アンカーボルト用保護具
【課題】 施工現場での保護具の長さ調整が簡単に行え、保護具の下面からのモルタルの浸入の恐れが少なく、しかも、アンカーボルトの再使用の際のモルタルからの引き抜きが容易に行える。
【解決手段】 蓋用受枠13を、アンカーボルト14および高さ調整用ナット3を介して側塊12上に固定する際に、高さ調整ナット3と側塊12との間のアンカーボルト14に被せられる保護具であって、ジャバラ状に形成され、上下端部が山部で終わる保護具本体1と、保護具本体1の上下端部を除く各山部の周方向外面に形成された上下一対の突条2とからなる。
【解決手段】 蓋用受枠13を、アンカーボルト14および高さ調整用ナット3を介して側塊12上に固定する際に、高さ調整ナット3と側塊12との間のアンカーボルト14に被せられる保護具であって、ジャバラ状に形成され、上下端部が山部で終わる保護具本体1と、保護具本体1の上下端部を除く各山部の周方向外面に形成された上下一対の突条2とからなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アンカーボルト用保護具、特に、例えば、マンホールの鉄蓋が嵌め込まれる受枠を、地中に構築された側塊上にアンカーボルトによって固定する際に、アンカーボルトを、受枠と側塊との間に充填されるモルタルから保護するための保護具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、図8に示すように、マンホール(H)を閉塞する鉄蓋11は、地中に構築された側塊12上の受枠13に開閉自在に嵌め込まれていた。そして、受枠13は、車等により受ける衝撃によってガタツキが生じないように、側塊12に下部が埋め込まれたアンカーボルト14とこれにねじ込まれるナット15とによって固定されていた。
【0003】
上述のようにして受枠13を固定するに際して、受枠13と路面レベルとを一致させるために、受枠13の高さ調整が必要となる場合がある。
【0004】
受枠13の高さ調整が可能な、受枠13の側塊12上への固定手段として、特許文献1(特許第3136514号公報)には、以下のような受枠用締付け固定金具が開示されている。以下、受枠の高さ調整可能な締付け固定具を従来技術といい、図面を参照しながら説明する。
【0005】
図9は、従来技術による受枠の固定状態を示す部分断面図、図10は、従来技術の固定リングを示す図であり、同図(a)は、従来技術の固定リングを示す部分断面図、同図(b)は、従来技術の固定リングを示す平面図、図11は、従来技術の回転防止キャップを示す図であり、同図(a)は、回転防止キャップを示す平面図、同図(b)は、回転防止キャップを示す部分断面図である。
【0006】
図9から図11に示すように、従来技術は、固定リング16と、固定リング16の外側に嵌め込まれる回転防止キャップ17と、回転防止キャップ17内に嵌め込まれるナット18と、アンカーボルト14にねじ込まれた高さ調整具19と、高さ調整具19をモルタルから保護する保護ブロック20と、アンカーボルト14をモルタルから保護するジャバラ状の保護具21とから構成されている。
【0007】
固定リング16は、下面に設けられた突起16aと、座金16bと、外歯16cとを有している。回転防止キャップ17は、六角ナット18が嵌め込まれる六角形状の開口17aと、固定リング16をグリップする爪17bと、固定リング16の外歯16bと噛み合う内歯17cとを有している。高さ調整具19は、側塊12と受枠13との間のアンカーボルト14に、手動により回転可能にねじ込まれている。保護ブロック20と保護具21とは、受枠13の高さ調整後、側塊12と受枠13との間に充填されるモルタルが高さ調整具19とアンカーボルト14に接触するのを防止して、これらの再使用を可能にするものである。
【0008】
上記従来技術によれば、側塊12に下部が埋め込まれたアンカーボルト14にねじ込まれた高さ調整具19を所定高さ位置になるまで回転させて、受枠13の高さ調整をした後、以下のようにして、受枠13が固定される。
【0009】
アンカーボルト14の上端から固定リング16を差し込んで、突起16aを受枠13の長孔13aに嵌め込む。次に、ナット18をアンカーボルト14にねじ込んで固定リング16と一体化した座金16bを介して固定リング16を受枠13に押し付けて受枠13を固定する。次に、回転防止キャップ17をアンカーボルト14に差し込んで、その開口17a内にナット18を嵌め込むと共に、固定リング16の外歯16cと固定リング16の内歯17cとを噛み合せる。これによって、ナット18に緩み方向の回転力が作用しても、この回転力は、回転防止キャップ17を介して固定リング16に伝わるが、固定リング16の突起16aが受枠13の長孔13aに入り込んでいるので、ナット18は回転せず、ナット18の緩みが防止される。
【0010】
そして、側塊12と受枠13との間にモルタルを充填して、受枠13の固定が完了する。モルタルを充填しても高さ調整具19とアンカーボルト14とは、保護ブロック20と保護具21によりそれぞれ保護されているので、モルタルが付着せず、再使用が可能となる。
