説明

アンテナエレメントおよび無線通信端末

【課題】可撓性部分を備えるアンテナエレメントにおいて、コンパクトな形態に変形させたときのアンテナエレメントの性能を向上させること。
【解決手段】本発明に係るアンテナエレメントは、第1形態と、当該第1形態から、らせん状に巻かれたか、または、ジグザグ状に折り畳まれた形態である第2形態と、の間で変形するようになっている線状または帯状の可撓性部分を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性部分を備えたアンテナエレメントおよび当該アンテナエレメントを備えた無線通信端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、可撓性を有する部品を備えた無線通信端末が開発されている。特許文献1に記載の携帯端末装置は、可撓性を有し、巻き取り可能なディスプレイを備えている。図10は、特許文献1に記載の携帯端末装置100の概略構成を示す正面図であり、図11は、携帯端末100の概略構成を示す側方断面図である。
【0003】
図10(b)および図11(b)に示すように、携帯端末装置100によれば、筐体150からディスプレイ180を引き出すことにより大容量の情報を表示可能であり、図10(a)および図11(a)に示すように、ディスプレイ180を筐体160内に巻き取ることにより筐体を小型化することができる。
【0004】
なお、携帯端末装置100では、アンテナエレメント110もまた、可撓性を有している。ディスプレイ180の両側には、巻き取ったときのディスプレイ180同士の直接接触を避けるための緩衝部が設けられており、当該緩衝部内にアンテナエレメント110が内包されている。したがって、図11(a)に示すように、アンテナエレメント110もまた、ディスプレイ180の巻き取りに伴い巻き取られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−279841号公報(平成18年10月12日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の携帯端末装置100では、ディスプレイ180が引き出された状態では、アンテナエレメント110の性能を確保することができるが、携帯端末装置100を小型化するためにディスプレイ180を巻き取った場合(図10(a)および図11(a))、アンテナエレメント110の性能を確保することは困難である。すなわち、図11(b)に示すように渦巻き状に巻き取られたアンテナエレメント110は、隣接するアンテナエレメント110同士が結合して電気長が短くなり、十分な性能を確保することができない。
【0007】
このように、従来技術では、可撓性部分を備えるアンテナエレメントを、コンパクトな形態に変形させたとき、当該アンテナエレメントの性能を十分に確保することができないという問題がある。そのため、可撓性部分を備えるアンテナエレメントにおいて、コンパクトな形態に変形させたときのアンテナエレメントの性能を向上させるための技術が求められている。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、可撓性部分を備えるアンテナエレメントにおいて、コンパクトな形態に変形させたときのアンテナエレメントの性能を向上させるための技術を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るアンテナエレメントは、上記課題を解決するために、第1形態と、当該第1形態から、らせん状に巻かれたか、または、ジグザグ状に折り畳まれた形態である第2形態と、の間で変形するようになっている線状または帯状の可撓性部分を備えていることを特徴としている。
【0010】
上記の構成によれば、上記アンテナエレメントの一部分である可撓性部分は、第1形態と第2形態との間で変形するようになっている。また、第2形態は、第1形態から巻かれたか、折り畳まれた形態であるため、第1形態よりもコンパクトな形態となる。
【0011】
ここで、上記アンテナエレメントの可撓性部分は、第2形態において、第1形態から、らせん状に巻かれたか、ジグザグ状に折り畳まれたものである。このような可撓性部分は、第2形態において、ヘリカルアンテナまたはメアンダアンテナとして動作するため、電気長を長くすることができる。このように、本発明によれば、可撓性部分をコンパクトな形態である第2形態に変形させたときのアンテナエレメントの性能を首尾よく向上させることができる。なお、アンテナエレメントが、らせん状に巻かれる第1の可撓性部分と、ジグザグ状に折り畳まれる第2の可撓性部分との両方を備えていてもよい。
