アンテナ
【課題】薄型化を図り、機械的強度の低下を防ぎ、良好な特性を得ることが可能なアンテナを提供する。
【解決手段】アンテナ102は、長手方向に延伸し、互いに対向する第1の辺51および第2の辺52と、長手方向に略直交する短手方向に延伸し、互いに対向する第3の辺53および第4の辺54とを有し、長手方向に沿って延伸し、第1の辺51、第2の辺52、第3の辺53および第4の辺54と距離を隔ててスリット21が形成され、給電部が設けられた第1の導体板11Bと、スリット21の長手方向の一部範囲において第1の辺51および第2の辺52からそれぞれ突出する第2の導体板23および第3の導体板24とを備える。
【解決手段】アンテナ102は、長手方向に延伸し、互いに対向する第1の辺51および第2の辺52と、長手方向に略直交する短手方向に延伸し、互いに対向する第3の辺53および第4の辺54とを有し、長手方向に沿って延伸し、第1の辺51、第2の辺52、第3の辺53および第4の辺54と距離を隔ててスリット21が形成され、給電部が設けられた第1の導体板11Bと、スリット21の長手方向の一部範囲において第1の辺51および第2の辺52からそれぞれ突出する第2の導体板23および第3の導体板24とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナに関し、特に、スロットアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の八木式アンテナを屋根の上に設置する場合、家屋の景観が悪くなる、および設置時に屋根を損傷する恐れがあることから、平面タイプのアンテナ等、より景観に配慮した簡易な構成のアンテナが求められている。
【0003】
従来の平面タイプのアンテナとして、たとえば双ループタイプのアンテナが挙げられる。しかしながら、双ループタイプのアンテナでは、利得を上げるために双ループタイプの放射器を複数設ける必要があることから、給電方法および構造が複雑になるという欠点があった。
【0004】
一方、平面タイプのアンテナとして、スロットアンテナが挙げられる。一般的なスロットアンテナは、たとえば長方形の平面導体の中央においてスリットすなわち細いスロット状の孔を設け、このスリットを挟んで対向する2つの位置に給電がなされる(非特許文献1参照)。スロットアンテナでは、給電部を1ヶ所のみ設ければよいため、双ループタイプのアンテナと比べて給電方法および構造を簡易にすることができる。
【0005】
スロットアンテナの一例として、たとえば、特許文献1には、以下のようなアンテナが開示されている。すなわち、電波放射面を構成する略四角形の放射導体と、該放射導体と略同一形状で放射導体の背部に平行に配置した反射導体とから成るUHFアンテナであって、上記放射導体は、中央部に上下方向に伸びた開口窓を有し、該開口窓の中心部左右壁部に給電点を設けている。
【0006】
また、特許文献2には、以下のようなアンテナが開示されている。すなわち、正面板と、該正面板に対して略直交するよう両側に折曲されている側板からなる断面コ字状の導電板と、該導電板における上記正面板の一縁部から略垂直方向に形成されているスリットにより構成されている水平偏波用アンテナと、上記正面板と、該正面板の両側に形成されている側板とに略水平方向に形成されているスロットにより構成されている垂直偏波用アンテナとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−84130号公報
【特許文献2】特開2003−332834号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】電子情報通信学会,「アンテナ工学ハンドブック(第2版)」,オーム社
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年、地上波デジタル放送の開始により、アナログ放送に比べて比較的簡易な構成のアンテナでテレビジョン放送を良好に受信することが可能となっており、上記のようなスロットアンテナを用いることが検討されている。
【0010】
しかしながら、一般的なスロットアンテナは比較的帯域が狭く、UHF放送帯域(470〜770MHz)の全般において良好な特性を得ることが困難であった。このようなスロットアンテナの狭帯域性を改善する方法として、スロットアンテナを構成している導体板においてスリットの延在方向の長さを長くすることが考えられる。しかしながら、スリットの延在方向の長さを長くするとアンテナが大型化し、また、所望の樹脂筐体にアンテナを収容することができないという問題が発生する。
【0011】
特許文献2に記載の構成では、スロットアンテナを構成している導体板においてスリットの延在方向を長くする方法がとられているが、スリットが設けられている部分が折り曲げられているため、機械的強度が弱くなってしまうという問題点があった。
【0012】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、薄型化を図り、機械的強度の低下を防ぎ、良好な特性を得ることが可能なアンテナを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わるアンテナは、長手方向に延伸し、互いに対向する第1の辺および第2の辺と、上記長手方向に略直交する短手方向に延伸し、互いに対向する第3の辺および第4の辺とを有し、上記長手方向に沿って延伸し、上記第1の辺、上記第2の辺、上記第3の辺および第4の辺と距離を隔ててスリットが形成され、給電部が設けられた第1の導体板と、上記スリットの長手方向の一部範囲において上記第1の辺および上記第2の辺からそれぞれ突出する第2の導体板および第3の導体板とを備える。
【0014】
好ましくは、上記第2の導体板および上記第3の導体板は、上記第1の辺および上記第2の辺からそれぞれ折れ曲がるように突出している。
【0015】
より好ましくは、上記第2の導体板および上記第3の導体板は、上記第1の導体板の同じ主表面側へ折れ曲がるように突出している。
【0016】
好ましくは、上記第2の導体板および上記第3の導体板は、上記第1の辺の中央部および上記第2の辺の中央部からそれぞれ突出している。
【0017】
好ましくは、上記アンテナは、さらに、上記第3の辺から折れ曲がる第4の導体板と、上記第4の辺から折れ曲がる第5の導体板とを備える。
【0018】
好ましくは、上記アンテナは、さらに、上記第1の辺および上記第2の辺からそれぞれ折れ曲がる第6の導体板および第7の導体板を備え、上記第2の導体板は、上記第6の導体板の上記第1の辺側の端部と対向する端部から突出し、上記第3の導体板は、上記第7の導体板の上記第2の辺側の端部と対向する端部から突出している。
【0019】
好ましくは、上記アンテナは、さらに、上記第1の導体板と対向する反射器を備える。
