説明

アンダーサンプリングにおけるサンプリング周波数探索方法及びプログラム

【課題】複数のシステム帯域を1つのA/D変換器で同時にサンプリングする場合、アンダーサンプリングとオーバー/アンダーサンプリングとを両立させて標本化する場合であっても、利用可能なサンプリング周波数を、計算量を増大することなく探索することができるサンプリング周波数探索方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】第1及び/又は第2のエイリアシングシステム帯域が、周波数0又はFs/2に基づく折り返しイメージによって干渉しないように、当該システム帯域について、利用可能又は利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsを設定する。次に、利用不可の範囲が設定された場合、FsにFs+ΔFsを代入して、再度、第1のステップを繰り返す。利用可能の範囲が設定された場合、両エイリアシングシステム帯域が互いに干渉しないように、サンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンダーサンプリングにおけるサンプリング周波数探索方法及びプログラムに関する。特に、複数のシステム帯域を、同時に標本化するためのサンプリング周波数を探索する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
アンダーサンプリングとは、受信信号をナイキスト周波数よりも低い周波数でサンプリングすることにより、意図的にエイリアシングイメージを発生させ、高周波数搬送波を低周波数に変換する方法をいう(例えば非特許文献1参照)。サンプリング周波数が低いので、受信機の処理能力を比較的低くできるが、ノイズ除去のためのフィルタの設計が複雑となる。逆に、オーバーサンプリングとは、受信信号をナイキスト周波数よりも高い周波数でサンプリングする方法をいう。サンプリング周波数が高いので、ノイズ除去のためのフィルタの設計を簡単にできるが、受信機に対して高い処理能力が要求される。
【0003】
図1は、アンダーサンプリングを用いた場合における周波数成分のイメージ図である。
【0004】
図1によれば、横軸が周波数を表している。白抜きの矩形状はシステム帯域を表す。システム帯域に対して、アンダーサンプリング周波数Fsを用いて標本化することによって、周波数Fs/2以下の低い周波数帯にエイリアシングが発生する。
【0005】
符号は、以下のように定義される。
Fc:システム帯域の中心周波数
Fif:サンプリング周波数Fsによる標本化後の、エイリアシングシステム帯域の中心周波数
BW:システム帯域幅、エイリアシングシステム帯域の帯域幅
BH:システム帯域の最高境界周波数と周波数Fs/2との周波数差
BH=Fs/2−(Fif+BW/2)
BL:システム帯域の最低境界周波数と周波数0との周波数差
BL=Fif−BW/2
【0006】
図2は、アンダーサンプリングにおけるエイリアシングイメージの対応説明図である。
【0007】
以下のような関数を定義する。
N=fix(a):aの小数点以下を切り捨てる関数
rem(a,b) :aをbで割った余りを得る関数
【0008】
アンダーサンプリング時のサンプリング周波数Fsに対して、以下のFifが導出される。
N=fix(Fc/(Fs/2))
Nが偶数である場合、Fif=rem(Fc,Fs)
=Fc−N×(Fs/2)
Nが奇数である場合、Fif=Fs−rem(Fc,Fs)
=(N+1)×Fs/2−Fc
【0009】
周波数信号の折り返しは、サンプリング周波数の半分(Fs/2)毎に生じる。従って、前述の式によって、システム帯域の中心周波数Fcが折り返される回数Nを、Fc/(Fs/2)によって算出する。算出された値は、fix()によって小数点以下が切り捨てられる。前述の式によって得られた値Nの偶数/奇数に応じて、エイリアシングシステム帯域のイメージの位置が異なる。
【0010】
図2(a)は、折り返し回数Nが偶数であった場合における、Fs/2以下に折り返されたエイリアシングシステム帯域を表す。
【0011】
図2(b)は、折り返し回数Nが奇数であった場合における、Fs/2以下に折り返されたエイリアシングシステム帯域を表す。
【0012】
アンダーサンプリングを用いた技術として、複数の無線システム帯域についてシステム帯域毎に標本化する際に、できる限り低いサンプリング周波数を探索することができるサンプリング周波数探索方法及びプログラムの技術がある(例えば特許文献1参照)。この技術によれば、できる限り低いサンプリング周波数Fsを探索することができるので、高速なA/D変換器を必要とせず、デジタル信号処理のためのデータ量も削減でき、更には消費電力の低減をもたらす。
【0013】
また、アンダーサンプリングを用いて、同時に受信した複数のRF信号が、標本化後に互いに重なり合うことのないサンプリング周波数範囲を算出する技術もある(例えば非特許文献2参照)。この技術は、各RF信号の標本化により生じる折り返しの位置関係によって場合分けをし、アンダーサンプリング数とRF信号の周波数とから、利用可能なサンプリング周波数を算出している。
【0014】
ここで、複数のシステム帯域を一括して標本化する受信機における一般的な機能構成について簡単に説明する。受信機は、アンテナと、低雑音増幅器LNA(Low Noise Amplifier)と、バンドパスフィルタBPF(Band Path Filter)と、A/D変換器ADC(Analog/Digital Converter)とから構成される。アンテナによって受信された信号は、低雑音増幅器によって増幅され、バンドパスフィルタによって所定帯域のみが取り出される。A/D変換器は、その帯域のみを、アンダーサンプリングによって標本化する。尚、バンドパスフィルタは、システム帯域毎に並列に設けられる。
【0015】
【非特許文献1】Dennis M. Akos, Michael Stockmaster, JamesB. Y. Tsui and Joe Caschera 「Direct Bandpass Sampling of Multiple Distinct RFSignals」、IEEE Transactions on communications、vol.47、No.7、July 1999、pp.983-988
【非特許文献2】Ching-Hsiang Tseng and Sun-Chung Chou, “DirectDownconversion of Multiband RF Signals Using Bandpass Sampling,” IEEE Trans.Commun., vol. 5, no. 1, Jan. 2006.
