物を用いて調理されていることを特徴とするアレルギー対応食品。
【請求項2】
未精白の穀物として、玄米、きび、あわ、ひえ、キヌア、アマランスから選ばれるものが用いられていることを特徴とする請求項1に記載のアレルギー対応食品。
【請求項3】
未精白の穀物と水の重量比が1:1.1〜1:2であることを特徴とする請求項1又は2に記載のアレルギー対応食品。
【請求項4】
未精白の穀物を30〜40℃の水に2〜12時間漬けて発芽させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアレルギー対応食品。
【請求項5】
パン、ケーキ、焼き菓子のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のアレルギー対応食品。
【請求項1】
アレルギー物質を含まないアレルギー対応食品であって、未精白の穀物を水に漬けて発芽させ、この吸水して発芽した穀物を粉砕することによって、40重量%以上90重量%未満のものが30メッシュのふるいを通過する粉砕穀物を得ると共に、この粉砕穀物を用いて調理されていることを特徴とするアレルギー対応食品。
【請求項2】
未精白の穀物として、玄米、きび、あわ、ひえ、キヌア、アマランスから選ばれるものが用いられていることを特徴とする請求項1に記載のアレルギー対応食品。
【請求項3】
未精白の穀物と水の重量比が1:1.1〜1:2であることを特徴とする請求項1又は2に記載のアレルギー対応食品。
【請求項4】
未精白の穀物を30〜40℃の水に2〜12時間漬けて発芽させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアレルギー対応食品。
【請求項5】
パン、ケーキ、焼き菓子のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のアレルギー対応食品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−148423(P2010−148423A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−329845(P2008−329845)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(509001283)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(509001283)
【Fターム(参考)】
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