またこの発明の別の局面に係わるアンテナは、長手方向に延伸し、互いに対向する第1の辺および第2の辺と、上記長手方向に略直交する短手方向に延伸し、互いに対向する第3の辺および第4の辺とを有し、上記長手方向に沿って延伸し、上記第1の辺、上記第2の辺、上記第3の辺および第4の辺と距離を隔ててスリットが形成され、給電部が設けられた第1の導体板と、上記第3の辺から折れ曲がる第2の導体板と、上記第4の辺から折れ曲がる第3の導体板とを備える。
【0020】
好ましくは、上記アンテナは、さらに、上記第1の導体板と対向する反射器を備える。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、薄型化を図り、機械的強度の低下を防ぎ、良好な特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るアンテナの構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るアンテナの構成を示す正面図である。
【図3】(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す平面図である。(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す正面図である。(c)は、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す側面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るアンテナの利得と受信信号の周波数との関係を示すグラフ図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るアンテナの構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るアンテナの構成を示す正面図である。
【図7】(a)は、本発明の第2の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す平面図である。(b)は、本発明の第2の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す正面図である。(c)は、本発明の第2の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す側面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るアンテナの利得と受信信号の周波数との関係を示すグラフ図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係るアンテナの構成を示す斜視図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係るアンテナの構成を示す正面図である。
【図11】(a)は、本発明の第3の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す平面図である。(b)は、本発明の第3の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す正面図である。(c)は、本発明の第3の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す側面図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係るアンテナの利得と受信信号の周波数との関係を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0024】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナの構成を示す斜視図である。図2は、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナの構成を示す正面図である。
【0025】
図3(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す平面図である。図3(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す正面図である。図3(c)は、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す側面図である。
【0026】
図1〜図3を参照して、アンテナ101は、放射器11Aと、反射器12とを備える。放射器11Aは、導体板27,28,29を含む。
【0027】
導体板29は矩形状である。導体板29は、長手方向に延伸し、互いに対向する辺51および辺52と、長手方向に略直交する短手方向に延伸し、互いに対向する辺53および辺54とを有する。ここで、長手方向は図1〜図3に示すY方向に対応し、短手方向は図1〜図3に示すX方向に対応している。また、アンテナ101の高さ方向が図1〜図3に示すZ方向に対応している。
【0028】
導体板29には、長手方向に沿って延伸するスリット21が形成されている。スリット21は、辺51、辺52、辺53および辺54の内側に形成されている、すなわち、辺51、辺52、辺53および辺54と距離を隔てて形成されている。言い換えれば、スリット21は、辺53と辺54との間に位置する第1端部および第2端部を有し、第1端部および第2端部間で長手方向に沿って延伸している。
【0029】
スリット21は、導体板29を長手方向に二分する直線に沿って設けられている、すなわち、辺53の中点および辺54の中点を結ぶ直線に沿って設けられている。また、スリット21は、矩形状であり、たとえばその中央部において短手方向に拡張された幅広部を有する。なお、スリット21は、幅広部を有しない構成であってもよい。短手方向に沿ってこの幅広部を挟んで対向する位置に2つの給電点すなわち給電部22が設けられている。給電部22には、図示しないコンデンサおよびバランを介して図示しない同軸ケーブルが接続されている。
【0030】
図1および図2に示すように、反射器12は、導体板29と対向する位置に設けられており、長手方向に延伸する2辺が放射器11A側に折り曲げられている。このような構成により、反射器12の幅すなわちX方向の長さを短くすることができるため、アンテナ101の小型化を図ることができる。
【0031】
図3(a)に示すように、平板導体29の短手方向の長さは約λ/2であり、平板導体29の長手方向の長さは約λである。ただし、λは、アンテナ101が受信すべき信号の周波数帯域における中心周波数に対応する波長であり、たとえば620MHzの信号の波長である。
【0032】