【0012】
上記アンテナエレメントでは、第2形態は、第1形態から、上記可撓性部分の両端を結ぶ直線を含む平面に直交しない軸を中心としてらせん状に巻かれたか、または、該軸を繰り返し横切るようにジグザグ状に折り畳まれた曲げられた形態であることが好ましい。
【0013】
上記の構成によれば、上記軸と、可撓性部分の両端を結ぶ直線と、が垂直の関係にならないため、第1形態の可撓性部分を、上記軸を中心にらせん状に巻くか、上記軸を繰り返し横切るようにジグザグ状に折り畳んだときに、アンテナエレメント同士が重なることを首尾よく避けて、可撓性部分が第2形態をとるときのアンテナエレメントの性能を向上させることができる。
【0014】
上記アンテナエレメントは、上記可撓性部分を支持する支持部材を備えているものであってもよい。
【0015】
上記の構成によれば、上記可撓性部分が、支持部材によって支持されている。そのため、可撓性部分が第1形態または第2形態を維持することをより容易にする。これにより、本発明に係るアンテナエレメントを首尾よく実現することができる。
【0016】
上記アンテナエレメントでは、上記支持部材が板状またはシート状であるものであってもよい。
【0017】
上記の構成によれば、上記可撓性部分は、板状またはシート状の支持部材上に支持されている。このような支持部材によれば、可撓性部分が第1形態または第2形態を維持することをより容易にするとともに、支持部材自体を巻いたり、折り畳んだりすることにより、可撓性部分を第1形態から第2形態へとより容易に変形させることができる。これにより、本発明に係るアンテナエレメントを首尾よく実現することができる。
【0018】
上記アンテナエレメントでは、上記支持部材が巻かれるか、上記支持部材が蛇腹折りされることによって、上記可撓性部分が第1形態から第2形態へ変形するようになっているものであってもよい。
【0019】
上記の構成によれば、以下のように、第1形態のアンテナエレメントを首尾よく第2形態に変形させることができる。まず、上記支持部材を巻く場合は、当該支持部材上に支持されたアンテナエレメントも一緒に巻くことができるため、当該アンテナエレメントを容易に螺旋状に巻くことができる。また、上記支持部材を蛇腹折りする場合は、当該支持部材上に支持されたアンテナエレメントも一緒に蛇腹折りされ、アンテナエレメントに対しても山折りと谷折りとが交互になされるため、当該アンテナエレメントを容易にジグザグ状に折り曲げることができる。よって、上記の構成によれば、本発明に係るアンテナエレメントを首尾よく実現することができる。
【0020】
上記アンテナエレメントでは、第1形態の上記可撓性部分は、上記支持部材の巻き方向または蛇腹折りの方向に対して、斜めまたは垂直に交わる方向に延びていることが好ましい。
【0021】
上記の構成 によれば、以下のような効果を得られる。すなわち、上記支持部材を巻くことによって可撓性部分を変形させる場合は、可撓性部分の少なくとも一部が巻き方向に対して斜めまたは垂直に交わる方向に延びている。そのため、当該可撓性部分の少なくとも一部を含むアンテナエレメントの一巻きにおいて、始点と終点との間に巻き方向と垂直な方向にずれが生じる。従って、支持部材が巻かれるのに伴い、可撓性部分は自ずから螺旋状に巻かれ、アンテナエレメント同士の重なりを首尾よく避けて、可撓性部分が第2形態をとるときのアンテナエレメントの性能を向上させることができる。
【0022】
また、上記支持部材を蛇腹折りすることにより可撓性部分を変形させる場合は、可撓性部分の少なくとも一部が蛇腹折りの方向に対して斜めまたは垂直に交わる方向に延びている。そのため、当該可撓性部分の少なくとも一部を含む蛇腹の一単位では、始点と終点との間で折り方向と垂直な方向にずれが生じる。従って、支持部材が蛇腹折りされるのに伴い、可撓性部分は自ずからジグザグ状に折り畳まれ、アンテナエレメント同士の重なりを首尾よく避けて、可撓性部分が第2形態をとるときのアンテナエレメントの性能を向上させることができる。
【0023】
本発明に係る無線通信端末は、本発明に係るアンテナエレメントを備えていることを特徴としている。
【0024】
