アンテナ装置
【課題】小型のアンテナを有するアンテナ装置であって、従来に比べて低い下限周波数を得ることができる、設計自由度の高い、高利得、広帯域のアンテナ装置を提供する。
【解決手段】アンテナ装置1における放射導体14は、第1の形状要素11a,11b、第2の形状要素12a,12b及び第3の形状要素13a,13bが一方向に連結して配設される。第1の形状要素は、半円形の形状を有し、第3の形状要素は帯状形状を有し、給電点15a,15bが設けられる。第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素の最大縦長さは、この順に小さくなっている。
【解決手段】アンテナ装置1における放射導体14は、第1の形状要素11a,11b、第2の形状要素12a,12b及び第3の形状要素13a,13bが一方向に連結して配設される。第1の形状要素は、半円形の形状を有し、第3の形状要素は帯状形状を有し、給電点15a,15bが設けられる。第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素の最大縦長さは、この順に小さくなっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置、特に通信用、測距用又は放送用に用いられるマイクロ波領域(3〜30GHz)及びミリ波領域(30〜300GHz)の通信に適するアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、動作周波数帯域が広帯域のアンテナとして、非特許文献1に開示されるディスクモノポールアンテナが知られている。図24は、このディスクモノポールアンテナを示す図である。このディスクモノポールアンテナは、同軸線路202に接続された平面ディスクモノポール201を備えて構成される。具体的には、平面ディスクモノポール201は金属平板203から所定の距離L離れた位置に、金属平板203に対して垂直に立設するように配設される。そして、距離Lを調整することで、所望の特性を有するように最適なマッチングが可能となっている。
【0003】
また、図25に示すように、下記特許文献1に開示されるアンテナも知られている。このアンテナは、略半円状の放射板211a,211bを対にして配することにより構成される。放射板211a,211bは、半円形状の2枚の導体板をそれより小さい同心円状の略半円部を切除して形成されている。放射板211a,211bにはそれぞれ、その半円形状の同心円の中心部に同心状に略半円形状の切り欠き部241a,241bが設けられている。これらの2枚の放射板211a,211bはそれぞれの円弧の頂点部221a,221bが対向するように配置され、放射板211a,211bの頂点部221a,221b間で給電を行っている。また、同軸ケーブル231は放射板211bの中心線Oxに沿って配置されている。
【0004】
さらに、図26に示すように、セラミック板250に半円形状の放射導体251をプリントし、この放射導体251の半円形状の端部252を信号線路と接続する給電点を設けた構成のアンテナ253が下記非特許文献2に開示されている。放射導体251の端部252の近傍には、細いスリット254が設けられ、アンテナ特性の調整に用いられる。これにより、動作周波数帯域が広帯域のアンテナを実現するとしている。
【0005】
また、図27に示すように、下記特許文献2に開示されるアンテナ263も知られている。このアンテナは、誘電体基体261に矩形形状の放射導体264を構成し、グランド導体262を設けることにより、モノポールアンテナとして動作するものである。
【0006】
【非特許文献1】M. Hammoud et al, "Matching The Input Impedance of A Broadband Disc Monopole", Electron. Lett., Vol.29, No.4, pp.406-407, 1993
【特許文献1】特許第3273463号公報
【非特許文献2】Do-Hoon Kwon, Yongjin Kim et al,”A Small Ceramic Chip Antenna for Ultra-Wideband Systems”, UWBST & IWUWBS 2004 Conference Proceedings, TA4-3,pp.307-311, 2004
【特許文献2】US2004/100408A1
【0007】
ところで、図24に示されるアンテナはモノポールアンテナである。このアンテナは、上記平面ディスクモノポール201からなる放射素子と金属平板203からなるグランド導体とを有して構成される。そして、放射素子とグランド導体とが垂直かつ直交するように配設される。このため、放射素子はグランド導体に対して3次元配置となって立設し、3次元構造体のアンテナとして3次元的に空間を占有する。その際、金属平板203の大きさは、平面ディスクモノポール201の放射導体の直径の約10倍程度の大きさが必要とされ、例えば300mm×300mmとなって形状が大きくなる。このため、図24に示すアンテナは立体的な構造体を成し、グランド導体の形状も大きくなるため、小型のアンテナ装置には適さない。
【0008】
図25に示されるアンテナでは、放射板211a,211bの形状を直径150mmの半円形状としたとき、VSWR(Voltage Standing Wave Ratio)が略2以下となる下限周波数は600MHzである。この下限周波数(600MHz)における波長λは略500mmである。したがって、電波の使用対象とする動作周波数帯域において、放射板211a,211bの上記直径は少なくとも略0.3波長分の長さが必要であることがわかる。このように半円形状の放射板は、少なくとも略0.3波長分の長さの直径を持つことが必要となるため、アンテナ装置の外形は大きな占有面積、すなわち略0.3波長×0.3波長分のアンテナ面積が必要となる。したがって、動作周波数帯域の下限周波数を下げようとすると、アンテナ装置の外形は大型化しなければならず、小型のアンテナ装置には適さない。
また、同軸ケーブル231から頂点部221a,221bへ給電しているため、インピーダンス調整を行うのが困難となっており、設計自由度の高いアンテナとはいえない。
【0009】
一方、図26に示すアンテナ253は、モノポールアンテナである。このためアンテナとして機能するためにはグランド導体(不図示)が必要である。放射導体251は、直径10mmの半円形状とすると、グランド導体は30mm×30mmの矩形形状となり、アンテナ253の外形は40mm×30mmの矩形形状となる。このとき、VSWRが略2.3以下となる下限周波数は3.1GHzである。したがって、外形で40mm×30mmのアンテナ253は、下限周波数3.1GHzの波長に対して略0.4波長×0.3波長分の大きさの面積が必要である。このため、動作周波数帯域幅を拡げるために下限周波数を下げようとすると、アンテナ253の外形を大きくしてアンテナ253の占有面積を大きくしなければならず、小型のアンテナ装置には適さない。
また、図26に示すアンテナ253では、放射導体251が半円形状に固定されているため、動作周波数帯域の下限周波数を下げることのできる設計自由度の高いアンテナ装置を提供することはできない。
【0010】
さらに、図27に示すアンテナも、モノポールアンテナであり、グランド導体が必要である。放射導体を8mm×10mmとする場合、グランド導体は20mm×35mmの矩形形状となり、アンテナ263の外形は28mm×45mmの矩形形状となる。このとき、VSWRが略2以下となる下限周波数は3GHzである。したがって、外形で28mm×45mmのアンテナ263は、下限周波数3.1GHzの波長に対して略0.28波長×0.45波長分の大きさの面積が必要である。このため、動作周波数帯域幅を拡げるために下限周波数を下げようとすると、アンテナ263の外形を大きくしてアンテナ263の占有面積を大きくしなければならず、小型のアンテナ装置には適さない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は、従来のアンテナのような立体構造体として占有体積を占めることがなく、かつ略平面構造体としても占有面積を大きく占めることもなく、従来に比べて低い下限周波数を得ることができる、設計自由度の高い、高利得、広帯域の小型のアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、以下のアンテナ装置を提供する。
すなわち、本発明は、誘電体基体又は誘電体基板に平面状の放射導体が設けられたアンテナ装置において、
該放射導体は、導体形状を規定する第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素が一方向に沿って配設されて、第1の形状要素と第2の形状要素とが接合し、かつ、第2の形状要素と第3の形状要素とが接合するような1つの形状を成しており、
第1の形状要素は、半円形、略半円形、半楕円形、略半楕円形、弓形及び略弓形の中から選ばれる形状を有し、
第3の形状要素は、帯状、略帯状、矩形形状及び略矩形形状の中から選ばれる形状を有し、
第1の形状要素と第3の形状要素とは、離間して配設されており、
第1の形状要素と第3の形状要素との間の余白を埋めるように第2の形状要素が配設されており、
第3の形状要素には給電点が設けられ、
第1の形状要素の半円形、略半円形、半楕円形、略半楕円形、弓形及び略弓形の弦を、仮に第2の形状要素側に第1の形状要素とは反対側の第3の形状要素の端部まで伸長したと想定し、この伸長した部分を想定弦という場合に、想定弦側の第2の形状要素の縁部及び想定弦側の第3の形状要素の1辺とが想定弦と重なるか、又は、ほぼ重なり、
上記一方向に対して直交する方向における、第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素の最大長さをそれぞれW1,W2,W3としたとき、W1>W2>W3を満足することを特徴とするアンテナ装置を提供する。
【0013】
また、本発明は、誘電体基体又は誘電体基板に平面状の第1の放射導体及び第2の放射導体からなる一対の放射導体が互いに対向するように同一平面上に設けられたアンテナ装置において、
第1の放射導体及び第2の放射導体には、給電点が設けられ、
該一対の放射導体のうち第1の放射導体は、導体形状を規定する第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素が一方向に沿って配設されて、第1の形状要素と第2の形状要素とが接合し、かつ、第2の形状要素と第3の形状要素とが接合するような1つの形状を成しており、
第1の放射導体の第3の形状要素は、第2の放射導体に対向するように対向する側に配設されており、
第1の放射導体の第1の形状要素は、半円形、略半円形、半楕円形、略半楕円形、弓形、略弓形、矩形及び略矩形の中から選ばれる形状を有し、
第1の放射導体の第3の形状要素は、帯状、略帯状、矩形形状及び略矩形形状の中から選ばれる形状を有し、
第1の放射導体において、第1の形状要素と第3の形状要素とは、離間して配設されて、第1の形状要素と第3の形状要素との間の余白を埋めるように第2の形状要素が配設されており、
第1の放射導体において、第1の形状要素の半円形、略半円形、半楕円形、略半楕円形、弓形及び略弓形の弦を、仮に第2の形状要素側に第1の形状要素とは反対側の第3の形状要素の端部まで伸長したと想定し、この伸長した部分を想定弦という場合に、想定弦側の第2の形状要素の縁部及び想定弦側の第3の形状要素の1辺とが想定弦と重なるか、又は、ほぼ重なり、
第1の放射導体において、前記一方向に対して直交する方向における、第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素の最大長さをそれぞれW1A,W2A,W3Aとしたとき、W1A>W2A>W3Aを満足することを特徴とするアンテナ装置を提供する。
【0014】
さらに、本発明は、誘電体基体又は誘電体基板に第1の放射導体及び第2の放射導体からなる一対の放射導体が同一平面上に設けられたアンテナ装置において、
該一対の放射導体は一方向に沿って対向するように配設され、
該一対の放射導体の、相互に最接近する部分又は該部分近傍には、一対の互いに並行する信号線により給電される給電点が設けられ、
該一対の信号線のそれぞれは、前記一方向に沿って直線状に延びる第1の直線部分と、第1の直線部分から前記方向と直交する方向に向きを変えて直線状に延び、該一対の放射導体に給電する第2の直線部分とを有して、該誘電体基体又は誘電体基板に略L字状に設けられ、
該一対の放射導体のうち、該一対の信号線の第1の直線部分が設けられる側の放射導体を第2の放射導体とし、第2の放射導体に対向する放射導体を第1の放射導体とする場合、第2の放射導体は、該給電点の近傍に少なくとも該一方向に沿った直線状の辺を有し、第2の放射導体の、該一対の信号線が設けられる側には、該一対の信号線と該辺との間の距離に比べて距離が拡がるように切り欠かれていることを特徴とするアンテナ装置を提供する。
【0015】
これらのアンテナ装置では、前記放射導体が設けられた前記誘電体基体は、例えば絶縁性基板上にアンテナ本体部として配され、該絶縁性基板には伝送線路が設けられ、該伝送線路と前記給電点とが信号線(接続導体)を介して接続されている。その際、前記伝送線路は、前記信号線(接続導体)により前記放射導体の平面に対して傾斜した方向から、又は略垂直の方向から接続される。この場合、第3の形状要素の給電点の位置は第3の形状要素の端部でなくてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明のアンテナ装置では、平面状の放射導体の導体形状を規定する第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素が一方向に沿って配設されている。この配設方向に対して直交する方向における各形状要素の最大長さが、第1の形状要素、第2の形状要素、第3の形状要素の順に小さくなっている。このため、インピーダンスマッチングが良好な、設計自由度の高いアンテナ装置を実現する。
また、平面状の放射導体を上記のような構成にすることにより、従来より低い下限周波数を得ることができ、より小形なアンテナ装置を提供することができる。
また、放射導体が平面構造となるため、アンテナの占有空間を小さくすることができ、アンテナを回路基板等の絶縁性基板の表面に実装する表面実装型のアンテナ装置を提供することができる。
本発明では前記アンテナ本体部をこの絶縁性基板の端部付近に配することができる。このため、アンテナ本体部に必要とされる絶縁性基板の実装面積を小さくすることができ、従来に比べて小型で動作周波数帯域の広いアンテナ装置を提供することができる。
【0017】
また、本発明のアンテナ装置では、一対の放射導体によるダイポールアンテナを構成し、それぞれの放射導体を、第1の形状要素と第2の形状要素と第3の形状要素とにより構成する。これらの形状要素を適宜調整することにより、アンテナ面積を小さくすることができる。しかも、従来に比べて低い下限周波数を得ることができる。
さらに、一対の放射導体に給電する一対の信号線を第1の直線部分と第2の直線部分により構成して誘電体基体に設け、信号線をL字状とするので、一対の放射導体及び一対の信号線を設けた誘電体基体を、アンテナ本体部として絶縁性基板の端部付近に配することができる。これより、絶縁性基板におけるアンテナ本体部の実装面積を小さくすることができ、従来に比べて小型で動作周波数帯域の広いアンテナ装置を実現できる。
また、アンテナ本体部を回路基板の端部付近に配することができるため、回路基板に周辺回路を配置するための領域を広く確保することができ、通信装置全体の小型化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明のアンテナ装置について、添付の図面に示される好適実施形態を基に詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明のアンテナ装置の一実施形態であるアンテナ装置1に用いられるアンテナ本体部10の平面図である。図2は、アンテナ装置1の平面図である。図3は、図2に示すアンテナ装置1を図2中のA−A’線に沿って切断した矢視断面図である。
アンテナ本体部10は、電波の送受信を行うアンテナ装置1の主要部分である。アンテナ本体部10は、誘電体基体16に放射導体14が設けられて構成され、絶縁性基板22(図2参照)の表面に実装されて表面実装型のアンテナとして機能する。
アンテナ本体部10は、平面状の金属導体である放射導体14と、誘電体基体16とを有する。放射導体14は、同一形状を成した第1の放射導体14a及び第2の放射導体14bによって構成され、誘電体基体16の内部に同一平面上に設けられている。このため、図1,2では、放射導体14a,14bは破線で描かれている。放射導体14aは、導体形状を規定する第1の形状要素11a、第2の形状要素12a及び第3の形状要素13aによって形状が規定されている。放射導体14bは、第1の形状要素11a、第2の形状要素12a及び第3の形状要素13aのそれぞれと同様の形状を成した第1の形状要素11b、第2の形状要素12b及び第3の形状要素13bによって形状が規定されている。なお、図1に示すとおり、放射導体14aと放射導体14bとが互いに線対称又は略線対称になるように配設されている。誘電体基体16の代わりに誘電体基板を用いてもよいが、これ以降、誘電体基体16を用いて説明する。
【0020】
放射導体14aは、第1の形状要素11a、第2の形状要素12a及び第3の形状要素13aが順に同一方向(図1中の右方向)に沿って配設されて接合されている。放射導体14aは、第1の形状要素11aと第2の形状要素12aとが接合し、かつ、第2の形状要素12aと第3の形状要素13aとが接合するような1つの形状を成している。
放射導体14bは、第1の形状要素11b、第2の形状要素12b及び第3の形状要素13bが順に同一方向(図1中の左方向)に沿って配設されて接合されている。すなわち、放射導体14bは、放射導体14aと同様に、第1の形状要素11bと第2の形状要素12bとが接合し、かつ、第2の形状要素12bと第3の形状要素13bとが接合するような1つの形状を成している。
このように、第1の形状要素11a,11bと第3の形状要素13a,13bとは、離間して配設されており、第2の形状要素12a,12bが、第1の形状要素11a,11bと第3の形状要素13a,13bとの間の余白を埋めるように配設されている。
また、放射導体14a及び放射導体14bは、放射導体14aの形状要素の配設方向と放射導体14bの形状要素の配設方向とが互いに反対方向を向いて対を成すように配されている。すなわち、第3の形状要素13a及び13bの端が互いに離間して対向するように設けられている。
なお、図1ではアンテナ本体部10の大きさを規定する縦方向の長さをL3、横方向の長さをL4として定めている。
【0021】
第1の形状要素11a,11bは半円形の形状を有し、第2の形状要素12a,12bは1/4楕円形状の一部分を有している。さらに、第3の形状要素13a,13bは帯状の形状を有している。
第2の形状要素12a,12bは、楕円形状の長軸及び短軸に沿った直線部分と楕円形状の4分の1の楕円の弧により囲まれた1/4楕円形状の一部分を有する形状要素である。なお、第2の形状要素12a,12bは、上記1/4楕円形状の長軸先端を仮想した場合(図4(b)点線)、この長軸先端が第1の形状要素11a,11bの略中心点(円弧形状の中心位置)付近に位置するように配設されている。そして長軸に対応する1/4楕円形状の直線状の一辺(図1,2,4中の下側直線部分)が、第1の形状要素11a,11bにおける直線状の一辺(図1,2,4中の下側直線部分)及び第3の形状要素13a,13bの直線状の一辺(図1,2,4中の下側直線部分)と滑らかに接続されて一体となった直線部分を成している。図1に示す例では、第2の形状要素12a,12bの形状は、略四角形(略台形)である。なお、図1以外の、後述する各図において、第2の形状要素が略四角形である場合には、この略四角形は略台形である。
【0022】
放射導体14a,14bは、図1に示すように、第3の形状要素13a,13bの端部に給電点15a,15bを有し、図2に示すに示すように、後述する回路基板等の絶縁性基板22に設けられた伝送線路の信号線21a,21bとビア23を介して接続されている。このように放射導体14a,14bは、誘電体基体16上の同一の平面上に、第3の形状要素13a,13bの端が互いに対向するように誘電体基体16に配されて、ダイポール型アンテナを構成している。
【0023】
放射導体14a,14bは、上述したように構成されるが、さらに、以下のように導体形状を説明することができる。
図4(a),(b)は放射導体14の形状を具体的に説明する図である。図4(a)は放射導体14aを代表して説明しているが、放射導体14bについても同様である。
【0024】
図4(a)に示すように、放射導体14aの第1の形状要素11aの半円形の弦(直線部分)P1を、仮に第2の形状要素12aの側に第3の形状要素13aの端部まで伸長したと想定し、この伸長した直線部分を想定弦P0と定める。この場合、この想定弦P0側の第2の形状要素12aの1辺P2(縁部)及び想定弦側の第3の形状要素13aの1辺P3とが想定弦P0と重なっている。なお、このように重なっていることが好ましいが、これに限定されず、ほぼ重なっている程度でも使用できる。さらに、第2の形状要素12aの、想定弦P0とは反対側の辺P4の形状が略楕円形の弧の形状を有している。
【0025】
なお、第1の形状要素11a,11bは、半円形、略半円形、半楕円形、略半楕円形、弓形及び略弓形の中から選ばれる形状を有すればよく、第3の形状要素は、帯状、略帯状、矩形形状、略矩形形状の中から選ばれる形状を有すればよい。第2の形状要素12a,12bの、想定弦P0とは反対側の辺P4の形状が円形、略円形、楕円形又は略楕円形の弧の形状を有することが好ましい。例えば1/4円形、略1/4円形、1/4楕円形又は略1/4楕円形の弧の形状を有することが好ましい。また、第2の形状要素12a,12bの、想定弦P0とは反対側の辺P4が想定弦と平行又は略平行な直線状の辺であってもよい。
また、想定弦P0は、第2の形状要素12a,12bの1辺P2及び第3の形状要素13a,13bの1辺P3と重なるか、又は、ほぼ重なることが好ましい。
なお、放射導体14bの想定弦P0を第2の想定弦といい、仮に、第2の想定弦を無限に伸長し、これを第2の伸長想定弦というとき、前記想定弦と第2の伸長想定弦の一部とが重なるか、又は、ほぼ重なり、第2の伸長想定弦を境として、放射導体14aの主な部分と第2の放射導体14bの主な部分とが同じ側に配設されている。
【0026】
また、図4(b)において、W1,W2,W3は、それぞれ第1の形状要素11a,11b、第2の形状要素12a,12b、第3の形状要素13a,13bの各形状要素の配設方向と直交する方向(図1,2,4(a)、(b)中の上下方向)における最大縦長さ(最大長さ)を表す。なお、第1の放射導体14aにおけるこれらの最大長さ(W1A,W2A,W3A)及び第2の放射導体14bにおけるこれらの最大長さ(W1B,W2B,W3B)は、それぞれ代表してW1,W2,W3と表す。これらの形状要素のW1,W2,W3について下記条件(1)を満足するように放射導体14a,14bが設けられる。
W1 > W2 > W3 (1)
【0027】
W1は、アンテナ14の動作周波数の下限周波数(詳細は後述)に対する波長をλLとしたとき、好ましくは0.2・λL以下、より好ましくは0.15・λL以下、特に好ましくは0.1・λL以下である。条件(1)から、第2の形状要素12a,12bにアンテナインピーダンスの容量性調整機能を、第3の形状要素13a,13bにアンテナインピーダンスの誘導性調整機能を持たせることができる。すなわち、上記条件(1)を満足するようにW2,W3を選択することにより、アンテナインピーダンスの調整を最適に行うことができる。さらに、上記条件(1)を満足するようにW2,W3を選択することにより、第2の形状要素12a,12b及び第3の形状要素13a,13bは、放射導体14全体に電流を分布させ、効率よく電波を放射させるアンテナエレメントとして機能する。
具体的には、条件(1)の他に、0.07W1≦W2≦0.6W1、好ましくは0.1W1≦W2≦0.5W1を満足することが好ましい。さらに、条件(1)の他に、0.01W1≦W3≦0.06W1、好ましくは、0.01W1≦W3≦0.05W1を満足すようにW2,W3を選択することが好ましい。これにより、アンテナの動作周波数帯域は広くなる。
【0028】
なお、図4(b)では、第2の形状要素12a,12bの横長さ及び第3の形状要素13a,13bの横長さをそれぞれL1,L2として定めている。第2の形状要素12a,12bの横長さとは、第1の形状要素11a,11bの端から横方向に突出した長さであり、第3の形状要素13a,13bの横長さとは、第2の形状要素12a,12bの端から横方向に突出した長さである。
放射導体14aの面積が、放射導体14bの面積の0.85倍〜1.15倍であることが動作周波数域を広げる点で好ましい。この範囲のより好ましい範囲は、0.9倍〜1.1倍であり、この範囲の特に好ましい範囲は、0.95倍〜1.05倍である。
【0029】
アンテナ本体部10は、図2,3に示すように、絶縁性基板22の表面に実装され、アンテナとして動作するアンテナ装置1を構成する。絶縁性基板22には伝送線路であるストリップ線路が形成され、例えばコプレナーストリップ伝送線路によりアンテナ本体部10への給電が行われる。
図3に示すように、絶縁性基板22の一方の面(図3において上面)にコプレナーストリップ伝送線路の信号線21a,21bを形成し、この信号線21a,21bの形成された面の側にアンテナ本体部10が実装されている。アンテナ本体部10は誘電体基体16の内部に放射導体14が形成されており、放射導体14と信号線21a,21bとの接続は誘電体基体16に設けられたビア23を通じて行われる。また、アンテナ本体部10は絶縁性基板22の端部付近に配される。
【0030】
図3では、誘電体基体16の内部に放射導体14を設けるが、誘電体基体16の表面に設けてもよい。また、誘電体基体16は積層基体としてもよい。積層基体を用いる場合、積層基体の表面層に放射導体14を設けてもよく、また、2層目、3層目などの内層に設けてもよい。この場合、放射導体14を2つの層で挟み込むように形成してもよい。
誘電体基体16が積層基体の場合、この積層基体は1つの比誘電率を持つ1種類の誘電体層を積層したものでもよく、2種類以上の異なる比誘電率を持つ誘電体層を積層したものでもよい。
【0031】
誘電体基体16に放射導体14を設けることで、誘電体の波長短縮効果を用いてアンテナ本体部10の小型化が可能となる。この場合、放射導体14の設置位置や誘電体基体16の比誘電率、又は2種類以上の比誘電率の組み合わせに応じて、実効的な比誘電率が決まる。したがって、実効的な比誘電率に応じて波長短縮効果が可能となり、この実効的な比誘電率を適宜選択、調整することによって動作周波数帯域の広いアンテナ本体部10を実現することができる。
