説明

アレーアンテナ

【課題】サブアレーアンテナの配列間隔を給電部に接続される方形導波管の広壁面に必要とされる外形寸法よりも小さくすることができるアレーアンテナを得ること。
【解決手段】複数のサブアレーアンテナ3は、それぞれの給電線路5の長手方向長の略中央に設けられる給電部6が隣接する他のサブアレーアンテナにおける給電線路の給電部と干渉しないように、長手方向に交互にずれて配置されている。これによって、サブアレーアンテナ3の配列間隔を給電部に接続される方形導波管の広壁面に必要とされる外形寸法である0.9波長よりも小さい約0.6波長程度とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波帯やミリ波帯で用いられるアレーアンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波帯やミリ波帯で用いられるアレーアンテナには、マイクロストリップアレーアンテナや同軸スロットアレーアンテナなど各種ある。それらのアレーアンテナは、平面上に、複数のサブアレーアンテナを所定の間隔(アレー間隔)を置いて並置して構成される。各サブアレーアンテナは、所定の間隔を置いて略直線状に配置される複数の素子アンテナと、該複数の素子アンテナがそれぞれ接続される給電線路とを備えている。
【0003】
各サブアレーアンテナの給電線路には、給電部が設けられている。各サブアレーアンテナの給電部とアンテナ外部の送信系および受信系との間は、方形導波管を介して接続される場合が多い。送信の例で言えば、送信系が出力するマイクロ波帯やミリ波帯の高周波信号が方形導波管から給電部に入力され、該給電部から給電線路の長手方向の一方側と他方側とに出力され、それぞれの側の給電線路における複数の素子アンテナに順々に給電されてそれぞれの素子アンテナが励振される。なお、給電部は、一般には給電線路の長手方向長のほぼ中央に設けられている。
【0004】
ところで、アレーアンテナでは、指向性パターンで問題になるグレーティングローブを小さくして、測角能力を決めるビーム走査範囲を拡大するには、サブアレーアンテナの配列間隔をできるだけ狭くする必要がある。具体的には、複数のサブアレーアンテナを例えば約0.6波長の間隔で配列できれば、グレーティングローブを抑圧しつつ最大走査角を40度にすることができる。
【0005】
この場合、素子アンテナとしてパッチアンテナを用いたマイクロストリップアレーアンテナを例に挙げて説明すると、各サブアレーアンテナ内の給電線路は、例えば、マイクロストリップ線路やトリプレート線路、ポスト壁導波路などであるので、その線路幅は、方形導波管の広域面幅と比較すると、占有スペースは小さく、各サブアレーアンテナの並置間隔を狭くする上で、通常は、制約とはならない。
【0006】
ところが、各サブアレーアンテナの給電部と送信系および受信系との間を接続する各方形導波管は、それぞれの広壁面を各サブアレーアンテナの配置面と直交させ、かつ各サブアレーアンテナの配列方向と並行させた状態で各給電部と接続される。つまり、各給電部は、その外観形状が接続される方形導波管の断面矩形開口の形状をしていて、各サブアレーアンテナは、各給電部の長手方向側端面を隣接する給電部間で対面させて各給電線路を並行させて配列されている。したがって、各給電部の長手方向側寸法は、方形導波管の広壁面幅に必要とされる外形寸法(0.9波長以上)と同程度の寸法になっている。
【0007】
このように、給電部がほぼ中央に設けられる各給電線路がその長手方向の両端を揃えて配置される構成においては、隣接する給電部同士間で、長手方向側面を接触させた状態で各給電線路を配置した場合が、各サブアレーアンテナの配列間隔を最も狭くできた配置構成である。これは、サブアレーアンテナの配列間隔は、0.9波長以下にはできないことを示している。この問題は、同軸スロットアレーアンテナにおいても同様に発生する問題である。
【0008】
この問題に対し、例えば特許文献1では、マイクロストリップアレーアンテナでの対処例であるが、第1の給電線路(複数の素子アンテナが接続される本来の給電線路であり、ほぼ中央に給電部が設けられる)を配置するアンテナ基板の他に、アンテナ基板上の隣接給電部間の間隔を0.6波長以下にするため波長短縮効果を有する誘電体線路からなる第2の給電線路を配置した給電基板を設け、給電部における方形導波管同士の干渉を回避したアレーアンテナが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−212946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献1に提案されたアレーアンテナでは、サブアレーアンテナの配列間隔を約0.6波長まで狭くすることができる。しかし、アンテナ基板の他に給電基板が必要になるため、製造コストが増加するという問題がある。また、上記特許文献1に提案された技術は、同軸スロットアレーアンテナには適用できない。