上記の構成によれば、上記無線通信端末は、本発明に係るアンテナエレメントを備えているため、アンテナエレメントをコンパクトな形態に変形させることができ、コンパクトな形態に変形させたときのアンテナエレメントの性能を首尾よく向上させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、コンパクトな形態に変形させたときのアンテナエレメントの性能を首尾よく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係るアンテナエレメントの概略構成を示す模式図であり、(a)は、第1形態を示し、(b)は、第1形態かららせん状に巻かれた第2形態を示し、(c)は、第1形態からジグザグ状に折り曲げられた第2形態を示す。
【図2】本発明の一実施形態に係る無線通信端末の概略的な外観図であり、(a)は、第2の筐体を引き出した状態を示し、(b)は、第2の筐体を収納した状態を示す。
【図3】本発明の一実施形態に係る無線通信端末の概略的な機能ブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る無線通信端末の概略構成を示す模式図であり、(a)は、第2の筐体を引き出した状態を示し、(b)は、第2の筐体を収納した状態を示す。
【図5】本発明の一実施形態に係る無線通信端末の概略構成を示す模式図であり、(a)は、第2の筐体を引き出した状態を示し、(b)は、第2の筐体を収納した状態の斜視図であり、(c)は、第2の筐体を収納した状態の側面図を示す。
【図6】本発明の実施形態に係るアンテナエレメントの概略構成を示す模式図であり、(a)は、直線的に延びているアンテナエレメントを示し、(b)は、段差が付けられたアンテナエレメントを示し、(c)は、らせん状に巻かれたアンテナエレメントを示し、(d)は、ジグザグ状に折り曲げられたアンテナエレメントを示す。
【図7】本発明の実施形態に係るアンテナエレメントの概略構成を示す模式図であり、(a)〜(g)は、アンテナエレメントの形状のバリエーションを示す。
【図8】本発明の一実施形態に係る無線通信端末の概略構成を示す模式図であり、(a)は、第2の筐体を引き出した状態を示し、(b)は、第2の筐体を収納した状態を示す。
【図9】本発明の一実施形態に係る無線通信端末の概略構成を示す模式図であり、(a)は、第2の筐体を引き出した状態を示し、(b)は、第2の筐体を収納した状態を示す。
【図10】従来技術に係る無線通信端末の概略的な正面図であり、(a)は、第2の筐体を引き出した状態を示し、(b)は、第2の筐体を収納した状態を示す。
【図11】従来技術に係る無線通信端末の概略的な側方断面図であり、(a)は、第2の筐体を引き出した状態を示し、(b)は、第2の筐体を収納した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の一実施形態(第1実施形態)に係るアンテナエレメント10の概略構成を示す模式図である。アンテナエレメント10は、可撓性を有する線状または帯状のアンテナエレメントであり、図1(a)に示すような第1形態と、図1(b)および図1(c)に示すような第2形態との間で変形されるようになっている。図1に示すように、第2形態は、第1形態から、巻かれるか、折り畳まれているので、よりコンパクトな形態となっている。
【0028】
なお、「線状」とは、長さ方向の寸法に対して幅方向の寸法が比較的小さい形態を意味する。また、「帯状」とは、ある幅を持って長く延びている形態を意味する。なお、アンテナエレメントの幅は、均一であってもよいし、不均一であってもよい。また、第1形態の形状は、例えば、図7に示すように、様々な形態をとることができ、特に限定されないが、図1(a)に示すように直線的に伸びている形状であることが好ましい。
【0029】
一つの局面において、第2形態は、図1(b)に示すように、第1形態から、軸Aを中心にらせん状に巻かれた形態である。この場合、第2形態のアンテナエレメント10は、ヘリカルアンテナのように機能し、電気長を長くすることができる。
【0030】
特に、図1(a)と図1(b)とを比べれば分かるように、第1形態のアンテナエレメント10の両端を結ぶ直線に斜めに交わる(直交しない)軸Aを中心にアンテナエレメント10を巻くだけで、第1形態から第2形態へと容易に変形させることができる。このとき、隣接するアンテナエレメント10(らせんの一巻き同士の間隔)は、上記直線に対する軸Aの角度を調整することにより、容易に広げることができる。
【0031】
