説明

アンテナ装置とそれを用いた通信機器

【課題】キャリア10にマッチング回路を設けたマッチング基板20を配設することで、メイン基板14の回路素子不搭載部14bに他の部材を配設することができるようにしたアンテナ装置およびそれを用いた通信装置を提供する。
【解決手段】通信機器のメイン基板14に配設されるアンテナ装置であって、誘電体からなるキャリア10の表面にアンテナエレメント12を配設し、マッチング回路を設けたマッチング基板20をキャリア10に配設し、アンテナエレメント12とマッチング基板20を電気的接続させる導電性の板バネ18、18を設けるとともに、キャリア10をメイン基板14に配設した状態で、マッチング基板20をメイン基板14に電気的接続する端子を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話等の通信機器のメイン基板に配設されるアンテナ装置と、それを用いた通信機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の通信機器にあっては、図16に示すような、メイン基板にアンテナ装置が配設された構造が、一般的である。図16は、従来のアンテナ装置を用いた通信機器の構造を示す外観斜視図である。図16に示す構造にあっては、誘電体からなるキャリア10の表面に導電金属板または導電箔等からなるアンテナエレメント12が配設されている。そして、キャリア10の1つの側面にメイン基板14の一端部が挿入できるメイン基板挿入凹部10aが設けられ、メイン基板14の一端部が挿入されて、キャリア10とメイン基板14が一体化するように配設される。メイン基板14の表面には、送受信回路(図示せず)を構成する回路素子が適宜に配設される回路素子搭載部14aと、キャリア10の近くで送受信回路の回路素子が配設されない回路素子不搭載部14bが設けられる。この回路素子不搭載部14bは、回路素子とアンテナエレメント12が電磁的に結合するのを防ぐために設けられている。そして、回路素子搭載部14aからキャリア10側にマイクロストリップ線路からなる伝送路14cが設けられ、その途中にマッチング回路16を形成する回路素子が適宜に配設されている。さらに、キャリア10側の伝送路14cは、アンテナエレメント12に対して、導電性の板バネ18、18により電気的接続がなされる。なお、図16において、30は、検査用のコネクタ端子である。
【0003】
かかる構造の従来技術にあっては、アンテナエレメント12で受信された信号が、メイン基板14の受信回路で最も高い利得等で受信できるように、またメイン基板14の送信回路からの信号がアンテナエレメント12から最も効率良く放射等されるように、マッチング回路16の回路構成および回路素子の定数が設定される。上記従来技術のごとく、メイン基板14にマッチング回路16を配設した技術の一例が、特開2006−295876号公報に示されている。
【特許文献1】特開2006−295876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の図16に示す従来の構造にあっては、メイン基板14の回路素子不搭載部14bにマッチング回路16が配設され、このマッチング回路16を搭載するための面積が必要である。近年、特に携帯電話等にあっては、より小型化が強く要望され、このマッチング回路16を搭載する部分を他の部材の配設に利用することが望まれる。また、マッチング回路16は、回路構成する回路素子が伝送路14c等にそれぞれ半田付けにより電気的接続されるとともに固定されている。そこで、通信機器を設計する段階では、マッチング回路16の各回路素子の定数を順次に変更して、実験的に最適な定数を得ている。しかるに、回路素子が半田付けされているのでその変更が煩雑なものであり、最適値を見出す作業に多くの時間を必要としていた。
【0005】
そこで、本発明は、上述のごとき事情に鑑みてなされたもので、マッチング回路を設けたマッチング基板をキャリアに配設することで、メイン基板の回路素子不搭載部に他の部材を配設することができるようにしたアンテナ装置およびそれを用いた通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために、本発明のアンテナ装置は、通信機器のメイン基板に配設されるアンテナ装置であって、誘電体からなるキャリアの表面にアンテナエレメントを配設し、マッチング回路を設けたマッチング基板を前記キャリアに配設し、前記アンテナエレメントと前記マッチング基板を電気的接続させる接続機構を設けるとともに、前記キャリアを前記メイン基板に配設した状態で、前記マッチング基板を前記メイン基板に電気的接続するマッチング基板接続機構を設けて構成されている。
