説明

アンテナ付き竪樋

【課題】竪樋に取り付けられても、外観上目立たないようにでき、その上、アンテナが設けられた部分への浸水を防止できるアンテナ付き竪樋を提供する。
【解決手段】本発明のアンテナ付き竪樋1は、アンテナ2を有する樋体10と、接続具76が設けられたケーブル75と、樋体10を内部に収容する外筒体3と、樋体10と外筒体3との間からケーブル75を外部に導出するケーブル取出用開口32と、導入部426及び導出部424を有する上接続体40とを備える。上接続体40は、外筒体嵌め込み部427と、外筒体嵌め込み部427の周方向の一部が側方に膨出して形成されて導入部426を外筒体3のケーブル取出用開口32に連通する膨出部428とを有している。膨出部428の内部は接続具76が通過可能に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水機能を有するアンテナであるアンテナ付き竪樋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、竪樋に取り付けられる竪樋取り付け用のアンテナが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1記載のアンテナは、建物外壁に沿って配設された竪樋に対し、後付け的に取り付けられるものである。このアンテナは、2つの略矩形状の半体に分割された構造となっている。アンテナは、竪樋を挟むようにしてこの一対の略矩形状の半体が配置され、この状態で半体同士がねじ等の固着具を介して連結されることで取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平01−168101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところでこの特許文献1記載のアンテナは、略矩形状の半体から構成されており、竪樋に取り付けられると当該竪樋の側方に大きく膨出する。このため、この引用文献1記載のアンテナは、設置された状態では、外観上非常に目立つものであり、建物の外観を損なうおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、竪樋に取り付けられても、外観上目立たないようにでき、その上、製造の際に効率よく製造することができるアンテナ付き竪樋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のアンテナ付き竪樋は、内部に排水路を有し外周部にアンテナが設けられた樋体と、一端にアンテナの給電部が接続され且つ他端に接続具が設けられたケーブルと、樋体を内部に収容し当該樋体との間にケーブルを通すための空間を形成する外筒体と、外筒体の上端部に設けられて樋体と外筒体との間からケーブルを外部に導出するケーブル取出用開口と、樋体及び外筒体の上端部に設けられ且つケーブルを内部に導入する導入部及び導入したケーブルを外部に取り出すための導出部を有する上接続体とを備え、上接続体は、樋体の上端を嵌め込むための樋体嵌め込み部と、外筒体の上端を嵌め込むための外筒体嵌め込み部と、外筒体嵌め込み部の周方向の一部が側方に膨出して形成されて前記導入部を前記外筒体の前記ケーブル取出用開口に連通する膨出部とを有しており、前記膨出部の内部は、前記接続具が通過可能に形成されていることを特徴とする。
【0008】
また本発明のアンテナ付き竪樋において、前記上接続体は、周方向の一部に膨出する側方突出部を有しており、側方突出部に前記導出部が形成されていることが好ましい。
【0009】
また本発明のアンテナ付き竪樋において、前記上接続体は、内筒体に対し相対的に回転可能となっており、前記導入部は、前記上接続体の回転中心を中心とした円弧状のケーブル挿通孔を有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアンテナ付き竪樋によれば、竪樋に取り付けられても、外観上目立たないようにでき、その上、製造の際に効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態のアンテナ付き竪樋の要部断面図である。
【図2】本実施形態のアンテナ付き竪樋の取付構造を示す概略図である。
【図3】本実施形態のアンテナ付き竪樋の一部破断した斜視図である。
【図4】本実施形態のアンテナ付き竪樋の分解斜視図である。
【図5】本実施形態のアンテナ付き竪樋のアンテナの斜視図である。
【図6】本実施形態のアンテナ付き竪樋の給電部分周辺の斜視図である。
【図7】本実施形態のアンテナ付き竪樋のアンテナの斜視図である。