【0011】
なお、図9に示すように、回転防止キャップ17上にキャップ23を被せれば、固定完了後に敷設されるアスファルトから回転防止キャップ17、ナット18が保護されるので、これらの再使用も可能となる。
【0012】
【特許文献1】特許第3136514号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記従来技術によれば、アンカーボルト14に保護具21が被せられているので、アンカーボルト14の再使用が可能となるが、以下のような問題があった。
【0014】
(1)モルタルと接触する部分のアンカーボルトの長さ、すなわち、高さ調整具19と側塊12との間のアンカーボルトの長さは、受枠13の調整高さによって変化する。保護具21は、ジャバラ状になっているので、モルタルと接触するアンカーボルトの長さが短くなる分にはある程度、調整が効くが、長くなる場合には、調整が効かない。従って、予め、保護具21を長めに作っておき、必要に応じて適宜長さに切断していた。この切断作業は、施工現場で刃物を使用して行うことになり、切断位置は、側塊12との密着性を考慮すると、保護具21の山部が好ましく、正確に一直線状に切断する必要がある。しかし、このように切断することは、時間と手間がかかる。
【0015】
(2)保護具21の下面は、側塊12上面に単に乗っているのみであるので、モルタルが保護具21の下面と側塊12上面との隙間から浸入する恐れがある。
【0016】
(3)保護具に21は、全て同径であるので、アンカーボルト14の再使用の際のモルタルからの保護具21の引き抜きが円滑に行えない。
【0017】
従って、この発明の目的は、施工現場での保護具の長さ調整が簡単に行え、保護具の下面からのモルタルの浸入の恐れが少なく、しかも、アンカーボルトの再使用の際のモルタルからの引き抜きが容易に行えるアンカーボルト用保護具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明は、上記目的を達成するためになされたものであって、下記を特徴とするものである。
【0019】
請求項1記載の発明は、蓋用受枠を、アンカーボルトおよび高さ調整具を介して側塊上に固定する際に、前記高さ調整具と前記側塊との間の前記アンカーボルトに被せられる保護具であって、ジャバラ状に形成され、上下端部が山部で終わる保護具本体と、前記保護具本体の上下端部を除く各山部の周方向外面に形成された上下一対の突条とからなることに特徴を有するものである。
【0020】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明は、保護具本体と突条とは一体的に形成されていることに特徴を有するものである。
【0021】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、保護具本体の下端部は、二重に形成されていることに特徴を有するものである。
【0022】
請求項4記載の発明は、請求項1から3の何れか1つに記載の発明において、保護具本体は、下方に向って縮径していることに特徴を有するものである。
【0023】
請求項5記載の発明は、請求項1から4の何れか1つに記載の発明において、保護具本体は、柔軟性のある材質からなっていることに特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、施工現場での保護具の長さ調整が簡単に行え、保護具の下面からのモルタルの浸入の恐れが少なく、しかも、アンカーボルトの再使用の際のモルタルからの引き抜きが容易に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、この発明のアンカーボルト用保護具の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1は、この発明のアンカーボルト用保護具を示す断面図、図2は、図1の部分拡大図、図3は、この発明のアンカーボルト用保護具を示す部分拡大正面図、図4は、この発明のアンカーボルト用保護具をアンカーボルトに嵌め込んで、受枠を側塊に固定した状態を示す断面図、図5は、図4のA矢視図、図6は、適宜長さに切断したこの発明のアンカーボルト用保護具をアンカーボルトに嵌め込んで、受枠を側塊に固定した状態を示す断面図、図7は、図6のA矢視図である。
【0027】
図1から図7に示すように、この発明のアンカーボルト用保護具は、ジャバラ状に形成され、上下端部が山部で終わる保護具本体1と、保護具本体1の上下端部を除く各山部の周方向外面に、保護具本体1と一体的に形成された上下一対の突条2とからなり、ゴム等の柔軟性を有する材質によって作られている。
【0028】