【0007】
また、通信機器のメイン基板に配設されるアンテナ装置であって、誘電体からなるキャリアの表面にアンテナエレメントを配設し、前記キャリアの側面に凹部を設けてマッチング基板収納部としてマッチング回路を設けたマッチング基板を収納および取り出し自在とし、前記マッチング基板を収納した状態で、前記アンテナエレメントと前記マッチング基板を電気的接続させる接続機構を設けるとともに、前記キャリアを前記メイン基板に配設した状態で、前記マッチング基板を前記メイン基板に電気的接続するマッチング基板接続端子を前記マッチング基板に設けて構成しても良い。
【0008】
また、通信機器のメイン基板に配設されるアンテナ装置であって、誘電体からなるキャリアの表面にアンテナエレメントを配設し、前記キャリアの一側面から下面に渡る凹部を設けてマッチング基板収納部としてマッチング回路を設けたマッチング基板を前記一側面側の開口から収納および取り出し自在とし、前記マッチング基板を収納した状態で、前記アンテナエレメントと前記マッチング基板を電気的接続させる接続機構を設けるとともに、前記キャリアを前記メイン基板に配設した状態で、前記マッチング基板を前記メイン基板に電気的接続するマッチング基板接続端子を前記マッチング基板に設けて構成しても良い。
【0009】
そして、前記アンテナエレメントと前記マッチング基板を電気的接続させる前記接続機構として、導電性の板バネを設け、前記板バネを介して前記アンテナエレメントと前記マッチング基板を電気的接続させるとともに、前記マッチング基板を本アンテナ装置が配設される前記メイン基板側に弾性付勢するように配設して構成することもできる。
【0010】
さらに、前記マッチング基板収納部としての前記凹部は、前記マッチング基板の長手方向の開口を有し、前記マッチング基板収納部の開口の長手方向の両端側に、前記マッチング基板を前記メイン基板側に弾性付勢する弾性樹脂部材を配設して構成することも可能である。
【0011】
そしてさらに、前記マッチング基板を前記メイン基板に電気的接続させる前記マッチング基板接続端子を、前記マッチング基板の前記メイン基板側の面より突出するように構成しても良い。
【0012】
また、本発明の通信機器にあっては、送受信回路が搭載されたメイン基板に請求項1ないし6記載のいずれかのアンテナ装置を配設して構成されている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載のアンテナ装置にあっては、マッチング回路を設けたマッチング基板をキャリアに配設するので、従来マッチング回路が設けられたメイン基板の回路素子不搭載部に、他の部材を配設することができ、それだけ小型化に好適である。
【0014】
請求項2および3記載のいずれのアンテナ装置にあっても、キャリアの側面にまたは一側面から下面に渡る凹部を設けてマッチング基板収納部としてマッチング回路を設けたマッチング基板を収納および取り出し自在としたので、従来マッチング回路が設けられたメイン基板の回路素子不搭載部に、他の部材を配設することができ、それだけ小型化に好適である。しかも、マッチング基板の配設が容易である。
【0015】
請求項4記載のアンテナ装置にあっては、アンテナエレメントとマッチング基板を、導電性の板バネを介して電気的接続させるので、確実な電気的接続が得られる。
【0016】
請求項5記載のアンテナ装置にあっては、マッチング基板収納部の開口の長手方向の両端側に、マッチング基板をメイン基板側に弾性付勢する弾性樹脂部材を配設したので、マッチング基板を安定してメイン基板側に弾性付勢することができる。しかも、弾性樹脂部材により、板バネが過度に変形して塑性変形を生じさせるのを防止することができるとともに、マッチング基板の振動等を吸収することができる。
【0017】
請求項6記載のアンテナ装置にあっては、マッチング基板をメイン基板に電気的接続させるマッチング基板接続端子を、マッチング基板のメイン基板側の面より突出するように構成したので、板バネ等によりマッチング基板がメイン基板側に弾性付勢されると、マッチング基板接続端子がメイン基板に当接して、確実な電気的接続が得られる。
【0018】
