説明

アントシアニン色素の退色防止剤

【課題】光や熱によるアントシアニン色素の退色を防止する効果に優れた退色防止剤を提供すること。
【解決手段】トコフェロールを含有する水および/または多価アルコール中油型の乳化組成物であることを特徴とするアントシアニン色素の退色防止剤。トコフェロールとしては、例えば総トコフェロール中のd−α−トコフェロールおよびd−γ−トコフェロールの含有量の合計が50%以上の抽出トコフェロールなどが用いられる。また、多価アルコールとしては、例えばグリセリンなどが用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アントシアニン色素の退色防止剤に関する。
【背景技術】
【0002】
アントシアニン色素は、赤色乃至赤紫色の色調を有する水溶性の天然色素であり、食品、化粧品、医薬品などの着色に広く利用されている。しかし、アントシアニン色素は光や熱に対して不安定であるため、アントシアニン色素により着色された食品等は、その製造、流通および保存の各段階で退色または変色し易いことが問題となっている。そこで、この問題を解決するために種々の対策が検討されてきた。
【0003】
例えば、ニゲロオリゴ糖を有効成分として含有することを特徴とする退色防止剤(特許文献1参照)、アントシアニン色素に対し、0.1〜5.0倍量のグリシルリチンまたはその塩を添加することを特徴とするアントシアニン色素の安定化法(特許文献2参照)、アントシアニンに、ミリセチンその他のフラボン類および/またはケンフェロールその他のフラボノール類と、フィチンおよび/またはフィチン酸とを添加するアントシアニン色素の退色防止法(特許文献3参照)、天然物から分離されたクロロゲン酸および/または合成或いは天然物から分離されたカフェー酸を有効成分として含有するアントシアニン系色素用退色防止剤(特許文献4参照)、赤キャベツ色素の粉末または酸性溶液に、ルチンおよび/またはケルセチンと、フィチンおよび/またはフィチン酸とを添加する赤キャベツ色素の退色防止法(特許文献5参照)などが知られている。
【0004】
しかしながら、上記技術をもってしても、光や熱によるアントシアニン色素の退色を防止する点で十分に満足できる効果が得られていないのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−189101号公報
【特許文献2】特開平09−263707号公報
【特許文献3】特開昭62−019068号公報
【特許文献4】特開昭58−065761号公報
【特許文献5】特開昭61−282032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、光や熱によるアントシアニン色素の退色を防止する効果に優れた退色防止剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、トコフェロールを含有する水および/または多価アルコール中油型の乳化組成物を調製し、該組成物をアントシアニン色素により着色される飲食品に添加することにより上記問題が解決されることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)トコフェロールを含有する水および/または多価アルコール中油型の乳化組成物であることを特徴とするアントシアニン色素の退色防止剤、
(2)トコフェロールが、総トコフェロール中のd−α−トコフェロールおよびd−γ−トコフェロールの含有量の合計が50%以上の抽出トコフェロールであることを特徴とする前記(1)に記載の退色防止剤、
(3)前記(1)または(2)に記載の退色防止剤を含有することを特徴とする飲食品、
(4)前記(1)または(2)に記載の退色防止剤を飲食品に添加することを特徴とするアントシアニン色素の退色防止方法、
からなっている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のアントシアニン色素の退色防止剤を飲食品に添加することにより、該飲食品に対する光照射および加熱によるアントシアニン色素の退色が有意に抑制される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明で用いられるトコフェロールとしては、例えばdl−α−トコフェロール(食品添加物)、d−α−トコフェロール(食品添加物)および抽出トコフェロールなどが挙げられ、好ましくは抽出トコフェロールである。
【0011】