【図8】本実施形態のアンテナ付き竪樋の水平断面図であり、外筒体を透過している。
【図9】本実施形態のアンテナ付き竪樋の下接続体の分解斜視図である。
【図10】本実施形態のアンテナ付き竪樋の上接続体の分解斜視図である。
【図11】本実施形態のアンテナ付き竪樋の集水部を示す斜視図であり、内筒体を透過した図である。
【図12】図11において回転部を取り付けた状態の斜視図である。
【図13】(a)(b)は本実施形態のアンテナ付き竪樋の回転部の斜視図である。
【図14】本実施形態のアンテナ付き竪樋の要部斜視図である。
【図15】本実施形態のアンテナ付き竪樋の上接続体にケーブルを通す前の一部破断図である。
【図16】本実施形態のアンテナ付き竪樋の上接続体近傍の断面図である。
【図17】本実施形態のアンテナ付き竪樋の上接続体を取り外した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて説明する。
【0013】
本実施形態のアンテナ付き竪樋1は、図2に示されるように、建物外壁90に沿って配設された竪樋8の上下方向の一部が取り除かれ、その取り除かれた部分に取り付けられる。
【0014】
なお以下必要に応じて、竪樋8の一部を切除した後の上流側に位置する筒状の樋を「上流側の竪樋91」とし、竪樋8の一部を切除した後の下流側に位置する筒状の樋を「下流側の竪樋92」として区別する。
【0015】
アンテナ付き竪樋1は、電気機器などに接続されて、電波の受信用のアンテナを構成する。具体的にアンテナ付き竪樋1は、例えば、ケーブル93を介してテレビに接続されることで、テレビ用のアンテナとして用いられる。本実施形態のアンテナ付き竪樋1は、図3に示されるように、アンテナ2を有し且つ内部に排水筒12を有する樋体10と、樋体10の外側を覆う外筒体3と、竪樋8に樋体10を連通接続するための上接続体40及び下接続体50とを備えている。
【0016】
樋体10は、図4に示されるように、円筒状の筒体からなる内筒体11と、この内筒体11の外周部16に沿って設けられたアンテナ2と、内筒体11の内部に収容された排水筒12とを備えている。樋体10は、内筒体11の上端に取り付けられた集水部15をさらに備えている。樋体10は、上流側の竪樋91と下流側の竪樋92との間に接続され、その内部の排水筒12が、上流側の竪樋91と下流側の竪樋92とに連通して排水路を形成する。
【0017】
内筒体11は所定長さに形成された断面円形の丸樋により構成されている。本実施形態の内筒体11は、非導電性の合成樹脂により構成されている。内筒体11は、図4に示されるように、上端の開口縁に側面視U字状の上位置決め溝13が設けられている。また内筒体11は、下端の開口縁に側面視逆U字状の下位置決め溝14が設けられている。
【0018】
上位置決め溝13は、上接続体40の集水部15に設けられた上位置決め凹所152及びアンテナ2に設けられた上嵌入溝252と同位置に配置される。上位置決め溝13は、上位置決め凹所152及び上嵌入溝252と同位置に配置された状態で、取付部材7の上端から突設された位置決め突起(図示せず)が挿入される。これにより、アンテナ2と内筒体11と集水部15とは、周方向に相互に位置決めされて、一体化される。
【0019】
また下位置決め溝14は、下接続体50の下位置決め凹所57及びアンテナ2の下嵌入溝251と同位置に配置される。下位置決め溝14は、下位置決め凹所57及び下嵌入溝251と同位置に配置された状態で、取付部材7の下端から突設された位置決め突起(図示せず)が挿入される。これにより、アンテナ2と内筒体11と下接続体50とは、周方向に相互に位置決めされて、一体化される。
【0020】
アンテナ2は、内筒体11の外周部16に積層される。言い換えるとアンテナ2は、内筒体11と外筒体3との間に設けられる。本実施形態のアンテナ2は、図3に示されるように、内筒体11の外周部16に沿うよう外側から重ねられて、取付部材7により固定される。アンテナ2は、導電性を有する金属板材(金属箔も含まれる)により構成されている。アンテナ2は、図5に示されるように、縦長矩形状の金属板材を短軸方向がC字状となるよう長辺方向に一様に湾曲させることで形成される。
【0021】
アンテナ2は、上下方向に複数のスロット21が形成されたスロットアンテナ20により構成されている。すなわち本実施形態のアンテナ2は指向性を有している。アンテナ2は、このスロット21が上下方向に複数並設されており(本実施形態では2箇所)、隣接するスロット21同士がスリット状の細溝22で接続されている。アンテナ2は、各スロット21が周方向の一部に位置している。各スロット21は、金属板材の厚み方向に貫通する開口により構成されており、一対の三角形の頂点同士を互いに突き合わせたようなボウタイ状に形成されている。上方側のスロット21は、上下方向の略中央部分に給電部23を有している。本実施形態の給電部23は、周方向に対向する三角状片24の頂点部分により構成されている。