導体板27は、たとえば矩形状であり、導体板29の辺53から折れ曲がった状態で設けられている。導体板28は、たとえば矩形状であり、導体板29の辺54から折れ曲がった状態で設けられている。すなわち、導体板27および28は、導体板29に対して180度以外の角度で接続されている。導体板27〜29は、一枚の導体板を折り曲げることにより形成される。導体板27および28は、導体板29の同じ主表面側へすなわち反射器12側へ折れ曲がっている。
【0033】
このような構造により、図2に示すように導体板29および反射器12間の距離をλ/10と短くしてアンテナ101の薄型化を図ることができる。一般的には、良好な特性を得るために、導体板および反射器間の距離はおよそλ/4に設定する必要があるが、アンテナ101では、導体板および反射器間の距離をλ/10と短くしても良好な特性を得ることができる。つまり、長手方向すなわちスリット21の延伸方向における導体板の長さを長くすることができるため、導体板および反射器間の距離を短くしても、広帯域性を実現することができる。すなわち、アンテナ101において、利得、定在波比(一般にSWR(Standing Wave Ratio)またはVSWR(Voltage Standing Wave Ratio)と呼ばれる)および前後比等において良好な特性が得られる帯域を広げることができる。
【0034】
なお、導体板29は矩形状に限らず、長手方向に延伸し、互いに対向する2辺と、長手方向に略直交する短手方向に延伸し、互いに対向する2辺とを有する形状であればよい。たとえば、面取りされた形状であってもよいし、矩形以外の多角形であってもよい。また、スリット21は矩形状に限らず、導体板29の長手方向に延伸する形状であればよい。
【0035】
また、導体板27および28が導体板29とは別個に製造され、導体板27および28と導体板29とが電気的に接続されることにより放射器11Aが形成されてもよい。たとえば、導体板27および28と導体板29とが導線によって接続されてもよいし、導体板27および28と導体板29とが溶接されてもよい。
【0036】
また、アンテナ101は、導体板の一方の端部だけを折り曲げる構成であってもよい、すなわち、導体板27および28の一方を備える構成であってもよい。しかしながら、導体板の両方の端部を折り曲げる構成では、スリットの延伸方向における導体板の長さをさらに長くしても小型化を図ることができるというメリットがある。
【0037】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナの利得と受信信号の周波数との関係を示すグラフ図である。図4において、点線は従来のスロットアンテナの特性を示し、実線はアンテナ101の特性を示している。
【0038】
図4を参照して、530MHz〜570MHzを除く470MHz〜800MHzの範囲において、アンテナ101は従来のスロットアンテナと比べて高い利得を有しており、良好な受信特性を実現している。特に、UHF帯の高域すなわち680MHz〜770MHzの高周波側において、アンテナ101は高い利得を有しており、従来と比べて大きく改善されている。
【0039】
本発明の第1の実施の形態に係るアンテナでは、平面アンテナ構造を採用することにより、従来の八木式アンテナのように屋根の上に設置する必要がなく、家屋の壁面に容易に設置でき、また、薄型であるため景観を損ねることもない。また、スロット構造を採用することにより、給電部を1ヶ所のみ設ければよいため、給電方法および構造を簡易にすることができる。
【0040】
以上より、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナでは、薄型化を図り、機械的強度の低下を防ぎ、良好な特性を得ることができる。すなわち、薄型で高性能かつ丈夫な平面タイプのアンテナを得ることができる。
【0041】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0042】
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係るアンテナと比べて放射器の構造を変更したアンテナに関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係るアンテナと同様である。
【0043】
図5は、本発明の第2の実施の形態に係るアンテナの構成を示す斜視図である。図6は、本発明の第2の実施の形態に係るアンテナの構成を示す正面図である。
【0044】
図7(a)は、本発明の第2の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す平面図である。図7(b)は、本発明の第2の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す正面図である。図7(c)は、本発明の第2の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す側面図である。
【0045】
図5〜図7を参照して、アンテナ102は、放射器11Bと、反射器12とを備える。放射器11Bは、導体板23,24,25,26,29を含む。
【0046】
導体板25および導体板26は、辺51および辺52からそれぞれ折れ曲がっている。導体板23は、たとえば矩形状であり、スリット21の長手方向の一部範囲において導体板25を介して辺51から突出した状態で設けられている。導体板24は、たとえば矩形状であり、スリット21の長手方向の一部範囲において導体板26を介して辺52から突出した状態で設けられている。すなわち、導体板23は、導体板25の辺51側の端部と対向する端部から突出している。導体板24は、導体板26の辺52側の端部と対向する端部から突出している。導体板23および導体板24は、それぞれ導体板25および26を介して辺51の中央部および辺52の中央部から突出している。導体板23,24により、後述するようにアンテナ102の受信特性を向上させることができる。
【0047】
導体板23および導体板24は、それぞれ導体板25および26を介して辺51および辺52から折れ曲がるように突出している。言い換えれば、導体板23および24は、それぞれ導体板25および26を介して導体板29に対して180度以外の角度で接続されている。このような構造により、アンテナ102の幅を短くして小型化を図ることができる。また、反射器12との距離を調整し、アンテナ102全体のインピーダンスマッチングを図ることができるため、VSWRを向上させることができる。
【0048】