請求項14記載の通信機器にあっては、送受信回路が搭載されたメイン基板に請求項1ないし6記載のいずれかのアンテナ装置を配設したので、メイン基板の回路素子不搭載部に他の部材を配設して小型化を図ることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の第1実施例を図1ないし図5を参照して説明する。図1は、本発明のアンテナ装置を用いた通信機器の第1実施例の構造を示す外観斜視図である。図2は、本発明のアンテナ装置を用いた通信機器の分解斜視図である。図3は、マッチング基板の外観を示す図である。図4は、本発明のアンテナ装置からマッチング基板を取り外した要部の斜視図である。図5は、キャリアに設けたメイン基板挿入凹部にメイン基板の挿入を説明する図である。図1ないし図5において、図16と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複した説明を省略する。
【0020】
図1ないし図5において、誘電体からなるキャリア10の表面に導電金属板または導電箔等からなるアンテナエレメント12が配設されている。そして、キャリア10の1つの側面にメイン基板14の一端部が挿入できるメイン基板挿入凹部10aが設けられ、メイン基板14の一端部が挿入されて、キャリア10とメイン基板14が一体化するように配設される。メイン基板14の表面には、送受信回路(図示せず)を構成する回路素子が適宜に配設される回路素子搭載部14aと、キャリア10の近くで送受信回路の回路素子が配設されない回路素子不搭載部14bが設けられる。そして、回路素子搭載部14aからキャリア10側にマイクロストリップ線路からなる伝送路14cが設けられている。なお、伝送路14cの途中には、従来例のごときマッチング回路16は形成されていない。
【0021】
そして、マッチング回路は、マッチング基板20として扁平な略直方体の形状にチップ化されている。これは、積層基板内に適宜に回路素子が組み込まれたもので、例えば、LTCC(Low Temperature Co−fired Ceramics)により形成される。そして、マッチング基板20の上の面にはアンテナエレメント12と電気的接続させるための2つの端子20a、20aが設けられ、下の面にはメイン基板14と電気的接続させるための3つの端子20b、20b、20bが設けられている。しかも、マッチング基板接続端子としての下の面の端子20b、20b、20bは、マッチング基板20の下の面よりも僅かな寸法dだけ突出するよう形成されている。
【0022】
さらに、キャリア10には、メイン基板挿入凹部10aが設けられた側面に、メイン基板挿入凹部10aより上に重なるように凹部が設けられてマッチング基板収納部10bとしてマッチング基板20が収納および取り出し自在とされる。さらに、このマッチング基板収納部10bにマッチング基板20を収納した状態で、アンテナエレメント12とマッチング基板20の上の面の端子20a、20aを電気的接続させる導電性の板バネ18、18が、アンテナエレメント12と一体でキャリア10側に設けられている。板バネ18、18とマッチング基板20の上の面の端子20a、20aで、接続機構が形成されている。そして、この板バネ18、18の弾力によりマッチング基板20は下側に弾性付勢されている。また、マッチング基板20の両側には、係合凹部20c、20cが設けられ、またキャリア10のマッチング基板収納部10bには挿入された状態のマッチング基板20の係合凹部20c、20cに係合するように係合部としての係止爪10c、10cが設けられている。しかも、この係合凹部20c、20cに係止爪10c、10cが係合した状態で、マッチング基板20は、一定の範囲で僅かながら上下方向に移動可能に構成されている。
【0023】
かかる構成において、まずキャリア10のマッチング基板収納部10bにマッチング基板20を挿入し、さらにキャリア10のメイン基板挿入凹部10aにメイン基板14を挿入する。すると、図5に示すごとく、メイン基板14の挿入に伴い、マッチング基板20は板バネ18、18の弾力に抗して僅かな寸法pだけマッチング基板収納部10b内で上方に移動する。そして、マッチング基板20の下の面の突出したマッチング基板接続端子としての端子20b、20b、20bが、メイン基板14のメイン基板接続端子としての伝送路14cの先端側に弾接されて、確実な電気的接続がなされる。端子20b、20b、20bと伝送路14cの先端部により、マッチング基板接続機構が形成されている。マッチング基板20の上の面の端子20a、20aは、板バネ18、18を介してアンテナエレメント12に確実に電気的接続されていることは勿論である。なお、メイン基板14の挿入によりマッチング基板20を上方に僅かながら移動させる構造は、メイン基板挿入凹部10aの底面に開口側が僅かに低いスロープを設けるなど、如何なる構造であっても良い。