【0022】
給電部23には、図6に示されるように、ケーブル75が電気的に接続される。本実施形態のケーブル75は、同軸ケーブルにより構成されている。ケーブル75は、中央の電線が一方の三角状片24に接続され且つ外側の網線が他方の三角状片24に接続される。ケーブル75は、アンテナ2により受信した電波を、室内側のテレビ等に出力する。ケーブル75は、第一端が給電部23に接続され、第二端が、上接続体40に設けられた接続具76に接続される(図4,12等参照)。本実施形態の接続具76は、いわゆるF型接栓により構成されている。
【0023】
本実施形態のアンテナ2は、図5に示されるように、第一の周波数帯(例えば473〜600MHz)の電波を受信する第一の受信部26と、第二の周波数帯(例えば600〜720MHz)の電波を受信する第二の受信部27とを有している。
【0024】
第一の受信部26は、スロット21及び当該スロット21の開口周縁部により構成される。第二の受信部27は、このスロット21に上下方向に隣接する周方向に連続した金属板材により構成される。
【0025】
第一の受信部26を構成するスロット21の上下方向の長さは、前記第一の周波数帯内の電波の電気的な半波長の長さに応じて決定される。また、第二の受信部27の周方向の長さは、前記第二の周波数帯内の電波の電気的な半波長の長さに応じて決定される。
【0026】
またアンテナ2は、図7に示されるように、周方向の両端間に、上下方向の全長に亘って隙間28が形成される。この隙間28は、スロット21に対向する位置に設けられ、すなわちアンテナ2の円弧中心を挟んで、スロット21とは対極の位置となるように形成される。
【0027】
またアンテナ2は、スロット21の背部に抜き部29が形成されている。抜き部29は、金属板材が存在しない部分であって、正面から見てスロット21と重なる位置に設けられている。抜き部29は、上下方向の長さがスロット21の上下方向の長さよりも長く、且つ周方向の長さがスロット21の周方向の長さよりも長く形成されている。
【0028】
このアンテナ2は、図4に示されるように、金属板材に非導電性の保護シート25が積層されている。このため本実施形態のアンテナ2は、この保護シート25により錆の発生が抑制される。アンテナ2は、保護シート25の下端部に、下接続体50の下位置決め凹所57と重なる位置に配置される下嵌入溝251を有している。この下嵌入溝251は、スロット21に対応する位置に設けられており、具体的には、略同位相の位置に設けられている。またアンテナ2は、保護シート25の上端部に、集水部15の上位置決め凹所152と同位置に配置される上嵌入溝252を有している。
【0029】
なお、アンテナ2としては、保護シート25が積層されない金属板材のみにより構成されたものであってもよい。
【0030】
このような構成のアンテナ2は、図3に示されるように、湾曲して内向する裏面が、内筒体11の側壁の外面に当接した状態で取り付けられる。アンテナ2は、内筒体11の外周部16に巻き付けられた状態で、その外側から取付部材7により押さえられて固定される。
【0031】
取付部材7は、図4に示されるように、平面視円環状に形成されている。取付部材7は、第1の部材71と、第2の部材72とに分割され、これらが着脱自在に連結される。取付部材7は、図6に示されるように、給電部23においてケーブル75の端部を保持・固定する給電固定部73と、ケーブル75の中間部分を保持するケーブル保持部74とを備えている。ケーブル保持部74は、スロット21とは周方向にずれた位置に設けられている。これによりケーブル保持部74は、スロット21にケーブル75が重なるのを防ぐ。
【0032】
排水筒12は、内筒体11の内部に配置されて、樋体10内の排水路を形成する。排水筒12は、図4に示されるように、コーナー部が曲面の略楕円形をした断面形状に形成されている。排水筒12は、非導電性の合成樹脂により構成されている。排水筒12は、上端に集水部15が取り付けられる。排水筒12は、上接続体40を介して上流側の竪樋91に連通接続され、下接続体50を介して下流側の竪樋92に連通接続される。
【0033】