【0032】
また、ストリップ線路の信号線21a,21bから給電点15a,15bへの接続は図3に示すビア23を用いて行ってもよいし、誘電体基体16の端に信号線のパターンを設け、このパターンを介して接続してもよい。また、放射導体14は、誘電体基体16に限らず絶縁性基板22の基板表面上に形成してもよい。前述したように波長短縮効果をさらに得る場合、絶縁性基板22の基板表面上に形成した放射導体14の上に誘電体基体を別途設けるとよい。放射導体14を絶縁性基板22の基板表面上に形成する場合、放射導体14へ給電するためのコプレナーストリップ伝送線路等の伝送線路と放射導体14とを、同じ絶縁性基板22上に形成することができる。
【0033】
アンテナ装置1は、図2,3に示されるように、絶縁性基板22にアンテナ本体部10を表面実装することで構成される。この場合、アンテナ本体部10へ給電するための伝送線路、例えばコプレナーストリップ伝送線路などのストリップ線路の信号線は絶縁性基板22の表面にプリント印刷により形成される。なお、絶縁性基板22は積層基板を用いることもできる。
絶縁体基板22に形成するアンテナ本体部10へ給電するための伝送線路は、コプレナーストリップ伝送線路に限らず、絶縁体基板22の同一面上にグランド導体と信号線を設けるコプレナー線路などであってもよい。コプレナー線路が形成された表面にアンテナ本体部10を実装してもよいし、背面に実装してもよい。
【0034】
また、アンテナ本体部10を形成する誘電体基体16の表面や絶縁性基板22には、アンテナ本体部10をはんだ付けなどで絶縁性基板22に固定実装するための端子が設けられてもよい。このような端子を数カ所設けることで、無線通信装置などの通信用機器に用いられる場合でも、取り扱い中にアンテナ本体部10が絶縁性基板22から脱落することを防ぐことができる。また、このような端子は、例えば、絶縁性基板22に設けられたストリップ線路の信号線21と誘電体基体16に設けられた放射導体14とをはんだ付けなどで接続する場合に用いてもよい。この場合、脱落防止と電気的な接続を同時に実現できる。
【0035】
また、放射導体14の替わりに、金属板などの導体板で放射導体を形成してもよい。この場合、平行2線や同軸ケーブルを用いて給電点15a,15bに接続し、給電を行う。
このようなアンテナ装置1は、直線偏波の送受信を行なうアンテナ装置として好適に用いることができる。
【0036】
図5は、図2に示すアンテナ装置1と異なる他の実施形態のアンテナ装置51の平面図である。アンテナ装置51は、図2に示すアンテナ本体部10の替わりにアンテナ本体部60を有する。図6は、図5に示すアンテナ装置51を図5中のB−B’線に沿って切断した矢視断面図である。
【0037】
アンテナ装置51は、電波の送受信を行うアンテナ本体部60と絶縁性基板72を有する。アンテナ本体部60は絶縁性基板72の端部付近に配されている。
誘電体基体66は、異なる比誘電率を有する3種類の誘電体層(第1の誘電体層66a、第2の誘電体層66b及び第3の誘電体層66c)によって構成される。
誘電体基体66の内部の、誘電体基体66の厚さ方向の略中央の部分、すなわち、第2の誘電体層66b内に、放射導体64が形成されている。また、第3の誘電体層66cには、信号線74a,74bが形成され、ビア75a、75bを介して信号線74a,74bと放射導体64a,64bとが接続されている。この接続点が給電点65a,65bをなしている。さらに、信号線74a,74bは、ビア73a,73bを介して絶縁性基板72に形成された信号線71a,71bと接続されている。
なお、アンテナ本体部60の誘電体基体66は、異なる比誘電率を有する3種類の誘電体層からなるが、異なる比誘電率を有する2種又は4種の誘電体層で構成されてもよい。
誘電体基体66が2種類の誘電体層からなる場合、信号線74a,74bは低誘電率を有する誘電体層内に形成することが好ましい。低誘電率を有する誘電体層は、比誘電率が5〜15であることが、動作周波数の下限周波数を低くする点から好ましい。より好ましくは、低誘電率を有する誘電体層の比誘電率は5〜10である。
このようなアンテナ本体部60は、絶縁性基板22と同様の構成の絶縁性基板72の表面に実装される。
【0038】
絶縁性基板72の一方の面(図6において上面)には、伝送線路である信号線71a,71bを有するコプレナーストリップ伝送線路が形成されており、放射導体64の半円形状に突出した側(図5の下側)からアンテナ本体部60へ給電が行われる。すなわち、図2に示すアンテナ本体部10と異なる側からアンテナ本体部60へ給電される。
絶縁性基板72には、信号線71a,71bの形成された面の側にアンテナ本体部60が実装されている。信号線71a,71bは誘電体基体66に設けられたビア73a,73bを介して信号線74a,74bに接続される。信号線74a,74bは、さらに誘電体基体66に設けられたビア75a、75bを介して放射導体64に接続される。すなわち、信号線74aはビア73bを介して給電点65aに接続される。なお、一対の信号線74a,74bはコプレナーストリップ線路として機能する。
【0039】
このようなアンテナ装置51も、アンテナ装置1と同様の構成を成すので、アンテナインピーダンスの調整を最適に行うことができ、効率よく電波を放射させることができる。
また、アンテナ本体部60の小型化が可能となる。この場合、放射導体64の設置位置や誘電体基体66の各誘電体層の比誘電率の組み合わせに応じて、実効的な比誘電率が決まる。したがって、実効的な比誘電率に応じて波長短縮効果が可能となり、この実効的な比誘電率を適宜選択、調整することによって動作周波数帯域の広いアンテナ本体部60を実現することができる。
【0040】
本発明のアンテナ装置は、図1に示すアンテナ本体部10に替えて図7に示すアンテナ本体部10を用いることもできる。
図7に示すアンテナ本体部10は、放射導体14bの形状要素の形状が放射導体14aの形状要素の形状と異なっており、非対称のダイポールアンテナを構成するものである。
具体的には、第2の形状要素12bが第2の形状要素12aと異なり、放射導体14aにおけるW1,W2,W3は、W1>W2>W3を満足するのに対し、放射導体14bにおけるW1,W2,W3は、W1>W2=W3、(又はW1>W2≒W3)を満足する。放射導体14bにおける第2の形状要素12bは、第3の形状要素13bの側に帯状の形状を部分形状として有し、第1の形状要素11bの側に、この帯状の形状と第1の形状要素11bとの余白を埋める残余の形状を有する。第3の形状要素13bの側に設けられる帯状の部分形状の幅は、第2の形状要素12bの最大長さとなっている。言い換えると、第2の形状要素12aが放射導体14aにおいて、コブ状に飛び出しているのに対し、第2の形状要素12bは放射導体14bにおいてコブ状に飛び出していない。図7に示す例では、第2の形状要素12bの形状は、略四角形(略台形)である。
【0041】
さらに、図8に示すようなアンテナ本体部10を用いることもできる。
図8は、本発明のアンテナ装置の他の実施形態として用いられるアンテナ本体部10の平面図である。
アンテナ本体部10は、放射導体14a及び放射導体14bを有する。放射導体14aは、図1に示す放射導体14aと同様の形状を成している。放射導体14bの第1の形状要素11bは図1に示す放射導体14bの第1の形状要素11bと異なる形状を成し、第2の形状要素12b及び第3の形状要素13bは図1に示す放射導体14aと同様の形状を成している。
【0042】
放射導体14bの第1の形状要素11bは、矩形形状11cと1/4円形状11dの組み合わせ形状を有する。第2の形状要素12bは1/4楕円形状を有し、第3の形状要素13bは帯状の形状を有している。なお、第1の形状要素11bにおける1/4円形状11dの直線状の一辺の長さと矩形形状11cの一辺の長さとは等しく、第1の形状要素11bの形状は、この辺同士が互いに接合された形状を成している。第2の形状要素12bは、楕円形状の長軸及び短軸に沿った直線部分と楕円形状の4分の1の楕円の弧により囲まれた1/4楕円形状の一部分を有する形状要素である。なお、図8に示す放射導体14aにおいても、第2の形状要素12aは、図1に示すアンテナ本体部10の放射導体14a,14bと同様に、上記1/4楕円形状の長軸先端を仮想した場合、この長軸先端が第1の形状要素11aの略中心点(円弧形状の中心位置)付近に位置するように配設されている。図8に示す放射導体14bの第2の形状要素12bは、1/4楕円形状の長軸先端を仮想した場合、この長軸先端が第1の形状要素11bの1/4円形状11dの略中心点(円弧形状の中心位置)付近に位置するように配設されている。そして長軸に対応する1/4楕円形状の直線状の一辺(図8中の下側直線部分)が、第1の形状要素11a,第1の形状要素11bにおける直線状の一辺(図8中の下側直線部分)及び第3の形状要素13a,13bの直線状の一辺(図1中の下側直線部分)と滑らかに接続されて一体となった直線部分を成している。すなわち、放射導体14bにおいて、該直線状の一辺を仮に第2の形状要素12b側に第1の形状要素11bとは反対側の第3の形状要素13bの端部まで伸長したと想定し、これを想定辺という場合に、想定辺側の第2の形状要素12bの縁部及び想定辺側の第3の形状要素13bの1辺とが想定辺と重なっている。なお、このように重なっていることが好ましいが、これに限定されず、ほぼ重なっている程度でも使用できる。
また、該想定辺を無限に伸長し、これを伸長想定辺という場合、前記想定弦と該伸長想定辺の一部とが重なるか、又は、ほぼ重なり、該伸長想定辺を境として、放射導体14aの主な部分と放射導体14bの主な部分とが同じ側に配設されている。
【0043】
なお、第1の形状要素11aは、半円形、略半円形、半楕円形、略半楕円形、弓形及び略弓形の中から選ばれる形状を有すればよく、第3の形状要素13a,13bは、帯状、略帯状、矩形形状、略矩形形状の中から選ばれる形状を有すればよい。第2の形状要素12a,12bの辺P4(図9参照)の形状は円形、略円形、楕円形又は略楕円形の弧の形状を有することが好ましい。例えば1/4円形、略1/4円形、1/4楕円形又は略1/4楕円形の弧の形状を有することが好ましい。また、第2の形状要素12a,12bの、辺P4が第2の形状要素12a,12bの反対側(図9中、下側)の直線状の辺P2(図9参照)と平行又は略平行な直線状の辺であってもよい。
さらに、第1の形状要素11bは、1/4円形状11dの替わりに、1/4略円形状、1/4楕円形状又は1/4略楕円形状を用いてもよい。1/4楕円形状又は1/4略楕円形状の場合、短軸となる直線状の一辺を矩形形状11cの一辺の長さと等しくし、これらの辺同士が接合される。
また、想定直線P0(図9参照)は、第2の形状要素12a,12bの想定直線P0側の1辺P2及び第3の形状要素13a,13bの想定直線P0側の1辺P3(図9参照)と重なるか、又は、ほぼ重なることが好ましい。ここで、想定直線P0は、図9に示すように、放射導体14a,14bの第1の形状要素11a,11bの半円形、1/4円形の直線状の辺P1を、仮に第2の形状要素12a,12bの側に第3の形状要素13a,13bの端部まで伸長したと想定したときの、伸長した直線部分をいう。
【0044】
なお、図8では、アンテナ本体部10の大きさを規定する縦方向の長さをL3、横方向の長さをL4として定め、さらに、放射導体14aにおける第1の形状要素11aと第2の形状12aの合計の横方向の長さをL5、放射導体14bにおける第1の形状要素11bと第2の形状要素12bの合計の横方向の長さをL6として定めている。
【0045】
なお、図9において、W1,W2,W3は、それぞれ第1の形状要素11a,11b、第2の形状要素12a,12b、第3の形状要素13a,13bの各形状要素の配設方向と直交する方向(図9中の上下方向)における最大長さを表す。これらの形状要素のW1,W2,W3(放射導体14aについてはそれぞれW1A,W2A,W3Aであり、放射導体14bについてはそれぞれW1B,W2B,W3Bである)は、放射導体14a,14bのいずれも、上述の条件(1)を満足する。なお、W1,W2,W3(W1A,W2A,W3A及びW1B,W2B,W3B)の表現は、以下の各図に示される例でも同様である。
また、図9では、第2の形状要素の横長さ及び第3の形状要素の横長さをそれぞれL1,L2として定めている。
【0046】
図8,9において、W1(W1A及びW1B)は、アンテナ本体部10の動作周波数の下限周波数(詳細は後述)に対する波長をλLとしたとき、好ましくは0.2・λL以下、より好ましくは0.15・λL以下、特に好ましくは0.1・λL以下である。条件(1)から、第2の形状要素12a,12bにアンテナインピーダンスの容量性調整機能を、第3の形状要素13a,13bにアンテナインピーダンスの誘導性調整機能を持たせることができる。すなわち、上記条件(1)を満足するようにW2,W3(W2A,W3A及びW2B,W3B)を選択することにより、アンテナインピーダンスの調整を最適に行うことができる。さらに、上記条件(1)を満足するようにW2,W3(W2A,W3A及びW2B,W3B)を選択することにより、第2の形状要素12a,12b及び第3の形状要素13a,13bは、放射導体14全体に電流を分布させ、効率よく電波を放射させるアンテナエレメントとして機能する。
具体的には、W1,W2(W1A,W2A及びW1B,W2B)については、条件(1)の他に、好ましくは0.07W1≦W2≦0.6W1、より好ましくは0.08W1≦W2≦0.6W1、特に好ましくは0.08W1≦W2≦0.5W1、特に特に好ましくは0.1W1≦W2≦0.5W1、最も好ましくは0.2W1≦W2≦0.5W1を満足する。さらに、W1,W3(W1A,W3A及びW1B,W3B)については、条件(1)の他に、好ましくは0.01W1≦W3≦0.06W1、より好ましくは、0.01W1≦W3≦0.05W1を満足する。これにより、アンテナの動作周波数帯域は広くなる。
【0047】
図10(a)〜(d)は、図8に示す放射導体14bと異なる形状を有する放射導体を備えるアンテナ本体部10の種々の例を示すものであり、これらのアンテナ本体部10も、本発明のアンテナ装置に用いることができる。アンテナ本体部10は、一対の放射導体のうち一方の放射導体は、図1に示す放射導体14aの形状を有すればよく、他方の放射導体14bの形状はとくに規定されず、所望の特性を有するように自在に定めることができる。
【0048】
図10(a)の放射導体14bにおけるW1,W2,W3については、W1>W2=W3、(又はW1>W2≒W3)を満足する。放射導体14bにおける第2の形状要素12bは、第3の形状要素13bの側に帯状の形状を部分形状として有し、第1の形状要素11bの側に、この帯状の部分形状と第1の形状要素11bとの余白を埋める残余の形状を有する。したがって、第2の形状要素12bは該部分形状と該残余の形状とからなる。第3の形状要素13bの側に設けられる帯状の形状の幅は、第2の形状要素12bの最大長さとなっている。すなわち、第2の形状要素12bが第3の形状要素13bと接合する側の端部は、第2の形状要素12bの最大長さとなって第3の形状要素13bと滑らかに接合されている。言い換えると、放射導体14aの第2の形状要素12aが放射導体14aにおいてコブ状に飛び出しているのに対し、第2の形状要素12bは放射導体14bにおいてコブ状に飛び出していない。
この場合、放射導体14aのW1,W2(W1A,W2A)については、上記条件(1)の他に、好ましくは0.07W1≦W2≦0.6W1、より好ましくは0.08W1≦W2≦0.6W1、特に好ましくは0.08W1≦W2≦0.5W1、特に特に好ましくは0.1W1≦W2≦0.5W1、最も好ましくは0.2W1≦W2≦0.5W1を満足する。さらに、W1,W3(W1A,W3A)については、条件(1)の他に、好ましくは0.01W1≦W3≦0.06W1、より好ましくは、0.01W1≦W3≦0.05W1を満足する。
また、放射導体14bのW1,W2(W1B,W2B)については、W1>W2の他に、好ましくは0.01W1≦W2(=W3)≦0.06W1、より好ましくは0.01W1≦W2(=W3)=W3≦0.05W1を満足する。これにより、アンテナの動作周波数帯域は広くなる。
なお、第2の形状要素12bの、第3の形状要素13bの側の形状は、帯状、略帯状、矩形形状及び略矩形形状の中から選ばれる形状を有すればよい。また、放射導体14bにおいて、前記直線状の一辺とは別の直線状の一辺を仮に第2の形状要素12b側に第1の形状要素11bとは反対側の第3の形状要素13bの端部まで伸長したと想定し、これを想定辺という場合に、想定辺側の第2の形状要素の縁部及び想定弦側の第3の形状要素13bの1辺とが想定辺と重なる。なお、このように重なっていることが好ましいが、これに限定されず、ほぼ重なっている程度でも使用できる。
仮に、該想定辺を無限に伸長し、これを伸長想定辺という場合、前記想定弦と該伸長想定辺の一部とが重なるか、又は、ほぼ重なる。該想定辺を境として、放射導体14aの主な部分と放射導体14bの主な部分とが同じ側に配設されている。
【0049】
図10(b)に示すアンテナ本体部10は、図10(a)中の放射導体14aと同じ形状の放射導体14aを有する一方、放射導体14bの第1の形状要素11bは矩形形状を成している。この場合、W1,W2(W1A,W2A及びW1B,W2B)については、上記条件(1)の他に、好ましくは0.07W1≦W2≦0.6W1、より好ましくは0.08W1≦W2≦0.6W1、特に好ましくは0.08W1≦W2≦0.5W1、特に特に好ましくは0.1W1≦W2≦0.5W1、最も好ましくは0.2W1≦W2≦0.5W1を満足する。さらに、W1,W3(W1A,W3A及びW1B,W3B)については、条件(1)の他に、好ましくは0.01W1≦W3≦0.06W1、より好ましくは、0.01W1≦W3≦0.05W1を満足する。これにより、アンテナの動作周波数帯域は広くなる。
【0050】
また、図10(c)に示すアンテナ本体部10は、図10(b)に示す放射導体14bと同様に第1の形状要素11bは矩形形状を成すが、W1,W2,W3は、W1>W2=W3、(又はW1>W2≒W3)を満足する。放射導体14bにおける第2の形状要素12bは、第3の形状要素13bの側に帯状の形状を部分形状として有し、第1の形状要素11bの側に、この帯状の部分形状と第1の形状要素11bとの余白を埋める残余の形状を有する。したがって、第2の形状要素12bは該部分形状と該残余の形状とからなる。第3の形状要素13bの側に設けられる帯状の形状の幅は、第2の形状要素12bの最大長さとなっている。
放射導体14bにおいて第2の形状要素12bが第3の形状要素13bと接合する側の端部は、第2の形状要素12bの最大長さとなって、第3の形状要素13bと滑らかに接合されている。言い換えると、放射導体14aの第2の形状要素12aが放射導体14aにおいてコブ状に飛び出しているのに対し、第2の形状要素12bは放射導体14bにおいてコブ状に飛び出していない。
この場合、放射導体14aのW1,W2(W1A,W2A)については、上記条件(1)の他に、好ましくは0.07W1≦W2≦0.6W1、より好ましくは0.08W1≦W2≦0.6W1、特に好ましくは0.08W1≦W2≦0.5W1、特に特に好ましくは0.1W1≦W2≦0.5W1、最も好ましくは0.2W1≦W2≦0.5W1を満足する。さらに、W1,W3(W1A,W3A)については、条件(1)の他に、好ましくは0.01W1≦W3≦0.06W1、より好ましくは、0.01W1≦W3≦0.05W1を満足する。
また、放射導体14bのW1,W2(W1B,W2B)については、W1>W2の他に、好ましくは0.01W1≦W2(=W3)≦0.06W1、より好ましくは0.01W1≦W2(=W3)≦0.05W1を満足する。これにより、アンテナの動作周波数帯域は広くなる。
図10(a),(c)に示す例において、放射導体14bにおいて、第1の形状要素11bと第2の形状要素12bとの間の第1の形状要素11bの一辺に、隣り合う第1の形状要素11bの一辺を主辺というとき、該主辺を仮に第2の形状要素12b側に第1の形状要素11bとは反対側の第3の形状要素13bの端部まで伸長したと想定し、この伸長した部分を想定直線という場合に、想定直線側の第2の形状要素12bの縁部及び想定直線側の第3の形状要素の1辺とが想定直線と重なる。なお、このように重なっていることが好ましいが、これに限定されず、ほぼ重なっている程度でも使用できる。
仮に、該想定直線を無限に伸長し、これを伸長想定直線という場合、前記想定弦と伸長想定直線の一部とが重なるか、又は、ほぼ重なる。
該伸長想定直線を境として、放射導体14aの主な部分と放射導体14bの主な部分とが同じ側に配設されている。
【0051】
図10(d)に示すアンテナ本体部10は、図1に示すアンテナ本体部10の半円形状である第1の形状要素11a,11bの弧の部分に直線状の切り欠き形状が設けられている。この直線状の切り欠き形状は、放射導体14a,14bの直線状の一辺(図10(d)中の下側の直線部分)に平行に設けられている。この切り欠き形状は、放射導体14a,14bのいずれか一方に設けられてもよい。
【0052】
これらの形状の放射導体14は誘電体基体16の内部に設けられるが、誘電体基体16の表面に設けてもよい。また、誘電体基体16は積層基体としてもよい。積層基体を用いる場合、積層基体の表面層に放射導体14を設けてもよく、また、2層目、3層目などの内層に設けてもよい。この場合、放射導体14を2つの層で挟み込むように形成してもよい。
誘電体基体16が積層基体の場合、この積層基体は1つの比誘電率を持つ1種類の誘電体層を積層したものでもよく、2種類以上の異なる比誘電率を持つ誘電体層を積層したものでもよい。
【0053】
図10(a)〜(d)に示す種々のアンテナ本体部10においても、放射導体14を誘電体基体16に設けることで、誘電体の波長短縮効果を用いてアンテナ本体部10の小型化が可能となる。この場合、放射導体14の設置位置や誘電体基体16の比誘電率、又は2種類以上の比誘電率の組み合わせに応じて、実効的な比誘電率が決まる。したがって、実効的な比誘電率に応じて波長短縮効果が可能となり、この実効的な比誘電率を適宜選択、調整することによって動作周波数帯域の広いアンテナ本体部10を実現することができる。
【0054】
図11は、本発明のアンテナ装置の他の実施形態であるアンテナ装置101(図12参照)に用いられるアンテナ本体部120の平面図である。図12は、アンテナ装置101の平面図である。図13は、図12に示すアンテナ装置101を図12中のC−C’線に沿って切断した矢視断面図である。
アンテナ本体部120は、電波の送受信を行うアンテナ装置101の主要部分である。
アンテナ本体部120は、誘電体基体116に平面状の金属導体である放射導体114及び一対の信号線117,118が設けられて構成され、絶縁性基板122(図12参照)の表面に実装されて表面実装型のアンテナとして機能する。
【0055】
放射導体114は、互いに異なる形状の第1の放射導体114a及び第2の放射導体114bによって構成され、誘電体基体116の内部に同一平面上に設けられている。このため、図11,12では、放射導体114a,114bは破線で示されている。放射導体114aは、導体形状を規定する第1の形状要素111a、第2の形状要素112a及び第3の形状要素113aによって形状が規定されている。放射導体114bは、第1の形状要素111b、第2の形状要素112b及び第3の形状要素113bによって形状が規定されている。第1の形状要素111bには、切り欠き形状を曲線形状とする切り欠き部129が設けられている。
すなわち、一対の信号線117,118の第1の直線部分117a、118aと放射導体114bとの間隙が、放射導体114a及び放射導体114bの相互に最接近する部分から前記一方向において外側に向かうにしたがって拡がるように曲線的に切り欠かれている。しかし、これに限定されず、前記一方向において外側に向かうにしたがって拡がるように直線的及び曲線的の少なくとも一つに切り欠かれていればよい。また、放射導体114bは、第1の直線部分117a、118a側の部分において、前記一方向と直交する方向に向かって切り欠かれている。
【0056】
放射導体114aは、第1の形状要素111a、第2の形状要素112a及び第3の形状要素113aが順に同一方向(図11中の下側方向)に沿って配設されて接合されている。放射導体114aは、第1の形状要素111aと第2の形状要素112aとが接合し、かつ、第2の形状要素112aと第3の形状要素113aとが接合するような1つの形状を成している。
放射導体114bは、第1の形状要素111b、第2の形状要素112b及び第3の形状要素113bが順に同一方向(図11中の上側方向)に沿って配設されて接合されている。すなわち、放射導体114bは、放射導体114aと同様に、第1の形状要素111bと第2の形状要素112bとが接合し、かつ、第2の形状要素112bと第3の形状要素113bとが接合するような1つの形状を成している。
このように、第1の形状要素111a,第1の形状要素111bと第3の形状要素113a,113bとは、離間して配設されており、第2の形状要素112a,112bが、第1の形状要素111a,111bと第3の形状要素113a,113bとの間の余白を埋めるように配設されている。
また、放射導体114a及び放射導体114bは、放射導体114aの形状要素の配置方向と放射導体114bの形状要素の配設方向とが互いに反対方向を向いて対を成すように配されている。すなわち、第3の形状要素113a及び113bの端が互いに離間して対向するように設けられている。
【0057】
互いに対向する第3の形状要素113a,113bの端部の位置には、図13に示すようにビア115a,115bが設けられ、給電点を成している。放射導体114a,114bは、図12,13に示すように、後述する回路基板等の絶縁性基板122に設けられた伝送線路の信号線124,125と、誘電体基体116に設けられた一対の信号線117,118を介して接続されている。このように放射導体114a,114bは、誘電体基体116内部の同一の平面上に、第3の形状要素113a,113bの端が互いに対向するように配されて非対称なダイポール型アンテナを構成する。
【0058】
一対の信号線117,118は、放射導体114a,114bに給電するように、第3の形状要素113a,113bの端に、ビア115a,115bを介して接続された略平行な2線の導体線であり、誘電体基体116の内部に設けられている。一対の信号線117,118は、放射導体114bと並行するようにY方向に沿って配設された第1の直線部分117a、118aと、Y方向と直交するX方向から放射導体114a,114bに給電するように、Y方向からX方向に直角に向きを変えて配設された第2の直線部分117b,118bとを有する。すなわち、一対の信号線117,118は、第1の直線部分117a,118aと第2の直線部分117b,118bとにより略L字状を成している。
【0059】