また、導体板23,24,25,26は導体板29から反射器12側へ折れ曲がっている。すなわち、導体板23および導体板24は、導体板29の同じ主表面側へ折れ曲がるように突出している。このような構造により、アンテナ102の幅および高さを小さくして小型化を図ることができる。導体板23,24,25,26,29は、一枚の導体板を折り曲げることにより形成される。なお、導体板23,24,25,26が導体板29とは別個に製造され、導体板23,24,25,26と導体板29とが電気的に接続されることにより放射器11Bが形成されてもよい。たとえば、導体板23,24,25,26と導体板29とが導線によって接続されてもよいし、導体板23,24,25,26と導体板29とが溶接されてもよい。
【0049】
また、導体板23,24は矩形以外の他の形状であってもよい。たとえば、三角形であってもよいし、台形であってもよいし、切り欠き部を有する形状であってもよい。
【0050】
図8は、本発明の第2の実施の形態に係るアンテナの利得と受信信号の周波数との関係を示すグラフ図である。図8において、点線は従来のスロットアンテナの特性を示し、実線はアンテナ102の特性を示している。
【0051】
図8を参照して、470MHz〜800MHzの範囲において、アンテナ102は従来のスロットアンテナと比べて高い利得を有しており、良好な受信特性を実現している。特に、UHF帯の低域すなわち470MHz〜560MHzの低周波側において、アンテナ102は高い利得を有しており、従来と比べて大きく改善されている。
【0052】
したがって、本発明の第2の実施の形態に係るアンテナでは、薄型化を図り、機械的強度の低下を防ぎ、良好な特性を得ることができる。すなわち、薄型で高性能かつ丈夫な平面タイプのアンテナを得ることができる。
【0053】
なお、アンテナ102は、導体板25および26を備える構成であるとしたが、導体板25および26は本発明において必須の構成ではなく、導体板25および26を備えない構成であっても広帯域において良好な特性を得ることが可能である。
【0054】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係るアンテナと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0055】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0056】
<第3の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係るアンテナおよび第2の実施の形態に係るアンテナの特徴を組み合わせたアンテナに関する。
【0057】
図9は、本発明の第3の実施の形態に係るアンテナの構成を示す斜視図である。図10は、本発明の第3の実施の形態に係るアンテナの構成を示す正面図である。
【0058】
図11(a)は、本発明の第3の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す平面図である。図11(b)は、本発明の第3の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す正面図である。図11(c)は、本発明の第3の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す側面図である。
【0059】
図9〜図11を参照して、アンテナ103は、放射器11Cと、反射器12とを備える。放射器11Cは、導体板23〜29を含む。
【0060】
図12は、本発明の第3の実施の形態に係るアンテナの利得と受信信号の周波数との関係を示すグラフ図である。図12において、点線は従来のスロットアンテナの特性を示し、実線はアンテナ103の特性を示している。
【0061】
図12を参照して、アンテナ103は、アンテナ101の導体板27および28と、アンテナ102の導体板23および24との両方を備える構成により、UHF帯の全帯域すなわち470MHz〜770MHzの範囲と、770MHz〜800MHzの範囲とにおいて、従来のスロットアンテナと比べて高い利得を有しており、アンテナ101および102と比べてさらに良好な受信特性を実現している。
【0062】
その他の構成および動作は第1の実施の形態および第2の実施の形態に係るアンテナと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0063】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0064】
11A,11B,11C 放射器、12 反射器、21 スリット、22 給電部、23〜29 導体板、51〜54 辺、101〜103 アンテナ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナに関し、特に、スロットアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の八木式アンテナを屋根の上に設置する場合、家屋の景観が悪くなる、および設置時に屋根を損傷する恐れがあることから、平面タイプのアンテナ等、より景観に配慮した簡易な構成のアンテナが求められている。
【0003】
従来の平面タイプのアンテナとして、たとえば双ループタイプのアンテナが挙げられる。しかしながら、双ループタイプのアンテナでは、利得を上げるために双ループタイプの放射器を複数設ける必要があることから、給電方法および構造が複雑になるという欠点があった。
【0004】
一方、平面タイプのアンテナとして、スロットアンテナが挙げられる。一般的なスロットアンテナは、たとえば長方形の平面導体の中央においてスリットすなわち細いスロット状の孔を設け、このスリットを挟んで対向する2つの位置に給電がなされる(非特許文献1参照)。スロットアンテナでは、給電部を1ヶ所のみ設ければよいため、双ループタイプのアンテナと比べて給電方法および構造を簡易にすることができる。
【0005】
スロットアンテナの一例として、たとえば、特許文献1には、以下のようなアンテナが開示されている。すなわち、電波放射面を構成する略四角形の放射導体と、該放射導体と略同一形状で放射導体の背部に平行に配置した反射導体とから成るUHFアンテナであって、上記放射導体は、中央部に上下方向に伸びた開口窓を有し、該開口窓の中心部左右壁部に給電点を設けている。
【0006】
また、特許文献2には、以下のようなアンテナが開示されている。すなわち、正面板と、該正面板に対して略直交するよう両側に折曲されている側板からなる断面コ字状の導電板と、該導電板における上記正面板の一縁部から略垂直方向に形成されているスリットにより構成されている水平偏波用アンテナと、上記正面板と、該正面板の両側に形成されている側板とに略水平方向に形成されているスロットにより構成されている垂直偏波用アンテナとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−84130号公報