排水筒12は、図8に示されるように、その長軸方向が内筒体11の断面中心線に沿うよう配置され、且つ内筒体11内においてスロット21とは反対側に偏心した位置に設けられている。言い換えると、排水筒12は、内筒体11のスロット21側の内側面との間に一定以上の間隙を介して固定されており、スロット21や給電部23とは離れた位置に配置されている。
【0034】
集水部15は、上流側の竪樋91から流出した雨水を集水して、排水筒12内に流通させる。集水部15は、上接続体40の挿入用開口45に連通する上端開口部155を備えている。また集水部15は、図10に示されるように、内筒体11の上端が取り付けられる第1の固定部150と、排水筒12の上端が取り付けられる第2の固定部151とを備えている。集水部15は、第1の固定部150と内筒体11とが連結され、第2の固定部151と排水筒12とが連結されることで、内筒体11に排水筒12を固定する。
【0035】
集水部15は、内筒体11の上端縁の上位置決め溝13と同位置に配置される上位置決め凹所152が設けられている。上位置決め凹所152と上位置決め溝13とアンテナ2の上嵌入溝252とが重なった状態で、この上位置決め凹所152内に、取付部材7の位置決め突起が嵌入する。
【0036】
外筒体3は、図4に示されるように、所定長さで且つ断面円形状に形成されている。外筒体3は、その内径が、樋体10よりも大きくなるよう形成されている。外筒体3は、その中心軸が、樋体10の中心軸と同軸上に位置するよう配置される。言い換えると外筒体3は、樋体10の外側に同芯状に配置される。これにより外筒体3は、樋体10を外側から覆うよう設けられている。外筒体3は、樋体10との間に隙間を介して離間している。この外筒体3と樋体10との間の空間31は、アンテナ2に接続されたケーブル75を通すための空間となる。なお外筒体3は、非導電性の合成樹脂により構成されている。
【0037】
また本実施形態のアンテナ付き竪樋1は、樋体10と外筒体3との間の空間からケーブル75を外部に取り出すためのケーブル取出用開口32が設けられている。ケーブル取出用開口32は、外筒体3の上端部に設けられている。本実施形態のケーブル取出用開口32は、樋体10の上端と外筒体3の上端との間の隙間により構成されている。
【0038】
本実施形態のアンテナ付き竪樋1は、樋体10及び外筒体3の下端に下接続体50が設けられている。またアンテナ付き竪樋1は、樋体10及び外筒体3の上端に上接続体40が設けられている。
【0039】
下接続体50は、樋体10の下端に固定されると共に、外筒体3の下端に固定されている。本実施形態の下接続体50は、図9に示されるように、樋体10及び外筒体3の両者に固定されて、樋体10及び外筒体3と共に回転する回動体51と、これらを回転自在に支持する固定側の保持体60との少なくとも2部材を備えている。
【0040】
回動体51は、保持体60に中心軸廻りに回動自在に支持されている。回動体51は、排水筒12と内筒体11と外筒体3とを固着一体化し、建物外壁90に固定された竪樋8に対して、排水筒12と内筒体11と外筒体3とを共通して回転可能とさせる。
【0041】
回動体51は、排水筒12が連通接続される嵌合部54を有している。回動体51は、雨水を外部に排出する流出口56を有している。回動体51は、嵌合部54と流出口56とを連通する流出路55を有している。
【0042】
嵌合部54は、中心から偏心した位置に設けられている。嵌合部54は、下位置決め凹所57とは反対側に片寄った位置に設けられている。言い換えると、嵌合部54は、アンテナ2のスロット21とは反対側に偏芯して設けられている。一方、流出口56は、中心に設けられている。このため、流出路55は、下方ほど中央側に位置するよう傾斜した流路を有している。
【0043】
保持体60は、回動体51を回動自在に支持する。言い換えると保持体60は、樋体10を中心軸廻りに回動自在に支持する。保持体60は、建物外壁90に樋控え具80を介して固定される外郭部61と、回動体51を回転自在に保持するレール部63とを備えている。
【0044】
外郭部61は、円筒状に形成されている。外郭部61は、その上端に、フランジ状に径外方向に突出した自重受け突部62を有している。この自重受け突部62は、図3に示されるように、外郭部61を保持する樋控え具80の上端に当接する。これにより保持体60は、樋控え具80によって下方にずれないように保持される。自重受け突部62は、外郭部61の周方向の全長に亘って形成されている。
【0045】
下接続体50は、下流側の竪樋92に樋体10を連通接続する。言い換えると下接続体50は、下流側の竪樋92に排水筒12を連通させる。本実施形態の下接続体50は、保持体60が下流側の竪樋92に固定的に取り付けられる。このため、樋体10は、下流側の竪樋92に対して回動自在となっている。