【特許文献1】特開2006−180373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従来技術によれば、最も低い周波数から順に、条件を満たすサンプリング周波数を発見するまで、ΔFsずつ、サンプリング周波数を増加させつつ、判定を繰り返すというアルゴリズムを採用していた(例えば、同一出願人による特願2006−161708を参照)。ΔFsを小さくするほど、繰り返し数が増大し、結果的に計算量も増大することとなる。一方で、ΔFsを大きくするほど、アンダーサンプリング可能なサンプリング周波数を見逃してしまう可能性が高くなる。
【0017】
そこで、本発明は、複数のシステム帯域を、1つのA/D変換器を用いて、同時にアンダーサンプリングによって標本化する場合、利用可能なサンプリング周波数を、計算量を増大することなく探索することができるサンプリング周波数探索方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によれば、アンダーサンプリングによってRF(Radio Frequency)信号に含まれる2つのシステムを、一括して標本化するためのサンプリング周波数Fsを探索する受信機のサンプリング周波数探索方法であって、
第1のエイリアシングシステム帯域及び第2のエイリアシングシステム帯域が、周波数0又はFs/2に基づく折り返しイメージによって干渉しないように、当該システム帯域について、利用可能又は利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsを設定する第1のステップと、
利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsが設定された場合、FsにFs+ΔFsを代入して、再度、第1のステップを繰り返す第2のステップと、
利用可能のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsが設定された場合、その範囲の中で、第1のエイリアシングシステム帯域と第2のエイリアシングシステム帯域とが互いに干渉しないように、利用可能又は利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsを算出する第3のステップと、
利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsが設定された場合、FsにFs+ΔFsを代入して、再度、第1のステップを繰り返す第4のステップと
を有することを特徴とする。
【0019】
本発明の受信機のサンプリング周波数探索方法における他の実施形態によれば、
システム帯域の中心周波数Fcがサンプリング周波数Fsによって折り返される回数を、N(=fix(Fc/(Fs/2))、fix()関数:引数の小数点以下の切り捨て)とし、
第1のステップは、当該システム帯域について、
Nが偶数又は奇数である場合、サンプリング周波数Fsの増加に応じてシステム帯域が周波数0又はFs/2の方向へ移動する特性を用いて、当該システム帯域の全部が周波数0とFs/2との間にあるとき、利用可能のサンプリング周波数範囲を算出し、当該システム帯域の一部が周波数0よりも小さく又はFs/2よりも大きいとき、利用不可のサンプリング周波数範囲を算出することも好ましい。
【0020】
本発明の受信機のサンプリング周波数探索方法における他の実施形態によれば、
第1のステップは、当該エイリアシングシステム帯域について、その帯域幅をBW(Band Width)とし、その最高境界周波数と周波数Fs/2との差をBH(Band High)とし、その最低境界周波数と周波数0との差をBL(Band Low)とし、
折り返し回数Nが偶数である場合、
当該システム帯域の全部が周波数0とFs/2との間にあるとき、ΔFsOK=BL/(N/2)として、利用可能のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsOKを算出し、
当該システム帯域の一部が周波数0よりも小さいとき、ΔFsL=(BW+BL)/(N/2)として、利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsLを算出し、
当該システム帯域の一部が周波数Fs/2よりも大きいとき、ΔFsH=BH/(N/2+1/2)として、利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsHを算出し、
折り返し回数Nが奇数である場合、
当該システム帯域の全部が周波数0とFs/2との間にあるとき、ΔFsOK=BH/(N/2)として、利用可能のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsOKを算出し、
当該システム帯域の一部が周波数Fs/2よりも大きいとき、ΔFsH=(BW+BL)/(N/2)として、利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsHを算出し、
当該システム帯域の一部が周波数0よりも小さいとき、ΔFsL=(−BL)/(N/2+1/2)として、利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsLを算出する
ことも好ましい。
【0021】
本発明の受信機のサンプリング周波数探索方法における他の実施形態によれば、
サンプリング周波数Fsの単位増分量あたりの、エイリアシングシステム帯域の周波数移動量をv(高周波数方向を正とする)とし、第1のエイリアシングシステム帯域の周波数移動量v1と、第2のエイリアシングシステム帯域の周波数移動量v2との移動量相対差をΔv(=v1−v2)とし、
第1のエイリアシングシステム帯域と、第2のエイリアシングシステム帯域とのシステム帯域間隔をΔF(高周波数方向を正とする)とし、
第3のステップは、
システム帯域間隔ΔFが0以上である場合、
移動量相対差Δvが0以上であるとき、ΔFs=(BW1+BW2−ΔF)/Δvとして、利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsを算出し、
移動量相対差Δvが0よりも小さいとき、ΔFs=ΔF/(−Δv)として、利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsを算出し、
システム帯域間隔ΔFが0よりも小さい場合、
移動量相対差Δvが0以上であるとき、(−ΔF)/Δv、ΔFsOK1及びΔFsOK2の中で最小値をΔFsOKとして、利用可能のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsOKを算出し、