一対の信号線117,118は、図13に示すように放射導体114(114a,114b)と異なる平面に設けられ、放射導体114の平面に対して垂直方向に設けられたビア115a,115bを介して放射導体114に給電する。また、一対の信号線117,118は、図12に示すように垂直方向に設けられたビア119a,119bを介して一対の信号線124,125と接続される。一対の信号線117,118の第1の直線部分117a、118aは、図11に示すように、第1の形状要素111b、第2の形状要素112b及び第3の形状要素113bの直線形状の辺の部分に対して、略平行に設けられている。
【0060】
誘電体基体116は、図13に示すように、異なる比誘電率を有する3種類の誘電体層(第1の誘電体層116a,第2の誘電体層116b,第3の誘電体層116c)によって構成されている。
誘電体基体116内部の、誘電体基体116の厚さ方向の略中央の部分、すなわち第2の誘電体層116bの内部には、放射導体114が設けられている。第3の誘電体層116cには、一対の信号線117,118が設けられている。この一対の信号線117,118は、ビア115a,115bを介して放射導体114a,114bの第3の形状要素113a,113bと接続されている。さらに、一対の信号線117,118は、ビア119a,119bを介して絶縁性基板122に設けられた信号線124,125と接続されている。
以上のようにアンテナ本体部120は構成される。
【0061】
アンテナ本体部120における放射導体114a,114bは上述したように設けられるが、本発明における放射導体は以下のように形状が設けられていればよい。
放射導体114aの第1の形状要素111aは、半円形、略半円形、半楕円形、略半楕円形、弓形、略弓形から選ばれる形状を有すればよい。放射導体114bの第1の形状要素111bは、1/4円、1/4略円、1/4楕円及び1/4略楕円の中から選ばれる形状に、この形状の直線状の一辺と同じ長さの辺を有する矩形形状(長方形形状及び正方形形状を含む)が、この辺同士を接合して組み合わされた形状を有すればよい。1/4楕円又は1/4略楕円の場合、短軸を成す直線状の一辺を矩形形状と接合するとよい。
その際、第1の形状要素111bには、一対の信号線117,118の側に、第1の直線部分117a,118aとの距離が離れるように切り欠き部129が設けられる。この切り欠き部129の形状は、一対の信号線の第1の直線部分117a,118aと第2の放射導体114bとの間の距離が、給電点から離れるにしたがって拡がるように、切り欠き部129の少なくとも一部分の形状は曲線形状を成していることが好ましい。図11に示す例では、1/4楕円形状を切り欠き形状としており、この切り欠き形状は1/4楕円形状の長軸を成す直線状の一辺を図中Y方向に平行に配した形状である。切り欠き形状は、1/4円、1/4略円、1/4楕円及び1/4略楕円の中から選ばれる弧を成す形状であることが好ましい。この場合、切り欠き形状の弧を成す部分が、放射導体114a,114bが相互に最接近する側(図中上側、給電点側)に向くように配し、弧を成す部分の直線状の一辺(1/4楕円形状の場合、長軸を成す直線状の一辺)が、放射導体114aと放射導体114bの配設方向に平行になるように配する。
また、最大の切り欠き幅W4は切り欠き部129がないとした場合の最大長さW1(図9参照)以下となることが好ましい。より具体的には、0.03 ≦ W4/W1 ≦ 1であり、好ましくは0.05≦W4/W1≦1であり、より好ましくは0.1≦W4/W1≦1であり、最も好ましくは、0.2≦W4/W1≦1である。
一方、第2の形状要素112a,112bは、多角形、略多角形、台形、略台形、円形、略円形、半円形、略半円形、楕円形、略楕円形、半楕円形、略半楕円形、矩形及び略矩形の中から選ばれた形状の少なくとも一部分を有すればよい。
なお、第2の形状要素112a,112bの辺P4(図11参照)の形状が円形、略円形、楕円形又は略楕円形の弧の形状を有することが好ましい。例えば1/4円形、略1/4円形、1/4楕円形又は略1/4楕円形の弧の形状を有することが好ましい。また、第2の形状要素112a,112bの辺P4は、第2の形状要素112a,112bの反対側(図11中左側)の直線状の辺と平行又は略平行な直線状の辺であってもよい。第3の形状要素113a,113bは、帯状、略帯状、矩形形状、略矩形形状の中から選ばれる形状を有すればよい。
【0062】
なお、放射導体114a,114bのY方向における長さは同じであるが、必ずしも同じ長さでなくてもよい。放射導体114aのY方向の長さL5、放射導体114bのY方向の長さL6(図11参照)において、比L6/L5の値は、動作周波数域を広げるために、好ましくは0.5以上1.5以下、より好ましくは0.55以上1.0以下、特に好ましくは0.5以上0.95以下、最も好ましくは0.6以上0.9以下である。
【0063】
誘電体基体116は、異なる比誘電率を有する3種類の誘電体層によって構成されるが、2又は4種類の誘電体層で構成されてもよい。
誘電体基体116が2種類の誘電体層から構成される場合、一対の信号線117,118は低誘電率を有する誘電体層内に設けることが好ましい。低誘電体率を有する誘電体層は比誘電率が5〜15であることが、動作周波数の下限周波数を低くする点から好ましい。より好ましくは、比誘電率が5〜10である。さらに、誘電体基体116は1つの比誘電率を有する1種類の誘電体層から構成されてもよい。誘電体基体116は積層基体としてもよい。誘電体基体116に積層基体を用いる場合、積層基体の表面層に放射導体114を設けてもよく、また、2層目、3層目などの内層に設けてもよい。この場合、放射導体114を2つの層で挟み込むように形成するとよい。
【0064】
このように誘電体基体116の内部に放射導体114を設けることで、誘電体の波長短縮効果を用いてアンテナ本体部120の小型化が可能となる。この場合、放射導体114の設置位置や誘電体基体116の比誘電率、又は2種類以上の比誘電率の組み合わせに応じて、実効的な比誘電率が決まる。したがって、実効的な比誘電率に応じて波長短縮効果が可能となり、この実効的な比誘電率を適宜選択、調整することによって動作周波数帯域の広いアンテナ本体部120を実現することができる。
【0065】
また、放射導体114は、図13に示すように誘電体基体116の内部に設けられるが、誘電体基体116の表面に設けてもよい。さらに、放射導体114は、誘電体基体116に限らず絶縁性基板122の基板表面上に設けてもよい。前述したように波長短縮効果をさらに得る場合、絶縁性基板122の基板表面上に設けた放射導体114の上に誘電体基体を別途設けるとよい。放射導体114を絶縁性基板122の表面上に設ける場合、放射導体114へ給電するための信号線及び一対の信号線117,118と放射導体114とを同じ絶縁性基板122の面上に設けることができる。さらに、放射導体114を誘電体基体116の内部又は表面に設け、一対の信号線117,118を絶縁性基板122の面上に設けてもよい。この場合、誘電体基体116の長さL3をさらに小さくできる。
【0066】
一方、一対の信号線117,118は、図13に示すように、ビア119a,119bを用いて一対の信号線124,125と接続するが、誘電体基体116の端に信号線のパターンを設け、このパターンを介して接続してもよい。
【0067】
アンテナ本体部120は、図12,13に示すように、絶縁性基板122の表面に実装され、アンテナとして動作するアンテナ装置101を構成する。アンテナ本体部120の実装される絶縁性基板122の面には伝送線路であるカップルド・マイクロストリップ伝送線路の一対の信号線124,125が設けられ、アンテナ本体部120への給電が行われる。一方、アンテナ本体部120の実装される面と反対側の面には、グランド導体123が設けられている。
なお、カップルド・マイクロストリップ伝送線路などの信号線は絶縁性基板122の表面にプリント印刷により形成される。絶縁性基板122は積層基板を用いることもできる。
【0068】
アンテナ本体部120を形成する誘電体基体116の表面や絶縁性基板122には、アンテナ本体部120をはんだ付けなどで絶縁性基板122に固定実装するための端子を設けてもよい。このような端子を数カ所設けることで、無線通信装置などの通信用機器に用いる場合でも、取り扱い中にアンテナ本体部120が絶縁性基板122から脱落することを防ぐことができる。また、このような端子は、例えば、絶縁性基板122に設けられた信号線124,125と誘電体基体116に設けられた放射導体114とをはんだ付けなどで接続する場合に用いてもよい。この場合、脱落防止と電気的な接続を同時に実現できる。
このようなアンテナ装置101は、直線偏波の送受信を行なうアンテナ装置として好適に用いることができる。
【0069】
図11に示すアンテナ本体部120の替わりに、図14に示すアンテナ本体部120を用いることもできる。
図14に示すアンテナ本体部120では、放射導体114aにおけるW1,W2,W3はW1>W2>W3を満足する。一方、放射導体114bは、図11に示すアンテナ本体部120と同様に切り欠き部129を有するが、放射導体114bにおけるW1,W2,W3は、W1>W2=W3、(又はW1>W2≒W3)を満足する。放射導体114bにおける第2の形状要素112bは、第3の形状要素113bの側に帯状の形状を部分形状として有し、第1の形状要素111bの側に、この帯状の部分形状と第1の形状要素111bとの余白を埋める残余の形状を有する。第3の形状要素113bの側に設けられる帯状の形状の幅は、第2の形状要素112bの最大長さとなっている。放射導体114bにおいて第2の形状要素112bが第3の形状要素113bと接合する側の端部は、第2の形状要素112bの最大長さとなって、第3の形状要素113bと滑らかに接合されている。言い換えると、放射導体114aの第2の形状要素112aが放射導体114aにおいてコブ状に飛び出しているのに対し、第2の形状要素112bは放射導体114bにおいてコブ状に飛び出していない。
【0070】
図11に示すアンテナ本体部120の替わりに、図15に示すアンテナ本体部120を用いることもできる。
図11に示すアンテナ本体部120では、第1の形状要素111bは、矩形形状111cと1/4円形状111dとを組み合わせた形状に切り欠き部129を設けたものであるが、図15に示すアンテナ本体部120では、上記組み合わせの形状に変えて矩形形状(長方形及び正方形を含む)に切り欠き部129を設けたものである。
さらに、図11に示すアンテナ本体部120の替わりに、図16(a),(b)に示すアンテナ本体部120を用いることもできる。
図16(a)に示すアンテナ本体部120では、放射導体114bにおいて、W1,W2,W3は、W1>W2=W3、(又はW1>W2≒W3)を満足する。放射導体114bにおける第2の形状要素112bは、第3の形状要素113bの側に帯状の形状を部分形状として有し、第1の形状要素111bの側に、この帯状の部分形状と第1の形状要素111bとの余白を埋める残余の形状を有する。第3の形状要素113bの側に設けられる帯状の形状の幅は、第2の形状要素112bの最大長さとなっている。放射導体114bにおいて第2の形状要素112bが第3の形状要素113bと接合する側の端部は、第2の形状要素112bの最大長さとなって、第3の形状要素113bと滑らかに接合されている。言い換えると、放射導体114aの第2の形状要素112aが放射導体114aにおいてコブ状に飛び出しているのに対し、第2の形状要素112bは放射導体114bにおいてコブ状に飛び出していない。
また、図16(b)に示すアンテナ本体部120は、図15に示すアンテナ本体部120の切り欠き部129が設けられていない放射導体114bを有して構成されているものである。
【0071】
さらに、図17(a)に示すように、切り欠き部129は、曲線形状を切り欠き形状とする他、1/4円、1/4略円、1/4楕円及び1/4略楕円の中から選ばれる形状129aに、この形状に矩形形状129bが接合して組み合わされた形状を切り欠き形状とすることもできる。1/4楕円又は1/4略楕円の場合、短軸を成す直線状の一辺が、この辺と同じ長さを有する矩形形状129bの一辺と接合し、長軸を成す直線状の別の一辺と矩形形状129bの別の一辺とが図中上下方向に平行になるように配した形状が切り欠き形状とされる。なお、切り欠き形状は、形状129aの弧の部分が給電点の側に、矩形形状129bが給電点と反対側に向くように配された形状である。
さらに、図17(b)に示すように、放射導体114bに切り欠き部129が設けられないとした場合、放射導体114bは、互いに直交する方向に一対の直線状の辺130,131を有し、一対の辺130,131は頂点Oを共有する。このとき、切り欠き部129の全部又は一部を構成する、1/4円、1/4略円、1/4楕円及び1/4略楕円の中から選ばれる形状の元となる円、略円、楕円又は略楕円の中心位置は頂点Oの近傍に位置することが好ましい。本発明においては、前記元となる円、略円、楕円又は略楕円の中心位置は、辺130の近傍に位置するとよい。
【0072】
このように、本発明のアンテナ装置では、放射導体の形状、切り欠き部の形状を種々調整して、ダイポールアンテナとして機能させることで、占有面積を大きく占めることなく、従来に比べて低い下限周波数を得ることができる、設計自由度の高い、高利得、広帯域の小型のアンテナ装置を実現できる。
【0073】
次に、本発明におけるアンテナ装置の送受信特性について説明する。
図18は、図2,3に示すアンテナ装置1のVSWR(Voltage Standing Wave Ratio)の周波数特性の一例を示している。一般に伝送線路にアンテナ等の負荷が接続されたり、別の特性インピーダンスを持つ伝送線路等が接続された場合、接続部分の不連続性により伝送される信号の進行波の一部が反射されて後退波が発生する。そして、この後退波が進行波と同一伝送線路上に共存して定在波が作られる。VSWRはこのときの定在波として現れる電圧信号の最小値に対する最大値の比率をいう。したがってVSWRが1に近づくほどアンテナ本体部10のインピーダンスマッチングが良好に行なわれ、この結果アンテナ本体部10のリターンロスが小さくなり特性が向上するといえる。
【0074】
図18は、アンテナ装置(後述する例1及び例2)のVSWRの周波数特性の例を示している。
図18に示すVSWRの周波数特性では、VSWRを縦軸に、周波数を横軸にとっている。したがって、広帯域にわたる動作周波数を有するには、VSWRが1に近い周波数の範囲が広いことが必要である。VSWRが3.0より小さい場合、良好な送受信特性を有し、アンテナの動作上問題はない。そこで、VSWRの周波数特性において、VSWRが3.0より小さい周波数帯域幅を用いて広帯域にわたる動作周波数を有するか否かを判定することができる。そこで、VSWRが3より小さい上限の周波数をfH、下限の周波数をfLとすると下記式にて定める比帯域幅により動作周波数帯域の広狭を判定することができる。
比帯域幅 = 2・{(fH−fL)/(fH+fL)}×100(%)
比帯域幅が大きいほど動作周波数帯域幅が広いことを意味する。なお、本発明のアンテナ装置は、マイクロ波領域のうちの3〜11GHzの周波数帯域の通信に特に有効である。
【0075】
次に、本発明のアンテナ装置について、アンテナ装置の例に基づいて具体的にアンテナ装置の特性を説明する。
図18は、以下に示す例1及び例2におけるVSWRの周波数特性のグラフを示している。これらの周波数特性はFI(Finite-Integration)法による電磁界シミュレーションにより算出されたものである。
【0076】
(例1:実施例)
例1は、図1に示すアンテナ本体部10を有するアンテナ装置1を用いた例である。第1の形状要素11a,11bは半円形状を有する。第2の形状要素12a,12bは1/4楕円形状の一部分を有する。第3の形状要素13a,13bは帯状形状である。放射導体14は、誘電体基体16の厚さ方向のほぼ中央に配設している。なお、アンテナ本体部10は、図2に示すように絶縁性基板22の一方の面に実装した。各形状要素及び誘電体基体16の寸法は、以下に示す例3〜例7とともに下記表1に示している。なお、L3及びL4は、図1、図8に示す縦方向の長さ、横方向の長さをいう。
【0077】
【表1】
【0078】
(例2:比較例)
例2は、図1に示すアンテナ本体部10の替わりに、図28に示されるアンテナ本体部310を用いたアンテナ装置の例である。アンテナ本体部310の放射導体314は、半円形状の形状要素311a,311bと帯状形状の形状要素313a,313bとにより構成され、例1に対して、第2の形状要素12a,12bが無い構成となっている。このため、例2は本発明のアンテナ装置ではない。図28中符号315a,315bは給電点である。
例2の形状要素311a,311bは例1の第1の形状要素11a,11bと同様の形状である。形状要素313a、313bは第3の形状要素13a,13bと同様の帯状形状である。放射導体314は、誘電体基体316の厚さ方向のほぼ中央に配設している。
なお、アンテナ本体部310は、図2に示すように絶縁性基板22の一方の面に実装した。各形状要素及誘電体基体316の寸法は以下の通りである。
形状要素311a,311b
半円形状の直径(=最大縦長さW31×2) 14mm、
最大縦長さ(W31 図28参照) 7mm、
形状要素313a,313b
帯状形状の長さ(L35 図28参照) 0.7mm、
最大縦長さ(W32 図28参照) 0.1mm、
誘電体基体316
比誘電率 10.0、
縦長さ(L31 図28参照) 7mm、
横長さ(L32 図28参照) 29.5mm。
【0079】
図18に示すように、VSWRが3.0以下となる下限周波数は、本発明の実施例である例1が3.1GHzであり、比較例である例2は3.7GHzである。例1は例2に対して0.6GHz下限周波数が低くなっている。これより、例1は、例2に対して20%程度、下限周波数が低くなることがわかる。
また、このときの下限周波数の波長はおよそ96.8mmである。第1の形状要素11a,11bの直径(=最大縦長さW1×2)が14mmであることから、第1の形状要素11a,11bの直径は、およそ0.15波長分の長さが必要になることがわかる。これより、放射導体14の面積は略0.07波長×略0.3波長(縦方向の長さ×横方向の長さ)分の面積となり、この部分の面積分がアンテナ面積として必要である。このアンテナ面積は、前述した非特許文献1,2及び特許文献1の従来のアンテナ(図24〜27)と比べて小さい。このため従来と比べてサイズの小さいアンテナ装置を実現することができる。
また、例1における周波数特性の比帯域幅は126%であり、例2における周波数特性の比帯域幅は88%である。例1の方が比帯域幅は広く動作周波数帯域が広い。
さらに、第1の形状要素11a,11bを半楕円形状としたアンテナ装置、及び第2の形状要素12a、12bを長方形形状(矩形形状)としたアンテナ装置においても同様な比帯域幅を有することを確認している。
【0080】
このように、第1の形状要素11a,11bと第2の形状要素12a,12bと第3の形状要素13a,13bとが一方向に順に接合した形状を有する放射導体14によって、アンテナの占有面積を小さくして小形のアンテナを実現できる。しかも、従来に比べて低い下限周波数を得ることができる。
また、放射導体14における第1の形状要素11a,11bの大きさに応じて、第2の形状要素12a,12bと第3の形状要素13a,13bの形状を適宜選択し調整することで、広帯域にわたって最適なインピーダンスのマッチングを実現でき比帯域幅を向上させることができる。すなわち、設計自由度の高い、広帯域のアンテナ装置を実現できる。
【0081】
(例3:実施例)
例3は、図5,6に示すアンテナ本体部60を有するアンテナ装置51を用いた例である。
図19は、例3のVSWRの周波数特性を示す図である。例3の周波数特性はFI(Finite-Integration)法による電磁界シミュレーションにより算出されたものである。
各形状要素及誘電体基体66の寸法は上記表1の通りである。
なお、放射導体64の形状は図4(b)に示す放射導体の形状と同様であるので、以下同じ寸法の符号(L3,L4,L6)を用いる。なお、縦長さ及び横長さは、図5における縦方向の長さ、横方向の長さをいう。
【0082】
なお、誘電体基体66は、以下のように第1の誘電体層66a,第2の誘電体層66b,第3の誘電体層66cとした。
誘電体基体66
第1の誘電体層66a
比誘電率 7.2、
厚さ 0.25mm、
第2の誘電体層66b
比誘電率 20.0、
厚さ 0.5mm、
第3の誘電体層66c
比誘電率 7.2、
厚さ 0.25mm、
縦長さ(L3 図5参照) 7mm、
横長さ(L4 図5参照) 32.5mm、
一対の信号線71a,71b
線幅 0.25mm、
線間隔(L16 図5参照) 0.3mm。
【0083】
図19に示すように、VSWRが3.0以下となる下限周波数は、実施例である例3は2.6GHzである。これに対して、比較例である例2は3.7GHzである。例3は例2に対して1.1GHz下限周波数が低くなっている。これより、例3は例2に対して約40%程度下限周波数が低くなることがわかる。
また、例3における周波数特性の比帯域幅は117%であり、比較域幅3.7GHzの例2に比較して例3の方が比帯域幅は広く動作周波数帯域が広い。
さらに、アンテナ本体部60の第2の形状要素を長方形形状(矩形形状)としたアンテナ装置においても同様な比帯域幅を有することを確認している。
【0084】
このように、例3のアンテナ装置51は、アンテナの占有面積を小さくして小形のアンテナを実現でき、しかも従来に比べて低い下限周波数を得ることができる。
また、放射導体64における第1の形状要素の大きさに応じて、第2の形状要素と第3の形状要素の形状を適宜選択し調整し、接続導体74の形状を調整することができる。これによって、広帯域にわたって最適なインピーダンスのマッチングを実現でき比帯域幅を向上させることができる。すなわち、設計自由度の高い、広帯域のアンテナ装置を実現できる。
【0085】
(例4:実施例)
例4は、図8に示すアンテナ本体部10を用いた例である。第1の形状要素11aは半円形状を有し、第1の形状要素11bは1/4円形状と正方形形状とを組み合わせた形状を有する。第2の形状要素12a,12bは1/4楕円形状を有する。第3の形状要素13a,13bは帯状形状である。放射導体14は、誘電体基体16の厚さ方向のほぼ中央に配設している。なお、アンテナ本体部10は、グランド導体を有する絶縁性基板(不図示)の一方の面に、グランド導体(不図示)とアンテナ本体部10を縦方向に1mm離して実装している。誘電体基体16は、比誘電率20の誘電体を比誘電率7.2の誘電体で両側から挟んでいる。各形状要素及び誘電体基体16の寸法は上記表1に示す通りである。
図20はVSWRの周波数特性のグラフを示している。この周波数特性はFI(Finite-Integration)法による電磁界シミュレーションにより算出されたものである。
【0086】
(例5:実施例)
例5は、図10(b)に示すアンテナ本体部10であり、図8に示す放射導体14aと同じ形状の放射導体14aと、矩形形状の第1の形状要素11bを有する放射導体14bとを有する。各形状要素及び誘電体基体16の寸法は上記表1に示す通りである。
図21は、例5におけるVSWRの周波数特性のグラフを示している。この周波数特性はFI(Finite-Integration)法による電磁界シミュレーションにより算出されたものである。
【0087】
(例6:実施例)
例6は、図11、図12に示すアンテナ本体部120を有するアンテナ装置101を用いた例である。アンテナ本体部120は、第1の形状要素111bを、例4に示したアンテナ本体部120の第1の形状要素111bの形状(1/4円形状と正方形の組み合わせた形状)から1/4楕円形状を切り欠き形状として切り欠いた形状に置き換えたものである。図22は、例6におけるVSWRの周波数特性のグラフを示している。この周波数特性はFI(Finite-Integration)法による電磁界シミュレーションにより算出されたものである。各形状要素および誘電体基体116の寸法は上記表1に示す通りである。
【0088】
(例7:実施例)
例7は、図15に示すように、第1の形状要素111bに、矩形形状から1/4楕円形状を切り欠き形状とする切り欠き部121を設けた放射導体114bを有するアンテナ本体部120である。図23は、例7におけるVSWRの周波数特性のグラフを示している。この周波数特性はFI(Finite-Integration)法による電磁界シミュレーションにより算出されたものである。各形状要素および誘電体基体116の寸法は上記表1に示す通りである。なお、放射導体114bと一対の信号線のうち放射導体114bと近い信号線との間の間隔をD1は、0.3mmとしている。
【0089】
例4、例5、例6、例7において、VSWRが3.0以下となる下限周波数、比帯域幅及びアンテナ面積を下記表2に示す。表2に示すように、前述した非特許文献1,2及び特許文献1の従来のアンテナ(図24〜27)と比べて、いずれも下限周波数は小さく、比帯域幅は大きく、アンテナ面積は小さい。図25に示すアンテナのアンテナ面積は、略0.3波長×0.3波長である。
【0090】
【表2】
【0091】
このように、例1,3〜7のいずれのアンテナ装置も、アンテナの占有面積を小さくして小形のアンテナを実現でき、しかも従来に比べて低い下限周波数を得ることができる。
また、放射導体14における第1の形状要素の大きさに応じて、第2の形状要素と第3の形状要素の形状を適宜選択し調整することができる。これによって、広帯域にわたって最適なインピーダンスのマッチングを実現でき比帯域幅を向上させることができる。すなわち、設計自由度の高い、広帯域のアンテナ装置を実現できる。
【0092】
以上、本発明のアンテナ装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明のアンテナ装置の一実施形態におけるアンテナ本体部の平面図である。
【図2】図1に示すアンテナ本体部を実装したアンテナ装置の平面図である。
【図3】図2中のA−A’線に沿って切断したアンテナ装置の矢視断面図である。
【図4】(a),(b)は、本発明のアンテナ装置に用いる放射導体の形状を説明する図である。
【図5】本発明のアンテナ装置の他の実施形態の平面図である。
【図6】図5中のB−B’線に沿って切断したアンテナ装置の矢視断面図である。
【図7】本発明のアンテナ装置の他の実施形態におけるアンテナ本体部の平面図である。
【図8】本発明のアンテナ装置の他の実施形態におけるアンテナ本体部の平面図である。
【図9】図8に示すアンテナ本体部の形状を説明する図である。
【図10】(a)〜(d)は、本発明のアンテナ装置の他の実施形態におけるアンテナ本体部の平面図である。
【図11】本発明のアンテナ装置の他の実施形態におけるアンテナ本体部の平面図である。
【図12】図11に示すアンテナ本体部を実装したアンテナ装置の平面図である。
【図13】図12中のC−C’線に沿って切断したアンテナ装置の矢視断面図である。
【図14】本発明のアンテナ装置の他の実施形態におけるアンテナ本体部の平面図である。
【図15】本発明のアンテナ装置の他の実施形態におけるアンテナ本体部の平面図である。
【図16】(a),(b)は、本発明のアンテナ装置の他の実施形態におけるアンテナ本体部の平面図である。