抽出トコフェロールとしては、植物油が精製される過程で副生する脱臭留出物(例えば脱臭スカム、脱臭スラッジまたはホットウエル油など)から回収されるトコフェロールであれば特に制限はなく、例えば、キャノーラ油、ごま油、こめ油、サフラワー油、大豆油、とうもろこし油、なたね油、パーム油、ひまわり油、綿実油、落花生油などの脱臭留出物から分離・精製して得られる混合物(ミックストコフェロールともいう)が挙げられる。なお、一般に、抽出トコフェロールは、d−α,β,γおよびδなどのトコフェロールの同族体が混在したものであり、各同族体の組成は、植物の種類や品種、産地などに影響される。また、抽出トコフェロールとしては、分子蒸留などの精製工程により、特定の同族体の含有量を工業的に高めた製品も市販されている。
【0012】
上記抽出トコフェロールとしては、総トコフェロール中のd−α−トコフェロールおよびd−γ−トコフェロールの含有量の合計が50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。該含有量の合計が50%以上のものは、その製造の際の精製工程によるコストが少なく、入手が比較的容易であるため好ましい。ここで、総トコフェロールとは、d−α,β,γおよびδの4種類のトコフェロールをいう。
【0013】
抽出トコフェロール中の各同族体の含有量は、「第8版 食品添加物公定書」(日本食品添加物協会)の「d−α−トコフェロール」に記載された定量法(液体クロマトグラフィーによる定量法)に準じて測定される。
【0014】
尚、トコフェロールとして商業的に販売されている製品には油脂を含むものや、粉末化したものなど様々な態様のものがあるが、本発明においては、このような態様のトコフェロールも支障なく用いることができる。
【0015】
本発明に使用される多価アルコールは、1つの分子内に2個以上の水酸基を有する化合物の総称であり、特にその種類を限定するものではないが、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、ソルビタン、キシロース、アラビノース、マンノース、乳糖、砂糖、カップリングシュガー、ブドウ糖、酵素水飴、酸糖化水飴、麦芽糖水飴、麦芽糖、異性化糖、果糖、還元麦芽糖、還元澱粉水飴、蜂蜜などが挙げられ、好ましくは、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、還元澱粉糖化物であり、より好ましくは、グリセリンおよびソルビトールである。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができ、また、本発明の退色防止剤の粘度を調整する等の目的で多価アルコールと水などを併用しても良い。
【0016】
該水としては、飲用可能なものであれば特に制限はないが、例えば蒸留水、イオン交換樹脂処理水、逆浸透膜処理水および限外ろ過膜処理水などの精製水並びに水道水などの飲料水などが挙げられる。
【0017】
本発明の退色防止剤の製造方法に特に制限はなく、自体公知の方法を用いることができる。以下に、好ましい退色防止剤の製造方法を例示する。
【0018】
例えば、水および/または多価アルコール中に乳化剤を加えて約50〜80℃、好ましくは約60〜70℃に加熱して溶解し水相とする。該水相を攪拌しながら、この中に油相としてトコフェロールをゆっくり加え、例えば高速回転式ホモジナイザーを用いて、回転数約6000〜20000rpmにて、攪拌時間約10〜60分間で乳化する方法により、水および/または多価アルコール中油型の乳化組成物を製造することができる。
【0019】
上記乳化に用いる装置としては特に限定されず、例えば、撹拌機、加熱用のジャケットおよび邪魔板等を備えた通常の撹拌・混合槽を用いることができる。装備する撹拌機としては、例えばTKホモミクサー(プライミクス社製)又はクレアミックス(エムテクニック社製)、クレアミキサー(エムテクニック社製)等の高速回転式ホモジナイザーが好ましく用いられる。また、これらの装置で乳化した液を高圧式均質化処理機を使用して、さらに均質化してもよい。ここで高圧式均質化処理機としては、例えばAPVゴーリンホモジナイザー(APV社製)、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイデックス社製)、スターバースト(スギノマシン社製)又はナノマイザー(大和製罐社製)等を好ましく使用することができる。上記均質化処理機に代えて、例えば超音波乳化機等の均質化処理機を用いてもよい。
【0020】
上記乳化剤としては、HLB(Hydrophilic Lipophilic Balance)が9以上、好ましくは12以上の親水性のものが望ましい。HLBが9以上であることにより、トコフェロールを水および/または多価アルコール中に微細に分散させることができる。HLBの求め方に特に制限はなく、既存の種々の手法が利用できる。例えば、アトラス法に従い、次式により定義されるHLBを求めることができる。
【0021】
【数1】

