アンテナ装置
【課題】第1乃至第3の3つの共振周波数をそれぞれ独立して調整することを可能とするアンテナ装置を提供すること。
【解決手段】実施形態によれば、アンテナ装置は、線状の第1のアンテナ素子と、線状の第2のアンテナ素子と、線状の第3のアンテナ素子とを具備する。前記第1のアンテナ素子は、給電点に一端が接続される。前記第2のアンテナ素子は、前記第1のアンテナ素子の素子長よりも短い素子長を有し、前記給電点に一端が接続される。前記第3のアンテナ素子は、前記第1のアンテナ素子の素子長よりも短い素子長を有し、前記第1のアンテナ素子上に一端が接続される。
【解決手段】実施形態によれば、アンテナ装置は、線状の第1のアンテナ素子と、線状の第2のアンテナ素子と、線状の第3のアンテナ素子とを具備する。前記第1のアンテナ素子は、給電点に一端が接続される。前記第2のアンテナ素子は、前記第1のアンテナ素子の素子長よりも短い素子長を有し、前記給電点に一端が接続される。前記第3のアンテナ素子は、前記第1のアンテナ素子の素子長よりも短い素子長を有し、前記第1のアンテナ素子上に一端が接続される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えば無線通信機能を有するパーソナルコンピュータ等に適用されるアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノートブックタイプ等、バッテリ駆動可能で携行容易なパーソナルコンピュータが広く普及している。また、ホットスポットサービスなどと称される公衆無線LAN(Local area network)サービスが各地で提供され始めている。このようなことから、この種のパーソナルコンピュータの多くは、無線LANのアクセスポイント(AP)との間で無線通信を実行するための無線通信機能を有している。さらに、最近では、第3世代移動通信方式(3G)に従って外部デバイスとの無線通信を実行する無線通信機能を搭載することが一般的になりつつある。
【0003】
また、無線通信方式の種類の増加に伴い、この種のパーソナルコンピュータの無線通信機能には、複数の無線通信方式をサポートすることが要求されている。そして、この要求に応えるべく、1つのアンテナ装置で複数の共振周波数帯域をカバーする(多共振化)ための仕組みがこれまでも種々提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−76961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、3つの共振周波数帯域をカバーするアンテナ装置として、給電点に接続された第1のアンテナ素子の給電点近傍に第2のアンテナ素子を接続した構成を持つアンテナ装置が良く知られている。このような構成を持つアンテナ装置では、(1)第1の共振周波数ではアンテナ上の電流は主に第1のアンテナ素子上を流れ、(2)第2の共振周波数ではアンテナ上の電流は主に第2のアンテナ素子上を流れ、(3)第3の共振周波数ではアンテナ上の電流は主に第1のアンテナ素子上を流れる。また、第3の共振周波数は、第1の共振周波数の3倍高調波となっている。
【0006】
従って、第1のアンテナ素子の素子長を変化させると、第1の共振周波数と同時に、第3の共振周波数も変化することになる。つまり、このような構成を持つアンテナ装置においては、第1の共振周波数と第3の共振周波数とを独立して調整することができないといった問題があった。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、第1乃至第3の3つの共振周波数をそれぞれ独立して調整することを可能とするアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、アンテナ装置は、線状の第1のアンテナ素子と、線状の第2のアンテナ素子と、線状の第3のアンテナ素子とを具備する。前記第1のアンテナ素子は、給電点に一端が接続される。前記第2のアンテナ素子は、前記第1のアンテナ素子の素子長よりも短い素子長を有し、前記給電点に一端が接続される。前記第3のアンテナ素子は、前記第1のアンテナ素子の素子長よりも短い素子長を有し、前記第1のアンテナ素子上に一端が接続される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態のアンテナ装置を搭載する情報処理装置の外観を示す図。
【図2】実施形態のアンテナ装置を搭載する情報処理装置のシステム構成を示す図。
【図3】実施形態のアンテナ装置の構成を示す図。
【図4】実施形態のアンテナ装置の特性(VSWR)を示す図。
【図5】従来のアンテナ装置の構成を示す図。
【図6】従来のアンテナ装置の特性(VSWR)を示す図。
【図7】従来のアンテナ装置における各共振周波数でのアンテナ素子上の電流分布を示す図。
【図8】実施形態のアンテナ装置における各共振周波数でのアンテナ素子上の電流分布を示す図。
【図9】実施形態のアンテナ装置の各素子の素子調を変化させた場合の特性(VSWR)を示す図。
【図10】図9中の「第1素子長」、「第2素子長」および「第3素子長」を説明するための図。
【図11】実施形態のアンテナ装置の第2共振周波数と第3共振周波数とを入れ替える例を説明するための図。
【図12】実施形態のアンテナ装置の構成の第1の変形例を示す図。
【図13】実施形態のアンテナ装置の構成の第2の変形例を示す図。
【図14】実施形態のアンテナ装置の構成の第3の変形例を示す図。
【図15】実施形態のアンテナ装置の構成の第4の変形例を示す図。
【図16】実施形態のアンテナ装置の構成の第5の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、実施形態のアンテナ装置を搭載する情報処理装置の外観を示す図である。この情報処理装置は、例えば、バッテリ駆動可能な携帯型のパーソナルコンピュータ10として実現されている。
【0012】
図1は、このコンピュータ10のディスプレイユニットを開いた状態における斜視図である。コンピュータ10は、コンピュータ本体11と、ディスプレイユニット12とから構成される。ディスプレイユニット12には、LCD(Liquid crystal display)17が組み込まれており、LCD17の表示画面はディスプレイユニット12のほぼ中央に位置されている。
【0013】
ディスプレイユニット12は、コンピュータ本体11にヒンジ部20を介して回動自在に取り付けられている。ヒンジ部20はコンピュータ本体11にディスプレイユニット12を連結する連結部である。即ち、ディスプレイユニット12は、コンピュータ本体11の後端部に配置されたヒンジ部20によって支持されている。ディスプレイユニット12は、コンピュータ本体11に対してコンピュータ本体11の上面が露出される開放位置とコンピュータ本体11の上面がディスプレイユニット12によって覆われる閉塞位置との間をヒンジ部20によって回動自在に取り付けられている。
【0014】
実施形態のアンテナ装置1は、このディスプレイユニット12の内部に設けられる。アンテナ装置1は、第1乃至第3の3つの共振周波数帯域を有している。アンテナ装置1には、コンピュータ本体11内に設けられた無線通信モジュール112からヒンジ部20を介してディスプレイユニット12内に導かれる信号線2が接続されている。