保護具本体1には、上下一対の突条2が形成されているので、突条2間から保護具本体1を手あるいは刃物により容易に切断することができる。突条2は、保護具本体1の山部に形成されているので、切断面は、必ず山部になる。保護具本体1を途中で切断した場合には、その下面は、後述するように、二重に形成されないが、山部で切断されるので、側塊12上面と密着しやすく、モルタルは浸入しにくい。
【0029】
図2に示すように、保護具本体1の下端部は、二重に形成されているので、保護具本体1の下面と側塊12上面との隙間からのモルタルの浸入を確実に防止することができる。さらに、保護具本体1は、下方に向って縮径しているので、アンカーボルト14の再使用の際のモルタルからの引き抜きが容易に行える。
【0030】
上述した、この発明のアンカーボルト用保護具をアンカーボルトに嵌め込んで、受枠を側塊に固定するには、図4および図5に示すように、アンカーボルト14に保護具本体1を嵌め込み、高さ調整用ナット3により受枠13の高さ調整をした後、固定用ナット4を受枠13の長孔13aから突出したアンカーボルト14にねじ込む。そして、モルタル22を受枠13と側塊12との間に充填する。
【0031】
高さ調整用ナット3と側塊12との間隔が短い場合には、保護具本体1の長さも短くする必要があるが、この場合には、図6および図7に示すように、保護具本体1の下方部を切断する。この切断は、保護具本体1に形成された突条2間から行えるので、手による引きちぎり、あるいは、鋏等による切断により容易に行える。しかも、保護具本体1の下端の切断面は、山部になり、しかも、一直線状になるので、側塊12との密着性が良く、モルタル22の浸入を防止することができる。
【0032】
何れの場合であっても、アンカーボルト14の周囲は、保護具本体1により覆われているので、モルタル22がアンカーボルト14に付着することはない。従って、受枠13を側塊12から撤去した後のアンカーボルト14の再使用が容易に行える。
【0033】
以上のように、この発明のアンカーボルト用保護具によれば、山部に一対の突条を形成することによって、突条間からの保護具本体の切断が容易に行えるので、保護具の長さ調整が施工現場で簡単に行える。しかも、山部に突条を形成することによって、切断面は、一直線状でしかも山部になるので、側塊との密着性に優れる。従って、保護具の下面からのモルタルの浸入の恐れが少ない。さらに、保護具本体を、下方に向って縮径させることによって、アンカーボルトの再使用の際のモルタルからの保護具本体の引き抜きが容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明のアンカーボルト用保護具を示す平面図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】この発明のアンカーボルト用保護具を示す部分拡大正面図である。
【図4】この発明のアンカーボルト用保護具をアンカーボルトに嵌め込んで、受枠を側塊に固定した状態を示す断面図である。
【図5】図4のA矢視図である。
【図6】長さ調整したこの発明のアンカーボルト用保護具をアンカーボルトに嵌め込んで、受枠を側塊に固定した状態を示す断面図である。
【図7】図6のA矢視図である。
【図8】側塊上に固定された受枠を示す概略断面図である。
【図9】従来技術による受枠の固定状態を示す部分断面図である。
【図10】従来技術の固定リングを示す図であり、同図(a)は、固定リングを示す部分断面図、同図(b)は、固定リングを示す平面図である。
【図11】従来技術の回転防止キャップを示す図であり、同図(a)は、回転防止キャップを示す平面図、同図(b)は、回転防止キャップを示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1:保護具本体
2:突起
3:高さ調整用ナット
4:固定用ナット
11:鉄蓋
12:側塊
13:受枠
13a:長孔
14:アンカーボルト
15:ナット
16:固定リング
16a:突起
16b:座金
16c:外歯
17:回転防止キャップ
17a:開口
17b:爪
17c:内歯
18:ナット
19:高さ調整具
20:保護ブロック
21:保護具
22:モルタル
23:キャップ
【技術分野】
【0001】
この発明は、アンカーボルト用保護具、特に、例えば、マンホールの鉄蓋が嵌め込まれる受枠を、地中に構築された側塊上にアンカーボルトによって固定する際に、アンカーボルトを、受枠と側塊との間に充填されるモルタルから保護するための保護具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、図8に示すように、マンホール(H)を閉塞する鉄蓋11は、地中に構築された側塊12上の受枠13に開閉自在に嵌め込まれていた。そして、受枠13は、車等により受ける衝撃によってガタツキが生じないように、側塊12に下部が埋め込まれたアンカーボルト14とこれにねじ込まれるナット15とによって固定されていた。
【0003】
上述のようにして受枠13を固定するに際して、受枠13と路面レベルとを一致させるために、受枠13の高さ調整が必要となる場合がある。
【0004】