他の局面において、第2形態は、図1(c)に示すように、第1形態から、軸Aを繰り返し横切るようにジグザグ状に折り曲げられた形態である。この場合、第2形態のアンテナエレメント10は、メアンダアンテナのように機能し、電気長を長くすることができる。なお、ここで、アンテナエレメント10が軸Aを横切るとは、アンテナエレメント10が軸Aを含む平面を横切るように延びていることを指す。
【0032】
特に、図1(a)と図1(c)とを比べれば分かるように、第1形態のアンテナエレメント10の両端を結ぶ直線に斜めに交わる(直交しない)軸Aを繰り返し横切るようにアンテナエレメント10を折り曲げるだけで、第1形態から第2形態へと容易に変形させることができる。このとき、隣接するアンテナエレメント10(ジグザグの繰り返し単位同士の間隔)は、上記直線に対する軸Aの角度を調整することにより、容易に広げることができる。
【0033】
なお、第2形態におけるらせん形状は、同一形状の繰り返し単位(一巻き)が連続するものであってもよいし、異なる形状を有する単位が連続するものであってもよい。各単位の形状は、可撓性を有する物体を巻くことによって形成されるものであればよく、正円、楕円、多角形等の形状であってもよい。また、連続数も特に限定されず、例えば、2、3、4または5以上などとすることができる。
【0034】
また、第2形態におけるジグザグ形状は、同一形状の繰り返し単位(一つの折り返し点から、反対方向への折り返しを経て、再度同じ方向への折り返し点に至るまで)が連続するものであってもよいし、異なる形状を有する単位が連続するものであってもよい。各単位は、隣接する辺の間に折り返しを挟む複数の辺から形成され、一つの折り返し点から、反対方向への折り返しを経て、再度同じ方向への折り返し点に至るように形成されるものであればよく、V字型、L字の下に左右を反転させたL字を接続した形等の形状であってもよい。また、連続数も特に限定されず、例えば、2、3、4または5以上などとすることができる。
【0035】
以上のような形態であれば、特許文献1のように、アンテナエレメントの繰り返し単位が重なって配置されることがないため、アンテナエレメント同士が結合して電気長が短くなることを好適に防ぐことができる。
【0036】
なお、アンテナエレメント10は、第1形態と第2形態との間で上述したように変形できるようになっていればよく、第1形態および第2形態をどのように指示するか、ならびに、第1形態と第2形態との間の変形をどのように行うかは特に限定されない。例えば、アンテナエレメント10自体が、形状記憶合金等により形成され、アンテナエレメント10が自ら変形するものであってもよいし、後述するように、アンテナエレメント10が何らかの支持部材によって支持され、当該支持部材の作用によってアンテナエレメント10の変形がなされるものであってもよい。
【0037】
また、以上では、アンテナエレメント10の全体が変形する場合について説明したが、アンテナエレメント10が、線状または帯状の可撓性部分を備え、当該可撓性部分のみが変形するようになっていてもよい。また、アンテナエレメント10が、複数の可撓性部分を備えていてもよい。このとき、複数の可撓性部分の一部は、らせん状に巻かれ、他は、ジグザグ状に折り畳まれるようになっていてもよい。
【0038】
〔第2実施形態〕
図2は、本発明の一実施形態(第2実施形態)に係る無線通信端末1の概略的な外観図である。図2に示すように、無線通信端末1は、第1の筐体50および収納可能な第2の筐体60を備えている。図2(a)は、第2の筐体60を引き出した状態を示し、図2(b)は、第2の筐体60を収納した状態を示す。
【0039】
図3は、無線通信端末1の概略的な機能ブロック図である。図3に示すように、無線通信端末1は、アンテナ10、無線通信部30、制御部40、操作部70、および表示部80を備えている。このうち、アンテナ10および表示部80は、第2の筐体(支持部材)60に設けられており、その他の部材は、第1の筐体50に設けられている。
【0040】
図4は、無線通信端末1におけるアンテナエレメント10の配置および変形の様子を説明する模式図であり、図4(a)は、第2の筐体60を引き出した状態を示し、図4(b)は、第2の筐体60を収納した状態を示す。
【0041】
第2の筐体60は、図4(b)に示すように、一方の端部が第1の筐体50に固定されており、他の部分が、第1の筐体50に向かって巻かれることで収納されるようになっている。表示部80は、可撓性を有しており、第2の筐体60が巻かれるのに伴い、共に巻かれて収納される。これにより、無線通信端末1は、第2の筐体60を引き出すことによって表示部80において大画面で情報を表示することができるとともに、不使用時などには、第2の筐体60を収納して、コンパクトな形態に変形させることができる。