移動量相対差Δvが0よりも小さいとき、ΔFsOK1及びΔFsOK2の中で最小値をΔFsOKとして、利用可能のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsOKを算出する
ことも好ましい。
【0022】
本発明の受信機のサンプリング周波数探索方法における他の実施形態によれば、
第1のエイリアシングシステム帯域又は第2のエイリアシングシステム帯域のいずれか一方が、オーバーサンプリングによって検出されたシステム帯域であることも好ましい。
【0023】
本発明によれば、アンダーサンプリングによってRF信号に含まれる2つのシステムを、一括して標本化するためのサンプリング周波数Fsを探索する受信機に搭載されたコンピュータを実行させるサンプリング周波数探索プログラムであって、
第1のエイリアシングシステム及び第2のエイリアシングシステム帯域が、周波数0又はFs/2に基づく折り返しイメージによって干渉しないように、当該システム帯域について、利用可能又は利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsを設定する第1のステップと、
利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsが設定された場合、FsにFs+ΔFsを代入して、再度、第1のステップを繰り返す第2のステップと、
利用可能のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsが設定された場合、その範囲の中で、第1のエイリアシングシステム帯域と第2のエイリアシングシステム帯域とが互いに干渉しないように、利用可能又は利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsを算出する第3のステップと、
利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsが設定された場合、FsにFs+ΔFsを代入して、再度、第1のステップを繰り返す第4のステップと
してコンピュータを実行させることを特徴とする。
【0024】
本発明の受信機用のサンプリング周波数探索プログラムにおける他の実施形態によれば、
システム帯域の中心周波数Fcがサンプリング周波数Fsによって折り返される回数を、N(=fix(Fc/(Fs/2))、fix()関数:引数の小数点以下の切り捨て)とし、
第1のステップは、当該システム帯域について、
Nが偶数又は奇数である場合、サンプリング周波数Fsの増加に応じてシステム帯域が周波数0又はFs/2の方向へ移動する特性を用いて、当該システム帯域の全部が周波数0とFs/2との間にあるとき、利用可能のサンプリング周波数範囲を算出し、当該システム帯域の一部が周波数0よりも小さく又はFs/2よりも大きいとき、利用不可のサンプリング周波数範囲を算出するようにコンピュータを実行させることも好ましい。
【0025】
本発明の受信機用のサンプリング周波数探索プログラムにおける他の実施形態によれば、
第1のステップは、当該エイリアシングシステム帯域について、その帯域幅をBW(Band Width)とし、その最高境界周波数と周波数Fs/2との差をBH(Band High)とし、その最低境界周波数と周波数0との差をBL(Band Low)とし、
折り返し回数Nが偶数である場合、
当該システム帯域の全部が周波数0とFs/2との間にあるとき、ΔFsOK=BL/(N/2)として、利用可能のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsOKを算出し、
当該システム帯域の一部が周波数0よりも小さいとき、ΔFsL=(BW+BL)/(N/2)として、利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsLを算出し、
当該システム帯域の一部が周波数Fs/2よりも大きいとき、ΔFsH=BH/(N/2+1/2)として、利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsHを算出し、
折り返し回数Nが奇数である場合、
当該システム帯域の全部が周波数0とFs/2との間にあるとき、ΔFsOK=BH/(N/2)として、利用可能のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsOKを算出し、
当該システム帯域の一部が周波数Fs/2よりも大きいとき、ΔFsH=(BW+BL)/(N/2)として、利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsHを算出し、
当該システム帯域の一部が周波数0よりも小さいとき、ΔFsL=(−BL)/(N/2+1/2)として、利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsLを算出する
ようにコンピュータを実行させることも好ましい。
【0026】
本発明の受信機用のサンプリング周波数探索プログラムにおける他の実施形態によれば、
サンプリング周波数Fsの単位増分量あたりの、エイリアシングシステム帯域の周波数移動量をv(高周波数方向を正とする)とし、第1のエイリアシングシステム帯域の周波数移動量v1と、第2のエイリアシングシステム帯域の周波数移動量v2との移動量相対差をΔv(=v1−v2)とし、
第1のエイリアシングシステム帯域と、第2のエイリアシングシステム帯域とのシステム帯域間隔をΔF(高周波数方向を正とする)とし、
第3のステップは、
システム帯域間隔ΔFが0以上である場合、
移動量相対差Δvが0以上であるとき、ΔFs=(BW1+BW2−ΔF)/Δvとして、利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsを算出し、
移動量相対差Δvが0よりも小さいとき、ΔFs=ΔF/(−Δv)として、利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsを算出し、
システム帯域間隔ΔFが0よりも小さい場合、
移動量相対差Δvが0以上であるとき、(−ΔF)/Δv、ΔFsOK1及びΔFsOK2の中で最小値をΔFsOKとして、利用可能のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsOKを算出し、
移動量相対差Δvが0よりも小さいとき、ΔFsOK1及びΔFsOK2の中で最小値をΔFsOKとして、利用可能のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsOKを算出する
ようにコンピュータを実行させることも好ましい。
【0027】
本発明の受信機用のサンプリング周波数探索プログラムにおける他の実施形態によれば、