【0022】
HLBが9以上の乳化剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン誘導体、ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸カルシウム、ポリソルベートの他、酵素分解レシチン、水素添加酵素分解レシチン、ヒドロキシレシチン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、アセチル化レシチンといった天然由来のレシチン類を化学的あるいは酵素処理することで得られたレシチンの誘導体等が挙げられ、中でもポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましく用いられる。
【0023】
本発明の退色防止剤100質量%中には、トコフェロールが通常約2〜40質量%、好ましくは約5〜20質量%、乳化剤が通常約2〜20質量%、好ましくは約4〜10質量%、残余が水および/または多価アルコールとなるように調整するのが好ましい。また、油相と水相の比率は約1/99〜30/70(V/V)、好ましくは約5/95〜20/80(V/V)となるように調整するのが好ましい。
【0024】
本発明の退色防止剤は、飲食品に添加して用いられる。該飲食品に特に制限はないが、好ましくは、液性がpH4.0未満でアントシアニン色素を含む飲食品(即ち、アントシアニン色素を添加した飲食品およびアントシアニン色素を含む食品原料を使用して製造された飲食品)が挙げられる。このような好ましい飲食品の例としては、果汁やフレーバー、機能性素材等を含んだ機能性飲料、スポーツ飲料、栄養補給飲料等の酸性飲料、紅しょうが漬、梅干、梅漬、ニンニク漬(しば風味)、福神漬等の漬物類、ジャム類、ゼリー、シャーベット、キャンデー、シロップなどが挙げられる。
【0025】
上記アントシアニン色素としては、例えば赤キャベツ色素、赤米色素、アカダイコン色素、エルダーベリー色素、カウベリー色素、グースベリー色素、クランベリー色素、サーモンベリー色素、シソ色素、スィムブルーベリー色素、ストロベリー色素、ダークスィートチェリー色素、チェリー色素、ハイビスカス色素、ハルクベリー色素、ブドウ果汁色素、ブドウ果皮色素、ブラックカーラント色素、ブラックキャロット色素、ブラックベリー色素、ブルーベリー色素、プラム色素、ホワートルベリー色素、ボイセンベリー色素、マルベリー色素、ムラサキイモ色素、ムラサキトウモロコシ色素、ムラサキヤマイモ色素、ラズベリー色素、レッドカーラント色素、ローガンベリー色素などが挙げられる。
【0026】
上記飲食品に対する本発明の退色防止剤の添加量は、該退色防止剤の配合組成や飲食品の種類などにより異なり一様ではないが、例えば飲食品100質量%中、退色防止剤の含有量が通常約0.005〜0.5質量%、好ましくは約0.01〜0.3質量%となるように添加することが好ましい。
【0027】
以下に本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0028】
[アントシアニン色素の退色防止剤の作製]
(1)原材料
1)抽出トコフェロールA(商品名:理研Eオイル600;理研ビタミン社製)
2)抽出トコフェロールB(商品名:理研Eオイル705;理研ビタミン社製)
3)抽出トコフェロールC(商品名:理研Eオイルスーパー60;理研ビタミン社製)
4)中鎖脂肪酸トリグリセリド(商品名:アクターM−1;理研ビタミン社製)
5)ポリグリセリン脂肪酸エステル(商品名:ポエムJ−0381V;理研ビタミン社製)
6)グリセリン(ミヨシ油脂社製)
7)水
ここで、上記抽出トコフェロールA〜Cについて、総トコフェロール含有量並びに総トコフェロール中のd−α−トコフェロールおよびd−γ−トコフェロールの含有量を表1に示す。
【0029】
【表1】