【0024】
上記第1実施例のアンテナ装置およびそれ用いた通信機器にあっては、マッチング回路を設けたマッチング基板20をキャリア10に配設するので、従来マッチング回路が設けられたメイン基板14の回路素子不搭載部14bに、他の部材を配設することができ、それだけ小型化に好適である。そして、キャリア10の側面に設けたマッチング基板収納部10bにマッチング基板20を収納および取り出し自在としたので、半田付け作業を必要とせず、マッチング基板20の配設が容易である。さらに、マッチング回路の回路素子の定数の異なる多種のマッチング基板20を予め用意することで、通信機器の設計段階で種種のマッチング基板20を半田作業なしで簡単に収納および取り出して交換することができ、最適な定数を短い作業時間で見出すことができる。
【0025】
次に、本発明の第2実施例を図6を参照して説明する。図6は、本発明のアンテナ装置の第2実施例の外観斜視図である。図6において、図1ないし図5および図16と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複した説明を省略する。なお、図6に示す構造は、本発明の第2実施例のアンテナ装置にメイン基板が配設されていない状態である。
【0026】
図6において、第1実施例と相違するところは、キャリア10の側面に設けられたマッチング基板収納部10bに、導電性の板バネ18、18が設けられるとともに、これらの板バネ18、18と同方向にメイン基板14を弾性付勢するように弾性樹脂部材22、22が、マッチング基板収納部10bの開口の長手方向の両端側に設けられている、ことにある。かかる構造の第2実施例にあっては、弾性樹脂部材22、22は板バネ18、18のごとく極端な弾性変形を生ずることがなく、板バネ18、18が極端に変形して塑性変形を生ずるのを防止し得る。また、板バネ18、18は、マッチング基板20の上の面の端子20a、20aに当接するようにその位置が自由に設定できない。そこで、板バネ18、18だけでは、マッチング基板20を必ずしも均等に下方に弾性付勢できない。そこで、両端側に弾性樹脂部材22、22をそれぞれに設けることで、マッチング基板20を均等に下方に弾性付勢できるとともに、マッチング基板収納部10b内でのマッチング基板20の振動等も吸収することができる。
【0027】
図7は、マッチング基板の端子の他の構造の外観斜視図である。図7に示す構造は、マッチング基板20の上の面の端子20a、20aに導電性の板バネ24、24を直接に電気的接続するとともに固定したものである。または、上の面の端子20a、20aに換えて、導電性の板バネ24、24を直接にマッチング基板20に設けたものである。当然に、第1実施例の図1等で示したキャリア10に設けられた板バネ18、18は設けられていない。このように、アンテナエレメント12とマッチング基板20を電気的接続する板バネ18、18、24、24は、キャリア10側またはマッチング基板20側のいずれか一方に配設されていれば良い。
【0028】
図8は、マッチング基板の端子のさらなる他の構造の外観斜視図である。図8に示す構造は、マッチング基板20の下の面の端子20b、20b、20bに導電性のマッチング基板接続用の板バネ26、26、26を直接に電気的接続するとともに固定したものである。または、下の面の端子20b、20b、20bに換えて、導電性の板バネ26、26、26を直接にマッチング基板20に設けたものである。このマッチング基板接続機構としてのマッチング基板接続用の板バネ26、26、26は、図8のごとくマッチング基板20側に設けられたものに限られず、メイン基板14側に設けられていても良い。
【0029】
図9は、マッチング基板の回路素子の配設の他の構造の外観斜視図である。図9に示す構造は、マッチング基板20の上の面に全ての回路素子20d、20d…が配設されたものである。積層基板を用いずに構成することができる。
【0030】
図10は、マッチング基板の回路素子の配設のさらなる他の構造の外観斜視図である。図10に示す構造は、マッチング基板20の上の面に回路素子20d、20d…の一部が配設され、他の回路素子はマッチング基板20内に、図3に示す実施例と同様に、積層基板内に配設されたものである。図3と図9および図10のいずれに示すマッチング基板20にあっても、マッチング回路がチップ化されたものであって、キャリア10に適宜に容易に取り付けおよび取り外しができるようにすることで、その交換は容易である。
【0031】