受枠13の高さ調整が可能な、受枠13の側塊12上への固定手段として、特許文献1(特許第3136514号公報)には、以下のような受枠用締付け固定金具が開示されている。以下、受枠の高さ調整可能な締付け固定具を従来技術といい、図面を参照しながら説明する。
【0005】
図9は、従来技術による受枠の固定状態を示す部分断面図、図10は、従来技術の固定リングを示す図であり、同図(a)は、従来技術の固定リングを示す部分断面図、同図(b)は、従来技術の固定リングを示す平面図、図11は、従来技術の回転防止キャップを示す図であり、同図(a)は、回転防止キャップを示す平面図、同図(b)は、回転防止キャップを示す部分断面図である。
【0006】
図9から図11に示すように、従来技術は、固定リング16と、固定リング16の外側に嵌め込まれる回転防止キャップ17と、回転防止キャップ17内に嵌め込まれるナット18と、アンカーボルト14にねじ込まれた高さ調整具19と、高さ調整具19をモルタルから保護する保護ブロック20と、アンカーボルト14をモルタルから保護するジャバラ状の保護具21とから構成されている。
【0007】
固定リング16は、下面に設けられた突起16aと、座金16bと、外歯16cとを有している。回転防止キャップ17は、六角ナット18が嵌め込まれる六角形状の開口17aと、固定リング16をグリップする爪17bと、固定リング16の外歯16bと噛み合う内歯17cとを有している。高さ調整具19は、側塊12と受枠13との間のアンカーボルト14に、手動により回転可能にねじ込まれている。保護ブロック20と保護具21とは、受枠13の高さ調整後、側塊12と受枠13との間に充填されるモルタルが高さ調整具19とアンカーボルト14に接触するのを防止して、これらの再使用を可能にするものである。
【0008】
上記従来技術によれば、側塊12に下部が埋め込まれたアンカーボルト14にねじ込まれた高さ調整具19を所定高さ位置になるまで回転させて、受枠13の高さ調整をした後、以下のようにして、受枠13が固定される。
【0009】
アンカーボルト14の上端から固定リング16を差し込んで、突起16aを受枠13の長孔13aに嵌め込む。次に、ナット18をアンカーボルト14にねじ込んで固定リング16と一体化した座金16bを介して固定リング16を受枠13に押し付けて受枠13を固定する。次に、回転防止キャップ17をアンカーボルト14に差し込んで、その開口17a内にナット18を嵌め込むと共に、固定リング16の外歯16cと固定リング16の内歯17cとを噛み合せる。これによって、ナット18に緩み方向の回転力が作用しても、この回転力は、回転防止キャップ17を介して固定リング16に伝わるが、固定リング16の突起16aが受枠13の長孔13aに入り込んでいるので、ナット18は回転せず、ナット18の緩みが防止される。
【0010】
そして、側塊12と受枠13との間にモルタルを充填して、受枠13の固定が完了する。モルタルを充填しても高さ調整具19とアンカーボルト14とは、保護ブロック20と保護具21によりそれぞれ保護されているので、モルタルが付着せず、再使用が可能となる。
【0011】
なお、図9に示すように、回転防止キャップ17上にキャップ23を被せれば、固定完了後に敷設されるアスファルトから回転防止キャップ17、ナット18が保護されるので、これらの再使用も可能となる。
【0012】
【特許文献1】特許第3136514号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記従来技術によれば、アンカーボルト14に保護具21が被せられているので、アンカーボルト14の再使用が可能となるが、以下のような問題があった。
【0014】
(1)モルタルと接触する部分のアンカーボルトの長さ、すなわち、高さ調整具19と側塊12との間のアンカーボルトの長さは、受枠13の調整高さによって変化する。保護具21は、ジャバラ状になっているので、モルタルと接触するアンカーボルトの長さが短くなる分にはある程度、調整が効くが、長くなる場合には、調整が効かない。従って、予め、保護具21を長めに作っておき、必要に応じて適宜長さに切断していた。この切断作業は、施工現場で刃物を使用して行うことになり、切断位置は、側塊12との密着性を考慮すると、保護具21の山部が好ましく、正確に一直線状に切断する必要がある。しかし、このように切断することは、時間と手間がかかる。
【0015】
(2)保護具21の下面は、側塊12上面に単に乗っているのみであるので、モルタルが保護具21の下面と側塊12上面との隙間から浸入する恐れがある。
【0016】
(3)保護具に21は、全て同径であるので、アンカーボルト14の再使用の際のモルタルからの保護具21の引き抜きが円滑に行えない。
【0017】
従って、この発明の目的は、施工現場での保護具の長さ調整が簡単に行え、保護具の下面からのモルタルの浸入の恐れが少なく、しかも、アンカーボルトの再使用の際のモルタルからの引き抜きが容易に行えるアンカーボルト用保護具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明は、上記目的を達成するためになされたものであって、下記を特徴とするものである。