【0046】
上接続体40は、図10に示されるように、回転部42と、カバー部43とを備えている。上接続体40は、カバー部43に設けられて上方に開口する挿入用開口45を有している。挿入用開口45は、上流側の竪樋91が上方から挿入される。挿入用開口45は、樋体10の内部に連通し、つまり流出口56に連通している。
【0047】
上接続体40は、その内部にケーブル75を収容し、ケーブル75の端部を外部に取り出すことができるよう構成されている。上接続体40は、内部にケーブル75を導入するための導入部426と、導入されたケーブルを外部に取り出すための導出部424を有している。本実施形態の上接続体40は、その導出部424に、ケーブル75の端部に設けられた接続具76が固定される。
【0048】
回転部42は、樋体10の中心軸廻りに回転自在に設けられている。回転部42は、図12に示されるように、接続具76を取り付けるために設けられた側方突出部420を有している。側方突出部420は、樋体10の周方向の一部に設けられている。側方突出部420は、樋体10の外周面よりも側方に突出している。
【0049】
回転部42は、図13に示されるように、外筒体3の上端を嵌め込むための外筒体嵌め込み部427と、樋体10の上端を嵌め込むための樋体嵌め込み部425とを備えている。外筒体嵌め込み部427は、回転部42の下面から下方に突出しており、平面視円環状に形成されている。樋体嵌め込み部425は、外筒体嵌め込み部427の内側に同心円状に設けられている。本実施形態の樋体嵌め込み部425は、図12に示されるように、集水部15が入り込むよう構成されている。
【0050】
回転部42は、ケーブル75を回転部42とカバー体43との間の空間内に導入するための導入部426を備えている。導入部426は、上接続体40の内外を貫通する。本実施形態の導入部426は、図13に示されるように、接続具76を挿通するための接続具挿通孔421と、ケーブル75を通すためのケーブル挿通孔422とを備えている。
【0051】
ケーブル挿通孔422は、樋体10の中心軸を中心とした弧状の長孔により構成されている。ケーブル挿通孔422は、外筒体嵌め込み部427に外筒体3が嵌め込まれると、樋体10と外筒体3との間の空間と連通するようになっている。回転部42は、ケーブル挿通孔422の径外側の辺に沿って突設された水返し突出片429を有している。この水返し突出片429は、樋体嵌め込み部425と所定の隙間を介して離間している。なおこの樋体嵌め込み部425と水返し突出片429との間の寸法は、接続具76の最大の外径L1よりも小さく且つケーブル75の外径よりも大きく形成されている。
【0052】
接続具挿通孔421は、ケーブル挿通孔422の周方向の一部に設けられている。接続具挿通孔421は、外筒体3の外周部よりも外側に形成されている。この接続具挿通孔421は、径方向の寸法が、ケーブル挿通孔422の寸法よりも大きく形成されている。具体的に接続具挿通孔421は、接続具76の最大の外径L1よりも大きく形成されている。この接続具挿通孔421に対応する箇所の水返し突出片429は、接続具挿通孔421の外縁に沿って径外方向に湾曲している。
【0053】
また回転部42は、外筒体嵌め込み部427の周方向の一部から径外方向に膨出する膨出部428を有している。膨出部428は、側面部と底面部とを備えている。膨出部428は、接続具挿通孔421と、ケーブル取出用開口32とを連通接続する。言い換えると膨出部428は、ケーブル取出用開口32と接続具挿通孔421とを外側から覆うよう構成されている。
【0054】
膨出部428は、図15に示されるように、樋体嵌め込み部425と対向している。膨出部428と樋体嵌め込み部425との間の寸法L2は、接続具76の最大外径L1よりも大きくなっている。これにより、膨出部428の内部は、接続具76が通過可能となっている。
【0055】
この回転部42の導入部426にケーブル75を挿通するためには、接続具76を接続具挿通孔421に通して、接続具76を上接続体40内に導入し、その後、ケーブル75を周方向に移動させてケーブル挿通孔422に通せばよい。
【0056】
一方、接続具挿通孔421が設けられていない場合には、ケーブル75の端部に設けられた接続具76を一旦取り外して、ケーブル75の端部をケーブル挿通孔422に挿入し、その後、接続具76を再度接続する必要があった。すなわち本実施形態の回転部42によれば、接続具76を付けたまま回転部42を樋体10及び外筒体3の上端部に装着することができ、製造に当たっての作業効率を向上させることができる。