【0011】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、サブアレーアンテナの配列間隔を給電部に接続される方形導波管の広壁面幅に必要とされる外形寸法よりも小さくすることができるアレーアンテナを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、所定の間隔を置いて略直線状に配列される複数の素子アンテナ、および、前記複数の素子アンテナがそれぞれ接続されるとともに、送信系及び受信系と方形導波管を介して接続される給電部が設けられる給電線路を備えるサブアレーアンテナの複数個を、平面上に、接続される前記方形導波管の断面矩形開口の形状に合わせた外観形状をした前記給電部の長手方向側端面を隣接する給電部間で対面させて前記各給電線路が並行するように配置したアレーアンテナにおいて、前記複数のサブアレーアンテナは、それぞれの前記給電線路に設けられる前記給電部が、隣接する給電部の長手方向側端面が対面せずに、短手方向側端面が対面するように配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、各サブアレーアンテナを、隣接する給電線路における給電部同士を長手方向側端面が対面せず短手方向側端面が対面するように配置するので、サブアレーアンテナの配列間隔を給電部に接続される方形導波管の広壁面幅に必要とされる外形寸法(0.9波長)よりも小さくすることができる。具体的には、アレーアンテナがマイクロストリップアレーアンテナであるか、同軸スロットアレーアンテナであるかを問わず、サブアレーアンテナの配列間隔を限界付近の約0.6波長程度まで狭くすることができる。したがって、グレーティングローブを抑圧しつつビーム走査範囲を拡大できるという効果を奏する。なお、アレーアンテナがマイクロストリップアレーアンテナであっても、特許文献1に記載の発明のように、アンテナ基板の他に給電基板などを使用しないため、製造コストを抑制することができるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1によるアレーアンテナの外観構成を示す概念図である。
【図2】図2は、図1に示す給電部と方形導波管との関係を説明するA−A’線断面図である。
【図3】図3は、図1に示す給電部に設けられるマイクロストリップ線路・導波管変換部の詳細を説明する平面図である。
【図4】図4は、図3に示すB−B’線での断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態2によるアレーアンテナの外観構成を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明にかかるアレーアンテナの実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1によるアレーアンテナの外観構成を示す概念図である。図2は、図1に示す給電部と方形導波管との関係を説明するA−A’線断面図である。図3は、図1に示す給電部に設けられるマイクロストリップ線路・導波管変換部の詳細を説明する平面図である。図4は、図3に示すB−B’線での断面図である。
【0017】
図1において、本実施の形態1によるアレーアンテナ1は、例えばマイクロストリップアレーアンテナであって、アンテナ基板2上に所定の間隔(アレー間隔)を置いて並置された複数のサブアレーアンテナ3により構成される。
【0018】
マイクロストリップアレーアンテナを構成する複数のサブアレーアンテナ3は、それぞれ、アンテナ基板2上に所定の間隔を置いて略直線状に配置されるパッチアンテナである複数の素子アンテナ4と、複数の素子アンテナ4がそれぞれ接続される給電線路5とを備えている。給電線路5は、複数の素子アンテナ4の配列方向に沿って配置されるから、同様に略直線状の配置となっている。給電線路5は、例えば、マイクロストリップ線路やトリプレート線路、ポスト壁導波路などであり、その長手方向長の略中央に給電部6が設けられる。
【0019】
給電部6とアンテナ外部の送信系および受信系との間は、方形導波管を介して接続されるから、給電部6は、例えば図2〜図4に示すようなマイクロストリップ線路・方形導波管変換部を構成している。
【0020】