【図17】(a),(b)は、本発明のアンテナ装置に用いられるアンテナ本体部の切り欠き部を説明する図である。
【図18】図2,3に示すアンテナ装置のVSWRの周波数特性の一例を示す図である。
【図19】図5,6に示すアンテナ装置のVSWRの周波数特性の一例を示す図である。
【図20】例4におけるアンテナ装置のVSWRの周波数特性の一例を示す図である。
【図21】例5におけるアンテナ装置のVSWRの周波数特性の一例を示す図である。
【図22】例6におけるアンテナ装置のVSWRの周波数特性の一例を示す図である。
【図23】例7におけるアンテナ装置のVSWRの周波数特性の一例を示す図である。
【図24】従来のディスクモノポールアンテナを示す図である。
【図25】従来のアンテナの一例を示す図である。
【図26】従来のアンテナの一例を示す図である。
【図27】従来のアンテナの一例を示す図である。
【図28】本発明のアンテナ装置とは異なる構成のアンテナ装置を示す図である。
【符号の説明】
【0094】
1,51,101,310 アンテナ装置
10,60,120 アンテナ本体部
11a,11b,111a,111b 第1の形状要素
12a,12b,112a,112b 第2の形状要素
13a,13b,113a,113b 第3の形状要素
14,14a,14b,64,64a,64b,114a,114b 放射導体
15a,15b、65a,65b,215a,215b,115a,115b、315a,315b 給電点
16,66,116,216,261,316 誘電体基体
21a,21b,71a,71b,74a,74b,117,118,124,125 信号線
22,72,122 絶縁性基板
23,73a,73b、75a,75b,115a,115b,119a,119b ビア
66a,66b,66c,116a,116b,116c 誘電体層
123,262 グランド導体
129,121,241a,241b 切り欠き部
130,131 辺
201 平面ディスクモノポール
202 同軸線路
203 金属平板
211a,211b 放射板
221a,221b 頂点部
231 同軸ケーブル
250 セラミック板
251,264 放射導体
252 端部
253,263 アンテナ
254 スリット
311a,311b,313a,313b 形状要素
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置、特に通信用、測距用又は放送用に用いられるマイクロ波領域(3〜30GHz)及びミリ波領域(30〜300GHz)の通信に適するアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、動作周波数帯域が広帯域のアンテナとして、非特許文献1に開示されるディスクモノポールアンテナが知られている。図24は、このディスクモノポールアンテナを示す図である。このディスクモノポールアンテナは、同軸線路202に接続された平面ディスクモノポール201を備えて構成される。具体的には、平面ディスクモノポール201は金属平板203から所定の距離L離れた位置に、金属平板203に対して垂直に立設するように配設される。そして、距離Lを調整することで、所望の特性を有するように最適なマッチングが可能となっている。
【0003】
また、図25に示すように、下記特許文献1に開示されるアンテナも知られている。このアンテナは、略半円状の放射板211a,211bを対にして配することにより構成される。放射板211a,211bは、半円形状の2枚の導体板をそれより小さい同心円状の略半円部を切除して形成されている。放射板211a,211bにはそれぞれ、その半円形状の同心円の中心部に同心状に略半円形状の切り欠き部241a,241bが設けられている。これらの2枚の放射板211a,211bはそれぞれの円弧の頂点部221a,221bが対向するように配置され、放射板211a,211bの頂点部221a,221b間で給電を行っている。また、同軸ケーブル231は放射板211bの中心線Oxに沿って配置されている。
【0004】
さらに、図26に示すように、セラミック板250に半円形状の放射導体251をプリントし、この放射導体251の半円形状の端部252を信号線路と接続する給電点を設けた構成のアンテナ253が下記非特許文献2に開示されている。放射導体251の端部252の近傍には、細いスリット254が設けられ、アンテナ特性の調整に用いられる。これにより、動作周波数帯域が広帯域のアンテナを実現するとしている。
【0005】
また、図27に示すように、下記特許文献2に開示されるアンテナ263も知られている。このアンテナは、誘電体基体261に矩形形状の放射導体264を構成し、グランド導体262を設けることにより、モノポールアンテナとして動作するものである。
【0006】
【非特許文献1】M. Hammoud et al, "Matching The Input Impedance of A Broadband Disc Monopole", Electron. Lett., Vol.29, No.4, pp.406-407, 1993
【特許文献1】特許第3273463号公報
【非特許文献2】Do-Hoon Kwon, Yongjin Kim et al,”A Small Ceramic Chip Antenna for Ultra-Wideband Systems”, UWBST & IWUWBS 2004 Conference Proceedings, TA4-3,pp.307-311, 2004
【特許文献2】US2004/100408A1
【0007】
ところで、図24に示されるアンテナはモノポールアンテナである。このアンテナは、上記平面ディスクモノポール201からなる放射素子と金属平板203からなるグランド導体とを有して構成される。そして、放射素子とグランド導体とが垂直かつ直交するように配設される。このため、放射素子はグランド導体に対して3次元配置となって立設し、3次元構造体のアンテナとして3次元的に空間を占有する。その際、金属平板203の大きさは、平面ディスクモノポール201の放射導体の直径の約10倍程度の大きさが必要とされ、例えば300mm×300mmとなって形状が大きくなる。このため、図24に示すアンテナは立体的な構造体を成し、グランド導体の形状も大きくなるため、小型のアンテナ装置には適さない。
【0008】
図25に示されるアンテナでは、放射板211a,211bの形状を直径150mmの半円形状としたとき、VSWR(Voltage Standing Wave Ratio)が略2以下となる下限周波数は600MHzである。この下限周波数(600MHz)における波長λは略500mmである。したがって、電波の使用対象とする動作周波数帯域において、放射板211a,211bの上記直径は少なくとも略0.3波長分の長さが必要であることがわかる。このように半円形状の放射板は、少なくとも略0.3波長分の長さの直径を持つことが必要となるため、アンテナ装置の外形は大きな占有面積、すなわち略0.3波長×0.3波長分のアンテナ面積が必要となる。したがって、動作周波数帯域の下限周波数を下げようとすると、アンテナ装置の外形は大型化しなければならず、小型のアンテナ装置には適さない。
また、同軸ケーブル231から頂点部221a,221bへ給電しているため、インピーダンス調整を行うのが困難となっており、設計自由度の高いアンテナとはいえない。
【0009】
一方、図26に示すアンテナ253は、モノポールアンテナである。このためアンテナとして機能するためにはグランド導体(不図示)が必要である。放射導体251は、直径10mmの半円形状とすると、グランド導体は30mm×30mmの矩形形状となり、アンテナ253の外形は40mm×30mmの矩形形状となる。このとき、VSWRが略2.3以下となる下限周波数は3.1GHzである。したがって、外形で40mm×30mmのアンテナ253は、下限周波数3.1GHzの波長に対して略0.4波長×0.3波長分の大きさの面積が必要である。このため、動作周波数帯域幅を拡げるために下限周波数を下げようとすると、アンテナ253の外形を大きくしてアンテナ253の占有面積を大きくしなければならず、小型のアンテナ装置には適さない。
また、図26に示すアンテナ253では、放射導体251が半円形状に固定されているため、動作周波数帯域の下限周波数を下げることのできる設計自由度の高いアンテナ装置を提供することはできない。
【0010】
さらに、図27に示すアンテナも、モノポールアンテナであり、グランド導体が必要である。放射導体を8mm×10mmとする場合、グランド導体は20mm×35mmの矩形形状となり、アンテナ263の外形は28mm×45mmの矩形形状となる。このとき、VSWRが略2以下となる下限周波数は3GHzである。したがって、外形で28mm×45mmのアンテナ263は、下限周波数3.1GHzの波長に対して略0.28波長×0.45波長分の大きさの面積が必要である。このため、動作周波数帯域幅を拡げるために下限周波数を下げようとすると、アンテナ263の外形を大きくしてアンテナ263の占有面積を大きくしなければならず、小型のアンテナ装置には適さない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は、従来のアンテナのような立体構造体として占有体積を占めることがなく、かつ略平面構造体としても占有面積を大きく占めることもなく、従来に比べて低い下限周波数を得ることができる、設計自由度の高い、高利得、広帯域の小型のアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、以下のアンテナ装置を提供する。
すなわち、本発明は、誘電体基体又は誘電体基板に平面状の放射導体が設けられたアンテナ装置において、
該放射導体は、導体形状を規定する第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素が一方向に沿って配設されて、第1の形状要素と第2の形状要素とが接合し、かつ、第2の形状要素と第3の形状要素とが接合するような1つの形状を成しており、
第1の形状要素は、半円形、略半円形、半楕円形、略半楕円形、弓形及び略弓形の中から選ばれる形状を有し、
第3の形状要素は、帯状、略帯状、矩形形状及び略矩形形状の中から選ばれる形状を有し、
第1の形状要素と第3の形状要素とは、離間して配設されており、
第1の形状要素と第3の形状要素との間の余白を埋めるように第2の形状要素が配設されており、
第3の形状要素には給電点が設けられ、
第1の形状要素の半円形、略半円形、半楕円形、略半楕円形、弓形及び略弓形の弦を、仮に第2の形状要素側に第1の形状要素とは反対側の第3の形状要素の端部まで伸長したと想定し、この伸長した部分を想定弦という場合に、想定弦側の第2の形状要素の縁部及び想定弦側の第3の形状要素の1辺とが想定弦と重なるか、又は、ほぼ重なり、
上記一方向に対して直交する方向における、第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素の最大長さをそれぞれW1,W2,W3としたとき、W1>W2>W3を満足することを特徴とするアンテナ装置を提供する。
【0013】
また、本発明は、誘電体基体又は誘電体基板に平面状の第1の放射導体及び第2の放射導体からなる一対の放射導体が互いに対向するように同一平面上に設けられたアンテナ装置において、
第1の放射導体及び第2の放射導体には、給電点が設けられ、
該一対の放射導体のうち第1の放射導体は、導体形状を規定する第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素が一方向に沿って配設されて、第1の形状要素と第2の形状要素とが接合し、かつ、第2の形状要素と第3の形状要素とが接合するような1つの形状を成しており、
第1の放射導体の第3の形状要素は、第2の放射導体に対向するように対向する側に配設されており、
第1の放射導体の第1の形状要素は、半円形、略半円形、半楕円形、略半楕円形、弓形、略弓形、矩形及び略矩形の中から選ばれる形状を有し、
第1の放射導体の第3の形状要素は、帯状、略帯状、矩形形状及び略矩形形状の中から選ばれる形状を有し、
第1の放射導体において、第1の形状要素と第3の形状要素とは、離間して配設されて、第1の形状要素と第3の形状要素との間の余白を埋めるように第2の形状要素が配設されており、
第1の放射導体において、第1の形状要素の半円形、略半円形、半楕円形、略半楕円形、弓形及び略弓形の弦を、仮に第2の形状要素側に第1の形状要素とは反対側の第3の形状要素の端部まで伸長したと想定し、この伸長した部分を想定弦という場合に、想定弦側の第2の形状要素の縁部及び想定弦側の第3の形状要素の1辺とが想定弦と重なるか、又は、ほぼ重なり、
第1の放射導体において、前記一方向に対して直交する方向における、第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素の最大長さをそれぞれW1A,W2A,W3Aとしたとき、W1A>W2A>W3Aを満足することを特徴とするアンテナ装置を提供する。
【0014】
さらに、本発明は、誘電体基体又は誘電体基板に第1の放射導体及び第2の放射導体からなる一対の放射導体が同一平面上に設けられたアンテナ装置において、
該一対の放射導体は一方向に沿って対向するように配設され、
該一対の放射導体の、相互に最接近する部分又は該部分近傍には、一対の互いに並行する信号線により給電される給電点が設けられ、
該一対の信号線のそれぞれは、前記一方向に沿って直線状に延びる第1の直線部分と、第1の直線部分から前記方向と直交する方向に向きを変えて直線状に延び、該一対の放射導体に給電する第2の直線部分とを有して、該誘電体基体又は誘電体基板に略L字状に設けられ、
該一対の放射導体のうち、該一対の信号線の第1の直線部分が設けられる側の放射導体を第2の放射導体とし、第2の放射導体に対向する放射導体を第1の放射導体とする場合、第2の放射導体は、該給電点の近傍に少なくとも該一方向に沿った直線状の辺を有し、第2の放射導体の、該一対の信号線が設けられる側には、該一対の信号線と該辺との間の距離に比べて距離が拡がるように切り欠かれていることを特徴とするアンテナ装置を提供する。
【0015】
これらのアンテナ装置では、前記放射導体が設けられた前記誘電体基体は、例えば絶縁性基板上にアンテナ本体部として配され、該絶縁性基板には伝送線路が設けられ、該伝送線路と前記給電点とが信号線(接続導体)を介して接続されている。その際、前記伝送線路は、前記信号線(接続導体)により前記放射導体の平面に対して傾斜した方向から、又は略垂直の方向から接続される。この場合、第3の形状要素の給電点の位置は第3の形状要素の端部でなくてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明のアンテナ装置では、平面状の放射導体の導体形状を規定する第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素が一方向に沿って配設されている。この配設方向に対して直交する方向における各形状要素の最大長さが、第1の形状要素、第2の形状要素、第3の形状要素の順に小さくなっている。このため、インピーダンスマッチングが良好な、設計自由度の高いアンテナ装置を実現する。
また、平面状の放射導体を上記のような構成にすることにより、従来より低い下限周波数を得ることができ、より小形なアンテナ装置を提供することができる。
また、放射導体が平面構造となるため、アンテナの占有空間を小さくすることができ、アンテナを回路基板等の絶縁性基板の表面に実装する表面実装型のアンテナ装置を提供することができる。
本発明では前記アンテナ本体部をこの絶縁性基板の端部付近に配することができる。このため、アンテナ本体部に必要とされる絶縁性基板の実装面積を小さくすることができ、従来に比べて小型で動作周波数帯域の広いアンテナ装置を提供することができる。
【0017】
また、本発明のアンテナ装置では、一対の放射導体によるダイポールアンテナを構成し、それぞれの放射導体を、第1の形状要素と第2の形状要素と第3の形状要素とにより構成する。これらの形状要素を適宜調整することにより、アンテナ面積を小さくすることができる。しかも、従来に比べて低い下限周波数を得ることができる。
さらに、一対の放射導体に給電する一対の信号線を第1の直線部分と第2の直線部分により構成して誘電体基体に設け、信号線をL字状とするので、一対の放射導体及び一対の信号線を設けた誘電体基体を、アンテナ本体部として絶縁性基板の端部付近に配することができる。これより、絶縁性基板におけるアンテナ本体部の実装面積を小さくすることができ、従来に比べて小型で動作周波数帯域の広いアンテナ装置を実現できる。
また、アンテナ本体部を回路基板の端部付近に配することができるため、回路基板に周辺回路を配置するための領域を広く確保することができ、通信装置全体の小型化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明のアンテナ装置について、添付の図面に示される好適実施形態を基に詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明のアンテナ装置の一実施形態であるアンテナ装置1に用いられるアンテナ本体部10の平面図である。図2は、アンテナ装置1の平面図である。図3は、図2に示すアンテナ装置1を図2中のA−A’線に沿って切断した矢視断面図である。
アンテナ本体部10は、電波の送受信を行うアンテナ装置1の主要部分である。アンテナ本体部10は、誘電体基体16に放射導体14が設けられて構成され、絶縁性基板22(図2参照)の表面に実装されて表面実装型のアンテナとして機能する。
アンテナ本体部10は、平面状の金属導体である放射導体14と、誘電体基体16とを有する。放射導体14は、同一形状を成した第1の放射導体14a及び第2の放射導体14bによって構成され、誘電体基体16の内部に同一平面上に設けられている。このため、図1,2では、放射導体14a,14bは破線で描かれている。放射導体14aは、導体形状を規定する第1の形状要素11a、第2の形状要素12a及び第3の形状要素13aによって形状が規定されている。放射導体14bは、第1の形状要素11a、第2の形状要素12a及び第3の形状要素13aのそれぞれと同様の形状を成した第1の形状要素11b、第2の形状要素12b及び第3の形状要素13bによって形状が規定されている。なお、図1に示すとおり、放射導体14aと放射導体14bとが互いに線対称又は略線対称になるように配設されている。誘電体基体16の代わりに誘電体基板を用いてもよいが、これ以降、誘電体基体16を用いて説明する。
【0020】
放射導体14aは、第1の形状要素11a、第2の形状要素12a及び第3の形状要素13aが順に同一方向(図1中の右方向)に沿って配設されて接合されている。放射導体14aは、第1の形状要素11aと第2の形状要素12aとが接合し、かつ、第2の形状要素12aと第3の形状要素13aとが接合するような1つの形状を成している。
放射導体14bは、第1の形状要素11b、第2の形状要素12b及び第3の形状要素13bが順に同一方向(図1中の左方向)に沿って配設されて接合されている。すなわち、放射導体14bは、放射導体14aと同様に、第1の形状要素11bと第2の形状要素12bとが接合し、かつ、第2の形状要素12bと第3の形状要素13bとが接合するような1つの形状を成している。
このように、第1の形状要素11a,11bと第3の形状要素13a,13bとは、離間して配設されており、第2の形状要素12a,12bが、第1の形状要素11a,11bと第3の形状要素13a,13bとの間の余白を埋めるように配設されている。
また、放射導体14a及び放射導体14bは、放射導体14aの形状要素の配設方向と放射導体14bの形状要素の配設方向とが互いに反対方向を向いて対を成すように配されている。すなわち、第3の形状要素13a及び13bの端が互いに離間して対向するように設けられている。
なお、図1ではアンテナ本体部10の大きさを規定する縦方向の長さをL3、横方向の長さをL4として定めている。
【0021】
第1の形状要素11a,11bは半円形の形状を有し、第2の形状要素12a,12bは1/4楕円形状の一部分を有している。さらに、第3の形状要素13a,13bは帯状の形状を有している。
第2の形状要素12a,12bは、楕円形状の長軸及び短軸に沿った直線部分と楕円形状の4分の1の楕円の弧により囲まれた1/4楕円形状の一部分を有する形状要素である。なお、第2の形状要素12a,12bは、上記1/4楕円形状の長軸先端を仮想した場合(図4(b)点線)、この長軸先端が第1の形状要素11a,11bの略中心点(円弧形状の中心位置)付近に位置するように配設されている。そして長軸に対応する1/4楕円形状の直線状の一辺(図1,2,4中の下側直線部分)が、第1の形状要素11a,11bにおける直線状の一辺(図1,2,4中の下側直線部分)及び第3の形状要素13a,13bの直線状の一辺(図1,2,4中の下側直線部分)と滑らかに接続されて一体となった直線部分を成している。図1に示す例では、第2の形状要素12a,12bの形状は、略四角形(略台形)である。なお、図1以外の、後述する各図において、第2の形状要素が略四角形である場合には、この略四角形は略台形である。
【0022】
放射導体14a,14bは、図1に示すように、第3の形状要素13a,13bの端部に給電点15a,15bを有し、図2に示すに示すように、後述する回路基板等の絶縁性基板22に設けられた伝送線路の信号線21a,21bとビア23を介して接続されている。このように放射導体14a,14bは、誘電体基体16上の同一の平面上に、第3の形状要素13a,13bの端が互いに対向するように誘電体基体16に配されて、ダイポール型アンテナを構成している。
【0023】
放射導体14a,14bは、上述したように構成されるが、さらに、以下のように導体形状を説明することができる。
図4(a),(b)は放射導体14の形状を具体的に説明する図である。図4(a)は放射導体14aを代表して説明しているが、放射導体14bについても同様である。
【0024】
図4(a)に示すように、放射導体14aの第1の形状要素11aの半円形の弦(直線部分)P1を、仮に第2の形状要素12aの側に第3の形状要素13aの端部まで伸長したと想定し、この伸長した直線部分を想定弦P0と定める。この場合、この想定弦P0側の第2の形状要素12aの1辺P2(縁部)及び想定弦側の第3の形状要素13aの1辺P3とが想定弦P0と重なっている。なお、このように重なっていることが好ましいが、これに限定されず、ほぼ重なっている程度でも使用できる。さらに、第2の形状要素12aの、想定弦P0とは反対側の辺P4の形状が略楕円形の弧の形状を有している。
【0025】
なお、第1の形状要素11a,11bは、半円形、略半円形、半楕円形、略半楕円形、弓形及び略弓形の中から選ばれる形状を有すればよく、第3の形状要素は、帯状、略帯状、矩形形状、略矩形形状の中から選ばれる形状を有すればよい。第2の形状要素12a,12bの、想定弦P0とは反対側の辺P4の形状が円形、略円形、楕円形又は略楕円形の弧の形状を有することが好ましい。例えば1/4円形、略1/4円形、1/4楕円形又は略1/4楕円形の弧の形状を有することが好ましい。また、第2の形状要素12a,12bの、想定弦P0とは反対側の辺P4が想定弦と平行又は略平行な直線状の辺であってもよい。
また、想定弦P0は、第2の形状要素12a,12bの1辺P2及び第3の形状要素13a,13bの1辺P3と重なるか、又は、ほぼ重なることが好ましい。
なお、放射導体14bの想定弦P0を第2の想定弦といい、仮に、第2の想定弦を無限に伸長し、これを第2の伸長想定弦というとき、前記想定弦と第2の伸長想定弦の一部とが重なるか、又は、ほぼ重なり、第2の伸長想定弦を境として、放射導体14aの主な部分と第2の放射導体14bの主な部分とが同じ側に配設されている。
【0026】
また、図4(b)において、W1,W2,W3は、それぞれ第1の形状要素11a,11b、第2の形状要素12a,12b、第3の形状要素13a,13bの各形状要素の配設方向と直交する方向(図1,2,4(a)、(b)中の上下方向)における最大縦長さ(最大長さ)を表す。なお、第1の放射導体14aにおけるこれらの最大長さ(W1A,W2A,W3A)及び第2の放射導体14bにおけるこれらの最大長さ(W1B,W2B,W3B)は、それぞれ代表してW1,W2,W3と表す。これらの形状要素のW1,W2,W3について下記条件(1)を満足するように放射導体14a,14bが設けられる。
W1 > W2 > W3 (1)
【0027】
W1は、アンテナ14の動作周波数の下限周波数(詳細は後述)に対する波長をλLとしたとき、好ましくは0.2・λL以下、より好ましくは0.15・λL以下、特に好ましくは0.1・λL以下である。条件(1)から、第2の形状要素12a,12bにアンテナインピーダンスの容量性調整機能を、第3の形状要素13a,13bにアンテナインピーダンスの誘導性調整機能を持たせることができる。すなわち、上記条件(1)を満足するようにW2,W3を選択することにより、アンテナインピーダンスの調整を最適に行うことができる。さらに、上記条件(1)を満足するようにW2,W3を選択することにより、第2の形状要素12a,12b及び第3の形状要素13a,13bは、放射導体14全体に電流を分布させ、効率よく電波を放射させるアンテナエレメントとして機能する。
具体的には、条件(1)の他に、0.07W1≦W2≦0.6W1、好ましくは0.1W1≦W2≦0.5W1を満足することが好ましい。さらに、条件(1)の他に、0.01W1≦W3≦0.06W1、好ましくは、0.01W1≦W3≦0.05W1を満足すようにW2,W3を選択することが好ましい。これにより、アンテナの動作周波数帯域は広くなる。
【0028】
なお、図4(b)では、第2の形状要素12a,12bの横長さ及び第3の形状要素13a,13bの横長さをそれぞれL1,L2として定めている。第2の形状要素12a,12bの横長さとは、第1の形状要素11a,11bの端から横方向に突出した長さであり、第3の形状要素13a,13bの横長さとは、第2の形状要素12a,12bの端から横方向に突出した長さである。
放射導体14aの面積が、放射導体14bの面積の0.85倍〜1.15倍であることが動作周波数域を広げる点で好ましい。この範囲のより好ましい範囲は、0.9倍〜1.1倍であり、この範囲の特に好ましい範囲は、0.95倍〜1.05倍である。
【0029】
アンテナ本体部10は、図2,3に示すように、絶縁性基板22の表面に実装され、アンテナとして動作するアンテナ装置1を構成する。絶縁性基板22には伝送線路であるストリップ線路が形成され、例えばコプレナーストリップ伝送線路によりアンテナ本体部10への給電が行われる。
図3に示すように、絶縁性基板22の一方の面(図3において上面)にコプレナーストリップ伝送線路の信号線21a,21bを形成し、この信号線21a,21bの形成された面の側にアンテナ本体部10が実装されている。アンテナ本体部10は誘電体基体16の内部に放射導体14が形成されており、放射導体14と信号線21a,21bとの接続は誘電体基体16に設けられたビア23を通じて行われる。また、アンテナ本体部10は絶縁性基板22の端部付近に配される。