第1のエイリアシングシステム帯域又は第2のエイリアシングシステム帯域のいずれか一方が、オーバーサンプリングによって検出されたシステム帯域であることも好ましい。
【0028】
本発明によれば、受信機であって、
前述したプログラムを実行するコンピュータと、
コンピュータから出力されるサンプリング周波数Fsに応じて、サンプリングクロックを生成するサンプリングクロック生成手段と、
サンプリングクロックに応じて、受信したアナログ信号を、デジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換手段と
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明のサンプリング周波数探索方法及びプログラムによれば、複数のシステム帯域を、1つのA/D変換器を用いて、同時にアンダーサンプリングによって標本化する場合であっても、利用可能なサンプリング周波数を、計算量を増大することなく探索することができる。これは、高速なA/D変換器を必要とせず、デジタル信号処理の計算量も削減でき、更には消費電力の低減をもたらし、結果的に受信機の小型化も可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下では、図面を用いて、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0031】
図3は、受信機の機能構成図である。
【0032】
図3によれば、2つのシステム帯域の一括サンプリングに対応した受信機が描かれている。アンテナ101による受信信号は、低雑音増幅器102によって増幅され、システム帯域毎のバンドパスフィルタ103によって2つのシステム帯域が取り出される。2つのシステム帯域の信号は、A/D変換器104に入力され、一括サンプリングがなされる。
【0033】
A/D変換器104のサンプリング周波数Fsは、サンプリングクロック生成部109から供給される。サンプリング周波数Fsは、CPU110によって探索される。そのサンプリング周波数Fsによって検出される2つのシステム帯域は、2つともアンダーサンプリングに基づくエイリアシングシステム帯域であってもよいし、アンダーサンプリングに基づくエイリアシングシステム帯域とオーバーサンプリングに基づくシステム帯域とであってもよい。
【0034】
A/D変換器104から出力された2つのデジタル信号は、信号分離部105へ入力され、分離される。2つのデジタル信号はそれぞれ、直交復調器106に入力される。直交復調器106は、入力されたデジタル信号を、2つの乗算器によって、数値制御発振器NCOから出力された正弦波信号と乗算する。ここで、数値制御発振器NCOの発振周波数は、エイリアシングシステム帯域の中心周波数Fifと同じである。また、Qチャネルには、移相器によってπ/2ラジアンだけ位相の遅れた正弦波が乗算される。その結果、乗算器それぞれは、チャネルのIチャネル及びQチャネルのベースバンド信号を出力する。
【0035】
直交復調器106から出力されたベースバンド信号(Iチャネル及びQチャネル)はそれぞれ、ローパスフィルタ107によって、直交復調により生じた高周波成分が除去される。各ローパスフィルタ107から出力された信号は、復調器108によって復調される。
【0036】
尚、以下で説明する、サンプリング周波数Fsを探索するためのフローチャートの処理は全て、CPU110によって実行される。
【0037】
図4は、本発明におけるサンプリング周波数探索方法のフローチャートである。
【0038】
本発明の処理は、以下の4つのステップからなる。尚、図4によれば、サンプリング周波数Fsの初期値は、2つのシステム帯域幅の和となるFs=BW1+BW2として仮決めする。例えば、他の実施形態として、例えば初期値Fs=40MHzの固定値として、少しずつFsを下げていくこともできる。仮決めのFsは、最小値に設定する。
【0039】
(第1のステップ)
(S401)システム帯域1について、システム帯域判定処理を実行する。システム帯域判定処理は、アンダーサンプリングによって検出される第1のエイリアシングシステム帯域が、周波数0又はFs/2に基づく折り返しイメージによって干渉しないように、利用可能又は利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsを設定する。例えば、システム帯域1における利用不可のサンプリング周波数範囲は、ΔFsH1及びΔFsL1によって表される。
(S402)システム帯域2について、S401と同様に、システム帯域判定処理を実行する。例えば、システム帯域2における利用不可のサンプリング周波数範囲は、ΔFsH2及びΔFsL2によって表される。
【0040】
(第2のステップ)
(S403)ΔFsH1、ΔFsL1、ΔFsH2及びΔFsL2が設定されているか否か、即ち、利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsが設定されているか否かを判定する。
(S404)ΔFsH1、ΔFsL1、ΔFsH2及びΔFsL2が設定されている場合、それらの中で最大値をΔFsに設定する。そして、FsにFs+ΔFsを代入して、再度、S401へ戻る。
【0041】
(第3のステップ)
(S405)ΔFsH1、ΔFsL1、ΔFsH2及びΔFsL2が設定されていない場合、即ち、利用可能のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsが設定された場合、サンプリング周波数範囲算出処理を実行する。この処理は、利用可能のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsの範囲の中で、第1のエイリアシングシステム帯域と第2のエイリアシングシステム帯域とが互いに干渉しないように、利用可能又は利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsを算出する。
【0042】
(第4のステップ)
(S406)ΔFsOKが設定されている場合、即ち、利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsが設定された場合、FsにFs+ΔFsを代入して、再度、S401へ戻る。
【0043】
(S407)ここで、Fs+ΔFsがサンプリング周波数として決定される。但し、次に
別のサンプリング周波数を探索する場合、FsにFs+ΔFsを代入して、再度、S401へ戻る。
【0044】
図5は、システム帯域判定処理のフローチャートである。
【0045】
図6は、図5に対して、Nが偶数である場合に、ΔFsに応じたエイリアシングシステム帯域の移動を表すイメージ図である。
【0046】
図7は、図5に対して、Nが奇数である場合に、ΔFsに応じたエイリアシングシステム帯域の移動を表すイメージ図である。
【0047】