図1では、各給電線路5が交互に長手方向にずれて配置されているので、図2では、1つおきの給電部6と1つおきの給電線路5とが示されている。図2に示すように、アンテナ基板2上に形成される各給電部6では、アンテナ基板2の背面を被覆する地導体パターン7に、方形導波管8の断面矩形開口端8aが接続される。マイクロストリップ線路・導波管変換部である給電部6は、具体的には、例えば図3、図4に示すようになっている。なお、図3、図4では、方形導波管8の管壁肉厚は図示を省略している。
【0021】
図3、図4において、地導体パターン7には、接続される方形導波管8の断面矩形開口端8aの矩形状に相似な細長い矩形形状の結合スロット9が管軸位置を中心にして断面矩形開口端8aの長辺に並行して形成されている。そして、方形導波管8の接続位置に対応したアンテナ基板2の表面領域には、導体パターン10が形成されるが、この導体パターン10から、給電線路5を構成するストリップ導体5aが結合スロット9の直上位置から両方向へ引き出されている。導体パターン10の外周囲と地導体パターン7とを接続する複数の接続導体11は、方形導波管8の断面矩形開口端8aの外周囲を取り囲むように配置されている。
【0022】
複数の接続導体11は、金属壁を構成するから、アンテナ基板2内に擬似的な方形導波管が形成される。このアンテナ基板2内の擬似方形導波管と給電部6に接続される方形導波管8とが、結合スロット9を介して電磁気的に結合することにより、給電線路5での伝送モードと方形導波管8での伝送モードとの変換が行われる。
【0023】
このように、給電部6の外形状は、接続される方形導波管8の断面矩形開口の形状に合わせた形状(多くの場合、矩形形状)をしている。なお、接続される方形導波管8の断面矩形開口の形状は、図3では、4つの角部が直角である場合を示したが、アールが付いている場合もある。
【0024】
さて、フェーズドアレーアンテナまたはデジタルビームフォーミング(DBF)等の電子走査アンテナでは、複数のサブアレーアンテナの配列間隔が適切でない場合には、本来のメインビームの他にグレーティングローブも発生する。例えばレーダアンテナの場合、グレーティングローブが目標物を捉えると、目標物の方向検出を誤る等の重大な問題が生じる。そのため、グレーティングローブが発生しないように設計する必要がある。
【0025】
グレーティングローブを発生させない条件は、複数のサブアレーアンテナの配列間隔をdとし、波長をλとし、最大ビーム走査角をθmとすれば、次式(1)
d≦λ/(1+|sinθm|) …(1)
で与えられる。
【0026】
式(1)から理解できるように、最大ビーム走査角θmを大きくするには、配列間隔dを狭くする必要がある。例えば、最大ビーム走査角θmを40°とすると、配列間隔dは0.6λ以下に設定する必要がある。但し、素子アンテナとして通常用いられるパッチアンテナの外形寸法は0.5λ程度であるので、配列間隔dを0.5λまで近づけることは困難であり、d=0.6λ程度が限界となる。
【0027】
一般的なアレーアンテナの外観構成を図1に示した符号を用いて説明すると、一般的なアレーアンテナでは、複数のサブアレーアンテナ3を、アンテナ基板2上に、図1とは異なり、それぞれの給電線路5を両端を揃えて配置していた。
【0028】
このとき、各サブアレーアンテナの給電部6に接続される各方形導波管8は、図2〜図4に示したように、それぞれの広壁面を各サブアレーアンテナの配置面と直交させ、かつ各サブアレーアンテナの配列方向と並行させた状態で各給電部6と接続される。したがって、各給電部6の外観形状は、接続される方形導波管8の断面矩形開口と相似の形状(多くの場合、矩形形状)をしている。
【0029】
要するに、一般的なアレーアンテナでは、各サブアレーアンテナが、それぞれの給電線路5の両端を揃えて配置されていたので、給電部6の長手方向側端面を隣接する給電部間で対面させて各給電線路5が並行するように配置されていた。したがって、給電部6の長手方向の寸法は、接続される方形導波管8の広壁面幅に必要とされる外形寸法と同程度の寸法である。
【0030】
ここで、方形導波管の寸法は、周波数毎に公的規格で定められている。例えば、ミリ波帯の76.5GHz用の方形導波管の寸法は、内径が2.54×1.27mmとなっている。これに管の肉厚として0.5mmを加えると、外形寸法は、3.54×2.27mmとなり、波長λで表すと、内径は0.648λ×0.324λとなり、外形寸法は0.903λ×0.579λとなる。つまり、マイクロ波帯やミリ波帯で用いる方形導波管の広壁面幅に必要とされる外形寸法は、0.9波長以上となる。
【0031】