【特許文献2】特開2003−332834号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】電子情報通信学会,「アンテナ工学ハンドブック(第2版)」,オーム社
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年、地上波デジタル放送の開始により、アナログ放送に比べて比較的簡易な構成のアンテナでテレビジョン放送を良好に受信することが可能となっており、上記のようなスロットアンテナを用いることが検討されている。
【0010】
しかしながら、一般的なスロットアンテナは比較的帯域が狭く、UHF放送帯域(470〜770MHz)の全般において良好な特性を得ることが困難であった。このようなスロットアンテナの狭帯域性を改善する方法として、スロットアンテナを構成している導体板においてスリットの延在方向の長さを長くすることが考えられる。しかしながら、スリットの延在方向の長さを長くするとアンテナが大型化し、また、所望の樹脂筐体にアンテナを収容することができないという問題が発生する。
【0011】
特許文献2に記載の構成では、スロットアンテナを構成している導体板においてスリットの延在方向を長くする方法がとられているが、スリットが設けられている部分が折り曲げられているため、機械的強度が弱くなってしまうという問題点があった。
【0012】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、薄型化を図り、機械的強度の低下を防ぎ、良好な特性を得ることが可能なアンテナを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わるアンテナは、長手方向に延伸し、互いに対向する第1の辺および第2の辺と、上記長手方向に略直交する短手方向に延伸し、互いに対向する第3の辺および第4の辺とを有し、上記長手方向に沿って延伸し、上記第1の辺、上記第2の辺、上記第3の辺および第4の辺と距離を隔ててスリットが形成され、給電部が設けられた第1の導体板と、上記スリットの長手方向の一部範囲において上記第1の辺および上記第2の辺からそれぞれ突出する第2の導体板および第3の導体板とを備える。
【0014】
好ましくは、上記第2の導体板および上記第3の導体板は、上記第1の辺および上記第2の辺からそれぞれ折れ曲がるように突出している。
【0015】
より好ましくは、上記第2の導体板および上記第3の導体板は、上記第1の導体板の同じ主表面側へ折れ曲がるように突出している。
【0016】
好ましくは、上記第2の導体板および上記第3の導体板は、上記第1の辺の中央部および上記第2の辺の中央部からそれぞれ突出している。
【0017】
好ましくは、上記アンテナは、さらに、上記第3の辺から折れ曲がる第4の導体板と、上記第4の辺から折れ曲がる第5の導体板とを備える。
【0018】
好ましくは、上記アンテナは、さらに、上記第1の辺および上記第2の辺からそれぞれ折れ曲がる第6の導体板および第7の導体板を備え、上記第2の導体板は、上記第6の導体板の上記第1の辺側の端部と対向する端部から突出し、上記第3の導体板は、上記第7の導体板の上記第2の辺側の端部と対向する端部から突出している。
【0019】
好ましくは、上記アンテナは、さらに、上記第1の導体板と対向する反射器を備える。
またこの発明の別の局面に係わるアンテナは、長手方向に延伸し、互いに対向する第1の辺および第2の辺と、上記長手方向に略直交する短手方向に延伸し、互いに対向する第3の辺および第4の辺とを有し、上記長手方向に沿って延伸し、上記第1の辺、上記第2の辺、上記第3の辺および第4の辺と距離を隔ててスリットが形成され、給電部が設けられた第1の導体板と、上記第3の辺から折れ曲がる第2の導体板と、上記第4の辺から折れ曲がる第3の導体板とを備える。
【0020】
好ましくは、上記アンテナは、さらに、上記第1の導体板と対向する反射器を備える。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、薄型化を図り、機械的強度の低下を防ぎ、良好な特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るアンテナの構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るアンテナの構成を示す正面図である。
【図3】(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す平面図である。(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す正面図である。(c)は、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す側面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るアンテナの利得と受信信号の周波数との関係を示すグラフ図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るアンテナの構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るアンテナの構成を示す正面図である。
【図7】(a)は、本発明の第2の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す平面図である。(b)は、本発明の第2の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す正面図である。(c)は、本発明の第2の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す側面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るアンテナの利得と受信信号の周波数との関係を示すグラフ図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係るアンテナの構成を示す斜視図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係るアンテナの構成を示す正面図である。