以下では、図6及び図7を参照しながら、図5のフローチャートに沿って説明する。尚、図6及び図7について、移動ベクトルは、周波数が高くなる向きを「正・+」とし、周波数が低くなる向きを「負・−」とする。
【0048】
(S501)最初に、そのエイリアシングシステム帯域における折り返し回数Nが、以下のように算出される。また、そのサンプリング周波数Fsに対して、エイリアシングシステム帯域の中心周波数Fifが、以下のように算出される。
N=fix{Fc/(Fs/2)}
Nが偶数である場合、Fif=rem(Fc,Fs)=Fc−N×(Fs/2)
Nが奇数である場合、Fif=Fs−rem(Fc,Fs)=(N+1)×Fs/2−Fc
【0049】
(S502)次に、そのシステム帯域に対して、BH及びBLが、以下のように算出される。
BH:システム帯域の最高境界周波数と周波数Fs/2との周波数差
BH=Fs/2−(Fif+BW/2)
BL:システム帯域の最低境界周波数と周波数0との周波数差
BL=Fif−BW/2
【0050】
(S503)折り返し回数Nが、偶数であるか奇数であるかを判定する。
【0051】
Nが偶数である場合、FsをΔFsだけ増加させると、図6のように左方向へ、即ち「負・−」の方向へ移動する。このとき、エイリアシングシステム帯域の中心周波数Fifの移動量は、「負」の方向へ、以下のΔFifだけ移動する。
ΔFif=−(N/2)×ΔFs
【0052】
Nが奇数である場合、FsをΔFsだけ増加させると、図7のように右方向へ、即ち「正・+」の方向へ移動する。このとき、エイリアシングシステム帯域の中心周波数Fifの移動量は、「正」の方向へ、以下のΔFifだけ移動する。
ΔFif=((N1+1)/2)×ΔFs
【0053】
(S504)Nが偶数である場合、BH≧0(エイリアシングシステム帯域の最高境界周波数が、Fs/2以下)であるか否かを判定する。BH≧0の場合、Fs/2に基づく折り返しイメージは無い。
【0054】
(S505)次に、BH≧0の場合に、BL≧0(エイリアシングシステム帯域の最低境界周波数が、周波数0以下)であるか否かを判定する。
【0055】
(S506)BL≧0である場合(YES)、周波数0に基づく折り返しイメージは無い。エイリアシングシステム帯域は、図6(a)のイメージの位置にある。このとき、以下のΔFsOKに基づくサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsOKが、利用可能と判定される。
ΔFsOK=BL/(N/2)
Fsを増加させることによって、そのエイリアシングシステム帯域を、図6のように左方向へ移動させつつ、周波数0以上の境界位置まで移動させる。その位置におけるFs+ΔFsに基づいて、利用可能のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsOKを算出する。
【0056】
(S507)BL≧0でない場合(NO、BL<0)、エイリアシングシステム帯域の最低境界周波数が0よりも低く、エイリアシングシステム帯域の一部が、周波数0よりも小さくなっている。エイリアシングシステム帯域は、図6(b)のイメージの位置にある。このとき、以下のΔFsLに基づくサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsLが、利用不可と判定される。
ΔFsL=(BW+BL)/(N/2)
Fsを増加させることによって、そのエイリアシングシステム帯域は、図6のように左方向へ移動し、その間、常に周波数0よりも小さくなっている。その間のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsLが、利用不可と判定される。
【0057】
(S508)BH≧0でない場合(BH<0)、エイリアシングシステム帯域の最高境界周波数がFs/2よりも高く、エイリアシングシステム帯域の一部が、Fs/2よりも大きくなっている。エイリアシングシステム帯域は、図6(c)のイメージの位置にある。このとき、以下のΔFsHに基づくサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsHが、利用不可と判定される。
ΔFsH=(−BH)/(N/2+1/2)
Fsを増加させることによって、そのエイリアシングシステム帯域は、図6のように左方向へ移動し、その最高境界周波数がFs/2と一致するまで、その一部が周波数Fs/2よりも大きい。その間のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsHが、利用不可と判定される。
【0058】
(S514)Nが奇数である場合、BL≧0(エイリアシングシステム帯域の最低境界周波数が、周波数0以上)であるか否かを判定する。BL≧0の場合、周波数0に基づく折り返しイメージは無い。
【0059】
(S515)次に、BL≧0である場合、BH≧0(エイリアシングシステム帯域の最高境界周波数が、周波数Fs/2以下)であるか否かを判定する。
【0060】
(S516)BH≧0である場合(YES)、周波数Fs/2に基づく折り返しイメージは無い。エイリアシングシステム帯域は、図7(a)のイメージの位置にある。このとき、以下のΔFsOKに基づくサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsOKが、利用可能と判定される。
ΔFsOK=BH/(N/2)
Fsを増加させることによって、そのエイリアシングシステム帯域を、図7のように右方向へ移動させつつ、周波数Fs/2以下となる境界位置まで移動させる。その位置におけるFs+ΔFsに基づいて、利用可能のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsOKを算出する。
【0061】
(S517)BH≧0でない場合(NO、BH<0)、エイリアシングシステム帯域の最低境界周波数がFs/2よりも高く、エイリアシングシステム帯域の一部が、周波数Fs/2よりも大きくなっている。エイリアシングシステム帯域は、図7(b)のイメージの位置にある。このとき、以下のΔFsHに基づくサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsHが、利用不可と判定される。
ΔFsH=(BW+BL)/(N/2)
Fsを増加させることによって、そのエイリアシングシステム帯域は、図7のように右方向へ移動し、その間、その一部が常に周波数Fs/2よりも大きい。その間のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsHが、利用不可と判定される。
【0062】