【0030】
図3では、誘電体基体16の内部に放射導体14を設けるが、誘電体基体16の表面に設けてもよい。また、誘電体基体16は積層基体としてもよい。積層基体を用いる場合、積層基体の表面層に放射導体14を設けてもよく、また、2層目、3層目などの内層に設けてもよい。この場合、放射導体14を2つの層で挟み込むように形成してもよい。
誘電体基体16が積層基体の場合、この積層基体は1つの比誘電率を持つ1種類の誘電体層を積層したものでもよく、2種類以上の異なる比誘電率を持つ誘電体層を積層したものでもよい。
【0031】
誘電体基体16に放射導体14を設けることで、誘電体の波長短縮効果を用いてアンテナ本体部10の小型化が可能となる。この場合、放射導体14の設置位置や誘電体基体16の比誘電率、又は2種類以上の比誘電率の組み合わせに応じて、実効的な比誘電率が決まる。したがって、実効的な比誘電率に応じて波長短縮効果が可能となり、この実効的な比誘電率を適宜選択、調整することによって動作周波数帯域の広いアンテナ本体部10を実現することができる。
【0032】
また、ストリップ線路の信号線21a,21bから給電点15a,15bへの接続は図3に示すビア23を用いて行ってもよいし、誘電体基体16の端に信号線のパターンを設け、このパターンを介して接続してもよい。また、放射導体14は、誘電体基体16に限らず絶縁性基板22の基板表面上に形成してもよい。前述したように波長短縮効果をさらに得る場合、絶縁性基板22の基板表面上に形成した放射導体14の上に誘電体基体を別途設けるとよい。放射導体14を絶縁性基板22の基板表面上に形成する場合、放射導体14へ給電するためのコプレナーストリップ伝送線路等の伝送線路と放射導体14とを、同じ絶縁性基板22上に形成することができる。
【0033】
アンテナ装置1は、図2,3に示されるように、絶縁性基板22にアンテナ本体部10を表面実装することで構成される。この場合、アンテナ本体部10へ給電するための伝送線路、例えばコプレナーストリップ伝送線路などのストリップ線路の信号線は絶縁性基板22の表面にプリント印刷により形成される。なお、絶縁性基板22は積層基板を用いることもできる。
絶縁体基板22に形成するアンテナ本体部10へ給電するための伝送線路は、コプレナーストリップ伝送線路に限らず、絶縁体基板22の同一面上にグランド導体と信号線を設けるコプレナー線路などであってもよい。コプレナー線路が形成された表面にアンテナ本体部10を実装してもよいし、背面に実装してもよい。
【0034】
また、アンテナ本体部10を形成する誘電体基体16の表面や絶縁性基板22には、アンテナ本体部10をはんだ付けなどで絶縁性基板22に固定実装するための端子が設けられてもよい。このような端子を数カ所設けることで、無線通信装置などの通信用機器に用いられる場合でも、取り扱い中にアンテナ本体部10が絶縁性基板22から脱落することを防ぐことができる。また、このような端子は、例えば、絶縁性基板22に設けられたストリップ線路の信号線21と誘電体基体16に設けられた放射導体14とをはんだ付けなどで接続する場合に用いてもよい。この場合、脱落防止と電気的な接続を同時に実現できる。
【0035】
また、放射導体14の替わりに、金属板などの導体板で放射導体を形成してもよい。この場合、平行2線や同軸ケーブルを用いて給電点15a,15bに接続し、給電を行う。
このようなアンテナ装置1は、直線偏波の送受信を行なうアンテナ装置として好適に用いることができる。
【0036】
図5は、図2に示すアンテナ装置1と異なる他の実施形態のアンテナ装置51の平面図である。アンテナ装置51は、図2に示すアンテナ本体部10の替わりにアンテナ本体部60を有する。図6は、図5に示すアンテナ装置51を図5中のB−B’線に沿って切断した矢視断面図である。
【0037】
アンテナ装置51は、電波の送受信を行うアンテナ本体部60と絶縁性基板72を有する。アンテナ本体部60は絶縁性基板72の端部付近に配されている。
誘電体基体66は、異なる比誘電率を有する3種類の誘電体層(第1の誘電体層66a、第2の誘電体層66b及び第3の誘電体層66c)によって構成される。
誘電体基体66の内部の、誘電体基体66の厚さ方向の略中央の部分、すなわち、第2の誘電体層66b内に、放射導体64が形成されている。また、第3の誘電体層66cには、信号線74a,74bが形成され、ビア75a、75bを介して信号線74a,74bと放射導体64a,64bとが接続されている。この接続点が給電点65a,65bをなしている。さらに、信号線74a,74bは、ビア73a,73bを介して絶縁性基板72に形成された信号線71a,71bと接続されている。
なお、アンテナ本体部60の誘電体基体66は、異なる比誘電率を有する3種類の誘電体層からなるが、異なる比誘電率を有する2種又は4種の誘電体層で構成されてもよい。
誘電体基体66が2種類の誘電体層からなる場合、信号線74a,74bは低誘電率を有する誘電体層内に形成することが好ましい。低誘電率を有する誘電体層は、比誘電率が5〜15であることが、動作周波数の下限周波数を低くする点から好ましい。より好ましくは、低誘電率を有する誘電体層の比誘電率は5〜10である。
このようなアンテナ本体部60は、絶縁性基板22と同様の構成の絶縁性基板72の表面に実装される。
【0038】
絶縁性基板72の一方の面(図6において上面)には、伝送線路である信号線71a,71bを有するコプレナーストリップ伝送線路が形成されており、放射導体64の半円形状に突出した側(図5の下側)からアンテナ本体部60へ給電が行われる。すなわち、図2に示すアンテナ本体部10と異なる側からアンテナ本体部60へ給電される。
絶縁性基板72には、信号線71a,71bの形成された面の側にアンテナ本体部60が実装されている。信号線71a,71bは誘電体基体66に設けられたビア73a,73bを介して信号線74a,74bに接続される。信号線74a,74bは、さらに誘電体基体66に設けられたビア75a、75bを介して放射導体64に接続される。すなわち、信号線74aはビア73bを介して給電点65aに接続される。なお、一対の信号線74a,74bはコプレナーストリップ線路として機能する。
【0039】
このようなアンテナ装置51も、アンテナ装置1と同様の構成を成すので、アンテナインピーダンスの調整を最適に行うことができ、効率よく電波を放射させることができる。
また、アンテナ本体部60の小型化が可能となる。この場合、放射導体64の設置位置や誘電体基体66の各誘電体層の比誘電率の組み合わせに応じて、実効的な比誘電率が決まる。したがって、実効的な比誘電率に応じて波長短縮効果が可能となり、この実効的な比誘電率を適宜選択、調整することによって動作周波数帯域の広いアンテナ本体部60を実現することができる。
【0040】
本発明のアンテナ装置は、図1に示すアンテナ本体部10に替えて図7に示すアンテナ本体部10を用いることもできる。
図7に示すアンテナ本体部10は、放射導体14bの形状要素の形状が放射導体14aの形状要素の形状と異なっており、非対称のダイポールアンテナを構成するものである。
具体的には、第2の形状要素12bが第2の形状要素12aと異なり、放射導体14aにおけるW1,W2,W3は、W1>W2>W3を満足するのに対し、放射導体14bにおけるW1,W2,W3は、W1>W2=W3、(又はW1>W2≒W3)を満足する。放射導体14bにおける第2の形状要素12bは、第3の形状要素13bの側に帯状の形状を部分形状として有し、第1の形状要素11bの側に、この帯状の形状と第1の形状要素11bとの余白を埋める残余の形状を有する。第3の形状要素13bの側に設けられる帯状の部分形状の幅は、第2の形状要素12bの最大長さとなっている。言い換えると、第2の形状要素12aが放射導体14aにおいて、コブ状に飛び出しているのに対し、第2の形状要素12bは放射導体14bにおいてコブ状に飛び出していない。図7に示す例では、第2の形状要素12bの形状は、略四角形(略台形)である。
【0041】
さらに、図8に示すようなアンテナ本体部10を用いることもできる。
図8は、本発明のアンテナ装置の他の実施形態として用いられるアンテナ本体部10の平面図である。
アンテナ本体部10は、放射導体14a及び放射導体14bを有する。放射導体14aは、図1に示す放射導体14aと同様の形状を成している。放射導体14bの第1の形状要素11bは図1に示す放射導体14bの第1の形状要素11bと異なる形状を成し、第2の形状要素12b及び第3の形状要素13bは図1に示す放射導体14aと同様の形状を成している。
【0042】
放射導体14bの第1の形状要素11bは、矩形形状11cと1/4円形状11dの組み合わせ形状を有する。第2の形状要素12bは1/4楕円形状を有し、第3の形状要素13bは帯状の形状を有している。なお、第1の形状要素11bにおける1/4円形状11dの直線状の一辺の長さと矩形形状11cの一辺の長さとは等しく、第1の形状要素11bの形状は、この辺同士が互いに接合された形状を成している。第2の形状要素12bは、楕円形状の長軸及び短軸に沿った直線部分と楕円形状の4分の1の楕円の弧により囲まれた1/4楕円形状の一部分を有する形状要素である。なお、図8に示す放射導体14aにおいても、第2の形状要素12aは、図1に示すアンテナ本体部10の放射導体14a,14bと同様に、上記1/4楕円形状の長軸先端を仮想した場合、この長軸先端が第1の形状要素11aの略中心点(円弧形状の中心位置)付近に位置するように配設されている。図8に示す放射導体14bの第2の形状要素12bは、1/4楕円形状の長軸先端を仮想した場合、この長軸先端が第1の形状要素11bの1/4円形状11dの略中心点(円弧形状の中心位置)付近に位置するように配設されている。そして長軸に対応する1/4楕円形状の直線状の一辺(図8中の下側直線部分)が、第1の形状要素11a,第1の形状要素11bにおける直線状の一辺(図8中の下側直線部分)及び第3の形状要素13a,13bの直線状の一辺(図1中の下側直線部分)と滑らかに接続されて一体となった直線部分を成している。すなわち、放射導体14bにおいて、該直線状の一辺を仮に第2の形状要素12b側に第1の形状要素11bとは反対側の第3の形状要素13bの端部まで伸長したと想定し、これを想定辺という場合に、想定辺側の第2の形状要素12bの縁部及び想定辺側の第3の形状要素13bの1辺とが想定辺と重なっている。なお、このように重なっていることが好ましいが、これに限定されず、ほぼ重なっている程度でも使用できる。
また、該想定辺を無限に伸長し、これを伸長想定辺という場合、前記想定弦と該伸長想定辺の一部とが重なるか、又は、ほぼ重なり、該伸長想定辺を境として、放射導体14aの主な部分と放射導体14bの主な部分とが同じ側に配設されている。
【0043】
なお、第1の形状要素11aは、半円形、略半円形、半楕円形、略半楕円形、弓形及び略弓形の中から選ばれる形状を有すればよく、第3の形状要素13a,13bは、帯状、略帯状、矩形形状、略矩形形状の中から選ばれる形状を有すればよい。第2の形状要素12a,12bの辺P4(図9参照)の形状は円形、略円形、楕円形又は略楕円形の弧の形状を有することが好ましい。例えば1/4円形、略1/4円形、1/4楕円形又は略1/4楕円形の弧の形状を有することが好ましい。また、第2の形状要素12a,12bの、辺P4が第2の形状要素12a,12bの反対側(図9中、下側)の直線状の辺P2(図9参照)と平行又は略平行な直線状の辺であってもよい。
さらに、第1の形状要素11bは、1/4円形状11dの替わりに、1/4略円形状、1/4楕円形状又は1/4略楕円形状を用いてもよい。1/4楕円形状又は1/4略楕円形状の場合、短軸となる直線状の一辺を矩形形状11cの一辺の長さと等しくし、これらの辺同士が接合される。
また、想定直線P0(図9参照)は、第2の形状要素12a,12bの想定直線P0側の1辺P2及び第3の形状要素13a,13bの想定直線P0側の1辺P3(図9参照)と重なるか、又は、ほぼ重なることが好ましい。ここで、想定直線P0は、図9に示すように、放射導体14a,14bの第1の形状要素11a,11bの半円形、1/4円形の直線状の辺P1を、仮に第2の形状要素12a,12bの側に第3の形状要素13a,13bの端部まで伸長したと想定したときの、伸長した直線部分をいう。
【0044】
なお、図8では、アンテナ本体部10の大きさを規定する縦方向の長さをL3、横方向の長さをL4として定め、さらに、放射導体14aにおける第1の形状要素11aと第2の形状12aの合計の横方向の長さをL5、放射導体14bにおける第1の形状要素11bと第2の形状要素12bの合計の横方向の長さをL6として定めている。
【0045】
なお、図9において、W1,W2,W3は、それぞれ第1の形状要素11a,11b、第2の形状要素12a,12b、第3の形状要素13a,13bの各形状要素の配設方向と直交する方向(図9中の上下方向)における最大長さを表す。これらの形状要素のW1,W2,W3(放射導体14aについてはそれぞれW1A,W2A,W3Aであり、放射導体14bについてはそれぞれW1B,W2B,W3Bである)は、放射導体14a,14bのいずれも、上述の条件(1)を満足する。なお、W1,W2,W3(W1A,W2A,W3A及びW1B,W2B,W3B)の表現は、以下の各図に示される例でも同様である。
また、図9では、第2の形状要素の横長さ及び第3の形状要素の横長さをそれぞれL1,L2として定めている。
【0046】
図8,9において、W1(W1A及びW1B)は、アンテナ本体部10の動作周波数の下限周波数(詳細は後述)に対する波長をλLとしたとき、好ましくは0.2・λL以下、より好ましくは0.15・λL以下、特に好ましくは0.1・λL以下である。条件(1)から、第2の形状要素12a,12bにアンテナインピーダンスの容量性調整機能を、第3の形状要素13a,13bにアンテナインピーダンスの誘導性調整機能を持たせることができる。すなわち、上記条件(1)を満足するようにW2,W3(W2A,W3A及びW2B,W3B)を選択することにより、アンテナインピーダンスの調整を最適に行うことができる。さらに、上記条件(1)を満足するようにW2,W3(W2A,W3A及びW2B,W3B)を選択することにより、第2の形状要素12a,12b及び第3の形状要素13a,13bは、放射導体14全体に電流を分布させ、効率よく電波を放射させるアンテナエレメントとして機能する。
具体的には、W1,W2(W1A,W2A及びW1B,W2B)については、条件(1)の他に、好ましくは0.07W1≦W2≦0.6W1、より好ましくは0.08W1≦W2≦0.6W1、特に好ましくは0.08W1≦W2≦0.5W1、特に特に好ましくは0.1W1≦W2≦0.5W1、最も好ましくは0.2W1≦W2≦0.5W1を満足する。さらに、W1,W3(W1A,W3A及びW1B,W3B)については、条件(1)の他に、好ましくは0.01W1≦W3≦0.06W1、より好ましくは、0.01W1≦W3≦0.05W1を満足する。これにより、アンテナの動作周波数帯域は広くなる。
【0047】
図10(a)〜(d)は、図8に示す放射導体14bと異なる形状を有する放射導体を備えるアンテナ本体部10の種々の例を示すものであり、これらのアンテナ本体部10も、本発明のアンテナ装置に用いることができる。アンテナ本体部10は、一対の放射導体のうち一方の放射導体は、図1に示す放射導体14aの形状を有すればよく、他方の放射導体14bの形状はとくに規定されず、所望の特性を有するように自在に定めることができる。
【0048】
図10(a)の放射導体14bにおけるW1,W2,W3については、W1>W2=W3、(又はW1>W2≒W3)を満足する。放射導体14bにおける第2の形状要素12bは、第3の形状要素13bの側に帯状の形状を部分形状として有し、第1の形状要素11bの側に、この帯状の部分形状と第1の形状要素11bとの余白を埋める残余の形状を有する。したがって、第2の形状要素12bは該部分形状と該残余の形状とからなる。第3の形状要素13bの側に設けられる帯状の形状の幅は、第2の形状要素12bの最大長さとなっている。すなわち、第2の形状要素12bが第3の形状要素13bと接合する側の端部は、第2の形状要素12bの最大長さとなって第3の形状要素13bと滑らかに接合されている。言い換えると、放射導体14aの第2の形状要素12aが放射導体14aにおいてコブ状に飛び出しているのに対し、第2の形状要素12bは放射導体14bにおいてコブ状に飛び出していない。
この場合、放射導体14aのW1,W2(W1A,W2A)については、上記条件(1)の他に、好ましくは0.07W1≦W2≦0.6W1、より好ましくは0.08W1≦W2≦0.6W1、特に好ましくは0.08W1≦W2≦0.5W1、特に特に好ましくは0.1W1≦W2≦0.5W1、最も好ましくは0.2W1≦W2≦0.5W1を満足する。さらに、W1,W3(W1A,W3A)については、条件(1)の他に、好ましくは0.01W1≦W3≦0.06W1、より好ましくは、0.01W1≦W3≦0.05W1を満足する。
また、放射導体14bのW1,W2(W1B,W2B)については、W1>W2の他に、好ましくは0.01W1≦W2(=W3)≦0.06W1、より好ましくは0.01W1≦W2(=W3)=W3≦0.05W1を満足する。これにより、アンテナの動作周波数帯域は広くなる。
なお、第2の形状要素12bの、第3の形状要素13bの側の形状は、帯状、略帯状、矩形形状及び略矩形形状の中から選ばれる形状を有すればよい。また、放射導体14bにおいて、前記直線状の一辺とは別の直線状の一辺を仮に第2の形状要素12b側に第1の形状要素11bとは反対側の第3の形状要素13bの端部まで伸長したと想定し、これを想定辺という場合に、想定辺側の第2の形状要素の縁部及び想定弦側の第3の形状要素13bの1辺とが想定辺と重なる。なお、このように重なっていることが好ましいが、これに限定されず、ほぼ重なっている程度でも使用できる。
仮に、該想定辺を無限に伸長し、これを伸長想定辺という場合、前記想定弦と該伸長想定辺の一部とが重なるか、又は、ほぼ重なる。該想定辺を境として、放射導体14aの主な部分と放射導体14bの主な部分とが同じ側に配設されている。
【0049】
図10(b)に示すアンテナ本体部10は、図10(a)中の放射導体14aと同じ形状の放射導体14aを有する一方、放射導体14bの第1の形状要素11bは矩形形状を成している。この場合、W1,W2(W1A,W2A及びW1B,W2B)については、上記条件(1)の他に、好ましくは0.07W1≦W2≦0.6W1、より好ましくは0.08W1≦W2≦0.6W1、特に好ましくは0.08W1≦W2≦0.5W1、特に特に好ましくは0.1W1≦W2≦0.5W1、最も好ましくは0.2W1≦W2≦0.5W1を満足する。さらに、W1,W3(W1A,W3A及びW1B,W3B)については、条件(1)の他に、好ましくは0.01W1≦W3≦0.06W1、より好ましくは、0.01W1≦W3≦0.05W1を満足する。これにより、アンテナの動作周波数帯域は広くなる。
【0050】
また、図10(c)に示すアンテナ本体部10は、図10(b)に示す放射導体14bと同様に第1の形状要素11bは矩形形状を成すが、W1,W2,W3は、W1>W2=W3、(又はW1>W2≒W3)を満足する。放射導体14bにおける第2の形状要素12bは、第3の形状要素13bの側に帯状の形状を部分形状として有し、第1の形状要素11bの側に、この帯状の部分形状と第1の形状要素11bとの余白を埋める残余の形状を有する。したがって、第2の形状要素12bは該部分形状と該残余の形状とからなる。第3の形状要素13bの側に設けられる帯状の形状の幅は、第2の形状要素12bの最大長さとなっている。
放射導体14bにおいて第2の形状要素12bが第3の形状要素13bと接合する側の端部は、第2の形状要素12bの最大長さとなって、第3の形状要素13bと滑らかに接合されている。言い換えると、放射導体14aの第2の形状要素12aが放射導体14aにおいてコブ状に飛び出しているのに対し、第2の形状要素12bは放射導体14bにおいてコブ状に飛び出していない。
この場合、放射導体14aのW1,W2(W1A,W2A)については、上記条件(1)の他に、好ましくは0.07W1≦W2≦0.6W1、より好ましくは0.08W1≦W2≦0.6W1、特に好ましくは0.08W1≦W2≦0.5W1、特に特に好ましくは0.1W1≦W2≦0.5W1、最も好ましくは0.2W1≦W2≦0.5W1を満足する。さらに、W1,W3(W1A,W3A)については、条件(1)の他に、好ましくは0.01W1≦W3≦0.06W1、より好ましくは、0.01W1≦W3≦0.05W1を満足する。
また、放射導体14bのW1,W2(W1B,W2B)については、W1>W2の他に、好ましくは0.01W1≦W2(=W3)≦0.06W1、より好ましくは0.01W1≦W2(=W3)≦0.05W1を満足する。これにより、アンテナの動作周波数帯域は広くなる。
図10(a),(c)に示す例において、放射導体14bにおいて、第1の形状要素11bと第2の形状要素12bとの間の第1の形状要素11bの一辺に、隣り合う第1の形状要素11bの一辺を主辺というとき、該主辺を仮に第2の形状要素12b側に第1の形状要素11bとは反対側の第3の形状要素13bの端部まで伸長したと想定し、この伸長した部分を想定直線という場合に、想定直線側の第2の形状要素12bの縁部及び想定直線側の第3の形状要素の1辺とが想定直線と重なる。なお、このように重なっていることが好ましいが、これに限定されず、ほぼ重なっている程度でも使用できる。
仮に、該想定直線を無限に伸長し、これを伸長想定直線という場合、前記想定弦と伸長想定直線の一部とが重なるか、又は、ほぼ重なる。
該伸長想定直線を境として、放射導体14aの主な部分と放射導体14bの主な部分とが同じ側に配設されている。
【0051】
図10(d)に示すアンテナ本体部10は、図1に示すアンテナ本体部10の半円形状である第1の形状要素11a,11bの弧の部分に直線状の切り欠き形状が設けられている。この直線状の切り欠き形状は、放射導体14a,14bの直線状の一辺(図10(d)中の下側の直線部分)に平行に設けられている。この切り欠き形状は、放射導体14a,14bのいずれか一方に設けられてもよい。
【0052】
これらの形状の放射導体14は誘電体基体16の内部に設けられるが、誘電体基体16の表面に設けてもよい。また、誘電体基体16は積層基体としてもよい。積層基体を用いる場合、積層基体の表面層に放射導体14を設けてもよく、また、2層目、3層目などの内層に設けてもよい。この場合、放射導体14を2つの層で挟み込むように形成してもよい。
誘電体基体16が積層基体の場合、この積層基体は1つの比誘電率を持つ1種類の誘電体層を積層したものでもよく、2種類以上の異なる比誘電率を持つ誘電体層を積層したものでもよい。
【0053】
図10(a)〜(d)に示す種々のアンテナ本体部10においても、放射導体14を誘電体基体16に設けることで、誘電体の波長短縮効果を用いてアンテナ本体部10の小型化が可能となる。この場合、放射導体14の設置位置や誘電体基体16の比誘電率、又は2種類以上の比誘電率の組み合わせに応じて、実効的な比誘電率が決まる。したがって、実効的な比誘電率に応じて波長短縮効果が可能となり、この実効的な比誘電率を適宜選択、調整することによって動作周波数帯域の広いアンテナ本体部10を実現することができる。
【0054】
図11は、本発明のアンテナ装置の他の実施形態であるアンテナ装置101(図12参照)に用いられるアンテナ本体部120の平面図である。図12は、アンテナ装置101の平面図である。図13は、図12に示すアンテナ装置101を図12中のC−C’線に沿って切断した矢視断面図である。
アンテナ本体部120は、電波の送受信を行うアンテナ装置101の主要部分である。
アンテナ本体部120は、誘電体基体116に平面状の金属導体である放射導体114及び一対の信号線117,118が設けられて構成され、絶縁性基板122(図12参照)の表面に実装されて表面実装型のアンテナとして機能する。
【0055】
放射導体114は、互いに異なる形状の第1の放射導体114a及び第2の放射導体114bによって構成され、誘電体基体116の内部に同一平面上に設けられている。このため、図11,12では、放射導体114a,114bは破線で示されている。放射導体114aは、導体形状を規定する第1の形状要素111a、第2の形状要素112a及び第3の形状要素113aによって形状が規定されている。放射導体114bは、第1の形状要素111b、第2の形状要素112b及び第3の形状要素113bによって形状が規定されている。第1の形状要素111bには、切り欠き形状を曲線形状とする切り欠き部129が設けられている。
すなわち、一対の信号線117,118の第1の直線部分117a、118aと放射導体114bとの間隙が、放射導体114a及び放射導体114bの相互に最接近する部分から前記一方向において外側に向かうにしたがって拡がるように曲線的に切り欠かれている。しかし、これに限定されず、前記一方向において外側に向かうにしたがって拡がるように直線的及び曲線的の少なくとも一つに切り欠かれていればよい。また、放射導体114bは、第1の直線部分117a、118a側の部分において、前記一方向と直交する方向に向かって切り欠かれている。
【0056】
放射導体114aは、第1の形状要素111a、第2の形状要素112a及び第3の形状要素113aが順に同一方向(図11中の下側方向)に沿って配設されて接合されている。放射導体114aは、第1の形状要素111aと第2の形状要素112aとが接合し、かつ、第2の形状要素112aと第3の形状要素113aとが接合するような1つの形状を成している。
放射導体114bは、第1の形状要素111b、第2の形状要素112b及び第3の形状要素113bが順に同一方向(図11中の上側方向)に沿って配設されて接合されている。すなわち、放射導体114bは、放射導体114aと同様に、第1の形状要素111bと第2の形状要素112bとが接合し、かつ、第2の形状要素112bと第3の形状要素113bとが接合するような1つの形状を成している。
このように、第1の形状要素111a,第1の形状要素111bと第3の形状要素113a,113bとは、離間して配設されており、第2の形状要素112a,112bが、第1の形状要素111a,111bと第3の形状要素113a,113bとの間の余白を埋めるように配設されている。
また、放射導体114a及び放射導体114bは、放射導体114aの形状要素の配置方向と放射導体114bの形状要素の配設方向とが互いに反対方向を向いて対を成すように配されている。すなわち、第3の形状要素113a及び113bの端が互いに離間して対向するように設けられている。
【0057】
互いに対向する第3の形状要素113a,113bの端部の位置には、図13に示すようにビア115a,115bが設けられ、給電点を成している。放射導体114a,114bは、図12,13に示すように、後述する回路基板等の絶縁性基板122に設けられた伝送線路の信号線124,125と、誘電体基体116に設けられた一対の信号線117,118を介して接続されている。このように放射導体114a,114bは、誘電体基体116内部の同一の平面上に、第3の形状要素113a,113bの端が互いに対向するように配されて非対称なダイポール型アンテナを構成する。