【0015】
コンピュータ本体11は、薄い箱形の筐体を有するベースユニットであり、その上面には、キーボード13、本コンピュータ10をパワーオン/パワーオフするためのパワーボタン14、入力操作パネル15、タッチパッド16、スピーカ18A,18Bなどが配置されている。入力操作パネル15上には、各種操作ボタンが設けられている。また、コンピュータ本体11内部には、各種電子部品が設けられたシステム基板(マザーボードともいう)が設けられている。無線通信モジュール112は、このシステム基板上に設けられている。無線通信モジュール112は、例えば第3世代移動通信方式(3G)に従って外部デバイスとの無線通信を実行するモジュールである。
【0016】
アンテナ装置1の搭載位置は、例えばディスプレイユニット12内の上端部である。アンテナ装置1をディスプレイユニット12内の上端部に設けることにより、無線通信モジュール112は、アンテナ装置1が比較的高い位置に配置されている状態で外部デバイスとの無線通信を実行することができる。
【0017】
また、コンピュータ本体11の右側面には、例えばUSB(Universal serial bus)2.0規格に対応したUSBケーブルやUSBデバイスを接続するためのUSBコネクタ19が設けられている。
【0018】
図2は、コンピュータ10のシステム構成を示す図である。
【0019】
コンピュータ10は、図2に示されているように、CPU(Central processing unit)101、ノースブリッジ102、主メモリ103、サウスブリッジ104、GPU(Graphics processing unit)105、VRAM(ビデオRAM:Random access memory)105A、サウンドコントローラ106、BIOS−ROM(Basic input/output system-read only memory)107、LANコントローラ108、ハードディスクドライブ(HDD:Hard disk drive)109、光ディスクドライブ(ODD:Optical disc drive)110、USBコントローラ111、無線通信モジュール112、各種周辺機器113、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラ(EC/KBC:Embedded controller/keyboard controller)114、EEPROM(electrically erasable programmable ROM)115等を備える。
【0020】
CPU101は、コンピュータ10内の各部の動作を制御するプロセッサである。CPU101は、HDD109から主メモリ103にロードされる、オペレーティングシステム(OS)や各種アプリケーションプログラム等を実行する。また、CPU101は、BIOS−ROM107に格納されたBIOSも実行する。BIOSは、ハードウェア制御のためのプログラムである。
【0021】
ノースブリッジ102は、CPU101のローカルバスとサウスブリッジ104との間を接続するブリッジデバイスである。ノースブリッジ102には、主メモリ103をアクセス制御するメモリコントローラも内蔵されている。また、ノースブリッジ102は、例えばPCI EXPRESS規格のシリアルバスなどを介してGPU105との通信を実行する機能も有している。
【0022】
GPU105は、コンピュータ10のディスプレイモニタとして使用されるLCD17を制御する表示コントローラである。GPU105によって生成される表示信号がLCD17に送られる。
【0023】
サウスブリッジ104は、PCI(Peripheral component interconnect)バス上の各種周辺機器113を制御する。また、サウスブリッジ104は、HDD109およびODD110を制御するためのIDE(Integrated drive electronics)コントローラを内蔵している。さらに、サウスブリッジ104は、サウンドコントローラ106、LANコントローラ108、USBコントローラ111および無線通信モジュール112との通信を実行する機能も有している。
【0024】
サウンドコントローラ106は音源デバイスであり、再生対象のオーディオデータをスピーカ18A,18Bに出力する。LANコントローラ108は、例えばIEEE 802.3規格の有線通信を実行する有線通信デバイスである。USBコントローラ111は、(USBコネクタ19を介して接続される)例えばUSB 2.0規格に対応した外部機器との通信を実行する。
【0025】
無線通信モジュール112は、無線信号(RF信号)を送受信するためのアンテナ端子を有している。このアンテナ端子に、前述した信号線2が接続され、(当該信号線2を介して)無線通信モジュール112とアンテナ装置1とが結合されている。
【0026】
EC/KBC114は、電力管理のためのエンベデッドコントローラと、キーボード13およびタッチパッド16を制御するためのキーボードコントローラとが集積された1チップマイクロコンピュータである。EC/KBC114は、ユーザによるパワーボタン14の操作に応じてコンピュータ10をパワーオン/パワーオフする機能を有している。
【0027】
次に、以上のようなシステム構成を有するコンピュータ10に搭載される実施形態のアンテナ装置1の構成について説明する。図3は、アンテナ装置1の構成を示す図である。
【0028】
図3中、201,202,203は、アンテナ素子である。ここでは、201を第1素子、202を第2素子、203を第3素子と称する。また、204は、給電点であり、205は、アンテナグランド(接地導体:GND)である。
【0029】
図3に示すように、本アンテナ装置1においては、まず、第1素子201と第2素子202が、それぞれ給電点204に接続される。これに加えて、本アンテナ装置1においては、さらに、第3素子203が、給電点204に接続された第1素子201と分岐点xにて接続される。本アンテナ装置1は、第1素子201の途中箇所(分岐点x)に第3素子203を追加することで、第1乃至第3の3つの共振周波数をそれぞれ独立して調整することを可能としたものであり、以下、この点について詳述する。
【0030】
なお、第1素子201、第2素子202および第3素子203の各素子長は、例えば次の(1)〜(3)を満たすように設定される。(1)第1素子の素子長が、第1の共振周波数の波長の略1/4となる。(2)第2素子の素子長が、第2の共振周波数の波長の略1/4となる。(3)第1素子の先端部から分岐点xを通って第3素子の先端部に至るまでの長さが、第3の共振周波数の波長の略1/2となる。
【0031】
図4は、アンテナ装置1の特性(VSWR)を示す図である。図4中、横軸は周波数、縦軸はVSWRを示している。
【0032】
前述したように、アンテナ装置1は、第1乃至第3の3つの共振周波数帯域を有している。図4中、(1)を第1共振周波数、(2)を第2共振周波数、(3)を第3共振周波数とする。
【0033】
ここで、実施形態のアンテナ装置1と比較するために、(第3素子を持たない)第1乃至第3の3つの共振周波数帯域を有する従来のアンテナ装置の構成を図5に示し、その特性(VSWR)を図6に示す。なお、図5中、実施形態のアンテナ装置1と同一のモジュールには、図3で付した符号と同一の符号を付している。また、図4に示した実施形態のアンテナ装置1の場合と同様、図6中、(1)を第1共振周波数、(2)を第2共振周波数、(3)を第3共振周波数とする。