さらに、本発明の第3実施例を図11を参照して説明する。図11は、本発明のアンテナ装置の第3実施例を用いた通信機器の外観斜視図である。図11において、図1ないし図5および図16と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複した説明を省略する。
【0032】
図11において、第1実施例と相違するところは、キャリア10の側面にマッチング基板収納部10bは設けられているが、メイン基板挿入凹部10aは設けられていない。そこで、メイン基板14の表面にキャリア10が搭載され、キャリア14とメイン基板10を図11で上から貫通したネジ32、32が、通信機器のケース34に刻設された雌ネジ34a、34aに螺合して、ケース34にキャリア10とメイン基板14が共締め固定されている。なお、図11にあっては、キャリア10のマッチング基板収納部10bにマッチング基板20が挿入された状態で示されているが、キャリア14とメイン基板10をケース34に固定した後で、マッチング基板20を挿入すれば良いことは勿論である。また、通信機器のケース34とメイン基板10を下から貫通したネジが、キャリアに刻設された雌ネジに螺合されて、ケース34とメイン基板14とキャリア10が共締め固定されるようにしても良い。
【0033】
そしてさらに、本発明の第4実施例を図12を参照して説明する。図12は、本発明のアンテナ装置の第4実施例を用いた通信機器の外観斜視図である。図12において、図1ないし図5および図11と図16と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複した説明を省略する。
【0034】
図12において、図11に示す第3実施例と相違するところは、通信機器のケース34に対するキャリア10とメイン基板14の固定構造にある。図12に示す構造では、キャリア10の両端側の面にそれぞれに固定用係合凹部10d、10dが設けら、これに対応する位置のメイン基板14の縁部にも固定用係合凹部14d、14dが設けれ、ケース34には、これらの固定用係合凹部10d、10d、14d、14dに係合できるように固定用係合爪部34b、34bが突設されている。ケース34上にメイン基板14を搭載し、さらにキャリア10を搭載して、固定用係合爪部34b、34bを弾性変形させて係合させることで、容易にケース34にキャリア10とメイン基板14を固定することができる。
【0035】
また、本発明の第4実施例の変形例を図13を参照して説明する。図13は、本発明のアンテナ装置の第4実施例の変形例を用いた通信機器の外観斜視図である。図13において、図1ないし図5および図11と図12と図16と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複した説明を省略する。
【0036】
図13において、図12に示す第4実施例と相違するところは、キャリア10に固定用係合爪部10e,10eを設けた構造にある。図13に示す構造では、キャリア10の両端側にそれぞれに固定用係合爪部10e、10eが設けら、これに対応する位置のメイン基板14の縁部に固定用係合凹部14d、14dが設けれ、ケース34にも、キャリア10の固定用係合爪部10e、10eが係合できるように固定用係合凹部34c、34cが設けられている。ケース34上にメイン基板14を搭載し、さらにキャリア10を搭載して、キャリア10の固定用係合爪部10e、10eを弾性変形させて、ケース34の固定用係合凹部34c、34cに係合させることで、容易にケース34にキャリア10とメイン基板14を固定することができる。
【0037】
さらにまた、本発明の第5実施例を図14を参照して説明する。図14は、本発明のアンテナ装置の第5実施例の外観斜視図である。図14において、図1ないし図5および図11ないし図13と図16と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複した説明を省略する。
【0038】
図14において、第1実施例と相違するところは、キャリア10の側面にマッチング基板収納部10bは設けられているが、メイン基板挿入凹部10aは設けられていない。そこで、メイン基板14の表面にキャリア10が搭載されて固定される。その構造は、キャリア10の両端側にそれぞれに固定用係合爪部10e、10eが突設され、これに対応する位置のメイン基板14の縁部に固定用係合凹部14d、14dが設けれる。メイン基板14上にキャリア10を搭載して、固定用係合爪部10e、10eを弾性変形させて係合させることで、容易にキャリア10とメイン基板14を固定することができる。
【0039】