【0058】
一対の信号線117,118は、放射導体114a,114bに給電するように、第3の形状要素113a,113bの端に、ビア115a,115bを介して接続された略平行な2線の導体線であり、誘電体基体116の内部に設けられている。一対の信号線117,118は、放射導体114bと並行するようにY方向に沿って配設された第1の直線部分117a、118aと、Y方向と直交するX方向から放射導体114a,114bに給電するように、Y方向からX方向に直角に向きを変えて配設された第2の直線部分117b,118bとを有する。すなわち、一対の信号線117,118は、第1の直線部分117a,118aと第2の直線部分117b,118bとにより略L字状を成している。
【0059】
一対の信号線117,118は、図13に示すように放射導体114(114a,114b)と異なる平面に設けられ、放射導体114の平面に対して垂直方向に設けられたビア115a,115bを介して放射導体114に給電する。また、一対の信号線117,118は、図12に示すように垂直方向に設けられたビア119a,119bを介して一対の信号線124,125と接続される。一対の信号線117,118の第1の直線部分117a、118aは、図11に示すように、第1の形状要素111b、第2の形状要素112b及び第3の形状要素113bの直線形状の辺の部分に対して、略平行に設けられている。
【0060】
誘電体基体116は、図13に示すように、異なる比誘電率を有する3種類の誘電体層(第1の誘電体層116a,第2の誘電体層116b,第3の誘電体層116c)によって構成されている。
誘電体基体116内部の、誘電体基体116の厚さ方向の略中央の部分、すなわち第2の誘電体層116bの内部には、放射導体114が設けられている。第3の誘電体層116cには、一対の信号線117,118が設けられている。この一対の信号線117,118は、ビア115a,115bを介して放射導体114a,114bの第3の形状要素113a,113bと接続されている。さらに、一対の信号線117,118は、ビア119a,119bを介して絶縁性基板122に設けられた信号線124,125と接続されている。
以上のようにアンテナ本体部120は構成される。
【0061】
アンテナ本体部120における放射導体114a,114bは上述したように設けられるが、本発明における放射導体は以下のように形状が設けられていればよい。
放射導体114aの第1の形状要素111aは、半円形、略半円形、半楕円形、略半楕円形、弓形、略弓形から選ばれる形状を有すればよい。放射導体114bの第1の形状要素111bは、1/4円、1/4略円、1/4楕円及び1/4略楕円の中から選ばれる形状に、この形状の直線状の一辺と同じ長さの辺を有する矩形形状(長方形形状及び正方形形状を含む)が、この辺同士を接合して組み合わされた形状を有すればよい。1/4楕円又は1/4略楕円の場合、短軸を成す直線状の一辺を矩形形状と接合するとよい。
その際、第1の形状要素111bには、一対の信号線117,118の側に、第1の直線部分117a,118aとの距離が離れるように切り欠き部129が設けられる。この切り欠き部129の形状は、一対の信号線の第1の直線部分117a,118aと第2の放射導体114bとの間の距離が、給電点から離れるにしたがって拡がるように、切り欠き部129の少なくとも一部分の形状は曲線形状を成していることが好ましい。図11に示す例では、1/4楕円形状を切り欠き形状としており、この切り欠き形状は1/4楕円形状の長軸を成す直線状の一辺を図中Y方向に平行に配した形状である。切り欠き形状は、1/4円、1/4略円、1/4楕円及び1/4略楕円の中から選ばれる弧を成す形状であることが好ましい。この場合、切り欠き形状の弧を成す部分が、放射導体114a,114bが相互に最接近する側(図中上側、給電点側)に向くように配し、弧を成す部分の直線状の一辺(1/4楕円形状の場合、長軸を成す直線状の一辺)が、放射導体114aと放射導体114bの配設方向に平行になるように配する。
また、最大の切り欠き幅W4は切り欠き部129がないとした場合の最大長さW1(図9参照)以下となることが好ましい。より具体的には、0.03 ≦ W4/W1 ≦ 1であり、好ましくは0.05≦W4/W1≦1であり、より好ましくは0.1≦W4/W1≦1であり、最も好ましくは、0.2≦W4/W1≦1である。
一方、第2の形状要素112a,112bは、多角形、略多角形、台形、略台形、円形、略円形、半円形、略半円形、楕円形、略楕円形、半楕円形、略半楕円形、矩形及び略矩形の中から選ばれた形状の少なくとも一部分を有すればよい。
なお、第2の形状要素112a,112bの辺P4(図11参照)の形状が円形、略円形、楕円形又は略楕円形の弧の形状を有することが好ましい。例えば1/4円形、略1/4円形、1/4楕円形又は略1/4楕円形の弧の形状を有することが好ましい。また、第2の形状要素112a,112bの辺P4は、第2の形状要素112a,112bの反対側(図11中左側)の直線状の辺と平行又は略平行な直線状の辺であってもよい。第3の形状要素113a,113bは、帯状、略帯状、矩形形状、略矩形形状の中から選ばれる形状を有すればよい。
【0062】
なお、放射導体114a,114bのY方向における長さは同じであるが、必ずしも同じ長さでなくてもよい。放射導体114aのY方向の長さL5、放射導体114bのY方向の長さL6(図11参照)において、比L6/L5の値は、動作周波数域を広げるために、好ましくは0.5以上1.5以下、より好ましくは0.55以上1.0以下、特に好ましくは0.5以上0.95以下、最も好ましくは0.6以上0.9以下である。
【0063】
誘電体基体116は、異なる比誘電率を有する3種類の誘電体層によって構成されるが、2又は4種類の誘電体層で構成されてもよい。
誘電体基体116が2種類の誘電体層から構成される場合、一対の信号線117,118は低誘電率を有する誘電体層内に設けることが好ましい。低誘電体率を有する誘電体層は比誘電率が5〜15であることが、動作周波数の下限周波数を低くする点から好ましい。より好ましくは、比誘電率が5〜10である。さらに、誘電体基体116は1つの比誘電率を有する1種類の誘電体層から構成されてもよい。誘電体基体116は積層基体としてもよい。誘電体基体116に積層基体を用いる場合、積層基体の表面層に放射導体114を設けてもよく、また、2層目、3層目などの内層に設けてもよい。この場合、放射導体114を2つの層で挟み込むように形成するとよい。
【0064】
このように誘電体基体116の内部に放射導体114を設けることで、誘電体の波長短縮効果を用いてアンテナ本体部120の小型化が可能となる。この場合、放射導体114の設置位置や誘電体基体116の比誘電率、又は2種類以上の比誘電率の組み合わせに応じて、実効的な比誘電率が決まる。したがって、実効的な比誘電率に応じて波長短縮効果が可能となり、この実効的な比誘電率を適宜選択、調整することによって動作周波数帯域の広いアンテナ本体部120を実現することができる。
【0065】
また、放射導体114は、図13に示すように誘電体基体116の内部に設けられるが、誘電体基体116の表面に設けてもよい。さらに、放射導体114は、誘電体基体116に限らず絶縁性基板122の基板表面上に設けてもよい。前述したように波長短縮効果をさらに得る場合、絶縁性基板122の基板表面上に設けた放射導体114の上に誘電体基体を別途設けるとよい。放射導体114を絶縁性基板122の表面上に設ける場合、放射導体114へ給電するための信号線及び一対の信号線117,118と放射導体114とを同じ絶縁性基板122の面上に設けることができる。さらに、放射導体114を誘電体基体116の内部又は表面に設け、一対の信号線117,118を絶縁性基板122の面上に設けてもよい。この場合、誘電体基体116の長さL3をさらに小さくできる。
【0066】
一方、一対の信号線117,118は、図13に示すように、ビア119a,119bを用いて一対の信号線124,125と接続するが、誘電体基体116の端に信号線のパターンを設け、このパターンを介して接続してもよい。
【0067】
アンテナ本体部120は、図12,13に示すように、絶縁性基板122の表面に実装され、アンテナとして動作するアンテナ装置101を構成する。アンテナ本体部120の実装される絶縁性基板122の面には伝送線路であるカップルド・マイクロストリップ伝送線路の一対の信号線124,125が設けられ、アンテナ本体部120への給電が行われる。一方、アンテナ本体部120の実装される面と反対側の面には、グランド導体123が設けられている。
なお、カップルド・マイクロストリップ伝送線路などの信号線は絶縁性基板122の表面にプリント印刷により形成される。絶縁性基板122は積層基板を用いることもできる。
【0068】
アンテナ本体部120を形成する誘電体基体116の表面や絶縁性基板122には、アンテナ本体部120をはんだ付けなどで絶縁性基板122に固定実装するための端子を設けてもよい。このような端子を数カ所設けることで、無線通信装置などの通信用機器に用いる場合でも、取り扱い中にアンテナ本体部120が絶縁性基板122から脱落することを防ぐことができる。また、このような端子は、例えば、絶縁性基板122に設けられた信号線124,125と誘電体基体116に設けられた放射導体114とをはんだ付けなどで接続する場合に用いてもよい。この場合、脱落防止と電気的な接続を同時に実現できる。
このようなアンテナ装置101は、直線偏波の送受信を行なうアンテナ装置として好適に用いることができる。
【0069】
図11に示すアンテナ本体部120の替わりに、図14に示すアンテナ本体部120を用いることもできる。
図14に示すアンテナ本体部120では、放射導体114aにおけるW1,W2,W3はW1>W2>W3を満足する。一方、放射導体114bは、図11に示すアンテナ本体部120と同様に切り欠き部129を有するが、放射導体114bにおけるW1,W2,W3は、W1>W2=W3、(又はW1>W2≒W3)を満足する。放射導体114bにおける第2の形状要素112bは、第3の形状要素113bの側に帯状の形状を部分形状として有し、第1の形状要素111bの側に、この帯状の部分形状と第1の形状要素111bとの余白を埋める残余の形状を有する。第3の形状要素113bの側に設けられる帯状の形状の幅は、第2の形状要素112bの最大長さとなっている。放射導体114bにおいて第2の形状要素112bが第3の形状要素113bと接合する側の端部は、第2の形状要素112bの最大長さとなって、第3の形状要素113bと滑らかに接合されている。言い換えると、放射導体114aの第2の形状要素112aが放射導体114aにおいてコブ状に飛び出しているのに対し、第2の形状要素112bは放射導体114bにおいてコブ状に飛び出していない。
【0070】
図11に示すアンテナ本体部120の替わりに、図15に示すアンテナ本体部120を用いることもできる。
図11に示すアンテナ本体部120では、第1の形状要素111bは、矩形形状111cと1/4円形状111dとを組み合わせた形状に切り欠き部129を設けたものであるが、図15に示すアンテナ本体部120では、上記組み合わせの形状に変えて矩形形状(長方形及び正方形を含む)に切り欠き部129を設けたものである。
さらに、図11に示すアンテナ本体部120の替わりに、図16(a),(b)に示すアンテナ本体部120を用いることもできる。
図16(a)に示すアンテナ本体部120では、放射導体114bにおいて、W1,W2,W3は、W1>W2=W3、(又はW1>W2≒W3)を満足する。放射導体114bにおける第2の形状要素112bは、第3の形状要素113bの側に帯状の形状を部分形状として有し、第1の形状要素111bの側に、この帯状の部分形状と第1の形状要素111bとの余白を埋める残余の形状を有する。第3の形状要素113bの側に設けられる帯状の形状の幅は、第2の形状要素112bの最大長さとなっている。放射導体114bにおいて第2の形状要素112bが第3の形状要素113bと接合する側の端部は、第2の形状要素112bの最大長さとなって、第3の形状要素113bと滑らかに接合されている。言い換えると、放射導体114aの第2の形状要素112aが放射導体114aにおいてコブ状に飛び出しているのに対し、第2の形状要素112bは放射導体114bにおいてコブ状に飛び出していない。
また、図16(b)に示すアンテナ本体部120は、図15に示すアンテナ本体部120の切り欠き部129が設けられていない放射導体114bを有して構成されているものである。
【0071】
さらに、図17(a)に示すように、切り欠き部129は、曲線形状を切り欠き形状とする他、1/4円、1/4略円、1/4楕円及び1/4略楕円の中から選ばれる形状129aに、この形状に矩形形状129bが接合して組み合わされた形状を切り欠き形状とすることもできる。1/4楕円又は1/4略楕円の場合、短軸を成す直線状の一辺が、この辺と同じ長さを有する矩形形状129bの一辺と接合し、長軸を成す直線状の別の一辺と矩形形状129bの別の一辺とが図中上下方向に平行になるように配した形状が切り欠き形状とされる。なお、切り欠き形状は、形状129aの弧の部分が給電点の側に、矩形形状129bが給電点と反対側に向くように配された形状である。
さらに、図17(b)に示すように、放射導体114bに切り欠き部129が設けられないとした場合、放射導体114bは、互いに直交する方向に一対の直線状の辺130,131を有し、一対の辺130,131は頂点Oを共有する。このとき、切り欠き部129の全部又は一部を構成する、1/4円、1/4略円、1/4楕円及び1/4略楕円の中から選ばれる形状の元となる円、略円、楕円又は略楕円の中心位置は頂点Oの近傍に位置することが好ましい。本発明においては、前記元となる円、略円、楕円又は略楕円の中心位置は、辺130の近傍に位置するとよい。
【0072】
このように、本発明のアンテナ装置では、放射導体の形状、切り欠き部の形状を種々調整して、ダイポールアンテナとして機能させることで、占有面積を大きく占めることなく、従来に比べて低い下限周波数を得ることができる、設計自由度の高い、高利得、広帯域の小型のアンテナ装置を実現できる。
【0073】
次に、本発明におけるアンテナ装置の送受信特性について説明する。
図18は、図2,3に示すアンテナ装置1のVSWR(Voltage Standing Wave Ratio)の周波数特性の一例を示している。一般に伝送線路にアンテナ等の負荷が接続されたり、別の特性インピーダンスを持つ伝送線路等が接続された場合、接続部分の不連続性により伝送される信号の進行波の一部が反射されて後退波が発生する。そして、この後退波が進行波と同一伝送線路上に共存して定在波が作られる。VSWRはこのときの定在波として現れる電圧信号の最小値に対する最大値の比率をいう。したがってVSWRが1に近づくほどアンテナ本体部10のインピーダンスマッチングが良好に行なわれ、この結果アンテナ本体部10のリターンロスが小さくなり特性が向上するといえる。
【0074】
図18は、アンテナ装置(後述する例1及び例2)のVSWRの周波数特性の例を示している。
図18に示すVSWRの周波数特性では、VSWRを縦軸に、周波数を横軸にとっている。したがって、広帯域にわたる動作周波数を有するには、VSWRが1に近い周波数の範囲が広いことが必要である。VSWRが3.0より小さい場合、良好な送受信特性を有し、アンテナの動作上問題はない。そこで、VSWRの周波数特性において、VSWRが3.0より小さい周波数帯域幅を用いて広帯域にわたる動作周波数を有するか否かを判定することができる。そこで、VSWRが3より小さい上限の周波数をfH、下限の周波数をfLとすると下記式にて定める比帯域幅により動作周波数帯域の広狭を判定することができる。
比帯域幅 = 2・{(fH−fL)/(fH+fL)}×100(%)
比帯域幅が大きいほど動作周波数帯域幅が広いことを意味する。なお、本発明のアンテナ装置は、マイクロ波領域のうちの3〜11GHzの周波数帯域の通信に特に有効である。
【0075】
次に、本発明のアンテナ装置について、アンテナ装置の例に基づいて具体的にアンテナ装置の特性を説明する。
図18は、以下に示す例1及び例2におけるVSWRの周波数特性のグラフを示している。これらの周波数特性はFI(Finite-Integration)法による電磁界シミュレーションにより算出されたものである。
【0076】
(例1:実施例)
例1は、図1に示すアンテナ本体部10を有するアンテナ装置1を用いた例である。第1の形状要素11a,11bは半円形状を有する。第2の形状要素12a,12bは1/4楕円形状の一部分を有する。第3の形状要素13a,13bは帯状形状である。放射導体14は、誘電体基体16の厚さ方向のほぼ中央に配設している。なお、アンテナ本体部10は、図2に示すように絶縁性基板22の一方の面に実装した。各形状要素及び誘電体基体16の寸法は、以下に示す例3〜例7とともに下記表1に示している。なお、L3及びL4は、図1、図8に示す縦方向の長さ、横方向の長さをいう。
【0077】
【表1】
【0078】
(例2:比較例)
例2は、図1に示すアンテナ本体部10の替わりに、図28に示されるアンテナ本体部310を用いたアンテナ装置の例である。アンテナ本体部310の放射導体314は、半円形状の形状要素311a,311bと帯状形状の形状要素313a,313bとにより構成され、例1に対して、第2の形状要素12a,12bが無い構成となっている。このため、例2は本発明のアンテナ装置ではない。図28中符号315a,315bは給電点である。
例2の形状要素311a,311bは例1の第1の形状要素11a,11bと同様の形状である。形状要素313a、313bは第3の形状要素13a,13bと同様の帯状形状である。放射導体314は、誘電体基体316の厚さ方向のほぼ中央に配設している。
なお、アンテナ本体部310は、図2に示すように絶縁性基板22の一方の面に実装した。各形状要素及誘電体基体316の寸法は以下の通りである。
形状要素311a,311b
半円形状の直径(=最大縦長さW31×2) 14mm、
最大縦長さ(W31 図28参照) 7mm、
形状要素313a,313b
帯状形状の長さ(L35 図28参照) 0.7mm、
最大縦長さ(W32 図28参照) 0.1mm、
誘電体基体316
比誘電率 10.0、
縦長さ(L31 図28参照) 7mm、
横長さ(L32 図28参照) 29.5mm。
【0079】
図18に示すように、VSWRが3.0以下となる下限周波数は、本発明の実施例である例1が3.1GHzであり、比較例である例2は3.7GHzである。例1は例2に対して0.6GHz下限周波数が低くなっている。これより、例1は、例2に対して20%程度、下限周波数が低くなることがわかる。
また、このときの下限周波数の波長はおよそ96.8mmである。第1の形状要素11a,11bの直径(=最大縦長さW1×2)が14mmであることから、第1の形状要素11a,11bの直径は、およそ0.15波長分の長さが必要になることがわかる。これより、放射導体14の面積は略0.07波長×略0.3波長(縦方向の長さ×横方向の長さ)分の面積となり、この部分の面積分がアンテナ面積として必要である。このアンテナ面積は、前述した非特許文献1,2及び特許文献1の従来のアンテナ(図24〜27)と比べて小さい。このため従来と比べてサイズの小さいアンテナ装置を実現することができる。
また、例1における周波数特性の比帯域幅は126%であり、例2における周波数特性の比帯域幅は88%である。例1の方が比帯域幅は広く動作周波数帯域が広い。
さらに、第1の形状要素11a,11bを半楕円形状としたアンテナ装置、及び第2の形状要素12a、12bを長方形形状(矩形形状)としたアンテナ装置においても同様な比帯域幅を有することを確認している。
【0080】
このように、第1の形状要素11a,11bと第2の形状要素12a,12bと第3の形状要素13a,13bとが一方向に順に接合した形状を有する放射導体14によって、アンテナの占有面積を小さくして小形のアンテナを実現できる。しかも、従来に比べて低い下限周波数を得ることができる。
また、放射導体14における第1の形状要素11a,11bの大きさに応じて、第2の形状要素12a,12bと第3の形状要素13a,13bの形状を適宜選択し調整することで、広帯域にわたって最適なインピーダンスのマッチングを実現でき比帯域幅を向上させることができる。すなわち、設計自由度の高い、広帯域のアンテナ装置を実現できる。
【0081】
(例3:実施例)
例3は、図5,6に示すアンテナ本体部60を有するアンテナ装置51を用いた例である。
図19は、例3のVSWRの周波数特性を示す図である。例3の周波数特性はFI(Finite-Integration)法による電磁界シミュレーションにより算出されたものである。
各形状要素及誘電体基体66の寸法は上記表1の通りである。
なお、放射導体64の形状は図4(b)に示す放射導体の形状と同様であるので、以下同じ寸法の符号(L3,L4,L6)を用いる。なお、縦長さ及び横長さは、図5における縦方向の長さ、横方向の長さをいう。
【0082】
なお、誘電体基体66は、以下のように第1の誘電体層66a,第2の誘電体層66b,第3の誘電体層66cとした。
誘電体基体66
第1の誘電体層66a
比誘電率 7.2、
厚さ 0.25mm、
第2の誘電体層66b
比誘電率 20.0、
厚さ 0.5mm、
第3の誘電体層66c
比誘電率 7.2、
厚さ 0.25mm、
縦長さ(L3 図5参照) 7mm、
横長さ(L4 図5参照) 32.5mm、
一対の信号線71a,71b
線幅 0.25mm、
線間隔(L16 図5参照) 0.3mm。
【0083】
図19に示すように、VSWRが3.0以下となる下限周波数は、実施例である例3は2.6GHzである。これに対して、比較例である例2は3.7GHzである。例3は例2に対して1.1GHz下限周波数が低くなっている。これより、例3は例2に対して約40%程度下限周波数が低くなることがわかる。
また、例3における周波数特性の比帯域幅は117%であり、比較域幅3.7GHzの例2に比較して例3の方が比帯域幅は広く動作周波数帯域が広い。
さらに、アンテナ本体部60の第2の形状要素を長方形形状(矩形形状)としたアンテナ装置においても同様な比帯域幅を有することを確認している。
【0084】
このように、例3のアンテナ装置51は、アンテナの占有面積を小さくして小形のアンテナを実現でき、しかも従来に比べて低い下限周波数を得ることができる。
また、放射導体64における第1の形状要素の大きさに応じて、第2の形状要素と第3の形状要素の形状を適宜選択し調整し、接続導体74の形状を調整することができる。これによって、広帯域にわたって最適なインピーダンスのマッチングを実現でき比帯域幅を向上させることができる。すなわち、設計自由度の高い、広帯域のアンテナ装置を実現できる。
【0085】
(例4:実施例)
例4は、図8に示すアンテナ本体部10を用いた例である。第1の形状要素11aは半円形状を有し、第1の形状要素11bは1/4円形状と正方形形状とを組み合わせた形状を有する。第2の形状要素12a,12bは1/4楕円形状を有する。第3の形状要素13a,13bは帯状形状である。放射導体14は、誘電体基体16の厚さ方向のほぼ中央に配設している。なお、アンテナ本体部10は、グランド導体を有する絶縁性基板(不図示)の一方の面に、グランド導体(不図示)とアンテナ本体部10を縦方向に1mm離して実装している。誘電体基体16は、比誘電率20の誘電体を比誘電率7.2の誘電体で両側から挟んでいる。各形状要素及び誘電体基体16の寸法は上記表1に示す通りである。
図20はVSWRの周波数特性のグラフを示している。この周波数特性はFI(Finite-Integration)法による電磁界シミュレーションにより算出されたものである。
【0086】
(例5:実施例)
例5は、図10(b)に示すアンテナ本体部10であり、図8に示す放射導体14aと同じ形状の放射導体14aと、矩形形状の第1の形状要素11bを有する放射導体14bとを有する。各形状要素及び誘電体基体16の寸法は上記表1に示す通りである。
図21は、例5におけるVSWRの周波数特性のグラフを示している。この周波数特性はFI(Finite-Integration)法による電磁界シミュレーションにより算出されたものである。
【0087】
(例6:実施例)
例6は、図11、図12に示すアンテナ本体部120を有するアンテナ装置101を用いた例である。アンテナ本体部120は、第1の形状要素111bを、例4に示したアンテナ本体部120の第1の形状要素111bの形状(1/4円形状と正方形の組み合わせた形状)から1/4楕円形状を切り欠き形状として切り欠いた形状に置き換えたものである。図22は、例6におけるVSWRの周波数特性のグラフを示している。この周波数特性はFI(Finite-Integration)法による電磁界シミュレーションにより算出されたものである。各形状要素および誘電体基体116の寸法は上記表1に示す通りである。
【0088】
(例7:実施例)
例7は、図15に示すように、第1の形状要素111bに、矩形形状から1/4楕円形状を切り欠き形状とする切り欠き部121を設けた放射導体114bを有するアンテナ本体部120である。図23は、例7におけるVSWRの周波数特性のグラフを示している。この周波数特性はFI(Finite-Integration)法による電磁界シミュレーションにより算出されたものである。各形状要素および誘電体基体116の寸法は上記表1に示す通りである。なお、放射導体114bと一対の信号線のうち放射導体114bと近い信号線との間の間隔をD1は、0.3mmとしている。
【0089】
例4、例5、例6、例7において、VSWRが3.0以下となる下限周波数、比帯域幅及びアンテナ面積を下記表2に示す。表2に示すように、前述した非特許文献1,2及び特許文献1の従来のアンテナ(図24〜27)と比べて、いずれも下限周波数は小さく、比帯域幅は大きく、アンテナ面積は小さい。図25に示すアンテナのアンテナ面積は、略0.3波長×0.3波長である。
【0090】
【表2】
【0091】
このように、例1,3〜7のいずれのアンテナ装置も、アンテナの占有面積を小さくして小形のアンテナを実現でき、しかも従来に比べて低い下限周波数を得ることができる。
また、放射導体14における第1の形状要素の大きさに応じて、第2の形状要素と第3の形状要素の形状を適宜選択し調整することができる。これによって、広帯域にわたって最適なインピーダンスのマッチングを実現でき比帯域幅を向上させることができる。すなわち、設計自由度の高い、広帯域のアンテナ装置を実現できる。
【0092】
以上、本発明のアンテナ装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明のアンテナ装置の一実施形態におけるアンテナ本体部の平面図である。
【図2】図1に示すアンテナ本体部を実装したアンテナ装置の平面図である。
【図3】図2中のA−A’線に沿って切断したアンテナ装置の矢視断面図である。