(S518)BL≧0でない場合(BL<0)、エイリアシングシステム帯域の最低境界周波数が、周波数0よりも低く、エイリアシングシステム帯域の一部が、周波数0よりも小さくなっている。エイリアシングシステム帯域は、図7(c)のイメージの位置にある。このとき、以下のΔFsLに基づくサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsLが、利用不可と判定される。
ΔFsL=(−BL)/(N/2+1/2)
Fsを増加させることによって、そのエイリアシングシステム帯域は、図7のように右方向へ移動し、その最低境界周波数が周波数0と一致するまで、その一部が周波数0よりも小さい。その間のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsLが、利用不可と判定される。
【0063】
図8は、サンプリング周波数範囲算出処理のフローチャートである。
【0064】
図9は、図8のS803〜S805について、エイリアシングシステム帯域の移動を表すイメージ図である。
【0065】
図10は、図8のS813〜S855について、エイリアシングシステム帯域の移動を表すイメージ図である。
【0066】
以下では、図9及び図10を参照しながら、図8のフローチャートに沿って説明する。
【0067】
(S800)最初に、Fif1>Fif2の関係にする。即ち、Fif1<Fif2の場合、第1のエイリアシングシステム帯域と第2のエイリアシングシステム帯域とを入れ替える。即ち、Fif1とFif2とを入れ替え、勿論、BW1とBW2とも入れ替える。
【0068】
(S801)サンプリング周波数Fsの単位増分量あたりの、エイリアシングシステム帯域の周波数移動量をvとする。周波数移動量は、以下のように表される。
Nが偶数である場合: v=−N/2
奇数である場合: v=N/2+1/2
【0069】
そして、第1のエイリアシングシステム帯域の周波数移動量v1と、第2のエイリアシングシステム帯域の周波数移動量v2との移動量相対差Δv(=v1−v2)を、算出する。また、第1のエイリアシングシステム帯域と、第2のエイリアシングシステム帯域とのシステム帯域間隔をΔF(高周波数方向を正とする)とする。
ΔF=(Fif1+BW1/2)−(Fif2−BW2/2)
【0070】
(S802)システム帯域間隔ΔFが0以上であるか否かを判定する。
【0071】
(S803)システム帯域間隔ΔFが0以上である場合、エイリアシングシステム帯域は、図9(a)のイメージの位置にある。このとき、移動量相対差Δvが0以上であるか否かを判定する。
【0072】
(S804)システム帯域間隔ΔFが0以上であって、且つ、移動量相対差Δvが0以上である。エイリアシングシステム帯域は、図9(b)のイメージの位置にある。このとき以下のΔFsによって、利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsを算出する。
ΔFs=(BW1+BW2−ΔF)/Δv
Fsを増加させることによって、2つのエイリアシングシステム帯域は、図9(b)のように狭くなっていき、重畳し、その後、図9(c)のように帯域間隔が広がるようになっていく。
【0073】
(S805)システム帯域間隔ΔFが0以上であって、且つ、移動量相対差Δvが0よりも小さい。エイリアシングシステム帯域は、図9(d)のイメージの位置にある。このとき以下のΔFsによって、利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsを算出する。
ΔFs=ΔF/(−Δv)
Fsを増加させることによって、2つのエイリアシングシステム帯域の間隔は、図9(d)のように広がっていき、その後、図9(e)のように帯域間隔が広がっていく。
【0074】
(S813)システム帯域間隔ΔFが0よりも小さい場合、エイリアシングシステム帯域は、図10(a)のイメージの位置にある。このとき、移動量相対差Δvが0以上であるか否かを判定する。
【0075】
(S814)システム帯域間隔ΔFが0よりも小さく、且つ、移動量相対差Δvが0以上である。このとき、(−ΔF)/Δv、ΔFsOK1及びΔFsOK2の中で最小値をΔFsOKとして、利用可能のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsOKを算出する。
Fsを増加させることによって、2つのエイリアシングシステム帯域は、図10(b)のように狭くなっていき、重畳し、その後、図10(c)のように帯域間隔が広がっていく。
【0076】
(S815)システム帯域間隔ΔFが0よりも小さく、且つ、移動量相対差Δvが0よりも小さい。このとき、ΔFsOK1及びΔFsOK2の中で最小値をΔFsOKとして、利用可能のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsOKを算出する。
Fsを増加させることによって、2つのエイリアシングシステム帯域の間隔は、図10(d)のように広がっていく。
【0077】
以上、詳細に説明したように、本発明のサンプリング周波数探索方法及びプログラムによれば、複数のシステム帯域を、1つのA/D変換器を用いて、同時にアンダーサンプリングによって標本化する場合であっても、利用可能なサンプリング周波数を、計算量を増大することなく探索することができる。これは、高速なA/D変換器を必要とせず、デジタル信号処理の計算量も削減でき、更には消費電力の低減をもたらし、結果的に受信機の小型化も可能とする。このようなサンプリング周波数探索方法及びプログラムは、サンプリング周波数を探索する発振周波数探索回路に、特に用途がある。
【0078】
前述した本発明の種々の実施形態において、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】アンダーサンプリングを用いた場合における周波数成分のイメージ図である。
【図2】アンダーサンプリングにおけるエイリアシングイメージの対応説明図である。
【図3】受信機の機能構成図である。
【図4】本発明におけるサンプリング周波数探索方法のフローチャートである。
【図5】システム帯域判定処理のフローチャートである。
【図6】図5に対して、Nが偶数である場合に、ΔFsに応じたエイリアシングシステム帯域の移動を表すイメージ図である。
【図7】図5に対して、Nが奇数である場合に、ΔFsに応じたエイリアシングシステム帯域の移動を表すイメージ図である。
【図8】サンプリング周波数範囲算出処理のフローチャートである。
【図9】図8のS803〜S805について、エイリアシングシステム帯域の移動を表すイメージ図である。
【図10】図8のS813〜S855について、エイリアシングシステム帯域の移動を表すイメージ図である。
【符号の説明】
【0080】
101 アンテナ
102 低雑音増幅器、LNA
103 帯域通過フィルタ、バンドパスフィルタ、BPF
104 A/D変換器、ADC
105 信号分離部
106 直交復調器
107 低域通過フィルタ、ローパスフィルタ