【0034】
また、図7に、当該(第3素子を持たない)従来のアンテナ装置における各共振周波数でのアンテナ素子上の電流分布を示す。図7中、(A)は、第1共振周波数における電流分布、(B)は、第2共振周波数における電流分布、(C)は、第3共振周波数における電流分布をそれぞれ示している。また、(破線の)矢印は、電流の向きを示している。
【0035】
図7に示すように、第1共振周波数(A)では、従来のアンテナ装置上の電流は主に第1素子201上を流れている。また、第2共振周波数(B)では、従来のアンテナ装置上の電流は主に第2素子202上を流れている。そして、第3共振周波数(C)では、従来のアンテナ装置上の電流は主に第1素子201上を流れている。また、この第3共振周波数は、第1の共振周波数の3倍高調波となっている。
【0036】
従って、第1素子201の素子長を変化させると、第1共振周波数と同時に、第3共振周波数も変化することになる。つまり、従来のアンテナ装置においては、第1共振周波数と第3共振周波数とを独立して調整することができない。
【0037】
一方、図8は、(第3素子203を追加した)実施形態のアンテナ装置1における各共振周波数でのアンテナ素子上の電流分布を示す図である。図8中、(A)は、第1共振周波数における電流分布、(B)は、第2共振周波数における電流分布、(C)は、第3共振周波数における電流分布をそれぞれ示している。また、(破線の)矢印は、電流の向きを示している。
【0038】
図8に示すように、第1共振周波数(A)では、アンテナ装置1上の電流は主に第1素子201上を流れている。また、第2共振周波数(B)では、アンテナ装置1上の電流は主に第2素子202上を流れている。そして、第3共振周波数(C)では、アンテナ装置1上の電流は主に第1素子201および第3素子上を流れている。
【0039】
次に、図9に、実施形態のアンテナ装置1の各素子(201,202,203)の素子長を変化させた場合の特性(VSWR)を示す。なお、図9中の「第1素子長」、「第2素子長」および「第3素子長」とは、図10に示すように、第1素子201の素子長、第2素子202の素子長および第3素子203の素子長をそれぞれ意味している。
【0040】
図9中、(A)は、第1素子201の素子長だけを変化させた場合、(B)は、第2素子202の素子長だけを変化させた場合、(C)は、第3素子203の素子長だけを変化させた場合をそれぞれ示している。図9において、第1素子201の先端部から第3素子203が接続された分岐点までの距離は42mmとする。
【0041】
図9(A)に示すように、第1素子201の素子長(「第1素子長」)だけを変化させた場合には、主に第1共振周波数と第3共振周波数とが変化している。また、図9(B)に示すように、第2素子202の素子長(「第2素子長」)だけを変化させた場合には、主に第2共振周波数だけが変化している。そして、図9(C)に示すように、第3素子203の素子長(「第3素子長」)だけを変化させた場合には、主に第3共振周波数だけが変化している。
【0042】
従って、(第3素子203を追加した)実施形態のアンテナ装置1の構成においては、各素子(201,202,203)の素子長を調整することで、第1乃至第3の3つの共振周波数をそれぞれ独立に調整することが可能となる。
【0043】
また、第1素子201の素子長が、第1の共振周波数の波長の略1/4、第2素子202の素子長が、第2の共振周波数の波長の略1/4、第1素子201の先端部から分岐点xを通って第3素子203の先端部に至るまでの長さが、第3の共振周波数の波長の略1/2となっている。
【0044】
続いて、図11を参照して、第2共振周波数を第3共振周波数よりも高い周波数にする場合を説明する。
【0045】
ここでは、図11(A)に示すように、第1素子201の素子長を82mm、第2素子202の素子長を34mm、第1素子201の素子長を35mm、第1素子201の先端部から第3素子203が接続された分岐点xまでの距離は42mmとし、この場合のアンテナ装置1の特性(VSWR)を図11(B)に示す。図11(B)中、(1)を第1共振周波数、(2)を第2共振周波数、(3)を第3共振周波数とする。
【0046】
図11(B)に示すように、まず、800MHz付近に主に第1素子201による第1共振周波数が現れている。また、2.1GHz付近に主に第2素子202による第2共振周波数が現れている。そして、1.8GHz付近に主に第3素子203による第3共振周波数が現れている。
【0047】
図11の場合も同様に、第1素子201の素子長が、第1の共振周波数の波長の略1/4、第2素子202の素子長が、第2の共振周波数の波長の略1/4、第1素子201の先端部から分岐点xを通って第3素子203の先端部に至るまでの長さが、第3の共振周波数の波長の略1/2となっている。
【0048】
このように、実施形態のアンテナ装置1においては、第2素子202の素子長と第3素子203の素子長とを調整することで、第2共振周波数と第3共振周波数とを入れ替えることも可能である。
【0049】
以上のように、実施形態のアンテナ装置1によれば、第1素子201の途中箇所(分岐点x)に第3素子203を追加することで、第1乃至第3の3つの共振周波数をそれぞれ独立して調整することを可能とする。即ち、小型で調整が容易なアンテナ装置1を実現できる。
【0050】
ところで、前述の説明では、第1素子201の途中箇所(分岐点x)に第3素子203を追加した実施形態のアンテナ装置1の構成例として、図3に示す形態を示したが、これに限らず、種々の変形を施すことが可能である。
【0051】
例えば、図12に示すように、第1素子201を、第3素子203との分岐点xでGND205から遠ざかる方向に折り曲げ、例えば、第3素子203を、折り曲げ前の第1素子201の同一線上に配置するようにしても良い。この場合、第1素子201をGND205から離すことが可能となり、第1共振周波数付近でのアンテナ特性を改善することが可能となる。
【0052】
また、例えば、図13に示すように、例えば第3素子203を囲むように、さらに、第1素子201の先端を内側に折り曲げるようにしても良い。即ち、第1素子201の先端部をU字型の形状で形成しても良い。この場合、アンテナ幅方向を短くすることができ、アンテナ装置1の小型化を図ることが可能となる。
【0053】
また、例えば、図14に示すように、第1素子201と第3素子203とをアンテナ厚み方向に重ねるように構成しても良い。この場合、第1素子201および第3素子203の双方ともに、素子の先端をGND205から離すことが可能となり、アンテナ特性を改善することが可能となる。
【0054】
また、例えば、図15に示すように、第1素子201を、折り返し構造(いわゆる折り返しアンテナ)としても良い。この場合、第1共振周波数付近でのインピーダンスを上げることが可能となり、第1素子201とGND205との間の距離が近い場合でも、インピーダンスの低下を低減することが可能となり、アンテナ特性を向上させることが可能となる。また、この場合には、図15(B)に示すように、第3素子203をGND側に配置することも可能である。
【0055】