【図4】(a),(b)は、本発明のアンテナ装置に用いる放射導体の形状を説明する図である。
【図5】本発明のアンテナ装置の他の実施形態の平面図である。
【図6】図5中のB−B’線に沿って切断したアンテナ装置の矢視断面図である。
【図7】本発明のアンテナ装置の他の実施形態におけるアンテナ本体部の平面図である。
【図8】本発明のアンテナ装置の他の実施形態におけるアンテナ本体部の平面図である。
【図9】図8に示すアンテナ本体部の形状を説明する図である。
【図10】(a)〜(d)は、本発明のアンテナ装置の他の実施形態におけるアンテナ本体部の平面図である。
【図11】本発明のアンテナ装置の他の実施形態におけるアンテナ本体部の平面図である。
【図12】図11に示すアンテナ本体部を実装したアンテナ装置の平面図である。
【図13】図12中のC−C’線に沿って切断したアンテナ装置の矢視断面図である。
【図14】本発明のアンテナ装置の他の実施形態におけるアンテナ本体部の平面図である。
【図15】本発明のアンテナ装置の他の実施形態におけるアンテナ本体部の平面図である。
【図16】(a),(b)は、本発明のアンテナ装置の他の実施形態におけるアンテナ本体部の平面図である。
【図17】(a),(b)は、本発明のアンテナ装置に用いられるアンテナ本体部の切り欠き部を説明する図である。
【図18】図2,3に示すアンテナ装置のVSWRの周波数特性の一例を示す図である。
【図19】図5,6に示すアンテナ装置のVSWRの周波数特性の一例を示す図である。
【図20】例4におけるアンテナ装置のVSWRの周波数特性の一例を示す図である。
【図21】例5におけるアンテナ装置のVSWRの周波数特性の一例を示す図である。
【図22】例6におけるアンテナ装置のVSWRの周波数特性の一例を示す図である。
【図23】例7におけるアンテナ装置のVSWRの周波数特性の一例を示す図である。
【図24】従来のディスクモノポールアンテナを示す図である。
【図25】従来のアンテナの一例を示す図である。
【図26】従来のアンテナの一例を示す図である。
【図27】従来のアンテナの一例を示す図である。
【図28】本発明のアンテナ装置とは異なる構成のアンテナ装置を示す図である。
【符号の説明】
【0094】
1,51,101,310 アンテナ装置
10,60,120 アンテナ本体部
11a,11b,111a,111b 第1の形状要素
12a,12b,112a,112b 第2の形状要素
13a,13b,113a,113b 第3の形状要素
14,14a,14b,64,64a,64b,114a,114b 放射導体
15a,15b、65a,65b,215a,215b,115a,115b、315a,315b 給電点
16,66,116,216,261,316 誘電体基体
21a,21b,71a,71b,74a,74b,117,118,124,125 信号線
22,72,122 絶縁性基板
23,73a,73b、75a,75b,115a,115b,119a,119b ビア
66a,66b,66c,116a,116b,116c 誘電体層
123,262 グランド導体
129,121,241a,241b 切り欠き部
130,131 辺
201 平面ディスクモノポール
202 同軸線路
203 金属平板
211a,211b 放射板
221a,221b 頂点部
231 同軸ケーブル
250 セラミック板
251,264 放射導体
252 端部
253,263 アンテナ
254 スリット
311a,311b,313a,313b 形状要素
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体基体又は誘電体基板に平面状の放射導体が設けられたアンテナ装置において、
該放射導体は、導体形状を規定する第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素が一方向に沿って配設されて、第1の形状要素と第2の形状要素とが接合し、かつ、第2の形状要素と第3の形状要素とが接合するような1つの形状を成しており、
第1の形状要素は、半円形、略半円形、半楕円形、略半楕円形、弓形及び略弓形の中から選ばれる形状を有し、
第3の形状要素は、帯状、略帯状、矩形形状及び略矩形形状の中から選ばれる形状を有し、
第1の形状要素と第3の形状要素とは、離間して配設されており、
第1の形状要素と第3の形状要素との間の余白を埋めるように第2の形状要素が配設されており、
第3の形状要素には給電点が設けられ、
第1の形状要素の半円形、略半円形、半楕円形、略半楕円形、弓形及び略弓形の弦を、仮に第2の形状要素側に第1の形状要素とは反対側の第3の形状要素の端部まで伸長したと想定し、この伸長した部分を想定弦という場合に、想定弦側の第2の形状要素の縁部及び想定弦側の第3の形状要素の1辺とが想定弦と重なるか、又は、ほぼ重なり、
上記一方向に対して直交する方向における、第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素の最大長さをそれぞれW1,W2,W3としたとき、W1>W2>W3を満足することを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記一方向に対して直交する方向において、第2の形状要素の、想定弦とは反対側の縁部が想定弦と平行又は略平行である請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記一方向に対して直交する方向において、第2の形状要素の、想定弦とは反対側の縁部の形状が1/4円、1/4略円、1/4楕円又は1/4略楕円の弧の少なくとも一部の形状を有する請求項1又は2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記第2の形状要素の、前記想定弦とは反対側の縁部と、第2の形状要素の、前記第3の形状要素側の縁部とが直交又は略直交している請求項1〜3のいずれかに記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記第2の形状要素の形状が略四角形であり、前記想定弦側の第2の形状要素の縁部が前記想定弦側の該略四角形の1辺である請求項1〜4のいずれかに記載のアンテナ装置。
【請求項6】
0.07W1≦W2≦0.6W1、かつ、0.01W1≦W3≦0.06W1を満足する請求項1〜5のいずれかに記載のアンテナ装置。
【請求項7】
誘電体基体又は誘電体基板に平面状の第1の放射導体及び第2の放射導体からなる一対の放射導体が互いに対向するように同一平面上に設けられたアンテナ装置において、
第1の放射導体及び第2の放射導体には、給電点が設けられ、
該一対の放射導体のうち第1の放射導体は、導体形状を規定する第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素が一方向に沿って配設されて、第1の形状要素と第2の形状要素とが接合し、かつ、第2の形状要素と第3の形状要素とが接合するような1つの形状を成しており、
第1の放射導体の第3の形状要素は、第2の放射導体に対向するように対向する側に配設されており、
第1の放射導体の第1の形状要素は、半円形、略半円形、半楕円形、略半楕円形、弓形及び略弓形の中から選ばれる形状を有し、
第1の放射導体の第3の形状要素は、帯状、略帯状、矩形形状及び略矩形形状の中から選ばれる形状を有し、
第1の放射導体において、第1の形状要素と第3の形状要素とは、離間して配設されて、第1の形状要素と第3の形状要素との間の余白を埋めるように第2の形状要素が配設されており、
第1の放射導体において、第1の形状要素の半円形、略半円形、半楕円形、略半楕円形、弓形及び略弓形の弦を、仮に第2の形状要素側に第1の形状要素とは反対側の第3の形状要素の端部まで伸長したと想定し、この伸長した部分を想定弦という場合に、想定弦側の第2の形状要素の縁部及び想定弦側の第3の形状要素の1辺とが想定弦と重なるか、又は、ほぼ重なり、
第1の放射導体において、前記一方向に対して直交する方向における、第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素の最大長さをそれぞれW1A,W2A,W3Aとしたとき、W1A>W2A>W3Aを満足することを特徴とするアンテナ装置。
【請求項8】
前記第2の放射導体は、導体形状を規定する第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素が一方向に沿って配設されて、第1の形状要素と第2の形状要素とが接合し、かつ、第2の形状要素と第3の形状要素とが接合するような1つの形状を成しており、
第2の放射導体の第3の形状要素は、第1の放射導体に対向するように対向する側に配設されており、
第2の放射導体の第1の形状要素は、半円形、略半円形、半楕円形、略半楕円形、弓形、略弓形、矩形及び略矩形の中から選ばれる形状を有し、
第2の放射導体の第3の形状要素は、帯状、略帯状、矩形形状及び略矩形形状の中から選ばれる形状を有し、
第2の放射導体において、第1の形状要素と第3の形状要素とは、離間して配設されて、第1の形状要素と第3の形状要素との間の余白を埋めるように第2の形状要素が配設されており、
第2の放射導体において、第1の形状要素の半円形、略半円形、半楕円形、略半楕円形、弓形及び略弓形の弦を、仮に第2の形状要素側に第1の形状要素とは反対側の第3の形状要素の端部まで伸長したと想定し、この伸長した部分を第2の想定弦という場合に、第2の想定弦側の第2の形状要素の縁部及び第2の想定弦側の第3の形状要素の1辺とが第2の想定弦と重なるか、又は、ほぼ重なり、
第2の放射導体において、前記一方向に対して直交する方向における、第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素の最大長さをそれぞれW1B,W2B,W3Bとしたとき、W1B>W2B>W3Bを満足し、
仮に、第2の想定弦を無限に伸長し、これを第2の伸長想定弦という場合、前記想定弦と第2の伸長想定弦の一部とが重なるか、又は、ほぼ重なり、
第2の伸長想定弦を境として、第1の放射導体の主な部分と第2の放射導体の主な部分とが同じ側に配設されている請求項7に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記第1の放射導体の形状と、前記第2の放射導体の形状とが互いに同一又は略同一であり、
第1の放射導体の面積が、第2の放射導体の面積の0.85倍〜1.15倍である請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記第2の放射導体は、導体形状を規定する第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素が一方向に沿って配設されて、第1の形状要素と第2の形状要素とが接合し、かつ、第2の形状要素と第3の形状要素とが接合するような1つの形状を成しており、
第2の放射導体の第3の形状要素は、第1の放射導体に対向するように対向する側に配設されており、
第2の放射導体の第1の形状要素は、半円形、略半円形、半楕円形、略半楕円形、弓形及び略弓形の中から選ばれる形状を有し、
第2の放射導体の第3の形状要素は、帯状、略帯状、矩形形状及び略矩形形状の中から選ばれる形状を有し、
第2の放射導体において、第1の形状要素と第3の形状要素とは、離間して配設されており、
第2の放射導体において、第2の形状要素は、第3の形状要素の側に、帯状、略帯状、矩形形状及び略矩形形状の中から選ばれる形状を部分形状として有し、第1の形状要素の側に、該部分形状と第1の形状要素との間の余白を埋める残余の形状を有し、該第2の形状要素は該部分形状と該残余の形状とからなり、該部分形状の、前記一方向と直交する方向における幅は、第2の形状要素の前記最大長さとなっており、
第2の放射導体において、第1の形状要素の半円形、略半円形、半楕円形、略半楕円形、弓形及び略弓形の弦を、仮に第2の形状要素側に第1の形状要素とは反対側の第3の形状要素の端部まで伸長したと想定し、この伸長した部分を第2の想定弦という場合に、第2の想定弦側の第2の形状要素の縁部及び想定弦側の第3の形状要素の1辺とが第2の想定弦と重なるか、又は、ほぼ重なり、
第2の放射導体において、前記一方向に対して直交する方向における、第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素の最大長さをそれぞれW1B,W2B,W3Bとしたとき、W1B>W2B=W3B又はW1B>W2B≒W3Bを満足し、
仮に、第2の想定弦を無限に伸長し、これを第2の伸長想定弦という場合、前記想定弦と第2の伸長想定弦の一部とが重なるか、又は、ほぼ重なり、
第2の伸長想定弦を境として、第1の放射導体の主な部分と第2の放射導体の主な部分とが同じ側に配設されている請求項7に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
前記第2の放射導体は、導体形状を規定する第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素が一方向に沿って配設されて、第1の形状要素と第2の形状要素とが接合し、かつ、第2の形状要素と第3の形状要素とが接合するような1つの形状を成しており、
第2の放射導体の第3の形状要素は、第1の放射導体に対向するように対向する側に配設されており、
第2の放射導体の第1の形状要素は、1/4円、1/4略円、1/4楕円及び1/4略楕円の中から選ばれる形状と、この形状の直線状の一辺と同じ長さの辺を有する矩形形状又は略矩形形状とが、該辺同士が接合されて接合した形状を有し、
第2の放射導体の第3の形状要素は、帯状、略帯状、矩形形状及び略矩形形状の中から選ばれる形状を有し、
第2の放射導体において、第1の形状要素と第3の形状要素とは、離間して配設されて、第1の形状要素と第3の形状要素との間の余白を埋めるように第2の形状要素が配設されており、
第2の放射導体において、前記直線状の一辺とは別の直線状の一辺を仮に第2の形状要素側に第1の形状要素とは反対側の第3の形状要素の端部まで伸長したと想定し、これを想定辺という場合に、想定辺側の第2の形状要素の縁部及び想定辺側の第3の形状要素の1辺とが想定辺と重なるか、又は、ほぼ重なり、
第2の放射導体において、前記方向に対して直交する方向における、第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素の最大長さをそれぞれW1B,W2B,W3Bとしたとき、W1B,W2B,W3Bは、W1B>W2B>W3Bを満足し、
仮に、該想定辺を無限に伸長し、これを伸長想定辺という場合、前記想定弦と該伸長想定辺の一部とが重なるか、又は、ほぼ重なり、
該伸長想定辺を境として、第1の放射導体の主な部分と第2の放射導体の主な部分とが同じ側に配設されている請求項7に記載のアンテナ装置。
【請求項12】
前記第2の放射導体は、導体形状を規定する第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素が一方向に沿って配設されて、第1の形状要素と第2の形状要素とが接合し、かつ、第2の形状要素と第3の形状要素とが接合するような1つの形状を成しており、
第2の放射導体の第3の形状要素は、第1の放射導体に対向するように対向する側に配設されており、
第2の放射導体の第1の形状要素は、1/4円、1/4略円、1/4楕円及び1/4略楕円の中から選ばれる形状と、この形状の直線状の一辺と同じ長さの辺を有する矩形形状又は略矩形形状とが、該辺同士が接合されて接合した形状を有し、
第2の放射導体の第3の形状要素は、帯状、略帯状、矩形形状及び略矩形形状の中から選ばれる形状を有し、
第2の放射導体において、第1の形状要素と第3の形状要素とは、離間して配設されており、
第2の放射導体において、第2の形状要素は、第3の形状要素の側に、帯状、略帯状、矩形形状及び略矩形形状の中から選ばれる形状を部分形状として有し、第1の形状要素の側に、該部分形状と第1の形状要素との間の余白を埋める残余の形状を有し、該第2の形状要素は該部分形状と該残余の形状とからなり、
第2の放射導体において、前記直線状の一辺とは別の直線状の一辺を仮に第2の形状要素側に第1の形状要素とは反対側の第3の形状要素の端部まで伸長したと想定し、これを想定辺という場合に、想定辺側の第2の形状要素の縁部及び想定辺側の第3の形状要素の1辺とが想定辺と重なるか、又は、ほぼ重なり、
第2の放射導体において、第3の形状要素の側に設けられる該部分形状の、前記一方向と直交する方向における幅は、第2の形状要素の前記最大長さとなっており、かつ、第2の放射導体において、前記方向に対して直交する方向における、第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素の最大長さをそれぞれW1B,W2B,W3Bとしたとき、W1B,W2B,W3Bは、W1B>W2B=W3B又はW1B>W2B≒W3Bを満足し、
仮に、該想定辺を無限に伸長し、これを伸長想定辺という場合、前記想定弦と該伸長想定辺の一部とが重なるか、又は、ほぼ重なり、
該想定辺を境として、第1の放射導体の主な部分と第2の放射導体の主な部分とが同じ側に配設されている請求項7に記載のアンテナ装置。
【請求項13】
前記第2の放射導体は、導体形状を規定する第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素が一方向に沿って配設されて、第1の形状要素と第2の形状要素とが接合し、かつ、第2の形状要素と第3の形状要素とが接合するような1つの形状を成しており、
第2の放射導体の第3の形状要素は、第1の放射導体に対向するように対向する側に配設されており、
第2の放射導体における第1の形状要素は、矩形及び略矩形の中から選ばれる形状を有し、
第2の放射導体の第3の形状要素は、帯状、略帯状、矩形形状及び略矩形形状の中から選ばれる形状を有し、
第2の放射導体において、第1の形状要素と第3の形状要素とは、離間して配設されて、第1の形状要素と第3の形状要素との間の余白を埋めるように第2の形状要素が配設されており、
第2の放射導体において、第1の形状要素と第2の形状要素との間の第1の形状要素の一辺に、隣り合う第1の形状要素の一辺を主辺というとき、該主辺を仮に第2の形状要素側に第1の形状要素とは反対側の第3の形状要素の端部まで伸長したと想定し、この伸長した部分を想定直線という場合に、想定直線側の第2の形状要素の縁部及び想定直線側の第3の形状要素の1辺とが想定直線と重なるか、又は、ほぼ重なり、
第2の放射導体において、前記一方向に対して直交する方向における、第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素の最大長さをそれぞれW1B,W2B,W3Bとしたとき、W1B,W2B,W3Bは、W1B>W2B>W3Bを満足し、
仮に、該想定直線を無限に伸長し、これを伸長想定直線という場合、前記想定弦と伸長想定直線の一部とが重なるか、又は、ほぼ重なり、
該伸長想定直線を境として、第1の放射導体の主な部分と第2の放射導体の主な部分とが同じ側に配設されている請求項7に記載のアンテナ装置。
【請求項14】
前記第2の放射導体は、導体形状を規定する第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素が一方向に沿って配設されて、第1の形状要素と第2の形状要素とが接合し、かつ、第2の形状要素と第3の形状要素とが接合するような1つの形状を成しており、
第2の放射導体の第3の形状要素は、第1の放射導体に対向するように対向する側に配設されており、
第2の放射導体の第1の形状要素は、矩形及び略矩形の中から選ばれる形状を有し、
第2の放射導体の第3の形状要素は、帯状、略帯状、矩形形状及び略矩形形状の中から選ばれる形状を有し、
第2の放射導体において、第1の形状要素と第3の形状要素とは、離間して配設されて、第1の形状要素と第3の形状要素との間の余白を埋めるように第2の形状要素が配設されており、
第2の放射導体において、第1の形状要素と第2の形状要素との間の第1の形状要素の一辺に、隣り合う第1の形状要素の一辺を主辺というとき、該主辺を仮に第2の形状要素側に第1の形状要素とは反対側の第3の形状要素の端部まで伸長したと想定し、この伸長した部分を想定直線という場合に、想定直線側の第2の形状要素の縁部及び想定直線側の第3の形状要素の1辺とが想定直線と重なるか、又は、ほぼ重なり、
第2の放射導体において、第2の形状要素の前記方向と直交する一方向における幅は、第2の形状要素の最大長さとなっており、かつ、第2の放射導体において、前記一方向に対して直交する方向における、第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素の最大長さをそれぞれW1B,W2B,W3Bとしたとき、W1B,W2B,W3Bは、W1B>W2B=W3B又はW1B>W2B≒W3Bを満足し、
仮に、該想定直線を無限に伸長し、これを伸長想定直線という場合、前記想定弦と伸長想定直線の一部とが重なるか、又は、ほぼ重なり、
該伸長想定直線を境として、第1の放射導体の主な部分と第2の放射導体の主な部分とが同じ側に配設されている請求項7に記載のアンテナ装置。
【請求項15】
前記第1の放射導体及び前記第2の放射導体は、いずれも、半円形、略半円形、1/4円形、1/4略円形、半楕円形、略半楕円形、1/4楕円形、1/4略楕円形、弓形及び略弓形の中から選ばれる、弧を成す形状を少なくとも一部分に有し、
第1の放射導体及び第2の放射導体の直線状の一辺が前記一方向に沿って平行に又は略平行に設けられ、かつ、少なくとも一方の放射導体は、該形状の一部を該直線状の一辺に平行に又は略平行に直線状に切り欠いた切り欠き形状を有し、該切り欠き形状は、該直線状の一辺と反対側の弧の部分に設けられている請求項7〜14のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項16】
第1の放射導体及び第2の放射導体には、相互に最接近する部分又は該部分近傍にそれぞれ給電点が設けられている請求項7〜15のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項17】
前記第1の放射導体の給電点及び前記第2の放射導体の給電点には、一対の信号線のそれぞれが接続しており、
該一対の信号線のそれぞれは、前記一方向に沿って直線状に延びる第1の直線部分と、該一方向と直交する方向に向きを変えて直線状に延び、第1の放射導体及び第2の放射導体に給電する第2の直線部分とを有して略L字状を成している請求項16に記載のアンテナ装置。
【請求項18】
前記該一対の信号線は、前記誘電体基体又は前記誘電体基板内の、前記第1の放射導体及び前記第2の放射導体の設けられる平面と異なる平行な平面上に設けられ、第1の放射導体及び第2の放射導体の設けられる平面に対して垂直方向に設けられた導体を介して、第1の放射導体及び第2の放射導体に接続されている請求項17に記載のアンテナ装置。
【請求項19】
前記一対の信号線の第1の直線部分は、前記第2の放射導体の側に前記方向に平行に又は略平行に設けられ、第2の放射導体の第1の直線部分の側が、第1の直線部分との間隙が拡がるように切り欠かれている請求項17又は18に記載のアンテナ装置。
【請求項20】
前記一対の信号線の第1の直線部分と前記第2の放射導体との間隙が、前記第1の放射導体及び前記第2の放射導体の相互に最接近する部分から前記一方向において外側に向かうにしたがって拡がるように、直線的及び曲線的の少なくとも一つに切り欠かれている請求項19に記載のアンテナ装置。
【請求項21】
前記第2の放射導体の切り欠かれている部分を切欠部というとき、
該切欠部は、1/4円、1/4略円、1/4楕円及び1/4略楕円の中から選ばれる弧を成す形状を切り欠き形状として有し、
該切り欠き形状は、該弧を成す形状の直線状の一辺を、前記一方向に平行又は略平行に配し、かつ、該弧を成す形状の該弧の部分が、前記第1の放射導体及び前記第2の放射導体の相互に最接近する側に向くように配した形状であり、
該切欠部は、第2の放射導体の前記一方向に沿った途中の位置から、前記第1の放射導体及び前記第2の放射導体の相互に最接近する部分と反対側の方向に向かって、第2の放射導体の端部まで設けられている請求項20に記載のアンテナ装置。
【請求項22】
前記切欠部は、1/4円、1/4略円、1/4楕円及び1/4略楕円の中から選ばれる弧を成す形状と、該弧を成す形状の直線状の一辺と同じ長さの辺を有する矩形形状又は略矩形形状とが、該辺同士が接合されて接合した形状を切り欠き形状として有し、
該切り欠き形状は、該弧を成す形状のさらに別の直線状の一辺と、矩形形状又は矩形形状のさらに別の直線状の一辺とを前記一方向に平行又は略平行に配し、かつ該弧を成す形状の該弧の部分が、前記第1の放射導体及び前記第2の放射導体の相互に最接近する側に向くように配した形状であり、
該切欠部は、第2の放射導体の前記一方向に沿った途中の位置から、前記第1の放射導体及び前記第2の放射導体の相互に最接近する部分と反対側の方向に向かって、第2の放射導体の端部まで設けられている請求項19又は20に記載のアンテナ装置。
【請求項23】
仮に、前記第2の放射導体に前記切欠部が設けないと仮定した場合、第2の放射導体は、該切欠部が本来設けられる部分に、前記一方向に平行な又は略平行な直線状の辺を有し、
第2の放射導体の該切欠部の全部又は一部を構成する、前記弧を成す形状の元となる円、略円、楕円又は略楕円の中心位置は、該辺上に又は該辺の近傍に位置する請求項21又は22に記載のアンテナ装置。
【請求項24】
前記第2の放射導体の切り欠かれている部分を切欠部というとき、
該第2の放射導体は、第1の直線部分側の部分において、前記一方向と直交する方向に向かって切り欠かれており、前記切欠部の、前記一方向と直交する方向における最大切り欠き幅をW4とする場合、第2の放射導体の前記一方向と直交する方向における最大長さをW1Bとする場合、該最大切り欠き幅W4のW1Bに対する比W4/W1Bは、0.03≦W4/W1B≦1を満足する請求項19〜23のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項25】
前記第2の放射導体は、導体形状を規定する第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素が一方向に沿って配設されて、第1の形状要素と第2の形状要素とが接合し、かつ、第2の形状要素と第3の形状要素とが接合するような1つの形状を成しており、
第2の放射導体の第3の形状要素は、第1の放射導体に対向するように対向する側に配設されており、
第2の放射導体の第1の形状要素は、半円形、略半円形、半楕円形、略半楕円形、弓形、略弓形、矩形及び略矩形の中から選ばれる形状を有し、
第2の放射導体の第3の形状要素は、帯状、略帯状、矩形形状及び略矩形形状の中から選ばれる形状を有し、
第2の放射導体において、第1の形状要素と第3の形状要素とは、離間して配設されて、第1の形状要素と第3の形状要素との間の余白を埋めるように第2の形状要素が配設されており、