【0019】
請求項1記載の発明は、蓋用受枠を、アンカーボルトおよび高さ調整具を介して側塊上に固定する際に、前記高さ調整具と前記側塊との間の前記アンカーボルトに被せられる保護具であって、ジャバラ状に形成され、上下端部が山部で終わる保護具本体と、前記保護具本体の上下端部を除く各山部の周方向外面に形成された上下一対の突条とからなることに特徴を有するものである。
【0020】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明は、保護具本体と突条とは一体的に形成されていることに特徴を有するものである。
【0021】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、保護具本体の下端部は、二重に形成されていることに特徴を有するものである。
【0022】
請求項4記載の発明は、請求項1から3の何れか1つに記載の発明において、保護具本体は、下方に向って縮径していることに特徴を有するものである。
【0023】
請求項5記載の発明は、請求項1から4の何れか1つに記載の発明において、保護具本体は、柔軟性のある材質からなっていることに特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、施工現場での保護具の長さ調整が簡単に行え、保護具の下面からのモルタルの浸入の恐れが少なく、しかも、アンカーボルトの再使用の際のモルタルからの引き抜きが容易に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、この発明のアンカーボルト用保護具の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1は、この発明のアンカーボルト用保護具を示す断面図、図2は、図1の部分拡大図、図3は、この発明のアンカーボルト用保護具を示す部分拡大正面図、図4は、この発明のアンカーボルト用保護具をアンカーボルトに嵌め込んで、受枠を側塊に固定した状態を示す断面図、図5は、図4のA矢視図、図6は、適宜長さに切断したこの発明のアンカーボルト用保護具をアンカーボルトに嵌め込んで、受枠を側塊に固定した状態を示す断面図、図7は、図6のA矢視図である。
【0027】
図1から図7に示すように、この発明のアンカーボルト用保護具は、ジャバラ状に形成され、上下端部が山部で終わる保護具本体1と、保護具本体1の上下端部を除く各山部の周方向外面に、保護具本体1と一体的に形成された上下一対の突条2とからなり、ゴム等の柔軟性を有する材質によって作られている。
【0028】
保護具本体1には、上下一対の突条2が形成されているので、突条2間から保護具本体1を手あるいは刃物により容易に切断することができる。突条2は、保護具本体1の山部に形成されているので、切断面は、必ず山部になる。保護具本体1を途中で切断した場合には、その下面は、後述するように、二重に形成されないが、山部で切断されるので、側塊12上面と密着しやすく、モルタルは浸入しにくい。
【0029】
図2に示すように、保護具本体1の下端部は、二重に形成されているので、保護具本体1の下面と側塊12上面との隙間からのモルタルの浸入を確実に防止することができる。さらに、保護具本体1は、下方に向って縮径しているので、アンカーボルト14の再使用の際のモルタルからの引き抜きが容易に行える。
【0030】
上述した、この発明のアンカーボルト用保護具をアンカーボルトに嵌め込んで、受枠を側塊に固定するには、図4および図5に示すように、アンカーボルト14に保護具本体1を嵌め込み、高さ調整用ナット3により受枠13の高さ調整をした後、固定用ナット4を受枠13の長孔13aから突出したアンカーボルト14にねじ込む。そして、モルタル22を受枠13と側塊12との間に充填する。
【0031】
高さ調整用ナット3と側塊12との間隔が短い場合には、保護具本体1の長さも短くする必要があるが、この場合には、図6および図7に示すように、保護具本体1の下方部を切断する。この切断は、保護具本体1に形成された突条2間から行えるので、手による引きちぎり、あるいは、鋏等による切断により容易に行える。しかも、保護具本体1の下端の切断面は、山部になり、しかも、一直線状になるので、側塊12との密着性が良く、モルタル22の浸入を防止することができる。
【0032】
何れの場合であっても、アンカーボルト14の周囲は、保護具本体1により覆われているので、モルタル22がアンカーボルト14に付着することはない。従って、受枠13を側塊12から撤去した後のアンカーボルト14の再使用が容易に行える。
【0033】