【0030】
(2)配合組成
上記原材料を用いて作製したアントシアニン色素の退色防止剤(実施例品1〜3および比較例品)の配合組成を表2に示す。この内、実施例品1〜3は本発明に係る実施例であり、比較例品はそれらに対する比較例である。
【0031】
【表2】

【0032】
(3)作製方法
300mL容ガラス製ビーカーに、グリセリン、水およびポリグリセリン脂肪酸エステルを入れ65℃で溶解し水相とした。該水相に、抽出トコフェロールA〜Cおよび中鎖脂肪酸トリグリセリドのうちいずれかを油相として加え、その後クレアミキサー(型式:MARK2.5;エムテクニック社製)を用いて70℃、8000rpmの条件で15分間攪拌・乳化し、アントシアニン色素の退色防止剤(実施例品1〜3および比較例品)を調製した。なお、該退色防止剤の総量は300gとした。
【実施例2】
【0033】
[アセロラ飲料の作製および評価]
(1)アセロラ飲料の作製
果糖ブドウ糖液糖7.0g、砂糖5.0g、クエン酸0.4g、アセロラ果汁4.4g、アセロラフレーバー0.2g、赤キャベツ色素(商品名:リケカラーアカキャベツSC−16;理研ビタミン社製)0.2gおよび水82.7gを混合溶解した。得られた溶解液にアントシアニン色素の退色防止剤(実施例品1〜3および比較例品のうちいずれか)0.1gを加えて混合溶解したものを、無色透明のガラスレトルト瓶に入れて栓をして加熱し、95℃達温後10分間加熱殺菌し、その後冷蔵庫にて10℃まで冷却し、アセロラ飲料(試作品1〜4)各100gを得た。また、対照として、上記退色防止剤を添加していないアセロラ飲料(試作品5)100g、並びに該退色防止剤に替えてビタミンC(商品名:ビタミンC;BASF社製)0.1gおよびルチン(商品名:αGルチンP;ルチン含有量約40%;東洋精糖社製)0.1gのうちいずれかを添加したアセロラ飲料(試作品6および7)各100gを同様の方法でそれぞれ作製した。
【0034】
(2)アセロラ飲料の耐光・耐熱性試験
上記(1)で作製したアセロラ飲料(試作品1〜7)について耐光性試験および耐熱性試験を実施した。
【0035】
耐光性試験では、各飲料試料を50mlずつ容無色透明のガラス瓶に充填密栓し、10℃に保温したインキュベーター(恒温器)中、5000Luxの蛍光灯照射下で7日間保存した。また、耐熱性試験では、各飲料試料を25mlずつ、φ18mmねじ口試験管に入れ、遮光下、55℃のインキュベーター(恒温器)中で5日間保存した。
【0036】
一方、上記各試験における保存前と保存後に、分光式色差計(方式:SE−6000;測定径:直径10mm;日本電色工業社製)で各飲料の色調(L*a*b*値)を各々測定した。測定した色調および次式に基づいて、保存前と保存後のL*a*b*色差(ΔE*(ab))を算出することにより、各試験飲料の耐光性および耐熱性を求めた。結果を表3に示す。
【0037】
【数2】