【0057】
また膨出部428は、ケーブル取出用開口32と接続具挿通孔421とを外側から覆うよう構成されているため、図14に示されるように、接続具挿通孔421やケーブル75が露出しない。つまり外筒部3よりも外側に接続具挿通孔421が設けられていても、接続具挿通孔421が露出しないため、外観が良好となるだけでなく、止水性能も向上する。
【0058】
回転部42は、側方突出部420に導出部424が設けられている。この導出部424は、アンテナ2により受信した信号を外部に出力するためケーブル75に設けられた接続具76が露出するよう取り付けられている。接続具76は、側方突出部420の上方から挿通され、側方突出部420の下面から下方に突出する。
【0059】
カバー部43は、回転部42を覆うよう構成されている。カバー部43は、図10に示されるように、その天面部431に挿入用開口45が設けられている。挿入用開口45は、上流側の竪樋91(筒状の樋)の外径よりも大きく形成されており、この上流側の竪樋91に回動自在に遊嵌される。挿入用開口45は、その外周縁に、下方に向けて突設された周縁突起432を有している。この周縁突起432は、集水部15の上方の開口の内側に位置するよう構成されている。これにより挿入用開口45は、集水部15の上方の開口に接続される。カバー部43は、その側壁が回転部42の外周縁のすぐ外側に位置するよう構成されており、これにより、回転部42を内部に収容した状態で着脱自在に取り付けられる。
【0060】
カバー部43は、図1に示されるように、挿入用開口45の外周部分に、集水部15の上端開口部155に対向する対向部46を有している。またカバー部43は、この対向部46の外側から下方に向けて延設された嵌め込み部47を有している。この嵌め込み部47は、図1に示されるように、回転部42を外側から覆うと共に、さらに外筒体3の上端が嵌め込まれる。嵌め込み部47は、外筒体3の上端に回動自在に嵌め込まれている。
【0061】
ここで本実施形態のアンテナ付き竪樋1は、排水筒12が断面略楕円形状に形成されているため、仮にボール等が入り込んでしまうと、ボールは排水筒12内を通過することができない。この状態で上流側の竪樋91から雨水が流入すると、集水部15に雨水が溜まり、いずれ集水部15の上端開口部155とカバー部の対向部46との間から雨水が漏水する。集水部15の上端開口部155とカバー部43の対向部46との間は、内筒体11と外筒体3との間に連通している。このため、漏水した水は、内筒体11と外筒体3との間に浸水してしまい、これによりアンテナ2が水で濡れてしまうという問題が生じる。
【0062】
このため本実施形態のアンテナ付き竪樋1は、集水部15の上端開口部155とカバー部43の対向部46との間に、パッキン17が配設されている。このパッキン17は、平面視円環状をしており、例えば発泡ゴムにより構成されている。なお、パッキン17は止水パッキンであれば材質は問わないものとする。
【0063】
ところで本実施形態の上接続体40と樋体10とは、相対的に回転するよう構成されている。本実施形態の上接続体40は、樋体10に対し相対的に持ち上げることで回転可能な状態となる。一方、上接続体40は、樋体10に対して相対的に持ち上げられていない自然状態では、回転が規制されるよう構成されている。
【0064】
集水部15は、図10に示されるように、その側面に、上方に凸となった複数の嵌合凸部153が設けられている。一方、上接続体40の回転部42は、図13に示されるように、集水部15が挿入される樋体嵌め込み部425の内周面(集水部15の側面との対向面)に、下方に開口する複数の嵌合凹部423が設けられている。この嵌合凹部423は、樋体嵌め込み部425の半周に亘って連続して設けられている。嵌合凹部423は、集水部15の嵌合凸部153に嵌合するよう構成されている。
【0065】
集水部15を回転部42の樋体嵌め込み部425内に挿入すると、集水部15の嵌合凸部153が回転部42の嵌合凹部423に凹凸嵌合する。これにより回転部42は、集水部15廻りの回転が規制される。また回転部42は、樋体10から離れる側(つまり上方)に移動すると、嵌合凸部153と嵌合凹部423との嵌合状態が解除され、回転自在な状態となる。
【0066】
本実施形態のアンテナ付き竪樋1は、回転部42を回転規制された状態に保持するロック部材44を備えている。ロック部材44は、上接続体4と樋体10との相対的な回転を規制するか又は前記相対的な回転を許容するかを選択的に行なうものである。ロック部材44は、回転部42の回転を、樋体10の中心軸廻りの任意の位置で規制することができる。