【図11】(a)は、本発明の第3の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す平面図である。(b)は、本発明の第3の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す正面図である。(c)は、本発明の第3の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す側面図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係るアンテナの利得と受信信号の周波数との関係を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0024】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナの構成を示す斜視図である。図2は、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナの構成を示す正面図である。
【0025】
図3(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す平面図である。図3(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す正面図である。図3(c)は、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す側面図である。
【0026】
図1〜図3を参照して、アンテナ101は、放射器11Aと、反射器12とを備える。放射器11Aは、導体板27,28,29を含む。
【0027】
導体板29は矩形状である。導体板29は、長手方向に延伸し、互いに対向する辺51および辺52と、長手方向に略直交する短手方向に延伸し、互いに対向する辺53および辺54とを有する。ここで、長手方向は図1〜図3に示すY方向に対応し、短手方向は図1〜図3に示すX方向に対応している。また、アンテナ101の高さ方向が図1〜図3に示すZ方向に対応している。
【0028】
導体板29には、長手方向に沿って延伸するスリット21が形成されている。スリット21は、辺51、辺52、辺53および辺54の内側に形成されている、すなわち、辺51、辺52、辺53および辺54と距離を隔てて形成されている。言い換えれば、スリット21は、辺53と辺54との間に位置する第1端部および第2端部を有し、第1端部および第2端部間で長手方向に沿って延伸している。
【0029】
スリット21は、導体板29を長手方向に二分する直線に沿って設けられている、すなわち、辺53の中点および辺54の中点を結ぶ直線に沿って設けられている。また、スリット21は、矩形状であり、たとえばその中央部において短手方向に拡張された幅広部を有する。なお、スリット21は、幅広部を有しない構成であってもよい。短手方向に沿ってこの幅広部を挟んで対向する位置に2つの給電点すなわち給電部22が設けられている。給電部22には、図示しないコンデンサおよびバランを介して図示しない同軸ケーブルが接続されている。
【0030】
図1および図2に示すように、反射器12は、導体板29と対向する位置に設けられており、長手方向に延伸する2辺が放射器11A側に折り曲げられている。このような構成により、反射器12の幅すなわちX方向の長さを短くすることができるため、アンテナ101の小型化を図ることができる。
【0031】
図3(a)に示すように、平板導体29の短手方向の長さは約λ/2であり、平板導体29の長手方向の長さは約λである。ただし、λは、アンテナ101が受信すべき信号の周波数帯域における中心周波数に対応する波長であり、たとえば620MHzの信号の波長である。
【0032】
導体板27は、たとえば矩形状であり、導体板29の辺53から折れ曲がった状態で設けられている。導体板28は、たとえば矩形状であり、導体板29の辺54から折れ曲がった状態で設けられている。すなわち、導体板27および28は、導体板29に対して180度以外の角度で接続されている。導体板27〜29は、一枚の導体板を折り曲げることにより形成される。導体板27および28は、導体板29の同じ主表面側へすなわち反射器12側へ折れ曲がっている。
【0033】
このような構造により、図2に示すように導体板29および反射器12間の距離をλ/10と短くしてアンテナ101の薄型化を図ることができる。一般的には、良好な特性を得るために、導体板および反射器間の距離はおよそλ/4に設定する必要があるが、アンテナ101では、導体板および反射器間の距離をλ/10と短くしても良好な特性を得ることができる。つまり、長手方向すなわちスリット21の延伸方向における導体板の長さを長くすることができるため、導体板および反射器間の距離を短くしても、広帯域性を実現することができる。すなわち、アンテナ101において、利得、定在波比(一般にSWR(Standing Wave Ratio)またはVSWR(Voltage Standing Wave Ratio)と呼ばれる)および前後比等において良好な特性が得られる帯域を広げることができる。
【0034】
なお、導体板29は矩形状に限らず、長手方向に延伸し、互いに対向する2辺と、長手方向に略直交する短手方向に延伸し、互いに対向する2辺とを有する形状であればよい。たとえば、面取りされた形状であってもよいし、矩形以外の多角形であってもよい。また、スリット21は矩形状に限らず、導体板29の長手方向に延伸する形状であればよい。
【0035】
また、導体板27および28が導体板29とは別個に製造され、導体板27および28と導体板29とが電気的に接続されることにより放射器11Aが形成されてもよい。たとえば、導体板27および28と導体板29とが導線によって接続されてもよいし、導体板27および28と導体板29とが溶接されてもよい。
【0036】
また、アンテナ101は、導体板の一方の端部だけを折り曲げる構成であってもよい、すなわち、導体板27および28の一方を備える構成であってもよい。しかしながら、導体板の両方の端部を折り曲げる構成では、スリットの延伸方向における導体板の長さをさらに長くしても小型化を図ることができるというメリットがある。
【0037】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナの利得と受信信号の周波数との関係を示すグラフ図である。図4において、点線は従来のスロットアンテナの特性を示し、実線はアンテナ101の特性を示している。
【0038】
図4を参照して、530MHz〜570MHzを除く470MHz〜800MHzの範囲において、アンテナ101は従来のスロットアンテナと比べて高い利得を有しており、良好な受信特性を実現している。特に、UHF帯の高域すなわち680MHz〜770MHzの高周波側において、アンテナ101は高い利得を有しており、従来と比べて大きく改善されている。
【0039】
本発明の第1の実施の形態に係るアンテナでは、平面アンテナ構造を採用することにより、従来の八木式アンテナのように屋根の上に設置する必要がなく、家屋の壁面に容易に設置でき、また、薄型であるため景観を損ねることもない。また、スロット構造を採用することにより、給電部を1ヶ所のみ設ければよいため、給電方法および構造を簡易にすることができる。