そしてまた、本発明の第5実施例の変形例を図15を参照して説明する。図15は、本発明のアンテナ装置の第5実施例の変形例の外観斜視図である。図15において、図1ないし図5および図11ないし図14と図16と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複した説明を省略する。
【0040】
図15において、図14に示す第5実施例と相違するところは、キャリア10の両端側の面にそれぞれに固定用係合凹部10d、10dが設けら、これに対応する位置のメイン基板14の縁部に固定用係合爪部14e、14eが設けれている。これらのメイン基板14の固定用係合爪部14e、14eは、弾性金属板や弾性樹脂で形成され、メイン基板14に半田付けやネジ止めなど適宜な手段で設けられていれば良い。そして、メイン基板14上にキャリア10を搭載して、固定用係合爪部14e、14eを弾性変形させて、キャリア10の固定用係合凹部10d、10dに係合させることで、容易にキャリア10とメイン基板14を固定することができる。
【0041】
なお、上記実施例にあっては、キャリア10の側面にマッチング基板収納部10bを設けてマッチング基板20を収納および取り出し自在としているが、これに限られず、キャリア10の表面に適宜にネジ止め等によりマッチング基板20を配設するようにしても良い。また、マッチング基板収納部10bに挿入されたマッチング基板20が抜け出すのを阻止する係合部は、図4に示すごとき係止爪10c、10cに限られず、抜け出しを阻止し得れば、如何なる構造のものであっても良い。そして、図11に示す構造にあっては、キャリア10とメイン基板14を上下から挟むようにして収容する一対のケース34、34を設け、ネジ32、32等を一方側のケース34からキャリア10とメイン基板14を貫通させて他方側のケース34で共締め固定するように構成しても良い。さらに、図12ないし図14に示す構造において、固定用係合爪部10e、34bは、それぞれキャリア10またはケース34に一体に成形されているいるが、これに限られず、別部品として成形された固定用係合爪部10e、34bを、それぞれキャリア10またはケース34に適宜に配設固定しても良い。そして、図14と図15に示す構造において、固定用係合爪部10e、14eと固定用係合凹部10d、10eを用いることなく、キャリア10とメイン基板14を貫通するネジ等により締め付け固定されても良く、またメイン基板14を貫通したネジがキャリア10に刻設された雌ネジに螺合されて締め付け固定されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明のアンテナ装置を用いた通信機器の第1実施例の構造を示す外観斜視図である。
【図2】本発明のアンテナ装置を用いた通信機器の分解斜視図である。
【図3】マッチング基板の外観を示す図である。
【図4】本発明のアンテナ装置からマッチング基板を取り外した要部の斜視図である。
【図5】キャリアに設けたメイン基板挿入凹部にメイン基板の挿入を説明する図である。
【図6】本発明のアンテナ装置の第2実施例の外観斜視図である。
【図7】マッチング基板の端子の他の構造の外観斜視図である。
【図8】マッチング基板の端子のさらなる他の構造の外観斜視図である。
【図9】マッチング基板の回路素子の配設の他の構造の外観斜視図である。
【図10】マッチング基板の回路素子の配設のさらなる他の構造の外観斜視図である。
【図11】本発明のアンテナ装置の第3実施例を用いた通信機器の外観斜視図である。
【図12】本発明のアンテナ装置の第4実施例を用いた通信機器の外観斜視図である。
【図13】本発明のアンテナ装置の第4実施例の変形例を用いた通信機器の外観斜視図である。
【図14】本発明のアンテナ装置の第5実施例の外観斜視図である。
【図15】本発明のアンテナ装置の第5実施例の変形例の外観斜視図である。
【図16】従来のアンテナ装置を用いた通信機器の構造を示す外観斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
10 キャリア
10a メイン基板挿入凹部
10b マッチング基板収納部
10c 係止爪
10d、14d、34c 固定用係合凹部
10e、14e、34b 固定用係合爪部
12 アンテナエレメント
14 メイン基板
14a 回路素子搭載部
14b 回路素子不搭載部
14c 伝送路
16 マッチング回路
18、24、26 板バネ
20 マッチング基板
20a、20b 端子
20c 係合凹部
22 弾性樹脂部材
30 コネクタ端子
32 ネジ