さらに、例えば、図16に示すように、いわゆる逆Fアンテナと同様、インピーダンスの調整用に、第1素子201にGND205への短絡部を設けても良い。
【0056】
このように、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1…アンテナ装置、2…信号線、10…パーソナルコンピュータ、11…コンピュータ本体、12…ディスプレイユニット、13…キーボード、14…パワーボタン、15…入力操作パネル、16…タッチパッド、17…LCD、18A,18B…スピーカ、19…USBコネクタ、20…ヒンジ部、101…CPU、102…ノースブリッジ、103…主メモリ、104…サウスブリッジ、105…グラフィックスコントローラ、105A…ビデオメモリ、106…サウンドコントローラ、107…BIOS−ROM、108…LANコントローラ、109…ハードディスクドライブ(HDD)、110…光磁気ディスクドライブ(ODD)、111…USBコントローラ、112…無線通信モジュール、113…各種周辺機器、114…エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラ(EC/KBC)、115…EEPROM、201…第1素子、202…第2素子、203…第3素子、204…給電点、205…アンテナグランド(GND)、x…分岐点。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えば無線通信機能を有するパーソナルコンピュータ等に適用されるアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノートブックタイプ等、バッテリ駆動可能で携行容易なパーソナルコンピュータが広く普及している。また、ホットスポットサービスなどと称される公衆無線LAN(Local area network)サービスが各地で提供され始めている。このようなことから、この種のパーソナルコンピュータの多くは、無線LANのアクセスポイント(AP)との間で無線通信を実行するための無線通信機能を有している。さらに、最近では、第3世代移動通信方式(3G)に従って外部デバイスとの無線通信を実行する無線通信機能を搭載することが一般的になりつつある。
【0003】
また、無線通信方式の種類の増加に伴い、この種のパーソナルコンピュータの無線通信機能には、複数の無線通信方式をサポートすることが要求されている。そして、この要求に応えるべく、1つのアンテナ装置で複数の共振周波数帯域をカバーする(多共振化)ための仕組みがこれまでも種々提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−76961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、3つの共振周波数帯域をカバーするアンテナ装置として、給電点に接続された第1のアンテナ素子の給電点近傍に第2のアンテナ素子を接続した構成を持つアンテナ装置が良く知られている。このような構成を持つアンテナ装置では、(1)第1の共振周波数ではアンテナ上の電流は主に第1のアンテナ素子上を流れ、(2)第2の共振周波数ではアンテナ上の電流は主に第2のアンテナ素子上を流れ、(3)第3の共振周波数ではアンテナ上の電流は主に第1のアンテナ素子上を流れる。また、第3の共振周波数は、第1の共振周波数の3倍高調波となっている。
【0006】
従って、第1のアンテナ素子の素子長を変化させると、第1の共振周波数と同時に、第3の共振周波数も変化することになる。つまり、このような構成を持つアンテナ装置においては、第1の共振周波数と第3の共振周波数とを独立して調整することができないといった問題があった。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、第1乃至第3の3つの共振周波数をそれぞれ独立して調整することを可能とするアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、アンテナ装置は、線状の第1のアンテナ素子と、線状の第2のアンテナ素子と、線状の第3のアンテナ素子とを具備する。前記第1のアンテナ素子は、給電点に一端が接続される。前記第2のアンテナ素子は、前記第1のアンテナ素子の素子長よりも短い素子長を有し、前記給電点に一端が接続される。前記第3のアンテナ素子は、前記第1のアンテナ素子の素子長よりも短い素子長を有し、前記第1のアンテナ素子上に一端が接続される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態のアンテナ装置を搭載する情報処理装置の外観を示す図。
【図2】実施形態のアンテナ装置を搭載する情報処理装置のシステム構成を示す図。
【図3】実施形態のアンテナ装置の構成を示す図。
【図4】実施形態のアンテナ装置の特性(VSWR)を示す図。
【図5】従来のアンテナ装置の構成を示す図。
【図6】従来のアンテナ装置の特性(VSWR)を示す図。
【図7】従来のアンテナ装置における各共振周波数でのアンテナ素子上の電流分布を示す図。
【図8】実施形態のアンテナ装置における各共振周波数でのアンテナ素子上の電流分布を示す図。
【図9】実施形態のアンテナ装置の各素子の素子調を変化させた場合の特性(VSWR)を示す図。
【図10】図9中の「第1素子長」、「第2素子長」および「第3素子長」を説明するための図。
【図11】実施形態のアンテナ装置の第2共振周波数と第3共振周波数とを入れ替える例を説明するための図。
【図12】実施形態のアンテナ装置の構成の第1の変形例を示す図。
【図13】実施形態のアンテナ装置の構成の第2の変形例を示す図。
【図14】実施形態のアンテナ装置の構成の第3の変形例を示す図。
【図15】実施形態のアンテナ装置の構成の第4の変形例を示す図。
【図16】実施形態のアンテナ装置の構成の第5の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、実施形態のアンテナ装置を搭載する情報処理装置の外観を示す図である。この情報処理装置は、例えば、バッテリ駆動可能な携帯型のパーソナルコンピュータ10として実現されている。
【0012】
図1は、このコンピュータ10のディスプレイユニットを開いた状態における斜視図である。コンピュータ10は、コンピュータ本体11と、ディスプレイユニット12とから構成される。ディスプレイユニット12には、LCD(Liquid crystal display)17が組み込まれており、LCD17の表示画面はディスプレイユニット12のほぼ中央に位置されている。
【0013】
ディスプレイユニット12は、コンピュータ本体11にヒンジ部20を介して回動自在に取り付けられている。ヒンジ部20はコンピュータ本体11にディスプレイユニット12を連結する連結部である。即ち、ディスプレイユニット12は、コンピュータ本体11の後端部に配置されたヒンジ部20によって支持されている。ディスプレイユニット12は、コンピュータ本体11に対してコンピュータ本体11の上面が露出される開放位置とコンピュータ本体11の上面がディスプレイユニット12によって覆われる閉塞位置との間をヒンジ部20によって回動自在に取り付けられている。
【0014】