したがって、一般的なアレーアンテナでは、サブアレーアンテナの配列間隔を0.9波長以下に狭くしようとすると、隣接する給電部6の長手方向側端面同士が互いに干渉するので、サブアレーアンテナの配列間隔を0.9波長以下には狭くできない。
【0032】
この問題を解決する方法として、複数のサブアレーアンテナ3それぞれの給電線路5を、隣接する給電部6の長手方向側端面が対面せず、短手方向側端面が対面するように、配置できれば、隣接する給電部6の長手方向側端面同士が互いに干渉させずに、サブアレーアンテナの配列間隔を0.9波長以下に狭くすることができる。そのような配置態様の構成例として実施の形態1と実施の形態2とを示す。
【0033】
本実施の形態1では、図1に示すように、給電部6が給電線路5のほぼ中央に設けられている場合に、それぞれの給電線路5を交互に長手方向にずらして配置するようにした。そうすれば、給電線路5間において、各給電部6を、隣接する給電部6の長手方向側端面同士が互いに対面せず、隣接する給電部6の短手方向側端面同士が対面するように配置できるので、配列間隔を、限界の約0.6波長程度まで狭くすることができる。
【0034】
次に、動作について説明する。本アレーアンテナ1を送信に使用する場合、複数のサブアレーアンテナ3の各給電部6には、外部の送信系に接続される方形導波管8からマイクロ波帯またはミリ波帯の高周波信号が入力される。入力された高周波信号は、各給電部6において伝送モードが給電線路5での伝送モードへ変換される。伝送モードが変換された高周波信号は、給電線路5の長手方向の一方側と他方側とに分配され、それぞれの側の給電線路5における複数の素子アンテナ4に順々に給電され、空間に電磁波が放射される。
【0035】
また、本アレーアンテナ1を受信に使用する場合、空間から到来した電磁波は、複数のサブアレーアンテナ3のそれぞれにおける複数個の素子アンテナ4によって受信され、給電線路5および給電部6によって合成された高周波信号が、外部の受信系に接続される方形導波管8へ出力される。アンテナは一般に送受可逆であるから、本アレーアンテナ1は送信にも受信にも使用できる。
【0036】
ここで、本実施の形態1によれば、各給電線路5の長手方向のほぼ中央に給電部6を設けるマイクロストリップアレーアンテナにおいて、図1に示すように、サブアレーアンテナ3を長手方向に交互にずらして配置している。そのため、隣接する給電部6を、互いに長手方向側端面を干渉させずに、互いに短手方向側端面を対面させるように、各給電線路5を近づけて配置することができるので、各サブアレーアンテナ3の配列間隔を限界の約0.6波長程度まで狭くすることができる。
【0037】
したがって、グレーティングローブを抑圧しつつビーム走査範囲を拡大できるという効果が得られる。また、特許文献1に記載の発明のように、アンテナ基板の他に給電基板などを使用しないため、製造コストを抑制することができるという効果も得られる。
【0038】
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2によるアレーアンテナの外観構成を示す概念図である。なお、図5では、図1(実施の形態1)に示した構成要素と同一または同等である構成要素には同一の符号が付されている。図5においては、本実施の形態2に関わる部分を中心に説明する。
【0039】
図5に示すように、本実施の形態2によるアレーアンテナ20は、図1(実施の形態1)に示した構成において、サブアレーアンテナ3に代えて、サブアレーアンテナ21が設けられている。サブアレーアンテナ21は、給電線路22aが設けられる第1のサブアレーアンテナと、給電線路22bが設けられる第2のサブアレーアンテナとを交互に配置して構成されている。
【0040】
そして、図5に示すように、本実施の形態2によるアレーアンテナ20は、給電線路22aが設けられるサブアレーアンテナ(第1のサブアレーアンテナ)21と、給電線路22bが設けられるサブアレーアンテナ(第2のサブアレーアンテナ)21とが両端を揃えて、交互に配置されている。
【0041】
ここで、給電線路22a,22bは、実施の形態1での給電線路5と同様に、マイクロストリップ線路やトリプレート線路、ポスト壁導波路などで構成され、設けられる給電部6も同様に方形導波管が接続され、同様に変換部が構成され、同様の寸法を有した外観形状であるが、給電部6の配置位置が実施の形態1とは異なっている。すなわち、給電線路22aでの給電部6は、給電線路22aの長手方向長の略中央から長手方向一端側へ所定間隔ずれた位置に設けられ、また、給電線路22bでの給電部6は、給電線路22bの長手方向長の略中央から長手方向他端側へ所定間隔ずれた位置に設けられている。