【0042】
第2の筐体60は、可撓性を有し、上述したように収納できるものであればよいが、例えば、板状またはシート状とすることにより、容易に第1の筐体50に向かって巻くことができる。なお、第2の筐体60を板状とする場合には、第2の筐体60を巻く方向(第2の筐体60から第1の筐体50に向かう方向、図4(a)中、Bに示す方向)に屈曲可能な屈曲部を適宜配置してもよい。
【0043】
無線通信回路(RF回路)30は、整合回路35を介して給電点20に接続されており、第1の筐体50に設けられた給電点20からアンテナエレメント10に給電している。
【0044】
図4に示すように、第2の筐体60を引き出した状態におけるアンテナエレメント10を第1形態としたとき、第2の筐体60を収納した状態において、アンテナエレメント10は、第1形態よりコンパクトな第2形態をとっている。例えば、所定の平面への投影面積について、第1形態よりも第2形態の方が小さくなっている。
【0045】
ここで、図4(a)に示すように、第1形態のアンテナエレメント10は、第2の筐体60の巻き方向に対して、斜めに交わる方向に直線的に延びている。アンテナエレメント10がこのように配置されていることにより、第2の筐体60が巻かれたとき、図4(b)に示すように、アンテナエレメント10は、らせん状に巻かれた形態となる(第2形態)。これにより、上述したように、コンパクトな形態に変形させた場合であっても、アンテナエレメント10の電気長を長くすることができる。
【0046】
〔第3実施形態〕
図5は、本発明の一実施形態(第3実施形態)に係る無線通信端末2におけるアンテナエレメント10の配置および変形の様子を説明する模式図であり、図5(a)は、第2の筐体60を引き出した状態を示す模式図であり、図5(b)は、第2の筐体60を収納した状態を示す斜視図であり、図5(c)は、第2の筐体60を収納した状態を示す側面図である。図5(c)は、第2の筐体60を収納した状態の無線通信端末2を、第2の筐体65側の端面から見たものである。
【0047】
ここで、無線通信端末2の第2の筐体65は、図5(b)に示すように、一方の端部が第1の筐体50に固定されており、他の部分が、第1の筐体50に向かって蛇腹折りされることで収納されるようになっている。この点において、無線通信端末2は、第2実施形態に係る無線通信端末1と異なっている。その他の点については、特に説明しない限り、無線通信端末2は無線通信端末1と同様の構成を有している。
【0048】
なお、蛇腹折りとは、所定のパターンにしたがって山折りおよび谷折りすることにより、一方向(蛇腹折りの方向)に沿って長さを縮める折り方を指し、特に限定されないが、1以上の山折りおよび1以上の谷折りを交互に繰り返す折り方であり得る。
【0049】
表示部80は、可撓性を有しており、第2の筐体65が蛇腹折りされるのに伴い、共に折られて収納される。第2の筐体65は、可撓性を有し、上述したように収納できるものであればよいが、例えば、板状またはシート状とすることにより、容易に第1の筐体50に向かって蛇腹折りすることができる。なお、第2の筐体65には、蛇腹折りするための折り目部が設けられていることが好ましい。
【0050】
図5に示すように、第2の筐体60を引き出した状態におけるアンテナエレメント10を第1形態としたとき、第2の筐体60を収納した状態において、アンテナエレメント10は、第1形態よりコンパクトな第2形態をとっている。例えば、所定の平面への投影面積について、第1形態よりも第2形態の方が小さくなっている。
【0051】
ここで、図5(a)に示すように、第1形態のアンテナエレメント10は、第2の筐体65の蛇腹折りの方向(第2の筐体65から第1の筐体50に向かう方向、図5(a)中、Bに示す方向)に対して、斜めに交わる方向に直線的に延びている。アンテナエレメント10がこのように配置されていることにより、第2の筐体65が蛇腹折りされたとき、図5(b)および図5(c)に示すように、アンテナエレメント10は、ジグザグ状に折り曲げられた形態となる(第2形態)。これにより、上述したように、コンパクトな形態に変形させた場合であっても、アンテナエレメント10の電気長を長くすることができる。
【0052】
(アンテナエレメントの配置のバリエーション)