実施形態のアンテナ装置1は、このディスプレイユニット12の内部に設けられる。アンテナ装置1は、第1乃至第3の3つの共振周波数帯域を有している。アンテナ装置1には、コンピュータ本体11内に設けられた無線通信モジュール112からヒンジ部20を介してディスプレイユニット12内に導かれる信号線2が接続されている。
【0015】
コンピュータ本体11は、薄い箱形の筐体を有するベースユニットであり、その上面には、キーボード13、本コンピュータ10をパワーオン/パワーオフするためのパワーボタン14、入力操作パネル15、タッチパッド16、スピーカ18A,18Bなどが配置されている。入力操作パネル15上には、各種操作ボタンが設けられている。また、コンピュータ本体11内部には、各種電子部品が設けられたシステム基板(マザーボードともいう)が設けられている。無線通信モジュール112は、このシステム基板上に設けられている。無線通信モジュール112は、例えば第3世代移動通信方式(3G)に従って外部デバイスとの無線通信を実行するモジュールである。
【0016】
アンテナ装置1の搭載位置は、例えばディスプレイユニット12内の上端部である。アンテナ装置1をディスプレイユニット12内の上端部に設けることにより、無線通信モジュール112は、アンテナ装置1が比較的高い位置に配置されている状態で外部デバイスとの無線通信を実行することができる。
【0017】
また、コンピュータ本体11の右側面には、例えばUSB(Universal serial bus)2.0規格に対応したUSBケーブルやUSBデバイスを接続するためのUSBコネクタ19が設けられている。
【0018】
図2は、コンピュータ10のシステム構成を示す図である。
【0019】
コンピュータ10は、図2に示されているように、CPU(Central processing unit)101、ノースブリッジ102、主メモリ103、サウスブリッジ104、GPU(Graphics processing unit)105、VRAM(ビデオRAM:Random access memory)105A、サウンドコントローラ106、BIOS−ROM(Basic input/output system-read only memory)107、LANコントローラ108、ハードディスクドライブ(HDD:Hard disk drive)109、光ディスクドライブ(ODD:Optical disc drive)110、USBコントローラ111、無線通信モジュール112、各種周辺機器113、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラ(EC/KBC:Embedded controller/keyboard controller)114、EEPROM(electrically erasable programmable ROM)115等を備える。
【0020】
CPU101は、コンピュータ10内の各部の動作を制御するプロセッサである。CPU101は、HDD109から主メモリ103にロードされる、オペレーティングシステム(OS)や各種アプリケーションプログラム等を実行する。また、CPU101は、BIOS−ROM107に格納されたBIOSも実行する。BIOSは、ハードウェア制御のためのプログラムである。
【0021】
ノースブリッジ102は、CPU101のローカルバスとサウスブリッジ104との間を接続するブリッジデバイスである。ノースブリッジ102には、主メモリ103をアクセス制御するメモリコントローラも内蔵されている。また、ノースブリッジ102は、例えばPCI EXPRESS規格のシリアルバスなどを介してGPU105との通信を実行する機能も有している。
【0022】
GPU105は、コンピュータ10のディスプレイモニタとして使用されるLCD17を制御する表示コントローラである。GPU105によって生成される表示信号がLCD17に送られる。
【0023】
サウスブリッジ104は、PCI(Peripheral component interconnect)バス上の各種周辺機器113を制御する。また、サウスブリッジ104は、HDD109およびODD110を制御するためのIDE(Integrated drive electronics)コントローラを内蔵している。さらに、サウスブリッジ104は、サウンドコントローラ106、LANコントローラ108、USBコントローラ111および無線通信モジュール112との通信を実行する機能も有している。
【0024】
サウンドコントローラ106は音源デバイスであり、再生対象のオーディオデータをスピーカ18A,18Bに出力する。LANコントローラ108は、例えばIEEE 802.3規格の有線通信を実行する有線通信デバイスである。USBコントローラ111は、(USBコネクタ19を介して接続される)例えばUSB 2.0規格に対応した外部機器との通信を実行する。
【0025】
無線通信モジュール112は、無線信号(RF信号)を送受信するためのアンテナ端子を有している。このアンテナ端子に、前述した信号線2が接続され、(当該信号線2を介して)無線通信モジュール112とアンテナ装置1とが結合されている。
【0026】
EC/KBC114は、電力管理のためのエンベデッドコントローラと、キーボード13およびタッチパッド16を制御するためのキーボードコントローラとが集積された1チップマイクロコンピュータである。EC/KBC114は、ユーザによるパワーボタン14の操作に応じてコンピュータ10をパワーオン/パワーオフする機能を有している。
【0027】
次に、以上のようなシステム構成を有するコンピュータ10に搭載される実施形態のアンテナ装置1の構成について説明する。図3は、アンテナ装置1の構成を示す図である。
【0028】
図3中、201,202,203は、アンテナ素子である。ここでは、201を第1素子、202を第2素子、203を第3素子と称する。また、204は、給電点であり、205は、アンテナグランド(接地導体:GND)である。
【0029】
図3に示すように、本アンテナ装置1においては、まず、第1素子201と第2素子202が、それぞれ給電点204に接続される。これに加えて、本アンテナ装置1においては、さらに、第3素子203が、給電点204に接続された第1素子201と分岐点xにて接続される。本アンテナ装置1は、第1素子201の途中箇所(分岐点x)に第3素子203を追加することで、第1乃至第3の3つの共振周波数をそれぞれ独立して調整することを可能としたものであり、以下、この点について詳述する。
【0030】
なお、第1素子201、第2素子202および第3素子203の各素子長は、例えば次の(1)〜(3)を満たすように設定される。(1)第1素子の素子長が、第1の共振周波数の波長の略1/4となる。(2)第2素子の素子長が、第2の共振周波数の波長の略1/4となる。(3)第1素子の先端部から分岐点xを通って第3素子の先端部に至るまでの長さが、第3の共振周波数の波長の略1/2となる。
【0031】
図4は、アンテナ装置1の特性(VSWR)を示す図である。図4中、横軸は周波数、縦軸はVSWRを示している。
【0032】
前述したように、アンテナ装置1は、第1乃至第3の3つの共振周波数帯域を有している。図4中、(1)を第1共振周波数、(2)を第2共振周波数、(3)を第3共振周波数とする。
【0033】