【0067】
ロック部材44は、図10に示されるように、平面視円環状をしており、挿入用開口45内に回転自在となるよう設けられる。ロック部材44は、カバー部43の上端に当接する押圧部441と、押圧部441の内周縁から下方に向けて突設された保持部442とを備えている。保持部442は、径外方向に突出する突起443を有している。またロック部材44は、摘み部444が上面に設けられている。
【0068】
集水部15は、図11に示されるように、その内側面に、ロック部材44の保持部442の突起443と係合するガイド突条154が設けられている。ガイド突条154は、周方向の一端側ほど下方に位置する傾斜部156と、この傾斜部156の下端に回転方向に平行に連設された水平部157とを備えている。ガイド突条154は、水平部157の周方向の中間部分に段差部158を有している。
【0069】
ロック部材44は、図16に示されるように、保持部442の突起443が集水部15のガイド突条154にガイドされるよう構成されている。ロック部材44は、周方向に回転すると、保持部442の突起443がガイド突条154の傾斜部156の下面に沿って移動し、これによりロック部材44を下方に押し下げる。このままロック部材44の回動が継続されると、保持部442の突起443は、水平部157にまで移動し、その後、段差部158に差し掛かる。さらにロック部材44の回動を続けることで、突起443は段差部158を乗り上げる。施工者は、この抵抗感により、ロック部材44のロック状態を感覚的に知ることができる。このとき保持部442は、押圧部441を、樋体10に対して上下方向に移動規制した状態で保持する。
【0070】
ロック部材44が下方に押し下げられると、カバー部43の上端に当接する押圧部441が、上接続体40を樋体10に向けて押し下げる。すると、集水部15の上端開口部155とカバー部53の対向部46との間に配設されたパッキン17が押し潰され、止水状態となる。そして、集水部15の嵌合凸部153と回転体42の嵌合凹部423とが凹凸嵌合され、この状態で保持される。これにより上接続体40と前記樋体10との相対的な回転が任意の回転位置で規制される。
【0071】
またロック部材44が反対側に回転されると、保持部442の突起443が、傾斜部156に沿って上方に移動し、押圧部441が樋体10から離れる方向に移動する。これにより上接続体40は、樋体10に対して相対的に持ち上げることが可能となり、上接続体40と樋体10との相対的な回転を許容する状態となる。
【0072】
本実施形態のガイド突条154の水平部は、パッキンを過度に圧接しない所定の高さに配置されている。このため、ロック部材44を回し過ぎてもパッキンを圧接し過ぎるのを防ぐことができる。
【0073】
以上のような構成のアンテナ付き竪樋1は、図2に示されるように、建物の外壁90に沿って設置された竪樋8の一部を構成する。
【0074】
軒樋94には集水器95が設けられており、集水器95には、第1のエルボ96を介して呼び樋97が接続されている。呼び樋97には、第2のエルボ98を介して上流側の竪樋91が接続されている。上流側の竪樋91は、その下方に離間して下流側の竪樋92が設けられている。下流側の竪樋92は、下流側の端部が排水溝に連通接続されている。アンテナ付き竪樋1は、樋体10の上端部が、上接続体40を介して上流側の竪樋91の下端に接続され、樋体10の下端部が、下接続体50を介して下流側の竪樋92の上端に接続される。
【0075】
なお、上流側の竪樋91及び下流側の竪樋92は、端部が樋控え具99を介して外壁90に固定されている。また、本実施形態のアンテナ付き竪樋1は、非導電性樹脂により形成された樋控え具80により固定されている。このように、本実施形態のアンテナ付き竪樋1は、設置されると、建物の外壁90に沿って設置された竪樋の一部を構成する。
【0076】
本実施形態のアンテナ付き竪樋1を設置するには、施工者は、上接続体40の挿入用開口45に上流側の竪樋91の下端を奥まで挿入し、下接続体50を下流側の竪樋92に接続する。この後、下接続体50を樋控え具80を介して外壁90に固定する。
【0077】
この状態のアンテナ付き竪樋1は、下方にずれないように且つ上流側の竪樋91に対し回動自在となるよう外壁90に支持されている。
【0078】