ここで、本発明のいくつかの実施形態におけるアンテナエレメントの配置のバリエーションについて説明する。図6は、本発明のいくつかの実施形態におけるアンテナエレメントの配置のバリエーションを示す模式図である。図6(a)および図6(b)は、第1形態のアンテナエレメントを示し、図6(c)およびズ6(d)は、第2形態のアンテナエレメントを示す。
【0053】
図6(a)に示すように、アンテナエレメント10は、第2の筐体60が巻かれる方向(図6(a)中、Bに示す方向)に対して、斜めの方向に延びるように配置されていてもよい。
【0054】
また、図6(b)に示すように、アンテナエレメント12は、第2の筐体60が巻かれる方向(図6(b)中、Bに示す方向)に対して、平行に延びる部分と、垂直に延びる部分とから構成される段差を有した形状であってもよい。
【0055】
また、一部が図6(a)の形状であり、一部が図6(b)の形状であってもよい。また、第2の筐体60の代わりに、第2の筐体65を用いた場合も同様である。この場合は、上記説明について、第2の筐体60が巻かれる方向を、第2の筐体65が蛇腹折りされる方向と読み替えればよい。
【0056】
このように、本発明のいくつかの実施形態において、第1形態のアンテナエレメントの少なくとも一部は、第2の筐体の巻き方向または蛇腹折りの方向に対して、斜めまたは垂直に交わる方向に延びている形態であればよい。第1形態がこのような形態であれば、第2の筐体を巻くか、蛇腹折りすることにより、図6(c)および図6(d)に示すように、アンテナエレメントを第2形態へと変形させることができる。
【0057】
なお、図6(c)および図6(d)では、らせんの中心となるか、ジグザグが繰り返し横切る軸Aは、第2の筐体の巻き方向または蛇腹折りの方向に対して垂直方向となっているが、本発明はこれに限定されず、第2の筐体の巻き方向または蛇腹折りの方向に対して斜めに交わる方向であってもよい。
【0058】
図7は、アンテナエレメントの配置のバリエーションについてさらに説明する模式図である。上述したように、第1形態のアンテナエレメントは、その少なくとも一部が、第2の筐体の巻き方向または蛇腹折りの方向に対して、斜めまたは垂直に交わる方向に延びている形態であればよい。
【0059】
すなわち、図7(a)に示すように、第2の筐体の巻き方向または蛇腹折りの方向(図7(a)中、Bに示す方向)に対して斜めに交わる方向に直線的に延びるアンテナエレメント10であってもよい。また、図7(b)に示すように、一部が、第2の筐体の巻き方向または蛇腹折りの方向(図7(b)中、Bに示す方向)に対して平行に延び、一部が当該方向に対して斜めに交わる方向に延びるアンテナエレメント11であってもよい。また、図7(c)に示すように、第2の筐体の巻き方向または蛇腹折りの方向(図7(c)中、Bに示す方向)に対して平行に延びる部分と、垂直に延びる部分とが組み合わされてなる段差を有したアンテナエレメント12であってもよい。また、図7(d)に示すように、第2の筐体の巻き方向または蛇腹折りの方向(図7(d)中、Bに示す方向)に対して平行に延びる部分と、垂直に延びる部分と、斜めに交わる方向に延びる部分とが組み合わされてなるアンテナエレメント13であってもよい。また、図7(e)に示すように、途中に折り返しを含むアンテナエレメント14であってもよい。
【0060】
なお、アンテナエレメントの幅は、均一または不均一であり得、図7(f)に示すように、ある区間において徐々に太くまたは細くなっているアンテナエレメント15であってもよいし、図7(g)に示すように、他の部分に比べて太い部分または他の部分に比べて細い部分を有するアンテナエレメント16であってもよい。
【0061】
〔第4実施形態〕
図8は、本発明の一実施形態(第4実施形態)に係る無線通信端末3におけるアンテナエレメント10の配置および変形の様子を説明する模式図であり、図8(a)は、第2の筐体60を引き出した状態を示し、図8(b)は、第2の筐体60を収納した状態を示す。
【0062】
ここで、無線通信端末3の給電点25は、図8(b)に示すように、第2の筐体60における第1の筐体50とは反対側の端部に配置されており、当該端部側からアンテナエレメント10を給電している。この点において、無線通信端末3は、第2実施形態に係る無線通信端末1と異なっている。その他の点については、特に説明しない限り、無線通信端末2は無線通信端末1と同様の構成を有している。
【0063】