ここで、実施形態のアンテナ装置1と比較するために、(第3素子を持たない)第1乃至第3の3つの共振周波数帯域を有する従来のアンテナ装置の構成を図5に示し、その特性(VSWR)を図6に示す。なお、図5中、実施形態のアンテナ装置1と同一のモジュールには、図3で付した符号と同一の符号を付している。また、図4に示した実施形態のアンテナ装置1の場合と同様、図6中、(1)を第1共振周波数、(2)を第2共振周波数、(3)を第3共振周波数とする。
【0034】
また、図7に、当該(第3素子を持たない)従来のアンテナ装置における各共振周波数でのアンテナ素子上の電流分布を示す。図7中、(A)は、第1共振周波数における電流分布、(B)は、第2共振周波数における電流分布、(C)は、第3共振周波数における電流分布をそれぞれ示している。また、(破線の)矢印は、電流の向きを示している。
【0035】
図7に示すように、第1共振周波数(A)では、従来のアンテナ装置上の電流は主に第1素子201上を流れている。また、第2共振周波数(B)では、従来のアンテナ装置上の電流は主に第2素子202上を流れている。そして、第3共振周波数(C)では、従来のアンテナ装置上の電流は主に第1素子201上を流れている。また、この第3共振周波数は、第1の共振周波数の3倍高調波となっている。
【0036】
従って、第1素子201の素子長を変化させると、第1共振周波数と同時に、第3共振周波数も変化することになる。つまり、従来のアンテナ装置においては、第1共振周波数と第3共振周波数とを独立して調整することができない。
【0037】
一方、図8は、(第3素子203を追加した)実施形態のアンテナ装置1における各共振周波数でのアンテナ素子上の電流分布を示す図である。図8中、(A)は、第1共振周波数における電流分布、(B)は、第2共振周波数における電流分布、(C)は、第3共振周波数における電流分布をそれぞれ示している。また、(破線の)矢印は、電流の向きを示している。
【0038】
図8に示すように、第1共振周波数(A)では、アンテナ装置1上の電流は主に第1素子201上を流れている。また、第2共振周波数(B)では、アンテナ装置1上の電流は主に第2素子202上を流れている。そして、第3共振周波数(C)では、アンテナ装置1上の電流は主に第1素子201および第3素子上を流れている。
【0039】
次に、図9に、実施形態のアンテナ装置1の各素子(201,202,203)の素子長を変化させた場合の特性(VSWR)を示す。なお、図9中の「第1素子長」、「第2素子長」および「第3素子長」とは、図10に示すように、第1素子201の素子長、第2素子202の素子長および第3素子203の素子長をそれぞれ意味している。
【0040】
図9中、(A)は、第1素子201の素子長だけを変化させた場合、(B)は、第2素子202の素子長だけを変化させた場合、(C)は、第3素子203の素子長だけを変化させた場合をそれぞれ示している。図9において、第1素子201の先端部から第3素子203が接続された分岐点までの距離は42mmとする。
【0041】
図9(A)に示すように、第1素子201の素子長(「第1素子長」)だけを変化させた場合には、主に第1共振周波数と第3共振周波数とが変化している。また、図9(B)に示すように、第2素子202の素子長(「第2素子長」)だけを変化させた場合には、主に第2共振周波数だけが変化している。そして、図9(C)に示すように、第3素子203の素子長(「第3素子長」)だけを変化させた場合には、主に第3共振周波数だけが変化している。
【0042】
従って、(第3素子203を追加した)実施形態のアンテナ装置1の構成においては、各素子(201,202,203)の素子長を調整することで、第1乃至第3の3つの共振周波数をそれぞれ独立に調整することが可能となる。
【0043】
また、第1素子201の素子長が、第1の共振周波数の波長の略1/4、第2素子202の素子長が、第2の共振周波数の波長の略1/4、第1素子201の先端部から分岐点xを通って第3素子203の先端部に至るまでの長さが、第3の共振周波数の波長の略1/2となっている。
【0044】
続いて、図11を参照して、第2共振周波数を第3共振周波数よりも高い周波数にする場合を説明する。
【0045】
ここでは、図11(A)に示すように、第1素子201の素子長を82mm、第2素子202の素子長を34mm、第1素子201の素子長を35mm、第1素子201の先端部から第3素子203が接続された分岐点xまでの距離は42mmとし、この場合のアンテナ装置1の特性(VSWR)を図11(B)に示す。図11(B)中、(1)を第1共振周波数、(2)を第2共振周波数、(3)を第3共振周波数とする。
【0046】
図11(B)に示すように、まず、800MHz付近に主に第1素子201による第1共振周波数が現れている。また、2.1GHz付近に主に第2素子202による第2共振周波数が現れている。そして、1.8GHz付近に主に第3素子203による第3共振周波数が現れている。
【0047】
図11の場合も同様に、第1素子201の素子長が、第1の共振周波数の波長の略1/4、第2素子202の素子長が、第2の共振周波数の波長の略1/4、第1素子201の先端部から分岐点xを通って第3素子203の先端部に至るまでの長さが、第3の共振周波数の波長の略1/2となっている。
【0048】
このように、実施形態のアンテナ装置1においては、第2素子202の素子長と第3素子203の素子長とを調整することで、第2共振周波数と第3共振周波数とを入れ替えることも可能である。
【0049】
以上のように、実施形態のアンテナ装置1によれば、第1素子201の途中箇所(分岐点x)に第3素子203を追加することで、第1乃至第3の3つの共振周波数をそれぞれ独立して調整することを可能とする。即ち、小型で調整が容易なアンテナ装置1を実現できる。
【0050】
ところで、前述の説明では、第1素子201の途中箇所(分岐点x)に第3素子203を追加した実施形態のアンテナ装置1の構成例として、図3に示す形態を示したが、これに限らず、種々の変形を施すことが可能である。
【0051】
例えば、図12に示すように、第1素子201を、第3素子203との分岐点xでGND205から遠ざかる方向に折り曲げ、例えば、第3素子203を、折り曲げ前の第1素子201の同一線上に配置するようにしても良い。この場合、第1素子201をGND205から離すことが可能となり、第1共振周波数付近でのアンテナ特性を改善することが可能となる。
【0052】
また、例えば、図13に示すように、例えば第3素子203を囲むように、さらに、第1素子201の先端を内側に折り曲げるようにしても良い。即ち、第1素子201の先端部をU字型の形状で形成しても良い。この場合、アンテナ幅方向を短くすることができ、アンテナ装置1の小型化を図ることが可能となる。
【0053】
また、例えば、図14に示すように、第1素子201と第3素子203とをアンテナ厚み方向に重ねるように構成しても良い。この場合、第1素子201および第3素子203の双方ともに、素子の先端をGND205から離すことが可能となり、アンテナ特性を改善することが可能となる。
【0054】
また、例えば、図15に示すように、第1素子201を、折り返し構造(いわゆる折り返しアンテナ)としても良い。この場合、第1共振周波数付近でのインピーダンスを上げることが可能となり、第1素子201とGND205との間の距離が近い場合でも、インピーダンスの低下を低減することが可能となり、アンテナ特性を向上させることが可能となる。また、この場合には、図15(B)に示すように、第3素子203をGND側に配置することも可能である。