【0038】
上記式中、L*は、明度を表す。a*は、赤方向の色度を表す。b*は、黄方向の色度を表す。ΔE*(ab)は変色の程度を表す。
【0039】
【表3】

【0040】
表3の結果から、抽出トコフェロールを含有する本発明の退色防止剤を添加して作製したアセロラ飲料(試作品1〜3)は、比較例および対照のアセロラ飲料(試作品4〜7)に比べて光照射および加熱による退色が有意に抑制されていることが明らかである。特に、本発明の退色防止剤は、アントシアニン色素の退色防止剤として公知であるビタミンCおよびルチンと比較しても有意な退色抑制効果を発揮する点において優れたものである。
【実施例3】
【0041】
[かき氷シロップ液の作製および評価]
(1)かき氷シロップ液の作製
果糖ブドウ糖液糖75.0g、砂糖3.0g、クエン酸0.25g、カラギーナン(商品名:Genugel WG−108;三晶社製)0.3g、食塩0.15g、ムラサキイモ色素(商品名:サンレッドYM;三栄源エフ・エフ・アイ社製)0.1g、ムラサキトウモロコシ色素(商品名:サンレッドNO.5;三栄源エフ・エフ・アイ社製)0.1gおよび水21.0gを混合溶解した。得られた溶解液にアントシアニン色素の退色防止剤(実施例品1〜3および比較例品のうちいずれか)0.1gを加えて混合溶解したものを、無色透明のガラスレトルト瓶に入れてかき氷シロップ液(試作品8〜11)各100gを得た。また、対照として、上記退色防止剤を添加していないかき氷シロップ液(試作品12)100g、並びに該退色防止剤に替えてビタミンC(商品名:ビタミンC;BASF社製)0.1gおよびルチン(商品名:αGルチンP;ルチン含有量約40%;東洋精糖社製)0.1gのうちいずれかを添加したかき氷シロップ液(試作品13および14)各100gを同様の方法でそれぞれ作製した。
【0042】
(2)かき氷シロップ液の耐光・耐熱性試験
上記(1)で作製したかき氷シロップ液(試作品8〜14)について耐光性試験および耐熱性試験を実施した。
【0043】
耐光性試験では、各飲料試料を50mlずつ容無色透明のガラス瓶に充填密栓し、10℃に保温したインキュベーター(恒温器)中、5000Luxの蛍光灯照射下で7日間保存した。また、耐熱性試験では、各飲料試料を25mlずつ、φ18mmねじ口試験管に入れ、遮光下、55℃のインキュベーター(恒温器)中で5日間保存した。
【0044】
一方、上記各試験における保存前と保存後に、分光式色差計(型式:SE−6000;測定径:直径10mm;日本電色工業社製)で各飲料の色調(L*a*b*値)を各々測定した。測定した色調および次式に基づいて、保存前と保存後のL*a*b*色差(ΔE*(ab))を算出することにより、各試験飲料の耐光性および耐熱性を求めた。結果を表4に示す。
【0045】
【数3】

【0046】
上記式中、L*は、明度を表す。a*は、赤方向の色度を表す。b*は、黄方向の色度を表す。ΔE*(ab)は変色の程度を表す。
【0047】
【表4】

【0048】
表4の結果から、抽出トコフェロールを含有する本発明の退色防止剤を添加して作製したかき氷シロップ液(試作品8〜10)は、比較例および対照のかき氷シロップ液(試作品11〜14)に比べて光照射および加熱による退色が有意に抑制されていることが明らかである。特に、本発明の退色防止剤は、アントシアニン色素の退色防止剤として公知であるビタミンCおよびルチンと比較しても有意な退色抑制効果を発揮する点において優れたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トコフェロールを含有する水および/または多価アルコール中油型の乳化組成物であることを特徴とするアントシアニン色素の退色防止剤。
【請求項2】
トコフェロールが、総トコフェロール中のd−α−トコフェロールおよびd−γ−トコフェロールの含有量の合計が50%以上の抽出トコフェロールであることを特徴とする請求項1に記載の退色防止剤。
【請求項3】
請求項1または2に記載の退色防止剤を含有することを特徴とする飲食品。
【請求項4】
請求項1または2に記載の退色防止剤を飲食品に添加することを特徴とするアントシアニン色素の退色防止方法。

【公開番号】特開2012−75340(P2012−75340A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220794(P2010−220794)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(390010674)理研ビタミン株式会社 (236)
【Fターム(参考)】