次いで施工者は、アンテナ2が放送電波を最も強く受信できるよう、アンテナ付き竪樋1を上流側の竪樋91及び下流側の竪樋92に対して回動させる。このときアンテナ付き竪樋1は、固定された下接続体50の保持体60に対し、樋体10が回動自在であるため、施工者はアンテナ2の向きを微調整することができる。微調整後、施工者は、アンテナ付き竪樋1を、上端部で別の樋控え具80により固定する。
【0079】
次に施工者は、アンテナ付き竪樋1の上接続体40を回転させて、側方突出部420を建物外壁90に沿わせる。そして、施工者は、ロック部材44を回転させて、上接続体40の回転をロックする。
【0080】
本実施形態のアンテナ付き竪樋1は、排水性能を備えるアンテナである。つまり、従来は屋根の上にアンテナを設置していたが、本実施形態のアンテナ付き竪樋1によれば、竪樋と一体化させることができ、建物外観を向上させることができる。
【0081】
本実施形態のアンテナ付き竪樋1は、上接続体40に、導入部426と外筒体3のケーブル取出用開口32とを連通接続する膨出部428が設けられており、しかも膨出部428の内部は、接続具76が通過可能に形成されている。このため、接続具76が取り付けられたケーブル75を上接続体40の導入部426に挿通するに当たり、接続具76を取り外すことなくケーブル75を挿通することができる。この結果、アンテナ付き竪樋1を効率よく製造することができる。
【0082】
また、本実施形態のアンテナ付き竪樋1は、膨出部428が、ケーブル取出用開口32と導入部426とを外側から覆うよう構成されているため、導入部426やケーブル75が露出しないようにできる。つまり外筒部3よりも外側に導入部426が設けられているにも拘らず、導入部426が露出しないため、外観が良好となるだけでなく止水性能も向上する。
【0083】
また本実施形態のアンテナ付き竪樋1は、建物外壁90に沿って配設された竪樋8に接続するための上接続体40及び下接続体50が設けられているため、排水性能を有するアンテナとして、ユニット化することができる。これにより、施工者の技量に寄らず建物に簡単に取り付けることができ、施工後の仕上がりを一定以上のものとすることができる。
【0084】
なお本実施形態のアンテナ付き竪樋は、新たに竪樋を施工する際に取り付けられてもよいし、既に設置された竪樋の一部を切除して、後付け的に取り付けられてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 アンテナ付き竪樋
10 樋体
11 内筒体
12 排水筒
15 集水部
16 外周部
2 アンテナ
20 スロットアンテナ
21 スロット
3 外筒体
31 空間
32 ケーブル取出用開口
40 上接続体
42 回転部
420 側方突出部
421 接続具挿通孔
422 ケーブル挿通孔
424 導出部
425 樋体嵌め込み部
426 導入部
427 外筒体嵌め込み部
428 膨出部
429 水返し突出片
43 カバー部
44 ロック部
45 挿入用開口
50 下接続体
75 ケーブル
76 接続具
8 竪樋


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に排水路を有し外周部にアンテナが設けられた樋体と、
一端にアンテナの給電部が接続され且つ他端に接続具が設けられたケーブルと、
樋体を内部に収容し当該樋体との間にケーブルを通すための空間を形成する外筒体と、
外筒体の上端部に設けられて樋体と外筒体との間からケーブルを外部に導出するケーブル取出用開口と、
樋体及び外筒体の上端部に設けられ且つケーブルを内部に導入する導入部及び導入したケーブルを外部に取り出すための導出部を有する上接続体と
を備え、
上接続体は、
樋体の上端を嵌め込むための樋体嵌め込み部と、
外筒体の上端を嵌め込むための外筒体嵌め込み部と、
外筒体嵌め込み部の周方向の一部が側方に膨出して形成されて前記導入部を前記外筒体の前記ケーブル取出用開口に連通する膨出部と
を有しており、
前記膨出部の内部は、前記接続具が通過可能に形成されている
ことを特徴とするアンテナ付き竪樋。
【請求項2】
前記上接続体は、周方向の一部に膨出する側方突出部を有しており、
側方突出部に前記導出部が形成されている
ことを特徴とする請求項1記載のアンテナ付き竪樋。
【請求項3】
前記上接続体は、内筒体に対し相対的に回転可能となっており、
前記導入部は、前記上接続体の回転中心を中心とした円弧状のケーブル挿通孔を有している
ことを特徴とする
請求項1又は請求項2のいずれかに記載のアンテナ付き竪樋。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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