34 ケース
34a 雌ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信機器のメイン基板に配設されるアンテナ装置であって、誘電体からなるキャリアの表面にアンテナエレメントを配設し、マッチング回路を設けたマッチング基板を前記キャリアに配設し、前記アンテナエレメントと前記マッチング基板を電気的接続させる接続機構を設けるとともに、前記キャリアを前記メイン基板に配設した状態で、前記マッチング基板を前記メイン基板に電気的接続するマッチング基板接続機構を設けて構成したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
通信機器のメイン基板に配設されるアンテナ装置であって、誘電体からなるキャリアの表面にアンテナエレメントを配設し、前記キャリアの側面に凹部を設けてマッチング基板収納部としてマッチング回路を設けたマッチング基板を収納および取り出し自在とし、前記マッチング基板を収納した状態で、前記アンテナエレメントと前記マッチング基板を電気的接続させる接続機構を設けるとともに、前記キャリアを前記メイン基板に配設した状態で、前記マッチング基板を前記メイン基板に電気的接続するマッチング基板接続端子を前記マッチング基板に設けて構成したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項3】
通信機器のメイン基板に配設されるアンテナ装置であって、誘電体からなるキャリアの表面にアンテナエレメントを配設し、前記キャリアの一側面から下面に渡る凹部を設けてマッチング基板収納部としてマッチング回路を設けたマッチング基板を前記一側面側の開口から収納および取り出し自在とし、前記マッチング基板を収納した状態で、前記アンテナエレメントと前記マッチング基板を電気的接続させる接続機構を設けるとともに、前記キャリアを前記メイン基板に配設した状態で、前記マッチング基板を前記メイン基板に電気的接続するマッチング基板接続端子を前記マッチング基板に設けて構成したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項4】
請求項2または3記載のアンテナ装置において、前記アンテナエレメントと前記マッチング基板を電気的接続させる前記接続機構として、導電性の板バネを設け、前記板バネを介して前記アンテナエレメントと前記マッチング基板を電気的接続させるとともに、前記マッチング基板を本アンテナ装置が配設される前記メイン基板側に弾性付勢するように配設して構成したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項5】
請求項4記載のアンテナ装置において、前記マッチング基板収納部としての前記凹部は、前記マッチング基板の長手方向の開口を有し、前記マッチング基板収納部の開口の長手方向の両端側に、前記マッチング基板を前記メイン基板側に弾性付勢する弾性樹脂部材を配設して構成したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項6】
請求項4または5記載のアンテナ装置において、前記マッチング基板を前記メイン基板に電気的接続させる前記マッチング基板接続端子を、前記マッチング基板の前記メイン基板側の面より突出するように構成したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項7】
請求項1記載のアンテナ装置において、前記マッチング基板を前記メイン基板に電気的接続するマッチング基板接続機構として、前記マッチング基板または前記メイン基板のいずれか一方に導電性のマッチング基板接続用の板バネを設けて構成したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項8】
請求項4または5記載のアンテナ装置において、前記アンテナエレメントと前記マッチング基板を電気的接続させる前記板バネが、前記キャリアまたは前記マッチング基板のいずれか一方に配設して構成したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項9】
請求項4ないし6記載のいずれかのアンテナ装置において、前記マッチング基板収納部内で前記マッチング基板が、前記メイン基板に近接および分離する方向に一定の範囲で移動可能に構成したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項10】