以上のように、この発明のアンカーボルト用保護具によれば、山部に一対の突条を形成することによって、突条間からの保護具本体の切断が容易に行えるので、保護具の長さ調整が施工現場で簡単に行える。しかも、山部に突条を形成することによって、切断面は、一直線状でしかも山部になるので、側塊との密着性に優れる。従って、保護具の下面からのモルタルの浸入の恐れが少ない。さらに、保護具本体を、下方に向って縮径させることによって、アンカーボルトの再使用の際のモルタルからの保護具本体の引き抜きが容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明のアンカーボルト用保護具を示す平面図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】この発明のアンカーボルト用保護具を示す部分拡大正面図である。
【図4】この発明のアンカーボルト用保護具をアンカーボルトに嵌め込んで、受枠を側塊に固定した状態を示す断面図である。
【図5】図4のA矢視図である。
【図6】長さ調整したこの発明のアンカーボルト用保護具をアンカーボルトに嵌め込んで、受枠を側塊に固定した状態を示す断面図である。
【図7】図6のA矢視図である。
【図8】側塊上に固定された受枠を示す概略断面図である。
【図9】従来技術による受枠の固定状態を示す部分断面図である。
【図10】従来技術の固定リングを示す図であり、同図(a)は、固定リングを示す部分断面図、同図(b)は、固定リングを示す平面図である。
【図11】従来技術の回転防止キャップを示す図であり、同図(a)は、回転防止キャップを示す平面図、同図(b)は、回転防止キャップを示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1:保護具本体
2:突起
3:高さ調整用ナット
4:固定用ナット
11:鉄蓋
12:側塊
13:受枠
13a:長孔
14:アンカーボルト
15:ナット
16:固定リング
16a:突起
16b:座金
16c:外歯
17:回転防止キャップ
17a:開口
17b:爪
17c:内歯
18:ナット
19:高さ調整具
20:保護ブロック
21:保護具
22:モルタル
23:キャップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋用受枠を、アンカーボルトおよび高さ調整具を介して側塊上に固定する際に、前記高さ調整具と前記側塊との間の前記アンカーボルトに被せられる保護具であって、
ジャバラ状に形成され、上下端部が山部で終わる保護具本体と、前記保護具本体の上下端部を除く各山部の周方向外面に形成された上下一対の突条とからなることを特徴とするアンカーボルト用保護具。
【請求項2】
前記保護具本体と前記突条とは一体的に形成されていることを特徴とする、請求項1記載のアンカーボルト用保護具。
【請求項3】
前記保護具本体の下端部は、二重に形成されていることを特徴とする、請求項1または2記載のアンカーボルト用保護具。
【請求項4】
前記保護具本体は、下方に向って縮径していることを特徴とする、請求項1から3の何れか1つに記載のアンカーボルト用保護具。
【請求項5】
前記保護具本体は、柔軟性のある材質からなっていることを特徴とする、請求項1から4の何れか1つに記載のアンカーボルト用保護具。
【請求項1】
蓋用受枠を、アンカーボルトおよび高さ調整具を介して側塊上に固定する際に、前記高さ調整具と前記側塊との間の前記アンカーボルトに被せられる保護具であって、
ジャバラ状に形成され、上下端部が山部で終わる保護具本体と、前記保護具本体の上下端部を除く各山部の周方向外面に形成された上下一対の突条とからなることを特徴とするアンカーボルト用保護具。
【請求項2】
前記保護具本体と前記突条とは一体的に形成されていることを特徴とする、請求項1記載のアンカーボルト用保護具。
【請求項3】
前記保護具本体の下端部は、二重に形成されていることを特徴とする、請求項1または2記載のアンカーボルト用保護具。
【請求項4】
前記保護具本体は、下方に向って縮径していることを特徴とする、請求項1から3の何れか1つに記載のアンカーボルト用保護具。
【請求項5】
前記保護具本体は、柔軟性のある材質からなっていることを特徴とする、請求項1から4の何れか1つに記載のアンカーボルト用保護具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−31974(P2007−31974A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−213174(P2005−213174)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(000231877)日本鋳鉄管株式会社 (48)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(000231877)日本鋳鉄管株式会社 (48)
【Fターム(参考)】
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