【0055】
さらに、例えば、図16に示すように、いわゆる逆Fアンテナと同様、インピーダンスの調整用に、第1素子201にGND205への短絡部を設けても良い。
【0056】
このように、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1…アンテナ装置、2…信号線、10…パーソナルコンピュータ、11…コンピュータ本体、12…ディスプレイユニット、13…キーボード、14…パワーボタン、15…入力操作パネル、16…タッチパッド、17…LCD、18A,18B…スピーカ、19…USBコネクタ、20…ヒンジ部、101…CPU、102…ノースブリッジ、103…主メモリ、104…サウスブリッジ、105…グラフィックスコントローラ、105A…ビデオメモリ、106…サウンドコントローラ、107…BIOS−ROM、108…LANコントローラ、109…ハードディスクドライブ(HDD)、110…光磁気ディスクドライブ(ODD)、111…USBコントローラ、112…無線通信モジュール、113…各種周辺機器、114…エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラ(EC/KBC)、115…EEPROM、201…第1素子、202…第2素子、203…第3素子、204…給電点、205…アンテナグランド(GND)、x…分岐点。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電点に一端が接続される線状の第1のアンテナ素子と、
前記第1のアンテナ素子の素子長よりも短い素子長を有し、前記給電点に一端が接続される線状の第2のアンテナ素子と、
前記第1のアンテナ素子の素子長よりも短い素子長を有し、前記第1のアンテナ素子上に一端が接続される線状の第3のアンテナ素子と、
を具備するアンテナ装置。
【請求項2】
前記第1のアンテナ素子の素子長が、第1の共振周波数の波長の略1/4であり、
前記第2のアンテナ素子の素子長が、第2の共振周波数の波長の略1/4であり、
前記第1のアンテナ素子の他端から前記第3のアンテナ素子の一端が接続される分岐点を経由して前記第3のアンテナ素子の他端に至るまでの長さが、第3の共振周波数の波長の略1/2である、
請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記アンテナ装置は、第1乃至第3の共振周波数を有し、
前記第1のアンテナ素子の素子長は、前記第1の共振周波数の波長および前記第3の共振周波数の波長との間で関連性を有し、
前記第2のアンテナ素子の素子長は、前記第2の共振周波数の波長との間で関連性を有し、
前記第3のアンテナ素子の素子長は、前記第3の共振周波数の波長との間で関連性を有し、
前記第1乃至第3のアンテナ素子の各素子長を調整することにより、前記第1乃至第3の共振周波数をそれぞれ独立に調整可能である請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記第1のアンテナ素子上に、接地導体への短絡部が設けられる請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記第1のアンテナ素子は、折り返しアンテナである請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記第2のアンテナ素子は、当該第2のアンテナ素子の一端から前記第1のアンテナ素子に対して垂直に配置される第1の部分と、前記第1の部分の終端から前記第1のアンテナ素子に対して平行かつ前記第1のアンテナ素子が配置されている側と同一方向に配置されて当該第2のアンテナ素子の他端に至る第2の部分とで構成され、
前記第3のアンテナ素子は、当該第3のアンテナ素子の一端から前記第1のアンテナ素子に対して垂直に配置される第3の部分と、前記第3の部分の終端から前記第1のアンテナ素子に対して平行かつ前記第1のアンテナ素子の終端側の方向に配置されて当該第3のアンテナ素子の他端に至る第4の部分とで構成される、
請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記第3のアンテナ素子の前記第3の部分は、前記第2のアンテナ素子の前記第1の部分が配置されている側の方向に配置される請求項6記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記第3のアンテナ素子の前記第4の部分は、前記第2のアンテナ素子の前記第2の部分の同一線上に配置される請求項6記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記第2のアンテナ素子の素子長と前記第3のアンテナ素子の素子長とが異なる請求項1記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第1のアンテナ素子は、当該第1のアンテナ素子の一端から前記第3のアンテナ素子の一端が接続される分岐点に至る第1の部分と、前記第1の部分の終端から前記第1の部分に対して垂直に配置される第2の部分と、前記第2の分岐点から前記第1の部分に対して平行かつ前記第1の部分が配置されている側と対向する方向に配置されて当該第1のアンテナ素子の他端に至る第3の部分とで構成される請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項11】
前記第3のアンテナ素子は、前記分岐点から前記第1のアンテナ素子の前記第1の部分の同一線上に配置される請求項10記載のアンテナ装置。
【請求項12】
前記第1のアンテナ素子の前記第3の部分は、前記第3のアンテナ素子を囲むように先端部が内側に折り曲げられたU字型の形状で形成される請求項11記載のアンテナ装置。
【請求項13】
前記第3のアンテナ素子は、当該第3のアンテナ素子の一端から前記第1のアンテナ素子に対して垂直方向に配置される第4の部分と、前記分岐点から終端に至る前記第1のアンテナ素子の一部分の形状と同一形状で形成され、前記第4の部分の終端から当該第3のアンテナ素子の他端に至る第5の部分とで構成され、
前記第3のアンテナ素子が前記第1のアンテナ素子と前記第4の部分が配置される方向上で重ね合わせるように配置される請求項10記載のアンテナ装置。
【請求項14】
前記第2のアンテナ素子は、当該第2のアンテナ素子の一端から前記第1のアンテナ素子の前記第1の部分に対して垂直に配置される第6の部分と、前記第6の部分の終端から前記第1のアンテナ素子の前記第1の部分に対して平行かつ前記第1の部分が配置されている側と同一方向に配置されて当該第2のアンテナ素子の他端に至る第7の部分とで構成される請求項10、11、12または13記載のアンテナ装置。
【請求項15】
前記第2のアンテナ素子の前記第7の部分は、前記第1のアンテナ素子の前記第3の部分の同一線上に配置される請求項14記載のアンテナ装置。
【請求項16】