【0042】
隣接する給電線路22aと給電線路22bとは、給電部6を互いに逆向きの長手方向へずらして配置してあるので、図5に示すように、給電線路22a,22bを両端を揃えて交互に配置すれば、隣接する給電部6間で、互いの長手方向側端面が干渉せず、互いの短手方向側端面が対面するように、近づけて配置することができ、給電線路22a,22bの配列間隔を0.9波長以下に狭くすることができる。
【0043】
したがって、本実施の形態2によれば、サブアレーアンテナ21の配列間隔を限界の約0.6波長程度まで狭くすることができるので、実施の形態1と同様に、グレーティングローブを抑圧しつつビーム走査範囲を拡大できる。
【0044】
ここで、実施の形態1では、図1に示すように、隣接する給電線路5が互いに長手方向にずれて配置されているので、複数のサブアレーアンテナ3それぞれの位相中心が配列方向において略直線上に並ばなくなり、測角時に直交成分が混入し、測角精度が低下する可能性がある。
【0045】
これに対し、本実施の形態2では、図5に示すように、隣接する給電線路22a,22b間において長手方向へのずれがないので、複数のサブアレーアンテナ21それぞれの位相中心が配列方向において略直線上に並ぶことになり、測角時に直交成分が混入することがなく、測角精度の低下を防止できる。
【0046】
したがって、本実施の形態2によれば、実施の形態1で得られる作用・効果に加えて、実施の形態1において問題になる測角精度の低下を防止できる。
【0047】
なお、マイクロ波帯やミリ波帯で用いられるアレーアンテナとして、実施の形態1,2では、マイクロストリップアレーアンテナへの適用例を示したが、その他、例えば同軸スロットアレーアンテナなどにも同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上のように、本発明にかかるアレーアンテナは、サブアレーアンテナの配列間隔を給電部に接続される方形導波管の広壁面に必要とされる外形寸法よりも小さくすることができるアレーアンテナとして有用である。
【符号の説明】
【0049】
1,20 アレーアンテナ
2 アンテナ基板
3,21 サブアレーアンテナ
4 素子アンテナ
5,22a,22b 給電線路
5a 給電線路を構成するストリップ導体
6 給電部
7 地導体パターン
8 方形導波管
8a 方形導波管の断面矩形開口端
9 結合スロット
10 導体パターン
11 接続導体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔を置いて略直線状に配列される複数の素子アンテナ、および、前記複数の素子アンテナがそれぞれ接続されるとともに、送信系及び受信系が方形導波管を介して接続される給電部が設けられる給電線路を備えるサブアレーアンテナの複数個を、平面上に、接続される前記方形導波管の断面矩形開口の形状に合わせた外観形状をした前記給電部の長手方向側端面を隣接する給電部間で対面させて前記各給電線路が並行するように配置したアレーアンテナにおいて、
前記複数のサブアレーアンテナは、
それぞれの前記給電線路に設けられる前記給電部が、隣接する給電部の長手方向側端面が対面せず、短手方向側端面が対面するように配置されている
ことを特徴とするアレーアンテナ。
【請求項2】
前記複数のサブアレーアンテナは、
前記給電部がそれぞれの前記給電線路の長手方向長の略中央に設けられ、隣接する給電部間では互いの短手方向側端面が対面し、1つおきの給電部間では互いの長手方向側端面が対面するように、各前記給電線路が互いに長手方向へずれて配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のアレーアンテナ。
【請求項3】
前記複数のサブアレーアンテナは、
前記給電線路の長手方向長の略中央から該長手方向の一端側へ所定間隔ずれた位置に前記給電部が設けられる第1のサブアレーアンテナと、
前記給電線路の長手方向長の略中央から該長手方向の他端側へ所定間隔ずれた位置に前記給電部が設けられる第2のサブアレーアンテナと
で構成され、
前記第1のサブアレーアンテナと前記第2のサブアレーアンテナとが、前記給電線路の両端を揃えて配列方向へ交互に配置され、かつ隣接する前記給電部の短手方向側端面を対面させて配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のアレーアンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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