108 復調器
109 サンプリングクロック生成部
110 CPU、コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンダーサンプリングによってRF(Radio Frequency)信号に含まれる2つのシステムを、一括して標本化するためのサンプリング周波数Fsを探索する受信機のサンプリング周波数探索方法であって、
第1のエイリアシングシステム帯域及び第2のエイリアシングシステム帯域が、前記周波数0又はFs/2に基づく折り返しイメージによって干渉しないように、当該システム帯域について、利用可能又は利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsを設定する第1のステップと、
利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsが設定された場合、FsにFs+ΔFsを代入して、再度、第1のステップを繰り返す第2のステップと、
利用可能のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsが設定された場合、その範囲の中で、第1のエイリアシングシステム帯域と第2のエイリアシングシステム帯域とが互いに干渉しないように、利用可能又は利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsを算出する第3のステップと、
利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsが設定された場合、FsにFs+ΔFsを代入して、再度、第1のステップを繰り返す第4のステップと
を有することを特徴とする受信機のサンプリング周波数探索方法。
【請求項2】
システム帯域の中心周波数Fcが前記サンプリング周波数Fsによって折り返される回数を、N(=fix(Fc/(Fs/2))、fix()関数:引数の小数点以下の切り捨て)とし、
第1のステップは、当該システム帯域について、
前記Nが偶数又は奇数である場合、サンプリング周波数Fsの増加に応じて前記システム帯域が周波数0又はFs/2の方向へ移動する特性を用いて、当該システム帯域の全部が周波数0とFs/2との間にあるとき、利用可能のサンプリング周波数範囲を算出し、当該システム帯域の一部が周波数0よりも小さく又はFs/2よりも大きいとき、利用不可のサンプリング周波数範囲を算出することを特徴とする請求項1に記載の受信機のサンプリング周波数探索方法。
【請求項3】
第1のステップは、当該エイリアシングシステム帯域について、その帯域幅をBW(Band Width)とし、その最高境界周波数と周波数Fs/2との差をBH(Band High)とし、その最低境界周波数と周波数0との差をBL(Band Low)とし、
折り返し回数Nが偶数である場合、
当該システム帯域の全部が周波数0とFs/2との間にあるとき、ΔFsOK=BL/(N/2)として、利用可能のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsOKを算出し、
当該システム帯域の一部が周波数0よりも小さいとき、ΔFsL=(BW+BL)/(N/2)として、利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsLを算出し、
当該システム帯域の一部が周波数Fs/2よりも大きいとき、ΔFsH=BH/(N/2+1/2)として、利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsHを算出し、
折り返し回数Nが奇数である場合、
当該システム帯域の全部が周波数0とFs/2との間にあるとき、ΔFsOK=BH/(N/2)として、利用可能のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsOKを算出し、
当該システム帯域の一部が周波数Fs/2よりも大きいとき、ΔFsH=(BW+BL)/(N/2)として、利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsHを算出し、
当該システム帯域の一部が周波数0よりも小さいとき、ΔFsL=(−BL)/(N/2+1/2)として、利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsLを算出する
ことを特徴とする請求項2に記載の受信機のサンプリング周波数探索方法。
【請求項4】
サンプリング周波数Fsの単位増分量あたりの、エイリアシングシステム帯域の周波数移動量をv(高周波数方向を正とする)とし、第1のエイリアシングシステム帯域の周波数移動量v1と、第2のエイリアシングシステム帯域の周波数移動量v2との移動量相対差をΔv(=v1−v2)とし、
第1のエイリアシングシステム帯域と、第2のエイリアシングシステム帯域とのシステム帯域間隔をΔF(高周波数方向を正とする)とし、
第3のステップは、
システム帯域間隔ΔFが0以上である場合、
移動量相対差Δvが0以上であるとき、ΔFs=(BW1+BW2−ΔF)/Δvとして、利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsを算出し、
移動量相対差Δvが0よりも小さいとき、ΔFs=ΔF/(−Δv)として、利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsを算出し、
システム帯域間隔ΔFが0よりも小さい場合、
移動量相対差Δvが0以上であるとき、(−ΔF)/Δv、ΔFsOK1及びΔFsOK2の中で最小値をΔFsOKとして、利用可能のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsOKを算出し、
移動量相対差Δvが0よりも小さいとき、ΔFsOK1及びΔFsOK2の中で最小値をΔFsOKとして、利用可能のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsOKを算出する
ことを特徴とする請求項3に記載の受信機のサンプリング周波数探索方法。
【請求項5】
第1のエイリアシングシステム帯域又は第2のエイリアシングシステム帯域のいずれか一方が、オーバーサンプリングによって検出されたシステム帯域であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の受信機のサンプリング周波数探索方法。
【請求項6】
アンダーサンプリングによってRF信号に含まれる2つのシステムを、一括して標本化するためのサンプリング周波数Fsを探索する受信機に搭載されたコンピュータを実行させるサンプリング周波数探索プログラムであって、