前記第3のアンテナ素子は、当該第3のアンテナ素子の一端から前記第1のアンテナ素子に対して垂直方向に配置される第1の部分と、当該第3のアンテナ素子が接続される分岐点から終端に至る前記第1のアンテナ素子の一部分の形状と同一形状で形成され、前記第1の部分の終端から当該第3のアンテナ素子の他端に至る第2の部分とで構成され、
前記第3のアンテナ素子が前記第1のアンテナ素子と前記第1の部分が配置される方向上で重ね合わせるように配置される請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項1】
給電点に一端が接続される線状の第1のアンテナ素子と、
前記第1のアンテナ素子の素子長よりも短い素子長を有し、前記給電点に一端が接続される線状の第2のアンテナ素子と、
前記第1のアンテナ素子の素子長よりも短い素子長を有し、前記第1のアンテナ素子上に一端が接続される線状の第3のアンテナ素子と、
を具備するアンテナ装置。
【請求項2】
前記第1のアンテナ素子の素子長が、第1の共振周波数の波長の略1/4であり、
前記第2のアンテナ素子の素子長が、第2の共振周波数の波長の略1/4であり、
前記第1のアンテナ素子の他端から前記第3のアンテナ素子の一端が接続される分岐点を経由して前記第3のアンテナ素子の他端に至るまでの長さが、第3の共振周波数の波長の略1/2である、
請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記アンテナ装置は、第1乃至第3の共振周波数を有し、
前記第1のアンテナ素子の素子長は、前記第1の共振周波数の波長および前記第3の共振周波数の波長との間で関連性を有し、
前記第2のアンテナ素子の素子長は、前記第2の共振周波数の波長との間で関連性を有し、
前記第3のアンテナ素子の素子長は、前記第3の共振周波数の波長との間で関連性を有し、
前記第1乃至第3のアンテナ素子の各素子長を調整することにより、前記第1乃至第3の共振周波数をそれぞれ独立に調整可能である請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記第1のアンテナ素子上に、接地導体への短絡部が設けられる請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記第1のアンテナ素子は、折り返しアンテナである請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記第2のアンテナ素子は、当該第2のアンテナ素子の一端から前記第1のアンテナ素子に対して垂直に配置される第1の部分と、前記第1の部分の終端から前記第1のアンテナ素子に対して平行かつ前記第1のアンテナ素子が配置されている側と同一方向に配置されて当該第2のアンテナ素子の他端に至る第2の部分とで構成され、
前記第3のアンテナ素子は、当該第3のアンテナ素子の一端から前記第1のアンテナ素子に対して垂直に配置される第3の部分と、前記第3の部分の終端から前記第1のアンテナ素子に対して平行かつ前記第1のアンテナ素子の終端側の方向に配置されて当該第3のアンテナ素子の他端に至る第4の部分とで構成される、
請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記第3のアンテナ素子の前記第3の部分は、前記第2のアンテナ素子の前記第1の部分が配置されている側の方向に配置される請求項6記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記第3のアンテナ素子の前記第4の部分は、前記第2のアンテナ素子の前記第2の部分の同一線上に配置される請求項6記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記第2のアンテナ素子の素子長と前記第3のアンテナ素子の素子長とが異なる請求項1記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第1のアンテナ素子は、当該第1のアンテナ素子の一端から前記第3のアンテナ素子の一端が接続される分岐点に至る第1の部分と、前記第1の部分の終端から前記第1の部分に対して垂直に配置される第2の部分と、前記第2の分岐点から前記第1の部分に対して平行かつ前記第1の部分が配置されている側と対向する方向に配置されて当該第1のアンテナ素子の他端に至る第3の部分とで構成される請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項11】
前記第3のアンテナ素子は、前記分岐点から前記第1のアンテナ素子の前記第1の部分の同一線上に配置される請求項10記載のアンテナ装置。
【請求項12】
前記第1のアンテナ素子の前記第3の部分は、前記第3のアンテナ素子を囲むように先端部が内側に折り曲げられたU字型の形状で形成される請求項11記載のアンテナ装置。
【請求項13】
前記第3のアンテナ素子は、当該第3のアンテナ素子の一端から前記第1のアンテナ素子に対して垂直方向に配置される第4の部分と、前記分岐点から終端に至る前記第1のアンテナ素子の一部分の形状と同一形状で形成され、前記第4の部分の終端から当該第3のアンテナ素子の他端に至る第5の部分とで構成され、
前記第3のアンテナ素子が前記第1のアンテナ素子と前記第4の部分が配置される方向上で重ね合わせるように配置される請求項10記載のアンテナ装置。
【請求項14】
前記第2のアンテナ素子は、当該第2のアンテナ素子の一端から前記第1のアンテナ素子の前記第1の部分に対して垂直に配置される第6の部分と、前記第6の部分の終端から前記第1のアンテナ素子の前記第1の部分に対して平行かつ前記第1の部分が配置されている側と同一方向に配置されて当該第2のアンテナ素子の他端に至る第7の部分とで構成される請求項10、11、12または13記載のアンテナ装置。
【請求項15】
前記第2のアンテナ素子の前記第7の部分は、前記第1のアンテナ素子の前記第3の部分の同一線上に配置される請求項14記載のアンテナ装置。
【請求項16】
前記第3のアンテナ素子は、当該第3のアンテナ素子の一端から前記第1のアンテナ素子に対して垂直方向に配置される第1の部分と、当該第3のアンテナ素子が接続される分岐点から終端に至る前記第1のアンテナ素子の一部分の形状と同一形状で形成され、前記第1の部分の終端から当該第3のアンテナ素子の他端に至る第2の部分とで構成され、
前記第3のアンテナ素子が前記第1のアンテナ素子と前記第1の部分が配置される方向上で重ね合わせるように配置される請求項1記載のアンテナ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
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【図6】
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【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−34202(P2012−34202A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172209(P2010−172209)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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