前記一対の放射導体のうち、第1の放射導体の前記一方向における第1の形状要素と第2の形状要素の合計長さをL5、第2の放射導体の前記一方向における第1の形状要素と第2の形状要素の合計長さをL6とする場合、L5,L6は0.5≦L6/L5≦1.5を満足する請求項7〜13のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項26】
誘電体基体又は誘電体基板に第1の放射導体及び第2の放射導体からなる一対の放射導体が同一平面上に設けられたアンテナ装置において、
該一対の放射導体は一方向に沿って対向するように配設され、
該一対の放射導体の、相互に最接近する部分又は該部分近傍には、一対の互いに並行する信号線により給電される給電点が設けられ、
該一対の信号線のそれぞれは、前記一方向に沿って直線状に延びる第1の直線部分と、第1の直線部分から前記方向と直交する方向に向きを変えて直線状に延び、該一対の放射導体に給電する第2の直線部分とを有して、該誘電体基体又は誘電体基板に略L字状に設けられ、
該一対の放射導体のうち、該一対の信号線の第1の直線部分が設けられる側の放射導体を第2の放射導体とし、第2の放射導体に対向する放射導体を第1の放射導体とする場合、第2の放射導体は、該給電点の近傍に少なくとも該一方向に沿った直線状の辺を有し、第2の放射導体の、該一対の信号線が設けられる側には、該一対の信号線と該辺との間の距離に比べて距離が拡がるように切り欠かれていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項1】
誘電体基体又は誘電体基板に平面状の放射導体が設けられたアンテナ装置において、
該放射導体は、導体形状を規定する第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素が一方向に沿って配設されて、第1の形状要素と第2の形状要素とが接合し、かつ、第2の形状要素と第3の形状要素とが接合するような1つの形状を成しており、
第1の形状要素は、半円形、略半円形、半楕円形、略半楕円形、弓形及び略弓形の中から選ばれる形状を有し、
第3の形状要素は、帯状、略帯状、矩形形状及び略矩形形状の中から選ばれる形状を有し、
第1の形状要素と第3の形状要素とは、離間して配設されており、
第1の形状要素と第3の形状要素との間の余白を埋めるように第2の形状要素が配設されており、
第3の形状要素には給電点が設けられ、
第1の形状要素の半円形、略半円形、半楕円形、略半楕円形、弓形及び略弓形の弦を、仮に第2の形状要素側に第1の形状要素とは反対側の第3の形状要素の端部まで伸長したと想定し、この伸長した部分を想定弦という場合に、想定弦側の第2の形状要素の縁部及び想定弦側の第3の形状要素の1辺とが想定弦と重なるか、又は、ほぼ重なり、
上記一方向に対して直交する方向における、第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素の最大長さをそれぞれW1,W2,W3としたとき、W1>W2>W3を満足することを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記一方向に対して直交する方向において、第2の形状要素の、想定弦とは反対側の縁部が想定弦と平行又は略平行である請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記一方向に対して直交する方向において、第2の形状要素の、想定弦とは反対側の縁部の形状が1/4円、1/4略円、1/4楕円又は1/4略楕円の弧の少なくとも一部の形状を有する請求項1又は2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記第2の形状要素の、前記想定弦とは反対側の縁部と、第2の形状要素の、前記第3の形状要素側の縁部とが直交又は略直交している請求項1〜3のいずれかに記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記第2の形状要素の形状が略四角形であり、前記想定弦側の第2の形状要素の縁部が前記想定弦側の該略四角形の1辺である請求項1〜4のいずれかに記載のアンテナ装置。
【請求項6】
0.07W1≦W2≦0.6W1、かつ、0.01W1≦W3≦0.06W1を満足する請求項1〜5のいずれかに記載のアンテナ装置。
【請求項7】
誘電体基体又は誘電体基板に平面状の第1の放射導体及び第2の放射導体からなる一対の放射導体が互いに対向するように同一平面上に設けられたアンテナ装置において、
第1の放射導体及び第2の放射導体には、給電点が設けられ、
該一対の放射導体のうち第1の放射導体は、導体形状を規定する第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素が一方向に沿って配設されて、第1の形状要素と第2の形状要素とが接合し、かつ、第2の形状要素と第3の形状要素とが接合するような1つの形状を成しており、
第1の放射導体の第3の形状要素は、第2の放射導体に対向するように対向する側に配設されており、
第1の放射導体の第1の形状要素は、半円形、略半円形、半楕円形、略半楕円形、弓形及び略弓形の中から選ばれる形状を有し、
第1の放射導体の第3の形状要素は、帯状、略帯状、矩形形状及び略矩形形状の中から選ばれる形状を有し、
第1の放射導体において、第1の形状要素と第3の形状要素とは、離間して配設されて、第1の形状要素と第3の形状要素との間の余白を埋めるように第2の形状要素が配設されており、
第1の放射導体において、第1の形状要素の半円形、略半円形、半楕円形、略半楕円形、弓形及び略弓形の弦を、仮に第2の形状要素側に第1の形状要素とは反対側の第3の形状要素の端部まで伸長したと想定し、この伸長した部分を想定弦という場合に、想定弦側の第2の形状要素の縁部及び想定弦側の第3の形状要素の1辺とが想定弦と重なるか、又は、ほぼ重なり、
第1の放射導体において、前記一方向に対して直交する方向における、第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素の最大長さをそれぞれW1A,W2A,W3Aとしたとき、W1A>W2A>W3Aを満足することを特徴とするアンテナ装置。
【請求項8】
前記第2の放射導体は、導体形状を規定する第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素が一方向に沿って配設されて、第1の形状要素と第2の形状要素とが接合し、かつ、第2の形状要素と第3の形状要素とが接合するような1つの形状を成しており、
第2の放射導体の第3の形状要素は、第1の放射導体に対向するように対向する側に配設されており、
第2の放射導体の第1の形状要素は、半円形、略半円形、半楕円形、略半楕円形、弓形、略弓形、矩形及び略矩形の中から選ばれる形状を有し、
第2の放射導体の第3の形状要素は、帯状、略帯状、矩形形状及び略矩形形状の中から選ばれる形状を有し、
第2の放射導体において、第1の形状要素と第3の形状要素とは、離間して配設されて、第1の形状要素と第3の形状要素との間の余白を埋めるように第2の形状要素が配設されており、
第2の放射導体において、第1の形状要素の半円形、略半円形、半楕円形、略半楕円形、弓形及び略弓形の弦を、仮に第2の形状要素側に第1の形状要素とは反対側の第3の形状要素の端部まで伸長したと想定し、この伸長した部分を第2の想定弦という場合に、第2の想定弦側の第2の形状要素の縁部及び第2の想定弦側の第3の形状要素の1辺とが第2の想定弦と重なるか、又は、ほぼ重なり、
第2の放射導体において、前記一方向に対して直交する方向における、第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素の最大長さをそれぞれW1B,W2B,W3Bとしたとき、W1B>W2B>W3Bを満足し、
仮に、第2の想定弦を無限に伸長し、これを第2の伸長想定弦という場合、前記想定弦と第2の伸長想定弦の一部とが重なるか、又は、ほぼ重なり、
第2の伸長想定弦を境として、第1の放射導体の主な部分と第2の放射導体の主な部分とが同じ側に配設されている請求項7に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記第1の放射導体の形状と、前記第2の放射導体の形状とが互いに同一又は略同一であり、
第1の放射導体の面積が、第2の放射導体の面積の0.85倍〜1.15倍である請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記第2の放射導体は、導体形状を規定する第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素が一方向に沿って配設されて、第1の形状要素と第2の形状要素とが接合し、かつ、第2の形状要素と第3の形状要素とが接合するような1つの形状を成しており、
第2の放射導体の第3の形状要素は、第1の放射導体に対向するように対向する側に配設されており、
第2の放射導体の第1の形状要素は、半円形、略半円形、半楕円形、略半楕円形、弓形及び略弓形の中から選ばれる形状を有し、
第2の放射導体の第3の形状要素は、帯状、略帯状、矩形形状及び略矩形形状の中から選ばれる形状を有し、
第2の放射導体において、第1の形状要素と第3の形状要素とは、離間して配設されており、
第2の放射導体において、第2の形状要素は、第3の形状要素の側に、帯状、略帯状、矩形形状及び略矩形形状の中から選ばれる形状を部分形状として有し、第1の形状要素の側に、該部分形状と第1の形状要素との間の余白を埋める残余の形状を有し、該第2の形状要素は該部分形状と該残余の形状とからなり、該部分形状の、前記一方向と直交する方向における幅は、第2の形状要素の前記最大長さとなっており、
第2の放射導体において、第1の形状要素の半円形、略半円形、半楕円形、略半楕円形、弓形及び略弓形の弦を、仮に第2の形状要素側に第1の形状要素とは反対側の第3の形状要素の端部まで伸長したと想定し、この伸長した部分を第2の想定弦という場合に、第2の想定弦側の第2の形状要素の縁部及び想定弦側の第3の形状要素の1辺とが第2の想定弦と重なるか、又は、ほぼ重なり、
第2の放射導体において、前記一方向に対して直交する方向における、第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素の最大長さをそれぞれW1B,W2B,W3Bとしたとき、W1B>W2B=W3B又はW1B>W2B≒W3Bを満足し、
仮に、第2の想定弦を無限に伸長し、これを第2の伸長想定弦という場合、前記想定弦と第2の伸長想定弦の一部とが重なるか、又は、ほぼ重なり、
第2の伸長想定弦を境として、第1の放射導体の主な部分と第2の放射導体の主な部分とが同じ側に配設されている請求項7に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
前記第2の放射導体は、導体形状を規定する第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素が一方向に沿って配設されて、第1の形状要素と第2の形状要素とが接合し、かつ、第2の形状要素と第3の形状要素とが接合するような1つの形状を成しており、
第2の放射導体の第3の形状要素は、第1の放射導体に対向するように対向する側に配設されており、
第2の放射導体の第1の形状要素は、1/4円、1/4略円、1/4楕円及び1/4略楕円の中から選ばれる形状と、この形状の直線状の一辺と同じ長さの辺を有する矩形形状又は略矩形形状とが、該辺同士が接合されて接合した形状を有し、
第2の放射導体の第3の形状要素は、帯状、略帯状、矩形形状及び略矩形形状の中から選ばれる形状を有し、
第2の放射導体において、第1の形状要素と第3の形状要素とは、離間して配設されて、第1の形状要素と第3の形状要素との間の余白を埋めるように第2の形状要素が配設されており、
第2の放射導体において、前記直線状の一辺とは別の直線状の一辺を仮に第2の形状要素側に第1の形状要素とは反対側の第3の形状要素の端部まで伸長したと想定し、これを想定辺という場合に、想定辺側の第2の形状要素の縁部及び想定辺側の第3の形状要素の1辺とが想定辺と重なるか、又は、ほぼ重なり、
第2の放射導体において、前記方向に対して直交する方向における、第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素の最大長さをそれぞれW1B,W2B,W3Bとしたとき、W1B,W2B,W3Bは、W1B>W2B>W3Bを満足し、
仮に、該想定辺を無限に伸長し、これを伸長想定辺という場合、前記想定弦と該伸長想定辺の一部とが重なるか、又は、ほぼ重なり、
該伸長想定辺を境として、第1の放射導体の主な部分と第2の放射導体の主な部分とが同じ側に配設されている請求項7に記載のアンテナ装置。
【請求項12】
前記第2の放射導体は、導体形状を規定する第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素が一方向に沿って配設されて、第1の形状要素と第2の形状要素とが接合し、かつ、第2の形状要素と第3の形状要素とが接合するような1つの形状を成しており、
第2の放射導体の第3の形状要素は、第1の放射導体に対向するように対向する側に配設されており、
第2の放射導体の第1の形状要素は、1/4円、1/4略円、1/4楕円及び1/4略楕円の中から選ばれる形状と、この形状の直線状の一辺と同じ長さの辺を有する矩形形状又は略矩形形状とが、該辺同士が接合されて接合した形状を有し、
第2の放射導体の第3の形状要素は、帯状、略帯状、矩形形状及び略矩形形状の中から選ばれる形状を有し、
第2の放射導体において、第1の形状要素と第3の形状要素とは、離間して配設されており、
第2の放射導体において、第2の形状要素は、第3の形状要素の側に、帯状、略帯状、矩形形状及び略矩形形状の中から選ばれる形状を部分形状として有し、第1の形状要素の側に、該部分形状と第1の形状要素との間の余白を埋める残余の形状を有し、該第2の形状要素は該部分形状と該残余の形状とからなり、
第2の放射導体において、前記直線状の一辺とは別の直線状の一辺を仮に第2の形状要素側に第1の形状要素とは反対側の第3の形状要素の端部まで伸長したと想定し、これを想定辺という場合に、想定辺側の第2の形状要素の縁部及び想定辺側の第3の形状要素の1辺とが想定辺と重なるか、又は、ほぼ重なり、
第2の放射導体において、第3の形状要素の側に設けられる該部分形状の、前記一方向と直交する方向における幅は、第2の形状要素の前記最大長さとなっており、かつ、第2の放射導体において、前記方向に対して直交する方向における、第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素の最大長さをそれぞれW1B,W2B,W3Bとしたとき、W1B,W2B,W3Bは、W1B>W2B=W3B又はW1B>W2B≒W3Bを満足し、
仮に、該想定辺を無限に伸長し、これを伸長想定辺という場合、前記想定弦と該伸長想定辺の一部とが重なるか、又は、ほぼ重なり、
該想定辺を境として、第1の放射導体の主な部分と第2の放射導体の主な部分とが同じ側に配設されている請求項7に記載のアンテナ装置。
【請求項13】
前記第2の放射導体は、導体形状を規定する第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素が一方向に沿って配設されて、第1の形状要素と第2の形状要素とが接合し、かつ、第2の形状要素と第3の形状要素とが接合するような1つの形状を成しており、
第2の放射導体の第3の形状要素は、第1の放射導体に対向するように対向する側に配設されており、
第2の放射導体における第1の形状要素は、矩形及び略矩形の中から選ばれる形状を有し、
第2の放射導体の第3の形状要素は、帯状、略帯状、矩形形状及び略矩形形状の中から選ばれる形状を有し、
第2の放射導体において、第1の形状要素と第3の形状要素とは、離間して配設されて、第1の形状要素と第3の形状要素との間の余白を埋めるように第2の形状要素が配設されており、
第2の放射導体において、第1の形状要素と第2の形状要素との間の第1の形状要素の一辺に、隣り合う第1の形状要素の一辺を主辺というとき、該主辺を仮に第2の形状要素側に第1の形状要素とは反対側の第3の形状要素の端部まで伸長したと想定し、この伸長した部分を想定直線という場合に、想定直線側の第2の形状要素の縁部及び想定直線側の第3の形状要素の1辺とが想定直線と重なるか、又は、ほぼ重なり、
第2の放射導体において、前記一方向に対して直交する方向における、第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素の最大長さをそれぞれW1B,W2B,W3Bとしたとき、W1B,W2B,W3Bは、W1B>W2B>W3Bを満足し、
仮に、該想定直線を無限に伸長し、これを伸長想定直線という場合、前記想定弦と伸長想定直線の一部とが重なるか、又は、ほぼ重なり、
該伸長想定直線を境として、第1の放射導体の主な部分と第2の放射導体の主な部分とが同じ側に配設されている請求項7に記載のアンテナ装置。
【請求項14】
前記第2の放射導体は、導体形状を規定する第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素が一方向に沿って配設されて、第1の形状要素と第2の形状要素とが接合し、かつ、第2の形状要素と第3の形状要素とが接合するような1つの形状を成しており、
第2の放射導体の第3の形状要素は、第1の放射導体に対向するように対向する側に配設されており、
第2の放射導体の第1の形状要素は、矩形及び略矩形の中から選ばれる形状を有し、
第2の放射導体の第3の形状要素は、帯状、略帯状、矩形形状及び略矩形形状の中から選ばれる形状を有し、
第2の放射導体において、第1の形状要素と第3の形状要素とは、離間して配設されて、第1の形状要素と第3の形状要素との間の余白を埋めるように第2の形状要素が配設されており、
第2の放射導体において、第1の形状要素と第2の形状要素との間の第1の形状要素の一辺に、隣り合う第1の形状要素の一辺を主辺というとき、該主辺を仮に第2の形状要素側に第1の形状要素とは反対側の第3の形状要素の端部まで伸長したと想定し、この伸長した部分を想定直線という場合に、想定直線側の第2の形状要素の縁部及び想定直線側の第3の形状要素の1辺とが想定直線と重なるか、又は、ほぼ重なり、
第2の放射導体において、第2の形状要素の前記方向と直交する一方向における幅は、第2の形状要素の最大長さとなっており、かつ、第2の放射導体において、前記一方向に対して直交する方向における、第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素の最大長さをそれぞれW1B,W2B,W3Bとしたとき、W1B,W2B,W3Bは、W1B>W2B=W3B又はW1B>W2B≒W3Bを満足し、
仮に、該想定直線を無限に伸長し、これを伸長想定直線という場合、前記想定弦と伸長想定直線の一部とが重なるか、又は、ほぼ重なり、
該伸長想定直線を境として、第1の放射導体の主な部分と第2の放射導体の主な部分とが同じ側に配設されている請求項7に記載のアンテナ装置。
【請求項15】
前記第1の放射導体及び前記第2の放射導体は、いずれも、半円形、略半円形、1/4円形、1/4略円形、半楕円形、略半楕円形、1/4楕円形、1/4略楕円形、弓形及び略弓形の中から選ばれる、弧を成す形状を少なくとも一部分に有し、
第1の放射導体及び第2の放射導体の直線状の一辺が前記一方向に沿って平行に又は略平行に設けられ、かつ、少なくとも一方の放射導体は、該形状の一部を該直線状の一辺に平行に又は略平行に直線状に切り欠いた切り欠き形状を有し、該切り欠き形状は、該直線状の一辺と反対側の弧の部分に設けられている請求項7〜14のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項16】
第1の放射導体及び第2の放射導体には、相互に最接近する部分又は該部分近傍にそれぞれ給電点が設けられている請求項7〜15のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項17】
前記第1の放射導体の給電点及び前記第2の放射導体の給電点には、一対の信号線のそれぞれが接続しており、
該一対の信号線のそれぞれは、前記一方向に沿って直線状に延びる第1の直線部分と、該一方向と直交する方向に向きを変えて直線状に延び、第1の放射導体及び第2の放射導体に給電する第2の直線部分とを有して略L字状を成している請求項16に記載のアンテナ装置。
【請求項18】
前記該一対の信号線は、前記誘電体基体又は前記誘電体基板内の、前記第1の放射導体及び前記第2の放射導体の設けられる平面と異なる平行な平面上に設けられ、第1の放射導体及び第2の放射導体の設けられる平面に対して垂直方向に設けられた導体を介して、第1の放射導体及び第2の放射導体に接続されている請求項17に記載のアンテナ装置。
【請求項19】
前記一対の信号線の第1の直線部分は、前記第2の放射導体の側に前記方向に平行に又は略平行に設けられ、第2の放射導体の第1の直線部分の側が、第1の直線部分との間隙が拡がるように切り欠かれている請求項17又は18に記載のアンテナ装置。
【請求項20】
前記一対の信号線の第1の直線部分と前記第2の放射導体との間隙が、前記第1の放射導体及び前記第2の放射導体の相互に最接近する部分から前記一方向において外側に向かうにしたがって拡がるように、直線的及び曲線的の少なくとも一つに切り欠かれている請求項19に記載のアンテナ装置。
【請求項21】
前記第2の放射導体の切り欠かれている部分を切欠部というとき、
該切欠部は、1/4円、1/4略円、1/4楕円及び1/4略楕円の中から選ばれる弧を成す形状を切り欠き形状として有し、
該切り欠き形状は、該弧を成す形状の直線状の一辺を、前記一方向に平行又は略平行に配し、かつ、該弧を成す形状の該弧の部分が、前記第1の放射導体及び前記第2の放射導体の相互に最接近する側に向くように配した形状であり、
該切欠部は、第2の放射導体の前記一方向に沿った途中の位置から、前記第1の放射導体及び前記第2の放射導体の相互に最接近する部分と反対側の方向に向かって、第2の放射導体の端部まで設けられている請求項20に記載のアンテナ装置。
【請求項22】
前記切欠部は、1/4円、1/4略円、1/4楕円及び1/4略楕円の中から選ばれる弧を成す形状と、該弧を成す形状の直線状の一辺と同じ長さの辺を有する矩形形状又は略矩形形状とが、該辺同士が接合されて接合した形状を切り欠き形状として有し、
該切り欠き形状は、該弧を成す形状のさらに別の直線状の一辺と、矩形形状又は矩形形状のさらに別の直線状の一辺とを前記一方向に平行又は略平行に配し、かつ該弧を成す形状の該弧の部分が、前記第1の放射導体及び前記第2の放射導体の相互に最接近する側に向くように配した形状であり、
該切欠部は、第2の放射導体の前記一方向に沿った途中の位置から、前記第1の放射導体及び前記第2の放射導体の相互に最接近する部分と反対側の方向に向かって、第2の放射導体の端部まで設けられている請求項19又は20に記載のアンテナ装置。
【請求項23】
仮に、前記第2の放射導体に前記切欠部が設けないと仮定した場合、第2の放射導体は、該切欠部が本来設けられる部分に、前記一方向に平行な又は略平行な直線状の辺を有し、
第2の放射導体の該切欠部の全部又は一部を構成する、前記弧を成す形状の元となる円、略円、楕円又は略楕円の中心位置は、該辺上に又は該辺の近傍に位置する請求項21又は22に記載のアンテナ装置。
【請求項24】
前記第2の放射導体の切り欠かれている部分を切欠部というとき、
該第2の放射導体は、第1の直線部分側の部分において、前記一方向と直交する方向に向かって切り欠かれており、前記切欠部の、前記一方向と直交する方向における最大切り欠き幅をW4とする場合、第2の放射導体の前記一方向と直交する方向における最大長さをW1Bとする場合、該最大切り欠き幅W4のW1Bに対する比W4/W1Bは、0.03≦W4/W1B≦1を満足する請求項19〜23のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項25】
前記第2の放射導体は、導体形状を規定する第1の形状要素、第2の形状要素及び第3の形状要素が一方向に沿って配設されて、第1の形状要素と第2の形状要素とが接合し、かつ、第2の形状要素と第3の形状要素とが接合するような1つの形状を成しており、
第2の放射導体の第3の形状要素は、第1の放射導体に対向するように対向する側に配設されており、
第2の放射導体の第1の形状要素は、半円形、略半円形、半楕円形、略半楕円形、弓形、略弓形、矩形及び略矩形の中から選ばれる形状を有し、
第2の放射導体の第3の形状要素は、帯状、略帯状、矩形形状及び略矩形形状の中から選ばれる形状を有し、
第2の放射導体において、第1の形状要素と第3の形状要素とは、離間して配設されて、第1の形状要素と第3の形状要素との間の余白を埋めるように第2の形状要素が配設されており、
前記一対の放射導体のうち、第1の放射導体の前記一方向における第1の形状要素と第2の形状要素の合計長さをL5、第2の放射導体の前記一方向における第1の形状要素と第2の形状要素の合計長さをL6とする場合、L5,L6は0.5≦L6/L5≦1.5を満足する請求項7〜13のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項26】
誘電体基体又は誘電体基板に第1の放射導体及び第2の放射導体からなる一対の放射導体が同一平面上に設けられたアンテナ装置において、
該一対の放射導体は一方向に沿って対向するように配設され、
該一対の放射導体の、相互に最接近する部分又は該部分近傍には、一対の互いに並行する信号線により給電される給電点が設けられ、
該一対の信号線のそれぞれは、前記一方向に沿って直線状に延びる第1の直線部分と、第1の直線部分から前記方向と直交する方向に向きを変えて直線状に延び、該一対の放射導体に給電する第2の直線部分とを有して、該誘電体基体又は誘電体基板に略L字状に設けられ、
該一対の放射導体のうち、該一対の信号線の第1の直線部分が設けられる側の放射導体を第2の放射導体とし、第2の放射導体に対向する放射導体を第1の放射導体とする場合、第2の放射導体は、該給電点の近傍に少なくとも該一方向に沿った直線状の辺を有し、第2の放射導体の、該一対の信号線が設けられる側には、該一対の信号線と該辺との間の距離に比べて距離が拡がるように切り欠かれていることを特徴とするアンテナ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
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【図27】
【図28】
【公開番号】特開2006−203851(P2006−203851A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−211046(P2005−211046)
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】
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