第1のエイリアシングシステム及び第2のエイリアシングシステム帯域が、前記周波数0又はFs/2に基づく折り返しイメージによって干渉しないように、当該システム帯域について、利用可能又は利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsを設定する第1のステップと、
利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsが設定された場合、FsにFs+ΔFsを代入して、再度、第1のステップを繰り返す第2のステップと、
利用可能のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsが設定された場合、その範囲の中で、第1のエイリアシングシステム帯域と第2のエイリアシングシステム帯域とが互いに干渉しないように、利用可能又は利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsを算出する第3のステップと、
利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsが設定された場合、FsにFs+ΔFsを代入して、再度、第1のステップを繰り返す第4のステップと
してコンピュータを実行させることを特徴とする受信機用のサンプリング周波数探索プログラム。
【請求項7】
システム帯域の中心周波数Fcが前記サンプリング周波数Fsによって折り返される回数を、N(=fix(Fc/(Fs/2))、fix()関数:引数の小数点以下の切り捨て)とし、
第1のステップは、当該システム帯域について、
前記Nが偶数又は奇数である場合、サンプリング周波数Fsの増加に応じて前記システム帯域が周波数0又はFs/2の方向へ移動する特性を用いて、当該システム帯域の全部が周波数0とFs/2との間にあるとき、利用可能のサンプリング周波数範囲を算出し、当該システム帯域の一部が周波数0よりも小さく又はFs/2よりも大きいとき、利用不可のサンプリング周波数範囲を算出するようにコンピュータを実行させることを特徴とする請求項6に記載の受信機用のサンプリング周波数探索プログラム。
【請求項8】
第1のステップは、当該エイリアシングシステム帯域について、その帯域幅をBW(Band Width)とし、その最高境界周波数と周波数Fs/2との差をBH(Band High)とし、その最低境界周波数と周波数0との差をBL(Band Low)とし、
折り返し回数Nが偶数である場合、
当該システム帯域の全部が周波数0とFs/2との間にあるとき、ΔFsOK=BL/(N/2)として、利用可能のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsOKを算出し、
当該システム帯域の一部が周波数0よりも小さいとき、ΔFsL=(BW+BL)/(N/2)として、利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsLを算出し、
当該システム帯域の一部が周波数Fs/2よりも大きいとき、ΔFsH=BH/(N/2+1/2)として、利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsHを算出し、
折り返し回数Nが奇数である場合、
当該システム帯域の全部が周波数0とFs/2との間にあるとき、ΔFsOK=BH/(N/2)として、利用可能のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsOKを算出し、
当該システム帯域の一部が周波数Fs/2よりも大きいとき、ΔFsH=(BW+BL)/(N/2)として、利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsHを算出し、
当該システム帯域の一部が周波数0よりも小さいとき、ΔFsL=(−BL)/(N/2+1/2)として、利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsLを算出する
ようにコンピュータを実行させることを特徴とする請求項7に記載の受信機用のサンプリング周波数探索プログラム。
【請求項9】
サンプリング周波数Fsの単位増分量あたりの、エイリアシングシステム帯域の周波数移動量をv(高周波数方向を正とする)とし、第1のエイリアシングシステム帯域の周波数移動量v1と、第2のエイリアシングシステム帯域の周波数移動量v2との移動量相対差をΔv(=v1−v2)とし、
第1のエイリアシングシステム帯域と、第2のエイリアシングシステム帯域とのシステム帯域間隔をΔF(高周波数方向を正とする)とし、
第3のステップは、
システム帯域間隔ΔFが0以上である場合、
移動量相対差Δvが0以上であるとき、ΔFs=(BW1+BW2−ΔF)/Δvとして、利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsを算出し、
移動量相対差Δvが0よりも小さいとき、ΔFs=ΔF/(−Δv)として、利用不可のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsを算出し、
システム帯域間隔ΔFが0よりも小さい場合、
移動量相対差Δvが0以上であるとき、(−ΔF)/Δv、ΔFsOK1及びΔFsOK2の中で最小値をΔFsOKとして、利用可能のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsOKを算出し、
移動量相対差Δvが0よりも小さいとき、ΔFsOK1及びΔFsOK2の中で最小値をΔFsOKとして、利用可能のサンプリング周波数範囲Fs〜Fs+ΔFsOKを算出する
ようにコンピュータを実行させることを特徴とする請求項8に記載の受信機用のサンプリング周波数探索プログラム。
【請求項10】
第1のエイリアシングシステム帯域又は第2のエイリアシングシステム帯域のいずれか一方が、オーバーサンプリングによって検出されたシステム帯域であることを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載の受信機のサンプリング周波数探索プログラム。
【請求項11】
請求項6から10のいずれか1項に記載のプログラムを実行するコンピュータと、
前記コンピュータから出力されるサンプリング周波数Fsに応じて、サンプリングクロックを生成するサンプリングクロック生成手段と、
前記サンプリングクロックに応じて、受信したアナログ信号を、デジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換手段と
を有することを特徴とする受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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