第2の筐体60における第1の筐体50とは反対側の端部は、第2の筐体60が第1の筐体50に向けて巻かれるときに、芯になる部分であり、内部に給電点25が設けられている。第2の筐体60が収納された状態では、図8(b)に示すように、給電点25は、巻かれた第2の筐体60の内部から、らせん状のアンテナエレメント10に給電することになる。よって、上述したように、コンパクトな形態に変形させた場合であっても、アンテナエレメント10の電気長を長くすることができる。
【0064】
なお、本実施形態では、第2実施形態と同様、第2の筐体60が第1の筐体50に向けて巻かれる構成について説明したが、第3実施形態のように、第2の筐体60の代わりに、第2の筐体65が第1の筐体50に向けて蛇腹折りされる構成であってもよい。
【0065】
〔第5実施形態〕
図9は、本発明の一実施形態(第5実施形態)に係る無線通信端末4におけるアンテナエレメント10の配置および変形の様子を説明する模式図である。図9に示すように、無線端末4は、可撓性を有する第2の筐体60によって構成されており、第1の筐体を備えていない。そのため、無線通信回路30および給電点25は、第2の筐体60の一方の端部に設けられている。この点において、無線通信端末4は、第2実施形態に係る無線通信端末1と異なっている。その他の点については、特に説明しない限り、無線通信端末2は無線通信端末1と同様の構成を有している。
【0066】
第2の筐体60における上記端部は、第2の筐体60が、図9(a)におけるBの方向に巻かれるときに、芯になる部分であり、内部に無線通信回路30および給電点25が設けられている。第2の筐体60が巻かれた状態では、図9(b)に示すように、給電点25は、巻かれた第2の筐体60の内部から、らせん状のアンテナエレメント10に給電することになる。よって、上述したように、コンパクトな形態に変形させた場合であっても、アンテナエレメント10の電気長を長くすることができる。
【0067】
なお、本実施形態では、第2実施形態と同様、第2の筐体60が巻かれる構成について説明したが、第3実施形態のように、第2の筐体60の代わりに、第2の筐体65が蛇腹折りされる構成であってもよい。
【0068】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、アンテナエレメントおよび無線通信端末の製造分野一般において利用可能である。
【符号の説明】
【0070】
1〜4 無線通信端末
10〜14 アンテナエレメント
20、25 給電点(給電部)
30 無線通信回路(RF回路)
35 整合回路
40 制御部
50 第1の筐体
60、65 第2の筐体(支持部材)
70 操作部
80 表示部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1形態と、
当該第1形態から、らせん状に巻かれたか、または、ジグザグ状に折り畳まれた形態である第2形態と、
の間で変形するようになっている線状または帯状の可撓性部分を備えていることを特徴とするアンテナエレメント。
【請求項2】
第2形態は、第1形態から、上記可撓性部分の両端を結ぶ直線を含む平面に直交しない軸を中心としてらせん状に巻かれたか、または、該軸を繰り返し横切るようにジグザグ状に折り畳まれた曲げられた形態であることを特徴とする請求項1に記載のアンテナエレメント。
【請求項3】
上記可撓性部分を支持する支持部材を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のアンテナエレメント。
【請求項4】
上記支持部材が板状またはシート状であることを特徴とする請求項3に記載のアンテナエレメント。
【請求項5】
上記支持部材が巻かれるか、上記支持部材が蛇腹折りされることによって、上記可撓性部分が第1形態から第2形態へ変形するようになっていることを特徴とする請求項4に記載のアンテナエレメント。
【請求項6】
第1形態の上記可撓性部分が、上記支持部材の巻き方向または蛇腹折りの方向に対して、斜めまたは垂直に交わる方向に延びていることを特徴とする請求項5に記載のアンテナエレメント。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−38612(P2013−38612A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173435(P2011−173435)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】