【0040】
以上より、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナでは、薄型化を図り、機械的強度の低下を防ぎ、良好な特性を得ることができる。すなわち、薄型で高性能かつ丈夫な平面タイプのアンテナを得ることができる。
【0041】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0042】
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係るアンテナと比べて放射器の構造を変更したアンテナに関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係るアンテナと同様である。
【0043】
図5は、本発明の第2の実施の形態に係るアンテナの構成を示す斜視図である。図6は、本発明の第2の実施の形態に係るアンテナの構成を示す正面図である。
【0044】
図7(a)は、本発明の第2の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す平面図である。図7(b)は、本発明の第2の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す正面図である。図7(c)は、本発明の第2の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す側面図である。
【0045】
図5〜図7を参照して、アンテナ102は、放射器11Bと、反射器12とを備える。放射器11Bは、導体板23,24,25,26,29を含む。
【0046】
導体板25および導体板26は、辺51および辺52からそれぞれ折れ曲がっている。導体板23は、たとえば矩形状であり、スリット21の長手方向の一部範囲において導体板25を介して辺51から突出した状態で設けられている。導体板24は、たとえば矩形状であり、スリット21の長手方向の一部範囲において導体板26を介して辺52から突出した状態で設けられている。すなわち、導体板23は、導体板25の辺51側の端部と対向する端部から突出している。導体板24は、導体板26の辺52側の端部と対向する端部から突出している。導体板23および導体板24は、それぞれ導体板25および26を介して辺51の中央部および辺52の中央部から突出している。導体板23,24により、後述するようにアンテナ102の受信特性を向上させることができる。
【0047】
導体板23および導体板24は、それぞれ導体板25および26を介して辺51および辺52から折れ曲がるように突出している。言い換えれば、導体板23および24は、それぞれ導体板25および26を介して導体板29に対して180度以外の角度で接続されている。このような構造により、アンテナ102の幅を短くして小型化を図ることができる。また、反射器12との距離を調整し、アンテナ102全体のインピーダンスマッチングを図ることができるため、VSWRを向上させることができる。
【0048】
また、導体板23,24,25,26は導体板29から反射器12側へ折れ曲がっている。すなわち、導体板23および導体板24は、導体板29の同じ主表面側へ折れ曲がるように突出している。このような構造により、アンテナ102の幅および高さを小さくして小型化を図ることができる。導体板23,24,25,26,29は、一枚の導体板を折り曲げることにより形成される。なお、導体板23,24,25,26が導体板29とは別個に製造され、導体板23,24,25,26と導体板29とが電気的に接続されることにより放射器11Bが形成されてもよい。たとえば、導体板23,24,25,26と導体板29とが導線によって接続されてもよいし、導体板23,24,25,26と導体板29とが溶接されてもよい。
【0049】
また、導体板23,24は矩形以外の他の形状であってもよい。たとえば、三角形であってもよいし、台形であってもよいし、切り欠き部を有する形状であってもよい。
【0050】
図8は、本発明の第2の実施の形態に係るアンテナの利得と受信信号の周波数との関係を示すグラフ図である。図8において、点線は従来のスロットアンテナの特性を示し、実線はアンテナ102の特性を示している。
【0051】
図8を参照して、470MHz〜800MHzの範囲において、アンテナ102は従来のスロットアンテナと比べて高い利得を有しており、良好な受信特性を実現している。特に、UHF帯の低域すなわち470MHz〜560MHzの低周波側において、アンテナ102は高い利得を有しており、従来と比べて大きく改善されている。
【0052】
したがって、本発明の第2の実施の形態に係るアンテナでは、薄型化を図り、機械的強度の低下を防ぎ、良好な特性を得ることができる。すなわち、薄型で高性能かつ丈夫な平面タイプのアンテナを得ることができる。
【0053】
なお、アンテナ102は、導体板25および26を備える構成であるとしたが、導体板25および26は本発明において必須の構成ではなく、導体板25および26を備えない構成であっても広帯域において良好な特性を得ることが可能である。
【0054】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係るアンテナと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0055】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0056】
<第3の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係るアンテナおよび第2の実施の形態に係るアンテナの特徴を組み合わせたアンテナに関する。
【0057】
図9は、本発明の第3の実施の形態に係るアンテナの構成を示す斜視図である。図10は、本発明の第3の実施の形態に係るアンテナの構成を示す正面図である。
【0058】
図11(a)は、本発明の第3の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す平面図である。図11(b)は、本発明の第3の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す正面図である。図11(c)は、本発明の第3の実施の形態に係るアンテナにおける放射器の構成を示す側面図である。
【0059】
図9〜図11を参照して、アンテナ103は、放射器11Cと、反射器12とを備える。放射器11Cは、導体板23〜29を含む。
【0060】