請求項1ないし6記載のいずれかのアンテナ装置において、前記マッチング基板を積層基板で形成し、マッチング回路を形成する回路素子を前記積層基板内に配設して構成したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項11】
請求項1ないし6記載のいずれかのアンテナ装置において、前記マッチング基板を積層基板で形成し、マッチング回路を形成する回路素子の一部を前記積層基板内に配設し、他の回路素子を前記積層基板の表面に搭載して構成したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項12】
請求項1ないし6記載のいずれかのアンテナ装置において、前記マッチング基板の表面に、マッチング回路を形成する回路素子を搭載して構成したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項13】
請求項2または3記載のアンテナ装置において、前記マッチング基板収納部に、前記マッチング基板を収納した状態で前記マッチング基板に係合して抜け出しを規制する係合部を設けて構成したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項14】
送受信回路が搭載されたメイン基板に請求項1ないし6記載のいずれかのアンテナ装置を配設して構成したことを特徴とする通信機器。
【請求項15】
送受信回路が搭載されたメイン基板に請求項2記載のアンテナ装置を配設してなる通信機器において、前記アンテナ装置の前記キャリアに、前記メイン基板の一端側が挿入できるメイン基板挿入凹部を設け、前記メイン基板の挿入で、前記メイン基板の表面に設けたメイン基板接続端子に前記マッチング基板のマッチング基板接続端子が電気的接続するように構成したことを特徴とする通信機器。
【請求項16】
送受信回路が搭載されたメイン基板に請求項4ないし6記載のいずれかのアンテナ装置を配設してなる通信機器において、前記メイン基板の表面に設けたメイン基板接続端子に、前記マッチング基板に設けたマッチング基板接続端子が弾接して電気的接続するように構成したことを特徴とする通信機器。
【請求項17】
送受信回路が搭載されたメイン基板に請求項3記載のアンテナ装置を配設してなる通信機器において、前記アンテナ装置を前記メイン基板の表面に載置することで、前記メイン基板の表面に設けたメイン基板接続端子に前記マッチング基板のマッチング基板接続端子が電気的接続するように構成したことを特徴とする通信機器。
【請求項18】
請求項17記載の通信機器において、前記アンテナ装置の前記キャリアと前記メイン基板を、前記通信機器のケースにネジで共締め固定するように構成したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項19】
請求項17記載の通信機器において、前記アンテナ装置の前記キャリアと前記メイン基板にそれぞれに固定用係合凹部を設け、前記通信機器のケースに前記固定用係合凹部に係合する固定用係合爪部を設け、前記固定用係合爪部で、前記キャリアと前記メイン基板を前記通信機器のケースに固定するように構成したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項20】
請求項17記載の通信機器において、前記メイン基板と前記通信機器のケースにそれぞれに固定用係合凹部を設け、前記アンテナ装置の前記キャリアに前記固定用係合凹部に係合する固定用係合爪部を設け、前記固定用係合爪部で前記キャリアと前記メイン基板を前記通信機器のケースに固定するように構成したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項21】
請求項3記載のアンテナ装置において、前記メイン基板に固定用係合凹部を設け、前記キャリアに前記固定用係合凹部に係合する固定用係合爪部を設け、前記固定用係合爪部で前記キャリアに前記メイン基板を固定するように構成したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項22】
請求項3記載のアンテナ装置において、前記キャリアに固定用係合凹部を設け、前記メイン基板に前記固定用係合凹部に係合する固定用係合爪部を設け、前記固定用係合爪部で前記キャリアに前記メイン基板を固定するように構成したことを特徴とするアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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