図12は、本発明の第3の実施の形態に係るアンテナの利得と受信信号の周波数との関係を示すグラフ図である。図12において、点線は従来のスロットアンテナの特性を示し、実線はアンテナ103の特性を示している。
【0061】
図12を参照して、アンテナ103は、アンテナ101の導体板27および28と、アンテナ102の導体板23および24との両方を備える構成により、UHF帯の全帯域すなわち470MHz〜770MHzの範囲と、770MHz〜800MHzの範囲とにおいて、従来のスロットアンテナと比べて高い利得を有しており、アンテナ101および102と比べてさらに良好な受信特性を実現している。
【0062】
その他の構成および動作は第1の実施の形態および第2の実施の形態に係るアンテナと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0063】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0064】
11A,11B,11C 放射器、12 反射器、21 スリット、22 給電部、23〜29 導体板、51〜54 辺、101〜103 アンテナ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延伸し、互いに対向する第1の辺および第2の辺と、前記長手方向に略直交する短手方向に延伸し、互いに対向する第3の辺および第4の辺とを有し、前記長手方向に沿って延伸し、前記第1の辺、前記第2の辺、前記第3の辺および第4の辺と距離を隔ててスリットが形成され、給電部が設けられた第1の導体板と、
前記スリットの長手方向の一部範囲において前記第1の辺および前記第2の辺からそれぞれ突出する第2の導体板および第3の導体板とを備えるアンテナ。
【請求項2】
前記第2の導体板および前記第3の導体板は、前記第1の辺および前記第2の辺からそれぞれ折れ曲がるように突出している請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記第2の導体板および前記第3の導体板は、前記第1の導体板の同じ主表面側へ折れ曲がるように突出している請求項2に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記第2の導体板および前記第3の導体板は、前記第1の辺の中央部および前記第2の辺の中央部からそれぞれ突出している請求項1から3のいずれかに記載のアンテナ。
【請求項5】
前記アンテナは、さらに、
前記第3の辺から折れ曲がる第4の導体板と、
前記第4の辺から折れ曲がる第5の導体板とを備える請求項1から4のいずれかに記載のアンテナ。
【請求項6】
前記アンテナは、さらに、
前記第1の辺および前記第2の辺からそれぞれ折れ曲がる第6の導体板および第7の導体板を備え、
前記第2の導体板は、前記第6の導体板の前記第1の辺側の端部と対向する端部から突出し、
前記第3の導体板は、前記第7の導体板の前記第2の辺側の端部と対向する端部から突出している請求項1から5のいずれかに記載のアンテナ。
【請求項7】
前記アンテナは、さらに、
前記第1の導体板と対向する反射器を備える請求項1から6のいずれかに記載のアンテナ。
【請求項8】
長手方向に延伸し、互いに対向する第1の辺および第2の辺と、前記長手方向に略直交する短手方向に延伸し、互いに対向する第3の辺および第4の辺とを有し、前記長手方向に沿って延伸し、前記第1の辺、前記第2の辺、前記第3の辺および第4の辺と距離を隔ててスリットが形成され、給電部が設けられた第1の導体板と、
前記第3の辺から折れ曲がる第2の導体板と、
前記第4の辺から折れ曲がる第3の導体板とを備えるアンテナ。
【請求項9】
前記アンテナは、さらに、
前記第1の導体板と対向する反射器を備える請求項8に記載のアンテナ。
【請求項1】
長手方向に延伸し、互いに対向する第1の辺および第2の辺と、前記長手方向に略直交する短手方向に延伸し、互いに対向する第3の辺および第4の辺とを有し、前記長手方向に沿って延伸し、前記第1の辺、前記第2の辺、前記第3の辺および第4の辺と距離を隔ててスリットが形成され、給電部が設けられた第1の導体板と、
前記スリットの長手方向の一部範囲において前記第1の辺および前記第2の辺からそれぞれ突出する第2の導体板および第3の導体板とを備えるアンテナ。
【請求項2】
前記第2の導体板および前記第3の導体板は、前記第1の辺および前記第2の辺からそれぞれ折れ曲がるように突出している請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記第2の導体板および前記第3の導体板は、前記第1の導体板の同じ主表面側へ折れ曲がるように突出している請求項2に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記第2の導体板および前記第3の導体板は、前記第1の辺の中央部および前記第2の辺の中央部からそれぞれ突出している請求項1から3のいずれかに記載のアンテナ。
【請求項5】
前記アンテナは、さらに、
前記第3の辺から折れ曲がる第4の導体板と、
前記第4の辺から折れ曲がる第5の導体板とを備える請求項1から4のいずれかに記載のアンテナ。
【請求項6】
前記アンテナは、さらに、
前記第1の辺および前記第2の辺からそれぞれ折れ曲がる第6の導体板および第7の導体板を備え、
前記第2の導体板は、前記第6の導体板の前記第1の辺側の端部と対向する端部から突出し、
前記第3の導体板は、前記第7の導体板の前記第2の辺側の端部と対向する端部から突出している請求項1から5のいずれかに記載のアンテナ。
【請求項7】
前記アンテナは、さらに、
前記第1の導体板と対向する反射器を備える請求項1から6のいずれかに記載のアンテナ。
【請求項8】
長手方向に延伸し、互いに対向する第1の辺および第2の辺と、前記長手方向に略直交する短手方向に延伸し、互いに対向する第3の辺および第4の辺とを有し、前記長手方向に沿って延伸し、前記第1の辺、前記第2の辺、前記第3の辺および第4の辺と距離を隔ててスリットが形成され、給電部が設けられた第1の導体板と、
前記第3の辺から折れ曲がる第2の導体板と、
前記第4の辺から折れ曲がる第3の導体板とを備えるアンテナ。
【請求項9】
前記アンテナは、さらに、
前記第1の導体板と対向する反射器を備える請求項8に記載のアンテナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−66793(P2011−66793A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217279(P2009−217279)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】
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